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1950-03-23 第7回国会 参議院 大蔵委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年三月二十三日(木曜日)    午前十時三十一分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○所得税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○富裕税法案内閣提出、衆議院送  付) ○資産評価法案内閣提出、一衆議  院送付) ○相続税法案内閣提出、衆議院送  付) ○法人税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○公認会計士法の一部を改正する法律  案(内閣提出)   —————————————
  2. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) これより大蔵委員会を開会いたします。所得税法の一部を改正する法律案富裕税法案資産評価法案相続税法案法人税法の一部を改正する法律案について、前回に引続いて質疑を行いたく存じます。御質疑がありますれば、この際お願いいたします。ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止
  3. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 速記を始めて……。
  4. 森下政一

    森下政一君 一番最初に伺いたいのは、所得税税率に関してであります。従来は八五%まで上の方は……それを今度は五五%から上を打切つて行く。これは前国会末でありましたか、やはり大蔵委員会において所得税改正があることを予想して、たまたま勤労所得税税率に関する何か質疑応答大蔵大臣との間に交えたときに、大蔵大臣考え方としては、五十万円以上の所得のある者は人数が少ないのだ。だからそれをいろいろの税率に小刻みに刻んで見ても、実際上においては国庫收入としては大したことにならない。そこで五十万円以上は五五%と、尤もそのときには五十万円以上とは決まつていなかつたが、或る程度でもう税率を更新するということは打切つて、そうしてそれに代るに、特に富裕階級には富裕税という別の税を課することによつて、小刻みの上の方に刻むという煩雑な手続を排除する方がいいというような御意見を聞いたと思うのですが一その点は或いはそうかと私は思いますが、今度出ました改正案を見ると、五十万円以上が五五%ということになつておる。これはシヤウプ勧告原案と比較して見ると、シヤウプ勧告では確か三十万円強となつておる。それを五十万円というように高められたのは非常に大蔵大臣の御努力のように私は新聞を通じて拝見しております。ところでその五十万円以上を五五%となつてつたのを五五%強となされた。二十万円を三十万円に、三十万円から五十万円となつたという緩和された点はあるのですから、その結果ちよつと一見しまして、もう少し段階を間に刻む必要があるのではないか。と思うのは、二十万円強から五十万円までが同じ五〇%の税金だということになつておるわけです。これを面倒かも知れんが、二十万円から五十万円までを十万円刻みにして、その間に三十万円を超えるもの、四十万円を超えるものという二段階を挾んで行く。そうなると仮に私が考えるのですが、五万円までは二〇%、五万円以上は二五%、八万円以上は三〇%、ここまでは改正案原案通りとして、改正案には十万円以上というのが三五%でありますが、それを十一万円以上を三〇%にする、二十万円以上を四〇%にする。そうして以下三十万円、四十万円、五十万円と五%ずつ上げて行く。こういうふうに計算して見ると、至極妥当ではないかというふうに考えられる。ということは、今日年額二十万円ぐらいの所得のあるという人は相当多くのものを占めておるのじやないか、納税人員にしても……そうして今度の改正案を一瞥して、私達の感じますことは、八五%という税金がなくなつてしまつたために、二十万円を超える比較的経済力に恵まれておる連中の手許が非常に楽である。そうして政府の言う通り、そこで資本の蓄積をしようということがあるのでしようけれども、その結果、結局国民の一番多くを占めておるのではないかというところで、いわゆる中堅暦のところで、少しも今度の改正案というものが税の軽減恩恵を施されていないのではないか。そういうところは、この改正案恩恵が非常に薄いといろ感じがする、そこでもう一点お聞きしたいのですが、仮にこういうふうにした場合に、国庫所得税を通じての收入は一改正案原案と比較してどういうふうに違つて来ますかということをあなたに伺いたいのです。私の言うのは八万円以上というのは原案と同じ、そこで十万円を削つちやつて一二十万円以上を四〇%、三十万円以上を四五%、四十万円以上を五〇%、五〇万円以上を五五%と、こういうふうにしたときに、どういうふうに原案と比較して国庫所得税というものに異動を生じて来ますか。大した変化がないところでは、下の方でこういうふうに細がくもう少し刻んで貰うことが、これらの階層に該当する者にとつて改正案恩恵というものが行届くんではないか、こう思うのです。これは大蔵大臣の非常な努力で、三十万円超五五%になつてつたのを五十万円に引上げられた、これは非常に感謝していいことだと思いますが、そのため二十万超五十万円というものが同じ税率課税するということになつてつて、当然その間にもう二段階ぐらい設けて、それらの階層改正案恩恵を浴せしめる、こう思うのです。但し国庫収入の建前から、予期しておられる所得税を通じて、これだけ取らなければならんということに考えておられるのに、どういう影響を来すことになるだろう。この点一つお伺いしたいんです。
  5. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 正確なところは計算して見ないと申上げにくいのでございますが、お手許に予算の説明というものの中に、一階級別の所得税算出表をお配りして置いてあります。従いまして、これに当嵌めて計算すれば種々分るわけでございますが、今お話のようなことにいたしますと、どうも相当減るのではないかという感じがいたします。私共も最初はこういうように考えたのでありまするが、中間の八万円超と十二万円超の税率をなくしまして、順次上に税率をずらして行く。最高が五五%で百万円程度に止めるという案も作つて見たんですが、その案によりますと、今原案として出しておりますのに比べて、二百億前後歳入が違つて来るのであります。と申しますのは、今のお話のように、所得階級別所得額の分布は大体十万円から二十万前後のところは相当多うございまして、従いましてこの辺の税率を軽くして士の方にずらしますと、相当歳入減になるのであります。これは正確にお示し税率で計算して見ないと申上げにくいので、それは後程計算いたしましてお出しいたしたいと思いますが、感じの上から行きますと、なかなかそういうことにならないのではないかと思います。もう一つは、最高税率を五五%に止めましたのは、今のお話の点もございますが、如何にも所得税最高が高いということになりますと、結局一方におきましては、的確な税法通りの査定ということが納税者の方もなかなかうまく行きませんし、税務官庁にしてもできにくい。併し税法通り査定して嚴重に行きませんと、公平は失するという意味で、最高税率をむしろこの際この程度に止めた方がいいのではないか。その代わり、併しながら財産から生ずる所得に対しましては、これは幾ら何でも五五%は低きに過ぎるから、そういうものに対しては補完税として富裕税を課して、所得税累進課税をする、こういう趣旨でございます。尚この五五%は同時に今度の新らしい市町村民税が約二割程かかりますので、それを入れますると、六六%になるわけでございます。そういう点と、それから富裕税負担ということを両方考慮しまして五五%に止めることにいたしたのでございます。富裕税負担は大したこともないように思われますが、仮に所得率財産元本額に対して年一割に廻るという場合を考えますと、富裕税最高五千万円超千分の三ですか、百分の三でございますか、元本に対して百分の三の税率は、一割に廻る場合の所得に対する税率といたしましては実は三割になる。従いまして純粋な高額財産所得に対しましては、所得税の五五%の外に三〇%の富裕税が別にかかるということになりまして、本当の意味高額財産所得と申しますか、最も担税力のある所得に対して累進課税を行う必要のあるところにおきましては、今度の税制も決してなまやさしいものではないのでありまして、やはり相当の高度の累進率をやるということは言い得るのじやないかと思います。この点は例えば会社の重役さんの所得、そういう所得相当多くても余りきつい課税にするのはどうであろうか。むしろ配当から生ずる所得とか、地代、家賃から生ずる所得、そういう所得相当高額にある場合には、富裕税と併せて高度の累進税を採用する、こういう趣旨になつておることは御承知かと思いますが、重ねて申上げて置きたいと思うのであります。で、シヤウプ勧告案では三十万円となつていたのでありますが、三十万円では如何にも低過ぎるという考え方からいたしまして、極力引上げるということにいたしまして、今御指摘の通り五十万円にいたしたのであります。将来の問題については、先般木内さんにもお答えしたのですが、所得税税率につきましては財政事情と併せ考えまして、尚私は相当検討の余地があるのではないかということを率直に考えておる次第であります。
  6. 森下政一

    森下政一君 只今お話で五十万円を超ゆる者に対する措置、これはもつと刻んだ方がいいという説があるのですが、政府説明によると、補完税としての富裕税、而もこれが只今のお示しのようなふうに、財産に対する何か一割くらい、所得税に対する課税は三割になる、或いは住民税というふうなことから、必ずしも所得に対する八五%の従来の課税と変らぬくらいの税になるということは納得できるのです。そこで只今の御答弁はよく分るのですが、最後局長のお言葉として、将来財政事情と併せ考え税率考えなければならんということを言われたのですが、その財政事情というものがあるので、二十万円から五十万円に何にも刻みがないのだろうと思いますが、それを考慮の外に置くとすれば、税率刻み方としては私の言う方がより合理的だというふうにはお考えになりませんか。
  7. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 税率刻み方は実はいろいろ方法があろうかと思います。私やはり税率とか控除專ら財政事情とか、そういうものと関連して決めるので、控除はその外に更に一層何と申しますか、一定額まではどうしてもなくすべきだという議論がありますが、税率の中の刻みをどうするかということに対しましては、一所得税に対してどれだけの収入を期待しなければならんか、最後所得税では幾ら期待しなければならんかということと関連して最後に決まる。従いまして私の方の計画を立てる場合は、あらゆる各税を検討いたしました後に、最後所得税税率をどこまでにすることができるかということを問題にして判断して行く点もあるのでありまして、税率等はやはりそのときの情勢に応じて決めるより外はない。その際におきましても、もとより一定基準があると思いますが、その基準には或る程度彈力性があつてもいいのじやなかろうかと考えております。率直に申しまして、中間税率と申しますか、刻み方が少し下の方から小刻みに過ぎておるという点は確かに私共も考えておりましてそういうことに対しましては将来財政事情と併せ考えまして、更に一層適正化を図るようにして行きたい。これはお話趣旨と大分同じかと思うのであります。
  8. 森下政一

    森下政一君 平田さんの言われる財政事情と睨み合せてということは、現実の問題として政府としては止むを得ぬというようなお考えがあるかと思うのですが、そこに私はちよつと国民納得の行かぬものが出て来ると思うのです。つまり政府考え方ではいろいろな財源を当つて最後所得税のところに行つて最後所得税から幾ら国庫收入を期待しなかければならんか、そこでどういう所得を得ておる階層が一番多いか、そこに成るべく多くの收入が期待できるように税率を按配されるというようになるから、そういう税金をかけるところの階層から言えば、負担能力自分達より経済力少い者、或いは自分達より経済力の多い者と比較して見て公平を保たれていないので、自分達階層だけに負担が比較的重くかかつて来るという印象は免かれ難いのじやないか。それは明らかに純学理的な立場からというだけでなしに、実際の財政上の必要ということだけを政府は重点を置いて考えておられるから、一番所得の多い、多いというのは、つまり相似た所得の多い人数が多いところですね。而もそこに多くの期待をかけねばならんというところに割に軽減をされることが薄いということになつて来る。そこに私は今度の改正税法に対する国民一般として眺めて見て、自分達経済力に比較して、更に自分達より所得の多い者と比較して、自分達負担が割高になつているのじやないかという不満がどうしても多い点があるのじやないかと思うのです。そこでたまたま私が申しますような、一つの案に過ぎないのですが、刻み方をした場合に、現在の改正案よりもつと納得の行く税率になつて来るんじやないか。但しそれが現実国庫收入を期待しなければならんものに比較してどれ程違いがあるのかということを知りたいのです。私はどうしてもそういうことが必要じやないか、その点については別に何か方法考えることの方が、折角の所得税改正に傷を付けないのじやないかという気持があるのですが…。
  9. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 税率を決めます場合におきましては、今私申上げましたようなことで決めておるのでありますが、その際におきましても、勿論例えば所得税税率を逆進的に決めたとか、或いはフラツトにする段階が非常に或るところは大巾で、或るところは小刻みであるというようなところは極力最小限度に止めまして、必要な收入を挙げるということに努める。まあ両方を結局調節しまして、そのときとして最も妥当な税率を決めるというのが実際の行き方だろうと考えます。イギリスなどのごときは、御承知のように標準べースがございますから、これを財政需要に応じまして相当上げ下げいたしております。では戰前は一五%くらいでありました標準税率が、戰時中には五〇%くらいになりまして、戰後の現在は四五%にいたしております。これは原則としてあらゆる所得階級に適用になりますところのスタンダードレートと称しておりますが、その税率であります。小額所得者にはその税を若干軽減いたしております。高額所得者に対しては、それよりも若干附加所得税として累進税率でかけております。でありまするから財政需要に応じまして、標準税率と申しますか、その税率を始終上げ下げして行くというような例があるのでございますが、所得税税率というのは、やはりそういう要素が、多分に累進税率を用いている場合があるのでございまして、従いまして、極力全体としましては、私共も今の所得税が尚相当重いものであるということは一様に認めておるところでございますので、財政需要を圧縮して所得税負担を軽くするということに今回も努力いたしますし、私は今後においても努力いたしたいと思つておりまするが、税率というものは相当弾力性のある決め方ができるし、又そういうことで決めなければならないと承知してよいものではないか、このように考えておるのであります。それから尚表面税率お話通り税率だけ比較しますと殆んど軽くなつていないクラスがあるわけでございます。ところが実際の負担基礎控除扶養親族控除、この二つによりまして、非常に大きく違いが二つになりまして、殊に今回の改正におきましては、扶養親族控除方法を改めたことによりまして、例えば所得階級の二十万円前後のものは、標準税率は少しも軽くなつていない所得クラスにおきましても、実は相当負担異動を来しております。家族扶養親族の多い入の場合におきましては、実は相当軽減になつております。と申しますのは、今までは税額で千八百円の控除をやつていたのでございますが、今度は所得で一方二千円の控除に改めたのでございます。所得で一万二千円の控除と申しますのは、例えば二十万円の所得階級でありますと、税率が五〇%になつておりますが、税額に換算しますと、一万二千円の五〇%、即ち今度は六千円の控除になるのでございます。今までは税額で千八百円の控除しかしていなかつたものが、今度は税額で換算いたしますと、二十万円を超える所得者の場合は六千円の控除になるのでございます。従いましてこの場合におきましては、扶養親族控除が従来の三倍以上にもなるというような関係からいたしまして、扶養親族の多い者は二十万円前後の所得階級でありましても、相当減税になつておりますことは、別にお示ししております表によつで示す通りであります。独身者クラスになりますと、その辺は余り下らないということになるわけでございますが、これはシヤウプ勧告にも言つておりまするように、所得二十万円前後の独身者の場合におきましては、そう著しく下げなくてもいいだろう。むしろ負担の公平を図るためには、家族の多い人の負担を下げる、こうしまして独身者家族の多い人との間の負担のバランスを図るのが公平であろう、こう言つておりますが、確かに我が国の今までの税法税額控除所得の大きさの如何に拘わらず、一律に税額で千八百円の控除をいたしておりますために、少し上の控除になりますと、家族の多い少いによる負担開きが非常に少かつたのでありますが、今回の改正によりましてその点は非常に違つて参ります。これは税率の引上、引下という問題でなくて、そういう控除との関係と両方睨み合せまして、改正によりまして負担増減がどういうことになるかということを御検討願う必要があるのであります。私特に繰返して申すのでございますが、二十万円前後のところまででございますと、扶養親族控除上つて相当実は税額が違う。同じ所得でありましても、所得税の額が、独身者の場合と比べて、家族が例えば五人も六人もおります。場合には半分にもなつてしまうというような関係に相成りますので、その辺と併せまして、全体を睨み合せるようにお願いしたいわけであります。税額自体の問題につきましては、確かにいろいろ中間税率刻み方その他におきまして、尚将来検討すべき問題はあるだろうということにおきましては、先程も申上げた次第であります。
  10. 森下政一

