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1949-12-22 第7回国会 参議院 地方行政委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十二月二十二日(木曜 日)    午後一時四十二分開会   —————————————   本日の会議に付した事件消防費等予算に関する件 ○地方税制中の鉱産税に関する件 ○地方公務員の年末手当その他給與改  善に関する件   —————————————
  2. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) これより地方行政委員会を開会いたします。今日会議に附しまする事件は、先ず第一に消防等予算に関する件であります。これにつきましてはこの前の委員会におきまして陳情一つにつきまして、意見を聽取し審議をいたした次第であります。尚引続き消防財源確保その他に関する陳情請願につきまして御審議をたまわりたいと思います。お手許に廻しました書類にもございますように、最近に地方行政委員長宛消防関係陳情書が沢山参つております。そのうちで十一月七日に全国都市消防庁連絡協議会会長東京消防総監塩谷隆雄氏から、自治体消防制度改正並びに消防財源確保に関する陳情が出ております。これにつきまして塩谷消防総監の発言を許したいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 岡本愛祐

  4. 塩谷隆雄

    説明員塩谷隆雄君) お手許に私共全国都市消防庁で結成しております連絡協議会を代表いたしまして、私の名前で請願書を差上げてございます。その趣旨につきまして概略申上げまして委員会の格別なるお力添えを賜わりたいと存ずるものでございます。  昨年の三月に消防組織法が制定せられまして、従来の官設消防自治体消防として生まれ変つたのでございます。そうしてすべて消防というものは、市町村がその区域内の消防については、その責任においてやるという根本原則が定められまして、今日に至つたのでございまするが、今日までの経験に徴しますのに、その組織或いは運営、殊には財源の問題におきまして幾多不備な点がございまして、これがために少くとも自治体に任れました消防というものが、真にその力を百パーセントに発揮し得るよう状態には遺憾ながらなつておらないのでございまして、その実情の二、三を申上げまして御参考に供したいと思うのでございます。  第一番に消防制度改正の問題でございますが、各市町村維持すべき消防力設置基準というものが、実は法律には示されておらないのでございます。そのために一般的な自治体財政の貧困の結果、一番方の弱い、そうして切実にその必要を感じられていない消防力というものが、各市町村ともどうしても財源関係から見まして、縮減を受けるような大体の趨勢にあるのでございまして、そういう例は枚挙に遑がないくらいの数に上つております。一例を挙げまするというと、私共の同じ東京都下にありまする昭和町のごときも、昨年三月專門の消防署を立川市と組合作つて設置いたしたでございますが、地方財政の困窮に伴いまして、その立川市との消防組合から脱退し、現在においては一般的な消防団員を以て消防に当らしておるというような、消防力が逆に自治体消防になつたために、弱められて来たというような身近な例もあるのでございまして、かような例は全国的に見まして、各府県共多数の市町村がそういうよう趨勢にあるのでございます。かよう意味から申しまして、どうしても法的基礎の下に、市町村設置維持すべき消防力最低限度基準というものを設置し、それに対する財源措置というものを、国家において考えて頂かなければ、折角自治体消防として市町村民の生命、身体、財産をそれ自体の手で護らせるという、消防制度改革趣旨が全く没却されるよう状態になると、かように憂えておるものでございます。かようなわけで消防制度の問題につきましては、最小限度所要消防力設置維持標準を明文化して頂きたいということを私共痛感いたしておる次第でございます。  次には同じく消防制度の問題でございまするが、今回の消防制度の革新によりまして、国家消防庁というものが新らしく生れたのでございまするが、法の建前国家消防庁單なる研究指導機関に過ぎないのでございまして、都道府県知事に対して、或いは市町村長に対しまして、残念ながらかような弱い指導というよう関係だけしか持つておりませんために、まだ発達途上にありまする日本の各市町村消防状態といたしましては、かような弱い法的な力を持つている国家消防庁の力では私は不十分である、もつと強力な国家的な指導権というものを法の上において確立して行くことが必要ではないか、かように存じておるものでございます。又更に下りまして、都道府県知事市町村との関係でございますが、これも全く單なる市町村における消防統計を集計して、国家消防庁に取次ぐというような單なる弱い権限を持つておる程度関係にあるのでございまして、六大都市その他のやや大きな都市におきましては、左程都道府県知事のそれに対する指導権というものを必要といたしませんけれども、それ以下における中小都市、或いは農山漁村における消防力現状から申上げまするというと、都道府県知事のこれらに対する指導権というものを法的に今少し確立して頂きませんというと、我が国全体の消防力というものの進歩向上というものはなかなか図つて行けないのではないかと、かように存じておるものでございます。  次に消防財源の問題でございまするが、昨年三月自治体消防発足いたしますときに、消防財源として中央から相当大幅に地方に委讓されたのでございまするが、その財源措置警察並びに学校建築の面と総合的に総合財源として振り向けられました関係上、どうしても警察或いは学校という方面にその財源が主として使われまして、消防の面に振り向けられましたものは甚だ他の二者に比較いたしまして乏しかつたのでございます。而も尚その際同時に警察自治体警察として生れたのでございますが、その自治体警察創設に対しましては、国庫より九億五千万円の国庫補助創設費として與えられ、尚それと同額の七億五千万円というものが起債の面において許されたのでございます。然るに消防自治体消防としての発足に当りましては、單に一億六千万円の起債が許されたのみでございまして、すでにその発足の当時、いろいろな創設費に必要な費用というものは、かような貧弱なるもりを以て賄われて今日に至つておる状況でございます。かよう状況でございますので、私共といたしましては国家消防庁の御協力を頂きまして、関係方面財源確保の道を開くべく従来ともいろいろとお願いして参つたのでございまするが、特に次に申上げまするようなことにつきまして、特に御高配を頂きたいと存ずるものでございます。  その一つ国庫補助金でございます。各市町村とも相当国建造物、或いは国宝その他の重要建造物がある市町村相当あるのでございまして、かかる市町村におきましては、そういう国家関係いたしました建造物火災の災厄から守りまするために、人的物的に相当消防費をかけておる次第でございます。これにつきましては国家から今日まで何らの、一文の補助も頂いておらない実情でございまして、かよう施設の多数あります市町村につきましては、特に何らかの形におきまする国庫補助金を頂きまする道を今後是非開いて頂きたい、かように思うものでございます。この点につきましては、消防組織法の第二十五條でございましたかにも かよう国庫補助金の道は開き得る條文がすでに定められておるところでございます。  次には一般平衡交付金の問題でございますが、従来の地方配付税法によりまするというと、普通配付税算定基礎資料の中に警察教育は法文化されておるのでございまするが、消防はそれが除外されておるのでありまして、これは全く消防が顧みられていないといつて過言でないよう状態でございます。更にこの場合特別配付税につきましては、消防職員のみはその算定基準として考慮されておりますけれども、全国に二百万に上ります消防団員というものは何ら考慮されていないという状況でございまして、今日の消防団の力というものは、又消防団に費される各市町村費用というものは、往年のそれとは甚だしく違つてつておるのでございまして、消防職員同等程度仕事消防団員は果しておる実情にございますので、この点も是非法文化せられたいと存じておるものでございます。かよう状況でございますので、今日の税制改革によりまして一般平衡交付金が各市町村交付せられる道が開かれたのでございますが、この交付金交付に当りましては、法制上是非とも消防というものをその算定上並びに配付上の基準にして頂けるよう明文化をお願い申上げたいと思うものでございます。  最後に、財源の問題の第三番目といたしまして、起債の問題でございますが、先程も申上げましたように、二十三年度におきましては一億六千万円、二十四年度におきましては僅かに二億二千万円が認められたに過ぎないのでございます。先程申上げましたように、すでに消防発足当時におきまして、警察相当多額補助金貰つたに拘わらず、消防は貰つていない。而も消防関係施設、設備というものは戰時中に非常に酷使して使い古されたものでございまして、少くとも中都市以上の都市におきましては恐らくはその持つておりまする消防ポンプの五割以上というものは、一日も早く更新しなければその用をなさないというよう状況にあると、私は考えておるのでございます。我が東京消防庁におきましても、第一線で働いておりまする消防ポンプは大体三百台でございますが、そのうち約三割というものは、丙程度機能しか持たないものでございまして、消防ポンプの命数を仮に十年といたしまするならば、完全なポンプと雖も毎年その一割を更新して行かなければならないというのが各都市実情でございまして、そこにかてて加えて只今申上げまするように、戰争中の酷使がたたりまして、五割以上のポンプというものが非常に機能を麻痺しておる。これを早急に改善するにあらずんば、誠に各都市消防というものは寒心に堪えないよう状況である、かように申しても過言ないのであります。尚その外戰争中に痛みました各種の消防通信関係、或いは戰災により痛みました消防水利関係の復旧、或いは消防庁舎改築等、幾多各都市とも財源の必要を痛感いたしておるよう状況でございます。  かよう状況にございますので、どうか国庫補助金一般平衡交付金最後起債、この三点に亘りまして消防財源確保につきまして、当委員会皆様の格別なる一つ高配を賜りたい、かよう全国都市消防を代表いたしまし、特に本席を借りまして、お願い申上げる次第でございます。甚だ簡単でございまして意を盡さなかつたかとも存じますが、どうぞ宜しくお願いいたします。
  5. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 只今陳情に関しまして、先ず新井国家消防長官から消防制度改正について意見を聞きたいと思います。
  6. 新井茂司

