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1950-03-08 第7回国会 参議院 大蔵委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年三月八日(水曜日)    午前十時五十一分開会   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○公認会計士法の一部を改正する法律  案(内閣提出) ○財政法の一部を改正する法律案(内  閣送付) ○米国対日援助物資等処理特別会計法  案(内閣送付) ○配給公団損失金補てんのための交  付金等に関する法律案内閣送付) ○相続税法案内閣送付) ○資産評価法案内閣送付) ○所得税法等改正に伴う関係法令の  整理に関する法律案内閣送付) ○証券取引法の一部を改正する法律案  (内閣提出) ○国民金融公庫法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付)   ―――――――――――――
  2. 黒田英雄

    理事黒田英雄君) これより大蔵委員会を開会いたします。本日は先ず公認会計士法の一部を改正する法律案議題といたしまして御審議を願います先ず政府より提案理由説明を求めます。
  3. 伊原隆

    政府委員伊原隆君) 只今議題となりました公認会計士法の一部を改正する法律提出理由を御説明いたします。公認会計士制度は、昭和二十三年七月六日公布された公認会計士法によつて設けられたものでありますが、我が国としては全く新らしい制度でありましたため、その運用については、尚考慮の余地が少くなかつたのでありますが、先般シヤウプ使節団から懇切な勧告もあり、種々検討の結果、公認会計士制度の高い水準を維持し、併せて公認会計士法運用を円滑ならしめようとする目的を以て今回この法律の一部を改正いたそうとするものであります。  この眼目といたします点は三点であります。先ず第一点といたしましては、大蔵大臣諮問機関であつた公認会計士審査会廃止して、新たに大蔵省の外局として公認会計士管理委員会を設け、専ら公認会計士法に関する事務を執行せしめることといたした点であります。  この公認会計士管理委員会は五人の委員を以て構成することとし、委員はすべて公認会計士又は公認会計士資格を有する者のうちから任命し、委員長委員の互選によるものといたしております。  第二点は、公認会計士でない者が報酬を得て財務書類監査証明業務を営むことを禁止していた規定廃止した点であります。これにより、誰でも監査証明業務を行うことができることとなつたのでありますが、公認会計士でないものは公認会計士と誤認されるような名称を使用することはできないことになつております。  第三点は、計理士に関する取扱いの点であります。従来の規定によりますと、計理士は本年三月末日後は財務書類監査証明を行うことはできず、又計理士名称を使用するのも昭和二十三年七月末日までとなつていたのでありますが、今回この規定改正し、計理士法廃止の際計理士であつた者は、この改正法施行の日から一年内に改めて再登録を受ければ、計理士名称を用いて監査証明その他の会計業務を行うことができることといたしたのであります。これに関連いたしまいして計理士に対する陪審式試験規定はこれを廃止することといたしました。  尚、この機会にこれらの三点の外、外国公認会計士取扱、第二次試験合格者実務補習取扱等の諸点について規定を整備いたした次第であります。  何とぞ御審議の上、速かに御賛成あらんことを希望いたします。
  4. 黒田英雄

    理事黒田英雄君) 御質疑のおありの方は御質疑をお願いいたします。
  5. 西川甚五郎

    西川甚五郎君 このシヤウプ使節団勧告というものはどういう内容ですか。
  6. 伊原隆

    政府委員伊原隆君) シヤウプ使節団勧告は、御存じ通り税制について主な勧告がいたしてあるのでありますが、会社経理を明確にするということが大事であるということで、公認会計士制度に対する勧告が中に入つております。その主な点は只今申上げましたように、第一は、計理士から公認会計士になりまするときに、いわゆる選考試験公認会計士になり得る途として、先般そういう法律制定になつてつたのでございますが、これについて批評を加えまして、公認会計士というものは非常に高い水準のものでなければならない。従つて選考試験というふうなものは望ましくないから、その規定は排除すべきであるということを申入れられたわけであります。第二は、公認会計士試験でありまするが、惡い違法のものができたときに、その裁判をするような仕事とかというふうなことを受持つております公認会計士委員会は、これは政府行政から独立したものにして、公認会計士管理委員会というふうな行政機関として独立さした方がよろしいという二点でありまして、現在は昨年の四月一日から公認会計士委員会は、公認会計士審査会といたしまして、大蔵省理財局に附置されまして、何と言いますか、諮問機関になつてつたのであります。それを独立いたしました公認会計士管理委員会というものにすることが望ましい。で、これは公認会計士法制定になりました昭和二十三年七月六日から公布されたのでありますが、その初めの制度では公認会計士管理委員会というのが独立した委員会でありましたのを、行政整理のために、一度昨年の七月一日から公認会計士審査会と直つておりましたのを、再び独立の委員会に改めるということにいたしました。その二点が主たる点でございます。
  7. 天田勝正

    天田勝正君 この陪審式試験というのは、これは本来衆議院提案にかかつて、本委員会で非常に問題になつた点なんですが、今度廃止になることはこれは非常にまあ私共はよいことだと、こう考えております。ところがこの式ですでに試験をしたとか、その準備をしたとかいうことはありますか。
  8. 伊原隆

    政府委員伊原隆君) この陪審試験によりまして試験はいたしたことはございません。で陪審試験のやり方とか、どういうふうにするかということを研究いたしておりますときに、シヤウプ使節団が来朝いたしまして、それ以後シヤウプ使節団としても、そういうことは望ましくないという意見もありましたので、実施いたしましたことはございません。
  9. 木内四郎

    木内四郎君 ちよつと伺いますが、この公認会計士審査会というものにしたのはいつでしたかな。
  10. 伊原隆

    政府委員伊原隆君) 昨年の七月一日からでございます。
  11. 木内四郎

    木内四郎君 当時においても、シヤウプ勧告の大体の意見というものは、政府当局に分つてつたのじやないのですか。
  12. 伊原隆

    政府委員伊原隆君) シヤウプ使節団の来朝する以前でございますが、報告書は八月の末に私共に示されましたので、その当時は分つておりません。
  13. 天田勝正

    天田勝正君 この第十一條改正なんですが、元来御説明の第二点、これは恐らく今の計理士若しくはその他の者が公認会計士と同じような仕事をして報酬を受けてもよろしいという意味だと思うのです。ただ名前公認会計士を使えないということだと思うのですが、この十一條改正で、「財務書類監査証明検査若しくは調整に関する実務云々、これがすべて公認会計士管理委員会規則に委ねられる。こういうことになつておるようです。ところがその公認会計士管理委員会自体が、公認会計士ででき上る。こういう構成になつておりますと、例の陪審式試験のようなものが、とかく自分達に都合よく出て来る、こういう危険が一つあると思うのですが、一体この公認会計士管理委員会規則、その規則に盛るべきものは一応何か予定しておりますか。
  14. 吉田信邦

    政府委員吉田信邦君) 今の十一條とおつしやいましたが……。
  15. 天田勝正

    天田勝正君 十一條改正が、「公認会計士を補助した期間」の下に「又は財務書類監査証明検査」というようなものが、公認会計士管理委員会規則によつて定められる。つまりそれを委任せられるという形になるので、そこで、それじや逆にその管理委員会がどういう構成になるかと言えば、公認会計士ででき上るということになつておるから、そうすると、陪審式試験というものを、あれは計理士諸君が発案したわけですが、要するに、この本旨であるところの公認会計士というものを、むしろ極端に言えば、便利主義に、極めて緩くだけするという懸念もありはしないかというのです。だから結局一体公認会計士管理委員会に委ねるところの規則というものに、大凡そ予定されておるものがありますかと聞いているのです。
  16. 吉田信邦

    政府委員吉田信邦君) 只今の十六條に「試験に関し必要な事項は」と定めております。これによりまして決められますのは、その以前にこの試験につきましては、第二章第七條で、第一次試験はこういう資格試験をします、第二次にはこういうものをするというふうに、法律で可なり試験範囲を細かく決めております。又試験といたしましては、第一次試験、第二次試験、第三次試験というコースを迫るのを通例といたしまして、過渡的に特別試験という制度を設けてはおりますが、これらにつきまして、試験の基礎的なことは大体法律でこう定められておるのでむしろその下に作られます試験規則としては、これの執行というような面の規定になるわけであります。
  17. 伊原隆

    政府委員伊原隆君) 尚補足して申上げますが、試験は非常に嚴格に行われておりまして、殊に試験につきましては試験委員を任命いたしまして、試験委員が独立して試験をいたしまするので、むしろ試験がむつかし過ぎるというような非難もある程でございますので、公認会計士公認会計士管理委員会構成するから、自分で又勝手な楽なことをやるだろうというふうな御懸念はないようになつております。
  18. 天田勝正

    天田勝正君 この第十六條の二の「外国において公認会計士資格に相当する資格を有し、」云々、こういうことで、外国における公認会計士資格を持つておる者がやはり自働的に公認会計士仕事がやり得る、こういうことになつておるわけですが、その相当する資格というのはどういうところを指しますか。
  19. 吉田信邦

    政府委員吉田信邦君) お答え申上げます。この十六條の二で規定いたしておりますことには、公認会計士管理委員会で「資格の承認を受け、」ということがございまして、これによつて例えばアメリカのCPAであるとか、そういつた名において與えられた資格が、少くとも日本試験によつて與えられる資格と同等であるという認定公認会計士管理委員会で行うことになつております。従つて同等な試験を受けておるという認定が下されれば、敢て試験はしないという意味でございまして、無制限に、又大した資格のない者を入れるというようなことはあり得ないと思います。
  20. 木内四郎

    木内四郎君 その根本をちよつと伺いたいのですけれども、今度公認会計士でない計理士証明ができるということになると、あなた方の方で提案理由の初めに説明されておる公認会計士制度の高い水準を維持して行こうというようなこととちよつと矛盾するようなことになりはしませんか。
  21. 伊原隆

    政府委員伊原隆君) 監査証明仕事と申しますのは、御存じのように公認会計士法ができますまでは、計理士、それから誰でもできたわけであります。その前は計理士名前を以て、監査証明することは計理士法計理士以外はできないことになつておりましたが、誰でもできたわけであります。その後公認会計士法制定によりまして、監査証明というものは公認会計士以外はできないという制度に現在なつておるわけでありますが、それに対しまして、尚例外といたしまして、計理士は今年の三月三十一日まで監査証明ができるということになつておりましたのを、今回今お示しのように、監査証明ということは誰でもできる、併し公認会計士という名前を用いて監査証明ということをいたしますことは、公認会計士だけしかできないということにいたしたわけであります。外国の立法例等いろいろでありますが、公認会計士でなければ監査証明ができないというふうな制度と、公認会計士という名前を用いて監査証明することは公認会計士でなければできないという制度と、いろいろあるようでありますが、今回御改正願いますのは、公認会計士という名前を用いて監査証明することは公認会計士でなければできない、こういうふうにするつもりでございます。計理士という名前を用いて計理士監査証明することは認めて行こう、その他の人が監査証明するというようなことがありましても、それはそのままでよろしい、こういう考えでございます。
  22. 木内四郎

    木内四郎君 そこなんですよ。今御説明なつたことは、大体のところさつきの提案理由で分るのですけれども、どうも政府のやることは朝令暮改ですね。例えばさつきお話ししたところの公認会計士管理委員会というものを公認会計士審査会としたかと思うと、又直ぐに今度の議会公認会計士管理委員会というものにする。それから今お話になつたように書類監査証明というものは、これは非常に大事だから公認会計士でなければできないというふうに法律に決められた、非常に立派な法律だと思つたら、今度はそうではない、計理士でもできる、又この次の議会に逆なことを作つて来るのではないか、我々は敢て事務局を責めるのではないが、政府のやるところは盡くこういうことである、それを国会が黙つておいそれと賛成しておるようでは政府の信任の片棒を担ぐようになるので、私共非常に遺憾に思うのですが、そういう点についてどうですか、事務当局として一つ
  23. 伊原隆

    政府委員伊原隆君) これは私からお答えいたすのは適当でないと思うのでありますが、事務当局としてというお尋ねでありますから、事務的に申上げますが、御存じのように公認会計士法法律というのは非常に画期的な法律で、昭和二十三年七月六日から公布されたのでありますが、我が国としては非常に画期的なものでありましたために、その後やつて見ましていろいろ実際上障碍のある点もございましたし、又シヤウプ使節団勧告によつて直さなければならん点も出て参りましたので、今回御改正を願うということにいたしたわけでございます。
  24. 木内四郎

    木内四郎君 シヤウプ勧告によつても、やはり計理士まで広げるというのですか、監査証明を広げろということがあるのですか、そんなように私は了解しておらないのだが……。
  25. 伊原隆

    政府委員伊原隆君) シヤウプ勧告には今の監査証明を誰がやれということは書いてございません。ただこれも相当いろいろ折衝いたしました結果、この方が適当であるということになりましたわけでありまして、公認会計士というアメリカ制度におきましても、州によつていろいろ違うようでありますが、公認会計士という名前監査証明することを認めない。併し他のものが他の名前でやることは構わないということの方が多いようでありまして、今回も公認会計士の高い性質、高い水準を維持して参ります上においては、今回の改正がそれに悪い影響を及ぼすというようなことは全然ない、むしろ公認会計士監査証明というものを世間が高く買うように段々なるわけでございますから、その実際によつて公認会計士制度が発達して行く方がいいだろう、こう考えたのでございます。
  26. 黒田英雄

    理事黒田英雄君) ちよつとお諮りしますが、公認会計士審査会の会長の河本君が見えておりますが、説明員としてちよつと補足したいということですが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 黒田英雄

    理事黒田英雄君) それでは河本説明員
  28. 河本文一

    説明員河本文一君) 今の公認会計士監査証明ということと、それから計理士監査証明ということに関しまして、これは別にシヤウプ勧告によつて示されたわけではありませんのでありますが、この法案改正する前に、現在我が国におきまする監査ということに対しまして、公認会計士という高度の監査者がやる、監査するというその人数も、シヤウプ勧告によりまして急速に需要に応ずるように粗製濫造をすることは面白くない。それによつて陪審式試験というようなものをやることは面白くない。それでこれは相当の歳月を経て立派なものが打立てられるようにやるべきであるということでございます。一方におきまして、我が国労働組合法その他におきまして、労働組合監査をやるという法律も出ておりますわけでありまして、これらに対しまして、すべて公認会計士でなければ監査証明ができぬということになりますというと、日本労働組合の数は全国に三万以上あるというような状態でありますから、どうしても、もう少し今までの監査をしておつた計理士というものに一時やらせるということが現下の需要として必要である。こういうわけでありまして、今年の三月三十一日に監査証明のことで、計理士がすることができる期間が切れますから、これを相当延長する必要があるという原案を作りまして、関係方面ともいろいろ御交渉したのでありますが、一体公認会計士でなければ監査証明ができぬといつたような立法というものは余程行き過ぎたものである。アメリカにおきましても、各州においてそういうことを決めておる州はたつた小さい州に一つしかないという状態で、どこでもこの監査証明するということは誰でもできる。ただ名前を用いてやるということに対する制限があるわけである。こういうようなわけで、まあ今度は公認会計士計理士が相並んで監査証明ができるということになつたわけでありますが、この公認会計士監査証明しなければらなんということは、取引委員会あたりで今度決められますごとく、一口に申しますれば、重要なものについては公認会計士監査証明でなければならんという規定法律に法制的に作りまして、そうして次第に公認会計士制度が発進するに従つてその範囲を広めて行く、それで公認会計士監査証明を経たものでなければならないという言葉のある場合においては、計理士ではそのことができない。こういうことになるわけでありまして、これによつて監査証明制度を非常に混乱させるということにはならぬ、こういう次第でありますから、御了承を願いたい。
  29. 天田勝正

    天田勝正君 この監査が誰でもできるということは、四十七條を廃止して、それ以下ずつと四十八條、四十九條とこういうところに出て来るわけなんですが、一体この問題は公認会計士制度によつて監査の実質を高めて行く、又監査をする人達の身分も同時に高めて行く、こういう目的からいたしますと、その監査した結果が高いものであるということが、どこかによつて認められなければならない。こういうふうに私共は考える。で更に政府提案理由説明によりましても、シヤウプ勧告案云々と、こういうところからいたしますると、それが税制改正に繋がつているものである。こういう認定ができるわけなんです。そういたしますると、これらの監査ができるようになつても、そこにはおのずから税制の措置をする場合、或いは青色申告なり、何なりを認定をする場合に、そこに明らかに差がある、価値に差がある。こういうところが出て来なければ、公認会計士が特に高いものであるという証明が出て来ないと思うのでありますが、そういう点は何か公認会計士なら公認会計士としての名前が使える。その他のものは計理士なら計理士として使うのだ。或いは計理士以外のものは計理士以外のものであるということによつて監査証明するとか、ただこういうことだけであつて、それを何かの機関で確かに公認会計士がやつた監査はこれだけ値打があるから、そのように認めるのだ。こういうところがどうも私の調べではないように思うのでありますが、そうした点はどういうふうに考えておられるのですか。一つ御質問いたします。
  30. 吉田信邦