    森下政一君 おつしやる通りに、扶養控除であるとか、基礎控除、特に扶養控除税額控除されても、所得控除することになるから、その結果仮にお示し通りに二十万円程度所得のところで、子供が多いとか、扶養家族が多いとかいうことになりますと、それは確かに税金が半分にもなるようなことがあるかと思うのですが、惜しいことに今度の所得税改正が、そういうような減税が行われておるに拘わらず、国民から余り礼讃されぬのは、反面において地方税増徴というのが引つ附いて廻るわけですね。これが加わつて来るものだから、これらを個人個人について見ると非常にカーブもあるでしようが、全体を調べて見ますと、大蔵大臣財政演説国税軽減ばかりを主張するけれども、地方税の方を併せて述べるということをしないと、国民の側から見ますと、地方税拂うの国税拂うの財布一つ、同じ財布でとられているのだから、一方で非常に負担の多くなるものを控えてもおるだけに有難味が少い。これは政府の方にとつても甚だお気の毒なんです。折角苦心されて改正された、その所得税改正というものは、只今おつしやるような非常に有難味のあるところも、片一方所得税増徴で相殺されて有難味が消えてしまう。そうして目障りになる。税率刻み方がもう少しあつてもいいのじやないかということだけがクローズ・アップされて、目に付いて行くという嫌いがあるのじやないかと思います。仮に局長の言われた、今イギリスの例を局長は引かれたが、税率としては、こういうような刻み方が妥当なんだけれども、今の財政状態に比べて、国を支えるために、これこれの改正案に示すような税率で暫く我慢をして貰わなければならん、こういうことになると余程事情が変つて来るのですが、これは立たぬで座つてつてお答え下さい。(笑声)
  11. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 大体におきましては私承認してもいいかと思います。けれどもこれが決定的に妥当であるが止むを得ないというのは、少し表現がお強いように感ずるのであります。で欲を言えばこうしたいのであるが、現在としましてはこの程度で我慢するより外ない。或いは今までと比べますと、これでも余程改善になるんだから、何とか一つ辛抱して貰いたい。こういうことなら私はいいと思いますが、不合理であるが辛抱して呉れということになりますと、やや若干見解を異にするということに相成るかと思うのでございます。尚重ねて申上げますが、実際のところ本当に私共表なんか示しておりますので、森下さんがよく御存じかも知れませんが、速記録に残す必要もありますから、具体的に申上げますが、例えば事業所得で二十万円の場合、この辺のクラスは、表面税率のところでは殆んど余り下りていない、ところが、基礎控除扶養控除税率改正と三つ加えまして大分違うのでございます。而もさつき申しましたように、家族が多い場合は違う。仮に独身者で二十万円の事業所得でありますとしますと、そうしますと、現在の税額が六万四千二百五十円に対しまして改正案は五万一二千七百五十円で、一割六分の減税になります。これに対しまして少し子供の多い、奥さん及び子供三人、この辺はざらにある世帯だと思いますが、奥さん子供三人のある同じ二十万円の場合におきましては、今までの税額では五万七千五十円、それが改正案で見ますと、十三万三千三百円でございまして、四割一分六厘の実は減税に相成るのでございます。それで従来は独身者であれば六万四千二百五十円一それから夫婦子供三人の場合でも五万七千五十円というふうに負担開きが余りなかつたのであります。それが今度扶養親族控除所得控除に改めて引上げました結果、改正案におきましては、独身者の場合でございますと、五万三千七百五十円の負担が、夫婦子供三人の場合でありますと、三万三千三百円というふうに二万円くらいの実は開きが出て来るのであります。今までの案によりますと、優かに八千円くらいの開きしかなかつたのが、改正案によりますと二万円の開きになる。こういうわけでありまして、相当な実は、控除と通じますと軽減になつておるということは言い得るのじやないか。通常の場合でございますと、むしろ夫婦子供人とか三人、或いは農村等で多い世帯は四人もある世帯がございますけれども、まあ全体として考えますと、所得税に関する限りは相当軽減になつておるということは明らかであると言得るのじやないか。そうして今後は而も扶養控除につきましても、例えば学生も控除を認めますし、それから商工業者なり、農業者の場合におきまして、今までは十八歳以上のものが経営に従事しておりました家族従業者というのは控除を認めなかつたのでございますが、これも今度は控除になりまするから、従いまして扶養親族控除改正による負担増減というものは、二十万円前後の階級のところまでは、税率増減よりも、実は非常に大きく響いておるということを御忠告願いまして、御説明になる際におきましても、さような観点からよく一つ説明願いますことを、この機会に重ねて申上げて置きたいと考えるのであります。尚、地方税につきましては、又別途の問題としまして、更に御質問がございますれば、お答えいたしたいと思いますが、これは確かに更にいろいろ検討すべき問題があろうと思います。
  12. 森下政一

    森下政一君 段々お話を聞いておつて局長の心持ちは大体私分るんです。まあ政府側に立つておられますから、それはお前の言う通りだともおつしやり難い。これもよく分るんですが、ただ併しながら、二十万円の所得のものと四十万円の所得のものと、これは倍額です。片一方は……而もそれが同じ税率で税を取られるということは、これは二十万円の所得のものから見れば偏頗な取扱いだということになると思うのは、これは当然だと私は思うのです。そこで二十万円と五十万円の間が開き過ぎておる場合に、三十万とか、四十万という階層を設けて適当な税率の按排をするということの方がより妥当である。但しおつしやるように、財政上の事情でその要求を満すためにそうは参らぬのだ。こう大体理解したいのですが、どうですか。
  13. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) その際に前提としまして、仮に例えば三十万円の所得の場合におきましても、累進税率は御承知通り、順次下から逓減して区切つて適用して参りますので、実際上の税の負担は二十万円の場合と三十万円の場合と、所得金額から出て平ました税金負担というものは大分違いがございます。従いまして、その二十万円を超える部分の所得につきましては、同じく五〇%の負担ということになりますが、所得金額に対する全体の所得税負担は順次累進して行つておるのであります。従いまして私はその問題は確かに一つの問題ではあろうと思いますけれども、まあ併しそれ程大きく強調しなければならないかということになりますると、程度の問題ということに相成るのではないかと考えるのであります。従いましてその辺は細かく刻めば合理的だという考え方もございましようし、又大体二十万円以上になつた場合において、所得程度が殖えたからもう直ぐ五五%も取る、或いは六〇%も取るというようなことにした方がいいか、或いは二十万円から五十万円ぐらいのところまでは、大体所得が或る程度殖えても五〇%で済ませるというふうな税率にした方がいいか、その辺は必ずしも絶対的に、いずれでなくちやならんというようなことではないのではあるまいか。むしろこの辺は私は最近の所得の状況から見まして、二十万円級の所得というのは相当ございまするし、その辺の所得者ちよつと殖えまして三十万円になれば、今度はそれを超えるものが一定の、二十万円までの所得よりも高い税率の適用を受けることにした方がいいかどうかは、これはちよつと問題であろうと考えるのであります。御承知通りイギリス標準税率というのは四五%で、大体普通所得よりもちよつと下のところでもう四五%に達して、それからずつと或る部分所得階級を四五%で打切りまして、それから相当高額所得に関して累進税率が始まつて行く、こういう税率の作り方も実はあるわけでありまして、従いまして二十万から五十万くらいまでの間を更に細かく税率を設けた方がいいかどうかということにつきましては、確かに検討すべき問題はあろうかと思いますけれども、又今回の税率の妙味も幾分あろうかと思うのでございます。併し根本はこの税率においては、先程から申上げておりますように、財政需要との関係もございますので、そういう問題と関連して、私共やはり将来共十分検討して見たいということを率直に申上げて御参考にいたしたいと思います。
  14. 森下政一

    森下政一君 税率の問題はそれくらいで取止めて置きます。それからもう一つは、今度非課税法人というものが大体税法に明示されておるのですが、これはこれまでもこの委員会で局長の意見を聞いたことがあると思います。例の協同組合ですね。これは非課税法人の扱いをすることはできぬものですか。
  15. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 協同組合につきましては、御承知通りずつと免税を実はいたして参つたのでありまして、それを確か昭和十五年の税制改正であつたかと思いますが、やはり国民負担を一般に加重する際であるから免税するのは不公平だ、殊に中小の商工業者の方面から、産業組合等に対して免税の特典を認めるのは不合理だ、こういう声がありまして、政府負担公平を図る見地からいたしまして、特別法人としまして、実は課税をすることにいたしたのであります。ただそのときは従来長く免税しておりましたので、一挙に普通の法人と同じ税率を以て課税するのは無理だろうというので、税法の上においても特別法人税という形で課税し、税率も確か最初は普通法人の半分ぐらいの税率課税していたかと思うのでございます。ところがその後順次やはりこの負担開きは少くするのが、どうも負担公平とい上見地から行きますと、公平じやないかという考え方が強くなりまして、最近は御承知通り普通の法人が百分の三十五に対しまして、特別法人は百分の二十五、十だけの開きを認めて来て、今日まで至つたのでございます。ところでよく率直に考えてみますと、やはりこれらの法人に対して特別にこの低い税率を設ける理由が、果して負担公平という見地から考えればあるかという点になりますると、どうもやはりないのじやないか、やはり所得が奇くもある場合におきましては、これは普通の法へと同じように課税をして然るべきじやないかというのが、この理論的な一つ考え方でございまして、従いまして今回の改正では専らそういう負担公平理論からいたしまして、法人税と同じ三五%の税率を以て課税することにいたしたのであります。ただこれらの法人は、その性質が一般から見ると大分違いますので、事業の分量に応する配当に対しましては、これは益金に算入しないことにいたしております。従来からさような扱いにいたしておりますが、協同組合の本旨に従いまして、それぞれ事業の分量に応じまして配当をなした場合におきましては、その配当金はそれを受けましたそれぞれの組合員の所得になる。で、その所得の、事業所得の一部になる場合が大分あると思いますが、その方で課税するから、従来から非課税にしていたものでありますが、そういう特例はこれを認める。併し苟くもそういう特性に応じました特例を認めても、尚且つ本当に所得があつた場合におきましては、これはやはり課税をする、そういう趣旨からしまして、全額課税にする。それからもう一つ、今回全額課税にいたしました理由は、御承知通り剰余金を分配しました場合におきましては、これは勿論個人に総合して所得税課税するのでございますが、その剰余金の分配の二割五分に相当する金額を個人の、詰り組合員たる個人の所得税課税の際に控除することにいたしておるのでございます。即ち法人において課税するのは、個人の所得税課税するのと同じような考え方をとつておりまして、その問二重課税を行わないという立て方にいたしておるのでございますが、そういう点からいたしますと、尚更どうもこの、税率に差を設けるのは、果して理由が不十分じやないかというので、苟くもやはり法人の形で所得がある場合におきましては、三五%の法人税を課するという方が合理的じやないかという趣旨で、今一律の課税にいたしたのでございます。尚、御承知かと思いますが、公益法人等におきましても、收益事業を営みました場合のその收益事業から生ずる所得に対しましては、普通の法人と、同じように三五%の法人税を今回課税することにいたしておるのでございます。そのような点から考えまして、大体私共やはり普通並の法人に課税をするということが、この税の公平理論から申しますると妥当ではあるまいかと、このような考え方からしまして提案いたしておる次第であります。
  16. 森下政一