    政府委員新井茂司君) 消防制度改正につきまして、全国都市消防庁連絡協議会代表塩谷君から意見がありましたが、我々といたしましても、新らしい制度ができまして約二年近い経験によりまして、その改正を希望せざるを得ない点があるのであります。  第一は、塩谷君の意見にもありましたるがごとく、国家消防庁権限について、もう少しはつきりとしたことをして貰いたい。即ち現在の国家消防庁仕事といたしましては、国家消防庁自身の内部におきまして、種々なる研究をいたしまする外に、地方消防関係のものの斡旋指導ということがその主なることになつております。併しながら自治体消防に切り換えられました後におきまして自治体消防は必ずしも理想的には進んでおらないのでありまして、やはりこの消防強化を図るためには、可なり強い積極的な指導が必要だと思うのであります。ところが指導ということになりますると、国家消防庁でできる指導というのは、地方助言を求めて参りましたときに、これに対して助言をすることができるというような、極めて消極的なことしかできないことになつておるのであります。これでは非常に熱心な地方におきましては、進んで助言を求めて参りまするけれども、消防につきまして熱意を持たざる地方におきましては、助言は求めない。従つていつまで経つて消防強化向上が期せられない。従つて火災状況は少しも改善されないということに相成つておるのでありまして、誠に寒心に堪えないのであります。これを国家消防庁におきましては、進んで消防改善強化という事柄につきまして勧告のできる、勧告指導のできるようにいたしたい。そういたしますれば、一応の最低基準までは、全国消防維持することができるのではないか。今のように、全く消極的な指導しかできないところにおきましては、非常に惡いところにつきましても手を拱いている外はない、強い勧告もすることもできませんし、指導もやる方法がない、その点に遺憾の点を感じておるのであります。  更に第二点といたしましては、現在都道府県知事消防に関する関係が非常に稀薄になつておるのであります。消防組織法におきまして、都道府県知事の関與しておりまするものは、統計市町村長から集めまして、それを国家消防庁の方に送るということと消防人教育をするために、消防教育機関設置するということの二点しかないのであります。併しながら都道府県知事管内消防につきまして有する防火上の関心というのは当然に、これは国家よりも密接でありまして、強かるべきことだと考えるのであります。ところが国家消防庁というものを中央政府において作つて、多少とも指導的な事柄をさせておるのにも拘わらず、都道府県知事の考えの消防に対する権限というのは、更に更に弱い。これでは実情に即しないと考えます。やはり管内市町村消防に或いは火災というものに、国家よりも更に一層密接な関係において関心を持つ都道府県知事は、国よりも強い程度において、管内消防に関與するというのが物事の自然であると考えるのでありまして、現在の制度ように、殆んど管内消防に関與しておらんというものは是正するのが当然ではなかろうかというふうに考えておるのであります。  さように考えまして、我々も消防制度につきまして検討を進めておるのでございますが、いずれ成案を得ました上は、委員会皆様の格別なる御高配を受けまして、御審議を願いたいと考えておる次第であります。
  7. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 尚消防財源確保につきまして、地方自治庁の方の意見も聞きますが、新井長官から、その点について御意見がありますれば承つて置きたいと思います。
  8. 新井茂司

    政府委員新井茂司君) 消防の新らしい制度が布かれまして以後、いろいろな困難に遭遇しておるのでありますが、第一は、物が非常に不足して消防活動上支障を来たしたのであります。第二は、財政的な逼迫のために、消防強化ししようといたしましても、どうにもならなかつたということであります。物の面につきましては、近時段々と物が殖えまして解決を見たものが多くなつておるのでありますが、財源の問題につきましては、依然として消防当局は苦しい状態に置かれておるというのが実情であるのであります。それで地方消防といたしまして、財源の問題として特に考えなければならんのは、四つであろうと私は考えております。  第一は、市町村当局におきまして、できる限り消防方面に正当な経費を出すということであります。と申上げますのは、従来の制度におきましては、消防の系統が警察の中にありましたので、市町村とは、さほど密接な関係を持つておらないのでありまして、市町村経費から出ておつたものは極めて少なかつたのであります。或いは国庫から、国庫から出ないものは寄付金等の名義によりまして賄われておつたのであります。市町村としても出すものが非常に少かつた。ところが、新制度実施によりまして消防責務は挙げて市町村のものとなりました。かよう根本的に制度変つたのでありまするから、消防経費原則として市町村経費を以て賄う。而も市町村としては非常に重要な仕事一つとしてこれを取扱うというのが根本のあり方であるべきであるのでありますが、所によりましては従来の経緯、即ち従来殆んど消防には出しておらなかつたというようなことからいたしまして、さようなふうに切り変わつておらない所があります。さような面につきましては、我々といたしまして、新制度実施によりまして、市町村の重要問題として消防を考え、従つて消防経費も十分に考慮して出すようにと、又出さしめるようにということを取計らつておるわけであります。で特に寄付金のことにつきましては、将来ますますこれは制限せらるべき性質のもので好ましいものでございませんので、止むを得ざるものの外は寄付金によらぬとそういう建前に立つて市町村経費から賄うと、そういうことを徹底して参らなければならんという問題が一つであります。それから第二の問題といたしましては、将来創設せらるべき平衡交付金の問題であります。この平衡交付金算定いたしまするに当りましては、市町村並びに都道府県消防に要する経費を十分に織り込んで貰う必要があると考えるのであります。特にこの消防につきましては、平衡交付金算定いたしまするにつきましては、従来の実績にこだわつてはならんということを私共は考えておるのであります。従来の消防は非常に弱体であつた。この弱体なるが故に日本における火災の損害というものは、年々累増して少しも減少の傾向がない。これを強化いたしまするためには消防改善を図らなければならない。而も一般的に申して弱体でありますが、個々に見ますると消防は割合に充実しておりまする所と、てんで駄目になつておる所と、非常に区々に相成つておるのであります。我々といたしましては消防力基準、あるべき基準と大体これくらいの消防力維持を図りまするならば、消防責務を果し得るというめやすを付けまして、一応の基準というものを作りまして、その基準維持すべして、それに基いて平衡交付金支出を図つて貰いたいというふうに考えまして、関係当局の方にもそのことを申入れまして御相談をいたしておるわけであります。それから国庫補助につきましても、平衡交付金がさよう意味において十分に消防経費を見込んで交付せられるといたしましても、やはり必要なる部分があると考えます。と申しますのは、平衡交付金を考えられますることは、一般的基準によつて算定せらるべきものばかりであります。ところが消防の内容に入つて参りますと例えば消防水利ということを考えてみますと、町によりましては水道の完備している所、或いは当然水利の容易に利用のできるというところもありまするが、場合によりますと、消防自体のみの水利というものをどうしても図らなければならん所も出てまいるのでありまして、さようなところにつきまして消防水利を十分にやるということにしたしまするためには、やはり特別の財源を考えてやらなければ期し得られません。こういうものはやはり国庫補助等の遂によりまして実現を図る必要があるのではないかというふうに考えるのであります。  又火災報知器等通信施設、或いは先程塩谷君から説明のありました国の建物が非常に多い土地、或いは国宝建造物の非常に沢山ある土地という所の消防につきましては、やはり地元のみにその消防責任を負わしめるということは無理でありまするので、これは国としても十分なる考慮を拂わなければならんと考えるのであります。又起債の面でありまするが、現在の消防改善するというためには、勿論起債財源によらなければならんと同時に、必らずし改善ということにはならなくとも、例えば消防庁舍を造つてやるというような、一時的に消防ため経費を要するものが相当多いのであります。消防水利の問題もその一例でありまするし、又消防通信施設を整備するというのもその一例でありますが、かような一時的に多額消防経費支出して、それを長い期間のうちに償還するというものにつきましては、やはり起債の面で十分に取計つて貰いたい。これらの具体的な数字につきましては只今調査中でありまして、詳しいことを御報告いたすことのできないのを残念に思います。
  9. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 新井長官の言にちよつと質疑をしたい。今長官説明ですね、この消防責任市町村に全部移つたのであるから、その経費市町村当局が徹底的にそれを賄うのが根本であるというのに、それが従来出していない。寄附金等でやつてつたというようお話であつたが、どうもこれはその他御説明があつたけれども、ちよつと意外に思うので、御承知通り地方財政市町村に限らず全般的に非常に窮乏にあつて、それがために本委員会においても地方財政窮乏を救おうということを主眼として我々非常に研究しておるのですが、今の御説明ですと、組織移つたことは間違いないでしようが、移つたから市町村当局消防の金を出すべきだ。それを出して、出し方が少いのだというお話だが、それは本末顛倒であると思うのです。あなた方が、市町村が出せるよう国家予算を組むときに、政府に対してこういうようなものを闘い取るべきものであつて、それが十分できていないから、結局市町村は今日財政に困まつておるので、困まつておるから出せないという現状にある。勿論消防なんかは教育警察と併行してどこの土地でも万全を期したいことは何びとも異存のないところであるが、出すにも出されないよう地方財政、殊に市町村至つて窮乏のどん底に今日ある。あるのに出さないからといつたつて出せるわけがないじやないですか。
  10. 新井茂司

