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1950-02-24 第7回国会 参議院 地方行政委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年二月二十四日(金曜日)    午後一時四十一分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○地方自治法の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○地方行政の改革に関する調査の件  (地方税法改正に関する件)   —————————————
  2. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) これより地方行政委員会を開会いたします。本日は先ず地方自治法の一部を改正する法律案予備審査を続行いたします。この前お諮りいたしました通り、この法案は前国会政府から提出されたものと同一でございます。従つて詳しい逐條審議は省くことにいたしたいと思います。そこで、この前御相談を願いましたように「地方自治法改正論点」というのを御覧頂きまして……昭和二十三年以降におきまして、参議院の議長並びに地方行政委員会に対しまして陳情請願がありましたものをまとめまして、論点として挙げてございます。又政府改正案もこの中に入つております。衆議院で前国会におきまして修正しようとした点も入つております。それを兼ねてこの委員会でどういうふうに修正して行くか、御審議願うことにして進めて行きたいと思います。それで御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) ではそういうふうにいたします。  それでは一番第一頁にございますように、一般事項全国市会議長会から地方自治法普及中央政府はパンフレツト、新聞、ラジオ、映画等一般に徹底するよう取計られたいという問題でございます。それから全国町村長会長から憲法普及会のごとき組織を設けて地方自治法普及されたいというふうなことも出ております。次に大阪府会議長から大阪都制の実現を考慮されたい。そういうのも二度出ております。  次に地方自治法の第四條に政府提案があります。それは條例制定改廃に関することであります。それについて簡単に御説明願いましよう。
  4. 高辻正己

    政府委員高辻正己君) 四條について簡単に御説明申上げますが、現行法によりますると、「地方公共団体は、その事務所の位置を定め又はこれを変更しようとするときは、條例でこれを定めなければならない」ということになつておるわけでございます。これは事柄といたしまして極めて重要な事柄でありますので、又これに関連しまして地方にいろいろな問題もございますので、今回第二項を加えまして、「前項の條例を制定し又は改廃しようとするときは、当該地方公共団体議会において出席議員の三分の二以上の者の用意がなければならない」というふうな改正をいたしたわけでございます。
  5. 鈴木直人

    鈴木直人君 これはこの前の国会においても大体説明も聞いたのですから、これはこのくらいにして置いていいだろうと思います。
  6. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは次に移りまして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 次に移ります。第七條において、大分県の竹田町長から町村は統合に向うべきものであるから分離に関する規定削除されたい。こういう陳情が出ております。これについて政府委員の御意見如何ですか。
  8. 高辻正己

    政府委員高辻正己君) 分離に関する規定は御承知のように今年の……戦時中の分離問題につきましては又別個に申上げることにいたしまして、一般の問題といたしましては、これは町村を統合する問題につきましては、現在御承知のように行政調査委員会議等におきまして、事務の配分につきまして相当研究をされますので、まあその結果等につきまして更にこれは考え直すのが或いは適当ではないかと思いますのでございまして、只今のところといたしましては、この規定はこのままにして置かれる方がいいのではないかというふうに考えます。
  9. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 御質疑ありませんか。
  10. 鈴木直人

    鈴木直人君 只今委員長から政府提案しておる地方自治法改正案についての予備審査というお話でございましたが、今の審査方向予備審査を兼ねて各府県或いは関係方面個人等から陳情とか、請願とかあつたものも一緒に取上げて、そうしてこれを取入れるか、取入れないかというようなことを附加えつつ審議をするという方針でございますか。
  11. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) そうでございます。先程皆様にお諮りしたのはその意味であります。
  12. 鈴木直人

    鈴木直人君 そうして今のはあれですか、ただ第七條に今の酒井竹田町長からこういう請願ですか、陳情ですか、希望ですかあつたと、それでそのことについての意味が分らないという場合の質疑応答ですか、或いはこれがよいとか悪いとか言うような意見を述べるのですか、どの程度まで行くのです。
  13. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) どういう意味かお分りにならなければ御質問願いたいし、それからこの予備審査をやつておるのでありますから、政府提案以外にこの陳情請願趣旨を取入れて修正をして行つた方がいいのじやないかという御意見があれば御意見を出して頂きたい。その意味であります。
  14. 鈴木直人

    鈴木直人君 そうしますと、政府提案以外に相当沢山の問題がありますけれども、それについてその是非を考えて行くということになると、相当これから審議が長く続くと思うのです。そうかといつて国民希望というものは、相当いろいろ慎重に検討しなければならん問題ですから、政府提案とこれは一緒審議することになると相当時間がかかることになると思いますが、或いはこういう希望事項はこういうものがあつたということで、それに対する質疑ぐらいのことにして、それは残して置いて、そうしてこの国民要望に対してはあともう少し取るものは取る、取らないものは取らないで行くということを検討して行かないといけないのじやないかということを考えておるのです。
  15. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) お答えいたしますが、非常に沢山あるようにお思いになるでしようが、内容を読んで頂くと、問題点は少いのです。その大きな問題は、この前の委員会で問題にしました附則第二條の問題、それからあと極く小さな問題が多いのでありまして、先ず議会事務局の問題、監査委員の数の問題、そういうぐらいのことで、あとはこの陳情請願解決のできた点もあります。そういうので大したことはないと思います。先ずやつて頂いて、そうして非常に疑問が多く出るようだつたら、それは留保する。そういうふうな方向で進んで行きたいと思います。
  16. 鈴木直人

    鈴木直人君 今問題になつておりまする例えば分離に関する規定削除されたいというような点に関しましては、私としては反対なんです。政府意見賛成なんです。併しそういうことを一々申して、それで問題は解決したということで行くか、一応政府答弁だけを、説明だけを聴いて、聴き流してあとに残して行くか、これは取上げるか、取上げないかということを一々決定して行くことになると、相当審議を要しはしないか、こういうことを考えるものですから……。
  17. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) ではこういうふうにしたらどうでしようか。鈴木君は第七條のこういう陳情請願があるけれども、政府委員から答弁があつたように、この第七條削除には反対だ、こういう御提議があつた、外の委員の方々は如何ですか、こういうように伺つて行くことにいたしましようか。こういうように進んで行つたら、割合に簡単だろうと思います。解決は……。これは決めて行くわけであります。問題が多くなれば後廻しにするということで進んで行つて見たい。
  18. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 陳情請願を我々が採択すれば、その趣旨によつて政府提案地方自治法改正して行くか、そうでなく、普通の陳情請願と同じように採択して内閣に送るということだけですか。
  19. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) こういうことになつている。委員長宛というのは正式な手続は要らない、ただ地方自治法審議に資すると考えてよいのです。それから委員長宛でないのがある、これはまだこれから改めて御審議を願うものでなく、すでに審議をして地方自治法改正を今やつておるから留保して行くというので進んで行つたものであります。それで一度処理留保で進んでおる分であります。それでそれを地方自治法改正政府から出て来ましたから、この際考えて見て進んで行こう、こういうわけであります。
  20. 鈴木直人

    鈴木直人君 私の考えですが、政府提案については、これは法律案だからこれは賛成するか、反対するかということで、本当に審議できるのですが、民間意見は今法律案としてはどうかと思うのであるけれども、まあ切なる要望であるから、留保にして置くとかいうような別途の取扱い方というものがあり得ると思う。ところが、この法律案審議一緒にこれを審議されますと、強くこれは反対だということになつたり、なかなか普通の法律案ならこれは意見をはつきり言いまして、そうしてこれは取入れない、取入れるということは言い得るけれども、こういう民間要望は成る程尤もだと思うけれども、今法律案とする場合には採用し難いというものもございますし、あと研究して行こうというものもございますし、別途の取扱にして、そのうちに今法律案にして行つた方がよいというものだけを取上げて、それを法律案予備審査の中に取入れて行つた方がよいような気がする。民間希望を一々法律案の決定と同じようにこれは賛成だ、反対だということは、余りに強過ぎる感じがするのです。そこで法案なら法案だけをやつて、これは第何條ということになつておるけれども、今はこういう意見があつたという程度説明を聴いて、そうして行つて後に、すべての沢山陳情を聴いたうちからこれは尤もだろうというものを取上げるように行つた方がよいのではないか。今採決して行くということになると、ちよつと採決しにくいようなものがあると思いますから、そういうふうに考えたのであります。
  21. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) こういうふうに考えたらどうですか。今直ぐこれを否決とか採決をして、採決し得るものはいいけれども、できないものは留保して進んで行くとか、それからこの修正案の中へ取込んで行くのにはまだ時期が早過ぎるから待とうじやないかというようなものもある。それで行けるわけであります、白とか黒とか決めなくて……。これは今度の政府提案の中の修正としては取入れないで進んで行こうじやないかという御意見も出ると思います。だからより分けてやつて行けば、私は大したことはないと実は思つております。例えば第七條については、先程鈴木君の、これは削除反対だという御意見、或いはそれで皆様の御意見伺つて、或いは留保して置いたらいいじやないかという御意見が出るかも知れない、この修正案には取上げないで行こうじやないかという御意見……。
  22. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今、鈴木さんの言つたと同じ意味ですが、今のようにやつて行くと、陳情請願法律案とごつちやまぜにやつて行くから、第七條を取上げるなら、この政府提案の中に新らしい修正として入れるならあれだが、法律陳情請願一緒にやつて行くとどうも……。
  23. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) そこに誤解がおありになると思う。陳情請願の新たなものは別にしてある。これは今まで出て来た委員長宛のもの、委員会宛のもの、正式に取扱うべきものじやないもの、それから今まで前国会までに出て来たもので留保してあるもの、一度処理が済んでいるもの、そういうものを附加えてやつて行く。尚修正案修正考えて、この点について考えて見るかどうかの問題として挙げてある。
  24. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 そうしますと、今の論点の問題から重要な点は、この法律案修正案としてこの中に入れていいわけでありますね、そういう方向ですね。
  25. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) そういうわけです。
  26. 三木治朗

