○
政府委員(
平田敬一郎君) 先般
税制改正に関する
要綱につきまして閣議の決定を経まして、
予算その他それでこの
要綱に基きまして編成して
国会に提案しておる次第でございます。又
税制改正の
法律案につきましては、
目下最後の仕上げをいたしておるところでありまして、近く
国会に提出する見込みでございます。なるべく
国税、
地方税を通じまして一括して提案する
考えでございまするが、ただ相当
尨大なものに亘
つておりまするので一部
所得税、
法人税と、
国税の
主要税を先にいたしまして、残余の分は若干遅れて提案することになろうと
考えておりまするので、その点本日御参考迄に申上げて置く次第であります。
税制改正につきましては、すでに
シヤウプ勧告が出ましてから相当経
つておりまするので、改めて一般的なことを
皆様方に御
説明する必要もなかろうかと思います。いずれ
法律案を提案いたします際におきまして、重ねて詳細な御
説明をいたすことになると思いまするが、本日は取敢ず
要綱に基きまして大要の御
説明をし、尚御疑問の点と御質疑にお答えいたしたいと思う次第であります。
改正の
方針、その他の点につきましては、もはやたびたび申上げておりまするので、本日はこれを省略をして頂きまして、今回提案することに相成りました
改正案は、
シヤウプ勧告に対しまして、ある
程度の
調整を加えておるのでございます。ただ基本的なこの
方針及び大体の
方向という点につきましては、極力
シヤウプ勧告に則るという
方針でいたしておるのでございますが、私共
一つは二十五
年度予算の
状況等に照しまして、でき得る限り更に一層の
負担の
軽減を図るということにつきまして
修正を加えております。
それからもう一点は
シヤウプ勧告に、いろいろこの技術的な
勧告が行われておりまするが、それにつきましては更に仔細に検討いたしました上、余りにも手数の
煩雑化を来たすとか、或いは実施がなかなかうまく行かんだろうとい
つたようなものにつきましては若干これを端し折
つておる
部分もあるのでございます。そういう諸点につきまして極力
調整を加えまして、できる限り現在の
日本の実情に即応するような
法律案として提案することで、目下進めておる次第でございます。
先ず
所得税でございますが、お手許にお配りしてございまする
税制改正に関する
基本要綱という書類がございますが、これに則りまして各
税ごとに若干御
説明申上げたいと思いますが、先ず
所得税でございます。
所得税は一番この
負担の
影響のある大きな問題は、
基礎控除と
扶養控除と
勤労控除、並びにこの
税率をいかように定めるかという点が最も基本的な点でございまするが、この点につきましてはすでに御
承知のように、
基礎控除が今一万五千円に
なつておりまするのを、二万五千円に
引上げることに
なつております。
シヤウプ勧告は二万四千円に
なつておるのでございまするが、千円だけ
引上げることにな
つたのであります。
扶養控除は現在
税額で千八百円の
控除でございますが、これは今回は
所得で一万二千円の
控除になります。この点は
勧告と同様でございます。実は
扶養控除の
税額千八百円
控除を一万二千円
控除に改めるというと、簡単な
改正のようでございまするが、
負担関係に
相当変動を生ずるわけでございまして、例えば一番上の
部分の
所得に適用になるところの
税率が、まあ仮に四〇%だといたしますると、
所得税を
控除するということになるますと、一万二千円の四〇%、即ち四千八百円に相当する
税額を
控除することになるのでございます。従いまして現在千八百円の
税額控除が四千八百円になりますると、相当、二倍半以上の
控除になるわけでありましてこの点
扶養控除の
改正は、
中堅層の
所得税には相当な
影響があるのでございまして、そういう点から
考えましても
扶養控除は今回といたしましては、
勧告案ぐらいの
程度でよいのではないかという
考え方で、
控除の
金額は動かしておりません。一万二千円でございます。
それから
勤労控除は
シヤプ勧告では、主として
中小の
事業所得との
バランスを図るという
意味におきまして、従来二割五分の
控除でありましたのを、一挙に一割まで圧縮するという
改正でございます。これも実は簡単な
改正のようでございますが、小
所得者におきましては、相当重大な
負担の
変更を来たすのでございます。今まで
勤労所得者と
農業所得者、或いは
中小の、就
中小の
商工業者との間におきましては、
所得税の税法における
負担の
開きは相当著しいものがあ
つたのでございますが、今回はそれを
シヤウプ勧告によりますと、
勤労控除は一割に圧縮することによ
つて、その
開きが相当大幅に縮ま
つて来ることにな
つたのでございます。でありまするが実際問題としまして、私共将来の
方向としまして確かに
一つの
考え方だと思いますが、現状におきましては、一挙にいたしますことは如何であろうかというふうに
考えまして、
勤労控除については一五%の
控除を設けることにいたしたのであります。これを一五%
控除に改めることによりまして、約百億円
程度の
減税に
なつておるのであります。簡単なようでございますが相当な
修正でございます。この
