運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1950-03-27 第7回国会 参議院 大蔵委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年三月二十七日(月曜日)    午後十一時二十二分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○災害被害者に対する租税減免、徴  收猶予等に関する法律の一部を改正  する法律案内閣送付) ○国税犯則取締法の一部を改正する法  律案内閣送付) ○国税延滯金等特例に関する法律  案(内閣送付) ○国税徴收法の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○昭和二十五年度における災害復旧事  業費国庫負担特例に関する法律案  (内閣送付) ○造幣庁特別会計法案内閣提出、象  議院送付) ○薪炭需給調節特別会計法廃止等に  関する法律案内閣提出、衆議院送  付) ○退職職員に支給する退職手当支給の  財源に充てるための特別会計からす  る一般会計への繰入及び納付に関す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○銀行等債券発行等に関する法律案  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 黒田英雄

    理事黒田英雄君) これより大蔵委員会開会いたします。  本日は先ず、災害被害者に対する租税減免徴收猶予等に関する法律の一部を改正する法律案国税延滯金等特例に関する法律案国税犯則取締法の一部を改正する法律案、以上三案を議題といたしまして、この三案について政府より提案理由説明を伺います。
  3. 水田三喜男

    政府委員水田三喜男君) 只今議題となりました災害被害者に対する租税減免徴收猶予等に関する法律の一部を改正する法律案外二法律案につきまして、提案理由説明いたします。  まず災害被害者に対する租税減免徴收猶予等に関する法律の一部を改正する法律案について、その大要を御説明いたします。  本法律案は、今回の税制改正に関連いたしまして、所得税相続税富裕税法等災害減免に関する規定を整備することといたしたのであります。  先ず所得税につきましては、既に御審議を願いました所得税法改正案におきまして震災、風水害、火災その他これらに類する災害等に因り流動資産以外の資産について損失を受けました場合には、その損失額納税義務者所得金額の十分の一を超過する場合のその超過額所得金額から控除することといたし、流動資産については災害等に因る損失事業所得経費と見る建前をとつているのでありますが、比較的に所得金額の少額な者が住宅又は家財について甚大な被害を受けた場合には従来と同様本法案による簡易な災害減免の方途を認めることを適当とし、納税者は、所得税法規定による災害等控除規定と本法案による災害減免に関する規定とのいずれかを選択できることといたしたのであります。即ち、災害に因り住宅又は家財について甚大な被害を受けた者に対する所得税軽減又は免除を受ける者の範囲は、従来所得金額十五万円になつておりますのを今回三十万円に引き上げることといたしまして、所得金額が十五万円以下のときは、所得税額全額免除し、所得金額が十五万円を超えるときは、所得税額の半額を軽減することといたしたのであります。これによりまして、災害に因り住宅又は家財について甚大な被害を受けた者は比較的に簡易な方法により軽減又は免除を受けうることとなるのであります。  次に、今回創設されました富裕税に関しましても災害減免に関する規定を設けることとしたのであります。即ち、災害に因り富裕税課税価格計算の基礎となつ財産について課税時期後申告書提出期限前に甚大な被害を受けたものの納付すべきその年分富裕税につきましては、従来の相続税の場合に準じ、被害を受けた部分価額控除した金額によりこれを計算することとしたのであります。次に、災害を受けた場合における相続税減免につきましては、今回の相続税法全面的改正に伴いまして必要な整備を行うこととしたのであります。  なお、今回所得税及び法人税につき繰越控除制度が新設乃至拡張されたこと等を考慮いたしまして、昭和二十三年及び昭和二十四年中に生じた災害に因り事業の用に供する資産等につき甚大な被害を受けた者につきましては、個人及び法人を通じてその年において控除できなかつた損失額を、被害を受けた年の翌年から三年間、必要な経費又は損金として認める特例を設け、災害発生の時期の差異による被害負担の著しい不権衡を是正することといたしたのであります。  次に、国税犯則取締法の一部を改正する法律案について御説明いたします。  国税犯則取締法につきましては、国税に関する犯則者取締強化に伴い一層その執行の適正を期するとともに納税者の正当な権利利益を保護する必要がありますので、その適用の実情に鑑み、今回これに若干の改正を加えることといたしたのであります。  即ち、先ず通告処分履行期限を延長いたしたのであります。間接税に関する犯則につきましては、所謂通告処分をするのでありますが、従来は通告後七日を経過して尚履行されないときは告発することとなつているのでありますが、この期間を二十日に延長することとし、できるだけ本制度趣旨を活かそうとしたのであります。  次に、刑事訴訟法改正に対応し收税官吏物件を領置した場合の処理手続及びその効果差押の場合と同様とし、また女子の身体を捜索する場合には成年の女子立会人を要することとする等の改正を行うことといたして居るのであります。  次に、国税延滯金等特例に関する法律案につきまして御説明いたします。一部を改正する法律案外各国税に関する法律案等におきまして本年四月からは従来の国税に対する延滯金及び加算税に関する制度合理化いたしましてその日を軽減いたすことになつて居るのであります。然るに最近の経済情勢に鑑みますと、従来の延滯金及び加算税日歩は可なり重いものと考えられますので、本年一月一日に遡つてその日歩軽減することを適当と認め、この法律案を提出いたした次第であります。  即ち、この法律案によりますと、本年一月二日から三月三十一日までの期間に対する延滯金は従来の日歩二十銭を八銭に改め、また所得税法人税相続税及び通行税の同期間に対する加算税日歩十銭を四銭に改めることとし、なお本年四月以降利子税制度に改められない非戰災者特別税有価証券移転税及び取引高税加算税について本年一月一日以降のものは日歩四銭に改正することといたしてあるのであります。  而して三月三十一日以前に既に延滯金又加算税を従来通りの日歩で納付し又は徴收いたしておりますときは、この法律施行によりまして過納となるわけでありますので、国税徴收法規定によりましてその過納分を他の未納の国税等に充当するか又は請求に基いて還付することになるのであります。  何とぞご審議の上、速やかに賛成せられんことを切望してやまない次第であります。
  4. 黒田英雄

    理事黒田英雄君) 次に国税徴收法の一部を改正する法律案議題といたしまして、政府提案理由説明を求めます。
  5. 水田三喜男

    政府委員水田三喜男君) 只今議題となりました国税徴收法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由説明いたします。  現下の困難な経済情勢のため、最近におきまして国税滯納は著しく増加し、国税徴收法による滯納処分を要する場合も相当増加しているのでありますが、その施行実情に鑑みまして、この際延滯金制度合理化及び差押禁止物件範囲の拡張を図るとともに地方税重要性の増大に基き、国税地方税徴收上の順位改正する等同法に所要改正を加えることを必要と認めたのであります。  即ち、先ず国税徴收順位につきましては、従来国税は他のすべての公課及び債権に優先して徴收することになつていたのでありますが、今回の税制改正に伴い、地方税重要性が著るしく増大いたしましたので、国税地方税とは原則として同順位徴收することといたしました。ただ国税又は地方税滯納のため財産差押をしたときは、差押財産価額程度において、当該差押をした方の租税が優先することとし、又納税者強制執行、破産の宣告或いは競売を受ける場合においては、国税地方税に優先して徴收することとしております。  次は延滯金制度改正であります。従来延滯金日歩二十銭の割合徴收することとなつていたのでありますが、これは現下経済情勢におきましては相当高率になりますので、この際延滯金延滯加算税額に改めるとともに、その額を軽減することといたしました。即ち滯納者督促を受けて、その指定期限までに尚税金を完納しないときは、指定期限の翌日から税金完納日までの期間に応じ、日歩四銭の割合滯納税額の属する各租税の一部とし計算した結果、督促状指定期限現在における滯納税額の五%相当額を超える場合には、五%を最高としこれ以上には増加しないこととしております。  次は差押禁止物件の追加であります。先に申し上げたごとく、最近におきましては徴税に際しましては差押を行わさざるを得ない場合が少くないのでありますが、一面納税者実情をも考えますときは、俸給、給料、賃銀等の、いわゆる給與所得につき、その金額差押えることは苛酷になりますので、今回滯納者の受ける給與所得のうち七五%相当額部分はこれを差押えることができないものといたしました。  次に過誤納となりました国税等を還付する場合に附加する還付加算金につきましては、現行の日歩十銭を利子税額日歩と同様に四銭といたしました。  その他差押財産随意契約によつて売却することができる場合を若干拡張する等所要改正を行うとともに、租税賦課徴收に関する処分又は滯納処分に関する再調査、審査及び訴訟制度及び手続等につき概ね所得税法、その他におけると同様な改正を行うことといたしております。  何とぞ御審議上速かに賛成せられんことを切望してやまない次第であります。
  6. 黒田英雄

    理事黒田英雄君) それでは次に昭和二十五年度における災害復旧事業費国庫負担特例に関する法律案議題といたしまして、本多国務大臣より提案理由説明を求めます。
  7. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 只今提案になりました昭和二十五年度における災害復旧事業費国庫負担特例に関する法律案につきまして、その提案理由及び主要なる事項について御説明申上げます。  地方自治拡充強化は、新憲法の基本方針の一でありますが、これが実現を期するためには、その裏付となるべき地方財政を充実安定させることが是非とも必要であることは、申すまでもないところであります。然るに、近年頻繁に発生する台風、地震等は、戰時中の国土の荒廃と相俟つて甚大なる被害をもたらし、ために地方公共団体財政は、深刻な危機に頻しているのであります。即ち、予知せざる災害発生によりまして、関係地方公共団体は、税收その他の歳入に激減を来たす反面、住民の生命及び財産の保護のため必要な救助事業等に要する経費の支出を余儀なくせられ、就中公共施設復旧事業につきましては、累年巨額経費負担を課せられているのであります。従いまして、罹災地方公共団体はこれらの経費捻出のため、高率課税起債或いは経営費縮減等を余儀なくされ、殊に最近におきましては、地方公共団体負担する災害復旧費の大半が起債に求められる結果、その償還費が長年月に亘る過重な住民負担となり、地方財政健全化に暗い影を投げているのであります。先般来朝したシャウプ使節団もこの点を指摘し、災害復旧費は軽微なものを除き全額国庫において負担すべきことを勧告しているのであります。政府におきましても、従来高率補助金の交付又は災害債利子補給等方法により、災害復旧費に関する地方財政負担軽減にできるだけ勢力をいたして参りましたが、逐年急激な増加を示しつつある災害復旧費地方財政に及ぼす深刻な影響に鑑み、且つは、シャウプ勧告趣旨をも尊重いたしまして、従前の災害復旧事業費に対する一部国庫負担制度に代え、新たに公共的土木施設災害復旧事業費については全額国庫負担建前を採ることにより、罹災地方公共団体財政負担軽減を図ると共に、災害復旧事業の円滑な施行を期することとした次第であります。このために、政府は、昭和二十五年度の予算編成に際し、公共事業費中に四百七十億円に上る災害復旧費を計上すると共に、この制度実施するために必要な基準を法律で定めることといたしたのであります。  以上が本法律案提案いたしました理由でありますが、次に法律案の概要につきまして御説明申上げます。  先ず第一は、地方公共団体が維持管理する河川、海岸、堤防、砂防設備、道路及び港湾の公共的土木施設に関する災害復旧事業であつて地方公共団体施行するものに要する災害復旧費は、昭和二十五年度においては、国庫全額これを負担することができるものといたしたのであります。従来土木施設災害復旧費につきましては、「都道府県災害土木費国庫負担ニ関スル法律」の規定により三分の二の国庫負担が行われていたのでありますが、本法律案は、地方公共団体施設に関する限り、他の法令の規定に拘わらず、これを国庫全額負担とすることができるものとしたわけであります。  第二は、従来、国が自ら災害復旧事業を行う場合には、受益者負担という意味で、地方公共団体から分担金徴收していたのでありますが、これに関しましても、さきに申述べました公共的土木施設につき、明年度において、その分担金の一部又は全部を免除することは当該施設を原形に復旧するものとした場合に要する金額にのみ限定した次第であります。  尚前に述べました一箇所の範囲につきまして被害箇所が短距離で連続している場合及び被害施設の効用上復旧事業を分離して施行出来ない場合は、被害箇所が二箇所以上ありましても一括してこれらを一箇所とみなして工事費を算定するということにいたしました。  次にひとしく災害復旧事業であつても、経済的効果の極めて低いもの、施設管理者や、建設施行者の不注意、怠慢により被害を蒙つたと認められるもの、極めて小規模な施設に関するもの等は、全額国庫負担制度の対象から除外いたしたのでありますが、これらは、貴重な国費を有効且つ適切に使用するという意味からして当然の規定と考える次第であります。  尚本法律案昭和二十五年度限りの特例法といたしましたのは、地方財政の転換期ともいうべき昭和二十五年度において、取敢ず、この制度実施し、昭和二十六年度以降については、本制度実施状況地方財政の状勢とを睨み合せまして合理的且つ恒久的な制度を樹立したいという考え方に基くものであります。更に、本法律案実施細目は政令に委ねることとしてありますが、劃期的な本制度実施に備え、着々その準備を整えている次第であります。  以上本法律案理由及びその内容につきまして説明いたしましたが、何とぞ愼重御審議上速かに議決あらんことを切望いたします。
  8. 黒田英雄

