運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1950-04-11 第7回国会 参議院 地方行政・大蔵連合委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月十一日(火曜日)    午後一時三十三分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○地方税法案内閣送付)   —————————————
  2. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) これより地方行政大蔵連合委員会を開会いたします。昨日に引続き御質疑をお願いいたします。
  3. 森下政一

    森下政一君 委員長どうでしよう、人数が少いのですから答弁をして貰う方も腰掛けたままやつて貰い、質問する方も腰掛けてやつた方がいいのじやないですか。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  4. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) そうやつて頂きましよう
  5. 森下政一

    森下政一君 一番最初にお尋ねしたいのですが、今度の地方税制改正で、従来この地方住民ひとり地方税負担するだけでなしに、寄附その他の名目で相当負担をしている、これを今度の税制改正ではそういつたものを、従来地方住民負担しているのを地方税の中に吸收してしまうというような御意図もあるように発表されておるのを承知しておるのでありますが、大体確か三百億ぐらいの負担をしているというよう推定が行われている。その推定根拠になつておるのは一体なんであつたか、何を根拠に大体それぐらいの負担をしておるか。
  6. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) これはシャウプ使節団が詳細に調査されまして、大体四百億程度寄附金があつたという報告に基きまして、その計算推定の内容もございますので、政府も大体そのくらいあつたのだろうと賛成をしておる次第でございますが、今回の地方税制改正は、それを税の方へそういう金額を移行させるという建前にはなつておりません。併し税制の枠が四百億ぐらいに拡がりますから、かなり無理な寄付金を集めていたと思われますので、そうした無理をしなくても財源が賄えるという点から、そういう寄附がまあ四百億と見込まれたものが百億ぐらいに、三百億の寄附という無理なものはなくなるだろう、こういう一応の見込シャウプ氏も立てておりますし、我々もそういうものではないかと思つておりますが、従来の寄附を今度の税制の方へ移行させるという建前は取つておらないのであります。その寄附を四百億と推定した根拠につきましては、政府委員から御説明をいたします。
  7. 荻田保

    政府委員荻田保君) 二十二年度におきまする寄附金の額を調べたのがあるのでございますが、これに対しましてその後の物価の倍数、或いは大体寄付そのものが六・三制の建築とか警察とかいうような問題でございますので、その方から来まする倍数と申しますか、そういうところを推定いたしまして、大体四百億ぐらいだろうという数字を出しておつたような次第であります。
  8. 森下政一

    森下政一君 只今本多国務相の御説明を聽きますと、そういつた従来の寄附金というものを地方税の方に移行させようという意図政府は持つていない、こういうお話ですが、政府がしばしば租税負担について説明しておるところによると、国税で大体七百億ぐらいの減税をする、二十五年度において……、ところで地方税の方が相当増徴されるということになると、負担は減らないことになるのじやないかという質問に対して、地方税の方が四百四十億ですか、という枠があるが、従つて増徴にはなるけれども、従来地方住民寄附負担しておるものが相当あるのだから、それらのものを何ぼか地方税の方に吸收してしまうということになれば、負担の面においてはそう大した増徴にはならない。それどころじやない、やはり終局において減税である、負担が軽くなるのであるということをこれまで説明されたのを聽いているのですが、だから寄付でこれまで負担しておつたものが、今度の地方税制改正によつて税收入によつて地方財政というものが賄えるという基本的な強固な財源を、国家の收入とは截然区別せしめるというところに、これまで財源が乏しかつたから寄附を募らなければならなかつたのが、その必要がなくなる、こういうふうに一般の国民が了承しているように思うのですが、只今本多国務相お話ように、寄附金負担しておつたものを、そういうことをさせないで地方税の方に吸收する、そうして地方財源を強固ならしむるというような意図は別に持つていないのだというふうに聞えたのですが、それはどうなんですか。
  9. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 地方財政計画は、今のお話通り寄附金に頼らなくてもこれだけの税を取れば標準財政費は賄えるという計画になつております。私が最前申上げましたのはこの税法としてはどこまでも四百億の増税という建前でこれは立案しているのでございまして、今までの寄附があつたからその寄附に代るものだと、だから国民負担はそれだけまあ寄附金と差引になるものだ、だから増税にはならんというよう説明はいたしておらんという意味でありまして、事実においては、併しこの税の枠の拡大によりまして標準財政費を賄うのには寄附金に頼らなくても賄えるという建前を取つておりますから減少するだろうと存じます。併しこれは税と違つて任意寄附現象でありますから、財政計画はどこまでもこの税收入を土台として立てております。でありますからお話通りになるかと思つております。これを半面又寄附もやはり地方民負担であつた、だから負担の面から考えますと、その寄附金の三百億減少するものとすれば三百億ぐらいの負担軽減ということは言えるわけでありますけれども、財政計画としては、お話通り税によつて寄附なしで標準財政需要は満たせるという建前を取つております。
  10. 森下政一

    森下政一君 私は、これは河野主計局長が書いたものだと思うんですが、週報か何かに出しておる二十五年度予算の解説を見てみますと、やはり地方民が従来寄附負担しておつたようなものがある、それらのものが今度地方税の方に吸收されるということになれば、負担は決して重くならないという解説があつたと思うんですが、やはり政府の中にもそういうふうな解説をしておられる向もある。それは私は決して惡いこつちやないと思う。若し三百億程の寄附をこれまで地方民負担している、今度税制が新たに確立されることによつて、そういつた寄附なんかは必要なくなるものだということなら、これは一応納得の行くことだと思う。そこでやれ警察署庁舍を新らしく建てるから寄附を貰えないか、或いは六・三制の寄附だとかいろいろなことを言うて来る、そういつたものに対して、これはもう地方財政基礎が強固になつた筈だから一々従来の寄附を、これはもうお断りしますという態度地方住民が取つて然るべきですが、それよりも更に積極的に政府がそういつた寄附を募ることは芳しくない、これあつてこそこういう地方税制改正が行われれば地方財源相当強固になると思います。その財政範囲外でやらなくても賄える範囲内においてもう庁舍建築も何もかもやるべきであつて、従来同様の、税制改正が行われた後においても寄附を勝るというようなことはよろしくない、私はそういうことはやめるべきだと思う。政府自体が各地方庁に対してそういつた態度を取つて貰うということが私は必要じやないかと思う。そういうふうな態度をお示しになる御意図があるでしようか。
  11. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) この税制が成立いたしましたならば、この税制によつて財源が拡充され、標準財政費は賄えることになつたのであるから、従来のような無理な寄附金をやらないようにということは指導いたしたいと存じております。これは実施庁としてさよう措置したいと考えておるのでございますが、それでは全然寄附を禁ずるというところまで行くかということになりますと、本当にうるわしい寄附なんかというものはこれも忌避すべき理由もございませんので、只今申上げましたよう措置は講じたいと思つております。
  12. 森下政一

    森下政一君 どれがうるわしい寄附であるかということは見解によつて、人によつて違うことになると思いますが、これまでの地方の実情では、寄附事といえば大体町内とか或いは隣保とかいうようなことで、おのずからその経済力推定された一つの割当が計算されて、例えば町内から十万円の寄附だ、どこさんはいくらというようなことで、頭から割当てて来られるというのが普通であつた、これは地方住民としては迷惑に感じているというわけですから、私は地方財政基礎が強固になつた、そういう意味において従来よりも負担がやや重くなつているということがありましても、これは私は税制改正目途としておることには賛成すべきことだと考えておるのであります。但し個々税金によつてはいろいろ批判すべき余地は多分にあると思いますけれども、方針として、目途としているところはこれは私はいい傾向だと思います。だけれどもこのことによつて従来随分いかがわしいものを先刻申しましたように、頭割に押付けられておられるというよう寄附は、積極的に政府がみずからそういうものは好ましいことじやない、やめるべきだという態度を取つて貰うということが必要なんじやないか。尤も例えば六・三制の実施のために教室が不足で困つている、これは自分の子弟を学校へ通わしている父兄としては、雨の漏るような所に或いは机、腰掛のないよう教室で教育を受けるということは忍びがたいという、子供に対する愛情に惹かれて寄附するというようなこともこれはある。そこでこれを悉く禁じてしまう必要もないと私は思いますけれども、併しどちらかといえば、そういうようなのは別に多く咎めるべきことじやないが、税務署の庁舍であるとか、警察署庁舍というものにまで寄附を押付けがましく干渉するなんということは従来とても好ましいことではなかつたと思いますので、こういうような画期的な税制改正が行われるのを契機として、むしろ地方自治庁あたりは断然そういう方針示して貰いたい、私は強く要望しておきたいと思うんです。  それから附加価値税でありますが、この事業種類によつていろいろ負担が違つて来ると思います。今度の附加価値税によりますると、非常に沢山の職員とか、或いは従業員とかいうものを雇用している所では、従来よりも相当課税対象になるものがそういつたものに拂う俸給、賃金を含むということになるわけですから、従来の事業税負担比較いたしまして、大巾な増税が予想されるのじやないかと考えられる。そうして比較的人を使うところの少いところの販売業とでも申しますか、というようなのは比較的税が軽減されるよう傾向が一般的にあるのじやないかということを考えるのですが、これはいろいろな企業によつて違うと思いまするけれども、政府の方で大体どういうふうな業種については、どれくらいの規模であれば従来の事業税比較して何倍ぐらい税を多く負担しなければならないことになるか、或いはどういうものはどれくらい軽減されるというような例示的にいろいろな場合をお掴みになつているのじやないかと思いますが、或いは参考資料として頂いておるのか分りません、それを私は目を通しかねているのかも知れませんが、概ねどういう傾向にあるのかということを御説明願いたいと思います。
  13. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) これもでき得る限りの調査をいたしまして、業種別資料も準備いたしておりますので、その影響を政府委員から御説明申上げます。
  14. 荻田保

    政府委員荻田保君) お手許に確かお配りしておきましたと思いまするが、地方財政に関する参考計数資料(2)という別表がございますが、それの十二頁に法人個人に分けまして、主要事業に対する新旧税制負担比較というのがございます。下の右隅に頁が付いておりますが、それの数字で十二頁に出ております。上の法人の部に出ておりますが、そこには拂込資本金收入金額及び利益率附加価値率をこのように推計いたしました。これにつきましてこれは事業税だけでなく一切の税の増減が出ております。事業税だけにつきましては旧税制の中の事業税の中の欄と新税制の一番初めの欄の附加価値税、これとを比較願えれば……
  15. 森下政一

    森下政一君 附加価値税でなく附加価値率ですか。
  16. 荻田保

    政府委員荻田保君) 新税制の右から五番目の欄でございます。それとこの旧税制の中の一番初めの事業税とこれと比較して下さいますと分るのでございますが、下の欄に括弧して書いてありますのが旧税制に対しまする倍数でございます。附加価値になりまして事業税の何倍になつたか、初めの物品販売業拂込資本金六十万円、その総收入金額千四百万円、利益率が大体総收入金額の四%、附加価値率は総收入金額の一一・三%、このようなものにつきましては六割六分に減るという結果になつております。ここにこのような六つの業態について書いてございます。これは大体殖えるものも相当ございます。つまり製造工業であります、電気器具製造工業、メリヤスの紡績工業印刷、こういうものは大体殖えるよう傾向になつております。それと物品販売業の初めの方で物品販売業は減るようになつております。  それから個人につきましてはここにいずれも総売上金が二百万円ある。利益率附加価値率はそれぞれ業態によつて違いますが、それの比較は出ておりますが、これは非常に減るのでございまして、二三割から、印刷業のごとき一番附加価値率の高いもの、これなども六割五分程度になつております。
  17. 木内四郎