    政府委員吉田信邦君) お答え申上げます。この法律案は、直接には公認会計士制度そのものだけしか規定いたしておりませんので、この法案には明示されておりませんのでございますが、現在証券取引所法改正案をこちらに先般御提出したのでありますが、あの法案等に盛られておりまする通りに、公認会計士でなければ上場株会社証券取引委員会提出すべき書類についての監査証明はできない。そして公認会計士証明ある書類証券取引委員会提出すると、こういうふうにあの法律では規定いたしておりますが、現在のところでは一つでございますが、そういう形によりまして、最も政府としては重要な、財務書類監査証明取引委員会にやらして行くという方法を明示しておるわけであります。
  31. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 税法の方では、これはどういうふうに扱つておりますか。この計理士監査証明公認会計士監査証明は……。
  32. 吉田信邦

    政府委員吉田信邦君) お答えいたします。税の関係につきましては、実はこちらの税務代理士法改正案というものを御提案することにいたして、目下準備をいたしておるのでありまして、従来の税務代理士制度というものにつきまして相当検討を加えますと同時に、この公認会計士制度との調和を図りまして、税務関係証明をし得る制度を作りたいと考えておりますが、まだ実は最終的の結論に達しておりませんが、近いうちにお答えできる運びになると思つております。
  33. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは税務代理士経理監査証明、そういうこともやはり税務代理士もできるようになると、計理士証明というものと、これはどういうふうになりますか。それから税務当局の方で、例えば法人ならば法人資産内容監査しますね。それを監査するときに、法人の方で、例えば公認会計士とか、或いは計理士とは、或いは税務代理士、そういう者に頼んで証明するような場合、どれを以て税務当局の方ではそれを認定の標準にするのか、そういう点でもこれは非常に大きいと思いますが、法人の場合、例えば五億も十億も脱税しておる場合があつたのですから、非常にその点は重要な問題になると思うのでありますが……。
  34. 吉田信邦

    政府委員吉田信邦君) 只今税務代理士につきましては、現在のところ代理行為をやるというだけでございまして、証明というようなことは認めておらないのであります。従いまして近い将来において証明を求めるということにいたしますとすれば、現在の代理士では、そのままでは若干の支障が生ずるのではないかという意味で、何らかの証明をし得るだけの能力ある者に頼らなければならない。従つて公認会計士に依存することが一番理想なのでございますが、御承知のように現在のところ公認会計士の数は極めて僅かでございますので、税のように普遍的に数の多いものについてこれを活用致しますことは、実行上相当無理があると考えるのであります。且つ又現在の日本税務代理士制度の下におきましては、一応税の問題を直接今までのところは取上げておりません。外国の例を見ますと、公認会計士試験等税法が必ず入つておるというような例も多うございまして、その点において今までのところ欠くるところがあつたのではないかと考えております。今後の方向といたしましては、一方公認会計士につきましては税法試験を加えるというふうな方法で、重要なものについてはその税法試験を受けたところの公認会計士がやつて参りますし、又その他の広汎な部面につきましては現在の税務代議士について更に試験を行うとか、或いは又更に一般的に公認会計士程むずかしくはないが、相当程度の見識を持つておることが証明されるような試験による制度を作り上げることによつて、広汎な需要に応ずるような準備をいたしたいと、大体そういつた構想で目下税務代理士法改正案検討いたしておる次第でございまして、できるだけ早くこちらへ御提出いたしまして、御審議を願いたいと考えております。
  35. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 現在は税務当局の方ではどういうふうに取扱つておるわけなんですか。
  36. 吉田信邦

    政府委員吉田信邦君) 現在は別にそういう証明制度というものは全然ございませんで、税務代理士はいわば納税義務者の代理人として、いろいろ説明に当つたり、書類を作成したり、そういうことをいたしておる次第でございます。従つて又現在のままでは直ぐ証明制度を取入れるということができませんので、或る程度そういう制度を先ず先に発足いたしまして、その上で税法等改正を行なつて、そういう証明を……確定の結果、申告提出する際に証明を付けて来いというようなふうな税法改正をすることになるだろうと思います。
  37. 天田勝正

    天田勝正君 シヤウプ勧告案ということを直ぐ言うのだけれども、どうもそれとは余り関係が私はないと思つております。それなら今年の青色申告にいたしましても、訴願或いは今度の税法改正にありまする協議だとか、ああしたものに対する書類公認会計士証明がなければ証拠にならんとか、或いはそれが一番有力な証拠になるとか、何かそうしたものがあるならば、確かに今度の税制改正の基礎と、尚シヤウプ勧告案と直接の繋がりがあると、こういうふうに考えられるのですけれども、どうもそういうことも見受けられないということ、更にこの管理委員会構成公認会計士だけで構成される。このようなことはシヤウプ勧告案のどこにも私はないと承知しておる。ところがこういうものが出て来た。外国の例をいろいろお話がありますけれども、それらの外国の真似をすることは別問題といたしまして、日本の現状からすれば、ただ一つのグループだけで構成された機関というものは、大低弊害が多いことがむしろ予想される。そういうことが一体シヤウプ勧告案のどういうところにあるのか。ないとすれば、どうして今までいろいろな実例からしても、一グループ構成機関というものが大体において悪いということが実験済みなのに、どうして無理に公認会計士だけでこの管理委員会を作るということになつたのか、この点一つお答え願いたいと思います。
  38. 吉田信邦

    政府委員吉田信邦君) 今の公認会計士管理委員会公認会計士のみで作るということについては、私共といたしましても相当検討いたしたところでございますが、全体といたしまして、今度の法律構成上、一面誰でも監査証明ができるというふうに全体としての監査証明の自由というものを認める、反面公認会計士制度そのものを真劒に守り育つて行く、そうして我が国における会計関係制度を確立して行くという上から申しまして、試験によつて理想的に作り上げられた公認会計士というものを中心に守り立てて行きたい。いわば一面理想的な公認会計士制度と、それから一般的に従来からある現実を認めて行くという制度との調和というような形で、一方こういつた委員会公認会計士を以て任じて、そうして制度の発達を図り、他面全体の制度としては広く誰でもなし得るような形にして行く、いわばそういつた調和の上に考えられたものと考えております。
  39. 天田勝正

    天田勝正君 どうも段々分らないというようなわけで、併しそうした公認会計士以外のものが監査した書類というものは、一々その管理委員会に持つてつて、そこで妥当であるとか、ないとかということを決めるのならば別ですけれども、どうも條文を見ますると、そうでもなさそうである。そうだとすれば、公認会計士だけで構成されている機関がここにあつたからとて、別にそれによつて他のものが作つた監査証明というものが高いものに認定されるということはないと思うのですが、それとは何の関係もなしに、結局いろいろな規則を作つたり、ここに三十七條に列挙しておりますが、こういうことを要するに公認会計士管理委員というものが行うというだけであつて、別段そうした計理士とか、或いはその他の人がやつたということが価値付けられるというようなことは、公認会計士だけで構成されている管理委員会があるから価値付けができるんだ、ややこしい表現ですが、そういうことにはならぬと思う。まるで別の話だ。だからそれならば監査証明は別問題として、この構成自体はやはり他の者を入れることの方が、今までのいろいろな例からしましても公正に運営ができる、こういうことになろうと思うのです。これはもう他のいろいろな選挙管理委員会にしても、各界からいろいろ勘案して取つて来るような措置を講じているんだし、同じ仕事をやるにしても、そうして方々から取つて来る。そこに衆知がある。最高裁判官にして見たところで、全く法律に経験のないような人達をわざわざ持つて来る。ここに面白味があるわけなんで、ところがこの管理委員会だけは全く一つのグループだけで構成させる、こういうところが外に例がないということになるが、そこに特段の考え方がありはしないか、こういうことをお聞きしているんです。
  40. 吉田信邦

    政府委員吉田信邦君) この委員会公認会計士だけで作らせるということは、いわば監査証明仕事自体は一般的に自由であるという意味で、何人もなし得るという反面において、理想的な制度としては公認会計士のみが監査証明をなし得るという現行法の建前ですね。これを理想へ持つて行きたい。現実の上から見まして、その理想を或る程度今回は妥協と申しますか、現実に即応するように、その独占的であることを止めるという反面において、この理想を強く公認会計士制度、将来においては公認会計士だけが監査証明の中心になつて行くという理想を推し進めるというような意味合で、こういうように構成をしたわけです。
  41. 天田勝正

    天田勝正君 逆に質問いたしましよう。若しこの公認会計士管理委員会に他の者が入つたならば、如何なる不都合がございますか。
  42. 伊原隆

    政府委員伊原隆君) 公認で会計士の委員会構成につきましては、率直に申上げまして、この法律ができますまでに非常なる経過を辿つたのであります。現在の公認会計士審査会というものは、ここにお見えになつております河本委員長計理士の人から二人、それから学者から二人、それから中立と言いますか、中立的立場をとつておる河本委員長、ということで構成をせられております。で附則の三項にございますように、当初に任命せられます公認会計士管理委員会委員につきましては、公認会計士でなければならんという規定は置いてございませんので、この附則の方におきましては構成は自由になつておるわけであります。ただ建前といたしまして、今申上げましたように、公認会計士の外に、例えば学者の方であるとか、産業界の方であるとか、中立の方であるとかいう方が一緒になつて構成する方が適当ではないかという議論も相当ありまして、交渉の段階においてはそういうことは相当強く出たこともあるのでありますが、今吉田政府委員から申上げましたように、公認会計士制度というものを大いに今後価値を高くし、且つ活用して行くがためには、どうしてもむつかしい試験を通つて来た公認会計士自体がこの委員会構成しなければ、高い公認会計士制度のためになるような運用というものが却つてむつかしいのじやないか。従つて公認会計士委員会は、公認会計士試験を受けてその資格のある人から出すということが原則でなければならないというふうな結論に達しまして、こういう提案をいたしたわけでありますが、その間におきまして非常な、お示しの通りの議論と言いますか、政府としまして提案をいたそうといたしたことも度々あつたのであります。いろいろな経過でこういう結論になつておるという点を御了承願いたいと思います。
  43. 天田勝正

    天田勝正君 これは法律改正する考え方の基本ですが、ここに私は二つ非常に日本としては特に留意しなければならない点があると思うのです。それはさつき木内委員が言うた朝令暮改という問題ですが、改正するにはするで、現行法では如何なる点が、要するにどうしても改正しなければならないという理由がはつきりしたときに改正する。それから逆に、こうした転換期に一つ改正法が行われる、その場合当然、これは画期的なものであればあるだけに、今度は今までの仕事から見れば摩擦が起きるのは当然なんであります。当然だけれども、折角その改正をした以上は、敢てこれを一つ押切つて行く。どうもこういうことが出わせぬかとか、ああいうことが出わせぬかという臆測だけで、そう簡單に改正するところに朝令暮改という問題がある。これはまあ具体的に労働基準法の場合であつても、婦人の重労働問題が非常に問題になりまして、結局労働基準法というものができてしまいましたら、今後は酒田の婦人労働者、あの背中に、多い人は七俵もの米を背負い得る人達は、この七俵の米を背負うということを苦労にしているのではない。併し客観的に見て、そういうことは婦人の体質からして結局無理である。こういう観点に立つて、今度その人自体には無理でないかも知れないけれども、一般に及ぼした場合には、今度は無理を承知でやらせるという事態が生じて来るであろう。これは飽くまで禁止すると、そこで当時盛んに酒田地方から請願が参りましたけれども、これは飽くまで押切つて、そのような請願は採択しない。こういう態度で労働省の方も、我我委員の方でも押切つてしまつた。折角改正した以上は、多少の不都合があつても画期的なる法律だけに、それは一つ一年、二年は見守つて行く。こういうところがなければならんと思うのです。曾て英国の保守党の議員諸君が日本に参りましたときに、炭鉱国管案、あの英国における国有のあれについて、保守党が政権をさつたら直ちにこれを止めますかと聞いたら、それは止めない。三年ぐらいこれをやつて見なければその実質が分らぬのだ、であるから、私達が今日天下をとつて見ても、やはりそれを守り育てて行つて、結果惡いとなつたら私達はこれを潰すのだというアングロサクソンの気性に感心したわけなんですが、まあ余り横道に話を持つて参りましたけれども、結局公認会計士の今度のこと制度改正というお話を段々聞いて見ましても、別段今の制度であつても、この話に出ておりますこの審議会或いは管理委員会、この構成についてもさしたる改正をせなくてもいいと思われるのに、いわゆる朝令暮改である。だから私はいろいろな話が出たとか、何かという話よりも、現実に現在の構成を以てしても、どうしても不都合でありますかと、こういうことを聞いておるのであります。それがどうしても不都合だというならば、これはまあ考え直さなければならない。ところがどうしても不都合だという御説明がないのです。だからそこをしつつこく聞くわけになる。そういう私は二つの観点に立つておるのだ。折角画期的な法律として改正した以上は、それは多少前の仕来りからすれば摩擦のあるのは当り前であるからして、やはり公認会計士でなければ、それは監査証明がやはりできない。そのくらいのことは高める以上は守つて行くのが当然ではないかということが第一点。それから改正するならば、この管理委員会構成のごときは、今日の言葉で言ういわゆる民主的という点からしても各界からいろいろな異色のある委員を入れられることによつて、その公正を期することが妥当ではないかと思うのに、この法律に関してだけ、要するに一グループの委員だけで独占される委員会構成される。これにはやはりそれに相応する特段の理由がなければならないと思うけれども、それはどうかと、こういうことを聞いておるのであります。誤解なきよう一つお答え願いたいと思います。
  44. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それに関連しまして……。只今天田委員の質問に関連しまして、委員会構成ですね。これはまあ却つて惡くなつたように思うのですが、最初は「人格が高潔で、公認会計士に関する事項について理解と識見とを有する」、今度はこれを非常に窮屈にしているわけですが、若しかそうしますと、会計士の責任の場合ですね、公認会計士法の責任です。前の法律では第三十條で「公認会計士が、故意に、重大な虚偽、錯誤又は脱漏のある財務書類を重大な虚偽、錯誤及び脱漏にないものとして証明した場合には、大蔵大臣は、公認会計士審査会の議決を経て、一年以内の業務の停止又は登録の抹消の処分をすることができる。」と、こうなつておるのですが、公認会計士或いは公認会計士資格のある人達が委員会構成しますと、どうしても職業柄、お互にそういう脱漏とか、過失とか、そういうものがあつた場合でも庇い合つて、公正なものとして、これを審査しない。そういう弊害がどうしとも出来ると思う。ですから、私はむしろ前の改正しない方が公正を期し得るのではないかと思うのですが、なぜわざわざそういう公正を期し得ないような委員会構成にしてしまつたのか、その間の事情がよく分らないのです。
  45. 伊原隆

    政府委員伊原隆君) 今の第一点のお尋ねの方の、監査証明公認会計士の独占事業にしてあるのを、法律的にはそれを撤廃しまして、公認会計士公認会計士という名前を用いて監査証明することは公認会計士に限るといたしましたのは、先程来申しましたように、公認会計士という名前を用いて監査証明することを公認会計士に限りますれば、実体は同じなのでありまして、計理士計理士という名前を用いて監査証明いたしますれば、世間といたしましては、計理士監査証明という、何と言いますか、計理士監査証明として過程として登録するだけの問題でありますので、又かたがた経過的の問題といたしましても、非常に監査証明という仕事を相当大くしなければならん現在といたしまして、その方が適当であると、こう考えた次第であります。  それから第二の公認会計士委員会構成でございますが、これは全くお話の通りのことが十分考えられるのであります。そうお話の通りにいたしますことも一つ方法であるという点につきましては、私共全く同感でございます。ただこれを、そういう経過を辿りながらここに至りました理由につきましては、先程来申上げますように、公認会計士制度の高い発達を図りますためには、公認会計士自体が委員となつてつて、それで処理をして行く方が適当であるということに、まあ今外国の例を持出して恐縮でございますが、イギリス等におきましては、こういうような政府制度ではございませんので、公認会計士自体の何と言いますか、団体がございまして、そこで非常にきつい試験をいたしまして、公認会計士というものを生み出して行くようであります。で、日本では政府仕事としてやつておるわけでございますが、大体この公認会計士自体が非常にむずかしい試験をしてできたものであり、且つ自分自身が高い経験を保持しなければならないということについては、公認会計士の方がむしろ関心を持つことが大である。これを例えば他の方が入れば、優しい試験でも公認会計士にして行こうというようなことも、逆の效果も考えられるわけでありますので、公認会計士自身が高い品位を維持して行くためには、公認会計士委員会公認会計士をして構成せしめる方が、むしろ適当であるという考えに立ちまして、こういう結論が出たわけでございますが、お示しの御意見につきましても、勿論非常に私共といたしましても御同感の点が多いのでございます。
  46. 天田勝正

