運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1950-04-01 第7回国会 参議院 選挙法改正に関する特別委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月一日(土曜日)   —————————————   本日の会議に付した事件 ○公職選挙法案衆議院提出) ○公職選挙法施行及びこれに伴う関  係法令整理等に関する法律案(衆  議院提出)   —————————————    午後三時開会
  2. 小串清一

    委員長小串清一君) これより選挙法改正委員会を開会いたします。公職選挙法案を議題に供します。速記を止めて下さい。    午後三時一分速記中止    ——————————    午後三時十三分速記開始
  3. 小串清一

    委員長小串清一君) 速記を始めて下さい。先刻から議案の審議を続けておりまして、今まで予備的に懇談をいたしました案について説明を行なつております。それでこれから尚続けてその説明をいたしたいと思いますが、第百三十一条から改めて菊井法制局課長に、御説明を願うことにいたします。
  4. 菊井三郎

    法制局参事菊井三郎君) 公職選挙法案に対する一部修正案につきまして、只今まで初めの第八十七条から第百三十一条に関する部分まで御説明申上げましたが、尚その以下につきまして続けて御説明申上げます。  第百四十四条第一項第1二号但書を次のように改める。  但し、一の都道府県においていは、その都道府県において使用することができる参議院地方選出議員選挙におけるポスターの数を起えることができない。  第百四十四条におきまして、ポスターの数につきまして規定いたしております。この第一項の第二号の中には、参議院全国選出議員ポスターにつきましては、二万枚と規定いたし、但書におきまして、「一の都道府県においては三千枚を起えることができない。」というように規定されておりますが、地方選出議員との関係を考慮いたしまして、その場合との同樣に歩調を合せようという趣旨であります。従いまして、「一つ都道府県においては、その都道府県において使用することができる参議院地方選出議員選挙におけるポスターの数を起えることができない。」かように改めようという趣旨であります。  その次に第百四十四条第二項を次のように改める。  2 前項ポスターには、政令の定めるところにより、選挙管理委員会検印を受け又はその発行する証紙はりつけなければならない。  第百四十四条におきましては、ポスターの数その他これに関連いたしました規定を設けているのでありますが、第二項におきましてポスターにつきましては、選挙管理委員会検印を受けなければならないと、かように規定されておりますが、当該選挙管理委員会ということになりますと、全国選出議員選挙におきましては非常に農実上困難が生ずるという点から、前回におきましてその場合におきましては「全国選挙管理委員会が承認した場合には、都道府県選挙管理委員会検印を受けることができる。」というように修正案が出ておつたのでありますが、本日衆議院の方と折衝されました結果、その際選挙管理委員会からは、東京だけにおきましても非常なポスターの数になつてこれに一々検印をするということが極めて困難であると、そういうような関係から選挙管理委員会が発行する証紙を貼りつけるというふうに措置できないであろうかというような申出がありまして、生田衆議院の前委員長と、小串委員長との間でいろいろ折衝いたしました結果「政令の定めるところにより、選挙管理委員会検印を受け又はその発行する証紙はりつけなければならない。」とかように改めたらどうかというようにお話合になつたのであります。  その次に、  第百七十六条第一項中「参議院議員」を「参議院地方選出議員」に改め、「(参議院全国選出議員選挙においては、その候補者の希望する都道府県区域内)」を削り、「国有鉄道」を「日本国有鉄道」に、「国営自動車」を「国鉄自動車」に改め、「(参議院全国選出議員選挙においては、都道府県単位として通用するものに限る。)」を削り、同項後段を次のように改める。  なお、参議院全国選出議員選挙においては、無料で、当該候補者の選択により、左の各号のいずれかの一の号に揚げる券の交付を受けることができる。  一 当該候補者の希望する都道府県単位としてと通用する特殊乗車券十五枚及び全国通用日本国有鉄道回数券十五枚  二 当該候補者の希望する都道府県単位として適用する特殊乗車券十五枚及び全国通用日本国有鉄道特殊乗車券三枚  三 全国通用日本国有鉄道特殊乗車券六枚  この第百七十六条の規定は、交通機関の利用に関する規定であります。その第一項の規定におきまして、参議院全国選出議員選挙の場合における特殊乗車券及び回数券交付に関しまして、従前いろいろ論議がございまして、結局ここに揚げたように、三つのもののいずれかを選択できるとういような趣旨に改めるべきであるということによりましたこのようになつたわけであります。この百七十六條の一項中に字句修正がございますが、これはこの衆議院送付案字句が妥当いたしておりませんのでそれを事実上合うように改めただけであります。  それから第百八十七条第一項中「公職候補者又は出納責任者意思を通じないでする支出」を「電話による選挙運動に要する支出」に改める。この百八十七条の規定出納責任者支出権限に関する規定であります。この規禎衆議院送付案によりますれば、立候補準備のために要する支出及び公職候補者又は出納責任者意思を通じないでする支出を除きまして、選挙運動に関する支出は、出納責任者でなければすることができないとこういうように規定いたしております。この案によりますれば結局、立候補準備のために要する支出と、候補者又は出納責任者意思を通じないでする支出は、出納責任者を通じないでもよろしいということになつて参るわけであります。そういたしますると第三者選挙運動をいたします場合に、意思を通じておらない場合におきましては、結局出納責任者でなくても支出できるということになつて参るわけであります。尚これに関連いたしまして、第九十七条の規定と関連いたしまして、意思を通じないでする支出選挙法定費用額に加算されないということを関連いたしまして、第三者意思を通じない場合には各種の選挙運動ができ、又その費用が加算されないということになるわけでありますが、かような点からこれを改めまして「公職候補者又は出納責任者意思を通じないでする支出」というものを「電話による選挙運動に要する支出」に改めましてその制限をしようということであります。この修正によりますれば、結壁第三者と雖も電話による選挙運動に要する支出差支ないけれども、それ以外の費用支出ができないということになるわけであります。但しこの原案にもありますように、但し書におきまして「出納責任者文書による承諾を得た者は、この限りでない。」ということになるのでありまして、出納責任者から文書によつて承諾を得ておれば、第三者と雖も費用支出できる。従つて運動行為はできるということになるわけであります。以上を以ちまして公職選挙法案に対する一部修正案説明を終ります。  尚公職選挙法施行及びこれに伴う関係法令整理等に関する法律案に対する一部修正案につきまして御説明申上げます。
  5. 小串清一