    森下政一君 只今の御説明の中で、事業の分量に応じた所得とおつしやつたのですけれども、それは課税対象の外になつておる、こういうわけですね。それはどういうことですか。どういう一つの分量を認定するのですか。
  17. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 事業の分量に応じまして配当するという配当がございます。これは一種の、まあ普通の会社の場合でございますれば、一種の差戻しといつたような性質を多分に持つておるのでございますが、事業をやつて見まして相当収益が上つたという場合におきましては、一定のときに組合員に戻してやる。組合員と組合と取引があつた場合におきまして、組合の利益にしないで組合員に戻してやるのでございます。そういう形で一種の配当を行うことを認めておるわけでございまするが、これは組合の利益とは見ない。組合の所得の計算上損金に算入する、そういうことを認めることにいたしております。
  18. 森下政一

    森下政一君 それは今度の改正でそうなつたのですか。従来から……。
  19. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 今度の改正でございません。従来からあるのでございます。
  20. 森下政一

    森下政一君 そうですね。
  21. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) こういう制度がもともとありますから、残りました本当の純所得は、これはどうも外の所得と区分して、特に低く課税するという明瞭な事由がないだろうというのが今回一律にしました理由でございます。
  22. 木内四郎

    ○木内四郎君 今のに関連して伺いますが、そうすると、今の分量に応じた割戻しですね。それをやつて今度は課税を免かれようとすることになるから、結果においては非課税ということと同じことになりはしないですか。
  23. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 今の点は、やはり組合が相当自分のところに利益を留保して事業をやりたいというような場合におきましては、なかなかその事業の分量に応じて配当するということをしないと、その分だけがこの課税になる。これに反して組合自体は單にこの取次とか、代理といつたようなことをやつているに過ぎないのだ。そういうので、挙げて組合員の利益に帰属せしめるということで一取引の分量に応じまして、こういう場合におきましては、一種の組合は、極端に申しますると、トンネル機関みたいなものになると、こういう考え方をとりまして、それはやはりそれぞれの組合員の事業所得として算入して課税すればいいので、組合という法人に利益が発生したものとして課税する必要はなかろう。こういう組合の本来の性質でございます。それと調整を図つているということが現状でございます。
  24. 木内四郎

    ○木内四郎君 そうすると、そこに理論上ちよつと矛盾した点があるように思いますが、組合の方に、分量に応じて配当すれば課税しないという、ことは、それは協同組合の性質に基いてやられることだと思うのです。それを皆に拂戻すのだが、拂戻しを暫く待つて、それによつて一層組合員の仕事をやつて行こうという、それに課税をするのはちよつとおかしいような気がするのですが、その点が第一点です。それと関連して伺いたいのは、事業の分量に応じて割戻すというのですね。それに対しては所得税を課すのですか。むしろそれは組合員が自分達で余計に負担しておつたものが、それを割戻しで貰えるようなことだつたら、それに課税しないでいいのじやないかという気がするのですが、それと関連して、今の前のものですね、課税しないでいいような、そういう性質のものを溜めて置いて、いつかは割戻すのだけれども、割戻さないで、それで一層事業を拡張して行こうというのに課税するのは、どうも筋が通らないような気がすると思います。
  25. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 今の後者の問題から先にお答えいたしますが、後者の問題は、結局におきまして、それぞれ組合員は事業を営んでおるわけでございますから、事業の收入金ということになるかと思います。勿論收入金になりまして、必要経費を差引いた残りが純益になる、それに対しまして課税するのであります。前者の問題につきましては、結局組合が内部に留保する、それは出資に応じて配当するということになりますので、これは当然組合員の利益として課税する。それから出資に応じて配当しないで、組合員の中に留保して置きまして、資金に使う場合におきましては、会社が内部に留保して、これを資金として使つた場合と同じようにやはり課税する。いずれそれは事業の分量というよりも、いずれかのときにはむしろ出資の分量に応じて、出資に応じて、分配され或いは解散の際におきましては、出資に応じて割戻ざれるという、こういう性質のものじやないかと、こう考えるのでございまして、その部分は純粋に普通の法人の利益と本質的に同じだと、こういう考え方をとつておるのであります。
  26. 木内四郎

    ○木内四郎君 そうすると、これを将来出資に応じて分けた場合には、それは前のは戻して貰えるのですか。課税されたのは……。
  27. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 出資に応じて分配した場合にお営ましては、一旦課税しておる場合にはもう何も課税いたしません。源泉課税も取止めましたので、分配差額を個人の所得に総合して所得税を算出いたしまして、その中から分配した金額の二割五分を差引いて所得税を納めさせることになつております。これは專ら普通の会社の利益と、配当と同じ関係になるのでございます。
  28. 木内四郎

    ○木内四郎君 そうすると、毎期々々やるので、一度課税されたものはあとで分配したからといつて、前の課税を拂戻して貰うということはないのですね。
  29. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 前の課税を拂戻したということにはなりませんので、もうそれはすでに課税済みの所得でございますから、單に個人が利益を受けたときに、この際に、個人の所得に分配金を総合計算いたしまして、その税額の中から分配金の二割五分だけを引くというわけでございます。
  30. 木内四郎

    ○木内四郎君 それは出資金じやない、今の分量に応じた場合においても同様ですか。
  31. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 事業の分量に応じた場合におきましては、その都度法人の損金に算入しまして、課税いたしません。その代りその分は分配を受けた際に事業者の事業收入となりまして、その面で全体の所得計算で尚利益が出て来れば、事業利得者の方に課税する、こういうことになつております。
  32. 木内四郎

    ○木内四郎君 配当という取扱じやないのですね。配当に準ずべきものじやないのですね。事業收入ですね。
  33. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 事業の分量に応ずる配当の方は、純然たる配当ではございません。従いまして法人で課税しませんので、その部分は普通の配当所得と同じように総合で計算して、二割五分控除というようなことは行いません。
  34. 森下政一

    森下政一君 そこでその事業の分量に応じて配当ですね、戻しですか、その分量に応じてというのは税務署の認定ですか。
  35. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) これは特別法人がそれぞれ決算の際、或いは取引の條件としましてそういうことを定めておりまして、それに応じてそれぞれやつております場合におきましては、勿論当然税法上認められるわけでございます。従いましてその取引金額等によらずして、出資額等で戻しをやつておる場合におきましては、これは事業の分量に応ずる配当ではございませんから、勿論事業の分量に応ずる配当とは承知し難いと思うのでございます。飽くまでも取引金額に対しまして、一定の割合を返すというような場合におきましては、これは後に返すことになりましても課税しない、こういう趣旨でございます。
  36. 森下政一

    森下政一君 そうすると、取引金額というものは、どんなに多くなつても別段問題じやないですか。
  37. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) それは問題ございません。
  38. 黒田英雄

    ○黒田英雄君 ちよつと今のに関連して…事業の分量に応じて戻すということはいいというお話ですが、この頃聞くところによると、酒の協同組合などは焼酎の濫売を禁ずるというようなことを言つておるときに、焼酎の取引の量によつて割戻すということは、やはり値引きすると同じことになると思うのですが、そういうようなのは外の方面から、税法の方じやないですけれども、外の方面から何かお考があるのですか。そういうものはやむを得ざるものとして認めるということになるでしようか。
  39. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 只今お話は、酒類の販売の協定に関連して、酒類政策上どうするかというお尋ねかと思いますが、この方は酒税法に若干の規定がございますけれども、その規定に抵触しない範囲内におきますれば、現在のところ各それぞれの業者の自由でありまして、それに対しまして法律一定の制限を加えるということは如何であろうかと思います。ただ独占禁止法によりまして、相当取引に対する一定の制限と申しますか、よるべき基準が設けられておるのでありまして、その規定に従うことは必要かと考えます。規定に違反すると認められる事実があるような場合におきましては、御承知通り公正取引委員会で問題にする場合があるかと考えるわけでございます。
  40. 黒田英雄

    ○黒田英雄君 大体御趣旨は分りますが、例えば具体的に言えば、仮に焼酎なら焼酎の値引をして売るということは、これはやらせないということを、国税庁は言つておるのですね。然るにも拘わらず協同組合の方では、それは焼酎を取引したからそれに割戻すということは、焼酎の量によつて割戻しの金額を決めて割戻すということにすれば、実際においては値引きしたと同じことになるのですね。そういうものはやむを得ないからといつて放任して置くべきものであるかどうか、多少疑問があると思うのですがね。
  41. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 行政の実際上におきまして、いろいろ業界の方々と懇談等の方法によりまして、できる限り業界のためにもなり或いは政府の行政のためにもなるようなことを御擬して、いろいろ行う場所があると思いますが、そういうことになりますと、法律論と異りまして、実際問題といたしまして、それぞれ妥当な措置をとるように努めて行きたい。こういう角度から申しますと、お話のような問題につきましても、少し検討すべき余地があるかと思います。よく研究しました上で考えて見たいと思います。
  42. 伊藤保平

    ○伊藤保平君 ちよつと関連してですが、シヤウプ勧告では公団の再開を強く勧告されていますが、近頃のように酒類販売が又乱れて来ておりますが、そう請う点について何かもう少しお考があるのでしようか。
  43. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) シヤウプ勧告では、酒については相当高率な酒税を課しておるのだから、その酒税を円滑に徴收するためには、卸売つまり販売に対して相当な統制を加えた方がいいのじやないか、その必要性と、そのやむを得ざる事由を認めておるようでございます。従いまして状況如何によりましては、そのような措置をむしろとるべきだ、こういう勧告のようでございますが、公団を昨年廃止いたしまして、最近までいろいろ業界の方も工夫して参つておられまするし、政府におきましても、できる限り過誤のないように努めて参つたのでございまして、大体におきましては、私最初に公団を廃止した後におきまして、もう少し混乱が来るのじやないかという心配をしておりましたのが、比較的それ程でもなかつたという感じを持つておるのでございます。ただ最近に至りまして、お話通り又どうも少し行き過ぎな競争等がありまして、単純に酒類のそれぞれのマージンを切るだけならいいのでございますが、酒税の部分まで切りまして、値崩しをして販売するというようなことになりますと、結局長続きしないでお互に共倒れになるというような点もございますので、そのような点につきましては、極力業界の自主的な自粛と申しますかによりまして、ないように努めて行きたい、ただそういうことをやりましても、情勢の変かによりましてどうにも面白くないというような場合におきましては、又必要な措置を考えなければならないかと思うのございますが、現在のどころは急激にそういう法的措置をとる必要は先ずないのではなかろうか、もう少しそれぞれ業界の自主的な自粛並びに正しい方向に向うように極力お願いいたしまして、酒税の円滑に納まるように努めて参りたい、かように考えております。
  44. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 外に御質疑はございませんか。
  45. 森下政一

    森下政一君 今度はちよつと又別の問題なんですが、これはちよつと私が税法を理解しにくいので教えて欲しいのですが、例の変動所得の平均課税の問題でございます。二十万円以下である場合には、その年限りの簡易な調整を行い得る、二十五万円以上ですか、二十万円以上ですか、いやそうでなしに、変動所得の課税額が総所得の二五%以上である場合に五年間に分けたのを平均課税ができる、そこで平均課税方法なんですが、変動所得の生じた年には、その変動所得の五分の一に相当する金額、それからその年の変動所得以外の所得金額との合計金額に対する所得税額を計算してそれを納付する、そこまでは分るのです。ところがこの税額の調整所得金額に対する割当を、変動所得の五分の四に乗じて計算した金額を右に併せて暫定納付するというのはどういうことになるのですか。甚だややこしいのですが、皆さん分つておられるのですか。
  46. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) その点につきましては、確か計算例を資料としてお手許にお配りしております。その計算例を少し時間をかけて御覧願いませんと分りにくいかと思うのでございますが、御覧願います場合の御参考としまして、要点を申上げて置きたいと思います。今お話のように変動所得の特例を認めますのは、所得金額に対しまして、変動所得が二割五分を超える場合、この條件を附けております。これは二割五分以内という僅かの変動所得でございますれば、そう大きく変動するということによる調整、累進税の調整をやるという必要もございませんので、むしろ徴税のお互の手数の簡素化という意味でその制限を付けております。二割五分を超えました場合におきましては、納税義務者の選択によつて認める。従いまして納税者一が、自分は必らずしも変動所得ではあるが、そう年々変りはしない、こういうような人の場合におきましては選択は必要はない。併し今年は非常に多かつたが、これは特別だと思うような場合におきましては、選択とて頂く。そうしますと大分税率が違う。その場合の税率の作り方でございますが、これは今お話になりましたように、先ず第一番におきましては、その変動所得以外の所得、これは全額所得に算入します。それと変動所得の金額の五分の一だけを、その他の所得と合計して先ず所得金額を求める。その所得金額を元にして、それぞれ控除税率を適用しまして税額を出す。その税額は変動所得の五分の一と、その他の所得に対する税額でございます。ところでその外五分の四の部分には、まだ何ら税額が出ていないわけです。その五分の四の部分に対しまする税額を算出する方法といたしまして、その最初に申しました変動所得の五分の一と、その他の所得を合計しました所得に対する税率を適用して計算しましたその税額の割合、この割合が普通の所得と変動所得の五分の一の部分に対する負担割合ということになります。その税率を一応残余の五分の四の部分に対しましても乗じまして、その税率を一応変動所得のあつた年に徴收して置くわけでございます。そういたしませんと、それを後に徴收するということになりますると、その後所得がなくなつた場合におきましても所得税を納めなければならんということになりますので、五分の四に相当する場合におきましては、一応五分の四を除いた所得に対する負担の割合で税額を算定しまして、所得があつた年に納めて貰う。その代りに、五分の四の所得に対する税額の部分が、爾後五ケ年間に亘つて毎年計算し直しまして、過不足があれば、その部分についでは調整を加えて行くということになるのでございます。従いまして翌年非常に所得が減つて参りますると、変動過徴税額が出で来る。これを他の所得税額から差引いて、それだけ所得者負担が少くなる。反対に翌年の所得がうんと殖えて来ますと、五分の四に対する税額の部分からは追徴しなければならん税額が出て来るかと思います。そのような調整を五ケ年間に亘つてやりまして、変動所得の平均課税を実現しようというわけでありまして、そういう方法をとらないと、不当に変動所得に対する軽減ということになるのでございます。従いまとて、この五分の四に対する税額は、一応の暫定的に納める予納額といつたような性質を持つておるのでございまして、その部分は後の税額の計算で調整して行くのでございます。それから変動所得が仮に二十万円以下という小さい所得の場合におきまして、爾後五ケ年間に毎年調整するのでは、如何にも納税者にとりましても、役所にとりましても煩項でございますから、二十万円以下という少額の場合におきましては、爾後の調整を見合せまして、一年限り、今申上げましたような方法打切つて計算する。こういう簡單な方法を認めることにいたしておるのでございます。ただ漁業所得とか、原稿料の所得とか、年々波動があるというようなものにつきまして、この簡易計算をやりますと、非常に農業者等との間に負担の不均衡を来しますので、そういう所得につきましては、飽くまでも一遍選択すれば五ケ年間税額の調整をやつて行くということにいたしておるのでございます。大体変動所得につきましては、そのような仕方をいたしております。具体的な計算方法はなかなかはつきり分りませんので、別にお手許に資料として計算例を差上げておるのでございますが、これを御覧願いまして、両御疑問がございますれば、御説明いたしたいと思います。
  47. 森下政一

