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1950-01-31 第7回国会 参議院 地方行政委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年一月三十一日(火曜日)    午後一時三十一分開会   —————————————   委員の異動 一月二十七日委員寺尾君辞任につ き、その補欠として黒川武雄君を議長 において指名した。   —————————————   本日の会議に付した事件 ○派遣議員報告市町村国民健康保險に関する件 ○電気瓦斯税に関する件   —————————————
  2. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) これより地方行政委員会を開会いたします。  今日は先ず前回に続きまして、派遣議員の御報告をお願いいたしたいと思つております。岡田委員
  3. 岡田喜久治

    岡田喜久治君 過般御指名によつて私共地方視察をいたしました結果につきまして、簡單に御報告をいたしたいと思います。  私は太田委員と同行いたしまして、受持地帶でありまする新潟及び山形の両県下に参りました。県庁、市役所地元市役所です。或いは山形県下における余目町、これらの個所に亘りまして、それぞれ調査をいたし、且つ又懇談会を開きまして、各方面の意見をいろいろ拝聽いたしたのであります。いろいろ申上げたいこともありまするが、大体において各地共同種同様の事情であろうかと思います。非常に仔細に亘つては、くどくどしいことでもありますため、口頭の報告は略させて頂きまして、万端書面を以ちまして、提出いたしました報告書によつて、御了承を煩はしたく思うのであります。  ただ特に申上げておきたいことは、我々の参りました地帶は御承知のような寒冷地帶雪害地帶と言われる所であります。且つ又農村としましても、いわゆる水田單作地帶と言われる大きな特徴を持つておりますだけに、これが地方財政変革に当りまして、この点について非常な悩みを持つておるようであります。惑いを持つておるようであります。言うまでもなく、雪害乃至又寒冷という関係から起つて来る農村賦課関係というものが非常な過重の負担に苦しまざるを得ないこの関係、程合いが、どういうふうに今回の新税制改革によつて勘酌されるであろうか、この点に少からざる危惧を抱いております。尤もなわけでございます。併しながらこれに対する勘酌と申しましても、なかなかこれは容易なことではありませんが、我々が税制審査に当りましては、少くともこの点について、地方要望を提げて大いに一段の愼重な審議を遂げねばならないという感を深ういたしたのであります。従つてそれらに関するいろいろな資料を頂戴いたしましたために、機を見まして是非ともこれらの要望については我我もよくこれを本委員会に訴えまして、皆様の御審議を煩はす資料にしたいと思つておるわけでございます。さようなわけで、今日はこの税制に基く結果につきましては、仮定的であるために、各地方ともいろいろな努力をいたしまして、さまざまな仮定を調査をいたしておりますものの参考にはなりますが、併しそれをあてにいたしましてなかなか的確なる処断を下すわけにも参らず、專ら我々もその地方要求要望のあるところの理由を探究するということを努めまして非常な賑やかな懇談会を各地共いたしまして、十分益するところがあつたと思います。これだけのことを特に申し上げまして書面報告一つ譲りたいと思います。御了承を煩はしたい。
  4. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 次に三木委員
  5. 三木治朗

    三木治朗君 私共はやはりこの度の視察で、委員長及び福永專門員、それから植木委員部主事、以上の四人で以て福岡県とそれから宮崎県を観察いたしたのであります。市では福岡市とか或いは八幡市、飯塚市、田川市というような所も廻りましたが、細かい町村相当細密に調査して参つたのであります。宮崎県におきましても相当不便な奥の方の村まで視察をいたしたのであります。おのおのその市町村特殊事情というようなことがそれぞれあるのでありまして、いろいろと御参考になる点が数多くあつたのでありまするが、詳しいことは書面で以て御報告申上げ、これを速記録に載せて頂くことにお願いいたしたいと考えるのであります。但し特に感じましたのは、嘉穂郡の二瀬町における鉱害の惨状は、実に行つて見ましてこんなにひどいものかという感を潔くいたしたのであります。これらに関しましては、やはり鉱産税その他の今後の問題にも相当参考になるのではないかと考えるのであります。その外に特に我々の到る所で陳情を受け、非常に重大な問題だと考えましたことは、健康保險組合のために小さな村では、殆んど村が潰滅してしまう、健康保險のために立行かんという村が相当つたのであります。今度まあシヤウプ勧告の中にある今度の地方税制の中には、健康保險税というものにするというような問題もありますが、なかなかこれを税にしただけで片付くかどうか、いろいろ重大な問題があると思うのであります。幸い厚生大臣もお見えになつておりますので、荷後程いろいろとお尋ね申げて、又意見も申上げたいと、かように考えております。  以上福岡宮崎を十二日間に亘つて旅行いたして参りました。従つて先程申上げました通り、詳細は書面で以て差出しますので、速記録に載せることを一つ了承願いたい。以上簡單でありますが……
  6. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 只今岡田三木委員から御要求がございました別途御提出報告書速記録に載せることについて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) ではさよう取計います。
  8. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 前に開会されました地方行政委員会におきまして政府当局より我々に地方税法改正案の要綱につきまして説明があつたのでありますが、その改正さるべき地方税法政府案の中に、市町村目的税として国民健康保険税という新らしい税目が掲げられておるのであります。で、政府説明等から照応いたしまして、大体においてこのようなことが私達に考えれらますので、特に今日厚生大臣の御出席を要求いたしまして、政府の意のあるところを承わりたいと考える次第であります。只今三木委員出張報告の中でもそれに触れられたところでありますが、今日まで協同組合組織において行われておりましたところの健康保險をば、その保險料徴収を新たに市町村目的税として税法の中に掲げられることになりましたゆえんのものは、私の推察いたしまするのに、過般日本に参りましたアメリカからの社会保障調査使節団調査報告に基くところの勧告によりまして、社会保障税というような税目を新たに設けて、そうして社会保障のことをその税金によつてやれ、又その社会保障制度一環としての国民健康保險については、これを市町村單位においてやれというような趣旨のことが書かれておつたと記憶いたしておるのであります。恐らくは私の推察いたしますがごとく、その社会保障制度米国使節団勧告に基いて、こうした税目が新らしく出て来たのであると考えられるのでありますが、併しながら、これはひとり地方税法改正ということの問題でなくして、日本医薬行政についての一つの革命的な変革をもたらすところの大きな構想を持つているものであると私は考えておるのであります。で、我々はもとより社会保障制度の拡充を非常に要求いたしておるものであります。又その一環といたしまして、先ず第一に、国民が貧乏であつても金持ちであつても、ともかく病気なつたときには、そのときの個人の経済的な負担によらないで、平素からの保險金のようなもので、又精神的に申しますならば、もつと広汎な社会の責任において病気治療されるということが必要である。何となれば、私達は、病気発生そのもの社会的な原因から起つて来るものであると考えておるからでありまして、社会保障制度充実の第一歩として極めて前進的な考え方からして、こういう税目が新たに地方税法のうちに盛られて、そうして市町村單位国民の全部が、その居住しているところの市町村を通じて、そうした医療費心配がないような医療制度が実現されるということは、大いに歓迎するところであるのであります。それで政府は、私が今申しましたような、そういう構想を持つて臨まれておるのかどうかというこの問題、それを実現するということの上においては、私はいろいろな大きな障害が起つて来るということが想像されるのであります。即ちすべてが居住地におけるところの市町村税金として保險料を納付いたしまして、病気なつたときには町の医者にかからないで……、町の医者にかかるとしましても、即ちそれは今日のような町医者に普通かかりますようなプライべートな、私的な関係において治療を受けるのではなくして、健康保險医治療を受けることになると、そうして薬価及び診療代というようなものをば、直接に医者に納めるのでなくして、それは平素納付しておるところの保險料によつて支弁されるという形になるのであります。而も健康保險の規定いたしておりますところの治療費の額というものは、通例地方におけるところの医師会等の規定よりも額は低いのでありまするから、当然に今日におきましても、多くの医者国民健康保險加入者治療を受けに来るということを歓迎しない。中には全くそれを厭がりまして玄関拂いを喰わして、診療に応じないところの、実質的に診療に応じないところの医者もある。中には又そういう人ばかりでなくして、国民健康保險加入者を非常に丁寧に取扱うところの医者もあるようでありますが、そのようになつて参りまするというと、すべての国民はすべて国民健康保險加入者となつて来るのでありまするから、今日までの医薬制度におけるところの患者と、医師歯科医師薬剤師等関係というものが、全面的に画期的にこれは変革されて来るということは当然であります。従つて一部には……。必ずしも全部が反対であるとは思いませんけれども、おしなべて申しますならば、これは医師会が猛烈なる反対運動をするであろうということは、十分に想像されるのでありまして、先にも申しましたように、トルーマンの教書におきましても、最近においてアメリカでそういう強制医療保險制度を設けようというので、大々的に医師会が猛烈なる反対運動を準備しているということが、最近のニューヨークの新聞にも大きな記事として出ているのを私は見たのでありますが、それと同じようなことが起つて来るであろうと思うのであります。で、そういうことについて、政府はただ單に、米国からの社会保障使節団勧告して行つたのであるから、お座なりに、申訳的にこういう税目目的税として掲げて置いて、実行されようとされまいと、それは各市町村の随意であるというような、極あて冷淡なような態度で臨んでおられるのではないかということを私は憂うるのでありますが、ここに地方税法の中にそういう税目を設けたということを通じて、全国の市町村に必至的にそういう税金徴収されて、そうして国民健康保險制度を通じて、医療協同組合経営化、或いは医療公営化というような制度をば、百パーセント実現するところの強い意思を持つていられるのであるかどうかということに対する、先ず内閣自体としての、政府の統一的な見解を厚生大臣より最初に承わりたいと考える次第であります。御答弁に従いまして、尚いろいろお尋ねいたしたいと思いますので、後刻更に御質問申上げたいと思います。
  9. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 厚生大臣に申上げますが、只今吉川委員から御質問がありました点と、それから先程の三木委員から御要求のございました市町村国民健康保險現状と将来について、そういうことについて御答弁願いたいと思います。
  10. 林讓治

