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1949-12-22 第7回国会 参議院 大蔵・人事連合委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十二月二十二日(木曜 日)    午前十時五十三分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○国家公務員に対する臨時年末手当の  支給に関する法律案内閣提出、衆  議院送付)   —————————————
  2. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) これより大蔵人事連合委員会を開会いたします。議題は国家公務員に対する臨時年末手当支給に関する法律案であります。昨年に引続き質疑に入ります。
  3. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 提案理由について昨日御答弁願つたのですが、それではまだ納得行かないのでありまして、それについては運輸大臣から改めて御答弁があるというお話でありますから、後にそれは残しまして、別の問題について質問したいと思います。  先ず第一にこういう臨時年末手当というような形で給與支給しないで、給與ベース改訂、そういう形で給與支給するのが、これまで折角新らしい給與休系作つた趣旨に副うものと思うのです。どういうわけでこういう臨時的な手当、そういう形で給與支給することになりましたか、その事情を御説明願いたいのですが。
  4. 河野一之

    政府委員河野一之君) 国家公務員法が制定せられまして、賞與というような制度を原則的には止めているのは御承知通りであります。この給與ベース改訂という問題は、人事院からも御勧告があるのでありますが、私共の考え方といたしましては、現在の六千三百七円ベースというものは、総理の御演説にもあります通り、これを改訂する考え只今のところないのでございます。ただ併しながら政府職員の従来のこの問題に関する沿革というようなこと、それから年末、年始における生計費と申しますか、支出が嵩むというような実情を考慮いたしまして、まあ今年度限りこういうような措置を取つた次第であります。政府職員に対する賞與昭和二十年度限り廃止せられているのであります。併しながら二十一年にはいわゆる越冬資金として二ヶ月分が出しておりまするし、二十三年には生活補給金といたしまして、年内に一ヶ月分が出ております。それから昨年は三千七百九十一円から六千三百七円ベースへの切替が十二月に行われまして、その差額が一時に入つているというような状況で、事実上年末に或る程度金額が従来のもの以上に渡つているというような事情考えまして、将来こういうものは勿論廃止すべきでありますけれども、俄かにそういうようなこともできかねるというようなことで、この際年末手当の形式におきまして、或る程度手当政府職員支出する、こういう考でありまして、ベース改訂の問題とは全然別個の問題だというふうに考えております。
  5. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それではこの年末手当支給は今回だけである、今後はこういう支給の仕方はしない、そういうお話でありましたが、若し今後物価事情の変化によつて、どうしても今の六千三百七円ベース引上げなければならない状態が起つた場合、政府は飽くまでもこれを改訂しないということを言われておるのですが、そういうことになつても、絶対にそういう形での手当支給はしない、そういうふうに承つてよろしいのですか。
  6. 河野一之

    政府委員河野一之君) 年末手当支給は今回限りというふうに考えておりますし、政府職員給與の問題につきましては、先程六千三百七円ベースは十二月から施行したと申上げたのでありますが、形式的にも実質的にも施行いたしましたのは四月でありまして、御承知通り十二月から三月まではいわゆる胡瓜ベースと言いまして、途中が低くなつておるようなベースでありまして、実質的形式的に六千三百七円になつたのは四月であります。その時から比較いたしますと、ベース状況というものは動いておらない。今後もこの水準というものは動かんというふうに、むしろ下るのではないかというような考え方で、ベースの問題はこの際採上げておらないのであります。将来これがどういうふうになるかということは、ちよつと仮定の問題で御答弁申上げられないのでありますが、少くともこの年末手当に関する問題としては、只今のところ今回限りというふうに考えております。
  7. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、その前にちよつと伺いたいのですが、二十五年度予算は六千三百七円を基礎編成して、もう司令部オーケーを得られたのですか。
  8. 河野一之

    政府委員河野一之君) 六千三百七円ベースと言いますのは、これはまあ当時の勧告数字でありまして、当時の法律数字でありまして、行政整理後の最近の実態におきましては、実は六千五百円程度になつております。この数字で二十五年の予算編成いたしまして、明日或いは明後日ぐらいに大体国会に提出したいというふうに考えております。
  9. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この問題は非常に私は重要だと思うのですが、結局二十五年度予算編成基礎の問題と関連して来るのであります。それで、今実質的には六千五百円を基礎にして本年度予算編成されて、これはオーケーを貰えて近々に出すというお話ですが、そうしますと結局この給與ベースについては全然政府が、今後の物価調整をどう考えておるかという点が非常に重要になるのです。人事院勧告では、物価は大体持合いというような考えらしいのですね。それから国鉄裁定を見ますと、物価については、割合に見方は混乱しているようですが、結局、政府において今後の物価調整その他については適当に措置するということに信頼してベースの問題には触れない、こういうふうに国鉄裁定ではなつておるのです。そこで政府は、今後の物価をどういうように考えで、そうして予算編成基礎にされたか、今後の物価の動向についてどう考えておられるか。それから給與ベースを変えない、どうしても変えないという具体的な根拠ですね、これについて一つお伺いしたいのですが……。
  10. 河野一之

    政府委員河野一之君) 先ず明年の予算基礎となる物価の問題でありますが、私共は現在の物価水準が変らないというふうに考えております。勿論補給金撤廃その他におきまして、或る程度基礎物資値上りということはあるのでありますが、すでに物価自律作用が取戻されておりますし、又企業の合理化ということも相当推進されまして、最終の消費者価格については、余り動くまいというような見通しを持つております。そのつもりで予算編成いたしております。勿論多少の凸凹はあると思いますが、少くとも生計費に及ぼす影響というものは、この賃金水準を動かす程度のものでないという考え方です。例えで申しますると、二十四年産米につきましては、バリテイー一五六・二四ということで計算せられておるのでありますが、来年の春向きにつきましては、バリテイー一六〇、それから秋の産米につきましては一六八というように、鉄鉱或いは肥料の値上り補給金撤廃に伴う値上り等においてその程度になる、それに又運賃の引上げによつてその程度になるというふうに予定しておるのでありますが、これを全体を通じまして来年の一月から消費者価格を、そういう買入れ価格によつて買入れた米を、食糧をペイするような消費者価格計算しております。その結果一一%程度値上りになるのでありますが、この一一%の生計費値上りというものは、先の国会におきまして、その資料を提出いたしましておる通りに、取引高税及び物品税織物消費税の、廃止或いは減税によりまして吸收せられ、所得税の軽減によつて更に吸收せられるという一応のそういう計算になつております。又四月からはこの所得税経減というものは、より大きくなるのでありまして、具体的の計算というものは、只今のところ数字は持つておりませんが、そういつたようなことで、生計費については、少くとも現在程度の保ち合いで動かないという考え方をいたしております。六千三百七円ベース改訂問題も以上のところから来るのでありまして、それと共に六千三百七円ベース改訂についての勧告は、人事院におきましては昨年の七月を基準としてやられておるのでありますが、私共といたしましては、今年の四月から、形式的にも実質的にも適用せられたものである、本年の七月における消費者物価指数は一四一程度でありますが、十一月におきましては一三六程度になつておる、十二月には更にこれが少し下るのではないかというふうな見通しを持つておりまして、そういう面から見まして、本年四月の実質生計費というものは維持せられておるというような考え方で、只今のところこの給與ペースというものせ改訂するというような考え方は取つておりません。或いはこの点は私から申上げるのは適当でないかも知れませんが、少くとも現在のところ政府としてはそういうふうに考えております。
  11. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 只今消費者物価指数が下つておるというのは、それは何によつて計算した指数なのか、フイツシヤー式ですか。
  12. 河野一之

    政府委員河野一之君) ラスパイルス式というので計算してある指数であります。
  13. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それはこの行私が問題にしたのでありまして、それはフラパイルス式でやれば下るのは当然なわけです。これまではフイツシヤー式でやつてつたのですが、それをラスパイルス式に変えたのです。ラスパイルス式に変えますと、当然物価は低くなつて来るのです。そういうふうにこれまでと違つた統計操作によつてCPIを変えて、そうして消費者物価指数が下るから生計費が下つて来る、これでは実態に即しないのではないか。実態生計費指数に現れているようなものじやないのです。政府はいつからラスパイルス式に変更されたのですか、それを伺いたいのです。
  14. 河野一之

    政府委員河野一之君) ラスパイルス式のものは確か統計局統計委員会におきまして、確か八月からそういうふうな方式になつておるというふうに承知いたしております。生活が大体安定して参りますと、フイツシヤー式というよりは、コンスタント・ウエイトを取るこの式の方がいいであろうというような考え方であると聞いておるのでありまして、この点につきましては、確か前国会におきまして、衆議院の予算委員会におきまして、大内統計委員長がこの点についていろいろ御説明がありまして、そういうようなことをおつしやつたように私は聞いております。
  15. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私はそれは非常に政策的なものであるとして、それは結得いたさないのでありますが、そういう基礎に立つて、これまではフイツシヤー式でやつてつて、それで急にこの際にラスパイルス式大内氏が統計会議に行つてつて来たお土産として、それをやつた方が賃金ベース引上げないようにするために都合がいい、そういうことをやつたのかも知れませんが、それは議論になりますから別にしまして、只今政府委員の御説明ですと今後は物価は上がらない、又生計費は余り上がらないという話ですが、それが上がらないのでなくて政府は上げない、上げないようにしてやつておる。それは経局給與を上げない、賃金を上げない、購売力を殖さないようにさせる、そういう政策から上がらないというふうにしているのじやないですか。それは逆であつて物価が上がらないと見るから賃金は上げなくてもいいのではなくて、むしろデフレ政策をやる結果購買力をうんと吸上げて、デフレ政策をやる結果として上がらないのであつて、その考え方は逆なんじやないですか。
  16. 河野一之

    政府委員河野一之君) デフレ政策ということでありますが、私共といたしましては物価は少くとも今後上げない、むしろ日本の経済の現場から行くと、むしろこれは大蔵大臣も言つておられるのでありますが、引下げに努力してそうして実質賃金の向上で行くんだというような考え方で、明年度予算編成をし、又そのつもりで実行する考えであります。
  17. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それで考え方が分りました。そこで重要なのは物価引下げ方法ですね、どういう方法物価引下げるか、今成る程政府のドツヂ・ラインに基く一連の政策を見ますと、おつしやる通りに、物価引下げの方向に向いておるわけです。それはもう明かにデフレ政策ですね。具体的にどういう形において今後物価を安定させるだけでなく、引下げて行くというお話があつたのですが、どういうふうに引下げて行くか、何を基準にして引下げて行くか、どの程度引下げて行くのか伺いたい。(「議事進行」と呼ぶ者あり)
  18. 木下源吾

    木下源吾君 大蔵大臣は今日見えないのですか。
  19. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 司令部に行つておられます。
  20. 木下源吾

    木下源吾君 何時頃帰りますか。
  21. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 午後一時頃帰ります。
  22. 木下源吾

    木下源吾君 今のような政策の重要な問題は、これは主計局長には無理だと思うのです。ですから大蔵大臣か、少くとも大蔵大臣は来て貰わんと、それは無駄ですよ。こういうことは大蔵大臣が来てからにした方が……。
  23. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) それでは木村さんのは大蔵大臣が見えるまで保留して頂きましよう。
  24. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 主計局長でよさそうな質問をいたします。(笑声)今度の賞與額が五十三億八千万円というふうになつておりますが、これだけ支給することによつて税金の面でどれだけ吸上げることができますか。
  25. 河野一之

    政府委員河野一之君) 大体三割程度考えております。
  26. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 その三割の税金というものは大体自然増收の形になるのですが、むしろこの五十三億を実質的に支拂つて税金枠外に出すような方法は採れなかたつでしようか。
  27. 河野一之

    政府委員河野一之君) これは政府職員だけについて、税金枠外にするというわけには行かないのでありまして、一般民間におきましても賞與制度はあるのでありますが、これについては同じような税制を適用して行くという建前になつております。
  28. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 私の問わんとするところは、実質的に五十三億支拂えるような方法を採れなかつたか、結局三割ということになるとすれば、六十五億とか七十億とかいう財源で、一応支拂う形を採つて行けなかつたかということであります。
  29. 河野一之

    政府委員河野一之君) これはむしろこの程度金額をやつた方がよいというような考慮から来ておるのでありまして、七百円の俸給の三分の一というふうにいたしますと、最低のところで千五百円ということに相成ります。最高のところは法律にあります通り五千円でありますが、現在の状況から考えて、千五百円乃至五千円程度のものを、この際税込において支給するという考え方であります。
  30. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 次にもう一つ伺いたいのは(「もつとやれやれ」と呼ぶ者あり)公務員に対する昇給というものは大体決まつておると思うのであすが、例えば九ヶ月とか、一年とか、一年半で上げることになつておる。そういうことを実際今日まで行われ前おらないという話ですが、それはどういう理由で行われておらないのか。
  31. 河野一之

    政府委員河野一之君) これは最近行われております。ただ今まで何回も給與ベースが変つたものですから、そういつたようなものと、それから昇給基準に関する人事院の規則、そういうものが出ませんでおりました関係上、多少遅延したことがありますが、いろいろとその点は最近において是正しております。
  32. 木内四郎

    木内四郎君 今度の財源のことを説明されましたが、これについてちよつと伺いたいのですが、私は別に伺いたくないと思つてつたのですけれども、新聞その他がこの年末になつてこれだけの金を捻り出し得るというのは、非常に大蔵当局予算編成が杜撰であつた。のみならずこれを審議した国会にも飛ばつちりが来まして、(「その通り」と呼ぶ者あり)国会は審議しておらないのじやないかということを書いておるので、甚だ遺憾ながら伺いたいのです。(笑声一体人件費を十五億円も余計に計上してあつたのですか。
  33. 河野一之