    理事黒田英雄君) 以上政府提案理由説明のありました法案につきましての御質疑はあとに廻すことにいたします。   —————————————
  9. 黒田英雄

    理事黒田英雄君) この場合造幣庁特別会計法案議題といたして御審議を願いたいと思います。本案についてはすでに質疑終了のように存じまするので、質疑終了として、直ちに討論に移ることに御異議ございませんか。
  10. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 ちよつと造幣庁の方にお伺いしたいのですが、今までの補助貨幣自然消滅とか、或いはその他の事由によつて発行したのとそれから何故されたのと、差が相当あると思うのですが、それはどの程度なつておりますか。その明細を一つおつしやつて頂きたい。
  11. 黒田英雄

    理事黒田英雄君) ちよつとお諮りしますが、造幣庁東京支庁長中平君が見えておりますが、説明員として答弁することに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 黒田英雄

    理事黒田英雄君) 御異議ないものと認めます。  それでは御説明願います。
  13. 中平榮利

    説明員中平榮利君) 只今まで発行されました補助貨幣につきましては、初め造幣局と申しましたのですが、造幣庁始まつて以来流通禁止なつたものはございません。従いまして特に流通を止めまして、回收を意識的にいたしましたものはございません。ただ素材関係で、例えば白銅貨幣とか、或いはニッケル貨幣、そういつたものは、一旦入りましたものは出さないで、多少はストックしたものがございますが、そんな関係只今質問がありましたように発行しました発行高から、回收されない未回收のものが大分あるのじやないかというお話でありますが、特にそういうふうの回收努力と申しますか、未回收を意識的にやつたことはございませんで、本当の未回收というものが幾らあるかというような計算はいたしておりません。
  14. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 ちよつとその推定でも、あらましでも分らんですか。
  15. 中平榮利

    説明員中平榮利君) 只今まで発行されました補助貨幣につきましては、初め造幣局と申しましたのですが、造幣庁始まつて以来流通禁止なつたものはございません。従いまして特に流通を止めまして、回收を意識的にいたしましたものはございません。ただ素材関係で、例えば白銅貨幣とか、或いはニッケル貨幣、そういつたものは、一旦入りましたものは出さないで、多少はストックしたものがございますが、そんな関係只今質問がありましたように発行しました発行高から、回收されない未回收のものが大分あるのじやないかというお話でありますが、特にそういうふうの回收努力と申しますか、未回收を意識的にやつたことはございませんで、本当の未回收というものが幾らあるかというような計算はいたしておりません。
  16. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 それから新聞に出ておりましたが、一円以下くらいの補助貨幣は、これを小学生をしていわゆる回收させて、公共事業か何かに使用した方がいいんじやないかというようなことがあつたようですが、大変結構な企てだとは思うのですが、それをどんな形で実行に移すかということをこの際発表して頂きたい。
  17. 中平榮利

    説明員中平榮利君) 一円以下の補助貨幣回收問題につきましては、只今造幣庁理財局、その他関係方面といろいろ打合せをしておりまして、まだ特に発表いたす程の確定的な案を作つておるわけではございません。研究中でございます。
  18. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 それで、若しそれが実現されるとすれば、どのくらいの額に上る予定ですか。
  19. 中平榮利

    説明員中平榮利君) 一円以下の補助貨幣発行高が昨年末現在で八億四千八百万円でございます。
  20. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 それでどのくらいの、さつき私が言つたような目的に供せられるかというその見込……
  21. 中平榮利

    説明員中平榮利君) この八億円と申しますけれども、この中には、例えば只今申上げましたまうにニッケル貨幣とか、白銅貨幣というように素材価値額面価額より高くなつているものがあります。前に発行されました一銭とか、二銭とか、或いは五十銭、そういつたようなものは殆んど返つて来ないと思います。それで実に只今も御質問のありました小額銅貨回收につきましてもまだ草案中でございまして、細かい計算はいたしておりませんが、八億円と申しましても、返つて来る額は実際は極めて僅かなものじやないかと思います。それと回收する方法でございますが、流通禁止という措置を探るのもどうかと思いますので、どうするかということを考えておりませんが、流通禁止でなしに意識的に回收されるとすると、尚更回收される額は少いと思いますので、金額的には大して多くなることはないじやないかと考えております。
  22. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 そうしますと何ですね。八億四千万見当のものは殆んど返らないということにつきまして、この分はいつかは予算か何かにいわゆる政府雑收入としてでも計上されるというようなことになつて来るのですか、その点は佐藤政府委員あたりはどんな工合に処置なさるか、今から承つておきたいと思います。
  23. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) お答えいたします。現在は差当つて問題はございませんが、万一いろいろな手段を講じてどうしても回收できないというようなものがございましたら、これは当然国庫に帰属すべきものと思つております。ちよつとその金額只今のところはつきり予定できないのであります。
  24. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 それは予算にいつかは計上されるのですね。
  25. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) そういうものはちよつと予定のできないものでございますので、多くの場合に雑收入として予定されないものが国庫に入つて参ります。計画的に收入予定されております。
  26. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 相当なものが入つて来るわけですね。
  27. 黒田英雄

    理事黒田英雄君) 他に御質疑がございませんければ、直ちに討論移つて異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 黒田英雄

    理事黒田英雄君) 御異議ないと認めます。  それでは討論に移ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願いたいと思います。  別に御発言がないようでありますから、討論を終局いたしまして、直ちに採決に移ります。  造幣庁特別会計法案を原案通り可決することに御賛成の方の御挙手を願います。    〔総員挙手
  29. 黒田英雄

    理事黒田英雄君) 全会一致と認めます。よつて本案全会一致可決せられました。  尚本会議における委員長口頭報告内容は前例によつて委員長にお任せ下さることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  30. 黒田英雄

    理事黒田英雄君) 御異議ないと認めます。  尚委員長議院に提出しまする報告書に多数意見者署名をすることになつておりますから、どうぞ順次本案を可とせらる方は御署名を願います。   多数意見者署名     櫻内 辰郎  伊藤 保平     九鬼紋十郎  玉屋 喜章     平沼彌太郎  木内 四郎     油井賢太郎  小宮山常吉     米倉龍也    〔理事黒田英雄君退席、委員長著席〕
  31. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御署名洩れはございませんか、ないと認めます。それでは午後一時まで休憩をいたします。    午前十一時五十六分休憩    ——————————    午後一時四十一分開会
  32. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 休憩前に引続き会議を開きます。  薪炭需給調節特別会計廃止等に関する法律案の御審議を願いたいと存じます。御審議に先だちまして薪炭課長からちよつと御説明いたしておきたいことがあるそうでありますから、課長の御発言を願います。
  33. 濱田正