    三木治朗君 大体はお分りなつたから必要ないかも知れませんが、要するに政府提案法案審議するのであつて請願陳情審議しているのじやないと思う。
  27. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) そうじやありません。
  28. 三木治朗

    三木治朗君 逐條的審議して行く上に、こういう陳情もあつたのだという参考意見としてここに並べてある程度であつて、これを採択するとか採択しないというのじやなくて、こんな意見があるけれども、こんなものは必要ない、これは大変重要なことだからこれはこの際法案を直すべきだという参考の資料だろうと私は考えているのであります。
  29. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) その通りです。
  30. 鈴木直人

    鈴木直人君 そうすると正式に審議に付されて予備審査に付されている政府提出改正案というものの分野だけということになりますね。
  31. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) そういうわけであります。
  32. 三木治朗

    三木治朗君 あと逐條的に行くから、こういうものはこういう意見がある、こういう意見があるということを参考のために聴いて行こうじやないか、ただ予備審査に付されている政府提出改正案、この條文については改正案ありというもの……。
  33. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 予備審査をやつているわけであります。
  34. 鈴木直人

    鈴木直人君 もう一つ予備審査でこの前も何回も説明をいたしてあつたものがある、この條文について……。それを一々全部説明をやつて行きますか。
  35. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) その点、鈴木君はこの前の委員会にお出になつていなかつたと思いますが、実は省くつもりでお諮りしたのですけれども、実は新たに来られた堀君とか濱田君とか、岩木君とか谷口君がおいでになるものですから、やはり一応はやりたいという御希望もあつた。だから簡単に政府委員説明をさして進んで行く、こういうわけであります。(「了承」と呼ぶ者あり)  それでは第七條留保にして、留保と申しますか、この際は取入れないことで進んで御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) ではそういうふうに決定いたします。  十六條、これは政府提出案、これを御説明願います。
  37. 高辻正己

    政府委員高辻正己君) 簡単に御説明申上げます。地方公共団体自主立法重要性につきましては、縷々申上げることもないわけでございますが、その性格に重要な性格を持つておりまするに拘わらず、その施行公布方法といたしましては、昔の方式通り規定をそのまま存置されておりまして、疎漏な取扱をされる憂いもなきにしもあらざる状況に鑑みまして、今回この公布施行、そういう方面手続整備をいたしたわけであります。
  38. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 御質問ございませんか。  それでは次に移ります。二十五條、これは宇治山田市会議長から第六国会請願があつたものであります。
  39. 上原六郎

    専門員上原六郎君) 宇治山田市長請願は、同時選挙規定自治法にあるのでありますが、清水市、富士宮市などにおける県、市の教育委員同時選挙の実例から見て、無効投票なども多く、開票手続も繁雑で、理想的な方法でないから関係部分改正せられたいという請願であります。請願処理としては、その当時採択はしないで留保になつていたものでございます。
  40. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) では政府委員意見を。
  41. 高辻正己

    政府委員高辻正己君) 第二十五條関係施行につきましては御尤もな点も拝承されるのでありまするけれども、選挙制度一般の問題といたしまして取上げるのが適当であろうと思うのでありまして、自治法だけにつきまして、この問題を処理するのはどうかというような気がいたしておりまして、只今としてはこのままにして置きたいと存じます。
  42. 鈴木直人

    鈴木直人君 この問題は、これは選挙の問題ですから選挙法に関する特別委員会方面でも検討を加えられるだろうと思うので、この予備審査においての審査においては、これを保留して置いて頂いた方がいいと思います。
  43. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは只今鈴木君の御意見に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それではそういうふうに取計らいます。  第六十三條、これは都道府県選挙管理委員会連合会選挙に関する問題でありますから、これも只今鈴木君の御意見と同様に取計らいたいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  45. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは七十四條、七十四條は、全国市会議長会から委員長宛に来たものであります。これは直接請求につきまして署名適当数署名所を設けて行うこととされたい。こういう陳情があつたのであります。そういう案も考えられたのでありますが、政府の今提出いたしております改正案につきましては、その制度は採用しない、七十四條の二、三、四の方法でやつて行こう。こういうことに政府考えておるのであります。尚七十四條の二、三、四それから七十五條、これにつきまして政府委員から御説明を求めます。
  46. 高辻正己

    政府委員高辻正己君) 只今お話がありました七十四條の二から数條に関しまして簡単に御説明を申上げます。  地方公共団体の直接請求手続に関する規定整備についてでありまするが、今回の改正案におきましては正しい直接請求住民基本的権利の最も重要なものとして、飽くまでこれを尊重いたしますると共に、他面その濫用を防止するという見地から必要な規定を設けた次第であります。即ち直接請求の書面の効力につきまして、法令違反署名詐偽強迫等に基く署名を無効とする旨の審査基準を明記いたしますと共に、市町村選挙管理委員会署名審査するに当りましては、必要に応じて関係人の出頭及び証言を求めることができることとした上に、署名簿関係人の縦覧に供しまして署名効力が正しく確定されるようにいたしたのであります。又直接請求署名に関しまして暴力若しくは不正の方法を用いたり、又は特殊の利害関係を利用いたしまして、署名及び署名運動の自由を妨害した者、並びに署名偽造増減等悪質行為をした者に対しまして、必要な罰則を設けて、これらの悪質行為の根絶を期することといたしたのであります。尚知事、市町村長の主管に属する事務のみならず、新たに教育委員会公安委員会等の独立の執行機関の所管に属する事務につきましても、住民に対して直接請求権を認め、処務の公正を期し、これらの機関住民に対して直接責任を有する旨を明らかにしたのが只今申上げた七十五條までの立法趣旨に関する内容でございます。
  47. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 御質問はございませんか。
  48. 鈴木直人

    鈴木直人君 この全国市長会議長会申出についての政府説明を聞きたいと思います。
  49. 高辻正己

    政府委員高辻正己君) 署名適当数署名所を設けて行うこととされたいということでございまして、これは只今申上げたような直接請求署名について、詐偽強迫による署名だとか、代筆偽筆等を全く排除するためには、一定の署名場所を設けてやることが適当だということは、一応考えられるところでございます。併しながらこれは市町村に対して極めて大きな財政負担を課することになるという虞れがあるのと、又署名所を設置することに関しましても、その数だとか場所選定等いろいろ困難な問題を伴いますので、現在の情勢では署名の適正を保証するためには市町村選挙管理委員会只今申上げたような審査権を與えまして、不正な手段による署名を無効とすると共に、今申上げたような署名の自由を妨害したものに適当な制裁を科するというような方法から持つて行くより外に、只今のところとしては止むを得ないのではないかと考えております。
  50. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 署名所の問題についてこれまで地方調査に参りますと、リコールの経験を持つた市町村におきましては、どうしても署名所みたいなものを設けてやつて貰いたい、そうでないとリコール請求なり同意を求める者は、個々に戸別訪問をして非常に弊害が多いということが言われておる。費用がかかるというのはそれ程の負担ではないと思うのですが、どうですか。
  51. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今委員長が言われました通り、今政府委員答弁では非常に金がかかるというんだが、それは何か投票所でも新築でもするという考えなら金もかかるかも知れんけれども、大体各地に小学校があり、小学校なら小学校署名所とするなり、例えば適当な店先を借りて署名所にするなりすれば金なんというものはかからんと思うんです。何か今答弁された重要な反対の根拠は金がかかるからというように聞えましたが、金はかからないと思うんですが、その点はどうですか。
  52. 高辻正己

    政府委員高辻正己君) 場所等につきましては、今お話のようにそういう場所を利用することが当然考えられるだろうと思いますが、やはりそれには場所のみならず人的の方面も多少はやはり考えて行かなければならんと思うのであります。施設のみならず人員の配置というようなことも考えられ……。
  53. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 大したことはないじやないか。署名するのはこつちだしね。
  54. 高辻正己

    政府委員高辻正己君) あれこれ費用のかかることは……。
  55. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 金はかからないよ。
  56. 高辻正己

    政府委員高辻正己君) それがまあいかんということにはなるかも知れませんが金がかかるというようなことで、それからもう一つは、只今申上げましたように場所選定等なかなかむずかしい問題がありますので、今のところ……。
  57. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今の答弁は拙劣極まるもので、金がかかるということを固執するからそうなるので、今話したように金はかからない。却つてああいうところに小学校なり店先なりあるんだからそれを借りてやれば簡単なんだ。帳面を持ち廻つて戸別訪問をやるから弊害が多い。投票なんかだつてそうだし、署名するくらい、署名簿を置いて置けばいいんで、女の子でも一人おればいい、それを保管する者がね。
  58. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 国家的に考えても、戸別訪問する方が費用と手数がかかる。
  59. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 何が煩雑だか分らん、煩雑の理由が……。
  60. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 速記を止めて下さい。    〔速記中止
  61. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 速記を始めて。
  62. 鈴木直人

    鈴木直人君 私はこれはいろいろ研究に値いする問題だと思いますから、後にこの改正法案を検計する過程において後日又研究するようにして進んで行つたらいいと思います。
  63. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 只今鈴木君から一応留保の……。
  64. 鈴木直人

    鈴木直人君 留保というか研究……今までのやつはあと研究しないということです。これをこの法案審議する過程においてもう一つ取入れるか取入れないかということをもつと検討することにして留保、こういう意味です。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  65. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) では鈴木君の御意見は御異議ないものとして、七十五條につきまして上原専門員から政府委員質問をしたいと言つておりますが質問を許します。
  66. 上原六郎

    専門員上原六郎君) この七十五條に特に公安委員会というものが入つていないのはどういうわけですか。
  67. 高辻正己

    政府委員高辻正己君) お尋ねの点は極めて御尤もな質問でございまして、従前は「法令又は條例に基く委員会又は委員」ということで実は読んでおりまして、公安委員会を載せなくてもそれで当然入るわけなんでございます。従つてまあ特に載せなかつたということぐらいの理由であろうと存じます。
  68. 上原六郎