    天田勝正君 この点は非常に問題なんです。若しその人達当事者だけで構成するという委員会が正しい、こういう結論になりますと、今ありまする政府機関のもろもろの委員会は全部そういう観点に立つた方が、みずからが高まつて、その方がよいのだ、こういうことに推し進められまして、結局今のもろもろの委員会制度、その構成というものを全面的に変えなければならん、こういう議論まで私は発展するのが当然だと思うのです。だから私は根本的にこの話を聞いておるわけです。これはまあ例を引いて恐縮であるが、本来みずからを高める、自分が他よりも人の信頼を受ける、こういうことをするためには、みずからを苛酷に扱う以外に人の信用を得る途はない、これは私個人の処世観でありますが、私はこのことはいつの時代にも通用すると思うのです。公認会計士諸君が、他の人を入れることによつていつでも批判を受けるという仕組をして置くことの方がみずからを苛酷に扱うことであり、そのことの方が私は当然正しいと思う。成る程英国の例等引かれております。併し英国の例をそのまま日本に持つて来るわけには行きませんし、試験制度にしましても、例えば米国における四Hの運動等の例からいたしますれば、試験自体がみずから採点できるようになつておる。又そのグループのリイダーのところに持つてつても採点できることになつておるのです。更にそのリイダーが纏めたものを先生のところに持つてつて採点をする。こういう行き方をやつておるのです。先生が問題を一つ出したならば、その問題を生徒が捉えることを理解したかどうか。ここで先ず要するに四分の一なら四分の一の点を呉れる、今度は要するに運算をする、この運算のやり方自体ができておるか、できておらないか、ここでまあ三点なら三点を呉れる、その答えがどうあろうと、運算自体については誤りでないということになれば、もう前の理解したのとそれとですでに五点なり、六点なりを貰つてしまつて、そうして、答えが誤まつておるかどうかということは、これは三点だけで用が足りる。日本式だというと、前の方の理解しておるか、していないかということはまるつきり零であつて、答えが合つておるかいないかということになる。そういうわけですから、よその例を引いて来ると、ものが混乱するのです。要するに現実の日本の事態というものは、一グループによつて構成されるということにはよい面も惡い面もあります。すべて惡い面ばかりでなく、よい面もあるが、要するに総合点数の方がマイナスである。こういうことからいたしまして、日本ではいろいろな委員会を作るのに、特に戰後における民主的という名前で成るべく各階層から入れるという制度をずつととつて来たと思う。であるから、この制度だけを一グループだけに任せるということを余りに強く主張いたしますと、他のいろいろな委員会も全部この方式によつて編成替えをしなければならない、こういうところまで発展する。だからこの公認会計士だけについては、どうしてもこうせざるを得ないのだというところの結論が出なければ私共は納得ができない。こういうことを申上げておるので、私はこれにはどうも私の勘でありますけれども、あなた方も御尤もだと、こう言つておる以上は、それは勿論私の言つておることに賛成しておるのだと思う。結果は他の何かの勢力によつて圧迫されて、いわば嫌々ながら心にもない答弁をしておるというふうに邪推ができる。だから、それならそれでいろいろな経路とか何とかおつしやらずに、こういうところの圧迫を受けるので、実は蓄音機のごとく放送しておるのだ、と、こういうことを申して呉れた方が余程よろしい。(笑声)
  47. 黒田英雄

    理事黒田英雄君) 今のお話は御意見のようだと思いますから、答弁は……。
  48. 天田勝正

    天田勝正君 いや質問ですよ。
  49. 伊原隆

    政府委員伊原隆君) 私の申上げ方が若し惡かつたら御訂正を申上げなければならんと思いますが、これは日本政府といたしまして適当であると信じて提案をいたしておる次第でありまして、勿論その方が適当であるという意見もございましようし、それから只今の御意見のような構成の方が適当であるという点もございますので、彼此勘案いたしまして、私共としては提案の方が適当であると考えまして、提案を申上げた次第でございます。殊に試験につきましては、公認会計士委員会仕事は第三十六條に規定してございますように管理的の仕事とか、懲戒というような裁判的の仕事とかということでありまして、これが民間の機関であつたとしてもできるような、民間の公認会計士自体の団体であつたとしてもできるような仕事でございます。試験につきましては、これはその道の権威者を試験官といたしまして、公認会計士管理委員会ではむしろ独立的に嚴正なる試験が行われるわけでありますので、そこら辺に、公認会計士だけで作つておれば不適当な勢力が及ぶというような懸念もないというふうに信じておるわけであります。
  50. 木内四郎

    木内四郎君 公認会計士或いは計理士証明した書類に基いて脱税の申告をした場合には、何かこれに処罰の規定があるのでしようか。
  51. 原純夫

    政府委員(原純夫君) 公認会計士計理士公認会計士経理士として財務諸表に証明をするという限りにおきましては、税務代理士法の適用はございません。その人達が税務代理士資格と申しますか、許可を受けまして登録を受ける、税務代理士として税務代理士法に違反いたします場合には処罰規定はございますが、それぞれ公認会計士計理士資格において財務諸表に証明する、それの付いた申告が出るということはあり得るわけであります。そういう場合には税務代理士法による取締りという何は行われません。
  52. 木内四郎

    木内四郎君 税務代理士法による取締が行われないことは分るけれども、公認会計士証明した書類を出す、それは有力証拠になるが、それによつて脱税の申告をしたというような場合には脱税の幇助になるわけですね。そういう解釈も成立つのじやないかと思いますが、そういうことについて主税局は別にお取締りというあれはないですか。
  53. 原純夫

    政府委員(原純夫君) それはその具体的な場合における代理士の意図にかかることであろうと思います。代理士が提供された財務書類の資料の限りにおいて分り得る調べを行なつておる。それに基いて相談をし、そうして申告書の提出を助けた、善意でやつた場合と、それから十分承知してやつた場合とおのずから違つて参ると思います。承知して惡意でやりました場合には、勿論おつしやるようなケースが成立つと思います。
  54. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それに関連しまして、国税庁が法人監査をやりましたですな。その場合においてやはり公認会計士とか、計理士のそういう証明によつてそれを判定した、そういう資料はあるのですか。例えば先程木内さんからお話のあつたように、税務代理士としての資格においてでなく、国税庁であの監査をやつた場合に、その法人からそういう経理について、財務諸表について公認会計士なり、計理士証明を付けて国税庁に対してそれを証明する。その証明をどの程度まで信用するかしないかということに問題があると思うのですが、そのときに非常に信用した。そうしてあとでそれに基いて査定をしたら百五十億も多額の追徴が取られたというのですから、非常に大きな問題だと思うのですが、そういう場合に、木内委員が言われたようなことが若しあれば、これは非常に脱税幇助みたいなものになるわけですね。実際問題としてそういうことが起きておる。国税庁が法人監査をやつたのですから、その場合に具体的な例として脱税を幇助したかどうかは知りませんけれども、公認会計士とか、計理士証明を信頼して査定をしたかどうか、その点をお聞きしたいのです。
  55. 原純夫

    政府委員(原純夫君) 公認会計士計理士証明、これはそういうものとして価値判断をされる次第であります。具体的に脱税事件につきまして、公認会計士計理士等が惡意を以てこれを幇助し、一緒になつて脱税さしたというようなケース、乃至そういう場合に対する扱いにつきましては、私余り審らかにいたしませんので、後程調べてお答えいたしたいと思います。
  56. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、それはあとでお調べになつて報告して頂きたいのですが、若しも今度改正案みたいになりますと、懲戒の場合に当事者だけを以て構成しておる委員会では、そういう過失とか、故意に、それを間違つておるのを知つていながら、故意にそれを証明した場合には非常に重大な問題が起ると思うのです。特に法人については大きいですから、税額について、先程申上げたように国税庁の報告でも百四十億も追徴で取られたというのですから、非常に大きいと思うのです。そういう場合に、委員会がこういう形の構成委員会では私は公正を期し得ないのではないか。普通の民間だけでそういうこともやり得ると言いますけれども、問題が非常に大きいと思うのです。非常に大きな利害関係に関する問題であつて、そういう意味でこの委員会構成というものは、そういう意味から不適当だと思うのですが、その点についてはどう考えておられますか。
  57. 吉田信邦

    政府委員吉田信邦君) 只今の点につきましては、これは考え方でいろいろ議論もあることだと思いますが、私共の現在考えておりますところといたしましては、むしろ公認会計士なつた人は、それだけ試験も受け、いろいろ試練を受けて公認会計士になつた者であると同時に、非常に高い理想を持つて進んで来ておる人達でございますから、他に律せられるよりも、自分らみずからの手によつて不正な者を排除して行くということの方が、却つて自主的に行われるのではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。又その点につきましては、同じ公認会計士のうちでも、任命する際に最も人格の高潔な、又そういつた方面についてどこまでも公平な方を選ぶ。又その任命権は大蔵大臣にあるのでございますから、その任命権を通じまして、公認会計士のうちでも最も理想的な人をお選びできるのではないかと思います。一応そういうふうな考え方でございます。
  58. 木内四郎

    木内四郎君 主税局にちよつと伺います。主税局では徴税の機構を非常に拡張しようとして大分やられましたけれども、尚今日不十分だと思います。そういう点も考え、又納税者の立場から言いますと、今度青色申告制度ができて、これは大分信頼を得ておるようですが、公認会計士という制度も立派な人々によつて水準の高い人々で行われるのでありますから、その人達の証明のある申告は、あなた方の方では審査を省略してもいいのではないかと思います。或いは審査を省略するまで行かなくても、特別なそれに対する取扱をするというようなことが、然るべきだと思います。
  59. 原純夫

    政府委員(原純夫君) 正におつしやる通りの方向に参りたいと思います。確かにそれが理想であると考えております。ただその理想が実現いたしますまでに、いろいろ條件があると思いますので、二つだけ申上げて置きたいと思いますのは、一つは、先程恐らくお話に出たと思います。現在の公認会計士試験或いはその運用というような面におきまして、税務というものが十分に取入れられていないということを考えております。従いまして、その辺を調整したいということが一つ。それからもう一つは、何と申しましても、こういう理想的な制度ができますまでは相当時間がかかる。同時にこれを信用いたすといたしましても、これは恐らく法律上のことではなしに、行政運営上の実際においてやつて参るということになると思います。その意味におきまして、公認会計士の質、量が充実して来ますに従つて、段々こういうことになつて参る。我々の気持といたしましては、そういう信用のできる人が一日も早く多くなることを望んでおります。
  60. 木内四郎

    木内四郎君 どうも今の政府委員の御答弁は私は納得しかねる。公認会計士は税務のことを知らなくても、とにかく経理のことは知つておるんだから、公認会計士がすべての資料によつて、この経理は正しいという計算を出したものをあなたの方では信頼されていいと思います。税法上の立場から税法の知識があつても、なくても、そんなことは関係ない。その計算が正しければそれでいいのだ、それは理由にはならないと思いますのが第一点。第二点は、量と質が殖えればということですが、今非常にいい人が百何名もおるそうですから、その人達を信頼したらいいと思う。量が沢山なにつたら、中には信頼し得ない人も出て来る。今極めて優秀な人々が公認会計士として認められておるのであるから、その人達を信頼してもいい、その人達が税法上の知識がなくても、証明したところの書類というものは正しいということで、一応信頼するという方向に行かなければならん。まだ今は信頼できないのだというような御答弁じや、ちよつと私納得しかねる。
  61. 原純夫

    政府委員(原純夫君) 第一の点、これはおつしやる通り公認会計士として証明する場合はその通りであります。只今お答えいたしましたのは正確さを欠きました。税の面において何らか税法上の効果を持つような証明をする場合を考えましたわけであります。そういう場合においては、公認会計士税務代理士乃至新らしく考えております税務公証士(仮称)というような資格を付けて登録を受けてやつて頂きたいというふうに考えましたわけであります。そういう場合において、公認会計士制度に対して、只今申したような希望があるわけであります。第二の点は、おつしやる通り私間違いました。量の点は取消します。
  62. 木内四郎

    木内四郎君 そうすると、何らか特権を與えて調査を省略するぐらいな肚を示して貰わぬと、我々は公認会計士というものを非常に高く買つておるから、どうもその間に矛盾があると思うのですが、主税局は公認会計士証明したものは審査を省略する、青色申告より一歩進歩したものと思うのでありますが、そこをやつて貰わぬと何のために公認会計士を設けたかということになると思う。
  63. 原純夫

    政府委員(原純夫君) そういう気持でやつて参りたい、成るべく信用したいという気持でやつて参りたいということは先程申上げた通りであります。併し実際の場合に必ず信用するということに参りますのは、これは自然の発展に俟つより外ない。実際問題として、公認会計士会社の伝票から何まですつかり整備してやられる場合と、それからこれだけの特別のと申しますか、或る程度の材料を與えられて、それで証明をやる場合というふうにいろいろございますしいたしますので、その辺は本質的に自然に段々信頼が深まるということであろう。税務官署の例といたしましては、これを信頼したいという態度を以てやつて参りたいというふうに考えております。
  64. 木内四郎

    木内四郎君 主税局の方の御答弁、誠に御尤もな点もあるのですが、青色申告よりも、一応は或る程度の信頼を置いて特殊な取扱いをするということはあつて然るべきものじやないかと思うのですか、その点はどうでしようかそれは調べて脱税の……公認会計士も目が届かないで脱税ということがあるかも知れませんか、青色申告においても同様です。一応は或る程度の信頼を置いて特別な扱いをするということが、公認会計士制度というものを認める理由一つになると思うのですが、どうですか。
  65. 原純夫

    政府委員(原純夫君) その通りであると思います。
  66. 木内四郎

    木内四郎君 それからちよつと理財局に伺いたいが、第三十條に「故意に、重大な虚僞」云々ということがある。こういう専門的な知識を持つておるような人は故意に虚僞や錯誤をしたときには重大なという字を付けないのが普通だと思うが如何なものですか。
  67. 吉田信邦

    政府委員吉田信邦君) 三十條の「重大な虚僞、」というのは、従来からある規定でもございますし、今回は特に……。
  68. 木内四郎

    木内四郎君 今度の改正案には出ていないけれども、外の小さいところも直しておられるから、こういうところこそ直されるのが当然じやないかと思うのですが、これは普通の法律常識に全く反しておることと思うのですが。
  69. 吉田信邦

    政府委員吉田信邦君) 重大な虚僞錯誤がある場合に、その重大な虚僞というものがないということで証明したという意味でありまして、証明程度の問題として重大な錯誤があるときには、重大な錯誤があるということをはつきり明示すること、大体よろしいという程度の極く些少な僅かな場合には傷を付けてやるという趣旨ではない。こういうことでございます。
  70. 木内四郎

    木内四郎君 政府委員は私の質問の趣旨を了解しておられないようですから、あとで研究されて御答弁になつていいと思うのでありますが、虚偽とか、錯誤或いは脱漏の故意にあつた場合に非常に重大なんで、こういう規定を適用しないということは、一般人ならとにかく、普通の専門的知識を持つて高い水準に置こうという公認会計士に対して非常に不適当な規定だと思うのであります。これは法律常識ですよ。専門家に重大な過失がなくても罰するという法律常識に反した規定をそのまま存置するのかどうか、こういう規定があればこそ、今の原君の方でも、公認会計士の方はあんな制度を設けたつても信用できないということになる、そのことはよくないと思うのであります。こういう点は故意に虚偽の申告をしたのに従来罰則を適用しない。そんな公認会計士なら会計士として我々としても信用できない。主税局の方でも信用できないので、一応御研究の上修正案を出されるなら……。
  71. 天田勝正

    天田勝正君 今の木内君のに関連しているのですが、いいですか……。今のことですが、これは煙草専売法なんかの罰則を見ても、大蔵省法律だからよく分ると思うのでありますが、あんな、百姓が法律知識が全然ないものであつても、故意だということになると直ぐ罪を着る。同じ誤まつても、役所の方が誤まつてもちつとも罪を着ないことになつておる、煙草の専売法を見ても直ぐ分る。そういうふうに一般の国民に対しては可なり強く法律で罰則を適用するようにできておる。公認会計士は、それを非常に高い地位に高めて行くために、どうしても公認会計士だけの管理委員会を作るという説明であるが、一般人だつたら故意ということによつて罪を着るのが法律の建前なのに、そういう高いものを目指す公認会計士の場合は故意があつて且つ重大な過失でなければ罪を着ない。こういうことだから、私は先に言つたように、根本的に人から尊敬を受けるものは、みずから他より苛酷な状態に扱うということ以外には受ける途はないというように今申上げておるのだけれども、そういう状態と一貫しなくなる。これも木内君のおつしやる通り、今直ぐお分りにならないというならば、御研究になつてからお答えになつていいのですが、一般法律を知らないものに強く罰則を決めて、特にこうした高い知識のあるものには緩くする。そんな筋道の立たぬものはありませんよ。
  72. 伊原隆