    政府委員河野一之君) これは人件費一般会計において一億五千万円であります。職員俸給の余つておりますのは、今後において……年度内でありますが、欠員を不補充というようなつもりでおります。今後各省において欠員補充しない。それに伴う各種の手当、退官、退職手当につきましては、最近いろいろ実績を取つて見ますと、割合若い人が罷めておるということもありまして、そういうことから当初予算でも、平均單価で三ヶ月分というものを削つております。それから共済組合交付金も、当初非現業関係職員の分は四月から実行することになつておりましたが、法律の施行が遅れまして十月ということになつたものですから、この程度のものが出たわけであります。十五億という金は大きくお感じになるのは御尤もでありますが、千二百億の人件費でありますから、こうは僅かに一%程度のものでありまして、これは普通ならば予算の決算上出て来る性質のものであつたかも存じません。ただ今申上げましたように、積極的に欠員補充をしないというような措置をやりましたので、決して前回成立いたしました予算なり補正予算なりが杜撰なため、その結果出たものであるというふうに私共は考えておらない次第であります。
  34. 木内四郎

    木内四郎君 それはさもあるべきだと思います。ただ新聞なんかで非常にそういうことを言つておるのに、あなた方が一言も弁明のようなことをしておらないものですから、この機会にちよつと伺つたのです。共済組合交付金その他が不要になつたから、今度の補正予算で直すということはやらなかつたのですか。
  35. 河野一之

    政府委員河野一之君) これはそういうふうにやつたところも多々あるのであります。非現業共済組合交付金は各組合におきまして、死傷病の率が違うものですから、全体を平均いたしまして、この程度の推定があつたわけであります。十月から実施していろいろやつて見た結果、現在やつと正確なものが出て参りました。こういつた点から不用が出、又多少足りないところもあるのであります。こういつた整理をいたしました結果、差引この程度のものが出たという計算になります。
  36. 木内四郎

    木内四郎君 その他旅費とかなんとか相当節約しておる。今まで公務執行に必要なものとして旅費は相当計上されておる。又修繕費のような大事なものを相当削つておられるが、これは後で補正予算として今一度出し返すというようなことはありませんか。
  37. 河野一之

    政府委員河野一之君) 旅費は今後において出張を或る程度抑制するという考え方でありまして、この旅費というものは沢山あればこれに越したことはありませんが、この際としては、こういうものを節約いたしまして、手当を出した方が宜しかろうということで出した次第であります。ただ修繕費でありますが、これは問題になりますのは鉄道の分でありまして、石炭費もさようであります。これも三十億の繰入金をいたしまして、差引十五億出すということについては、いろいろ御議論があろうと思いますが、現在の段階におきましては、こういうものを節約しても出す方が、よりリライアビリテイがあるというような考え方で出したわけであります。ただこの修繕費石炭費節約によりまして、鉄道事業運営には支障がないように、格段の努力をして参る考えであります。
  38. 木内四郎

    木内四郎君 それからこの事務費というようなものはどういうものですか、六億四千万円。
  39. 河野一之

    政府委員河野一之君) これは庁用のいろいろな物品費でありますとか、或いは電気、水道、ガスとか、そういつた普通の事務費、或いは紙墨費といつたようなものであります。
  40. 木内四郎

    木内四郎君 この頃行政費節約ということがしきりに叫ばれているのですが、こういうふうに捻り出せるということになると、一層行政費節約ということが世間で喧しくなつて行くのではないかと思いますが、そういう点について主計局長はどんなふうに考えておられますか。まあ今後の、問題について。
  41. 河野一之

    政府委員河野一之君) 行政費というものはできるだけ節約すべきでありますが、実はこういうふうにお考え願いたいのであります。今年の予算は当初予算予備費がございませんでした。それで途中まあいろいろな予備的……、従来ならば予備費で以て支弁するというような経費が、相当出て参つたのでありますが、そのことを考えまして当初予算において、事務費について天引一割を節約しておりました。天引一割を押さえておりまして、そうして状況を見て、各四半期毎に支出計画を立ててやつてつたわけです。一割だけは留保して引いて参つておるのであります。それでまあ年末になりまして、こういうような事態がありましたので、本来ならばそういう節約をするのは適当ではなかつたのかも存じませんが、とにかく苦しいながらも節約をやらせて参りましたので、この際そちらの方に転用させても、まあ今の事態としては止むを得ないかということで廻してやつた。予めそういう計画を最初から立てておつた次第であります。
  42. 木内四郎

    木内四郎君 私はできるだけ行政費節約して、そうして公務員待遇を改善することは非常に結構なことと思うのです。特にこの際は止むを得なかつたと思うのですが、世間ではいろいろな誤解を受けていますし、従来非常に正確にやつておられたあなた方の予算編成に対しましても、何だかんだというような……、国会の審議においてもいろいろなことを言われますから、まあ来年度の予算においてはこんな問題を起さないように、一つ御注意願いたいと思います。
  43. 波多野鼎

    波多野鼎君 昨日から問題になつておる点ですが、年末手当の問題と裁定の一部履行の問題ですね。これを昨日河野君はいろいろ説明しておられましたが、やはり大蔵当局国鉄裁定の一部履行ということと、臨時年末手当というものを同一のものに考えている。同性質のものに考えている、裁定の一部履行は即ちその他の公務に対する臨時年末手当臨時年末手当を出すから裁定の一部をあれだけ認める。逆に言えばそうなるのです。そういう関係材料の中にはつきり出ている。これは配つた材料の中に、「昭和二十四年度臨時年末手当所要財源内訳表」それを見ていると国有鉄道などはちやんと出ておる。それからもう一つ小さい半端な紙の方でも、財源仕訳の方を見ますと、国有鉄道十五億五百万円、これは臨時年末手当、これは裁定の一部履行でしかないですよ。これは年末手当としてあれを出すのだという趣旨がはつきりと出ておる。これによるとそうじやないですか。(「しつかり頼む」と呼ぶ者あり)
  44. 河野一之

    政府委員河野一之君) これは財源計算便宜一緒に出ておるので、そういう御疑問もあるかも知れませんが、これは昨日来申上げましたところをもう一回申上げるよりしようがないのでありますが、この点につきましては先程木村委員からもお話がありまして、運輸大臣から一応お話があることと思います。ただ昨日波田野委員がおつしやいました裁定趣旨の尊重の問題でありますが、これは或る程裁定には待遇切下ということが書いてあるのでありますが、私共としましては、それは文字通り取るといたしましても、それが不当の切下であるかどうかということにつきましては、いろいろまあ疑問の存する点がございます。多少その点もあるのかも存じませんが、この年末において、そういう考え方でこの金を出すという趣旨でなしに、裁定があつたというこの趣旨に鑑みて、十五億五百万円だけは予算資金上可能である、こういう意味で今の裁定に対する承認を求める案を出しておるのでありまして、ここに掲げてある財源の問題とは自然的に結びつくというような関係でないということを御承知願いたいと思います。(笑声
  45. 波多野鼎

    波多野鼎君 ですから大臣にはつきり聞こうと思つているのだけれども、事務当局は明らかに歳末手当裁定の一部履行とを一緒にしているとこう考えております。大蔵大臣が来ましてから質問いたします。
  46. 木下源吾

    木下源吾君 この税金の跳返り、これはどうも非常な問題だと思うのです。一体説明を聽いておるというと、金はこれくらいやれば丁度まあいいのだというような考え方で出したような様子になつておるのです。これ以上やるというといわゆる物価が高くなる、そういうことも亦考えておつたのか。これ以上はもうそこへ線を引いて、やらないのだという考えでやつたのか。財源があればもつとやるのだという考え方でやつたというのか。これを一つ……。
  47. 河野一之

    政府委員河野一之君) 今回は補正予算を組まないという考え方で、現在の既定予算からいろいろと捻り出して、そうして既定予算の範囲内でできるという限度をいろいろ考えました。勿論それについては、節約についていろいろその考え方もございまするが、当面国務の運営差支ない程度節約ということが最大限度ということにもなりまするし、又地方政府職員の年末年始におけるいろいろな支出状況考えまして、かたがたこの程度のことが適当であろうということで、こういう金額を算出した次第でございます。
  48. 木下源吾

    木下源吾君 そうするとあと十五億ばかりの跳返りを出せば国務の運営差支があるのかどうか……。
  49. 河野一之

    政府委員河野一之君) 十五億の問題、成る程それは跳返りが出て参るのでありますが、この分これは補正予算を組まないという大前提に立ちまして、補正予算を組んでいろいろ操作をするということになりますると非常に時間を要するというような点もありまして、今回は補正予算を組まないで既定予算の範囲内で出すということを貫いたために、こういうような程度でこういうような措置を採つた次第であります。
  50. 木下源吾

    木下源吾君 そうすると又要求すれば何らかの形であとの十五億を出すかどうか……。
  51. 河野一之

    政府委員河野一之君) そういう考え方は持つておりません。
  52. 木下源吾

    木下源吾君 どうもそこが少し変じやないか、財源が……これはもうなくてもいい金だ、国務の遂行には何も支障がない、そうして十五億というのはこれは自然に儲かつた、こういうことになる。今これを全部出すということになれば、補正予算をどうこうするのは時間の問題、手数の問題ということから、今の分はこれでよい。あと又要求したら、これを出したつて一向苦にならん金じやないかというふうに考えられるのですが、それを要求額を出さないということは、これはどうも常識に合わん。
  53. 河野一之

    政府委員河野一之君) 年末年始を差控えまして、千五百乃至五千円程度政府職員支給するのが適当であるというふうな考え方で出したのでありまして、この金額を更に殖やすというふうなことは現在考えておりません。仮に跳返りが更に十五億あるといたしましても、その点については考えておりません。
  54. 木下源吾

    木下源吾君 年末にこの程度なら出して置けば、これで生きて行けるだろう、やつて行けるだろうという、一体その根拠は何であるか、示して貰いたい。
  55. 河野一之

    政府委員河野一之君) 諸般の状況から考えまして、(笑声)この程度金額が妥当であろう、既定予算の範囲と、それから政府職員生活の、年末年始における生計の状況ということから考えまして、両方から勘案いたしまして、この金額を決めたのであります。
  56. 木下源吾

    木下源吾君 それは一体誰がそういうことを考えたのか。
  57. 河野一之

    政府委員河野一之君) 内閣においてこういうことを決定いたしました。(笑声
  58. 木下源吾

    木下源吾君 一体この経過によると、最初は五百円か三百円でよかろうという考え方をしておつたらしいが、だんだん変化して二千何百円までせり上つてのはどういうわけですか。
  59. 河野一之

    政府委員河野一之君) この経費はもともと予算にはなかつたものであります。それでこういう経費につきましては、物件費を節約するということは、本来は適当でないというふうな考え方もあろうかと思うのであります。従いまして人件費だけで行きますと、これは御計算になりましても直ぐ分ると思うのでありますが、大した金は出ません。併しこの問題は鉄道の問題もありまするし、その他專売局の問題もありまするし、いろいろに相関連した問題でありまして、この際において、政府職員給與の問題と、それからその他の経費の問題との相互の関係の問題でありまして、鉄道におきましては人件費だけで行きますということになりますれば、殆んど全額は予算資金上不可能ということに相成るのでありまして、その他こういつたような諸般の事情考えまして、現在の段階としては、この程度のものを物件費まで節約をして出すのが適当であろうというような考慮からしまして、内閣においてこの程度の案を決定いたした次第であります。
  60. 木下源吾

    木下源吾君 この国有鉄道裁定の部分にこれを絡み合わしておるのだが、この件については、隣の部屋で労働と運輸との合同委員会をやはりやつておる。その場合にはこれはどういう結論が出るか分りませんけれども、この向うの方で、国有鉄道の方は別だ、これはこれで拂わなければならんという結論が私は出る可能性が強いと思う、それは全く当り前なのですから。それなのに、今こつちの方で、これは両方に引絡んでどうだというような結論を出し得ないと私は考えております。そういう、元来この理由書を見まして、そうしてこの私達がやつておるこの年末手当支給に関する法律案は、これとはちつとも合わないのだな、一つも……。この中には、この書いてある国有鉄道のことは一つも何もない。あなた方は腹の中ではこれは両方に引絡んでおるように思つておると言いますけれども、そんなものじやありませんよ。やはり嚴粛な法律を作ろうというときに、そういうことで一体これは通りはせんと私は思う。どうですか。ここの提案理由説明の中に、特に日本国有鉄道職員云々以下を消してしまつたら……。
  61. 河野一之

    政府委員河野一之君) この法律といたしましては、法律がなければ年末手当の出せないものについて、この法律を作りましてお願いしておる次第でありまして、木下さんのおつしやいますように、国有鉄道は全然別であろうというお考えもあろうと思います。必ずしもこの提案理由に拘泥するわけではありませんが、まあ年末におきまして、国有鉄道職員としても、政府職員としても、或る程度手当と申しますか、金を貰うということが同様な事情でありますので、附随的に書いた次第でありまして、御趣旨の点は、非常にお目障りでございますれば、取除きましても結構であります。
  62. 木下源吾

    木下源吾君 これは閣議で決まつたのだろうが、あなた責任を負うて削ることができますか。
  63. 河野一之

    政府委員河野一之君) 閣議で別に決めたわけでは……、この提案理由を決めたわけではありませんが、私共は相関連した問題としまして、政府側として提案理由として御説明申上げた次第であります。
  64. 木下源吾

    木下源吾君 昨日ちよつとお尋ねしたのですが、非常勤の職員を除くようにしておりますが、あなた方そういう考え方で手続をもう進めてやつておるようだが、これはどうですかやつたら、幾らも数がないのですから……。年末になつて給料を取つておる者が困るというのは分つておるのだから、跳返りでできるのだから……。財源は幾らでもある、幾らも掛らないと思う。せいぜいやつても一億くらいじやないかと思う。やはり政府が使つてつて仕事をして貰つておるのだから、差別は付けるべきじやないと思う。昨日はやらないと言つたが、働く者は皆同一な者ですよ。これを一つあなた、昨日のやつ取消しで、やるようになんとかすると、こういうふうに一つ御回答できませんか、御答弁が……。
  65. 河野一之