    ○国務大臣(林讓治君) 只今御指摘の国民保險税というようなことでとりますような事柄は、只今までのところでは、従来国民健康保險が始まりまして、そうして実際において医師とそれから被保險者の間に、保險料徴収をいたします事柄が十分に成績が挙つておりません。それでその点から鑑みまして、我々といたしましても、医者に遅れないように支拂つて行きたいというところから、可なり徴収につきましても努力をして参つたであります。併しながらそれでも尚及びませんものでありますから、先般もそれに対する一応の工作として借入金等をいたしまして、これを填補して漸くと一時的な問題を解決するようになつたのであります。それでここで私共といたしましては、現在では市町村の経済の実情から考えまして、そういうことになつておるものでありまするから、今度税として今日まで取るというのがよかろうかどうかということにつきましては、私共の方といたしましては一応近く社会保障制度ができることになつて、さだめしこの六月頃にはまず緊急なものが答申せられるのではなかろうか。そういうような点に思いをいたしまして、只今のところでは保障制度のできます。までといものは、勧告もありますけれども、やる上におきまして実際上の問題として種々不便な点もあるもののように考えます。で昨今大蔵省とも折衝いたしまして、税で直ちにやろうではないかということの折衝をいたしておりますけれども、ここ僅かのことの間であるならば、そういうような態度によらずして、そうしてむしろ現在までの通りでやつて置きまして、そうして社会保障制度のまず出来ましたときにおいて、これを行うということにしたらどうであるか、これにつきましては社会保障制度審議会の方からも、今暫時やらないでおいて貰いたいというような勧告も来ておるわけでありますから、只今のところにおきましては、政府といたしましては、大蔵省と折衝いたしまして勧告には基いておりますけれども、又この点については或いは税金取立てるという場合において、被保險者の方に対して負担が何となく場合によつてつて来るというような欠陥もあり、というようなことを考えまして、現在ではまずこの税というものは少しく見合わして見たらどうかということを厚生省としては考えております。
  11. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 只今厚生大臣の御答弁を承わりまして、私達が考えておりまするところの医療制度国民健康保險税を通じての医療制度改革ということとは非常に距りがあつて、極めて小さな消極的なお考えであるということに非常な失望を感じたものであるといふことをまず申上げたいと思うのであるます。で社会保障制度委員会の答申に基いてそれが決定してからやるというようなお考えであるならば、そこにこういう税目をば市町村目的税として地方税法改正案の中に掲げられているところの理由というものは、甚だ了解するのに私達には困難なように思われるのであります。先般四国へ参りまして帰りの汽車の中では林さんとも御一緒だつたのでありますが、高知県及び、徳島県に参りまして、徳島市が医療業者反対押切つて徳島市長が非常な熱意を持つて徳島市の市民をば全部健康保險に加入せしめているということを聞いて、非常に私はその進歩的行政に賛意を表して帰つたような次第でございますが、その他の市町村におきましても市町村民の全体が国民健康保險に加入いたしておるというところはかなりあると思うのでありますが、そういうことについては資料も後程できるだけ厚生省の方から我々の方にお出しを願いたいと思うのでありますが、林さんの御答弁だけではこの地方税法の中にそういうことを書く理由というものは、殆んどないんじやないかというような感をいたしているということを申上げて置きたいと思います。  そうして同時に非常に私達は失望したということを申上げておこうと思うのであります。そういうような考えであるといたしまするというと、社会保障使節団勧告があつたから、ただ申訳に何とか辻棲を合わして名目だけ付けておこうというような考えであるように解釈せざるを得ないと思うのでありますが、もう一度重ねて一つ政府の御所見を伺いたいと思います。
  12. 安田巖

    政府委員安田巖君) 只今のお思召に対しましてお答えしたいと思うのでありますが、国民保險税を新しく設けますことはシャゥプの勧告にもあるわけでございません。シャウプの勧告の方では現在……
  13. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 いや社会保障制度使節団勧告書のことですよ。あなた読んでおられるでしよう。
  14. 安田巖

    政府委員安田巖君) シヤウプ勧告にあるわけでございませんし、社会保障制度調査使師団勧告の中でも、前拂資金によつて保險料を取るということだけで、私共が新しくこの制度を設けますことにつきましては、別にその方の勧告に従うという趣旨でもございません。現在のところは各市町場村はこれは自分でやるかやらないかを決めるような仕組になつておりまして、やる場合には市町村公営建前といたしておるわけであります。従いましてこの保險税によつて変りますことは、従来市町村公営でありまして、その給付に要する費用保險料の形で取つておりましたのを保險税にする。これは主として現在の市町村保險経済現状及び保險を現在おやりになつておりますところの市町村、或いはその連合会、そういつたようなところの強い要望でありますので、ぜひこの際そういう意味でお願いいたしたい、こういう趣旨であります。
  15. 三木治朗

    三木治朗君 大体只今の御説明吉川さんの言われる通り、この国民健康保險税をとるという積極的なものではなくて、現在の保險を作つている市町村がこの税を取立ることになれば、いくらか保險経済が楽になるだろうという程度のように了解するのでありますが、各地で聞いて参りました点を総合して考えてみますると、相当保險税金上つてつても、それが自主的にちやんとすべての支拂をしてやつて行くことのために、小さな村で百万円もの年額負担がある。そのために村は財政的に破綻してしまうという現状なのですが、ただ單にこの保險税取立るということで、この国民健康保險がうまく行くとはちよつと考えられない点がある。これは医療制度の問題も大きな関係を持つと思いますが、財政的にこの国民健康保險をうまく運用して行くというには、現在の政府補助事務費ですかの補助がありますが、その程度ではとてもやつて行けないのではないかという感を深くしているのです。まあ工場の健康保險は大体傭主が半分と被使用者が半分で、事務費政府負担という建前になつておりますから、まあ被保險者は半額の保險料で済むわけです。従つてこれは非常にありがたいわけでありますが、その健康保險でさえも作つた当時には非常に非難囂々たるものがあつて相当その運営が困難であつたのです。ところが今度は事務費の全額さえも政府補助して呉れないで、そしてその保險に要する費用は全部被保險者負担するという建前になるんですが、そういう高額負担では誰も拂わん、仮に税なら十分な取立てができるかもしれませんけれども、併しそれも国の税、府県の税というようなものを先ず拂つて結局健康保險料、今度は税になれば税ですが、こういうものはどうしても後廻しになつて納まらん、こういう結果になるのは明らかなのであります。で前に申上げたように、この小さい市町村がこのために苦しんでいるのに対して政府は何らかの手を打つ必要があるであろう。こう考えるのです。まあ医療費の幾分なりを負担するなり、或いはその他何らかの方法を、是非考えて頂かなくては地方が成り立たんという感じがするのでありますが、そういう点に対して何らかの御方策があれば一つ承わらして頂きたいと思います。
  16. 安田巖