    政府委員伊原隆君) 第三十條につきまして今の御意見よく研究いたしますが、ここで申上げまするのは、第二項を御覧になりますと、「戒告又は一年以内の業務の停止」、第一項には「登録の抹消」等がありまして、第二項は相当の注意を怠つた場合というふうに使い分けをいたしておりますが、御意見通り公認会計士証明を非常に価値あらしめるものにするためには、この点十分研究しなければならんと思いますので、ちよつと時間の御猶予を願いたいと思います。
  73. 黒田英雄

    理事黒田英雄君) それでは午前はこの程度で休憩いたしまして、午後一時半から再開いたします。    午後零時二十一分休憩    ―――――・―――――    午後二時四分開会
  74. 黒田英雄

    理事黒田英雄君) これより休憩前に引続き委員会を開会いたします。  先ず財政法の一部を改正する法律案、米国対日援助物資等処理特別会計法案、配炭公団の損失補てんのための交付金等に関する法律案資産評価法案相続税法案所得税法等改正に伴う関係法令整理に関する法律案、これだけを議題といたしまして、先ず政府の方から提案理由説明を求めます。
  75. 水田三喜男

    政府委員(水田三喜男君) 先ず最初に只今議題になりました財政法の一部を改正する法律案外二法案提出理由を御説明いたします。  財政法の一部を改正する法律案を立案いたしました趣旨は、次の二点について財政法の一部改正をいたそうとするものであります。  即ち、その第一点は、現行の財政法第三十一條規定によりますと、予算が成立しますと、内閣は各省各庁の長に対し、その執行すべき予算を配賦するのでありますが、その配賦の際、歳入予算については、これに「目」までの区分を立て、歳出予算については、「目」を更に「節」に区分して配賦することになつておりまして、各省各庁においては、この「目」及び「節」の区分に従つて歳出予算を執行するのでありますが、予算執行の現状、特に本年度当初からの実施されました支出負担行為制度の実績を見ますと、歳出予算を「節」までの区分によつて執行いたしますことは、手続を煩わしくし、却つて予算統制の実績を挙げる上に妨げとなつている実情にありますので、この際、歳出予算の配賦について「節」の区分を廃止いたそうとするものであります。而してこれに伴いまして、従来の実績に鑑み、「目」の整理統合を行うと共に、従来の「節」のうち特に流用制限を行う必要のあるものを「目」に引き上げる等の調整を行う予定であります。尚、これらの措置は昭和二十五年度予算から実施し得るよう所要の規定を設けることといたしました。  次に改正の第二点は、各省各庁の長が予算を執行いたしますには、先づ支出負担行為の計画を作成して大蔵大臣の承認を経る必要がありますが、現行財政法第三十四條によりますと、支出負担行為の計画は、管下の支出負担行為担当官ごとに作成することになつておりまして、これも従来の実績に致しますと、手続の煩瑣に比較して実効が少い実情でありますので、この際支出負担行為の計画は、各省各庁一本建で作成し、大蔵大臣の承認を経ることに改めようとするのであります。  次に米国対日援助物資等処理特別会計法案の提出理由を御説明いたします。  今回この法律案を立案いたしました趣旨は、米国対日援助物資の取得及び処分等の処理に関する政府経理を一層明確にするために米国対日援助物資等処理特別会計を設置しようとするものであります。  即ち従来援助物資に関する経理は、貿易特別会計の援助物資勘定において行なつて来たのでありますが、今般、新たに独立の特別会計として本会計を設置し、米国対日援助物資の売拂代金、援助物資の価格調整のための財源として一般会計からこの会計に繰入れる繰入金等を以て歳入とし、米国対日援助見返資金特別会計への繰入金、事務取扱費等を以て歳出といたしまして、これらに関する政府経理を一層明確にすることといたしますと共に、この会計の予算及び決算の作成及び提出に関する手続規定等特別会計に必要な措置を規定いたそうとするものであります。  次に、配炭公団の損失金補てんのための交付金等に関する法律案提出理由を御説明いたします。  この法律案を立案いたしました趣旨は、配炭公団、食料品配給公団及び飼料配給公団の損失補てん財源に、先づ公団が国庫に納付すべき剰余金を充て、尚且つ損失金の生ずる配炭公団に対しましては、政府一般会計からの交付金を以てその補てん財源といたそうとするものであります。  即ち配炭公団につきましては、昭和二十四年九月十五日に解散いたし清算に入つたのでありますが、その損失は目下のところ百十九億四千五百万円と予想されるのでありまして、この損失金の補てん財源に、先づ昭和二十三年度以降の国庫に納付すべき未拂剰予金七十五億八千八百万円を充て、尚不足する四十三億五千七百万円につきましては、同額を限り昭和二十五年度において一般会計から同公団に交付いたそうとするものであります。又食料品配給公団、飼料配給公団の二公団につきましては、昭和二十四年度末に解散し、昭和二十五年度中に清算結了の予定でありますが、その損失は目下のところそれぞれ一億一千六百五十万七千円及び五千一百九十八万一千円と予想されるのでありまして、これらの損失金の補てん財源に昭和二十四年度以降の国庫に納付すべき剰余金をそれぞれ充当いたそうとするものであります。  以上が三法案提出いたしました理由であります。  次に、相続税法案外二法律案提案理由を御説明いたします。  先ず相続税法案について申上げます。相続税の制度は、今回の全面的改正によりまして、相当重要な変更が加えられることになるのであります。従来の相続税法におきましては、相続税とこれを補完する贈與税との二本建でありまして、相続税は被相続人の遺産の総額に課税し、贈與税は財産を贈與した者に対し、贈與財産の累積額に課税していたのであります。即ち、従来の制度は相続、遺贈又は贈與による財産の移転があつた場合にそれまでは財産を所有していた者について課税していたのでありますが、今回の改正では、財産を取得した者に担税力があるものと認めまして、取得財産の累積額を標準として一本建の相続税を課税することにいたしたのであります。いわば改正後の相続税は、一種の財産承継税或いは財産の無償取得税とも言うべきものになるわけであります。  この課税体係の変更と後で申上げます基礎控除、税率の変更、各種控除の新設等によりまして、相続税の負担は従来と著しく異つて参るのであります。即ち、例えば五百万円の財産を子供が相続したとすれば従来は相続人が何人でありましても税額の合計は二百三十六万余円であつたのでありますが、改正法によりますと、相続人が成年の子一人の場合の税額は二百二十八万余円、二%余の軽減になり、配偶者と未成年の子一人とが民法の相続分通り相続したとすればその合計税額は百五十万余円となりまして、三六%余の軽減になり、又配偶者と未成年の子三人が民法の相続分通り相続すればその合計税額の百三万余円となりまして、五六%余の軽減になるのであります。併しながら、後で申上げます通り相続税の最高税率は九〇%に改めることになりますので、高額な財産、例えば一億円の財産を配偶者と子供一人とが民法の相続分に従つて相続した場合には、従来の相続税額五千九百三十六万余円とありますが、これに対して、改正後は六千四百三十五万余円となりまして八%余増加するのであります。  以下相続税法案内容について、その大要を申上げます。  先ず、相続税の納税義務者は、原則として相続、遺贈又は贈與によつて財産を取得した個人であります。相続税の課税価格は相続、遺贈又は贈與により取得した財産の価額の合計額でありますが、その計算に当りましては、その非課税財産の範囲を拡張し、宗教、慈善、学術その他公益を目的とする事業を行う者の取得した財産でその公益目的の事業の用に供することが確実なもの、或いは政治資金規正法に規定する公職の候補者が選挙運動に関し寄附等によつて取得した金銭で同法の規定によつて報告されたもの等をも非課税財産とし、その全額を課税価格に算入しないことにしたのであります。  次に今回の改正によつて新たに各種の控除を認めることといたしております。その第一点は、少額控除でありまして、同一人から同一年中に取得した財産の価格のうち三万円までの金額は課税価格に算入しないのであります。従来は三千円以下の財産は課税しなかつたのでありますが、今回その限度を引き上げますと共に控除制度に改めたのであります。その第二点は、配偶者控除でありまして、配偶者がその配偶者の死亡によつて財産を取得した場合には、取得財産の価額の二分の一を課税価格から控除することとしたのであります。これはその場合の取得財産の中には夫婦協同で稼ぎためた財産が多いと認められ、又配偶者間の年齢には大差のないのが普通でありますから、再び相続が開始して相続税を課せられる公算が大きいからであります。第三点は、未成年者控除でありまして、相続人のうち十八歳未満の者がいる場合には、一万円にその者が十八歳に達するまでの年数を乗じて算出した金額を課税価格から控除するのであります。これは未成者が相当の年齢に達して自立するまでには可なりの養育費を必要としますので、予めこれを控除しようというのであります。第四点は、基礎控除でありまして、相続税の課税に当つては一生を通ずる取得財産の課税価格から十五万円を控除するのであります。これは先に申上げた少額控除の外に認めるのであります。取得財産の価格は十八万円以下であれば課税を受けないのであります。  相続税の税率は、以下のようにして各種の控除をして計算した課税価格に対しまして、二十万円以下の金額に対する二五%から、五千万円を超える金額に対する九十%に至る超過累進税率に改めることになつております。御承知のように従来相続税の最高税率は六五%、所得税の最高税率は八五%であつたのでありますが、今回の改正により所得税の最高税率は五五%とし、別に高額な財産を所有する者には富裕税を課することとし、相続税については高額財産の取得に対して高度の累進課税を行い、ためにこのような高率にいたした次第であります。尤も改正後の相続税法では公益事業に寄附すれば非課税となり、相続人が多数であれば、その税負担は相当軽減されることになりますので、これによつて公益政策上又は社会政策上望ましい効果を生ずるものを期待している次第であります。  次に、同一財産について相続が頻繁に行われる場合の税負担の公平を図るために各種の税額控除を認めることといたしております。即ちその一は、相次相続の控除でありまして、これは従来相続の開始があつた場合に、その被相続人が五年以内に開始した相続について納めた相続税額を今回の相続税額から差し引くことにしていたのでありますが、今回の改正によりまして、その期間を十年に延長し、前回の相続から今回の相続までの期間を十年から差し引いた年数を前回の相続税額の十分の一に乗じて算出した金額を今回の相続税額から差引くこととしまして、この控除制度を合理化するに努めたのであります、次は、年長者控除でありまして、相続によつて財産を取得した者が被相続人より年長者であるときは、その取得した財産に係る相続税額の三分の一を控除することにしたのであります。これは相続によつて年長者に財産が移るときは、再び相続が開始して相続税の課税を受ける公算が大でありますので、この控除を設けて課税を緩和合理化するに努めたのであります。  次に相続税の申告及び納税について申上げますと、その年中の相続、遺贈又は贈與によつて取得した財産を基礎にして計算した課税価格、相続税額等を記載した確定申告書を翌年二月一日から同月末日までに提出し、納税して頂くことになつております。尤も年の中途で相続又は遺贈によつて財産を取得した場合にはその相続の開始又は遺贈があつたことを知つた日の翌日から四月以内に概算申告書を提出して納税して頂くことになつております。  次に延納物については、従来と同様でありますが、従来年賦延納の場合の利子は一日十銭でありましたが、本年四月一日以降はこれを一日四銭と改めることにいたしました。尚その他相続税の異議処理、第三者通報、利子税額、加算税額、罰則等については所得税、富裕税等と同様であります。  次に改正相続税法は四月一日から施行する予定でありますが、この改正規定は本年一月一日以後相続、遺贈又は贈與によつて財産を取得した場合に適用することにいたしております。  次に資産評価法案につきまして御説明申上げます。  過去数箇年の間におけるインフレーシヨンによりまして物価が著しく騰貴いたしましたため、企業の資産についてその取得の当時の価額を基礎とする帳薄価額は、その実際の価額を反映しない低い価額となり、資産の適正な減価償却ができず、企業経理は不合理となるに至つている現状であります。このような状態を是正して、企業の経理を合理化し、健全化することは極めて肝要と考えられるのであります。更に又資産の譲渡等の場合にインフレーシヨンに伴つて生じた單に名目的な所得に対しましても所得税又は法人税が課税されるという従来の状態を合理化いたしまして、譲渡所得についての課税を適正ならしめ、税負担の軽減を図ることが必要と考えられるのであります。よつてこれらの目的を達成するために経済が正当化に向いつつある現段階において資産の再評価を行うことといたし、今回資産評価法案提出することとした次第であります。  次にこの法律案についてその概要を申上げます。  先ず再評価は原則として本年一月一日を基準日といたしまして、その日において法人又は個人が所有する資産について行うことといたします。法人資産及び個人の事業用の減価償却資産につきましては、再評価を行うか否かは、所有者の任意といたしますることともに、その再評価額は一定の基準の範囲内で所有者が任意に定めることができることといたし、企業の実情に応じた再評価が行われ得るようにしているのであります。また個人のその他の資産につきましては、譲渡所得の計算上の問題のみでありますので、その資産について譲渡等がありました際に基準日現有で再評価が行われたものとみなすこととしているのであります。  次に再評価の基準といたしましては、原則として資産の取得価額にその資産の種類に応じまして卸売物価指数、消費者物価指数又は土地価額指数に基く一定の倍数を乘じまして、再評価額又はその最高限を算出する方式によることといたしております。尚個人が財産税調査時期前に取得した非事業用資産等につきましては資産税評価額を基礎としているのであります。  次に再評価の申告につきましては、再評価を行なつ法人及び減価償却資産について再評価を行つた個人は、原告として遅くとも本年八月三十一日までに再評価申告書を政府提出しなければならないものといたし、個人の減価償却資産につきましては、再評価申告書は資産の譲渡、贈與、相続又は遺贈があつた場合に、所得税の申告書の提出期限と同一の期限内に政府提出することを要するものとしているのであります。  次の再評価税について御説明いたします。  再評価差額に対しましては、社債や預金等の債権の所有者及び過去においてインフレーシヨンによる名目所得に対して高率の課税を受けていた者の間に公平を図るため、百分の六の税率により再評価税を課することといたした次第であります。この場合再評価税の課税によつて企業の適正な再評価を妨げることがないように、納税方法につきましては企業の税負担の状況を考慮し、延納を認めることとしているのであります。即ち減価償却資産についての再評価税は、原則として法人の場合におきましては三年間、個人の場合におきましては五年間に分納することとしているのでありますが、再評価税によつて税負担が一時的にもせよ過重となることを避けるために、青色申告書を提出する法人又は個人につきましては、各事業年度又は各年における利益の状況に応じて概ね五年後に至るまでの延納を認めることとしているのであります。次に法人及び個人の減価償却資産以外の資産についての再評価税は、原則としてその資産の譲渡等があつた際に納付することとしているのでありますが、法人につきましては、五年後に至るまで尚譲渡されないものにつきましては、五年後において納付することとしているのであります。  次に再評価額、再評価税額等につきまして政府による更正決定の制度を設けまするとともに、審査請求、訴訟、加算税等につきましては、概ね今回の税制改正による他の税法において採用されている諸制度に準じているのであります。  尚資産の再評価を適正ならしめるために、資産再評価審議会、全国資産再評価調査会及び地方資産再評価調査会を設置いたすこととし、資産再評価の円滑な運用を図りたいと存じております。  次に再評価に関する企業の経理について申上げます。  再評価によつて生ずる再評価差額は、損失の補填に充てた額を除いて一応これを再評価積立金として積み立て、三年間は原則としてその取り崩しを禁止することとしております。三年後におきましては、再評価積立金の四分の三の範囲内で資本えの組入れを認めることとし、五年後におきまして再評課税を完納したときは、再評課積立金の残額の全部を資本に組入れることも認めることとしているのであります。尚再評価積立金はこれを社債の発行限度に算入することといたしたのでありますが、経済の状況をも考慮し、その金額を一時に算入せず、三年間にその四分の三までを限度として逐次算入することとしているのであります。  次に資産の再評価後における所得税、法人税等の課税関係について申上げますと、先ず再評価を行なつ資産の減価償却につきましては、再評価額を基準とし、残存価額が再評価額の一割に達するまで税法上償却を認めることとしております。また再評価資産の譲渡所得につきましては再評価額を基礎として計算し、インフレーシヨンによる名目所得を排除することとし、再評価積立金に対しては積立金に対する法人税を課さないこととする等の措置を講じているのであります。  以上この法案提出いたしました理由及びその内容の概略につきまして御説明申上げたのでありますが、この法律制定によりまして、かねて懸案の資産再評価もいよいよ実施に移されることになるわけでありまして、各企業がそれぞれ適正妥当な再評価を行うことにより資本の維持、経理の合理化が達成され、日本経済の健全な発展に寄與するとともに、合理的な税制の樹立に貢献するところ極めて大なるものがあることを期待する次第であります。  所得税法等改正に伴う関係法令整理に関する法律案について、その大要を申上げます。  従来、特別の法令において所得税及び法人税を課さない旨の規定を設けているものが相当あるのでありますが、今回、既に御審議を願つております所得税法及び法人税法改正案におきまして、これらの他の法令中の所得税及び法人税を課さない旨の規定整理統合し、それぞれ所得税法及び法人税法において規定することを適当と認めたのであります。これに伴いまして、所得税及び法人税の非課税規定に関する関係法令規定整理するため、本法案提出することとしたのであります。尚、今回有価証券移転税法廃止されることとなりましたので、これに関する非課税規定をも併せて整理することといたしました。  何とぞ御審議の上、速かに御賛成あらんことをお願い申上げます。   ―――――――――――――
  76. 黒田英雄