    専門員上原六郎君) 若しそれならば九十八條の方に「公安委員会」を入れて、尚「その他法令又は條例に基く委員会」ということが政府案にあるのですが、何か調子が合わないように思うのです。
  69. 高辻正己

    政府委員高辻正己君) これは御指摘の通り、若しそちらに入れておりますることはこちらでも当然には読めるとは存じまするけれども、まあ調子が合わないとおつしやれば実はそれまでであります。
  70. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 今上原専門員意見は七十五條公安委員会が足らないという考え方、これも併せて研究することにいたしたいと思います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 次に七十六條につきまして、宇治山田市会議長、それから市議会議長会富士宮市長から意見が出ております。それは「解散及び解職の請求は有権者の二分の一以上の連署を必要とするよう改正されたい」今の現行法は三分の一なのですが、それを三分の一とあるのを、総数の二分の一と改正されたい。それから「請求原因制限列挙主義を採られたい。」こういうように申しております。これについて政府提出改正案があります。併せて政府委員説明並びに意見を求めます。
  72. 高辻正己

    政府委員高辻正己君) 七十六條の改正只今説明申上げました、七十四條の二乃至四までの規定を、議会解散請求の場合の署名に順応しようというのが改正点でございます。ところでこちらに意見が出ておりまするそのことにつきましては、七十六條の「有権者の二分の一以上の連署を必要とする」ように改正いたしますると、これは投票の結果がやはり二分の一以上ということになつておりまするので、まあ現行法通りにその投票の場合の二分の一よりも少い数にして置くのが、これは理論上当然だろうと考えて、これは改正する必要がないのではなかろうかと存じます。  それから請求原因制限列挙主義を採られたいということでございますが、これは技術的に非常にむずかしい問題がございまするので、これも現行法通りが適当ではないかと考えます。
  73. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) これはどうも理屈から行くと政府委員説明があつたように思うのですが、二分の一以上というと、もうそこで住民投票の半分ですから、これは先ず修正に取上げないことにしたらいいかと思いますが……。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  74. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) ではそういうようにいたします。  次に七十七條改正ですが、政府委員から御説明願います。
  75. 高辻正己

    政府委員高辻正己君) 七十七條改正は、只今まで現行法によりますと、解散投票の結果が判明したときに報告するだけになつておりますが、同時にその結果が確定したときも同様とするという極めて簡単な改正であります。
  76. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) これは大したことではありませんから次に進みます。  七十八條、これは前に関連があります。これは政府から提出されている改正案があり、又富士宮市長から「法定投票数は有権者の四分の三以上の投票がないときはこれを無効とすること。」にして貰いたいというのがございます。これについて……。
  77. 高辻正己

    政府委員高辻正己君) 改正趣旨から申上げますが、七十八條で解散する時期につきまして、「公表の日において」解散するということになつておりましたのでありまするが、その「公表の日において」というのを削除することによりまして、過半数の同意があつたときその日に解散するというふうに改正をしたのであります。それからこの意見につきましては、この場合だけを有権者の四分の三以上の投票がないときはこれは無効とするというのは、外の場合との均衡がとれないことでもありまするし、これは現行法通りがいいのではないかと考えます。
  78. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 御意見ございませんか。これも前のと関連いたしまして、この修正案には取上げないことにいたした方がいいかと思いますが、御意見ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  79. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それではその次に進みます。  次は七十九條に関しまして、全国市議会議長会と並びに富士宮市長から意見が出ております。それは「解散及び解職の請求署名数に達しなかつた場合もその告示の日から一ヶ年間は同一事件で同じ請求をすることが出来ないように改正されたい。」それから、大体まあ富士宮の方も「投票の結果に破れた場合も同一事件により同一の請求をなし得ぬように改正されたい。」ということであります。これにつきまして政府委員意見を求めます。
  80. 高辻正己

    政府委員高辻正己君) 七十九條の改正の御意見解散解職の請求署名数に達しなかつた場合でございまするのと、それから投票の結果に破れた場合も同一事件によつて同一請求をなし得ぬように改正されたいということでございますが、直接請求というものはやはりこれは住民の基本的な意思でありまして、それを特に制限するのは如何なものであろうかと、今回の改正におきましても直接請求権そのものには何ら触れていかないのでありまして、直接請求権の行使の方法について制限をしているわけでありますが、直接請求権自体については余り制限を置かない方がいいというふうに考えて、現行法通りにして置かれるのが適当ではないかと考えます。
  81. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 御異議ございませんか。
  82. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 これはどうですか。やはり一事不再理の原則を取つたのと同じ精神を適用すれば、それは市会議長提案が非常に合理性があると思いますが、同一の事件について、何ですか、それはもうそれを一ヶ年以内と時間的にも制限しているのですから、この改正案が非常に政府答弁よりも私は合理性があると思いますがね。
  83. 高辻正己

    政府委員高辻正己君) 現行法の七十九條におきましては、投票に至りません場合によつては一応の制限があるわけでありますが、この改正の方におきましては投票の結果に破れた場合にというのでありまするけれども、これはやはり繰返すことになつて恐縮でございまするが、一応駄目でありまして、更に住民の意思で面接請求をやろうという場合につきましては、やはり今申上げましたようなことで、制限を置かない方がいいと考える次第であります。
  84. 濱田寅藏

    ○濱田寅藏君 それは御尤もで、私は九州の炭鉱地帯で特にボスの多いところに育つておりますので、大体市町村長なんというものは大概ボスが背景になつているところが多い。非常に圧力を加えて勝つ場合が現在実際においては多いのであります。これをそういう制限をするということは、正しい正当なる主張を一年間も棚上げするというような結果になるかのごとくも考えられますが、これは私の意見ですけれども……。
  85. 鈴木直人

    鈴木直人君 この富士宮市長から来た投票の結果に破れた場合も同一事件により同一の請求をなし得ぬように改正されたい。これは期間がございませんけれども、少くとも一般投票をやつて、そして敗れたという結果があつた場合は、そこの地域内におけるところの投票者の意思というものが一応決定したのですから、それをしも又投票請求がなし得るというのは少しこう民主的でないような気がするのですが、これは何年間とか、半年とか一年とか期限がありませんが、一定の期間は一応敗れたのだから、この期間はやはりその地方の意向が決まつたとして、もうそれがやれない。そうしてまあ一定期間が終つた後においては又感情も違つて来ますから、そういうことが僕は正しいと、こういうように考えますがね。
  86. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) この問題は研究に値いいたしますから一応これも研究のために留保することにいたします。    〔「異議なし」「賛成」と呼ぶ者あり〕
  87. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 次は八十條、八十一條、八十二條、政府提出案の要領の説明を願います。
  88. 高辻正己

    政府委員高辻正己君) これも七十五條の五項にありましたように、長の、解職の請求等につきまして、先程御説明いたしました七十四條の二乃至七十四條の四の規定を、「請求者の署名に」を準用しようという趣旨改正でございます。
  89. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 簡単ですね。次は八十六條、八十七條政府提出案、高辻政府委員
  90. 高辻正己

    政府委員高辻正己君) 八十六條の改正は、只今と同様の趣旨でございまして、副知事以下の解職の請求に関しまして、今回の改正案の条項の準用をしようというわけであります。  八十七條につきましては、これは訴訟の百十八條におきまして、裁判所の出訴期間を一定の期限内に限定をいたしておるのでありまするが、その期限の限定を八十七條におきましても準用しようというのが八十七條改正でございます。
  91. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 次に九十八條、九十九條。
  92. 高辻正己

    政府委員高辻正己君) 九十八條及び九十九條の改正趣旨は、九十八條におきましては、「普通地方公共団体議会は、」「報告を請求して事務の管理、議決の執行及び出納を検査することができる。」というものの相手を選挙管理委員会等に拡充いたしましたのが改正趣旨でございます。九十九條におきましては、やはり議会が一定の地方公共団体の長等の説明を求め、又はこれに対し意見を述べることができるというその範囲を同様に拡張いたしまして、選挙管理委員会監査委員等の機関をそれに列挙したのが改正趣旨でございます。
  93. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 御質疑ございませんか。それでは百二條、これは政府提出改正案があります。それから百二條の第二項に関しまして、全国都道府県議会議長会及び東北七県の自治協議会長たる宮城県知事から意見が出ておりまして、定例会の回数を四回以上と政府案改正するのを止めて呉れ、現行通り六回以上とされたい。それから地方議会は現在は年六回以上となつておるが、実際に適合しないから不急且つ非効率な会議の運営となるから改められたいというのが東北七県の報告でございます。これについて……。
  94. 高辻正己

    政府委員高辻正己君) 私から一応御説明申上げます。百二條の改正理由を一応申上げまするが、これは現在現行法によりますると、普通地方公共団体議会の定例会は、都道府県と言わず、市町村と言わず、いずれも毎年六回以上ということになつておりましたのでありまするが、それを都道府県にありましては、毎年四回以上、こういうふうに改正をしようというのがその趣旨でございます。この開催度数につきましては、いろいろ議論があると思うのでありまするけれども、都道府県の議会の開催状況に照らして考えますると、追加予算なり條例等の場合を議するための議会は、これは別でございまするが、総体六回以上ということになつておりまするために、この回数が多くなりまする結果、この時間とか経費とかそういう方面に無理をするような実情もございまするし、この回数を四回以上とすることにつきましては自治委員会議等にもお諮りをした結果この辺が適当であろうというような意見もございまして、今回の改正には四回以上ということにいたした次第でございます。
  95. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 先程申上げましたように、全国の都道府県の議会議長の方からは六回以上という現行法通りにして貰いたい。それから東北七県の方の知事は、六回以上となつておるのは実際に合しない。不急且つ非効率な会議の運営をやるようになるから、やはり四回と改めるようにしたい。こういうふうな対立的だ意見提出されておるわけであります。
  96. 三木治朗

