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1950-02-13 第7回国会 参議院 地方行政委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年二月十三日(月曜日)    午後一時三十二分開会   —————————————   委員の異動 本日委員藤井新一君、栗栖赳夫君及び 鈴木順一君辞任につき、その補欠とし て、堀末治君、岩木哲夫君及び谷口弥 三郎君を議長において指名した。   —————————————   本日の会議に付した事件地方行政の改革に関する調査の件  (地方災害全額国庫負担に関する件  及び地方財政需要の測定に関する  件)   —————————————
  2. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) これより地方行政委員会を開会いたします。  今日会議に付します事件は、先ず地方災害全額国庫負担に関する件を議題にいたしのす。右案件につきまして地方自治庁側説明を求めます。
  3. 小野哲

    政府委員小野哲君) 昭和二十五年度における地方災害復旧事業費国庫負担の件でございますが、この点につきましては、御承知のごとくシヤウプ税制報告書に基きまして全額国庫負担制度を創設することに相成つたのでございます。尚近く法案として提案いたしまして委員会の御審議を仰ぐことに相成つておりまして、閣議で決定いたし所要の手続を進めておるような次第であります。内容につきましては、財政部長から説明をいたしたいとぞんじます。
  4. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 昭和二十五年度における災害復旧事業費国庫負担特例に関する法律案といたしまして、近く国会提案いたしまして御審議を頂きたいと考えております法律案内容につきまして概略御説明申上げます。  これは地方公共団体又はその機関でありまする都道府県知事又は市町村長等の維持管理しております公共施設に関する災害復旧事業費のうち、特に地方公共団体又はその機関が施行するものについて、その事業費全額を国が負担することができるというふうにいたしたいと考えておるのであります。で地方団体又はその機関が維持管理いたします施設と申しますれば、結局河川、海岸、堤防、砂防、道路港湾といつたようなものになるわけでございますが、そういうものにつきまして、従来地方団体が、負担をいたしておりました部分全額国においても負担をする、こういう建前にいたしたいと考えておる次第であります。尚国が直轄工事として施行いたしまする災害復旧事業につきましても、地方団体がその受益者であるという建前から、これに負担金を課するという制度が現在行なわれておるわけでございますが、その部分につきましても、特に地方団体負担をさせないで国が全部負担をする、こういう建前考えておるのであります。でこれらの案は、昭和二十五年度限つて差当りこれを行う、その後におきましては、本年度における実費等から勘案をいたしまして、三国の財政状況等を勘案いたしまして将来の施策を考えたい。差当つて二十五年度について、そのような措置をとろうというふうに思つております。  この災害というのは、然らばその範囲はどういうふうに考えておるかと申しますると、これは天然現象、要するに人工によらない天然現象に基く災害ということで、台風でありますとか洪水、高潮、地震或いは地滑りというような地盤の変動によりまする災害でありますとか、或いは雪崩というような、或いは突風、旋風といつたような式のものを考えておるのであります。これらはいずれも地方公共団体負担をいたしまするものにつきましての特例措置でございまして、従つて一般の各種の協同組合等負担をいたしますものには、勿論及ばないわけでございまするが、近く国会提案をされることを予定いたしておりまする港務局、即ち港の管理を特にいたしまするための港務局というようなものが、港湾施設等について負担をいたしておりまするが、それらの災害に対しましても、特に地方公共団体と同様に考えて行きたい、こういうような考え方で決めておるのであります。この予定をいたしておりまする法案では、政令を以て規定をいたしまする範囲が非常に多くありまして、抽象的な内容になつておりまするが、何分予算の実行に関しますることでございまするのと、関係方面との話合いなどもいろいろございまして、このような措置に相成つておるのでございますが、提案をいたしまする際には、更に具体的な内容を明確にいたしまして、その旨を御表明を申上げました上御審議をお願いいたしたい、かように考えておる次第であります。
  5. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 御質疑をお願いいたします。
  6. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 二十五年度に限るというのは、二十六年度以外もやはりこういうような特例を以て行くのでありますか。
  7. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これは全額国庫負担という制度シヤウプ博士勧告に基くわけでございますが、地方財政建前から申しますれば、災害はすべてこれは国が負担をする、こういう建前になることは望ましいに違いないのでございますが、半面又こういう考え方に対しましては、災害があればすべてこれは地方負担をするのだ、災害程度というようなものを地方が皆査定をするのだ、それでその部分は国が負担をするのだということになりますと、又半面において地方自治という建前から申しまして、必ずしも好ましくない面が出て来はしないかというような半面論等もございまして、とにかく昭和二十五年度全額負担という、シヤウプ博士勧告精神を尊重いたしまして、これを国として実施をして見て、その後において更に二十六年度以降を如何に対処するかということの検討を加えたい、こういうような考え方只今政府としては考慮をいたしておる次第であります。
  8. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 そうしますと二十五年度に限るとはいうものの、その予算額を超過する場合等がありますれば、二十五年度に現つても、二十六年にこの特例案に基く災害の起きた場合は、その大小によつては二十六年二十七年に繰延べてやるというようなことは実際起るわけですね。二十五年度予算で足りればいいが、その二十五年度の終りの方に災害が起きた場合は、結局二十六、七年に継続事業でやるということも実際に起きて来るわけですね。
  9. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 本年度公共事業費の中の災害関係経費は、突発工事費を含めまして四百七十億あるわけでございますが、災害を一応の枠で予測いたしまして予算を計上いたしておるわけでありまして、若しも十五ヶ月予算が今後絶対にこれは動かし難いものであるということになりますというと、お話のようなことが起つて来るものとも存じますが、それに関しましては尚如何ような事態が起りますか、その事態に応じまして検討いたしたい、かように考えております。
  10. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 そうすると過半度に起きたような、九州方面その他の災害復旧というような、継続事業で現在やつておるようなものを二十五年度に入つてもそのまま引続いて行う場合、それとの関係はどういうふうになつておるのですか。
  11. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) ここで考えておりますのは、昭和二十五年四一日に施行する、こういう建前でございまして、過年度の分に対しましては、予算の今の額等関係もございまして出していないのでございます。
  12. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 そうすると災害ですから、例えば九州方面災害のように大なり小なり台風被害等があるのですが、二十五年度に例えば九州において災害が起きますと、二十五年度以前の災害も、同じ土地に起きた場合にはそれと重複して来ますが、そういうようなことは、これは二十五年度特例に基く前の災害であつたからといつても、それはもう一つ災害が起きた、そういうときに重複して来ますが、そういうときはどうするのですか。そうなつて来ると復旧費区分というものは非常にむずかしくなつて来る。同じ所に二十五年度災害が起きた場合どうなるのですか。
  13. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) その点はいろいろ関係方面との間におきまして話合のあつた点でございまして、お話のような、一時の案といたしましては、全部過年度分全額国庫負担というような話もあつたように記憶いたしておるのでございますが、その後の折衝の過程におきまして、殊に予算が決まりました経過等に関連をいたしまして、そのように過年度の分の全部を全額負担をするという建前にいたしますことが困難のような事情になつて参りまして、そこで昭和二十五年度分に限つてというような原則で参るというふうに相成つたのであります。そういたしました場合に、お話のように過年度からの災害と二十五年度に起つた災害が重複いたしました場合におきましての限界というものは、いろいろ問題があろうと存じますが、とにかくそういうような建前区分をいたして考えて参りたい、かように考えておる次第であります。