    木内四郎君 物品販売業は六・二一ですか。
  18. 荻田保

    政府委員荻田保君) 〇・二一です。
  19. 森下政一

    森下政一君 只今説明個人の場合ですね。今木内君が六・二一じやないかと指摘されたところが〇・二一といわれましたが、それ以下は全部〇ですか。6のように見えるが全部〇ですか。かねて東京商工会議所が発表したものを新聞紙上であつたのを見たと思うのですが、某運送会社とか、某百貨店とか某保險会社、こういうのが例に引いてあつたが、それらによると従来の事業税の場合と比較すると四倍とか六倍とかいうような問題でなくして、百倍を超える、甚だしいのは三百倍に近いよう税金がかかるようなことが憂慮されるということを指摘されておるのがありましたが、そういう計数というのは如何なる場合にも起り得ないことになつておりますか。
  20. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 事業税純益課税する建前をとつておりますので、欠損であれば従来の税は事業税としては零ということになつております。又事業の大きさに拘わらず所得が非常に少いという場合には、誠に大きな営業形態であるにも拘わらず事業税が非常に少いということがあり得るわけでありまして、そうしたものを特に所得が少いために事業税負担が小さかつたというものと比較いたしますと、これは何百倍ということも例にはあるわけであります。併し原則としては、附加価値所得というものは、大体平衡する性質を持つておるものでありまして、普通の人には大体普通の減税の割合が及ぶことと存じます。この事業税地方税で取つておりました特別所得税の見合として附加価値税が考えられるのでございますが、これを総体で比較いたしますと、従来の地方税法による特別所得税を二十五年度施行したといたしますと、六百五十億の見込收入になります。それに対して附加価値税は四百十九億でございますから、全体としては軽減されるということになるわけであります。大体特定の人をとりまして従来所得がなかつたためにかかつていなかつたというような人と対照する場合には、相当開きが生じて来るわけだろうと思います。
  21. 森下政一

    森下政一君 それは大臣のおつしやる通りに損をして純益が零であつたというような場合と比較すると、これは問題にならぬ倍率が出るだろうと思います。併しおおむね例えば昨年度においてこれこれの純益があつて、それに対して従来事業税としてはこれこれを納めている、それを若し今度改正される附加価値税率を適用して、昨年同樣の利益を上げている者に対して、その利益標準としない附加価値の今度の課税の仕方によると、これこれの倍率となるというふうな例を示しているのであつて、それが極端に倍率が高いものになつている。これは如何に大企業と雖も、相当困難を感ずるのではないかということを私はそのときに感じたのですが、そういうことはあり得ませんか。
  22. 小野哲

    政府委員小野哲君) 只今森下さんの御質問に対して大臣からお答えしたのでありますが、事業税比較いたしますと、その事業種類によつて赤字経営をやつてつたというものもあり、或いは多少純益が上つているために事業税が上つている者もあつたと思うのですが、結局これを比較いたします場合の基礎なつ資料如何によつて結果が非常に変つて来るのではないか。そういうふうな点からものによりましては、今お説のよう相当額が上るものがあるように私共も想像するのでありますが、おしなべて考えますと、従来の国税である取引高税も廃止になつておりますし、又地方税としては御承知のよう事業税及び特別所得税、これらを負担しておつた筈なんでございまして、従いましてこれらを統計いたしました額に対して考えてみますると、今回の附加価値税の二十五年度の予定税收額は四百十九億という計算になつておりますので、その総額については軽減をされる。併し事業種類によつては上るものもあるし、又先程部長から説明いたしましたように必ずしも上らないで済むものもある。こういうふうになりますので、総額についての計算から見ましたのと、只今指摘になりました当該個々事業について考えてみた場合におけるその上り方というものについては、勿論多少凸凹が起つて来るということは予測に難くない、かように考えております。これは只今お話になりました百貨店の主として物品販売業では、サービスを主体としての事業についてどの程度の具体的の数字根拠なり、又いつの数字によつて計算されたということによつて相当開きが出て来るのではないか、かように考えておる次第でございます。
  23. 森下政一

    森下政一君 お互いに具体的な資料によらないので非常にそこのところは漠然としておつて、私の言うところも尤もな場合もあるでしようしあなた方のおつしやることも御尤もということになるのですが、少し今度は観点を変えて行きますと、それにしても、例えば赤字でどうにもならないというふうな企業売食いでも始めるということがあつた場合に、却つて收入が多くなつて重課されるということになるのじやないかということが考えられるのですが、そうではありませんか。
  24. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 何かいわゆるダンピングと申しますか、不況のために特に原価を割つてでも売り急ぐというような場合を予想してのお話であれば、その通りになるであろうと思います。
  25. 森下政一

    森下政一君 そうでなくとも例えばみずからの持つておる機械設備その他の一部を、操業度を短縮して行くとか何とかいうふうなことで、或いは事業規模を縮小する、そうして一部の設備をこの際犠牲にしてでも何とかして事業の継続を目論むというよう企業があるとして、従来持つておりますいろいろな資本的設備を解体して、これを売捌いて行く、これもう万策窮してよんどころなくそういう措置に出た場合、これは明らかに経営が困難に陷つたときなんですが、そういう機械設備を売つたということによつてやはり收入が上るわけなんですが、それはやはり今度の附加価値税建前から行くと、そういうものが却つて税金を多く負担しなければならないというような場合が起り得るのではないかと思いますが、これは今度の附加価値税の持つ一つの大きな欠陷じやないかと思います。純益に対して、事業利益に対して課税するということが、いろいろと御説明によると所得税とか、或いは法人税課税標準に追随するというわけで、所得に何か重課されるような印象を與えておるが、今度はそうでないという説明もあつたようですが、併しながら純益こそは、これはやはりそれぞれの負担能力というものを、経済力というものを明示する、間違いない標準だということが言い得る。併し今度の附加価値税というものは、純益のあるなしということは問わぬということになつておりますが、只今よう赤字経営企業売食で何とか露命をつないで行かなければならないという場合に、これは明らかに経済力という点に立つと、応能原則という租税の一般的な原則に立ちますと、これは力のないものに負担を掛けて行くということで、大きな不合理が生ずるのではないかと思いますが、そういう欠陷附加価値税にあると思いますがどうでしようか。
  26. 小野哲

    政府委員小野哲君) 只今具体的な例として森下さんからお示しになりましたが、例えば当該事業売食いをしなければならないという場合における売拂代金は、一応これはやはり附加価値額として中に入つて来る、こういう計算になると思います。ただその場合にこれが一時的な現像であるか、或いは事業再建整備と申しますか、合理化をするための一時的な、一つのやり方としてやつておるかどうかというふうな、いろいろ具体的な各事情が問題になるだろうと思うのでありますが、仮に赤字があつたという場合におきましては、全然この赤字を不問に付する意味でなしに、やはり赤字附加価値と申しておりますが、この措置に基いて繰越をやつて行くというような方法も、この税法では実は考えておるようなわけなのです。ただ今お話になりましたような場合が起りましたときには、附加価値額の中に一応計算されるということは申上げていいかと思います。
  27. 森下政一

    森下政一君 そこに応能原則からいうと、能力のないものに課税する現象が起つて来るのじやないですか。
  28. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) その点は一面附加価値税のやはり一つ欠陷かとも考えられます。併し地方財政の確保のためには、やはり附加価値という外形標準課税するということが、各地方団体からいろいろ企業便宜を受けておりますし、応益的な意味において必要であろうと考えるのであります。それはこの両面を勘案いたしまして、附加価値というものは原則としては純益に比例するものである、附加価値が多くなることが純益の多くなることでございますので、特殊な場合はあるかも知れませんけれども、原則的には所得附加価値は並行する、更に又その事業規模の大小によつてそれぞれその事業のあります地方団体から、いろいろな便宜を受けるわけでありますから、その便宜を受けることとも比例いたしまして、地方費負担をして行くべきである。それによつて地方財源というものは確保することができるのでありまして、無理のない程度税率で、原則としては負担を、即ち所得と並行する性質を持つておりまする附加価値課税標準として行くことが、これが妥当なことではないかと考えております。
  29. 森下政一

    森下政一君 私の指摘しております点が欠陷と言えば言えることを大臣が認められたので、これ以上は幾ら議論をしておりましても仕方のないことですから、この点はこの程度に止めますが、ただ私があいにく今日資料をちよつと持つて来ておりませんので具体的な数字を上げることができんのですが、たまたま只今指摘を受けて拜見しました頂いたおります資料によつて、従来の法人の場合、或いは個人の場合等について事業税と今度の附加価値税との負担比較がされている。たとえ負担が重くなる場合でも、そう大したものでないような例がここには示してあるが、私は直ちにこれに全幅的な信頼をすることができん。もつと多く何十倍にも或いは本倍にもなるようなものが企業によつてはあるのじやないかということを憂うるものであります。まあ負担軽減されるものもあるには違いないのですが、企業それ自体が成立つて行くであろうか、憂慮されるようなものがあるのじやないかということを、今でも考えざるを得ないわけであります。附加価値税という税金は日本が初めて試みる税金ではないのですか。
  30. 小野哲

    政府委員小野哲君) 森下さんが言われましたように、これは世界でまだ実施されておらないとシャウプ博士もさように言つております。
  31. 森下政一

    森下政一君 これは何ですか、どうしてもやらなければならんというものなのですか。
  32. 小野哲

    政府委員小野哲君) シャウプ税制報告書にもございますように、今回の地方財政を強化して行くという場合において、事業税を取るべきであるか、或いは今話題になつております附加価値税によるべきであるか、この点について結局は先程大臣からも申上げましたように、当該地方公共団体の区域内において何らかの事業をやつている場合において、警察であるとか消防、或いは衞生等の地方公共団体のサービスを受けておるという点について、結局事業の如何を問わず、原則としてこれに対して負担をするとこういうよう建前になつておるわけでありますが、事業税比較いたしますと、これ又先程からお話になつておりますよう純益基礎とするものと、今回のよう附加価値額課税標準とする場合におきまして、その間においてむしろやはり附加価値額課税標準とする方がその事業自体負担の均衡なり公平なりという点からいつても妥当であろう、又その附加価値そのものが国民所得の全体に対する附加価値であるというふうな観点から見まして、むしろこの税を取るべきであろうというふうな意味のことが書かれてあつたように記憶するのでありますが、従いまして事業税欠陷を補うと同時に、先程申しましたような理由を考えますと、地方公共団体の財政を強化して行くという方向においてこの税は妥当なものであろうと我々は考えるのであります。ただこの場合において事業税附加価値税と申しますか、これのみを比較いたしました場合においては、いろいろ御指摘になりましたような問題もあろうかと思いますが、一面国税地方税とを通じた考え方に立ちましてこれを見ますると、例えば従来ありました取引高税等も廃止になつておりますし、そういうふうな点から考えてある程度調整が出来得るのではないか。先程私からも申上げましたよう取引高税、それから事業税或いは特別所得税、これらが従来の税制になつておりましたものが今回の税制改正によつて基本的なまあ変動が起つて来ると、こういう建前からいたしまして、附加価値額課税標準とする税制は世界に類例のないものではございますが、決して実施上困難なものではなかろう、こういうふうに考えておる次第でございます。
  33. 森下政一

