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1950-07-07 第7回国会 参議院 地方行政委員会 閉会後第4号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十五年七月七日(金曜日) 午前十時二十一分
開会
――――――――――――― 本日の会議に付した事件 ○
地方行政
の
改革
に関する
調査
の件 (
地方税法案
及び治安問題に関する 件) ―――――――――――――
岡本愛祐
1
○
委員長
(
岡本愛祐
君) これより
地方行政委員会
を
開会
いたします、本日は
地方行政
の
改革
に関する
継続調査
をいたします。 先ず来る第八
臨時国会
におきまして上程されるであろう
地方税法案
につきまして、今までの
政府
のその筋との交渉の
経過
、そういうことについて承わりたいと思います。又どういう成案を拵えつつあるのか、それについて伺いたいと思います。
小野政務次官
。
小野哲
2
○
説明員
(
小野哲
君)
地方税法案
が第七
国会
におきまして不成立になりました以後、
政府
としましては
地方団体
の
財政
の現状に鑑みまして、一面
暫定措置
は講じて参
つたの
でありますが、何と申しましても
地方税法案
の成立に対しまして多大の期待をかけておりますので、
関係方面
と折衝して参
つたの
でございます。その結果後刻
鈴木次長
から
内容
につきましては、その
経過
並びに近く
提案
を見ようといたしておりまする
溝案
の、
政府
としての今回再
検討
を加えましたような点につきまして、
説明
をいたしたいと存じておりますが、右のような
経過
を辿りまして、
政府案
は一應
決定
を見ておるような次第でございます。
目下関係方面
と折衝を続けておるのでございますが、大体において了承を得る
見込
を持
つて
おるような次第で、近く正式の承認を得まして
国会開会
早々これを
提案
することにいたしたい、かような
心組
を持
つて
おるような次第でございます。 尚詳細の点は
鈴木次長
から御
説明
をいたしますのでお聴き取りを願いたいと存じます。
鈴木俊一
3
○
説明員
(
鈴木俊一
君)
地方税法案
につきまして今回の第八
臨時国会
に
提案
をいたしますに当りまして
政府
として前
国会
に
提案
いたしました
原案
に対しまして
訂正
を加えようということで、殊に前
国会
におきまするいろいろな御審議の
模様等
を考えまして、かねてより総
司令部方面
と連絡をいたしてお
つたの
であります。
岡本愛祐
4
○
委員長
(
岡本愛祐
君)
速記
を止めて……。 〔
速記中止
〕
岡本愛祐
5
○
委員長
(
岡本愛祐
君)
速記
を始めて……。
鈴木俊一
6
○
説明員
(
鈴木俊一
君) お手許に配付いたしました
地方税法案修正要綱
につきましてお話を申上げたいと思います。 今回の
地方税法案
の
訂正
の眼目といたしましては三点あるわけでございます。これは
最小限度
に
地方税法案
の
訂正
をいたしまして、
提案
をいたしたいというようないろいろの情勢からそのようにいたしたのでございます。その第一点は
地方税法案
の
提案
の時期がズレて参りました
関係
で、
賦課期日
とか
納期
というようなものに関しまして若干の
訂正
を加えるということであります。これが第一点でございます。第二点といたしましては
附加価値税
の
実施
を一年間延期するということでございます。これは
附加価値税
につきましては前
国会
におきましても非常に御議論がございましたようでございまするし、一応事実問題といたしまして本年一月一日に遡りまして
附加価値
を捕捉するということは
納税技術
上も相当な困難がございまするし、かたがた今後の更に
検討
上
準備
もいたしたいというような考え方からこれを一年間
実施
を延期いたします。その代りに
事業税
と
特別所得税
の
現行
の制度に若干の
調整
を加えまして、いま一年間これを継続して行くということにいたそうという案でございます。これが第二点の
訂正
の点でございます。それから第三点といたしましては
固定資産税
につきましてもこれも前
国会
におきまして大変御論議があ
つた
点でございまするし、
政府
といたしましてもいろいろ
検討
をいたしまして、この
税率
並びに殊に
償却資産
の
評価
の
方法等
に関しまして
訂正
を加えた点であります。これが第三点でございます。 この三つの点を中心にいたしまして、それに
関係
のある
限度
においてのみ
原案
に
訂正
を加えまして、再び今回
提案
して御審議願いたい、かように考えておるのであります。 先ず第一の
附加価値税
の一年
実施延期
に伴いまして
事業税
及び
特別所得税
についての問題でございますが、これは
財政計画
上
附加価値税
につきまして
見込
んでおりました今
年度
分の四百十九億という
税収入
を
事業税
及び
特別所得税
から得る
程度
にこの両税の
税率
、或いは
免税点
或いは
課税
の
対象
というようなものを
調整
をいたしまして、先ず
税率
につきましてはここにございますように
普通法人
につきましては
現行
百分の十八を百分の十二、これは
都市計画分
も含んで、百分の三を含んでおりますので、それを除きまして百分の十五というのを十二でありますが、実質的には百分の十八を十二に落すこになりますので、三割以上の
税率軽減
ということになるのであります。ただ
事業税
本来のものに限定いたしますると、百分の十五を十二でございますから二割
軽減
ということに相成ります。この点はその他の
特別法
へ
個人
の第一種、第二種、
特別所得税
第一種、第二種に関しましてもいずれも同様にいたしておるのであります。 それから
課税
の
対象
でございますが、これも
附加価値税
につきまして考えておりましたのと大体同様にいたしまして、農業及び林業につきましては
事業税
を全然課さないということにいたしまして、これは
固定資産税
との関連を考えて、やはり
事業税
につきましてもこのようにした方がいいだろうと、こう考えたわけであります。それから主として
自家労力
によ
つて
行います
原始産業
、即ち
水産業
などに関しましても、
附加価値税
と同様な取扱いにいたしまして、
課税
をしないといううにいたしておるのであります。 それから
免税点
でございますが、これも
現行
の四千八百円というのを、大体
所得税
の
基礎控除
二万五千円といようなのを考え合せまして、二万五円というところまで
引上げ
るようにたし参であかます。大体今
年度
事業
及び
特別所得税
を合せまして、四百十九億という線で
総額
を抑え、
財政計画
上支障がないようにいたしたい、こういうように考えておる次第であります。 それから第二の
市町村民税
でございますが、これは
原案
では
賦課期日
六月一日というふうにな
つて
いるわけでございますが、これを時期の
関係
で八月一日にズラして行きたい。それから
納期
の四回のものも三回にいたしまして、最後の二回、即ち
原案
の「十二月及び二月」というのを「十一月及び一月」にいたしたい。これは
固定資産税
の
納期
の方との
調整
を考えまして、
固定資産税
を十一月、一月に取ることが困難でございまするので、そちらの方の
関係
で
市町村民税
をズラしたわけであります。 それから二十六
年度
につきましては、
納期
は
原案
の
通り
四回でございますが、これも
固定資産税
の
納期
との
関係
で
終り
の十二月というのを十月にいたしたのであります。 それからその次の
固定資産税
の問題でありまするが、これは第一点は、
税率
の
調整
でございます。これは
標準税率
、即ち
一般原則
といたしましての
標準税率
を百分の一・七五から百分の一・七に引下げることにいたしました。 それから二十五
年度
即ち本
年度
の特例でございますが、これも
原案
におきましては本
年度
は百分の一・七五の
固定税率
を取
つて
お
つた
わけでございますが、これを一応仮の
税率
といたしまして、更に率を一・七五から一・七に、〇・〇五だけ緩和いたしまして、一・七という仮の
税率
によりまして、
土地家屋
に対しまして九百倍にしたもの、
償却資産
につきましては仮に
決定
した
価額
に対して本
年度税金
を取る。そうして得ましたところの
総額
が五百二十億、
財政計画
上要求いたしておりまするところの五百二十億に大体追い着きまするならば、この仮の
税率
を一・七ということに据置くのでありますが、若しも五百二十億より余計取れるという場合におきましては、これを一・六五というようなふうに落して参りまするし、或いは五百千億に相当達しないというような場合におきましては、一・七五というように上げるというふうにいたしまして、その
税率
の
最終決定
を来年、
昭和
二十六年の一月に行う。然らば五百二十億という
数字
をどういう
資料
によ
つて
見るかと申しますると、それはここに書いてございまするように、
昭和
二十五
年度
分の
固定資産税
の
収入見込額
及び
地租附加税
、及び
家屋税附加税
の過
年展
の
認定分
、並ひに調定
済額
の
滞納
にな
つて
おりますものの收入
見込
、これらを合算いたしまして五百三十億を取れるかどうかを見るといううことであります。尚二十五
年度
の、然らば
固定資産税
の收入
見込額
をどう見るかということてありますが、これもこの括弧の中にございますように、
土地家屋
につきましては捕捉及び
徴収
が容易でございまするから、これは百分の五十ということにするということであります。
償却資産
につきましては、これを更に一〇%下げました
調定見込額
の百分の八十を押えて行こう、こういうふうにいたしておるのであります。こういうふうな
方式
によりまして、果して五百二十億取れるかどうかということは、
地方税法
並びに
地方財政
の実際の運営に当りまする
地方財政委員会
がこれを
調査
をして行く。
従つて
五百二十億取れるかどうかということの結果として、
税率
を
変更
いたします権限を
地方財政委員会
に委任し、
地方財政委員会規則
でこれをやるというふうにまあいたそうというのが今回の
訂正
の
内容
でございます。 それからその次は、このようにいたしまして
地方財政委員会
が
固定資産税
の
税率
を
変更
した場合におきましては、その旨を速かに
内閣
及び
内閣
を通じまして
国会
に
報告
をするという点を加えております。それから更に
地方財政委員会
が五百二十億という
数字
を
検討
いたしますに当りまして、必要な
資料
といたしまして、本年の十二月
末日現存
の
固定資産税
の
調定見込額
、それから旧税の
地租附加税
及び
家屋税附加税
の本
年度
における過
年度
の
調定分
と、
滞納繰越分
の
収入見込額
、これらに関する
資料
を
市町村長
から来年の一月十日までに
知事
に
報告
をする。そうして
知事
はこれを集計をいたしまして、来年の一月二十日までに
地方財政委員会
に
報告
をする。
地方財政委員会
といたしましては、一月三十一日までにこの
税率
を
変更
するししないかを最終的に
決定
をする、こういうふうにいたしておるのであります。それから
固定資産
の
評価
及び
固定資産税
の
納付
の
方法
でございます。
昭和
二十五
年度
分の
土地家屋
につきましては、倍率の九百倍という
原案
はそのままにいたしておるのでございますが、
償却資産
に関しましては、別に
評価
の簡便な
方法