改正によりまして
シヤウプ案によりますと、後の表で御覧になれば分りますように、
独身者の
勤労所得の場合は、
所得税はほんの僅かの
減税にしか過ぎなか
つたのでございますが、今回の
改正案によりますと大体一割乃至二割
程度の
減税になるようでございます。勿論家族の多い人は四割、五割も
軽減になる人が相当ございます。尤も
シヤウプ勧告におきましても、
改正の少なか
つたところの
独身者の
勤労所得税の場合も若干の
減税になるわけでございます。さような点に
修正が加えられてあるのであります。
それから次は
税率でございますが、
税率につきましては、いろいろ検討いたしたのでございますが、大体やはり
所得税の
最高税率は或る
程度低くして置きまして、その反面
資産所得には
重課は止めて、
富裕税を
高額資産者に
課税する。この
システムは実は
シヤウプ勧告の
一つの重要な特色でありますので、その体系はそのまま採用することにいたしたのであります。従いまして
所得税の
税率におきましては、百分の五十五は如何にも低いようでございますが、ただ今回は新らしく
市町村民税に、
所得税割というものを認めまして、
最高所得税額の場合は、二〇%の
住民税を賦課し得るということになりますので、五十五の二割を超えますと百分の六十六という
税率に相成るわけでございます。さような点から
考え、更に高額の
所得者の場合におきましては、
富裕税が申上げますように百分の三
課税になるわけでございまして、従いまして二割を一割といたしますと、百分の三という
富裕税は
所得税に対して、百分の三十の
課税になるのであります。従いまして
地方税を加えて
考えますと、やはりこの
資産所得、
高額所得者の場合は約九〇%という相当
高率な
負担に相成るのでございます。これは
所得税の
システムの上におきまして
一つの重大なる
改正案でございまして、この
考え方は前々から申上げておりますように、
所得税といたしましては余りにも
高率な
課税をするとどうも
勤労意欲並びに
企業の
活動意欲を阻害する、今
一つは
所得税の
課税が適正に実際問題として行きにくいというような点を
考えて、
所得税としましては
税率を低くして、できるだけ
適正化を
図つて置いて、その
代り一旦
財産が蓄積されまして、相当な
資産家に
なつた場合は、その
資産から生れた
所得に対しては相当
高率の
課税をするという
趣旨にできておりまして、経済上の
関係、それから
累進課税、この
方法で
調整するというのが一番よいのだという
シヤウプ勧告の重大な
一つのポイントをなすという
一つの
考え方のようでありまして、その点はそのまま採用いたしたのでございます。ただ如何にも
シヤウプ勧告によりますと、三十万円を超えて百分の五十五に
なつておりますが、三十万円というのは少しどうも低過ぎやしないかというわけでありまして、五十万円のところに
最高度を持
つて行くことにいたしたのでございます。ただ
税率全体といたしましては、殆んど
累進課税としてはいろいろ問題があろうかと思いますが、総体の
租税収入四千四百六十億確保するという前提の上に立
つてその他の税につきましても相当な整理を行
なつた後でございますので、その
程度の
税率は本
年度としてはいたし方なかろう、かように
考えておりますわけでございます。
次に
所得税制度につきましていろいろな
改正を加えております。これはできる限り
シヤウプ勧告に則してや
つているのでございまして、例えば
扶養親族の
範囲等につきましても、今までは
未成年者、妻、
配偶者、及び
老年者で
現実に同居している者に限
つたわけでありまするが、今回はやはり
未成年者でなくても、
親族で
現実に
扶養をしている場合につきましては、その
扶養は
控除することにいたしたいのであります。
学生等も当然引くことに相成るかと思います。
それから
所得の
合算につきましても御
承知の
通りこの
シヤウプ勧告案の
趣旨によりまして、
配偶者と
未成年の
子供の
勤労所得は
合算いたしません。小さい
お子さんが働いているような場合には
合算しません。
奥さんの
勤労所得も
合算いたさないのであります。併し
配偶者と
未成年の
子供の
資産所得、
株式の
配当とか、或いは
不動産の貸付け、地代、家賃とかい
つた収入、そういう
収入所得は、これは
合算して
課税する建前に
なつております。その他のものは
原則として
合算いたしません。ただ
扶養親族に
所得ある場合におきましては、その
扶養親族につきましては
扶養控除を認めるわけでございますから。これはやはり
合算して
課税をする。従いまして、
扶養親族として
控除の申請をした人が
所得のある場合におきましては、その
所得は
合算して
課税をするということになるのであります。大体そういうような
方向によりまして、
所得合算の問題を解決することにいたしております。
それから
不具者等につきましては、特別な
控除をいたしまして、これはそれぞれ
扶養親族は、或いは
基礎控除等を行いました外に、
不具者につきましては特別に更に一万二千円の
控除を認めるというふうに相成
つたのであります。
それから
医療費、雑費、
雑損、
雑損と申しますものは、これは例えば火災で
