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1950-02-10 第7回国会 参議院 大蔵委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年二月十日(金曜日)    午後二時十五分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○農業共済保険特別会計歳入不足  を補てんするための一般会計からす  る繰入金に関する法律案(内閣送  付) ○食糧管理特別会計歳入不足を補て  んするための一般会計からする繰入  金に関する法律案内閣送付) ○失業保険特別会計法の一部を改正す  る法律案内閣送付) ○開拓者資金融通特別会計において貸  付金財源に充てるための一般会計  からする繰入金に関する法律案(内  閣送付) ○金融政策並びに制度に関する調査の  件   —————————————
  2. 黒田英雄

    理事黒田英雄君) これより大蔵委員会を開会いたします。  本日は「農業共済保険特別会計歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律案」「食糧管理特別会計歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律案」「失業保険特別会計法の一部を改正する法律案」「開拓者資金融通特別会計において貸付金財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案」以上四法律案予備審査のために付託されておるものでありますが、この四法律案議題にいたしまして先ず政府から提案理由説明を求めます。
  3. 水田三喜男

    政府委員水田三喜男君) それでは只今議題となりました「農業共済保険特別会計歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律案」外三法律案提出理由説明いたします。  「農業共済保険特別会計歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律案」の御説明申上げます。  農業共済保険特別会計農業勘定におきましては、昭和二十五年度における歳出として、再保険金等四十二億二千六百九十七万三千円を計上いたしてありますが、その歳入としましては、再保険料食糧管理特別会計からの受入金農業災害補償法第十三条の二の規定による一般会計からの受入金等三十三億一千一百七十六万七千円でありまして、差引九億一千五百二十万六千円の歳入不足を生ずるのであります。  この歳入不足額は、昭和二十五年度において異常災害が発生した場合に備えて、十二億五千四百五十四万一千円の予備費歳出に計上したために生じたものでありますので、この不足額については、そのような事態の発生した場合には一般会計からする繰入金をして、これを補てんすることができることにしようとするものであります。  尚この繰入金につきましては、その性質に鑑みまして、将来この会計経理状態が健全となりましたときには、この繰入金相当する金額に達するまで、予算の定めるところにより、一般会計へ繰り戻す規定を設けることといたしたいのであります。  「次に食糧管理特別会計歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律案」を御説明申上げます。  農業災害補償法第十二条の規定によりまして、農業共済組合組合員の支払うべき農作物共済に係る共済掛金の一部をこの会計において負担し、更にこの負担金食糧消費者負担するよう食糧売渡価格に繰り込むことになつておりますが、食糧消費者価格の値上りに伴う家計費に及ぼす影響等を考慮いたしまして、昭和二十二年度から、引続きこの負担金食糧消費者に転嫁させないことができることの臨時的措置を講じて参つたのであります。昭和二十五年度におきましても、別途法的措置を講じ、同様の臨時措置を継続することといたす予定でありますが、これに伴いましてこの会計から農業共済保険特別会計に繰入れまする二十六億九千二百一万一千円を限り、一般会計からこの会計に繰入れることができることとして、この会計に生じまする歳入不足を補てんすることといたしたいと存ずる次第であります。  次に「失業保険特別会計法の一部を改正する法律案」を御説明申上げます。  失業保険特別会計は、昭和二十五年度予算におきまして、毎月日雇労働者を除き失業保険金受給者が常時三十万人あるとの見込を以て、これに対する失業保険金月額十億円を予定しているのでありますが、昭和二十四年度におきまして、当初の予定計上額に対し保険給付が激増いたしました経験に鑑み、予測できない事態の発生に備えて右の歳出に計上した保険金の外更に年間十万人分四十億円を予備費として計上いたすこととしたのであります。