    政府委員新井茂司君) その点は私は言葉が足りなかつたように存じます。従来市町村が出さないで、寄附金に求めておつたという、そういう時代が旧来の制度の布かれておつたときに長く続いておつたために、場所によつてにやはり依然として従来のような行き方を続けておるところがある。そういう趣旨でございまして、勿論新制度と共に非常に苦心をされて消防方面経費を出しておる自治体もありまするし、又一面におきましてはさように従来通り市町村経費というものは誠にいうに足らないものでありまして、主としては従来のよう寄附金或いは興業等による利益金というものしか見込んでおらない、そういうところがありまするので、これは改善をするよう指導を続けて行きたい、さよう趣旨であります。
  11. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今の点は先程も東京消防庁総官より、縷々御説明があつた。例えば国庫補助金とか、一般平衡交付金とか、起債とか、そういうようなものを今日の予算において十分にやらないと、今新井さんが言われたように、従来は寄附金頼つたとか、組織移つてつても国の経費では出せないよう地方財政窮乏振り。だから予算の編成のときにそれを取ることが必要であつて、取らないでおつたその責任市町村に転嫁するということは、そういうような議論であるならば、根本的に我々は反対なんで、困まらないよう教育でも警察でも消防費用が出せるように、この陳情にもある通りのあれを政府と折衝して取らなければ、あなた方の要望される経費が出ないですね。だから一方的に市町村責任ではない。市町村は非常に困まつておるから……。
  12. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 只今までの質問や、東京消防庁総監陳情新井国家消防庁長官意見につきまして、財源の問題につきまして地方自治庁側意見をお聞きしたいと思います。
  13. 小野哲

    政府委員小野哲君) 消防力強化整備いたさなければならんことは、先程の御陳情なり、或いは長官の御説明によりまして全く同感のところであります。ただ問題はこれに必要な市町村等における財源を如何に確保すべきであるか、この問題であろうと思うのであります。御承知のごとく西郷さんも御指摘のように、地方財政が極めて窮迫しておる状況にありますので、決して消防のみについて、或いは教育、又は警察等との比較から財政支出の上で軽視をしたということにはなつておらないであろうと思うのであります。一般地方財政窮乏の結果、止むを得ざるに出ておる措置ではなかろうかと思うのであります。尚この点に関しまして陳情の際にお触れになりましたが、消防強化に必要なる諸般の施設をするために一面地方債を起すことが必要である、こういうことを指摘されておつたようであります。消防強化に伴う施設を行いますために、その建設のため起債をなし得ることは、地方財政法の附則においても明示されておるところであります。ただ従来の間接消防組織自治体消防組織に移行いたしました当時の模様を見ますると、自治体警察が新しく設けられました場合において、或いは警察庁舍の新設等のため多額経費が必要である。このため自治体警察創設に必要なる建設費については当分の間起債を起すことができる、こういう條項の下に取扱われておつたと私は記憶するのでありますが、その際に消防については僅か一億数千万円足らずの起債しか認められなかつたということは、極めて偏頗な措置ではないか、一応御尤ものように思うのであります。併しながら移行の形式を見ますると、先程申上げましたように、自治体警察創設いたしました場合と、間接消防施設自治体消防施設に移行いたします場合とは、余程その点については趣きが違つてつたのではないかと思うのでありまして、従つてその結果として自治体消防につきましては、起債の額が警察のそれに比較して少なかつたということは、或る程度まで肯定し得るところではないか、かように思うのであります。尚亦財源確保の手段として現行の地方配付税、及び来年度から実施されようとする地方財政平衡交付金の問題があるのであります。でこの問題は御指摘のごとくに地方配付税にいたしましても、亦特に明年度から実施をされようとしておりますところの地方財政平衡交付金にいたしましても、その内容、内訳において用途を指定して、これを運用するというのではなくして、当該地方公共団体に対して割当られました地方財政平衡交付金の額を総括的に、総合的に運用して行くというところに狙いがあるものと私は思つておるのであります。従いまして平衡交付金の一定額が算出されました場合において、これは教育費である、これは警察費である、或いはこれは消防費に是非充当しなければならないという目的の下に、平衡交付金の当該地方公共団体に対する割当額が決定されるという意味よりも、一定の基準の下に標準財政需要と、標準収入額との差額について、これを補填し得る途を講じまして、而して当該地方公共団体のその補填の結果による財政上の調整を図つて行くというのが基本的な考えではなかろうか、かように思うのであります。そういうふうな点から申しまして、当該地方公共団体が消防につきまして、一定の計数上の基礎を與えまするためには、基準の下に計算をいたしていかなければならないことは当然でございますが、その運用につきましては、総括的にこれを考えて行くということになるのではなかろうか、かように思う次第でございます。尚概括的な先程の御陳情並びに長官の御意見に対して概括的な点を申上げましたが、尚具体的且詳細につきましては、荻田財政部長から御説明をいたしたいと思います。
  14. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今政務次官からいろいろお話がありましたが、私は前回に関連したことですが、これを先に伺つて置きたいのですが、前回の本委員会において財政部長から地方経費の推計に当つて警察並びに消防費については、経常費の外警察消防の規模に応じて若干の臨時費を算定の基礎に加える方針である。そういうふうな意味の答弁が質疑応答の中にあつたと思うのですが、そうすると二十五年度の予算の推計に当つては、その経費の準備は一体どのくらい二十五年度予算に見込んであるかということを一つ先に伺つて置きます。
  15. 奧野誠亮

    説明員(奧野誠亮君) 二十五年度の地方財政予算額につきましては、まだ地方税制をどう改正するかということが確定いたしておりませんので、具体的な内容の分析を決定するに至つていないわけでありますが、併しながら二十四年度よりは二十五年度の地方財政の方が、若干余裕のある財政経理ができるようになるのであろうと考えております。従いまして消防警察につきましても、具体的な数字を決定するに至らないわけでありますけれども、若干余裕のある運営ができるようになるだろうということは期待できるかと思います。
  16. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今財政課長から極めて漠然たる御答弁で、無理もないことと思いますが、折角今関係の方も来ておられて今衷情も伺つているわけなんですが、もう少し、勿論はつきりした額は言い切れないと思うのですが、概略でも消防について大体どのくらいというふうな大まかな数字はどうですか。
  17. 奧野誠亮