損失を受けたとか、災害でやられたとか、こうい
つた場合の
損失、こういうものにつきましては、やはり相当まとま
つた被害があ
つた場合におきましては、
損失があ
つた場合におきましては
控除をするということになりまして、
所得の一割を認めまして、こういう
被害があ
つた場合にはそれを
控除することになります。ただ
医療費につきましては十万円、
最高十万円を押えております。
それから
譲渡所得の
計算方法につきましても、これは
シヤウプ勧告に基いて相当
合理化を
図つているのでございます。再
評価の場合にも御
説明いたしたと思いまするが、大体再
評価を全面的にやるわけでございますが、今までの
インフレによる
増加資産と認められる分につきましては、つまり再
評価額のところまでは六%の
課税にいたしまして、再
評価額を超えまして、更に
売買、高く売れた場合、その場合において
譲渡所得税を
課税する。その
代りその分につきましては、
全額総合して
課税することに
なつております。現在は二分の一、これを総合して
課税をしているのでございますが、
全額を総合して
課税することに相成
つたのでございます。それと今回は
譲渡所得を売
つたときだけに
課税するわけですが、売らないで
譲渡資産を持ち続けておりますと、結局従来
譲渡所得だけは
課税が全然行われないという
関係がありますので、
財産を
相続によ
つて相続した場合、この場合の
譲渡所得を
課税することにいたしております。その際にやはり
財産税を
課税いたします場合、
財産を
評価いたしたわけでありますが、その
財産税の
評価額がその人が
所得した
財産額よりも高い場合におきましては、その差額は
譲渡所得と見なしませんで
所得税を
課税する。その
所得税を
控除した残額に対しまして
所得税がかか
つて来るということに相成ります。その辺は
所得税の
システムの上におきましては相当の
改正であります。一面
株式等につきましては
法人につきましての規定に準じて、二重
課税の
防止の措置を
考えております。
一体株式が値上りして、相当
利益を得ておるという面につきましては、今売れば
課税しておるわけでありますけれども、売らないで、ずつと引続き所持して、
相続すれば
相続税だけの
負担になりますが、
所得税としましては、やはり
相続税で一応けりをつけまして、
課税をする、こういうことになるのでございます。この辺も
制度の上におきましては相当な
改正でございます。これも
シヤウプ勧告に従
つたわけであります。ただ若干再
評価損、再
評価に伴う
損失の
計算につきましては特例を設けております。
利益を見る場合は飽くまでもやはり
ノミナル利得と申しますか、これは排除するような
方法をとるのでございますが、その
損失計算で再
評価額を基にして
計算いたしますると、如何にも今までの
債権者、
預金者等が
インフレによ
つて損しておりまするが、そういうものとの
バランスを余りに失すると
考えられまするので、損を
計算する場合は飽くまでも実際の
所得価額並に或いは
財産税の
評価額、いずれかによりまして
損失を
計算することにいたしております。その他若干細かい点がありまするが、大体そういうふうに決めてあるわけでございます。
次に
変動所得の
課税、これは
シヤウプ勧告の案の
方法をと
つておりますが、これは具体的には普通の
所得に対しまして、
変動所得が二割五分以上ある場合には
特別課税を認めることにいたしております。普通の
所得に対しまして僅かの場合におきましては、
負担に相当大きな
開きがございませんし、却てこんな面倒なことをやる必要はなかろうと
考えております。例えば
普通所得が五十万円ありまして、ちよつと
譲渡所得が五万円だけ発生した。そういう場合におきまして、五万円分だけ五年間
平均課税をするというところまで必要はなかろうという
方法でございます。それから
金額が二十万円以下という小額の場合の
変動所得、これを一々やはり
変動所得として五年間
平均課税をいたしますと大分面倒になりますから、その場合におきましては一年限りの五分の一にいたしまして、それに対して出て来た
数額を五倍にする、
あとの
年度には持越さないという簡単な
課税を選択的に附随さしております。いずれにいたしましても、
変動所得の
平均課税は
納税者において選択して申し出た場合に限ると
なつております。それがなか
つた場合におきましては、普通の
所得税として総合
課税するということに
なつておるのであります。
損失の通算につきましては、大分徹底してや
つております。全部通算する
考えであります。ただ
賭博の
損失だけは……
賭博で
利益を挙げますると一々
所得税として
課税しますが、この
損失まで見るのは行き過ぎだろう、競馬と
賭博の
損失は見ないことになります。その他の
損失は一切、株で損した場合にも、或いは
不動産売買で
損失した場合にも、営業上の
損失でも一切通算する、こういうことにいたしております。商売で損した場合、その場合にはその人がどこかの会社の重役をして
月給があるという場合には、その
月給からも差引くということに
改正になるわけでございます。
それから
繰越、繰戻しですが、これは繰戻しの方は一年間だけ繰戻すという