    委員長小串清一君) 各位のお手許に公職選挙法施行及びこれに伴う関係法令整理に関する法律案に対する一部修正案というのが参つております。これも今度の公職選挙法案と一緒に当委員会で、やはり関連している法律ですから決めなくてはなりませんから、今これをやるとこの方へもその法律の変更をしなければならぬことになります。それを今菊井課長から説明をして貰います。
  6. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 その前にちよつと重大なことがありますので、ちよつと気付いたので申上げたい。よろしうございますか。
  7. 小串清一

    委員長小串清一君) よろしうございます。
  8. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 八十九条の第三項を削つて地方公共団体議会議員は、在職中、他の地方公共団体議会議員候補者となることができないことにしてしまうとですね、今現に兼ねている人が沢山ありますね。それは差支ないのだという経過規定が要りませんか。
  9. 菊井三郎

    法制局参事菊井三郎君) それにつきましてこの施行に関する法律案修正案として次に出ております。
  10. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 そうですかそれじや分りました。
  11. 菊井三郎

    法制局参事菊井三郎君) 公職選挙法施行及びこれに伴う関係法令整理等に関する法律案の一部を次のように修正する。   目次中「第二章 公職選挙法施行に伴う経過規定(第十二条—第二十六条)」を「第二章 公職選挙法施行に伴う経過規定(第十二条—第二十七条)」に改め、第十八条を第十九条とし、以下第二十六条までを一条ずつ繰り下げ、第十七条の次に「第十八条(参議院議員通常選挙における選挙公営特例)」を加え、「第三章「関係法律整理等に伴う経過規定(第二十七条—第三十二条)」を「第三章 関係法律整理等に伴う経過規定(第二十八条—第三十四条)」に改め、第二十条を第二十八条とし、以下第三十一条までを一条ずつ繰り下げ、第三十二条を第三十四条とし、新第三十二条の次に「第三十三条(改正法施行の際現に二以上の地方公共団体議会議員を兼ねている者の特例)」を加える。   第三条中(7)の改正規定の次に次のように加え、(8)以下を一つずつ繰り下げる。   (8)第九十二条第二項中「地方公共団体有給職員」を「地方公共団体議会議員及び有給職員」に改める。  只今読上げました目次修正は以下に申上げます事項が大分動いて参りますので、その関係目次整理しようというのであります。  第三条には地方自治法関係規定を改めておりますが、その中に(8)の規定を新たに加えようというのであります。この修正案公職選挙法修正案といたしまして、地方公共団体議会議員が「他の地方公共団体議会議員候補者となることができる。」というような規定を削除いたしましたために、その関係といたしまして兼職禁止規定を入れる必要があるということから、この規定が加えられたわけであります。  地方自治法の第九十二条の規定は、地方公共団体議会議員兼職禁止に関する規定であります。この九十二条の第一項におきましては衆議院又は参議院議会議員と兼ねられない。かように規定いたしまして、第二項におきましては地方公共団体有給職員と兼ねられないというように規定いたしております。そこで第二項を改めまして「地方公共団体有給職員」とありますのを、「地方公共団体議会議員及び有給議員」こういうように改めまして、この兼職禁止しようということになるわけであります。  