    説明員濱田正君) 薪炭特別会計の現在までに至る整理の状況につきまして御説明申上げます。御手許に差上げました一番上にあります表が結論的なところを書いてあります。更に内容につきましては次の項に書いてありますからして、先ず結論的なところを先に申上げますと、最初の表で二月末現在の貸借対照表並びにその下に三月末の推定貸借対照表を掲げてあります。先ず二月末現在、これは確定しておりますから、これについて申上げますと、五十四億七千万円を前回の国会において御承認を願いまして、直ちに支拂を始めたのでありますが、二月末の現況で申しますと、利益として四億八千六百万円の利益状況なつております。これは五十四億七千万円を御承認願いましての話でありまして、二月末現在におけるいわゆる赤字と申しますのは、この五十四億七千万円、この貸借対照表において四億八千六百万円という黒字になつております。これを差引きました四十九億なにがしというものが二月末における赤字、こういうことが言えるのではないかと、かように考えるわけであります。  それから三月末の推定、バランス・シートで申しますと、この二月から收入を上げまして、三月末の推定におきまして、大きな問題につきましては、借方の方にあります收入未済十五億という問題と、それから借方の方にあります支拂未済、これは薪炭証券九億というものが、後から御説明申上げまするが、残念ながら返りきれないという状況が相成つたわけであります。その他日通とか機帆船などに対する支拂未済がまだ一億七千九百万円が三月末において残つていたという状況であります。  次に收入状況を申上げますと、その次の項に書いてありますが、これは四、五、六、七まで、これは特別会計が機能を発揮しておりました時代であります。八、九、十、十一以下現在まで生産済に入つておるわけであります八、九、十、十一は薪炭の不要需要に入りました関係もありまして、收入が一月平均で見ますると六百万円、七百万円程度しかよつておりません。十二月におけるいわゆる民間取引の決済期を利用して相当の努力をかけまして、一二月から逐次收入が上つて参つたわけであります。十二月ではこれにつきまして一日平均一千七百万円程度まで上りまして、今度は三月の年度末を控えまして三月中に四億程度は上るものと、かように考えておるわけであります。それからその收入状況の裏に、これを受けました支払い状況を項目別に書き分けましたわけであります。それからその次は、二月末收入済の一八億の内訳、卸売業者、集荷業者、日通、海運業者というふうに一八億の收入未済の業者別内訳を記載しておるのであります。それからその次の裏を御覽願いますと、政府手持薪炭処理状況、これは前回の大蔵委員会におきまして相当の論議がありました、いわゆる手持薪炭の値引をどのようにして処理したかということであります。前会で行政管理庁の報告によりますと、政府手持の薪炭は五割から六割の値引をせざるを得ない状況ではないか、そうすれば損失として両十億程度出るのではないか、こういうふうな報告がありまして、それを繞つていろいろと御審議願つたわけでありますが、その実績を申上げますと、八月一日、つまり特別会計が止まりまして清算の段階に入りまして、二月末までに売拂いましたものであります。全体としまして二月末までには一割六分引というところで売拂つたわけであります。それから三月中に売拂い得るものを推定しますと、三割二分引、全体を通じまして約一割七分引程度によつて売拂ができたわけであります。これは総体としての数字でありまして、ものにとつて政府は買つたときよりも以上に有利に売つたものもありますし、ものによつては五割、六割までに売らざるを得なかつたものもあります。総体として通じてみますれば、約一割七分程度で売拂をやつたわけであります。それからその次の表にありますのは、いわゆる現物不足薪炭の処理でありまして、これも前回の国会におきまして審議を願つたのでありますが、その後の処理の状況を一覽表にしたわけであります。一番上の欄にありますのは不足数量、それから処理をしたのが幾らか、その内容がその次の欄にあるわけであります。そうしますというと、不足数量に対して現在までに処理しましたのは、木炭につきまして七六%というものが判明したわけであります。薪につきまして三〇%、ガス薪について八五%というものを処理したわけであります。その後のものは承だ処理未済として残つておりまして、現在著々とその責任を追究しつつあるわけであります。その処理済の内訳、どういうふうに処理したかというのがその次の欄に書いてありまして、最初の段がいわゆる空気木炭と申されますか、烏木炭と言いますかそういう現物で補填したもの、それから現物で補填することができないで、弁償金として徴收したもの、それから輸送車の行方不明というような原因で掲げでありました中から、相手方に渡つておるということが分つて売拂いの調停をしたもの、それから前回の表に差上げましたように、保管中に火災或いは盗難或いは水害、そういうもので亡失したというもので、明らかに不可抗力であるということの証明がつきまして、国損として会計検査院に報告してあるもの、それから最後に問題の点は、その他帳簿から減じた数量というものがありまして、この帳簿から減じたとは何ぞやといいますと、その内容がその下の欄に書いてありまして段段と整理して参りますというと、戰災に罹つた。それで処理すべきものを処理しないで、そのまま帳面上に現物があるものとして載つておつた。例えば高知から大阪に送るときに船が沈没した、それを処理するのをしないで帳面上は残つておつた、こういうものとか、或いは二重に記帳して、そのために帳面としては、それだけの数量が残つておつたとか、或いは前年度から翌年度に繰越す数量に算盤違いとか、誤記があつた。或いは買上げを中止しまして代金を回收したが、帳面からそれを落すのがぬかつておつたというものとか、或いは最後の受領証が着地より送つたが途中で紛失したために分らなかつた、それがその後の清算の進行によつて分かつて来たという数字であります。最後の点はもう少し説明を申し上げないと分りにくいかも知れませんが、例えば、岩手県から東京に百トン送つたということになりますというと、岩手県の木炭事務所においでは百トンという数字が帳面の上では載つかります。それが東京に確かに着いた、つまり東京から着いたという受領証が岩手県に行つたときに、初めて岩手県の帳面が落ちる——こういう帳簿組織になつておりまして、それが受領証を出すのがぬかつておつたとか、或いは受領証は東京としては出したつもりでおつたが、岩手では着いていなかつたとか、こういう事務上の何といいますか、不手際ということによりまして本当は帳面から落して置くべきものが帳面に裁つ、かつておつたと、こういうのが清算の進行に伴いまして逐次分つて来ましたわけであります。そういう数字がこれに載つておるのであります。金額といたしまして処理済みが約六億三千万円でありまして、このうち現物補填とか或いは弁償金の調定しか何かによりまして、いわゆる政府に金として返つて来るものが約二億五千万円、国損として落ちるものが一億四千九百万円、最後に申上げました帳簿組織の不備によりまして、帳面上に上げるべからざるものを間違つて、今から考えますれば上つておつたものが、これが二億三千六百万円、合計六億三千万円、こういうむのが現在分つて来たわけであります。これからの清算の進行に伴いまして、爾後の処理未済というものをこれから最後まで追究して、明らかにしたい、かように考えておるわけであります。  それから最後の表は、半ぺらの表が最後に付いておりますが、全国に四十七、北海道に二つの木炭事務所がありますが、逐次清算の完了次第廃庁、閉鎖して参つて来ておるわけであります。三月十五日現在で行きますと、十三の事務所を閉鎖しまして、三月末までに更に十三、合計二十六の事務所を閉鎖するという予定で、この予定は確かにこの通り行けるだろう、かように考えたわけであります。残るは二十一事務所が残りまして、二十五年度においてこの清算事務を続行いたしたいと、かように考えておるわけであります。  大体あらましでありましたが、この特別会計の清算事務を御説明申上げたわけであります。
  34. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御質疑がありましたらこの際お願いいたします。
  35. 西川甚五郎

    ○西川甚五郎君 そういたしますと收入未済の十五億ですね、それと、証券と支拂未済と、これは実際問題として見合うわけでありますか。
  36. 濱田正

    説明員濱田正君) 実際問題としましては、まだ建物とか機械、器具とか備品がありますから、收入未済は十五億です。
  37. 西川甚五郎

    ○西川甚五郎君 この收入出済のうちでどれだけ果して返つて来るのですか。
  38. 濱田正

    説明員濱田正君) この問題ですが、この支拂未済、つまりこれだけのものを一挙に拂うということになりますれば、相当相手方に対して無理をかけなくちやならんということになります。ところが実際我々が收入の督励をやつて参つたわけでありますが、短兵急に行く、押つかて行くという行き方、例えば、最後の手として差押えを行き方としては非常に勇ましいやり方ですが、実際問題としては、相手側の能力以上に政府の債権がある、こういう関係がありますからして、相当辛抱強く相手方を倒さんように、商売を続行させながら取つて行く、こういうやり方をやれば、十五億というものは殆んど回收でき得るのではないかと、かように考えております。
  39. 西川甚五郎

    ○西川甚五郎君 今おつしやつた俄かに取らずに、自然に取つて行くというようなやり方ですね。これは本当に十五億というものは取れるという自信はあるのでございますか。
  40. 佐木義夫

    説明員(佐木義夫君) これにつきましては、私らも非常に心配しておるのでありますが、現在のところ即決和解の方法によりまして法的にはつきり期限を決め、そうして二十五年度中に頂くというような方法を採つております。それで十五億というものは遅くも二十五年度中には全部回收できるものと、このように確信しております。
  41. 米倉龍也

    米倉龍也君 そうすると債務としてどうしても拂わなければならんものが十億以上あるわけですが、それを、大体十五億を取つてやれば、結局今年中にそれだけ取るとすれば幾らか残るわけですか、この会計としては利益になるわけですか。
  42. 佐木義夫

    説明員(佐木義夫君) この表に書いてありますように、本年度の利益の四億八千六百万円、これがいわゆる残つて出るのではなかろうか。このように考えております。
  43. 木内四郎

    ○木内四郎君 この薪炭特別会計のことについては、今期国会の当初において、五十四億余りのものを一般会計から繰入れるような不始末になつたので、国民が多大の関心を持つているんですが、二月末の貸借対照表の、五十四億というものは当然損であるということを先程御説明なつた通り考えて、ここには少しも計上していないわけです。ですからその計上していないとなると、さつき課長から御説明を伺つて、不足薪炭の処理状況ということで、いろいろ御説明になりましたけれども、それはこの表に対してはどういうことになりますか。何ら見込んでないということになりますか。
  44. 濱田正

    説明員濱田正君) 五十四億の損は当然というふうに考えているものではありません。貸借対照表としては二月末の状況を出しただけでありまして、五十四億という数字は直接にこの表に載つて参りません。それとの関係で御説明申上げましたのは、四億八千六百万円というのが、利益として出ておりますが、内容の実際は前回の国会で五十四億八千万円繰入れるようになりましたから、四億八千六百万円という利益を差し引いた、つまり五十九億八千万円というものが二月末における損と、こういう状況になるわけであります。それから先程不定薪炭の処理状況と申しましたが、そこで政府側の歳入になるものは、当然この調定をしたものは收入未済というところに乗つかつて出るわけであります。
  45. 木内四郎

    ○木内四郎君 併しさつきあなたから御説明を伺つたのですが、不足薪炭の処理状況というのは、今日尚進行中でしよう。
  46. 濱田正

    説明員濱田正君) はあ。
  47. 木内四郎

    ○木内四郎君 それは両建てにここに挙げてもいいんだけれども、一方に五十四億円というこれに対しても、一方に未確定の資産というものは相当あるべき筈です。それだけこれを、二月末貸借対照表から除けて、それで而も利益だという計算を出しておられるのは如何にも不可解だと思います。
  48. 濱田正

    説明員濱田正君) 不足薪炭の、これから更に追究して行けば今の御指摘のように、たしかにその点は不確定であります。従いましてこれに対して更にプラスという要素として出て来るわけであります。マイナスという要素にはなりません。プラスという要素として出て来るわけであります。
  49. 木内四郎

    ○木内四郎君 それは勿論当然のことで、その上で又マイナスが出て来るというのであつては非常に困るのですが、あなた方はこの二月末の貸借対照表を書かれるときにおいて、すでに五十四億というのは損になつたのだ、それを考慮に入れて、実際利益が四億八千六百万円出るという考え方をしている、貸借対照表としては。この前のあの法案が通過する際にも、この参議院としては厳重に警告を與えて、この処理についてはできるだけ国庫負担を少くするようにして貰いたい、一応は五十四億円というものを繰入れるけれども、跡始末はできるだけよくやつて貰いたいということを申述べである筈です。ところがそれは別にしてかそして利益が出たというような計算にしてあると、とかく整理がおろそかになり勝ちになるのです。やはり未確定のものなり、処理をしないならしないというものを、ここに挙げていなければならないと思うのですが、そしてそれをできるだけ損にならないように努力して行くということで、初めて我々がこの前の法律を通したときの希望に合うわけですが、こうなつて来ると、当然そんなのは取れなくても構わんという考え方でなければ、こういう表ができないと思うのですね。
  50. 佐木義夫

    説明員(佐木義夫君) 只今お話は私も御尤もと存じ上げます。実はこの表を作るとき、今のお話のように作るべきだつたろうと思いますが、こういうふうになつたことについては非常に申訳ないと思います。併し私共の気持といたしましては、飽くまで五十四億七千万円のあれを少しでも少くやりたいという気持でそこに邁進しているということだけは一つ御了承を願いたいと存ずる次第であります。
  51. 木内四郎

    ○木内四郎君 そうすると、さつきお話がありましたが、一体利益が出て来るというのだが、さつきの処理状況のことがよく分らないのですが、どのくらい一体利益が出て来るという見通しですか。
  52. 佐木義夫

    説明員(佐木義夫君) 大体これは、これからの推定でありますからして、はつきり申上げられないのですが、今までの処理状況と同じような率で残りの数字が探究できるといたしますれば、約二億四、五千万円は出て来るのではないかとかように推定しているわけです。
  53. 木内四郎

    ○木内四郎君 二億……
  54. 佐木義夫

    説明員(佐木義夫君) 二億四、五千万円出て来るのではないか、これは今までの処理したもので、現金で回收なつて、帳面で間違いになつたものと同じ数字で、これから残つた数字も探究できるといたしますればと、こういう推定です。
  55. 木内四郎

    ○木内四郎君 そうすると当初世間でいろいろ噂されておつた残り五十四億円というのは、すべて空気であり、からすであつた、そのうち二億数千万円しか残らない、後は皆ないような、なかつたということになるわけですね。
  56. 濱田正

    説明員濱田正君) この前の、現物不足というので、それを換算しまして約十億何がしという数字で換算したわけです。それを現在まで探究して参りまして、今まで收入として出て来たのが二億四千万円、将来同じような率で出て来るならば、二億四千万円、合計五億円という程度のものが現物不足の中から、国の債権として取立て得る、回收し得るというものが五億円出る、かように考えられるわけです。
  57. 木内四郎

    ○木内四郎君 銀行等で……会社でも同じことですけれども、不良資産として一応消却して帳簿から落してしまうと、その整理というものがとかく緊張を欠いておろそかになり勝ちなんです。そこで我々の希望としてはできるだけこれを最後の処理が済むまでは、こういう表等に挙げておいて、それを成るべく活かすことの努力をして貰いたいと思うのです。
  58. 濱田正