    政府委員河野一之君) これは年末の手当でありまして、一種のボーナスのような性質を持つておるものであります。この公務員支給するものは、この法律にもございますように、勤務期間に応じていろいろやるということに相成つております。非常勤の者は、これは少し性質が違うのでありまして、この前国会から提出になりまして法律となりました石炭手当、寒冷地手当につきましても、非常勤の者を除く建前で、そういうことで法律が出来ておるのであります。その趣旨を追いまして、且つ又この或程度ボーナスであるというような性質にも鑑みまして、常勤の者に支給するのが適当であろうという考え方を採つた次第であります。
  66. 木下源吾

    木下源吾君 まあ外の者はともかくも、とにかくくれというからやれということになつておるのですよ、ボーナスは。そこでくれというのは……、いろいろ考えて見て困るだろうから、どうしても年末を越せないだろうということから出ておるので、今まではどうだとか、あらを引つ張り出して比べて見たり……、そういうことを止めて、実際年末に困ることはあなた分つておる通りですよ。幾らの金もいらないし、跳返りの十五億もあるし、大した手続も面倒もないと私は思うが、あなた一人で今答えられんければ、少し研究してもかまわんから、一つ早速大臣なり何なり電話ででも打合わせて、これを一つやるように、どうせ決めたのだから、僅かばかりをそういうことでけちけちしておらんで、僅かしか給料を貰つておらん大勢の人です、その金額も……。而の国会の方でも十何人しかおらん、千人に対して一人くらいの割合なんですから、幾らでもない、このくらいのことはやつて貰わんと困ると思うから、どうですか、一つ御相談して後から何とかするようなことを考えて頂けませんか。
  67. 河野一之

    政府委員河野一之君) これは給與の建前から申しまして、現在の給與制度から申しますと、非常勤の者につきましては違う。俊来の国家公務員給與実施に関する法律、その他による給與とは別の給與制度になつておるのが大体の建前であります。この法律では国家公務員としてずつと常勤しておる常時勤務しておる、それによつて全体の生活の、生計せ営んでおるというような者に対してやるというような考え方なのでありまして、御趣旨のような点もございますが、これはいろいろ拡めて参りますると、皆年末に金がいるということになると、すべての者にまでこれが多少でも国の方に息がかかつている者はやるということになりますので、その辺の決めどころが非常に問題でありますが、従来の給與制度の建前から申しますると、非常勤の者はこれは入れないというような考え方が妥当するのではないかというように考えておりまして、御趣旨の点、御尤もな点もございまするが、そういうように考え方を変えるというようなつもりは持つておりません。
  68. 木下源吾

    木下源吾君 一体給與実施本部は、あれは大蔵省から人事院へ移つたことに決まつているのですが、まだ移らないでいるかどうか。
  69. 河野一之

    政府委員河野一之君) この前の国会法律案が出まして、人事院の方に移つております。
  70. 木下源吾

    木下源吾君 実際にはどうですか。
  71. 河野一之

    政府委員河野一之君) まだ法律が未公布になつているということでございます。
  72. 木下源吾

    木下源吾君 一体この人事院に行けばこの方の問題ははつきりするのですか。大蔵省は金のことばかり考えている、成るべく出さんようにあつたこつちこじつけておる。早くやつて今日中に法律を公布して、あとあと関係のないようにして貰いたい。どう、できないですか。
  73. 河野一之

    政府委員河野一之君) 実施本部はこれは内閣でございまして、大蔵省ではございません。
  74. 木下源吾

    木下源吾君 大蔵省はあとを引張つておる。
  75. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 今の点に関連してなんですが、その非常勤の人達は給與の上では差別されているというお話ですが、我々人事委員としては、国家公務員としていろいろの制限を受けているという点があるので、従つて若しそういうように一方では国家公務員法によつて、相当の制限をして置いて、他方では給與の点では一般の公務員に対して著しく不利に取扱つておられるということになると、やはり改正前の国家公務員法がよかつたということになつて国家公務員法の改正の必要まで感ぜざるを得ないような点も起つて来る。そういうことになつた方がよいというふうに大蔵省はお考えですか。
  76. 河野一之

    政府委員河野一之君) 非常勤の者は給與が日額千円以内、それから勤務時間は一般政府職員は四十三時間でありますが、三十六時間以内というふうに、人事院の指定になつているわけです。それを常勤の者でありますと、朝から晩まで四十三時間でありますが、ずつと勤務しているわけであります。それから非常勤の者はこれはいろいろ種類があります。各種の委員も公務員として、審議会その他の委員も一種の公務員であります。これは一週一回出て貰うとか何とかいうような、一種の手当で動いているようなのが大部分であります。この点につきましては、一般の常勤の公務員と、そうでない方との間におきましては、勤務状態において、或いはその他拘束を受ける上において、相当差があるのであります。この手当といたしましては、一般の公務員として、勤務時間のいろいろ制約を受けるといつたような者に対して出すのが、一種のボーナス的な制度でありまするから、適当であろうということで、常勤と非常勤というところで差別を設けているのも止むを得ないじやないかと考えております。
  77. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この財源の方でございますね、この中には税の跳返り、あれは財源になつておらないのですね、その新らしく出来る十五億ですね、十五億はどこに使うわけですか。
  78. 河野一之

    政府委員河野一之君) 現在のところその財源をどうするというふうな考え方は持つておりませんが、将来まだ年度末までに三ケ月もございますので、いろいろな事態が起つて来るということも予想されますので、その場合においては、そういう財源が問題になることがあろうかと思つております。
  79. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それからもう一つつて置きたいのですが、五十三億八千万円ですが、それだけ支出が殖えますね、今度それの物価に対する影響をどういうふうに考えられるか。
  80. 河野一之

    政府委員河野一之君) これが物価に対して特別に大きな影響を與えるというふうには考えておりません。
  81. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 多少影響を與える。基本的な問題として、公務員給與引上げた場合に物価にどういうように影響するかということを、大蔵省はどういうふうに考えておるか、もつと五十三億でなく賃金ベース改訂したという場合、物件にどういう影響をするか。    〔「分らないだろう」と呼ぶ者あり)
  82. 河野一之

    政府委員河野一之君) 給與ベース引上げた場合に、どういうふうな物価に影響を與えるかというような場合は、非常にむずかしいのでありまして、そういう理論的な計算はなかなかできかねるのでありますが、併し従来のいろいろなことから申しますると、いろいろな賃金の循環ということも考えられます。勿論人事院は一・何%程度の影響しかないというふうな御質論もあるのであります。それだけだと政府職員給與ベースを上げた場合、それだけの影響であるというふうには、私共考えておらないのでありまして、そういう具体的の計算については、現在のところ申上げるような資料を持つております。
  83. 森下政一

    ○森下政一君 先刻来の御説明で今回の年末手当というものが多分にボーナスのような、賞與のような性質を持つているのだというように、政府のお考え方がはつきりして来たと思うのですが、そうすると手当に対して課税する上において、賞與と同樣にお扱いになるお考えがありますか。さつきから聽いておると、跳返りが十五億とか何とかいうことであるが、そうなると賞與と同樣にお扱いになつていると思うが、多分にその性質賞與だと言つて置きながら、税金賞與と別に扱う。これは私は一貫しないと思いますが、どうですか。
  84. 河野一之

    政府委員河野一之君) 従来の制度で申しますと、賞與でありまするならば一五%ということに相成るわけであります。併しこれは年末において最終計算をいたしまして、そうして上澄みで取直すわけでありますから、この際仮にこのものを一五%として取りましたところで、この年末に一緒にそいつを従来の給與に加算いたしまして、もう一回再計算いたすわけでありますから、その点どういうように扱おうと、結論的に同じだというように考えております。
  85. 森下政一

    ○森下政一君 賞與の場合は一律に二〇%ということになるのじやないのですか。
  86. 河野一之

    政府委員河野一之君) 一五%、仮にこれが六月に出されたといたしますと、この前の生活補給金でも同じ問題があつたのですが、一五%で一応課税いたします。六月のときにおいて……。そうして年末におきまして、一般の給與の外に賞與を入れまして、もう一回再計算をいたします。そうして税の過不足を調整するわけであります。仮に今一五%で計算いたしましても、直ぐ再調整をやらなければならんわけでありますから、実質的には同じことになります。賞與である場合に、一五%課税しつ放しで、あとは取らないという性質のものでありますれば、森下委員のおつしやる通りでありますが、そういうような税法の建前に現在のところなつておりません。
  87. 木内四郎

    木内四郎君 ちよつと関連して伺いたいのですが、新聞の伝えるところによりますと、増田官房長官は衆議院で、これからは源泉の控除はしないということを答弁せられておるのですが、その点について、さつきあなたが言つておられることは矛盾しているように思いますが……。
  88. 河野一之