を考慮いたしております、その
方法
は後刻申上げますが、そこで
償却資産
に対しまする
価格
を仮に
決定
をしまして、その
面格
を
課税標準
として先の仮
税率
で算定いたしました
税額
を本年の十二月と来年の二月に二回に分けまして
納付
をして貰うのであります。それから
償却資産
の
価格
を正式に
決定
をいたしました後に、この額を
課税標準
として
固定資産税
の
税額
を再
計算
をいたしまして、そうして来年の十二月にな
つて
から
清算
をいたしまして、多過ぎれば還付いたしますし、少なければ追徴をする、こういうような恰好にいたしておるのであります。
償却資産
の
価格
の
決定
は来年の九月
末日
までに行うことにいたしておりますので、それから
清算
をして十二月中に
納付
をして貰う、或いは還付をする、こういうことであります。それから、それでは一番問題のございます
償却資産
の
価格
の
決定
の
方法
でありますが、これはここにございますように、三頁の
終り
のところに(イ)といたしまして
帳簿価額
、(ロ)として
資産
再
評価法
の
規定
による再
評価額
、(ハ)として
納税者
が申告した
見積価額
、(ニ)として
資産
再
評価
の
規定
による再
評価
の
限度額
又はこれに相当する
金額
(
陳腐化等
の
事情
があるものについてはその
事情
を考慮して定めるものをいう)の百分の七十の額、この四つの基準を置きまして、このいずれの額をも下ることができないという
一つ
の線を引いておりまして、その線の中で仮に
償却資産
の
価格
を今
年度
決定
する、こういうことにいたしておるのであります。これは実際問題といたしましては、
帳簿価額
なり再
評価額
なり、或いは再
評価
をいたさない場合の
納税者
の申告をした
見積価額
というものが、
資産
再
評価法
の
規定
による
限度額
、又はそれに
相当額
の百分の七十を下廻らない七十五とか、八十、八十五というような
数字
でございました場合には、
帳簿価額
なり、再
評価額
なり、
見積価額
を大体そのままとるというようなことで、簡単に
決定
いたすようにいたしておるのであります。そこで問題はこの百分の七十という
最低限度
の問題でありますが、これにつきましては、ここに書いてございますように、
陳腐化等
の
事情
を考慮して定められるわけでありまして、これはいずれも
資産
再
評価法
の
規定
によ
つて
おるわけでありますが、
従つて陳腐化
の
事情等
も考慮されまするから、
従つて
ここに先ず第一次における或る
程度調整
ができると思いますが、それでも尚遊休、未稼働の
償却資産
につきましては、更に緩和をする、或いは
調整
を加える必要があるであろうということを考慮いたしまして、この
価格
が明らかに且つ著しく(ニ)に書いてある額を下ると認められるとき、実際の
価格
というものが
限度額
の百分の七十を更に相当下廻るというふうに認められます場合に事きましては、更にこれを緩和する
措置
を考えておるのであります。それは二つございまして、御
承知
のように
償却資産
の
価格
は
地方財政委員会
が直接
決定
いたしますものと、
市町村長
が
決定
するのと、二
通り
ございます。
地方財政委員会
の
決定
いたしますのは、これも二
通り
あるわけでありまして、数
市町村
に跨がるような
移動性
の
償却資産
、船舶でありますとか、
鉄道軌道
というようなものと、それから大
規模
の
発電所
なり、八幡の日鉄のような大
規模
な工場で、その
価額
を周辺の
市町村
に配分いたしますようなこういうようなものは、
地方財政委員会
が直接
決定
をいたすものであります。そういうものに対しましては、
納税者
の
申請
というものを前提にいたしまして、
納税者
の
申請
がありました場合におきまして、
事情
が正にその
通り
であるという場合には、百分の七十を更に下して
価格
を
決定
することができるようにいたしております。それから
市町村長
の場合に関しましては、これも大体二
通り
あるわけでありまして、大体額の多いもの、
限度額
が例えば一千万円を超えるというようなものにつきましては、
市町村長
がその
議会
の
議決
を経た後に、更に
地方財政委員会
の
許可
を得て百分の七十という
限度
を更に落して行くことができるのである。それから
限度額
が一千万円に達しませんような軽いものに対しましては、
議会
の
議決
だけで
市町村長
が
限度額
を更に緩和できる、こういうようなことを考えておるのであります。この
市町村長
が取扱いますものにつきすしては、
地方財政委員会
の
許可
を得るものと、
市町村長
だけで
決定
をいたしますものとの区分については、これは
地方財政委員会
が定めるわけでございまするが、只今申しましたように、大体一千万円というようなところで行
つた
らどうだろうかというようなことを今考え中でございます。 それから次の
免税点
の問題でありますが、これは御
承知
のように
土地家屋
及び
償却資産
を
引括め
まして、三万円というのが現額でございまするが、二十五
年度
につきましては、又二十六
年度
に関しましても、
土地家屋
というものは一応
はつきり確定
をいたしますけれども、
償却資産
に関しては、一応仮
決定
でございますから、後になりまして、その
価額
が動いて参るわけであります。そこで当初三万円ということで
免税
に考えてお
つた
ものが正式の
決定
のときには
免税
にならないということもございますし、又逆の場合もあるわけでございまして、その波及が
土地
、
家屋
にも及びますことは適当でありませんので、
土地
、
家屋
、
償却資産
それぞれにつきまして各二万円ずつ
免税点
を見る、こういうことにいたしたのであります。 それからその次は
納期
であります。これは
固定資産税
の四回の
納期
を三回にいたしまして、八月は
原案
の第三期と同様でございますが、十一月というのを十二月、二月に先程申しましたようにいたしたのであります。 それから
償却資産
に対しましては、
償却資産
の
価格
の
決定
に時間を要しますので、十二月、二月の二回に分けて取るということにいたしておるのであります。 それからその次の、
昭和
二十五
年度
分の
固定資産税
を課すべき
償却資産
及び
昭和
二十六
年度
分の
固定資産税
を課すべき
固定資産
(
土地
、
家屋
及び
償却費
産)の
価格
は、
昭和
二十六年九月
末日
までに
決定
をするということにいたしております。二十五
年度
は九百倍ということで、
土地
、
家屋
は当然に決まるような案にいたしておりますが、
償却資産
は先程申しましたように、仮
決定
でありますし、二十六
年度
分は、一応初めの三回は九百倍で
価格
を決めまするが、九月
末日
までにやはり最終的に
土地
、
家屋
につきましては
価格
を決めるようにいたしております。
償却資産
も同様であります。そこで九月
末日
までに
決定
をいたしまたならば、これを
固定資産課税台帳
に登録をいたしまして、同年十月一日から十日間
住民
の
縦覧
に供し確定するということにいたしております。 それから二十六
年度
分の
納期
でありますが、これは
原案
の四月、六月、八月及び十一月というのを一番
最終納期
の十一月を九月三十日に
価格
を
決定
をして、その後
縦覧
その他の手続がありますので、十一月
納付
は困難でありますから、これを十二月ということにいたします。前三回即ち四、六、八、この前三回は、
農地
以外の
土地
及び
家屋
に対して課する分にあ
つて
は、
賃貸価格
の九百倍、
農地
に対する分にあ
つて
は、その
公定価格
を
基礎
として算出した
昭和
二十六
年度
の
価格
、
償却資産
に対して課する分にあ
つて
は、前
年度
の仮
決定
の
方式
による
価格
を
課税標準
として仮に算定した
税額
に基いて
納付
せしめることとし、
土地
につきましては、この
農地
以外のものは九百倍で一応参りまするが、
農地
につきましては
公定価格
がございますからこれは初めからきちんと決ま
つて
しまうわけでありまして、尚
償却資産
につきましては、前
年度
仮
決定
をいたしましたものを一応前三回に対しましては取りまして、仮に算定をして
納付
させるのでございます。そうして九月三十日に
価格
を
正式決定
をしましてから、十二月中に二十六
年度
分も
清算
をするというわけであります。即ち来年の十二月には、二十五
年度
の
固定資産税
の
清算
と来
年度
の
清算
と両方をいたすのであります。 以上が
地方税法案
の前
国会
に
提案
をいたしました案に対じまして
訂正
を加えておる点であります。尚この他に
地方税法
の
改正
に即応いたしまして、
地方財政法
につきまして次の二点
訂正
を加えるような案を用意いたしておるのであります。即ち
寄附金
を
住民
に強制的に割当て
徴収
する……シヤウプさんが言われましたが、強制的に
寄附金
に相当いたします三百億というようなものの
徴収
を禁止するという
一つ
の精神的な
規定
を
地方財政法
中に挿入をいたすということが第一の点でございます。第二の点といたしましては、現在
起債
をいたします場合に、
標準税率
を超えまして、更に二割
超過課税
をいたしておらなせれば、
起債
に求めることができないということにな
つて
おりますのを緩和いたしまして、
標準税率
まで取
つて
おれば
起債
ができる、こういうふうに制限を緩和しておるというのが第二点でございます。 以上が今回
地方税法案
並びに
地方税法案
の附則におきまして
規定
をいたしておりまする
地方財政法
の一部
改正案
の
内容
でありまして、このようなものを次の
国会
に
提案
をいたしたいということで、今
準備
を進めておる次第であります。
岡本愛祐
7
○
委員長
(
岡本愛祐
君) 以上の
説明
に対しまして、御質問ございませんか。
西郷吉之助
8
○
西郷吉之助
君 一頁のところに、
都市計画税
を今度は含めるとあるが、
都市計画税
を含めての
総額
は、それを突破しないようにな
つて
おるのですが、各種の
法人
並びに
個人
の
税率
はそこにありますが、その
金額
と総合すると、
都市計画税
を含むとな
つて
おりますが、それを含んでも、取過ぎるということはありませんか。その点はどうなんですか。ちよつと我々が聞いたところでは、例えば
運輸事業
なんかにおいては、
都市計画税
を含むために非常に多くなるという人があるのですが、それはただ簡単に言
つた
ら、根拠においてはそれが当
つて
おるかどうかは存じませんが、
政府側
では、
都市計画税
を含んでも
附加価値税
の
総額
を越さないかどうか、その点はどうですか。
鈴木俊一
9
○
説明員
(
鈴木俊一
君) 只今の点は、現在の
事業税
、
特別所得税
につきましては、
都市計画税割
が実際プラスになしまして取られておりますから、実際の
税率
が
普通法人
百分の十五が百分の十八にな
つて
おるわけでありますが、
改正案
におきましては、今考えておりますのは、
都市計画税
を廃止するということにいたしておりますので、勿論
事業税
、
特別所得税
で取られまするもの全部を合せまして四百十九億という枠の中で考えるようにいたしておるのであります。
鈴木直人
10
○
鈴木直人
君
附加価値税
をそのまま取りますと四百十九億になる。ところが従来の
事業税
をそのまま取ると、六百五十億ですか、相当多くなる。そこで四百十九億の範囲内において
事業税
の
標準税率