    説明員(奧野誠亮君) 警察消防につきまして、特にこれだけ警察消防に充てなければならないというふうな方針を取ることは適当でないと思いますし、どうとも言えないわけであります。併しながら標準的な財政需要をどの程度に見ておるかということは、やはり明らかにしながら、成るだけそのレベル主で全体として地方行政の質が改善されて行くことを期待して行きたいと思います。その際に我々の目途といたしますのは、警察費につきましては、国家地方警察があるわけでありますが、国の予算にどの程度国家地方警察予算が計上せられるか、これを標準に取つて行きたいと思います。従いまして大体これと均衡を取れるような内容を地方団体に、標準的な自治体警察経費として示すことが可能だと思います。消防につきましては、その点につきましては警察程はつきりしたものがないのでありますけれども、国家消防庁の方でもいろいろ検討しておられる数字がございますので、これを基礎にして成るだけ消防関係意見を入れた恰好に運営して行くように持つて行きたいという希望を持つております。又国家消防庁との間でもその数字の検討をいたしておりませんので、遺憾ながらはつきりした数字的なことを申上げられないと思います。尚臨時的な経費につきまして、地方債の問題があるわけでございますけれども、この部分につきましては、幸いにして災害復旧費の地方負担が全額国庫負旧に変つて参りますと、若干余裕ができるわけでありますから、地方債を以て充つべき地方経費の全体的な数字は僅かでありますけれども、それにおいては消防なんかについても或る程度考慮を拂う余地が増大して来るじやないか、こういうふうに考えておるわけであります。非常に抽象的でありますけれども、尚来年度の国家予算も確定をいたしておりませんし、地方財政の方も確定をみておりませんので、具体的な細かい数字を述べる段階に至つていないことをお詫びして置きたいと思います。
  18. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 では方向を変えて私は新井長官が来ておられるから、国家消防庁としては全体の来年度の予算についていろいろ折衝しておられる。この間の委員会の終りに時間がなかつたから、簡單に何か国家消防庁のあれは起債の枠だつたと思うのですが、その説明がどうも簡單でよく分らなかつたのですが、そういうことに関連してあなたの方では大体二十五年度の予算において、どういうふうなことをどの程度にこれが今折衝中でしようが、どの程度の見込であるか、又どれだけはどういうふうな経過であるというふうなことをもも少し詳しく伺いたい。
  19. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 西郷君に尚申上げますが、この全国都市消防長の連絡協議会から出ておる表に、昭和二十五年の消防施設強化起債調というのがあります。それを一つ見て頂きたいと思います。
  20. 新井茂司

    政府委員新井茂司君) これは私の方で一応算定をいたしただけでありまして、まだ地方財政当局の方と話のついたものではないのでありますが、極めて大雑把の数字として一つ御了解を願いたいと思うのであります。御承知ように現在の消防機関というものは二通りになつております。大きな都市或いは中都市以上のところにおきましては、専門の消防機関を置きまして、消防の第一線に当りまして、消防団は第二線的な事業を行うというふうに、常備消防機関と義勇消防団の二通りを以てやつておるところと、もう一つ消防団のみ置いてすべての消防に関する仕事をやつておるところ、消防団のみを持つておりまするところは、主として農村漁村等の村落地帯と小都市においてでありますが、かように二通りあるわけであります。我々といたしましては、人口二万六千以上の都市につきましては、いろいろ検討をいたしました結果、常設の専門消防機関を置くことが望ましい。従いまして全国の市並びに人口二万六千以上の都市につきましては常備消防を置きまして、その外に第二段の構えといたしまして消防団を置く、従つてそういうところの消防団に、消防団のみの力で以て消防のことをやつておるところよりも割合に小さくする。こういう考えを以ていたしますると、消防の職員の俸給、給料等の人件費、又は機械、建築物等の物件費及びガソリンその他の器具費、或いは消防ポンプ車の外に梯子自動車、港湾都市におきましては消防艇というようなものを見込みまして、それから消防団経費といたしましては、訓練並びに実際の火災のあつたときの出動費、それから自動車の購入更新費、ガソリンその他のものといたしまして、大体整備をされた状態として見ますると、約二百億円以上はかかるのじやないかと考えておるわけであります。尚勿論この二百億というのは、消防責務を一応果し得るに必要な経費ということを基準といたしまして、算定した数字でありまして、現状の数字がこれに近いということではございません。これは望ましいあるべき姿の消防ということを基準として算定いたしましたのが、約二百億をちよつと超える数字に相成るのであります。それから来年度の起債も、これは起債の希望が全部まとまつたわけではございませんので、これも極めて大雑把な数字に相成るのでありますが、大体私の方から見当を付けまして、これくらいの起債希望があるだろうという推定数字を見込んだものが約六十八億円であります。これには消防に要する建物の建設増築費、それから非常に戰争中ポンプの更新等が遅れまして、弱つておる車輌が極めて多いのでありまして、一度にやはり可なりの数量を更新いたしませんと、責任を持ちかねるよう状況のところもありまするので、さように多量に消防自動車の更新を図らなければならんため費用、それから火災報知機、貯水槽、その他の水利施設設置費というものを見込みまして、大体六十八億程度になるのではなかろうかというふうに考えておる次第であります。
  21. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 この六十八億という今のお話の大雑把な数字の起債は、大体見込としてはその程度は成り立つんですか。
  22. 新井茂司

    政府委員新井茂司君) これは先程も申上げましたように、関係当局の方にこの意見を申入れまして、いろいろその実現に向つて話をいたしておる過程にございます。まだそこの段階まで来ておりません。
  23. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 この六十八億の何割ぐらいまで行くという見通しはついておりませんか。
  24. 新井茂司

    政府委員新井茂司君) そこまでついておりません。
  25. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 最悪の場合は全部駄目ということがありますか。
  26. 新井茂司

    政府委員新井茂司君) 全部駄目ということもないと思いますが……
  27. 濱田寅藏

    ○濱田寅藏君 消防の点の不充実ということは、財政に多くの原因を持つておることは事実でありますが、先刻塩谷総監のお話の中に、制度の欠陥による弱体化も多分にあるやに承つております。消防法というものは最近発足したのでありますが、法律はやはり時と共に改正を加えて行くのが建前であります。諸制度改善について当局は今どういう措置を採つておられるか、そういう機関を設けて研究しておられるかどうか、又極めて近いうちに、恐らく当局としても欠陥は認めておられることであろうと思うし、どういう状態であるか、当局の長官からでもちよつと承わりたいと思います。
  28. 新井茂司

    政府委員新井茂司君) 消防制度改正問題につきましては、先程も大体触れるところがあつたのでありますが、要するに今の段階におきまして、消防は全く地方自治に徹底してよろしいということも、実際問題としてこれは可なり研究を要するところである、やはり或る程度の国なり或いは都道府県知事指導を加えてこそ、消防力維持も期待できるのでありまして、全く何も彼も手放しで地方自治でよろしいというふうにもちよつと工合が惡いと思いますので、国の指導力、或いは都道府県指導力というものをもう少し高いところが期待できるよう一つには図つて行きたいというふうに考えております。それからもう一つ財源関係等におきまして、現在のところ市町村消防経費につきましては、何ら補助の方法というものは講ぜられておらないのでありますが、これにつきましても考慮して参る必要があるのではないかというふうに考えておるのであります。
  29. 濱田寅藏

    ○濱田寅藏君 考えておられるだけでなく、何らか具体的な……
  30. 新井茂司

    政府委員新井茂司君) できますれば今国会において御審議をお願いしたいと考えておるのですが、そのときはよろしくお願いいたします。
  31. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 濱田君に申上げますが、実は消防組織法並びに消防法の問題は、御承知通り消防法は、昭和二十三年の七月二十四日に法律が成つて、これはいろいろの関係がありまして衆議院の議員提案でこの法律が出たのであります。この消防法が衆議院を上がりまして、参議院へ回付して参りましたときに、参議院のこの委員会におきまして審議いたしまして、修正をすべき箇所が大分あつたので、修正をいたすこととなりまして、GHQのOKをとりまして、修正を本会議で満場一致で可決しまして、そうして衆議院へ廻したのでございます。衆議院の方はもう審議をする余裕が会期の関係でなくなりまして、取敢ずこちらの修正を三分の二で否決をしたわけです。併し、衆議院の方もその欠陥を痛感しておりまして、そうして参議院の私の方との約束で、次の国会におきましては必ずその不完全な箇所を修正をするという約束をいたしておつたのであります。それに加えまして、国家消防庁の方で、その実施状況によりまして、この消防法並びに消防組織法の欠陥をいろいろ研究いたしまして、それを国会に提案をしたいということになつて来ました。で政府の方と参議院の方と衆議院の方といろいろ相談をいたしまして、衆議院の方は消防法を自分の方で提案をした関係がありますので、向うでそういう修正をやりたいということで、ここの委員会に諮りまして、それじやそうしようということで、向うで改正を考慮しつつある、あちらで地方行政委員会の小委員会を作りまして研究をいたしております。それに対して、国家消防庁の方からも案が出ております。又その案はこの参議院の地方行政委員会の事務局の方に廻つております。尚不完全なところを発見しましたから、尚それをよく練りまして、そうしてこの第七国会においては改正を実行いたしたいと、こういうふうに考えております。その改正点につきましては、いろいろ御相談をいたしたいと思つております。
  32. 濱田寅藏