しかして、その財源といたしましては、この会計積立金を一部取りくずしまして一時これが財源に充てる途を開くことといたしたいのであります。  次に「開拓者資金融通特別会計において貸付金財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案提出理由を御説明申上げます。  開拓者資金融通法による農地開拓者に対する資金貸付に関する歳入歳出につきましては、開拓者資金融通特別会計を設けて経理いたしておりますが、この貸付金財源は、従来この会計負担発行する公債又は借入金によつて調達して参つたのでありますが、健全財政の見地から妥当でないと思われますので、昭和二十四年度におきましては、第五回国会の議決を経て、一般会計からの繰入金を以てその財源に充てたのであります。昭和二十五年度におきましても、二十四年度と同様の趣旨を以て、営農資金として十億九千五百四十五万円、共同施設資金として九千四百三十五万円、合計十一億八千九百八十万円の貸付計画いたしておりますので、この額を一般会計から繰入れまして、貸付金財源に充てることといたしたいと考える次第であります。尚この繰入金につきましてては、将来、貸付資金がこの会計へ償還されますので、この繰入額に相当する金額に達するまで、予算の定めるところにより一般会計へ繰り戻す規定を設けることといたしたいのであります。  以上の理由によりまして、これらの法律案提出いたしました次第であります。  何とぞ御審議の上速かに御賛成あらんことを希望致します。
  4. 黒田英雄

    理事黒田英雄君) これらの法案につきましての御質疑は他日に廻すことにいたしまして……併し何か資料の御要求があればこの際お願いします。
  5. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 臨時金利調整法第一条第一項に規定する金融機関に対する預金、これはどういうものですか。臨時金利調整法というものは資料がありましたら一つ提出願いたいのです。これは何かパンフレツトか何かあるのじやないですか。
  6. 内田常雄

    政府委員内田常雄君) 政府が最近法律等金融機関という文字を引用いたします場合には、金融機関なる言葉法律上の用語に一般にはなつていないのですが、たまたまこの規定において金融機関とはこれこれのものだということを、網羅的に金融機関種類を挙げて載つているのでございます。そこで単に法律金融機関有権解釈を与えるために、最近の金融財政関係の諸法律には金融機関という場合に、その頭に臨時金利調整法第一の金融機関と、こういうふうなことをとりまして金融機関範囲を限つております。これは珍らしいものでなしに普通の銀行とか農林中金、商工中金、信託会社保険会社、こういうものを網羅的に挙げているに過ぎないのでありまして、今申上げたようなわけであります。
  7. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それだけのことですか、分りました。
  8. 板野勝次

    板野勝次君 開拓者資金融通の今までの貸付先、そういつたような資料を貰いたいのですが。
  9. 黒田英雄

    理事黒田英雄君) それではそれは一つ政府に用意して貰うことにいたします。  では本日は金融政策並びに制度に関する調査に移りまして、経済安定本部内田財政金融局長が見えておりますから、局長から財政金融状況資金計画等について御説明を願うことにいたしたいと思います。
  10. 内田常雄

    政府委員内田常雄君) 本日私共の方に対して明二十五年度における綜合的な資金需給見通し説明せよということで出て参りましたが、明年は申すまでもなくすでに予算案提出せられておりまして、予算均衡予算で、その上に一般会計特別会計から相当債務償還見込まれておることは御承知通りであります。又見返資金におきましても総額千五百八十一億ばかりの予算のうち、五百億ばかりが債務償還に充てられるように予算がなつている。そこで明年度においてはこれらの財政上、或いは見返資金からの債務償還原因として相当金融が引締まるのではなかろうか。これらの債務償還金融機関に向つて返されて来ておる。金融機関がその金を再び産業界に放出するのに相当問題がありはしないかというような面から、来年の金融、なかんずく産業資金は非常に困難を来たしはしないかと、こういう御心配があるのじやないかと察せられるのでありますが、その意味におきまして私共が二十五年度における全体の資金需給に関して、一応の見通しをいろいろいたしておるわけでございます。