を下げる、こういうようなことでありましたが、そうしますと、
徴税者側
から見れば、従来の
税率
そのままで
事業税
を取られるよりも、
附加価値税
と
なつ
た方が相当
軽減
されるようになると思うのです。併しながら
附加価値税
に対しましては、従来から当
業界
において反対する態度があ
つた
わけです。即ち
事業税
を残して置いて
貰つた方
がよろしい、
附加価値税
よりも
事業税
の方がいい。こういう
業界
の声も相当ありましたが、併しながら
徴税総額
から見ると、
附加価値税
は四百十九億であるし、
事業税
は相当多くの
税額
に達しておる。そこで、勿論それは
業界
全体としては
附加価値税
の方が場
軽減
されるわけでありましようが、その
業態
々々、いわゆる
業種
によ
つて
加重される
部分
と
軽減
される
部分
とがあるのだろうと思うのです。その間において
事業税
が
附加価値税
になるために相当加重される
業種
というものはどういうものがあるか、そうして又
事業税
よりも恩典を蒙る
業種
というものはどういうものがあるかというようなことを
一つ
伺いたいと思います。
鈴木俊一
11
○
説明員
(
鈴木俊一
君) この
事業税
でありまするが、このような
税率
の
軽減
、
免税点
の
引上げ
とか
課税対象
の
変更
というようなことを考えませんで参りますると、本年の
所得税
が
調定見込税
が正確に段々な
つて
参りましたので、そういうものを
基礎
にして
計算
をいたしますると、やはり相当多くのものになるようであります。いずれ
数字
は改めて
資料
として提出いたしますが、七百億を越えるような
数字
になるような
計算
をいたしております。そういうものからいたしまして四百十九億というところに抑えるわけでありますから、これは相当大きな額においての
変更
があるわけであります。どういう点が一番多く変るかということでありますが、
所得
に対する純益の
課税
と
附加価値
という
一つ
の
標準
で抑えまするものとでありますから、おのずから違
つて
来るわけでありまして、
赤字企業等
につきましては
事業税
はかかりませんけれども、
附加価値税
はかかるというようなことでありますし、
従つて事業税
を取りますると大
企業
で
優秀企業
というようなものは
附加価値税
よりも余計負担しなければならんだろうと思いまするし、又逆に大
企業
でありましても
赤字
のものは
事業税
なら免がれる、
附加価値税
なら出さなければならないというような違いが極く大雑把に申しますとあるであろうと思います。尚実際の負担の
状況等
は更に
数字
を
調整
いたしましてこれも
資料
として差上げたいと思
つて
おります。
鈴木直人
12
○
鈴木直人
君 国民の納税する
総額
から見るというと、従来の
事業税そのもの
で行けば七百億も納めなければならない、
附加価値税
で行けば四百十九億で行けるのであるというわけなんでありますが、
従つて
それぞれの
業態
的に見れば
附加価値税
によれば非常に過重な税を負担する業者というものが出て来ると思いますけれども、七百億対四百十九億という差から見れば、
附加価値税
にしたところでそれ程
事業税
よりも酷になるという
業態
が少いのじやないかと思うのですが、そういう
見込
みはどうですか。
鈴木俊一
13
○
説明員
(
鈴木俊一
君) まあこの四百十九億というふうに
総額
として押して参りまするから、これは今の
赤字企業
とかいうような
関係
を除いて考えまするならば、
附加価値観
のそれぞれの
業種
、
業態
につきましては多少の
変更
はあろうと思いますけれども、全体としうに考えております。
鈴木直人
14
○
鈴木直人
君 尚約半年以上前に地方税の
調査
に我々は岡山県とか、大阪府等を廻
つた
ことがありますが、その際においては
附加価値税
を延期して
事業税
をそのまま取
つて
貰いたいという意向が商工会議所
関係
の御意向であ
つた
ように思うのです。ところが今回北海道方面をずつと視察いたしまして中小商工業者の方々の御意見を聽きますというと、
事業税
は中小商工業者を実は圧迫している、それは
所得
のあるところから
事業税
は取るということであるけれども、大体現在の
課税
方法
というものは北海道においては幾ら、或いは釧路地方、旭川地方においては幾らという点から割当てて来る、
従つて
その割当てられたところの
金額
をそれぞれの税務署において
業界
に又それを割当てるようなことになる、
従つて
結局は
所得
のあるところから取るという建前ではあるけれども、小さいところの商業者であ
つて
も、
所得
が実際ないにも拘わらずお前のところはこれだけあるのだろうということで
相当額
の
事業税
というものを取られておるということである、建前はそれは
所得
に応ずるところのものであるということにな
つて
おるけれども、実際の税務署等の
課税
というものはそうでない、そういう現実である。ところが
附加価値税
は
標準
がはつきりしておりまして、そこにごまかしのつかない外形
標準
で行くから非常にその点ははつきり掴める、
従つて
商業者のごときは非常に有利になる、
従つて事業税
は中小商工業者には実質においては相当酷であ
つた
が、
附加価値税
になるというと、中小商工業者には非常に有利になる、だからしてむしろ
事業税
よりも
附加価値税
の方が自分達は歓迎するのである、こういうような意見を商工会議所の中小商工業者の言葉から聞いて来たのでありますが、そういうことになりますか。
小野哲
15
○
説明員
(
小野哲
君) 鈴木さんの只今御指摘になりました点でありますが、今回
政府
が
附加価値税
の
実施
を一年延期をいたしますということは、先程
鈴木次長
から
説明
いたしましたような理由からでありまして、
附加価値税
そのものについて考えて見ますると、鈴木さんの御指摘に
なつ
たような点が考え得るのであります。従いまして
政府
としては
附加価値税
そのものについてこれが必ずしも中小
企業
者等に対して
課税
の面において重大な圧迫を加えるものではないということを考えておるのであります。
事業税
の
現行
の状況から考えますと、
法人
と
個人
との負担の点から申しましても、
個人
に実は偏在をいたしておるのでありますが、
附加価値税
を施行いたします場合におきましては、
法人
と
個人
との間において均衡化を図り得る
見込
も持
つて
おるような次第であります。大
企業
即ち
法人
組織によ
つて
大きな
企業
経営をや
つて
おる向きにつきましては、
現行
地方税法
によ
つて
はいわゆる収益
課税
でありますので、軽い
課税
の状態に置かれてお
つた
と言わなければならんと存じまするが、労務その他の
関係
から考えまして中小
企業
方面につきましてはむしろ
附加価値税
の施行によ
つて
事業税
に比較いたしましては均衡のとれた税負担が行われることになるであろうというふうに考えておるのでありまして、鈴木さんが北海道において御
調査
になりました点も、さような方面から、中小
企業
者自身の
計算
において
附加価値税
につきましての認識が改ま
つて
来たのではないか、かように考えておる次第でございます。
鈴木直人
16
○
鈴木直人
君 尚更に申上げますが、併しながら又
附加価値税
が外形主義によ
つて
行くという点からして、その方面のいわゆる
業界
の負担の均衡という点から、
業種
別の負担の均衡という点から見て、欠くるところがあるように考えられる。それは先程お話もあ
つた
ように、
赤字企業
のものから取る、或いは又殆んど仕入れをしないで、人を多く使
つて
行くというような
業界
には、相当やはり加重される。その他
附加価値税
、その他について相当その内部的には不合理の点も又私は伏在しておると思うのであります。
従つて
来年の一月一日からこれを
実施
するということのようでありますけれども、その間においてシヤウプ博士も来られるようでありますが、その不合理な点、いわゆる
業種
間における不合理な点の緩和とい効ようなことは考えられるものでありましようか。又そういうことを考えて、そうして二十六年一月一日まではもう一度これに対するところの修正を加えて
実施
する、こういう含みで実は
附加価値税
というものが一年延期されて来るのではないか。免租
説明
を聞きますと、実はもう相当時期的にズレておる、
従つて
本
年度
実施
するということは、技術的にも実は不可能であるという点もあ
つた
ようでありますが、それだけではなく、やはり
内容
的に
事業税
と比較して、税そのものから見るというと、必ずしも悪いものではないが、
附加価値観
のその中味においに、まだ
検討
すべきものがあると思う。
従つて
それは一応
原案
の
通り
、仮に
政府
としては
提案
するんでしようか、そうしてそれがどうなるか分りませんが、成立したという場合においては、その間において何らの修正もなくして、一月一日から
実施
するという方針で
提案
されておるのかどうか、こういう点をお聞きしたいと思うのであります。
小野哲
17
○
説明員
(
小野哲
君)
附加価値税
につきましては、
業種
によりまして従来よりも重課されるものが起
つて
来るであろうということは考えられるのであります。従いまして第七
国会
において
提案
いたしました
原案
におきましても、二十五
年度
に関しましては、或る種の
業種
につきましては
附加価値税
の不足に関しましては、特例を設けるような
方法
も考えまして、急激の変動を成るべく避けて参りだいという趣旨を法律の中に織込んで参りたいと考えたのであります。今回の
附加価値税
の
実施
を一年延期をいたしました理由は、先程来
説明
をいたしました点から御了承が願えると思うのでありますが、いずれシヤウプ博士も見えるということにな
つて
おりますし、その他この税法案の
内容
について、今後論議を盡される場合も起
つて
来るであろうと考えるのでありますが、さような場合において更に
検討
を加える機会はあるであろうと考えておるのでありますけれども、この
臨時国会
につきましては、先程当局から御
説明
いたしましたような
経過
を辿
つて
おりまする
関係
上、この
程度
の
訂正
を加味した法律案として、
国会
の御審議を仰ぎたいと考えておる次第でございます。
西郷吉之助
18
○
西郷吉之助
君 今の鈴木委員の御質問の
内容
と関連するんですが、一点伺
つて
置きたいのですが、今度
附加価値税
要綱案によりますと、
附加価値税
を暫く延期して来年一月より
実施
するというような要綱案にな
つて
おりますが、そうしますと
事業税
を、その代りに
税率
を
変更
して行う。そうすると納める方では
事業税
でいろいろ
計算
をして、
納期
までに用意をするのでありますが、要綱案に示される
通り
来年一月一日から
附加価値
は
実施
されるので一ありますから、納める方の側は
附加価値税
に
なつ
たらどうなるかという
計算
をして置かなければ、一月以降の納
税額
がはつきりして来ないということになるので、両方の案によ
つて
納める
金額
を
計算
して置かなければならん。尚且つ一日一日からは
附加価値税
とこれによれば代りまするから、ここが非常に混雑して来やせんか、
事業税
としていろいろ
納期
が、私今ちよつとはつきりしませんが、いろいろあると思うのですが、そうすると今
年度
の分だけ分割拂いであるならば、一回くらいであ
つて
、後の二回はもう実際に
事業税
には拂わないのであ
つて
、
附加価値税
で
計算
しなければならん。要するにその間
納税者
の方は