    ○濱田寅藏君 ありがとうございました。
  33. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 ちよつと細かい点を財政部長に伺いますが、先程東京消防庁総監の御説明の中に、請願にも関連しておるのですが、従来の配付税の制度の場合には、消防職員はこの費用の中に入つたのだが、二百万の消防団員は明文化されていないために、その対象とならなかつた。だから、一般平衡交付金の場合には、そういうものはその費用にも当てられるようにして欲しいということが書いてありますが、一般平衡交付金の法案がまだ出ませんから、私にはよく分かりませんが、明文化されなくてもそういうふうな消防職員のみならず、団員にまで平衡交付金のその資金が使えるかどうかという点と、更にその国庫補助の問題を消防の立場から請願せられておりましたが、シャウプの勧告案によつて、そういう国庫補助金というものはどういうふうになるのか、その点を一つ伺いたい。
  34. 荻田保

    政府委員(荻田保君) 先程奥野課長から申上げましたように、一般平衡交付金の法案を目下立案中でございますので、はつきりしたことを申上げられませんが、シャウプ勧告にもございますように、主なる経費につきましては、各別に標準財政費というものを計算いたします。その際に恐らく消防費というものは特別の財政需要といたしまして、いわゆる一般のその他の財政需要にぶち込まずに特掲することができると思います。その際どういう数字を以ちまして消防経費というものを計算するかということが問題でありますが、その際には飽くまで、いわゆる昔の官設消防、或いは官設消防でなくて消防団等でやつておりましたところ、こういうところにおきまして差等を設けることは適当でない。つまり客観的に見まして、或る団体におきまして消防経費がどれだけ要るかということを算定するに最もふさわしい標準があればそれを採りたいと考えております。つまり客観的に見まして妥当なる範囲におきまもして、それがいわゆる昔の官設消防式のものを置くか、或いは消防団だけで我慢するか、そういうことは地方の自治に任せる。併し飽くまで客観的に、或る団体におきまして消防経費がどれだけ要るかということは最も公平に現わし得るところの数字を用いたい。然らばそのスタンダードをどこに求めるかということが非常に問題でありまして、今研究中でございますが、例えば家屋の賃貸価格と申しますか、時価と申しますか、こういうものを採つたらどうかというふうに考えておりますが、そういうふうに採りました以上は、官設消防を置こうといわゆる消防団だけで我慢しようと、それはもう地方団体の自由に任したいと思います。  それから次にお尋ねになりました補助金の問題でありまするが、シャウプ勧告では、飽くまで補助金を出しまする経費は、地方団体が出しても出さなくてもいい経費と、つまり地方団体が一般のレベル以上に或る種の仕事をしようとこう考えた場合に、而もそれに対して国庫がそういうことをするのが好ましいと考えた場合に、そういう場合に補助金を出すと、従つて国庫補助金を例えば二分の一なら二分の一出すと、あとの二分の一は地方団体で負担をする、そうするとその二分の一はいわゆる標準の税率を以ちまして課税しました、財源の外に計算になるわけでありまするから、具体的に言いますると、二分の一の国庫補助金を貰い、あとの二分の一は標準税率以上の増税を行なつてその経費を負担すると、それでも尚地方団体の利益になると、こう考えました場合にそういうものを支出するということになるのでありまするから、従いまして、補助金といいますのは、いわゆる一般標準財政需要の外になる経費だと考えております。ただいわゆる公共の建物があつて、その市町村は特に消防経費を要するというような場合がありますれば、こういう特殊の財政需要を救済するために、いわゆる補助金制度で行きまするか、或いは一般平衡交付金財政需要、その中の消防に対する標準財政需要を、普通の市町村よりも特別にそういうところだけ余計な経費が要るとしまして、一般標準財政需要を計算するかということは、今後の研究に俟たなければならんと思いまするが、まあいずれにしましても、一般的な補助金はそういう性格の経費だと考えております。
  35. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今の財政部長の御説明の中で、さつきの消防団員の問題について更に伺つて置きたいのですが、今いろいろ御説明があつて大体よく分りましたが、結局例えば東京消防庁なら東京消防庁組織というもの、官設消防というのですか、そういうふうな組織は各自治体の自由であると、結局例えば消防団員を中心とした組織東京消防庁に作つた場合には、その平衡交付金の場合の査定の基準は、その団員の経費というものをはつきりそこに算定されるわけですか、その点がどうもはつきりしないところがあるのですが……
  36. 荻田保

    政府委員(荻田保君) 一般平衡交付金を分けます基準につきましては、具体的に地方団体がどうい仕事をするか、それに対してどれだけの金を出すかといういわゆる補助金的な計算はいたしませんので、こういう状態のところに対しましては、例えば特掲いたします消防費なら消防費について、どれだけの消防費を出すことが標準的なものであるかということを計算いたしまして、それを対象にいたしまして一般平衡交付金を分けるわけでございます。従いまして、その市町村がどういう組織によつて然らば消防をやるか、特設消防を置くか、或いは普通の消防団員で我慢するかということは、その市町村の自由になります。従いまして、客観的に見まして、消防経費として、穏当な経費はどれだけあるかということを、客観的にその団体がどういう仕事をしているか、主観的な問題を混えずに、客観的にどれだけの経費を出すか、標準的な経費であるかということを算定するのに、最もふさわしい標準をどうとるかということが問題であります。従いまして先程ちよつと申上げましたが、家屋の賃貸価格といいますか時価をとります場合にいたしましても、農村のように散在しているところの家屋と、都市ように密接しているところの家屋をこれをパーにとることはできません。やはり都市の方はそれだけ消防経費も余計要るのだということを現わす尤も適当な標準をとりたいということで苦心しております。
  37. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 外にこの消防陳情並びに意見に対する御質問ございませんか。  尚それでは陳情に関連しまして、この機会に国家消防庁官にお尋ねして置きます。  兵庫県の町村会長から、こういう陳情が出ております。町村消防署は、これを都道府県立に移し、都道府県は少くとも一郡に一署を設置せられ、かくて都道府県は、常に管内の全消防署を掌握して不時の要に遺憾なきを期し、又、各消防署をしてその担当区域内の市町村消防力強化等について大いに現地的指導斡旋の任に当らしめるようにせられたい。こういう陳情であります。これにつきましての意見を伺います。
  38. 新井茂司

    政府委員新井茂司君) 只今の問題につきましては、私共はかように考えておるのであります。消防、特に火災を対象とする消防責任主体は、現行のよう市町村を以て当らせるのが適当だと考えておりますので、都道府県消防責任を移すような別な考えは只今のところ持つておりません。都道府県消防に関する責任はやはり管内市町村消防の育成助長ということについて、力をいたされるようにするのが適当だと考えております。
  39. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 尚今の陳情に、消防ポンプに要するガソリンを事実必要なる程度に配給せられたいという申出であります。又東京消防総監外六大都市消防庁から消防用燃料免税に関する陳情であります。それは消防に使用する燃料の購入価格は本年揮発油税法の公布によつて一〇〇%の高騰となつた地方財政窮乏の際各自治体消防に原動力たる燃料費の捻出に苦慮している、それだから消防任務の重要に鑑み速に消防用燃料の免税方の御高配を要望する。これが出ている。
  40. 横山和夫