    森下政一君 そうすると、平均課税の期間というのは五ケ年間、ここで例えば漁獲なんというもので、その年に非常に豊漁であつた、だから非常に利益が多い、所得も多い、そのときに一遍にそれに対して課税をされてしまう。ところが来年になつてみると、案外しけて漁獲が少い、非常な波動がある。そのときに一遍に沢山、所得の多かつたときにとつてしまうということでなしに、それを五ケ年くらいに分けてとつてやろうということだと、私は思つているのですが、只今説明随分ややこしいのですが、結局第一年目に変動所得の五分の二に対する所得、変動所得以外の所得、それらを合計する。そうしてそれに対する税額を求めて納税するということ、そこまでは私はよく分るのです。ところが今のような工合だと、その変動所得の五分の四に対しても一応税金をかけて、予めとつてしまうというのなら、何か助かることがあることになりますか。
  48. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 少し誤解があるようでございます。変動所得の平均課税と申しますのは、累進税率の適用による負担開きをなくし、成る年に所得が非常に多い、或る年には非常に少いために、或る年の所得が固まつて累進率の非常に高い税率の適用を受けまして、二ケ年平均して課税した場合に、打切つて課税しますると非常に負担が高くなる。それをずらしてやろうというのが変動所得の平均課税でございます。課税は実際において所得のあつた年に税金を徴收するのが一番納税者にとつても便利でありまして、それはやはり所得のあつた年に、更に将来においても、大体においてこの程度負担になるであろうというのを徴収して置く趣旨でございます。従いまして、その異進税率の適用の際における負担の調整、これが非常に大きな目的でございまして、納税の方は成るべく所得があつたときに納めて置いて貰う、こういう方法をとつているわけであります。
  49. 森下政一

    森下政一君 只今のことはよく分ります。累進税率を調整して、より低いものにしてやろう。但し税金所得のあつた年にとるのだ、これはよく分りました。今度は山林所得なんかの場合ですね、讓渡があつた、それで所得を得たというような場合に、その讓渡が著しく低い価格で行われた。そういうときには、時価で讓渡が行われたものという認定の下に課税することになつておりますね。そこでこれは実際に讓渡して置いて、売手と買手の間で妥協しまして、安い金額で讓渡したようなことを見せかけることはあろうと思います。そういうことを防止する意味で、適正な課税をするということは分りますが、その時価で譲渡された山林の場合に、税法の上ではつきりそういう扱いをするのだということを明定するということは分るのですが、その時価なるものはやつぱり各税務署の認定になるわけですか。それからもう一つ、私がそこで恐れることは、税務署と非常に仲が好いという人もないかも知れませんが、非常な有力者とか何とかいうことで、税務署が楯つくことが好ましくないというものは、著しく低くないまでも、これは余程低いなと思うところで讓渡されるというようなことを先ず黙認されているというようなことがあると、甲の税務署の扱いと乙の税務署の場合で、非常に課税されるものが、負担の軽重の区別が出て来るということがあるのじやないか、これは非常に情実というものが、折角税法でこういうことが明定されても、そこに非常に情実が生れるのではないかということが心配だが、その点どう
  50. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 今の御意見御尤もと思うのでありまして、従いまして税法を作る場合におきましては、できますれば、成るべく客観的に、外形的に明らかなような規定を設けるのが国民に対しましても、税務官庁が仕事をやります場合にも公正に行くのではないかと思うのであります。ただ併しなかなか今のような御指摘のような規定の場合におきましては、実は規定の仕方がないのでありまして、結局そういう規定を設けましで、後は極力運用で正して行くより外はないかと思うのであります。今回の税制の改正にはそういう技術的にむずかしい点が沢山ございます。それは結局におきましてシヤウプ勧告案も言つておりますように、やはり国民が理解して貰うと同時に、相当優秀な公正な税務官吏を育てて、それに仕事をやらせる、この二つの点が相伴わなければなかなか負担の公平は期しがたいということを指摘しておりますが、特に私共今回の日本の税制改正に採りました各種の改正案というものは、相当高度の専門知識を有し、而も公正に動くところの税務官吏を育てるということを前提にいたしておるのであります。将来さようなことにつきましては、私共特に更に一段と勉強いたしまして、お話のような弊害がないようにこれは極力努めて参るということが一番行くべき道でありまして、今それより外ないんではなかろうか、そういう心配があるからというので、規定を適当にいたしますと、結局なかなか公平を期し得られなくなりまして、又うまく行かない。シヤウプ勧告案も言つておりますように、今度の税制は相当むずかしい税制でございますので、先ず税務官吏の訓練、素質の向上、それと関連して待遇の問題もあるかも知れませんが、そういうことが必要不可欠だということを指摘しておりますが、これは確かにそういうことと併せて公正な運営を図つて行くということに努力しなければならないと考えております。
  51. 森下政一

    森下政一君 御説明で大体了承しますが、実際問題として私は相当偏頗な措置が、全体として見るときに行なわれやすいという点を当局としては非常に御注意を願わなければならんと考えております。それから次に、利子所得ですが、現行の二〇%の源泉徴收というものはやはり、存続されると、そうなんですね。
  52. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 利子所得は源泉徴收を存続いたします。
  53. 森下政一

    森下政一君 そこで預貯金の利子に対する源泉選択課税という制度は廃止されるんですか。
  54. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) さようでございます。
  55. 森下政一

    森下政一君 そうすると、これはどういうことになるんですか。例えば銀行なんかで天引されておりましたね、あれは残るんですか、廃止されるんですか。
  56. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 二〇%の天引は残るわけです。その代り源泉選択というのは、総合課税を受けないものに対する六〇%の税率でございまして、これは如何にも妥協として、昭和十五年の改正のときに認めたのでありますが、税の理論から見るとおかしいので、その当時から主税局としては猛烈に反対したのですが、いろいろな金融政策がありまして、一種の妥協の産物として選択を認めて来たのであります。これはやはりシヤウプ勧告も言つておるように、すべての所得は必らず総合して課税すべきでありまして、給與所得、利子所得等の所得税は源泉で差引きますが、これは一応の予定税額でありまして、すべて源泉で差引きましたのは、後に年末調整、確定申告等によりまして全部総ざらいしまして総合して正しい税額を納めさせる、こういうふうになつておるのでありまして、そういう見地からいたしまして、この選択税率は止めるということにいたしたのでございます。併し源泉徴收の税額は一応の予定の税でございますから、この二〇%の税額は銀行で支拂います際に一応差引きますが、勿論他の所得と総合して確定申告の際、この税額を差引いて納めて頂くということになるわけでございます。
  57. 森下政一

    森下政一君 それは分りました。それから今度は甚だこれは愚かな質問をして相済まんのですが、徴税技術上のいろいろな課税表とか何とかに関連する問題だろうと思うのでありますが、予定申告のことなんですが、予定申告の提出を要しないというものをはつきり税法で決められておるのですが、これは現在でもそうだと思うのでありますが、一ケ所がら給與を受けておつてその年における給與所得収入金額が三十五万五千円と扶養親族及び不具者の数を一万二千円に乗じて計算した金額以下で、且つその他の所得金額が一万円未満と見積られるもの、これは要らんということになつておるのです。この三十五万五千円、こういう数字はどこから出て来るのですか。
  58. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) これは結局簡易税額表というものがございますが、簡易税額表の最高を確か今度はそれぞれ基礎控除家族控除を行いました後の所得金額三十万円で打切つておるのであります。この三十万円の方に端数を付けるか、今お話になりましたそちらの方に端数をつけるか、どちらかになるわけでございますが、むしろ簡易税額表のラウンドナンバーにいたしました関係上、大体これに見合う最高限が三十五万五千円と、それからそれに対しまして家族控除等を加えた額になりますので、そのような方法によることにいたしたのであります。特別に余り大きな意味はございませんが、若干の技術的な意味だけでございます。
  59. 森下政一

    森下政一君 そんなことがあるのだろうと思つたのですが、それから二つ以上の所から給與を受けておる者の場合、これは給與所得の総收入金額が十万円ということになつておりますけれども、これは二つ以上だと十万円と、一ケ所だと三十万円十それで見合うことになるのですか。
  60. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 一ケ所だけから貰つておる場合は一ケ所で支拂う給與に対して源泉課税をやる場合に基礎控除家族控除累進課税、全部を差引いておるわけでございます。従いまして相当上の所得で大体源泉課税を差引いたものの総合額、これを年末調整で若干調整して貰いますれば、それで正規の一般源泉税額とほぼ一致して参りますので、申告によつて加不足額を調整することを成るべくなくすことにいたしておるのであります。これに対しまして、二ケ所以上から俸給給與等があります場合は、累進税率の適用等はそれぞれ別々にいたしております。それから二重に家族控除等はいたしておりませんが、そのような技術的な関係がありまして、税額が両者を合算した場合に比べまして、著しく移動があるわけであります。従いましてこの方は相当低いところからやはり申告をして、確定申告をして正しい税額を出して加不足を調整して頂くより外はないということになりまして、十万円のところで、それ以上は必要とするということにいたしたのであります。大体十万円のところにいたしますと、いろいろな関係からいたしましてそう大きな加不足がないというところを認めて十万円にいたしておるのであります。
  61. 森下政一

    森下政一君 それから、たびたびこんなことは申すまでもないことだと思うのでありますが、政府の承認を得た場合に限るとかいうようなことが方々にありますが、これは結局税務署に了解を得ることですか。
  62. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 前年度の実績につきまして、以下で申告する場合には承認を要することにいたしております。それから棚卸し資産の評価の方法でいずれを選択するという場合にも承認を要することになつております。これは勿論結局大体は税務署長の承認を要するということになるわけでございますが、そのうち承認に対して不服がある場合におきましては再調査の請求ができることになつておりまして、従いましてその点は一種の承認というものは政府の行政処分になるわけでございますが、大体そのような方法でやるより外ないという考えでいたしておるのであります。
  63. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 所得税法の青色申告の点ですが、個人の場合は前年の純損失の金額を青色申告を出した場合には何年かに分割してこれを処理してもよいというようなことになつておるのですが、青色申告は御承知通り今年からなのですが、この場合に、今までの繰越欠損というものは認めてこの制度をお使いになるのですか。
  64. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) この制度は、二十五年一月以後発生しましたつまり二十五年分の欠損から繰越控除を認めることになるのであります。二十四年度は今までの税法で行きますので、この方は認めることにならないものと思うのであります。
  65. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 それは欠損を税務署ではつきり認めた場合でも、それはこの法案で処理されないのですか。
  66. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 法人の方は御承知通り昭和二十五年三月三十一日以前に終了した事業年度分に生じました欠損、これは青色申告を提出しない人につきましても、一年間は繰越控除を認めております。個人の方は全然繰越控除を認めておりませんでした。新らしい制度ではすべて二十五年度分から認めることにいたしておるのでございます。
  67. 森下政一

    森下政一君 源泉課税をするときに、例えば近頃会社、工場あたりの経営が不如意で、賃金の遅拂なんということは至る処にあるのですが、そういうようなものはどうなんですか、実際に支給された賃金に対する源泉徴収ということになつておりますですか。
  68. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) その源泉徴收して納付しなければならないのは、実際に支拂つた賃金に対しまして、その分を納付すればよいことになつております。
  69. 森下政一

