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1950-02-17 第7回国会 参議院 地方行政委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年二月十七日(金曜日)    午後一時三十八分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○地方税法改正に関する件 ○標準義務教育費に関する件 ○地方自治法の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○地方自治法付則二條改正に関する  件   —————————————
  2. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) これより地方行政委員会を開会いたします。  議題に先立ちまして申上げたいことがございますが、それはやがて政府から提出になります地方税法改正法律案、これは二月二十日頃までには提出の予定と聞いておりましたが、未だに提出がありません。然るにその改正の一部であります入場税を減ずる件、それから不動産取得税を廃止する件、この件につきまして三月一日からこれを、今申しました減免をしたいという政府側意向もあり、又衆議院側にもそういう意向がありまして、確か政府もそのつもりで準備をいたされておつたようであります。然るに政府地方税法の一部改正法律案が未だに提出がございませんし、二十日までに提出の見込みもない。従つてこのままにして置きますと、入場税の百分の百五十の税率を三月一日から下げるということができない結果を招来します。そこでこの入場税の百分の百五十の課税ということは非常な悪税でありますから一日も早く、できれば軽減をした方がよいのでありまして、その意味において衆議院側におきまして、議員提案としてこの際今の全面的の地方税法改正に先立ちまして、地方税法の一部を改正する法律案として出したいという意向がございます。恐らくこれは不日国会提案をされまして参議院の方にも予備審査を要求して参ることになるだろうと思います。そこでこれを如何に取扱いますか御相談申上げる次第でありますが、今月は二月でございまして、二十八日しかございません。今日議院運営委員会におきまして、二十六日までは本会議を開かないということになるように聞いております。そこで二十七日、二十八日の両日の中で本会議を開くのでありますから、そのときにこの地方税法の一部を改正する法律案につきまして、本会議にかけなければ入場税減税を三月一日から実施することができないことになるわけでございます。そこで明日から二月二十六日までは本会議はありませんけれども、この委員会も御勉強を、そういうことになりますればお願いいたしまして三月一日に間に合うように願いたい。こういうふうに考える次第であります。この点につきまして皆さん方の御意見伺つて置きたいと思います。
  3. 柏木庫治

    柏木庫治君 入場税を少くするということと、不動産取得税を全部なくすということでありますならば、この際税金が軽くなるということは、国民を非常に明るくし、又実際問題として非常に国民の方で仕合せになることでありまするから、入場税だけでなくて減ぜられるということであるならば、不動産取得税一緒にやることの方が私は国を明るくする上において非常によいと思いますので、委員長議員提出でやるならば、この二つだけは同時に提案されるようにお骨折を願いたいと思います。
  4. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 只今柏木委員からの御発言でございますが、私の説明の仕方が悪かつたのでありますが、入場税軽減を、不動産取得税の全廃、これを地方税法の一部を改正する法律案でやつて行こうという趣旨でございます。速記を止めて下さい。    〔速記中止
  5. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 速記を始めて……
  6. 島村軍次

    島村軍次君 只今入場税衆議院の、議員提出の問題は、大筋は政府提案と同じでありまして、ただ課率の問題が地方財政にどう影響を及ぼすかということにかかると思うのです。我我考えを率直に申上げれば、府県税は今度の税制改正では、相当圧縮されるということであり、一定財源しかないので、而もその入場税が百分の百を予定したのが、七十ということになれば、只今財政部長お話のように、脱税が防止できるという簡単な問題ではないと、かように思うわけであります。この点は政府の方でもよく御研究願つて、そうして次回に御審議になる際に、はつきりしたことをお述べ願いたいという希望を申上げて置きます。
  7. 岡本愛祐

    委員員岡本愛祐君) それでは地方税法の一部を改正する法律案の問題につきましては、この程度にして置きたいと思います。次に昨日この委員会で御検討を願いました標準義務教育費に関する問題につきまして、これは鈴木委員から質問が出まして、この委員会におきまして皆様からいろいろ御意見なり御質問なりが出たのでありますが、その問題につきまして、全国町村会長全国町村議会議長会長から反対意見陳情委員長宛に出ております。今日丁度同じく反対陳情にお出でになつ市町会事務局長、それから知事会事務局長も見えております。その代表にこの反対意見について意見開陳を許したいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは発言を許します。
  9. 菊山嘉男

