○國務大臣(池田勇人君) 私の気持が十分新聞に現われなか
つたのは誠に遺憾に存ずるのでございますが、今の倒産とか自殺は我々としてはできるだけないように、絶無を期して努力を日夜いたしておるわけであります。それでもあ
つた時にはどうするか、こういう質問でありましたのです。これは止むを得ないんだと、自分としてはなくするように努力しておるんだと、こういうことであるのであります。税金の問題でいつかも何か或る
会社でございましたが、査察員が行
つて、そのために社長が自殺せられたということが
関係筋にも話がありまして、私が向うの当局との会見のときに出まして、それは申訳ないことだ、事情を調べて見ましようと、こういうこともあ
つたのでありますが、まあ税金のためにというようなことがあ
つてはこれはいかないんで、税金とかいろいろなものが一緒にな
つて自殺される事実も自分は新聞で知
つておる。これはなくするように自分としては努力しておるわけで、そういうことがあ
つたらどうするか。それは誠に遺憾であるが仕方がないが、自分としてはないように努めている。いろいろな話のときに金融の問題につきましても、できるだけ早く中小金融機関に流れるように、自分はこうや
つて努力しておるとか或いは税金についきましても幸いに法人税とか或いは酒税、或いは勤労所得税につきましては、この前、自然増收を見込みました以上に増收を見込まれておる。それから問題は申告納税、即ち中小
企業、或いは農業を主体とする申告所得税につきましては国税で二百億
予算より減じまして千七百億円にな
つておりますが、今の
状態では千七百億でもまだ赤字が出る、まだ
相当な赤字が出るような報告にな
つております。国は外の方でも増收が見込まれるのであるから決して無理はするな、全体として
予算が何すればよいんだ、決して無理をするな、赤字が出れば出た
つていいんだということを
言つておりますし、こういう経済情勢の場合だから、とにかく公売処分なんかしないようにというような指示を與えました。あの手この手で実はや
つておるのであります。そういうようなことを話したんで、特に極端なことばかり出まして、外の味のあるところが出なか
つたのは誠に自分も遺憾だと思いますが、私としては倒産者や自殺者が出るのは当り前のことだ、これはしようがないんだ、こういうような気持は毛頭持
つていない。とにかく金詰りの問題につきましては、これは御存じかどうか、日夜私努めておるような状況であるのであります。何とかしてインフレ、或いは統制経済時代から安定への移り変りの関所をみんなが力を合して乗り切ろう、こういう気持でや
つておるわけで、倒産者が出た
つてそういうことは何ともないことだ、そんな気持は毛頭持
つておりません。