    三木治朗君 この前の、前会議審議のときは、これは何だか時代に逆行するということを言うたのですけれども、そのときの答弁には、いわゆる臨時の会を開くから運営には差支ない。それから又回数を余計開くということは経費の点でも非常に大きくかかるというような御答弁があつたのですが、私はやはり六回にやるのが正しいと思つております。減らす必要はない。
  97. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 尚附加えて申上げて置きますが、この国会における衆議院の方の修正案では、これはやはり現行通りにした方がいいという意見で進んでおるようであります。
  98. 鈴木直人

    鈴木直人君 これは政府案の第百二條については、勿論今日は決定というわけじやありませんが、相当先のと同じように、留保的な考え方で一つ検討する、こういうことにしたいと思います。
  99. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 今後の検討に俟つことにいたします。
  100. 鈴木直人

    鈴木直人君 政府案。百二條です。
  101. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは次に百四條につきまして、静岡県県の議会議長から、議会に属する予算執行権を独立化されたい。こういう意見が出ております。島根県の議会事務局からも同様の趣旨申出があります。これにつきまして高辻政府委員
  102. 高辻正己

    政府委員高辻正己君) 議会に属する予算執行権を独立化されたいということでございまするが、この予算の編成、執行は、これは一体として、やはり都道府県の一体的事務といたしまして、これを議会側と執行側とに分離するのはいろいろな点におきまして不都合を生ずることになろうと思いまするので、これはやはり現行法のようにいたして置くのが適当ではないかと考えます。
  103. 鈴木直人

    鈴木直人君 この議会に属する予算執行権を独立化せよという意味は、今の政府委員意味とはちつと違うのではないかと思いますがね。これは例えだ府県におきましては各課等におきましては一応或る程度執行権というのか、支出権というのが独立して、一応各部なり、各課に予算が配付されれば、その課そのものが独自で支出できるのです。ところがその議会の予算は、議事課か庶務課が持つておりまして、事務局があるにも拘わらず、一々議事課か庶務課の方に言わないというと、自分の事務局の予算として取つていながら自由にならない。だからして少くとも事務局として一定の予算を取つた限りにおいては、その事務局長自身が或る程度まで庶務課とか、或いは議事課というものの予算の中に組入れられて、その都度行つてお願いして使うのではなくて、事務局長が使えるようにして貰いたいと、こういう意味ではないかと思うのですがね。いわゆる議会というものの執行権というものの別々の執行権という意味ではない。もつと軽い意味ではないかというふうに解釈するのですが、如何ですか。これに例えば監査委員会とか、それぞれ委員会がございますね。選挙管理委員会、そういうものがある。選挙管理委員会選挙に必要な予算としてもうそれに取られておる。取つておるけれどもも現在はその予算を庶務課が持つておる、そうして選挙管理委員会が持つていないから、選挙管理委員会が使う場合にはいつも庶務課に行つてつて使わなければならんということになる。そこでそれはいかんから選挙管理委員会に独自性を與えて貰つて、そうして或る一定の予算を貰つて選挙管理委員会が使うものがあるなら、独自に選挙管理委員会が勝手にやれるようにして自由にして貰いたいという要求、そういうふうな内部の意味ではないかと思うのですがね。
  104. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 鈴木君の御意見通りでありまして、参議院および衆議院に属する予算はその執行権を参議院並びに衆議院の事務局で自由にやつておりますが、その通りにして貰いたい。こういう要求なんです。
  105. 鈴木直人

    鈴木直人君 言葉が悪いんですね。
  106. 三木治朗

    三木治朗君 「に属する」となつておりますからね。
  107. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 「属する予算」ですからね。
  108. 鈴木直人

    鈴木直人君 事務局自身がどんどん使えるようにして貰いたい。庶務課に今予算が行つておりますが、庶務課の予算に組入れないで、事務局の予算にして局長がやれるようにして貰いたい。こういう意味だろうと思います。
  109. 高辻正己

    政府委員高辻正己君) 私の誤解であつたかも存じませんですが、只今のようなお話でございますれば現在の法制上でも支出委任等の方式で支出は可能であると思います。又実例によりますと、そういう行政実例をやつておるところもあるそうであります。
  110. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) これは地方自治法の問題ではなくて、施行の問題ですから、施行法とか、施行令とか……。
  111. 鈴木直人

    鈴木直人君 それに関連して、これは地方自治法の問題として若し取上げる場合においては、議会事務局というものを法制化するかどうかという問題と非常に関連があるのでありますが、これが事務局として法制化し得るならばこれは実際的によいけれども、これを法制化しない場合には、相当実際の面においても困難性があるのではないか。こう思いますから、若しこの自治法において考える場合には、事務局自治法の中に入れるかどうかということで一つ検討願います。
  112. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 只今鈴木君の意見通り進んで御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  113. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それではそれで進むことにいたします。  次に第百十條、百十八條の政府提出改正案趣旨を御説明願います。
  114. 高辻正己

    政府委員高辻正己君) 第百十條について御説明を申上げます。  この準用される規定は、普通地方公共団体議会の臨時会の開会中に急施を要する事件が起つたときは、直ちにこれを議会に付議することができるという件でございますが、その規定特別委員会の場合にも準用しようというのが百十條の規定でございます。  それから百十八條の方は、百十八條所定の場合におきまして、決定に不服があります者が、現行規定によりますと、議会を被告として裁判所に出訴することにつきまして、日限の制限が明文の規定にございませんのでありますけれども、今回その欠陥を補いまして、「決定のあつた日から二十一日以内」という制限を置くことといたしたのであります。
  115. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 御質疑ございませんか……。
  116. 高辻正己

    政府委員高辻正己君) 只今私の説明に誤りがございましたので訂正をいたします。準用の規定は現存の議会に公聴会が開かれるのでございますが、その公聴会を特別委員会も開くことができるというふうに相成つたわけであります。
  117. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 次に第百二十一條。
  118. 高辻正己

    政府委員高辻正己君) 百二十一條の改正理由は、現在の普通地方公共団体議会の議場に出席しなければならない者は、現行法によりますと、その団体の長、選挙管理委員会委員長監査委員等でございますが、その外に更に法令又は條例に基く委員会の代表者又は委員というものを加えまして、そういうものがひとしく議場に出席する義務を課することといたしたのであります。
  119. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 次に百二十三條につきまして、全国市議会議長から意見が出て、「議長会議の顛末を報告する程度に簡易化されたい。」第三項に関連しておりますが、「議長は、会議録の写を添えて会議の結果を普通地方公共団体の長及び都道府県にあつて内閣そうり大臣、市町村にあつては都道府県知にに報告しなければならない。」というのを写を添えないで、会議の顛末を報告する程度に簡易化されたい。こういうことであります。これについて政府委員意見を伺います。
  120. 高辻正己

    政府委員高辻正己君) この現行法規定よりもこれを簡易化しなければならないという積極的理由が明らかでないように存ずるのでありまして、現行法規定でも決して無理ではないようなふうに考えております。
  121. 鈴木直人

    鈴木直人君 これは、恐らく小さい町村等において従来の慣例によつて議会を開いた場合に、顛末くらいを残して置けばいいということで、会議録をはつきり作つて、そうして残して置かなければならんということは煩に堪えないというようなところからではないかと思うのですが、併しながらその実施如何によつては相当議会というものは重要なものでありますから、現行のままで暫くやつて行くということがいいのではないかと私は考えます。
  122. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 外に御意見ございませんか……。それではこれは修正は加えないことにいたします。  次に百二十五條政府提出案について簡単に説明して下さい。
  123. 高辻正己

    政府委員高辻正己君) 百二十五條改正趣旨請願に関連いたしまして、現在の機関の外に教育委員会、その他法令、又は條例に基く委員会又は委員というものを加えましたことでございまして、こういうものを加えた條項が外にありますのと同様な趣旨によつて拡充をして参つたものであります。
  124. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) さつきと同様でありますから次に進みます。
  125. 三木治朗

    三木治朗君 この百二十三條の一項というのがありますが、これはどういうのですか。
  126. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) これは衆議院の方の改正試案でありますので、まだ参りませんから……。
  127. 鈴木直人

    鈴木直人君 事務局を置くという案を決定した場合にこれを入れなければならんということですから、これはあとにして……。
  128. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) ではそういうことにしまして……。  百二十七條につきまして郡山市の和田という人から法務委員長に宛てて意見が出ているのです。それは確定判決により懲役刑(但し執行猶予)となつたに拘わらず、市会議員として表決に参加した事例があるから調査の上処置されたい。これは法務委員長から地方行政委員会の方に廻つて参りました。この委員会におきましても問題にし、政府意見を聴いたことがございます。郡山の市会議員が懲役刑に処せられ、それが執行猶予になつておつたが、それに拘わらず市会議員として市会の採決に加わつておつた。それは裁判所からの通知が正式に指示なかつたということに起因するので、その間に、裁判所の方と地方公共団体の間に何か確実な連絡が必要じやないだろうかということに考えたのでありますが、この点につきまして、もう一応政府意見を聴いて置きたいと思います。
  129. 高辻正己

    政府委員高辻正己君) この事項につきましては、未だ調査の結果は分つておらないわけでありまして、更に調査の結果を調べまして適当な機会にお話することにいたしたいと思います。
  130. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それではこの問題も留保にして次に進みます。百二十八條、これは簡単でありまして字句の整理でありますから説明を求めないで進みたいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  131. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 次は百三十八條、これは都道府県の議会事務局の設置と、その議員を補助機関とするよう明文化されたい、という陳情が全国都道府県議会議長会の名で、御覧になりますように沢山出ております。尚全国市会議長会からも出ております。清水の市会議長からも出ております。十三頁に書いてございますように衆議院の地方行政委員会におきましては、前の国会におきまして改正試案といたしまして、  都道府県の議会事務局を置く。第百五十五條第二項の市の議会條例の定めるところにより、事務局を置くことができる。  事務局事務局長及び書記を置く。事務局を置かない市及び町村議会に書記長及び書記を置く。但し町村においては書記長を置かないことができる。以下の数項を設けよという案がある。この点につきまして政府の方の意見を聴いて置きます。
  132. 高辻正己

