運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1950-04-25 第7回国会 参議院 地方行政・内閣連合委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月二十五日(水曜日)    午前十時四十一分開会  委員氏名   地方行政委員    委員長     岡本 愛祐君    理事      波多野 鼎君    理事      堀  末治君    理事      竹中 七郎君            吉川末次郎君            黒川 武雄君            山田 佐一君            岩木 哲夫君            林屋亀次郎君            柏木 庫治君            島村 軍次君            西郷吉之助君            鈴木 直人君            米倉 龍也君            濱田 寅藏君   内閣委員    委員長     河井 彌八君    理事      カニエ邦彦君    理事      門屋 盛一君            藤井 新一君            梅津 錦一君            小林米三郎君            小杉 繁安君            城  義臣君            鈴木 安孝君            伊達源一郎君            竹下 豐次君            町村 敬貴君            堀  眞琴君            三好  始君   —————————————   本日の会議に付した事件  地方財政委員会設置法案内閣送  付)   —————————————    〔岡本愛祐委員長席に着く〕
  2. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それではこれより地方行政内閣連合委員会を開会いたします。  今日の日程は地方財政委員会設置法案予備審査でございます。先ず政府側から提案理由説明を求めます。
  3. 小野哲

    委員長小野哲君) 只今議題となりました地方財政委員会設置法案につきまして、その提案理由及び内容概略につきまして簡單に御説明申し上げます。  申すまでもなく地方自治確立強化は、わが国再建基本施策として、終戰以来鋭意政府の意を用いて参つたとこを亭ありまして、地方自治法施行以来地方行財政制度全般に互り相次いで画期的な制度改革が断行せられると共に、これら地方自治に関する諸制度改革と歩調を一にして、中央政府地方公共団体との関係も又大きい変革を挙げ先に内務省が解体廃止せられまして以来政府部内にあつて地方自治拡充に関する業務を掌る機関についても機度か機構改革が行われ、現在総理府外局である地方自治庁が、その任に当つていることは既に御承知の通りであります。併しながら地方自治の現状は、このように度重なる制度大改革にも拘わらず、未だ必ずしも十分な成果を挙げるに至つてはおらず、殊に地方財政の困窮とその自主性の欠如とは、地方自治確立の前途に深い暗影を投じておりますとともに、国務大臣を長官とし、配するに地方自治委員会議を以てする現在の地方自治庁機構を以てしては、とかく地方財政に関する地方公共団体意思が充分政府施策に反映されないのでありまして、畢竟するに自主的地方財政確立強化するためには、地方自治庁という機構そのものが誠に遺憾なことではありますが、その設立当初の意図に反して必ずしも強力な機関たり得ないことを認めざるを得ないのであります。  時恰もシヤウプ税制調査団勧告発表の次第もあり、政身はこの勧告趣旨を十分尊重し、永の年の懸案であつた地方税財制度全般について、画期的な大改革を行いますと共に、特に地方自治における最弱点である地方財政関係確立に強い客を持つ機関設置の必要を通感し、ここに現存の地方自治庁とは別個の機関として新たに地方財政に関する地方団体の強力な利益擁護機関として国、都道府県及び市町村相互の間における財政調整を図り、地方自治本旨実現を推進する機関として内閣総理大臣所轄の下に、地方財政委員会設置することとし、本法案の御審議を願うことといたしたのであります。  次に本法案内容につきまして概略説明申上げます。  本法案は大体におきまして五つの部分から成立つております。先づその第一点は、本委員会任務及び所掌事務範囲であります。地方自治権確立強化の過程が進んで参りますにつれ、政府部内におきまして、地方自治の事に当る機関任務にも又変化が生じて参りますことは当然でありますが、殊に今回断行せんと致しまする地方税財政制度大改革に伴いまして、中央におけるこの種機関任務につきましても、地方自財の根基たるべき自主的地方財政確立強化に重点を置かなければならなくなつたことは当然であります。本委員会設置は正しくこのような地方自治の現段階における要請に即応せんとするものでありまして、政府部内にあつて相当程度独立権限を行使しつつ地方財政自主権確立を推進し、地方財政に対する一方的な国家意思の支配を排除すると共に、国家財政地方財政及び地方公共団体財政相互間の調整を図らんとするものであります。換言致しますならば、本委員会は、形式上は総理府外局でありますが、相当広範な独立権限を有し、地方税法地方財政平衡交付金制度等地方税財政制度の円滑なる運営確保の責に任ずると共に、地方税財政制度全般について絶えず必要な調査研究行い必要事項については、随時或いは国会及び内閣意見申出で、或いは又関係機関に必要な助言を行い、以て地方自治の進展に資するところあらんとするものであります。  その第二点は、委員会組織であります。以上のような本委員会任務重要性と、特殊性格とに基き、本委員会地方自治に関し優れた識見を有する者について、内閣総理大臣が任命する五人の委員を以て組織することとし、委員のうち三人は、全国都道府県知事連合組織全国市長会連合組織及び全国町村長会連合組織がそれぞれ推薦した者を含まなければならないこととし、その利益代表機関としての色彩を組織の上に強く反映せしめることとし、又委員罷免につきましては一定の分限規定を設けて、政府の一方的措置を排除致しましてその独立性を強くし、地方公共団体意思国家により一方的に不当に抑圧せられることのないよう措置を講ずることといたしたのであります。  その第三点は、委員会の持つべき権限であります。本委員会権限といたしましては、委員会設置趣旨に鑑み、従来内閣総理大臣権限に属しておりました地方税財政に関する諸権限のうち、地方税財政制度に関する法律案企画立案権を除き他はすべて挙げてこれを本委員会委讓することとし、その独立性を強化するため、地方財政委員会規則制定権及び委員会所要経費確保に関する請求権を付与し、随時地方財政に関する必要な意見国会内閣及び河数機関申出権限を与えると共に、地方財政の情況を毎年国会及び内閣に報告する義務を課して国会及び内閣との連絡緊密化を図り、聴聞権限及び義務規定してその業務運営の適正を期し、以て地方公共団体利益の正当なる擁護者たる地位の確保を図つているのであります。  その第四点は、委員会事務部局であります。地方財政委員会の持つべき性格とその任務とに鑑み、委員会に置かれる事務部局としては、官房外財務部税務部の二部とし、前者は地方財政平衡交付金法及び地方税関係法規を除く地方財政関係法令施行事務に当り、後者は地方税関係事務の執行に任ずることといたしております。  その第五点は、地方自治庁設置法の一部改正及びその他関係諸法令の一部改正であります。先ず地方自治庁設置法の一部改正でありますが、地方財政委員会設置に伴い、地方自治庁任務及び所業事務範囲について変更が生じて参ります結果、本法律案附則において地方自治庁設置法の一部に所要改正を加きることと致したのであります。即ち第一に地方財政に関する強力な地方公共団体利益擁護機関として本委員会設置せられます結果、地方自治庁は、国と地方公共団体相互間の連絡機関たることを主要性格とし、地方行財政及び地方公務員制度に関する法令案立案に当ると共に、併せて地方自治に関する内閣総理大臣権限行使の補佐に当ることをその任務とすることとし、地方財政委員会と相並び長短相補いつつ地方自治確立の推進に過進することと致したのであります。第二に従来地方公共団体利益擁護任務を持つておりました地方自治委員会議は、新たに強力な地方公共団体利益擁護機関たる地方財政委員会設置することとなりました結果、その性格地方自治庁諮問機関に改め、その構成人員もその性格に相応しいものに改正することと致したのであります。第三に、その事務部局でありますが、財政部関係事務の大幅な地方財政委員会への委讓に伴い、従来の部制はこれを廃止し、簡素且つ能率的な構成をとることと致したのであります。最後地方自治法地方財政法等、その他の諸法律改正であります。他の財政委員会設置によりまして、既存の諸法律中に規定せられております内閣総理大臣及び地方自治庁長官地方財政に関する諸権限のうち、相当部分地方財政委員会委讓せられます結果、本法案附則において必要事項改正し、字句の整備を行なつたのであります。  以上が、本法案提案理由及びその内容概略でありますが、尚最後に、本委員会設置の時期について一言申し述べて置きたいと存じます。本委員会設置は、今回断行せんと致しておりまする地方税制度改正地方財政平衡交付金制度実施一体不可分のものでありまして、当初これら諸改革実施と同じく本年四月一日発足を目途と致しておつたのでありますが、関係方面との折衝に意外の時を費さざるを得ないことととなりました結果、予想外提案を遅延いたさざるを得ないこととなつたのであります。もとより法案成立の上は、直ちに発足いたすべく準備を怠るものではございませんが、何とぞこの間の事情を篤と御了承の上、慎重御審議を重ねられ速かに御議決あらんことをお願い致す次第であります。
  4. 河井彌八