    政府委員河野一之君) この点は大蔵大臣は本会議説明になつておりますが、普通の税法でやるというふうなつもりでおります。
  89. 小川友三

    ○小川友三君 今日の連合委員会でどうも主計局長さんだけでは甚だ物足りないのですが、午後の連合委員会に労働大臣大蔵大臣運輸大臣、郵便大臣の四大臣の出席を求めまして、是非お伺いしたいことがありますので、時間も大体こんな程度ですから休憩の動議を提出いたしますが、一つお諮り願います。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  90. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 小川君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  91. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) それでは午後二時再開することにして、それまで休憩をいたします。    午前十一時五十一分休憩    —————・—————    午後二時三十七分開会
  92. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) これより休憩前に引続き大蔵人事連合委員会を開会いたします。  議案は、国家公務員に対する臨時年末手当支給に関する法律案の審議であります。前回に引続き御質疑を願いたいと存じます。
  93. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 増田長官にお伺いしたいのですが、臨時年末手当、これは人事院給與ベース改訂に関する勧告と何らかの関連があるのであります。
  94. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) 木村さんにお答え申上げます。人事院給與ベースに関する勧告とは直接の関係はない次第であります。
  95. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 直接の関係ないというのは間接にはあるという意味ですか。
  96. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) 年末手当等は、ここで法律案説明のときに説明員から申上げたと存じますが、我が国の習慣というようなものに照らしまして、債務等相当背負つているわけであります。債務のない人でも年を越すのに相当の、餅搗代やら何やら費用が要るので、総理以下政府、又政府與党等も非常に心配いたしまして努力いたしました結果、年末手当支給に関する予算的の、経理的の措置は先ず先ず了解を得た次第でありまして、その裏付けになる法律案を今回提出した次第であります。別に人事院勧告が提案されておりますけれども、我々は本来昭和五年乃至九年に比べまして公務員の実質給與がまだ上つておりません。そういう意味合をも勘案し、それから年末に関する我が国の習慣その他を勘案いたしまして、年末手当支給いたしたいと、かように考えておる次第でありまして、給與ベースに関する勧告があつたからなかつたからというわけではないのであります。
  97. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、関係がないという答弁なんですか。
  98. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) そうなんです。
  99. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、人事院勧告については又別途に考えられる御意思があるのですか。
  100. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) 人事院勧告というものは、原則としてこれを尊重いたしまして、できれば予算面に経理面に具体化いたしたいという考えで、研究はずつと続行いたして参りましたのでございまするけれども、最近その研究の結果給與ベースは変更しにくいと、まだ決定的になるのは予算を提出した時期でございまするが、給與ベースを変更することは著しく困難であるというのが現在の状況でございます。
  101. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、今後大体まあ二十五年度予算編成も終つて国会に提出されると思うのですが、それは給與ベース改訂しないで編成することになつているように聞いておりますが、人事院勧告があるに拘わらず、それを全然尊重しないで予算編成したと、こういうふうに解してよろしいのですか。若しくは尊重されて、今後において、今は著しく困難である、情勢に応じては、今後又研究して、人事院勧告を尊重する余地がある。そういうふうに考えていいのですか。
  102. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) 現在の状況では著しく困難でございまして、将来遠い先のことは、これは申上げかねますが、政府は今一生懸命経済安定施策を実行中でございまして、その点から鑑みまして勿論尊重いたしたいというわけで、而もできれば給與ベースは変更いたしたいという見地から研究いたしました結果、給與ベースは変更しにくいという状況に現在のところなつておる次第でございます。
  103. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 政府臨時年末手当というものの性質につきまして、これは給與の一部と、そういうふうにお考えになつておらないのですか。
  104. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) 一種の給與であると考えます。
  105. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしましたら、政府のこの給與体系に対するお考えですね。これはすでに年末賞與的なものは給與体系として適当でない。原則として給与体系の中に織込むべきであるというふうに決定しておるわけなんですね。それを臨時年末手当を今のお話ですと、給與の一部である。そういうお考えになるならば、何故給與体系の中に織込むような措置を講じないのですか。政府給與体系に関するお考えを承わりたいのです。
  106. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) 給與体系というふうには考えておりません。給與の一種であると、年末手当という給與の一種ではございますが、給與体系となりますと、恒久的なものでございまして、政府法律案の提案の際にも申上げましたが、今回限りの措置としてこの給與を出したい。こう考えておる次第でございます。
  107. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 給與ベース改訂することは著しく困難である。そういう結論に到達したというお話でありますが、その著しく困難であるという理由について具体的に承わりたいのです。
  108. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) このことは、予算書を提出したときに詳細御説明申上げたいと思うのでございまするが、ただ著しく困難であるという状況についても、今申上げた方がよろしいということでしたら、若干申上げたいと思います。政府勧告がありまして以来、引続き研究いたして参りました。又関係方面とも折衝いたしておりました。ところがかねて大綱的に我々が承認を得ておりまする予算案なるものがございます。これは本年度の補正予算を提出する際に、皆様のお手許に参考に御送付申上げた次第でございまするが、あのラインは日本のインフレを終局的に防止し、経済を安定させるために必要である。而も支出の各費目につきましても、あのラインでなければ日本の再建というものは所期し難い。こういう見地に立たれて、関係方面においても支持がありまするし、又我々の分別と裁量とによりまして、自分達の責任の下に、あのラインは動かし難いという結論に到達しつつある次第でございます。
  109. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 非常にまあ抽象的なお話で分らないのですが、まあ関係方面の意向、その他それを自主的に考えて困難である。こういうお話ですが、もう少し具体的に例えば日本の今の財源上困難なのか。或いは給與ベース引上げると物価に影響すると、そういうような物価政策上困難なのか。そういうように具体的に日本の今の経済状態としては財源上困難である。或いは物価政策上困難である。何かそこにもつと具体的な理由があるわけだと思うのです。そういう理由をはつきり承わらないと、何故給與ベース改訂しないのか。こういうことについて我々に納得行かないのですが、もう少し具体的にお話願いたい。
  110. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) 裁定の示されたときも、勧告と共に政府においては一生懸命研究いたした次第でございます。そこで我々といたしましては、給與ベースを変更することが、折角四月以来安定諸政策は効果を現わして、我々は到底、本当はざつくばらんに申上げますと、インフレを防止することは殆んど不可能ではないか。緩漫なるインフレというものは、御承知通り戰時中もございましたが、戰後引続きございまして、その速度は非常に緩漫というか、或いは急激というか分りませんが、顯著なるインフレの高騰の、上昇の一路をたどつてつたことは、木村さん御承知通りでありまして、これはとても尋常一様ではできにくいと我々は考えておつた次第であります。  そこで私はいつも言うことでありますが、第一次吉田内閣を含めて幣原、吉田、片山、芦田各内閣は、すべてこれ予算の立て方その他から見まして、緩漫なるインフレ政策を結果的に採つてつたと私共は感ずる次第であります。そこで九原則その他が提示されまして、又九原則の予算的解釈と言われるところのあの総合均衡予算が、第一回の総合均衡予算が本年度初めて組まれた次第でありまして、その効果は我我々予期したところと、実は反するくらい非常に立派なものでありまして、四月以来消費者生計指数というものは上つていないという状況、即ちインフレは我々は先ず先ず終局的に安定したと、こう考えておる次第であります。ところが御承知通り九原則の予算的解釈をされ、我々に一面示喚を與え、指導されつつあるところのドツジさん等の解釈によりますと、まだインフレの決定的停止、乃至経済的の徹底的の安定の各條件が悉く完成したとは思われない。まだインフレの素因は相当あるのであるというようなことを言われております。  殊に公務員ベースについても非常に研究をして貰つたわけでございますが、公務員給與ベースを変更するということがあれば、再びウエージ・アンド・プライスのアンサイクルが始まるということは、ドツジさんが帰えられるとき明示されておつて、日本タイムスのAP通信にはこのことが、サイクル・オブ・ウエージ・アンド・プライス、再びこの循環が始まるということを強調されております。我々は財源との他ということにつきましては、或いは木村さんは非常によく御存じで、債務償還費その他があるではないかというような御指摘もあるのじやないかと思いますが、とにかく公務員給與ベースを変更したところで一般産業労働賃金関係がない。或いは汽車賃並びに貨物運賃に関係がないというようなことは言い難いのでありまして、まだ素因の一つになつておる、而も重要なる素因になつておるというような、こういうような示喚は、我々の素人分別によりましても納得の行くところでございまして、我々は自分たちの責任において今回提出せんとする総合均衡予算が、折角効果を奏しつつあつたこの安定施策を継続せしめるゆえんである。今が一番大事なときである。こう考えておる次第でございます。
  111. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 非常に考え方ははつきりしたのです。併しそれが非常な問題になるわけです。この給與ベース改訂しないということが、結局又ドツジさんの考え方でウエージ・エンド・プライスが、又惡循環する。これを非常に強く考えられておるわけです。それで政府もその見地に立つておるわけですが、実はドツジさんはドイツのイイフレ処理の案を作られて、そうしてドイツにおいてインフレを処理した場合と、日本において処理した場合と非常に違うのです。ドイツにおいてはインフレーシヨンによつてつた所得の非常な不均衡を通貨改革によつて是正した。非常に徹底した通貨改革によつて、インフレによつて生じ所た得、富の不均衡を是正して、そうしてインフレ処理をしている。ところが日本の場合は御承知のようにインフレーシヨンによつて生じた非常に著しい所得、富の不均衡を是正しないで、そのままこの均衡予算をとつているわけです。而もその均衡予算が、今増田さんの言われたように思わざる均衡予算であつて、超均衡となる。そうして非常に不均衡になる。大衆が非常に貧乏になつている上に、その大衆から又非常に沢山税をとつて、この超均衡予算を作成しているのです。そのために大衆の購買力は著しく枯渇して、それが今の不景気の原因なのです。物が売れない、滯貨が集積している、これが今の不景気の一般の一つの大きな原因だ。  もう一つは輸出が振わないという問題でありますけれども、その考え方が非常に問題になるのでありまして、政府賃金を上げる、公務員給與を上げると、直ぐそれが物価を上げて、いわゆる消費インフレ、ドツジさんのいわゆる消費インフレが起つて来る。それだから上げないのだ。若しそれを上げれば、折角安定しかかつたものが又崩れて来るというその考え方です。これは私は非常に間違いだと思うのです。このまま押して行つたら決して安定ではないのです。予算自体を御覧になつても、超均衡予算といわれるくらいもうデフレ予算、はつきりデフレ予算だ。ですから現在は安定ではなく、実際においても非常にデフレ的になつている。これを一応調整する必要があると思うのです。そういう意味において私は、給與ベース改訂して多少物価が上つても、むしろそれは均衡点に行くものであつて、非常なデフレをデイス・インフレ線に戻す。而も給與ベースを上げたら、これは直ぐインフレになるという考え方自体が惡い。というのは日本銀行券の増発ということになれば、成る程これはインフレーシヨンということになるけれども、債務償還に充てる分をこれを給與ベース改訂に充てるとかいうふうにすれば、要するに所得の蓄積の範囲内においてこれを賄えばインフレにならないと思うのです。その線を、根本的な考え方、消費インフレという考え方、これはドツジさんもそうかもしれないが、私はこれは間違いだと思うのです。この点について私はもう少し愼重に再検討される必要があると思うのですが、つれについては政府政策の根本に触れるものでありますから、このままの政策を遂行して行かれたならば、むしろ日本経済は非常な混乱が来ると考えるのですが、長官はこの点についてどういうふうにお考えになりますか。
  112. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) 造詣の深い木村さんの御意見は御意見として承つて置きますが、私共はこう考えております。今非常に大事なことである。この際若し給與ベース等を変えるということがあれば、物価賃金との惡循環が始まるといつたような言論は、すでに二年前のことであるというようなことを、衆議院の議員の諸君の中で言われた方がございますが、二年前でなくて現に十二月の十二、三日頃帰られたドツジさんが、帰られるときにそう言つておるのでありますから、このウエージ・エンド・プライスが、再び惡循環が始まるというようなことを言われておるのです。而もドツジさんの我々に示唆された均衡予算の特色は、やはり日本のインフレというものを徹底的に收束させるには、債務償還というようなものに相当の支出をしなくちやいけない。債務償還の関係財源があるのだから、こつちに廻せばいいのじやないかということになれば、再び公務員給與ベースが上り、産業労働者の全体の賃金も上る、予算も上るということになる。結局八千億円、一兆、一兆二千億円というように段々予算は増加して、事業量から見れば昔と変らないような事業量しかない。即ちこれがインフレである、こういうことに再びなつて行くのじやないかと我々は憂えておる。今のところ、我々はイージー・ゴーイングで惡評を買いたくなければ、国民からもこれは非常に不景気政策だと言われておりますから、各種の惡評を買うことがいやでありますならば、安きに就くことが私は一番楽だと思います。そうすれば緩漫なるインフレ政策になる、石橋財政ということが言われておりますが、私共責任の地位がないので、非常に申上げにくいのですが、こういうことになれば非常に楽なのですが、これでは毎月々々毎年毎年賃金が上つて購買力は大して上らない、結局同じごとだといつたような公務員、一般産業労働者諸君の嘆きは絶えず続く、結局足取を合せて産業再建という巖を一応樹立しなければならん。多少苦しみはございましようが、この際賃金ベースを一時の苦難を忍んで貰つても変更しない、将来巖の上に産業再建という立派な家ができたときは、我々は考えなければならんと思つております。昭和五乃至九年に比べて六十数%にしか実質賃金が上つていない。木村さんの御論の通り我々は昭和五乃至九年までの生活水準を許されておるのですから、月給七十五円で洋服二着できたというような時代に、早く社会なり経済を持つて行かなければならん、こうも思つておる次第でございまして、そのためにも只今のところ、総合均衡予算というものは折角一年やつて効果を奏しておつたところが、これではどうも怨嗟の声も相当あるからして、又金詰りその他いろいろな不平の声もあるし、破産者もあるから、我々が惡評を避けるとか、再び前の安きに就こうということは、非常に人間の本能といいますか、割合に楽なことなのですが、そういうことを敢えてしないで、難き途をとつておる次第でございます。債務償還のことについては、造詣深い木村先生でございますから、各種の御意見もございましようが、ドツジさんはあそこへ特色を置いているようでございますから、我々はやはり人の言のうち聽くベきものば聽くという見地から、自分の責任で総合均衡予算を採つて見たところが、幸いに四月から安定していることは御承知通りであります。但しこの安定政策の活用ということは我々は大事じやないか、こうも考えておる次第でございます。明年度等におきましては、又予算説明の際に大蔵大臣等が説明されると思いますが、公共事業費その他事業量においては、本年度よりは確かに多いのでございます。調整費等は少くなつておりまするが、事業量におきましては産業復興に役立つ積極面が多い、総額においては六千百億円でございまするが、事業量は今年の七千四百億円より遥かに多い。從つて産業復興について我々は希望を持ち得る積極予算である、こう考えておる次第でございます。
  113. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その考え方考え方としては分るのです。増田官房長官のお話はドツジさんの構想をそのまま伝えているわけなのです。その構想は分るのです。併しドツジ・ラインの意味するものは、我々から見ると二つの面でインフレを処理しようとした来た。一つは四月二十五日、三百六十円の為替相場を決めた枠を嵌めた。もう一つ国会では超均衡予算、そこで問題になるのは一ドル三百六十円というものを決めて、これが円高であるか円安であるかの議論は存するところだと思うのですが、とにかく円の対外価値を決めとしまつた、これは動かせないということになつておる。ところで賃金を上げ物価が上つたりすると、三百六十円が維持困難になるから、三百六十円を維持するために、国内の生活水準なり賃金水準なりが犠牲になつて来る、それを維持するためにそこに問題があると思うのです。そこで大体増田さんのお考えは、政府においてはドツジさんのお考えをよく咀嚼されたと思うのですが、併し我々が見ておると、それだけどうも咀嚼されていない。その生のままのような気がする、もう少し咀嚼されるならばドツジさんの考えとしてはいいのですが、日本の今の経済の実情に当てはめた場合は、これは私は決して日本経済の安定に役立たないものである、そういうふうに思う。そこで先ず伺いたいのは一ドル三百六十円という為替相場は日本の実情から見て円高であると考えるか、円安であると考えるか、これがまあ非常な重要なポイントになると思う、もう一つは円高である三百六十円、何んでも対外価値を維持するために施策を集中しなければならんというと、日本の経済の均衡も何も犠牲になつてしまう、賃金を上げたくても上げられない、物価を上げたくても上げられない、対外価値の維持のために日本の経済秩序の維持が犠牲になつてしまう、そういうふうな非常に窮屈な為替相場をいつも堅持して行くということになると、非常に出血が多いと思う、日本の経済に……。三百六十円というのはどういうふうにお考えになりますか。
  114. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) 三百六十円は最も適当な為替相場だつたと思います。というのは御承知通り、これは我々といたしましてはしばしば御説明いたしておりますが、設定当時に連合軍側におきましても将来のスターリングの関係のことも考慮して、三百円乃至三百三十円……、巷間では三百円ぐらいだろうと言つている人もございましたが、中には三百三十円という人もおりましたが、我々もそのくらいになると考えておつた、ところが予想に反して三百六十円に設定された、これは将来起るべきフアクターも考慮に入れて設定されたものだということも仄聞いたしておりました。そういう、スターリングが下つた或いは状況をも勘安しておる次第でございまして、客観情勢から見まして、私共は最も妥当な為替相場であると考えております。殊に木村さんの御存じの日英通商協定が連合軍の配慮によりまして出来ました。ドル勘で二億七、八千万ドル、買つたり売つたりする、こういうときはやはり三百六十円買戻しになりますから、将来売手買手は同じ割合になりまして、我々は竹馬の足を切つて行かなければなりませんので、日英通商等の関係におきましては三百六十円が若し下がるというようなことは、若し買うものが余計になると結局非常に損します。為替相場が安いということから非常に損しますから、兎に角、買う物が大体同等であるというようなときにおきましては、買うものが少いときは、きましては、買うものが少いときは、又為替相場が安いと損しますが、とにかくあれで私共適当であると、こういうふうに観測しております。
  115. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それはもう幾度も議論になつておるところですが、三百六十円がポンドの切下げまで考慮して決められたというが、これは少しおかしいと思う。あの当時の予想としては三百円、三百三十円設もありましたが、大体三百三十円ぐらいに決まる筈だつた、ところが一月から四月二十五日の設定の間にアメリカの物価が約一割下つておる、そこで三百三十円の一割減としてですか、三百六十円に決まつた。こういうふうに我々は承知しております。それが最も合理的な説明だと思うのです。当時そうであつた、それは決してアメリカの不景気、それからポンドの切下げを予想して設定したのではないと思う、それ程私は千里眼的に将来の見通しをしておられたのではないと思いますが、これは私は吉田首想が施政演説においてああいうことを言われたということは非常に不見識だと思う、全く事実き相違しているのだから……。そういうようなことで説得したのではいけない、政府は率直にあれは間違つたので、あのときにはポンド切下げも、その他も考慮しなかつた、併し合理化その他でできるというなら説明がつくのです。そういう誤魔化しの……。知らない人はそれでいいかも知れませんが、我々当時の実情を聞いている者に取つては、そういう御説明では納得行かないのですが、それは議論になりますのであれですが、結局最後にやはり問題になるのは、どうしても円の割高を維持するために日本の経済が非常に混乱しておるということを、もつと再検討される必要があると思うのです。非常に軽く考えておられると思うのです。最近の株式の暴落の原因は何かというと、一つは債券整備で増資をどんどんやつて、株過剩になつたりする面もあると思うのです。一つはやはり貿易が非常に困難になつておる、そこで滯貨が生ずる、そういうところから事業家が不振になつて、そこから事業界の採算が困難になつて来て、そういうところから株過剩以外の原因によつて、即ち、対外価値が非常に円高で、非常にデフレ的な要因を持つておるために、そういう混乱が来ておると思うのです。賃金引上げ給與引上げ等ができないのは、三百六十円に縛られておるからで、これは日本経済の安定とか再生産的な発展、そういうものを考える場合は、この点はもう少し愼重に政府は再検討されませんと、決して安定の線に行かないで、むしろ今後株界に決われておるような非常な恐慌が来ると思うのです。今の株価がもつと下る。今は銀行は貸しておる、事業会社に貸しておる債権を回收するために株価を安定させて、大衆がひの株を買つてから銀行が債権回收をする、恐らく銀行は株価の維持に乗出さないと思う、そういうときに又非常に株価が下る、そういうときに私は今の株恐慌が金融恐慌にまで発展し、国内の全体的な範囲に亘つてまでその危險が想像される。その根本的な原因は円高の三百六十円にあると思うのです。この点はイギリスにおいても前に非常に問題になつたのです。その対外価値の維持のために国内経済が犠牲になる、国内経済の秩序が犠牲になる、この点は政府はもう少しお考えになる必要があると思うのですが、この点はどういうようにお考えですか。
  116. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) 詳細は大蔵大臣、或いは通産大臣からお答えいたしたいと思いますが、私の所見は前にお答えいたした通でありまして、あとは木村さんの御意見を承わるということにいたしたいと思います。
  117. 小川友三