    理事黒田英雄君) それでは次に、証券取引法の一部を改正する法律案議題といたしまして、御質疑をお願いいたしたいと思います。
  77. 木内四郎

    木内四郎君 今度の改正案によりますと、証券取引委員会の方でこの証券取引法規定によつて提出される貸借対照表、損益計算書、その他の財務書類の用語様式及び作成方法を決めるということになつておりますが、これはシヤウプ勧告によつて云々ということも書いてあるのですが、証券取引委員会がこれを決めるについては、税法上必要な書類、そういう方面との連絡をどういうふうに考えられておるか。証券取引委員会が勝手にこれを決めるのか。又決めたものはそのまま直ぐに税法上勝用できるようなふうにするのかどうか。あなた方の御説明によるというと、これによつて企業会計というものを整備して云々ということが書いてあるが、企業会計自体として整備されるのはいいが、課税上又違つた様式によつてやらなければならんということは、これはさつき問題になつ公認会計士証明とか、いろいろ関連してますます複雑になるのじやないかということが考えられますが、その点如何ですか。
  78. 湯地謹爾郎

    政府委員(湯地謹爾郎君) この百九十三條で、ここにあります通り、この証券取引法規定に基いて提出される貸借対照表とか或いは損益計算書、その他の財務計算に関する書類についてはここにあります通り「一般に公正妥当であると認められるところに従つて云々というふうに書いておるのでありまして、我々といたしましても、この委員会規則で決めまする様式、用語、作成方法ということについては、これは税務の計算の方とはできるだけ一つ連絡をしてやつて参りたい、こういうふうに考えておるのであります。勿論これは用語とか様式とかその作成の方法というふうに、これは投資者を保護するという意味会社会社の事業内容等を記載して委員会に出して来る書類を、できるだけ同じような形で同じような同語を使つて出て来るようにいたしまして、投資者をして比較、検討をするという意味において便宜にさせようという趣旨もあるわけでありまして、税法と必ずしも一致しないわけでありまするが、併しこの用語、様式等を決める上においては、税法の方にもこれをできるだけ利用して頂く、こういうような意味においてこれは密接な連絡をとつてやりたいと、こういうふうに考えております。
  79. 木内四郎

    木内四郎君 今政府委員から御説明になつておるようなことだと非常に結構ですが、実は昨日の公聽会におきましても、業者の方から、経理の様式が普通会社でやつておるのと課税上やるのと非常に違つてつて困るという意見が縷々述べられたんです。そこであなた方の方でこれをお決めになるのは、勿論投資者を保護する目的書類であるから、目的が違うんですね。或る程度まではじかたがないかも知れないけれども、又同時にそれによつて更に昨日の公述人の言つたようなことを複雑化するようなことがあると非常に遺憾だと思います。併し今政府委員から御答弁になつたように、税務上のことも考慮されて、成るべく簡単にして頂くようにしたら非常にいいと思います。そういう意味ちよつと質問したんです。  もう一点だけ伺いますが、今度の改正によりまして、有価証券の募集又は売出しに証券取引委員会規則で届出を免除するものを五百万円を千万円に上げられるのは、経済界の事情に応じて変えられることは尤もだと思いますけれども、大きなものは却つて間違いがなくて、小さいものに却つて間違いがあるというようなことはないでしようか。そういう点はどうでしようか。
  80. 湯地謹爾郎

    政府委員(湯地謹爾郎君) 実はこの改正につきましては、この法律を施行いたしまして、まあ大体二年近くなつております。そうしてこの法律で企図しております趣旨も段々徹底して参つて来たと思います。ただ大きな会社でありますれば、会計の作り方の内容等が整備しておつて、小さい会社はどちらかと言えば必ずしも整備してないということはあろうと思います。併しこれは、問題は一面この経済界の情勢に応じて五百万ということにつきまして地方から一々届出書を委員会へ持つてつて面倒な手数をかけるということを、投資者の保護に反しない限りにおいては省略したいという意味もあるのでありまして、これは全額的に申しますと、この約二ヶ年間の間で五百万円以上千万円以下という、今度の免除し得る限度の五百万円以上千万円以下というのは件数では約二九%強、約三〇%近い件数を占めますが、金額的には四%という比率は非常に小さいということと、今一つは、これは投資者保護の面から申しまして、いわゆる証券業者等を使つて公募をするというものについては、相当投資者に会社内容をはつきり正確に知らせることが投資者の保護という意味において必要なのでありまして、この千万円に引上げる場合でも、証券業者等を使つて公募をするというような分はこれは引上げないで置こう、こういうつもりにいたしておるのであります。従つてその意味においてその会社に余り馴染のないような投資家等の利益を害するというようなことは余りないだろうと、こういうふうに考えております。
  81. 黒田英雄

    理事黒田英雄君) それでは証券取引法の一部を改正する法律案は、大蔵大臣が間もなく見える筈でありますから、それまで中止することにいたします。   ―――――――――――――
  82. 黒田英雄

    理事黒田英雄君) 次に国民金融公庫法の一部を改正する法律案議題といたしまして、御審議を願います。御質疑のおありの方はお願いしたします。
  83. 木内四郎

    木内四郎君 十八億円を三十億円に増額されるというのですが、増額の範囲が余り小さ過ぎるように思うのですけれども、最近の貸付の状況から見てどうですか、計数的にこの程度で足りるというところを一つ納得の行くように説明して頂きたい。  それからもう一点、この頃大蔵省はいろいろな政府資金を金融機関に預け入れて金融機関から貸出させようとしているが、外の金融機関に金を預け入れても余り貸さんらしいけれども、国民金融公庫にでも資金を預けたら大いに貸出して貰えると思うのだが、金融公庫に預金を預入れしたのですか、或いは入れようという計画があるのでありますか。
  84. 黒田英雄

    理事黒田英雄君) ちよつとお諮りいたします。只今大蔵省の飯田特殊金融課長が見えております。政府委員ではありませんが、説明員として答弁をすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  85. 黒田英雄

    理事黒田英雄君) 御異議ないと認めます。それでは飯田説明員
  86. 飯田良一

    説明員(飯田良一君) 最初の問題は公庫の資本金といいますか、資金源が今度十二億増加されるのであるが、総計では三十億どころか、一般庶民金融の状況から見て尚需要が非常にあるように思うが、少な過ぎやしないかという御趣旨かと思うのでありますが、大体国民金融公庫の対象とする階層、従つてそれに対してどれくらいの資金需要があるかということにつきましては、推定は非常に困難なのであります。併しながら勿論推定が立たないわけではないのでありまして、先ず第一番に国民金融公庫が昨年の六月にできまして以来、年来まで大体七ヶ月の申込みの状況を取つて見ますと、三十五億円という計数になつております。従つて月平均いたしまして、五億円、年間に直して六十億円というのが、一応申込んだ総額ということになろうかと思います。併しこれがいろいろな状況から見まして、最低の状況というふうにも考えられますので、外の要素を加味して見ますと、潜在的には百億くらいの少くとも需要がありはしないかというふうな目安が付くわけであります。その中には併しながら需要がありましても返済の能力がないもの、従つて公庫から見まして、貸付の的確性のあるものということになりますると、大体公庫の過去の経験によりまして、その中の申込額の四割、固く見まして三割くらいというものは大体金があれば貸したいというふうな相手方になるということになつております。そうなりますと、申込みの状況が六十億乃至百億とまあ非常に大巾に考えますわけですが、申込みの方が三割乃至四割が至当だというので、これを掛け合せて見ますと、少くとも最低は年間二十億、それから大きく見まして四十億ぐらい、非常に幅がある数字を申上げまして恐縮でございますけれども、二十億から四十億までの間は先ず必要ではなかろうかというふうに考えておるわけなのであります。平均しまして三十億と申上げて置いた方がいいと思います。というわけでありますので、大体二十五年度においてもそのくらいの資金は準備したいのでありますが、財政の状況その他勘案いたしまして、今出ております計数の一番低いところ、二十億見当というものを押えまして、その中から二十五年度内において回収が行われるもの、これが六億以上あるわけでありまして、それを控除いたしましていろいろ睨み合せました結果、大体十二億、逆に言うと十八億くらいの貸出しの可能ということが二十五年度においては行われるという計算が出ておるわけでありまして、恐らくいろいろな数字を照し合せましてぎりぎりの最低の需要しか充たさないという点は甚だ遺憾なのでございますけれども、全般的な状況と睨み合せまして、この程度ということに落着いておるわけであります。  それから第二番目に預金部資金の預託というふうなことが各金融機関に行われておるというのでありまするが、公庫に対してはそういうふうな預託のようなものを行うか、又は行われておるかという御質問と思うのでありまするが、現にこの前の議会改正をお願いいたしまして、国民金融公庫も預金部から、預金部と申しますか政府から借入金ができるという途が開いてあるわけでございます。で、政府側といたしましては、勿論預金部資金が使用を許されるということになりますれば、国民金融公庫の方にも預金部資金の利用をということによつてこの金融の措置を図りたいということを考えておるわけでありますが、目下のところ預金資金を金融公庫の方に向けるということに関しましては、実行が不可能ということになつておりますので従つて預託というふうなことも行なつておりませんし、貸付ということも預金部からの途は実際問題として実施ができないということになつておりますことを申上げて置きます。
  87. 木内四郎

    木内四郎君 政府委員から御答弁がありまして、財政の現状止むを得ないという点もあるかも知れませんけれども、又この庶民金融の現状は実は憂慮すべき状態にあるにも拘わらず、最低の二十億というものを更に割つて十八億ぐらいしか公庫に入れておらないということは、非常に私は政府の方針に物足りない点がある。それと同時に今預金部資金を借りることができるという規定があるんだけれども、実際できんというのはちよつと私も了解し兼ねるのですが、預金部は二百数十億の金を民間の銀行に預け入れてしまつているが、そういうもつと需要があるところに行けば、国民金融公庫は必ず有効に貸出しして貰えると思うのです。そこに入れられないという理由をもうちよつと具体的に説明して貰いたいと思います。
  88. 飯田良一

    説明員(飯田良一君) 預金部の側から見ますというと、御承知のように相当の金が余つておるわけでありまして、又余ると余らんとに拘わらず預金部の資金計画の中に折り込みました公庫に対して貸付をする、公庫から言えば、政府から借りるという形は勿論我々としては早くやりたいわけなんでございますが、又預金部も若し機会があれば出したいという考えは持つているわけなんでございます。
  89. 黒田英雄

    理事黒田英雄君) 速記を止めて。    〔速記中止〕
  90. 黒田英雄

    理事黒田英雄君) 速記を始めて下さい。
  91. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、今公庫に貸付ける金は、生業資金的なものは、大体三ヶ年くらいの期限が必要だ。そうすると無盡会社或いは今度市街地信用組合、ああいうものに流す金が非常に短期ですが、そういうような金は一体中小企業資金とかそういうようなものに成り得るとお考えなんですか。
  92. 飯田良一

    説明員(飯田良一君) これは結局、一番根本的な問題は、公庫は預金を取つておらない。つまりそれみずからの資金は出資によるか、或いは今までの借入金によるしかないということになりますが、無盡会社、市街地信用組合の場合は成る程短期の金でございますけれども、大体現在の無盡会社、市街地の信用組合の資金はこれは大体銀行の預金とお考えになつてよいかと思いますが、それに対して現在出ております預金部資金の預託は三十五億程度、これは今後直殖えると思います。従いまして大体各期間を通しまして一ヶ月の預金といいますか、資金量の増加で返せるというくらいの額になつております。従いまして、いわば無盡会社、市街地信用組合は金が集まらなければ金が貸せない。預金部の金が出たために前以て金が貸せると、それだけ庶民金融に対して或る期間にどつと流すことができるという作用を営むわけであります。後のその裏付になります金は、自分の預金の増加によつてカバーできて来るわけであります。公庫の場合はそれがないのでございまして、今の一ヶ月が借りた金があるからと言つて、三年間の貸付をしてしまつた場合に、仮に半年で回収しようとしてもどうにもならん。借りる途があれば別でありますけれども、そういう意味のことを申上げておるのであります。
  93. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 公庫の場合についてはよく分るのですが、やはり私も公庫については、木内委員と同じ意味ですが、なぜ政府出資以外に貸付けられないのかということを非常に疑問に思つておる。それをちよつとお伺いしたいのですが、余裕金もいけないのですか。その預金部資金はまあいけないといたしましても、国の余裕金を公庫に貸付けても短期だから駄目だということもありますが、建前としてはいいのですか、余裕金を公庫に貸付けるということは建前として可能なんですか。
  94. 飯田良一

    説明員(飯田良一君) 余裕金も政府から、一般会計なり何なりから借入れるということになりますれば、この期限で動くかと存じておりますが、ただ性質的には預金部資金より尚短期の金でございますので、その点で不適当なのと、それからもう一つ條文にございますのですが、予算で決めなければいけないということになつております。借入れる場合にも予めこの関係で以て予算に組んでお願いすれば別でございますけれども、要求をし得ない場合の余裕金というようなものを借入れることもできませんので、その点は計上してもございません。従つてちよつと実行困難かと思います。
  95. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 国民金融公庫、大体今度の十二億ぐらい程度ではいけないと思うのでありますが、どのくらいの今政府出資がなければできないことになつておりますか。仮に預金部あたりの資金ですな。これを使うとすれば公庫の金としてはどのくらいのものが必要とお考えになつておりますか。
  96. 飯田良一

    説明員(飯田良一君) 先程もお答えいたしましたのでございますけれども、大体最低ぎりぎりのところ二十億、理想的に申しまして年間四十億の金があれば、適格性のある即ち公庫の相手方として返済能力があるという人に貸すには先ず十分かと思つております。従つて先程も申上げましたように、十二億の出資があり、回収の六億があり、十八億といふことになりますと、あと二十億ぐらいの資金源が借入金によつて賄われれば先ずよいのではないかと思つております。
  97. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 政府の余裕金の預託の問題ですが、ちよつと公庫の関係のない問題ですが、先程のお話ですと、無盡会社、市街地信用組合だつて一ヶ月ぐらいの無盡の掛金とかその他でカバーできるくらいの金額であるというようなお話ですが、これは非常に不安定な問題であります。今後の経済情勢その他を考えればそう確定的なものではないと考える。こういう関係のものを本当は中小金融の方に廻して、これは中小金融対策として廻すのだと、如何にもそれは宣伝価値を大きくするように見えるのですが実質としてはそういう中小金融資金としてはふさわしくないだろう。やはり預金部資金とかそういうものがよいのじやないですか。
  98. 飯田良一

    説明員(飯田良一君) 現在各金融機関に出ておりますのは、いろいろな性質の金から預託なり、放出なりが行われておるわけであります。只今例に挙げられました無盡会社、市街地信用組合に流れておりますのは預金部の余裕金の預託になつております。その拠るところは従つて預金部資金であります。先程一ヶ月と申しましたのは、それは建前でございまして、実際問題としては半年ぐらいは現在でも続け得る見込があると思いますし、それから今後段々にその額が増すと存ずるわけでありまして、その際にはせめて一年ぐらいの期間は付けた金にしないと、今お話のように、例えば無盡の場合、無盡の契約と有機的に結合せた金の使い方ということになりますと、一年は要ると存ずるのであります。一年の金が出ますと、無盡の本来の契約というものと有機的に噛合せて相当に有効に使えるかと思います。と申しますのも、現在が有効でないというわけではございませんので、現在でも大体三月ぐらいの手形をやつておるわけでございますし、本格的に利用できるというのは確かに最低一年ぐらいまでの期限が適当かと存じます。又そういうふうに近くなる見込でおります。
  99. 木内四郎

    木内四郎君 今いろいろ事情を御説明願つたところによると、十二億円の増額なんというものは非常に少な過ぎて問題にならんと思う。これは現在まで政府が中小企業とか、或いは庶民階級の金融をおろそかにして来ておつた一つの現われだと思うのですが、これは事務当局を責めても仕方がありませんが、予算をああいうふうに組んで出しておるのだから、この予算は十二億の増額は認めざるを得ないと思うのですが、これだけでは足らないのだから、今後一つ預金部の余裕金ですね、或いは更にその他の資金もできるだけここに入れるように運んで貰わなければ、これではとても庶民金融は十分できないと思う。それは今後において予算を通じなくて何かできる方法はあるのですか、二十五年度において。若し関係方面の了解を得ればですね。
  100. 飯田良一