    政府委員安田巖君) 只今お話の中にもありましたのでございますが、今度の改正案というものが、当面の市町村保險経済の足しにしようという小さい目的のものであつて、大きな構想に基いたものではないというお話があつたと思いますが、実はこの問題につきましては、社会保障制度調査団報告書の中にも、一律に市町村全部やらせるということについての、強制をしてはいかんというような報告があるのでございます。で若しこれを一律にやりますということになりますと、今申上げました保險経済の問題も考えなければいけませんけれども、やはりやる以上は医療施設というものをどうするかという問題と必ず関連させて来なければならん。先程吉川委員のおつしやつた通りに、これは医療の方の施設をどうするか、医療の問題と重大な関係のあることでございまして、私共が昨年、来年度予算を組みますのにちよつと計算いたしましても約九十億ばかりの費用が要るようなことになるのであります。そういう問題が、ただ事務的には解決いたしませんし、又社会保障調査団勧告もございまして、折角今社会保障制度審議会で検討されておりまして、遅くとも今年中にはそれに対する対策ができると思つております。そういうように広く大きい見地から総合的にやつぱり問題を取上げませんと、国民保險の問題だけでは片附かないような現状なのでありますので、取敢ずこういつたような措置を採つた、こういうことでございますが、尚保險経済赤字をどうするかという問題でございますが、本年度事務費の五割が国庫補助でありましたのが、明年度は七割まで上ります。できうべくんば私共は全部国で持つた方がいいのじやないか、という考えを持つておりますけれども、財政関係で大体七割に止まつたような関係でございます。で国民保險というのは御承知のように、各市町村保險者として独立して、運営いたしておりますので、或る市町村では非常にうまく行つている。或る市町村ではどうもうまく行かないというので、そこの間に非常に運営の技術と申しますか、やり方についても差がございます。又町村自体財政力の問題につきましても、非常な差がある。こうした町村にたまたま医者がいるということが非常な影響をする場合もありますし、又自分自己診療所を持つていることにつきましても又非常に違う。実はその條件が千差万別でございます。これにただ給付の何割を国庫補助をするということはなかなか技術的に考えても、又実際に案を作ります上にも、なかなか困難あるのであります。そこで健康保險の話が出たのですが、健康保險の方で今事業主が半分保險料負担しておりますが、大体来年度予算で組んでおりますのは、四千三百円ばかりが一年の探險料であります。この半分二千百円乃至二千二百円が一人の平均の負担であるということになります。これに対しまして、国民保險の方は今のところでは千二百円ばかりの一人当たりの負担がある。そういう点から見ますと、保險料徴収しまして、100%になるならば、平均して一割とか、或いはそれの弱のような赤字になりますので、保險料をもう一割挙げれば大体辻褄が合うじやないか、大体そういうようなことを考えておるわけであります。
  17. 三木治朗

    三木治朗君 今お話通り町村事情によつて非常に異なるのでありますが、医療施設町村が持つておるところは、非常に楽なんで、それでまあ差当つて今の社会保障制度という問題が更ににあるのでありまするが、その小さな村で百万円も二百万円も赤字を持つておる、そういう村に対して応急措置といいますか、その村を救つてやる意味において何らかの方法、例えて言うならば、或る種の社会施設の材料として診療所を持たせるだけの、創設費というようなものを貸すとか、寄附するというようなことでもしないと、実際真剣に投げ出したいと言つておる。これは自分で好きでやつたんじやなくて、やはり国のために、国民のために、或いは又すでに前に組合ができて、おつた行懸り、そういうようなもので、本当に誠意を持つてつておることは事実なんです。それでそのために村が疲弊してしまつてどうにもならんと言つておる。これは相当重大な問題だと思うので、尚十分御研究が願いたい。かように思います。
  18. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 重ねて度々発言しまして恐縮でありますが、只今までの厚生大臣或いは政府委員の御答弁を聞いて非常に失望したものであるということは先程申上げた通りでありますが、その際私は林厚生大臣に特にお願いを申上げて置きたいと思うのであります。折角政府提出地方税改正法案の中には、国民健康保險税という税目がここに掲げられておるのでありますが、私達といたしましては、これを通じて十分に一つ医療制度改革、どのような人間であつて病気なつたときには、金の心配をすることなくして病気を治すことができるという、善政を実現するようにお願いいたしたいと思うのであります。林厚生大臣も御承知のように、世界各国におきましては社会保険制度がだんだんと確立されていくのでありますが、特に御承知のごとくイギリスにおきましては、一昨年、一九四八年の七月五日、アトリー内閣が成立しました記念日を以て、社会保障に関する法律が施行せられまして、その一環としてお医者さんはイギリスの国民には全部即ちただになつ、たのであつて、これはイギリスの現内閣の非常な善政として国民に喜ばれておるということは御承知通りだろうと思うのであります。直ちにイギリスの内閣が一昨年来実現しておりまするような、医薬の国営というようなことができなくとも、その漸進的なやり方において先ず市町参村の目的税としてこういう税金をとつて、そうして市町長單位にその方に課税して行くというようなことを、私は厚生大臣の地位に就いておられるところの林さんとしては、そのことについての積極的な能度を持して、そうして内閣をリードしてやつて頂きたいと思うのであります。イギリスのそうした医薬の無料ではありません、結局国営でありますが、労働党内閣が実現しものでありますけれどもその計画を立てたのはあなたの内閣の総理大臣である吉田さんが何か模範にしておられるように見えるところのチャーチル保守党内閣のときにプランが建てられた。即ちその当時におけるプランに基いてこれを実行したのが労働党内閣であるというのに過ぎないのであつて、むしろ保守党内閣がこれを計画いたしていたのでありますから、これと照合いたしまして、折角この地方税法政府提出の御提案の中には、こういう税目が盛られておるのでありますから、今のような消極的の態度を持さないで、一つ厚生大臣の立場から十分内閣の閣僚を鞭撻し、指導して我々が理想とするような、そうした方向へ御努力願いたいということを一つこの機会にお願い申上げて置きます。
  19. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 私は国民健康保險ということが、国民のためにも必要であるということについて吉川君と同意見であります。ただ私はその制度を打立てる場合の制度そのものは、現在の制度に欠陥がありはしないかということを考えておるのです。欠陷のある制度の下に徴税するということは、徒らに被保險者を税に苦しめさせるというようなことになりはしないかということを非常に憂えているわけであります、勿論国民健康保險税の内容にもよるわけでありまするけれども、ただ吉川君のように国民健康保險は必要であるという抽象的な考え方か、如何なる制度の下においても、その制度そのものを検討せずして、そうしてただ税を取ればいいのだというここには私は賛成しかねる。その点については僕は三木君の意見に同意するものです。先程大臣が社会保障制度審議会において現在この制度そのものを、全般的に健康保險というものを検討しつつあるということで、その答申というものを非常に私は期待してそうしてこの国民健康保險というものが、吉川君の理想とされるように結論付けられるということを希望しているものなのであります。現在の制度のままで行くということになれば、單に税をとるというだけでなく、先程の政府説明のように、相当大部分の経費を国が負担するということをしなければ、やつて行けないというのが現状なんです。でありまするから相当多額の必要なところの経費を国が出して貰いたい、そうして更に被保参險者が負担すべき部分については税をとるということであれば別でありまするが、現在の情勢というのは制度的に非常に狭ま過ぎる、貧弱町村等においては非常に財政的に困難を来たして来るのであります。政府補助が、政府負担現状のようなままにおいて、そうして税で以て貧弱町村からも取立てるというようなことになりますと、この税については私は非常に疑念を持つておるわけであります。そこで一応お聞きしたいと思いますが、これは保障制度審議会における検討の一部となると思いまするけれども、この保險組合が、組合じやなくとも保險をやつている一つのグループの規模の範囲が、被保險者を何人ぐらいまで持つているものが最も適正規模であるかという点について一つ安田さんの今まで考えておられた点をお聞きしたいと思います。
  20. 安田巖

    政府委員安田巖君) 單純な保險経済のことだけから、数理上のお話をいたしますというと、三百人あればできるということを言われておるのでありますが、これは現在健康保險組合、つまり勤労者の健康保險組合を作る基準になつておるのが大体三百人であります。併し私共といたしましては大体千人ぐらいいりやしないかということで、保險組合員を一千人を目標に置いて許しておるような現状でありますので、その辺の数字を一つ参考にしたらどうかと思います。併し市町村でありますからして、一つの行政区域をなしておるような関係で、又市町村が大きいから幾らも作つてよいというわけにも行きませんし、又千に足らなくても一つ市町村という纏まつた団体であるために、できる場合もあり得るのであります。こういうふうに考えております。大体適正な人数は千人ぐらじやないかと、こういうふうに考えております。
  21. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 千人というもので一つ組合的な範囲を決めるという場合に、国が総経費のどの程度のものを負担するかということを前提として考えておられるか、これをお聽きしたい。
  22. 安田巖

    政府委員安田巖君) 私が申しましたのは、保險数理の上から申しまして、危險分散のためにその程度のものが必要だというのでございまして、その村の財政力負担力と申しますか、そういうものによつても若干は違つて来ると思います。必ずしも一口にこれだけ政府負担し、これだけは自己負担ならばやれるというふうには言い得ないと、こういうように思いますが……
  23. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 外に林厚生大臣に御質問ございませんか。
  24. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 これに対する資料一つ厚生省の方から出して貰いたいのですがね。例えば市町村経営国民保險組合がどういうふうなことになつておるかということ……
  25. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 尚申上げますが、今日この国民健康保險の実施状況並びにその将来に対する希望につきまして、参考人として浦和市の助役の常木君、それから山梨県め町村会長で敷島町長の深山君が見えておりますが発言を許したいと思いますが御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは浦和市の常木勘助君。
  27. 常木勘助