  14. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今の御説明でその辺なかなかむずかしいと思うのですが、例えば九州のごときは毎年台風被害を蒙つて、それが予算のために毎年の災害復旧が遅れて、毎年重つて、そうして被害が段々大きくなつて来る現状なんです。そういう場合に二十五年度の分は二十五年度だけのことを考えるということは、ないよりは結構であると思うのですが、これは例えば東北でもそういうようなことがあるのですが、こういうような災害が起きた場合に、費用を国庫全額負担をするということは勿論いいけれども、こういうような災害復旧というものは、地理的に毎年来るようなことが予想されるようなものであつて九州のごときは、その復旧予算関係で非常に遅れておる、而も今日も本会議公共事業費に関して利根川の災害復旧が遅れていて、非常に危険状態にあるということを本会議でも述べた人がありましたが、そういうふうに過去に起きた災害復旧が非常に遅れているようなものが非常に多い。そうすると新らしい年にそこに又起きれば非常に甚大なる損害が起きるのですが、そういうふうなことの予防といいますか、今まで起きているものが、地方財政の困窮の結果非常に遅れており、又国庫予算関係で遅れておる。そういうようなものに対しては、重復した場合はその中に含まないような建前であるというようなお話であつたけれども、そんなのではこういう折角の法律精神が死んでしまう。むしろ大きな気持で重複した場合は、過去に起つたものを含めて国家全体の見地から、大乗的見地から災害復旧国庫全額負担をするということが、地方財政の困窮した現状からいつて非常にいいのじやないか、又そうすればこういう法案精神が非常に国民にも徹底して来はせんかと思うのですが、二十五年度に起きたものだけをやるのだ、過去のものに対しては触れないのだというようなことは如何かと思うのですが、予算関係等もあることと思いますけれども、そういうふうな繰越事業でずつと来ている分は、過去の災害復旧してしまわないと、又起きた場合は非常に大きな国家経費を食うのですから、そういうものに対してもこういうものを当嵌めれば、今後に起きるべきところの被害を成るべく少くして済ますことができるのではないかと思うのですが、そういう点で重ねて伺いたい。その四百七十億というのは、この法律が成立するということを見越して組んだ予算ですか、その点も伺つておきたい。
  15. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 只今西郷委員の仰せになりました点は、御意見としては全く同感な次第でございますが、あとに御質疑になりました四百七十億というその予算の額というものと、この法案との関係についてお尋ねもありましたので、その点から併せて申上げたいと存じますが、予算の決定いたしまする際には、実はこの法案提案いたしますることは、政府部内といたしましては予定をいたしておつたのでございますが、まだその頃におきましては、関係各省並びに総司令部側との間におきまして完全な了解に達していなかつたのであります。然るに予算の方はそれよりも一歩先に決定されてしまつたというような関係がございまして、従いまして実は全額国庫負担という一つの方針を立てたわけでございまするが、その予算が決まりました後におきましては、四百七十億というその額、そのうち地方関係は四百二十九億でございますが、この額を一体どういう枠の中に置いて、全額負担という形で見て行くかということになつて来るわけでございまして、従いまして非常に幅広く枠をかぶせますというと、例えば災害の全体なら全体ということになりますと、四百二十九億という額で負担し得られます限度というものは、非常に大きな、例えば一千万円なら一千万円ぐらいの一ケ所の災害というようなものだけが、全額負担というような形をとらなければならんかも知れませんので、やはり一つ原則といたしましては、従来災害土木費関係の枠の中に入つておりました道路でありますとか、河川でありますとか、港湾でありますとかといつたような災害の最も主要な対象になりますものだけを決めまして、それを二十五年度において起りました災害について、全額負担という原則を立てて行こう、こういうふうに考えて来たわけでございます。  尚過年度の分につきましては平衡交付金関係におきまして、過年度災害によります公債費、これが非常に増嵩いたしておりまして、群馬県、九州その他の各地の県におきまして、災害のための起債公債費というものは非常に沢山あるわけでございますが、そういうふうなものはやはり平衡交付金の算定の基礎に置きまして、公債費をして特に見るようなふうに考えて行きたいというふうにいたしております。そういうようなことによりまして、過年度の分に関しましても、今までよりはより合理的に全体の調節が加えられるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  16. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今のお話を伺つて見ますと、この予算の点が非常に遺憾なのですが、御承知通り昨年の九州災害だけでも千億に近いものだつたと思うのですが、鹿児島県だけでも非常に大きかつたのは御承知通りでありますが、その点からも財源というものは極めて不十分で、自治庁においては起債等を増加されたりいろいろされたけれども、御承知通り予算がなくて二十五年度以降にそれが操延べられて来ると思うのです。そうすると、本年度の四百七十億、そのうち地方に廻されるものは四百二十九億という話を聞きますと、日本の地理的状況から見て、二十五年度災害復旧費としては非常に心細い予算だと思うのです。併し今後それに対してどういうふうに対処されるかは知りませんが、この法案は、二十五年度限つて、二十六年度以降の見通しはつきりしていないということですね。災害復旧費というものが二十六年度以降の見込がはつきりしていない。過去のものに対してはこれは適用しないということになると、さつきもちよつと申上げた通り、今まで繰延べているものが多いのだから、二十五年度にこういうものをお出しになれば、二十五年度以前の災害復旧というものに対するピリオツドをここで打つて置く必要がある。これが繰延べられて来るのに、二十五年以降にも……、現在でも過去のものが繰延べられて来ると思う。そういうのを完結させないで、途中て二十五年度だけやるのだということになると、選ばれた二十五年度は、非常にいいけれども、併し二十五年度予算でも不十分だと思うが……。それは結構ですが、二十五年度以前のものを、ここで災害復旧の手段、方法なりをはつきりしないと、地方は非常にそういう点で困るのではないか。二十五年度はこれで国家が見て呉れるけれども、過去のやつが不十分でその復旧が非常に遅れている。そうすると又二十五年度災害でそれが又傷む。併しそれは前の関係だから、前傷んでおつたものが復旧しないのだから、これは適用しないということを官庁の方で言わんとも限らない。そうすると地方は非常に困つて、更にこの案は適用されないというようなことになつて来ると、非常に私はその地方のものは迷惑を蒙る。二十六年度以降もはつきりしないということになると、二十五年度だけだということになると、二十五年度に殺到する。二十六年度以降はどうなるか。残されたものは置いてけぼりだということになると、これを二十五年度になさる精神は、非常に予算が不十分であつても、ないよりもまさりますが、二十五年度以前のやつをはつきり何とかして置かないと非常に困るのじやないかと思う。その点を伺いたいのと、この予算を、これでは非常に不十分だと思うのですが、例えば起債の枠を……この間ちよつと新聞で私も拝見したのですが、起債額を倍額とするようなふうに大蔵大臣が努力すめように新聞で拝見しましたが、それはどういうふうな意味なのか。この四百七十億に対しても不十分だと思うのですが、そういう点を、殊にこの法案予定されなかつた予算であるとするならば、当然これが出ればこれに対する分もお考えになると思うのですが、その点はどういうふうな財源措置をこれに対してなさるのか、その点をはつきり伺つて置きたいのですが。
  17. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 只今予算総額との関係から申しまして、今申上げましたような形に相成つているのでありまするが、将来二十六年度以降におきましても、このような制度は、今年度における実施状況の結果に徴して、改善すべき点を改善するといたしましても、こういうような形のものが継続されることが適当であろうとは私共も大いに痛感をいたしているのでございまするが、ただこれも今の国全体の財政の枠との関係がございまして、その点は遺憾ながら今後の研究ということに相成つているわけでおります。それから起債関係でございまするが、これは今年度の一応の枠として示されております三百億と申しまするのは、二十四年度の三百十億に比しまして十億すでに少いわけでございまして、これを更に相当程度この枠を拡げるようにいたしたいということを私共も考えておりまするが、今後関係方面との間におきまして、十分折衝を継続して参りたい、かように考えている次第でございます。
  18. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 政府委員に伺いますが、二十五年度における公共事業費のうち、災害復旧関係が四百七十億、その中で今問題になつている法律が通るとすれば、それによつて二十五年度災害ひとしてその法律によるものが百億ですか、どのくらいですか。それから百億とすればその残りの三百七十億というものは、今問題になつている過年度分災害費、こういうことになるわけじやありませんか。そういうことであれば西郷君の質問も……。
  19. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 委員長が言われた、この間、自治庁から出された昭和二十五年度地方予算推計概算額、これは少し違つて来るわけでありますね。
  20. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) これは関係がないのだろうと思いますが……。
  21. 鈴木直人