元来この資金需給見通しは、昭和二十三年度ぐらいまでは見通しという言葉で表わさないで、綜合資金計画というような言葉で以て表わして来ておるものでございますから、従つて今日でも依然二十五年の綜合資金計画はどうかというようなお尋ねを受けるのでありますが、昨年度から金融の面におきましては非常に政策といいますか、運営の基調が変つて参りまして、例えば復興金融金庫のような産業資金計画的に要求する機会は一応現在停止されておる。又資金需給の立て方から申しましても、産業資金がこれだけ要るので、不足の分はこれだけ復金債発行するとか、或いは一般金融の中から政府がいわゆる赤字公債発行して、その公債計画的に金融機関をして保有させる。つまり財政金融の或る分を食つてしまうということを計画的にやつてつた。そこで半面産業資金がどうしても足りなくなる部分は、通貨増発をどの程度やるというようなことで、丁度金融の面におきましても古い財政の原則のように、出ずるを計つて入るを制する式に、これだけの資金需要があるから、これだけ資金の供給をしなければならんということで、復金債発行なり、国債発行なり又それに基く通貨増発なりというもののリミツトを決めて、計画を立てざるを得なかつた。そこで作ります資金需給計画も、その当時におきましては資金の面だけでなしに産業復興政策の面におきましても、資材等流通部面におきましても、御承知のようにやはり計画割当統制等が行われておつた。或る資材を割当てられた以上は、資金の方はどうしともそれに付けてやる、こういうような考え方も行われておつた。又この産業復興にいたしましてもいわゆる長期計画であるとか、又その一部門をなす年度計画のようなものにおきまして、それぞれの部門における生産を復興せしめるためには、企業が順調に調達し得ない資金でも、政府統制力を以て資金を付けてやる。それが赤字融資の形になつても、それでも構わんということで資金を供給するという、こういう建前でありましたことは概ね御承知通りでありますが、昨年以来のドツジ・ラインと申しますか、新経済安定方策の下においては、さような頭からの計画割当統制という方式のみで行き得ない面が非常に多くなりまして、そのためにこの資金需給の面におきましても、計画と言わんよりもむしろデイスインフレ政策範囲内における資金操作に何と申しますか、一つ割当統制ではなしに指導と申しますか、自制と申しますか、政府が何らかの役割を果すけれども、他の半面金融を扱う部面における経済自立性自主性というようなものを十分尊重して参らなければならないことになりますので、そこでこれまで申上げましたようなふうに、本年度及び明年度におきましては計画と言わんよりは、一つ需給見込という形でいろいろ考えておるわけであります。そこで需給見込の根本になりますものは、昨年、一昨年までとは反対に、出ずるを計つて入るを制すのではないのでありまして、丁度その反対考え方に立ちまして財政面或いはこの金融の面、或いは企業自体が自分で資金を調達する場合においてどれだけの資金源泉があるかと、その資金源泉を一杯々々に、どういうふうにそれが廻つて行くかということを想定するわけでありまして、第一に資金源泉を計つて見る。それにその資金源泉資金性質について大体どういうことに資金は向うであろうかということを想定し、尚又想定するばかりでなしに、政府割当統制ではないけれども、指導といいますか、助成といいますか、そういうような気持から今日の経済の実際に合うように、できるだけ或るものは設備資金の方に廻し、又或るものは運転資金がどうにかうまくやるように考えて参るということが前提となります。いろいろな部面に対して想定したものを作つて参る、かようなことになつております。本日これから申上げます数字につきまして資料がお配りできる段階になつておりますと、お聞取り願うのに甚だ便利でありますが、まだ実は資料数字がかたまつておりません。安定本部、大蔵省との話合い、打合せもいたしております。更にこれは毎年の例と言えるのかも知れませんが、年度末を控えて来年度に亘るいろいろな具体的な金融措置政府考えておる。例えば最近新聞等に現われており、又近く国会にも提出されるわけでありますけれども、金融機関債券発行限度の拡張の問題とか、或いはこれに関連して見返資金金融機関の優先株を引受けるという制度を実施に移すように関係方面といろいろ折衝をいたして、又本年度金融関係等余裕金と申しますか、眠つておる金を一時金融機関に廻すように、いわゆる指定預金のような措置をもいろいろ考究いたしているのであります。それで来年度資金関係も変つて来るものでございますから、なかなか決定的なものに至りませんために、今暫く時間をお藉りしないと資料としてお配りできない、こういう事態にありますから、甚だ中途の数字でありまして、これは今後いろいろの考えから数字も変えて行かなければならないわけでありますけれども、一応中間的に申上げて見たいと思います。そこで来年度一体既定予算なり、今日の経済情勢から見ると、どれだけの金が金融に利用できるかということを考えて見ますと、源泉として三つ源泉があるわけであります。