    参考人(常木勘助君) 只今御紹介を得ました浦和市の助役の常木であります。  実は昨日調査員の法貴さんが浦和市にお見えになりまして、浦和市は健康保險のことをやつておるそうだが、それについて今日委員会があるが来て一応状況を話したらどうかというのでありまして伺つた次第であります。浦和市は昨年の六月から健康保險のことを始めましたので、まだ日が極く浅いのであります。従いまして参考になることもないと思うのでありますが、ただやつて行く上におきまして又政府にお願いし、議員の諸公に御了解を頂いて、そうして今後この運営がうまく行くようにというような考を持つておるのであります。お手許に参考として差上げましたのは、昨年の四月一日から本年の五月一日までにおける状況でございまして、昨年の四月一日からと申しましてもこの事務を四月一日から開始いたしまして、本当の医療施設、事業につきましては昨年の六月一日から行いまして、只今のところ被保險者の数は八万八千四百三十七人ございましてこの被保險者は浦和市の住民全員を被保險者といたしてあります。ただその中に官公署に勤めておる、或いは工場に勤めておるというような関係で、その社会保險によつて医療を受け得られる者につきましては、これを除外しました関係上、そういう数になつておるのであります。浦和市の現在人口は十一万余であります。それから納税義務者といたしましては、各世帶を一といたしまして、そうしてこれが二万一千八百六十二世帶であります。その次の加入率というのが、人口に対しまして八〇・九%という数になつております。二十四年度予算につきましては、二千七着四十九万二千六百円の予算でございますし、一世帶の平均といたしましては、千二百五十円を負担するように相成つております。それから保險料金の納入の状況は、その次のところに記載してございますが、一期、二期、三期、四期と、二十四年度分を四期に分けまして、それから最初の第一期は、六月から医療のことを開始いたしましたから、六月分一ヶ月分を調定をいたしまして、これが二百四十一万二千三百七十六円に相成つております。その収入が二百二十七万二千三百六十一円でございまして、納入の率としましては、九四・二%の収入になつております。その次が二期、三期、四期と、こうなつております。二期も八二・九鬼、三期は六六・六%になつております。四期の方は四七・四%というふうに、漸次率が低くなつておりますが、この健康保險の料金につきましては、どうも攻め具合が悪いような関係で、漸次治つた者が納めて行くというような関係から、こういうふうな現状になつております。その裏面に参りまして、一部負担というのがありますが、この一部負担というのは、市内の担当医以外のところで医者に診て貰う、或いは東京の医療担当者でないところの人に診て貰つた場合の一部負担を本人から取りまして、そうして市の方で支拂をしてやるというような関係から、ここに少しの額が載つております。それから国庫補助は、事務費等に対して補助がございましたのが五十八万、一般の寄附としまして、この事業に好意を持ちまして二十九万三千円余の寄附がございまして、総計の収入といたしましては、千七百十六万円の収入がございました。これの支出につきましては、事務費として二百二十九万九千余円、療養給付費として千七百六十万六千余円、それから療養費として二十万七千余円、助産の費用、それから保險の宣伝の費門、健康保險指導医の設置の費用連合会負担金等を合せまして、二千九十五万三千余円の支出になつております。収入から差引きまして、そこに記載してございませんでしたが、三百七十九万二千円余の赤字になつております。これは先程も政府委員の方ならお話しのように、一世帶平均としても二千円以上の負担をしなければならんというような意味から行きまして、赤字が出ておりますのですが、浦和市におきましては、先程申しましたように、一世帶平均千二百五十円の割合でやつて行きました関係上、こういうふうな不足を生じております。従いまして、本不足については、来る市会におきまして、その不足額、ちようど第四期分に相当する額くらい、六百九十万余円を追加いたしまして徴収する考えでおります。  それから診療所を必要とするということを申上げたいのであります。これは浦和市におきましては、農村部に診療所を一ケ所十二月一日から置きました。従いまして、農村は健康者が多いような関係から、医者の俸給等を支拂いまして、赤字を出しておりますけれども、その経営の状況から見ますと、よいのではないか、いわゆる健康保險の性質上利益を必要としないということを感じます。そこに診療所施設使用料といたしまして、二万五千八百五十円を記載してございます。その次に計として同じ額がありますが、これは使用料でございまして診療所が療養の給付をいたします、それにつきましては、半額を使用料として徴収いたしまして、尚半額は健康保險の別の会計から、先程申しました歳出の部から受け入れることになつております。同額が受け入れられるものとしまして、二万五千八百五十円を受け入れますと、五万一千七百円の診療所の収入ができるわけであります。そうしてこの支出の額がどうなるかと申しますと、ちようど俸給及諸給といたしまして、お医者さんを一人置いており、それから看護婦、小使を置いておりまして、これが五万六千四百四十三円を支出しており、需用費で一万五千九百八十五円を支出し、それから新たに設けました関係上、備品費と薬品費、雑費等を支出いたしまして、三十四方一千余円を支出しておりますが、実際に今後の続きます状況から言えば、俸給と諸給、それから需用費、それから薬物の費用というのが漸次支出して行くことになりますが、最初のことでありますから、薬物にしましても、すぐ使わないものまで購入してありますから、ここに費額が非常に多くなつております。今後の見通しとしましては、診療所のことは、幾分の赤字がありましても、保健衛生の上におきましては非常に利益があると考えます。  その下にございますのが、三室診療所としての十二月分の患者の数等でございます。一ケ月にかかりました患者の数は九十三件でございまして、一番終いの欄に、一件当り平均点数というのがございますが、これは患者一人に対して平均点数がどれだけかかるかと申しますと、二八・二九の点数で患者が治りつつあるというような状況であります。  ここにおきまして、一般開業医の方がやつておるのと、診療所でやつておるのと、その費用がどういうふうな関係に響いて来るかということをちよつと申上げて見たいと思うのでありますが平均一件当たり点数としては、診療所としては二八・二九でその人が漸次全快して行く状況にある。それから開業医の方で申しますと、一件当りの点数としては、五十二・二も要するような実情でございます。大雑把に申しますと、点数で約倍を要するような状態であります。ただ一概に、市内の開業医と、農村部に設けましたところのお医者さんとは幾分市民の健康状態の関係もございまして、早く治るというような面があるかも知れませんけれども、その差は非常に大きいものである、のであります。  この裏側に設けられましたのは、十一月と十二月の保險給付の点数等を調べたものであります。十一月のものは、丁度中頃のところに点数という欄がありますが、その下に五十一万四千七百三十一点とございまして、一点の点数について市の健康保險の方から支拂つておるものは五円でありますから、二百五十七万三千六百五十五円を要し、それからその次の十二月分は下にございますが、五十八万六千六百五十四円となつておりまして、これが五円と計算いたしまして、二百九十三万三千二百七十円という額に相成ります。先程申上げました一期の額が大体二百四十万円の調定額になりますので、ここで直ぐ簡單に見ましても五十万円の一ケ月において不足を生ずる状態になつております……十二月といたして。  それから十一月で十四、五万円の不足を生ずるような状態でございます。それから荷先程委員の方々から健康保險も歓迎しない医者がある、或いは健康保險を歓迎はしないまでも、これに協力してやる医者があるというようなお話でございますが、浦和市は全市の医師会に呼び掛けまして、そうしてこれが協力に骨折つて頂くということを要請をいたしまして、そうして了解した上でこの仕事をいたしましたのでございますから、歓迎しないお医者さんも中には幾人かあると思うのでありますが、現在におきましては、市民全体が健康保險証を以て治療を受けるというような実情に相成つておるのであります、従いまして医師会から反対運動をするとかというようなことはございません。ただここに申上げたいのは、医療施設を市がやれば、これが一番いいと思うので病院を建て、或いは診療所も要所々々に設けて、そうして市民の医療を十分にさして行くということをいたしますればよろしいと思うのでございますが、病院を建てるということにつきましては、表立つて反対はいたしませんけれども、あそこの場所ではどうとかいうようなことで、なかなか反対の気分は濃いように思われます。併しこれはお医者さんだけの仕事ではございませんので、市民全体のことでありますから病院も建設し、或いは診療所を建設して、そうして強力にやつて行く、医療を十分にさして行くということは特に必要だと思うのであります。それにつきましては市が事業を行なう場合におきましては、資金というものが直ぐそこに関係をして参りますので、資金のことにつきましては国庫におきまして相当補助をして頂いて、その施設をやらせる。そうしてこれが医療事業を行わせるということになりますれば、その後におけるところの国庫の補助というものはだんだん少くて済むというようなことも考えられるのであります。浦和市におきましては二十五年度におきましては、診療所も新しく建設して行きたいと思うのであります。これらについても診療所の建設費、医療器具の購入費等につきましては、事務費同様七〇%ぐらいの考慮をお願いしたいと思うのであります。これは県下の各市がそういう希望がございますので、又病院も市といたしますれば建設をいたしまして、そうしてこういうふうな国庫の補助を受けて行きますればよろしい。ただ先程御心配になつておる町村のごとき、或いは五百戸の戸数とか千戸の戸数とかいうようなところにおきましては、一々病院を建てるというようなことは、これは不可能なことと思うのであります。それは町村によりましては連合をいたし、或いは市の附近の町村であれば市の病院に、或いは診療所を頼つて治療をして行くことができると思う。それから浦和市におきまして三室の診療所と申しましたが、これは浦和市にかねて合併をいたしました三室の尾間木の地区であります。丁度両村が接近しておるところに市の農業指導所があります。その指導所を利用いたしまして開設いたしたのであります。その区民も非常に喜んでおります。いわゆる無医村であつたものがお医者が来たというので喜んで利用されてそうして而もその利用につきましては、点数の点から申しましても、町のお医者さんから思うと半額程度の金で支弁できるというような関係から、区民も非常に喜んで、昨日私のところに見えた他の区の市会議員でぜひ今度は私の方にも一つ設置するように心配して貰いたいということでありましたので、よく考えてそういうふうにしたいということを申して置きました次第であります。先程の税をとるというような関係から申しますと、只今お話を伺つて見ますと保險料といたしましても、税といたしましてもそう違いはないものと思うのでありますが、税といたしても、それから保險料といたしても、市長が執行する場合におきましては、その滯納につきましても強制の処分を行うことができるのであります。ただ今の保險料の滞納につきましては、督促状を発した場合には督促手数料はとれますけれども、延滞金に対する延滯料を徴収することはいけないような意味に解せられるのであります。これらも税と同じように、延滞金を徴収するような規定でもお定め頂きますれば保險税といたし、或いは保險料といたしましても、同じ意味において強制的に徴収し、その未納に対する延滞金のいわゆる過重をいたしまするというような制裁がありますれば、被保險者であるところの市民も喜んで税金を納めるのではないかと思う。或いは喜ばんとしてもそういうふうな、余計に金をとられるということであれば、やはり税金と、同じように納めなければならない。これは保險税といたされますれば尚結構であります。同じような意味において、そういうところの規定だけ設けて頂きますれば大変よろしいと思うのであります。尚申上げた点で不十分な点がありましたら御質問によりましてお答えいたしたいと思います。
  28. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) ありがとうございました。御質問ございませんか……次に山梨県の深山さんにお願いするのでありますが、その前にこの前の委員会で全国の都道府県の知事から電気、ガス税につきまして陳情がございました。今日は全国の市長会及び全国の町村長会から陳情がございました。丁度ここに見えておりますから、代表者の方に発言をさしてよろしゆうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 三木治朗