    説明員濱田正君) これは我々として決しておろそかにしようとは毛頭に考えていないのでありまして、各木炭事務所には出納簿がありまして、出納簿の残というものがあれば、とことんませ追求して明らかにして、出納簿が明らかになつてから各木炭事務所を廃庁して行く、こういうふうに仕事を進行しておりますからして、出納簿において何か妙なものが出て来れば、それを徹底的に洗つてからでないと木炭事務所は廃庁しないというこういうやり方でありますから、決しておろそかにせん、最後まで綺麗にした上でやりたいとかように考えておる次第であります。
  59. 木内四郎

    ○木内四郎君 勿論そうあるべきことで、あなた方は別におろそかにしておるとは私も考えないのですけれどもまあ人情として一応帳簿から落したり、この表から落とすということになると、すべてどこの会社でも、何でも経理に当る人はややもすればそういうことになり勝ちであるから、そこを注意して貰いたいとうことをお願いしておきます。
  60. 森下政一

    ○森下政一君 御説明を承らなかつたのですが、恐らく木内君から御質問があつたと思うので、重複になるかも知れませんが、この会計を廃止するということについては、私は何も異存はないのですが、昨年末にこの薪炭の赤字補填のために一般会計から莫大な繰入れをした。当時これは全く国民から徴收した税金赤字を埋めるというわけで、国民から見れば非常に不満のある処置である、当り前の正道を歩んだ処置でないということを考えれば、誠に相済まんという気持に当局はならなければならん。当時委員会に列席した大蔵大臣にも、政府委員にも、責任を感じるかというような、農林大臣に政治的な責任を感ずるかということを質したときに、誠に相済まんと思つておるという御言葉が出た。事務当局もそういう御言葉が出た。ついては当然納入さるべき薪炭であつて、納入未済になつておるものは谷、後折角納入せしめることに努力をする、或いは当然回收しなければならん債権というものは、極力これを回收することに努める、赤字の補填額をできる限り少いようにしたいというようなことであつて一応諒としたわけであります。国民に対して相済まん、こういう処置をするということは止むを得ないのであるけれども、誠に数人の当局の怠慢であるとか、いろいろな原因が積み重つたわけであるけれども、本当に相済まんのだという気持が深ければ深い程、強ければ強い程債権の回收ということにも熱意を持つて回收ができる筈だということをその時に申して置いたのでありますが、今正に年度末を控えて、当時から今日までの間にどういうふうに当時約束された熱意が具体化されて、どういうふうに債権は回收されておるか、如何に赤字補填の額が少く済むように処置されておるか、そういう点を一つ明確にして貰いたいと思うのです。
  61. 佐木義夫

    説明員(佐木義夫君) 只今森下さんからのお話の通り、私ら事務当局のものといたしまして誠に申訳ないと存じておる次第でございます。今国会の初めに五十四億七千万円を繰入れて頂きまして、その後私らといたしましては、債権の回收に非常な努力をやつて、参つた次第でございます。私らの力の及ばないところは或いは経済調査庁にお願いし、只今のととろは法務府にお願いもいたしまして、極力債権の回收努力いたしまして、少しでもあの五十四億七千万円が少くなるように盡力をしておる次第でございます。  收入の点におきましても、二頁の方を御覽頂きたいのでありますが、八月から十一月までには、一日平均七百万円ぐらいの收入しかなかつたのでありますが、十二月、一月、二月におきましては私らの林野庁の者が総出いたしまして努力いたしました結果、一千七百万円から一千二百万円というような、いわゆる八月から十月以上の收入があつたというような状況でございます。今後におきましても、この債権の回收、特に赤字の少くなることにつきましては極力努力いたしたいと存じておる次第でございます。
  62. 九鬼紋十郎

    九鬼紋十郎君 現物不足の薪炭の処理状況のうちで、結局国損に属するもの、或いはその帳簿から減じた数量、そういつたものは結局損失になるのだと思いますが、そのパーセンテージが四八%で、相当の額になつておる。その全体の金額、或いは帳簿から減じた数量は全部当つて計算されたのですか、予想でやられたのですか。
  63. 濱田正

    説明員濱田正君) これは各木炭事務所の整理状況を集計したものでありまして、予想ではありません。現実に帳面に当つてやつたわけであります。
  64. 九鬼紋十郎

    九鬼紋十郎君 その金額は……
  65. 濱田正

    説明員濱田正君) 現物補填とか、或いは弁償金の徴收とか、売拂の調定とかによりまして收入として確実になつたものが二億四千五百万円という数字でございます。それから不可抗力と認定して検査院に報告して国損となつたものが一億四千九百万円、それから帳面においてすでに整理しておらなければならんものが整理未済で残つてそのまま評価現物となつておつたというものが二億三千八百万円、合計六億三千三百万円というものが現在までの処理した内容であります。
  66. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 他に御質疑ありませんか。
  67. 黒田英雄

    黒田英雄君 ちよつとこの法案を拜見しますと、附則の第四項は、国営競馬特別会計法の一部の改正であつて、これは薪炭需給調節特別会計法とは何ら関係がないのじやございませんか。ただ廃止の際に一緒にくつ付けてやつたに過ぎないのですか。
  68. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) お答え申します。国営競馬特別会計法を制定いたしますときに、農林省の関係でもございます。且又特別会計の性質が大体似ておりますので、その関係條文の大部分は薪炭の会計から準用したわけであります。そこで今回薪炭の会計を廃止いたしますので、その準用規定がおかしくなりますので、特別に国営競馬の方に従来準用しておりましたものを改めて條文として挿入する必要を生じましたので、こういうに出したわけであります。
  69. 森下政一

    ○森下政一君 これは木内さんが質問されたと思いますが、二月末貸借対照表というもののうちで、本年度の利益というのはどういうわけですか。
  70. 濱田正

    説明員濱田正君) これは五十四億七千万円というものが入つたということが既定の事実になつ貸借対照表というものができ上つたものでありますから、従いまして本年度といつても五、十四億七千万円が入つてからの話でありますから、逆に裏から申すと、赤というものは五十四億七千万円から四億八千六百万円を引いたものが赤ということになる。それが入つたことが前提となつ貸借対照表の二月末現在というのが出ておるわけであります。だから五十四億七千万円が入つていませんでしたら、四十九億八千万円という本年度損ということが出て来るわけであります。
  71. 森下政一

    ○森下政一君 その損が一般会計から赤字補填したものとこの利益なつたものの結局差額ということになるのですか。
  72. 濱田正

    説明員濱田正君) そういうことであります。
  73. 木内四郎

    ○木内四郎君 今のような疑問が起るからさつき申上げたのですが、この貸借対照表は未拂の状態にある非常に大きなXというものが落されておる。だからこういうような貸借対照表の書き方は非常によくない。不都合だと思う。これを政府は今後出すときには注意して頂きたいと思う。
  74. 小宮山常吉

    小宮山常吉君 薪炭のこの前の別の大きな損失の五十四億何がしというのは今どういうふうに処理してるんですか。
  75. 佐木義夫

    説明員(佐木義夫君) この別の場合には五十五億くらいの赤字があるのではなかろうかと想定したわけであります。それが整理をやりまして五十四億七千万円繰入れて頂きまして、あといろいろ整理をやつて見ましたところ、二月末で四億八千六百万円くらいの利益なつた、結局五十四億七千万円から四億八千六百万円引いた四十九億くらいの赤字になるということになつたわけであります。
  76. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 外に御質疑はございませんか。御質疑がありませんならば、質疑を終局して、討論に入ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  77. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) それでは、討論に当りましては賛否を明らかにしてお述べを頂きたいと存じます。
  78. 木内四郎

    ○木内四郎君 民主党は本法律案に賛成いたします。但し先程来質疑応答の中でも明らかでありましたように、一般会計から赤字補填として繰入れました五十四億七千万円の損失はできるだけこれを少なくするように努力されると共に、今度ここに提出されました貸借対照表によりましても、このうち收入未済というものが十八億五千二百余万円というように計上されておる。これは政府委員説明によりますというと、二十五年度中には回收される見込であると言われることであるけれども、我々は従来の薪炭会計の処理状況などから見て、この点について非常に疑惧を持つておる。一方支拂未済が六億八千九百余円、当然拂わなければならん政府の債務として、薪炭証券九億円というものがある。若し今後においてこの処理状況を誤りますならば、本国会の当初において繰入れました五十四億七千万円の上に更に多額の繰入れをしなければならん。今度は勿論この会計が廃止されますからして、この債権債務ということは一般会計において引受けることになりますけれども、実質的に国民の負担になり、莫大な金額が補填されなければならんという結果になりはしないかということを惧れているのであります。我々はこの会計の処理に当つて特に注意して置きたいのは、さつき申しましたように、五十四億七千万円の損失も極力減らすようにすると共に、收入未済の回收について最善の努力をすることを希望いたしまして、本案に賛成いたします。
  79. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 外に……
  80. 森下政一

    ○森下政一君 社会党はこの法案に対し賛成いたします。昨年末薪炭特別会計に対する莫大な赤字補填を一般会計から繰入れたいという法案審議未了になつて終つたわけであります。ということは取も直さずかような異常な処置をするということが芳しいことではないということと、もう一つにはさような赤字がどこに原因したかということを討議究明して見ると、ひとり現内閣だけではないが、歴代の政府側の手落ちにあり、事務局の怠慢にあり。或いは地方出先機関の極めて杜撰な事務処理にあり、かようなことについて、究極するところ国民が課税負担においてこれを穴埋めしなければならない、こういうことになつている。十分この木炭統制時代に配給も受けていない国民が、寒気を堪え忍んで闘つて来て、而もその上剩え多額の補填を引受けなければならない、というようなここで、国民の側から見れば被害の累積というような状況にあるというふうなことで、論議がさような点に集中されて、とうとう本院では審議未了に終つた。ところが本年度におきまして政府が更に提案いたしまして、数の上で漸く辛うじて赤字補填の案が成立したというような状態であつたのでありますけれども、当時その法案審議の際に再三当局にも質したように、熱意を持つて、相済まんという考えで回收することに努力をする、そうして国民の損失を少くするということに心掛けて貰いたいということを強く要請したのでありますが、この会計が廃止になりましても、その精神は一貫して持続するので、只今木内委員が言われましたように、できるだけこの赤字を少くするということに努力をして貰いたいということを重ねて強く要請して、賛成することにいたします。
  81. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 外に御発言はありませんか。
  82. 平沼彌太郎

    平沼彌太郎君 自由党はこの案に賛成いたします。もともと統制経済というものは一定の価格を決めて高く儲けることができないようにしておりますので、赤字が出易いと思います。いろいろな公団その他も今後こういうような問題が起きるのではないかと思つて心配しておりますが、殊に薪炭というようなものの統制は実にむずかしいのでありまして、然るにこのたび二三年の聞の東京市民が寒さを凌ぎ得たという半面の功績を認めなければならんとも思います。それでこの決算の情勢を拜見しますると、相当に苦しんで金を集めていらつしやるという面もありますので、この点措置しなければならんと思うのですが、先程木内委員の言われたように是非共赤字を最小限度に、それからもう一つは早く地方にできておりまする出先機関の事務所を廃止するように努力して、頂くことを條件といたしまして、この案に賛成をいたします。
  83. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 外に御発言はございませんか……御発言もないようでありますから、採決をすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  84. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) それでは薪炭需給調節特別会計法廃止等に関する法律案を原案通り可決することに賛成の方の御挙手を願います。    〔総員挙手
  85. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 全会一致と認めます。よつて本案全会一致を以て可決することに決定いたしました。  尚本会議における委員長口頭報告は、委員長において本案内容、本委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することとして御承認願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  86. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御異議ないと認めます。  委員長議院に提出する報告書に多数意見者の御署名を願います。   多数意見者署名     黒田 英雄  伊藤 保平     九鬼紋十郎  森下 政一     西川甚伍郎  本沼彌太郎     木内 四郎  小宮山常吉     米倉 龍也
  87. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御署名洩れはありませんか……。なしと認めます。   —————————————
  88. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 次は退職職員に支給する退職手当支給の財源に充てるための特別会計簿からする一般会計への繰入及び納付に関する法律案の御審議を願います。御質疑等がありましたらこの際御質疑をお願いします。
  89. 木内四郎