その次第八条中(8)の改正規定の次に次のように加える。  (9)第百三十五条中「処分」の下に「(選挙に関する処分を除く。)」を加える。この八条におきまして漁業法関係について規定をいたしておるのでありますが、漁業法の中で各調整委員会選挙におきまして、地方自治法選挙に関する規定を引いておるのでありますが、この公職選挙法施行法案におきまして、その関係規定調整いたしておるのであります。漁業法の第百三十五条におきまして、「この法律又はこの法律に基く命令の規定による免許、許可又は認可の申請に対する許否その他行政庁処分に不服がある者は、訴願を提起することができる。」こういうように規定いたしております。この漁業法の、この規定によりますと、選挙人名簿を調製いたします場合におきましても、その名簿の調製に異議があれば訴願ができる。こういうことになつて参ります。その他選挙関係行政庁処分につきましては、常に訴願が提起できるということになつて参るのであります。ところが公職選挙法の中におきましては、訴願でなしに出訴できるというふうになつておりまして、その関係調整いたす必要がありますために、この漁業法の第百三十五条の規定のうち選挙に関する部分処分を除くというように明瞭にいたしまして、準用しております場合に、公職選挙法規定によるのでなければ、異議の申立ができないというようにいたしたわけであります。   その次に第十八条を第十九条とし、以下順次一条づつ繰り下げ、第十七条の次に、次の一条を加える。   (参議院議員通常選挙における選挙公営特例)   第十八条公職選挙法施行の後初めて行う参議院議員通常選挙に関する同法の規定適用については、同法第百四十九条第一項中「一回(参議院全国選出議員選挙にあつては二回)を限り」とあるのは「一回を限り」と、第百六十八条第二項中「五百」とあるのは「三百」と読み替えるものとする。  第十八条におきましては、公職選挙法の第百四十九条におきまして、参議院全国選出議員選挙におきましては新聞広告が二回できるということに規定されておりますのを、この回に限りまして、一回と読み替えることとするということであります。公職選挙法案の第百六十八条におきまして、経歴公報の字数の規定をいたしておりますが、これは五百字と規定いたしておりますのを選挙法施行後初めて行う参議院議員通常選挙に関しましては三百と読み替えるということであります。  その次、新第二十五条第二項中「第二十一条」を「第二十二条」に、新第三十条第一項中「第二十七条」を「第二十八条」に、同条第二項中「第三十一条」を「第三十二条」に改める。この修正只今申上げましたように条文が一条繰下つて参ります関係上その調整修正であります。  新第三十三条中「第二十七条」を「第二十八条」に改め、同条を第三十四条とし、新第三十二条の次に次の一条を加える。(改正法施行の際現に二以上の地方公共団体議会議員を兼ねている者の特例)第三十三条本法施行の際現に二以上の地方公共団体議会議員を兼ねている者については、これらの職を兼ねている間に限り、第三条に規定する地方自治法第九十二条第二項の改正規定適用しない。  この第三十三条につきましては、公職選挙法案修正案といたしまして、兼職禁止規定を置きましたために、現在二以上の地方公共団体議会議員を兼ねておる者につきましては、特例を設けるという必要がありますので、これらの職を兼ねておる間に限りまして、地方自治法第九十二条第二項の改正規定適用しないというようにいたそうというのであります。
  12. 小串清一