    三木治朗君 いろいろのお話を伺うのも結構ですけれども、沢山の方がおいでですから、成るたけ要点と御希望の点だけを……。成るべく細かい説明は省いて頂きたいと思います。   —————————————
  30. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) そういたします。  市長会の事務局長、菊山さん、要点のみお願いいたします。
  31. 菊山嘉男

    参考人(菊山嘉男君) 今回の地方税のうち、雑税の配分につきまして、雑税を都道府県と市町村側に分けることにつきまして、いろいろとお願いをいたしているのであります。そのうち、一番問題になつておりますのが、例の電気税でございまするが、市町村側はこれは是非とも電気税は市町村税として徴収をしたいと申しておりまするし、承わるところによりますと、府県知事側はこれは府県税で取りたい、こういう御希望だということであります。不幸にしてこの雑税の配分は、シャウプ博士が、お前達でよく協議をし、てということになりましたので、かくのごとくに都道府県側と市町村側との意見を異にいたすことになりまして、皆様方の御配慮を煩すことになりましたことは誠にお手数のことと存じまするけれども、これは是非市町村側に頂けるように御盡力を願いたいと思うのであります。と申しますのは、府県側は財政需要の点を先ず第一に言つておられるようであります。併しながらこの財政需要のある、なしということは考えようによつでどちらにも申し分のあることでありまして、私共は府県側よりも市町村側に、より緊切なる財政需要があると考えているのであります。このことは、委員各位におかれましてもよく御承知のことであると存じます。ただ、府県側において申されまする申し條のうち、この度の府県税として徴収し得るものは、多くは間接的のものであつて、府県民たるの自覚を喚び起すべき適当なる税種がない。それがために一般府県民に賦課し得る、又そうして府県民たる自覚を持たし得るものとしてこの電気税を要望するという一項があるようであります。これは多少傾聽に値するかとも考えられるのでありまするけれども、私共から申しますると、将来の都道府県というものは、いわゆる不完全自治体でありまして、そういうふうに住民をして負担の分任をやらさなければならんという理窟は誠に薄いのであります。住民をして負担の分任をやらしてその自覚を高めなければならん必要は、これは市町村側にこそ非常に大きな理由があるのだと考えられるのであります。又、府県側の申されまするのには、市町村側においては住民税であるとかいう、極めて弾力性の多い、負担分任の趣旨を明らかにし得る税種があるじやないかと、こうおつしやるのでありますけれども、誠にその通りでありまするが、これは不幸にして財政需要等から考えますると、現在の住民税等を、数倍、甚しき所に至りますると、二十倍くらいに一遍に増さなければ、財政需要を賄うことができないというような窮境に立至つているのであります。勿論その増し得る余地の與えられましたことは、結構なことでありまするけれども、これを今日の時勢において一遍に数倍或いは十数倍に増加するということは、到底行わるべきことでありませんので、そこで市町村側といたしましても、電気税のごときは是非共市町村に頂戴をいたしたい、こういうことを熱望をいたしておるのであります。本日も町村長の大会が行われまして、その席上このことが非常な熱望として現われておりますることはすでにお聞き及びの通り考えられるのであります。シャウプ博士も将来育成をしなければならん、又最も重要なる自治の進展を図らなければならんものは市町村である。府県よりも市町村であるということを明言されているのであります。従いまして若しこの税金を余計に取らなくちやならん必要があるという趣旨でありまするならば、他の税種において研究されまして、この電気税は是非共市町村側に頂戴をいたしたい。これは市側も町村側も一致したる熱望であります。不幸にして各地に散在をいたしております数の多いものでありまするがために、この都道府県側の、ごとくに運動が周到に参りませんのでありまするけれども、非常に熱烈なる希望を持つておりますることをお汲取を願いまして心よろしくお願いをいたしたいと存じます。  尚伝えられまする府県側の主張というものはいろいろあるようでございまするが、一々反駁をいたすことはいたしません。でございますからどうぞよろしくお願いいたします。
  32. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 次いで町村会の代表といたしまして愛知県町村会長の龍谷村長鈴木氏。
  33. 鈴木耕三郎

    参考人(鈴木耕三郎君) 只今紹介に預かりました愛知県の町村会長の鈴木であります。今日ここへ出ましたところの要件といいますか、目的は、国民健康保險税の問題につきまして申上げ、お願いいたそうと思つてつたのであります。  先程全国町村会の定期総会におきまして満場一致決議し、その決議の最も重要なる電気税の問題につきましては、極めて急を要するという情勢にあるということから、満場一致の決議を以て直ちに陳情書を関係方面と尚政府当局並びにこういつた委員会提出いたしまして、強力なる運動をし、実情を訴えて我々の要望に応じて貰いたい、こういう強い意思の下に決議になりまして、只今お手許へ届いておるようでありますが、一道四十六都府県の各府県から代表者五名以上出ましてこれを提出いたしたような次第であります。この電気税を府県税にするか、市町村税にするか、いずれが是であり、いずれが非であるか、いずれが正当な理由があり、いずれが非の理由があるかというようなことは、賢明なる諸君におかれましては十二分に御承知の筈であります。ただ何ものにも動かされることなく、真にこの税を市町村に適当であるとお考え下さるならば万難を排してこれは御決定願いたい。若しこれが保險組合に委譲するが適当であるというならば、我々全国千二百六ヶ町村が納得行くべき理由をお示し下さい。我々は断乎として納得できないという強い意思によつて、必要性であるとか、その他に亘りましては、私はここに賛言を要しないと思います。ただ我々の要望は、あらゆる全国の市町村長が、この税の配分に当りまして各郡の常会を、更に各府県におきましては市長村長の総会を開きましてあらゆる角度から検討いたしました結果の持寄りが今日の決議になつて表われて貼るのでありますから、この点を十分お汲取り下さいまして、我我要望を果して頂きますように格別に一つ御考慮を願いたいと、かように存じまして簡単でありますが事情を申上げ、お願い申上げます。
  34. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 尚今の電気税の陳情について兵庫県の町村会長で堺損保村長、それから鳥取県の町村会の副会長の三森甘野上村長、それから栃木県の町村会長の高崎小山町長が見えております。今の電気ガス税の問題について御質問ございませんか。御質問ございませんでしたら、次に先程に続きまして国民健康保險の実情につきまして山梨県の敷島町長の深山君補足を願います。尚先程三木委員からお話のありましたように要点をお願いいたします。   —————————————
  35. 深山昇