    参考人菊山嘉男君) 私は全国市町会事務局長菊山でございまするが、お許しを得まして、知事議会事務局長並町村長会事務局長を代表いたしまして、事情の御説明を申し上げ、我々の希望の貫徹いたしまするように御配慮をお願いいたしたいと思うのであります。先程来いろいろと御心配をかけておりました地方税制改革は、皆様方の御配慮と又各都道府県市町村の協力の結果によりまして、大体の結論が生れつつあるように伺つてつたのであります。只今いろいろと御審議を煩していることと存じまするが、この御審議結論を得ますれば、相当地方財政は明朗化され、よくやつて行けるものと喜んでいる次第であつたのであります。ところがその際に文部省方面から、標準義務教育に関する法律案というものが提出されるやに承わりまして、その内容がどういうものであろうかと心配をいたしておつたのでありましたが、承わるところによると、義務教育に関する経費は大体それぞれ標準を決めて、これを各都道府県市町村をして強制的に履行せしめようという目的であるように伺つているのであります。ところが御承知のごとくに、この教育費なるものは都道府県市町村を通じまして、地方費中における最も重大なる支出であるのであります。殊に市町村におきましては、殆んどその経費の少きも三割、大きは七、八割にも達するものが、この義務教育費と相成つていることは御承知通りであります、かくのごとき市町村経費の最も主流を占めますところの義務教育費において、これを別の法律を出して強制をせられるということに相成りますると、都道府県市町村自治という精神から申しまして、甚だ苦痛を感ずると思うのであります。  で私共は、強き言葉を以て申しまするならば、これは自治の破壊になるものではなかろうかとすら心配をさせられるのであります。勿論この都道府県市町村にいたしましても、教育の大切なることは、もとより考えておりまするので、これに対して相当の設備をいたし、又相当経費を捻出いたしますることは、これはもとより当然なことであり、すべての市町村民は非常に重大に考えているのであります。従いましてかくのごとき問題について、別に特別の法律をお出し願わなくても、今日の市町村都道府県等に適する相当なる費用がその予算に現われて来ることは当然のことであると考えているのであります。然るにこれに対して法律を出して、そうして自治体を拘束いたそうというお考えは、少しく行き過ぎたものではなかろうか。殊に自治体運営をやつて行きます上において、これが非常な窮屈なことになるのではなかろうかと考えられるのであります。又御承知のごとくに、自治体にとりましては、今年来年等は、制度の根本的に変りましたる直後でございまして、自治体制度そのものは勿論でありますが、税制に関する、或いは財政に関する非常たる根本的の変革を加えられる際でございまするので、これらの新しき制度によつて果してどれだけの経費が捻出せられ、又いろいろな方面にどれだけの金をかけて行くことが、将来の自治体発達を図る上において適当であるかという、的確なる見通しは甚だつきにくい現状にあるのであります。従いましてこれらのことは、政府におかれても心配をせられて、或いは地方財政委員会でありますとか、或いは地方行政調査委員会であるとか、そういうものを特に設置せられて、細くそれらのことについての考慮をされようとしておりまするが、まだその結論のついておりません際に、多額の部分を占めまするこの教育費について、特別の法律を出して自治体を拘束されようとされますことは、先程申しましたように自治精神に反し、言葉を強めて申しまするならば、自治権蹂躪とも言うべきものではなかろうかと考えられるのであります。私共はそういう単なる抽象的の理論で、自治権蹂躪せられるから絶対に反対だということだけを申上げるのではありませんで、そういう自治権蹂躪になる虞れがあるような重大なる事項であるに加えて、実質的に考えて、それ程の経費を果して捻出し得るや否や。そうして他のすべての自治行政が円滑にやつて行けるかどうかということに対して、非常なる危惧の念を持つておるのであります。従いましてかくのごとき重大なる経費法律を出して、それに釘付けをされようとしまする法案は、是非共愼重によくお考えを願わなければならん。将来の自治運営支障なからしむるように御配慮を願いたいと考えておるのであります。我々は教育の大切でありますること。殊に義務教育を完全に遂行しなければならんということにつきましては、人後に落ちず考えておるごとくに折角自治権が認められ、折角自治体の裏づけとなりまする税制確立せられて、これから大いに自治精神によつてつて行こうといたしまするこの鼻先きに、かくのごとき重大なる自治を拘束するような法案をお出しになつて、これが成立いたしますようなことになりますと、将来の自治発達、甚だ危殆に瀕すると考えまするので、この事情を申上げまして、是非かくのごとき法案の不成立に終りまするようにお願いをいたしたい次第でございます。
  10. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 尚申上げますが、栃木県知事埼玉県知事山梨県知事千葉県知事から、標準教育費法案府県財政自治権を無視し過大の負担を強いるものであるから絶対反対するという旨の電報が参つております。只今意見開陳に御質疑ございませんか。
  11. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 本多国務大臣がおられますから、本多国務大臣のこれに対する御意見を伺います。
  12. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 只今陳情がありました。それに関連する西郷委員の御質問の点は、誠に地方自治制にとりまして重大なる影響を及ぼす問題であると考えております。この義務教育費標準法によりますと、只今文部省から立案して閣議提案されておりまする案によりますと、全く教育委員会等を通じ集めた資料によつて文部大臣一定教育費決定いたしまして、これを法律によつて市町村はその通り計上しなければならんというような建前になつております関係から、予算審議権自主制がこのために阻害せられるということになつて来るのでありまして、そこまで文部行政地方教育行政を拘束するということは、今日の政治として行き過ぎではないかと考えております。実はこの問題につきまして、私として御了解を得て置かなければならないと思いますことは、平衡交付金法と、この教育費基準法と両案が閣議提案されたのでございまするが、文部省側におきましては、教育費基準法承認しない限りは、平衡交付金法承認することができないということになつたのでありまするが、その際に文部省側法案内容というものの検討が私に不十分でありましたために、閣議におきましては義務教育費尊重というその方針には賛成である。又シャウプ氏の勧告によりましても、地方財政運営を阻害するようなあらゆる政府の拘束を強く排除しておりますにも拘わらず、義務教育費につきましては、適当な制限を加えることもよろしいであろうというようなことが書いてあります点等考慮いたしまして、この地方財政自主権を失わない範囲内における調整ということはあり得ることと考えましたので、そうした義務教育費を特に尊重するという意味法律を作るということは、この際開議圧倒的意見でもありましたので、支障ないものと考えまして、その原則を了承いたしたのでありますが、その原則を了承するにつきましては、どこまでも内部的な調整平衡交付金法義務教育費基準法と、これが調整が完全に行われることを前提として了承いたしたのであります。その後事務当局においてこの調整努力いたしておるのでありますけれども、今日の文部省側提案標準教育費というものを、全く文部省側でこれを決定いたしまして、そうしてこれは何らこれにプラスする場合、これは認められておりますけれども、地方財政の実情から、市町村において他予算と均衡を取るために、少しく調整を加えなければならん、マイナスする場合の権限は全く認められないということになつておりますので、かくのごときものであつては、平衡交付金法精神に反しまするし、地方自治権というものの根本精神に反することでありますから、是非ともこの点は調整をいたしたいということで、只今努力をいたしておるところでございます。私の考えといたしましては、今日文部省義務教育費につきまして、一つ標準を定め、この標準を極力地方に進めまして、そうしてこの標準を守つて行くようにして行くことは結構でありますけれども、一定金額支出しなければならない。或いは支出しなかつた場合においては、文部大臣が、これに対する平衡交付金等の返還の措置が、文部大臣権限限りでできるというようなことは、到底承服できないところであると考えましたので、この文部省一定標準を出し、この標準に甚だしく相違するような支出の仕方をいたしました場合に、文部大臣から地方財政委員会勧告をいたしまして、この勧告に基いて地方財政委員会が適当な措置を取る。こういうふうな間接的な方法で文部大臣指導権というものは行使せらるべきであると、以上の考えを以て今日政府部内において調整努力中であるのでございます。
  13. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 外にこの問題について御質問ありませんか。
  14. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 もう一点伺つて置きたいのですが、今のに関連して……。分つてつた財政部長からちよつと伺いたいのですが、今のこの問題になつている義務教育費標準法ですが、それによりますると、平衡交付金の中に、各省補助金の中に、文部省の分が二百六十一億入つております。それのうち全部ではないと思うのですが、そのうちどのくらいのものをそれに含みますか、その点を一つ……。今まで国から出ていたもので、平衡交付金の中に入るのは総計各省関係が三百五億、その中の大半を占めるものは文部省で、それが二百六十一億なのですが、この法案に関連するのは、二百六十一億の全部ではないと思うのですが、その点はどうなつておりますか。
  15. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) その二百六十一億と申しますのは、従来義務教育費国庫負担法の枠の中に入つておりました経費であります。これは小学校の先生生徒五十人につきまして一・三五人というふうに二十四年でなつておりましたが、それを一・五人に上げて計算しております。又中学校の先生生徒五十人につきまして一・七人でございましたが、二十四年度はそれを一・八人に上げて計算をしたものであります。この約二百六十億余りの金は、いわば従来の義務教育費国庫負担金に当るものでありまして、これに更に府県におきまして半額の二百六十億円を付けました五百二十数億というものが、やはり教員の俸給を主といたしますところの義務教育費国庫負担の従来の枠に入るものであります。  その外に更に約二百億余り基礎にいたしまして、これによりまして児童、生徒一人当り三千二百円という基礎で、標準教育費を算定いたしましてその総額を支出しようという、こういうものの内容に相成つております。
  16. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 そうしますと、今の義務教育費標準法というものは、今の大体の御説明においても、若しこういうものが文部大臣の直轄でやるということになりますと、折角シャウプ勧告地方財政平衡交付金というものの新らしい配付税に代るこの新しい性質の一貫性を欠いている。非常に平衡交付金の性格からいつても、最初からそれを一部文部省関係のものが打壊すことになつて、これは非常に私は重大な問題だと思います。今大臣の御苦心の点はよく分りますが、今後とも本多国務大臣におかれましても、こういうふうなものが平衡交付金根本精神を破壊するものであるという見地から、一つ大いにこういうふうないろいろ混乱したものが出ないように、よくシャウプ勧告の実施の当初において一つ御盡力願いたいと思います。
  17. 堀末治