    鈴木直人君 今の答弁を……。
  22. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 先程西郷委員に答弁申上げました点につきまして、私の誤解をいたしておりました点がございますので、尚附加えて岡本委員長お話に関連いたしましてお話しいたしたいと存じますが、今の四百七十億と申しまするのは、過年度の分と今年度において施行いたしまするもの、要するに二十五年度において施行するもの、それから今年度発生のもの、両方合わせた数字でございまして、そのうち過年度発生災害に対して本年度工事をするのが三百七十億、今後発生する災害につきましての分としては百億……。
  23. 鈴木直人

    鈴木直人君 今年度発生の……。
  24. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) そう見ておるわけであります。
  25. 鈴木直人

    鈴木直人君 委員長の言うたのは正しいね。
  26. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今ので、過年度分が、三百七十億、本年度が百億、そうすると四百七十億の内容は分りましたが、そうすると、更にこれは余程今後の手当というものに対するあれを考えて頂かんと、これは余りに過少に過ぎるものだから、その財源措置は、予算手当を今後どういうようにするかということが非常に重要な問題であつて、この法案が、死文に等しいものになつてしもうのだが、そういう点は、さつきちよつとお触れになりましたが、説明が変つて来たから、もう一度説明して頂きたいと思います。
  27. 鈴木直人

    鈴木直人君 この法案は、非常に法律案としてはいいことなんです。併しながら国庫負担をするという法律案が沢山出ておりますけれども、予算において満足すべき予算がとれていない、従つて法律地方財政法なんか皆そうですが、法律においてはそうなつておるが、実際に予算が足りないために、現実の場合に、それが実行できないというのが従来のものなんです。従つて我々は法案よりも先ず予算が幾らとれるかということもいつも先きに頭に来る。ところが今の説明によりますと、二十五年度においては、四百七十億の予算がとつてある、この法律を施行するに必要なところの予算が四百七十億とつてある。併しながらその内訳を聞くというと、その中の三百七十億というものは、二十四年度以前に起つた災害がまだ継続事業等として残つておる、何ケ年継続事業ということで残つておる、その残つておる分の二十五年度分として三百七十億が組まれておる、そうして二十五年度に新らしく発生した分で、これは恐らく二十六年、二十七年度というふうに数年間を以て復旧するような建前になる場合もあるだろうし、又本年度つて復旧が完成する場合もあるだろうが、いずれの場合においても、本年度発生した災害について、本年度だけで負担するところのものは百億である、こういう内訳になつておる。そういう場合、今西郷君からも話がありましたように、本年度発生したものが結局百億の予算きりないということになる。而も昨年以前に発生したものが三百七十億盛られておるという現状から見て、今年度分の百億というのは非常に足らない。従つて恐らく本年度災害発生すると思うが、その際に私は、百億の来年度分としては非常に不足を来たすということになる。そういう場合に、この法律西郷君の言うように、死文に等しい法律になつてくる。そこでです。更に追加等によつて、こういうものはいわゆる追加予算等によつてやるか、或いは起債によつてやる以外に途がない。而も起債が先程の説明によると三百億です、昨年の三百十億に比して更に十億足らない。而もこの起債は、あらゆる額面に対する起債総額であつて災害に対する起債というものは、非常に少くなるだろうと思うのでございます。然るに一体百億というものでは、これはこの法律は完全施行できないと思うのです。この予算の上から見たあなたの見通し等をですね、それに対する措置がどんなふうにならんとしているのか、御説明頂きたいと思います。
  28. 小野哲