一つ金融機関に集つて来る金、いわば預貯金とか、預貯金以外の金融機関自身増資であるとか、或いは金融機関利益留保であるとか、或いは財政関係前払金として、例えば食糧管理特別会計における食糧買入代金の農林中金に対する前渡金のような恰好金融機関に集つて来る金、これが第一の源泉であり、第二には財政関係から、財政の面において国民から購買力吸上げる、それのうち一部が先程触れました債務償還であるとか、或いは債務償還ではないけれど、財政自身一つ金融作用を営むために支出する金、例えば今度できますところの住宅金融公庫に対する政府出資金であるとか、或いは只今水田政府委員から御説明がありました開拓者資金融通特別会計に対する政府出資金であるとか、或いは又国民金融公庫に対する政府出資金であるとか、つまり財政歳出自体金融作用をなす資金、或いは債務償還という恰好歳出が行われ、その金を再び産業経済界に廻さなければデフレになる種類の金、こういうものはデイス・インフレ政策を苟も取る限りは、何らかの形をとつて放出しなければならん金でありますから、これを第二の資金源泉と見るわけであります。第三は、金融機関にも或いは政府財政にも直接関係なしに企業がみずから集める金、最も代表的なものは株式によつて集める金、或いは企業自体企業内部にみずから利益として留保する資金であつて、当然産業資金に向う金、こういう三つ源泉があるわけでありまして、このことを前年度事情、或いは来年度一年の事情を勘案しながら源泉を見付けて参るのでありますが、そこで数字は固まつておりませんけれども、これらの三つ源泉を合せますと、明年度は大体六千億乃至六千三百億くらいの金融となつて、廻すべき資金源泉があるようであります。その中の第一の金融機関に集まる金でありますが、これは私共今中間案では、来年の金融機関に集まる預金を三千四百億円くらいに見ておる。この金融機関預金の外、先程申上げました預金以外に金融機関に集まる、つまり金融機関増資であるとか、利益留保であるとか、食管の前渡金であるとかいう種類のもの、これが五百三十億、合せて三千九百億程度は一応金融機関に集まる、こういう見方をいたしております。ところが金融機関に集まる預金は、本当は使える預金ではなしに、最近金融機関はいろいろの意味におきまして預金が殖えた恰好をとる。そのために期末におきましてはみずから預金を殖す粉飾をいたすために、銀行の本支店間で、お互いに小切手を持ち寄つて見せかけ預金を作るという風潮があるのであります。これは金融機関日本銀行に金を借ります場合に、例の高率適用というものが現在尚ありまして、この高率適用を受けるか受けないかは、或いは金融機関がどれだけの預金を集めておるかということによるものですから、銀行は日銀から高率適用を受けないで金が借りられる部分を多く与えられるという面もあり、その他の関係もありましようが、そういう粉飾預金がある。この粉飾預金が毎年大きくなつて来るのでありまして、従つてこの分を今申しました三千九百億くらいの預金及びその他の資金の中から約三百億くらいは引いて考えにやならん。別途金融機関に集まる金は三千六百億くらいじやなかろうかと、こういうことを言つておるのであります。  尚余談でありますが、二十四年度、本年度におきましては、預金見せかけの上では非常に大きくなつております。昨年の十二月くらいまでにおきましても、三千百億を突破いたしておるようでありまして、この一—三月は預金が実質的には余り殖えないと思いますが、それでも三月は金融機関決算期になりますために、見せかけ預金を合せますと、形の上だけでは預金が伸びることになりまして、概ね私共は二十四年度金融機関において三千六百億を超えると、こう見ております。それに対して来年は預金だけでは、見せかけ預金考えても三千四百億に減るのじやないか……尚只今年度の三千六百億に及ぶ預金には、見せかけ預金が五百億余りあるということで、実質的には二十四年度預金は三千億をちよつと出る程度でありますが、概ね二十五年度も実質的には大体二十四年度と同じくらいの預金が出るだろうと、こういう見積り方をしております。尚二十四年度におきましても金融機関預金以外に、金融機関に集つて来る資金は五百億余りございまして、全体では見せかけ預金を引きました残りは二十四年度の方が、来年度よりも金融機関に集まる金は多いのじやあるまいか。二十五年度の方が金融機関に実質的に集まる金は多少減るのじやなかろうかという気持でおります。これに対しまして、来年と雖も預金は必ずしも減ると考える必要はない。財政債務償還があるけれども、これは政府政策を以て必ず金融機関を通して需要方面に金が出るようになり、又見返資金等も活発に出る。要するに経済界で動く金の量というものは、今年よりも減らないのだ、そうなると預金も二十四年度に比べて甚だ低く見る必要はないのだというような考え方等いろいろございますが、結局は去年よりも少しやはり実質的に預金は減るのではないかと我々見ております。  