    政府委員高辻正己君) 地方議会事務局を置くようにということは、実は私共の方におきましても方々からお話がありまして、特に議会側の要望はよく存じておるのでありますけれども、何分にも行政機構の縮減なり、人員の整理のあとのことでありますので、これを法制化することによつて直接間接機構の膨脹なり、人員の増大なりに影響を来すようなことになりますと、甚だ困るというような見地から、只今のところ事務局の法制化は暫く待つた方がよいのではなかろうかと考えておるのでございます。
  133. 鈴木直人

    鈴木直人君 これはそういう説明はこの前もありましたけれども、相当愼重を要する問題だと思います。まだ衆議院においても現在どの程度まで進んでおるか分りませんが、そういう案がありとするならば衆議院においても愼重に検討する必要があると思いますので、これは一つ研究をして置きたいと思います。お願いして置きます。
  134. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 只今鈴木君の御意見に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  135. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは研究をいたすことにいたします。
  136. 鈴木直人

    鈴木直人君 実はそれと関連して先程三木さんからお話された條文の件も関連してお願いしたいと思います。
  137. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 次に第百四十一條につきまして全国の町村会長代理、それから全国の町村会長から二十三年、二十四年に亘りまして、町村長と都道府県の議員とを兼ね得るよう改正されたい、というのがあります。これについて御意見ございませんか。
  138. 三木治朗

    三木治朗君 この問題は選挙法改正の方にも関係があるでしようから、何と言いますかその決定に俟つように……。
  139. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) この問題は地方自治法改正ではありますけれども、選挙法との関係もありますし、今度の修正には加えないことで進みたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  140. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) そういうふうにいたします。  次は第四十四條、これも字句の整理ですから省略いたします。  次に百四十七條、これは盛岡市会議長からの前の請願でありまして、現在の法令は五大都市を中心に制定され、地方中小都市の実情に副わぬものが多いから、今後は法令の制定に当り地方の実情に副うよう権限の一部を地方長官に委譲を考慮されたい。これは留保にしないで採択にいたしましたから、これはこのままで進みたい。これは修正を加えないものとして進みます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  141. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それではそういうように進みます。  次は百五十條、岐阜市の議会議長からの申出であります。人口十五万以上の都市では保健所その他の施設も道府県から独立しておるのであるから、地方自治法改正して道府県の監督を撤廃されたい。これは地方自治法に関係の多いものであります。
  142. 鈴木直人

    鈴木直人君 道府県の監督を撤廃というのは何ですか。保健所に対する監督ですか、或いは全般的な監督ですか、抽象的で分りませんが……。
  143. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) これは大変簡単で書き方が悪いのですが、こういう百五十條の規定ですから普通地方公共団体の長が国の機関として処理する行政事務については、普通地方公共団体の長は、都道府県にあつては主務大臣へ市町村にあつて都道府県知事及び主務大臣の指揮監督を受ける、こういうふうにあります。ところが市町村にあつては都道府県知事とこうあるのを、人口十五万以上の都市では都道府県の監督を撤廃されたい、結局主務大臣だけにして貰いたいということであります。国の機関として処理する行政事務について……。
  144. 鈴木直人

    鈴木直人君 これは自治体自身の事務でなくして、国が行なう事務地方公共団体の長に委任したわけでありますから、どうしてもその委任した範囲内においてはそれぞれの主管大臣が直接監督するか、或いは府県知事をして第二次的に監督せしめるかということは、これは当然のことでありますが、人口十五万以上の都市については府県知事の監督を除いて直接主務大臣の監督を受けるようにしようというのがこの趣旨のようですけれども、それは少し現在の段階において無理ではないか、いわゆる特別市というような場合においてこれは別でありまするけれども、その他の点においては現在のようにして置いた方がいいのではないかというふうに私は考えます。
  145. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) この十五万以上と限るのが第一頗る不合理でありますし、これについて一応政府側の意見を聞いて置きます。
  146. 高辻正己

    政府委員高辻正己君) 只今のところは特別市は別といたしまして、都道府県一般とそれから市一般というものは特にその間の差等的な取扱が現在ないのでございまするが、これ又或いは地方行政調査委員会議等調査の結果に基きまして、いろいろの自治体の事務とか、組織とかというようなことにでも変更が加えられるようなことがあります。その際には或いは考えられるかも知れませんですが、只今のところ市を二つの分野に分けまして特別な取扱を受けるのは現在といたしましては考慮し難いのではないかというふうな気がいたします。特に人口十五万というようなことでありますが、これは合理的な区分は甚だむずかしいだろうと思いますので、なかなか現行に変更を加えないで置くことが適当ではないかと思うのであります。
  147. 谷口弥三郎

    ○谷口弥三郎君 只今現在でも十五万以上の人口を有する市には保健所は独立さしておるのではなかろうか……。
  148. 鈴木直人

    鈴木直人君 その点は保健所そのものから申しますと十五万以上の都市においては市自身が保健所を持つて、県が持たないということになつておりますから、恐らくそれを標準として十五万以上というような標準を作つたということだろうと思うのです。それでこの保健所自身から見れば又十万以上ぐらいの市に置かして貰いたいという意見が可なりある。十五万では多過ぎる。十万以上ぐらいの都市に保健所を持たしたいというような要求を私は可なり耳にしております。これは別途のものでありまして、これは保健所自体の問題じやないのです。だからこれは別の問題として一つ検討された方がいいのじやないかと思います。
  149. 三木治朗

    三木治朗君 その保健所は大体市の負担においてやつていて指揮監督が都道府県にある。そのために非常にやりにくい面があるやに聞いているのです。従つて十五万以上のと谷口さんのおつしやるように自治的にやるようになれば非常にやりいいらしい。この点は尚相当研究して見る必要があると思う。但し全然市に自由にやらせるというのではなくて、厚生省が直接の一貫した方針に従つて保健衛生を掌るのですから、これは当然の話ですが、都道府県の何と言いますか関與することによつて非常にやりにくいということを聞いておりますから相当研究の必要があるのではないかと思います。
  150. 鈴木直人

    鈴木直人君 そこで私は先程一番先にお聞したのですが、例えば保健所は今度は府県でやる保健所と市でやる保健所に分れた。そうして十五万以上においては県がやらないで市がやるということに決まつたわけです。そうなつた以上は県の監督をなくして十五万以上の市における保健所については、先ず厚生大臣の指揮監督を受けるようにしろ、県の第二次的な監督をなくしろ、こういう趣旨であるか、或いは先程私が質問したように全般的に第二次監督をなくしようということであるかということを申上げたのですが、保健所だけであれば……、私が大阪市に行きましたときにそういう話がありました。大阪市は保健所を持つているけれど、実は府の監督を受けておる。それでこれは市自身が保健所を持つているのだから、これは直接厚生大臣の監督を受くべきであつて、府の第二次的な監督は排除して貰いたい、こういう意見があつたのですが、これは保健所自体の監督に関する問題だと思う。ということであれば、これはもう少し検討して見たいと思います。
  151. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) ここには原文がありませんからはつきり分りませんが、「保健所その他の施設も」とあるのです。だから保健所だけの問題ではないとこう思うのです。十五万以上の都市で普通地方公共団体の長、つまり市町村長が国の機関として処理する、事務については、こういう意味だろうと思うのですが……。
  152. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 これは特別市制のようにしろというのではないのですか。
  153. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 国の機関としてやつている県についてはそういうふうにして呉れ、そういうわけなんだろうと思います。尚これはそれでははつきりしませんから留保にして次に進みます。政府もこれは考えて頂きたいと思います。  次は第百五十五條、百五十六條について一応説明願います。
  154. 高辻正己

    政府委員高辻正己君) 第百五十五條は長がその権限に属する事務を分掌させるために條例でいろいろな支庁とか支所とかの機関を設置することができることになつておりますが、その他に更に出張所、民衆の便宜のための出張所を設け得る途を開いたのが百五十五條の主眼でございます。それに関連して若干の改正を施しております。  百五十六條の方は現行規定によりますれば、地方公共団体の長は法律の定めるところによつて保健所その他の行政機関を設けることができるとなつておりますが、法律の外に條例の方でもそういう機関を設けることができるようにその点を明らかにした次第であります。
  155. 鈴木直人

    鈴木直人君 実はこの前私と島村君が中国、近畿を視察しましたときに、二、三の町村から、今度地方出張所と言うのですか、市町村の出張所というものができるようになつた。そこで出張所というようなことでなくて、むしろ区長というものが可なりあつたと思う。やはり各区の区長というものがあつて、これはまあ大阪のような大きいところには区長というものがありますけれども、各部落ごとに区がありまして、そこに区長というものがある。そういうふうな、いわゆる出張所を設けるのならば、むしろ区長というようなものを置いて貰つた方がまだ非常にいいのだというような意見が可なりありましたのですけれども、それについての政府の御意見も聴いて見たいと思つているのです。
  156. 高辻正己

    政府委員高辻正己君) この区長というものでございまするが、この区長に一体どの程度の仕事をして貰うことといたしまするか、そういうことと関連してこれはいろいろな意見を申立げることになると思うのでありますが、まあ現在の行政なり、その執行なりから申しますると、窓口事務と言いましても、そうやはり簡単なというわけにも参らないものがあろうかと思いますので、やはりこれはまあ名称の問題になるかも知れませんけれども、今度の改正案におきましてのような出張所のようなことで事務取扱をして行くのが適当であろうと思うのであります。
  157. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それから地方自治庁にお尋ねして置きますが、宮崎県におきましては、昨年の県会におきまして地方事務所を全般的に廃止をして、高千穂地方だけに市長ですかを置いたということですが、外に各府県にそういう例がありますかどうか。又それについてどういう見解を持つておりますか、如何でございますか。
  158. 降矢敬義