考えであります。
繰越は
個人の方は三年間
繰越す、これは
シヤウプ勧告によりまして、この
計算の適正を期さなければならんので、
青色申告書を提出した者に限ります。前に遡
つて計算して
繰越して引きます場合におきましては、
あとで
青色申告書を提出した者に限るということに
なつております。
それから
配当所得につきましては、
シヤウプ勧告にあります現在二〇%
源泉課税をいたしておりまして、その
代り全額配当所得を総合して
税額を出して、その
税額の中から一五%の
控除をいたしておりますが、今後は二〇%の
源泉課税はとり止めまして、その外に
配当は一応
個人に総合して
課税するのですが、算出した
税額から二五%を
控除して
シヤウプ勧告案通りにいたしております。
それから
申告納期等につきましても、それぞれ
改正をいたしておるのでございますが、
納期は大体、まあ昨年と
原則は同じでございます。六月、十月、一月です。
農業についてだけは一月だけずらせまして七月、十一月、二月、とこの三回にいたしております。而も
単作地帯におきましては、十一月と二月の二回にすることができるという
改正を加えておるのでございます。尚、若干ございますが、さような点が主な点でございます。
次は
法人税でございますが、
法人税につきましては、大体
シヤウプ勧告案通りですが、違いますのは
積立金に対する
税率を
シヤウプ勧告によりますと、百分の一にしてありますが、これを百分の二にいたしまして、これは
日本の
金利水準からいいますと、百分の二ぐらいでなければ不十分であろうという点からであります。それから
あとは、
特別法人、これは
勧告案通り、百分の三十五にいたしますが、
譲渡所得と
生産所得は止めてしまいますが、廃止の時期は
昭和二十五年、今年四月一日以後に終了する
事業年度分につきましては
超過所得税は一切
課税しない。それから、
生産所得税は
昭和二十五年四月一日以後に解散又は合併にな
つた分から、
生産所得税は
課税しないと、こういう
考えであります。ただそうすると四月の、例えば末日に終る
事業年度で、
決算期が一年の場合、こういう場合におきまして、一年、
全額、前の分も遡
つて計上するのはどうかと思われますので、そういう
法人は最初の六ヶ月経過したときに
中間申告をしておるわけですが、それで
超過所得は納めております。その分はやはり
課税しよう、その分を
課税しないで行くということは
考えものであろうと思います。ただ飽までも正しい
超過所得税を
計算して、そのうち六ヶ月分だけは、
課税する、そういう
方針にいたしたいと思
つております。それから
公益法人の
収益事業に対しましては
課税する、これは
シヤウプ勧告によりますと、相当細かに、全部
課税か
免税かを決めてしま
つたらという
意見でございますが、到底その仕事はむづかしいと
考えますので、むしろ普通半
営利企業の形態で行われる
事業、そういう
事業を
公益法人が営んで、その
事業から差引
計算いたしまして
所得がある、
剰余金がある、こういう場合には、その
剰余金に
法人税を課するという方が適正だと
考えまして、
物品販売業とか、
出版業とか、
製造業とか、そういう業種を政令ではつきり規定いたしまして、それに該当する
事業の
収益に対して
課税するということにいたしております。それから他の
法人から来る
配当、これは二重
課税防止の
意味で
控除することにいたしております。
それから
損金の
繰越し、これも認めるわけでございますが、
法人の場合は、
個人の場合よりも
繰越しの方は
計算がはつきりしておりますので、二ヶ年延長しまして、五年間通用する
考えでございます。それから
固定資産の
減価償却、
棚卸し資産等につきましても、
シヤウプ勧告によりまして、その
評価の選択は濫りにできない、
変更をする場合は審査を要する、こういう
方法に変へたいと
考えております。
金融機関の
貸出準備金につきましても、それぞれ一定の
方法によりまして、
損金に
計算することを認めております。その他の雑多な点につきまして
改正をしておりますが、主なる点はそういうところであります。
次に
相続税ですが、
相続税は前にも申上げたと思います。相当根本的な
改正でございます。今までは一体被
相続人の、つまり亡く
なつた方の
財産を全部
纒めまして、
累進税率を適用していたのでございますが、今度は
貰つた人ごとに
課税するわけでございます。従いまして、一番根本的なこの
税負担の
変更は、
税率の表面上の
改正よりも、実質的には
財産が
相続された場合に、その
財産が、一人で
相続されたか、或いは数人で
相続されたか、それによりまして、
相続税の
負担が、今のところとがらりと変
つて来るのでございます。例えば一千万円の
財産があ
つて、その
財産を全部一人の人に
相続せしめた場合、これも今よりも軽くなりますが、それでも仮にその人に
相続人が五人おりまして、五人の人が均分して
相続した場合、そうすると、二百万円ずつに
課税する。一方
累進税率の
関係で、二百万円にそれぞれ分けて
税率を適用した場合と、一千万円を
全額に適用した場合とでは、