その次に、第二点の政府財政関係から集まる金でありますが、債務償還は先程も申しましたように見返資金で五百億、一般会計特別会計で七百八十六億ばかりあるのでありますが、見返資金五百億は正に金融機関に入りますので、一般会計及び見返資金関係以外の特別会計債務償還の中には、例えば自作農創設特別会計における農地証券を地主に現金で償還する部分とか、或いは同じ国債を還えすのであつても、個人が持つておる小口国債買上げというようなものも、本年に引続いて来年もいたすことになつており、或いは又同じようなもので政府保有物資特別会計などが、物資交付公債買上げた、その公債買上げを受けた人間に対して現金で還えそう、そういうような部分もありますので、それらの直接個人に金が入つて金融機関に入つて来ないもの、言い換えると金融資金にならない部分国債償還費を引きますと、予算面一般会計特別会計における国債償還七百八十六億よりも百二、三十億は少くなりまして、約六百六十億ぐらいになる計算になりまして、従つて財政債務償還全体のうちで、金融機関に還えるものは見返資金の分まで合せまして、千百六十億という数字が先ず第一に出て参ります。これは必ず金融界産業界に廻わすのだと考えて、第二の財政から出る資金源泉の一部に加わるわけです。その外に先程述べました政府財政から金融のために出て参る金、住宅公庫に対する出資とか、開拓者資金融通特別会計に対する出資という種類の八十億ばかりであります。これも産業金融として財政から出て参ります。その外に見返資金なる財政特別会計は、これは財政資金であつて、この財政資金から債務償還を引いた残りが百八十一億あるわけでありまして、後で申上げますが、この百八十一億は実は来年度全部使う考えはないのでありまして、一部は再来年に繰越すか分りませんので、予算として再来年に繰越すか繰越さないかは別といたしまして、苟くも見返資金が……それだけの金を国民経済から吸い上げる以上は、予算として使い残した分を何らかの形で、例えば日本銀行信用供与の増加というような恰好で民間に金が出ないと、デフレになる勘定でありますから、債務償還を除いた見返資金に代わる金全部はやはり財政から生ずる金融資金として一応計上して参るのであります。但し、この今の見返資金及び債務償還は一応そのように申上げましたが、ところがこの見返資金の中には二十四年度から二十五年度に繰越して来る金が実はあるわけでありまして、例えば債務償還の先程申しました一般会償及び特別会計における六百六十億ばかりの数字の中には、御承知のように二十三年度剰余金二百六十億が二十五年度預金として繰入れられて、その部分を二十五年度において債務償還をする。債務償還は成る程二十五年度であるけれども、この金はすでに国庫の中に溜つてつた金で、インフレ、ヂフレの勝負はついた金ですから、さようなものは後で財政資金源泉から引き落して行かなければならん。そういうようなことで今の二百六、七十億円は引き去る。又見返資金の中にも、現在見返資金は二十四年度においてもいろいろ貸付計画を持つてつておりますが、本年度から二十五年度に持越される金が二百三十八億ばかりあることになつておりますが、これは二十五年度の見返資金特別会計予算にも、二十四年度からの繰越しとして載つておるところでございますが、これも今の債務償還と同じように見返資金がそれだけ二十四年度に出なかつたことは、いいか悪いかは別問題といたしまして、その金は出なかつたにしても、インフレデフレ勝負は二十四年度においてついている金でありますから、二十五年度には影響のない財源としてさようなものは引いて参る。こういうことを財政資金については調整をいたすわけであります。それから第三番目の増資、或いは企業内部留保関係でありますが、これは今年と対照して如何に考えて参るべきか、いろいろ未解決な点がございましてなかなか数字を入れにくいのでありますが、仮にこういう計算をいたしております。昭和二十四年度において株式増資払込などの金額が、昨年の四月から十二月までの間、つまり二十四年度の第一四半期から第三四半期までの九ヶ月の間に、この増資払込の実績が七百九十一億円になつておるのであります。株式は昨年の十一月くらいまでは割合に払込が旺盛であつた。その代りこれが原因として今日の株価のいろいろな困難な問題を生じておるのでありまして、十二月くらいからは又増資払込もいろいろの方法を以て先に繰延べるようにして、株式の供給過剰ということを抑えておるわけでありますが、昨年の十一月くらいまでは非常に払込が多かつたために、今申しますように十二月の減つた数字を入れましても、六百九十一億くらいになつておる。それで一月、二月、三月はこれは一月の数字はもう出ておるわけでありますが、まだ集計は出来ませんが、これはぐつと株式払込が減つておるわけでありまして、私共の見込では一月が三十億、二月が三十五億、三月がやはり三十五億くらいで、第四四半期は全体で百億くらいである。かように見ております。