    河井彌八君 只今提案説明があつたのでありますが、この設置法内容関係するとこが非常に多いのでありまして、参考資料によつても随分広汎に亘つております。つきましてはこの法案條文につきまして、尚少しく只今の御説明よりも詳しく御説明願いたいと思います。参考資料も引用して御説明を願います。
  5. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 只今河井委員長から御意見がありましたが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それではそういうことに取計らいます、政府委員の詳細な説明を求めます。
  7. 荻田保

    政府委員荻田保君) 第一條でございするが、この法律目的を書いてございまして、これは地方財政委員会所掌事務範囲及び権限を明確に定め、その所掌する行政事務を能率的に遂行するに足る組織を定めることを以てこの法律目的としたのでございます。  第二條は、この地方財政委員会設置するということを書いてあるのでございまするが、この書き方は、他のいわゆる総理府外局と同様に、内閣総理大臣所轄の下にこれを置くことにしております。総理府外局ではございまするが、以下内容について御説明申上げることによりまして、普通の外局とは違いまして、相当独立性を持つておるのでございます。  第三條におきまして所掌事務規定しております。この事務の根本は、国、都道府県及び市町村、この三者の相互間におきまする財政調整を促進する、これによつて地方自治本旨実現に資することを以て目的とするのでございます。大きな項目によりまして事務範囲を分けますと四つございまして、第一は平衡交付金法によりましての職務でございます。そのうち大きなのは総額を見積るということでございます。総額はいずれ国の予算において決定されるのでございますが、この見積りをする。それから国の予算に決まりました交付金総額各地方体団に分ける、法律及び規則に従いましてこれを配分する。この権限はこの財政委員会にあるのでございます。それから尚その外に地方公共団体財政運営に関しまして関係方面助言することができることになつております。第二は、税制地方税法に関しまする権限でございまして、例えば法定外普通税新設変更のこと、その他地方税法中に種々出ております権限を行使いたします。第三番目は、この国、都道府県市町村間におきまする財政調整に関しまして、以上二つのことに含まれません財政調整に関しまして調査研究をする。常時調査研究をすることでございます。その結果は、関係機関に対しまして意見申出をするのでございます。ここで特異な点は、いわゆる立案権法律原案を作る。作成する立案権がないのでございますが、ただこの財政一般に関しましての調査研究をするのでございますから、おのずから制度につきましての研究も行われるわけでありまして、その結果は関係方面に対しまして意見申出という恰好において伝達されることになります。それから第四番目は、これらの仕事をいたしますために、資料收集、統計の作成、その他の調査研究をいたします。  第四條にこの委員会の持ちまする権限を書いております。一号から十一号まではこれは普通の外局にございます例文的な規定でございますから説明を省略いたします。十二号におきまして、地方財政平衡交付金総額を見積ること、及び各地方公共団体に対する交付金の額を決定してこれを交付するという権限でございます。これは先程御説明申上げた通りでございます。十三号は、このように決定いたしました根拠につきまして、地方団体側から審査請求がありますときは、これを受理いたしまして、審査いたします。十四号におきまして、十四号以下が地方税に関しまする権限でございます。十四号は、課税権帰属等につきまして、関係地方公共団体の長の意見が異る場合におきましての決定でございます。それから十五号は、附加価値税につきまして多数の都道府県事業所のありまする納税者に対しまする附加価値の分割の更正、決定をすることでございます。第十六号は、市町村民税についてでありますが、市町村田原則としまして国税で決定いたしました所得を標準にして課税をするのでありますが、特に地方税法に掲げてありまする事由がありますときは、みずからこれを決定することができることになつております。その場合に地方財政委員会許可を与えるのであります。それから十七号は、固定資産税に関しまする規定でございまして、この固定資産税の評価の基準等につきまして、全国的に調整を図るために技術的援助及び助言を与えることができるのであります。第十八号におきまして、やはり固定資産税でありまするが、農地時価につきましては、農地につきまして公定価格のあります限り、公定価格の何倍ということを以らまして時価と見るのでありまするが、初年度におきましては法律規定された二十二・五倍になつておりますが、それ以後におきまして公定価格自体変更いたしますと、この二十二・五倍というのを変えなければなりませんが、その権限地方財政委員会にあるのであります。十九号は、地方公共団体法定外普通税新設又は変更のことであります。以上が税であります。二十号は、地方債発行に関しましての許可でございます。これはシヤウプ勧告で言つております通り早晩廃止すべきでありまするが、現在のように資金が未だ統制を加える必要のあります場合には、許可をいささなければなりません。その許可権限地方財政委員会にあるわけであります。二十一号は当籤券附証票、いわゆる宝籤であります。二十二号は、地方競馬。二十三号は、自転車競技。これらはいずれも地方財政関係のありますことにつきまして、その開催とか発行等につきまして許可を与えたり指定をしたりするのでございます。二十四号は、国、都道府県市町村相互の間におきまする財政及びこれに影響を及ぼす諸関係調整につきまして内閣や、その他の関係機関或いは内閣を経由いたしまして国会に対し意見申出をすることができる、こういう点におきましてそういう独立性が強い機関でございます。それから二十五号は、以上いろいろ申述べましたような権限を行使するにつきまして民主的に行ないますために、関係地方公共団体についていわゆる聴問をする、このことが書いてあります。二十六号は、以上の仕事をいたしますにつきまして、地方公共団体或いは国の関係行政機関に対しまして資料の提出を求級ることができる権限を与えております。二十七号は、漏れたものを救う規定でございまして、その外の法律によりましてこの委員会に属せしめられた権限を行使いたします。  第二項におきまして、この委員会独立性をはつきりいたしますため、この委員会が処理する権限法律によつて与えられております事務につきましては、この委員会決定、処分がこれは最終のものでございまして、外の政府機関からこれを引繰り返される、制肘を受けるということはないということを明記したのであります。それにつきましてはただ法律問題に関します限りは、勿論裁判所におきまして裁判される、これは当然あることでありまして、これを何も除外するものではないという念のための規定でございます。  第五條は、組織でありまするが、組織は、委員会委員五人を以て組織することになつております。その委員は、地方自治に関しまして識見を有する者のうちから、両議院同意を得て内閣総理大臣が任命します。この五人のうち三人は、それぞれそこに書いてありますように知事市長町村長連合組織が推薦した者を入れなければならない。これによりまして地方団体利益代表機関であるという性格を特に強調いたしたいと考えております。四項、五項は、この任期満了或いは欠員の場合、国会の開かれていない場合の規定であります。  第六條は、任期を三年とすることであります。  第七條は、委員罷免につきましては、ここに書いてありますように、理由のない限りは意思に反して罷免されることはない、身分の保障をいたします。尚先程五人のうちの三人は、それぞれの団体同意を得て推薦によりまして任命いたしますが、そういう委員につきまして罷免をしようとするときは、予めその連合組織意見を聞かなければならない義務があります。  第八條は、委員長規定でございまして、委員長委員のうちから互選することになつております。  第九條は、余務の決定規定でございます。これは五人のうち三人の同意を以て決定することにいたします。  第十條は、委員の給与は、別に法律でこれは定めることになつております。  それから第十一條地方委員会は、所掌する事務につきまして法律、若くは政令規定実施するため、或いは又その法律若しくは政令の委任に基きまして、地方財政委員会規則を制定することができる規定を置いております。  第十二條は、聴聞規定でございまして、関係地方公共団体につきまして聴聞をすることができる。尚その場合に参考人の出頭、意見等も聞くことができるということになつております。  第十三條におきまして、委員会は、国、都道府県市町村相互の間におきまする財政及びこれに影響を及ぼしまする諸関係調整につきまして、必要がありますときは内閣関係機関、或いは内閣を経由いたしまして国会に対しまして意見申出をすることができるのであります。  第十四條は、地方財政に関しまして、必ず毎年内閣国会に対しまして定期に報告をしなければならんことになつております。これには地方財政に関しましての改善すべき方策の意見を申し添えることができることになつております。  第十五條は、委員会予算についての特殊の権限でございますが、特に独立性確保するため、内閣において調整されます。普通の予算手続以外に、地方財政委員会の提出します予算原案内閣が削減いたしました場合には、委員会の要求に係りますところの経費見積り、又その詳細を歳入歳出予算に附記いたしまして、これを国会に提出いたしまして国会の御審議を受ける、こういう規定であります。  第十六條は、事務局関係でございます。委員会には事務を処理するために事務局が置かれます。その事務局には、官房外財務部税務部の二部を置きます。官房はいわゆる通常官房業務でございます。  十八條におきましては、財務部所掌事務規定しております。これは平衡交付金であるとか、地方債とか、税以外の財政についての事務を処理いたします。  第十九條は、税務部所掌事務規定いたしておりますが、これは税に関しまする所掌の一切の事務を行います。  第二十條におきまして、事務局職員のことを規定しておりますが、その長は局長といたします。その職員の任免、昇任、懲戒その他人事管理につきましては、国家公務員法の定めるところによるということを規定しております。  第二十一條においては、定員規定しておりますが、これは別に法律で定める、つまり定員法によりましてやることになります。  附則の第一項は、施行の日でございますが、これは公布の日から施行いたしたいと考えております。二項、三項は委員等に関しまする経過的な規定でございまして、この委員の任命のために必要な行為は、施行の日の前からずでに準備に着手することができる。第三項におきまして、初めに委員の全員が任命せられないというような場合が若しございましたら、任命された委員だけで会務の処理をすることができる。第四項では、これは義務地方財政委員会に課しておるのでありますが、それは地方税法におきましてここに四つつておりますように、主といたしまして現在の免税規定が適当であるかどうか、どうすべきかということ、もう一つは、この二号にありまする固定資産税に係わる市町村の債権を担保する制度固定資産税は新らしくできたのでございますが、それの徴税につきましての権限を担保するために相当制度を考えなければならない、これはアメリカ等にありまするリ・ーエンという制度、こういう制度について研究をしてそういうことができるかできないか、どうしたらよいかということを、次の通常国会までに内閣及び国会に対して勧告しなければならないという義務であります。第五項は、地方自治庁設置法改正でございます。大体現在の地方自治庁事務のうち、地方財政委員会に移る以外のものはそのまま地方自治庁に残りますので、その規定の整理をしたのでありますが、それにつきましてはお手許にお配りいたしました資料を読みまして御説明したいと思います。  初めの方に地方自治庁設置法がございます。これは現行規定に整理した箇所を書いてございますから、これによりまして御了承願いたいと思います。  第一條目的及び第二條設置これは変りございません。  第三條の所掌事務が変りました。書き方相当つておりまするが、内容只今申しました地方財政に関しまする権限、即ち立案権以外のものは地方財政委員会に移しまして、その残りをそのまま残しておるのであります。別に変りはございません。  それから第四條におきまして地方自治庁に附設されております地方自治委員会議のことを書いておりますが、委員の数を十二人とございましたのを八人にいたしまして、一号、二号の議員を削り、それから最後の九号の学識経体者四人を二人にいたしたのであります。それから諮問委員会にいたしますので、三項におきまして非常勤を建前とすることにいたしたのであります。それから前にございました両議院同意を得て任命するというような手続はとらないことにいたしたのであります。  第五條自治庁権限でございますが、これも財政に関しまする権限が抜けただけでございまして後は変りございません。  第六條でございますが、内部部局に、従来長官官房連絡行政部財政部が置いてございましたが、権限の縮少に伴いましてこのような部制は布かんことになり、第六條、それに伴いまして、第八條、第九條、第十條は、それぞれそれに伴いまして全部削除いたしました。  第十一條におきまして地方自治委員会議の軽限の変更をしておりまするが、この初めの本文のところに「議決を経なければならない。」つまり議決機関でありましたのを「意見を聞かなければならない。」というふうに諮問機関にいたしたのであります。内容につきましては、地方財政委員会に移します権限を削除いたしたわけでございます。  地方自治法第十二條におきまして、地方自治委員会議の議事のことを書いてございますが、これは定員の減少に伴いまして出席委員数の制限を書いてございます。  それから第十三條も、非常勤になりました関係上、地方自治委員の手当の規定は削りまして、普通の諮問委員会の手当と同額のものが支給されることになります。  十四條、十五條、十六條は、條文の整理でございます。  以上が地方自治庁に関しまする規定でございますが、元の地方財政委員会設置法に基きまして、附則の第六項におきまして地方自治法の一部を改めておりまするが、これは地方財政委員会ができましたので地方自治法中の内閣総理大臣或いは所轄行政庁の権限のうち、財政に関するものを地方財政委員会に移したのであります。  第七項におきまして、地方財政法の一部を改正しておりまするが、これも地方自治庁から財政に関する権限地方財政委員会に移りましたので、それに関しまする整理でございます。  第八項の国家行政組織法、これは地方財政委員会ができましたので新らしくこれを入れたのであります。  次の九項、十項、十一項は、それぞれ條文の整理の規定でございます。それから第十二項におきまして、行政機関職員定員法改正しておりまするが、これによりまして現在ございます地方自治庁の百五名を地方財政委員会に百一人と地方自治庁に五十七人といたしまして、従来よりも五十三人増加しております。  それから四十項にありまして、地方自治委員の先程申しました手当が別に常勤の手当でなくなりましたので、この職員の給与に関する法律のことは削除しております。地方財政委員会委員長の俸給は、国家公安委員会委員と同様に、それから地方財政委員会委員の方の給与は、公正取引委員会委員と同様になつております。この関係はお手許に配りました資料の十四頁に、つまり地方財政委員会委員長は国務大臣とか人事官とか、それと同様でございます。それから地方財政委員会委員は、公正取引委員会委員と同様でございます。  それから十五項の警察電話等の処理に関する規定、これは先般の国会において成立いたしました警察用電話等の処理に関する法律によりまして委員会を設けることになつておりますが、その委員会に出しますことになりました、かような改正でございます。  以上簡単でございますが説明を終ります。
  8. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) これより質疑に入ります。質疑をお願いいたします。
  9. 河井彌八