負担は恐らく三分の一ぐらいになると思います。非常な違いになるわけでございます。その点従いまして
相続税は相当根本的な
変更に相成るのでございます。その外に
妻控除、
未成年控除、あらゆる点を
考えましてでき上
つておるのでありまして、
国税庁は果してそれがどこまで実行できるか問題にしているようでございまするが、
立看板としては
世界でも最も面白い
課税の
システムにでき上
つておるようでございます。
最高は九〇%という
高率課税であります。それは
世界で一番高い
相続税であります。その
代り、先つき申しましたように、多数の人に分散すると低く
なつて来る、それから
公益事業に移しますと
全額非課税であります。今度の
シヤウプ案は、非常に
蓄積財産については批評が多いようです。今度の
富裕税竝に
相続税両者を通じて
考えますと、
財産権に対しては相当容赦なく
課税をいたしておるようでございまして、その点総合して
税制の
システムを
考えて貰いたいというのが、
シヤウプ博士の
意見のようであります。
所得税の
税率を下げるというのは、それだけのことにあらずして、一方におきましては
富裕税を設け、他方におきましては相当
思切つた相続税を課する、その
相続税も従いまして
資本蓄積の
意欲を阻害しないように、寄附すればかからないわけですね、多数の人に分散して
財産を与えれば、非常に
負担が少くて済む、非常に何と申しますか、不当な……不当なというのは言い過ぎでありますが、非常に多くの
財産が或る人にあ
つて、引続き持
つておるというような体形は、恐らく今度の
システムでは、なかなかそうは行かんだろうと思います。従いましてこの点はいろんな
意味において、相当注目に値する
改正ではないかと思
つております。その案をそのまま採用することにいたしたのであります。
配偶者に移転する場合は五割を
控除する、
従つて、五千万円の
財産でも、
奥さんが
相続される場合は、五千万円を半額にして
相続税を
課税しますから、これは非常に結構なんです。それから
お子さんが取れば、まだ赤ん坊の
お子さんが
相続人である場合、この場合ですと、一年一万円ずつ、十八歳に達するまで、即ち十八万円
控除する、ところが
相続人が
成年者ばかりでありますと、そういう
控除はない、これによりましても小さい
子供が多い場合に亡くなられたときと、皆
お子さんが大きくなられてから亡くなられた場合と、同じ百万円を残した場合におきましても、
相続税は相当違
つて来る、その辺は確かに理窟に適
つておるわけでございまして、
最高税率は非常に高くて、お困りになる方があるかも知れませんが、一方あらゆる
方法によりまして、
負担の均衡を
図つて、現在の
制度の下におきまする
財産課税の公平を期しようという
考えのようでございます。今まで一年のですね、
贈与の額も一人三千万円まで
免税ですね、今度は小さいやつはこれは
相続税で追つかけるのは馬鹿くさいという
考えからいたしまして、十倍に
引上げまして、三万円までは
課税になりません。や
つた人と貰う人とコンビにして、同じ場合でございますが、
違つた人にや
つたのは別として、同じ人にや
つた場合は、一年間通算して、それを
合算しまして、三万円までは今度は
課税になりません。額面百円の株を三百株ぐらい一年に
子供に分けてやるというぐらいのことは、
相続税に
関係ない、従いましていろいろな
寄附金なり
贈与金等も少々の
贈与金でありますれば、
関係ございません。そういう点は、この辺三万円と申しましても昔の貨幣価値に較べますと大した価値でございません。徒らに小さくして置きますと、たまたま見つか
つたものだけが納めて、そうでないものは納めないという不公平がありまして、私はこの辺は極力額を
引上げまして
適正化を図りたい
考えでございます。
税率も今の
税率と較べますと、中間層までは相当引下げに
なつております。でございまするが、上の方になりますと相当きつく
なつておりまして、五千万円を超えまするものには百分の九十という素晴しく高い税でございます。そういう案に相成
つておるわけでございます。それから
相続の
免税規程等も相当詳細に
合理化を図ることに
なつております。
相続税は相当面白い注目に値いする税金のようでございます。
次は
富裕税でございますが、
富裕税につきましては、これは大体
シヤウプ勧告案通り五百万円を超えた場合に
課税する、それぞれ下から超過累進で行きまして、五千万円を超えました場合に百分の三を
課税する、百分の三ということは、
所得に対しては三十%になる、五百万円をちよつと超えた場合は幾らになるかと言いますと、六百万円にしますと、六百万円から五百万円を差引きました百万円に対して千分の五でございますから税金としては僅かなものでございます。私共
所得の附加税としては、この
程度設けるのがやはり有効な案だろうと
考えております。次は
免税規程等につきましても、国又は地方公共団体において公用又は公共の要に供する家屋及び物件、それから国宝、重要美術品にも
課税を除外しておる、それから生活に通常必要な家具、什器、衣類その他の動産、これも非
課税とするように
なつております。生活に通常必要な家具、什器、衣類、これはなかなか法律としてはこれ以上書方がありませんで、こういうようにいたしておるのでありますが、その人の
