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説明員(田中榮一君) 警視総監の田中でございます。去る二日に警視総監声明という形式におきまして都内におきまする
集団行進及び集
団示威運動についての制限を発表いたしまして、その際に二日から五日までの間は一切の集会、示威行進及び
集団行進及び集
団示威運動については全面的にこれを制限するということの警視庁の方針を一応明示いたしまして、それと共に六日に更に改めまして、示威行進及び示威運動及び屋外屋内の集会につきましても一応制限をするということを明示いたしたのであります。勿論かかる集会及び集合につきましては、一切の集会及び集合、会合を認めないというのではないのでありまして、その当時新聞紙上若しくはラジオによりまして声明をいたしましたごとくに、六月二日より五日までの
期間には一切の
集団行進、集会、示威運動等は、これを行うことができないようにな
つていたが、更にその後の推移に鑑み尚当分の間、一、如何なる目的にせよ、あらゆる行列及び示威運動はこれを行うことができない。二、行列、示威運動、煽動、挑発、社会不安を醸成すること等を目的とする会合及び集会はこれを行うことができない。この二の問題は行列を目的とする会合及び集会はこれを行うことができない。示威運動等を目的とする会合及び集合はこれを行うことができない。煽動を目的とする会合及び集会はこれを行うことができない。こういうように全部かかるのでありまして、その外のこれらの事柄に該当しない集会等は、勿論何ら支障はないのでありまして、もとより一切の集会につきましては憲法第二十一条によりまして、
国民の基本的権利といたしまして保障をされておるのでありまするが、但しこの社会不安等を目的とし、又挑発、煽動等を目的とする集会及び会合等につきましては、憲法の十二条及び十三条の規定の上から全然これを警察が制限をなし得ないというようには私共はしていないのであります。そこでこの警視総監声明と申しますのは、これは御案内のごとくに、一応これは声明という形式で発表いたしたのでありまするが、これは一応私共の解釈といたしましては、警視庁の一般に対する警告、忠告というような意味にと
つておるのであります。ただ形式を一応声明といたしておりまするが、軽い意味で言いますれば、一般に対する警視庁の注意というような意味に私共といたしましてはと
つておるのであります。
それからこれの制限に関する根拠でありまするが、これにつきましては昭和二十四年十月二十日附の東京都条例第百十一号の
集団行進及び集
団示威運動に関する条例ということにな
つております。そうしてこの条例は第一条によりますると、道路その他公共の場所で、
集団行進又は集
団示威運動等を行わんとするときは公安
委員会に届出なければならない。そしてその届出る場合におきましては書式が一定しておりまして、これにいろいろなことを書添えることにな
つております。そうして更に第三条には、六項よりなるところの条件を附し得ることにな
つております。その
一つは、官公庁の事務の妨害防止に関する事項、二、危害防止のための銃器、兇器その他危険物携帯の制限に関する事項、第三といたしましては、交通秩序維持に関する事項、第四は、
集団行進又は集
団示威運動の隊伍の保持に関する事項、第五は夜間の静謐保持に関する事項、第六といたしましては、公共の秩序を保持するため、止むを得ない場合の日時の変更に関する事項、従いましてその日に行うことがいろいろの点について支障を来すという場合におきましては、その日時を改めて指定して、この条件を附する。そうして若し特別の事由のない限り届出がありましたならば、実際行う二十四時間前までに届出の写を更に承認の判を捺しまして、これを返すことによりまして、ここに正式に、これらの行進及び示威運動が適法にできるというように相成
つたのであります。他の都市の条例におきましては許可
制度をと
つているのでありまするが、東京都条例におきましては、他の都市と異なりまして届出
制度をと
つているのであります。この点は或いは若干弱く感ずるのでありまするが、まあ実質的には届出を拒否し、届出を受取らないということによ
つて、この集
団示威運動若しくは
集団行進を承認しないというような実際上の手続をと
つてお
つたのであります。そこでこの集
団示威運動及び
集団行進の声明をいたしまして、これによりまして管下の警察署にもその旨示達いたしたのでありまするが、先程申述べましたごとくに、以上の条項の社会不安を惹起するような会合集会等は認められないのでありまして、普通の娯楽的な集会とかそういつたものはこの範囲には入
つてないのであります。ただ当初におきまして多少いろいろの点について手違いがありまして、若干社会問題を起しまして、この点は誠に遺憾に堪えないのでありまするが、一応問題を起しました点も直ちに是正をいたしまして、
只今では大体において遺憾なく
実施されているものと考えております。先般も或る学校、特に名前を申上げますれば、早稲田大学の学園内におきまして、文化的な集会が開催されたのでありまするが、これもいろいろの点から考えまして一応制限をされたのでありまするが、併しその後のいろいろの点を勘案いたしまして、今後学園内の集会その他につきましては、学校の総長若しくは校長等が自主的に
責任を持
つてその集会を認めるとか認めないとかということを
決定をするというように是正をいたしまして、学園内の集会等につきましては学校長若しくは
責任者に一切を御一任するというように相成
つたのであります。そこで現在の治安状況からいたしまして、こうしたことを無制限に続けるということは誠に面白くないことでありまして、できるだけこうしたことを撤廃いたしまして明朗なふうにいたしたいとかように考えまして、
只今いろいろの点につきまして関係方面とも
折衝を続けているようなわけでありまして、私個人の考えといたしましては何らか近いうちに解決の
方法があるだろうということを考えている次第であります。
尚非常に抽象的なことで御了解できない点が多々あろうかと考えておりまするが、又御
質問によりまして、必要がありまするならば更に
一つ御了解のつくまでお話を申上げたいと考えております。