    ○小川友三君 官房長官もお忙がしいと思いますが……。今の賃金ベースを上げないということは、大分政府はがつとりと決めておるようでございますから、上げないならば勤労所得税をもつとぐつと下げて貰いたい、こう思うのですが、結局勤労所得税を下げるのに、今一千二百億の勤労所得税を課けておりますが、政府自然増收で三百六十億も儲かるのでありますから、この面において取敢ず税收入を自然増收の面から、三百六十億の増收がありますから、それで勤労所得税をそれだけ下げて貰いたいと思うのですけれども、賃金ベースを下げない代りに、勤労所得税を下げて行く、本当の実入りを多くするという立前を是非、増田官房長官は総理大臣の代理というような方ですからその点について御所見を承わりたいと思います。
  118. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) 小川さんにお答え申上げます。政府は御承知通り勤労所得税といわず、農民関係所得税、その他勤労所得税以外の事業所得税一般につきまして配分に一生懸命努力しておりますが、シヤウプミツシヨンの招請をしたことは御承知通りでございますが、その報告書を得まして、その報告よりもやや上廻つた減税ができるというような見通しでございます。今までの勤労所得者は勤労所得税が下りまして、つまり所得税の委め方が、今年千円納めたならば、来年は七、八百円というように下ることになると思います。
  119. 小川友三

    ○小川友三君 それから特に長官にお伺いしますのは、全国の百七十八万余の国家公務員はこのペースが変らないというので非常に苦心しておりまして、大体一世帶三千円程度の借金があると思います。質屋に、友達に、親戚に、或いは懇意な人にというわけで大体三千円程度の借金がある筈ですが、これは合計すると五十億を突破するのであります、これがこの年末に当りまして、この百七十八万余の勤労大衆は合計五十億円以上の借金を背負いまして、そうして年末に子供に足袋に一足も買つてやれないというような状態で、余り年度の年末のボーナスが少ないので、その利息を拂うので消耗してしまつて、とても足りないというような現実の状態なんでございますが、この五千円程度出すというものは、政府の案では正味五千円渡すように、最高支給額が五千円と書いてありますね。最高支給額ですからこれは税金をかけないで貰いたい。支給という額は渡す額ですから、それを税金をぽんと取つてしまうと、半分ぐらいしか行かないというので、どこへ行きましても、国家公務員は皆税金で取られてしまうんだからしようがないというのが事実でありますので、この際年末の支給額は税金を取らなくても、税金自然増收面で、特に税務署が更生決定という何百億という課税をしております。それで又利息を日歩二十銭取つておりますが、その額は恐らく五百億を突破すると思います。五百億というのは自然に予算面にない別途收入がある筈でございますから、この際長官はいわゆる国家公務員の最高幹部に近い方ですから、長官に下の人が貰うのに五千円見る、全部税金を取らないて、全部渡して貰うという税制の許す限りで特にやつて貰いたい、こう思いますが、親心を持ちまして自分の子供を愛する気持で国会公務員のこの百七十八万人の人に出して貰いたい、これはひたすらにお願いするのですが、そうした親心じやなくて、他人行義で杓子定規でおやりになりますかどうかお伺いしたい。
  120. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) 国家公務員といわず、産業労働者諸君が或る程度の借財を背負つておるというようなことは恐らくは事実でございましよう。総理大臣もその点に深く意を用いまして、是非とも年末には若干のボーナス的なものを差上げたいというわけで、その配慮がここに具体化された次第でございます。但し税の関係は若し公務員だけを除外するというようなことであれば、今度は一般産業労働者諸君の不平を惹起いたしますので。なかなかいたし難いのでございます。若しできれば分割拂いというようなことを考えてはどうかというようなことも、衆議院において非常に熱烈な希望もございましたが、これも税制関係からしてそういたしかねる次第でございます。政府といたしましたはできればいたしたいのでございますが、こと一般産業労働者諸君にも影響いたしまして、とにかく若干ではございますが、債務の償還に充てられる、その総額はここに書いてありまするように法律案に基くものが、借金を除くということは私共はちよつと分りませんか、今度の年末手当は総額は五十三億八千万円でございます。税金を引きましても四十億ぐらいには必らずなると思います。又地方の公務員、教職員その他が三十五億乃至四十五億こういうことになつておりまして、只今川さんの御指摘の債務償却は五十億でしたらそれよりも上廻る、こういうことに考えております。
  121. 小川友三

    ○小川友三君 そこで借金を全部拂つて一つ買えないというような状態に実はなつておりまして、先程長官は木村先生に大変敬意を表せられての御答弁の中に、月給七十五円ぐらいの頃を思い出されて洋服が二着買えた、その時分は一ドルが二円五十銭という為替相場でございまして、現在の為替相場で換算いたしますと、平均一万円が平均賃金であります。それを六千円や七千円の金では三割八分程度ちよつとになりますので、それで勤労大衆の生活苦というものは毎月重なりました次第であります。大体一万円平均が今の長官のおつしやつた七十五円の、二十年前の授與ベースと正比例するのでありまして、この点につきまして一万円くらいが正しいというような状態になりますが、併し今の情勢でこういうものは出せないというのが結論に出ておりますが、どうか政府はその枠内におきまして、でき得るだけこの歳末に当りましても、一日も速く、一時間も速く百七十八万余の勤労大衆にボーナスを出してやつて貰いたいという気持でおりますからして、どうかこの点につきまして、この税金を、長官は五十四億出すのを十三億引くから、実際は四十億弱しか行かないのだということを言われましたが、そこに十三億という税金を引かないでやつて貰いたい。そうすれば増田大官房長官の名は歴史的に残ると思います。そこで閣議において増田長官は総理大臣の腹心の真のオーソリテイーなんですから、どうしてもこれは国民の念願は、どうしても十三億の税金を引かないことですといえば、総理もそうかと言つて通るのでありまして、この点については百七十八万大衆を救うサンタクローズとしてやるという気持を見せて貰いたいと思うのであります。
  122. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) できればサンタクローズになりたいのでありますが、税制の改正を……、これは総理の扱かいだけではいかんのです。皆さんの議決を要する税法の改正の必要があるのでありまして、そういたしますと、一般産業労働者諸君、或いは一般の業者諸君というようなことにも響いて参りまして、今日のところこの程度のサンタクローズで許して頂きたいと思うのであります。
  123. 小川友三

    ○小川友三君 誠に有難うございます。そこでもう一段飛躍して頂きましてまだ会期末に二、三日ありますので、どうにか官房長官におかれましては、この百七十八万の勤労大衆、家族を見ますと約八百万人に上るのであります。今日の委員会も、この国会も官房長官如何に出るかということを、国民挙げて期待しておるのでありますからして、どうかこの十三億という税金をぶつたくらないで、十三億くらいは幾らでも、この煙草の專売益金及び酒の益金で十分でございますから安心なさいまして、課税をしないで一つ出して頂きますならば……、更にこの委員会き継続しまして、又明日の委員会で官房長官の御所見も伺いたいと思うのでございますが、どうか一つよろしく御考慮に入れて頂きまして、立派な増田サンタクローズ先生になつて頂きたいと思います。
  124. 川上嘉

    ○川上嘉君 先程の木村委員に対する答弁の中で、給與ベース改訂する意思がないような答弁でしたのですが、その給與ベース改訂しないという原因ですね。理由ちよつと伺いたいと思うんです。しなくてもいいという理由ですね。
  125. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) 川上さんにお答え申方げます。我々はこういうふうに考えております。六千三百七円の賃金ベース公務員について設定されたのは形においては去年十二月からでございますが、名実共に設定されたのはこの四月でありまして、そこで四月のCPIを百といたしますと、十一月が九十九、十二月が九十六という数字を示しております。これは何を意味するかといいますと、総合均衡予算の効果が現われて参つた、いわゆる施策が奏効しつつある状態でありまして、折角このインフレが停止した、終局的に停止したとは言えないとドツジさんが言つておりますが、とにかくインフレを再燃させる素因さえ作らなければ、我々はインフレは終局的に停止した、こう考えるわけであります。中間安定的な終局安定である。こう考えております。勿論我々はインフレ再燃の素因を作つて公務員、労働者諸君を含む八千万国民に相済まん、こう考えておる次第でございます。
  126. 岩間正男

    ○岩間正男君 この提案理由の中にもあつたし、或いはさつき河野主計局長答弁にもあつたのですが、今後は年末手当的なものを絶対支給しないというお話ですが、それを確認してようございますね。
  127. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) さようでございます。
  128. 岩間正男

    ○岩間正男君 それでじや年末にどうしても日本の人までの習慣並びに生活の習慣からいうと、どうしても一月や二月くらい賞與的なものがなければならんというのが慣習であり、現在も亦そういうように行われておると思うのですが、その点は政府はどういうように考えておりますか。
  129. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) お答えいたします。今回総理大臣その他が特別に心配をいたしたのは、年末一月はなかなか苦しい。赤字を抱えている人も相当あるということは、今小川さんの御指摘の通りでありますが、赤字がないにいたしましても、年末には餅つき代その他必らず費用が普通の月よりは相当要る。而うして一面給與昭和五年、九年に較べてそう高いとはいえないのでありますから、今年は今年限りの措置として、何とかいたしたい。来年のことはともかくもという出味で折角総理が配慮した次第でございます。
  130. 岩間正男

    ○岩間正男君 総理の先の談話の中にもあつたと思うのでありますが、今年はボーナスを支給したい。ところがあの補正予算が提出される前後になつてから、そういう言葉を聞いた。今のお話にもあるように、そういう日本の習慣的なものはこれは認めというように大体確認していいと思うのでありますが、そうするというと、先の今後年末賞與というものは出さない、手当というものを全然出さないということになると、問題は月々の給與の中で余裕がありかどうか、その余裕が蓄積されて最後に年越しに間に合うということでなければ、生活が完全に破壊されると思う。その点これはどうですか、現在の生活実態を調査して見ると、月三千円から五千円の赤字というものが出ておる。そうして今度の国鉄、海上運賃の値上げ、米価その他の補給金を外す、こういうようなことで、物価が一一%ぐらい上昇する。こういうことを先程言われたのでありますが、これを何とか減税なんかで吸收する。こういうことを言われるのでありますが、併しそれだけの措置で以て今の民間給與と比較して、三〇%から四〇%も低い、こういうような情勢が解決されるというように見通されますか、而も尚余剩がいくらかあればそれを蓄積して行つて来年の年が越せる。そういうように考えておりますか。
  131. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) お答えいたします。岩間さんは来年どうされるかということに対する御質問と思いますが、私共といたしましては、明年は実質賃金を高めて参りたい。その政策に我々の力を集中いたしたい。こう思つておる次第であります。給與変更はしなくても、積極的には物価を上げない。又取引高税や物品税等についての関係から物価を上げない。殊に闇なんかは下げて行きたい。マル公等は或いは撤廃するというようなことにもなりましようが、とにかく実効価格は下げて行きたい、こう思つておる次第であります。又税の方面からの減税を大いに図りまして、その方面から消極的に実質賃金を高めて参りたい、こういうように考えている次第でございまして、明年のことは現在考えていない次第でございます。
  132. 岩間正男