    森下政一君 ちよつと速記を止めて頂いて。
  34. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  35. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 速記を始めて下さい。
  36. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) これはまあ大臣をとるに越したことはないのでございますけれども、今回の地方税の改革は国税地方税を通じての改革で、この改革が裏付けになりまして国の財政計画地方財政計画ができているわけでありまして、どうしても同時に行わなければこの計画が破綻を来たすという虞れがございます。例えば今年の地方税財政計画は最前もお話申上げました通り税收その他を以て四千八百億、これに対する国家の交付金は千五十億とこう決つてしまつております。若しこの地方税制の改革ができなかつたならば、地方税制改革によつて四百億余り税で増收しなければ補填の方法がないのでございまして、市町村の財政の困難というものは、実に想像以上のものがあり大混乱になりやしないかとさえ考えられます。こうした関係からどうしても同時に実行しなければならないと思います。シャウプ博士も同時にしなければいけないものであつて一部若し実行延期したならば、この国及び地方を通じての財政計画は成立たないのであるということを言うておられますが、誠にその通りの事情になつておるのでございます。国の方はこの税制に対応する平衡交付金財政計画というものが立つているのでありまして、この点からはどうしてもやらなければならぬものになつておるということを御了承願いたいと存じます。  更に又この附加価値税の今の課税標準についてでございますが、これは日本が初めてであるということではありますけれども、併し売上げを捕えて外形課税をやつている例は相当あるのでございます。日本におきましても昔の営業税は売上げを捕えて課税標準といたしておりましたが、これは附加価値に比べましてまだはるかに担税力というものとは縁遠い課税標準であるといわなければならんと思います。仕入値の如何に拘わらず売上げを標準に取るというのでありますから、相当担税力、いわゆる純益というものとは並行性の少いものではないかということを考えられます。この売上げという外形標準を取ることは弊害がありましたために、今度は一転して事業税課税標準になつております。今度は純益というものをやはり課税標準にして行くことにいたしたのでございますが、純益では地方団体としては、その地方団体から享受される事業の応益、負担ということにどうしても又縁が遠くなつてしまう。町村内に如何に大きな工場を経営しても、そうしてそのために道路学交等のいろいろな施設も必要でありますが、それゆも拘わらず純益がなければ税金を納めないということでは応益負担の精神が全く沒却されますので、それかといつて売上げというものは負担者の所得というものとはこれは余りにその開きがあり過ぎる。これを中間に集約いたしましたのがこの附加価値でありまして、附加価値という税は即ち売上から仕入の代金を引いたその差額というものになれば、もう相当担税力というものは所得というものに並行する、近いものになつているだろうと考えられますので、この見地からやはりこの担税力の面から更に地方団体の立場からの応益負担という立場からと、両方から勘案いたしましてこの中間である附加価値というものは誠に妥当な課税標準ではあるまいか、政府もかよう解釈いたしまして全面的にとり入れている次第であります。
  37. 森下政一

    森下政一君 従来の外形標準による営業税を今たまたま比較におとりになつたが、それには優るとおつしやるが営業税はだから惡税として撤廃されたのです。それを今優つているというのはちよつと納得できないのです。純益課税が対象になつている事業税は応益的要素を含んでいない、それをカバーする方法は敢て附加価値税によらないで従来の営業税であつても、純益のみならず更に応益的な要素を地方に加えるという意味において負担するというような、そういう要素をとり入れるよう租税というものが考えられるじやないか、敢て附加価値税による必要はないのではないかと思うのですが、今まで指摘しましたようなところに大きな私は疑問を持つているわけであります。  尚今日あいにく私資料を持つておりませんので、いずれ連合委員会で方一今日打切られることになりましても、地方行政委員会で委員外の発言を求めて御質問さして頂く機会があると思います。附加価値税についてはその程度に今日は止めて置きます。  次にこの入場税でありますが、これを先年国税から地方税に移すときに大蔵当局は移したくなかつた地方に委したのではいわゆる地方の有力者の顔に免じて当然徴收すべき入場税を取らない、免税の催し物にするとか何とかいうことが頻繁に繰返されて所期する税收を上げることが恐らくできないだろうというので、当時大蔵当局はなかなか難色を示しておつたと記憶するのですが、地方税になりましてからその実績はどうなんでしよう。国がとつてつた場合と比較いたしましてどういうふうな成績を地方において上げておりますか。
  38. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 実績は国でやつていました場合に劣らない、むしろそれよりも実績はよくなつていると考えます。收入実績についてちよつと資料がありますから……
  39. 荻田保

    政府委員荻田保君) この数字的に、国税の場合と地方税の場合とどちらが多くなつたかということは非常にむつかしいのでございまして、つまり入場者の数というものが決つておりませんのですから、それに対して税が漏れなくとれたかどうかということは非常に比較しにくいのでございまするが、大体国税から地方税に移管されるときに、これくらいだろうと思つて立てました見込額よりは相当上廻つた増收が出ております。併し果してそれが徴税が強化されたから増收があつたのか、或いは入場者そのものが殖えたのか、或いは入場料金が値上になつたから税收も上つたのか、そういう関係が的確に掴めませんので、ちよつと数字的には申上げられませんけれども、ただ非常に徴税を強化いたしましたことは事実でございまして、今お話になりましたようなこの免税規定の濫用などということも殆んどございません。むしろ入場税を拂わずに無料興行というような名前で行なつておるようなものに対しましてでも徴税しているというようなことがございますし、それから納期などにつきましても国税時代には二月待つたのでございますが、これを一月にいたしたりしておりますので、そういう面におきましても決して劣つているようなことはないと考えております。
  40. 森下政一

    森下政一君 只今の御説明を承わりまして、地方税になつてから徴收実績も却つてよくなつている、それを聞いてこの点は甚だ満足に存じます。  次に遊興飲食税についてお尋ねしたいのですが、これは今日二十四年度の税收を上げるという点におきましても、各府県において相当問題を起しているように思うのです。県によつては飲食店が殆んど結束して税金不納の同盟とでもいいますか、そういう好ましからざるところの運動を起しておるものがあるとか、そういつたような強硬な態度示しているものがあるということを聞いております。又或る所では同業組合ようのものがいろいろ斡旋をして、当局に折衝をして、税金をまけて貰うようなことをやつている。当局の取立方も従来甚だ緩慢であつてどう落付くのか分らんような状態にあつたが、政府の方から督励された関係ででもあるのだろうと思いますが、年度末になつて非常に強硬な態度示し出し、それは到底負担し得ないというようなことで業者側が結束しているというような好ましくないいざこざが今日でも続いている所がある。これは私事実を承知しておるものもあるわけなんですが、もともと遊興飲食税というのは、遊興飲食した人の負担になるべきであつて業者自体負担にはならない、お客さんに転嫁される性質のものであると思うが、それを業者が納めることをし得ないというようないざこざが起つておるゆえんのものは、政府がこの税制の体系の中に遊興飲食税を加えておるのは、遊興飲食をする者に納税力があるという観点の上に立つてのことなんだが、事実はこの税金はお客さんから、遊興飲食する者から徴税されておらないということのために、業者みずからが負担をしなければならないという税金に実績においてなつているという面があるという点が、納税上のいざこざを起している根本の原因と私は思うのです。例えば政府の方々でも純喫茶の喫茶店へ行つてコーヒーをお飲みになる、そのときに遊興飲食税の負担を業者側から要請をお受けになつたというような例は恐らく私はないと思う。私自身はありません。だから若し業者がそういつた負担をお客に煩わすということになれば、そういう負担を要請しないところにお客は集まつてしまうということになつて、競争上よんどころなくお客から徴收することができないという実態に陥つていると私は思うのでありますが、そこで今日この府県当局と業者との悶着が起つていると思う。そこでこれなんかは税そのものに私はちよつと無理があると思うので、或る一定額のそう課税を細かいものまでいちいちする必要はありません、一定額のこれだけの業者に徴收せいといつても無理だと思う範囲の遊興飲食税に対しては、税を課さないということにした方が却つてよいのじやないか、或いは宿泊の料金等に対しても課税されるということになつているが、宿泊料でもいろいろの段階のあることで、そう大して遊興したとかそう豪勢な飲食をしたとかいうのでなしに、本当に常識的に商取引のために旅行するといつたようなものが純然たるその目的で宿泊しているというぐらいのものなら、例えば一泊五百円なら五百円というところに標準を置いて、それ以上の宿泊料に対しては課税しない、そういう実情に即して無理のないと思う税金にすることがよいのじやないかと私は思うのですが、政府の御所見は如何でございましようか。
  41. 荻田保

    政府委員荻田保君) おつしやいましたように確かにこの遊興飲食税の課率は非常に高いものでありますので、この徴收につきまして非常に困難を感じているのでございまして、先程の入場税と違いまして遊興飲食税の方は予定の收入を上げていないような状態でございます。まあこれにはいろいろ原因があつたと考えるのでございまするが、まあ税率の高いということにも非常に大きな原因があると考えますので、今度三分の一程度軽減を考えている次第でございます。それからおつしやいましたこの免税点につきましては、そういうことも研究したのでございまするが、これは徴税の実際に当りますと、非常にこの免税点を設定いたしますことはまぎらわしくなりまして、一つのものでも二つに分けて出せば免税になるというようなこともございますし、人数を殖やせば一人当りの金額が少くなるとかいろいろな問題が起りまして、却つて徴税の面から面白くないと考えますので、免税点の制度はとらないようにいたしておる次第であります。
  42. 森下政一

    森下政一君 一つのものでも二つに分ければ免税点以下になつて納税をする人がないということになる、そういうごまかしが行われる、これはおつしやる通り惡意の業者であればそういうこともあり得るかとも思うのでありまするが、併しながら先刻私が例に引いた一杯のコーヒーでも、この税法建前通りに行けば税金をかけることになるのじやないかと思うのでありますが、そんなことはこれは私はやめた方が却つていいのじやないかというふうに思う。そういうことでないと業者としては税をお客から取ることはできない、而も税金は納めなければならんというところに無理が生じているというふうに思うのであります。と同時に大蔵委員会で主税局長なり或いは国税庁長官を相手にして、税の徴收の面につきまして税務行政の点についていろいろ論議をしますというと、あの人達は税法によらざる税は納める必要はないということを言う、決して無理な徴税を末端に強いてはいないと言われた、それはそうだと私は思うのです。ところが末端はこの人達の心持というものを十分に酌み取つていない。そうして税の徴收を受ける側から見ますと実に乱暴極まると思うような取扱いを受けている。もとより不正直な者もあるでしようけれども、正直な者あつて何ら実績についての査定も調査も行われずして、そうして決定がされる、そうして大して税務行政に経驗も積んでいないと思われるような二十二、三の若者が出て来て、而も横柄な態度で権力を嵩にきていきなり店頭に現われて小切手を書けというようなことを言う、何の小切手ですかというと、これこれの更正決定をするから直ぐこれこれの額の小切手を書け、そういう具体的な例があつて、私は具体的な事実も上げて主税局長なり国税庁長官に話したことであつたのですが、そういうどうしても国民の側から言うと納得の行かぬところの徴税が行われる。遊興飲食税についても府県当局が業務の実態について本当に精査するということでなしに、いい加減の自分の内輪におけるところの標準ようなものを決めて、あそこはAクラス、あそこはBクラスというふうなことで勝手に査定をして、そうしてその決定に基いた徴税を強行しようとする、そこに非常な無理があつて、今日の状態を起しているのです。今度のような画期的な税制改正をされるときには、そういう無理が行われることによつて生じておる不必要な摩擦というものは、これを解消することにお努めになるということが、私は非常にいいことだと思うのでありますが、免税点のごときも一つのものを二つにすれば免税点以下のものになつて、実際納税しなければならぬものが納税をせずに済むというようなことを憂えておられるようでありますが、それも御尤だと思うけれども、これは先刻私が例に引きましたようなものなら、何とかこれは税制の建て方によつて、今度の課税標準なり或いは税率の決め方によつて解消することのできる面が確かにあると思うのでありますが、それはどうですか。そういう考えにおなりになることはできないのですか。
  43. 荻田保