    河井彌八君 本案につきまして、即ら機構に何する問題を一、二点お伺いしたいと思います。第六條でありますが、補欠委員任期については、例えば警察法第七條第一項但書のごとき規安がないのであります。即ち補欠の場合には、委員は前任者の残任期間の任期を与えるというような意味の規定がないのですが、この点について政府はどう考えておられますか。
  10. 小野哲

    政府委員小野哲君) 只今の御質問でございますが、この法律案の建前としては、警察法と同様の建前で考えておる次第でございます。
  11. 河井彌八

    河井彌八君 然らばやはりそういう同様な規定を置く必要があるのじやないかと思うのでありますが、どうなさるつもりでありますか。
  12. 荻田保

    政府委員荻田保君) いろいろこの外の規定の仕方にも例がございまするが、こういう書つ放しで、任号はやはり委員の前任者の任期と同様にするという規定もございますので、それと同様にやつて行きたいと思います。
  13. 河井彌八

    河井彌八君 只今説明はそういう解釈もあり得るかも知れませんが、他の法律におけると同様の場合に比較いたしますと、明確を欠くように存じられますが、できるならば、その点を法律上明瞭にして欲しいということを申上げて置きます。  次にもう一点、委員会事務局には第二十條において、事務局長を置くということを規定しております。次長はこれを置くのであるかどうであるかということ、それを伺います。若し次長を置くとするならば、国家行政組織法の一部改正法案、今内閣委員会に付託中のものでありますが、それの第二十條第二項の規定によりまして、地方財政委員会設置法案第二十條中に、これを規定する必要がある、こういうように考えるのでありますが、次長を置くつもりであるのかないのかという点を確かめて置きたいと思います。
  14. 小野哲

    政府委員小野哲君) この法律案におきましては、この委員会に次長す置かない考えであります。
  15. 河井彌八

    河井彌八君 分かりました。更にもう一点伺います。附則第五項に関連しますが地方自治庁設置法第三條の改正によりまして、地方自治庁設置法の中に、地方公共団体の行政及び財政並びに地方公共団体職員に関する制度について企画し、及び法令案立案することとあるのですが、地方財政に関する事務地方財政委員会に一元化することが適当と認められるのであります。地方財政に関する制度についての企画、法令の立案のごときことは、事務はこれを地方自治庁から切離して地方財政委員会に行わしめることが適当ではないかというように考えております。かようにいたしますことによつて、この二つの行政機関の間に無用な摩擦等がなくなるということを考えておる次第でありますが、その点について政府はどうお考になりますか、お伺いします。
  16. 小野哲