仮にこの推算の見込を入れますと、二十四年度中は七百九十一億円ばかりの株式払込があつたことになるわけであります。各月別について申上げませんが、それを割つて見ますと、昨年の第一四半期には二百二億、それから第二四半期には二百十億、それから第三四半期は十一月が多かつたために二百七十八億、これに対して第四四半期見込が百億、合計して七百九十億ぐらいである。それで来年の株式払込はどうなるかということは、今後の株式対策に関連することでありますが、一応我々として数字をはじく際に、昨年の最盛期をそのまま二十五年一杯に延ばすようなことは無論できませんし、さればと言つて今年の一月—三月の月三十億見当の払込、二十五年度一杯かような低調であるとも思えない。この間いろいろな政策を打つて参りますために、仮に昨年の下半期、十月から十二月までの実績と、一月から三月までの非常に低い予想、これを合せたものを二倍くらいにして考えますと、来年の株式払込は七百億程度に相成るわけでありまして、この七百億程度を一応頭に置き、その中金融機関株式払込部分が或る程度ございます。保険会社とか、或いは一般銀行等に対しましても株式の保有を勧奨いたしております関係上、百億やそこらのものは金融関係預金株式払込を引受けるという分がありますから、それを引去らなければならん。金融機関預金関係は、第一の範疇として、すでに資金源泉に見ておりますために、一般国民個人からの払込ではない、個人預金金融機関を通じて払込まれるという関係から、金融機関を引き去つて見て行く。そうすると六百五、六十億ぐらい、今後の株式に対する政策等も或る程度うまく見ると、六百五、六十億程度株式払込をなし得られる。かように見るわけであります。その次に社債の問題がありますが、一般的に申しますと、今日社債を買うのは大部分金融機関でありまして、企業の方から見ますと、企業の直接資金を集める手段になりますけれども、社債を買うのは、実際は金融機関であります。で、本昭和二十四年度におきましては、社債が昨年の七月から急激に伸びております。昨年の春四月、五月、六月ぐらいにおきましては、社債の発行は毎月二、三億程度でありましたが、銀行が例のマーケツト・オペレーシヨンを始めるようになりましてから、毎月十五億から二十億、更に三十億から四十億というふうに、毎月尻上りに伸びまして、本年の一月ごときは社債の発行高が五十七億円というような大きな数字を示して来ております。そこで昨年の春の非常に少い部分を加えましても、本年三月まで、この一月乃至三月は見込でありますが、この社債の方の見込株式と違いまして、大体社債の引受け先の目途をつけて置いて、そうして社債を発行するということになつておりますから、もう三月までに社債がどれだけ出るかということは、すでに各銀行に皆入つておりますから、分るわけでありますが、三月までの予定数字を入れますと、二百八十三億ぐらいに、社債はなるわけであります。社債は、非常に昨年の下半期からよくなつたわけでありますが、株式に比べますと、株式が七百九十一億もあるのに対して、社債は二百八十三億というような形で、遙かに株式よりも社債の発行払込の方が実際は少かつた。而もこの社債の発行高の中、概ね八割見当は金融機関が持つ。あとの二割ぐらいを金融機関以外の一般金融家が直接投資をするというような恰好が、過去の統計の上に現われている。そこで社債は、来年は今年度の実績二百八十三億どころではなしに、これは最近の状況をそのまま延長したような恰好で社債は出ると思われます。又その方針で努力をいたしており、殊に債務償還等の関係で、日本銀行のマーケツト・オペレーシヨンがまだ続きます。又日本銀行のマーケツト・オペレーシヨンの範囲内におきまして、各金融機関の持つている公債も直接政府から償還を受けるまで、金融機関はそれらの資金は恐らくは社債に向けるものが多かろうと思いますので、社債は来年は相当出る。私共の只今の見当でも、五百億程度の社債は出ると考えておりますが、その大部分、八割、九割というものは、金融機関が持ちますために、この資金計画といいますか、資金需給見込を作ります際は、結局金融機関に集まる預金で持たれる。或いは財政償還金が金融機関に限つて持たれるということのために、株式と並んで、直接投資としては殆んど株式は見ない。こういう形になります。その他に企業が直接内部留保する分等を或る程度見込みますと、先程冒頭に申しましたように、六千百億乃至六千三百億ぐらいの資金供給源泉というものは出て来る。これは数字は作つたわけではありませんが、二十四年度の方の実績は一々申上げませんが、大体二十四年度と同じくらいの資金供給源というものは出て来るような研究の結果に相成ります。それが今度は、如何なる形で産業面に出て行くかというところに、多くの問題があるわけです。先ずこの六千二、三百億ぐらいの金の中、初めから出て行く分があります。