    説明員(飯田良一君) 先程申しましたが、公庫の予算自体が政府関係機関の予算ということで、やはり国会に出ておるわけであります。借入金によつて賄なうという場合にもやはり歳入歳出共に予算で御審議をお願いしなければいかん段取りになつております。従いまして、政府出資金等の増額がなくても、借入金をすること自体においてその資金計画の予算を御審議願うということになつております。
  101. 木内四郎

    木内四郎君 そうすれば、もうこの二十五年度の予算はあのままであり、法律はこのままであれば、借りられるものはよし、借りられないものは死んで行けということだな。それに対しては方法はないのですか。庶民金融公庫から出す方法はないのですね。
  102. 飯田良一

    説明員(飯田良一君) 先程関係方面に了解を得ればというお話がございましたが、そうなりますと、補正予算等が行なわれる機会には、勿論それを組入れて予算を補正して行くという途があるわけであります。
  103. 木内四郎

    木内四郎君 補正予算を組む途があることは明らかですが、補正予算を出さないならば、現在のままでは、百億も申込があるのに十二億程度、回収金六億を入れても十八億程度しか出せない。それ以外のものは何とも手の施しようがない状態なのですね、国民金融公庫からは。
  104. 飯田良一

    説明員(飯田良一君) 国民金融公庫の関する限りは、資金源に活動を縛られるわけでありますから、それ以上の枠で活動ができませんが、及ばずながら補足する途として無盡会社、信用組合等のいわば予算を用いないでできる方法でカバーするということを努めて行きたいと思います。
  105. 米倉龍也

    ○米倉龍也君 十二億を二十五年に殖やすというのですが、一体八十億の現在の貸付がどういうふうになつておりますか。六億ばかりの回収金とおつしやつたが、回収金と言つてもまだ国民金融公庫の貸付は、そう回収するほどみんな十八億貸したものじやない。実際申込みの四〇%くらいが適格なものだというのですが、そうすると五億円くらいのものの四〇%ですから二億くらいですが、二億くらいのものを今日まで幾ら貸してあるのですか。
  106. 黒田英雄

    理事黒田英雄君) 只今国民金融公庫の理事長が見えておりまから、説明員として聞くことに皆さん御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  107. 黒田英雄

    理事黒田英雄君) それでは櫛田君。
  108. 櫛田光男

    説明員(櫛田光男君) 只今の貸付の現状、それから来年の回収見込についての大体の見通しを申上げまして、御参考に供したいと思います。  現在は、昨年の六月一日に出発をいたしましてから十二月末までに大体五億三千万ほど貸して参つたのでありまするが、最長期間で三年となつておりますが、お客様方のいろいろな御事情によりまして、中には二、三ヶ月の短期の資金でもよろしいお方もありますし、或いは設備資金等になれば三年いつぱい御必要の方もあるかと思いますが、大体において平均いたしまして、現在のところでは二年くらいになると思います。それで本年度内におきましても、やはり回収がこれは月賦で元利の償還をして頂いておりますが、元金を二十分の一ずつ月賦でお返しを願うという形になつておりますので、従つて償還があるわけであります。本年度二十四年度におきまして、大体貸付累計は三月までに十一億五千万くらいになると思います。残高は恐らく九億五、六千万、約十一億五千万を貸しまして、二億見当月賦金で返つて来ることになると思います。段々とそういうふうに積み重ねて参りますので、やはり来年度におきましては大体六億見当の償還が見込まれる。こういう工合の計算をいたしまして、そこで十二億の出資を頂きますというと、合せまして約十八億余という貸付ができる。こういう計算をいたしております。
  109. 米倉龍也

    ○米倉龍也君 その四〇%の適格というのは、非常に少いようですが、実際借入の申込というものはそういう危険なようなものが持込まれるのですか。
  110. 櫛田光男

    説明員(櫛田光男君) 先程飯田さんから四〇%と申されましたのは、こういう意味であります。過去約十ヶ月の経験によりますと、率直に申しまして、百人お申込みを頂きますと、そのうちの約二十人のお方は、便乗と申しますか、何かこう資金の配給でも受けるようなお気持でお見えになつたとでも申しますか、そういつた形でお越しになつておる方がおられるように見受けます。つまり法律にあります通りに、独立して事業を遂行する意思を有して而も確実適切な計画をお持になつておるお方、而も他の金融機関から資金の融通を受けることを困難とするようなお方ということになつておりますが、その計画の適切さ乃至独立して事業を完遂するというふうなお考えでやつておられるかどうかということについて非常に疑わしい方がやはり二、三割はおられるように見受けます。残る八十人の方でありますが、大体その半分見当が全く適格と申しますが、ぴつたりと当てはまつて、而もその計画の適切さと申しますか、しつかりした計画をお持ちになつてつて、而もどんなことがあつてもそれをやり遂げて見せるという技倆なり或いは過去の御経験なり、或いは御抱負なり御腕なりを持つておられるその方が大体においてその半分ということに見受けられますので、百人のお申込がありますと、私共の方といたしましては、何とかしてこれをお貸出しをして、而もそのお貸出しをした結果が経済の復興に非常に役立つであろうという確信を持つことができますのが四割、こういうことになるわけであります。ただ現状におきましては、先程も飯田課長から申されましたように、年間約百億の申込みがありますから、それで以て推定されますので、そういたして見ると、大体四十億という資金が要るのでありますが、現状では大体まだ半分見当の資金量しか出廻つておらないという現状にある、こういうわけでございますが、従つて今までお貸出しを申上げました方は全部適格の方である、その証拠には、今日に至るまで昨年の六月一日から貸出をいたしましたが、未だ月賦金その他の延滞になつたものは一件もないのであります。これは驚くべき現象だと普通のお方からは言われるのでありますが、私共からはこれは当然だというふうに考えております。全部その面に関する限り、事業の方を極めて順調にお運びになつておるように見受けられるのでありますが、とにかく回収が百パーセントであるという状況でございます。
  111. 米倉龍也

    ○米倉龍也君 非常に適格な者のみにお貸付けになつておるからそういうことでありましようが、金融公庫は大きな社会事業であるのですから、多少どうかと思うようなものでも、これを何とか金庫として貸した後の指導的な施設か何か考慮を拂つて頂くというような、貸付後の金庫としての積極的な措置をとるというような、そういうことは金庫の業務の上ではできないでありましようが。ただ貸してきちんきちんと返つて来ますれば、それでよいのだというような普通の金融機関でなく、もつと借る人の仕事を指導とか、親切に何か手伝つてやるとかというようなことは金庫の業務ではこれはできないのですか、そういうことについてはどんなお考えをお持ちになつておりますか。
  112. 櫛田光男

    説明員(櫛田光男君) 私共は窓口で御相談を受けまして、それからいろいろお話をいたしまして貸出をするわけでありますが、そのときにも何と申しましようか、本当の意味の金融、それを含みましての事業の将来性、どうやればそのお方がその不況を乗り切つてうまく事業を御成功なさるかということを、単に資金の面のみならず他の面につきましても、ときには差出がましいというような誤解を受けることのあるくらいに、実は係員とお客様とが膝を突き合せて御相談をいたしまして、それで御相談をいたしました結果が大体どのくらいの資金で十分できるというところの結論が出たあと、そこでお貸出しておる、而もその後におきましても、手が廻りかねるのでありますけれども、できる限り御面倒を見、御相談に乗つて行く、簡単に申しますと、お客様のお貸出ができた方の大部分が今まで銀行その他の金融のお取引の経験のない方とか、或いは他の金融機関から一応はお断りを頂いたような方が多いのでありますが、従いまして、そのお客様方がお貸出した後におきましても何かといろいろな面において御相談においでになりますので、私たちもできる限りその御相談に乗つております。最近の状況として非常に喜ばしいことが去年の暮あたりから出て参りましたのは、私共の方でお貸出をいたしますというと、それが大きな他の信用の基礎になると見えまして、普通の金融機関の方、銀行とか、無盡会社の方で新たに取引を開いて頂く、そういつた傾向がぽつぽつと見えて参りました。又最近それが多くなつて来ておるようであります。こんな点におきましても、例えば他の金融機関からこのお客様についてはどうであろうかというような御相談を受けることもございます。そういつた工合でありまして、私共の方でもできる限りお貸しいたしましたお客さん方の御面倒をいろいろな面でできる限り見て行く、そういうつもりでおります。ただ残念なのは、いかさま私共の方は今二十の店舗があるわけであります。人員にしまして五百七十人、普通の銀行の一行の五分の一から十分の一の人数で仕事をいたしております。而も貸付の件数は今までの、総件数でありますが、二十一万件を越しております。銀行全体の貸付件数は昨年の三月の調べによりましても七十四行、八十一万件かと聞いております。それに比較いたしまして二十一万件というものを扱つておるわけであります。そういうような関係で人手の総体的な関係からいろいろな意味で痒いところに手が届かないという場合もできるのであります。私共といたしましては、できる限りあらゆる御相談に乗つて行くというやり方をいたしております。
  113. 黒田英雄

    理事黒田英雄君) 本案につきましては、只今のところ御質問はもうございませんですか。  それでは、これはこの程度にいたします。   ―――――――――――――
  114. 黒田英雄

    理事黒田英雄君) 大蔵大臣はもう間もなく見えるそうでありますから、暫らくお待ちを願います。その間、公認会計士法の一部を改正する法律案の御質問はもうありませんか。大体御質疑は済んでおると思われますが。  それでは証券取引法の一部を改正する法律案議題といたしまして、御審議を願います。  御質疑の続行をお願いいたします。
  115. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この証券取引法の一部を改正する法律案のこの提案理由の趣旨は、確かに私はよろしいと思うのですが結構なんですが、特にこの際大蔵大臣にお伺いいたしたいと思いますのは、如何にこの法律改正して取引の公正の確保、及び投資者保護をやろうとしましても、この運用においてこれが適正を期せなければ意味がないと思うのです。で、この改正案提案理由を見ましても、有価証券取引の公正と、その流通の円滑を図り、又投資者の保護に一段と厚きを加えるということなんでありまするが、この証券取引法が実施されて以来今日までの実際の運用状況を見ますと、決して私はこの証券取引法制定した趣旨、即ち証券市場は単なる投機市場ではなく、スペキユレーシヨンの市場でなく、インヴエストメントの市場、投資の市場であつて、投資というものを事業金融の一環として、一つの環として育成していくというのが趣旨だと思うのですが、ところが非常にその趣旨に現状はこれまで反しておると思う。そこでその点において大蔵大臣にお伺いいたしたいと思うのですが、現在の権利株売買、場外取引、差金決済のようなことをやつておる。これは証券取引法のどういう條項に基いて許しておるのかどうか。
  116. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) これは昔から場外取引と申しますか、取引所に掛けずにおいて差金決済をやつておる。これは昔から違反として取締られておつたのであります。今でも差金決済においてやるということは禁止されておるのであります。それはやつていないと思います。場外取引と申しますのは相対で売買することを言つておるのではないかと思います。
  117. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 現実にまた上場されない権利株売買、これを今の証券取引所の業務を終つた後で実際やつておるのですね。これは類似市場になると思う。類似市場を許さないとすれば違反でありますから、禁止しなければならないと思うのです。
  118. 湯地謹爾郎