    ○木内四郎君 退職職員に退職手当を支給する根拠は現在政令によつているのじやないかと思うのですが、その政令はこの三月末で期限が切れるのではないのですか。その後に対して政府はどういう措置を採られるお考えですか。
  90. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) おつしやいます通りでございまして、只今政府職員の退職手当は昭和二十四年の七月の政令二百六十四号によりまして、昭和二十四年度総合均衡予算実施に伴う退職手当の臨時措置に関する政令というのによつて出ておるわけでございます。只今お話がありましたように、これは飽くまで臨時の措置でございまして、根本の立法がなされるまでのものとして、この三月で切れる予定なつておるのでございますが、いろいろな関係からまだそこまでの立法に至りませんので、差当たりまして只今の制令を更に一年間適用を延期するという手続を進めております。
  91. 木内四郎

    ○木内四郎君 それ近々に公布になる予定でありますか。
  92. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) はあ。
  93. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 外に御質疑はございませんか。
  94. 木内四郎

    ○木内四郎君 第一條によりますと、その退職した職員で失業しているものに対し云々という規定がありますが、失業ということが條件になつておるのですか、これには……
  95. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) それは只今引用して申上げましたところの退職手当に関する政令に規定がございまして、失業保険法の規定によりまして計算したところの失業保険金の日額の百八十日分に相当する金額が満たないものを退職手当として貰つたものに対してだけその不足分を與えてやろう、但しその不足分を與えるやり方は、恰も失業保険において失業保険金を支給するのと同じようなやり方で支給してやろう、こういうことにこの政令で定まつてございます。即ち失業保険金の給付を受けるのと同じやり方、と申しますると、御承知のように、失業保険金の支給を受けます者は、毎週失業の認定を職業安定所において受けなければなりません。而して現在も尚失業しておるということを職業安定所において認定を受けまして初めてそれの支給を受ける。こういうことになつております。それと同じやり方をこの場合にも適用するということになつておるわけであります。
  96. 木内四郎

    ○木内四郎君 それは法文で実はちよつとはつきりしない点があるのですけれども、二十四年政令二百六十三号の方についてだけそうですか。それともここに引用してある二百六十四号についても同様ですか。
  97. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) さようでございます。
  98. 木内四郎

    ○木内四郎君 そうしますというと、私の了解が間違つておるかも知れませんか、職員その他が退職する際に支給するのは、この法律の第一條の範囲外ですか。
  99. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) さようでございます。
  100. 木内四郎

    ○木内四郎君 念のために今一度そこのところを明らかにして置きたいのですが、退職する際に支給する退職手当というものは、第一條の規定範囲内であるが、昭和二十四年政令二百六十四号によつて支給されることは確かですか。
  101. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) さようでございます。
  102. 木内四郎

    ○木内四郎君 そうしてその政令がこの四月一日以降も延長される、こういうことですか。
  103. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) さようでございます。
  104. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 外に御質疑はございませんか。……御質疑がなければ、質疑を終局して討論に入ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  105. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御異議なしと認めます。討論は賛否を明かにしてお述べを願いたいと存じます。……御発言もないようでありますから、本案を採決することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  106. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) では、退職職員に支給する退職手当支給の財源に充てるための特別会計等からする一般会計への繰入及び納付に関する法律案を原案通り可決することに賛成のお方の御挙手を願います。    〔総員挙手
  107. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 全会一致と認めます。よつて本案全会一致を以て可決すべきものと決定いたしました。本会議における委員長口頭報告は、委員長において本案内容、本委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することとして御承認をお願いすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  108. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御異議ないと認めます。委員長議院に提出する報告書に多数意見者の御署名を願います。   多数意見者署名     黒田 英雄  伊藤 保平     九鬼紋十郎  西川甚五郎     平沼彌太郎  木内 四郎     小宮山常吉  米倉 龍也     藤井 丙午
  109. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御署名洩れはございませんか……なしと認めます。   —————————————
  110. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 次は、銀行等債券発行等に関する法律案の御審議を願います。御質疑がありましたら、御質疑を願いたいと存じます。
  111. 黒田英雄

    理事黒田英雄君) 勧業銀行とか興業銀行とか、北海道拓殖銀行等から出しておる債券の高というものは、これは資料に出ておりますか、現在の残高は。
  112. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) お手元の資料に入つております。興銀につきましては百七十五億、勧銀につきましては四十億、北拓につきましては三千七百万円、農中が十八億九千万円、商中が五千三百万円、これは二十五年一月末現在でございます。
  113. 黒田英雄

    黒田英雄君 この法律の結果、債券を出し得る力は各銀行についてはどれくらいになるのですか。
  114. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) お手許に配付いたしました表の中にございますが、興銀二百七十八億、勧銀百二十億、北拓十四億、農中六十六億、商中五十億、計五百二十八億が昭和二十五年度に発行される見込をつけております。
  115. 木内四郎

    ○木内四郎君 まだよく実は読んでないので、或いは誤解しているかも知れないのでありますが、この法律によると、債券の発行は自己資本の二十倍に相当する金額から預金総額と金融債を引いた残額ということになつております。
  116. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) ええ。
  117. 木内四郎

    ○木内四郎君 そうすると、勧業銀行とか、その他特別の法律で、二十倍まで発行し得るものはすでにあつたように思うのですけれども、そういうものとの規定の関連はどうなるのですか。
  118. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) この法律によりまして、従来の特殊銀行の債券発行に関する規定を一応殺しまして、銀行全般に通じまして新しい規定を設けた次第であります。
  119. 木内四郎

    ○木内四郎君 そうすると銀行によつては、従来の規定で発行し得る金額よりも、預金総額云々というようなことがあるために却つて減るようなものがあることになりはしないでしようか。
  120. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 御懸念の点、その通りでございまして、そのためにこの法律の附則第二におきまして、この法律施行の際現に債券を発行している銀行、と申しますのは興銀を意味して、おりますが、興業銀行につきましては、この法律によります見返資金の出資ができますまで尚従前の例によるとありまして、この方が債券発行の幅が広いのでございます。
  121. 木内四郎

    ○木内四郎君 只今お話の現に発行しているということは、現在発行した債券を持つておるということですか。最近発行しておるということですか。現在発行しておると言えば勧銀もその中に入りはしないですか。
  122. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 従来債券を発行しておりました銀行、金庫があるのでありますが、二十三年の再建整備計画におきまして、勧銀、北拓、農中、商中の四金融機関におきましては債券発行を停止しております。興銀におきましては再建整備後はむしろ預金の方を制限いたしまして、債券発行を主たる業務といたしておるわけでございます。ここに現に債券を発行しているというのは、現在も新規債券の発行をしておるという意味でございます。
  123. 米倉龍也

    米倉龍也君 この法案では、一般銀行にもこのことのできるようなことになるわけですが、勿論特殊銀行が一般銀行になるのですから当然ですが、今現に一般銀行として業務を行なつておる銀行に対する予想はつかないのでしようか。そういう銀行にもこういうものは発行できるような予想でありますか。
  124. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) この法案規定によりまして自己資本の二十倍に預金がすでに達しております所は、債券の発行余力はございません。今仰せになりましたような普通の銀行は皆預金が自己資本の二十倍以上に達しておりまして、増資でもいたしません限り債券発行の余地がないわけでございます。然らば見返資金の出資を受けて増資をする、或いは自己増資をいたしましてまで債券を発行する希望があるか、申し出があるかと申しますと、只今のところ申し出がないのでございます。
  125. 米倉龍也

    米倉龍也君 只今お話で、結局普通銀行は預金を集めることの方が本務であり又それが本則でありますので、当然預金を集めればこの法律が適用されない、適用される範囲がないわけです。それは普通銀行もそうでありますが、農林中央金庫も一方に預金を集めるわけでありまして預金を集めれば集めるほどこの法律による債券発行限度は縮まるわけですが、この点の調整というものをどういうふうにお考えになりますか。
  126. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 債券を自己資本の何倍に限るという思想は、これらの対外債務に対する保証といたしまして一定率以上の自己資本を持つておらなきやならんという思想でございます。従つて預金という対外債務が非常に殖えますと、この法律規定によりまして預金の増加そのものは制限を受けませんが、債券発行の余地がなくなるわけでございます。農林中央金庫におきましては実はその点に問題があるのでございまして、只今食糧管理特別会計から特殊な預金を預つております。これを計算に入れますと相当の増資をいたさなければ債券発行余力が極めて少なくなるという事態でございますので、実は自己増資を予定されておりますもののほかに、尚見返資金による出資、優先株式の出資も多額を見込んであるのでございます。即ち興業銀行、勧業銀行については見返資金による優先株式の出資はおのおの十億、それから北海道拓殖銀行は七億、商中は五億を予定しておりますのに対し、農林中央金庫に対しましては二十億を予定しておるような次第でございます。
  127. 米倉龍也

    米倉龍也君 政府予定しております見返資金からの優先株式の今の御予定は、実際現在の御事情で実現ができるということに承知して宜しうございますか。
  128. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) この見返資金出資の問題につきましては関係方面へ懇請中でございまして、当局といたしましては是非要望を達成いたしたいと努力しておる次第でございます。
  129. 米倉龍也

    米倉龍也君 御努力はなさるわけですが、実際できなくなつたというような際にはこの法律の大体の効果がなくなるのですけれども、そういう努力はすると言うが、心配ありませんか。
  130. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 最悪の場合を考えましても、二十億が若干減額されるということがあるということは考えまして、その場合のことに備えておりますが、併しこれも債券発行余力の出て参ります程度には是非出して貰うことについては確信がございますし、又債券発行余力がなくなつてしまうということであれば、更に追加してこれが増額を要請することができるのであろうと考えておるのでございまして、結局において一時にこれだけの金が出資が必要であるかどうかという点につきましては、若干の問題を生ずることがあるかも知らんという程度に考えておるのでありますが、結局においては農林関係への資金の融通は極めて必要があるのでございますから、我々の希望は達成せられるものと確信しておる次第でございます。
  131. 米倉龍也

    米倉龍也君 先程お話がありました優先出資のほかに自己資金の増加ということを予定しておるというお話でありましたが、これはどういう程度にこれらの各銀行が予定され、又それが実際可能であるか、お聴きしたい。
  132. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 只今自己増資の具体案が決まつておりますのは農中及び商中でございまして、農中は四億を倍額八億にいたす計画が進行中でございます。商中につきましては現在の、一億五千万円の出資が五億にまで自己増資される、これも計画が進行中でございます。その他興銀あたりにおきましては、差当つて具体案はございませんけれども、年度内即ち来年の三月頃までには是非自己増資をいたしたいという希望を持つておるのでございます。
  133. 米倉龍也

    米倉龍也君 今農中の場合でありまするが、その四億増資の計画が確かにあるようでありますけれども、それには相当いろいろの事情が前提としてできておるように聞いておるのですが、それらの前提條件が現在のところできないような情勢であることを聞くのですが、そういう点まで銀行局長さんはお調べになつていらつしやいますか。
  134. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) そういうお話を伺つております。
  135. 米倉龍也