    堀末治君 これはちよつと今日の問題外とは存じますけれども、折角大臣がお見えのことでございますから……、根本問題でございますから質疑をお許し願いたいと思います。これは是非一度大臣から直接に伺いたいと今日まで思つてつた問題でありますが、シャウプ勧告では地方自治庁と、地方税審議会の解散とを勧告しているように私共は聞いているのでありますが、その後これに対しては政府はどういうふうに御決定なつたか、それらの点について、こう、経緯とでも申しますか、御方針一つはつきりお聞かせ願いたいと思います。
  18. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 御承知通り二十三年度と申しますか、二十三年度には財政委員会というのがありまして、自治課というものが総理庁にあつたのでございます。これでやつておりましたところが、財政委員会委員会として外局として独立し、更に自治課というものが総理府のものとしてあつたのでは、誠にその間連絡が不十分であり、市町村理事者諸君に取りましても非常に不便であるから、これを一つ合併をして地方自治庁というようなものを設置して貰いたいという要望に基きまして、司令部承認の下に法律案が作成され、国会承認を経て、昨年この二つを統合して地方自治庁というものができたわけであります。然るに今度シャウプ氏がおいでになりまして、その勧告によりますと、この地方財政のことは全く独立した委員会を作らなければならん。地方財政委員会というものを設置することが望ましいという勧告がございましたので、地方自治庁は設置されて僅か一年でございますけれども、ここに再びこれを改組しなければならないということになつた次第でありまして、この地方財政委員会というものを設置することによつて地方自治庁はこれで解体をいたします。更に地方自治庁諮問機関になつておりまする地方自治委員会も、従つて解体をすることになるのでございます。この地方財政委員会につきまして実はこの場合御質問外かと存じますけれども、総司令部と折衝中の問題を御参考に申上げて置きたいと思うのでありますが、この地方財政委員会委員長国務大臣にするか、全く総理大臣国会承認を得て任命したその五人の委員の中から委員長を選ぶかということが問題でありまして、この点について政府側におきましては、国税全般との調整という点からも、更に又一面地方財政委員会における決定閣議において強く主張し、その実質を得る、実質的な保護をする上においても、どうしてもこの委員長国務大臣閣議と連繋のある者がよろしい、更にもう一点の理由は、この地方財政委員会シャウプ氏の勧告に基く地方財政調整の問題ばかりでなく、総理大臣としての補助的な事務をここに一緒にやらせる、そういう関係からどうしても委員長国務大臣であることが望ましいという方針を今日立てております。
  19. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 只今本田国務大臣から現在の地方自治庁改組の問題が御発言ありましたが、それについて少し今日の議題として、今大臣の御説明にもいろいろまだ政府としても決定しておらない状況を承わりましたが、その地方財政委員会のその委員長の問題なのですが、それは確かにいろいろの見地らかいろいろの議論があると思うのですが、理論的にはやはり委員長大臣でない者がいいと思いまするけれども、実際の行政面のことを考えると、由来地方自治が叫ばれて地方財政委員会地方自治庁こうなつて参りましたが、如何なる場合にもですね、最も必要なことは君達は如何なるいい制度法案作つても、それを裏付けるところの予算が不足するのですね。国家財政も非常に多端な折でありますけれども、何といつて都道府県地方公共団体に一番必要なものはその裏附予算の問題、財源の問題なのですから、その点を考える過去においても現に木村国務大臣の際でも、地方配付税が、細かく法律に決めてある地方配付税でも、あの際に池田大蔵大臣が半分に切つたのですから、そういうような横暴を国家財政が今までやつたりした実例もあるのです。どうしてもそれは閣僚から出ていなければ、閣僚が出ていても配付税が半分くらいに減つたりするような、実際そういうわけであらゆる面において地方財政は窮乏を来たす現状から過去実績を見ても、これは国務大臣が出なければどんな法案が出ても、それを裏附けるところの予算が取れない。殊に強大なる大蔵大臣が控えている以上、これは委員長国務大臣が出なければ予算は全く取れないと思うのです。こういう見地から委員長が理論的には大臣でない方がいいのですが、実際的には大臣である方が是非共必要であると思います。そういう点から御盡力願いたいと思います。
  20. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 西郷委員からのお話の御趣旨は全く同感でございます。そういう方針で進みたいと思います。
  21. 堀末治

    堀末治君 今私の申上げたいことは幸い詳しく西郷さんがおつしやられ、大臣から懇切な答弁があつたので満足するものでありますが、どうも今までの日本の惰性とでも申しますか、何事も中央集権的に物が運ばれた、昨年度の地方配付税においても、強行的に半額に減らされたということについては非常に私も不満を感じたのでありますが、その後補正予算において九十億殖やされ、五百七十七億は六百六十七億に殖えた、かような点何事なりともその当時の不足を埋め合わされておつたことは非常に有難く思うのでありますが、併し昨日来の鈴木財政部長説明によると、本年は地方配付税一般交付金千二百億が百五十億何らかの形で減らされた、その後三百五億を減らされて実際昨年度の地方税配付税に該当するものは七百四十五億、それを六百六十七億に比べると本年僅かに七十八億の増額にしかならない、こういうことになりますと昨年までございました地方財政法の三三・一四というものと開き方が非常に多いのであります。殊にこの度はシャウプ勧告によりまして、とに角各地方自治確立の上から都道府県並びに市町村に確乎とした財源を與えなければならない、こういうような根本原則に立つて平衡交付金というものが決められたにも拘わらず、その平衡交付金の額は昨年の末、あの当時非常に不満を持たれた地方配付税に比べて、僅かに七十八億しか殖えないというようなことであれば、私思いますのに、いわゆる地方自治確立というようなことから、シャウプ勧告がそれ程熱心に勧告されたその趣旨が殆んど没却されておるのじやないか、又細かいことは詳しく研究はいたしておりませんけれども、今の大蔵大臣のおつしやられたところを聞きますと、これこれこれこれ減税すると頻りに、要するに現政府は私も與党でございますけれども、要するに頻りと減税を宣伝しておるのでありますが、実際は私減税にならない、地方税のこの増加によつて非常に大きい増加、而も今度の税制改革によつて、今までとは一層でこぼこが多くなるということを懸念するのでありますが、これにつきまして地方行政をお與りになる本多国務大臣としては、これらの点をどういうふうにお考えになりますか、一つ意見を承われば結構だと思います。
  22. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 本年度の平衡交付金に予定されております一千五十億万円という金額は、御趣旨通りこれでは十分でないと考えております。更に将来の地方自治財政は如何にあるべきかという地方財政の方向につきましては、実はみずから徴税して、みずから取るという方面に、ここに重点が行くべきでありまして、平衡交付金というものはできるだけこれは需要額と収入額の差額を満たすという程度に止むべきである。この平衡交付金というところに重点が参ります。これは結局中央においてそれだけ増税をしなければならんことになりますから、地方税の税源を圧迫する。中央で増税したものを以て平衡交付金として交付するということが余りに大きくなつて参りますと、これは地方自治に対する中央の圧力というものが余計に加わることにもなりますので、本年度の平衡交付金は不十分であると存じますけれども、将来の方向といたしましては中央の税をできるだけ減税をいたしまして、地方が自分で徴税して自分でこれを運営し使用して行くという方面の方ヘ力を注いで行くべきじやないかと考えております。もう一つは何ですか……。
  23. 堀末治