資産の額に応じて通常必要な
程度のものは、適当な物指で非
課税とする
考えでおります。
それから
課税の
方法は、毎年十二月三十一日で
バランスを作
つて頂きまして、勿論積極
財産、あらゆる積極的な
財産からその人のあらゆる借金を、負債を差引きまして、その差額の純
資産、これを
課税標準にしまして、さつきの
税率で
課税されるものでございます。従いまして十二月末日に
バランスシートを作
つて頂きまして、それに基きまして翌年の二月一杯に納めて貰う、
所得税を一月一杯に納めるから、それより一月遅れまして二月末日までに申告納税をするものと
なつております。
納期は一回ということにいたしておるのであります。
それから次は通行税ですが、通行税は三等乗客に対する
課税を廃止することにいたしました。その反面一、二等の運賃に対する
税率は、現在普通運賃百分の五、急行料金等百分の二十でございますが、これを一率に百分の二十にいたしたのであります。これに対応しまして、一面料金といたしましては、一、二等の料金の改訂案は目下運輸省で進められておりまして、まあ今の倍率三倍、六倍を二倍、四倍に変えるそうであります。そうするとこれと合わせまして丁度いいのじやないかと、かように
考えております。それから通行税の
減税によりまして、当然鉄道の
収入が変わるわけでございますが、これをいかに通行税の廃止に伴
つてこの点を
改正するか、これを研究いたしまして、長期定期券の割引率を多くする、もしくは遠距離逓減をする、そうすることによりまして、通行税の廃止によ
つて少く
なつた財源と運賃の補正を
図つて、全体として三十億円、そういうような改訂を目下進めておるようでございます。これはまだ確定でございませんで、御参考までに申上げます。
それから有価証券移転税は廃止いたします。それから酒税については
シヤウプ勧告は余り殖やすことはむずかしいだろうから、相当大幅の
税率の
引上げをや
つて増収を図
つたらどうかという
意見のようであります。併しながら私共といたしましては極力原料を増加いたしまして、それによ
つて数量を殖やしまして、増収を図るという
考えにいたしたのでございます。
シヤウプ勧告もございますので、この際といたしまして若干の補正的
引上げをいたすのではなかろうかという
意味で、その次の表に示してありますような、小売価格になるような
改正を行いたいと思います。尤も現行のものは先般取引高税の廃止に伴いまして若干引下げてありましたので、引下前の値段と比べますと、実はもつと高い税でございまして、基本的に申しますと、むしろ合成酒の二級等は売行き状況がよくございませんので下げております。焼酌はこれに反しまして売行き良好でございますので或る
程度引上げております。二級清酒は大体据置きのつもりでありましたが、先般取引高税の廃止によりまして若干下りました。千円低くなりました。その他若干そういう
考え方にいたしまして
引上げをするということになりました。酒税の
収入は原料が大分増加いたしまして品物が増加いたしますので、来
年度千三十億という数字になります。勿論地方の酒の消費税も総合して
考えております。そういう
関係もあると思います。煙草が千二百億円と相成りまして、やはり
国税における間接税としては大分昔に戻
つて来つつあるようであります。まあ将来できるだけ数量を殖やして行きました、余り値段を無理にしないで、相当国家の
収入になるような
方向に行きたいと
考えておる次第であります。それから
資産再
評価及び再
評価税、これは
シヤウプ勧告に詳しく載
つておりますので、細かい点は他日法案提出の際申上げますが、
シヤウプ勧告に対しましてこの点も相当
調整を加えております。一番大きな
調整は
事業の
企業用
資産にありましては再
評価するかどうかは
企業の任意にしたということであります。やるかやらないかどの
程度にやるか任意であります。ただ併し私共は任意ならばやらんだろうということは前提に
考えてないのでありまして、再
評価は
企業にと
つて少くとも適正な価格まで再
評価する限りにおいては、必らず将来を通じて有利になるものでありますれば、全部の
企業はやはりやるだろうという前提の上で、物事を
考えることにいたしております。そういたしまして、ただ
シヤウプ勧告におきます六%の税、これは大分皆さんから
意見がございますが、この辺は率直に申しましてまだ穏当なところではなかろうか、六%の
税率は動かさない。ただ
納期につきましては、
シヤウプ勧告は全体の二分の一を最初の一年に納さめさせまして、後の二分の一、つまり再
評価差額の百分の三を最初の一年に納めさせて、後の百分の一・五づつ二年目三年目に納めさせる。これを一律に強制いたしますと、現在
収益が十分でないが将来は大丈夫
収益が上る、
資産の価値も十分あ
つて再
評価をいたしたい。こういう
企業に非常にきつくなりますので、今
利益の状態の悪い場合におきましては、減納を認めるということにいたしたのでございます。そうしまして結局物指は
減価償却前の
利益から、今までの償却高を差引いた額、つまり従来の
方法で
利益を
計算したその
利益の額の三五%、もう
一つは再
評価によりまして