それは例えばこの政府財政から住宅金融公庫とか、開拓者資金融通関係というものに出る金、それはそれぞれその目的のために出されるというように初めから決つた金もある。それから又地方公共団体が二十五年度におきましても、地方債を三百億余り発行する。又何がしかの借入金もするというようなことで、地方公共団体の起債分に食われる分もあります。又見返資金から出される資金の中には、直接産業資金に廻らないで鉄道、通信、或いは国有林野事業、或いは又公共事業等にも二十五年度は若干廻される計画になつておりまして、それらのものは広義の産業資金ではありましようが、直接私企業に供給される資金ではないために、これらの紐の付いたものを落しますと、大体五千四、五百億は一般産業資金に廻る勘定になるわけであります。この五千四、五百億がどういうふうの資金に廻るか。大きく分けて設備資金に廻る分と、運転資金に廻る分、これが一番重要な見方になるのでありますが、果して来年設備資金が今年と比べて多きを期待されるか、或いは今年よりも一層むずかしい状態になるか。そういうことを見るわけでありますが、これを見ます際に、先程資金源泉についていろいろ申延べましたように、この資金にはそれぞれの源泉から来る性質があるものでありますから、その性質従つてこういう資金設備資金になり得る資金である、こういう資金運転資金にしかならない資金であるというふうに分けて参りますと、これもいろいろの見方の相違で多くもなり、少くもなるのでありますが、結論としては大蔵大臣もすでに言われておりますように、少くとも千六百億円程度設備資金として確保し得るということが、この資金性質から出て参ります。二十四年度におきましては、設備資金が非常に足りなかつた。殊に復金等が貸出を停止いたしました最初の年でありまして、その代りに日本銀行がマーケツト・オペレーシヨンをやつたり、又見返資金が動き始めたわけでありますが、なかなかこれも十分の期待ができなかつたというような恰好で、この三月までの見込をとりましても、千百億乃至千二百億ぐらいが二十四年度設備資金の総額になるだろうと思いますが、それに対しまして、二十五年度は千六百億程度設備資金資金性質から見ると出て参る。ただここでお断りして置きますのは、千六百億程度のものは資金性質から出て参るわけでありまして、従つてこの資金性質を本来の性質従つて設備資金に廻すような努力なり、具体的な金融措置ということはこれからの問題でありまして、資金の総合需給見込、或いは需給計画としては当然そうなるかどうかは別問題でありまして、資金性質から見ても、それだけの設備資金は当然行つてもいい筈だという、この研究の結果に基きまして実際に動く資金を、そういうように具体的な政策として繰り込んで行く、こういう形になるわけであります。この資金性質と申しますと、例えば資金供給源の中には見返資金が千何百億か見込んである、見返資金の中四百億円は私企業に出すということで、予算も組んであるわけでありますから、見返資金に組まれておる四百億は、これは設備資金として当然持つて行くべきものである。その半面予算には幾ら組んであつても、その見返資金から四百億が設備資金に本当に出るように具体的な措置なり、努力なりは無論必要でありますけれども、見返資金から設備資金に四百億円くらい出る。併し先程申しました株式等につきましては、株式はその性質上当然設備資金に廻る分が或る程度ある。或る程度と申しますと、具体的に過去の経験によりまして、株式企業が取つた金の中、半分は設備資金に廻る、半分は運転資金に廻されておるというような統計がありますがために、株式明年度仮に、先程申しましたように六百五、六十億の投資があつたとすれば、その半分は設備資金に廻るというような計算をいたします。社債についても同じわけでありまして、社債が五百億出るといたしますと、その五百億の中、社債は株式と違いまして、その大部分八割くらいは設備資金に行く。後の二割位は運転資金に行くという形が過去の統計から現われておりますために、社債からは五百億出るとする。社債から設備資金に廻るものが五百億円あるとすれば、問題は金融機関に集つた預金が、金融機関が社債を引受けますれば、社債として行くものは問題なしに、その社債を引受けた半分は設備資金に行く。社債以外に幾ら金融機関の貸出の中で設備資金に廻るかということが一番大きな要素として残るわけであります。具体的な政策に入るのでありますが、明年度は、先程もちよつと触れましたように、この金融機関、原則として全金融機関ですが、社債とか、債券を発行し得るのは限られた銀行になるのでありますが、興銀、勧銀、北海道拓殖銀行、商工中金、農林中金及びその他の全銀行は自己資本と積立金の合計額の二十倍から、預金の現在額、債券発行現在額を、引いた残高は皆債券を出せるという仕組が、今度法律上採られることになるわけで、その興銀とか勧銀とか農林中金というものは確実に社債も、債券も発行される。