    米倉龍也君 そういう点に対して、今後政府としての指導なり勧獎なり、どういうふうにしておやりになるのですか。
  136. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 農中の問題は、具体的に申しますれば、現在農中は特殊金融機関でございますので、役員は政府任命となつております。これを他の特殊銀行法廃止の精神にも鑑みまして、役員の民主化と申しますか、官選でなく民選をいたしたいという希望があるのでございます。この点につきましては、農林中央金庫法の改正を要しますので、法案は用意いたしましておりましたのでございますが、関係方面意見によりまして、農中につきましては機構全体について、つまり農林中央金庫という組合系統金融機関の総本山の在り方自体についていろいろ検討しなければならないので、この際役員の民選ということだけについて取上げることは、当を得ないであろうということと、その他の事由によりましてまだこれが今回改正案に織り込むに至らなかつたのでございます。それで又増資の問題につきましても実は役員の民選ということと絡み合いまして、お話が進んでおつたということを拜承いたしておるのでありますが、併し観念的に考えますれば、民選の問題と、増資の問題とは、一応別問題だという見方もできるのでございます。是非とも中金当局とも話しまして、増資の問題だけを切離して進めたい。金融機関におきましては、自己資本を充実いたしまして、対外債務の保証とするということは、非常に重要緊切なことでございますので、これだけ切離して実現したいというふうに考えております。
  137. 米倉龍也

    米倉龍也君 普通銀行が増資をするというようなことは一般の株式の募集をするのですから、どこからでも出るでありましようけれども、農中のごときは、限られた構成団体が出資を増すということになれば、それらの構成団体の意向というものが非常に強く反映されなければならないのであります。ただ漫然と増資をしろ、増資をするのだ、こう言いましても、なかなかそういうふうには参らない場合が起つて来はしないかと思うのであります。こういう点につきましては、今局長さんから自己資金の増加、増資をやつて貰わなければならないというようなお話ですが、この点先程私申しましたように、政府としても構成団体の気持よく増資ができるような方向を更にお考えになることを私はお願いしたいと思うのであります。  それからこの法律の中で、こういう点がちよつと分りませんが、登記に関する手続につきまして第十六條の第三項に、農林中央金庫及び商工組合中央金庫に準用する各條項が列記されているのですが、このうち第七條の十項と十二項の規定は商工組合中央金庫だけに準用されて、農林中央金庫の債券発行には準用されておりませんが、それは準用されないでもこの債券発行についての登記手続等は公平にされるのでありますか。何かよく分りませんが、どうしてその点、外のところには農林中央金庫及び商工組合中央金庫と言つておるのですけれども、それだけ拔けておるのですか……
  138. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 農林債券の属託につきましては属託登規制を採用しておりまして、別個の政令がございますので、それを改正すれば外の銀行並みに扱いができることになつております。他の金融機関につきまして、ここにございます金融機関につきましては、それぞれ法律に謳つてございますので、その規定を排除しなければなりませんが、農中については政令の改正で行けることに相成ります。扱いを別にしておるわけではございません。
  139. 九鬼紋十郎

    九鬼紋十郎君 この法律によりますと、債券の発行した場合、と言いますか、それが二十倍となつておるのですが二十倍とした理由をお聞きしたいことと、寧ろこの際一層拡大して三十倍ということにした方が、非常に金融が梗塞しておる時代に十分な金融ができると考えておりますか、この点につきまして御意見を承りたい。
  140. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 債券及び預金の残高を自己資本の二十倍にするという考え方は、言い換えますれば対外債務に対して五%の自己資本を持つておらなければならんということでございます。これが対外債務の保証になるという考え方でありますが、実はこれを五%でよろしいのか、何パーセントが適当であるのかという点は、必ずも理論的に導き出される問題ではございません。現在の日本の銀行の大部分は三%内外であつたか上と考え方があるわけでございます。どこでは一応この五%という考え方、これを裏から見まして、自己資本の二十倍までは債券、預金を保有できる。但し預金は二十倍を超えてもよろしい、こういう考え方になつておるのでございます。これて合せて考えなければなりませんことは、現在の各特殊銀行に対する債券発行限度でございます。資本金の何倍になつておるかと申しますと、勧業銀行法は二十倍、興業銀行につきましては特例法を以ちまして本法では十倍の二十倍にしてございます。それから北拓におきましては十五倍、農中、商中においては、十倍ということになつております。但しこれは債券発行限度でございまして、預金を含まないことは勿論でございます。倍数を殖やしますことは増資という手続が要らずに債券発行を殖やしまして資金調達ができるので、便利なことであるとは思うのでございますが、大体先程申しましたようなこともございまして、二十倍でなければならんという理論付けは別にできないわけでございますが、現在においてはこの程度が適当であるという結論に至つたわけでございます。
  141. 九鬼紋十郎

    九鬼紋十郎君 尚この法律によりまして一般の普通銀行と、地方銀行といつたものに対しても見返資金を出資、或いはそれに対して債券を発行する、そういつた構想は持つていらつしやるのですか。その点についてお伺いいたします。
  142. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) ちよつと御質問の御趣旨が分りかねますので、恐縮でございますが……
  143. 九鬼紋十郎

    九鬼紋十郎君 具体的に、例えば、恐らくこれに、ついては勧業銀行とか、北海道拓殖銀行とか、そういつたものを対象にしてあると思いますが、一般の普通銀行にも将来及ぼすというような意向はないのですか。
  144. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 先程も申上げましたように、旧特殊銀行以外のものにつきましては、現在の資本金では債券発行余力を生じないと思います。併し見返資金による出資は旧特殊銀行に限るということを考えておるのではございませんので、その他の一般銀行におきましても若し希望があれば見返資金の出資というものを考えなければならんものと考えておるのでございます。
  145. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 この法案趣旨の、二十倍に相当するまで債券を発行してもよいという点ですが、預金が多い銀行程債券発行の余地は少いわけですか、預金が多いということは結局その銀行の信用があるということに見られるのが通常と思います。その信用のある銀行が債券発行できなくて、比較的信用の薄いところが余計債券が発行できる制度というのはどう考えてもちよつとおかしいのではないか、この点はどういうふうにお考えになりますか。
  146. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) この法案趣旨におきましては、預金と債券とを同じ性質のものであるというふうに考えまして、預金、債券を込みにいたしまして、大体その天井を抑えるという考え方でございます。この法律にはりまして銀行は債券発行もできるし、預金を集めることもできるのでございますが、併しその間おのずから分業が行れまして、預金吸收の非常に成績の挙るものは主として預金で営業をやつて行くということになつて参りましようし、又債券発行に重点を置いて参りますと、預金の方の吸收というものは比較的第二次的になりまして債券発行に重点が置れるというふうに、分業になると考えますので、これで自然に銀行の業務は落着くところに落着いて参ると考えられる次第でございます。
  147. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 それは第四條で、債券の借換をするためにいろいろ前の條項によらないで債券を発行することができるとありますが、これは利率の関係かなんかで銀行の都合のいいように一方的に借換ができるということなのでしようか。
  148. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 仰せの通りであります。
  149. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 その次に第六條でこの債券の発行は無記名が原則ですが、今度富裕税が創設されますと、無記名で発行しても結局記名式と同じような効果を及ぼすことになるのですが、将来は記名式にでも変更するようなお考でもあるのですか。
  150. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 金融債舞の発行につきましては無記名が従来慣習でございましたが、別途税法の観点から無記名債券につきましても強制登録ということになりますならば、これも同じ扱を受けまして税法の適用を受けるということになるのでございます。今後そういうことになりましたときには、無記名式が廃りまして、記名式になるかどうかというような問題につきましては、これは自然の成行に委せて然るべき問題であろうと考えております。
  151. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 それに関連して預金でも、債券でも今まで無記名で、いわゆる預金者なり債券を購買する人の便利を図つておつたのを、どういうわけで富裕税関係で記名式になるのでこういう制度を廃止されることになるのですか、もう預金は十分であつて徹底的に預金者の氏名を明らかにした方がいいというふうな段階まで日本は立至つておるのですか、その点を伺います。
  152. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 戰争のために従来の資本蓄積が破壊されまして、新規の資本蓄積が困難であるという時期におきましてはそちらの観点から見ますると、是非共従来の無記名債券なり無記名預金なりの制度を存続して貰いたい。そのためには税法上の考え方から若干例外を認めるということの止むを得ないのではないかという考え方あるのでございます。即ち資本蓄積が大事か、或いは税法通り税法の理論を一貫する方がいいかということにつきましては、税法上の一貫を強いて通すことが適当であろうという考え方になつておるのでございますが、尚無記名預金の取扱、或いは無記名債券の取扱方については現在いろいろな意見もあるように聞いております。或いはこれは税の当局からお聞き取り願つた方が宜しいのではないかと存じます。
  153. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 銀行局長としてもうそういうふうに預金や何かに対しては今までのような特例がなくても現金を隠匿するというような虞れはもうないというふうに考えておられるのですか。その点はどうなんですか。
  154. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 長い間銀行預金、それから無記名債券につきましては税法上若干のゆとりを以て運用されて参りましたので、過渡のときに当りましては相当の混乱も起るのではないか、又その時期にはそのために資金の蓄積が破壊されるというようなことになりやしないかというような懸念もあるのでございまして、金額の方面から見ますというと、こういうような措置は今暫く時期を見るべきではないかという見解を持つております。
  155. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 それから第十條、第一項の終りの方に「いずれか低い方の金額に達するまでの金額を、準備金として積み立てなければならない」とあります。この低い金額に達するまでは十四頁の十四條の第一項にも又別の文句があるんですが、これは「いずれか低い方の金額を下らない金額を準備金として積み立てなければならない」というような文句がある。これは達するまででなく下らないという方が正しいのではないでしようか、これは字句の問題ですが、その間に何ら差違はないんでしようか。
  156. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 只今お尋ねの点は尚調べまして後程お答えします。
  157. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 それではそれはあとで……。それから見返資金で以て債券が発行された場合にも、この場合もなんですか、見返資金から金を借りたいということは、それだけ二十倍の債券発行の基礎にこの分もなるという意味ですね。
  158. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) さようでございます。
  159. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 次に十一頁の第十三條ですが、「優先株式に対して優先株式消却計画書に定める割合」ということが書いてあるのですが、この割合は大体何%が普通標準とされる御予定です。
  160. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 優先株式に対する配当は、これは他の私企業に対しまして見返資金が投資せられております場合の利率と同じに扱う筈でございまして、現在のところ私企業に対する見返資金の投資は七分五厘を取つておりますので、差当つては七分五厘となる見込でございます。
  161. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 それから、この優先株の株主というのは、原則として国家でやつて、一般民間人は持つてないわけですね。
  162. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) さようでございます。
  163. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 それがはつきりしていればいいのです。それから第十四條の第二項に「優先配当割合に達するまでの金額の配当への充当」ということが書いてありますが、この割合というのは現実に具体的に言うと、どういうことを表すんです。
  164. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) この優先配当割合というのは、十二頁の第一行にございますように、定義がございまして、「優先株式に対して優先株式消却計画に定める割合」これを意味しておるのでございます。十二頁の第二行です。
  165. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 外に御質疑はございませんか。
  166. 九鬼紋十郎