    森下政一君 それからもう一つお尋ねしたいのは、一時的に支給される退職金の問題でありますが、これに対する課税方法が今度変り、従来は五割が課税対象になつてつたのが、今度は勤労控除一五%を引いた残額に対してかかつて来ることになつておりますが、そのときに、私は市役所に勤めた経験があるのですが、市役所の吏員というものは退職したときに退職金を貰うために一毎月月給から何ぼか差引かれて積立をしておるわけですね。毎月積立をしておる、給料なるものは源泉課税を一応やられておるわけですね、そうして税金を取られた残りから、もう納税の義務を果した所得から積立てておるわけですね、その積立てて行つたものに市役所側が何ぼかプラスして退職金を呉れるのですが、これに対してもう一遍税金がかかつて来るのですね、これは二重課税じやないのですか。
  70. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 市役所の例はよく承つていないのでありますが、若しもはつきり一定の給與から基金として会社に預け金でもいたしておるという場合におきましては、その預け金が戻つて来るに過ぎませんから、これは退職金にはならないと思います。併しその代り預け金の利子に対しては毎年支拂があるものとして課税することになるかも知れないと思うのでございますが、そういうことにもなろうかと思いますが、ただ一般の場合におきましては、現実に辞めた場合におきましては、退職金として貰つた場合におきまして、貰つた総額に対して課税するということになつておりまして、個々の場合の、今お話のような場合にはどういうふうに判断すべきか、もう少し具体的な事実を見ないとなかなか判断しにくいかと思うのでありますが、そういう点は具体的事実に基きまして、よく調べた上でお答えいたしたいと思います。
  71. 森下政一

    森下政一君 大蔵省の考え方としては、今おつしやるように丁度預け金のようなもので、源泉課税をされた毎月の給料の中から積立をしておる、五年、十年とそれが溜つて行くわけですね、そうしてそれだけを返して貰うのが退職金ではなくして、勿論それに市役所が在職中の功績をプラスして呉れるのですが、預け金も一緒に返つて来るわけですね、そうすれば預け金がどれだけになるかということは計算で分るわけですが、退職金のその部分に対しては課税しない、大体そう考えられますか。
  72. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 具体的の問題についてもう少し契約の内容等を調べないと、ここで確たることは申上げがたいのであります。併しそのものかはつきり市役所なり会社なりの一種の預金という形になつておりまして、それに対する利子等の計算も正しくやつてつてその部分が後で辞めた時に返つて来るというものであれば、これは当然退職金でないと思いますが、両者の性質がはつきりしないで、何か一部分を負担をして辞めた際に出す。こういう場合におきましては、むしろ全額を退職金と認めなければならん場合もあろうかと思います。この辺の細かいことは法律問題でございますので、具体的な事実に応じましてお答えしませんと、却つて後でお互いに困ると思われますから、よく実際を取調べましてお答えいたしたいと思います。
  73. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 法人税の方で少し伺いたい。第五條に法人税の積立金に対する課税があるが、一体積立金に課税するという政府の方針はこれは適正であるかどうかということを伺いたい。大体今会社等においては、内容を充実させて自己蓄積させることを根本に置くのが今後の経済状態に対して好ましいことと思います。それに対して自発的に積立をするというところには、むしろ政府で特典を與えるぐらいの方が将来いいのではないかと思う。これに対して税金を取るということはどういう趣旨ですか。
  74. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) これは全く今回の法人、個人を通じまして、課税理論の変更から来ております制度でございます。と申しますは、法人に利益があつた場合は即ち株主が利益を得たものである。こういう観念からいたしまして、法人の利益に対しましては一回限りの所得税を原則として取るようにする。二重に課税しない、こういう建前を取つておるのであります。従いまして会社が配当しました際に、個人に総合して課税するのであるが、その税額から二割五歩を控除して課税するということにいたしておるのであります。ところが会社が配当しないで社内に資本を保留して置くということになりますと、株主の得た利益に対して課税する機会が実はないわけでございます。つまり法人が利益を上げた場合は即ちそれは株主が利益を得たものである。こういう前提の下に今度の法人税の理論が成立つでおるので、それを株主に配当しないで会社内に留保しております間におきましては、株主に対して課税する機会がない。二割五歩控除いたしましても荷課税不足ができます。例えば所得金額二十万以下の所得者等におきましては、配当するならば納むべき税額は二割五歩以上あるのであります。そのとぎの課税をずつと長く猶予しておるわけでありまして、いつかは配当されるのでありますから、配当された際に株主に課税するのであるが、その課税を待つ間の金利といたしまして二%課税しよう。こういう趣旨でございます。従いまして前提は、法人が上げた利益というものは株主が上げた利益であつて、本当は法人が利益を上げた際、全部株主に分配されたものとみなして個人に所得税を課する。これならばいいのですけれども、それは又実際に即しませんから、結局実際に配当した際に課税します。従つて配当されない間は、その間金利を相当額としまして積立金に課税する、こういうのでございます。二%にいたしますと、大体その配当に対する課税を猶予したことによる税額の大体六分大厘くらいに廻るような計算が出るのでございますが、まあこの程度課税をするのは、今申上げましたような法人課税を徹底した結果としまして、必要であり、妥当だろうということになるかと思うのであります。若しもこの法人が配当しないでずつと留保しておきますと、配当した法人に比べまして、株主の負担が違つて来るので、それの差を付けようと、こういうわけであります。
  75. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 そうすると、今の趣旨で言うと、現内閣においては要するに自己蓄積ということは余り重きを置かないと、大体三五%取つた残りですものね。その中から積立をするのに、又それに対して税金を眠るというのは、どう考えても私は余り正当な論ではないと思うのですが、これはまああなたは政党員じやないから、これ以上追及しません。それからもう一つは、同族会社の説明ですが、これは第七條の二にあるのですが、「株主又は社員の人」といつたこの文句ですけれども、これはどういう意味なんですか。株主の中の一人でも、文社員の中の一人でも、これに該当すれば同族会社と見なす、こういう意味なんですか。若しそうだとすれば、株主又は社員の中の一人というようにやらなければ、意味が取れないのではないですか。
  76. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 前段の問題について、これは政策の問題にあらずして、今度の税制理論の重要な一点でございますから、尚重ねて申上げて置きますが、今度の法人税の税制についてはさつき申しましたが、法人が利益を挙げたのは、即ち株主がそのときに利益を挙げたのだと、こういう前提に立つておるのであります。然らばと申しまして、現実に分配しないのに、全部その個人の段階課税するのは、これは実情に反するから、個人に課税するのは会社から分配したときに課税しようと。併し、そのときまで全部待つのではこれ又遅くなりますから、法人の段階において三五%だけは取り敢えず課税して置こうというのが法人税でございます。ところで分配されないでおりますと、それぞれ個人に分配された場合に比較しまして、課税が猶予されるわけであります。その猶予される分に対しまする利子としまして、積立金に対する課税を取ると、こういう理論から出て来ておるのでありまして、都合のよい法人、個人二重課税制度を排除するのには賛成して、積立金に対する課税は反対するというのは、これは理論の一貫しない議論だと思います。併し、若しも特に経済政策上留保を奨励する必要があると、こういう理論から申しますと、負担上からは留保所得に対し課税すべきでおるけれども、補助金を出すと同じように、社内留保を認めると、こういうこともありますけれども、私共今の段階準おきましてそういう必要はなかろうと、こういう意見を取つておるのでございます。それから法人の同族会社の点でございますが、これは、今回、今までの株主の一人中心主義から、数人で持ちまして、一定の割合以上持つておる場合も同族会社に該当することにいたしたのでございますが、今のお尋ねの趣旨が分りかねるのですけれども、例えばこの條文の何項の……。
  77. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 第七條の二ですね。「株主又は社員の一人」という最初の……。
  78. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) ここに社員と申しますのは、株式会社以外の会社の株主に代る社員のことを言うのでございまして、使用人を指しておるのでございません。例えば合名会社、合資会社はそれぞれ社員と称しておりますが、それを指しておるのでございます。
  79. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 午後十時まで休憩をいたします。    午後零時五分休憩    —————・—————    午後一時四十九分開会
  80. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 休憩前に引続き会議を開きます。所得税法の一部を改正する法律案富裕税法案資産評価法案相続税法案法人税法の一部を改正する法律案について御質疑がありましたら、御質疑願いたいと思います。
  81. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 同族会社の積立金額を大小に拘わらず年五十万円というふうに切つてあるのは、どういう関係でこういうところにラインをお引きになつたか。百分の二と百分の七に……。
  82. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 同族会社につきましては、やはり最も個人の営業者との負担の均衡を図る必要がございますので、一定所得金額を超えます場合におきましては、特に積立金に対する高い税率を適用することにいたしたのであります。これは全部同族会社の所得のうち五十万円までの金額につきましては百分の二で済ましまして、五十万円を超える部分の金額に対しまし高い税率を適用するわけでございます。従いまして例えば六十万円でございますと、十万円に対してだけ高い税率がかかるということに相成るわけでございますが、それは大体その辺でありますれば、個人で事業を直接経営した場合の所得税負担と大体バランスが取れるということを目安にいたしまして、五十万円の線で切つたわけでございます。
  83. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 次に、この場合、上半期と下半期には決算期が同族会社と別々になつている会社があつたとして、上半期には例えば五十万円の利益を上げた場合と、下半期に全然利益がないというときにはどんな措置が取られるんですか。
  84. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 今の十七條の第二項に規定せられておりまするが、五十万円というのは原則として一年分の金額について判断して頂くことになつております。事業年度の期間が一年未満、例えば六ケ月でありますれば、それぞれ五十万円を調整しまし、て、例えば六ケ月でございますと、その半分が標準になるわけであります。法人税はすべで事業年度ごとに打切るという税制の建前になつておりますので、それぞれ半年でございますれば半年で確定するということにいたしておるのでございます。
  85. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 これは或いは何遍か聞かれたことかも知れませんが、所得税法で、個人の総所得金額に対する課税の率は五十万円までは累進の適用があつて、五十万円を超えるときは百分の五十五となつでおります。これは一体政府案の第一案としては八十万円か百万円と承知しておりますが、どういうわけでこういうふうにお変えになつたか。それから又五十万円までの所得者相当まあ高額の所得者と見てこんな率が課せられるのかどうか。その二点を一つお伺いいたします。
  86. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) シヤウプ案では御承知通り三十万円を超える場合に五十五にしたらどうかと勧告になつていたんですが、如何にも所得の分布は最近は非常に、昨日も申上げましたように平均化されまして、そう大きな大所得者が比較的少くなつて来ておりますが、それにいたしましても三十万円という所得は如何にも低いので、最高税率を適用する所得階級相当引上げた方がいいだろうという考え方を持つておるわけであります。まあせめて私共、百万円ぐらいのところで最高税率の置かれるような所得税率にしたらどうかということを一案として作つたことがありますが、そうしますと、先般木内さんにも申上げましたように、順次下の方から税率をずらしませんと、如何にも税率の形として合理的でなくなつて来るということに相成りますので、さような税率を作ります。と、相当二百億くらいの減收になる。ところで財政事情からいたしましても、更に所得税について、二百億円程度の減收でもいいということにはなかなか参りませんので、税率といたしましては一応もう少し引下げまして、最高税率は五十万円のところに止めるごとにいたしたのでございます。ただこの問題につきましては、将来財政事情と睨み合せまして、税率の取り方等につきましては、先程から森下委員にお答えした通り尚よく検討して見たいと考えておるのであります。
  87. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 結局は徴税額関係上取り敢えずこういうふうにしてた。こういう結果ですか。
  88. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一君) 理想を申せばもう少し高い方を最高税率とする方がいいのではないかと思いますが、所得税に期待する税額等の関係からいたしまして、先ずこの程度にいたしましてもそう不合理ではあるまいという考え方で、この税率を作つたわけであります。
  89. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 富裕税と関連いたしまして、確か大蔵省発表の最初の案では百万円にして行つて丁度富裕税との割合でバランスがとれるのだという理由に見受けられたのですが、そうなりますと、今後は富裕税の方は軽くして所得税の方が重くなつた。こういうふうな解釈を下されるわけですか。
  90. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 富裕税との関係におきましてはいろいろ問題がございまするが、これは財産をどの程度つておるか、所得財産額との比例は人によつて非常に違いますので、余りはつきりした基準は出て来ないのであります。所得税自体といたしまして、最高税率は今の所得の分布状況等からいたしまして三十万円では如何にも低いから、それをできるだけ上げた方がいいだろう、こういう考え方であります。従いまして所得の三十万円を五十万円にするということで話は済んだのであります。いろいろ理想的な姿を考えますと、先程から申上げておりますように、尚こういう問題につきましては、検討すべき余地があるというふうに考えておるわけであります。
  91. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 次に、地方税が今日あたり出たようでありますが、地方税とこの国税との関係で、成る程国税の方は幾分下るでありましようが、地方税相当原案によりますと、いわゆる徴收が強化されておるのではないか。こういうことになりますが、それについて大蔵省の案がこのバランスが適当だとお思いになつておるのか。それとも実はやはり地方税が強過ぎるというふうなお考えはないのですか。
  92. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 地方税との関係につきましては、大体の各税の配列と申しますか、配置と申しますか、所得税国税で三千五百億を徴收する。間接税もそれぞれ煙草專売が千億を課税する。それから地方税におきましては、四百四十億の附加価値税を府県に認める。それから市町村には五百二十億の固定資産税と六百億の市町村民税を認める。別に府県に対しまして百三十億程度の入場税と、それから百二、三十億円程度の遊興飲食税を認めまして、それによりまして国税及び府県市町村を通ずる大体の税源の配分を考える。この大体の構想は、私共極く当を得た考え方と思うのでありまして、シヤウプ勧告によりますその基本の点は、これを認めた方がいいというふうに考えられまして、提案いたしたのでございます。従いまして、それに基いていろいろ負担の計算もいたしまして、お手許に数字をお配りいたしておりまするが、これによりましても、全体を通じまして、大体やつぱり下る人の方が多いというふうに思つております。ただ地方税は御承知通り、現在の負担が地方によつて非常に違つております。例えば住民税の賦課の標準等も東京都の場合と田舎のどつかの市町村の場合とは非常に所得に対する割合から申しますと、負担が違つているのでございます。課率の高さも違つているのでございます。そういうふうに現在地方における負担が違つでおりますために、改正後におきましては、必ずしも一律に平均というところに行かない。従来高く賦課しておる地方におきましては、改正後において概ね下るところが多くなつて来る、反対に従来比較的低く賦課していたところにおきましては上るところが出て来る。いろいろ区々でございますが、大体におきまして、若干はやはり下る人が大部分である。家族の多い人は相当下るというように見ております。ただ更に国税地方税を通じまして、課税方法と申しますか、ベースが、例えば地租、家屋等は二倍半から三倍になる。市町村税も三倍になる。国税所得税所得に応じて家族の多い者は下る、こういうことになつておりまするが、必ずしも固定資産税等は所得に応じないで課税される税額でございますので、所得の割合に大きな家に住んでおるというような人の場合におきましては、地租、家屋税の増税額の方が相当多くなりまして、所得税の減税額を越えるという人の場合も出て来る。従いまして国税地方税を通じまして、所得に対して実際にどういうふうな増減になるかということはなかなかこれは人によつて違いますので、むずかしいのであります。大体通常の場合に考えられる場合を選定いたしまして、お手許に表を作つてお配りしておるようなわけであります。これにつきまして御説明を申上げます。
  93. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) ちよつと速記を止めて下さい。    午後二時三分速記中止    —————・—————    午後二時四十五分速記開始
  94. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) それでは速記を始めて。公認会計士法の一部を改正する法律案について御審議を願います。すでに御質疑は大体において終了いたしておるようでありますから、所疑を終局といたしまして、討論に入ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  95. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御異議ないと認めて討論に入ります。
  96. 木内四郎