    堀末治君 それで結構であります。
  24. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 他に御質問ございませんか。
  25. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今大臣地方財政の一般のことについて所見を述べられましたが、それに関連して伺いたいと思うのであります。今の大臣の御意見も一応分るのですが、二十五年度の予算全体からいいますと、なかなか今の大臣の議論に承服しかねる点が多々あるので、その点について伺つて見たいのです。シャウプ勧告によりまして、地方の税体系を根本的に今度改めて出ておるわけなんでありますが、それによつて一方国税においては可成りの減税もありまするけれども、地方税増加して、結局国民負担は減るのではなく、両方合せたならば負担が過重になる結果になるのでありますが、その予算の中で、一方においては、国税の方においては減税といい、尚且その中に非常に多額の債務償還を計上しておることを考えますと、そのくらいならばまだ国内の地方財政確立しておらんうちに、対外的な債務を償還するというような方法が、その順序が甚だ均衡がとれていないように思うのです。少くとも外部に対するものは自分の家が整つてからやつても遅くはない、ないのみならずそうあるべきだと思う。それは片方においてはこういうような戦後のまだ復旧も不十分である、災害等は非常なものが残つておる、そういうときに地方税の方をシャウプ勧告とは言いながら却つて増す現象であつて、而のみならずそれは国民所得が二十四年より二十五年度が実際に増えるならばよいけれども、予算の公聴会等を見ましても、国民所得は二十五年度は増えていない。そういう意見の方が多いのであります。そういう現状におきまして、国民所得が増えていないのに国民の首がしめられるような現状であるにも拘わらず、債務償還を多額にすることはどうかと思う。そういう点は予算の際に大臣はどういうふうにお考えなつたか、その点を伺つて置きたいと思います。
  26. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 最前私が答弁を落したことと関連するのでございまして、実は一緒にここで申上げたいと思います。中央で減税ということが唱えられても、地方税の増税で結局実質的には減税にならないのではないかということはしばしば聞くのでありますけれども、私共といたしましては、全体的な地方税額の点から減税になるものであると考えております。これを簡単な数字で申上げますと、昨年度の当初予算と、本年度予算を比較いたしますと、国税において九百億の減税になつております。更に地方税におきましては、昨年と本年を比較いたしますと、四百億の増税になることになつております。九百億から四百億を引きますと、五百億だけは実質的に減税になるものであると、総額においてはこう言うことができると思います。更に又地方市町村の四百億の増税も、シャウプ勧告によりますと、税の枠を持たないために、任意或いは強制的な寄附金で四百億というものが支出されておつたということでありますが、今回財源を與えることによつて、四百億の寄附金は百億くらいに止まるのであろう、三百億くらいは寄附金の方の負担が少なくなるだろう、こういうことが言われておりますが、これを総合的に差引をいたしますと、寄附金まで税として主張することは適当ではないと思いますけれども、寄附金が少くなつているものまで加えると、八百億くらいの減税になるだろということの議論は一応の数字として出て来るのでありまして、これを実質的にいろいろ研究いたしましたならば、勿論これと必ずしも一致しない点は出て来ると思います。けれども、いずれにいたしましても国と地方を通じて、これを合計して考えました場合、国民負担は減少するものであるということには間違いないと考えております。更に今日の国家財政の実情から考えて、債務償還に一千二百八十六億万円でしたか、そういう大きな債務償還をやるべき時期ではないかという御議論につきましては、これはこの際私から御答弁申上げるということは妥当でないと思います。けれども、一応の私の意見を申上げますならば、これも減税に当つべきではないかという御議論に対して我々も全く同感に存じます。併しながらアメリカの援助を受けております関係から、アメリカが増税をしているときに、援助を受けている日本が、余り極端なる減税ということは承認され難いという事情もあります。殊に債務償還の大部分を占めますのは見返資金でありまして、この見返資金を援助物資の代金でありまする関係から、一々司令部承認を得なければ、日本の政府では自由にこれを財源等に用いることもできないという建前になつております。こうした関係、更にドッヂ氏の一貫せるインフレ抑制というような方針から来たものであると思うのでございまして、我々といたしましては、できることならばこうしたことはこの際には後廻しにされても減税という方面にもう少しその財源に向けられることが望ましいことではあると思いますけれども、今日の場合は止むを得ない事情である、かように了承いたしておるのでございます。更にこの債務償還に当てられました金は、結局は政府から民間にそれだけの金が返されるのでありますから、それが民間に、一般銀行であろうと、日本銀行であろうとこれは民間でありまして、日本銀行に返つた金は釘付けになるのだということで、金融には何らのこれが緩和策にならないのだという人もありますけれども、日本銀行は御承知通り紙幣の発行高というものを常に調節いたしております。政府からそれだけの多くの国債が償還になりますと、それだけ収縮いたしますから、收縮した面だけは更に出しても、今日の財界に及ぼす影響は大なる変化はないというようなことから、貸出方針というものが緩和され、結局間接融資として民間に廻つて行くという、この間接融資の方法こそ健全金融であるという点から考えましてこの国債償還ということも、決してその銀行がこれを蔵い込んでしまう金ではなく、金融の緩和に役立つものである、こういうふうなことを考えました場合に、今日ドツジの線によつて堅実に復興して行こうとする方法である場合、更にアメリカに対する関係を考慮いたしました場合、かくの如き予算の編成は止むを得ないものと実は了承いたしたわけであります。
  27. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 只今本多国務大臣財政報告がありましたが、閣僚である本多さんにこれ以上伺うのはどうかと思うのですが、ただ一点今のお話の中に、非常に税のエキスパートでおられる本多さんが数字をお挙げになつているのですが、九百億から五百億引けば四百億残るというようなそういうような机上の官僚的な数字で、幾つから幾つこう引くから現在こうなると、数字で明らかであると言われるが、その数字そのものが我々から言うと疑問があるのです。安本なんかで計算している国民所得も、あれは甚だいい加減だと思うのです。それは大臣も御承知だと思う。それであるから今日そういうふうな官僚的な、不確実なる国民所得の数字から、そういう考えを言われるということは、ちよつと私はよく分りませんが、本多さんが税の大家であつて、そういうふうな御答弁には僕は非常に意外に思いますが、それと尚且つ国民は過去におきましても、二十四年度も実際に所得があるから税金を拂つたのでなく、筍生活ということは一般国民の常識であつて、今日はその筍生活する物もなくなつて、そしてやりくり算段で納税義務を果している。それが国民の経済生活の現状だと思うのです。収入があるから拂つたのではない。それは特別に富裕な人は別問題であつて、一般国民の懐はあるから拂つているのではない。やりくり算段と思うのです。そういう点からいつて只今の議論を伺うと、どうも甚だ納得が行かないのですけれども、これ以上そういう議論を闘わしても如何かと思いますのでこれ以上伺いませんが……
  28. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 先程堀委員から御質問がありましたが、地方自治庁は三月一杯で廃止になつて、そして地方財政委員会というものができるであろうとお話でありますが、財政の方はそれでいいが、地方行政を担当している今の地方自治庁側ですね、これはどうなるか、この点伺いたいと思います。
  29. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 地方財政委員会事務局を設置いたします。その事務局をして総理大臣の補助的な事務を、地方財政委員会事務と共にここでやらせるということで、丁度只今自治庁の事務をここでそつくりやることになりますので、地方財政委員会の任務が非常に大きいので、現在の自治庁の人員を以てしては到底処理できない状態でありまして、数十名増員をいたしまして、地方財政委員会事務局として今の自治庁が残るわけでございます。
  30. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今の御説明の中で、事務局の一部の仕事として総理の補助的事務を行うというのに、現在は総理府がありますのですが、どういうことになりますか。
  31. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) これはこの地方財政委員会委員会独自の固有事務と申しますか、それがあります。これとやはり密接な連絡の下に、総理大臣地方自治体に対しまするいろいろなお世話を焼く仕事とでも申しましようか、今自治庁でやつているような仕事は、ここの事務局にやはり担任せしめた方が適当であるという考えから、そういたしたいと思つておるのでございます。これはお話通り一昨年までは地方財政委員会というものが外局として独立し、総理府の一部局として自治課というものがございました。これは今お話通りそういう形でやつておるのでありますが、非常に不便であります。能率的でなく、各地方団体からも非常に不便であるからして、どうしてもこれは統合して貰いたいというので、自治庁を作つた沿革もございますので、やはりそうした自治体の世話をやく総理大臣としての事務で、この補助事務地方財政委員会事務局に多少変則のようには感じられますが、やはり担当せしむる方が実際的である、かように考えている次第でございます。
  32. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 そうすると今増員なさるようなお話でありましたが、その一点は定員法やなんかの所管大臣であつた本多さんですが、その点はどういうふうになりますか。
  33. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) この地方自治庁に関連いたします仕事として、地方行政調査委員会の仕事があり、今度の平衡交付金等の査定の仕事があり、更に又地方団体の間における税金の分配等の仕事がありまして、止むを得ないものと認めまして、只今申上げました、数十名と申上げましたが、まだ人員は確定いたしませんが、四五十名程度の、これは定員法の改正案を提出をいたしまして、御審議をお願いいたしたいと思つております。
  34. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 もう一点伺いますが、定員法に触れる問題で、この前の議会で問題になりました地方行政調査委員会、あの人員が定員法に触れたために非常に貧弱なものなんですが、そういうものもそういう際に併せて増員なさいますか。
  35. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 今確かな数字を覚えておりませんが、今回の定員法に一緒結論をお諮りをいたすことになつております。
  36. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 本多国務大臣に申上げて置きますが、実は先程から御説明の、元の地方財政委員会と、地行方政を担当していた総理庁自治課との連絡が非常に悪くて、やはりこれは結合しなければならんというので、実はこの委員会におきましても、各委員から意見が出まして、地方自治委員会というものを作るべきだという意見を出しました。然るに政府の方からは地方自治庁を作るという案を出され、それに対してこの委員会の大多数の委員は、それはいかん、そうい官庁になると、今までの地方財政委員会という民主的な地方自治団体と、国との連絡機関としての性質が失われる。元は地方財政委員会が主体であつて、そこに事務局ができておつたのだが、若し地方自治庁を作ると地方自治庁というお役所がやはり主体になつて、その附常的なものに地方自治委員会議というものがなつてしまうからそれはいけない。それは逆であつて地方自治委員会というものに地方財政委員会を拡大して、その事務局として今までよりか一段と力あるものを置かなければならんという議論をしたのです。ところが政府の方ではいろいろな関係から地方自治体の案を主張され、止むを得ずこちらも同意をしたのでありますが、今度は地方財政委員会というものが復活して、その事務局に今おつしやつたよう地方行政のこともやらせるという苦肉の策のように承わるのでありますが、それは地方自治委員会というものは作れないのかどうか、その点を伺つて置きたいと思います。
  37. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 只今お話委員会の名称を地方自治委員会にすべきか、地方財政委員会にすべきかということにつきましては、いろいろと研究をいたしたのでございますが、シャウプ博士の勧告にも地方財政委員会ということで出ておりまするし、又地方財政委員会の重点的な任務は地方財政調整にあることでもございますので、政府といたしましては更に国務大臣委員長とする点の司令部方面承認を頂く関係もございまして、シャウプ博士の勧告財政委員会という名称にした方が妥当であろうということになつたわけでございます。
  38. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 尚伺いますが、その地方財政委員会ができまして、その事務局ができますと、その事務局と地方行政調査委員会議の方との関係はどうなりますか。
  39. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) これは地方行政調査委員会議には別個の事務局がありましてそこの仕事をいたしますので、直接の関係はないのでございますけれども、いろいろ連絡を取り、資料を提出し、密接なる連絡の下に協力して行かなければならんと思つております。
  40. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それを伺いましたのは、実は本多国務大臣がまだ地方自治の方を御担当にならないときに、この委員会においで頂いて、地方行政調査委員会法案審議いたしますときに御説明つたのですが、それによりますと、事務局は、非常に地方行政調査委員会議の方は貧弱であつて、到底この重要な大委員会議を背負つてつて行くだけの事務能力はないように、我々考えましたので質問いたしましたところ、本多国務大臣は、それけいずれ地方自治庁の方で手伝わなければならんとお話になつたのですが、今の御説明によると地方自治庁が廃止になり、地方財政委員会議ができて事務局ができ、これは別個のものであるとすれば、地方行政調査委員会議の方の事務局はもつと拡大しなければならん、充実しなければならんという結論になりますが、そういうふうにお考えになつておるかどうか、それを伺つて置きたいと思います。
  41. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) これは、実は地方行政調査委員会議が一月から発足いたしたのでありまして、取り敢えず追加予算と、それから定員法の補正が必要であつたのでありますが、これを地方行政調査委員会の設置法の附則によりまして、定員を極めて少数でありましたけれども設けたのでございます。これがこの発足の場合でありまして、この際は、発足の場合にはいずれにいたしましても、地方自治庁の方の相当の応援が必要であると考えておりましたので、三月までの間は地方自治庁の応援が相当、事実必要であり、又することといたしまして、極めて少数の定員を、年度内の定員として一応御決定願いましたけれども、四月以後の定員につきましては少しく増員をいたしまして、まだ数は決定いたしておりませんけれども提案いたしたいと思つております。
  42. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは標準義務教育費に関する問題、その他地方自治庁の廃止に関する問題はこれで打切りにいたします。   —————————————
  43. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 次に地方自治法の一部を改正する法案律の予備審査をいたします。  先ず本多国務大臣から提案理由の御説明を承わるわけでありますが、この地方自治法の一部を改正する法律案は、前国会提出されまして審議未了になりました同じ名前の法律案内容が同様でございまして、従つて提案理由の細かい説明も不要だろうと思いますから、その詳細はお省きを願いたいと思います。
  44. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 地方自治法の一部を改正する法律案提案の理由を申上げたいと存ずるのでございます。本案につきましては、前国会において審議未了になつた案件でございますが、地方自治法が施行されまして以来、地方自治発達にも大なる進歩があつたと思うのでございますけれども、地方自治運営現状に鑑みまして、地方公共団体における直接請求の手続、地方議会の運営、各種争訟手続等の整備並に地方公共団体事務処理機構の刷新及び監査機能の強化を図る等の処置を、この改正案によつて講じようとするものでありますが、その改正の根本方針はもとより地方公共団体の自主性、自立性を更に徹底すると共に、更に地方自治運営における公正と能率を確保し、以て地方自治の本旨を実現しようとするものに外ならないのでございます。  前回の国会において提案理由の詳細は申上げたのでございますから、この際この内容については省略いたしたいと存ずるのでございますが、どうか愼重御審議の上速やかに議決下されますように切望いたします。
  45. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 只今大臣説明に対しまして御質疑ございませんか……。
  46. 堀末治