    政府委員荻田保君) 免税点の問題はおつしやいましたようなことも考えられるのでございまするが、何と申しましても入場税、遊興飲食税等に対しまする課率はまだまだ高いと申しますか、相当強い税金なのでございまして、こういう際におきましては、いわゆる遊興税だけじやなくて飲食税までも取らなければならない、こういうような状態でございますので、やはりそういう場合には免税点を設けないでいいのじやないか。仮にもう少し財政状態が緩和いたしまして、いわゆる奢侈的な遊興だけの税金を取つて置いて十分だというような場合になりましたら、勿論免税点を考えて然るべきだと思うのでありますが、課率も高く範囲も広い場合には、やはり免税点を設けるのは無理じやないかと考えております。  それから個々の徴税についておつしやいましたような不祥なことがありますことは、我々としては絶対避けたいと努力しておりまするが、従来遊興飲食税につきまして非常に徴税のむずかしかつたことは、いわゆる料飲店の禁止政令があつたようなことがございますので、又それが先般廃止になつておりますがその惰性等もございまして、正直に売上額等を申告するということができにくかつたわけでございますが、今度この税率を引下げるというような機会におきまして、理想としましては絶対に本当に売上額を掴み、而もその税だけを遊興飲食者から取るという方法に持つて行きたいと考えまして、例えば証紙を発行してそれを所定の領收書に貼るという義務を負わせるというような方法によりまして、その趣旨が達成されるようにしたいと考えているのであります。
  44. 森下政一

    森下政一君 條例で領收書の発行及び証紙の使用の義務を課するのでない、課し得ることになるわけなんですね。
  45. 荻田保

    政府委員荻田保君) そうです。
  46. 森下政一

    森下政一君 必ずしもそうしなければならんわけではないのですね。
  47. 荻田保

    政府委員荻田保君) これは地方の税に対する自主性と、いろいろ特異な場合もございましようから、法律で必ず使えと言つてございませんが、條例でできるような途を開いてある程度でございます。
  48. 森下政一

    森下政一君 くどいようでありますがこの税法によると、一杯のコーヒーを飲んでも税金を納めるのが正常な道だということになるのだと私は解釈しておりますが、そうじやないのですか。
  49. 荻田保

    政府委員荻田保君) 勿論コーヒー一杯でも喫茶店で飲みます場合は税が付きます。
  50. 森下政一

    森下政一君 併し説明なさるあなたがこれまで喫茶店でお茶を飲まれて税金を納められたことがありますか。
  51. 荻田保

    政府委員荻田保君) 大体今までのやり方は税がこれだけ料金がこれだけという取り方をしておりませんので、業者が取りまする料金の中に税金が含まれているというようなことでございます。
  52. 森下政一

    森下政一君 それで五千円でコーヒーを売つて税を納めて業者の利益が本当にあるものとお考えになりますか。
  53. 荻田保

    政府委員荻田保君) これは建前としましては、税を含めて取つて、而も営業が成立つよう計算ができております。コーヒー四十円でございますが、映画も四十円程度で十五割の税金が付いておつたようなこともございますので、やはり釣合といたしましては、一杯のコーヒーと雖も喫茶店でございますと二〇%程度税金は然るべきだと考えております。
  54. 森下政一

    森下政一君 勿論二〇%程度税金を納めて損をすることはないだろうと私は思いますが、税を含めた料金なんだとあなたはおつしやるけれども、そこに一つの非常な無理があると思うのであります。だからこれらはつまり税金を課すべき範囲外のものだというような考え方にすることが、徴税上のいざこざというものをなくならしめるということになるのじやないか、どうも私はそういうように感ずるわけであります。併しこれは水掛論になりますのでこれもこの程度で今日は打切つておきたいと思います。  それから次にお伺いしたいのは、今度は市町村税の方に移りまして固定資産税でありますが、これは将来政府意図といたしましても、改正をしなければならんところがあるというふうに説明をしておいでになるわけでありまするが、この従来の賃貸価格の倍率の決め方が高過ぎるとかいうような説が今日相当行われているのでありますが、これはどういうふうなよりどころで大体今回のようなところにお決めになつたのでございますか。
  55. 荻田保

    政府委員荻田保君) 大体このシャウプ勧告でも言つておりましたように、まあ大ざつぱに賃貸価格の一千倍を以て大体時価になるという見通しの下に、その数字根拠にいたしまして五百二十億円を固定資産税で取れば、地方財政がやつて行けるという、そういう根拠で決つたわけであります。ただ一千倍という数字シャウプ勧告に示してございますが少し時価に比べて高く感じられる又それだけ取らなくても、五百二十億の收入は確保できる、こういうような見地から九百倍に政府案として決定したような次第でございます。
  56. 森下政一

    森下政一君 本多国務相が総司令部を相手に非常に努力をされてそうして遂にその素志を貫徹なさることができなかつた点の一つに、その倍率の問題があるかのごとくに新聞で承知いたしておりますが、政府はもつと倍率を低いところに決めたいという意図をお持ちになつてつたのではないのですか。
  57. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) お話通り八百倍程度にしたいという意見を最終決定に至りまする前の段階において持つてつたのでございます。この不動産の販率の八百倍というようなこういうよう倍率による計算は、直ぐにもう賃貸価格の総計が出ておりますが、ここの税は幾ら取れるか、又百倍違えばいくら違うかということが直ぐ出るが、全体の五百二十億を確保するためには、百倍下げたために減收になる分だけ償却固定資産の方の増收が確実でなければならないのでございまして、その点におきましてこの償却資産の方はいろいろ見積りの複雑なものでありまして、政府でも一応賃貸価格の八百倍にして、償却資産の方でその足らないところは殖やして見積ることができるのではないかというような意見も持つて交渉したのでありますが、結局その償却資産の方から上る税の見積りの点におきまして大蔵省、関係方面、自治庁等持寄つて協議いたしました結果、やはり予定收入を確保するためには、償却資産をそれ程多く見積ることができないから九百倍で不動産に課税する外はないだろうということに落着いたような次第でございます。
  58. 森下政一

    森下政一君 ひとり地方税のみならず国税の場合もそうなんですが、税率の決め方、或いは課税標準の決め方というものは理論的に考えると妥当でないと思う場合でも、財政需要のためによんどころなく理論からやや外れた決定をしなければならんという場合もこれは実際においてあり得るだろうと思いますが、只今の御説明では大体まあそういつた事情によるものだ、主として財政需要によるものだ、理論的には必ずしもこれが今日正常な価格とは考えない、こう了承していいわけですね。
  59. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) さようでございます。
  60. 森下政一

    森下政一君 委員長、暫く休ませて頂きますからどなたか代りの方に……
  61. 木内四郎

    木内四郎君 附加価値税につきましては只今森下委員からもいろいろ御質問がありまして、森下委員も多大の疑問を持つておられるように承知したのですが、私も昨日その点について御質問申上げたのでありますが、私の記憶に間違いがなければ、シャウプ博士もこの税制を勧告されるに当つては大いに躊躇しながら勧告をしておられたのではなかつたかというようなふうに私は感じている。而もシャウプ博士は総括的に自分はこういう勧告をするけれどもこれは日本の実情に件つておるかどうか、その他諸般の点については大いに一つ論議をして研究をして呉れというよう態度を以てあの勧告をなさつたのではないかと思うのでありますが、併し今本多国務大臣その他から伺いますと、これは非常によい税金だということをもう断定的にお決めになつているようなお答えが、今の森下委員の質問に対するお言葉でも伺えたのでありますが、私も実はこれは非常に疑問を持つておるのでありますが、御提案の趣旨によりますと、企業の活動によつて、その段階において国民所得に寄與した附加価値課税標準にされる、これは確かに一つの考え方だと思うのですが、その場合に森下委員の言われたように、企業自体が損員をしている場合に、自分は損をしながらも国民所得に寄與するというようなことがあるとすれば、これは甚だ抽象的な言い方だけれども、自分は損をしている、それが国民所得に、或いは府県、市長村の総所得に寄與をしているというようなことがあれば、我々の考え方としてもむしろそういうものは税金を免除してやつてもよいのじやないか、自分は損をしても国民には寄與している、自分は損をしておるけれどもその地方団体はそれによつて利益を得ておるのだ、こういう点も考慮に入れてもよいのじやないかと思う。さつきの本多国務大臣お話によると、地方公共団体によつて非常に利益を得ているのだから応益的に課税をしたらどうかというお話があつたのでありますが、そういう点はどうでしようか。税の根本問題として、自分は損をしている、利益はない、併しその地方の総所得には、他の人の総所得には大いに貢献している、寄與している、自分には何ら価値を増しておらなくても国民所得に寄與している……赤字があるのに必ずしも課税しなくともよいじやないか。勿論この附加価値税を設けられたのは、提案の理由にもありますように、利益に対する課税の累積の加重を避けるというのが一つの狙いであるためにこの利益標準として課税しない。その結果として自分には利益がない、併し国民所得には寄與している、これが附加価値というものが生じている、それに対して損をしておるものに課税するということは如何にも筋が通らんように思うのですが、どうですか。
  62. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 附加価値というものは、大体避けることのできない営業費が高くかかつたというような関係で、これは存立の前提條件であると考えて頂くより外になかろうかと思います。附加価値は生んだけれども損益の計算において欠損になるというような場合、附加価値を生んだというだけが社会のためになつているが自分には利益は残らないのだ、こういうときのその担税力という面につきましては、最前のお話通り、その事業の面だけを見ますと、担税力という点において応能の原則に反するような面があるのでありますけれども、一面地方自治体がそれだけの附加価値を生むについてはいろいろな経済活動の面において相当便益を與えているわけでありますから、一面地方のやはりそうしたものに対応するものだけは、事業存立の前提條件で止むを得ない営業費の増加というような観念で、これを吸收して行く外にはなかろうとこう考えます。
  63. 木内四郎

    木内四郎君 確かに今お話よう地方の便益を受けておることは事実ですが、そうであればこそ又それによつて地方の住民その他に非常に給料を拂つておるというようなことでそこに附加価値というものが出て来るから、それによつて十分にその地方に盡しているということになるのではないか、やはり税金は何といつて利益に対する累積的加重が増大してはいかんけれども、然らざる限りにおいては利益即ち負担力というものを標準にして課税するのが最も適当ではないか、かように考えております、そのためにこの前の営業税というものを改めるということが森下君も言われたようにあつたのです。それを今逆転して利益がない、負担力がないのに、それを必要経費として考えてくれと、どうも我々は十分納得が行きかねるのです。
  64. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) これは一定の財源を確保するという自治体の立場と、それからその所得に応じた、負担力が所得に並行するものとすれば所得に応じた累進課税等による所得税、これらを皆総合して考えれば、お話の趣旨に一致するのではなかろうかと思われます。所得に応じて取るものは所得税として又取る方法もございます。
  65. 木内四郎