    政府委員小野哲君) 只今御質問のありました地方自治庁地方税財政制度に関する法令案企画立案権を残した理由はどうか、こういうことだと思いますが、この法律案附則にもございますように、又現行地方自治庁設置法の中にもありますように、地方自治庁は、国と地方公共団体相互の間の連絡に当るということが主要な任務なつております。地方財政委員会は、地方公共団体利益代表機関と申しますか、利益擁護が主たる任務でありまして、自主的な地方財政に関する地方団体の至当なる利益を擁護するということを主要性格といたしております。従いまして制度としての地方財寺の在り方に関する御慮は、地方財政委員会は勿論その執行の衝に当るのでありますが、地方財政制度に関する在り方についての考慮というものは、やはり連絡機関たる地方自治庁として所掌せしめた方が、不当に地方公共団体利益本位に偏する虞れがまあ少くなるのではないか、より合理的になるのではないか、こういうふうな考え方がいたされるのであります。従いまして地方財政制度につきましては、地方自治に関する制度一般と、何と申しますか表裏の関係を持つておる。従つて制度一般の企画、立案の任に当る地方自治庁をして所掌せしめることが適当ではないか、こういう考え方から出ておるのでございます。ただ制度立案につきましては、現実にそこ実施に当つておる機関ではないというと、現実性を欠く虞れが強いという心配がございますので、地方自治に関する事務を掌つておるという性格を異にしておる二つの機関を考え合せまして、敢て地方税財政制度に関する企画、立案権地方自治庁に残しまして、両者の緊密なる連絡を図つて共々に長短相補つて行くと、こういうようなやり方で地方自治権確立を推進して行きたいこういう考え方から只今御指摘になりましたような権限を、所掌事務範囲の中に入りることにした次第でございます。
  17. 河井彌八

    河井彌八君 一応の御説明は了承いたしました。でありますが、今後やはり地方自治の発達のために、只今申しました点は、私は非常に重大なる関係を持つものと考えます。従いましてこの点につきましては、地方財政委員会において、委員長にお願いいたしますが、十分検討をせられて、最も適正な措置に出でられるように御審議あらんことをお願いいたす次第でございます。私の質問はこれで……
  18. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 外に……
  19. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 提案理由について若干質問したいと思うのですが、今度の地方財政委員会設置する理由としまして、従来の地方自治庁の機能が十分でなかつたということが、ここに謳つてあるのですが、どういう点なんですか、どういう点がよくなかつたんですか、具体的にどんな点において今の自治庁がですね、地方自治委員会ですか、これを以て活動しておつても、どういう点が足りなかつのですか。
  20. 小野哲

    政府委員小野哲君) この点につきましては、御承知のようにシヤウプ税制報告書の中にも指摘されておりますように、地方財政確立いたしまして、地方自治制度を強化して行くということが必要であるが、現行の地方自治庁性格なり或いは権限においては十分にその目的を達成することは困難であろう。従いましてこの際これに対して再検討を加える必要がある、こういう意味の勧告も出ておるわけであります。実際問題といたしまして、現行の地方自治庁設置法を御覧下されば分るのでありますが、地方自治達が総理府外局として設置されておる。その所掌事務地方税財政制度の外に内閣総理大臣の補佐をいたすべき権限所掌いたしておるのであります。これに対して地方自治委員会議が附属されておりまし前、地方自治庁事務を遂行して行きます場合に、必要なものについては、地方自治委員会議の議決を経なければならない。こういうふうになつております。この地方自治庁長官が国務大臣となつておるのでありまして、この点についていわゆる閣議において地方税財政並に地方自治全部についての発言をいたし得る立場にあるのであります。併しながら今回シヤウプ税制報告書の中にも指摘いたしておりますように、地方自治の強化を図つて行くためには、適正な財源を地方自治団体に与えることが最も必要である、かような意味から、地方税法改正も行われることになるのでありますが、と同時にこの地方財政運営に当りましては、内閣から或る程度独立して性徹を持つた機関においてこれに当らしめるということが最も必要である。税の方面におきましても、国税と地方税とを通じた改正は行われるけれども、その税源につきましては、全然別箇の体系に属する性格を与えて、その独立性を維持しようといたしておるのでありますが、この地方税制の基本的な改革の根本趣旨から申しまして、これを掌る機関といたしましても、相当独立性を持たたものであることが必要である。これにつきましては、現行の地方自治庁組織並びにその運営については、必ずしも万全を期することができない、地方自治委員会議の議長は、国務大臣でありまするし、その国務大臣が同時に地方自治庁長官である、こういうふうな建前をつとつておりますところにも、自主的な地方財政運営を推進して行くのには、必ずしも適当とは申されない、実際の運用から申しましても、そういうことが申し得るのであります。この点につきましては、政府も如何なる組織なり性格を付与することが妥当であるかということになついて、地方財政委員会設置法案研究いたしておりまする途上においと種々検討を加えたのでありますが、シヤウプ税制報告書の趣旨をも十分に尊重し、又地方財政運営の実態的な効果のある機能を発揮させるためにも、只今提案いたしましたような内容を持つたものがいいであろうという終局的な経論に到達いたしたような次第であります。甚だ大雑把な御説明でございますが、地方財政委員会を、只今考えておりますような、法律案において構想を持つておりますような形で作ることが適当であろう、こういうふうに考えておる次第であります。
  21. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 シヤウプの報告書の中には、勿論そういうことも出ておりますが、同時にその報告書の中には現在の日本の知事会議ですか、例えば府県別などについての改革案も出おるわけです。これと睨合せなければこの問題は解決できないのじやないかという気がするのですが、その勧告の中の、この部分だけを取上げて持出して来たのはどういうわけですか。
  22. 小野哲

    政府委員小野哲君) 只今多野さんから言われました或いは地方団体の行政区域の変更と申しますか、或いは合併というか、そういうふうな問題につきましては、調査機関といたしまして地方行政委員会議をシヤウプ税制報告書の勧告趣旨に基いて設置しておるのであります。で、これは言わば調査機関でありまして、今回の地方財政委員会調査機関ではなくして、先程の次長から説明いたしましたような事項を所掌し、権限を行使する執行機関として考えなければならないのでありますので、両々相俟つて更に将来地方自治の強化、地方分権の確立に向つてこれを推進して行くと、こういうことになると考えております。
  23. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 そこで行政区画の調査だけを勿論勧告しておるのだけれども、調査するということは終局の目的じやないのです。勿論その調査した結果によつてやるという、地方行政区画を整理するというとが眼目なんですね。それだけを作れということが眼目ではない。それはそれとしまして別の見地から同じ問題をお尋ねしますが、その提案理由書の中に、地方団体の強力な利益を擁護する機関というのは、どういうわけですか、強力な利益を擁護する機関というのは……つまり逆に言いますと、この地方団体利益をどこか強力に侵害しておるものがあるという前提の上に立つて、立つておるからこれを擁護しなければならんという議論が出て来ると思うのだが、その間の関係はどうなりますか、どういうふうに考えてられますか。
  24. 本多市郎

    ○国務大臣(本多市郎君) この地方財政委員会が、地方団体財政的な立場を、独立性のある立場から代表し得る地位を与えるということをこれは主眼といたしておるのでありまして、従つて地方財政委員会権限としては、でき得る限り独立性という性格からいたしましても、その所掌事務範囲は、法律上定まつている範囲に止めたい、具体的に申しますと、平衡交付金に関する財政事務、更に税法上定めておりますところの事項を処理する権限、こういうものに限定をして、そうして極めて独立性を高くしよう、そうして政府の意向に拘わらず、地方団体財政的事情からの意見を、独立性の立場から代表せしめようという建前になつておるのでございます。尤も地方財政委員会所掌事務の中に宝くじの発行或いは競輪、競馬、起債というようなことがございますが、この競輪、競馬等のことも財政的事情から認可すべきか否かということが、今日考えなければならん点でありますので、法定外独立税を地方財政委員会が認可かる場合と同じような考え方で、こういうことは地方財政委員会に所管させた方がよかろうと考えた次第でございます。  更に又今までの自治庁ではどういう欠陷があつたか、この点でございますが、やはり大臣が自治庁長官をやり、自治委員会議の委員長をやつておりますということになりますと、閣議の意向とどうしても調整に努力をして行かなければならんのでありまして、そうした場合、地方団体の率直な意見は、結局閣議との調整のためにそこに現わすことができない、今回独立性のある地方財政委員会を作ることによりまして、仮に政府意見が一致しません場合でも、それはその意見のままを国会に提出いたしまして、政府意見地方財政委員会との意見の相違しておる点は、国会の裁断を仰ぐ、こういうふうにして行くことが、地方自治体の意見がよくそこへ分つて参りますし、地方自治体の自主性を高め、今後の発達にも必要である、かように考えておる次第でありまして、これは今日までの自治庁仕事で、具体的にどういうよくないところがあつたかという点につきましては、具体的な問題はすべて調整しと解決されておりますので、申上げかねますのでございますが、根本観念といたしまして、只今申上げましたような精神に立つ方がよかろうと考えております。
  25. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 私の考えでは、こういうことかと思うのですが、地方自治体のいわば税というものと、国の税というものとがどこかで調整される必要がどうしてもあるのでありまして、その調整する機関として議会が活動するということも一つの考え方であるが、議会の方にはこの予算編成権がないのです。そこでこの地方自治体と国との予算或いは財政上の利益調整ということは、議会によつては十分達せられないのです。むしろ内閣においてこれをやるのが当然じやないかと思います。そうして内閣において予算編成をやつて行くのが当然じやないか、調整をやつた上でも予算編成をやるのが当然じやないか。却つてこんな強力な機関を作ることによつて、議会に何もかも責任を負わせようというような考え方だけれども、予算編成について議会に何もできないのですからね、それが、こちらに持込まれたのでは却つて困るのですね、これはそうお思いにならんですか。
  26. 本多市郎