    九鬼紋十郎君 ちよつとお尋ねしたいのですが、勧業銀行、興業銀行、そういつたもの、不動産関係の貸付ということが新聞に発表されておりましたが、あれにつきまして御説明願いたい。
  167. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 最近特に昨年復興金融金庫の機能が停止せられましてから、長期資金の供給が、或いは興業銀行その外には株式の自己募集、或いは社債というふうな範囲に限られまして、長期資金の供給が円滑を欠いておる点が指摘せられておるのでございます。それでこの法律は、主として長期資金融通の円滑化を図るというために銀行に債券発行を認めるのでありますが、勧業銀行に流しました資金というものは、主として不動産金融に充当せられるであろうという期待を持つておる次第であります。即ち従来勧業銀行におきましては長期資金を扱つておつた。それは中小の事業金融もやつておりましたし、特に不動産系統の貸付をやつておつたのでございます。先ずこの際率先して勧業銀行に見返資金の出資もなし、長期資金を扱わすことになりましたのは、この従来やつておりました勧業銀行の機能を一つ復活して貰いたい。こういう思想に基くものでございまして、別に不動産金融に限るということは考えておりませんけれども、勧業銀行はおのずからそちらの方面に特色を発揮するであろうという期待を持つておるわけでございます。
  168. 九鬼紋十郎

    九鬼紋十郎君 大体その方針で進まれるのはいつ頃になるのですか。
  169. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) この法案が通り次第別途株主総会を開きまして、所要法律的手続をいたしました後に債券発行をすることになるのでありまして、まあ五月六月の頃には債券の発行も可能ではないが、又現下情勢に鑑みましてできるだけ早く債券を発行できるようにいたしたいと考えておる次第でございますが、併しこの法案の成立を待ちませず現在におきましても、政府国庫資金の余裕金を繋ぎ資金として二十億勧銀には預託してあるような次第でございます。これを以て現在でもすでに勧業銀行あたりには長期資金の借入申込が殺到しておるということを聞いておりますので、もう差支ないものはすでに所要の資金を出しておることと考えております。
  170. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 見返資金は一体どのくらいの限度でどのくらいの時期を以て放出される予定なつていますか。
  171. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 見返資金を以て優先株を持ちます総額は、先程も申上げましたが、二十五年度中五十二億を予定しております。これは興業銀行十五億、勧業銀行十億、北拓が七億、農中二十億、商中が五億でございまして、これは年度初めに一時にそれぞれ出資いたしたいと考えております。この資金の放出につきましては、関係方面へその許可を求めておるところであります。
  172. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 この利率はどうなんです。
  173. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 利率は七分五厘と予定されております。併しこれは見返資金の私企業投資一般の支出が下げられて参りますならば、これもそれに応じて下げられることは勿論でございます。
  174. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 そうしますと、いわゆる地方銀行で以てこの制度を活用したいという場合には、今々ではその制度は利用できないということになりますが……
  175. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 現在のところ希望のあります銀行の分だけ見返資金の放出を求めておるのでありまして、その他に尚見返資金の出資を求める銀行が出て参りますれば、追加して要請いたすのであります。現在は三特殊銀行及び二金庫しか見返資金の出資を要請して参つておらないのであります。従つてその五金融機関に対する分だけを取敢ず要請しておるわけでございましてその他にも希望が出て来れば、追加して放出を求めるという手続になるのであります。
  176. 九鬼紋十郎

    九鬼紋十郎君 只今お話は希望によつて追加してどの銀行においても相当見返資金の方との連絡を取るというお話だつたのですが、実は地方銀行で、或る銀行なんですが、ちよつと大蔵省の方と連絡して見たところ、やはり一般市中銀行ではそういつたことは、この際する意向がないというようなことを聞かされて来て諦らめたのですが、そういつたことはやはり希望があればやつて頂けることになつておるのですか。
  177. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 見返資金の出資を旧特殊銀行に限る意思はないのでありまして、銀行によりましては、銀行からの希望がありますれば、    〔委員長退席、理事黒田英雄委員長席に著く〕  これは書類を整えて関係方面へ要請するという方針でやつております。但しその際には、この法律規定にもございますように、優先株式消却計画書というものを作りまして許可を得なければならないのでありまして、それについては、その銀行の債券発行能力……債券を発行いたすとしましても、現実に債券が消化せられるかどうか、それから又長期金融を扱うのに適当であるかどうかということが十分審査されることと考えております。
  178. 平沼彌太郎

    平沼彌太郎君 今まで日本の銀行は長期資金と、それから短期資金をやつている、債権の関係が明瞭になつていますが、長期資金が非常に不十分だということからこの法律案を出されて、両者一体となるというふうな御説明でありますが、この両者一体となつた以上、これは公平にやつて頂かなければならんと思うのでありますが、何故に勧銀、興銀その他一部だけにこの法律に対して非常な便宜を與えるか、他の銀行にはそれだけ便宜を與えない方針を採るのか。今いろいろ御説明を頂きました点ではまだ不明瞭な点があります。例えば、それならば勧銀あたりに、一般の預金を吸收するということをなぜおやりになるのかという疑問もあります。それでこういうふうな中央の特殊銀行が特別の恩典によつて債券発行もできる、従つて債券発行も或る程度まで政府資金で賄うというふうなお話で、一般公募をしなくとも一時賄うことができるというふうなことでありますけれども、それが一体全体中小工業全部に均霑するかどうか。全国にあり、又東京にあるところの一般の銀行が現在長期資金化しつつあります。中小企業に金を出す、潰れそうな奴にも、金がなくても差支ないから出すというようなことで、長期資金貸付がある現状です。常に普通預金をその方に廻していなければならないような経済情勢にあるのでございますから、それに対しましても、一般銀行は細かく小さな本当の中小工業者に対しても非常に便宜を図つてこの長期資金を賄つている。中小企業と密接な関係を持つています。その銀行に一体全体長期資金のいろんな御便宜をどうしてお計らい下さらないのか。勧銀その他大きい銀行でありますれば、それは何十億、何百億という金を出すかも知れませんけれども、決してこれは細かい方面に相当浸透しないと思います。そういうふうなことから考えまして少し偏頗な法律じやないかというふうな感じがしますのですが、無論復金のようなものは一時停止されて非常に長期資金が混乱しています以上、便法として一部のものに先ずやつて、後漸次やるというお話でありますけれども、今どなたかからお話があつたように、一般銀行は本当に少いという話である。債券を発行しても、その債券を日本銀行で再割をしないというお話も承つております。先ず他のところを抑えるという面が見えておるのですが、そういうふうな面について、実際金融機関でこういう法律で固めることになりまして、公平な御処置の法案でもないようにも見受けますが、それに対して局長さんの御意見をお伺いいたしたいと思います。
  179. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 従来の銀行制度に対する考え方は銀行というものは短期商業金融を扱うものに限ることにいたしまして、反面債券発行銀行並びに債券発行会社というものを認めまして長期資金を賄う金融機関を別の系統で換えるという考えでおつたのでございますが、最近におきまして、その考え方に一大転換がございまして、この債券と預金とは、その債務の長短と期間の長短ということはあるのでありますが、これを同列に置いて銀行というものは預金を集めることもできるし、又債券を発行することもできるという扱いにしたのでありまして、それがこの法律趣旨でございます。これは成程実際問題について考えますると、従来の銀行の行き方、銀行の現状というようなことについて……現状というようなことから割出しまして、結論的にはいろいろ違つた差違が出て来るのでありますが、法律の上の建前から申しますと、実は銀行をすべて同列に扱つているわけであります。そのために、従来の特殊銀行と言われておりましたものも、別途の特殊銀行を廃止する法律によりまして普通銀行に直してしまうということになるのでございましてその点は全く全部の銀行を同じ扱いにしているのでございます。ただ実際問題といたしましては、最近長期資金を供給しなければなりませんのに、この極くすべての銀行に対して債券の発行を認めて見ても、直ちには効果が挙らない、債券を発行し消化するについては、やはり相当大規模の銀行でないと、信用も不十分についておらんといつたような面もありまして、取敢えず旧特殊銀行について見返資金を放出し、従つて債券の発行を可能ならしむるようにいたしまして、これらをして長期資金を担当せしめることになつた次第でございます。併しこれは、只今も申上げましたようにその他の銀行について債券発行を禁止してしまうということではなく、むしろ外の銀行についても債券発行の途が開けたのであります。ただ現在は自己資本と貯金なり預金なりとの比率の制約がございますので、現在他の銀行は殆ど全部債券発行の余力がないということにどうしてもなるのでありますが、併しこの債券発行の形式につきましても、無記名のものも認める、売出発行のものも認めるというようなふうになつておりますので、将来一般銀行におきましても、若し自己資本が増加いたしまして債券発行余力というものが出て参りますれば、この債券を発行できるのであります。但しこの場合の債券と申しますのは、必ずしも多額は募集できないのでありますが、いわばこの預金貯金共入れて簡易な形における債券などを考えて見ますれば、これは十分に発行し消化して行く見込も立つと思うのでありまして、一般銀行もその法律規定によつて利便を得ることは少くないと考えている次第でございます。ただ現在のところの自己資本が少いために債券発行の余力がない。然らばこれに対して見返資金を以て出資をして貰うことができるかどうかという点になりますと、見返資金はなかなか簡單に出ないという事情がございます。併し考え方は以上申上げたような次第でございます。
  180. 平沼彌太郎

    平沼彌太郎君 御説明でよく分りましたのでありますが、これは特殊的な、今特定されている五つ、六つの機関としても、自己資金は債券発行には考えていないと思います。一般銀行も増資することは、現在の経済状態で困難なのであります。そうしますと、どつちみちどの銀行でも増資をし、そうして見返資金によつて一部をやり、一部は自己資金ができれば債券発行を許してやるというお話は、現在の長期資金が非常な問題になつておるときに、余りに一方的過ぎたやり方じやないか、なぜ一般銀行にも同時に見返資金……若し四十億見返資金が許されたならば、それを均霑して希望のところへやらせないのかということは、これは法律の上から言つて当然要求していい條文になつておりますが、その点自己資金を地方銀行は現在預金と資本金のバランスが取れないから、当然地方銀行は増資できないから当分だめだというふうにお考えになつておいでになるような御説明のようでありますが、この点もう一遍、公平にできるかどうか、直ちに見返資金の或るものに対して、一般に均霑して、増資を銀行にさせて、そうして債券発行の段取りに早く見て行くというようなお考は公平におありになるのか、その点をお聽きしたい。
  181. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 先程の御質問で、旧特殊銀行以外に見返資金から優先株式への出資をして貰いたいという御希望の申し出があつたが断られたようなことを伺いましたが、私はそれは聞いておりませんので、むしろ銀行一般といたしましては特に見返資金の出資等は希望しないというふうに聞いておるのでございます。併し見返資金の出資は旧特殊銀行に限るという問題につきましては、その特殊銀行をなくならす精神にも背馳するという観点から、むしろそういうことによつていけないのじやないか、従つてその他の銀行につきましては、そういう御希望があれば、これは当局におきまして取上げて十分審理する必要があるのではないか、という考を私は申上げて置きます。
  182. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 先程御説明のうちで、見返資金が五十二億という結果が分つたのでありますが、この提案理由説明には五百二十億、大体十倍しか発券を見ていないのであります。これは原則として二十倍までは可能性があるわけで、この五百二十億というのは、これだけしか許可しない、という意味でありますか、もつとこれよりも殖える可能性はあるのですか。
  183. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) この二十倍と申しますのは、自己資本に対して二十倍まで預金及び債券を持つことができる。但し預金は制限がございませんが、つまり預金と債券と合して自己資本に対して一定の比率を設けるという趣旨でございます。従つて自己増資の予定分を合せまして、この五つの金融機関の資本金の総額は九十億になります。現在普通株式でこの増資分を含めまして普通株式が三十八億、優先株式が五十二億予定されて合計九十億になります。これの二十倍のうち預金残高を引いたものが債券発行余力になります。それでそれはお手許に配りました参考資料の第一表にございますが、二十六年三月末の状況を一応想像いたして見たのでありますが、それまでには申すまでもなく、預金も増加する見込を立てております。そうしますと債券発行余力は、この右下の隅の方に出ておりますように、六百五十億ばかりになるのでありますが、そのうち来年度の発行見込を五百二十八億と見たわけでございます。
  184. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 この機会にちよつと銀行局長にお尋ねしたいのですが、銀行では最近滯り貸準備金というものを相当重きを置いて準備する傾向は誠に結構だと思うのであります。こういうふうなデフレ傾向のときには、相当貸出先においても或いは倒産というようなことも考えられる時代に、やはり滯り貸準備金を十分に置くということは必要だと思います。それに対しまして政府では、今度の税制改革によつても、別にその準備金に対しては普通一般の積立金と差違を設けないで、やはりこれに対して積立金として税金を取つておるという形になるのですが、こういうふうなやり方は現在の日本のいわゆる金融界の安全性という立場から言うと不合理ではないか、こう思われるのですが、局長からお考えになつて、この点はもつと突込まれて先方と交渉されて、無税にされるというようなことをお考えにならなかつたか、この点一つお尋ねいたします。
  185. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 只今のような経済界の変化の激しいときにおきましては、銀行の貸倒れ準備金の必要は極めて緊要でございますので、これは主税当局と話しまして、これを認めて貰うことに意見は一致しております。今度の税制改正法案には盛り込まずに、政令で解決ができるように聞いておりますので、具体的にその額をどれだけにするかということも、従来も折衝して参りましたのでありますが、大体貸付残高の百分の二を最高限度といたしまして、毎期、毎事業年度一定の基準を設けまして、無税積立ができる扱いとなる見込でございます。
  186. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 今の百分の二というのはあれですか、毎半期ごと平均貸出残高の百分の二を積立てて行くということで、最高百分の二じやないのですね。
  187. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) いやそうではございませんが。最高百分の二に達するまで、毎期幾らかづつ積立てて行けるという仕組になるのでございまして、毎期どれだけ積立てるかということにつきましては、一般法人との関係もございますので、まだ最後的決定には立至つておりません。
  188. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 これは百分の二というのは少し少な過ぎるのじやないかな。こういう経済界の変動の多いときに、これをもつと殖やされるのが、預金者に取つても銀行に対する信頼の度を高めるし、又経済界にどういうトラブルが起きても、それに対処して金融界が処して行くということになりませんか。
  189. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 百分の二の限度は私共必ずしも満足しておらないのでありますが、言い換えれば金融界の立場からはこれができるだけ多い方がよろしいということになるかと思いますが、併し実際問題として考えますと、その最高限度を幾らに定めるかということよりも、差当つては毎期どれだけ積立金に繰入れることができるかということの方が大事であろうと思うので、そちらの方に実は力を入れて交渉しておるような次第でございます。
  190. 米倉龍也