    説明員(降矢敬義君) 宮崎県の只今の御質問でございますが、これは四月一日から実施することになつております。まだ実施期その他については考えておりません。又二、三の、特に香川県というような、県庁に至る距離が極めて近いというようなところでは、そういう場所の県会では地方事務所を廃止しようという意見が非常に強く出ておるということは聞いておりますが、一般の県ではやはり現状で、むしろ地方事務所の長の権限を強化して、できるだけそこに権限を委譲するという方向で進んでおるような次第であります。
  159. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 御質問ございませんか。それでは高辻政府委員はGHQに出頭のため退席を許しましたから、地方自治法の一部を改正する法律案予備審査はこの程度で今日は打切りにしたいと思います。   —————————————
  160. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 次に地方税法の一部を改正する件につきまして、衆議院の方で今法律案を立案中でありますので、その説明を聴取して置きたいと思います。これは実は予備審査になつてから御審議をお願いするつもりにいたしておりましたが、関係方面との連絡の関係でなかなかそう行きませんので、而も入場税の廃止、軽減、不動産取得税の廃止は三月一日からできれば実施をいたしたい、こういう事情がございますので、今日は行政調査の一面といたしまして、衆議院の只今立案をされつつある法律案につきまして、説明を予め伺つて置きまして、できれば月末までにこの法律ができ上るように皆様のお取計らいを願いたい、こういうふうに思いますが御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  161. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは衆議院の中島委員長から、地方税法の一部を改正する法律案只今御立案中であられますが、その内容につきまして、御説明を承つて置きたいと思います。では中島委員長説明を願います。
  162. 中島守利

    ○衆議院議員(中島守利君) 極く簡単に要項だけ申上げまして、尚御質問がございますればそれにお答え申上げます。  入場税の只今の百分の百五十という率は非常に高率であるという議論は、御同様に何とか研究したいと考えている立場にあります。で、今回の地方税法はまだ提出になりませんが、提出さるべき地方税法には大体において百分の百に入場税を低下せしめて、そうして三月一日から施行するという案でございます。ところが御承知のごとく地方税法は未だに国会提出になりません。政府の計画しておりまするような三月一日の実行は困難であります。私共はかように一般要望しており、又当然現在の国情から行つて、入場税を引下げてやらなければならないと考えますので、少くとも三月一日にこれを下げたいと考えまして起案をいたしました次第であります。大体この法律案は衆議院の地方行政委員会提出において、最近にこれを上程するつもりでおります。この内容はこれまでは入場税が市町村及び府県がそれ相当の額において分割して徴収しておつた、これを今度の改正される地方税法の趣旨並びにシヤウプ博士の勧告によるように、都道府県税一本に改めるということがこの第一であります。  第二は只今申上げましたように、入場税の賦課率を、百分の百五十を百分の百に引下げるということ、それから博覧会場、展覧会場、遊園地、その他これに類する場所に入場する者、又は運動競技で学生生徒、若くはその遊戯をなすことを業としない者の行うものについて観覧のため競技場に入場する者から料金を徴収する場合においては、賦課率を百分の四十ということに引下げたわけであります。  第三は不動産取得税及び同附加税を廃止すること、これを三月一日から廃止したい。これはシヤウプ勧告によりましても廃止することになつておる分でありまして、これをやはり政府案としては三月一日から廃止することになつておるのであります。これもこの際廃止する。続いて船舶税、自動車税、電話税、漁業権税及びこれらの附加税、並びに舟税、自転車税、荷車税、及び金庫税について、その取得に対する課税をこれも全部廃止することにいたしたいと思います。(「三月一日から廃止するのですか」と呼ぶ者あり)三月一日から廃止しようとする案であります。これが大体私の委員会において提案しようとする法律案の要項であります。この際もう一つ申上げて置きたいのは、大体入場税のごときものは、都道府県は三月一日から三月三十一日の分は四月にこれを徴収しまして、二十五年度の収入になつておるのであります。そういうわけで地方財源に及ぼす影響はないのであります。これは二十五年度の分であります。そういうことを考慮しまして、この法案提出することになりました次第であります。どうぞ、当参議院の委員会においても是非これに御協力を願いたいと存ずる次第であります。
  163. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 只今の御説明につきまして、御質問ございませんか。
  164. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 地方税法の改正案は目下吉田民自党内閣においていろいろ考案せられておるのだと思うのでありますが、衆議院の地方行政委員会委員長の中島さん初めやはり民自党の方が多数で、絶対過半数の多数を占めて恐らく構成せられておると思うのでありますが、政府と衆議院の地方行政委員会とは政治的には不可分のものだと考えられるのでありますが、特にそんなにお急ぎになつて政府から離れて政治的に不可分であるところの衆議院の地方行政委員会委員長及び委員会の全体の意思が独自的に国会提出案としてこういう案をお出しになるという理由が、少し呑み込めないのですが、それについて少しはつきり御答弁を願いたいと思います。
  165. 中島守利

    ○衆議院議員(中島守利君) お答えいたします。私共衆議院の地方行政委員会政府との関係は、さように密接なものではないと思つております。私共は国会の建前においてすべての国政を審判しようとしておるのであります。強ち政府の意向に従つてすべての問題を処理しようとは考えておりません。現に政府案に至つては衆議院の地方行政委員会ではたびたび修正をしておるのであります。只今でも地方自治法の一部を改正する法律案のごときは、政府或いは党との関係において解決せずにおるような事情であります。私共は国民の代表として自分の信念によつて政治を処理しようと考えておるものであります。
  166. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 形式的には中島委員長のおつしやることはよく分るのですが、併し実際上そんなに力み返つてまで、……中島さんが委員長になつていらつしやるのは、衆議院においては特に委員長は與党の者がなるということになつておるんだが、それ程独自的に力み返つてこの提出をしなければならん程の重要性がどこにあるかということが、僕にはどうもよく分りかねるのですが、例えば博覧会の入場税のごとき随分、博覧会の入場というと如何にもフエヤーなようでありますが、博覧会が各地において行われておるのが、博覧会屋というような言わば地方のボスのようなものがそういうものを主催して、金儲けや利権漁れのためにやつておるというような噂も随分立てられておるのでありますが、そういう博覧会の前売券のようなものが随分、もう数ケ月前から、額にすると相当な額のものが前売りせられておると思うのですが、そういうのがこの四月一日なら四月一日から政府提案地方税法の改正が成立して実施されるといたしまして、三月一日と一ケ月なら一ケ月、或いは五月から実施されるものとすれば二ケ月というように、一ケ月や二ケ月の実施期を早めてそういうことをおやりになるのは分らないし、特に今の博覧会の前売券なんかの、まあその前売券には現行法に基くところの入場税が賦課されておると思うのですが、そういうことはどうなるんでしようか。その差額やなんかはお返しになるんですか、一々……。
  167. 中島守利

    ○衆議院議員(中島守利君) 吉川委員のお尋ねでありますが、この法案は一体が大体第六国会委員会案としてほぼ議決の形を取りまして、そうしてその筋の了解を求めたのであります。遂にこれが了解を得るまでに行きませんので、その頃からこれはありましたわけであります。この外に、演劇を七割に下げるというのはこれに附いておるのであります。今回も第一回の草案としては演劇、舞踊、音楽、そういうものは七割に下げるという案をまとめたのでありますが、遂にこの分に対しては了解を得ません。で、只今博覧会場のお話もありましたが、そういう意味合は少しもないのでありまして、私共は純心に博覧会、展覧会のようなものも前から、文化国家としてこれを助長することが適当であろう。百分の……高い高率を以てこれは扱うべきものでないと考えておるのであります。吉川委員の御質疑のような博覧会にいかん点もあるかも知れませんが、これは又別に処理するより仕方がないと思います。
  168. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 今中島さん、或いは中島さんの御所属の民自党の、衆議院の多数党の議員諸君が、そういう博覧会屋とか利権漁り等、この入場税の問題と関連あるというような失礼なことは申上げておるわけではないのでありまして、そんなことのないことは勿論私は固く信じておるのでありますが、現在すでに各地におきましてそういう博覧会屋が博覧会の開催をこの春に計画して、数ケ月前から現行法に基くところの入場税によつて相当多額に上るところの前売券を売つておるのです。その売つておるところの人がこの改正案が成立したときにおいて、減税になつたのでありますから、この前売券を買つた人に対して拂戻しをしなくちやならんことになると思うのですが、そういうことについてはどういう手続においてその拂戻しをせられるのであるかどうかということをお尋ねいたしておるのでありまして、そういうことについての具体的なあなたの方の御見解をお尋ねいたしたい。あなた或いはその他の民自党の衆議院議員の方が、博覧会屋の利権漁りにお関係あるというようなことは決して意味して御質問しておるのではないのでありますから、改めて質問の点を誤解しておられるようでありますからお伺いします。
  169. 中島守利