    参考人(深山昇君) 御紹介にあずかりました山梨の連合会の深山であります。先程本委員会に列席いたしまして、各委員が御承知の点を取上げまして、お話を聴きまして、ひたすら感謝いたしておるのであります。  御承知のごとく国民保險は生まれまして約十一年、本当に血の歩みをなして来たのであります。その間町村におきましても非常にこの経営に対しては苦しんでおるのでございます。漸く社会制度の一角として先般来よりこの国保が表に現われて来ておるのでございましてこの国保の経営につきましては、我々執行部として非常に血の出るような思いで今日経営しておるのであります。それは給付の問題、又は事務費の問題、殊に医者が非協力であつたというようなことからして、非常にその経営が一日一日苦しい状態にある。ありますが、税の問題につきましても、各位の御承知のごとく今回地方税法改正になりまして、非常に一人幾らというような税金町村の市民税として、町村税として課けられる。このようなことで非常に苦しい状態に入つて、殊に農家の不況時代も御承知のごとく目の前に下つておるようにも感じられるのでございまして、これでただ税金としてかけられるのみでは、これは税としては当然実行が……かけられんというような強い点があるのでございますが、これは農村の不況に対して非常に苦しい状態に陷るのではないかと考えるのでございます。ただこれは給付は国庫でどうしても見て頂かなければ、今後の運営がつかないと考えておる次第であります。敷島町の情勢はお手許に詳しく明細に差上げてありますので、その点を御覧願つて頂きまして、ただ私といたしましては、国庫でどうしても補助金を見て頂かなければやつて行けん、この点を申上げまして委員各位の御参考までに意見並びに希望を申上げた次第であります。  続いてここに国民保健につきまして、島根、鳥取並びに栃木、茨城と参つておりますので、二、三分間一つ各位の御意見をお聴き願いたいと思います。
  36. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 只今発言を許しました敷島町長の外に、茨城県の国民健康保險診療協議会の副会長の橘村長の笹竹氏から、陳情いたしたいという申出がございます。許したいと思いますが御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) じや笹目君。
  38. 笹目千城

    参考人(笹目千城君) 私が茨城県橘村の村長笹目であります。貴重な時間を拝借いたしまして、若干私の村におきまして、将来こういうふうな方法にいたしたいという要望を申上げたいと思ういます。  私の村は茨城県の霞ヶ浦と鹿島灘との丁度中間にありまする、元海軍の百里原飛行場という大きな飛行場のありました純農山村でございます。そうし地理的環境から、偏つた見解を申上げるかとも存じまするが、一応村の情勢を申上げます。さような非常に僻陬の農山村でありまするので、従来医者は殆んどおらなかつた。参りましても半年か三ケ月で町へ行つてしまうというように、実に医者の立たない村であつたのであります。そうした村でありまするところに、国民健康保險法が実施されまして、而も昭和十八年の五月一日になりまりて、初めて私の村では健康保險組合ができたのであります。それから六ヶ年間組合として経営いたして参りましたが、その後戰争に入りまして、この保險組合事業は非常な窮地に陥つて、ただ健康保險組合があるという形式だけになつてしまつたのであります。そうした状態のところに私が村長となりまして一番感じたのは、医者のないことであります。医療を受けられないというこの悲しみであつたのであります。先ず何としてもこの村民の医療の問題の解決をつけなければ、供出の基礎となりまする村民の健康、これが確保できない。この健康が確保できなくては供出もできないのじやないか、又村民の生きているという幸福の根本である健康がどうしても保てないということは誠に悲しむべきことであるというような考え方から、保險組合としての事業を強力に再出発をいたすことにいたしたのであります。  先ずそれには直結した医療機関のない保險は成立たないのではないかというような考え方に到達いたしましたので、昭和二十四年の四月一日から村営といたしまして、その村営といたす準備といたしまして、二十三年に直営診療所を設けたのであります。そういたしまして直営診療所国民健康保險とを結びつけまして、医療機関を持つ国民健康保險を実施いたしたのであります。尚、村の人口その他の状態は、お手許に印刷物として差上げてございます通り、所帶数は八百四十六、人口が四千五百四十四人というような状態でありまして、私の村は全戸加入いたしております。村民は一部職場の健康保險に入つている人を除いた者は全部被保險者となつております。そうした土台の上に立ちまして私の村の健康保險の基礎となります保險料はどんなことになつておりますかということを申上げますと、これは平均年一人当りが九十九円四十三銭、一世帶当りが四百九十七円十七銭ということに相成つております。これは全国でも一番低い保險料ではないかと、こう考えますが、この保險料の額は健康保險組合としての戦争の中頃においての保險料でありまして、終戰後におきまして、このままの保險料でやつておるというところに大きな無理があるということ前以て申上げて置きます。何故この保險料がこうした低額であるということは、申上げましたような農山村でありまして、それと従来の保險組合というものの運営が円滑に行かなかつた保險料は掛け捨てで何等保險の利用ができないというような考え方から、いわゆる保險というものに対する理解が足りないというようなところから、なかなか上げることが困難だというような事情もありますし、又一面申上げましたような農山村でありまするので、終戰後のインフレのために大変豊かになつた者もございますが、大部分の農民は非常に片寄つた地域に住んでおります関係上、インフレの波に乗つて豊かな生活をするということはできなかつたのであります。そうした関係から全般的に保險料を上げるということもなかなか困難な事情にありましたし、又村会も却つて保險料を上げて、それがために滯納を多くするようではいかんから、他の方法によつて考えることが宜しいじやないかというようなことで、赤字は一般会計よりできるだけ繰入れようというようなことで、一応この保險組合当時の保險料を踏襲いたして参つておるのでございます。併しながらこうした保險料では完全な国民健康保險運営はできないのであります。私の村におきましての、実際に村の実情に即しての保險を実施するためには、どの程度保險料が必要であるかということを申上げますと、大体一人当りの保險料が三百四十円、一世帶が平均一千八百二十円、この程度保險料徴収しなければ、完全な保險運営は困難なのであります。併しながら先程申し上げましたような事情から、なかなか保險料の増額は困難な事情にあるのであります。尚徴収方法としましては、毎月徴収というような方法をヒつておりますが、これは保險というものに対する認識が非常に浅い、徹底していないというような関係から、毎月保險料をとることによつても理解が深くなるじやないかというような考え方と、農家の経済上の困難からも分納することによつてたやすく納められる、そうして滞納が少くなるというような考え方から、こういうことにいたしておりまして、只今納入率は八十%となつております。給付状況を申上げますと、件数一ヶ月平均二百二十五件、受診率は年六十%となつております。一件当りの費用が六百二十円、年に七千四百四十円、平均件数二百二十五件に対する一ケ年の費用額が百六十七万四千円というような数字に相成りまして、二世帶当り国民健康保險による医寮費の負担は、平均いたしまして一千九百七十円というような数字に相成つております。一部負担は五割を徴収いたしております。徴収方法は役場から切符を発行いたしまして一切窓口では徴収をいたしておりません。村民は病気になりましても、村の診療所にお命を一銭も持たずに参りまして、そのまま診療を受けて後で治つてから村の役場に拙いに行けば宜しいというような方法になつております。さような関係から村民は非常にこの制度を最近見返して参りまして、保險料の納入状況も八〇%というようなところにまで行つておりますし、一部負担金の納入状況も大体八五%の程度に参つております。  以上概略私の村の一般状況を申上げたわけでありまするが、この私の村の国民健康保險運営の上から考えまして、どういうふうに保險事業を政府考えて頂いたらば宜しいかということを申上げたいと考えます。  まず国民健康保險を運用して見まして、一番私共の困難といたしておりまするところは、市町村市町村の責任においてやりたければやる、やりたくなければやらない、いわゆる任意制度ということが困る問題であると考えるのであります。何となれば、好きな村ではやる、嫌いな村でぱやらない、こういうことに相成つておりまするので、村民は隣の村ではやらないじやないか、俺の村でばかりこんなことをやつて余計の費用をかけるというように、いわゆる保險に対する理解の足らない村民はこの問題に反対をいたしておるのであります。どこの村でもその責任において必ずやる、強制的にもやらなければならないのだということになりまして、初めて各町村国民健康保險に対する歩調が一致をいたしますし、同時に各町村でいわゆる供出とか或は納税とかというような面と同じく、隣の村に負けないように俺の村でもやろうというようなことに相成つて来ると思うのであります。そういう考え方からぜひこの法第二條改正いたして頂いて、どこの町村でもやる、どこの町村も隣の町村に負けないようにやろう、供出や納税の問題と同じにこの国民健康保險考えて行くということになるように、法第二條を強化して頂きたいということが、私共の強い要望なのであります。尚先程いろいろ承わりますと、保險税り問題も出たようでありまするが、これは法第二條のこうした強化即ち改正ができます。ならば、税金でなくても現在の保險料でも宜しいと思うのであります。どこの村でもやり、どこの村も負けないようにということになりますれば、今の保險料でもとれることに相成ると思います。すが、併しながら今の段階におきましては保險料という名前でありましては、一般村民はまず税金を先納めて保險料を後廻し、こういうことに相成つております。現在の段階におきまして法第二條の改正強化ができないという段階にあるとしまするならば、これは保險税として文国民健康保險税として、町村税或いはその他の府県税としてとつて頂くということが一番適切な方法であると考えます。尚国民健康保、險運営上、この保險財政の上に大きな問題でありまする結核問題であります。るが、この結核の問題、結核の患者につきましては、これはいろいろの点から考えましても、国家に大部分の責任があると考えられるのであります。そうした結核恵者に対しまして、国民健康保險がこれを取り扱つて参りますと、この患者は早いので一年、大抵二年、三年という、時間的に長い医療費をこの村の国民健康保險が受持つて負担して参らなければならないのであります。結局この結核患者に対する医療の問題は、保險財政の大きな癌となつております。茨城県の保險から見まして、大体この結核患者に対する財政的な負担はどのくらいになつているかということを概略申上げますると、茨城県の保險給付費の総額が大体十億という額に相成りますが、その十億に対しまして二億七千万円程度の金額がこの結核のために費やされているのであります。でありまするから、先程申上げました結核に対する国家の責任というような意味から考えまして、少くも保險給付費の二割乃至三割は、保險給付費の中に政府補助をして貰わなくてはならないという結論になると思うのであります。  次は、国庫補助の問題でありまするが、結核に対する国庫補助はさような考え方から二割乃至三割を要望いたしたいと思います。  尚保險運営上、いろいろの議論がありますが、被保険者が納める保險料は、これはつまり病気を治すための、医療を受けるための保險料であつて、いわゆる保險の事務その他を賄うため、事業を賄うためのいわゆる人件費その他に保險料を出すということは、少しく不合理だという考え方が最近強いようであります。私も少くとも各町村における国民健康保險をやつて行く上の業務費、人件費はこれは全額政府補助して頂くということが大事であり、そこまで、少くともその面まで行きませんと、結局相当高額な保險料を取らなくちやならんということになると思います。先程も申上げました通り、私の村で一世帶当り一千八百円の保險料をここで徴収するというようなことに相成りまする場合を考えますると、これは到底不可能であります。そうした探險料の限度を或る程度に押えて保險料の滞納をなくし、又この事業を円滑に運営して行くという面から考えましても、いわゆる保險料は被保險者病気を治す実費に使つて運営費用事務費、人件費は全額国庫補助でやつて貰うということが、当然現在の段階においては必要だということを痛感しているのであります。  尚国民健康保險事業の上に大事なことは、医療機関の問題であります。先程も埼玉県の御説明にもありました通り医療機関との関係が円滑に参りませんと、保險事業は成り立ちませんことは申上げるまでもないと思います。私共の体験から申しましても、これは直結医療機関を持つことが必要であります。何故と申しますならば、私の村における直営診療所の経営の状態を申上げますと、大体一ケ月十万円の診療所の収入があるわけであります。その十万円のうちで診療所運営して行く上においてどれだけの費用がかかるかと申しますと、大体五割かければ十分であります。五万円の費用をかければ診療所運営は十分であります。そういたしますと診療所の収入の半分はいわゆる保險料の方へ廻して、保險料を安くすることができる。私の村の実例で申しますとこういうことに相成つております。そうした観点から申しましても、是非各町村国民健康保險は直営の診療所或いは病院を持つて、そうして運営上にうまくこれを利用して、成るべく村民の負担を軽くして行くというようなことを考えなければならないと思うのであります。さような観点から直営診療所政府の責任において、少くとも無医村には全部建てて頂くということが大事だと思います。尚その他の医療機関のある町村に対しましても、医者のおりまする町村に対しても直営診療所或いは病院を持ちますならば、私の村の実例から申しましても、その町村国民健康保險事業は必ず財政的にうまく行くといくことが分るのであります。どうかこの医療機関の分布の状態と申しますか、国民健康保險を運用して行く上に対して必要な医療機関を是非考慮して頂きたいということを申上げる次第であります。  大変まとまらないことを申上げましたが、お願いをいたしたいことは、法の第二條を強化しまして、任意制でなく、どうしても各町村ともやるという体制に変えるように第二條を強化して頂く。それからこの事業の運営上の事務費、人件費は全額を国庫に負担して頂く。それから結核に対しましては、この国民健康保險において扱います結核に対する医療費負担政府に全額して頂く。その大体割合は二割から或いは三割という程度でお願いいたしたい、こういうことに相成ると思います。  以上大変貴重な時間を拝借いたしましてまとまらないことを申上げましたが、尚私の説明に足らない点がございますならば、御質問にお答えをいたしたいと思います。有難うございました。
  39. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 尚島根県の安田村長同じく鳥取県の日野上村長、栃木県の小山町長から二、三分の程度で補足させて頂きたいという申出がございますが、許して差支えありませんか。重複にならないように一つ二、三分の程度で発言を許します。
  40. 大谷庄一郎