    堀末治君 もう一遍説明し直して下さい。
  47. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 新しい委員の方がございますから説明書をお出しを願います。  尚委員各位に申上げますが、前のこの委員会におきまして逐條審議をいたしておりまして、たしか百九十九條まで終つた筈でございます。それで新しい方もお加わりになりましたので、初めからやり直すか、或いは逐條審議は省略をするか、残つておるのは極く僅かでありまするからその点を伺つて置きたいと思います。
  48. 堀末治

    堀末治君 如何でございますか私実は逐條審議に加つておりませんのですが、いつまでにこの審議は終えなければならんのですか。
  49. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) この点は政府委員から答弁させたいと思います。
  50. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 地方自治法の一部を改正する法律案につきましては、大臣から御審議に対しましてお願いを申上げた次第でございますが、実はこの内容にもよりますけれども、直接請求の手続等に関係いたしまして、地方政治の安定を期する意味合も含まれておるような関係もございますので、政府といたしましては、愼重御審議の上成るべく早く御決定を頂きますならば大変仕合せと存じます。
  51. 濱田寅藏

    ○濱田寅藏君 私も新しく入つた組なんですが、又エキスパートが揃つて愼重審議されるのでありまして簡單に委員長から経過でも伺う、個別的でもいいのでお閑のときに伺う程度にして、委員長の一番いい方法で運んで頂きたい、かように考えております。
  52. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 只今の濱田君の御提議に御異議ありませんか。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  53. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それではそういうふうに取り運ぶことにいたします。
  54. 島村軍次

    島村軍次君 私は大臣が丁度御出席ですから、この際自治法に関係のある事項で特にお尋ねを申上げ且つ御意見を承わりたいと思います。それは自治法の施行令の第百六十五條の道府県の金庫に関する問題であります。この金庫事務は百六十六條によりますと、「普通地方公共団体の長が定める銀行をしてこれを取り扱わしめる。」こういうことになつておるのでありまして、そこで市町村の場合におきましても、金庫を置くことができるという規定が置かれておりまして、現金の取扱いについては金庫事務というものが、非常に簡便にやられることは当然であると思うのであります。ところが最近の府県の情勢を考えて見ますると、銀行につきましても一県一行主義を廃止せよというふうなお話もございますし、旁々各府県では協同組合が相当発達いたしまして、信用組合連合会というものが、農村におきましては相当発達して参つたのであります。そこで単にここに「定める銀行をして」ということでなくして、銀行その他の金融機関ということに改めて、門戸を開放することがこの際妥当であると思うのでありますが、これは直接の関係ではありませんが、併しこれは多年に亘る問題であり、且つ本多国務大臣も農村御出身でありますので、よくお聞きになつていることだと思うのでありますが、この際民自党の多数の方々の御意見は、もう恐らくこれには御賛成であろうと思うのでありまして、この点に関して大臣に御勘考願い、同時に只今までの経過及びそれに対する自治庁のお考えが、若し聞かせて頂ければ甚だ結構だと思います。
  55. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 今日までの本問題の経過等について、私は詳しく承知いたしておりませんので、これは政府委員から答弁申上げたいと存じます。只今までの問題につきましては相当重要な問題であるように考慮されますので、十分私としては研究いたしたいと思います。
  56. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 只今島村委員から御質問がございました金庫の設置につきまして、これを拡張してはどうか、こういう点について地方自治庁はどう考えるかというお尋ねであつたように存じますが、この点につきましては、地方団体或いは地方議会の議長諸君からも、只今島村さんが御指摘になりましたような趣旨で拡張して呉れるようにというふうな陳情が出ておることは事実でございます。併しながら過去におきましてこの種の問題について、未だ自治庁といたしましては深い検討は加えて参つておらなかつたのでありますが、諸般の情勢の変化等とも考え併せまして、又陳情の次第もございますので、大臣から答弁がございましたように研究を進めて参りたい。かように考えております。
  57. 島村軍次