    米倉龍也君 この見返資金の活用について、この際ですからちよつとお尋をしたいのですが、今まで見返資金が各方面に要求されましているのですが、そのうち大きな企業なり、或いは最近は中小企業方南にも相当出て来ているようですが、農林水産の方への見返資金の活用ということが殆んど実行されておらないと思います。そういうことから見まするというと、それをもつと可能にするための方法が今度のこの法案に盛られており、これによつて行われると私は非常に期待をするのでありますけれども、大体今まで農林水産方面への見返資金を出すというようなことを決めて予定して、それによつていろいろ計画をさせておいて、而も最後に行つてそのことが実行できない、例えて見れば昨年度の農林水産方面への二十七億かの見返資金の方からの融通計画が立てられて、而もそのうちすでに地方では実施して今日困つておる問題があるのであります。例えば、例の藷の貯蔵の倉庫問題などはその最も著しいもので、中途いろいろな関係で、計画したときのような建設はできなかつたのでありますからして、総額から申しますれば随分少いものであると思います。併し地方では見返資金から割当てられたキュアリング倉庫の借入れを予定して倉庫を作り、今日藷の貯蔵をしておるのでありまして、その資金の融通が今以て決定されない。聞けば到底見返資金からはだめだろうという結論のようであります。二十七億の見返資金のうちキュアリング倉庫に対して五億というような予定をされて、今申しました計画が遂行されたのであります。その結末をどういうふうになさるか。現在農村の協同組合等がそういう予定を以て本年からの資金をその方へ融通されないとすれば、それだけ金融の上に大きな圧迫を受けて、今日でも将来の不安を抱いておる組合が相当あるのであります。こういうようなことについても、もうすでに計画をし実施をさせて、そうして資金が来ないというようなことについては、これはやはり当局が何らかの措置を採つて責任を果して頂かなければならないのじやないかと思うのであります。私共は今度の法案につきましては非常に期待をするものでありますけれども、どうも見返資金の問題は、政府がお考えになつており又当初関係方面と御相談があつたことが、そのまま実現されないような……一体いつもそういうようなことになり易いのでありまして今度の法案に対しても期待を持つておりながら一抹の不安を持つような……今日までの経過はそう思うのでありますが、是非これは計画を遂行するように御努力を願うと共に、すでに計画を発表し、地方にそういうことを実施させたものについての跡始末については責任を一つ果して頂きたいと思いますので、御心配を願いたいと思います。例のキュアリング倉庫の資金の問題については局長さんの方でお知りでありますか。これは農林省関係でありますからして、農林省の方では随分その方面の関係の方から要求をしておるのでありますが、お知りでありますならば一つ阿らかの方途を、他の資金の融通によりましても宜しいのでありますが、御心配を願いたいと思うのであります。
  191. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 二十四年度におきまして見返資金が農林関係の方へ殆んど出なかつたということは甚だ遺憾であつたと考える次第でございますが、察しまするに、農林関係の必要需要は比較的小口でありますので、審査に手間取り、それが途中におきましては農林中金を経由して、農林中金に一括して出して、それから中金から個別に出すという構想も立てられたのでありますが、それもいろいろの理由から沙汰止みになつてしまつたということは残念なことであつたと思うのでございます。併し見返資金全般の扱いを見ますると、それに似たような事情も多い。即ち小口の借入申込先については調査その他に非常に手数と時間がかかる。或いは結局確実であるという心証が得られなかつたといつたようなことがありますので、そこで見返資金を何とか一括して有効に使わすことはないかということが考えられたようであります。その必要に迫られまして今年度にはこの見返資金による銀行優先株式への出資ということが出て参つたのでございましてこれでありますと、銀行には相当まとまつた金額のものが比較的容易に出る、これを基礎といたしまして何倍かの債券発行をする、そうしてその後の貸付は当該銀行がいたすということになるのでありまして、従つて来年度におきましてこれが実現いたしますと、今度は農林中金といたしましては、これによりまして得ました資金を自分の裁量によつて適当に運用できるということになりまして、御要望のような点も相当充足できるのではないかと考えておる次第であります。見返資金の運用につきましては、改善すべき幾多の点かあると思いますが、それもこの改善策の一つであろうと思いまして、その成果に期待しておるようなわけでございます。
  192. 米倉龍也

    米倉龍也君 昨年度の計画によつて実施されました結果、それを何とか御処置ができないのでしようか、預金部資金というようなことで……何れでもいいのですが。
  193. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) そういうような問題の大きな処理方針は、政治的な問題にもなるかと存じますが、中金から見ましてその営業方針にも合致するといつたものは、中金において適当に考えられると思います。
  194. 黒田英雄

    理事黒田英雄君) 他に御質疑ございませんでしようか。
  195. 平沼彌太郎

    平沼彌太郎君 ちよつとお伺いしますが、先程お話が伺つてなかつたのですが、日本勧業銀行に対しての一般預金の吸收が、今度債券発行ができるというような情勢に対して多少地方の支店を減らしそうして公正を図るというお話もちらつと伺つたこともありますが、これに対して……
  196. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 勧業銀行は最近におきまして、やはり銀行として全力を挙げてその経営をやつておつたわけでありますが、この度債券発行ができることになり、不動産金融も非常な力を入れて貰わなければならないということになりましたについては、勧業銀行のうち相当にあります店の中で、必要でないと認められるものは地方銀行に移讓する等の勧奬もいたしたい。勧業銀行が従来は預金吸收の見地を以て権能を持つておつたのでありますが、これらは地方銀行分野の調整をすることが適当であろうというふうに考えて、必要に応じて指導して参りたいと思います。
  197. 平沼彌太郎

    平沼彌太郎君 もう一つお伺いしますが、長期資金が非常に不円滑なために、一般銀行が非常な長期資金に対して奉仕しております。これは若しこれによつて特殊の銀行に肩替りして貰うことにして、普通銀行は普通銀行の短期資金の方面に進むことができますか。
  198. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 銀行間の債券の肩替りにつきましては、それら銀行間における取引の問題として御処理を願うのが本則であると考えております。只今、先程も申上げましたように、普通銀行も一般銀行も、この法律規定によりまして、余力さえ生ずれは債券を発行することができることになりますので、長期貸付と、長期資金と見合すという措置も可能となる、銀行の経営も合理化されるのではないかと考えております。又勧業銀行の問題につきましては、勧業銀行当局も地方銀行を利用する代理貸付ということを考えておるようでありまして、当局におきましても、それは至極結構なことであると認めまして、これを獎励して参る方針でございます。即ち勧業銀行か地方で債券を発行いたしまして、資金を集めてその中の何割かは当該地方の地方銀行に代理貸付金として渡しまして、代理貸付をやつて貰うということによりまして、地方から資金を吸い上げつ放しになるという弊を除く構想でございます。至極結構なことと考えておるのでございます。
  199. 平沼彌太郎

    平沼彌太郎君 もう一つお伺いしますが、この地方銀行、即ち一般銀行としましていろいろな銀行がありますので、どの銀行も債券発行ができるということは、信用上困難のようにも見えるのでありますが、併し長期資金は一般に細かく出す必要がありますので、どの銀行もその必要を感じておるのであります。そういう場合に、これは突然なことですが、一般銀行団で協力してシンジゲート式に債券を応募する、そして各銀行で細かくそれを募集したり、利用したりすることができるようにして信用を高めて共同責任にするというふうな恰好にして、この中小企業を救つていくというふうな構想のようなことについては、何かお考えございませんでしようか。
  200. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) シンジゲートのようなものを作ることにつきましては、或いはこれは研究が不十分でございますが、独占禁止の立場から銀行が共同の同じ目的に向つて共同の仕事をするというようなことが許されるかどうか、その点が問題となると思いますが、尚研究いたしたいと思つております。尚この銀行の債券発行につきまして、先程も申上げましたように、特に当局の認可がいるわけでもない、それぞれ比較的少額の債券を小規模に出すということは、地方銀行においてできることでありますので、活用の部面は相当あるのではないかと考えておるのでございます。
  201. 黒田英雄

    理事黒田英雄君) 銀行等債券発行等に関する法律案につきましてはこの程度にいたして、次に日本勧業銀行法等を廃止する法律案について御質疑をお願いいたします。  この程度で本日は散会にいたします。    午後三時五十六分散会  出席者は左の通り。    委員長     櫻内 辰郎君    理事            黒田 英雄君            伊藤 保平君            九鬼紋十郎君    委員            森下 政一君            西川甚五郎君            平沼彌太郎君            木内 四郎君            油井賢太郎君            小宮山常吉君            藤井 丙午君            米倉 龍也君   国務大臣    国 務 大 臣 本多 市郎君   政府委員    大蔵政務次官  水田三喜男君    大蔵事務官    (主税局長)  平田 敬一君    大蔵事務官    (銀行局長)  舟山 正吉君    大蔵事務官    (主計局法規課    長)      佐藤 一郎君    林野庁長官   横山 信夫君    地方自治庁次長 荻田  保君   説明員    農 林 技 官    (林野庁業務部    長)      佐木 義夫君    農林事務官    (林野庁業務部    薪炭部長)   濱田  正君    造幣庁東京支庁    長       中平 榮利君