    政府委員(湯地謹爾郎君) この問題は実はこの前にもお答えいたしたのでありまするが、いわゆる非上場の権利株については証券業者が差金決済をするというようなことになりますれば、これは当然証券取引法違反ということで取締るのでありまして、現在やつておりますのは、これは差金決済をいたしてはおらないのであります。ただ証券業協会で取引所外でやつておる、こういう取引を自由に放置いたしておきますと、場合によつては客に迷惑を掛けるということもあり得るので証券業協会においてこの決済等についてその取扱いをしておるというのが現状でありまして、これは類似市場であるのではないかという御議論に対しましては、これ又先日お答え申した通り、我我といたしましては類似市場というふうには考えておらないのであります。
  119. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 実際問題として、今株を動しておるのはそういう形の私は類似市場と思つておるのですが、それが動しておるのですね。大体株の値上りとか、株の値下り、これまでの株の暴落の原因はいろいろあるでしようけれども、そういう形の取引が非常に株を左右しておる、そうなりますと、健全な投資市場の育成といつても、こういう取引によつてしよつちゆう株が左右されるとなると、依然としてこれは投機市場であるという観念が抜けなくて、決してこれでは健全な証券業の育成ということはできないという意味で御質問しておるのであつて、このまま放置して行けば、私は決して今の証券業の健全な育成はできない。これは証券取引法の精神に反すると思いますので、このままで今のは証券取引法に違反していないという考えですけれども、それでは違反していないから現状のままでよいと、そういうふうにお考えかどうか、大蔵大臣にお伺いしたいのです。
  120. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 取引所類似の行為をやりまして、而もそれがお話の通り証券の流通その他につきまして弊害を促すというようなことがございましたら、これは十分取締らなければならんと思うのであります。現状につきましては、今湯地政府委員より答弁した通りであります。我々は常に関心を持つ監視はいたしておるのであります。
  121. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その点大蔵大臣に要望したいのですが、只今事務局長がお話になりましたけれども、我々はそう解してない。もう少し大蔵大臣は実情をお調になつて頂きたいと、思います。実際は差金決済みたいなものになつてつて、それは玄人から見ますと、これは弊害があると言われておる。ですからこの委員会における場当りの答弁でなく、実際に大蔵大臣がお調になつて、それでこれは弊害があるという場合には、やはりこれに対して手を打たれることを要望いたします。  それから第二にお伺いいたしたいのは、証券取引法の第三十四條に、証券業者が資金を借る場合、営業用純資本の二十倍までいいということになつておるが、こういう規定を設けたのはやはり投資者保護の立場から設けられたと思います。実際において今の四大証券、その他の証券業者の実情を見ますと、これに違反しておるあれが、濃厚なのです。違反しておるとは断定いたしませんが、濃厚なのです。そこで大蔵大臣は実情をお調になつておるか。この提案理由を伺いましても、この二十倍というのは大き過ぎる。今後二十倍をもう少し縮めると政府委員のお話があつたのですが、投資者保護の上から言つて、今のような実情が、段々はつきり分ると、これはやはり証券業者に対する信頼を欠くと思いますから、これは実情をお調になつて、そして今回のような株式の非常に異変があつた際には投資者にそういう危惧を起させんように、若し非常に違反をする場合には検査をされて、そして適当な措置を講ぜられるのが当然と思いますが、この点についてお調になり、若し違反しておる場合にはこれに対して何らかの措置をお取りになるお考えがあるかどうか。
  122. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) この三十四條の規定は、お話の通り投資者保護のため証券業者の資産の確立を期さなければいかんという趣旨から出ておると思うのであります。従いまして、今のような現状においてどうするのかというお話でございますが、私はやほりこの規定によりまして、証券業者の資産内容につきまして常に注意しておるのでありますが、只今のところ証券業者の内容が悪いとは私考えておりません。
  123. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そういう御答弁ですと、我々も違つた見解を持つのです。実際それでは悪いとお考えになつていないなら、検査されたかどうか。
  124. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 私は検査はいたしません。資産内容の報告をとつております。
  125. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その報告は果してよく検査されておる報告だけじやないんですよ。いつも報告を得た後に検査するかしないか。これは又別の問題だと思うのです。報告通り何でも正しいと思つたらこれは間違いと思うのですね。これは税の問題もそうですが、いわゆる申告だけしたらそれでよいというわけには行かないので、実情がそうであるかどうか、私はここで極言はしないのですけれども、大蔵大臣がはつきりと健全なのだとこういうふうに言い切れると、私としてはちよつと承服しがたいのです。それならばもつと実情、数字に基いてそうではないではないかというふうに確証を挙げて質疑をしなければならなくなるのですが、その点についてやはり相当投資者保護の立場からもつと報告も嚴重にこれを検査して見て、若しかそれに対してそれが不適当であるという場合にはやはり適正な何か措置をとられる。こういうことになれば承服できるのですが、全然そういうことがないとこういうふうに言われるのでしたら、私は又別の資料を出して御質問したいと思うのですが、その点については……。
  126. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 証券事務局を設けまして、これが監督にあたらせておるのであります。従いましていろいろなこと聞き及んだり、或いは又経営の状況を見まして、検査をする要のあるものは検査をいたしておるのであります。今私の報告を取つておると申上げましたのは主として四大証券であります。四大証券につきましては随時事務局を通じまして報告を取つておるわけで、手の空き次第に又いろいろな市場の状況なんかも考えなければなりませんが、検査して投資者に安心を與えるような方向はやはりとつて行かなけれでならないと思いますが、今四大証券につきましては、まだ検査をいたしておりません。
  127. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、先程大蔵大臣は、一番重要なのは四大証券でありますが、それについては報告を取つておるからこの三十四條に違反していない、健全であるというようなお話でありましたが、それは違うと思うのです。検査されていないのにただ報告だけで健全であると言われるのは私は間違いではないかと思うのです。なぜこう申上げるかと言うと、御承知の通りに株が非常に暴落したのですから、その間において非常なまあ変化が起つておるのです。ですから嚴重に検査してちよつとでも違反していれば何でも取締るというのではなくて、いわゆる投資者保護の立場からそうでない方向に、いわゆる投資市場育成という立場においてこういう際にはただ傍観しているのでなくて。素人が見ても相当問題があると思うのです。例えば証券業者がお客さんから預かつて運用した金というものは相当なものと思うのです。八十億とか言われておりますが、それを運用して株がこういう暴落をして、相当な問題があると思うのです。整理の問題も起つて来ると思うのです。そこで証券業、殊に四大証券あたりがその経営の内容が悪い、こういうことになると、健全な証券による事業金融というものの円滑なる調達が困難になる。そういう意味で言つておるのでありますから、大蔵大臣は今後四大証券についても検査される御意思があるかどうか。
  128. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 適当の機会にやはり検査は必要だと思います。銀行におきましても五大銀行を検査いたしますと同様に、特に証券業者につきましても検査して行きたいと考えております。
  129. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは今後の証券市場を健全に育成するためには至急検査されて、そういういろいろな誤解とか或いは疑惑というものをまじめな投資者に抱かせないようにすべきだと思います。  それから御伺いいたしたいのは、この証券取引を制定した精神がですね、大体まあアメリカ法律によつたのでありますから、アメリカ通りに直ぐさせては無理なところがあると思うのですけれども、どうも大体においての方向は、長期の事業金融は株式ですね、そうして証券業者を通じて調達させるように、それから短期の資金はコマシヤル・バンクに調達させる、大きな狙いは大体そういうところにあると思うのです。ところが最近ではそれと逆の方向に行つておるように思われるのです。例えば今度銀行を増資されまして、それでそれを見返資金に持つ、こういうような問題も起つて来ます。それは銀行が長期金融の方に進出して行くような感じを與えますし、それから銀行の債券発行ですか、大体にあれは何か長期金融に移行するような感じを與えるのです。普通銀行に債券発行を認めるということですね。そうしますと、短期金融と長期金融との金融機関としての分野が何だか明確を欠いて来る。殊に証券取引法制定した趣旨としての株式投資による長期金融はいわゆる証券取引法に基いてエクスチエーンジ・マーケツトを通じてやるという趣旨に反して来ると思うのです。或いは又最近銀行に株を持たせる、買わせる問題ですね。これは先程の問題と多少意味が違つて来るかもしれませんが、どうも最近の政府の金融政策はどつちの方向を向いて行くのか、証券取引法制定した趣旨と反対の方向に行つているようなのですけれども、これはどういうふうに大蔵大臣としてはお考えになつておるのですか。
  130. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 日本の金融、殊に証券投資の問題は、理想的に申しますると、銀行はコマーシヤル・バンクですが、会社は増資によつて株式をやつて行くというのが初めから計画しておつたことであるのであります。又それが私はいいことだと考えております。併し最近の状況を見ますと、なかなかこの実際面におきまして長期資金は全部株式によるということが困難な状況は免れないのです。従いまして私としては初めの基本方針は推進して参りますが、やはり過渡的に増資より長期資金を借りたいという部面もあるのであります。そういう方面につきましては長期資金を供給し得るような銀行をつくると申しますか、銀行をそういうふうな方面へ向つて生かすのも一つ方法ではないか、だから長期資金は増資によることを原則といたしまするが、長期金融機関というものもあつていいのではないかという考えの下に、只今まだ法案を出す運びになつておりませんが、興銀とか勧銀とか或いは農林中金、商工中金に実施をいたしまして、長期債券を発行しておる銀行は、自分としてはコマーシヤル・バンクで行くべきですが、自分会社の株を持つということよりも他の銀行債を引受けて行つた方がいいという銀行もありましようから、そういう金を特殊の銀行に銀行債券を発行せしめて長期資金を集めさせる、そうしてそれを増資の補助といたしまして運用して行こうという考えであるのであります。
  131. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、現在は過渡的な便宜的な方法としてそういうことを感じているのであつて、やはり根本的な考えはこの証券取引法の六十五條の精神、証券業務と金融業務と分離の方法ですね。そういうやはり方向において政策を考えておられると解してよろしいか。これを法律案として金融業法というものを作られているということを聞いているのですが、これは金融業法においてもそういうことを明確にするような御意思があるのかどうか。金融業法は今度の国会には出されるのかどうか。
  132. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) この六十五條に規定しておりますように、純然たる設備資金、長期資金というものは、やはり増資によつてつて行こうとすることは前のお考と変りありませんが、ただ今の増資で長期資金を賄うということにつきましても、日本では例のアンダー・ライター、引受業者の発達がまだ十分でないのです。引受業者か或いは証券売買業者か、その間がはつきりしておりませんので、私は将来の長期資金調達機関といたしまして引受業者の発達を促したい、育成したい。こういう強い希望を持つておるのであります。  次に御質問の金融業法の改正、こういうお話でございますが、金融業法の内容をよく知つておりませんが、私は今の長期資金を調達する意味におきまして、普通銀行に増資をしまして、債券の発行を認める法案を出すことを今考えておるわけです。
  133. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 預金部資金を市中銀行に預け替してこれを貸出させる、これは設備資金だと思うのですけれども、これもやはり長期資金でですね、これなどが六十五條の精神に私は反するのじやないかと思うのですけれども、これはどういうふうにお考ですか。
  134. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 私は先般やりました普通銀行或いは無盡等えの百億円の融資は、これは一時的の問題でありまして、将来預金部資金というのは原則としては地方債の引受けでありますが、余裕ができました場合におきましては、銀行債の引受けを考えておる次第であります。
  135. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 次にお伺いいたしたい点はですね、この預金部資金の運用の問題ですが、これは大蔵大臣がお見えになつたついでにお伺いして置きたいのですが、只今御答弁がありました通り、原則としてはこれは地方債を引受ける。これはその筋の方の預金部資金並に簡易生命保険及び郵便年金関係資金運用計画に関する連合国最高司令部指令ですか、これにあるのです。ところで預金部資金の運用方針というものはですね、現在はこの拠りどころはこれによつておるわけですが、最高司令部指令によつておるのでありますが、前の預金部預金法ですか、これに基いて預金部資金運用規則というのがありますが、これに基いておやりになつておるのか、その点はどういうふうなのですか。
  136. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 両方によつてつております。向うからの話合いが付きましても、前の預金部の運用規則にありませんときには、運用規則改正いたしまして、そうして両方マツチするような措置をとつております。
  137. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 最近ですね、地方債が相当逼迫して、府県から起債の要求も相当にあると思うのです。預金部資金を一応原則としてこの最高司令部指令に、中央政府及び地方政府と一切の起債及び短期債を消化するため可能なる限り割当らるべし、預金部又は貯金、保険局の余裕金はそういうふうに割当らるべし、とこういうふうに書いてありまして、先ずこれが優先的になるというふうになつておるのですね。それで預金部資金の運用について先ずそれを十分に考えた上で、あと余裕金をどこに投資しようと考えますか、大蔵大臣はこの点を十分お考えになつたかどうか。
  138. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 預金部資金は私はやはり地方債に先ず生かすように考えまして、そういうふうにいたしておるのであります。で御承知の通り去年は、昭和二十四年度は当初二百三十億円の運用計画であつたのであります。それを後から災害その他の関係で七十億円増加いたしまして三百億円にいたしました。それからこれは地方債の引受でないのでございますが、預金部に余裕金があるのでございます。それで地方公共団体の短期貸付も実は昨年度百億ばかりやつて、それでも尚余裕がありますので実は食糧関係五公団の方に百数十億円を出して、先ず地方債の引受けというのを先にやつて、余裕金があつた場合に公団の引受け、こういうことで行つておるのであります。昨年末の年末の金融のことを考えまして、まあ例外的にああいうふうに銀行の預託というものを預金部の運用資金を改正いたしましてやつたのでございます。
  139. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、この預金部資金というものは大体において零細な預金であり、而も地方から集まる預金であつて、大体精神としては成るべく地方に還元するというような情神と思うのです。ところで二十五年度の運用計画を見ましても千二十億ですか、千二十億の運用資金のうち地方公共団体の地方債引受金が四百億、それから金融債国庫買入予定が二百二十億、産業資金四百億とこういうふうになつております。地方公共団体における地方債の発行の要求というものは相当あると思うのですが、成るべくまあ地方に還元する精神から行くと、大部分が地方債以外の方へ運用されておる、こういう実情なんです。そうしますと、預金部資金運用の精神に私はどうも反するのじやないかと思ふのですが、それから銀行や何かに預け替えするとか何とかいうのは預金部運用規則のどこにあるのですか。その規定がそうしていいという規定が……。
  140. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 預金部の資金は先ず第一に地方債の引受けに当てる考えは先程申上げた通りであります。何分にも地方の財政の枠がございまして、只今のところ、当初は預金部の地方債を引受けは三百億と予定されておつたのでありますが、今の状況から申しまして、私は四百億に是非とも殖やして貰いたいという交渉を始めておるのであります。三百七十億くらいでどうかというのが来ておりますが、まだ決定的ではございません。従いまして、特に地方財政の状況を見まして必要な場合におきましては、これは予算を要しないことでありますから、今年度と同様に殖やし得ると思います。殖やした場合においては預金部の金を使う。余つた金は今度遊ばしておくわけに行きませんから、従つてそれはよその方に使つて行こう、こういうことであるのであります。今の預金部から普通銀行への預託というのは、それはいつの調べになつておりますか。私は昨年末に百億円出しますときに、預金部運用委員会を開いて貰いまして、法定の改正をしたという記憶があるのでありまするが、その点は別の機会に政府委員から答弁をさしてもよろしうございます。
  141. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは大正十四年一月一日のあれですから、相当古いですな。そういう改正された点がありましたら、後で政府委員の方からどういう條項によつておるかお聞きしたいと思うのです。やはり預金部資金を運用する場合には、預金部資金運用審査会にかけて、それで運用するわけですね。
  142. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) さようでございます。
  143. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それから預金部資金の運用について、先程問題になつたのですが、国民金融公庫に対してこれを預託できない。それで政府事務当局もいろいろ折衝したそうですけれども、どうしても許されない。我々から考えますと、どうもその点は合理的でないのです。国民金融公庫はただ政府出資だけでなく、やはり預金部の資金も運用し得るのが当然だと思うのです。これに付いては大蔵大臣も今後一つ努力されるように希望いたします。  この預金部資金が市街地信用組合とか、或いは無盡会社だけでなく国民金融公庫にも運用できるように努力されたいと思うのですが、その点……。
  144. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 御承知の通り国民金融公庫は借入金ができないことになつております。二十四年度当初予算で多分十三億円だつたか政府が出資いたしておる。そのうち十億九千万円かが日銀えの返済になつておる。こういう状況であるのであります。従つて補正予算で五億円出して頂くことにいたしましたし、又二十五年度におきましては十二億円出すことにいたしたのであります。私はその庶民金融金庫の状態のときから、国民金融金庫に変りましてからの貸付の状況、それから回收の状況を見まして、相当回收状況はいいのでございます。それで借入金でやつても何ら差支えないという考えを持つております。できるだけ私は庶民階級の現状から見まして、非常にいい制度だから、借入金の制度を開くように今後努力したいと考えております。
  145. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 次にお伺いしたいのは、昨年末市中銀行に百億預金部資金を預け替されたようですが。それは勿論中小金融とか、金詰り対策、或いは証券市場対策ですね。そういう意味から出されたということを聞いておりますが、あの百億は聞くところによると、市中銀行はあの運用については日銀からの借入金を返済しておるとか、或は又株式の買入についても非常に僅かしかない。そういうので相当批判があると思うのです。日本銀行からの借入金の返済のために、政府が預金部資金を預け替するということに結果としてはなつたのですけれども、これについて大蔵大臣はどういうふうにお考えですか。
  146. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 当初百億円を出します場合におきまして、相当金額を普通の銀行の預金に比例して出したのであります。一部を無盡、信用組合に出すように計画いたしました。然るところあれの預金部の預託が急にあつたものでございますから、銀行へそれだけ預けましても、銀行は今すぐ急に貸付先を決めるわけにもいかないというので、取敢えず日本銀行えの返済金に当てたいということは、事実上認められると思います。当初におきましてその額が幾らであつたかということにつきましては、正確な数字はございませんが、或る程度の金額は行つたと思います。併し銀行はそれによりまして、これは長くて六カ月くらいだと思いますが表面的には一、二ケ月となつたのですが。銀行としては急に貸付先にぽつと出すわけに行きませんから、一時日本銀行に借入金を返した。ということは私は銀行経営として止むを得ないのじやないか、そういうこともあり得ると考えております。併しその後におきまして貸出しに向つて行つたと思います。何と言いましてもこれは長期のあれではないのでございますから、極く短期間というのでやつたのであります。併しその後預金部の状況もいいので、急に回收する必要もございませんので、一般の銀行の貸出状況を見まして、中小企業金融に対してはやはり無盡の方がいいだろう。或いは信用組合の方がいいだろう。こういう考えを持ちまして、あの当初は無盡、信用組合で三億五千万円くらいであつたのでありまするが、その後これを調整いたしまして、この中から十六億五千万円只今のところ無盡、信用組合の方に預金部から行つておることになるのであります。でそういう状況から考えまして、今度の政府の余裕資金を百五十億出します場合におきましても、そういうことのないように、とにかく早く廻るところへ持つてつて沢山出そうという方針に改めましてやつておる次第であるのでございます。
  147. 黒田英雄

    理事黒田英雄君) 木村君、まだ沢山ありますか。
  148. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 あと二つばかり。
  149. 黒田英雄