    ○国務大臣(本多市郎君) 主なる予算関係のある仕事は、平衡交付金でございますが、平衡交付金の額をこの地方財政委員会で算定をいたします。そうしてこれを予算に盛込むように政府に要請するのでありますけれども、それが国においては財政上の都合からどうしてもそれだけの金額を予算に計上することができない。併し地方団体としてはそれだけ計上して貰うことは切なる希望であるということで、政府地方財政委員会意見が一致しません場合、こうした場合が生ずることを予想できるのでございます。そうした場合には、その裁定は、いずれを取るべきかを国会で裁定して貰う。但しその国会にその予算を提出いたします場合に、地方財政委員会の主張が政府の主張よりも金額が大きい場合が多いでありましよう。その大きい支出に対する財源は、どういうふうにしてその場合賄うべきかというようなことは、政府地方財政委員会の主張通り平衡交付金を算定するとすれば、計上するとすれば、その財源はこういうふうになりますということまで附して国会にお諮りをするのでございまして、ここはやはり地方自治体が中央財政的事情、これはそれから牽制を受けることは止むを得ないことではありますけれども、ときの政府の考え方をどうしても了解できないというような場合がありますので、そうした場合には国会がその財源までも示されて審議に附されるのでありますから、御決定願うというような途を開いて置くことは、これは国会調整に任して予算上の不都合も生じないと考えております。
  27. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 これは現に起きているのですね。例えば人事院の勧告ですね、公務員に対する給与の問題、これでも国会政府、人事院と何とも動きがとれないような、変なことになつてしまつておる。人事院の方では公務員の給与を上げよと言う。政府の方で予算がないと言う。議会の方でどうしたらよいか分からんというような恰好で、三者動きがとれないようになつておるのです。差押えをやらなければならん、こんなことになつているのが実情でございます。同じことが又起きて来ますよ。又同じことがここに起きて来ます。地方財政委員会……
  28. 本多市郎

    ○国務大臣(本多市郎君) 人事院の給与ベースの勧告については、政府と人事院が一致いたしておらないのでございますが、政府と人事院と一致しない場合があるにしても、人事院の立場から、給与ベースを国会に示すということは有意義なことであると考えております。
  29. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 それは、各方面の意見が出て来るのは、それはいいのですよ。それは勿論我々も大いに歓迎することなんだが、それで行政がやつて行けるかということなんですね。行政上非常に困難な問題が沢山出て来る。それよりも内閣において調整する、予算の編成権は内閣にあるのです。それで調整が出て来るのは当然じやないか。現に新聞で見るところによると、行政機構改革というような委員会の暫定的な結論でしようが、人事院の廃止するというのが出ておつたのです。どうしてこんなことが出て来るかといえば、やはりその問題から出て来ておるのです。その意向が正しいかどうかということは別なんですが、行政上非常に困るような問題が起きたら動きがとれないじやないか、余りにいろいろな機関を作り過ぎても却つて動けなくなるということの反省から、ああいう議論が出て来ておると私は思う。そこに地方財政委員会というような強力な機関を作りまして、これは政府と全く違つた意見国会に出して、財源の問題についてはどうにもならない、どうしたらいいかということが又新らしい問題として出て来るわけです。そういう点からいつて地方財政委員会設置そのものについては、いろいろな疑義を私は持つのですが、尚先程質問しました地方自治の強力な利益擁護機関ということの意味が分らないのですよ。地方自治利益を非常に侵害しておる何者かがあるという前提で、利益擁護機関という言葉が出ておるのです。従来国がこれを侵害しておつたからこれは擁護してやらなければならん、その機関として地方財政委員会を作る、こういう考え方なんですか、その点ちよつとお伺いいたします。
  30. 本多市郎

    ○国務大臣(本多市郎君) 従事はすべて調整が行われて実行されておりますから、具体的に何がどうということではありませんけれども、公正なる地方団体利益をこの地方財政委員会が主張するという意味でありまして、平衡交付金について、これが公正であるという金額をどこまでも最終決定をして国会に至るまで主張する立場を与える、これ即ち地方財政というものを擁護するということになると思うのであります。
  31. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 もう少し別の見地からもう一つお尋ねしたいのは、地方自治庁というものからこの地方財政に関する権限を奪つて、こちらの委員会に移してしまうという考え方は、地方自治庁をゆくゆくは廃止するという考え方とくつ付いておりますか、この点はどうですか。
  32. 本多市郎

    ○国務大臣(本多市郎君) この地方自治庁設置法にありますように、今回地方財政委員会に移します権限以外、総理大臣の補助事務として相当のものが残るのでございます。そうした総理大臣の補助的な事務をこの独立性のある、又独立性を持たせなければならん地方財政委員会に全部を移すということは、この地方財政委員会性格から考えましても妥当でないと考えております。例えば今後地方公務員制度等につきまして、或いは行政区画の問題につきまして、或いは国と地方との事務の再配分というようなものにつきまして、更に又それ以外の地方自治法に基きまする総理大臣の地方団体に対するいろいろな仕事がございます。そうしたものがやはり地方財政委員会のような独立性を持たして置かなければならん機関に担当せしめるよりも、総理大臣の機関として地方自治庁を残しておいた方がよかろうと考えております。
  33. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 それからもう一つの点は、一般的に言つて予算の、地方財政だけじやないのですが、国の予算についてもですが、予算の編成権を総理庁の方で握る、こういう考え方を持つておられるようですが、これはどうなんですか。それも一つの現れですか。
  34. 本多市郎

    ○国務大臣(本多市郎君) 只今予算の編成権とおつしやいましたのは、平衡交付金のことでしようか、それとも地方財政……
  35. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 一般の予算、国の予算も含めて……
  36. 本多市郎

    ○国務大臣(本多市郎君) これは今後研究すべき問題と考えております。行政制度審議会におきまして、そういう意味の答申がございました。この予算は、やはり現業を持たない独立した立場にある官庁が、予算のみに関係あることを專管せしめた方が、予算の編成が公正に行くのではなかろうか、殊に国税庁との関係でありますが、予算を立て得る立場と、そうして税金を取り立てる立場というようなものは、一人の大蔵大臣という機関に担当せしむるよりも、独立した別々な立場で担当された方がいいのではないか。大蔵省は今日この予算以外の各省と同じような性格仕事を沢山にやつておるのでございますから、そうしたところでは結局同じ大臣でありますと、そこに外の省の予算との間に均衡という点についても考えなければならん場合ができて来るのではないかというような、いろいろな観点から行政制度審議会において答申されたのでありまして、これについては今後政府といたしましても研究をいたしたいと考えております。
  37. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 この第三條ですね、「地方財政平衡交付金総額見積り」ということがここに書いてございますが、今まで一番、現在の自治庁においても、前の財政委員会でも、その最も欠点は、前の配付税をやはり国が決める点にあつたと思うのです。ところが今の提案理由説明では、非常に強力な機関を作る必要があるということを述べておるにも拘わらず、依然として財政平衡交付金については、単に総額を見積つて決定は国、即ち大蔵省が決定して、ただその決定した額を各府県に見積り交付するという、その権限だけ書いてあるのですが、その点は十五條と関連して、十五條の二項にある規定は、平衡交付金の金額について国とこ財政委員会が違つた金額の場合に、二項を適用して国会に両方出すのですか。それをお伺いしたいと思います。
  38. 本多市郎

