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説明員(
代田朝義君) 私
大田区長の
代田でございます。本日は
委員会の貴重な時間を御割愛願いまして、私共
陳情の
趣旨を申上げる
機会を与えて頂きましたことを、先ず以て厚くお礼を申上げる次第でございます。かねて、より
委員長さん、その他
委員の方々に、いろいろ
東京都の特別区の
財政権のことにつきまして、再三非常なお邪魔をいたしまして、
陳情を得ておるのでありますが、去る三十日の日に、二十三区
議員大会を永田町の
小学校で持ちまして、その
大会においての
宣言決議につきまして、本日重ねて
お願いに参
つたような次第でございます。簡単に
陳情の
趣旨を申上げてみたいと思います。
私共特別区二十三区は、新らしい
憲法の下に新しい
自治法として
明定せられております、いわゆる特別区は
市町村と同機であるというふうにお示しを願
つておるのでありまして、殊に
地方公共団体としての第一条に
はつきりと
明定をせられておるのでありますにも拘わりませず、今日の
在り方といたしましては、全く
人事権もなく、又
財政権もなく、
起債権もない。こういうふうな誠に変態な
在り方に放置されておるのでありまして、かような事態から特別区といたしましては、殆んど自主的に
行政をや
つて行くということが全く根柢から
権限がないというふうな
現状でありまして、昔ありました
行政区より以上悪く
なつたと
言つても、良くはな
つていないというのが
現状であります。かような
意味から、この二十三区は、どの区を取上げましても二十万から、多いのは四十万というふうな人口を包容いたしておるのでありますが、
区民の輿望に応えるような
行政が
一つもでき得ない。全く
東京都に隷属した
本当の
事務的機関であるということに置き去りをされておるというなさけない状態であるのであります。
考えますのに、
憲法並びに
自治法に示されたいわゆる
住民自治の
考え方というものが、
一つも現れていないという
現状である
関係上、どうしてもこれでは我我が辛抱でき切れんというので、今回二十三区が立上りまして、どうしても法に
明定せられて、いわゆる市と同等という線まで、いわゆる
財政権の
確立を
一つ何とか法制的に
明定をして頂きたい。ただ遺憾なことは
地方自治法には
はつきり
公共団体であるということを
明定せられてございますが、その他
地方税法等に特別区という
名前が全然落されておるのでありまして、尚その他
関係法規にはやはり同じく特別区ということが忘れられておるという
現状にあるのでありまして、こういう面が私共いわゆる
地方行政についての、
根本の法律である
地方行政に、すべてこれをマツチするような法制的の
改革を、先ず以て
一つ議会に
お願いをするの外ない、こういうふうなことで
陳情を申上げているような次第でございまして、ただ都がややともすれば、
戦争中あの
戦時立法として出来ました
東京都政というものの
在り方、いわゆる
東京府と
東京市というものを合併いたしまして、そうして
一つのいわゆる
指導監督の
機関とそれから
事業団体である
東京市とを
一緒にしたという、あの当時のいわゆる
戦時体制の
都政の
在り方そのものが今日の
行政面には慣習的に残されておるのでありまして、
東京都はややともすれば、今日の
民主政治下におきます
都政にも拘りませず、やはりその当時の
在り方をそのまま
権限を確保しておるというのが
現状であります。こういう点を
東京都の方とも、新らしい
自治法が施行されて以来再三
折衝はいたしておるのでありますが、なかなか意のごとく進行いたしませんで、いわゆる都は飽くまでも封建的に昔の強い
権限を確保しておるというような頑張りを見せておるのでありまして、むしろ逆に最近におきましては
衛生行政を取上げて、全部
東京都の中央集権的な
一つの
機関にしてしま
つた。尚その他税務の問題、
土木の問題すらも、むしろそうい
つた中央集権的な
在り方に持
つて行こうというふうな意図すら
見えるような
現状でありまして、誠に私共二十三区の
区民、
文公選区長といたしましては、このままに置きましては到底忍び難い姿にあるのであります。かような点からどうしてもこの際、殊に最近
シヤウプ博士の
勧告の下に大きな
税制改革が行われる、こういうふうなことを契機といたしまして、いわゆる二十三区特別区に対しての、
財政権の
自主的確立をして頂きたい。これが私共の
念願でございまして、むしろ