    政府委員小野哲君) 先程来、昭和二十五年度における災害復旧費全額国庫負担に関する予算関係並びに将来の見通しについての御賛同がございまして、財政部長からもそれぞれお答えを申上げたのでございますが、今回提案いたそうといたしておりまする災害復旧国庫負担関係は、現行の災害復旧国庫負担制度に対しまして、これを是正して参ろうというところに基本的な考えがあることは御承知通りであります。従いまして西郷さん或いは鈴木さんからお話がございましたように、一体昭和二十五年度災害復旧費四百七十億、そのうち過失の災害分として予定されておるものが三百七十億、二十五年度発生分として予定されておるものが百億、こういうふうなことに一応予算の上でなつておるのであります。併しながら過年度分としては、継続工事その他のために、尚災害復旧費が必要であることは、勿論予想されることでありまするし、将来、特に二十五年度において発生いたしました災害が百億円に止まるかどうかということも、必ずしも予断を許されない問題だろうと思うのであります。と同時に、地方債の問題におきましても、二十五年度予定されております総額三百億というものが、果してこれでいいかどうか、私共といたしましては、尚これを増額する必要がある、こういう考えを持つておりますと共に、二十五年度発生分に対応する百億円の予算自体も、発生程度災害程度等によりましては、予算的な措置としては追加予算を出さなければならない事態が起るであろう、こういうことを考えておるような次第で、要は、先程財政部長が縷々御説明いたしましたような経過を辿つて、今回全額国庫負担特例に関する法律案提案し得る段階にまでなつて参りましたような事情もあるような次第で、私共といたしましては、このシヤウプ税制報告書数字則つた制度は、二十五年度の実績に鑑みて、更に将来も継続して行くように努力して行きたいということは申上げていいかと、かように考えておる次第でございます。
  29. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今政務次官からいろいろお話がありましたが、私は聊か政務次官の御意見とは違うので、まあ、こういうふうなものをシヤウプ勧告によつてつたがという、やらんよりましだということをさつきから申上げたので、こういう法案を出されることは結構ですが、新らしい法案を、災害復旧の問題については重大問題で、前議会から予算の不足の問題で囂々たる陳情が地方からあるのです。今鈴木君からも言及されましたが、法案ができるとか何とかいう問題じやない、実際に災害復旧しなければどうにもならん現状にあるのです。ですから法案がないよりは、二十五年度だけでもあつた方がいいのですが、法案を活かすものは財源なんだから、その予算を案山子のごとく百億と並べたのでは、これは問題にならんのですよ。今の四百七十億のうち三百七十億は過年度分という、全額過年度分に廻してもこれは不十分だ、前から予算が足りないでずつと来て、過年度分が二十六年度分にも行きやしませんか、そういうふうに継続事業で来ているんですから、四百七十億を全額充てても不十分なんです。それなのに、そのうち三百七十億円を過年度分、更に百億とこう並べた。では、過去の災害から考えて見て、それじや余り案山子的存在じやないかというふうに我々は痛感する。今のお話では、これでは法案はできてもどうも、ただシヤウプ勧告一つであるから実行するというような、形式的な問題じやないと思う。どうも政府側はシヤウプ勧告でやつたが、これを活かすのは、法案でそんなものを作つたつてしようがないので、財源措置はどうであるかということが実際の問題で、それを我々は心配するから申上げるので、過年度分併せて四百七十億円じや、これは余りに申訳的な存在に過ぎない。むしろこの予算なんか、非常に現内閣は立派な予算であると誇示するくらいの……実際にあけて見るとこういうふうな現状ではこれは問題にならん。
  30. 鈴木直人

    鈴木直人君 私議院運営に出なければならんので一応先にお話させて頂きたいと思うのですが、今西郷君の言われたように非常に不満足です。従つて今政務次官なり財政部長に話したところで、これは非常にむずかしいと思うのです。それで僕は、この法案審議する場合に大蔵大臣なり或いは総理大臣なりに出席を求めて、そうしてその方面、或いは自治庁長官あたりに求めて、それは追及して、今百億あるけれども、この法律が出た以上は、法律が優先するのだから、従つて若しこの法律を施行する上において、予算を必要とする事態が起つた場合、例えば二十五年度において災害が起つた、ところがその復旧においては五百億必要であつたという事態発生した場合には、この法律は最も強いものである。そうしてこの法律全額国庫負担であるから、この法律を施行する上において、政府はその義務を負うものである。五百億出さなければならんという義務を負うものである。こういうことをはつきりしないと容易にこの法案は、私は納得できないと思うのです。それで法律法律であるけれども、災害が起つた場合には、その国の財政の都合によつて予算は組むのであるということであつては、徒らに法律が出ても、地方自治体を苦しめるようなことになる、この法案が施行できなくなるから、これは今予備的に研究時代であつて、予備審査にもなつていないのだから、そういうことを私は申上げて置きます。ただ一つ、これは地方自治庁において答弁できると思う点は、平衡交付金は千二百億あつたわけです、それが百五十億ですか減らされた。その理由は、災害国庫負担にするために百五十億必要としたということで、いわゆるこの法律を施行するに必要などして、本年度分として利用されたように聞いている。ところが今聞きますと、本年度分としては百億しか入つていないということになるとすると、その五十億はどこへ行つたのですか。五十億は、過年度分の三百七十億というものに入つたとすれば、国自身が五十億当然出すべきものを、五十億平衡交付金から持つてつたのじやないか。これはちよつとシヤウプ勧告案による平衡交付金は、千二百億というふうに決めた趣旨に反する、これが本年度分として百五十億入つたとするのなら了承できる。百億しか入つていないとすると、あと五十億どこへ行つたのか。
  31. 小野哲

    政府委員小野哲君) 只今鈴木さんからお話がありました平衡交付金総額の問題でありますが、これは平衡交付金に関する概要を御説明申上げます際にお話を申上げるべきであろうかと存じますが、当初政府としては、千二百余億の平衡交付金昭和二十五年度予算に計上すべく準備をいたしておつたのであります。これに対して、大体百五十億程度が減りまして千五十億ということになつたについて、鈴木さんは災害復旧費のため廻したのではないかと御疑念のようでありますが、それはそうではないのでありまして、平衡交付金の方の総額が、最初予想されておりましたものに対して減りましたのは、生活保護費の補助との関連において調整がされたということになつておりますので、従いまして災害復旧費の、只今問題となつております予算との関連においては問題がないと、かように私は了解しております。
  32. 鈴木直人