    ○国務大臣(本多市郎君) お話の通りでございます。両方を出しまして、大蔵大臣は平衡交付金決定する権限は勿論ありません。両方を、政府の閣議で決定した意見と、地方財政委員会意見と両方を国会に提出するということになると思います。
  39. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今の大臣の、大蔵大臣が一方的に決めるのではなく閣議において決定すると言われるけれども、それは同じことであつて、国が決定するということは大蔵大臣がその権限を持つているのであつて、それが非常に、私は過去において非常にまずい点であつて、現に昨年の、二十四年度の配付税のうちには、単行法でその率を決めたにも拘わらず、池田大蔵大臣が一方的に、非合法的に、一つも理由がない、単行法で決めた率を破る何もない。法律を破つてまで、半分に削つて出した。そういう実例があるのであつて、その最も欠点たるところを、なぜここに補わなかつたかと思うのです。この第三條の第一項に、単に交付金総額を見積つただけであつて、それが国のいわゆる大蔵省の、大蔵大臣と意見を異にした場合は、十五條によつて両方を、理由を附して国会に出す、こういうふうなことは先程波田野委員も言われましたが、国会も甚だ迷惑であるのみならず、そういうような総額から、例えば地方財政においてはその平衡交付金総額が決まらなければ、外の税收入や何かの額の決めようがないと思う。実際の場合を考えた場合、国会審議によつてその中心である平衡交付金の額を両方出して、国会審議を仰ぐということになれば、地方財政総額というものに、全部が、両方の金額が違うのですから、地方財政全般に亘つて通り出すということになつて、実際にはなかなか容易ならざることができると思うのです。のみならず例えば今回のように非常にこういうふうな法案を遅く出したような場合には、両方の金額が違つておつたら、地方税の收入額なんか決定することが最後までできないと思うのです。そういうふうな欠点が今日まであつたのですから、この強力な、提案理由における利益擁護機関、強力なそういうふうなことを言われるならば、最も欠点であつたその地方財政平衡交付金総額を見積るのみならず、それを例えば大蔵省の同意を得て決定する、そういうふうな文句を入れてやるならばいいけれども、これを単に第三條の一項を見ても、総額を見積つて決定権のことを省いて、結果のその決定権に基いて交付する、交付金の額を決定するというふうな、実に最も重要なところが拔けておるのですね、依然として……今いろいろ大臣が説明されるけれども、そこは私大臣が一番よく知つておられる通り財政平衡交付金決定権はないということですよ。ですからそれをやはり国の財政との調整ということがあるから、こういう際に大蔵大臣の同意を得て決定し、そういう文句がここに入れば、非常に従事の最も欠点だつたところは是正されるのみならず、強力なものになると思うのです。では十五條の二項に、違つた場合は両方の意見を附して国会に出すというふうなことは、極めて責任を回避したやり方と思うのです。そういうふうな点、これはもう一番癌だつたのですから、単行法で配付税の率を決めても、御承知の通り吉田内閣の大蔵大臣はそいつをぶち破つて、何らの法律を、決つた額を変更する理由は、合法的な理由は何らなかつた。それを一方的に国の犠牲において国家財政調整というふうなそういうふうな抽象的な理由からだけでですよ、あれを半分に切つたじやないですか。そういうふうなことがあるのですから、依然としてそれがここに欠けておるということは意味がないと思うのです。その点について一つ大臣の意見を、はつきりした意見を承わりたい。
  40. 本多市郎

    ○国務大臣(本多市郎君) どういうことをお考えになつて御質問になつておりますのでありますか。お話のようなことは全く却つて不合理になるのではないかと私感ずるのでございます。大蔵大臣の同意を得れば平衡交付金の額が決定するなどということは、こういうことは誠にどういう観点から言われますか。この平衡交付金の金額は、総予算と一緒に提案するのであります、その時期に……そして国会がこれを決定されるのでありまして、大蔵大臣を含む政府といたしましては、平衡交付金の額について政府の妥当と思うところを予算に計上して提案するでありましよう。併しこれと地方財政委員会の要請額とが相違する場合、地方財政委員会はその要請額を国会意見として提出することができる。政府も又予算案にその地方財政委員会の主張を附記して出さなければならない、こういうことにいたしまして、どこまでもこの国会が、意見の合わない場合の調整国会によつて決して貰うことにしたい。これによつて初めて地方団体交付金額に対する意見というものは、国会で最終決定をして頂きますまで、これを明らかにして御審議を願うことができる。これを仮にそういう方法によりませんで、どこまでも予算編成前に、この交付金だけを決定できるということになりますと、予算に対する国会審議権がその範囲においてはなくなるということにもなりまするし、又大蔵大臣の決定によつて平衡交付金が大蔵大臣の同意によつて決まるとかいうことにいたしますと、その大蔵大臣が果して国会で考えられておる程度、或いは地方自治体の実情から見て適当である額を考えて呉れるかどうか、意見の相違する場合があろうと思うのでありまして、只今のようなことは却つて従来の弊害として指摘されたその弊害を助長することになると考えております。
  41. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 それでは今の大臣のお考えで行きますれば、やはり今後は地方財政平衡交付金の額は、常に両方の立場が二通り出て、その決定権は常に国会が持つという、実際の場合にはそうなるのですか。
  42. 本多市郎

    ○国務大臣(本多市郎君) 実際の場合には政府といたしましても、地方に対して妥当な平衡交付金を交付したいということで努力するのでありまするし、又地方財政委員会といたしましても、国の財政を無視して極端な主張をされるとは考えません。でありますから実際の問題といたしましては、その間の調整は付くのが通常の状態であろうと存じます。併し付かない場合も考えなければなりませんので、付かない場合にはそういうような手続をすることになると思います。
  43. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 それじや今の、さつきの大臣の言われたのは一向に分らんじやないですか。付くのが普通であるというのでしよう。だからそういうふうにどつちか押されて、そうして一応の額を決めて、そうして現在の二十五年度の予算のごとく千五十億なら千五十億と決めてそうして出す。その決定は私が質問したのは、それは非常に妙な考えであるとおつしやる。国会には両方の……一方に決めて出せば国会審議権を侵すようなことになるというのですが、実際には二通り出すのじやないですか。大蔵大臣と協議の上で決定してやはり各一般の予算の中に、財政交付金という額を決定して出す、大体そういうふうになる。その点についてここに明確に書いてないじやありませんか。実際にはそれだけこの財政委員会が、実際に財政委員会と雖も国家財政を無視してそういうものを決定することは常識上考えられないじやないですか。実際にそういうふうな決定をここでする権限があれば一番いいのです。尚且つそれで一応決定して国会に提出して、それで予算審議を受ける。それで不適当な場合は勿論修正するのです。実際にはそういうことになつて、先程妙な考えであると言われるけれども、一つも妙な考えではない。従来そういうような非常に欠点があつた。尚且つ強力な擁護機関と言うけれども、一つも強力でなく、単に総額を見積つて決定権は外にあつて、ここに書いてある通りじやないですか。決定権はどこにあるのですか。ここには明瞭じやないです。一応やはり今あなたが言われた通り、普通の場合には一応一本の金額を出して、そうして国会に提出するのが当り前です。どうもその点は大臣の言われることの方が一向に分らない。その点どうですか、もう一度言つて下さい。
  44. 本多市郎

    ○国務大臣(本多市郎君) これはどういう制度を設けた方が地方自治体の財政的の立場の擁護ができるかということに対しての意見の相違であると思います。我々といたしましては、従来の配付税の配付についても、自治委員会等の決定が、閣議の決定によつてそこで全然もうそれ以上に発展できないという立場にあつたものが、更に国会までもその主張を明らかにいたしまして、国会決定を待つということによりまして、従来よりもこれで自財体の主張がより強く主張され得ることと考えております。
  45. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 内閣委員の方の御質問を願いたいと思います。
  46. 三好始

    ○三好始君 地方自治庁との関係につきまして、内閣委員長の方からいろいろ御質疑がありましたが、念のために私の方からももう一点、もう少しはつきりお伺いいたしたいと思うのであります。それは第十一條によりますと、「委員会は、その所挙する事務について、法律若しくは政令規定実施するため、又は法律若しくは政令の特別の委任に基いて、地方財政委員会規則を制定することができる。」こういう規定がありますが、その規定そのものは極めて明確であります。ところが改正案による地方自治庁設置法第三條第五号では、地方自治庁地方財政に関する権限の一部を留保しておるわけであります。即ち「地方公共団体の行政及び財政並びに地方公共団体職員に関する制度について企画し、及び法令案立案すること。」こういう規定地方自治庁の所挙事務の中に残されておるわけでありますが、地方自治庁に残されておる第三條第五号の規定は、その限界は必ずしも明確ではないのであります。財政に関する制度について企画し、ということは極めて包括的の表現でありまして、「及び法令案立案すること。」という法令案ということも、必ずしも法律及び政令に限定されるというふうにも考えられぬのであります。そういたしますと、この両者の所挙事務の限界が明確であるかどうかについては、法律の解釈上はつきりしない点があると思うのでありますが、政府の方ではこの限界をどういうふうにお考えになつておりますか。念のためにもう一度はつきり御答弁を願いたいと思うのであります。
  47. 本多市郎