    ○木内四郎君 公認会計士法はこのたび公認会計士制度を非常に高い水準に持つて行こうと思つて改正案を提出されておるのでありますけれども、公認会計士法の第三十條第一項を見ますというと「公認会計士が、故意に、重大な虚偽、錯誤又は脱漏のある財務書類を重大な虚偽、錯誤及び脱漏のないものとして証明した場合には、大蔵大臣は、公認会計士審査会の議決を経て、一年以内の業務の停止又は登録の抹消の処分をすることができる」こういうふうに書いてあるのでありますので、只今申しましたように、今回の改正案は公認会計士というものを、非常に嚴格な試験をして資格を決め、そうして非常に高い水準を維持しようとするのでありますので、着くも公認会計士たるものが虚偽、錯誤、又は脱漏のある財務書類を故意に、虚偽、錯誤、及び脱漏のないものとして証明するという場合におきましては、その虚偽、錯誤又は脱漏は非常に重大なものでなくても、それは公認会計士としては適当芸ないと思うのでありますので、その第三十條第一項の「公認会計士が、故意に、重大な虚偽、錯誤及び脱漏のないものとして証明した場合には」云々とあります中から、「重大な」という字を削る案を提案いたしたいと存じます。賛成を願いたいと思います。
  97. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 私は本法案に反対するものであります。と申しますのは、公認会計士審査委員会の議を経て公認会計士が虚偽、錯誤又は脱漏のある財務書類を重大な虚傭、錯誤及び脱漏のないものとして証明した場合には、一年以内の業務停止又は登録の抹消の処分をすることができる。となつておりますが、この審査委員会の構成がこの改正しない法律のときの方がむしろよいのであつて、その方が公正を期し得るのであつて、公認会計士審査委員会の構成を見ますというと、事実上公認会計士を以て構成ざれるということになりますので、みずからをその虚偽とか錯誤、脱漏等を証明しなければならない、それは非常に立派な人ばかりであれば公正にそれが判定されましようけれども、お互いに公認会計士同士であれば、それを庇い合つてそうして虚偽、錯誤、脱漏のあつた場合でもそれを脱漏とか錯誤がないものとしてその事実を隠蔽する危険がある。従つてなぜわざわざ今回のように公認会計士審査委員会の構成メンバーを公認会計士に限つたか。この点につきましては、我々賛成はできないのであります。従いましてこの点についてその條項に関する限りにおいては、この改正は却つて改惡になると思いますので、本法案に反対するものであります。
  98. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 外に御発言はございませんか……。それでは討論は終局したものと認めて採決することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  99. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) それでは採決をいたします。先ず討論中にありました木内君の修正案を議題に供します。木内君提出の修正案に賛成の方の御挙手を願いたいと存じます。    〔総員挙手〕
  100. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) それでは全会一致であります。よつて木内君提出の修正案は可決をいたしました。次に只今採決されました木内君の修正にかかる部分を除いて、内閣提出にかかる原案全部を問題に供します。修正部分を除いた原案に賛成の方の御挙手を願います。    〔挙手者多数〕
  101. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 多数と認めます。よつて法律案は多数を以て修正可決されました。尚本会議における委員長の口頭報告の内容は委員長において、本案の内容、本委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨、及び表決の結果を報告することとして御承認を願う、ことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  102. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御異議ないものと認めます。それでは委員長が議院に提出する報告書に多数意見者の御異名を願います。     多数意見者署名      黒田 英雄  伊藤 保平      玉屋 喜章  西川甚五郎      木内 四郎  油井賢太郎      小宮山常吉
  103. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御署名漏れはございませんか、ないと認めます。   —————————————
  104. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) それでは税法に対する質疑を続行いたします。御質疑がありましたら……。
  105. 黒田英雄

    ○黒田英雄君 富裕税についてちよつとお尋ねかますが、これは富裕税に限らない他の税にもあるわけですが、富裕税がまとまつているので伺いますが、第三者通報の問題ですが、これは聞くところによるというと、随分あれによつて脱税している者が発覚されるという場合もあるというように聞きますが、又一方ではそれを商売にしている、而もそれが税務職員あたりと通謀してやるというようなことも或る程度噂に聞くわけです。いろいろ弊害も一方ではあるじやないかと思うのですが、どういう結果を現わしておりますか。それを第一に伺いたいと思います。それから若し発覚してその金額に対して百分の十以下に相当する金額を報償金として貰えるということがあるのですが、この通報によつて調査をした結果間違つておつたという場合については、罰則を見ますというと、罰則には「他人の富裕税について、国税庁長官又は国税局長に対し、第三十二條第一項に規定する事実に関する虚偽の報告をした者は、」云々という罰則が四十七條に規定してあるのですが、虚偽の報告というのは、少しでも間違つておれば虚偽ということになつて罰せられるのですか。或いは惡意を以てその者を陷れようとするような意味か、或いは單に風説を聞いたのみでそれで以てやつたとかいう者までも入つて罰せられるものであるのですか。一方には脱税額が出れば褒美を貰えるのですが、その代り軽卒にやつた者に対して何かの制裁がなければいかんと思うのですが、四十七條では何が惡意を以てやつた者だけが処罰されるように見えるのですが、この点はどういう意味ですか。
  106. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 第三者通報に関する制度は申告納税制度の採用に伴いまして、一種の税務の民主化と称しますか、そういう見地から戰後に初めて財産税以来設けました制度でございまして、最近までの実績によりますと、今手許に詳しい統計を持つておりませんですが、やはりこの制度によりまして相当有効な脱税が発見された場合があつたようでございます。ただ実際は通報の中で本当に有効な結果を生みましたのは、パーセンテージから言いますと、確か大分少いように記憶しておるのでございますが、併し通報の結果相当多額の脱税が発見されまして、それによつて負担の公正と国庫收入の増加を図るような事例がやはりあるようでございます。従いまして私共はやはり税に関する一般の関心を高め、それから税は要するに国民法律に従つてみずから義務を負担すべきものだ、こういう見地を前提とする制度といたしまして、通報制はやはり残した方がいいという考え方で、今回の法律案にもすべてこの制度を認めておるわけでございます。ただその点につきまして今回改めましたのは、従来その前提といたしまして、何人も税務官庁に行きまして納税義務者が出した申告書の内容、それまで税務所の調査しました調査書類の内容を閲覧し得る権利を持つていたのでございます。併しこれは余りにも行き過ぎになる虞がございまするし、所得の内容等が洩れまして、却つて正しい申告を妨げるというような結果にも相成りますので、この申告書の内容及び税務署の調査書類の内訳を詳しく閲覧する制度は、今回廃止することにいたしました。その代り所得金額を、所得税でございますると五十万円以上の申告をした人の場合には、その申告金額と住所氏名を一定のものに書き連ねまして、それを一定期間税務署の適当な場所に、公衆の見安い場所に置きまして、そうして一般の者の閲覧に供する制度にいたしておるのでございます。従いまして、余り細かい所得の内容、微細な内容等まで第三者が税務署に行きまして、書類を調べたりするということは今後は認めたいという考えでございますが、大体或る人が幾ら申告しておるかということは、少くとも財産目録に関する限りは分るようなシステムになつておるのでございます。それが改正の一点でございます。それから今最後にお尋ねになりました虚偽の通報でございますが、これは御指摘の通り富裕税でございますると、四十七條にその規定を設けまして、第三者通報から来まする他の面の弊害を取り除くことにいたしておるのでございます。而して、これに書いてありまする「事実に関する虚偽の報告」というものの解釈は、その事実が真実でないということを予め本人が知つているに拘わらず、通報したと、つま力虚偽、その事実が、真実でないということを認識しましてそれに基いて、尚且つ通報したという場合には、この虚偽の報告をなしたという場合に該当するかと思います。ただ併しやはり本人は飽くまで正しいと思つていたということで報告いたした場合におきましては、これはこの條文には該当しないのじやないかと、惡意というよりも故意ででございますね、故意に事実でないということを知つて、通報した場合はこの條文に当嵌らないということになると思うのでございます。例え惡意でおりましても、事実が正に間違いないということを信じまして、この通報をしました場合におきましては、この條文には該当しないのではなかろうかと、かように考えておる次第であります。
  107. 黒田英雄

    ○黒田英雄君 それじやもう一つ伺いますが、第九條の第一項第四号に国宝保存法の規定により国宝又は史蹟云々とありますが、この重要美術品等に指定されたもの、それらについて百万円以上の分は富裕税を課けるということになつておりますが、これはどうも売つてしまつて、そうして納めるというわけにも行かんものであります。請願も出ておるように思いますが、如何にもこの金額は低いように思うのです。或はむつと進んで、これなぞに課税するということが、個人のものであるというものの、殆んど個人のものとしての自由処分はなかなかできないものが多いと思うのです。それをやはり富裕税の目的物にするということはどうかと思いまするが、仮にこれをするとしても百万円というのは如何にも低いように思うのですが、これらの点についてどういうような御見解ですか。
  108. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) これらのこの国宝とか重要美術品に対しまして富裕税を課する際に、課税価格に算入するかどうかということは私共愼重に研究して見たのでございまして、一時は或いはこういう種類の財産はとかく融通性が少いのが多い状態でございますので、全額非課税にしたら、どうかということも研究して見たのでございますが、ただ他面におきましては、相当書画骨董に属するもので、転売の可能なものも中にはあるようでございますから、そういうものが相当価値が高いというような場合がありまして、若しも全額非課税にいたしますると、そういうものに財産が保全されまして、富裕税負担が不当に軽くなるというような場合も心配されますので、百万円だけは控除して課税しないのでございますが、それを超える部分につきましては、やはり課税した方がよかろうということで、本案を提案することにいたしたのでございます。審議の途中におきましては、或いは全額非課税にした方がいいんじやなかろうかということも大分研究して見たのでございますが、今申しましたような事情からいたしまして、結局最後に確定いたしましたのは、百万円で限界を引くということに相成りましたことを申上げて置きたいと考える次第でございます。
  109. 黒田英雄

    ○黒田英雄君 ちよつと速記を止め下さい。
  110. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 速記を止めて。    〔速記中止
  111. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 速記を始めて。
  112. 黒田英雄