    鈴木直人君 もう一つお聞きしたいことがあるのです。この予算の使い方ですけれども、三百七十億というのは、恐らく二十四年度なり、二十三年度なり、二十二年度なりに災害発生して、そうして三ケ年とか或いは四ケ年とかというような継続事業としてもうすでにスタートしておつて、そうしてそれが建設省なら建設省方面において、当然本年度分として、建設省の予算に組む義務を持つている継続費だと思うのです。それがこつちに所管替されたに過ぎないというふうに考えておるのであります。従つてこれは当然この法律施行に伴つて生じて来たところのものではなくして、この法律が施行されない場合においても、すでに本年度負担分として、継続費の分として、建設省なりその他のものに組まれるべきものが、こちらに所管替されたに過ぎない、本年度分としては百億に過ぎないと思うのでありますが、そういう本年度において災害発生したとかという場合には、本年度において発生した災害は全部本年度でやつてしまう、復旧してしまう、こういう建前になつておるのか。或いは本年度はその一部、例えば本年度はその一部で、数年の継続予算を以て来年度、再来年度までもやつて行くというふうな継続事業的な形において、復旧される分が入つておるか。この予算というものは、もう本年度のやつは全部本年度において復旧してしまうというような建前になるのか。これが来年度、再来年度ということに、三年なら三年の継続事業としてこれはやつて行くのだ、併しながら本年度年度末であるからして十億きり負担せんが、来年度は百億負担しなければならない、こういうふうな形になつて行くのか。この使い方ですね、それをお聞きして置きたいと思います。
  33. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この予算の、公共事業費予算の経理の仕方は、これはこの法律が出ると出ないに拘わらず、一応国の公共事業費予算の中に入つておるわけでございまして、安本の認証によつて、それぞれ支出すべきものは支出するという形になるわけでありますが、今後の問題といたしまして、百億で足らなかつた場合に、あとはどうするということでございますが……。
  34. 鈴木直人

    鈴木直人君 そうじやないのです。今年度災害箇所は、本年度だけで全部復旧する建前をとるか、数年かかつて復旧する建前をとるかということです。
  35. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この点は、本年発生した災害につきましては、すべて本年施行することが望ましいわけでございますが、今の一応百億という枠があるわけでございまして、その枠を以て到底賄い切れないような災害発生いたした場合においては、そのために必要な追加予算考えるか、或いはそれを次年度以降に繰越すかということは、やはりそのときにおいて考えなければならない問題だと思うのであります。目下といたしましては、必ずそれに対する追加予算その他の措置を講じ得るというようなはつきりとしたことは申上げられない状態にあります。
  36. 堀末治

    堀末治君 私ちよつと遅刻いたしたので、或いは聞き洩らしたか知りませんが、過年度分災害が三百七十億と計上されておるのでございますが、この三百七十億というのは、過年度災害全額でございますか、それを一つお聞かせ願いたい。
  37. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これは過年度からの災害の一応建設省等で査定をいたしました額というものは、相当多額を計上いたしておるわけでありますが、その中で本年度工事を施行いたしまするその予定の額というわけであります。従つて全体の額から申しますと非常に少い額であります。
  38. 堀末治

    堀末治君 全額は何ぼでございますか、お分りになりませんか。
  39. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) ちよつと只今ここに数字を持合せておりませんので、後程申上げたいと思います。
  40. 堀末治

    堀末治君 それでは後程その全額を聞かせて頂きまして、そのうち三百七十億出るわけでありますが、今度のシヤウプ勧告によつて災害復旧費国庫が全部持てということになつたので、本年度の百億というような見積もり額も出たのだろうと思いますが、そうすると、三百七十億を差引いたあとの額は何程であるか存じませんけれども、大体これを何年間に片付けるというような、政府としては御方針がなければならないと、かように思うのでございますが、それを一つ。残つておる額と、その額を、凡そ本年は三百何十億出したが、あとを二年に片付けたいとか、あとを三年に片付けようというような御方針があれば、それも一つ次回までにお聞かせ願いたいと、かように存じます。
  41. 鈴木直人

    鈴木直人君 それからもう一点はつきりして置きたいのは、この法律によつて施行する分と、それから災害の中に、例えば建設省その他がいわゆる直接直営工事その他によつて施行する分というものがその外にあるのかどうか。災害というのは一切合切この費用でやるようになるか、或いは災害を二つに分けて、この法令の條項に合つておる分、いわゆる地方公共団体若しくはその機関の維持管理する施設に関する災害の中で、地方公共団体又はその機関が施行するものと、第二は、国が施行する事業の中で、地方公共団体が費用の全部又は一部を負担するものと、こういう二つにこれは限られておるものであつて、国自身が維持管理するとか、国自身の責任で以て地方公共団体をして施行させるのではなくして、国自体が直接維持管理をし、或いは工事を施行すると、そういう分が災害復旧というものの中に別にあるかと、いわゆる災害復旧というものは全部この予算によるか、或いは、この法律による分と、建設省その他が面接地方建設局をしてやらせるという二つあるかどうかという点を一応お聞きして置きたいと思います。
  42. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この四百七十億のうち、国が直轄工事として施行いたします災害復旧事業は約四十一億であります。残りの四百二十九億、これだけは地方団体に交付いたしまして、地方団体の工事として施行せられるものであります。
  43. 鈴木直人

    鈴木直人君 そうすると、今までの御説明によれば、国が直轄でやれるものと地方公共団体をして施行せしめるものとを加えたものがいわゆる四百七十億になるのであつて災害復旧に関する限りにおいては、それ以外の予算はないというわけでございますか。
  44. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この法案予定をいたしておりまする河川、海岸、堤防、砂防、道路港湾というような、従来のいわゆる災害土木費に関係をいたしまする災害復旧経費として予算に計上せられておりまするものは、只今お話のように四百七十億だけであります。あと農業関係とかその他のものが若干あるわけであります。
  45. 鈴木直人

    鈴木直人君 私お聞きしたのは、別の観点からお聞きしておるのですが、例えばここに町村がある、県がある、そこで災害が非常に多かつたと、ところがこの法律を施行するについては、非常に予算が足りないものだからできない。そこで止むを得ずこれは国が直轄をして一つ施行をして貰いたい。府県市町村から見れば、災害復旧すればよいのだから、国の直轄で工事を施行して貰おうが、或いは府県市町村が施行しようが、復旧すればよいのだという観点から、この予算以外に災害復旧費として、国が直接やる、建設省あたりでやるというような予算が仮にあるとするならば、それは国に直接やつてつて、成るたけこれはそれ以外のものをやつて行くと、こういうことが起り得るわけです。又この法律の解釈によると、この法律によるものは全部この予算を以てやるのであつて、この法律によるものは国は直接はやれないのだと、この法律の條項に当たるものはこの予算以外に使えない、国には幾ら他に予算があつてもこの法律災害においては使えないのだと、こういう建前にたつておるか、それをお聞きしておきたいと思うのです。いわゆるこれ以外には国直接やる災害の費用というものは他の省にないものかどうか。
  46. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 他の関係省のうち、いろいろ事案をやつております省の中には、或いは広い意味の災害という見地から支出せらるべき項目が若干あると存じまするが、地方公共団体が直接関係をいたしておりまするものとしては、結局地方公共団体の維持します公共施設災害だけでありまして、その他農業協同組合というような関係部分が若干あると存じまするが、とにかくここで予定いたしておりまするのは、従来、災害土木費国庫負担法というのが現在もあるわけでございますが、それが災害がありました場合には、国地方の分担の割合を決めておるわけでございますが、それを特に本年度全額出すのだということをこの法律は謳おうといたしておるわけであります。国の直轄をいたしまする部分公共施設関係は、只今申上げましたように、約四十一億、これが公共事業費に盛り込まれておるものでありまして、予算の項目としては、凡そ公共的施設に対しまして国の出します経費は、一括して安本所管の公共事業費の中に計上されておるわけでありますから、他の省の、仮に災害復旧のような関係のものがございましても、これはそういう公共事業という観点のものではないものじやないかというふうに考えております。
  47. 鈴木直人