そうなると債券の発行によつて取得した資金は、恐らくこの債券は今月の興業銀行の例に徹しましても、一般社債の例に徹しましても三年なり、五年なりという長期のものでありましようから、それらの中或る程度は二十四年度とは違つて設備資金に向けられる。こういう方針が、こういう措置が二十五年度は採られることになつて来ておりますために、二十五年度におきましては、金融機関に集る金の中、二十四年度よりも可なり多い部分設備資金に廻されるというようなことを見込みまして、株式は若干悪い、併し社債は今年よりも二十五年度の方が遙かに伸びる。又銀行の貸出も今申す債券発行措置が採られるために、相当設備資金に余計廻るというような観点から、今年は大体千六百億くらいは設備資金に出て参るというような数字が出て来ることに相成ります。その半面、先程も触れましたように、産業資金の総額としては、二十四年度と同じだとすれば、運転資金の方は設備資金が余計になりましただけ減る勘定になるわけでありまして、二十四年度運転資金の、これは三月までの見込は四千三百億とか、四百億とかいう恰好のものがこの金融機関の貸出実績その他から見ますと、さような数字が出て来るのでありますが、明年度におきましてはこの数字をいろいろ差引きいたして見ますると、運転資金の方は二十四年度よりも可なり減る数字が出て参る。これは平面的な数字でありまして、銀行預金とか、貸出というものが動いている間にいろいろ踊りますから、実際後で実績を統計で見ますと、結局見通しよりも恐らく変つた姿になるでしようが、一応平面的な計算をやつて参ると、昨年よりも四百億か五百億は運転資金の方は減るような数字が出て参つております。こういうことが資金の面だけからはいろいろ数字が出て来るのでありますが、これを今度安定本部として実際資金需要面、来年の経済が支障なく運営され、又すでに述べられておるように、生産が一九%なり二〇%なり上がる、上げるということの場合にどれだけの資金が要るか、各企業別に要るかということもこれ又集計するのはなかなか困難でありますが、一応見当を付けて見ますと、設備資金の面において来年二〇%の生産を上げるのに、大体千六、七百見は要るという数字が出て参ります。詳しい内訳はここに持つておりませんが、例えば繭がどのくらい要るか、電気がどのくらい要るか、船舶がどのくらい要るかというようなものがまあ出て参りまして、そういう面から見ましたものと、金の方の性質別に設備資金になるものと大体合う。運転資金につきましては減る数字が出ることは、今申しましたところでありますが、この需要の方から見ましても、明年度は貿易方式の民営への変更、或いは貿易量の増大ということのために、昨年要らなかつた何百億かの金か要る。或いは公団の廃止とか、企業の縮小等に伴つて公団自身として民間運転資金として、新らしく需要されて参る面と、或いは価格調整費が外され、乃至は縮減されるために、それだけ原材料等が値上りする。そのために一時繋ぎの増加運転資金が要るというような新らしい面がありますけれども、昨年度までありましたような一般的な物価の値上りのため、それに伴う増加運転資金というものは二十五年度におきましては、只今申した価格差補給金等の撤廃に伴う分を除いては、殆んど要らないというような面もありまして、株式金融とか或いは滞貨金融とか、或る場合には納税金融とかいうものを計算いたして想定いたし見ましても、大体運転資金の方は三千七百億もあれば、これはまあ紙の上だけのことでありますけれども、やれる筈だというような数字が、資金需要面から出て参つております。  大変お分りにくいことを申上げましたが、いずれ私共も大蔵省とも最後的に数字の突合せをいたし、又現にひつかかつておりますところの具体的な金融措置等が一応結着したところで、資料を作りましてお配りいたした上で、その資料に基きまして又御説明申上げたいと思います。
  11. 黒田英雄

    理事黒田英雄君) 何かお尋ねがありますか、別に御発言もないようでありますから、本日はこの程度で散会してよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 黒田英雄

    理事黒田英雄君) それでは本日はこれにて散会いたします。    午後三時十五分散会  出席者は左の通り。    理事            黒田 英雄君            伊藤 保平君            九鬼紋十郎君    委員            森下 政一君            玉屋 喜章君            西川甚五郎君            小宮山常吉君            高橋龍太郎君            板野 勝次君            川上  嘉君            木村禧八郎君            米倉 龍也君   政府委員    大蔵政務次官  水田三喜男君    経済安定事務官    (財政金融局    長)      内田 常雄君