    島村軍次君 そこで特に希望を申上げて置きたいと思いますのは、従来の産業組合、当時、及び農業会当時、まあ最近では金庫の金融事務は単に農業協同組合だけでないと思うのでありますが、非常に長い、希望は持つてつたにも拘わらず従来の官僚的取扱いからはこの問題が簡単に取扱われて、従つて施行令でありますから、その公共団体の長が必要と認めたので門戸を開放するという意味であれば、極めて簡単に改正もできることでありますし、基本的な問題については銀行その他の金融機関ということに対して、入れるということに、何等制約を加えるということは理論的には私は成り立たんと思うのでありまして、これは速やかに改正のことに運ぶように大臣のところで一つお諮りを願いたいことを希望申上げておきます。尚この問題についてはいづれ地方自治法改正案の審議に当りまして、私は数回この意見を申上げて一つ最後の結論を得て頂きたいと希望いたします。至急に御研究願つて次回か或いはその次でもいいのですが、是非御願い申上げることを希望いたします。
  58. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それではお諮りいたしますが、お配りいたしました地方自治法改正の論点、これに各條ずつと網羅してございますが、その中で例えば第四條というところに参りますと、政府提出改正案があると、こういうふうに出ておりますから、そのときには専門員の方から、この前の委員会で論議のあつた点がありますれば、それを御説明申上げるということで進めて行きたい、つまりこれによりまして、これは行政の提案がある條、——それから各方面からの陳情、請願が網羅してありますから、それについて御検討願つて行くということに進めて行きたいと思います。
  59. 堀末治

    堀末治君 大体こんなことで或いは委員会が終了になるんじやないかと私想像いたすのでありますが、幸い大臣おいでのことでございますから、もう一つちよつと……、とく地方自治という問題ではございませんけれども、まあ地方自治と非常に関係のある問題でございますから、一つお聞かせを願いたいと思うのであります。それは今問題になつておりまするいわゆる府県の廃合竝に統合問題でありますが、いろいろこの問題については各方面に、新聞等に論議されておる、ことに本多大臣はその方を担当していろいろと御研究になつておるようなことに承つておる次第でございまするから、これらの問題について大臣の今までのいろいろ御研究になりました、何と申しますか、纒つた意見でなくても結構でございますから、幸に承わることができれば結構だと実はかように思うのであります。実は私北海道でございますが、先般来北海道ではむしろ分県の説が非常に生れておる、今の北海道はあの通り地域が非常に広いので、ことに道知事が公選になつて以来、非常に弱体になりまして、殆んど地方自治という方面に力がいたされておらない、最近ますますその趨勢でございまして、先般来北海道を昔あつたように三県乃至四県に分けてはどうかという意見が非常にありまして、私もその会合の席上に行つて、各方面の熱心な意見を聞いて、是非これを中央に反映するようにという要望を受けて参つたのでありますけれども、まだ政府意向も一向定まつておらないように承わるので、又北海道はそれを分県して本当にいわゆる地方自治として自立ができるかどうかという計数的な調査ができておりません。ただ概念的にその方がいいじやないかという議論で、中には随分乱暴な意見もある、まあやるならやつてしまえば、金のことはどうにかなるなどという、頗る計数を無視したような強い意見もありましたけれども、いずれは一遍この問題についてもよくお聞きしたいと、かように思うておつたのであります。今日は幸い都合もいいようでありますので、これらについて大臣の御意見を承わることができれば大変結構だと思います。どうぞお願いいたします。
  60. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) この問題は非常な関心を呼んでいるようでありますが、誠に残念ながら只今の段階では御期待に副うような答弁をなし得る状態になつておらないのでございまして、シャウプ勧告、更に一般の輿論等を聞きまして、概念的にはこれは今後の地方自治の基盤を強化するという意味において、廃合等が必要ではないかということは考えておりますが、自治庁といたしましてもこの方面の調査に著手したいと考えて、今準備をいたしておる段階でございまして、まだ具体的に調査に乗り出しておりませんので、御発表申上げるような資料も持つておりません、併しこれは地方行政調査委員会の題目になつておりますので、適当な時機にはこれが取上げられてその機会には、更に国民の関心を喚び起し、調査委員会のみの力で解決できることではありませんから、あらゆる方面の不合理な行政企画が国民によつても指摘され、そうして政治的な大きな力が醸成されて解決に到達するものではないかと思つております。只今のところ政府といたしましては、この地方行政調査委員会議の研究題目に対応するため、自治庁におきましてこれを調査する準備にかかろうというところでございまして、この結論につきましては、調査委員会議の決定を見た上で、政府方針を決めたいと考えております。  只今お話のあれのした、シャウプ博士は廃合というようなことで、統合の面だけを考えておられるように感じられますけれども、併しこれは広く只今お話のありましたような、どうしても分割すべきであるというような問題も、当然研究してよいものであると考えております。  この地方行政調査会議のこうした問題の調査が進行するその過程におきまして、この委員会等におかれましても、いろいろな実例を指摘し、方針等も亦お聞かせを頂きますならば、自治庁といたしまして、地方行政調査委員会の方の資料として提出し、十分に連絡を保つて行きたいと考えております。
  61. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは今日本多国務大臣もお見えになつておりますから、今審議をいたしまする地方自治法の一部を改正する法律案の中で、最も政治的な問題になつており、今もなりつつある昭和二十三年法律第百七十九号でございますが、それはここに今日この書類をお配りしてございます。これを御覧頂ければ分かります。それにつきまして一応御審議願つて置きたいと思います。  一応私から御説明申上げますが、これはここにございますように昭和十二年七月七日から同二十年九月二日にいたるまでの間において、と申しますのはつまり満洲事変が始りましてから終戦直後にいたりますまでの間において、市町村の区域の変更があつたときは、この変更された区域の住民は本條の定めるところによつて、従前の市町村の区域でその市町村を置くことができる。又区域変更の場合には、従前の市町村の区域の通りに境界変更することができるというのであります。そこでこれは次に二項、三項によりまして、住民投票ということになるのでありますが、その変更された区域だけの住民の投票をする、これは請求はその関係の三分の一のものです。そして住民投票の結果半数以上の賛成者があればそれによりまして、第五項によつて都道府県の知事が当該都道府県の議会の議決を経まして、そして市町村の廃置分合又は境界変更を定める、こういうことになつておる。ところが第五項が非常に問題でありまして、住民投票で勝つておるのに、都道府県知事が多くの場合においては否決をしてしまつて、住民の意思を踏みにじつてしまう、又この二條の精神を踏みにじつてしまうというので、非常に問題があつたわけであります。昨日の毎日新聞の夕刊にも、静岡県の富士宮市の分離否決につきまして、その分離の住民投票で勝ちました区域から訴訟を起しているというのが出ております。そこで衆議院の方の地方行政委員会におきましては、この第五項を削つてしまおう、つまり都道府県知事が議会に出しましたその案に基きまして、都道府県の議会が議決をする、可否を決するというこの制度を削つてしまおうというので、前の国会におきまして第五項中当該都道府県の議会の議決を経て削るという案を出したのであります。その趣旨はこの住民投票というものは最後的なものである。民主国会においては、住民投票が最後的のものであるから、その過半数を得ておるにも拘わらず、監督者でもない都道府県の而も議会がこれを否決するのはいかんという趣旨に出ておるようであります。ところがその衆議院改正試案が発表されますと、非常に問題が紛糾して参りまして、この刷物にもお挙げしてありますように、全国都道府県の議会の議長会とか、又外に愛知県の議会の議長会とか、全国知事会議とか、それから全国の市長会の会長とか、そういうところからも、その削除反対という陳情請願が国会又当委員会宛に出されておるのであります。そこでこの問題を先ず地方自治庁側ではどういうように考えておられるか、もとより今度の地方自治法の一部を改正する法律案にも、この点は何ら触れておられないのでありますが、この状況に対してどういうように考えておられるか。又経過などについて御説明願いたいと思います。
  62. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 委員長からお話がございました地方自治法の附則第二條の戦時中統合されました町村の分村の問題でございますが、この問題につきましては委員長からお話がありましたように、分離をすべきであるという立場にあるもの、又これに対しては反対の立場をとるものとがございまして、それぞれの立場において意見開陳なり陳情があるのでございます。政府としてこの問題につきましては、愼重な態度をもつて臨んで参つておりまして、自治庁にございます地方自治委員会議等におきましても、いろいろ、論議があつたような次第でございます。考えて見まするのに、戦時中に境界の変更、或いは廃置分合等が行われました実情を見ますると、或るものにおきましては平穏に行われまして、その結果今日におきましても自治団体としての運営を適性に行つておるというものもあるのは事実でございます。又統合の動機が軍事施設を設けるとか、そういうふうな目的の下に、或る程度行政的に行われたものがあるということも事実であろうと存じます。従いまして全体として観察いたしますると、必ずしも画一的にこれを扱うということは困難ではないか。かように考えられましたので、今回提案いたしました地方自治法の一部を改正する法律案につきましては、この問題について変更を加えることなしに、政府案として提案をいたしたような次第でございます、従いまして、この問題は両議院におかれまして、十分に御審議を頂きまして、これが結論をお出しになることにつきましては、政府としては十分に御意見を尊重いたしたい。こういう考えを持つておるような次第でございます。簡単でございますが、一応経過並びに考え方につきまして申述べて置きたいと思います。
  63. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 従来この第二條によりまして、どのくらいの市町村においてこの請求があり、又住民投票に付し、又その勝つた者、敗けた者、それから都道府県がそれについて議会がどういうふうに扱つたか。それについて大体説明が願いたい。尚詳細については表にして出して頂きたいと思います。
  64. 高辻正己