    ○黒田英雄君 只今御答弁で御趣旨が分りましたが、これを課税するにしても、百万円以上ということになつて、まあこれは重要美術品には、国宝になつておるものには相当高く見られるものもあると思うのですが、そういうものを納めるのにその物を売つて納めろということはちよつとなかなかできないんですね。他の田畑とか家屋ならば、それは住宅でも売るのは困るんですが、まあ売ろうと思えば売れんことはないですが、こういう物が売れないのに、それで以て税金を納める、何とかしなくちやならんということは、やはり困難な場合があると思うのです。これについてはどういうようにお考えになりますか。
  113. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) その問題は、私は結局この税率の高さの問題と関連して来ることと思うのでありまして、今回提案しました富裕税は、大体まあ所得税補完税という意味におきまして、実体的な財産税でなくして、普通の場合ならば所得税を納められる程度の比較的低い税率にいたしております。衆議院でも苟くも富裕税を課けるならば、もつと高い税率にしたらどうかという意見もございましたが、年々課税しない財産税としましては、私は今度の日本の富裕税は世界でも相当高率な税であろうとは思います。思いまするが、それにいたしましても税率からいたしますると、五千万円を超える部分に対しまして最高百分の三でございますから、財産を売つて納めなければならないような場合が仮にあるにいたしましても、そう大きな影響は與えないんじやあるまいかということを考えますれば、若干右から左に売ることの困難なような物につきましても、富裕税をやはり課けるというのが富裕税を課しまする趣旨から公平じやなかろうかと考えるのであります。ただ国宝とか重要美術品等の中には、比較的転売の容易なものと申しますか、はつきりした交換価値を付け得るものと、なかなかはつきりした交換価値をつけにくいものと二つあろうかと思います。殊に建物等で国宝等に指定されているものは、今日は多く国有か市町村有になつておるかと思いまするが、尚個人の所有しておる場合におきましては、評価に当方まして、やはり適正な時価を査定するということに極力努めることにいたしまして、実際上著しき負担の過重な無理を来たさないように心がけたいと、かように考えておるのであります。
  114. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 富裕税財産の評価ですが、地上権、永小作権は書いてありますが、家屋なんかどういうふうなところで課税するのですか。
  115. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 家屋はこの富裕税の評価の原則の中の十二條の規定を以て評価するわけでありまして、課税時期における財産の価額はそのときにおける時価により評価するのでございまして、従いまして毎年十二月三十一日現在の家屋の時価を評定しまして、それによつて評価することになります。相続税は相続時の時価によつて評価することになるのでありますが、大体今まで相続税でやつておりますのと同じような方法で評価する。ただ今度は富裕税を設けるということになりましたが、更にこの評価につきましては税務の運用上実情に即するように一層研究いたしまして、妥当な評価をするように努めたいと考えております。大体家屋につきましては、相続税でやつておりますが、それで地域別に、賃貸価格に対する倍率等で一定基準を定めまして、原則としてこの基準による。併し飽くまで、これは時価でございますから、その基準よりも低いという資産納税者の場合におきましてはそれによらなければならない。或いは現実に、その近くにはつきりそれよりも高く売買したような実例がありますような場合には、その標準よりも高く査定することがあるかも知れないと思いますが、飽くまでもこれは毎年十二月三十一日現在の時価によつて評定するということにいたしております。
  116. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 それはその都度あなたの方から発表するわけですね。
  117. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) これは毎年十二月三十一日の時価を申告の便に供しますために、申告は大体二月一杯にやるわけでありますが、少くも税務署に行けば税務署の基準はこの程度ということは分るようなふうにいたして置きたいと考えます。
  118. 玉屋喜章

    ○玉屋喜章君 そうすると何ですか、ここに千万円の家がある、外に財産がない、千万円の家だけで外から收入はないが、家は千万円の家が自分の家である。だからこれはやはり富裕税がかかるのですか。
  119. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 富裕税がかかります。
  120. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 扶養家族の点についてちよつとお伺いしますが、一万二千円の所得のものは扶養家族と見るが、一万二千円を越したものは扶養家族と見ないで、その個人の資格において納税義務者となるのですか。
  121. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) お話通りでございまして、分離して課税するのであります。従いまして実際は二万五千円の基礎控除を受けるということになります。扶養控除はしないという考えでございます。但し奥さんと直系卑族、つまりお子さんの資産所得、即ち利子所得と、配当や不動産の賃貸所得、これだけは常に合算するのであります。従つて合算される場合におきましては、所得が一万二千円以上ありましても、一万二千円の扶養控除を認めることにいたしております。例えば奥さんに二万円も配当金があるという場合におきましては、当然戸主の所得と総合して課税するのであります。その場合におきましては、奥さんにつきまして一万二千円の扶養控除をいたして参りたい。ですから反対に奥さんが外にどこか勤めている。それで所得が年に五万円入る。こういう場合におきましては、現在は合算課税いたしているのでありますが、今度は五万円に対して分離して課税いたしますので、別にその人について扶養控除をするという必要がなくなつたと、こういう観点に立つております。
  122. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 次に不具者という、この意味ですね。何を持つて標準とするのですか。
  123. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) これは確か不具者に関する救済的な法規といたしまして、厚生省で、国会で確か通つているかと思いますが、法律がございますが、それに不具者の程度につきまして、確か十何段階か挙げて細かく規定しております。その規定を取りまして、大体その中の第五級くらいのところまででございましたか。社会常識上成る程不具者として本当に一本立の働きができないと認められる程度のところを不具者とするような規定を政令で設けることにいたしております。目下厚生省の方と何段階にするかということについて打合せをしておりまして、常識上、例えば手が一本ないとか、足が一本ないとか、それぞれ程度を明らかにいたしまして、適用の範囲を明らかにいたしたいと、このように考えております。
  124. 玉屋喜章

    ○玉屋喜章君 只今お話によれば、千万円の家に入つたと仮定いたしまして、ところがその千万円に富裕税がかけられてしまつたら、そうしたら普通の家に入つていた人はどうなりますか。それから控除して呉れますか。必ず人間は家がなければ困るのですから……。
  125. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) いい例をお話になりましたから、富裕税がいい理由を反対に御説明申上げますが、この所得税だけで行きますと、今お話のように一千万円という相当立派な家に住んでいて所得は僅かで何とか暮している。その場合に所得税だけですと、従いまして極く僅かの税金だけしか納めていない。ところで一千万円という立派な家に住んでいる。これは如何にも所得税だけで課税するのは負担の公平を得ないと、そういう場合におきましては、やはり大きな家に住んでいる場合におきましては、所得として捕捉いたしました外に課税標準を見込みまして税を負担して貰うのが、財産税を所得税の外に課税する根拠になるのでありまして、そういう場合にはやはり社会の一般感情からいたしましても、少し余分に負担して貰つてもいいだろうというのがこの富裕税課税する理由でございます。
  126. 玉屋喜章

    ○玉屋喜章君 併しながらその家がなければ……国民には家というものを認めて呉れなければ……。
  127. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) でありますから、どうしても大きな家に住んでいて所得が少くて負担し切れんという場合には、その家はその人の所得に比べて大き過ぎるということになるのでありますから、適当な家を見付けて、その大きな家はそれに相応する人に引渡すというふうになさざるを得ない場合もあろうかと思いますが、それを目的とするわけではございませんが、要するに所得が少ないが、えらい大きな家に住んでいるという人は、所得税だけの負担ではどうも少しバランスを得ない、例えば十万円の所得であつて、一方の人はせいぜい二十坪くらいの家に住んでいる。一方の人は二百坪の家に住んでいて所得税だけでございますと、経局同じ負担になつてしまうのであります。それでは必ずしも同じ公平な負担ではなかろうというので、この富裕税を起して、所得課税としましても若干違つた負担をした方が全体として公平であろうという考えであります。
  128. 玉屋喜章

    ○玉屋喜章君 そうすると五百万以下の、家に住んでいればいいのですね。
  129. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) その通りであります。
  130. 玉屋喜章

    ○玉屋喜章君 所得が少くて、評価が五百万以下の家にいるならいいのですね。
  131. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) さようであります。
  132. 黒田英雄

    ○黒田英雄君 所得税の問題ですが、所得税で災害とか、火災とかいうので損害を蒙つた場合に、又医療費ですね、総所得の十分の一以上であれば、以上の分を免除しようということですが、以上が非常に大きな以上であれば所得税全部が免除される場合もあり得ると思うのですが、その十分の一ということを取つたのは、余り小さな災害ではこれは免除する手続をせんでもいいだろうという御趣旨であろうと思うのですが、災害の方はそれでいいのですが、医療の方は勤労所得等が同じでも病気にかかつたりしていろいろ療養しなければならないというようなときには、所得を消費している一つの必要経費と言えるのですね。必要経費になつて来れば、少額のものでも必要な経費は全部免除されているのですが、そうい趣旨からいうと、そういうものはむしろ十分の一というような制限をせずに、医療費の方は免除してやつたらいいではないか、本当の医療費は命令に定めるということがありますから、どういうことをお定めになるか、ついでにお伺いしたいのであります。これは売薬でも買つたというようなことは私は免除せんでもよいと思います。併し医者にかかつてつているというようなものについては、少額であつてもその証明を付ければ免除してやるのが本当の建前ではないかと思うのですが、どうですか。
  133. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 医療費につきましては、今回の税法で始めて控除を認めることにいたしたのでございます、限度は今黒田委員のお話通り余り額の小さいものを引くということになりますと、なかなか実際の徴税上うまく行かないだろうという点と、それから又額が少ない場合におきましては、通常誰でも或る程度の医療費は負担されると思いますので、結局全体としての所得税率なり控除の問題でそういう問題は間接に救済される、救済されるというのは誤弊がございますが、そういう中に含めて税率控除を決めればいいということになると思いますが、反対に一定の限度を超えます場合におきましては、如何にも医療費を余計要した場合と要しない場合と負担の均衡を図る必要があるということを考えまして、所得の一割を超える場合に、超える部分の金額を控除するということにいたしたのでございます。従いましてこの医療費の控除相当重病に罹つた、或いは胸を病んで相当長い間療養しているとか、或いは非常に大きな流行病に罹つて経費が要るという、そういう場合に該当するのではないかと思います。これが單に風邪引きとか、簡単な下痢をして医者にかかつたという、こういうものは通常の雑費的な家計支出と同じような意味におきまして、引かなくてもいいのではないか、こういう考えでございます。併し理想を申しますと、今黒田委員のお話通りでございまして、或いは将来運用した後におきまして、案外うまく行きますれば、この限度を若干引下げて、五%以上を要したら引くということにするのも一つ方法かとも思いますが、余り低くいたしますと、今度の税法の、そうでなくてもむずかしい問題でありますが、ますます運用がむずかしくて適正を却つて欠くと思いますので、先ずこの程度最初としてはいいのではないかという考えでございます。十分の一を超える場合にいたしておるのでございます。併しこれによりましても本当に可哀そうな、重病に罹つたというような人におきましては、家族の場合も勿論引くのですから、相当な救済になろうかと思います。通常一般の人が毎年要るような医療費は、これは結局控除いたしましても同じでございまして、それだけ控除すれば税が減るから税率を高くせんといかんと、こういうふうになるわけでございまして、通常入用の程度のものはこれを引かない。特別余計要つたやつは、それを成程引くと引かんとによりまして負担が非常に違いますので、控除して負担の公平を図ろうと、こういう趣旨でございます。一割がいいか、或いはもう少し行きますれば五%くらいの制限でやつた方がよいか、これはやつてみまして後で私共検討いたしまして、こういう点で特に公平化を期すようにいたしたいと思います。医療費の範囲は御承知通り政令で規定いたしておりますが、勿論お医者さんの料金、診療の料金、これは当然であります。お医者さんの投薬、注射、手術、処置料、これは全部入れる見込であります。理学的療法、入院費は勿論範囲に入れるつもりでございます。今御指摘の売薬を買つたというやつは、これはなかなか実際上証明が分からなくて変な結果になる虞れがございますので、今一応厚生省と打合せておるところによりますと、医者の処方箋により医薬品を買つた場合はその薬剤師の証明で控除する。ペニシリン等お医者さんの処方箋で買つた場合は控除に入れよう。普通の売薬、医薬品を買つた場合は、アスピリンを買つたとか何とかいう程度のものは甚だ立証がむずかしうございますので、必ずしも妥当な結果を得ない虞れがございますので、そういうものは入れないようにいたしたいと思います。
  134. 黒田英雄

    ○黒田英雄君 ちよつと今のことで、今の御説明でよく御趣旨は分りましたが、ただ私はこの十分の一ということになると、普通の病気になつたりするのは医療費ですね、つまり普通の医療費が生計費の十分の一くらいというふうに見える虞れがあると思うのですね。そんなにはなつていないと私は思うのですから、これは今ちよつと御答弁のうちにもありましたように、もう少し率を下げられた方がいいのじやないか。折角できたのに少しどうもこの点は不備のように思われるのでございます。
  135. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 御尤もなところが多いかと思いますが、ただ併しやはり病気になりまして入院したとか、或いはお子さんが胸の病気で長く療養している、まあこういう人の場合には私はこれでも相当助けになるのじやないかと考えます。ただまあ非常に所得の多い人の場合において、同じような程度の費用を要している場合におきましては、結局引かないということになるのでございますけれども、まあそれはそれだけ他で考えるということで考えて頂くよりほかないと思いますが、ただ確かに十分の一でいいかどうかは、やつてみました後からいたしまして、私共も将来はよく一つ研究してみたいと思います。最初から余り低くしまして、これをやりますと、却つて扱い次第では不公平になる虞れがありますので、まあスタ—トとしてはこの程度でいいのじやないかという考えであります。
  136. 伊藤保平

    ○伊藤保平君 これはちよつと小さなことですけれども、不具廃疾ですね、いわゆる廃疾者であつて、そういう点でしよつ中薬を要しているというような人もいると思いますが、こういうのもやはり控除に入るのでございますか。
  137. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) お話通りでございます。それから不具者の方は、これは非常に控除が実は甘くできているのでありまして、その人が扶養家族扶養親族でございますね、所得がなくて或る所得者から扶養されている場合におきましては、扶養親族としての一万二千円の控除と、その外に不具者控除としての一万二千円、合計二万四千円の控除になるわけであります。不具者がみずから所得があるという場合におきましては、二万五千円の基礎控除と、その外に不具者控除の一万二千円の控除をいたすわけであります。勿論この不具者につきまして、療養のために費用が要るという場合は、その費用は不具者自体の所得か、或いはその不具者の扶養親族所得から、十分の一を超えます場合は医療費として控除することになります。
  138. 玉屋喜章