    鈴木直人君 大体分りましたが、更に例を引いて見ますれば、利根川なら利根川が非常に災害を蒙つた、利根川の改修は建設省が直接やつておるようですが、そういう場合に利根川の災害に対するところの跡始末という点は、これはこの中に入つていないので、これは別途に建設省自体が予算をとつて、そうして建設省自体がそれを復旧するという建前になつておるのか。或いは建設省自体が利根川の復旧をする場合においても、その四十何億の中でやらなければならないのかという点がお聞きしたいのです。そうして利根川は国自身が復旧する、利根川というものは国が所管するとしても、利根川の流域のところの県なり市町村というものは、やはり利根川の影響を蒙るのですから、利根川を改修して貰いさへすれば、その県がやろうが、市町村がやろうが構わない、成るたけ復旧予算を多くとつてつて貰うために、この金を使わないで、利根川復旧のごときは別途の予算を建設省自身がとつて、建設省自身が利根川を復旧して行くという、こういう建前をとるのが本当だと思うがどうか。こういう予算が含まれておるか。
  48. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 多少所管が違いまするので、或いは正確なる御答弁にならんかとも存じまするが、公共事業費の中では、災害復旧費と、その他の一般の事業費と、この二通りに分れておりまして、その総額は九百七十億でありますが、このうち災害関係として直轄工事でやりまするものは、先程申上げましたように四十一億、災害以外の公共事業として国が直轄してやりますものが二百十三億でございます。恐らく或いはこのうちに何か利根川関係の改修工事の経費等も含まれておるのではないかと思います。
  49. 鈴木直人

    鈴木直人君 もう分つたのですが、今申上げたのは、一般的な改修じやありませんで、今年利根川が災害が起つた、本年度新らしく起つたという場合に、恐らくこの災害復旧費の四百七十億ですかね、この中に入る、そうして四十一億というものの中に入るという建前をとるのかどうかということなんです。
  50. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これは、この法律は飽くまでも地方公共団体又はその機関が維持管理する施設に関する災害復旧事業のうち、地方公共団体又はその機関が施行するもの、こういうふうに考えておりまして、従つて利根川のようなものは、これは地方公共団体の維持管理するものでもございませんし、又その工事を地方公共団体が施行するものでもございませんので、これには当然人つて来ないわけであります。
  51. 鈴木直人

    鈴木直人君 まあ予算のことを聞いたので……。
  52. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今の予算関係につきましては、どうも今までのところでは非常に不十分なんですが、大臣でも、所管大臣でも来られて、又正式に提案されたときに大いに承わりたいと思います。
  53. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 今までの御質問につきまして総括して置きたいと思いますが、この国の直接工事をする四十一億、その四十一億というものは、この百億の中に含まれてあるのかどうか。百億というのは二十五年度の本法を適用して出す災害全額国庫負担、その中に含まれているのかどうかということ。
  54. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 四百七十億の内訳を更に申上げますと、直轄工事としての分が四十一億であります。そのうち、過年度発生いたしました災害について、本年度工事を施行する分が三十二億、本年度発生する災害について直轄としてやるものが九億であります。それから地方公共団体に交付して地方公共団体の施行としてやる予定のものが、過年度発生いたしたもので本年度施行いたしますものが三百三十八億、それから本年度発生をいたしますものについて施行するものが八十一億であります。
  55. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 分りましたが、そういたしますと、後程審議をいたします昭和二十五年度地方予算推計概算、それと今の災害費との関係ですが、その国の直轄工事の四十一億の中の過年度の三十二億というのは、これは勿論関係ありませんね。一つずつ伺いましよう。関係ありませんね。
  56. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この二十五年度地方予算推計概算額の中にございます歳入の方で、公共事業補助金というのが七百十六億、それから歳出の方に公共事業費一千億ございますが、この歳入の方の公共事業補助費の七百十六億の内訳を申上げますと、これは災害復旧費関係の補助金が四百二十九億であります。それからその他の普通の公共事業費の補助金が二百八十七億であります。その中で関係のありますのは災害復旧費関係の補助金の四百二十九億でありまして、その数字只今申上げました災害関係経費四百七十億のうち、地方公共団体に対しまして補助いたしまする分の中で、過年度発生災害に対して本年度、二十五年度工事を施行いたします分が三百三十七億、それから二十五年度発生する災害で明年度に工事を施行する……先程八十一億と申しましたが、九十一億であります。この三百三十七億と九十一億を加えました四百二十九億というのが、今こちらの地方予算推計概算額の方で災害復旧の補助金として四百二十九億見ていると申上げましたその数字と符合するわけであります。
  57. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 さつきの四百七十億の内訳、こういうものをもう少し参考資料として詳しく出して頂きたい。
  58. 堀末治