    ○衆議院議員(中島守利君) 前売りに対しましては、前売券が観覧料と入場税を含んでおるとはつきりしておる分は、これは当然入場税が下つたのですから返さなければならんと思います。そうでない分はこれは相互の間に解決するより仕方がないのじやないか。私共は前売券の実情は噂には聞いておりますが、併しよく知つておりませんから、この三月一日から下げるという案は、実際から言うと、政府案でも三月一日からこれを下げるという案ができておるのであります。只今申上げたようなわけで、三月一日に実現ができないという結論になつたわけであります。国会提案として一日も早くこういうものの処置をいたしたいと考える次第であります。
  170. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 私はどうも中島委員長の御答弁ではつきりしないのですが、そうした多額の恐らくは数百万円或いは数千万円、現行法によるところの入場税の差額の部分のものがある程私は前売券が売られておると推察するのでありますが、それを購入者に一々拂戻すということについての手続が、どうも中島さんの御答弁では明確でないように考えるのであります。特に先程申しましたように、政府が入場税の減額改正というようなことをも含めて、鋭意研究調査して立案いたしておりまするのに、政治的に不可分であるところの民自党の絶対過半数を占めている衆議院の地方行政委員会及び委員長が、こういうことを急いでお出しになる理由は甚だ了解できないような気がするのでありまして、こういうときにおいてこそ参議院は二院制の立場において、そういう衆議院の行動に対して十分批判的な立場を持つてお臨みになることを議員諸君に私は期待するのであります。
  171. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 只今吉川君が言われた点に私は関連するのですが、この入場税を引下げることは、従来公聴会等に徴しましても、今度の改正の百分の百乃至は百分の四十でも入場税としてはまだ高いのですが、今吉川さんの言われたように博覧会でも音楽会でもいろいろな入場券を前売りしておるのが多数現在ある。それをこの三月一日から実施した場合、さつき縷々吉川さんから言われましたように、不当なる所得を特定のものがやるという結果になることは事実です。その対策はどうするのかということは甚だ重要な問題と思うのですが、その点財政部長が来ておりますから、財政部長からもそうした場合にその対策はどうするのかということを私は明確に答弁して頂きたいと思います。
  172. 鈴木直人

    鈴木直人君 私もその点について考えておつたのですが、衆議院の案においてはこういうものをいわゆる経過的規定として附則か何かに規定されておるのかどうかということを実はお聴きしたいと思つたのです。そうしませんと、法律は三月一日から入場税は下つた、ところが前売券が沢山あつた。恐らくその前に買つた人達は、入場するのは三月以後ですから、そうするとそれを返せという問題が事実上出て来ると思うのです。そこでそれを法律的に例えば立法的に考える場合においては、経過的に、例えば前売券等によつて三月一日以前においてすでに売出してしまつたものについては、その税は従前の税によるのだというようなことにするならば、その規定がいいか悪いかは別として、法規的には解決すると思うのです。従つて三月一日以前において売つてしまつたものを、価格差補給金といいますか、そんなものですが、そのものをはつきり調べて、そうして売つたものは税として、その博覧会なら博覧会の方面から、前の率で以て百分の百五十で取るというような法制的措置をとつて置くということが一つであるし、そうでなければ附則において、前売券等において売つておつたやつは返さなければならんというようなことを作るとか、何かそういうふうな経過的な規定を作つて置かないと、これが実施の過程において非常にむずかしい問題が起ると思うのです。それでそういうふうな規定がそれに附随されておるのかどうか、それをお聴きしたいと思います。
  173. 中島守利

    ○衆議院議員(中島守利君) その点は、私は入場税の方も同じことだろうと思うのです。前売りの入場券、やはり本当に売つておるわけですから、大体私共から申せば、入場券の前売りということは、どちらかというと、これは相互の関係でありまして、一体が入場するときに入場料を拂うという建前を、前売りを買うということは、一つは彼らが抽籤やなんかで一つの射倖心を起すいい機会にして前売りをしておるわけでありますから、こういう問題まで立法府で取上げる必要はないような気持を私は持つております。併しこれは私の卑見であります。この問題に対しては、三月一日の施行に対してそう急ぐことはないと吉川委員はおつしやいましたが、私共から言いますと、かようなものは健全な意味国民娯楽でありまして、競馬や競輪のようなものに成るたけ人が集まらないようにしたいような気持もあります。かような建前から大衆的の娯楽として、一日も早く料金を引下げまして、そうして現在より幾分でも一般大衆を健全な娯楽の方向に転ずるようにしたいという気分もありますので、この点においては急いでどうという考えはありませんが、少くも一日も早くかような馬鹿な入場税のようなものは引下げをやることが、私共の当然な義務だと私は考えて、三月一日というのを急いでおるような次第であります。他意はございません。どうぞその点は御了承を願いたいと思います。
  174. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 西郷君の質問に対して答弁を願います。地方自治庁側は、入場券の前売りに対して、どういうふうな措置をとる考えでおるのか。そういうことは内閣として考えていないのか。衆議院の案が国会を通過して法律なつたときに、前売券の措置はどういうふうに考えておられるのか。つまり言葉を換えて言えば、政令によつて拂戻しというようなことを規定するつもりにしておるのかどうか、そういうことを合せて御答弁願いたいと思います。
  175. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 国会の方の法律案がどういうふうに御決定になりますか存じませんが、その法律案が決定せられましたならば、その施行の担当の責任を持ちます地方自治庁といたしましては、その法律の御趣旨に従いまして、それが円滑に施行せられるように行政府としては責を果したいと思つております。従つて法律内容の如何によりまして、それに対する対策も違つて参ると存じますが、法律に書き足りません点がございますならば、それは條例におきましてこれに対応するような副立法的な措置も可能でございます。国会の御決定になりました法律施行につきましては心配がないようにいたしたいと考えております。
  176. 谷口弥三郎

    ○谷口弥三郎君 只今の入場税がこれまで非常に高過ぎる、従つて何とかしてもつと下げてやることは文化国家をつくる全体の希望を満たす上において極めて必要であるというように考えておりますので、或いは百分の七十ということになることは非常に結構なことであると思いますし、又これは一日も早く実施されることを大いに希望いたしますが、先刻吉川委員の言われましたように、前売券に対しましては、何とかの方法を以てこれを前買うた者に対して余り損害にならんように何かの方法を講ずるということの條件さえあれば私共は結構なんじやないかと思います。
  177. 濱田寅藏

    ○濱田寅藏君 私も谷口委員の御意見賛成でありますが、買うた者は、買つたのでありますから、不当な収得をする主催者側からとるという一つの條件附、そういうことで、同じことでありますが、精神は不当な所得をするということを防止しなければならんと思うのであります。その点中島委員長希望を申上げて置きます。
  178. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 外に御意見ございませんか。
  179. 鈴木直人

    鈴木直人君 更に私はこの法案で憂えておるのは、入場税が非常に下つたことは非常に結構ですが、例えば百分の五十が下つたとしますれば、その百分の五十の部分を従来の業者がその分を値上げしてそうして実質的には主催者を益するということになつてしまいはしないかということを非常に憂えるものです。この目的は立案者の衆議院で考えられた通りに、やはりそれに入場する大衆に安く見せるということが目的なのでありまするから、飽くまでもその入場税が下つたという恩恵は一般の入場する人にそれが均霑されるように、業者の利益となつて、それが実質的には、値上げにはならんけれども、百分の五十というものは実際においては業者が段々とその分を食込んで行くということになることを憂えますから、この点を十分国民にはつきりさして置く必要があるということを感じておりますから、その点をお聞きしたいと思います。
  180. 中島守利

    ○衆議院議員(中島守利君) 只今鈴木委員からお尋ねのことは、誠に御尤もで、私共もかように入場税を引下げましたために経営者が利益を得るということは反対であります。只今までの経過によりますと、大体私は大衆に入場料を下げると思つております。入場税だけは引下げると私は見ております。実際は映画なんかでも今年は昨年より約四割から五割入場者が少いのであります。経営者の方でも全く困つておるような実情であります。この機会に入場税が下りますれば、入場料と併せて一般の大衆に私はそれだけ軽くするものと考えております。これは具体的なことはないでありますが、各映画業者から陳情に来ましたり、或いは各方面の実情を調べました私の認識だけでございますが、必ず私はこの際は入場税だけのものはすべて引下げると見ております。
  181. 鈴木直人

    鈴木直人君 それから念のためにもう一つお聴きしますが、今の衆議院の法案だけの條文によつて、こういう私が読上げるようなものが含まれておるかどうか、例えば「専ら交響楽、器楽、声楽等の純音業を研究発表する会場に鑑賞のため入場する者というものが百分の四十というところに解釈上含まれておるかどうか、その解釈を一応お聴きして置きます。
  182. 中島守利

    ○衆議院議員(中島守利君) 大体参議院で御計画になつておるように拝承しておりまする只今の交響楽その他の音楽を研究発表する会場に鑑賞のために入場する者というのは、実は私共の委員会においても無論異存はないことであります。ただこれを……。
  183. 鈴木直人

    鈴木直人君 今の文句の中にこれが含まれて解釈されるか、その点……。
  184. 中島守利

    ○衆議院議員(中島守利君) されません。別でございます。
  185. 鈴木直人

    鈴木直人君 若し参議院がそういうことについて修正をしたような場合においては、衆議院の委員長としてどういうお考えでしようか。
  186. 中島守利

    ○衆議院議員(中島守利君) 無論賛成でございます。只今申上げた通りでございます。委員長だけじやなく、委員も皆賛成の空気が濃厚であります。
  187. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 今日は予備審査でございますので、一応行政調査として衆議院の考えておる法律案内容について説明をして貰つたのであります。尚この際この委員会としてお諮りいたしたいのは、先程鈴木委員から中島衆議院の委員長質問をされました点に連関いたしますが、衆議院の案は現行法の七十六條につきまして、入場料の百分の百五十のを例外規定として、「展覧会場その他これに類する場所に入場する者又は運動競技で学生、生徒若しくはその競技をなすことを業としない者の行うものについて、観覧のため競技場に入場する者から料金を徴収する場合においては、賦課率は、百分の二十、」つまりこれが附加の方が四十ありますから、百分の六十にすることになつております。この展覧会場その他これらに類する場所というのは、前の国会におきまして当委員会修正案を出したのであります。それは便宜衆議院の方に、このときも急ぎましたから織込んだのでありますが、元は運動競技だけしかなかつたのでありますが、ともかくこの委員会が第四国会でございましたかに、展覧会場その他これらに類する場所に入場する者も、文化的な見地から、この入場税を下げることにこの委員会でお決めを願つた、それを織込んだのであります。そこへ持つて来まして今度は、衆議院の方では、先程説明がありましたような博覧会場と遊園地が加わつたのであります。「博覧会場、展覧会場、遊園地その他これらに類する場所に入場する者、又は運動競技で」云々と、それを賦課率を百分の四十とするということにいたしまして、提案をしようとしておるのであります。併し考えますのに、この我々が前に修正をした展覧会、即ち美術と同様に、この純音楽と申しますものは、国民の情操を高め、大なる文化的公共教育的使命を持つものでありますから、鑑賞のためにその研究発表会場に入場いたします者に対しましては、この博物館や、美術館や、展覧会や、遊園地等に入場する者と同様に入場税を軽減する必要があると、こういうふうに考えまして、そこで当委員会の御賛成を得まして衆議院の提出します法律案修正案といたしまして、今お手許に廻しましたように、この「遊園地その他これらに類する場所に入場する者」の下に、「専ら交響楽、器楽、声楽等の純音楽を研究発表する会場に鑑賞のため入場する者。」これを加えまして、この純音楽を美術その他と同様に取扱うことが必要だと、こういうふうに考えたのでございます。この点につきまして皆さんの御意見を承わりたいと思います。
  188. 濱田寅藏