    政府委員(高辻正己君) 只今委員長からお話がございました件につきまして、結果だけを御報告申上げます。  この制度ができましてから、二月十日までに報告の分を集計いたしましたものでございますが、合計三十七件ございます。そのうち投票の結果、反対多数のものが二十九件、それから投票の結果、反対多数のものが五件、その他投票に至りませんでしたもの、途中で進行が止まつたものが二件、それから先程申上げました二月十日現在で、今では結果は分つておる筈でありますが、進行中のものが一件あります。それで、最初の投票の結果賛成多数のものにつきまして、議会で可決されましたものが八件ございます。議会で否決されましたものが十二件ございます。それから議会で審議中のものが二件、それから議会に提案準備中のものが七件というような結果になつております。
  65. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) どういう市町村においてそれが行われたか、それらの表を出して頂きたい。
  66. 高辻正己

    政府委員(高辻正己君) 承知いたしました。
  67. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 御質疑はございませんか。
  68. 三木治朗

    ○三木治朗君 今問題になつている附則の第二條の市町村の統合の問題、今政務次官のお話では両院の審議に俟つて適当に解決したいという御意思のように承つたのですが、今度の議題になつておる地方自治法の一部を改正する法律案は、全然前国会に出したものと同一のもので、何も直してないのでございますか。
  69. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 三木さんにお答えいたしますが、今回提案いたしました地方自治法の一部を改正する法律案に、先の国会提案いたしましたものと内容は全然両様でございます。
  70. 三木治朗

    ○三木治朗君 前国会に勿論その提出するまでに法案の準備をするときから見ると今日までに相当の時間のずれがあり、又その間には、シャウプ勧告などという大きな問題等もあつて、今日この自治法にもいろいろ修正しなければならない面が多分にあるのじやないかと考えられるのですが、例えばリコール制の問題にいたしましてもいろいろ不備な点があるように思いますし、そういう点をすべて議会で一々……、勿論検討することは差支えないのでありまするが、一応は政府としてこの点はかくありたい、この点は間違いであるならば、この点はこう修正したいというような改正案を、もう一遍改正をするなり、或いは政府の意思を明らかにした方が審議を進むる上において非常に早道ではないかと思うのですが、いろいろ各方面に直さなければならん所があるが、それらは盡く両院の委員会で直したらよいというのはちよつと無理なような気がするのですが、その点如何ですか。
  71. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 三木さんのお話、誠に御尤もと思うのでありますが、地方自治法改正につきまして将来尚改正する必要があるかどうかという点が一つあるだろうと思います。シャウプ税制報告書が出まして、地方と中央と、言い換えれば国と地方団体相互間の事務の再配分等が検討されることになつておりまして、これらの点につきましては地方自治法に関する限りにおいて、地方行政調査委員会議の結論に基いて将来改正しなければならない問題も起るであろうということは予想されるのであります。ただ現在問題になつております附則第二條の点でございますが、政府が先の国会提案をいたしましたそのままの内容で今回提案いたしました理由は、先程委員長からもお話がございましたように、この問題はすでに先の国会において提案をいたしました際に、衆議院におきましてこの措置について問題になつておる懸案事項でございます。又本委員会におきましてもいろいろ御審議を進められておるような問題でございまして、政府が最初これを提案いたしますにつきましては、地方自治委員会議の意見等をも十分に拝聴した上で、この改正に当りましては附則第二條に対して変更を加える必要はなかろう。こういう結論に相成りましたがために、政府としては附則第二條の改正案を織込んでおらないわけで、この考えは今日も変つておりません。尚又政府提案いたしました法律案審議に当りまして、最初から気がつきましたものを政府が何らの措置を講じないで、国会の御審議のみに委ねるという考えではないのでありまして、懸案になつておりますために審議未了になりました結果、この際内容の変更を加えることなく、更に御審議をお願いしたい。こういう意図から出ておりますことを御了承願いたいと思います。
  72. 三木治朗

    ○三木治朗君 そういたしますと、大体この法律案は前国会審議未了にしたものを持越したという形で一応これを片付けて、地方行政調査委員会議の決定によつて意見が出た場合において、改めて又全体の改正をしよう。こういう御意思のように拝聴いたしましたが、そう了解してよろしうございますか。
  73. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 只今三木さんから御指摘になりましたように、将来地方行政調査委員会議で調査の結果、地方自治法改正をいたさなければならないような結論に相成りました場合におきましては、その際改めて改正法案提案いたしたい。かように考えております。尚先程お答えをするときに洩らしておりましたが、今回の地方自治法の一部を改正する法律案内容として直接請求の書面の手続等にいたしまして、所要の改正をいたしたいという考えを持つております。この点につきましては地方自治体の行政が円滑に参りますようにということを目途といたしておりまするので、附則第二條の問題は勿論重大な問題でございまするが、同時に他の改正の点につきましても、さような意味を含んだものもあるということを御承知置きを願つて置きたいと存じます。
  74. 岡田喜久治