附加価値税
と
事業税
と実際納める結果になると思うのでありますが、そういうふうな点はこれが
附加価値税
の
実施
時期が
年度
替りの当初二十六
年度
四月一日ということであれば、そういうことはないと思うのですが、途中の
事業税
をその中に入れるのですから、両方
計算
し、両方納めるという結果になるのですが、その点
政府
の意向は実際そうなさるのか。二十六年の一月一日とな
つて
おるが、実際は
事業税
で
計算
した
金額
を大体その
程度
でお考えにな
つて
おるのか、実質的には二十六
年度
の四月以降
附加価値税
で
計算
して置けばいいのだということなのかその点或いは
政府
も今申上げました混雑なことでありますから、非常に
納税者
にと
つて
同情のある、含みのあるお取扱いをなさるのか、厳格に二十六年一月一日から
事業税
を廃止して
附加価値税
に切替えてその納税
金額
にしよう……。
政府
のお考えでは或いは又どつちにしろ、
総額
は、
附加価値税
の場合でも、
事業税
の場合でも
総額
は同時に抑えてあるから、その諸般の手続等は複雑するが、
金額
については同じものであるというふうなお考えであるか。その点を一遍承
つて
置きたい。
鈴木俊一
19
○
説明員
(
鈴木俊一
君) 只今西郷委員の御質疑になりました点は、今用意いたしておりまする案におきましては来年の一月一日を境いにいたしまして切替えるわけでございまするから、一月一日の属する
事業
年度
につきましては、今
年度
に跨が
つて
おりますものは、御指摘のごとく
事業税
の
計算
を一面においていたしますと共に、一月一日以降の分については
附加価値
の
計算
をして行く、こういうことになるわけであります。その点御指摘の
通り
でありますが、成る程その点
納税者
の側から申しますると或る
程度
面倒の点があろうと思いまするけれども、まあこのような事態にな
つて
おりまする
関係
上、又
事業税
につきましては、
政府
といたしましてはこれを
附加価値税
に切替えてより負担を合理化したいというような考え方でございますので、一年延期という考え方から、
附加価値税
の
計算
も併せて一月一日の属する
事業
年度
につきましては同時にや
つて
貰いたい、こういうふうな案を用意いたしおるわけであります。
西郷吉之助
20
○
西郷吉之助
君 もう一点私から……。それからまあシヤウプ博士がおいでになるようなことも新聞で見ろのですが、そういう場合には
政府
も卒直にこの案で行けば来年の一月一日から
附加価値税
を
実施
することになるのですが、その間或いは来月か今月末か知りませんが、シヤウプ博士がおいでになる。そうすれば
附加価値税
について
政府
としては前に出したような案を今度柳か
変更
するわけですが、そういう、かうな点については勿論ですが、その他の
附加価値税
の
内容
についても、例えば金融業は特例であ
つて
根本的に
附加価値税
は出すべきや否やという根本問題もあるのですが、そういうふうな点とか、或いは
財政
委員会において現益では除外してあるが、これは
課税
すべきかどうかというようなものが或いはありましたならば、そういうふうなものにつきましても卒直に御研究ありまして、この案で来年の一月から
実施
するごとにな
つて
はいるが、シヤウプ博士いろいろ研究されて、今後とも改めるというふうにお考えなのか、作戦上、作戦上というと変ですが、一応
事業税
をや
つて
置いて、一月から切替えてしま
つて
、後は押切るというのですか、その点はどうですか。
小野哲
21
○
説明
(
小野哲
君) 西郷さんからお話がありましたように、シヤウプ博士が近く来られる予定にな
つて
おります。恐らくシヤウプさ場んが来ますといろいろ
政府
当局を初め
関係方面
と意見の交換をするような機会を持たれるのではなかろうか、こういうように推測するわけであります。その際に大体
国会
における審議の縦様どか、或いはその他実情についての意見も出て来るのではないかと考えております。只今のところでは、
政府
としては今
説明
申上げましたような
限度
において
地方税法案
を取運んで参りたいということを考えているようなわけでありますので、今後シヤウプ補一士がおいでに
なつ
たり、その他の機会においてどういうふうな論議が行われて来るかということは、今のところは実は予測できない状態にあるわけであります。併しながらさような機会が與えられましていろいろとデイスカッスこ行われました上で更にいいものが考え得るとするならば、これにつきましては又
検討
を加える必要も起
つて
来るのではないか、かような
程度
の考えを目下のところは持
つて
いるわけであります。
三木治朗
22
○三木治朗君 只今の御
説明
で
附加価値税
を一年間延期すると、職業税との差額が四百なにがしで、七百なにがしであると三百億取過ぎになる。それは
事業税
で勘案するとい、わけの御
説明
であ
つたの
ですが、
政府
の前の第七
国会
での
説明
では、
所得税
を
軽減
して地方税を四百億余り余計取るのだ。それは
寄附金
をどうこういう問題がありますが、四百億余計取るのだという
説明
であ
つて
、その地方税の中の
附加価値税
が三百億余りも
事業税
に比して少く取るのだということになるというと、
所得税
の四百億に
事業税
が
附加価値
に変るために取らなければならん三百億というものは、結局
市町村民税
と
固定資産税
にかか
つて
来るのだということに解釈してよろしいのですか。
奧野誠亮
23
○
説明員
(奧野誠亮君) 改政法案におきまする
事業税
におきましては、旧来のを使いました場合よりも三百億ば少くなる、こういうことを申上げおりまするのと、前
国会
に申上げました国民負担が相当
軽減
されるという場合に用いました根拠とは実は違うのであります。国民負担全体が少くなく申下しましたのは、前年
年度
実際国民が納税した額よりも更に相当負担が
軽減
るのだということを申上げましたわで、今
事業税
につきまして七百億以上余計取るというふうに申上げておりますのは、現在法律の上で
規定
せられております制度をそのまま適用して行
つた
場合には七百億円からになるのだ。からそれを
附加価値税
程度
の負担にめるために、
税率
を下げたり、或いはは
免税点
を上げたり、或いは附加税小範囲を拡めたり、こういうふうに中院げて、いるわけであります。
三木治朗
24
○三木治朗君 どうもちよつと
計算
が合わんような感じがするのですが、その外に地方税としては、入場税なども十五割が十割になるといろいろな面で減税……どうも
政府
の言うことは減税になるのだ減税になるのだ、或いは負担は減るのだということにのみ力点を置いておいて、実際の問問題とすると我はどうもそろばんが合わんような感じがするのですが、もう少し納得の行くような……。
奧野誠亮
25
○
説明員
(奧野誠亮君) 国民の租税負担におきまして、国税の面においては七百億円
軽減
され、地方税の面においては四百億円増額され、差引三百億円負担が
軽減
される、
寄附金
等の
軽減
も加えればもつと大きいだろう、こういうことを申上げてお
つた
わけであります。その際の地方税において四百億円増税になることは、
事業税
は約四百二十億円
徴収
され、それが四百二十億円というふうにやはり前後の差がそれに加わる、こういうふうなことを
計算
にしておるわけでありまして、その四百億円出る
部分
はどの
部分
かと申しますと、
市町村民税
でありますとか、或いは
固定資産税
であ
つた
りするわけであります。その外に今御指摘の点に入場税の
軽減
等がございますので、
市町村民税
や
固定資産税
だけを取上げて見ますと四百億円以上の増税になるという結果に糟成るわけであります。その
計算
で行きますと、
事業税
は今
年度
も継続して行いました場合は七百億円の收入になるという規則は全然違うわけであ力ます。前
年度
との負担の比較において申上げております。
事業税
においては
所得
を
課税標準
に使いますが、それは二十三年における
所得
であります。二十三年の
所得
を
基礎
にしまして、二十四年に四百二十億円内外の
所得税
を
徴収
したわけであります。今七百億円と言われております
事業税
の
課税標準
所得
は、二十四年の
所得
であります。この二十四年の
所得
を
基礎
にいたしまして、
所得税
や
法人
税がすでに大体徴税の
決定
を終
つて
おります。それを
基礎
にして
計算
いたして参ります七百億円くらいになります。かよう申上げておるわけであります、
三木治朗
26
○三木治朗君 いずれこの法案は正式に提出になり、又委員も大分変るから、又そのときにゆつくりしたいのでありますが、結局
固定資産税
や
市町村
民か相当大幅にかか
つて
来るということは大体想像できるのです。私共としては
固定資産税
や
市町村民税
というものはいわゆる一般大衆
課税
であるという工合に解釈しておるわけです。この問題はこのくらいにして、いずれ正式のときに申上げます。
堀末治
27
○堀末治君 地方税の方は大体この辺で打切りまして、治安問題に関連しておるのですが、それを御
説明
願
つた
らどうですか。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
岡本愛祐
28
○
委員長
(
岡本愛祐
君) それでは皆さん御異議がないようでありますから、堀君から御意見が出ましたように、
地方税法案
につきましてはこの
程度
にいたして置きたいと思います。 ―――――――――――――
岡本愛祐
29
○
委員長
(
岡本愛祐
君) 次に治安の問題につきまして
政府
当局から
説明
を承わりたいと思います。先ず次官の御都合もあるようですから海上保安庁の方から、この朝鮮の南北戦争におきまして南鮮方面から不法入国と申しますか、不法入国者が大分あるようです。それにつきまして
説明
を承わりたいと思います。尚海上保安についての現況、
政府
がどういうふうに対処なさるか、それについて伺いたいと思います。
大久保武雄
30
○
説明員
(大久保武雄君) 今回の南北鮮の戰争勃発に伴いまして、海上保安庁でとりました
措置
並びに私共の方に入
つて
おりまする状況につきまして御
説明
を申上げたいと存じます。
柏木庫治
31
○柏木庫治君 もつと声を大きくして……。
大久保武雄
32
○
説明員
(大久保武雄君) 海上保安庁は南北鮮が紛争を開始したとの情報を六月二十五日午前十一時頃入手いたしましたので、直ちに全管区海上保安本部に対しまして、特に治安維持につきまして警戒を厳重にするようにという指令を発しまして、その後海上保安庁の全機能を挙げて沿岸警備隊の任務に当た
つて
おりますわけでございます。右の警戒指令に即応いたしまして、九州方面の治安の状況に鑑みまして、海上保安庁の大
部分
の船艇を九州方面の沿岸水域に配置いたしまして、密輸の取締りに当らしめてお
つたの
でございまするが、事変勃発と共に海上保安庁が二十四
年度
において繋船をすることにな
つて
おりました二十隻の巡視船を含めまして、即ち二十隻の巡視船をこの際全面的に活動せしめるという態勢を即刻に取りまして、これを合せまして合計大十二隻の巡視船を行動に移し、それぞれ、重点的に配置いたしまして、警備態勢を強化いたした次第でございます。 次に第一管区、第七管区、第八管区、第九管区、第一管区と申しますのは、北海道の小樽に本部があります。第七管区は九州を主体といたして山口県の一部を含んでおりますが、門司に本部がございます。第八管区は山陰から舞鶴、敦賀に至る一帯の西部日本海でございまして、これは舞鶴に本部がございます。第九管区は新潟北陸一帯でございます。これらの管区本部長におきましては、その所轄の船艇並びに基地に対しまして、非常警備に即応し得る