    参考人(大谷庄一郎君) 私は島根の安田村の村長であります。私の県におきましては、大体現在一人当りの治療費の使用点数は一箇年間に五十点であります。一点は十円でありますから一人当り五百円、五百あればいい。それから一家族五人平均といたしまして二千五百円を要する、二千五百円の事務費は約二割、三千円五人家族が一箇年に負担すれば完全に治療できる。そうするというと、その半分、五割負担というのが、大体普通最小限度の持ち方だ。だから三千円のうち千五百円は自分が窓口で拂い、あとの千五百円は組合費で、保險料として拂う、こういうことになる。だから三千円。それから千五百円という金は今年の町村民税から分けますと、丁度七百五十円の倍額だ。保險料を貰うことでかかつて行こうとするならば、申分のいわゆる五割負担といたしまして市町村民税の倍額の千五百円を持たなければ国民健康保險は維持できない、こういうことになるわけであります。従つて町村が如何に国民健康保險組合を維持するために苦労せんければならんかということを御承知つて何か国の御補助をお願いしたいと思うのであります。  聞くところによりますと、例の事務費の七割程こちらから出しておるということでありますが、事務費の七割を貰うことは結構でありますが、それしきの補助金では本当に何にもならないと思うのであります。だから今事務費と申しますると、三千円のうちの千五百円、事務費のうちには、国民健康保險のうちには看護婦を置いておりますが、それの費用も加わつておるのであります。それの七割、こう言えると思うのであります。少くとも県や国から新らたに予算を貰わないとできないから、どうかよろしくお願いいたします。
  41. 三森千八

    参考人(三森千八君) 大変貴重な時間で甚だ失礼でございますが、私はこの保險法の改正と同時に、私の村では一番先にこの條例を設定して、保險事業を村営でやつたのでございまするが、周囲の方はなかなかそれに応じてやりません。ところがさつき誰方がお話になりましたように非常に保險料の過重によりまして、私のところでは非常に利用が高くありましたために、殆ど百パーセント利用いたしますために給付人員に余計要しまして、そのために保險料の、只今も皆さんお話になりましたように村民税の倍ぐらいの負担をいたしておりますが、到底この状態であると本年度だけが危い、村長どうするか、こういうふうな議会の空気も出ておりますし、従つて、あの二條というものを強化いたしまして、これは強制法にしててでも全部やればいいのじやないかというふうに私は考える。実はいつだか、協議会の際に厚生省の事務官の方に医療分布は当り前である。併し作物以下の扱いじやないか。作物であれば農業共済保險であるとか、或いはそう言つたような家畜においてもそういう制度がありながら、人間にはそう言つたことが行われてていないのは、これはお医者さんという、開業医という制度がある手前むずかしいのですか。これは是非何とかして頂きたいということを、こういうことも私お願い申上げたようなことがあるのでありますが、とも角も今日憲法の二十五條の精神から行きまして、何とかして国民の保健ということを一つ十分にお考え願いまして、而もこの共済制度は小さい一町、一村というブロックでなくて広い範囲の共済にして、危險性を分散するというふうなことが、この際考えて頂ければ誠に倖せだと思うておるわけなのであります。どうか只今の際は国保に関する限り油もカンフル注射は駄目でございます。まあ願わくばリンゲルの注射ぐらい打つてしつかりとここに根拠を定めて、全部が手を携えて出発するのでなければ到底これは行けんと私は常に考えておるのでありますが、賢明なる先生方にはどうぞよろしくその点をお願いいたしたいと思います。
  42. 高橋秀雄