    説明員(横山和夫君) 初めのガソリンの配給に関する件でありますが、現在国家消防庁の方におきまして、全国消防、これは消防本部を設置しておるもの及び消防の場合を含めてありますけれども、全消防に対しまして、配給いたしておりますガソリンの総量は六十四万七千リッターであります。一ケ月であります。一ケ月六十四万七千リツター。ガソリンは現在の我が国におけるガソリンの需要状況、供給状況というものに照し合せて考えてみまするならば、決して少い量ではないのでありまして、消防のガソリンというものにつきまして、各般の関係、各方面の認識というものに基きまして、配給がなされておるということを思つておるのであります。従いまして、その見地から我々の方でたてております適正な基準によつて配分いたしておりますので、今陳情の中に出ました面につきましては、現在の段階では各地方とも了解して貰わなければならんじやあないかと思つております。それから陳情の第二点のガソリンに関する免税の問題でありますが、この問題は我々といたしましても、地方の要望通りにやはり免税されて然るべきものであるというような一応の見解を以ちまして、各自治体のそうした要望というものにも応じまして、大蔵省その他関係方面数回に亘つてていろいろ折衝もいたしたのでありますけれども、諸般の事情によりまして、現在の段階では免税されるとかされないとかいう最終的な決定の段階には至つていないのです。これはどのようなことになりますか。今後のことで我々にも分からないけれども、大体そういうふうな経過を辿つておるということを、申上げます。
  41. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 別に消防の問題について御質疑ございませんか。それでは消防に関する問題は以上をもちまして打切りにいたします。   —————————————
  42. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 次に地方税制の中の鉱産税に関する件につきまして御審議をいたしたいこの鉱産税市町村税にして貰いたいということにつきまして、北海道の関係市町村又九州の関係市町村から陳情請願がなされております。それにつきまして今日この席に見えておりますから発言を許したいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは福岡県の田川市長の久野保氏の発言を許します。
  44. 久野保

    説明員(久野保君) 御発言のお許しを得まして鉱産税につきまして甚だ僭越でありますけれども、是非これを市町村税として存置せられまするよう、北海道並に九州、常磐その他炭鉱関係全国二百十数市町村を代表いたしまして、田川市長陳情を申上げます。  岡本委員長殿初め委員の皆様方におかせられましては、第六臨時国会閉会お休みになる暇もなく第七通常国会に入りまして、非常にこの御繁忙を極められ、いろいろ国政の上に御審議を頂きます上に、而も私共地方市町村の行政全部、特に財政上の問題につきまして、独立自営の立場で進み得るよう種々御検討頂いておりますことにつきまして、厚くこの機会にお礼を申上げたいと思うのであります。陳情書を正式なものをお差上げいたしておらないことを誠に申訳けないと思うのでありまするけれども、専門員の方を通じまして、いろいろな建前から、自治庁の方を初め財政部長その他の方々の御意見をも承わりまして、いろいろ占領下にあります故を以ちまして、お濠端の意見等も多少伺つて置く必要がないかと御相談いたしましたところ、そういう必要もあるであろうということで、二回に亘りまして陳情に出ましたが経過に基きましてその陳情書を引用して頂くことにいたしまして、お手許にお届け頂くようにして置きましたわけですが、簡単にこの炭鉱並びに鉱山の所在地の実情財政的に特に困つておりまする状況を理由として申上げまして、御批判を頂きまして御同情を賜わりたい、かように考えておる次第であります。第一この御承知でありまするけれども、炭鉱所在の市町村は概ね労働者を以ちまして、大多数の人口が本当にこの石炭の増産と相比例いたしまして、増加して参つておるのでありまして、甚だしい町村に至りましては、殆んど人口の八〇%以上が炭鉱の従業員であるという実態であるのでありまして、又更にこういう労働者の間におきましては非常に異動が頻繁に行われるのでありますという関係一つは又この人口の増加率が非常に高いのと並行いたしまして、生徒、児童の増加率も全国平均の倍以上に相成つておりまする数字の事実もあるわけであります。そういう点から申しまして、非常にこの行政費が外の市町村に比べまして異常な暴騰をいたしておるような次第であります。と同時に一面従業員の各位は非常に先程申上げましたように浮動性がありまするために、定着性に欠けて、担税力の点におきましても、極めて一般市町村民とは隔りがありまして担税力に欠けておる点が非常にあるわけでありまして、行政費は嵩む一面、歳入の点におきましては非常に負担力が乏しいために、一般市民がこれによりまして多くの負担を課せられるというよう実情をかいつまんで申上げたのでありますが、そういうことがあるのであります。  尚前後いたしますけれども、一応この鉱産税の経過はもうすでに先生方におかれては御承知のことと思いますが、御参考までに申上げまして御了承を頂きたいと思うのであります。鉱産税昭和三年かと確かに覚えておりますが、三年に国税として徴收せられて十二というものを徴收せられておりましたが、いろいろ炭鉱市町村実情から申しまして、地下にあります石炭を掘り話しますために、地上その他に大きな被害、河川、或いは道路、或いは橋梁、或いは田畠、或いは家屋等に甚大な被害を生じて参りまするが故に、非常な迷惑を被むつておりますることと、その市町村が非常に財政的には今申上げましたように、疲弊いたしまするために、当時の関係市町村が話合いをいたされまして、そうして政府陳情せられまして、その後昭和七年六月にその半額を市町村に移譲を適えて頂きまして、ずつと徴收して参つたのでありますけれども、昭和十五年に至りまして、税制改革において一応これが取止めとなつたのであります。廃止の運命に会つたのであります。その後終戰直後に至りまして、非常にそういう切実な局地的な問題につきましては、もう従前もそういう歴史を繰返しておりまするように、一般の市町村も非常に財政上困りましたけれども、特に炭鉱所在の市町村は大きな負担に堪えかねまして、即ち昭和二十二年の終り頃から二十三年の初めにかけまして、極力政府並びに関係当局、或いはGHQ等に陳情をいたしまして、或いは勿論この国会の参衆両院に対しましても御相談を申上げました結果、幸いに私共の非常な苦痛であり意のあるところを御了解頂きまして、鉱産価格の千分の十を地方税として法定化して頂きまして、誠に感謝感激して現在それを頂戴して参つておるのであります。その比率におきまして、多少私共市町村の、言葉は悪いかも知れませんが、気に食はない点がありまして、やはり従来の国税の時代は半額を市町村が貰つておりまして、府県には何らそういうものに対して、この鉱産税を取るべき何らの理由もない。こういうふうに解釈して参つたのでありまするが、たまたまこの分割につきまして千分の十の鉱産税の六割を市町村に、残りの四割を府県にということには、私共切実に全部市町村に頂きたいということを陳情申上げておりましたけれども、これは單に府県も全然関係はないということはないということを私共も認めているわけでありまして、知事さんの御斡旋で四、六ということで折合つて頂いたようりになつているのであります。そういう経過を踏んでおりまするのに、幸いにいたしまして今度の画期的なシャウプ博士の勧告によりますところの税制改革、即ちこの脱税と申す一部に入つていると思うのでありますが、それを地方税としてお残しを頂く。これは又政府におかれましても、事務局におかれましても、国会におかれましても、非常に懸命な御斡旋を頂いた結果であると非常に私共感謝をしている次第であります。たまたま慾張つて單に市町村が全額をこの際貰いたいと、こういうふうにのみ申上げるわけではございません。いろいろ各方面意見を聽しまして、いろいろな理由において、炭鉱所在の市町村が困つているという事態に基いて、他の市町村と比較して、税の收入が少い上に出費が多いという建前から、これは特に関係市町村と密接不可分の関係にある団体に付與してやつて呉れという、全国市長会議の決議もさようになつております。又更に全国町村長会議の決議も同様でございます。尚又一面知事会議で、或いはこの鉱産税都道府県税としてはどうかというよう意見も一応出たそうでありますけれども、特にこの至大の関係を持ちますところの福岡県或いは北海道、具体的に申上げますと、福岡県では大体この鉱産税の全額を三億数千万円と予想いたしているのであります。北海道におきましても約二億に近いのであります。その他の常磐、或いは長崎、佐賀、山口等で残りを持ちまして全額約十億と、かように相成つているのでありまするが、その大都分を、過半数を占めておりますところの福岡県、或いは北海道、この両知事さんがこれはどうしても炭鉱所左市町村の実態を見るに忍びない。是非共この鉱産税は地元に還元する意味において、市町村に付與して貰いたいものだ、かように宜治委員会に対されましても切実な陳情をしておられるのであります。尚又当の業者であります鉱業権者の集まりの日本石炭協会におきましても、これはどうしても所在の市町村とは極めていろいろな事業の、忽ちに事業に響く従業員をお世話して貰うという立場からも、或いは炭鉱が加害者の立場になりまして被害を及ぼすから、その間復旧するまでの間不便不自由をかけている、これに対しても甚だ気の毒だ、まあ府県に全然関係はないとは申せないけれども、とにかく軽重を言うならば何といつても議論の余地はない。これは市町村に是非共やつて貰わなければならんという陳情を、これは文書で出して呉れると言つておりましたけれども、口頭で財政部長さんのお手許にお願いに出ているというような事実もあるのでありまして、いろいろな建前から申しまして、話が前後いたしましたけれども、私共の切実な願いといたしましては是非共鉱産税を、関係市町村が如何に財政窮乏し、如何に犠牲を払つているかということにお目を留められまして、是非とも本委員会におかれましても市町村税として御決定硬きますよう、切に或いは政府の当局にいたしましても御理解頂きますと同時に、司令部関係におきましてもスムースに参りますよう要望申上げる次第であります。いろいろまだ申上げたいこともありますけれども、大変時間も経過しているのでありますから、極めて簡單でありますけれども、お願いの要旨だけを申上げまして陳情に代えたいと思います。どうぞよろしく……
  45. 柏木庫治