    ○国務大臣(本多市郎君) 地方財政委員会で、規則で定められなければならないものは大体その根拠が法律に現わしてございます。そうした以外のことにつきましては、地方財政委員会規則を以て定めると、地方財政委員会の所挙事務は最前も申上げました通りに、この地方税法上の、法律上定められた仕事平衡交付金法に基くところの仕事、こういうものを独立した性格の官庁でもございますので、そうしたものに限定して、やはり従来の総理大臣が自治法上その他やらなければなりませんところのものは、地方自治庁でやらせるということが妥当であると考えておる次第でございます。法令等につきましてはこれは地方自治庁がやる。それで地方財政委員会においては、その法令及びみずから定めた地方財政委員会規則に基いて仕事をやつて行く、この範囲は極めて明確であると考えております。
  48. 三好始

    ○三好始君 それでは地方自治庁設置法第三條第五号の「地方公共団体の行政及び財政並びに地方公共団体職員に関する制度について企画し、」ということは、法律及び政令に関する企画に限定されるものと解釈していいわけでございますか。
  49. 本多市郎

    ○国務大臣(本多市郎君) 只今の意味は、法律政令に関する企画、これは勿論含むのでありますが、その他にも政府として必要な地方団体調査等もやりますので、そういうことも含むと思います。
  50. 三好始

    ○三好始君 そういたしますと、法律政令の企画、立案の外にも、この企画という意味が考えられているとすれば、やはり地方財政委員会との間に所挙所務の限界がはつきりしない点が起りはしないかと、こういうふうに考えるわけでございます。
  51. 本多市郎

    ○国務大臣(本多市郎君) 御疑念の趣旨は、地方財政委員会においても、財政状況等の調査、企画等もやる。それから地方自治庁においても、やはり財政関係法令の企画等のためには同じような仕事をやることになりはしないかという点だろうと思います。これは確かにその点は一部重複の感があるのでございます。地方財政委員において、財政調整のためには常にそうした調査が必要だろうと思いますし、又地方自治庁におきましても、やはり地方財政委員という独立した機関でなく、総理大臣の補助事務といたしまして、そうしたことは常に皆調査をしていなければならんと思います。それでは実際にこの財政制度等に関する立案をやる場合にはどうするか、これは勿論地方財政委員会研究調査を、十分その意見を徴しましてまとめて行くということになると思います。この点において多少重複をするということは止むを得ないことではないかと思います。
  52. 三好始

    ○三好始君 それでは地方自治庁設置法第三條第五号で使われておる企画という表現は、地方財政委員会設置法第十一條地方財政委員会規則の制定等には全然触れないものと解釈していいのですか。
  53. 本多市郎

    ○国務大臣(本多市郎君) その通りでございます。
  54. 三好始

    ○三好始君 小さな問題ですが、もう一つお伺いいたしたいと思います。それは第三條で第一項第一号に「地方公共団体財政運営に関し助言すること。」という表現が使われておりますし、第二号でも「地方公共団体税制運営に関し助言すること。」こういうふうに助言という表現がその外にも数ケ所使われております。ここで使われておる助言という言葉は、どういう法律的な効果を持つておるのかお伺いいたしたいと思います。
  55. 荻田保

    政府委員(萩田保君) これはいわゆる新らしい地方自治制度ができましてから監督権というようなものが中央政府に非常に少くなりまして、法律で限られた場合だけにつきまして法律的効果の決定ができるわけでありまして、それ以外につきましては、いわゆる助言という言葉で、表現されておるのでございまして、このような財政運営をやつたらよろしいでしようという趣旨で、地方団体なりに勧告するわけでございます。でそれを取ろうと取るまいと、その地方団体の自由意思であつて、ただ地方財政委員会として、こういうことが適当でありましようということを助言する程度でございます。
  56. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 外に内閣委員の方はございませんか。それでは法務総裁が見えておりますから、私から法務総裁にお尋ねをいたして置きたい。それは地方行政委員会におきまして、第六国会において地方行政調査委員会設置法案を審議をいたしましたときに、その会議国家行政組織法第八條第一項の規定に基いて、臨時に総理府機関として設置するという規定が第二條に設けられてある。それでこれまでこの総理府のいろいろの機関で「内閣総理大臣所轄の下に」とか、「内閣所轄の下に」とか、「機関として」とか、又「外局として」とか、いろいろの表現がしてある。そこでこの前国家公安委員会、これは「内閣総理大臣所轄の下に」と、こうあるのですが、この内閣総理大臣国家公安委員会の指揮監督の問題で大きな問題が起つたことがある。そういうことからこの「総理府機関として」というのは、どういう意味かという御質問を展開いたしましたところが、それは日本学術会議が「内閣総理大臣所轄の下に」と書いてあるのと同様の意味であつて、いずれにしても内閣総理大臣とこ機関との関係が薄いものである。こういう御説明がありましたときに、国家行政組織法ができた以後は「所轄の下に」という言葉は使わないようにするつもりである。だからこの地方行政調査委員会議については「総理府機関として」という言葉を用いた、こういう御答弁がありました。これは速記録にも載つております。ところがこの地方財政委員会設置法案におきましては、その第二條に「内閣総理大臣所轄の下に」という又元の字句が用いられておるのであります。これはどういう意味であるか、それを伺つて置きたい。
  57. 殖田俊吉

    ○国務大臣(殖田俊吉君) 誠に御尤もなお尋ねでございます。先般の議会で私がその通りにお答えをしたのであります。最近では、そのときにも申上げたのでありまするが、行政機関性格を表わします言葉としましては、「外局」であるとか或いは「附属機関」という言葉を用いるのを原則に立てていたのであります。今でもそうであります。それ以外の言葉は余り使いたくないというのが方針でございます。ところが特別の事情のあります場合には、どうも又特別な表現をしなければならん場合が生じて参りまして、今度のこの委員会の特別の表現は、実質は無論外局である。実質は外局でありまするけれども、総理大臣との関係におきまして、独立性が極めて強いということはもう御承知の通りであります。これをその独立性の強いところを表わすために、又止むを得ず元の、もう成るべくならやめたいその表現を、又用いざるを得なかつたのでありまして、さように御了承願います。
  58. 岡本愛祐

    委員会岡本愛祐君) そこで、そういたしますと、私共が地方行政調査委員会設置法案を審議いたしますときに、その地方行政調査委員会議のごとき、国会勧告するような機関は、やはり「内閣総理大臣所轄の下に」という字句を使つた方がいいじやないか。つまり「外局」とか、それから「附属機関」とか、「機関」とか、そういう言葉を使うことは、指揮監督の関係において強いようにとるのが当然であるから、だから監督機関のごときは、国家公安委員会と同じように、「総理大臣の所轄の下に」とある方が尤もじやないかという一つの意見を出したのでありますが、そのときは「内閣総理大臣所轄の下に」とあるのと、「総理府機関として」とうるのは同じだと、こういうことゐ御解釈があつたものですから、それはそういうことならそれでいいということでそのままにしたのでありますが、結局その地方行政調査委員会議の方も、「内閣総理大臣所轄の下に」とある方がいいという結論になりそうですが、如何ですか。
  59. 殖田俊吉

    ○国務大臣(殖田俊吉君) 御尤なお考えであります。私共は成るべくならこの表現を使いたくないのでありまして、「外局」、「附属機関」、「機関」というような言葉で表現をしたいのであります。その方が総理大臣の責任の明らかにするゆえんであると思うのであります。併し具体的の場合に臨みまして、必ずしもそのプリンシプルが徹底できない場合が生じておるのでありまして、止むを得ずそのような表現を使つております。成る程、お話のごとく総括いたしまして、政府に対して勧告をするというような場合には、そういう機関については特にかような表現を用いた方がいいじやないかというお考えも成る程御尤もであります。将来その点につきましてもよく一つ考究いたしまして、適当に処置をするように取計らいたいと思います。
  60. 岡本愛祐

    委員会岡本愛祐君) 外に内閣委員の方で御質問ございませんか。
  61. 門屋盛一

    ○門屋盛一君 これはもうこの審査はこれ一回きりになるのですか。もう一回あるならここらで止めて貰いたいと思います。
  62. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 大体この一回にお願いしたいと思つております。
  63. 門屋盛一