    ○岩間正男君 今までもその政府答弁は何回も実は聞いたのでございます。併し先程のお話にも一一%の値上りを吸收し、而も現在一世帶三千円くらい足らないものを解消し、更に少くともこれは一月の中の生活費の十分の一乃至百分の十五くらい余裕を持つて行かなければ、これは日本の現在の必要な賞與的なもの、年を越す金というものは著積されない。ところが今のお話では実質賃金を高めるといいますけれども、ひの問題が実際問題として、いろいろな場合に説明にはなつていますけれども、値上りを吸收し、それから足らないものを更に補い、更に来年の年末に対してそういうような一つの貯えをする。そういうことを可能だとお考えになつておるか。その点を具体的に言わないと、抽象的に今のような説明だけでは実際に生活実態に即していない。こういうふうに考えるが、その点どうですか。
  133. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) 岩間さんにあ答え申上げます。全体といたしまして明年度は各月とも実質賃金を高めて参りたいと、こう考えておる次第であります。できれば消費節約等をして貰いまして年末に備えて貰いたいところであります。ともかくも我々は恒久的のボーナス制度というものは客観情勢その他によりまして打立てにくいのでございます。
  134. 岩間正男

    ○岩間正男君 それは二十年度以後ボーナス制度というものは廃止された。而も二十一年、二十二年、二十三年、今年に至るまでそれが継続されておるところに、つまりアメリカ式の生活の形態と、日本の生活の形態が違つておるという実態がはつきり出ておるのだ、それをアメリカ式の給與体系をこれを持つて来て果して日本の現状に合うかどうか。更にアメリカの労働者の場合は、これは余裕がある。月々の余裕というものを考えることができる。ところが日本の場合は逆に赤字になつておる。それを同じ給與のやり方で以て給與体系を飽くまでもその原則に押嵌めるという、こういうようなことでこの問題が解決されると考えておるかどうか。
  135. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) とにかく来年のことは言いかねる次第であります。
  136. 岩間正男

    ○岩間正男君 それし吉田内閣が来年まであるかどうかということと連関しますから(笑声)その点は私も無理にお聽きしようとは思つておりません。併しながら少くともこれは一つ見通しのある政策というものが考えられなければならない。来年のことをいうと鬼が笑うということで、その点を、問題を等閑に付して置くということは私共には考えれない。では私が何故そんなことをここでくどくどしく何回もお聽きしたかというと、どうも政府の今取つておる年末給與を打切るというようなやり方を一方で強行するなら、これと連関して当然これは給與改訂をしなければならない。こういうような客観情勢とか何とか言われますけれども、勤労生活者の実態、客観的な情勢におきましては、そのことは絶対に不可欠の條件であると我々は考えるのですが。
  137. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) その点は不幸にして岩間さんと所見を異にいたしております。我々は数を上げることが絶対に不可欠であるというふうには考えていない次第であります。或る労働組合の幹部の諸君とも話合つて見ましたが、諸君は必ずしも……、むしろサラリーを減ずるというような時代が来るであろう。又来るように将来する必要があるというようなことも言つております。つまり名目賃金だけが上ることをちつとも公務員、労働者も、産業労働者も喜んでいない次第でございまして、貨幣の購買力を殖やすことを最も喜んでおる次第でございまして、我々が実質賃金を上げたいというのもそこに主眼があるので、明年のことは申上げにくいというのは明年度年末の拂いをこの際どれだけ上げるというようなことを約束しかねるというわけでございます。
  138. 岩間正男

    ○岩間正男君 その点は意見の開きになりますから議論は止めますが、もう一つ次にお聽きしたいのは、超過勤務手当の問題でありますが、これは完全に拂われていない。これは局課長なんかがこの頃は超過勤務を命じていない。然し非常に行政整理なんかで実際人が減つておる。だから一人当りの仕事の量というものは非常に殖えておる。だから命じなくとも実際居残つてつておるから相当超過勤務手当は溜まつておると思う。この超過勤務手当と今年の末年給與というものは関係があるのかどうか。私は関係がないと思うが、若しないとすればこれに対して一体政府はこの残分に対してどう処置するつもりか承わりたい。
  139. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) お答え申上げます。超勤と年末ボーナスとは関係がない次第であります。それから超勤の残つておる部分ということはちよつと私分りかねますが、超過関係予算が相当あるならばという意味と解してお答え申上げますが、超勤関係予算があるならば、できるだけ超勤関係予算は適正に経理すべきである。サラリーを背負つて行くということはよくないとこう考えております。ただ併しながら、超勤の命じ方でございますが、これは岩間さんがよく御承知通り政府、或いは会計支出官等は決して不正なことはしていないそうでございます。
  140. 岩間正男

    ○岩間正男君 現在の超過勤務手当支給方法を見るというと、これも実態に即していないと思う。実際超勤をやつた額に対して與えられておる額でなくて、一応の予算的の措置で、その予算を何とか機械的に分けて、それを各局課に分けて、それによつてこれを配分する方法を採つておると思います。そういたしますと、労働基準法に対して、これ本当に遵奉するというようなやり方を採つていないのであります。そこに予算措置が問題となるのでありますが、そうしますと、政府は労働基準法を尊重する建前から飽くまでもこの不足分に対しまして、一体予算措置をされる考えがあるかどうか。その点が重要になつて来るわけであります。
  141. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) 労働三法は、御承知通り公務員に適用ない次第でありまして、先程も申上げました通り会計官、或いは政府は不適正なる超勤は命じていないということを申上げます。
  142. 岩間正男

    ○岩間正男君 次にお聞きしたいのでありまするが、今度のこの手当を出すについては枠内操作をやる、新らしく補正予算というものを組まない、こうい建前で来られたのでありますが、今年度において補正予算を今後組むという意思があるかないか。この点ほどうですか。
  143. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) 今ちよつと御質問分りかねましたが、一般論として第二次補正予算を組むかどうかという御質問でありますか。
  144. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうです。
  145. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) 現在のところは考えておりませんが、三月末までに必要が生じますれば第二次補正予算というものを組むかも知れません。
  146. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうしますと、これは昨日も本会議で質問いたしたのでありますが、そのときに、教員の措置、地方財政が非常に不足して、恐らくまあ現実に間に合わないというような事態が起つて来る、そうなりますと足りない分に対しては、殊に教員の分には半額国庫からあとで措置するということを高瀬文相も答弁されたのであります。  それからこれは新聞に出ておるので分らないのでありますが、現に官房長官もその辺については、教員の配付税で賄えない部分については、後日二十四年度の補正予算として国会に出したいということを述べられておるように出ておるのでありますが、政府はこのような措置をされるのでありますか。
  147. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) 地方教職員については、政府国家公務員と同様な計らいを地方においてなさることを期待いたしております。  その結果、負担関係でございまするが、配付税等において勿論国庫は半分負担せんければなりません。配付税で賄えるかと思いますが、賄えない部分については後日において予算措置を講ずる必要があるという事態も予想される次第であります。
  148. 岩間正男

    ○岩間正男君 その際の財源なんかについては検討されておるわけでありますか。つまり枠内操作ということになるのか、新らたに補正予算として組まれるのでありますか。この点はどうですか。
  149. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) 財源等は、これは国庫負担分にもよりますが、私大蔵省ではございませんが、これは適当に大蔵省で配付される、やはり多くても十数億でなくて、数億じやないかというふうに考えております。
  150. 川上嘉

    ○川上嘉君 先程の私に答弁の中で授與ベースを上げるとインフレーシヨン再燃の素因を作る、こういうような御答弁でしたが、通貨も別に増発するわけじやないし、この程度の授與ベースを上げることによつてどうしてインフレを促進することになるのですか。この考え方の根拠ですね。別に通貨は増発しないわけですね。
  151. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) 川上さんにお答え申上げます。一例だけで申上げますが、例えば公務員給與ベースを上げるときは我々公社の関係も上げなくちや公平の法則に合致しないと考えております。実質的に公務員と同じ活動をいたしておるのであります。そこで国鉄関係は御承知通り、今回十五億五百万円出すのに非常に苦労しておる。即ち三千一円出すだけでも非常に苦労したのでありますが、給與ベースを仮に十といたしますと、そうしますと御承知通り八十五億の赤字を……。尤も年々歳々赤字でありまして一遍も間に合つたことがない、いつも一般会計、銀行等から借金しておつたのですが、今年もその例に免れない次第でございまして、八十五億の赤字を三月末は出すということが明瞭に予見された次第であります。そこでいたし方ない、貨物運賃の八割値上、それからそれでは足りないというわけで一般会計から三十億借りて来ております。そこで給與ベースが仮に七千八百七十七円になりますか、上げたといたしますならば、それだけは必ず赤字になるのでございます。昭和二十五年度のことも私は明瞭に予見せられると思いまするが、赤字になりまするから、この財源は或いは大巾な行政整理を更に断行するか、例えば五十万を四十万にするとかそういうような措置があるならば格別ですが、これは或いは計画輸送量から見て、今の整理というものは相当大巾な整理でありますから、国鉄従業員の一人当り担当業務は相当殖えております。将来そういうような途を選ぶということは国鉄従業員に対しては酷ではないか、こう考えております。然らばどうするかといえば結局貨物運賃、旅客運賃の値上ということになる。そういう因子からインフレ昂進のフアクターは明瞭に出て来ることは川上さんも御了解願いたい、こう思う次第であります。
  152. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 最初に伺いたいのは、公務員法なり、或いは公労法なりを今のように解釈されて、人事院勧告なり、或いは仲裁、裁定なりということを今のように処理されるということが公務員法、或いは公共企業体というような、そういう法律を尊重されているゆえんだというふうに考えておられるかどうか、どうです。
  153. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) 羽仁さんのおつしやる今のようにというのがちよつと分りかねるのでございますが、もつと具体的に……。
  154. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 つまり給與ベース改訂というものを人事院勧告というものに従わない、又仲裁、裁定にも従わない、そうしてこういう臨時の処置をとられる。
  155. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) これは従らないということは結果的にそうなつたかも知れませんが、裁定は一部受諾をいたしております。而も現に実行しつつあります。十五億五百万円の限度においては……。それから給與ベース改訂におきましては恐らく給與ベース勧告に従うことはできませんが、御承知通り国会公務員法にも勧告と書いてあるのでございまして、命令と書いてあるのではございません。又人事院は財政政策を担当している役所でございません。給與ベース等はCPIその他から見た去年は七月に基礎を置いた、今年は七月に基礎を置けばこうなる、こういうことだけでございまして、私共がどうしても呑みにくいと申上げる理由は先程御質問に対してお答えいたしましたが、もう一つ、緩慢なるインフレ政策を国が続行してぬるま湯に入つている次第ならば、フアクターを去年の七月にとつたのだから、今年の七月とくらべて見ると二十九なり三十になる。ここにメカニカルに比例の法則で上げて行つたらどうだろうという結論も出るだろうと思いますが、折角一部の国民の怨嗟の声をも敢て忍んで、そうして安定策を実行してその効めが四月以来現われている。このときは我のは給與ベースのフアクターの取り方が去年の七月から比べるというと、今年の七月はこうだから、そこに比例的に上つてつたらどうかということは、直ちに一国の経済政策実行の責任者としてはなし難いのであります。緩慢なるインフレが弊原、吉田、片山、芦田と続いておる時代でしたら、千六百円、千八百円、二千九百円、三千六百円、五千三百円、六千三百七円、こう上つて来ても、私はいたし方がない。或る意味においては然るべきものと思つておりますが、四月以来折角安定施策が奏効し、而も四月が一番高かつたときに六千三百七円が始めて名実共に実行された。今日はそれよりも実効価格CPI等が下つておる。下つておるからこういうふうに上げるということは、ただフアクターの取り方だけで、この際安定施策に背馳しても上げるということは、到底政府としてはいたし難い次第でございます。
  156. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 その点はもう少し考えて頂く方がいいんじやないかと思うのです。それもやはりこの国家公務員法にせよ、公共企業体法にせよ、重要な基本的人権を制限しておるということは、長官も御承知通りでございます。その法に鉄する尊重の程度は、やはり客観的に政府が十分尊重していないということになれば、その相手方もやはり十分尊重しないということになるのは当然であつて、今おつしやるようなインフレ政策についても問題はありますが、仮にその面からの理由だけでなく、政治的な理由も十分考えて頂くべきではないかと思うのです。  それから続いて第二にお願いしたいのは、人事院に対する政府の態度が、果して政治的に長官は現在のような態度を今後続けて行かれるつもりかどうか、例えば給與改訂に十分な根拠がないというふうに政府は判断されるわけですが、人事院勧告に過ぎないで、勧告に過ぎないものであり、且その給與改訂の財政的な基礎というものは一顧の価値がないというように言われる。これは最近人事院がやろうとしておる試験の問題に対しまして、新聞が報道しておるのは、果してどの程度の事実を伝えておるか。読売新聞が、或いは全然根拠のないことを書いたのかどうか知らないが、少くとも夕刊読売にあなたが試験制度というものは廃止する意向で以て、そして現在延期を考えておられるというふうなことをいつておられますが、人事院国家公務員法によつて設置されておるものであり、且基本的人権を制限しながら、国家公務員をして国民の公僕たるの能率を挙げさせようとしておるものに対して、その人事院給與改訂の、ベース改訂計算の根拠を信奉することはできない。或いはそれが勧告に過ぎない。又はその試験は人事院でやるとしても、政府はやらないつもりだというような態度を取られることは、今いつた第一の点ですね、国家公務員法、或いは基本的人権を制限して、外に対して、その制限されておる側に、どういうふうな影響を與えるか、この点についてはどういうふうにお考えになりますか。
  157. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) 羽仁さんは私の言われたことを少し曲解されているようですが、外の質問された議員にもお答え申上げました通り勧告はでき得る限り尊重し、できればこれは予算なり、経理面において、具現化することは著しく困難である。又結局的に予算が出た場合に又御答弁申上げますが、そういう意味合で勧告は一顧の価値がないということは絶対考えておりません。  そけから試験の問題に話が触れられましたが、試験につきましたは、我々はできる限り立派な……、原則として賛成であります。併しながら役人諸君も立派な試験を受けさして、そうしてその任に留まらしめる。或いは上の職に任用するということをしないと、役人諸君に可哀そうであるという見地から我々今折角研究中でございまして、政府は何ら意思表示も何もいたしたことはない次第でございまして、あの新聞記事に対しましても取消も要求しておる。こういうのが事実でございます。
  158. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 その第二の点については、人事院が、その国家公務員の基本的人権を制限しながら人事院生活を保障する。同時に又国家公務員の能率を上げるその責任者であり、或る意味においてそのために必要な独立制も與えられておるということが、現在の政府の態度では世上一般には、そうは理解されていない点も反省して頂きたいと思います。  それから第三に伺いたいと思うのは、さつきから給與改訂ということが、或ら場合には現在予算上の措置が困難なように今言われましたが、併しさつきの場合にはインフレーションの再現ということを主として議論されました。併しインフレーションの再現ということについて、やはりもう少し考えて頂きたいと思う点が二つあるのです。一つは一体大体において賃金が先に上つて、そうして物価が上るのが、経済原則の通則か。それとも物価の先に上つて賃金がそれについて行くのが通則か、いずれにお考えになつておりますか。
  159. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) やはりなかなか難問でして、これは鶏と卵の関係にあると、そう思つております。つまり因果関係はぐるぐる廻つておると、こう思つております。
  160. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 それは、そんなお答えをして頂いちや困ると思います。学説上明瞭に賃金物価の一種であり、而も騰貴率の最も低い物価の一種であるということは学界の定説だ。その学界の定説を、学問をあなたは蹂躙される。
  161. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) 私は賃金が必らず追随しておつて、そして物価に些かも影響が與えられないというようなことには首肯いたし兼ねる。賃金を上げることによつて更にコストが高まり、又物価が上つて結局因果関係は相互循環である、こういうふうに私は確信しております。
  162. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 それはもう少し考えて頂きたいと思うのです。賃金物価とは二つの相対するフアターではないので、賃金物価の一種に過ぎない。而も騰貴率の最も遅い物価であるということは学者が十分研究した結果の定説であつて、従つてドツジさんがそういうふうな言明をされるということについても理論上は承服できない。従つてぐるぐる廻りで循環だというような俗説で押切つ行かれるということは、我々は少くとも納得できない。賃金は絶えず物価の後の付いて行くものである。従つて問題になつて来るのはあの勧告の場合にも、さつきから、今までは多少上つて来ているという……。勧告国家公務員法で規定している場合に、物価が上つて場合には勧告するということは必要でと思いますが、その後にどうなつて行くかということが、給與ベース改訂することを判断する上の材料になるかならないかといえば、国家公務員法は明瞭にそれはならないという立場を取つております。なぜそういう立場を取るかといえば、賃金物価に遅れて行くのだから、従つて公平な立場を取るならば、どうしてる絶えず遅れて賃金が上がる。それに対して物価が先に上つて行くことに対して、働いている人達は常に多少の不利を受れているのだから、物価が或る程度つておれば勧告改訂をするべきだという理論が筋を通しているのだ。今後どうなつて行くか。今後実質賃金が上つて行くから改訂の必要がないということは、国家公務員法の中に出ている筋じやないと思います。而も安定しつつあるという問題については、例の計算の根拠が違つているのだから、若しやるのならば八月以降を根拠にされて、以後の新らして統計の方法を遡らせて、前のものと絶えず……。御答弁になるべきであつて計算の根拠の違つているもので安定しつつあると言われることはどうかと思う。  それからついでにもう一つ考えて置いて頂きたいのは、御答弁願いたいのは、さつきも言われた中間安定か、終局的な安定かということは、言葉の上でなく、実際の問題としては通貨安定だけであればそれは中間安定になるわけです、通貨安定が経済的な安定と、もつと基本的な安定になつていなければならない。その基本的な安定というのは、つまり産業が復興するところにまで行つていれば始るて終局的な安定といえるのです。現在では産業はむしろ窒息しつつある。その窒息する方向に向つている安定はいつ何時元にひつくり返るか分らないので、ドツジさんの御希望にも副うゆえんじやない。そうだとすれば一国を挙げて産業を復興する方向に持つて行くことこそ中間安定になる、終局的な安定になるのじやないか。今の三つの点についてはどうお考えでありますか。
  163. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) 概ね羽仁さんのお説として承つて置きたい事柄にように思いまするが、私は必らずしも賃金はなんら物価に影響なきフアクターであるというような、そういう説は信じないのです。
  164. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 そういうふうに言つておるのじやない。賃金は遅れて上つて来るということだ。
  165. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) 結局手取早い話が、過去においても賃金が上るたるにコストが上つておる例が沢山ある。コストが上れば物価が上つていたのであります。それから将来予見される事項としては、川上さんにお答えいたしました通りでありまして、必ず名目賃金に現れるものであります。これはコストが上る。そうしますというと物価は上りまして、必ず名目賃金に現われるものであり、これは重要なフアクターであります。そうしてコストが上る。そういたしますというと、物価は上る。私はこの面からも同じように述べることができる。こう考えております。最初の関係ならいざ知らず、まあ相互の因果関係に対してはこういうふうに私は考えております。  それから後のことは概ね御意見として承つて置きたいと考えております。
  166. 川上嘉