    ○柏木庫治君 陳情者にちよつとお伺いいたしますが、北海道及び九州の福岡県知事がこれは是非共地方町村にという、あの一言で分るのでありますが、そういうもうちよつと私共の是非しなければならないというような思いを決定付けるために、その町村のどういう点が特に負担が重いとかいうようなことも一つ二つ例を聞かして頂きたいのですが。
  46. 久野保

    説明員(久野保君) お尋ねにお答えいたします。これは説明の足りんところがあると考えて恐縮いたしますが、大体におきまして具体的に申上げますと、炭坑所在の市町村の人口が炭坑関係者が約八割を占めておると、こう仮定いたします。それは五割の場合もございますけれども、その八割といいます場合に、この行政費が仮に二億というよう予算を計上いたします場合に、その炭坑関係費用がその八〇%で済まなければならん分が、九〇%以上もかかる、こういう形をとつておるのであります。これは数字の面におきまして御参考になるものを大体付けておいたのでありますけれども、そういうふうな経費は非常に余計にかかる。一面炭坑から徴收いたしまする、いわゆる従業者が負担いたしまするところの従来の戸数割り、或いは現在行われておりますところの住民税、市民税こういつたものにおきましても担税力に欠けておるという点から、約六〇%乃至七〇%、平均一般市民が負担いたします額は、六〇%乃至七〇%程度で、これは徴税技術の上からも多少関係もございますけれども、そういう経過を伝統的にたどつてつておる。こういうことで行政費は非常に嵩む、而も伝染病におきましても統計は出しておりますけれども、一〇〇%ありますうちの、約八〇%までの伝染病は炭坑関係者になる。こういうことも言えるわけであります。  それからいろいろ比較もいたしておりますが、尚又收入の面から見まして、今後市町村が頂きますところの固定資産税、これを大体の予想を立ててみますと、北海道における実例を一応申上げますと、炭坑に全然関係のない札幌市におきまして、この一年あたり平均固定資産税の対象になる数字を出しました場合、これを百といたしますと、この炭坑の所在いたします夕張市におきましては、これは驚くなかれその二三%、約四分の一しかこういう固定資産税というものが收入付けられない。そういう歳入の面におきまして大きな欠陥があることを大体予想いたして、おります。
  47. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 他に御質問ございませんか。右の陳情に対する地方自治庁側の御意見を伺います。
  48. 小野哲

    政府委員小野哲君) 炭坑所在の市町村の意向を代表されまして田川市長から詳細な御陳情を拜聽いたしたのであります。陳情の御趣旨は誠に御尤もと存じます。この問題につきましては国内的には完全に意見の一致を見ておりますので、政府としましては御要望に副うように折角努力をいたしたい所存でございます。
  49. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 尚この鉱産税並びに木材引取税等の有力な税種は都道府県税とするのは、シャウプ勧告根本精神に反して著しく市町村財政を不利ならしめておる、だから鉱産税、木材引取税のごとき特別地域の市町村の特殊事情等と関連の深い税種は市町村税とせられたい、こういう意見の提出が全国市町村の会長神戸正雄氏からございました。それを申添えて置きます。
  50. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 只今鉱産税につきましては、今政務次官からの御答弁でよく分りましたが、そうすると具体的には次の税制改革案の中にこれが出て来るわけですね。
  51. 小野哲

    政府委員小野哲君) 西郷さんにお答えいたしますが、税制改革案を整理いたしまして、その中にこの趣旨を織り込みたい、かように考えております。
  52. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 他に御質疑並びに御意見ございませんか。それでは鉱産税関係の問題はこれで今日はこれで打切ることにいたします。   —————————————
  53. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 次に地方公務員の年末手当その他給與改善に関する件について質疑をいたします。公務員の給與と年末手当につきまして過般政府措置をいたしますときに、総理大臣の談話の中に、地方公務員の年末手当については各々その地方公共団体において同様に措置せられるように期待するというよう意見の発表があつたのであります。これに対して昨日参議院の本会議におきまして議員から政府に対して質問がございました。そのときは小野政務次官から総理大臣に代つて答弁がございましたが、少しく簡に失して要領が不分明の点がありますから、この委員会で改めて地方公務員の年末手当その他給與改善に関する地方自治庁側意見というものを開陳願いたいと思います。
  54. 小野哲

    政府委員小野哲君) 只今委員長からの御求めがございましたので、今回年末手当を支給するについての地方公務員関係の取扱い方の概要を御説明いたしたいと思います。  地方公務員に対する年末給與等の手当の支給に関しましては、御承知よう政府職員の例によりまして出すことに相成つておるのでございます。併しながらその財源措置につきましては御承知のごとく地方財政の窮迫しておる現状に鑑みまして、この際或いは事務費の節約であるとか或いは適宜な方法によりまして、財源の捻出を図らざるを得ないよう状況にあるのでございます。従いましてここに直ちに確定した財源を附與するという措置を講じますことは、地方団体の自主性等との関係もございまして、政府としましては先程委員長からお話がございましたように、地方団体が給與することをある状態にあります。ただ御承知のごとく地方公務員の中で地方教職員の給與の問題がございますが、この点につきましては、義務教育に従事する職員につきましては、二分の一を国庫が負担する建前に相成つておりますので、これが財源につきましては当然国庫負担といたしまして、それに必要な所要財源の捻出をいたすことにすでに相成つておるのでございます。尚その他に国庫負担の職員もありますことは御承知通りでございます。尚又、市町村学校職員の給與に関しましては、昨年でございましたか負担法が制定いたされまして、道府県において負担することに相成つておるのでございますが、今回支給されますような年末手当につきましては、この中に包含されておりませんために、何らか適当な法制的な措置を必要とするものと考えられ、この方途を講ずることに相成つておるものと存ずるのでございます。昨日参議院の本会議におきまして、岩間議員から地方公務員等の年末給與につきまして御質問がありました際に、極めで簡單な御答弁を申上げたのでございますが、以上のような事情の関係から、財源の問題について詳細に申上げる段階に至つておらないために、止むを得ずあの程度の御答弁に止めたような次第でございます。併しながら、地方財政が極めて窮迫いたしております実情にございますので、地方自治庁といたしましては、何とか地方に対しまして適切なる方法を講ずるように努力いたしたい、かように考えておりますことをこの際申上げて、尚御質問に応じまして財政部長から御答弁をいたしたいと思います。
  55. 島村軍次

    ○島村軍次君 昨日の小野政務次官の答弁以外に、高瀬文部大臣から教職員に関する二分の一国庫負担に関しては法的措置を講ずるというようお話があつたのですが、只今の小野政務次官のお話の法的措置とは、これは教職員に限るものであるか、或いは又一般公務員の或る程度の部分にも触れる意味であるか、その点がはつきりしないようですからお伺いしたい。尚もう一つお話の点の、例えば国庫負担に属する職員、或いは又農林省関係あたりは補助でやつておる職員が相当あると思う。それらに対しては、只今お話通りに、財源というものは窮迫の場合でありますから、地方公共団体としてはなかなかその捻出に困るだろうと思う。併し建前上は何分の一を補助するとか、或いは又全額負担するということになつておりますから、これらに関しては各省関係経費の中から或る程度まで支給すべき筋合と思うのでありますが、そういう問題に対して各省との間の折衝が行なわれておりますかどうか、そういう点を一つ伺いたい。
  56. 小野哲