準備
を命ずると同時に、全機能を活発に運用いたしまして、情勢の変化に即応して遺憾のないことを期しておりますような次第でございます。 尚南北鮮軍及び避難民の侵入することも予想されるのでございますが、これらに対しましては、密航者とその他の難民等との区別が非常に困難でございますので、この点は
関係方面
とも打合せをいたしました結果、すべて不法入国者として処理することにいたしましたので全管区海上保安本部に指令いたしましたような次第でございます。 尚事変勃発後の諸情勢について御
説明
を申上げますと、一般的に申上げまして、密航、密輸の状況は事変勃発前と勃発後と比較いたしますと、事変勃発後は非常に減
つて
おるということが言えるのでございます。この点は南鮮におきまして海陸共に非常に密入出国に対して警戒が厳重でございますと共に、海上保安庁におきましても只今申上げましたように朝鮮海峡から九州、日本海一帶に亘る沿岸の警備を極めて嚴重にいたしております
関係
上、こちらの方からの密入出国もなかなか困難な状況でございますために、事変発生後におきましては密入出国は非常に減
つて
おるような次第でございます。事変勃発の際韓国の地域におりました日本船舶は汽船十二隻、小型機帆船六隻でございましたが、七月の四日までに全船無事帰還いたしております。北鮮の地域には現在までの情報によりますると日本船舶は一隻もいないようでございます。 次に嚴原の海上保安本部からの情報によりますると、対馬の鶏知町におきまして日本の労働者の武器輸送並びに南鮮に対する非難攻撃のビラを撒布した者があ
つた
ようであります。又対馬の北方地区におきましては、北鮮の方に加担をしたような集会を催しておる向きもあるような情報を得ております。 次に六日に第一管区即ち小樽管区から入りました情報によりますると、四日の未明であります。根室牛島方面におきまして漁船が某国軍艦の臨検を受けましたけれども、無事帰港したような情報を得ております。 次に更に六日の嚴原の保安部から情報によりますと、日本漁船が目撃いたしましたところによりますると、対島の東方約二十浬の地点におきまして漁業いたしておりました漁船の
報告
によりますると、その南西約五浬くらいのところで飛行機の爆撃をしたと思われる水柱並びに爆発音を聞いた、その際約六機の戰闘機が飛行しておるのを見たということを
報告
いたして来ておるような状況でございます。 その外最近は国籍不明の船舶の動靜、或いは不審な船舶の動靜、或いは爆撃の情報等が頻々として入
つて
来ろわけであります。これらの情報につきましては逐一その真偽を確かめておりまするが、中にはいろいろ知識の乏しきための誤判断というものも相当入
つて
おりまするようでございまするが、私共といたしましては情報が入りました以上はその真相を究めますために海上の哨戒その他を機動的に運用をいたしまして、極力その実態を掴むことに努力をいたしております次第でございます。 次に海上保安庁の今後の船舶の配備、並びに哨戒の強化の方針について申上げますと、事変勃発以来朝鮮海峡を第一線といたしました九州、日本海全域に亙る警戒を厳重にいたしておりますることはすでに御
説明
を申上げましたが、これらに配属いたしておりまする船艇が、繋船船艇二十隻を加えまして僅か六十二隻の船艇を以ていたしましては、いや全国が六十二隻であります。日本全一万浬の水域が六十二隻の船艇を以て哨戒警備をいたしまして、そのうちの相当数を日本海方面に仮に持
つて
行
つた
といたしましても、六十二隻の巡視船ではこれは甚だ哨戒が困難であります。私共といたしましては、海上保安庁法に
規定
してありますところの百二十五隻の艦隊を持つことが一日も早からんことを念願いたしておる次第でございますが、この巡視艇の増強につきましては極力今後におきましても努力をいたさなければならんと考えておる次第でございます。尚本
年度
整備しておりますところの約三大隻の巡視艇並びに警備艇の建造につきましては一日も早くこれを竣工させまして、全海域の警備に配属をいたしたいと、かように考えておる次第でございます。目下海上保宏庁の全管区、特に先程申しました各管区の職員か殆んど不眠不休、海上、陸上の警戒並びに哨戒の勤務に当
つて
おります次第であります。全員緊張いたしまして御奉公しておりますことを御
報告
申上げて御
説明
に代えたいと思います。
岡本愛祐
33
○
委員長
(
岡本愛祐
君) 只今の大久保長官の
説明
に対しまして御質問ございませんか。
鈴木直人
34
○
鈴木直人
君 朝鮮人の密航については陸上警察というか、いわゆる一般警察ですね、或いは一般警察に附属しておる水上警察との連絡というのは、相当密接にや
つて
おられるのでしようか。日本の沿岸にずつと比較的和かに嫌を張
つて
いるのは陸上の警察に属しておる水上警察であるが、相当細かに線を張
つて
いると思われるりですけれども、それとの
関係
は最近又密接にするような打合せでもされたことがありますか。
大久保武雄
35
○
説明員
(大久保武雄君) 海上の治安維持につきましては、海上治安機関が当ることはこれは当然のことであります。私丁度事変勃発の約一週間前、第一線の嚴原保安部を観察をいたしました。両対馬の海域を視察して参りましたが、第一線の対馬におきましても海陸警察、税関、或いは検察庁等々の連繋が極めて緊密であ
つた
ように、みずから見て参
つた
次第であります。その外の保安部におきましても、最近は非常に協力をいたしておるのであります。例えば山陰方面からは水陸上警察、並びに私の方の基地から船舶の要求等がございましたが、こういう面に対しましては直ちにその希望に応ずるような
措置
をと
つて
参りましたところ、昨日それぞれ配置についたような次第であります。又地方におきましては、常に連繋を緊密にいたしまして、事変勃発時におきましても、しばしば
関係
者幹部におきましても会合いたしまして、情報の交換、或いは警戒の徹底等につきまして、協力いたしておるような次第でございます。
岡本愛祐
36
○
委員長
(
岡本愛祐
君) 吉川委員は壱岐、対馬の御視察を願
つたの
ですが、何か御質問はございませんか。
吉川末次郎
37
○吉川末次郎君 大久保長官が視察せられた直後の日時に私共も対馬に行
つたの
でありますが、今お話にありました基地で、日本の労働者にビラを撒いて、軍需品の輸送に反対のことが書いてあ
つた
というのは結局北鮮に加担するまあ朝鮮人が、大体私の視察したところ、北鮮側に加担する朝鮮人の方が多いような
数字
が
報告
されたのですが、それが結局北鮮と戦争するための南鮮側に、日本の船員が日本からの武器を輸送することに対して反対の意思表示なんですが、これは撒いたものはやはり鮮人ですか。
大久保武雄
38
○
説明員
(大久保武雄君) さようでありまして、すでに逮捕されておるように覚えております。
岡本愛祐
39
○
委員長
(
岡本愛祐
君) 外にありませんか。
西郷吉之助
40
○
西郷吉之助
君 今の長官の御
説明
でいろいろ緊張して活躍せられておるようででありますが、一番肝心なことは予算だと思いますが、そういうような費用が、全くそういうことを予想されない今までの予算なんですが、こういうことがお困りの点ではないかと思います。そういう点に対して
政府
にすでに何らかの意思を表明されたのか。又現在まだそういうような
措置
を
政府
がと
つて
おられないのか。現状は予算の点、どうなんでありますか、簡単でいいのですが……。
大久保武雄
41
○
説明員
(大久保武雄君) 先程一般的に申上げましたように、実は海上保安庁は
昭和
二十四年から新らしい巡視船の建造に出発いたしたのでありますが、この際に
財政
当局の要望もありまして、海上保安庁が創立当初から持
つて
出発いたしました木造巡視船の古い船を繋船をするようにということに相成りまして、先程申上げましたような二十隻は繋船をいたす建前にな
つて
おります。併しかような事態に際会をいたしまして、如何に古い船でも、実は猫の手も借りたいくらいに欲しい際でありますから、私共といたしましてはこの船は直ちに活動せしめる必要がある。かように考えまして、予算の成立はございませんでしたけれども、すでに成立したる予算の一部を充当するということにいたしまして、取敢えずの
措置
といたしましてこれを活動せしめた次第であります。勿論これは予算の裏付を必要といたします
関係
上、先般閣議におきましてもこれらの点
検討
をいたされまして、これらの海上保安庁の動き得る
最小限度
の予算
措置
に対しては、
政府
としてもこの際に緊急の
措置
をする必要がある。かような御
決定
を見た次第でございます。尚又海上保安庁は急速に創設せられました
関係
上、海上保安庁の基地の中で殆んど通信的に孤立しておりまする基地が相当数ございます。又船艇の中でも無線を持
つて
おりませんで、出て全然梨の礫にな
つて
しまうという船舶が相当数ございます。こういう船は甚だこの際困るわけでありまして、私共といたしましては、急速に移動船施設を設置する必要があると考えたのでございますが、これ又閣議におきましてはその方針で進むということに御協議を願
つた
次第でございます。
吉川末次郎
42
○吉川末次郎君 この間視察しましたときに聞きましたことで、比較的重要なことであると感じましたことは、嚴原には自治体警察がありますが、その他のところは全部国家地方警察が管轄しておるわけでありますが、国家地方警察の警官の数は、私の記憶では七十幾名かだ
つた
と記憶しておるのであります。それでひとり警察の諸君並びに海上保安庁の職員諸君以外の地元の居
住民
の代表者の諸君の話によりますると、大体において対馬全土に亘
つて
二千人程の朝鮮人がおるが、その数は北鮮系のものの方が多い。そしてその大多数を見ると多くは一定の生業があるように見えない者が多くて、而も相当に中には経済的に裕福な生活をしておる。大体において非合法的なことをや
つて
生計を立てておると推察されるのであるが、彼らが何か事があ
つた
場合において、平常は極めて温和であるけれども、そうした非常時において何をするか分らない。で尚或るところ、その名は忘れましたが、それは極めて彼らの間において信望を集めているところの学校教師上りの指導者があ
つて
、それは共産党員である。そうした人は、一度積極的な行動を開始して、對馬在住のそれらの数千の朝鮮人に対して煽動をするようなことになるというと、忽ち治安が害されて、何らそれに対するところの対抗力というものは、その微弱な警察力を以てしては極めて薄弱であるが故に、對馬全土が非常な事態に陥ることが想像される。そのことについては非常に居
住民
は内心戰々競々たるものがあるというようなことを聞かされて帰
つたの
でありますが、これはひとり大久保長官統率の海上保安庁の問題のみならず、辻
委員長
の国家公安委員会の問題であると思いますが、御両所の口から、そうした居
住民
の不安心ということに対して、今度の事変との関連性において、どのようにお考えにな
つて
おるかということをお伺いしたいと思います。
大久保武雄
43
○
説明員
(大久保武雄君) 私共の方の所管の範囲内から申上げます。只今嚴原には相当隻数の船艇を把持しておることは吉川委員もおいでになりましたので御
承知
のことだと思います。その後におきましても、更に同方面を強化する
措置
をとり、又とりつつある次第でございます。何分對馬は、只今も吉川委員からお話のように、水田の多い地帯でございまするし、又海岸線の状況或いは燈台の地勢的、交通的な諸條件或いは對馬の位置等からいたしまして、そういう策動には非常に誂え向きの地帯でございます。又広く日本の全体的な