    理事黒田英雄君) 十五分の約束であつたが板野君があと……。
  150. 板野勝次

    ○板野勝次君 いやいやいいです。
  151. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 どうも黒田君牽制するので……。次に伺いたいのは、私証券取引法を見ておりますと、証券取引法第百二十五條に、これは要するに、株式投機、株式の相場に影響を與えて、そうして投資者に株式相場の前途について誤解を起さして、そうして不慮の損失を與えるということをまあ防ぐ意味でこういう規定が設けられたと思うのですが、例えばこの最後の方に「何人も、單独で又は他人と共同して、証券取引委員会が公益又は投資者保護のため必要且つ適当であると認めて証券取引委員会規則で定めるところに違反して、有価証券の相場を釘付け、固定し、又は安定する目的を以て、有価証券市場に於ける一連の売買取引又はその委託若しくは受託をしてはならない。」こういう規定であるのです。それで私は大蔵大臣は証券市場の安定のためにいろいろな努力をされているようでありますが、大蔵大臣のいろいろな言動がこういう規定に触れる所がないかどうか。例えば昨年十二月に金融界代表に会つて、そうして証券事情について説明して、そうして余裕金があつたら株を買いたい、その証券市場の安定のためにそう言われる趣旨は分るのでありますけれども、その大蔵大臣の言動がやはり「有価証券の相場を釘付け、固定し、又は安定する目的を以て、有価証券市場における一連の売買取引又はその委託若しくは受託をしてはならない。」こういうことにどうも牴触するように思われるのです。それで政府委員の答弁では、これは特定の有価証券の相場云々と言いましたけれども、この條項には何も特定と書いてないのです。有価証券全体の私はあれだと思います。いわゆる株式相場のいろいろな操作に政府関係ある言動をしてはならない、こういう規定だと思うのです。この点については、私は大蔵大臣が私としては非常に不用意にこの証券対策について何か言われたり、発表されたりしておると思うのですが、そういう点について大蔵大臣どうお考えになりますか。
  152. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 私はこの法文の全体から申しまして、私が先だつて十二月の五日でございますか、金融業者並びに証券事務局の方、或いは保険関係の方のお集りを願つて、株式金融対策ということについて話したことは何ら牴触しないと思います。大蔵大臣といたしまして、例えば中小商工金融とか、或いは証券金融の円滑を図るという意味におきまして、株式担保の融通をもつと積極的にすべしというような証券市場の、証券界の好転を図るような措置を取ることは何らそれに違反してないと考えておる次第であります。
  153. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大蔵大臣の意図はよく分るのですが、証券取引法の精神は株式相場は常に弱材料、強材料その他によつて左右されるものであつて、それが大蔵大臣の意思は分るのですけれども、有価証券市場を安定させたいという意思は分るのですけれども、そういうことが例えば強材料に響いたために或る人に不測の損害を與える。又例えば大蔵大臣が証券保有会社を作るというようなことを新聞に出した。ところがあとになつてそれは困難であるということになると、それが非常に影響を與えると思うのです。そういう意味から、私はこういう百二十五條というものを設けたと思うのです。ですから、政府として証券市場を安定させるということはこれは趣旨は分るのですけれども、併しこの場合の規定がこれは大蔵大臣であるとそうでないとを問わないと思うのです。この点はこれに牴触するかしないかは解釈の問題で、或いはデリケートな問題になるかも知れませんが、ややもすると大蔵大臣の新聞に発表されたことも、そういう金融界の人達にこれは株式を買つて呉れ、委託というような形になると思うのです。それはもう総括的にそれが相場にいろいろな影響を與えて、不測の損害を投資者に與えるということになるのじやないか、私はそういう点があるのではないかと思うのですが、その点を大蔵大臣にもう一遍お伺いして置きたいと思うのです。
  154. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 私は今の証券引受会社を設けるとか、設けんとかいうようなことは実は言つたことはないのです。いろいろ疑問がありまして、質問を受けますから、自分として今こういう会社を設けることがいいか悪いかということについては、どちらかと言つたら反対だ。併し情勢によつてはそういうことは考えなければなるまいということを言つているので、余りこの問題について具体的のことを話したことはございませんが、ここの第百二十五條の規定は個々の証券につきまして「一連の売買取引又はその委託若しくは受託」ということが、私はこの前金融業者と話したことに当つているとは考えておりません。私はここに書いてありますのは、個々の有価証券についての問題だと考えております。
  155. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私はこの規定というものは決して個々じやないと思うのです。それはあとでよく政府委員からでもいいですが、現在一番最後の「当該有価証券」、「当該」というのは取引所に上場されているという意味です。上場されている有価証券という意味であつて、「当該」というのは個々の有価証券というそういうものじやない。そうでしたらこの最後の規定意味がないと思う。もう前の規定でいいのであつて、この点はもう少し私は慎重に検討されて、善処されたいと思うのですが、それは折角この投資を育成して行く途上において、仮に政府であろうとそれが株の強弱に響くような言動、そういうものがあつた場合には、やはりこの法律によつてあれがよろしくないというふうにしなければ、私は取締りがつかないのじやないか。大蔵大臣だからこれに牴触していいということは無論ないのでありますが、その点は非常にデリケートであり、断定し難いのでありますけれども、その影響を考えて私は十分この点については考慮を拂われるべきじやないかと思うのです。  それから最後にこの金利政策の点についてちよつとお尋ねして置きたいのですが、政府は低利政策をもつと推進する。銀行の利益や何かも非常にあるし、それは一応努力されておるようですが、実際の金利を見ますと、いろいろ公聴会その他で聴きましても、仮に二銭七厘で貸すとしても例えば預け金勘定があつて、そうしてこの一千万円を一応貸すという形にして置いて、金利は一千万円分拂つて、まあ極端な例はその半分五百万円しか使えないとすれば、これは金利は倍になる。そういうようなことが相当金融界において、今極端な例ですけれども、必ずしも二銭七厘の金利ではない、低金利政策を考える場合に、実質的な金利についても政府はそれが低金利政策に反しないように措置さるべきであると考えるのですが、この点についてはどういうふうなお考えでありますか。
  156. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 御承知の通りに私はできるだけ低金利に持つて行きたいという考えの下に、昨年の夏並びに今年の二月に金利を引下げるように勧誘したのであります。今後におきましてもこの方針は変えて行かないつもりであります。従つて今のお話のように、貸出と同時に一定額を貸出契約に含めまして預金さすということは、これはよくないことである。銀行局長より通牒も出しておりますし、検査のときにおきましてもこういう非違は許さないというふうにやつて行きたいと考えております。
  157. 板野勝次

    ○板野勝次君 少し遅くなりましたので、大蔵大臣に資金計画の改訂の問題についてもお尋ねしたいと思つておりましたが、時間の関係もありますので、ただ証券取引法の一部を改正する問題について二、三の質問だけに止めておきたいと思います。  先程木村委員の質問に答えられて、証券会社資産内容について説明があつたのですけれども、例えば銀行などについては主要な勘定が一般に知らされておるわけです。併し証券業者の内容というものは、一向にこれは知らせようとしていないのじやないかと思うのです。そういう点からして、四大証券会社等の資産内容、これがどのような状態であるかという数字は、政府でも掴まれておる筈と思うのですが、それを公表をして頂きたいと思うのです。
  158. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 大蔵省といたしましては、先程木村委員にお答えいたしましたように、随次報告を取つたり、又適当な機会に検査をいたしております。併しこれを大蔵省として発表するということは如何なものかと考えて、発表する気持を持つておりません。会社はやはり法基律の規定に基きまして、資産、負債の状況は適当なときに発表することになつておりますので、それで結構じやないかと考えております。
  159. 板野勝次

    ○板野勝次君 その点は、銀行等の場合に主要な点が公表されておるのに、何故されないかという点は、どういうわけなんでしようか。
  160. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 銀行の場合におきましても、大蔵省資産内容はこうだということは発表した例は余りないと思います。
  161. 板野勝次

    ○板野勝次君 四大証券会社は大体それでは資産内容は健全なわけですか。そうでないわけですか。
  162. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 大体健全だと私は考えております。
  163. 板野勝次

    ○板野勝次君 それならばお伺いしたいのですが、株価の値下りで、相当四大証券会社を初め沢山の証券会社資産内容は悪くなつていなければならない筈だと思うのです。殊に一般の投資家の大衆が値下りに遭つて大きな損をしておるときに、証券業者に株や金を預けておる者もあると思うのです。これを保護するということは当然必要だと思うのですが、大蔵大臣の見解から行くと、資産内容は健全だから、そういう投資家大衆が証券業者に株や金を預けていとも馬鹿を見ることはない、そういう結論が出るわけでしようか。それとも証券業者に株や金を預けておる者が馬鹿を見て来る。そうすらと保護の必要が生じて来ると思うのですが、若し保護の必要を生ずるとすれば、そういう保護対策というふうなものをどのように考えておるか、その見解を承わりたいと思います。
  164. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 只今状態におきましては、証券会社に株や金を預けて馬鹿を見るというふうなことは私はないと考えております。ただ営業につきましては、我々といたしまして常に監督はいたしておる次第であります。
  165. 板野勝次

    ○板野勝次君 それでは法案の五十二條の中「四月から九月まで及び十月から翌年三月まで」を「十月から翌年九月まで」に改める。というふうになされる根拠はどこにあるのか、一つ率直に答弁して頂きたいと思います。例えば四月から翌年三月までであつてもいい筈だし、常識的にも統一されるとすればそういう統一の方法が考えられるのに、何故十月から九月までというふうにせめれたのか。この点に対して説明して頂きたいと思います。
  166. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 証券会社はその事業の状況に鑑みまして、半年づみでやるよりも一年でやつた方が、利益の計算その他につきまして便利がいいからという考えで改正いたしたのであります。これは何と申しまするか、呉服屋なんかにおきましては、一年計算の分が多いようであります。夏物、冬物の関係がありますので、呉服屋なんかでは、大きい会社は別でございますが、そういうようなものが多いのでありますが、証券などは上り下りのあるものでございますから、やはり一年で見て行つた方が適当であると、こういう考えの下に改正いたしたいと思う次第でございます。
  167. 板野勝次

    ○板野勝次君 今の大蔵大臣の答弁ですが、十月から翌年九月までに改めないでも、例えば四月から、翌月三月までというふうにされたつていいわけだと思うのです。それを株更に十月から翌年九月までにされて来たというのは、当面の株価の暴落その他の状態からして非常に証券業者の内容が悪くなつて来ており、非常に心配の状態にある。そこで十月までに延ばしておいて何とかしよう、こういうふうに我々は疑いの目を以て見ざるを得ないと思う。若し大蔵大臣の言われるように健全な状態にあるのなら、何を苦しんで四月から三月までというふうにせられずに、十月から翌年九月までにされたか、この点です。
  168. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 一年に延ばす方がいいと考えましたので、この三月で決算するのを九月まで延ばしたのであります。今ここであなたは半年でやつた方がいいとお考えになるのでありますが、私は昨年十月からスタートしたものを一年にするのでありますから、今回はやらなくても、九月末でいいという考えで延ばすことにいたしたのであります。
  169. 板野勝次

    ○板野勝次君 次に第百九十五條の二ですが、「この法律規定は、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律昭和二十二年法律第五十四号)の適用を排除し、又は同法に基く公正取引委員会の権限を制限するものと解釈してはならない」というふうにありますが、この「権限を制限するものと解釈してはならない」という点がちよつと分りにくいのですが、
  170. 湯地謹爾郎

    政府委員(湯地謹爾郎君) 私からお答えいたします。この百九十五條の二を作つた趣旨は、現在の証券取引法の中の百九十五條という條文に「この法律施行の際現に効力を有する他の法律規定がこの法律規定に牴触する場合においては、この法律規定が優先する」とあつて、「優先する」という條項があるわけなんですが、又一面私的独占禁止関係法律の中にもこの法律が優先するのだと書いておつて、どちらが優先するのだかはつきりしない点があります関係上、ここにわざわざ百九十五條の二を入れて、私的独占禁止の法律の方が優先するのだと、こういうことにいたしたわけであります。
  171. 黒田英雄

    理事黒田英雄君) 大体これは前に質問が出ておるのですから、どうぞそのおつもりで……。
  172. 板野勝次

    ○板野勝次君 それでも私はこの問題は初めてですから、そうすると、これは独占禁止法が優先するから、この法律によつては、つまり私的独占禁止法が適用されておるし、結局そういう方面の心配はないというふうに解釈していいわけですか。
  173. 湯地謹爾郎

    政府委員(湯地謹爾郎君) この規定をしておりますのは、飽くまでこの法律を一般的に見た場合に、どちらが優先するかという一般の基準をしたわけでありまして、この証券取引法の中で特別的な規定があります場合には、これは一般法と特別規定という意味で、特別的な規定が優先する場合があるのです。併し一般的には独占禁止法の関係法律の方が優先すると、こういう趣旨です。
  174. 板野勝次

    ○板野勝次君 そうしますとですね、事業者団体法は適用されないが、これは併し積極的な規定でないから、結局はもう少し公正取引委員会の権限を制限するものと解釈してはならないというふうな曖昧な規定でなくして、もつと明確な誰にも分るような日本文にもつと直すわけには行かないのですか。
  175. 湯地謹爾郎

    政府委員(湯地謹爾郎君) まあこの規定は先程も申上げました通りに、証券取引法と私的独占禁止関係法律と、お互いにその條項の中に優先するという條文がありまして、一般に見た場合にはどちらが先……、後にできた方が優先するということが言えますが、はつきりしないので、一般的に見た場合に私的独占禁止関係の方の法律が優先すると、いわゆるそれに基いてやる公正取引委員会の解釈というのは、証券取引法の一般規定によつては左右されないと、こういう意味を現わす見地において、こういう……。
  176. 板野勝次

    ○板野勝次君 それですから、もう少しはつきり明確にするわけには……。こういう何か翻訳みたいに受取れるような書き方でなくして、明確に規定したらどんなですか。その点なんです。殊更にこういうふうに曖昧なことでなしに。
  177. 黒田英雄

    理事黒田英雄君) 板野君、大蔵大臣にまだ何か御質問はありませんか。実は政府委員とですね、そういう点はたびたび質問が出来たのです。
  178. 板野勝次

    ○板野勝次君 それでは預金部資金の問題についてもうちよつと聞きたいのですが、これは先程木村委員にも地方債の問題と、地方公共団体の貸付けの問題について答弁があつたと思うのですが、主としてそういうものはどういう事業に、どういう内容のものに地方債が許可され、それから公共団体えの貸付金というものはどういう事業内容に出されようとしておりますか。それをちよつと聞かして頂きたいと思います。
  179. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 従来は災害の復旧、その他について出ておると考えております。主として公共事業的な事業と考えております。
  180. 板野勝次

    ○板野勝次君 今度の場合もそれでは公共事業の内容としては災害復旧ですか。
  181. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 今度は災害復旧につきましては、大体原則としまして全額国庫負担となつておりますから、内容は幾分変つて来ると思うのであります。又少額の金額を……三百億くらいに始め組んでおつたようでありますが、段々殖えて参りましたので、内容も変えて来んならんと思います。併し只今どういう方面の変りかということははつきり記憶いたしておりません。
  182. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この際ですね、大蔵大臣にお伺いして置きたいのですが、証券市場の育成とか、投資者の保護の建前から一つ問題があるのですが、証券取引法四十七條なんです。それはですね、媒介の問題なんです。あれを立てる場合に証券業者がお客さんから仮りに註問があつた、その場合に場において媒介を立てる場合に、お客さんの買いを場に出して、そうして売りがですね、証券業者が自分の売りを立てると、こういうことは四十七條違反だと思うのです。ところが実際においてはこれまでの習慣かどうか知りませんが、行われておるのです。これは証券取引法で健全な証券市場の育成の見地から、四十七條というものを設けてそういうことをさせないようにしていると思うのです。ところが今まで習慣上それをやつているようなんですが、これはやはり四十七條に違反するのであつて、この点については今後それは取締つて行くべきものじやないか、こういうふうに考えられるのですが、この点についての……。
  183. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) これは昔からこういう規定がございまして、例のいわゆる呑み行為の禁止というのでございまして、我々として禁止して行かなきやならんと思います。前は取引税の関係の点からもこうい問題があつたのでありますが、今日はそれはなくなりましたが、やはり証券の取引の実際を荒すという意味におきまして、呑み行為は禁止して行かなきやならん、これはもう励行いたしたいと考えております。
  184. 板野勝次

    ○板野勝次君 もう一つくどいようですが、証券業者の資産内容について健全だと言われたし、一般的に保護政策を取る必要はないような工合に聞き取れたわけであります。一応それを了承したいと思うのですけれども、若し併し将来資産内容が、今不健全であるのに大蔵大臣が健全であると言われたが、そうした場合に、不健全な内容が明らかにされた場合にですね、大蔵大臣は我々に嘘をついたということになるのですが、そういう場合に責任を取られますですか。
  185. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) そういう問題につきましてはお答えできないと思います。個々の企業内容でどうこうあつたときに、責任を取るとか取らんとかいう問題じやないと思います。私は只今のところ今の四大証券と言いますか、中には沢山の何百という会社がございます。業者がございますから、絶対に惡いものが一つもないとは言い得ませんが、四大証券につきましては只今のところ金を貸した人なんか取れんで馬鹿を見るというようなことはないというように考えております。
  186. 板野勝次

    ○板野勝次君 いや全部についてというのでは……。四大証券会社について、私範囲を限定してですね。勿論一々の会社の細かい内容について知らないにしてみても、この四大証券会社が証券業界を支配する程のものですから、この資産内容がいいか惡いかということは財界に取りましても非常に大きな問題ですし、このことを大蔵大臣は知られない筈はないわけなんですから、その非常に資産内容が惡くなつていないという上からいろいろな見解、対策も出て来ると思いますが、併し若し言われておる今日の内容が、我々が想像しておるごとく惡かつたということではですね、いろいろな政府の対策におきましても、当然取られる対策というものは違つて来なきやならない。それ程心配ないというのと、非常に心配な状態にあるという場合とでは大きな狂いがある。それを非常に隠しておいて、そういて後からそれが明らかにされて来たということならば、これは大蔵大臣としても責任はあると思うのでありますが、当然そういつた場合に我々に偽りの答弁をされて、責任を感ぜられないということはないと思います。だから四大証券会社についてだけでいいと思いますが、それに対する答弁を……。
  187. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 只今状態ではそんなことはないと私は考えておるのであります。個々の会社が今後どういうふうな場合なことが起るかも分りません。私はそういうことは起らんことを希望いたしておりまするが、そういうときに前はどうだつたか、こうだつたか……。
  188. 板野勝次

    ○板野勝次君 今日のことであります。将来はどうであつても……。
  189. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 現在は心配ないと考えております。
  190. 黒田英雄

    理事黒田英雄君) それでは大体この法案につきましては御質疑が済みましたことと考えますので、本日はこの程度で散会いたします。明日午後一時から開会いたしますから、どうぞ出席を願います。    午後五時一分散会  出席者は左の通り。    理事            黒田 英雄君            伊藤 保平君    委員            天田 勝正君            森下 政一君            玉屋 喜章君            西川甚五郎君            平沼彌太郎君            木内 四郎君            油井賢太郎君            來馬 琢道君            小宮山常吉君            高橋龍太郎君            板野 勝次君            川上  嘉君            木村禧八郎君            米倉 龍也君   国務大臣    大 蔵 大 臣    通商産業大臣  池田 勇人君   政府委員    大蔵政務次官  水田三喜男君    大蔵事務官    (主税局税制課    長)      原  純夫君    大蔵事務官    (理財局長)  伊原  隆君    大蔵事務官    (理財局経済課    長)      吉田 信邦君    大蔵事務官    (証券取引委員    会事務局長)  湯地謹爾郎君    大蔵事務官    (証券取引委員   会事務局次長)  三井 武夫君   説明員    大蔵事務官    (銀行局特殊金    融課長)    飯田 良一君    国民金融公庫総    裁       櫛田 光男君    公認会計士審査    会会長     河本 文一君