    ○川上嘉君 先程からの御答弁を要約いたしますと、大体人事院勧告は大いに尊重しておる。従つて現在の給與ベースは非常に低額のもので苛酷のものである。お話にならない程低額のもので苛酷のものである。そういうふうに考えられます。又給與ベース改訂しない。又人事院勧告を無視する。従つて官公労の人達の生活は犠牲になつてもよい。こういうふうに了解していいのですか。
  167. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) 私共はこの賃金生活者を余り犠牲にさせたくないのであります。それで来年度においては、特に実質賃金の向上について努力いたしたいと思つております。他の国務大臣或いは政府委員からお答えいたしたと思つておりまするが、食糧が値上げされましても、大体配給の米麦を主とするといつたようなことで考えたり、或いは配給量を増加したり、或いは予算が許さけるならばベースを変更し得られますが、超金等も従来の予算は多少少いというのが常識的の見方でございますからして、その面でゆとりをつけまして、できるだけ実質賃金を増加させる。そういたしまして、本人の家に持つて帰る懐ろ勘定を多少殖やすようにしたい。そうして来年度の実質賃金を積極、消極の両方面から上げたい。こう考えております。
  168. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 今の問題と関連するのですが、衆議院で仲裁委員長の末弘さんが述べておられるところによりますと、国鉄職員公務員でないのに争議権は認めておらない。仲裁、裁定がこれに代る性質のもので最後的のものである。従つてこれについて国会が可能か不可能かの判断を容易に下せるような資料を提出すべきである。若し国会がこれが支給不可能というふうに決めた場合に、国民や国鉄職員が納得するだけの十分なる説明をする義務がある。若しこういうふうな義務を怠つた場合に、今後の労働運動は全く保障されないということをいうふおられますが、この点については官房長官はどういうふうにお考えになつておりますか。
  169. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) 羽仁さんにお答え申上げます。先程の点については私も実は聞いておりませんが、只今新聞を御朗読になりましたら分りました。政府といたしましても、罷業権については拘束を加えておるのでございますから、公共企業体の労働者諸君に対しては、できるだけの給與條件、その他の労働條件の維持改善に努めておる、こう心得ております。そこであの裁定のうち予算上、資金上に関係のないものは終局的に考慮することは問題ないのでありますが、予算上、資金上不可能の場合は考慮いたしませんが、国権の最高機関である国会の思慮判断に俟つという非常に愼重なる手続を取つて、そうして一面においては、罷業権その他憲法二十八條所定の基本的人権に制限を加えておりますから、非常に愼重な手続を取つておる次第であります。そこで最後の判断は国会がなさる。その国会がなさる場合に、公労法の第十六條第一項に該当するものであれば、そういう資料を提出して皆さんの御納得の行くようにすることは、これは勿論我々の責任である。こう心得ております。
  170. 木下源吾

    木下源吾君 この際長官に二、三お伺いいたしたいのですが、長官はこの給與ベース改訂はいろいろお聞きしておりまするというと、九原則に牴触するという点、又財政措置ができないという点、それから人事院勧告は納得が行かん、こういう三点につきるように思いますが、そこで人事院勧告はこの四月から六千三百円ベースでやつておるので、それであるからその後もCPSが平均化しておるのであるからやる必要がないというような聞えるのですが、今回の人事院の勧忠と決してこの六千三百円ベースに根抵を置いておるのではないと明瞭に言つておることを長官すでに御承知でありましような。その点はでうでございましようか。
  171. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) 人事院勧告の七千八百七十七円、その勧告は明瞭に私は存じております。
  172. 木下源吾

    木下源吾君 その内容におきまして、六千三百円ベースを根拠に置いているのではない、御案内の通りその勧告の内容を見ると分りますように、大中都市における青年公務員生活に要する実收、従来二千四百円何ぼ、今度三千六百円かかるのである。こういうようなことがつまり上げられておつたり、更に又この勧告はその他に民間の給與との釣合い、或いは又いろいろ書いてありますが、とにかく今長官が言われた六千三百円の根抵ではない。六千三百円で食えているから、四月以降に何も変化がないからやつて行けるのである、こういうような気持ちでありますか。そうではない、人事院勧告は全然別個に、そういうつまり基礎に立つているのではないということをお認めになるかどうかということであります。
  173. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) あれが別個の企てに上にでき上つた勧告であるということは、政府も認めております。
  174. 木下源吾

    木下源吾君 然らば政府はこの公務員が、公務員それ自体の本質的な遂行のためと、公務員たらしめるための、国民全体といたしまして、公務員生活を維持するということが、著しく今日のベースにおいては困難であるということもお認めになるでありましようね。
  175. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) そこであれが六千三百七円と別個の基礎に立つものであるということは認めておりますが、我々は勧告の内容と必ずしも所見は等しくしていないのであります。
  176. 木下源吾

    木下源吾君 すでにこの点については、総理大臣も言つておるのです。今日のつまり給與では公務員生活は非常に困るということを認めております。だが今の長官のお話ではその点をお認めにならないような聞えますが、それでよろしゆうございますか。
  177. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) 木下さんにお答え申上げますが、我々は最初から、昭和五年乃至九年に比べますと、それを一〇〇%とすると、まだ六〇数%ということでございまして、実質賃金が到底一〇〇になつていないということは認めます。それでありまするから、我々は非常に苦しいのです。ただ併しながら昭和二十年、二十一、二十二、二十三年度と、名目賃金も向上しておりますが、実質賃金は更に向上しておりまして、生活程度は順次向上しておるのでございます。ただこの際我々が安定施策をどうしても実行しなければ、国民八千万が苦しんでしまう。そこで暫くは実質賃金は下げません、上げますが、名目賃金は上げがたい、こういうところに我々が力を入れておる次第でございます。
  178. 木下源吾

    木下源吾君 今後はですね。安定本部の計画におきましても、つまり食糧需給計画におきましても、カロリーが増加しておることも御承知でありますね。
  179. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) 承知いたしております。
  180. 木下源吾

    木下源吾君 そうして今非常にインフレを收束せしめ、そうして経済安定のために、政府は非常に努力をしておること、そのために、併しながら公務員並びに勤労者のみがそのような負担を重く犠牲を拂つておるというようにはお考えになりませんか。
  181. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) 必ずしもそう考えておりません。
  182. 木下源吾

    木下源吾君 それではお伺いいたしますが、政府は、そうするとベース改訂をしないという根底は、只今も申しましたような理由が、主たる理由でありますか。
  183. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) いずれこの給與ベースを変更しないということが決定的に明確になるのは、予算によつて明確になる次第でございまして、その際に申上げまするが、私が度々申上げておることも、主たる理由の相当の部分であるということは御了承願いたいと思います。
  184. 木下源吾

    木下源吾君 実質賃金を高めていきたい、こういうお考えですが、現内閣の政策実質賃金が、これは高まつていくと確信をもつておられますか。
  185. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) 確信をもつております。
  186. 木下源吾

    木下源吾君 実質賃金の、つまり充実ということになれば物価が安くならなければならない、そうでございますね。或いは税も軽減しなければならない。ところが一方においては、運賃を値上げをしておる、その他の主食も値上げしておる、そうして一体どういう点に実質賃金が充実されるのですか。
  187. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) 一方において運賃を値上げしておるということを言われましたが、その前に、税も軽減せんならんし、物価は低くせんならんという点については、御存じのごとく、今度の税制改正は恐らく実質的の税制の改正であること、これは勤労者に対しましても、中小工業者に対しましても、一般自由職業者に対しても同様でございます。物価につきましては、我々は極力低物価政策をとつております。但し運賃が上つたのはけしからんじやないか、こういうお話でありまするが、この実質賃金が上つた主たる理由というのは、人件費関係でございます。その人件費が名実共に上つたのは、六千三百円が設定された四月からでございます。この四月から来年三月に終る国鉄会計年度は、八十五億円の赤字がどうしても出てしまう。六千三百七円を設定したために止むを得ず八割の値上げをした。併しながら我我は他のもろもろの物価、つまり生活必需品であるならばできるだけ上げたくない。米のことにつきましても、一一%上げるということは、非常に我々は不本意としておる次第でございます。でございますから、一面において、配給量を増加し、又米麦だけを配給する、主として米麦を配給する、そうしてカロリーを高めて参りたい、そこで実質賃金生活を向上させたい。こう考えておる次第でございます。
  188. 木下源吾