    参考人(高橋秀雄君) 私栃木の町村会の会長を勤めております小山の町長でございます。木田議員の皆様方には社会保障の前提である国民健康保險事業について、熱心な御検討を頂いておりますことを衷心から感謝申上げる次第であります。先程来より各町村長各位よりお話がありました通り、結論といたしまして私は法第二條の強化を叫ぶものであります。何となれば、法第二條におきましては、国民健康保險事業は町村これを行うということでありますので、内容におきまして行わなくともそれは差支ないのではないかというような見解を持つ者もあるのであります。ここに最も理解を持つておる町村におきましては強制加入を以ちまして、町村民の理解をもつて事業を行なつておりまするが、この法を強化することにおい三段と国民健康保險事業が強化されるということが求められると思うのであります。これを行なつておる町村におきまして、私の町におきましても国民健康保險襲業を行い、且つ又直営診療所を持つて経営をいたしております。その負担の内容におきましては先程鳥取の会長その他各位よりお話のありました通り、一戸平均におきまして千三百十円私の方でも負担いたしております。これを求めない町村におきましてはその負担を求めずともどうやら通るのではないか。健康体である者はこの事業を求めることにおいていささかの不安を持つておるのは事実であります。併しながら相互援助の現在の社会情勢より眺めまして、この内容の最も劣つておる保險事業の強化ということを考えますならば、個人生活はいざ知らず、社会公共用活を求める一員といたしましては、是非ともかような機関こそ今後の日本の文化国家のために最も必要であるということを考えるのであります。  栃木の状況を申上げますれば、現在二割内外が開業しておる町村であります。その他町村の議決を以ちまして着手にかからんとしており、或いは二十五年度より実施するというような内容を持つておりますものは、約三割程度ある事情に見受けられております。残り五割がその機運にはなつておりまするけれども、まだ完全に開業開始の時期に達しておらんというような状況であります。このように遅々としておる。一県下においてかような状況でありますれば、全国においても定めしそのような状況を辿つておるのではないかと、かように感ぜられるのであります。よつて法第二條の強化を求めて、そうしてこの事業を強化せしめることが国家安定国民安定の基礎をなすものではないかと、かように考え得られるのであります。財政的な困難な折柄ではありますけれども、特に政府当局におきましても事務費の方に国庫補助七割を求めて頂きましたことは誠に幸甚の至りでありまするが、その事業の内容におきましても、診療費におきましても成る程度補助金を求めてこそ、これは憲法に規定されましたところの第二十五條の趣旨に副うのではないかと、かような観点からしまして、診療費の国庫補助を我々は望みたいと思うのであります。同時に各町村にその事業を強化する上におきましては直営診療所、或いは病院施設等が共同的に設けられることが望ましいと思うのであります。各県の状況を見ましても、私共の県内の状況を見ましても直営診療所を持つておられる県は至つて微々たるものであります。この点につきましては十一ケ町村のように見られるのであります。かような点からいたしましても直営診療所乃至病院等の補助費等を十分政府当局において御検討を頂いてこそ国民の幸福が得られると固く信ずるものであります。時間の制限がありますので結論だけ申上げまして栃木の状況を御説明申上げた次第であります。
  43. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 最後に愛知県の龍谷村長に発言を許します。
  44. 鈴木耕三郎

    参考人(鈴木耕三郎君) 重ねて甚だ失礼でありますが、極めて簡單に御説明申上げます。  本日の地方行政委員会国民健康保險専門委員会でこの問題を取上げて頂いて、我々実情を訴えまして伺つておりますれば、大体本日の要点は、国民健康保險税目的税にこれを地方税として加えるかどうか、御検討なさつておるように拝察し又想像いたしておるのでありますが、大体この保險税を設定して、これを税金化して取ることがいいか悪いかということは重大な問題であろうと私共考えますのに、先程吉川委員殿から厚生大臣に極めて我が意を得た御希望があつた委員の方の御発言をかれこれ申上げては失礼でありますが、非常に私喜んだのであります。この問題は大きな問題でありまして、社会保障制度或いは医療機関の問題、その他全都関連性を持つております。ただ單に保險税を取りたいために保險税を取るというのではなかろう、この点十分研究して頂く必要があると思うのであります。  先ず第一に大きな問題から言いますれば、国民健康保險制度社会保險制度というものが一体いいか悪いかということでありますが、これにもいろいろ議論を言えばあると思いますが、現在の情勢からして、又文化国家として無論これは必要である、大切なものであるという結論に至つてつて、その線に副つて今進められておるのでありまして、然りとするならば、是であり、良であるとするならば如何にこれを経営するか、運営するかということが問題であります。保障事業を運営する、すべての事業がそうでありますが、事業を運営する、効果を上げるということは、収入と支出のバランスが合えばできるのであります。赤字が出れば如何によい事業でもやれない。この、バランスを合せるということを考えて行くならば経営は必らずできる。経営ができれば住民が喜ぶ。医療面で非常に救済ができる。いわゆる社会福祉事業が完全に行なわれるということになる。国民健康保險の方面の収入面から言いますれば、保險税より外にない。  それからその他は一部の国庫の補助がある、こういうことであります。そこで補助制度においては甚だ貧弱なものでありますが、医療費の一七%半を国が持ち、都道府県が一七%半持ち、保險者が三五%持ち、被保險者が三〇%持つ、その線なら行こうと計算しておるのであります。どうあつてもよい事業であるとするならば、国がこれまで考え負担すべきであると考えます。保險者保險税のことでありますが、これは事業が一般に強制してたいために勝手にやつておる。実行しておる村と実行しないでおる村の境にいろいろの問題が起る。これが又対象が住民であるがために、成る八は、恩典を蒙る人はいいが、健康家庭は不必要であるということになる。同じ事業を開始しておる市町村内でもこうした問題がある。ましてや市町村を県下、或いは全国に比べたときこの差があるということは、大きな問題であるがために、どこまでも強制して行く、強制して行けば税金で行つても差支えない。収入の面において補助金の増額、保險料を確実に収入するためにこれを法制化する、税法化するということで行かなければならん。同時に支出の面でありますが、これは医療機関の改善すべき点は相当ありますが、この点を考え、又地方の予防衛生方面にも、無論これは力を入れなければならん。支出の面において十分医療機関その他医師の面、そういう点において十分な検討を要する。これらと収入とどちらも合理的にこれができるならば、この立派な事業の経営が行く、かように考えられるのでありますが、先ず現在社会保障制度が急に行われないものとし、又社会健康保險、或いは船員保険、共済保險というように社会保險が七つくらいあると思いますが、これらが濫立しておることは非常に面白くない。これは当然一括すべきものである。そうして一定の方針で国民を平等に潤さなければならん。国民健康保險に入つておる者は半分なり三分の一、政府管掌の船員保險は全額負担であるという差があるということは面白くない。これは容易にできないから、当面として国民健康保險を進歩させる意味において、どこまでもそれを法制化、保險料税法化する。更に四十七條の国庫の補助金を基礎のある法律によつて補助率を決めて頂くということで行けばうまく行くであろうと思います。あらゆる方面から御検討を願いまして、保險税と合せてこの点を考えて頂きまして、この事業の円満なる発達のために十分な御努力を煩わしたい。かように考えております。
  45. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 只今までの説明につきまして御質疑ございませんか……別にございませんようでありますから、それではこれで散会いたします。    午後三時三十七分散会   —————————————  出席者は左の通り、    委員長     岡本 愛祐君    理事      吉川末次郎君            岡田喜久治君    委員            三木 治朗君            黒川 武雄君            林屋亀次郎君            島村 軍次君            鈴木 直人君            濱田 寅藏君    国務大臣    厚 生 大 臣 林  讓治君   政府委員    地方自治政務次    官       小野  哲君    地方自治庁次長 荻田  保君   参考人    厚生事務官    (保險局長)  安田  巖君   参考人    埼玉県浦和市助    役       常木 勘助君    山梨県敷島村長 深山  昇君    愛知県龍谷村長 鈴木耕三郎君    全国市長会事務    局長      菊山 嘉男君    茨城県国民健康    保険診療協議会    副会長    (橘村長)   笹目 千城君    鳥取県町村会副    会長    (日野上村村    長)      三森 千八君    栃木県町村会長    (小山田町)  高橋 秀雄君    鳥取県町村会長    (安田村村長) 大谷庄一郎君