    堀末治君 西郷さんのお言葉で足りているようでありますが、推計概算額のこの内訳を、今御説明になりましたね、これの内訳を今の御説明通り書いて呉れませんか。ちよつと分らない。
  59. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 大体分りました。それでは表にして出して頂きます。  先程各委員からお話がありましたように、この法案はまだ国会に提出されておりません。従つて予備審査の段階にございませんから、提出されましたときにおきまして、更に大蔵大臣その他を呼びまして審議いたすことにいたします。尚恐らくこの法案は、建設委員会、大蔵委員会とも関係が深うございますから、連合委員会になるかも知れません。   —————————————
  60. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは次に移りまして地方財政需用の測定に関して説明を聴取いたします。
  61. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) それでは皆さんのお手許に差上げてございます昭和二十五年度地方予算推計概算額というのによりまして概略御説明を申上げたいと思います。  それでは歳入の方から申上げますと、地方税でありますが、千九百四十八億、この数字は、その後目下司令部との折衝過程にございます地方法案内容によりまして多少動きが出て来ると存じますが、大体千九百四十三億ぐらいになると思います。これは御希望によりまして又別に税のことはお話申上げても結構でございますが、一応千九百四十三億ぐらいございます。その下にございます百十九億という数字は、これは国民健康保険税というものを目的税として新らしく起しまして、税収入の中に考えたいということであつたのでございますが、これは司令部との折衝過程におきまして、そのような税を起しますことが困難のようなことになつておりまするので、この数字は御考慮に入れて頂かないでよかろうと思います。地方財政平衡交付金の千五十億、これは先程も御質問がございましたが、主として生活保護法の関係の国の補助金の百五十億というのが、この平衡交付金の中に繰入れられて見込まれるように相成つてつたのでございますが、これがやはり平衡交付金の枠から外へ出して行くということになりましたために百五十億減りまして、千五十億ということになつたわけであります。それから国庫支出金でありますが、これは補助金とか交付金とかいうような名の下に地方に参りますものが、全体で九百八十八億、本年度予算に計上されております。その下の八億は国民健康保険関係経費で、これは除いて考えて貰つて結構であります。普通補助金が二百三十二億、これはシヤウプ博士勧告の趣旨に従つて各種の補助金の中で、負担的な、要するに地方団体におしならべ支出する経費で、政府が一部財政負担をするという意味で出しておりますのは、すべて平衡交付金の中に繰入れるという趣旨でございまして、そういうものは平衡交付金千五十億の中に皆含まれたものでありますが、それ以外の残りのものであります。その二百三十二億というのは残りのものでありまして、結局いわば奨励的な補助金、政府がある施設をすることを地方団体に勧奨をいたしまして、そのためには若しこういうような施設を作れば国から補助金を出すというような意味の奨励的な補助金、こういうものが主体でありますが、それが二百三十二億あります。直その中には若干元利補給関係の補助金、例えば関東震災の折の横浜、東京その他に対する一種の国としての元利預金としてやつておりますが、それは一部でございますが、そういうようなものが二百三十二億、その下の額が国民健康保険の関係、これは別であります。それから公共事業補助金、これは先程ちよつと申しました七百十六億でありますが、これは災害関係の補助金が四百二十九億、それからそれ以外の一般の学校その他の補助金、これが二百八十七億であります。合せて七百八十七億であります。
  62. 三木治朗

    ○三木治朗君 災害関係は幾らですか。
  63. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 災害関係が四百二十九億であります。その他が二百八十七億、それから失業対策事業補助金、これが四十億、予算に計上してある、それくらいであります。それから地方債、これは先程申上げましたように、三百億という枠になつているのであります。それからその他収入でありますが、これは大体今明確になつております決算は、二十二年度のものでありまして、それを基礎にいたしまして、その後の物件費の増、物価の値上りというものを見まして、大体二十二年度の決算の三・七一三倍を掛けて出したものであります。その内容としましては、手数料、使用料、寄附金、財産の売拂代とか、負担金、分担金或いは基本財産その他の収入といつたようなものを皆含めておりますものが三百八十二億であります。それから八十六億というのは、健康保険関係の保険料収入であります。これは別のものであります。それで結局四千六百六十八億が大体の歳入であります。  それから歳出、それが最初に申上げました地方税が約五億ばかり減りますから、これより三億引いた数字考えております。それから歳出の経常的経費でありますが、これは地方の歳山を先ず臨時的な経費と経常的経費に分けますと、経常的経費の中で、更に給與費とそうでないものとを分ける。何故そういうふうにいたしますかと申しますれば、給與費は職員の数その他が大体分つておりますので、比較的的確に分りますし、又給與ベースというものが地方全体を通じて国のベースの上に載つておりますから、大体これは正確な数字が出るのであります。これを弾き出しましたのが二二行目目の千百五億であります。国民健康保険関係のものは別にいたします。それからその他経費でありますが、これを更に公債費とそうでない経費というふうに区分をいたしまして算出いたしました。公債費としては百六十二億、それからその他の経費、これが一般の行政費でありますが、千九百八十五億、それで二千百四十七億ございます。その算出の仕方を簡単に申上げますと、公債費の百六十二億の方は、これは昭和二十四年度地方債の現在額を出しまして、それから算定をいたしたものであります。それが百六十二億でありますし、その他の経費公債費以外の一般の行政費でありますが、この千九百八十五億というその数字は、どういうふうにして弾き出したかと申しますと、これは先ず二十二年度の臨時的経費、給與費とそれから公債費を除きましたいわゆる純粋の行政的な経費、これが二十二年度の決算で申しますと約四百億であります。その四百億に対しまして、先程申上げました物価倍数の三・七一三倍をいたします。それを基礎にいたしまして、その後二十三年度に新規事業として輿つて参りましたものが百七十七億であります。百七十七億に二十三年度から二十五年度に至る物価倍数の一・八六一を掛けまして、二十三年度に新たに輿つたものの新規事業を見て行くわけであります。それから更に昭和二十四年度に新らしい事業として興りました分を四十億見込んでおります。それから更に二十五年度の新規の財政需要として見るものを百四十七億見込んであります。この二十二年度の純粹行政経費の三・七一三倍いたしましたものと二十三年度の新規の経費の百七十七億に物価倍数の一・八六一を掛けたもの、それから二十四年度の新規の財政需要の四十億、これは物価倍数を掛けません。そのまま見ております。それから二十四年度の新規事業の百四十七億、これを全部合せましたものが千九百八十五億見当になります。それがその他経費の中の更に細目のものであります。それから臨時的経費の方を申上げますと、これは公共事業費の千一億でありますが、これは災害関係の補助金の分が、四百二十九億円、それから災害以外の一般の公共事業費が五百七十二億であります。それから失業対策事業費、これは歳入の方の失業対策事業の補助金の四十億円に対して、三分の一が国庫負担でありますから、結局地方でやりまするものは、事業量としては六十億になります。三分の二の国庫負担であります。地方費単独施行事業費、これは国からの補助金がないもので、公共事業として地方が単独で施行いたしまするものが、三百五十五億、これは大体地方債の許可の状況等から勘案いたしまして算定をいたしております。そういうものを合せて四千六百六十八億であります。これは約五億ばかり落して考えなければなりません。  そうしてその下の参考の所を御説明申上げますと、前年度に対する地方財源増加額。1の地方財源増加額が、(1)が地方税でありますが、これは昭和二十五年度は千九百四十八億という数字を一応とりますと、二十四年度の千五百二十四億、これは大体ドツジ氏の指示したものであり、更にシヤウプ博士もその千五百億という数を押えておりますが、それとの差額の四百二十四億というのが、地方税の純粋の増でありますが、シヤウプ博士によりまして、四百億地方税を増すというと、大体その数であります。それから(2)は地方配付税および同系統分、これは地方配付税がなくなつたその代りに平衡交付金が生れるわけでありますが、地方配付税として本年度計上されておりますものは、五百七十七億に、先般の追加予算を加えました六百六十七億というのが二十四年度の配付税の総額であります。平衡交付金は千三十億であります。それからその外に先程申上げましたように、従来補助金として出ておりまするもので、単に負担的の意味のものは全部これを平衡交付金の中に繰入れるという原則に従いまして、平衡交付金に繰入れられたものが三百五億あるのであります。そこで実質的には地方配付税の六百六十七億と、一般財源に振替えられる補助金が三百五億、この二つを合せました九百七十二億というものが今年度は千五十億に殖えたということになるわけであります。それから(3)の地方債、これは先程申上げましたように、二十四年度の三百十億が三百億円に落ちております。十億減つております。(4)の国庫補助災害復旧事業費全額国庫負担をすることによる地方負担の減、これは地方が一部負担をいたしまするものを、全額国庫負担において災害復旧をやつて貰うということからして、百二十一億だけこれは余裕が出て参るのであります。その内訳を申上げますと、昨年、二十四年度事業費災害関係復旧費が、これは別の数字でございますが、三百四十三億、そしてこのうち国費に支弁をして貰つた分が二百二十億、差引百二十三億でありますが、この百二十三億というのが地方負担として昨年災害復旧が行われることになつておるのでありますが、この概ね百二十三億に相当するものが、今年度は全部国が負担をするということになりまするから、その分が要らなくなるわけであります。大体その数字は百二十一億とここで踏んでおるわけであります。それからそういうふうにして地方税の殖えた分と配付税の殖えた分と、起債の減る分、災害全額負担によりまして浮いて来る分とを合せますと、ネツト六百十三億だけ地方財源が増加して来るということになります。  それから半面今度はやはり新らしく負担が殖えて来る面、これは地方負担増加額、その(1)は国庫予算に伴う地方負担増加額、これが百二十八億あります。これはその内訳を申しますと、公共事業費で八十四億、その他が四十四億。この公共事業費と申しますのは、災害関係以外の公共事業費であります。災害の部面は前に見ておりまするから、災害関係以外の公共事業費の増加が八十四億であります。それからその下のその他と申しまするのは、教員……、小学校の教員につきましては、今年度生徒、児童数五十人に対しまして一・三五の割合になつておりまするものを、二十五年度は一・五にしております。又中学校は一・七でありまするものを一・八の割合に見ますから、この関係で教員の費用も殖えております。その他寒冷地手当等も殖えて参ります。又共済組合の関係経費等の諸経費が殖えて参りまするので、そういう部分を四十四億と見込んでおるわけであります。それから(2)のその他の地方負担増加額でありますが、これは国庫予算に伴う、即ち地方だけの純粹の負担増加分を見込んでおるわけであります。これの内訳といたしまして六十三億の内訳に、やはり全然この国からの補助のない職員の寒冷地手当、石炭手当等もやはり増額いたしますから、その部分でありまするとか、或いは町村吏員の恩給組合の関係の増額でありまするとか、或いは徴税機構の拡充強化のための経費でありまするとかいうようなものを見込んでおるのであります。そういうものが六十三億、そういうふうにいたしまして負担の増加になりまするものが結局百九十一億であります。  それからその差額の差引純地方財源増加額は四百二十二億になるわけであります。そのうち、まあ寄附金額がシヤウプ博士勧告によりますると、四百億ある、そのうち三百億だけはこの増税の中に見込んで減すべきであるというようなことになつておりまするから、その三百億というものは実は寄附金として今迄出しておつたわけでありまするから、その部分は実質的にはただ予算の枠に入つて来たというだけでありまして変りません。その部分を引きますと結局百二十億というものが、実質的に地方団体財源の純増加額である、これだけは地方財政にゆとりができるという大体の見当であります。
  64. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 御質問ございませんか。
  65. 黒川武雄