    ○玉屋喜章君 この美術骨董品ですね。これは百万円以下なら課税されないのですか。
  139. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 百万円以下なら全然課税いたしません。それから百五十万円の場合は五十万円だけ課税する、百万円は全部控除しております。
  140. 玉屋喜章

    ○玉屋喜章君 個人所有のものでもですね。
  141. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) いや個人所有のものにつきまして富裕税は問題になるわけでございまして、従いまして個人所有のものにつきまして、それぞれ百万円を控除いたしまして、残額に課税するわけでございます。
  142. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 外国人に対する課税所得税並びに法人税、富裕税等について、どんなふうな御計画なんですか。
  143. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) これは近く法律案を提案すべく、目下関係筋に最終確定しまして出しておりますから、恐らく二三日の中に提案できるのかと思いますが、詳細はその際御説明申上げようと思いますけれども、要点を申上げますと、第一の点は日本の基礎的な産業、例えば電力とか製鉄、それから人造合成繊維、こういう日本の貿易上どうしても必要な重要産業に対しまして、外資が入つて来た場合におきまして、この外資と一緒に管理者とか技術者等が附いて来る。そういう管理者、技術者につきましては、日本の税法をそのまま適用しますと、アメリカの所得税に比べましで著しい高い負担になりますので、大体アメリカにおける独身者程度負担と同じくらいな程度負担になるように、一定控除を認めようという点であります。大体最高三百五十万円、所得から五割控除するという行き方を取つたらどうか。三百五十万円と申しますと一結局一万ドル弱でございますね、でございますから、結局二万ドルくらいのところまで一種の特別控除を認めようということになるわけでございます。そうしますと、大体この日本の所得税負担とアメリカの独身者の場合の所得税負担の場合とほぼ同じでございます。若干階級別によつて違いがございますけれども、大体同じくらいになるのでございます。そういう軽減一つやろう、それからその次の点は外資は入つて来ないが、やはり重要産業に技術を導入する、こういう場合におきまして技術家として外国人が入つて来る、こういう場合におきましては、外資と一緒に入つて来ました管理者なり技術者と同様な軽減をしよう、それが第二点でございます。それから第三点といたしましては、御承知通り現在はドル所得に対しましては課税いたしておりません。而もこのドル取引が相当国内で行われておりますが、これは関係筋の方針としても今後徐々にやめる方針のようでございます。でまあドル所得も近く課税するように関係筋の方針が変更されるだろうと見ております。でそうしますと、ここに一遍に今までドル所得に対して課税を受けていなかつた人が非常に高率な所得税負担がかかつて来るという問題がございますから、そういう人に対しましては、過渡的にこの二十五年分に限つてやはり半額軽減という措置をやりたい、二十六年からは全額課税をすることにいたすのであります。そういう措置が一点と、それから又外国人に限らないのでございますが、外国で支拂を受ける給與所得、これも税法の建前から申しますと一応課税することになつているのでございますが、これは実際上はなかなか課税できない状態でございますので、まじめに申告する人は課税され、ずるい人は課税されないでそのままに済むという点があつて、どうも非常に税法に敏感な外国人の人は公正な扱いにして貰いたいという希望がありまして、むしろそういう噂のは暫定的に、つまりここ暫く外国の人は課税しないという方がいいんじやないかということで、そういう特例を設けるつもりでございます。この特例は日本に住所を有しないで、外国で受ける人に限るのでございまして、住所を有しない人である限りにおきましては、日本人たると外国人たるとを問わず、同様な取扱いをいたす考えでございます。結果は実際に外国人は適用になる場合が多いだろう、大体さような四点を中心にじまして考えておるのでありまして、近くこの法案を提案したいと思つております。法人税等はアメリカの法人税より日本の法人税が低いので、従いまして特別に免税する考えはございません。富裕税も住所が日本にありますれば、全部の財産に対してかかるのでありますが、住所がアメリカにありまして、一時居所が単に日本にあるという場合におきましては、日本にある財産に対してだけしか、かかりません。富裕税はそういうものでございますから、そういう富裕税につきましては特別に特例は認めないという考えであります。所得税はなかんずく給與所得税につきまして考えております、それから尚最初ちよつと申落しましたが、外国の公認会計士とか、弁護士とかこういう独立の自由職業者がございますが、こういう人々につきましても、さつき申し上げました外資が入つて来た場合に免税さるべき外国の人の場合の事業でございますね、そういう事業から報酬を受けている、一定の報酬を受けている場合におきましては、同様な五割の軽減をする考えでございます。さような点が主な点でございます。詳しいことは更に提案の際に御説明いたします。
  144. 玉屋喜章

    ○玉屋喜章君 こういう場合はどういうのか、ちよつと教えて頂きたいと思います。それは船を仮に某会社が造ると仮定いたします。そこでその船が十億円とすると、七億円は見返資金、あとの三億は銀行から借りたとする、船ができ上つて航海をすると、必ず一航海ごとに相当な利益があるが、その利益は拂つてしまわならればならん、割拂いでも……、つまり借りておるからして……。それだとその利益に対しては、支拂済みだからして税金がかかりませんか。
  145. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 今若しも会社が船を持つている場合、借入金の金利は利益の計算上当然差引くことになります。それから船の償却費も利益の計算上差引くことになります。金利とか償却費を差引いた残りの更に利益がありますと、この分は法人税を課税すべき利益としまして、この分に対しては法人税の税がかかるということになりますから、見返品資金から借りたり、或いは銀行から借りました金利は経費から差引ます。仮に十億円の船は二十年くらいでありますか、耐用年数、それに応じまして計算しました毎年の償却費、それは当然経費で差引まして、尚利益が出て来た場合には、その利益に対して法人税がかかるということになるのでございます。
  146. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 農業所得で單作地帶には何か特例を設けられたようですが、どうもよく條文が見当らないのですが、單作地帶の特例を設けてあるかどうか。それから單作地帶というのはどれを指すのかということについて御答弁願いたい。
  147. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 要綱では分りやすいように單作地帶という言葉を使つておりますが、これは農業所得が全体の所得の七割以上ある人でございますね。これを農業所得者税法では称しております。その場合におきまして、その農業所得の更に七割以上が九月以後に生ずる場合には、毎年この場合におきましては申告と納期につきまして特例を設けております。一般の農家の場合といたしますと、第一期の申告は七月、第二期が十一月、第三期が翌年の二月でございますが、今申しましたように農業所得の七割が九月丹後に生ずると認められる人の場合につきましては、これは納期を二期にいたしまして、十一月と二月に二分の一ずつ分納して貰う、こういうようにいたしております。それが特例でございます。今度單作地帶におきましては、家族従業者が多いのでございますが、家族従業者につきましては、従来は全然控除をしておらなかつたのでございますが、今度は扶養家族と同じ額で一人一万二千円を控除しますから、それによりまして、実際上單作地帶だけではございませんが、單作地帶の農業所得税は外の地帶に比べまして專従者が多いという理由で従来よりも余計減るという場合が相当多かろう、併しこれは制度の上の特別の差でございませんで、同じく農家の專従者を控除はいたすのでございますが、專従者が比較的多いがら従つて今度の改正によりまして、従来から比べれば單作地帶の農家は外の地帶の農家の場合よりも実際理の負担が減るといふことが言い得ると思うのでございます。
  148. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 次に予定申告ですが、予定申告をする場合に、政府の承認を受けた場合は前年の所得金額に満たない金額を申告してもいいということが今度出ておりますね。政府の承認を受けるというのは、それは地方の税務署でいいのですか。
  149. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 税務署でいいのでございます。そうしまして、災害とか、営業を全部又は一部を廃めたとか、そういう理由によつて收入の減ることが明らかな場合は、税務署は承認を與えなければならんことに法律はなつております。もう一つ相当取引上の記録等に基きまして、前年よりも二割以上減る場合におきましても、これも税務署長は承認は與えなければならないことになつております。それでも尚承認しなかつた場合におきましては、納税者は再調査、審査等の請求ができるのでございまして、ただどうも実際問題としまして、はつきりした根拠もない、減るのか減らないのか分らないという場合には、税務署長は承認しない場合がある。今申上げましたような事項に該当しない場合におきましては、前年の実績で納めて貰うということに規定しておるのであります。
  150. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 次に公益法人のいわゆる收益事業に対する税率というのは、やはり普通一般並みに取るということを決定したのですか。
  151. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 一般並みでございます。ただこういう点を規定したいと思つておりますが、一般の法人は御承知通り国等に寄附した場合におきましては、所得の百分の二、資本金の千分の二・五でございましたか、それの合計額の二分の一までは損金に算入することを認められておるのでありますが、公益法人がその收益事業で上げた收益を以ちまして、本来の公益事業の用に供した場合におきましては、やはり一定控除を認めようと、これはまだ最終的に決めておりませんが、大体二割程度以内は控除を認めたらどうかという考えでございます。従いましで、そういう特例はございまするが、税率としましては、一般のへ特別法人と同じように、收益事業の純益に対しまして三割五分の法人税を課税することにいたしたいと思つております。
  152. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 次に協同組合に対しては、今までは特別に政府の方では税の軽減を図つたのですが、今度はそれがなくなるのですね。
  153. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 午前中もお話出ましたのですが、今度はなくなるのであります。
  154. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 どうも政府のやり方が、協同組合を作らせるときはいわゆる餌を掲げで作らして置いて、大分作つてしまうというと、今度はもう税金は同じというふうなことになつて行くというふうに、協同組合の側から言えば非常な不満があるのですが、これはどういうわけで今度は普通一般並みにしたのですか。
  155. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 協同組合は元々業者が任意に設立するものでごさいましで、戰時中の考え方と大分違つておりましてこれは全く業者の自発的な任意組合という建前になつておるのでございまして、これは御承知通りでございますが、併しそれにも拘わらず従来は若干能力において必ずしも一般法人と同じではないだろうというような点、それから実際上従来課税しておりませんでしたのは、午前中も説明した通りでございますが、確か昭和十五年から新らしく課税することになつて税率に差を設けていたのでございますが、やはり法人税、所得税負担の公平という点から申しますと、特にもはや差別を付ける必要はなかろう。殊に今度は先程申上げましたように特別法人税の所得に対する課税は、即ちその出資者の所得に対する課税だという観念をとつておるわけでありまして、その持分を配当しますと、分配しますと、その出資者の所得税がら二割五分の控除を認めるわけでございます。そういう点もいたしましたので、この際特別税率を作るというのは如何であろうか。やはり同じ法人の税率の方が公平ではなかろうか、こういう考え方で同じ税率にいたしたのであります。
  156. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 これは今の政府の施策がそのまま現われて、大体協同組合というのは中小企業者の寄り集りが多いのですから、そういうのに対しては特別に政府では措置を講じて置いてもいいと思うのですね。大体協同組合を設立するというゆえんのものは、大企業と対抗して中小企業者が同じような企業形態ができるようにという親心から、協同組合の存置というものに政府は力を入れておる筈です。ところが片つ方は通産省あたりでそういうように奨励し、大蔵省ではこれは構わないというのでは、これは大分矛盾があると思うのですが、多少これは訂正なさる御意思は政府側としてはおありなんですか。
  157. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 協同組合をいろいろな形におきまして政府においても助長する必要は、これは確かにあると考えるわけでありまして、例えば金融等の面におきましては、極力援助をする必要があろうと考えますが、税金負担という点から行きますと、公平という見地を重んじまして、同じ負担でもいいのじやなかろうかと、こういう趣旨でありまして、税金で特別に差別をしないという考え方に出たに外ならないのでございます。で税金の上で特別に差別をつけるという考え方は、どうも必しも余り妥当ではないのじやなかろうか。それぞれ必要な方策は金融なり、或いは必要な場合におきましては補助金等によりまして、それぞれ適当な助長策を講ずるというのがいいのじやないかという考え方で、今回税率につきましては、全部法人は一律にするということにいたしたのでございます。
  158. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 これはあなたに今申上げても或いは筋違いかも知れませんが、金融面の措置をとつて中小企業者を救うというお話ですが、金融面の措置は、大企業家と中小企業家では、これははつきりと市中銀行あたりで区別しておるのです。そういう点で非常なハンデイキヤツプがついておるのを、政府が多少でも是正しようという考えで中小企業者に対する金融の面を緩和する。こういう方法をとつておるが、それが実際なかなか末端まで流れるのは困難です。結局こういう税の方で多少でも差別をして、中小企業者に対して特典を認めるというふうなことでもするのが本当のこれは中小企業者を育成するというふうな意味になると思うのです。この点については又別の機会に大蔵大臣等に伺いたいと思います。私の質問はこれを以て終ります。
  159. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 若し御質疑がありませんければ、本日はこの程度にいたしまして、明日午前十時より開会するということで、散会することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  160. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) それでは本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十七分散会  出席者は左の通り。    委員長     櫻内 辰郎君    理事            黒田 英雄君            伊藤 保平君    委員            森下 政一君            玉屋 喜章君            西川甚五郎君            木内 四郎君            油井賢太郎君            小宮山常吉君            高橋龍太郎君            木村禧八郎君   政府委員    大蔵政務次官  水田三喜男君    大蔵事務官    (主税局長)  平田敬一郎