    木内四郎君 どうも所得に応じて取るのが適当で、所得に応じない部分があることが私どうも納得できかねるのです。それであるなればこそ附加価値税は理論としてはあるけれども今日までどこの世界にも行なつている国はない、どこの世界にも行なつている国がないということは、それには相当の理由があるのではなかろうかと思うのです。
  66. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 理由と申しますと大体の理由はもう申し盡したと存じておりますが、やはりこうした税は物税においても同じことでございまして、例えば営業用の自動車にしても損益に並行しないで取るというのと同じことでございまして、そういうような売上という会計だけよりも、まだ附加価値は売上から仕入れだけを引いた残りの差額ということに集約されているだけ、まだそのことの負担に接近していると思います。但し本当の負担は、今の純益に並行することで本当の負担だろうと思いますが、そこまで行きますと、地方財政というものが最前から申上げております点からも誠に不合理なものになつて行く、如何に大事業をやつて村や町に世話になつていても、所得がないということで事業税一つも拂わなくてもいいということでは、地方負担し切れないような両面のことをお考え願つていて頂きたいと思います。
  67. 木内四郎

    木内四郎君 それは附加価値というのは、国民経済全体から見れば附加価値であるけれども、自分に価値を附加するのではなくて他の人に附加をするということがあなた方の……、勿論自分に附加することもあるでしようが、国民所得に寄與する、国民経済に寄與するということが附加価値のあなた方の提案理由によると根本だと思うのです。そこにまあいろいろ疑問はあるけれども、これはまあ意見の相違でこれ以上議論しても意義はないと思いますからこの程度にしておきますが、勿論又後日において承わりたいと思います。  次に私ちよつと一言だけ、固定資産税が非常に重い、殊に今回国税におきましては減税になる、又地方税においては殖える、国税において減るのは所得税とか法人税とか主に利益というようなものを対象にした方面において減ずるが、地方税において殖える方面は固定資産を持つているというような人に対して税金が来る、軽減される人と税金が殖える人とが違つて来る、そこにも非常に大きな問題があるためでもありましようが、固定資産税というものが非常に重くなり過ぎる、従来の何倍にもなるということがありまして重過ぎるという意見が非常に強いのですが、これは何かシヤウプ博士が、日本の固定資産税は軽過ぎるから非常に重くしなきやならんというようなことを、アメリカの国情その他から判断して考えられたというようなことはあるのですか。
  68. 荻田保

    政府委員荻田保君) この点シヤウプ勧告にも書いてありまするように、日本に来て現状が財産に対する課税が余りにも少い、実際において非常に奇異な現象だと言つておりますが、その判断の資料がアメリカの実情であつて日本の実情はちつとも考えていないのじやないか、こういう議論も一つあるかと思いまするが、併し日本の実情を考えましても今このように少くなつておりまするが、過去におきましてはやはり地租、家屋税というものが相当の割合を占めております。殊に地方税におきましては相当の割当を占めております。殊に同じ收益税であります事業税との比較を見ましても、大体とんとんくらいの数字であつたのでございますが、それが非常に最近財産に対する課税が少くなつておりまして、この安くなつたことにつきましてはそれは相当の理由はあるわけでありまするが、やはりこの根本的な平衡の取れた税制にするためには財産課税はまあこの程度つても然るべきであろう。それからこの資本価格に対する百分の一・七五という比率の問題でありまするが、平常の状態におきましては相当資本に対する收益率というものは平均から見て相当のものだろうと思いますが、このうち一・七五、いわゆる応益的な意味をも含めまして地方税として納めることは、まあこの程度は妥当であろう、こういうふうに考えております。
  69. 木内四郎

    木内四郎君 何か私は或いは記憶違いであるかも知れませんし誤解であるかも知れませんが、アメリカの地方団体は、この財産に対する課税、固定資産税に匹敵するようなものの割合が非常に多いというようなことを聞いているのですが、これは勿論アメリカの建物などというものは非常に大きなもので日本のものなどと丸で違う負担力も違うと思いますが、アメリカでは一体どのくらいな割合になつておるのでしようか。地方税のうち資産税全体の占める割合、又それを以て直ちに日本のこの固定資産税が少な過ぎるというような判断の資料にする、或いはその考えの基礎になつてつたというようなことであると、日本の国情とアメリカの国情の相違という点を大いに又考えなければならない、アメリカの状態などは如何でございましよう
  70. 荻田保

    政府委員荻田保君) アメリカではまあこの日本と違いまして、州と市町村と申しますかそういう恰好になつておりますので、地方税を一応市町村税というよう意味にとりますと、大体九〇%程度はこの財産税になつておるようでございます。イギリスでもまあレートというのが大体これに相当すると思いますが、これは相当高い比率を占めております。
  71. 木内四郎

    木内四郎君 何かそういう点に、これを非常に高くしなきやならん、何倍にもしなくちやならんという考えの起りがそこにあるのじやないかというような気がするのでありますが、あなた方折衝されておつた過程においてそういう印象を受けられなかつたですか。
  72. 荻田保

    政府委員荻田保君) これは非常に一躍高くなりますのでまあ或る意味においてはびつくりするのでありまするが、併し従来の税の負担から考えましても、例えば地租のごとき負担を考えましても、米価に対する地租の課率というものを考えますると、決してこの程度でどうも過去の例から見ましても高いとは考えられない。現にシャウプ氏が来られる前からいろいろと地方税について研究がありましたが、これは我々ではありませんが、相当権威ある方がやはり地租、家屋税は三倍程度に引上るべきだという意見も主張されておつたのであります。まあ一躍高くなるということの問題ではございますが、まあこの程度では別に差支ないと思うのであります。
  73. 森下政一

    森下政一君 少し申し残したことがあるので政府の所見を質したいのですが、遊興飲食税のごときもので奢侈的の遊興であるとか、飲食であるとかいうようなものは、課税の対象にしていいと私は思うのです。だけれども一時我が国の経済が混乱した状態にあつてインフレが高進しているそういつたときには、闇の所得で非常な厖大な收益を上げて贅沢三昧をしている者がある、そういつたときにはこれらに対して、或る意味における制裁的な点も考慮の中に入れて、遊興飲食税をかけていいと私は思うのですが、政府はこのインフレの收束に非常な努力をされて、それこそ画期的な方策を用いて今日二十四年度予算を実行された結果、ほぼその目的を達成したとなさつている、又世間も一応通貨面におけるところのインフレの高進は收束した、而も二十五年度予算においてはこれを継続して強行しようとなさつておられる。このときにこの遊興飲食税などはおのずからそういつた経済面の変遷と伴うて、課税の率であるとか、課税対象の範囲とかいうことについては考慮が拂わるべき筈のものであつて、そういう点からも私は先刻申しましたようなそう奢侈的なものであると考えられない飲食等に対しては課税しない、それが今日地方の徴税上の不必要な摩擦を起している現象を将来解消することになるんだというように考えるのです。政府みずからがインフレ收束に相当成功したとなさつている今日、やはりこれらは非常に考慮されなければならん点だと思うのですが、そうすることによつて、自由党政府のやり方に、非常に周到な又国民に歓迎される注意が拂われたということになるんだと私は思うのでありますが、そうじやないですか。
  74. 荻田保

    政府委員荻田保君) 確かにおつしやいましたようにこの戰爭中の遊興飲食税、或いは入場税等に対する課率はその行為自体を禁止するというような、單に財政收入を上げるというよう意味を少し離れたような考えもあつたと思いますが、今の段階におきましてはすでにそのような観点はなくなつたか、或いは又は薄くなつたと申しますか、従いまして相当課率を引下げておりますが、やはりその遊興税だけでなくて、入場税に対する課率、或いはその外の消費税、酒、煙草に対する課税率等を見ますればまだ相当高いのでありました。こういうときにおきましてはやはりこの遊興飲食税だけを下げるわけに行かないと考えられますし、又遊興飲食税の税率が非常に高いものでありますので、その中におきまして免税と申しますか、全然かけないものを認めるということは、理論的には奢侈的なものとそうじやないものと言えますけれども、ここに一線を画することは非常にむずかしいのでございまして、そこに一線を画して片一方は四〇%の税率をとり、片一方はゼロをとるということはこれは非常にむがかしい問題が起ると思います。従いまして先程申上げたようにこういう税が安くなりまして、もつと安い率で取つていいようになりますれば、仮に二〇%でとるといたしますればそこに免税の範囲を拡げましてゼロのものを相当持来しましてもゼロと二〇%ならそう違いはない、今のような状態におきましてここにゼロと四〇%、或いは一〇〇%というようなものを作りますことは、却つて負担の公平の観点からも面白くないと考えられるのであります。
  75. 森下政一

    森下政一君 そこでそういうようにゼロと四〇%では非常に懸隔が激しい、その一線を画することはむずかしい、これは御尤もの説だと思うのです。そこで若し四〇%の次に或るものは二〇%というものが設けられて、そんなら又もう一段階刻んでものによつては一〇%でもいい、或いはものによつては五%でもいいんだというものがある筈だと私は思うのです。それが今日何といつても高いあなたが何と言われようと、先刻大臣が言われたよう財政上の必要による、こういう点があると思うのです。それを警戒しなければならぬのは、どうしてもこれだけの税金を取らんことには国の財政の要求を満することができないんだという考え方が末端の税務署員の頭にこびりついていて、そこで是が非でも取ろうとするところに摩擦が起るのである。而も先刻あなたは一杯のコーヒー五十円の中には税が含まつた価額なんだとこう言われておるのでありますが、業者側の争いところはそこなんです。お客さんからは取れない、而もみずから負担して行かなければならん、税そのものは相手から取ることが建前だということになつておりますが、これは現にあなた自身もそう思つておられる。自分は税金を納められたと思つておる。五十円コーヒー代を拂つたときに税金を納めておるのだとこう考えている。ところが業者はそうは考えておらん、みずから負担すると考えている。而も末端では財政上の需要を満すためにどうしてもこれだけは取らなければならぬというところに私は不必要の摩擦が起つておると思う。私はそこであなたの言われるゼロと四〇%の激しい県隔の間にもう一段階刻んで二〇%を設けるのなら、摩擦を少くするために、スムースにものが運ぶためにもう一段階小刻みに刻んで一〇%を設ける、ものによつては五%でもというそういう率を設けることによつて今日の不必要な摩擦はなくなるとこう思うのですよ。どうでしよう
  76. 荻田保

    政府委員荻田保君) 御尤もでございますが、ただ非常に種類を置きますことは、これは必ずその種類に、どれがどれに当るかということにつきまして摩擦を起すことになるだろうと思いまして、却つて徴税上困難を来しはしないかと考えられます。従いましてまあこの程度、四段階あつたのでありまするが、曾て三段階に修正いたしましたものもこのよう意味からでございまして、これ以上段階を設けることは適当でないんじやないかと考えております。
  77. 森下政一

    森下政一君 私も曾てその理事者をやつたので、議会の議員の質問を受けるとかなんとか、うまく答弁をやりますが、だけれどもこれはまじめに政府が反省されていい点だと私は思うのです。これは意見の違いだということになればまあ意見の違いなんですが、これ以上は申しませんけれども、これは大いに考えるべきところじやないかと私は思うのです。恐らく私の見通しが正しければ早晩これは改正しなければならん時期が来るだろうと私は予言することさえできる。  それからもう一つ、いずれもこの地方税標準税率というものが掲げてあつて政府が今日地方税増徴されても一方国税減税が行われているので、大した負担の過重はかからぬだろうと口癖のように言われている。これは自由党の立場から言えば、かねて負担軽減を公約されているので当然そう言わなければならんところだと思うのですが、概ねその場合には標準税率によつて課税されることを一応取つておられるわけなんですが、その外に制限率が設けられている、標準以上の課税ということが、地方団体財政の需要によつては可能だということになるので、若し制限一杯の課税がどれもこれも行われるということになれば、政府が今日国民説明しておるようなわけにはならん、もつと負担が重くなるということが考えられるのですが、政府としてはどうですか。この二十五年度において画期的の税制改正が行われるときに、どの税金も大体標準税率範囲で取れというふうな各地方団体に指示をなさるような御意図がありますか。
  78. 荻田保