一つ
の地理的な諸條件から申しましても、最近におきまする最も重要なる地帯であると考える次第でございます。私共の方といたしましては、この島民のお気持というものは十分判断される次第でありますから、同方面に対する従来の海上警戒方針を一層強化いたしますと共に、いろいろ燈台の設備等についての島民からの要望にも速かに応えると共に、陸上機関と協力いたしまして、未然に防止する
措置
をとりたいと考えておりまするが、最も必要なことは情勢判断によ
つて
、状況を
関係方面
に至急連絡することでありますので、その辺の連絡
関係
も極めて緊密に取
つて
おりまするような次第でございます。尚、又私の方に入りました情報によりますと、對馬の或方面におきましては、何らかそういう事態に対する
一つ
の治安協力の民間組織ができつつあるような情報を得ている次第でありまして、これは附加えて申上げて置く次第であります。
斎藤昇
44
○
説明員
(斎藤昇君) 只今の御質問にお答えをいたしたいと思います。對馬のみならず、日本国内に朝鮮の人達が約五十四万人、完全登録された人がいるわけであります。只今吉川委員のおつしやいましたような心配もすれば、私は必ずしも行えないことはないと考えるのでございますが、今日の状況におきましては、さように心配をする事態ではないと考えておるのであります。對馬に二千人いるとの話でありますが、大体その
数字
はその
通り
であると考えます。併しながら全部が全部さように不穏な行動をする者達ばかりとも考えられないのであります。むしろそうい
つた
ような考え方に
住民
が皆なるということが、曾て我々が経験いたしましたように、却
つて
事柄を大きくし、ここに不詳な事件を見ることが多いのであります。むしろ一般といたしましては、冷静な態度を以ちまして、さような心配をしないように指導する必要があると思うのであります。勿論今海上保安庁長官から述べましたように、一部不穏矯激な分子に対しましては、事前によく査察をいたしますと共に、さような企みがありそうであるというときには、その最初においてこれを検挙し、事柄を大きくしないうちに防ぐということが、その必要が考えられますので、我々の方におきましても、さような点に主力を注いでや
つて
いる次第であります。警察官は七十名でありますけれども、その
措置
が適当に行われ、又一般
住民
殊に指導者の方方も万一の場合には警察とよく協力してさような不穏な行動に対処するというような心構えを持
つて
対処いたしますならば、私は左程心配をしなくてもいいのじやなかろうかと考えておるのであります。さような面におきまして警察といたしましても最善の
措置
をとるようにいたしておる次第であります。
岡本愛祐
45
○
委員長
(
岡本愛祐
君) 海上保安庁
関係
で御質問ございませんか。武器は何を持
つて
おりますか。
大久保武雄
46
○
説明員
(大久保武雄君) 武器の問題は海上保安庁法に武器を携帯することができるとございます。携帯武器ということに相成
つて
おります。昨年の暮、拳銃を交付いたされまして、現在海上保安官は拳銃によ
つて
武装しておそういうことを申し上げて置きます
柏木庫治
47
○柏木庫治君 お尋ねいたしますが、これはお尋ねいたしたくないことなんでありますが、先日新聞で海上保安庁の役人の問題でありまするが、只今長官が不眠不休で事件後やられておる海上保安庁の職員諸君の努力に対して心から感謝し尊敬いたしておるのでありますが、どこでも一人、二人の不心得人がおるぐらいは咎めないことが望ましいですけれども、あるものを眼に角立てて咎める気持は少しもないのでありますが、新聞紙に報ずるところによりますと、情報
関係
に携わ
つて
お
つた
一人の者が密航する者と連絡があ
つた
とかいうような新聞でありましたが、新聞紙が誤りであることを望んでおりますけれども、若しそういう不心得者が一人あ
つた
といたしまして、その人が思想的に、そういう自分の思想が根底にあ
つて
そういうことをや
つた
ということが、或いは思想的には何ら
関係
がなか
つた
ということか、その一点だけを若しあ
つた
とすれば承わりたいし、ないとすれば結構でありますが、お尋ねいたしたいと思います。
大久保武雄
48
○
説明員
(大久保武雄君) 先般、丁度事変直前におきまして、一保安官が事件容疑を以て取調中にありましたことは事実であります。この点は全保安官の現在や
つて
おりまする、又平素や
つて
おりまする緊張した勤務に対しまして、誠に私は事実といたしますれば申訳ない次第である、かように考えておる次第であります。尚お尋ねの本人の動機、思想
関係
でございますが、これは目下取調中でありますので、私から断定的には申上げかねますけれども、私が判断いたしますところによりますと、私はさような
関係
はないのではないかとかように考えておる次第であります。 ―――――――――――――
岡本愛祐
49
○
委員長
(
岡本愛祐
君) 他にございませんか。 それでは次に辻国家公安
委員長
、齋藤長官から現在の国内の一般治安問題につきまして御
報告
をお願いいたします。
辻二郎
50
○
説明員
(辻二郎君) 朝鮮事変の勃発以来国家地方警察におきましても厳重警戒をいたしておりますが、只今までの情報といたしましては密航
関係
の先程大久保長官からも御
報告
がございまましたようにむしろ減
つて
おります。国内治安につきましても概ね平静でございまして、現在のところでは何ら御心配ないという状態でございます。尚一応齋藤長官から詳細について御
報告
申上げます。
斎藤昇
51
○
説明員
(斎藤昇君) 朝鮮の南北線を跨がる戦争が勃発いたしまして以来我我の一番心配をいたしておりまする点は国内におる朝鮮人の動向如何、極左分子の活動如何という点であるのであります。日本におりまする朝鮮人の動向はすでに御
承知
の
通り
でありまして、朝鮮の南北における争いが同時に日本の国内における朝鮮人の争いとな
つて
今まで現われてお
つたの
であります。五月三十日の韓国の総選挙を契機といたしまして一時両者の間の対立が比較的平穏に見えておりましたのが更に激化をいたして参
つたの
でありまして、いわゆる旧朝連系の分子と民団系の分子との間の抗争であります。戦争開始までは民団の支部の結成を繞
つて
朝連系の妨害というような事件を初めといたしまして頻々と両者の間の抗争があ
つたの
でありまして、戦争が開始されまして以来は朝連系の分子は寄り寄り事務所に集ま
つて
祝賀会を開くとか、或いは我々の人民共和
政府
のできることは近いのであるという宣伝をいたますと共に、武器の輸送の反對、或いはアメリカの韓国を援助することに対する反対の運動を始めて参
つて
おるのであります。これに対しまして南鮮系、いわゆる民団系におきましては一時戦況の悪いのに非常に沈滞をしてお
つたの
でありますが、アメリカ、国連が韓国を実力を以て援助をするという
決定
をいたしまして以来、最後の勝利は我々にあるというので非常に安心をしておるという状況であります。そうして旧朝連系の、先程申しました宣伝ビラとか行動というものに対しまして民団系が抗議を申入れる、或いは宣伝文書を剥ぎ取るというような事柄をや
つて
いるのでありますが、この両者の間における紛争というものは今のところ比較的多くないのであります。これは両者がそれぞれ将来の事柄を自分達にどちらも有利に解釈をして、そうして靜観をしているという状況であります。従いましてこの両者における紛争の激化というものはこれは状況が今後著しく変
つて
来た際に或いは起り得るのではないかというように見ておるのであります。極左分子の活動も概ね只今申しました旧朝連系の活動と歩調を合せた活動をいたしておるのであります。眼に見えました動きといたしましては、やはり朝鮮の戰争が起ります前から盛上げて参りましたいわゆる人民闘争、五月三十日の事件が表面に現われた最も大きな事件であ
つたの
でありまするが、あの考え方を以ちまして、依然反帝闘争と申しまするか、反米宣伝、武器輸送の反対、戰争反対という宣伝活動をいたしておるのであります。これらの多くは勅令三百十一号違反に該当いたしまするので、我々といたしましてもさような反占領目的の行動、宣伝はこの勅令によ
つて
取締
つて
おるのであります。五月三十日事件によりまして軍法会議に付せられましたあの事件に関しましてマツカーサー元帥に公開質問書を送るというので運動をいたしました事件として検挙をいたしましたのは、件数におきまして三十件、検挙人員において五十三人であります。それから反戰ビラ並びに反戦的な言動、これによる者が十八件、五十八人という
数字
に上
つて
おるのであります。具体的の問題、その他につきまして御質問に応じましてお答えをいたしたいと思います。
岡本愛祐
52
○
委員長
(
岡本愛祐
君) 御質問をお願いいたします。尚法務府の方から佐藤刑政長官、それから検務長官が見えております。古河特審局長であります。
鈴木直人
53
○
鈴木直人
君 法務府の方から積極的な御
報告
はないんですか。
岡本愛祐
54
○
委員長
(
岡本愛祐
君) 願いましようか……法務府の方から御
報告
願うことはありませんか。
佐藤藤佐
55
○
説明員
(佐藤藤佐君) 法務府の方から特に最近の治安情勢について御
報告
申上げることもございません。大体只今国警長官の方から
報告
申上げた
通り
でございますが、尚共産党のその後の動き等につきまして、或いはその他の問題について特にお尋ねでもございますれば御
説明
申上げたいと思います。
西郷吉之助
56
○
西郷吉之助
君 それではお尋ねしますが、目下新聞で拜見しておるのですが、共産党員出頭命令を受けておるが出頭しない、出頭期限が切れておるというようなことがあるのですが、それはどういうことにな
つて
おりますか。
吉河光貞
57
○
説明員
(吉河光貞君) 刑政長官に代
つて
私から簡単に御
報告
申上げたいと思います。 先般追放になりました元の共産党中央委員二十四名につきましては特別審査局といたしまして他の多数の追放者と共にその行動を監視する必要がありますので監視しておりましたが、先般鬼怒川方面においてこれらの中央委員の一部の者が参加いたしまして、現存党員と一緒に党活動に関して会議を開いて協議をしたというような情報が参りました。阻ちにその方面の情報の出処並びに真備につきまして
調査
をいたしますと同時に、これら二十四名の元の中央委員の人々につきましてその所在行動について極めて曖昧な点が数々ありましたので団体等規正令によりましてその大多数の方々に対しまして一声に出頭命令を出しまして、特別審査局に出頭を煩わしてこれらの事実について
調査
をいたしておるわけであります。病気或いは入獄中のために出頭のできない方も若干ありますが、その他旅行中その所在を近親者家人等にも分らないために出頭命令の伝達不能に陥りまして目下その所作が確認されない方々も数名あるわけでありまして、特別審査局といたしましては全力を挙げてその所在の発見に努めておるわけであります。尚先般追放になりまして、追放者として一ヶ月以内に追放者の登録をしなければならない建前にな
つて
いまして、その登録の勧奨を先般いたしましたにも拘わらず未だに登緑をしないものが若干名おるのであります。又本人によらず、その妻その他の方々が本人の意思とは
関係
なく代理で登録して参りました。かような登録は無効な登録でありますので、逐次これを返送して本人の所在の発見に努めておるような状況であります。 非常に簡単ではありますが以上のような次第であります。
西郷吉之助
58
○
西郷吉之助