    委員長小串清一君) 以上菊井課長説明されましたこの案は今回重ねて衆議院側と非公式ではありますが、協議を遂けて衆議院了解を得たのであります。この修正案については尚渉外課長から関係方面に報告中であります。その結果が直ぐ分ると思います。御質問がありましたらどうぞ。
  13. 鈴木直人

    鈴木直人君 只今説明がありましたのは衆議院側意見の一致を見て、そうして参議院修正いたしましても、衆議院においてそれに同意をするという段階交渉ができているものについてであるということは、先程も委員長説明通りでありますが、この案以外に衆議院と打合せの結果、同調を得られなかつたというようなものについて、参議院としては一応認めるのだというようなものがある筈と思うのです。それはどれどれであるかという点を一つ説明をして置いて頂きたいと思います。    〔委員長退席理事鈴木直人委員長席に着く〕
  14. 菊井三郎

    法制局参事菊井三郎君) 従前委員会におきまして、公職選挙法案修正案といたしまして挙げられておりました事項は十八項目あつたわけであります。只今説明いたしました修正案から洩れている事項につきまして申上げます。   第四十八条の第二項中「前項」を「第一項」に改め、同項を第三項とし、第一項の次に次の一項を加える。   2 選挙人で、選挙の当日、政令で定める区域内において、法令規定により抑留されている者は、その請求により当該警察官又は警察吏員の監視の下に投票所に定き、自から投票することができる。  この項目につきましては、只今説明申上げました修正案から洩れておるものであります。  その次の問題といたしまして、「都道府県知事及び地方自治法昭和二十二年法律第六十七号)第百五十五条第二項に規定する市の市長は、自発的に離職したときは、離職後六箇月間は、参議院全国選出議員選挙又は当該地方公共団体区域を含む選挙区においての衆議院議員若しくは参議院地方選出議員選挙における候補者となることができない。」この事項が洩れております。  尚公職選挙法案の第百三十七条の修正案といたしまして、「何人も、教育上特殊な関係ある地位を利用して、学校の児童、生徒及び学生で年齢二十年未満のものに対して選挙運動をし又はさせることができない。」この事項も洩れております。公職選挙法案の第百四十六条第一項中『「禁止を免れる行為として、」の下に「主として」を加える。』という事項も洩れております。公職選挙法案第二百六十三条の修正規定といたしまして、その十三に、『第六条(選挙事項の周知及び棄権防止)の規定による啓蒙宣伝に要する費用」、第二百六十四条第一項第一号中「及び第十号」を「、第十号及び第十三号」に改める。』この事項も洩れております。  尚次の問題といたしまして、「第二百七十条第二項及び第三項を削る。」という事項、これは即ち病院に入院中の者についての規定であります。これも洩れております。『第四条第二項中「二百五十人」を「二百五十二人」に、「百五十人」を「百五十二人」に改める。」別表第二中「東京都八人」を「東京都十人」に改める。』この修正案も洩れております。  大体以上であります。
  15. 島村軍次

    島村軍次君 只今知事及び市長に関する規定の削除に対する衆議院意見菊井課長から御説明願いたいのです。
  16. 菊井三郎

    法制局参事菊井三郎君) 都道府県知事及び地方自治法第百五十五条第二項に規定する市の市長立候補制限の問題につきましては、従来この委員会におきましても非常に修正の御意見が強かつたのでありまして、衆参両院合同懇談会の席上におきましても十分論議された事項であります。この度小串委員長衆議院生田委員長と折衝いたします際におきましても、十分その参議院委員会における修正意見を強く主張されたのでありますが、衆議院委員会といたしましては、この修正事項憲法に違反するという意見が一部にありました。尚且つ多くの選挙につきまして特定の者の立候補制限するということは、憲法規定からいたしましても非常に違憲というような問題が生ずるばかりでなしに、非常におかしいというようなことを言われておるのであります。それでこちらといたしましては、その立候補を全部制限するのではない、他の選挙区から出ることは差支ないのであるから、そういう点は制限にはならないのではないかということをいろいろ主張したのでありますけれども、憲法に違反する疑いがあるということを強く向うでは主張されまして、結局衆議院といたしましてはこれを呑むことができない、こういうような意向のように承わつているのであります。
  17. 鈴木直人