    政府委員荻田保君) これはもう勿論指示をいたしますが、法律上も標準税率の定義につきましては財政上特別の必要があると認める場合の外はこれによるということになつておりますので、当然のことだと思いますが、ただ実際問題としまして、標準税率を以ちまして大体税を取れば普通の行政はやつて行けるということに、やつて行けるだけの財源を與えることが平衡交付金の配分等と関連いたしまして我我できると考えております。従いまして若し標準税率以上に税を取る場合は必ずそれだけ余計の、標準よりもよい施設をするとか、新らしい事業をするということになるんだと考えます。従いましてそういう場合は、そういう新らしい他にやつていないような仕事をやることが適当なのか、そんなために税金を取らない方がいいのかというのは、そういうことは地方団体の議会もあることでありますから、そこの自主的判断に任せればそれでいいんじやないかと考えます。
  79. 森下政一

    森下政一君 一応理付窟はおつしやる通りなんですが、その人の居住しておりまする市町村を異にするに従つていろいろ負担が、制限一杯に取られる場合と標準税率で取られる場合とでは区別が出て来る。私は政府方針としても努めて標準税率による、少くとも二十五年度においてはそういう態度を取るくらいの指示を一つして貰うことが望ましいと考えます。  それから委員長にお願いして各位の若し御同意があるならば、甚だ異例のことですけれどもお取計らい願いたいと思うのですが、先日この旧軍港市転換法案の審議を大蔵委員会でやりましたとき、委員でないたまたま傍聽に入つておりましたこれらの旧軍港市の市長に例外的に発言を許したということがあるのです。そのときには委員でもありませんから速記も止めて発言をして貰つて法案に対するおのおのの態度を決める上においての貴重な参考にしたわけなんです。たまたまここに予算の專門員である野津博士がおいでになりますが、野津博士は大蔵省にお勤めになつてつた方で、税についての権威者であります。特に野津博士が附加価値税についていろいろ発表しておられることがあるのですが、非常に啓発されることが多いと私は思うのですが、若し各位の御同意が得られるならば野津博士の立場としては政府に向つて攻撃的態度をお取りになることはできないでしようが、ただ問題の所在がこういう点にあるのではないかというぐらいは、この連合委員会の席上で簡單に指摘して貰うということは審議上非常に参考になると思うのですが委員長お諮りを願います。
  80. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 皆さんにお諮りいたします。只今森下君からの御発議御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  81. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは野津君に地方税法について意見の開陳を許します。……それでは野津君から後日にということでありますから後日にいたしたいと思います。
  82. 米倉龍也

    ○米倉龍也君 先程御説明になりました業種別附加価値税のことをお尋ねしたいと思います。業種別附加価値税の旧の事業税その他との倍率等について資料が出ておりますが、これで見ましても大体メリヤス主業或いは製造工業などは相当倍率の高いものがありますけれども、多くは倍以下であります。この附加価値税というものができまして最も経理上困難を来すであろうと思うのが協同組合なのであります。協同組合に対する税は非常に重い結果になるのでありますが、こういうことを協同組合というものについて十分資料等を以て御考慮になつたかどうかということをお尋ねいたします。
  83. 荻田保

    政府委員荻田保君) 協同組合につきましては従来事業税は差等を付けておつたのでありますが、これはやはり国税法人税等についてもそうであつたのでありますが、今回の国税地方税を通じましての考えといたしまして差等を付けないという方針を取つております。従いまして附加価値税等につきましても、この協同組合につきましては普通の税率が適用になるのでありますが、その場合、協同組合等でその利益を公益の事業に使つているような場合は、その額は附加価値のうちから差引く、或いは協同組合が取扱いました物の数量、その他、事業の分量に応じて分配するような金額はこれも除外するというような方法を取誠ております。
  84. 米倉龍也

    ○米倉龍也君 ここで大体厚生省なり或いは農林省が現行の事業税額と、新らしいこの附加価値税額と比較してみて調査されたものを発表されておるんですか。この消費者の生活協同組合などでは五十一倍以上にもなつている、或いは農業協同組合などでは黒字の組合だけでも十七倍になり、赤字の組合を入れれば二十四倍以上になります。そういうような調査を同じ政府のうちの違う省から発表されているんですが、そういうものをお認めになつて、而も今もお話なつような特別な考慮を拂えばその倍率等がずつて低まつて来るのだが、そういうような点御考慮になつたでありましようか。
  85. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 十倍てか二十倍という数字基礎は、従前協同組合に課せられておりました現実の事業税額と比較してのお話だろうと思います。協合組合に赤字が出ております場合は当然事業税は課せられませんでしたが、それと比較いたしますと、今度の附加価値税事業の分重に応じて負担することになりますので、自然相当倍数になることと思います。併しそういう比較が果して穏当かどうかということも考えられるのであります。従来協同組合でありましても取引高税は納めておつたわけであります。取引高税ともう一つ従来の事業税、これと比較してみますと協同組合によつて多少違いますが、そう大きな隔たりはないのじやないかと考えております。
  86. 米倉龍也

    ○米倉龍也君 取引高税のことが今話に出たんですが、大体生活協同組合で扱つておりました物品は多く生活必需品でありますので、そこでその製造或いは販売等には取引高税は免除されておつたと思うのです。それが今度の附加価値税になりますと、そういうような品物の配給を專門にする組合ですが、その人件費などにも課税するようになつている。これはちよつとおかしな話ですけれども取引高税の廃止を今の内閣の與党である自由党はしばしばいつている、そしてその財源は酒の税などによつて殖やすといつてつたけれども、その当時は附加価値税なんというものは考えなかつたでしようけれども、そういうことをしないで附加価値税で以てそれを補つて行くというような結果になる前に、そういう本質的な点から取引高税というものが免除されておつたというのを、そのことに対する今度は附加価値税がかけられるというのは、これは矛盾するじやないかと思うのです。こういう点はどうです。
  87. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) お話通り、この協同組合の荷物の扱い方法によつては、取引高税が免除される場合もあつたのでございます。それは協同組合が全然生産者の荷物としてそれを市場に、或いは問屋に、それを生産者のものとして生産者の責任において販売するというようなことで、その取引の金高に対する責任も全然生産者に属するというような場合には、免税されておつたのでありますけれども、協同組合のものとして受入れて販売するという場合には、取引高税はかかつていた次第でございまして、協同組合は御承知のように最終の販売の段階まで協同組合がタッチいたします、最終の販売の段階まで生産者の責任においてやるというそういう扱いばかりでなく、直接自分のところで買取つて更に出席するという場合もあり、その外にもいろいろ事業をやつている次第でありますから、そうした面について大部分は取引高税の対象になつていたと考えられます。やはりお話通り取引高税が全面的にかかつていたということは、そういう点から言えないかと存じますが、それらも勘案をいたした次第でございます。
  88. 米倉龍也

    ○米倉龍也君 大体この協同組合の本質なり性格から見て、これを同じ営利法人と考えて課税をするというその考え方が、政府の今までいろいろ御声明になつていることと凡そ矛盾をしている、協同組合の育成ということこそ政府一つの大きな政策と考えておつたのを、税の方面からはむしろその協同組合の存立を危うくするような結果を来すのではないかということを私は恐れるのですが、こういう点はそう言えば、それは税というものは別に特殊なその点を考えないで、そういう協同組合の社会的な面というようなことについての助成や、いろいろなことは別の政策によつてやればいいというようなことをおつしやつたり何かする。それはそうでなくて、私共はやはり一番困難を来しており、非常に協同組合方面で憂慮しておることが税の負担でありますから、税の負担軽減することによつてややこしい複雑な助長策を無理に取らなくても、簡單明瞭に税の問題を解決することによつて目的を達するのじやないかと思うのです。政策の矛盾についてお考えを承わりたい。
  89. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 今日協同組合が社会的な企業体であるという点については同様の考えを持つておるのでございますが、併しこれもその協同組合によつて全く自由設立、自由認可の企業体でありまする関係から、必ずしも先にありました強制加入の農業会のようには考えられませんので、これはやはり利益を上げて出資に応じて分配するという組織になつておることでございますので、やはりこの際は課税の主体として認めて行くことが負担均衡の上から適当ではないかと思います。但し、その協同組合の行いまする事業が部分的に公益性の高いものであれば、その分についての減免、或いは又殆んど全村の者がその協同組合に関係を持ち、全く理想的に経営されておりまして、極めて全自治体住民の公益と一致するものであるというようなことになりましたならば、その地方団体において公益上の必要という理由に基きまして、適当に調整もできることではないかと存ぜられます。
  90. 米倉龍也

    ○米倉龍也君 協同組合が従来の協同組合にもいろいろあります。私の協同組合と申しておりますのは広い意味の協同組合です。生活協同組合、或いは農業協同組合、或いは水産業協同組合、尚新らして設立される中小企業など、協同組合法による協同組合、すべての協同組合の性格は大体同じであります。そこでその協同組合はどの組合からいたしましても最近設立されたばかりのものでありまして、生活協同組合などは戰前に作られたものは極く僅かであります。終戰後できたものが多いのでありまするが、こういうまだしつかり大人にならない、その機構の整備さえも完全にならないような極めて弱いものを、一人前のものとそういう関係でお扱いになるということは、それは協同組合の育成の上に非常に重大な結果になると思うのです。恐らく附加価値税よう赤字の組合でも取るのだというようなことでは、更に赤字を多くするだけ、年々赤字をただ加算して行くだけです。多少黒字になるような組合でも今回のこの税制では全部赤字になつてしまう。そういうような設立間もないものに、同じよう課税をするという処置が、これは親切でないと思う。尚このことは金鉱のような、何かああいうようなもの採掘をするのには法人税はかからない、今度は何か設立してから三年は課からないという特例があります。そういう大資本のやる事業にこういう特例を設けている、そういう考え方から行けば、やはりこういうような協同組合のまだ弱い設立間もないものに、同じような税をかけるということは、これは非常な不親切なやり方であると思う。その点どうですか。
  91. 荻田保

    政府委員荻田保君) 確かに協同組合に対します政策的見地からいいますれば、いろいろな奬励の方途を講ずる必要もあると存じますが、附加価値税につきましては、たびたび御説明申上げておりますように、要するに広くこの附加価値というものに対しましては均一の税を課税するという建前でできているのでございまして、その主体が営利事業であるとかないとかいうようなことは全然考えもせず、恰も土地を借りる場合は地代を拂わなければなりませんし、金を借りる場合は利子を拂わなければならない、それと同じよう附加価値があれば附加安値税を拂うことになるという建前でできておりますので、ひとりこの協同組合、或いは設立間もない協同組合に対しまして特殊の考慮をするということは適当でないと考えておる次店でございます。
  92. 米倉龍也