減価償却額が増加しますが、その増加する
減価償却額の三五%、それを
最高限としてこれを超える、或いは超えた場合は延納を認めるということにいたしております。そうしますと再
評価したことによ
つて今までより
負担は殖えません。ただ最初の一年は
減価償却によりまして、経費の落ちるものが殖えるわけでございますが、それによる減
税額と、再
評価税が差引とんとんとなるという場合ができるかと思います。少くとも増税にはならないというようなことにいたしております。それによりまして再
評価を極力促進いたしたいという
考えを持
つております。それからその他若干細かい
修正がございますが、
シヤウプ勧告は五年間は特別資本金としてそのまま積立てさせる案ということに
なつておりますが、それを大体三年後には特別
積立金の四分の三までは資本金に振り替えることを認めるという規定を設けております。後の四分の一だけは最後まで残して行くという
考えであります。そういうような特例を
考えております。その他相当実際の細かい実行面につきましては、
シヤウプ勧告に対しまして実情に即した
修正をすることにいたしております。主な点は以上の諸点であります。
それから最後に租税の執行に関する
制度の
改正に関しまして若干申上げます。これも前々から申上げておりまする、税法を極力公平化すると共に、税法
通り執行いたしまして、徴税の
合理化を図るというのが基本精神でございまして、そういう
意味からいたしまして、例の青色申告の
制度、これを認めることにはつきりと法律でいたした。青色申告を出した場合に、その帳面を税務官吏が調査した上でなければ、更正決定ができないという特例を設けることにいたしております。と同時に
損失の
繰越し、繰戻し等は
青色申告書を提出した者でなければ認めないとい
つたようなことでありまして、記帳の励行と、それに基く
適正化ということに進む案に相成
つておるのであります。それからもう
一つは、予定申告の際に、その年の
所得を見積ることはなかなか実際にどうもうまく行かない点が多うございますので、今後は
原則として前年の税金を予定申告の段階で納めさせ、翌年の一月に確定申告で
修正をする。ただこの場合におきましても、明瞭に災害を受けたことがはつきりしている場合、或いは営業の一部を譲渡した場合、こういうふうに原因がはつきりしている場合におきましては、勿論前年の
課税決定額以下の申出をすることも妨げない。その場合には、税務署に届けさせまして、承認を与えるということにいたしておるのであります。
それから異議処理につきましても、
シヤウプ勧告にあります
通り、専門の協議団、これは勿論役人であります。ただこの審査の処理に専ら専念する役人を置きまして、それを
国税局所管にいたしまして、適当な所に分駐せしめまして、審査を付託するということにいたしております。この点は
シヤウプ勧告通りに実行することにいたしております。有価証券等に対する
所得税等の
課税の適正を図るために、所要の規定を整備することにしたのであります。これは例えば匿名預金の禁止とか、或いは社債の登録では、或いはこれは若干まだ問題がありますが、
株式の名義書換等の規定を整理する
考えでありますが、
株式の問題は新聞紙上にも、出ておりますように、先ず名義書換の代行機関を作るということ、それを作る
方向で目下進んでおりますが、それがはつきりした上で決定いたしたいと思います。差し当りにおきましてはそれは設けられることに
なつております。
それからその他といたしまして、外国人及び外資に対する
課税の臨時特例を設けまして、これは外資の導入に関しまして、どうしても本国から来て貰わなければうまく行かんという人が相当多いだろうと思いますので、そういう者に対しましては、一定の業種を限定して
所得税の若干の
軽減を
考えたわけであります。それから外資が入
つて来ました
法人の
事業の
収益に対しまして、重要物産に類似した
免税をする、そういう問題につきまして、目下研究中でございますが、まだ具体案は決ま
つておりません。
それから土地台帳、家屋台帳に関する事務は大体税務署から登記所に移す。必要に応じましては大蔵省、法務府の方で或る
程度は監督する。
それから従来の加算税及び追徴税につきましては、相当整理いたしまして、従来の加算税は十銭でございますが、これを四銭にする。これは常に所定の期限から遅れておる場合は、それは常に納めるまで四銭を課する。それから今まで追徴税として二五%であ
つたが、この税を少し
合理化いたしまして、期限内に申告をした場合におきまして、その申告額が低か
つた場合は、低か
つた差額に対して五%加算税を課する。但しこれもその後自発的に
修正申告をして来れば五%を取らない。それから期限内に申告して来ない場合が起りましても、最初の一月の間に見付か
つた場合は一〇%、一月ごとに順次逓増して、三月の後まで無申告の場合は二五%、順次に加算徴収するということにいたしております。非常に申告納税の
意味を重要にする
意味からいたしまして、とにかく申告をしないというのは一番よろしくないというような
趣旨の法律に今度は
なつております。期限が遅れれば、常に取られる。但し
あとで、期限が遅れた後に追加申告をして来た場合においては、五%だけは