    ○門屋盛一君 若しこれ一回でしたら、内閣委員長に私これは今朝貰つたんですから、だから委員外議員として一応地方行政委員会に質問いたしたいと思います。それを今一応地方行政委員長から確認を受けて……
  64. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 今の岡本委員長と殖田法務総裁との御答弁に関連して、多少意見になりますが、申上げて御参考にして頂けば大変結構だと思います。そういうことが行の地方行政調査委員会設置法案が出ましたときに、私も申上げたのでありますが、岡本委員長の主張の中に、国会に対して、或いは政府に対して勧告するような強力な機関については、「所轄」というような言辞を使うことでいいのであつて、「外局」というような言葉は非常に不適当であることが今問題になりまして、殖田法務総裁も研究して見るというような言葉でありましたが、これも言つたことでありますが、「勧告」という言葉がアメリカのレコンメンデイーシヨンの訳語として使われておる。ところがレコンメンデイーシヨンという言葉を「勧告」と日本語に訳しているために、何か強力なアドバイスとして上から下に対して何かものを言わすような感じを日本語は与えておるのでありますが、レコンメンデイーシヨンというのは、例えば誰々を使用人として使つて下さいというようなことを推薦するという意味なんで、その節も言つたことでありますが、昔浮田和民博士がグツドノーの行政法を翻訳せられたときにレコンメンデイーシヨンという言葉を「推告」と訳しておられる。その推告という言葉をこれはレコンメンデイーシヨンの訳語として用いますというと、非常に感じが違つて来るんじやないかと思うので、今「勧告」という言葉が人事院の勧告等を中心として非常に大きな政治問題になつて来ていると思いますが、そういう点を一つ政府の方でも御考慮になる必要があるんじやないかと思いますので、レコンメンデイーシヨンという言葉を、日本語に翻訳されておる「勧告」という法律上の用語として、その間に外面上の錯覚を来たしておるんじやないかということを感ずることを先般も言つたのでありますが、今の御両者との問題に関連して特にそれを痛感するような次第であります。我々も研究して見たいと思いますが……
  65. 殖田俊吉

    ○国務大臣(殖田俊吉君) どうもレコンメンデイーシヨンだケでございません。いろいろな言葉に随分それがあるようでございます。余程注意をしなければいかんと考えております。
  66. 三好始

    ○三好始君 先程委員長のお尋ねになつた問題に関連いたしまして、内閣委員の立場から簡単な問題ですけれども、一点だけお尋ねいたしたいと思います。それは第二條規定の仕方の問題であります。国家行政組織法が施行されて以来の設置法は、例外なく国家行政組織法にその根拠をその條文の上で表わしてあるのであります。例えて申しますと総理府設置法の第二條では「国家行政組織法第三條第二項の規定に基いて、総理府設置する。」又外務省設置法を例に取りますと、やはり「国家行政組織の第三條第二項の規定に基いて、外務省を設置する。」、こういうふうに国家行政組織法第三條の根拠を持つことを設置法自信で明らかにしておるのであります。その国家行政組織法第三條第二項と申しますのは、こういう規定なつております。「国の行政機関組織は、この法律でこれを定めるものとする。」それで第二項に「行政組織のため置かれる国の行政機関は、府、省、委員会及び庁とし、」云々とあります。こういうふうに委員会の根拠がやはり第三條第二項に明示されておるわけであります。それにも拘わらず、他の設置法規定の例を破つて、今回の地方財政委員会設置法に限つて国家行政組織法との関連を何ら示すことなく、単に内閣総理大臣所轄の下に、地方財政委員会設置する。」という表現になつております。これはやはり他の設置法に倣つて国家行政組織法との関連を明示して置くのが適当でないかと思うのでありますが、これに対する法務総裁の御意見を承わりたいと思うのであります。
  67. 殖田俊吉

    ○国務大臣(殖田俊吉君) その通りであります。成るべく外の機関と同じに只今の表現の仕方を希望したのであります。併しながら先程申上げましたように総理大臣との関係政府との関係を成るべく稀薄ならしめるという、やはり考えがここへ働きまして、そうして普通の行政機関とは違つた表現をした方がよかろうということで出しました。実質においては変りはない筈であります。ただ表現の仕方がさようになつておりまして、これによりまして総理大臣の所轄とするといつたあの心持をここで表わしておる、こういうつもりであります。
  68. 三好始

    ○三好始君 これ以上は見解の相違になりますから、重ねてお尋ねはいたしませんが、地方財政委員会が、実質上は国家行政組織法第三條第二項にいわれておる委員会であるといたしますならば、国家行政組織法の性格は行政機関全般を通ずる基本的な法規としてのものである以上、やはりその関連を第二條において示すべきものだと私は考えるのであります。
  69. 鈴木直人

    鈴木直人君 今の問題ですが、この場合警察法の中にも「内閣総理大臣所轄の下に国家公安委員会を置く」というふうなことがありまして、これが行政組織法が制定される前の規定であつたのであります。ところがこの「所轄の下に」ということが、果して何といいますか、命令系統が加味されるものであるか、或いは国家行政組織の単なる行政組織としてどこに附属するか、いわゆる新らしい行政組織法の第三條第二項の規定に基いてどこに所轄されるものであるか、どこの管轄に属するものであるという意味であるかという点については実は曖昧な点があつたのであります。そこでこの「内閣総理大臣所轄の下に」というふうになつておるからして、国家公安委員会に対しては、どうも指揮命令権があるがごとき誤まつた考え方が漠然と起きて来たわけです。そこで我々はこれをはつきりする意味において、何回も委員会において質問をして、「所轄の下に」というのは、何も指揮命令権というようなものではなくして、国家行政組織法の第三條第二項に、総理府に属する機関であるのだ、こういうことをただ行政組織法として規定される言葉に過ぎないのだ、こういうことであつた。それならばこの曖昧な「所轄の下に」というような言葉はやめて、そうして第三條第二項の規定に基いて、「総理府外局として」、或いは「機関として」、というような言葉を使う方がはつきりするということを何回を申上げておつたのですよ。今の大臣の説明によると、「所轄の下に」というのは、何だか指揮命令でもないが漠然と含まれておるような何だか少し曖昧な考え方を持つておられるようですが、どこまでもこれは第三條第二項の行政機関に過ぎないのだということをはつきりして置く必要があるので、この「所轄の下に」という言葉は使わなかつた方がよかつたと私は思うものです。どこまでもこれはそういう言葉は使うべきものじやない、こういうふうに考えております。
  70. 殖田俊吉

    ○国務大臣(殖田俊吉君) 「所轄の下に」という言葉も使わない、全然政府を離れて別なものであるように見るのもこれはいけない、行政の責任は総理大臣にある、如何なる機関が行政を行うとも、やはり責任は総理大臣にある、こういうことであるのであります。これは所轄の下にという言葉があつて然るべきであつて、アメリカにおきましては、聞くところによりますれば、独立しておるとか、独立しておらんということは大した実際上の運用では問題でなくて、独立しておる筈の委員会でも政府と協調しておるそうでありまして、自然に政府意思がその機関に伝達され、その機関政府意思通りに動いておるそうであります。日本ではややともいたしますと、ちよつとはつきり書いてないと政府外の政府であるかのような心持になりまして、或いは政府に反抗し、政府意思と反することを決定することがその機関任務であるかのような誤解を与えることもあるのでありまして、私はその点を懸念いたしまして、何とか調和のとれる言葉で表現したいと、それはその一つの努力の現われであるのです。
  71. 鈴木直人

    鈴木直人君 それについて、今の答弁は私の質問とちよつと違つている答弁なんですが、私は政府機関なり委員会は、総理大臣、政府意見を酌んでやらなければならないということは、これは明らかであります。設置するという設置法に関しては、その「所轄の下に」というような言葉は使わない方がよい。設置法としては、これはやはり第三條第二項の規定に基いて何々に所属するというように、設置するという場合には、第二條のような規定の場合には、行政組織法の第三條第二項に基いて置くのだというふうな規定の方がよい。私はこういうことを申上げているのです。そうして地方財政委員会設置法の他の條文において、総理大臣とどういう関係を持つか、或いは何大臣とどういう関係を持つか、それは明らかに法律内容として規定さるべきものなんである。尤も総理大臣が直接指揮しなければならないという條項章あるならば、他の條項においてそういう條項を規定すればいいのであります。ただ設置する場合に、「所轄の下に」というような曖昧な言葉を使わない方がよろしいということを私は言つておるのであります。
  72. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは今日はこれにて散会いたします。明日は午前十時より連合委員会を開きます。    午後零時三十五分散会  出席者は左の通り。   地方行政委員    委員長     岡本 愛祐君    理事            波多野 鼎君            堀  末治君            竹中 七郎君    委員            吉川末次郎君            黒川 武雄君            山田 佐一君            岩木 哲夫君            林屋亀次郎君            西郷吉之助君            島村 軍次君            鈴木 直人君            濱田 寅藏君   内閣委員    委員長     河井 彌八君    理事            カニエ邦彦君            門屋 盛一君    委員            梅津 錦一君            城  義臣君            伊達源一郎君            三好  始君   国務大臣    法 務 総 裁 殖田 俊吉君    国 務 大 臣 本多 市郎君   政府委員    地方自治政務次    官       小野  哲君    地方自治庁次長 荻田  保君    総理府事務官兼    法務府事務官    (地方自治庁連    絡行政部長法制    意見総務室    主幹)     高辻 正己君    法務府事務官    (法制意見総務    室第二局長)  林  修二君