    木下源吾君 現内閣が今お考えになつておるようなことをやろうとするならば、従つて、その生産を増強しなければなりません。生産を高めるためには、勿論資金の蓄積は必要であろうと思います。ところが、現内閣の資金蓄積の方途を見ておりまするというと、一面において、政府のつまり政策によつて、税だとか、その他の面で蓄積をしよう。一面においては、自由経済の理由を以て、これは金融機関がどんどん一方的に、加速度的に資金を蓄積しておるという状態である。而もそれを政府の財政政策が援助しておる。こういうようなわけで、この資金の蓄積は、再び還元して、そうしていわゆる勤労者の側に、生産増強のために一つも還元しておらないという実情を認めますか。
  189. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) 今の資本の蓄積が必要であるということを力説される木下さんの説には全然同感で、敬意を表しますが、私共が六千三百七円ということを、飽くまで強調しておりますが、これも間接に労働者諸君のためになることでありまして、名目賃金が上つても、購買力が下つたのでは何もなりませんから、六千三百七円というように維持いたしましても、これによつて買える、金の購買力は殖やしたいということを一生懸命で努力しております。結局先程賃金は必ず追随するという説がありましたが、これはインフレ時代でございまして、そういう時代は名目賃金が追随しても、時間のずれがございまして、賃金労働者は困るのでございまして、我々が先ず貨幣を安定させるというようなことになりますれば、乏しいながらも貯蓄心も出て参りましようし、資本の蓄積もできましようし、生産力の発展には、社会主義経済学をとる方におきましても、資本主義経済学をとる方におきましても、全然感じを等しうするわけであります。生産力の発展は全く御同感であると考えております。その点から、我々が生産力が発展でき、産業が再建でき、富の蓄積ができましたならば、そのときのことでございまして、我々の目標は、やはり我々の許されておる生活水準である昭和五年乃至九年まで、どうしても持つて行きたい。名目は上らないかも知れないが、購買力をそこまで持つて行きたい。或いはそのときはそのときで、どうなるか分りませんが、ともかくも、あのときの百まで持つて行く、国家としても、政府としても責任があるということを痛感しておる次第でございます。
  190. 木下源吾

    木下源吾君 今の理屈ですが、理屈を言つても切りがありませんが、実際の財源措置ができないと言いますけれども、いわゆる債務償還を行なつておる。これは資本、蓄積された資金で償還されておるわけですね、こういうように償還されたその金は、どういうように今動いておるかといえば、現実にですよ、ちつとも生産を増強する、殊に勤労者のために一つも動いておらない。市中を、街を御覽になれば、この頃「とういち」という言葉がある。十日に一割の金がどんどん動いておる。このことは銀行あたりでは相当のところでも月七分という金でやつてる。この実情はどんどん下のものを吸い上げて行く、決して六千三百円で、あなたが貯蓄ができるだろうというようなことを、この時代では到底考えられるところじやない。そういうような元をなす資金が、いわゆる蓄積された資金で行つてるわけだ。用いられておるわけだ。どうしてこれで行つて産業が増強したり、経済が安定すると考えられるとは到底考えられない。殊にそういうような金の、経済の動き方というもの、自由経済というもので行けば、ますます下のものがどん底に窮乏して行きますし、中小企業は沒落するし、そういうことは見逃し難いことを、あなたは如何に否定しても否定できないと思うのですよ。こういう面からいろいろ議論してもしようがありませんが、政府としては、ドツジさんの言われておることはいいことよ、こういうことで一生懸命におやりになつておるのであります。それは理論としては、そういう行き方もありますけれども、日本の実情に副わない点が多々あるということを認めざるを得ない。そのために今日、我々はこういうようにあなたに、政府に対して執拗に言つてるわけなんで、これに対してはさつぱり耳を藉さないのだというようなことは、私は民主政治じやないと思う。そこで私共はここで、国会でその賃金ベースといいますか、單なる賃金ベースでなく、日本再建のために、基本的な人的資源をこの程度は、どうしても維持しなければならないという、この限界線に対して、我々が主張するのであります。国会はその観点に立つて、こうしなければならないのだというあらゆる調査の結果そういうことになつたならば、政府としてもそれに応じてそうしてドツジ・ライン、いわゆるその関係方面を全力を挙げてこれの説明を盡し、そしてこれを実現させることが大切だと思うのであります。ただ向うさんのドツジ・ラインはこうだからといつてそれに柔順に従うこと、それを強行して行くためにあらゆる日本再建を阻害する面ができても、尚強行しようとする態度は、これは全く私は現内閣に対して惜しむものだとこういうふうに考えております。そういう点で国会がここで今ベース改訂すべし、予算化すべしという、仮にまあそういう決議を付けたならば、あなた方の方では政府としてこれは国会勧告を受けておりますから、政府としてももつと熱意を持つて、この国の再建のために検討して、これを貫徹するというような積極的な、その意思があるかどうか、これを一つお伺いします。
  191. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) 御高説はつくづく承つて置きますが、まず併しながら明年度予算を近く提出いたしますが、余程積極性を持つておるということは先程申上げました通りであります。事業量としては次年度は今年よりも殖えておる。減つたの価格調整費の関係だけ減つたのでありまして、事業量は殖えております。産業復興に寄與することと思つております。ただベース改訂することはできないのでありますが、今木下さんのお話を聞くと、金融政策について政府の余程反省工夫を要するといつたような御指摘であつたと思います。この点は私共心配して実は一生懸命に考えておりますが、これにつきましては近く相当積極的な措置を見出さなければならないのではないか、或いは見返り資金の運用の仕方について、余程迅速に適確に積極的にやらなければならないというふうに考えておる次第でございます。ただ併し今世の中に見えておる経済的の現象として憂慮せられるようなものもございますが、これはやはり安定政策を強行する即ち大手術でございまするから、幾分の出血は止むを得ざることであると私共考えておりまするが、それにいたしましても、出血量を少くする、痛みを早くなくすということが絶対に必要であるとこう考えております。要するに経済安定施策の活用ということが大事ではないかというふうに私は考えておる次第でございます。
  192. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 さつき川上君に対するお答えの中に、公務員なり、或いは従つて一般勤労階級を搾取するという立場に立つておると言われたんですが、ああいうことは言われない方がいいと私は思う。民自党が資本主義の立場に立たれる。資本主義が搾取の立場にあるということは既定の事実であつて、ただ問たはその搾取が半ば封建的な、従つて現在における半ば封建的でないまでも、旧式の資本主義の搾取か、或いは現在我々はその点を別に革命的に要求しているのではないのであつて、民自党が現在日本の資本主義を再建して行く上には、合理的な立場を取られるかどうかということは政府の全体の政策が成功するかしないかということに関係があるから伺つたのですが、いうまでもなく、今許される搾取は公務員、或いは一般勤労階級が再生産をやれる生活を認めるか認めないかということにあると思うのです。それを認めなければ勤労階級の犠牲において財政を再建しようとする。これはつまり一九三〇年以前においてはそういうこともあり得たかも知れませんが、その後にそういう経済再建方法はあり得ないということは、賢明なるあなたは十分御承知のことだろうと思う。そこでさつきの僕の言つているように、賃金があとから上つて来るのだから、それはどうしてもつまり労働者、或いは公務員の肉体的な消耗において経済再建をやろうとしておられるわけですね。それは民自党の政策としても成功しないことは明瞭だと思う。というのはいつまでも中間安定を続けて、いつ何時再びインフレーシヨンが始まるか知れない。中間安定を続けるだけで、本質的な終局的な安定にはならないという点をもう少しはつきり考えて頂かないと、民自党の政策についても我々は納得できない。最近の例えばアメリカのスチールワーカーの争議の仲裁の場合でも、年金というものが認めらるべきだという理論はよく御承知だろうと思う。つまり資本は設備の消耗を償却して行くだけではない、働いている労働者の肉体的な消耗をも償却して行くべき責任があるということは、現在資本主義の立場からも認められていることだと思う。それを設備の消耗の償却することは考えているが、働いている人の肉体的な消耗を償却することを考えていないということで、如何に民自党と雖も中間安定を終局安定に切換えることは、理論上納得できない。従つて国民も納得しない。従つて公務員法なり何なりを尊重されていないというふうに考える。従つて人事院勧告は尊重されていないと考える。而も今人事院から見えておるが、人事院では労働者についての点で、やはり給與ベース改訂勧告というものを採用されることを、人事院では絶対的に主張されようとしているようですが、それは僕は人事院が財政的な点を全然顧慮していないのではなくて、人事院は今いつたような働いている者のリプロブクシヨンというものを認めて行かなければ、経済の再建はできないという議論の上に立つているので、人事院勧告は十分な財政的基礎を持たないのではなくて、政府は労働者のリプロダクシヨンを許さない、再生産を許さないで、無謀な再建を考えている位置に立つているというより仕方ないと思いますが、どうですか。
  193. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) 羽仁さんの御説は大体御意見に互る節が多いのでありまして、学識経験深い羽仁さんの御意見と承わることが多いと思います。但し私は搾取なんかは政府としていたしていない。又いたすべきではないと考えております。私は賃金奴隷説、或いは剩余価値論を不幸にして信ずるものではございません。(笑声)例えば今の不景気のときはむしろ中小企業者にしましても、財産資本家にしましても潰れてしまうわけですから、これが結局剩余価値なり、ああいう関係にのみ立つておれば立派に繁栄して行かなければならぬ筈ですが、そうでない、ともかくも政府は搾取という言葉を使うべきではないと考えておるのでありまして、又搾取なんかいたしておりませんということを申上げる次第でございます。それから一般に公務員労働者といわず、産業労働者といわず、受ける賃金というものは明日の労働に備える、いわゆる労働力の再生産に備えるということは当然でございますが、公務員諸君はそれに加うるにできるならば、品位を保つというようなこともございますから、そういうことまでいたしたいのです。でございますから、昭和五乃至九年までの百に対して百まで漕ぎ付けたい、それにつけても経済安定が巖の上に再建という家を建て、その上に裝飾をして行く、そうして又増築をして行くことが大切で、先ず巖を築こうというのでございますから、この点だけで政府の所信は曲げ難いのでございます。
  194. 小川友三

    ○小川友三君 郵政大臣が見えておりますので簡單に要点だけお伺い申上げます。大臣の所管なさつております公務員さんは何万ぐらいで、その標準で行きますと一人幾らぐらい御支給になりますか。それからこれまた今大臣の所管の公務員さんが、郵便配達さんですが、非常にひどい服を着て、これは大臣の幕僚ですが、正月になつても防寒頭巾もなく、手袋もなく郵便の配達をしております。殊に年末、正月を迎えまして、郵便大臣は正月を迎えて防寒頭巾とか、手袋をこの賞與以外に出してくれると思いますが、これに対して今の状態を承わりたいと思います。    〔委員長退席、人事委員会理事木下源吾委員長席に着く〕
  195. 小澤佐重喜

    ○国務大臣(小澤佐重喜君) 小川さんにお答えしますが、郵政省には大体二十六万人おります。電気通信省には十三万ありまして、合計約四十万であります。それから給與問題でありますが、給與問題は今御審議願つておる法案に基いて支給を受けまするので、他の官庁と全く同一の支給であります。但しその、例えば給料の平均額等が、非常に私の方の省では婦人が多いのでありまして、非常に他の官庁に比べまして給與標準が低いのであります。従つてそういう平均額は落ちますが、比率は他の官庁と全く同一であります。  それから衣服とか、或いは手袋の問題も御指摘がありましたが、お話通りのような現状でございますが、終戰当時から比較しますというと。漸次この被服の支給等につきましても留意いたしまして改善をいたしておりまするが、まだ満足する程度には至つておりません。併し私共はあらゆる予算節約いたしまして、こういう働く公務員のたるに、できるだけ最善の処置を講じたいと考えております。
  196. 小川友三

    ○小川友三君 関連しておりますので、特に郵便を配達する第一線の方々に対しまして、特に正月には皆外の人はいい着物を着ておるのに、郵便配達さんだけは百年一日のごとくぼろ服を着て、大臣がいなければいいが、大臣というものを上に頂いて、ぼろ服が水鼻をたらしながら配達しておる状態ですから……、特に今国家には預金部として二百五十億以上の金がだぶついておる。どこでもマル公以下で買えますから、手袋一つ防寒頭巾一つを、第一線の配達の方々に大臣の慈悲を以て早速にこれをお手配願いたい。私は兄弟に郵便配達がいますから、特に大臣のお気持をこの方面に向けて頂きたい。二十六万人のこの人々の中で三割くらいは配達さんですが、正月に間に合うように何とか頭巾、手袋だけでも出して頂きたいのですが、如何ですか。    〔委員長代理木下源吾君退席、委員長着席〕
  197. 小澤佐重喜

    ○国務大臣(小澤佐重喜君) 小川さんにお答えいたしますが、只今お話通り、我々の理想通りの被服の配給或いは自転車その他の器具の配給は十分に行つておりません。併しながら只今お話した通り、漸次この財政面を睨合せてお話のような線に到達しないと考えております。従つて一部には被服も配給されておりますが、お正月までに全部配給しろと言われても困難だと思いますが、できるだけ早く実現したいと思います。尚ちよつとお話がありましたが、二百数十億の金がありますが、これは郵政省だけでは使えないで、これは国民から預つたお金ですから、特に独立採算制を採つておるので、非常な貧乏世帶を四苦八苦しながらみんなで協力して郵政事務を経営して行きたいと思います。(「散会」と呼ぶ者あり)
  198. 小川友三

    ○小川友三君 議事進行ですが、連合委員会はこの辺で打切りの動議を提出いたします。
  199. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 大人連の連合委員会はこの程度で打切つてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  200. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) それでは打切ることにいたします。五分後に大蔵委員会を開きます。    午後四時二十五分散会  出席者は左の通り。   大蔵委員    委員長     櫻内 辰郎君    理事            波多野 鼎君            黒田 英雄君            伊藤 保平君            九鬼紋十郎君    委員            天田 勝正君            森下 政一君            玉屋 喜章君            中川 以良君            西川甚五郎君            木内 四郎君            油井賢太郎君            小宮山常吉君            高橋龍太郎君            岩間 正男君            川上  嘉君            木村禧八郎君            米倉 龍也君            小川 友三君   人事委員    理事            木下 源吾君            小串 清一君            寺尾  博君    委員            赤松 常子君            大山  安君            竹下 豐次君            羽仁 五郎君            岩男 仁藏君   国務大臣    郵 政 大 臣    電気通信大臣  小澤佐重喜君    国 務 大 臣 増田甲子七君   政府委員    大蔵事務官    (主計局長)  河野 一之君