軽減する率があ
つて、五%以外の分、
従つて四ヶ月後に追加申告をして来た場合に、少くとも二〇%はフルに申告しても、期限まで申告しなか
つたという
意味において、無申告加算税をそれだけ取る。こういう規定を置きまして、それによりまして、期限までに申告が常に行われることを誘発しようという
考えであります。それから無申告に対しては、今のところでは、ただ申告しないというだけでは罰則がない。申告をして、虚偽の記載をした場合に罰則がある。申告しない場合に罰則がないということはおかしいというので、正当な理由がなくして申告しない場合に、加算をする外に、一年以下の懲役又は二十万円以下の罰金、そういう規定を置く
考えであります。それからもう
一つの
改正は、とにかく脱税しておれば、もう要するに起訴するか、或いは全然起訴しないか、それだけになるのでございますが、どうもいろいろや
つて見まして、それだけではうまく行かん場合がありますが、中間の段階では、起訴するのではないけれども、全然放
つて置くのは工合が悪いということでありまして、税務行政がうまく行かん場合がございます。それで今度は、
税額の五〇%、虚偽の行為をやりまして、それによ
つて脱税している場合には、
税額の五〇%の加算税を、一種の民事的な懲罰税として徴収することにいたしております。そういう規定を設けることに
なつております。これは
シヤウプ勧告に謳
つているものを
制度化したのであります。最後に、直接税の方は、現在は五万円以下の罰金に
なつておりますが、これは実際の場合に、五万円に重過ぎて面白くないので、罰
金額は
税額と同額、これは大幅に
軽減することに
なつておりますが、そういうことに直接税については規定することに
なつております。次に、これは附けたりでありますが、会社の重役、社長、専務その他会社を事実上主宰している方及び経理担当の
最高責任者、この方々にみずから自署して頂く
方法をと
つております。それによ
つて責任を感じさせるというわけであります。
そういう
改正を行いまして、極力申告
課税の
合理化ということを図ろうということに
なつております。それから災害減免法、
国税徴収法等の
改正、それはいずれも補正的な小さい問題であります。尚今滞納になりますと、二十銭取ることに
なつておりますが、これを改めて、先ず利子税として四銭取る。その上に、督促状を出した後は、更に四銭の加算税を課ける。これはただ一種の徴罰的な加算税でありますから、余り累積して殖えるのはおかしい。上に乗つかるのは
最高五%止りでしよう。従いまして延滞金に関する限りにおきましては、最近の経済情勢に即応しまして大幅の
改正が行われるというふうに
考えております。さような点で
改正いたしまして、極力実際に即応するようにいたしたいと
考えております。尚計数はいろいろ沢山お配りしてございますが、御覧願いますれば分るのでございますけれども、
所得税におきましては一番
負担の軽くなりますのは
事業所得者の小
事業所得者で家族の多いものですね、これは一番
負担が軽くなります。恐らく農家の
所得者は大体三分の一から半分ぐらいになる人が大
部分だと思います。
所得に増減がなければ……
それからその次は
勤労所得者の場合ですと、家族の多い人は相当下ります。私共の場合ですと三割六分下ります。私の場合でも、大蔵省の或る局長が、もう少し余計下るようにしたいということを……これが
独身者になりますと、同じ
所得でありましても、僅か一割五分ぐらいしか下らないという表に
なつておりますが、御覧願いますれば分ると思います。
それから
地方税の問題は、まだ最終確定に至
つておりません。目下成るべく早く取
纒めまして決定するように取計らいたいと思
つておりますが、
税率等の問題につきましても、まだ若干未定のところが残
つております。一応表にしまして、大体
シヤウプ勧告に近いラインで、
国税と
地方税を通じまして、直接税の
負担がどうなるかということを
計算したのは別に表にしてお手許にお配りしております。これも
一つの仮定
計算でありますからなかなかむずかしいのでございますが、
勤労所得者のうち割合小さいところでは殆んどすれすれぐらいですね。従いまして、この辺では場合によると、ちよつと事情の変
つた人は殖えるかも知れません。併し例えば年
所得十五万円、月
所得一万幾らの
所得者の場合は、夫婦で
お子さんが三人ありますと、
地方税は大分殖えますが、やはり税金は相当下ることに
なつております。従いまして比較的現在生活の苦しい、家族の多い人は、確か直接税だけでも
負担が下ると
考えております。ただ
独身者の給与
所得者の場合には、場合によ
つては下らないというようなこともあるだろうと
考えておるのであります。
尚間接税の廃止と、それから補給金の撤廃等に伴います生計費の増加、そういうものにつきまして、一応大蔵省として試算しましたのを見て頂こうと思いまして、これもお配りしましたから御参考に願います。尚これにつきましては物価庁で更に精細な検討を続けておりますので、若干の
変更があるかも知れませんが、大体以上
予算に関しまして、全体の増減はどうかということを御
説明いたしました。その他は
説明するに及ばないと思いますが、甚だなんですが、以上を以て……