    ○濱田寅藏君 誠に結構なことでありますが、これを拝見しますと、これに舞踊の発表のことが明記してないのですが、舞踏の発表会もしばしば行われておりますし、これも別に営利的なものではないので、これを書いてないと、又実際税金を取る場合に、書いてないから取上げるということになりますから、できれば舞踊発表も挿入されたらどうかと考えるのでありますが……。
  189. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) お答えいたしますが、実は衆議院の案におきまして、初めはこの音楽も一応取入れまして、一般の課税を百分の百といたしますが、入場税、課税を百分の百といたしますが、併し軽減すべきものとして、「演劇(歌舞伎、新劇、歌劇、人形浄瑠璃、能楽、舞踊、寄席、その他これらに類するものを含む)音楽演奏会、その他これらに類する催物を行う場所に入場する者については賦課率を百分の七十とする」とこういたした。そうしてその次に「博覧会場、展覧会場、遊園地、その他これらに類する場所に入場する者、又は運動競技で学生、生徒若しくは、その競技をなすことを業としない者の行うのについて、観覧のため競技場に入場する者から料金を徴収する場合においては、賦課率は百分の円十とする。」とこういうふうに二通りに分けたところが、後の方は〇・Kが得られる手順になつたのでありますが、この演劇、音楽演奏会の百分の七十の方はいかんということになつたのであります。そこでこの百分の七十の場合におきましても、私共はこの音楽演奏会、純音楽の演奏会につきましては百分の七十でなくて、百分の四十の方に入れる必要がある、こういうふうに信じまして、衆議院の方とも連絡願つておつたのでありますが、今おつしやる御意見通り、我々と雖もいわゆる西洋音楽につきましては、バレーとか、それから歌劇とか、そういうものまでも入れたいのではありますけれども、今〇・Kが得られなかつた。それも考えまして、そうしてそういう踊り類みたいなものは入れないとしたのであります。そこでまあこの外にバレーも入れて呉れとかいろいろの御意見は出るのは御尤もと思います。併しまあ一応はこのくらいの程度にして置きませんと、なかなか関係筋がむずかしい、こういう見地に立つております。
  190. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 今のですね、音楽会やなんかはできるだけ減税するというような先の案ですね、お読上げになつたのは……。それなんですが、この委員会、私もときどき、欠席しますから何ですが、委員会で全員が賛成してお決めになつた案なのか、或いは委員長の岡本私案という個人のお考えなんですか。どちらなんですか。
  191. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 只今のところは岡本私案で〇・Kを取りに出してあります。それで皆様の御賛同が得られればですね……。
  192. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 それは岡本私案であれば岡本私案としてやはり文書として皆にお配りになつて……。
  193. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 配つてあります。
  194. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 そうですが。そういうようにして頂きたい。  それからあなたのお話の入場税が下がることは大賛成なんですよ、谷口さんがおつしやるようにですね。ただ併し専ら交響楽、器楽、声楽というように限定することはどうでしようかね。これはいわゆる高等的な、インテリ趣味的な一つの見解であつて、それに反対する大衆の見地からすれば、やはり映画というようなものもそれに劣らないところのやはり純粋芸術だと考えているでしよう。或いは歌舞伎にしたつて、吉右衞門や、猿之助の芝居にしても、或いは文楽の人形浄瑠璃にしても、能楽にしても、これはやはり何か器楽、声楽、純音楽というようなものと別個の芸術的なものであるとかいうように僕は考えていないと思うのです。而もそういう民主的でない、非常に高等的な、インテリ的な意見は少し再批判を要するのじやないかと思うのですけれどもね。
  195. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) その点についてお答えしますがね、それも入れたいのですけれども、それは〇・Kが得られないのです。だから七十にすることすらできない。だからそれは持出しても駄目だという見解の下にこの案は立つているのです。その百分の七十にすることすらできない。百分の百にそれはしなけりやいけないと言われているものですから……。
  196. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 それから中島委員長に私が質問しました博覧会の入場税というのは、非常に多額に私は出ていると思うのです。で、これの減額部分を買つた人に還付するというようなことを、まあ濱田さんがおつしやつたように、入場料をそれだけ上げてごまかすようなこともするだろうし、それから事実前売券を買つても全部の人が行くわけでなしに、行かない人が相当……、義理や何かで買わされて行かない人が沢山あるだろうと思います。これを返付するということについての厳正なる、やはりこれが完全に行われる規定というものをどうしても設けなければいけないと思いますが、それを成文化することについて非常に技術的に考えてやつて行く必要があると思いますがな。そういう成文も一つ修正案のようなものを修正文をここに入れるならば、一つ法制局あたりに願つて、皆さんその趣旨に御賛成であれば案文を一つつて委員長のお手許に法制局と御相談の上、我々の手許に出して頂くようにしたいと思いますが……。
  197. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それではお諮りいたしますが、問題は二つに分れて参りました。それで僭越ですが、私が発議者となつてお諮りをいたしておりますお手許に差上げました修正案につきまして御異議ございませんか。
  198. 濱田寅藏

    ○濱田寅藏君 今私は異議があるかのごとく申しましたが、できれば例えばこういう場合があるわけです。小さな講堂を借りまして専門の舞踊を研究しておる人が研究会をやる。そういう場合には全然成立たん。殆んど税金を出してはやつて行けない。それでもう一応の努力を加えて頂きたいということを申添えて私は賛成いたします。
  199. 林屋亀次郎

    ○林屋亀次郎君 岡本さんの私案に私共賛成でありまするが、只今濱田さんの言われたごとく、舞踊、能楽なんかは相当ある部分では研究をしておられるのですが、それでも税金を取られるのですから、委員長としてはいま一応向うに対して御努力を願いたいと思うのであります。それを條件として私は賛成をいたします。
  200. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 他に御異議ございませんか……。  城君から委員外の発言を求められておりますが、許すことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  201. 城義臣

    委員外議員(城義臣君) 只今審議中のこの問題ですが、濱田委員からも御指摘がありましたような点について、私も是非委員長並びに委員諸君の御検討を是非お願いしたいと思いますのは、この舞踊というものがいわゆる踊りというようなふうに……大和言葉でいいますと、終戦後のあの廃頽的な、敗戦踊りというようなものを我々は観念的に連想いたすのではありまするが、併しながら純粋の芸術舞踊というものは、いわゆる我々が極めて常識的に考えている踊りというものとは全然その趣を異にしておることは申上げるまでもないことであります。従いまして私は皆さんに是非御配慮を頂きたいと申上げる点は、成る程GHQ側の〇・Kの関係があるという岡本委員長の御配慮には私共も御尤もだと敬意を表するものではありまするけれども、理論的に申しましてもこの芸術舞踊というものは純粋の音楽というものと切離されたものではあり得ないので、あつて、むしろ純音楽こそは芸術舞踊の一パートである、こういうふうに考えますと、決してこれだけを中に入れることが、理論的にも実際お互いの生活環境から考えまして見ても、著しく矛盾があるというようなことには納得できないのであります。従いまして今回のこの衆議院案の地方税法の一部を改正するという法律案について、できれば是非そういうふうな芸術舞踊もこの中に含めるという意味で御決定が頂きたいということを重ねてお願いを申上げると共に、若し事務的に時間的にいろいろの事情があるならば、四月一日に全面的にこの地方税法の一部を改正する法律案というものが決定されるときには、是非とも参議院の皆様方の良識によつてこのことが実現できますように御配慮頂きたいということをお願い申上げまして、私の発言を終りたいと思います。
  202. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止
  203. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) では速記を始めて下さい。それでは僭越ですけれども、私の発議いたしました修正案提出することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  204. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) さように取計らいます。尚吉川委員から入場券の前売につきまして、これを善処するべき附則的の規定が必要だという御説は、皆様御一同御異議のないようでございますから、これは早速吉川委員研究をお願いいたしまして、この委員会にお諮りすることにいたします。それではこれで散会いたします。    午後四時九分散会  出席者は左の通り。    委員長     岡本 愛祐君    理事            吉川末次郎君    委員            三木 治朗君            堀  末治君            林屋亀次郎君            谷口弥三郎君            西郷吉之助君            鈴木 直人君            濱田 寅藏君   委員外議員            城  義臣君   参議院議員    地方行政委員長 中島 守利君   政府委員    地方自治政務次    官       小野  哲君    総理府事務官兼    法務府事務官    (地方自治庁連    絡行政部長法制    意見総務室主    幹)      高辻 正己君    総理府事務官    (地方自治庁財    政部長)    鈴木 俊一君   事務局側    專  門  員 上原 六郎君   説明員    総理府事務官    (地方自治庁連    絡行政部行政課    勤務)     降矢 敬義君