    ○米倉龍也君 まあ適当でないというお考えが基礎なんでしよう。併しそれではそういう協同組合というものを政府は育成して行くという大きな政策をお待ちになつておりながら、それが折角生れたものが成立つて行かないという結果になつても、そんなことは税の方では止むを得ないのだと、こうおつしやるのですか。(「しつかり答えて下さい」と呼ぶ者あり)
  93. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 成立つて行かないと言われますことは、それはその経営次第でありまして、この協同組合に対しましては出荷等でも事業分量に応じた割返しをするというようなことは附加価値から除くというような特典もあります。今後の協同組合はやはりこれを前提としてその経営に当つて頂きましたならば必ず成立つて行くだろうと存じます。又どういう前提の下に立つて経営者が不敏な場合には、又成立たんというようなことにもなろうかと思いますが、この程度負担を前提條件といたしましてもそれ程の影響はないのではなかろうかと考えられます。殊に協同組合は任意に設立して、任意に加入できるものでございまして、町村の中に幾つもできる場合がございますし、有志が集つて事業をやる場合一つ作ろうじやないかということで作ることもできるのであります。これはやはり一つ利益を出資に応じて分けますところの営利形態である。併し今日の段階におきましては比較的力の少い人達がこういう協同体を作ることによつて生活を確保し、その事業を盛んにして維持して行こうという意味から奬励すべきことではありますけれども、いろいろな場合がございますので、これを法律を以て課税しないというふうに規定してしまうことは他との課税の均衡上適当ではないのではないかと考えております。併し只今申上げました通りに、いろいろな面において特別な考慮は拂つておる次第でございます。
  94. 米倉龍也

    ○米倉龍也君 まあくどいようですけれどもそこなんです。よく協同組合のことについてお考えになつておりながら、他面生れたばかりのものを税負担によつて育つのを遅らせる、まあ潰れてしまうものもありましよう。遅らせる、そういうことをせんでも、この国税なり、地方税の予算の中で協同組合から取上げる税の一体分量というものはどのくらいなんでしようか。恐らく僅かなものじやないかと思う。極めて税額が少いと思う。そういうものを多少の考慮、或いは免税をしても、全体の税の上から見ましてそれが大きな影響を持つというようなものでないと私共は思うのです。その全体に対しては僅かなものでも、生まれたばかりの協同組合の経理の面には大きな影響があるのです。そういう小さな点を十分御考慮を願わなければならないと私共は思うのです。まあこれ以上申してみたところが議論になつてしまう。私はこの附加価値税というものは協同組合の方面から見まして最も好ましくない税だと申して、これで一応止めます。もう少し又調べて……
  95. 竹中七郎

    ○竹中七郎君 只今の農業協同組合の問題でございますが、この農業協同組合は戰前の組合が解消しまして非常に素人の人が組合を作つている。こういうところに今米倉さんが申されたような問題があるのでありまして、昔の経営に経驗のあつた人が隱退をいたして新らしい人がやつて漸く組合が創立できる。これからはその組合をやるのにつきましても自由に何でもやれる、こういうことを大臣は言つておられますけれども、殆んどまあちよつと強制的と申しますか皆入れというふうにして作つているものであつて経営者が非常に無経驗である、それもできてから二、三年にしかならない。それが今度は課税がぱつと来たということになりますと、農村恐慌になりかけのこの時代において、非常なる無慚なと申しますかそういう状態になるのではないか。これは自由党の政策としてそういうことをおやりになるかどうか。この点につきまして大臣に協同組合が今……これは昔からの続きならば非常に熟練した人が経営している。現在のこの問題、附加価値税につきましても、会社においてもこの附加価値税がやり切れないという陳情が沢山に参つている。この点に対しまして何とかこの二、三年は、熟練するまでは待つてやるというような御意思があるかどうか、その点を一つ
  96. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) これは発育の途上にあるものでございますからお話ようなことも御尤もなお考えであるとは存じますけれども、やはり企業の前提條件といたしましては、やはり法人個人、協同組合、こうしたものが同じ條件の下にやつて頂くということを建前として行く方がよいのではないかと存じます。そうした基礎の上に健全な発達を遂げて頂くのでなければ却つて負担の不均衡になりまするし、又非常に不馴なためにというお話がありますが、そういう方もあるでありましようが、併し精鋭をすぐつて事業体として協同組合を作られる場合もあるのでございまして、協同組合という形を整えれば免税になる、その他法人個人は税がかかるというようなことになりました場合、これが営利形態でありませんければ別でありますが営利形態である場合、どうしても同一條件に原則はして置いて、そうして協同組合の本質に鑑みまして、只今申上げましたように、出荷等の割合に応じてその荷主に、生産者に割返しをするというようなことは、これは附加価値から除くというような方法を講じて行くことによつて、これはどうしても発達を期待するのが適当ではないかと思つております。又協同組合の健全なる発達のためにはこの税法の面からばかりではなく、他のいろいろな施策もでき得る限り工夫して行くべきものと考えております。
  97. 米倉龍也

    ○米倉龍也君 この金とか石油、石炭、亜炭、石炭窒素、過燐酸石炭こういうものの最終製造の場合に、これはまあ大体大資本の企業なんです。これは現在でも法人税が免除されているので、今度の新税法でも法人税が創業後三年免除されることになつている。こういうことさえあるんではないか、どうしてこういう大資本のこういう企業にこういうことをなさるのですか。凡そ法人税お話はないですけれどもこういうやつぱり免税規定がこういうものにさえあるのです。これが協同組合に対してはこの程度の免税規定もないのです。
  98. 荻田保

    政府委員荻田保君) この法人税の方は利益に対して課税いたしますので、そういう新らしい企業において奬励すべきものにつきましては、開始の後三年間ですか、これは利益に対して課税せずに、その利益を保留してその会社の基礎を強固にならしめることに役立たしたいと、こういう趣旨だと思います。附加価値税につきましてはたびたび申上げておりますように、事業自体負担せずむしろ一般のコストとして考えるべきものであるという建前にできておりますので、特に創業の初であるとか或いはこの事業主体が誰であるというようなことは考慮せずに、いわゆる流通税的な意味で広くかけるようになつております。
  99. 米倉龍也

    ○米倉龍也君 それからもう一つ、先程来大臣がおつしやつているのですが、協同組合には事業高に応じての配分割戻しをして行くと、それなどは課税の方から引かれるとこうおつしやるんですが、それはそうだと思いますが、それにしましてもこの附加価値税ようなものをかけられることによつて当然赤字が出るかと思います。赤字を持つて長く続けて行くことはできませんので、結局特別配当的なものがやり得られないのではないか。結局特別配当というようなことが現実にできない、それを税金に拂わにやならん、割戻すべきものを税金に拂う財源に充てなければならん。こういうことになつて来れば協同組合の最も大事な特別配当というようなものの本質的な問題が何にもならなくなる。そのことを大変……それは附加価値税の場合には入らないということをおつしやつても、そういうことかできなくなるという結果になると私は思うのです。そういう点はそうはお思いにならないのですか。
  100. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) その点はそうなるだろうと考えます。これは附加価値がなくても利益が非常に少い場合はそうなるのでございまして、利益があれば税を拂つた後配当ができるだろうと思います。
  101. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君 本日の大蔵委員との質疑応答を伺つておりまして、その点について一、二伺いたいのですが、今日の附加価値税の点についての質疑応答を聞いておりますと、どうも私は附加価値税は非常に欠点が多く、従来の事務税の場合でも可なりこを実施する場合には物議を釀したのですが、この附加価値税になりますと実に欠点が多い。今日の大蔵委員の質疑を聞いていても、この附加価値税実施の曉は非常に惡税になるというふうな感が深いのです。今日は説明の中にも又赤字なつた場合でも附加価値税を取られる。そういうような点が非常にこの欠点なんですが、その説明として我々が納得するよう説明一つも今日伺えなかつたのですが、どうも政府はこの附加価値の場合においては、附加価値赤字であつてもこれを納めるのだというふうなことなんですが、国税の場合においても従来の担税力からいつてこれが重過ぎるというので、今度大蔵大臣はこれの減税を、非常に予算委員会なんかでもそれを強く得意としてやつている。下げた理由は要するに担税力がない、重過ぎる、税率が……。その方においては軽減しておきながら、今度は地方税附加価値税の場合には、企業が、附加価値赤字であつても取る、それだけを見ても片方は担税力がないから税率を合理的に下げて行くのだ、片方には地方税附加価値税の場合においては、企業赤字であつてもこれは取るのだという説明一つも納得が行かない。納得が行かないわけです、そういう点が今日の御説明では分らない。さつぱり納得が行かないのみならず、ますます附加価値税の欠点が増大して来る。そういう感じを非常に受けるのでその点を更に今日大臣からも伺いたいのですが、今申しました国税の方において税率を引上げた理由は勿論国民の担税力、それらの税率を見て従来それが非常に苛斂誅求であつたから下げた。然るに地方税の方では例えば附加価値税を取つてみても、これは附加価値赤字であつてもそれはどうしても取るのだ、そこに政府の言う説明が、今日大体伺つてみてもこれは全然納得が行かないので、私は今日の大蔵委員との質疑を聞いていても附加価値税というものは非常に内容がよろしくない。こういうふうなものを現在我が国の経済再建の途上最も重要な時期に実施するということは、これはもう非常に不適当なものである。そういうふうな感じが強いのです。今申しました点におきましても大臣からその点を納得の行くように伺いたいと思います。附加価値赤字であつてもどうしても取らなくちやならん、事業税でさえもこれが実施のときに非常に問題を釀したのでありますが、尚今度の事業税取引高税を廃止して附加価値税を置くことに、事業税の欠点を補つて而も非常に優る点がなければ何ら変える必要がない。こんな條文を読んでも非常に面倒な條文なんです。従来の事業税でもあれを税金を出すために国民は非常に迷惑した。あの際でもその程度でも非常に攻撃を受けたのです。何にもそれに優るはつきりした点がない。なくて欠点だらけのものをわざわざこういうときに、而も今国会が審議中であつてもう審議の時間も十分ない。又これを直ちに実施されたら非常に従来でも税法のいろいろな計算方法は困難である、今度の固定資産税でも、附加価値税でも、これはもう非常に條文が大部であるということだけ見ても、一般の人には分り難い。そういう点からいつてもこの点は附加価値税事業税に非常に優る点が、この通りであるというふうな御説明ができるなら、その点を一応今日伺つておきたい。  尚且つ本多国務大臣は今度はこういうふうな方面を担当されて、アメリカにも研究に行かれるということを伺うのですが、それならば大臣は従来も地方行政委員会においては附加価値税地方税等について論議を交して、非常にこの欠点が全体に……、大臣がアメリカへ行かれるならばこういうふうな国会の審議状…等もよく話されて、そうして御自身シヤウプ博士に会われて十分研究された上において、新たにこれを組直して国会の審議を仰いでそうして実績やられることの方がむしろいいんじやないか。そういうふうな考えであります。こういう非常に欠点だらけのものを実施しておいてアメリカに行かれても何ら価値がない。行かれるくらいならばこの実施を差置いて、更は自分で行つて十分納得のいく説明ができるよう資料を持つて、そうして組直して国会に提出された方がベターじやないか、その点についてお伺いしたい。
  102. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 今日の税は国税地方税を通じまして相当重い税でございます。でありますから国家財政の許します限り、一面政府の経費もでき得る限り節減をいたしまして減税すべきであると考えております。そうした見地から本年の国税減税は行われた次第でございます。又一面この国税減税は、国、地方を一貫した財政計画の見地から、地方税が四百億程度増税になることでございますから、それだけ税の税源を地方へ移行させる必要があるのでございます。この点も考慮されて本年の国税減税相当大巾に、例えば当初予算に比較いたしますと二十四年と五年では九百億の国税減税が行われた次第でございまして、今日の税はでき得る限り減税の方向にすべきものであるという考えと、更に国税においては地方税へ税源を譲らねばならん、増税のための税源を讓らねばならんという点等が考慮されて、減税は行われたものであると考えております。更に附加価値税につきまして、どうしても附加価値税の長所が納得できない、欠点だらけのものであるというお話でございますが、これは御意見として御理解願えないのは誠に残念に存じますが、最前も申上げました通り純益課税標準としない関係から、従来のよう純益に比例して納める税に比べまして、担税力というものに即応しないという点は、一面欠点のようではございますけれども、併し一面これが今日までの地方税制欠陷をこれで是正する長所とも考えられるのでございます。御承知のように従来の税制の下におきましては如何に大規模な、例えば九州の八幡製鉄所ほどの大規模な施設を構えて事業をやつておりましても、考課状が欠損だということでその土地のために負担事業税の面において全然しないというようなことでは、地方のいろいろなこれに伴う負担と考え併せて見ましたときに誠に不適当でございまして、そうしたたとえ純益はそれ程上らなくても、地方がこの事業のためにいろいろな施設その他の出費をいたしておるのでございますから、これに応じての負担をなさしめて地方財政を強化するという面におきましては、誠に長所であると言わなければならんと考えられます。従来の事業税と今回の附加価値税との相違点の主なる点は以上の通りでございますが、純益課税主義でありました事業税法のために大企業地方費負担というものが不当に今日では軽くなつていると考えられるのであります。そういうものを地方税で是正するためには、この事業税を廃止いたしまして附加価値税へ移行することが、誠にこの際適当であると考えているのでございます。又私の洋行に関連してのお話でございましたが、これは審議頂きました過程においていろいろ拜聽した意見については、今後も勿論研究いたしたいと存じております。併し現在の段階におきましては、政府といたしましては、やはり従来の事業税等を廃しまして附加価値税にするということが適切であるという信念に変りがないことを御承知願いたいと存じます。更に附加えておきますが、若し本年この地方税法改正ができないということになりました場合、国、地方を通じての財政計画に一大影響が起るのでございまして、私共といたしましては、将来皆樣の御研究、我々の研究の結果、更にいい税法への改正というようなことは、それは結構なことでございますけれども、今年の地方財政計国を非常な困難に陷らしめます関係から、この際明確に発見できますところの欠陷は、勿論これは直して行かなければなりませんけれども、今政府といたしましては、この提案いたしておりまする法案に、今日の場合これで欠陷があるものと認められませんので、是非成立させて頂きたいことを非常に期待いたしている次第でございます。
  103. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君 今の点相変らず私は納得が行きませんのですが、この点はもう少し他に機会を讓つて質問をし直しますが、他の件について、今日論ぜられた遊興飮食税の件について、ちよつとお伺いしたいと思いますが、先程いろいろ質疑がありましたが、これは従来国税においても非常に国民の非難を浴びたのは、大体税務署が予想で割当ててそうして取るもんですから、非常に国民のその間非難攻撃を受けて、大蔵大臣も予算委員会でその問題についてしばしば割当は決して行わないと強く言明されたのですが、遊興飮食税も勿論二十四年度は各府県別に割当ててやつたのですが、今後地方税の場合においても、大蔵大臣が言つたことく、割当を行わないのか、その点をはつきり伺つておきたいのと、先程の政府委員説明の中に遊興飮食税でも、入場税でも、相当実績を上げたというお話なんだが、それについて私は後日質問したいために、この遊興飮食税を二十四年度どの程度各府県別に割当たのか、又その実績、それらの資料を出して頂きたいのと、二十五年度の割当になるのはどのくらい各府県別に遊興飮食税を見込んでおられるか、表にして出して頂きたい。その上で質問したいのであります。先程前に申しました本年度は割当てるのか、割当てないのか、その点を伺いたい。
  104. 荻田保