    ○岡田喜久治君 さつき伺つたこの経過報告を聴いておつてちよつと了解できない点があつたのですが、これが三十七件あつたということは附則二條のなんでございますが、区域変更を申請したものの変更だと思うがどうか。従つて一体申請は三十七件として、二條の処分を受けた件数がどのくらいあるか、そのうち三十七件が住民投票で問題になつた、こういうことになつているのじやないかと思いますが、全体でどのくらいあつたのですか。
  75. 高辻正己

    政府委員(高辻正己君) 先程申上げました三十七件のうち、投票の結果賛成多数が二十九件でございまして、そのうちで議会へ回付されましたものが八件でございます。この件に対しまして分離が成就したものが、そのうちの大多数がそうであるはずでございます。その各地方々々におきましての経過につきましては、先程委員長からお話がありました通りに、表にいたしまして御覧に入れたいと思つております。
  76. 岡田喜久治

    ○岡田喜久治君 処分になつた件数がどのくらいあつたかということを聴きたいのですが、そういうことは要するに表にして頂けばよく分つていいかも知れませんが、さつきの説明だとさつぱり肯けないのですが、議会というと、地方議会の意味だと思いますがね。
  77. 高辻正己

    政府委員(高辻正己君) 只今その件数が何件でありましたか、正確な数字をお答えできないのでございますが、それも取調べまして、この次に一緒にご報告をいたします。
  78. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 外に政府に対する御質問ございませんか。  それではお手許にお廻ししたこの書面について、試みにこうも考えて見たらどうかという、何と申しますか、試みの案というものを皆さんの御研究の便利のために出して見て置きました。それは原文は平仮名で書いてあるのですが、第二條の現行法規であります。そこへ真中の方に第六項として片仮名で書いて置きましたのが、こうして見たらどうだろうという試みの案であります。  一応御説明いたしますが、「前項ノ場合ニオイテ」というのは、都道府県知事が議会の議決を得るために提案をしたそのときに、議会の議決は知事の提案した日から二ヶ月以内にこれを行わなければならないということが一つ。而もその議決は左の各号の場合を除いた外は知事の提案を否決してはならないということであります。そこで何故それは知事の提案した日から二ヶ月以内かといいますと、これはもう余日が余りないのであります、その適用の期日が……。それは二ヶ年間でありますから、この二十五年の七月十九日までに請求をしなければならないということになつております、そこでまあ請求した以上は、何ヶ月かかつても県の方で放ぽかして置けば、今の現行規定ではいいのでありますが、余り永く放りつぱなしにして置いては、これは紛糾が増すばかりでありまして、現に只今政府委員から報告がありましたものを見ましても、審議中のものが二件それから提案等の準備中のものが七件もりあります、永い間これを放ぽかしてあるのが大部分であります。だから議会の議決は知事の提案した日から二ヶ月以内に、これを議決しなければならんということに考えて見たわけであります。これは或いはもつと永い期間が必要だということになるかも知れません。  それからもう一つの「左ノ各号」でありますが、その第一は請求又は投票が不当である。これはまあ説明を待ちません。それから第二項は、戦時中における当該市町村の区域の変更が、その変更にかかる区域の住民の自由な意思でやつたのであつて、何も強制も何もなかつた。戦時中であろうと、普通の場合であろうと自由に合併した場合もありますから、そういうことは戦時中であつたがために、無理な分離をしてしまおうということは、議会においてよく審議をしまして、そうして平穏で合併を行なつたものは、非常に無理であれば、これは否決をすることができるということにまあ考えて見たのであります。  それから第三項は、この第一項と申しますのは、本文の第一項でありますが、この区域変更によつて市町村の境界が著るしく不合理となつた、つまり長い町とか、合併した町とか、市がありまして、その部分だけ独立してしまうと、その市なり、町なりが断ち切られてしまうという場合が起つているのであります、そういうのは非常に不合理であれば、やはり否決を許すというふうにしたらどうであろうか、こういう案をまあ考えて見たわけであります。  昨日衆議院地方行政委員長の中島氏に面会をいたしまして、そのときにこの附則第二條の取扱は今度はどういうふうに考えておるのかなどを確めまして、中島委員長の申しますのには、大分情勢が好転しつつあるから原案で行きたいと思つているということでありました。で、まあ理想から言えば住民投票ということは最後的のものであり、そう考えること非常に結構でありますが、なかなかそれはそう行くのには反対論が相当強いのではないか、こういうふうに私の方は考えております。それでこの知事の提案に対して当該都道府県の議会の議決というものを設けた趣旨は、恐らくここに三点書き上げましたこんなことでなければ否決は許さないという趣旨であつたのだろうと私は付度するわけであります、そういう解釈規定を入れて行つたらどうか、こういう意味で試みの案として出して見たわけであります。尚これは御研究を願いたいと思います。これについて御質問があつたらどうぞお願いいたします。
  79. 三木治朗

    ○三木治朗君 これは大体地方議会のその議決を或る程度尊重しているのですが、その議決に対して一つの拘束力を與えることになるわけですね。この点が相当問題じやないかと思いますが、如何ですか。
  80. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) その点は甚だ問題であろうと思うのです。ただ私は新憲法下において、やはり住民投票というものは最後的のものである。これはどうしてもそう考えなければならん。だからそれを前提とする都道府県議会の議決というものは制限されても仕方がないのだ、こういうふうに実は考えておる次第であります。
  81. 岡田喜久治

    ○岡田喜久治君 そこでこれは否決したという実情如何が、はつきり分らんのだから誠に判定に苦しむ、こういう程度の規定を掲げて見たところが、考えて見ればこれは当然のことではないかと思うので、恐らくこういう標準で否決なり可決なりを行なつておるものとしか考えられない。随分妙なことではないかと思う。もう一つは、これは一つの過渡的な規定なんです。時期が来ればもう直ぐ消滅してしまう規定です。実情がどういうものか、自治庁の方でこれは相当一つ我々の参考になるような十分な意向を取決めて御報告を是非願う。それが非常に必要じやないかと思うのです。今になつて尚且これだけのものを書かなければならない。書くといつても今言つた通り内容を見て見れば随分妙なものであると思う。尚且これをやらなければならん必要がありや否や。又衆議院意向は好転したということですけれども、衆議院も実情に従つてどういうように考えが変つてくるかも知れませんから、それも一つ御調査願つて十分に御報告頂くことが前提となるのではないかと思います。
  82. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 前に申上げましたようにこれは一応の私案でありまして、これを是非決めて頂きたいというわけではございませんから、一ついろいろ衆議院の方と睨み合せて何とかして妥結しませんと、又地方自治法改正が延びまして、今の地方自治法の欠点が少しもよくならないのですから、何とかお考え願いたい、こういうふうに思うわけであります。尚これは不備ですからいろいろ御意見を出して頂きたい。  尚岡田委員に申上げますが、我々のこれまで調査したところによりますと、この否決をしました十二件については随分無理な否決があると思います。つまりこの三点に当らないでどんどん否決してしまつたという点がありまして、強制合併の強制の事実が明らかにあつたもの、それもただ県の方でいかんということで否決をする……。静岡県では確か三件か四件起つたのが全部否決です。そういうような状態で、従つてこういう事情が起つて来る。尚只今岡田委員の御要求がありましたように、成るべく実情の分る調書を出して頂きたいと思います。では今日はこの程度で散会いたします。    午後三時四十三分散会  出席者は左の通り。    委員長     岡本 愛祐君    理事            岡田喜久治君    委員            三木 治朗君            黒川 武雄君            堀  末治君            西郷吉之助君            島村 軍次君            柏木 庫治君            濱田 寅藏君   国務大臣    国 務 大 臣 本多 市郎君   政府委員    地方自治政務次    官       小野  哲君    総理府事務官兼    法務府事務官    (地方自治庁連    絡行政部長法制    意見総務室主    幹)      高辻 正己君    総理府事務官    (地方自治庁財    政部長)    鈴木 俊一君   参考人    全国市長会事務    局長      菊山 嘉男君