    ○黒川武雄君 ちよつと伺いますが、歳出のその他の経費の中に、公債百六十二億とおつしやいましたけれども、これはどういうことになつていますか、それについて少し詳しく……。
  66. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これは二十四年度末の地方債の残高を推計をいたしまして、その関係の元利償還分を見込んでおるわけであります。細かく申しますといろいろございますが、借入條件が非常に終戦後においては激変をしておりまするので、それぞれ年度ごとにいろいろ見込みまして、そうして今申上げました百六十二億という数字を出したわけでございます。
  67. 黒川武雄

    ○黒川武雄君 分りました。
  68. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) この再差引きの実質地方財源増加額百二十二億、これの都道府県と市町村の区別が分りますか。都道府県が幾ら、市町村が幾らと……。
  69. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これは府県、市町村を区分いたしました数字を目下用意いたしておりませんが、大体地方税の純増の四百二十四億と申しますが、この部分が結局市町村において殖えるものでございますから、結局百二十二億と申しますものも、市町村においてそれだけゆとりができる。府県の方は現状と違わないというふうに達観できると考えております。
  70. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) そうすると府県は百二十二億のうち、一つも殖えない。そうすると市町村の方は百二十二億しか殖えない。或いは府県の方は再差引すると非常に減るのであつて、マイナスになるのであつて、市町村の方は四百億も殖える……。でなければおかしいと思います。
  71. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 府県の方も、例えば災害復旧事業費全額国庫負担という関係におきましては、府県が施行する事業が相当多くありますので、これはやはり或る程度その関係では浮いて来ると思います。併し地方税の関係では、これは専ら市町村が殖えることでありますし、起債等はそう多くは変化がございませんので、結局府県といたしましても、今年よりは或る程度は楽になり、市町村の方は大体百億近くは楽になるのではないだろうかというふうに考えます。
  72. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 市町村の方は四百億以上の地方税が殖え、その他殖えるのだが、やはり負担も殖える。負担も殖えるから、結局百二十二億ぐらいしか実質的には財源が殖えない。こう見るのですか。
  73. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 結局そういうことでございます。新たなる、シヤウプ博士が予想しておりました四百億だけはとにかくゆとりができるという、その案といたしましては、その後におきまして新らしい仕事は地方団体にやらせなければならんということのために殖えまする負担の増加というものが、百九十一億ございますしいたしますので、そういうことになると思います。尚地方債の枠等におきましても、シヤウプ博士の申しておりましたのによりますと、四百二十五億ですか、という額に実際なるわけでございますが、それが三百億というようなことで、これも百二十億ばかり縮んでおるわけであります。
  74. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは予定としては、地方平衡交付金について説明を聴取する筈でございましたが、今日はこの程度で散会いたします。    午後三時八分散会  出席者は左の通り。    委員長     岡本 愛祐君    理事            岡田喜久治君    委員            三木 治朗君            黒川 武雄君            堀  末治君            柏木 庫治君            西郷吉之助君            鈴木 直人君            濱田 寅藏君   政府委員    地方自治政務次    官       小野  哲君    総理府事務官    (地方自治庁財    政部長)    鈴木 俊一君