君 もう一点伺いますが、共産党員であ
つて
追放された者がその後争議の煽動とか争議の指揮をしておると、そういうような事実がありました場合はどういうふうに……。
吉河光貞
59
○
説明員
(吉河光貞君) 現存先般追放に
なつ
た元の共産党の幹部のうち、或る者が最近起りつつある争議に介入いたしましてこれを指導しておるのではないかというような情報を得ましたので、目下
調査
官を派遣しましてその真偽について
調査
中であります。で政治的な色彩のあるような争議に介入いたしまして、これを指導するというような事態が発覚、判明いたしますればパージとして、追放者として政治活動違反の容疑が生れるわけでありまして目下その真僞につきまして
調査
中であります。
西郷吉之助
60
○
西郷吉之助
君 更にもう一点伺いたいのは日立の争議状況ですね、非常に長期に亘
つて
、最近の新聞によりますと、非常にそれが暴動化せんとするような傾向さえあ
つて
、而も組合員が社員に対する非常な暴行事件、新聞でいろいろ名前さえ出ているようでありますが、そういうことを單に我々新聞で見ましても人権を蹂躙するも甚だしいものがあるようでありまして、尚それが継続しておるようですが、そういうものに対する本部の考えはどうなんでありましようか。
斎藤昇
61
○
説明員
(斎藤昇君) 日立の争議は相当長期間に亘
つて
おるのであります。日立の職場が多方面にあるのでありまして、その中でも水戸工場、或いは日立工場、東京の亀有工場等が最も惡質な労働争議をや
つて
おるのであります。でこれらの不法行為につきましては警察といたしましては断乎検挙をする方針でおるのであります。水戸工場及び……、ちよつと名前を失念いたしましたが、二、三の工場におきましてはすでに検挙をいたしましたし、又最も苛烈でありました日立工場におきましては昨日十一名を検挙、逮捕いたしましたのであります。今までの争議の
経過
を見ておりますると、共産党の幹部追放以来、相当気勢は全体的には殺がれて参
つたの
であります。そうして各工場におけるこれらの乱暴者の検挙を見ました工場におきましては、逐次平穏な争議に移りつつあるのであります。日立工場におきましても、昨日の検挙を契機といたしまして今後平穏な争議に移し、解決を見出し行け得るであろう、こういうふうに考えております。
鈴木直人
62
○
鈴木直人
君 出頭命令というのは発信主義ですか、或いは本人等が受領し得る状態にあればいいのですか、現実に本人が受領しなければ効力がないのですか。
吉河光貞
63
○
説明員
(吉河光貞君) 出頭命令が出せるのは団体等規正令であります。これは法務総裁又は都道府県
知事
が出すことができるわけでありまして、特別審査局の事務運営といたしましては、法務総裁の御決裁を得まして、これを発出する建前にな
つて
おります。これに応じない場合におきましては直接強制することができません。併し応じないときには非常に重い罰則の
規定
がありまして間接に強制を受けることにた
つて
、この罰則が発動するためにはこれが本人に到達しまして、本人がこれを留置し、而も正当の理由なく届出に応じないという場合が該当するものと考えております。現在所在が不明にな
つて
おりまして、家人もその行先を知らないというような数名の元中央委員の者に対しまして、その所在発見に努めると同時に、発見次第直ちに出頭命令をその所在地において呈示する方針でや
つて
おるわけであります。
西郷吉之助
64
○
西郷吉之助
君 もう一点それに関連して伺いたいのは、出頭せざる者は現在すでに国外に脱出したというような形跡の歴然たるものは現在まだないのですか。国外に脱出した者があるのかないのか。
吉河光貞
65
○
説明員
(吉河光貞君) 先般来これら追放された元中央委員の行動につきましては、種々な臆説なり浮説或いは情報なりが飛んでおりまして、その一々につきましても出所、虚実等について
調査
を進めておる次第でありますが、現在これらの者の中の若干名が国外脱出したということを確認し得るよな状態に至
つて
おりません。
鈴木直人
66
○
鈴木直人
君 尚法務の方面で具体的な事項について相当
調査
をされておるということでありますが、いわゆるあなたの方の下部機構として実際において
調査
に当るところの機構はどういう機構がや
つて
おりますか。
吉河光貞
67
○
説明員
(吉河光貞君) 特別審査局は現在定員が三百名に過ぎないのであります。本局に約二百名近くの者がおりまして、その余の本局員は全国九つのブロックに分けまして、そのブロツクのセンターが当該都道府県庁の中に事務室を設けて事務をと
つて
おりまして、このブロツクセンターを中心といたしまして、各府県に一名
程度
の職員が配置されておるというような状況でありまして、現在におきましては殆んど破産状態以上の事務量に圧倒されておるわけであります。この外特別審査局といたしましては、全国の都道府県主管課に、都道府県に国家の補助費を予算として配付いたしまして、団体
調査
、追放者監察について定員並に人件費事務費、旅費等を分けてそれぞれ地方課、又は
調査
課としてその特別審査局の事務を運営しておるような状況で場あります。これが非常に僅かな定員で運営されておる。届出
関係
は、団体等規正令に基く届出なり追放者の届出
関係
は、全国の各
市町村
の窓口にな
つて
おりまして、これがそれぞれ都道府県
知事
に統轄され、特別審査局に通報される仕組にな
つて
おります。以上であります。
鈴木直人
68
○
鈴木直人
君 そうしますと、法務庁の下部機構と言いますか、今追放者が、共産党の主なる者が不在のために、行方不明のために
調査
しておるというようなことですが、その末端の機関が各県の地方課、或いは
調査
課もあると思いますが、一人ぐらい極めて若い係官がおりますが、そういうふうな看でや
つて
おるという
程度
のものですか。
吉河光貞
69
○
説明員
(吉河光貞君) 追放者の中で特に違反の危険性の多い者を重点的にセレクトいたしまして、これは特別審査局の本局の第二課、職員は約五十名ぐらいです。これがその職員の一部を割きまして、常時監査をする。これにつきまして全国の只今申上げました九ブロツクの本局員が駐在官としてこれに協力するというような建前にな
つて
おりますが、人数と言い、設備と言い極めて不完全な、貧弱な役所でありますから、十分な効果も発揮できないと思う、残念に思
つて
おります。
鈴木直人
70
○
鈴木直人
君 そういう特別の機関は極めて貧弱なものがあるということは、まあ了解しておるのですが、その外に例えば警察との
関係
というものは全然ないのですか。
吉河光貞
71
○
説明員
(吉河光貞君) ここに齋藤さんもおいでになりますが、国警並びに自警との
関係
は協力
関係
といたしまして、諸般の点につきまして絶大の御協力は得ております。
西郷吉之助
72
○
西郷吉之助
君 今の局長の御
説明
で
内容
は非常に重要なことであるが、機構が小さい、予算が極めて貧弱であるというようなお話ですが、こういう点は国務大臣たる法務総裁の出席を求めて、大いに尋ねたいと思う。この次あたりに法務総裁に出席を求めたいと思います。
岡本愛祐
73
○
委員長
(
岡本愛祐
君) 今日も法務総裁の御出席を求めたのでありますが、閣議のため出られないということであります。次に法務総裁の出席を求めるごとにいたします。
吉川末次郎
74
○吉川末次郎君 齋藤長官にお伺いしますが、日立の争議の取締りで逮捕者等を出したということでありますが、日立は自治体警察がや
つて
おるわけですね。
斎藤昇
75
○
説明員
(斎藤昇君) 昨日の検挙には国家地方警察が応援をいたしております。
岡本愛祐
76
○
委員長
(
岡本愛祐
君) 近頃風紀壊乱の文書雑誌等の取締りが大分嚴重にな
つて
来ておる。これは甚だ私は結構だと思うのです。昨年の今頃に氾濫しておる頗る猥褻な雑誌等が放任状態にありますので、全国の青年子女に及ぼす影響が非常に悪いということで、何とかしなければいかんじやないかということをこの委員会で質問いたしたのであります。最近漸くその点そういう方向に
政府
の方針も出て来られたことは結構だと思うのであります。ところがやはり今度方面を変えまして、嘘に決ま
つて
おることを如何にも本当のごとく書きまして殊に「真相」という雑誌が甚だしいのでありますが、国家並びに国民全体の象徴である天皇を非議するという問題が大分起
つて
来ておる、それは前に難波大助なる者が天皇を狙撃したのは、そのとき攝政でありますが、天皇が難波大助の許婚を妾にしたというようなことを麗々しくそれに書いてある。その次には今度ここに持
つて
来ておりますが「天皇家の大秘密ヒロヒトを父に持つ男」というような見出しをつけておる、これを電車の中その他にも大々的に広告しておる、而もこの
内容
を読んで見ると何にも大したことがないのでこんな見出しをする
程度
のものじやない、誰が母であるか分らない、まるで気狂いみたいなことが書いてある、こういうことが放任されておるのはどういうことであるか。勿論それは総理大臣が天皇に代
つて
名誉毀損の訴をすればよいじやないかということでありましようか。これはそれを待構えておるとも見えるのでありますが、そういうことによ
つて
一つ
問題を大きくして広告価値を広めて行こうということであるかも知れない。とにかくこういう問題が放置されておる而も
内容
と全く違
つた
広告を大々的にするということは
一つ
の詐欺になりはしないか、そういう点について考えられたことがあるのかないのか伺
つて
置きたい。
高橋一郎
77
○
説明員
(高橋一郎君) 猥褻文書の取締りにつきましては、これをいわゆる猥褻ということに、該当する限りにおいて取締りを励行する方針で参
つて
おります。それから一般の出版物につきまして事実と異なる報道をするという一点についての取締でございますが、一般的には終戦の年の九月の十日に言論及び出版の自由に関するメモランダムが出ておりまして、それによりますと、虚僞の報道をするということがやはり禁ぜられておるのでありますが、そのために
昭和
二十一年の勅令三百十一号、いわゆる占領目的に有害なる行為の処罰等に関する件という勅令がありますが、それによりまして取締りをする場合があるわけであります。即ちこの三百十一号と申しますのは国内法上特別の
規定
がある分についてはその特別の
規定
によるわけでありまして、例えば名誉毀損のようなものはやはりこれは刑法の原則によることになるわけであります。で「真相」の天皇家に関する、只今仰せられた記事などははやり名誉毀損の問題である、というふうに考えるのでありまして、これは親告罪でありますから、刑法所定の
内閣
総理大臣の請求があればこれを処罰する。こういう態勢になろうかと思うのであります。尚まだ正確な正式の
報告
は受けておりませんけれども九州の方でその記事に関連した一般の私人からやはり告訴が出ておるということも聞いております。そういう場合にはやはりその告訴に基いて取調べをするということになることと思います。
岡本愛祐
78
○
委員長
(
岡本愛祐
君) いや、私のお尋ねしておるのはそれ以上でありまして、つまりこの
内容
と広告と違
つて
おる。
内容
として書かれておることを読んで見ると、広告のようなことが出て来ない。広告で非常に誇大に電車の中に書いておるようなことはどこを読んで見ても出て来ない。そういうのが許されるかというのです。よく読んで御覧になれば分るのですが、誰が母であるか、それが陛下とどういう
関係
があるのか、そういうことはちつとも出て来ない。ただ違
つて
おることをずつと書いてお
つて