    政府委員荻田保君) この遊興飮食税の割当と申しますのは、各地方税の場合に各業者に割当てることでございましようか、中央から府県に目標額を示すことでございましようか。
  105. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君 その点は、今地方から各府県別に、又府県別の中ではどういうふうに割当てるということは、中央では勿論分らないので、中央から府県別に割当てられて府県はそれによつて自分の県下に割当てるのだろうと思いますが、それは中央からの指令等に関連しますけれども、その点実際の状況は各府県が大体割当てる、その徴税の義務に副うために儲かつてないものでも非常に納めなくちやならんようなことも起きて来て、組合なんかも非常に困る、だから中央と県がやることと関連性があると思いますが、その点も併せて御答弁を願いたい。
  106. 荻田保

    政府委員荻田保君) 二十四年度におきまして、我々の方から各府県に対しまして、その府県におきまして大体これくらいの遊興飮食税が取れる見込であるというよう見込額を示したのでございますが、これはまあ割当額というような名前で誤つて伝えられてありますが、我々といたしましてそういう数字示した趣旨は全体で百二十億で、全体でどれだけ取るとすれば、各府県でこれだけの数字になるということを言つたのであります。それは先般お配りしました二十五年度の道府県税收入見込額調の中にあります数字を大体同じでございます、遊興飮食税の場合は……。で、本年度然らばどうするかという問題でございますが、これは別にこのような割当ということは我々考えておりませんです。ただ併し平衡交付金を計算いたします場合は、その府県において取れます遊興飮食税ですが、こういうのはどうしても計算しなければなりません。そういうことから、大体その県についてどれだけの額が取れるものとして平衡交付金を上げたのだというその基礎資料は、府県は自然分ることになると思います。  それから徴税の場合にこの各業者に対して割当をするという問題でございますが、これは確かに御指摘になりますように弊害のある制度でございますが、現実の問題といたしましてはやつてつたのであります。この点につきましては先程も申しましたようにこの政令がありまして、一般にこの飮食ということが自由でなかつたときには、個々にその消費額等を調べますことは、それ自体が即ち犯罪を摘発することになりまして非常にむずかしかつた。従いまして個々の問題を言わずに各業者について一定の額を示した、そのものが割当というようなことになつてつた原因をなしておつたのでありますが、今日は先程も申しますよう税率も或る程度下りましたし、それから政令というようなものもございませんし、又徴税の場合に領收書を使うとか証紙を使うというような方法もできますので、一件々々現実の数支を拵えて適正な課税を行なつて行きたいと思つております。
  107. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君 その点は今の御説明で分りましたが、大臣に伺いたいのは、遊興飮食税の場合免税点を例えば百円なら百円とおいて、そうしてそういうふうなものに対しては、それは何も高級の料理を食うわけでもない、必要程度のものを食べるのですからそういう免税点をおいて、そうして例えば東京でいうならば、一流の所で非常に立派な食事をするような場合にはうんと掛けるようにして、大衆のためには免税点を設けたらば非常にこれは有効じやないかと思うのですが、そういう考えはあおりであるかどうか。
  108. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) これは次に更に負担軽減ができます場合には、奢侈的に亘らないもの、或いは零細な飮食というものについての免税点は真先に研究すべき問題であると考えられますが、現在のこの地方税程度負担があらゆる面にかかつておりまする間は、これの捕捉を確実にするという点、その他負担均衡という面から今直ちには不適当ではないかと思つております。
  109. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君 その点を重ねて言うのは、例えば東京でいうならば新橋から築地方面、ああいうふうな高級料理店はどういう人が行くかというと勿論一般の民間の人も行くのですが、今日でも尚且つ相当公務員なるものが招ばれて行つて御馳走になつている者が非常に多い、そういうふうな現状をよく把握して、やはり大衆のためには免税的を設けてやるというふうなことが民主主義の時代には非常に大切なことなんです。上の方は非常に捕捉するように努力する、従来の国税の場合においても大きな所は捕捉し難いものだから或る程度のものを取つている。ところが小さい方は上げようがないから一〇〇%以下というようなあれで、そういうふうになりますために国税の場合でも税務官吏というものは今日国民の敵のような恰好になつている。それが欠陷なんですから、地方税の場合に今度は非常に大増税なんだから、そういうふうな点も機構の上からも又そういうふうな観点をよく考えて置かないと、やはり旧来の陋習が常に改まることなく、そうして今度は地方税の場合においてもそうした国民の滔々たる非難を受けなければならんことになるので、この点は徴税機構の問題又徴税すの人の取扱いとか又観点というものについて指導をする必要があると思うのです。この点は分りました。  更に私は昨日配布された特例の資料を拜見しますと、尤も予算のときにも日銀の納付金の問題が非常にやかましい問題で、非常に詳しく質疑を日銀副総裁にしたのですが、よく説明が分らないのですが、日銀の副総裁が非常に頭が惡かつた。今度はその資料を見ても肝賢の日銀が落ちている。ですからこれは直ちに日銀に、自治庁の方から督励をして、この特例案の日銀の資料を早く出して貰いたい、そのこを委員長を通して是非お願いした置きます。更にこの特例の中に信託、運送及び倉庫、こういうふうなものの特例の資料がこれに載つていないのですが、それも併せて次の材料なんですがこれを至急に出して頂きたい。日銀の方は政府の方から督励して、よく納付金の場合でも説明も分らないし、資料がないので最後まで納得しないうちに質疑を打切つたようなわけですが、日銀の方は場合によつては来て貰つて説明をして貰いたい、資料も至急お願いします。
  110. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 只今西郷君から御要求のあつた資料をお出しを願います。
  111. 荻田保

    政府委員荻田保君) 日銀の納付金につきましては、大体税金相当するようなものでありますので総額から除外してしまうような政令を決めたいと思います。従いまして一般の銀行と同じ率ができると思います。それから信託業、倉庫業、運送業等についての根拠が出ておりません理由は、これはいつかお話したかと思いまするが、趣旨が多少違いましてこれは負担の激減を緩和するというよう意味であります。尚信託業につきましては一〇〇%取つております。一〇〇%取つておりますのは信託、銀行が行なつておりまして、信託、銀行は全部が附加価値税の対象のような恰好になつております。それから運送業と倉庫業につきましては、今申上げましたように激減緩和するという意味で、現在ございます事業税の総收入金額の二%という事業税改正、これとの比較でございまするので、これがつまり総額で二%でございますから五〇%取るといたしまして四%、それに対しまして鉄道、軌道だけはその五〇%を更に安くしまして四〇%にしておるような次第でありますので、別に計算根拠というものはございません。
  112. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君 今日はこの程度で明日にお願いしたいと思います。
  113. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 他に御質疑ございませんか……。それでは本日はこの程度で散会いたします。    午後四時八分散会  出席者は左の通り。   地方行政委員    委員長     岡本 愛祐君    理事            岡田喜久治君    委員            三木 治朗君            櫻内 辰郎君            竹中 七郎君            西郷吉之助君            鈴木 直人君            太田 敏兄君   大蔵委員    委員長     木内 四郎君    理事            黒田 英雄君    委員            天田 勝正君            森下 政一君            玉屋 喜章君            油井賢太郎君            小宮山常吉君            高瀬荘太郎君            藤井 丙午君            米倉 龍也君   国務大臣    国 務 大 臣 本多 市郎君   政府委員    地方自治政務次    官       小野  哲君    地方自治庁次長 荻田  保君    総理府事務官    (地方自治庁財    政課長)    奧野 誠亮君