    政府委員小野哲君) 島村さんのお尋ねになりました先ず第一点の法制的措置の問題につきましては、学校関係の教職員について文部大臣が答弁いたしましたので、一般その他の地方職員につきましての法的措置に触れておるものとは考えておりません。尚只今お話がございました国庫負担、特に国庫補助を受けておるものにつきましては、勿論その限度におきまして国が負担しなければならないことは申すまでもないので、従つて国庫の負担において財源の捻出をいたす必要があるであろう、こう考えております。
  57. 島村軍次

    ○島村軍次君 それはよく分つておるのでありますが、私前後にお尋ね申上げたのは、只今御答弁の中に法的措置を要するのじやないかということをお話になりましたから、文部大臣の答弁は別にして、地方自治庁の小野政務次官の答弁中のこの字句に対してはどうお考えになつておるかということであります。それからこの国庫負担の職員に対する必要の点は分つておりますが、具体的にどこまでどう進んでおるか、こういう問題を一つ重ねてお聽きしたいと思います。
  58. 小野哲

    政府委員小野哲君) 補助金を出しております職員に関して関係方面とどういうふうな連絡を取つておるかということにつきましては、(島村軍次君「関係方面以外に」と述ぶ)、関係各省、広い意味での関係方面でありますが、関係当局その他と連絡を取つておるかということにつきましては、荻田君から御説明いたすことにいたしまして、私が申しました法的措置と申しますのは、市町村立の学校の職員につきましては、昨年でございましたか制定を見ました負担法がございまして、それはいろいろの給與について道府県が負担をするということになつておるのでありますが、今回の年末手当のごときものは包含されておりませんので、若しこれを道府県の負担において與えるとするならば、当該法律の適当な臨時措置を講ずる必要があると、さよう意味合いにおいての法的措置を必要とすると考えると、こういうことを申上げた次第で、内容について詳細申しませんでしたために御納得が行かなかつたのではないかと、かように存じます。
  59. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今の政府次官の御答弁の法的臨時措置というのは法律案ですか。法律案であるならば、年末の休会に入る前に本国会に御提出になるのですか。
  60. 荻田保

    政府委員(荻田保君) 小学校、中学校は御承知よう市町村立でございますので、一切の経費市町村で負担するということになつております。併しながら現在出しております俸給、それからいわゆる一般の勤務地手当とか、或いは家族手当、或いは寒冷地手当、こういうようなものにつきましては、特に法律を出しまして、このものは道府県の負担とする、こういう法律が出ております。それから更にそういうものに対しまして二分の一は国庫で負担するという法律が出ておりまして、この二つの法律があるわけでありまして、それによりまして二分の一国庫負担を以て道府県の支弁にするということが決まつておるわけであります。  そこでこの年末臨時手当につきましては、事柄の性質としましては、当然道府県で負担し、而も二分の一は国庫で負担するという筋合いのものであると思うのであります。ところが現在の法制の建前を以ちまして、今申上げましたように、黙つてこのままでおれば、市町村で全額負担をしなければならない結果になりますので、この際法律の改正をいたしまして、やはり年末の臨時手当につきましては道府県の負担とするという法律と、もう一つは、その道府県で負担したものにつきましては、二分の一の国庫負担をするという法律を出さなければならないわけであります。  そこで前段の、差当りこの年末に支給しなければならないのでございますから、道府県で負担するという部分につきましては、この際法律の改正案を国会に提出しようと、目下文部省当局において立案中で、ございまして、実は現在におきましてどうなつておるかということは、私ちよつと存じませんが、昨日あたりは、その方向によりまして準備中でございました。それから国で以て二分の一を負担するということにつきましては、先程政務次官から申されました通り、この際予算措置は伴いませんで、年末におきまして何らかの予算措置をするということになつております。やはりその予算措置をいたした場合には、法律案と並行して国会に提出したいという、これは後の、本年度内において適当な時期まで待たなければならないと思います。
  61. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今の国庫負担する分は、その負担の二分の一を国庫負担にするということはなかなかややこしいと思うのですが、その額はお分りになつておりますか。又年末に措置するということになりますと、その間は予算の流用をするということになるのでありますか。
  62. 荻田保

    政府委員(荻田保君) 大体義務教育の教員に対しまする臨時年末手当は十四、五億でございます。従いまして国庫負担の分は七億数千万円負担されることになります。それで今西郷委員のおつしやいましたようには只今措置ができませんが、一応予算面におきましては、二分の一の国庫負担額を中央におきまして計上いたしますけれども、現金が入りませんから何らか適当に現金措置都道府県において講じて頂いて、直ちに支給して頂きたいというのが政府の心づもりでございます。
  63. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 そうすると教職員のことは分つておるのですが、そういうことになつて来ると、その他の一般地方公務員の方においては、さつき政務次官のお話では、命令するわけではない、併し職員の例に準じてやつて貰いたいということになるのですが、そうすると結局地方公務員全体にやるということになりますね。
  64. 荻田保

    政府委員(荻田保君) 地方公務員一般につきましては、御承知ように道府県職員につきましての給與については国家公務員の例によるという規定がございます。それから市町村吏員につきましては、国家公務員の給與に準ずるという規定がございます。従いまして国家公務員に対しまして臨時年末手当法というものができますとその例による、或いは準ずるということになりまして、單に政府が期待するというのではなくて、もう少し強い意味におきまして大体この程度のものは道府県なり、市町村なりが出さなければならないという義務を生じます。御参考のために申上げますが、義務教育の教員の分等を含めまして、総額におきまして三十六億ぐらいの数字になつておるのであります。
  65. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 それは十四億の分を含んでですか。
  66. 荻田保

    政府委員(荻田保君) はあ、十四億の分を含んであります。
  67. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 他に御質疑ございませんか。  それでは伺いますが、国家公務員の例によるとか、国家公務員に準ずるというものは何ですか。それの根拠は……、
  68. 荻田保

    政府委員(荻田保君) 地方自治法におきまして、地方公務員につきまして地方公務員法ができるまでは政令の定めるところによる、いろいろ分限とか、待遇とか、給與につきましてそれに基きまして政令が出ておりまして、その政令によりまして、先程申しましたように、都道府県職員の給與については国家公務員の例による、それから市町村吏員につきましては準ずる、こういう政令が出ている。法律と同等の効力を有する……
  69. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 何という政令ですか。
  70. 荻田保

    政府委員(荻田保君) 施行令であります。
  71. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 地方自治法施行規定ですね。
  72. 荻田保

    政府委員(荻田保君) 地方自治法の規則にございます。
  73. 島村軍次

    ○島村軍次君 さつきの国庫負担及び補助職員の点に対しての財源の問題で、荻田財政部長から内容を……
  74. 荻田保

    政府委員(荻田保君) 大体国庫負担職員の臨時年末手当の額は三億円程度であります。従いましてそれにつきまして、それに基きまする政令によりまして国庫の負担部分が決まつております。大体半額と見まして一億五千万円程度のものを国庫で負担しなければなりません。これは義務教育の教員に対しまする手当と同様に、年度末におきまして適当に予算措置をいたしたいと考えております。
  75. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 そうするとさつきの都道府県で負担するというその法案は、この委員会にかかるわけですか。
  76. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 私の記憶では、今の負担の法律の問題ですが、早急に文部省から出されるという都道府県の負担法ですね、これはこの場合はこの委員会にかかつたと思います。それから二分の一の国庫の負担分ですね、これは大蔵委員会にかかつたので、今度はどうなりますか、それはまだ協定しておりません。今度は多少その当時と事情が変りまして、各省の所管によつて、かける委員会が変つて来ますから、今度は文部委員会になるかも知れません……。林屋君、何か御質問ございませんか。
  77. 林屋亀次郎

    ○林屋亀次郎君 今入つて来たばかりですから……
  78. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 速記をちよつと止めて下さい。    〔速記中止〕
  79. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは速記を始めて……。今日はこれで散会いたします。    午後三時五十三分散会  出席者は左の通り。    委員長     岡本 愛祐君    理事      岡田喜久治君    委員            林屋亀次郎君            柏木 庫治君            西郷吉之助君            島村 軍次君            太田 敏兄君            濱田 寅藏君   政府委員    国家消防庁長官 新井 茂司君    地方自治政務次    官       小野  哲君    総理府事務官    (地方自治庁財    務部長)    荻田  保君   説明員    東京消防庁総監 塩谷 隆雄君    地方自治庁財政    課長      奧野 誠亮君    福岡県田川市長 久野  保君    東京消防庁総務    課長      横山 和夫君