東京都は、私共の聞いたところによりますれば、今度の
税制改革に当りましても、ややともすれば
道府県の
在り方と、それから
市町村の
在り方との両方を混同されるというふうな
考え方があるようであります。そのようになりますれば、全く
シヤウプ博士の
勧告の
趣旨である
市町村財政というものと、
道府県財政というものと、国の
財政というものの
根本を破壊するものじやないかと思うのでありまして、我々が
民主政治を
本当に向上せしめるためには、やはり
地方分権を鞏固にして、そうして飽くまでも
地方の各
自治体を個々にその意欲を働かして、そうして
お互いに競争し
合つて郷土を良くして行く、こういうようないわゆる
自治の発達を見るにあらざれば、
本当の
民主取消というものの完成はできないのではないか、かように痛感をいたしておる次第でございまして、こういう面から今回はどうしても
議会の
皆様方のお力によりまして、私共の永年叫んで参りました、又永年
念願して参りましたこの
要望を叶えて頂くように御
配慮を願いたいと思うのであります。ただ
東京都がいつも言うておりますことは、二十三区に非常に
財政的な凸凹がある、若しこれをそのままに自立的に
財政権を
確立したならば、貧乏区はどうするのだ、こういうことに非常な疑念を持
つておるのであります。ところがこれはむしろ私共に言わしめれば、国家がいわゆる
一般平衡交付金で
操作するごとく、やはり
東京都区内にも二十三区の
一般平衡交付金の
制度を作りまして、そうして
財政調整をや
つて行くならば、決して
心配のことではなくて、むしろこれに我々二十三区が加わりまして、自主的に
お互いに堂々と
図つて、これが又
都条例の中にさような線を劃しまして、そこでや
つて行けば、当然自主的にや
つて行かれるものだと信じておるのであります。今日では殆んど
東京都が一方的に
都条例で全部この
権限を縛り上げて、そうして二十三区は最初申上げましたように手も足も出ない、いわゆる半身不随の姿に放置されておる、こういうふうな
現状でありますので、二十三区の
議長会、又
区長会、又
自治権拡充委員長会、又
財政委員長会と、いわゆる
区会議員千有余の者が、この際絶対にこれを確保するにあらざれば、
区政は治められないという覚悟で起ち
上つた次第であります。どうか私共の
窮状を御賢察下さいまして、この
東京都の真中で、かように五百万の
都民が、折角新らしい
憲法の下、又新らしい
自治法の下、
民主自治権を与えられておるにも拘りませず、私共
区民、
都民といたしましては、
自治権を行使していない、こういうような
現状にあるのでありまして、
区民としては今申上げたような
状況で、実際に
自治権を行使するところまで行
つておりませんのと、それから
都民といたしましても、この五百万というような大きな
二つの
自治体としての
在り方は、これは
本当の
自治行政に反することでありまして、伺うところによりますれば、現在の
自治法も四十万を標準として
自治法ができておるのだということを伺
つておりますが、若しさようであるならば、五百万というと大きな
自治体としてはあり得ないことと私共は確く信ずるのであります。こういうような
矛盾撞着をこの
機会に一掃して頂きまして、そうして飽くまで
本当の二十三区が、又昔の
東京市
時代のいわゆる市の
在り方に帰る。それから都は少くとも当時の府の
在り方に帰る。いわゆる
道府県の
在り方と、
市町村の
在り方に
はつきり分離して頂きまして、そうして我々は飽くまで
自治権を完全に運行して行く、こういうようなすつきりした姿に
一つして頂きたい、これが私共の強い
念願でございますので、この点をどうか
一つ皆様方がよくお汲み取り下さいまして、私共が将来できるだけ法制に
明定せられたことそのままに
自治が
実行できますよう、格段の御
配慮と御
心配を願いたいと思うのであります。
本日特に貴重なる時間を頂戴いたしまして……
大会の
決議も
趣旨はそこにあるのでありまして、尚
財政の面については、今申上げたような
調整委員会を
作つて、そうして行くならば、少しも
矛盾撞着は起らん、かように
考えておりますので、この辺の事情をお汲み取り下さ
つて、どうか
一つ……これは今度の
機会を逸しては私共永劫にその
機会を掴むことはできないと信じておりますので、どうか
窮状をお察し願いまして、
一つ御
配慮の程を特に
お願い申上げる次第でおります。極く簡単でございますが、御
説明申上げる次第であります。どうぞ宜しく
お願いいたします。