、そうしてそれを取上げて、電車の広告では如何にもそれが事実である、そうして皆の関心を誘う、そうして蔭でまあ名誉を毀損する。名誉を毀損するために、売るために、やる。目的は競合しておりましようけれども、その点を考えて見られたことがあるかというのです。
高橋一郎
79
○
説明員
(高橋一郎君) 広告が著しく
内容
と異るというような場合でありましても、その広告自体の、いわゆる虚僞であるとか名誉毀損ということでは、実際の雑誌と同様に考えることができると思います。
西郷吉之助
80
○
西郷吉之助
君 今の問題ですが、法務府の
説明
は、はつきりしないが、例えば国の象徴である天皇とか国旗とかそういうふうなものに侮辱を加えるとか、そういうふうなことが、單に本人が黙
つて
おればそれまでなんだというような
説明
ようだ
つた
が、又それと共にその他の
個人
であ
つて
も、特定の雑誌が年がら年中人のことを書いて、それが事実と相反しておる。今
政府
の人の言われる名誉毀損で訴えられる価値のあるもの、それのみを年がら年中事としておる雑誌でも、親告罪であるからそれがなければ放
つて
置く。そういうことになるのですか。
高橋一郎
81
○
説明員
(高橋一郎君) やはり特別のその他の取締りの法とい
つた
ようなものがございませんので、やはりそういう只今申上げたような
方法
で取締る以外にはないというふうに考えておるのであります。又国家の象徴、国民の象徴という点につきましても、刑法はやはりそれについての特別な請求の
規定
を置いておりまして、それ以外の
方法
によるということは、これはできないだろうと考えております。
柏木庫治
82
○柏木庫治君 間違
つた
広告という意味でありますが、例えて申しますと、一万円で十坪の家を建ててやるという広告で、若しそういうことを望ましい者があれば百円送
つて
来い。何か案内を送る。こういうふうな広告を出してそうして百円を集める。併し何にも送
つて
やらない。金をや
つた
方は、小さな問題で裁判するとか何とかいうことはうるさいから、まあそれをなさない。こういう
一つ
の事実があ
つた
ときに、私は今国家公安委員、国家の公安に任ずる方として、これは全く詐欺のやり方と思うのでありますが、これと変
つた
形式の問題で一番最初、終戦後家を建ててやるというので相当まとま
つた
、当時五百円だ
つた
と思いますが、というようなものを送
つて
、結局は二年か三年あとに家も建てずに何にもせんで、やかましく言
つて
返したのもあり、返さないのもあるというような事実がある。私の
関係
した分だけは皆返したのでありますが、こういう実際上何かの欺く意図を以てや
つた
広告であ
つて
、今の「真相」の問題でも、実際問題はこういう
内容
があると言うて広告をして雑誌を買わせる。実際はないのだ。同じ意図であると思いますが、こういうものに対して今の答弁は、国家の安寧を背負
つて
立
つて
おる人としてどうも実にぴんと来ない、物足らないのですが、あれで法律だから仕方がない。こういうふうにお四人ともお考えにな
つて
おるでしようか。お尋ねいたしたい。
佐藤藤佐
83
○
説明員
(佐藤藤佐君) 只今御指摘のような比較的安い家を建ててやるが、その
方法
を知らせる。そのためには若干の金を送
つた
者にその妙法を知らしてやるというような広告を出して、そうしてその広告を信頼して金を送
つた
ところが、さような妙法は知らして来ないというような場合には、これは明らかに詐欺罪が成立するのだろうと思うのであります。ところが先程外の委員の方から御指摘になりましたように、或る雑誌が読者の好奇心をそそるために誇大な広告をする。或いは虚偽な広告をしてそうして雑誌を買わせて、読んで見ると
内容
が広告の題名とは一致しない
内容
のものであるというような事例でございましたが、さような事例はよく聞くことでありまするが、これを嚴重に取締るためには、以前のように出版法なり或いは新聞紙法というような出版に関する或る取締法規がなければ、これを徹底的に取締るということはなかなかむずかしいのでありまして、先程申上げましたように
現行
の法律としては、やはり刑法上詐欺罪が成立するか、或いは名誉毀損の疑いがあるかという点に主眼を置いて取締りするより外はないのでありまして、治安維持の任に当
つて
おる法務府といたしましては、出版に関する何らかの取締法規が必要であろうということは考えておりまするけれども、先般来の
国会
でもたびたび問題になりまするように、言論出版に関する自由について、つまり国民の基本的自由を制限する取締法を作るということについては、又他面においていろいろな議論もございまするので、又出版に関する取締の
規定
については成案を得ておらない次第でございます。
西郷吉之助
84
○
西郷吉之助
君 そういうような問題に対しては、今の御
説明
で、現在でははつきりできない、放
つて
置くよりこれは止むを得んというように取れるのですが、そういうふうなことに対しても公安
委員長
等は、当然にそういうようなことに対して何か考えておらなければならんと思いますが、公安
委員長
のお考えは如何ですか。
辻二郎
85
○
説明員
(辻二郎君) 只今の「真相」の問題、その他出版等猥褻文書の問題、誠に遺憾であると考えます。併し私共の公安委員の建前といたしましては、規程の法律によ
つて
罰し得るものを、その埒を越えることは却
つて
、弊害が生ずるのではないかと考えております。
従つて
こういう問題が起りました場合には、これは法律の欠陥であり、不備である。この点はよく
国会
において御審議になりまして、当然取締るべきものを取締れないような法律にな
つて
おりますものについては、十分御審議の結果立法をせられたいと思います。立法せられました後におきましては、私共はその立法に対して忠実にこれを執行するようにいたして行きたい、こう考えております。
西郷吉之助
86
○
西郷吉之助
君 今のお答えですが、例えばこの間の猥褻文書というようなもののために何か委員会を組織して警視庁でやるというふうなことを新聞で見たんですが、そういうふうなことは今公安
委員長
の言われたような考えも考え方ですが、みずからも積極的にそういうようなことをやればやり得る、その委員会でも、何も
国会
で以てやるのでなく、警視庁がそういうようなことをするということを新聞で見たんですが、
内容
はよく分りません、そういうような猥褻文書に対しても積極的にそういうふうなことをやるということはいいのであ
つて
、今の公安
委員長
は自己の責任を回避して、單に
国会
がそういうことを審議しろということは、
国会
でやることも勿論考えますが、そういうふうなことに頼ることが能でない、公安
委員長
みずからそういうふうな事例がはつきりあるから、もつと積極的にそういうふうなことを考えられる必要があるんじやないかと思います。
辻二郎
87
○
説明員
(辻二郎君) 甚だ恐縮でございますが、誤解のないようにお願いしたいと思います。私は現在の法を遵奉するというのが私の方針としての最も大切なことであると考えておるのでありまして、一国民といたしまして、又日本の風紀の取締りに当
つて
おります公安委員の一員といたしましては、この猥褻文書の問題は私もかねがね非常に遺憾に思
つて
おりまして、国家公安委員会におきましてもしばしばこれを論じております。それに対する法的な取締の
方法
の有無については事務当局の意見を聽いております。国民の一人といたしましては、是非こういうものを氾濫しないように取締りたいと考え、又それを推進するような努力をいたしておることは私自身努めております。併し、であるからと申しまして、現在の法の埒外に出るということはどうも不可能であるという点を申上げたのであります。御意見は非常に有益に考えますので、今後も更にその方向に向
つて
推進をいたして見たいと思います。
岡本愛祐
88
○
委員長
(
岡本愛祐
君) 最後に国家地方警察と法務府の力から伺
つて
置きたいのですが、国民の間にこういう不安が今湧いております。それはソ連に捕虜として残
つて
おる人が、日本の
計算
によるとどうしても三十何万ある、又これは総司令部側の
計算
によ
つて
もそれだけある。そこで十万くらい病気で亡く
なつ
たとしても二十万くらいはいるだろう、それが日本人のみならず、ドイツ人もイタリー人もおのおの捕虜で帰
つて
来ないものが何十万あるというようなことで各国とも抗議を申込んでおる。ところがこれは想像して言
つて
おるのかも知れないと思いますが、ソ連がそれを利用してと申しますか、国民解放軍というものが作られておるというような噂がある、北鮮が南鮮へ侵入して来た、それと同じようなことによ
つて
日本並びに総司令部が共産党を非常に迫害をする。そこでそういう
政府
は怪しからんというので、日本人によ
つて
組織された国民解放軍が乗込んでや
つて
来る、それは非常に武装もされておるというようなことにな
つて
おるだろうがら、素手では不安である、だから日本は最惡の場合にそういうことをよく考えて置かなければならん、こういうことが有識者の間に心配されておる。この点についてどういうふうに国家公安委員会並びに法務府の方では考えておられるか、その点は非常に重大問題ですからお伺いしたいと思います。こういうことは単なる杞憂として一笑に附して国民を安心さしていいか、その点を承
つて
見たいと思います。
辻二郎
89
○
説明員
(辻二郎君) 私共の委員会としてはそういう噂を聞いておらないわけではないのであります。それに対しては何か確たる情報を得たいとは考えておりますが、今日までのところにおきましては、それに関する、それの真偽を確かめる情報は
一つ
も入
つて
おりません。現在ではそういう状態であります。
岡本愛祐
90
○
委員長
(
岡本愛祐
君) 法務府の方は……。
佐藤藤佐
91
○
説明員
(佐藤藤佐君) 私共は寡聞にしてまだそういう情報は得ておりませんが、若し御指摘のようなことが具体的な事実として現われて来ますれば、既存の法令によ
つて
取締りをする、或いはそれで足りない場合には何らか立法的
措置
を考えなければならんじやないか、かように漠たる考えを持
つて
おるのであります。
岡本愛祐
92
○
委員長
(
岡本愛祐
君) 法的
措置
とおつしやるのはどういう法的
措置
ですか。
佐藤藤佐
93
○
説明員
(佐藤藤佐君) それはもう少し具体的な事実が分りませんと……現在の既存の法令でも或いは取締れるような場合もあるだろうと思います。
岡本愛祐
94
○
委員長
(
岡本愛祐
君) 流言蜚語としてそういうことを恐れて言
つて
歩くのを取締るのか、それともどうするのか、その点を聞いて置きたいと思います。
佐藤藤佐
95
○
説明員
(佐藤藤佐君) 單なる流言蜚語であるか、或いは外国において日本に手向うような
一つ
の組織を拵えておるのか、その点はやはり具体的にもう少し分りませんとちよつと取締の対策も浮んで来ないのじやないかと思います。
岡本愛祐
96
○
委員長
(
岡本愛祐
君) 外に御質問ございませんか……。 それでは今日はこれで散会をいたします。 午後零時五十九分散会 出席者は左の
通り
。
委員長
岡本 愛祐君 理事 吉川末次郎君 堀 末治君 委員 三木 治朗君 林屋亀次郎君 柏木 庫治君
西郷吉之助
君 鈴木 直人君
説明員
地方自治政務次 官 小野 哲君 地方自治庁次長 (総理府事務 官) 鈴木 俊一君 地方自治庁
財政
課長 奧野 誠亮君 国家公安
委員長
辻 二郎君 国家地方警察本 部長官 斎藤 昇君 国家地方警察本 部総務部長 柏村 信雄君 法務府刑政長官 (検事) 佐藤 藤佐君 法務府特別審査 局長 (検事) 吉河 光貞君 法務府検務局長 高橋 一郎君 海上保安庁長官 大久保武雄君