    理事鈴木直人君) ちよつと審議やり方について御相談したいと思いますが、或いは審議やり方として便宜的に先ず衆議院との間において内輪の交渉了解を得ているものについて一応質問をいたしまして、実はこれは余り問題はないと思いますので、そうして一応これが問題がなかつたような場合に、直ぐその次に衆議院とまだ話合いのつかないという問題に移るというようなやり方をいたしましようか。或いは全般的に一応御質問して頂くというような方法にしたらよろしうございましようか。
  18. 島村軍次

    島村軍次君 前者について、只今読上げられた了解のついたものだけ先に採決決定願つて、それから問題の事項に移ると、こういうことにやつて行きたいと思います。  (「賛成」と呼ぶ者あり)
  19. 鈴木直人

    理事鈴木直人君) 今島村君から御意見がありましたが、実はこれを決定するというところまで参りますことは、関係方面OKもまだ実は取りつつある段階にありまするので、その後に正式の決定は残すことにいたしまして、この際は質問だけを……
  20. 島村軍次

    島村軍次君 賛否決定されておいたらどうですか。
  21. 鈴木直人

    理事鈴木直人君) 意見として……
  22. 北村一男

    北村一男君 質問打切つて討論採決だけを保留なさつておいたらどうですか。
  23. 鈴木直人

    理事鈴木直人君) ですから質問の範囲内において賛成の御意見も同時にしてもいいのですが、正式のものだけは残して置くというふうにして一応はまとまりがついたという段階を取つて置くという意味で、先ず第一に最初衆議院との話合いがついているものをやるという島村君の御意見に御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 鈴木直人

    理事鈴木直人君) それでは最初に、衆議院話合いのついているものについて一つ質問なり御意見をお願いいたします。
  25. 島村軍次

    島村軍次君 只今配付されました「第八十七条三項」云々から「百八十七条第一項中」云々規定に至るまでの間を一括して、修正案通り決定いたすことの動議を提出いたします。一応決定にして頂き、OKの問題はあとでいいのじやないのですか。
  26. 松井道夫

    松井道夫君 只今島村委員の御発言がありましたが、やはり委員長の言われるように、衆議院との間に了解のついた案につき質疑、質問がある人はやつて頂くということにしたらどうでしようか。  (「賛成」と呼ぶ者あり)
  27. 鈴木直人

    理事鈴木直人君) 島村君、一応質問のある方に先ず質問をして頂くという過程を置くということはいいと思いますが、どうですか。異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 島村軍次

    島村軍次君 質問はもう前回で尽きておる筈ですから、一応賛否決定されたらどうかと思います。
  29. 中川幸平

    中川幸平君 島村さんの言われるのは尤もだと思うけれども、やはりまだOKも取つていないのだから質問がなかつたら一先ず次に移るようにした方がいいのじやないのですか。
  30. 島村軍次

    島村軍次君 質問なし。
  31. 松井道夫

    松井道夫君 ちよつとこの際、恐縮ですが二、三の点について伺つて置いたらと思うのでありますが、菊井さんにお尋ねするわけでありますが、百七十六条の二項なんですが、「なお」以下ですが、全国選出参議院議員乗車券の問題でありますが、日本国有鉄道回数券十五枚とあるが、これはどういう性質のもの、どういう効用のある券でしようか。
  32. 菊井三郎

    法制局参事菊井三郎君) 日本国有鉄道回数券というのは、回数券として国鉄が出すものでありますが、それは一回々々これによりまして乗車券を貰うというものであります。これにつきましては運輸省の方におきまして、運輸大臣は別に規定を設けまして、ここに回数券とありますが、往復できるような切符交付できる措置を講ずるというように承わつております。
  33. 松井道夫

    松井道夫君 そこに「全国通用の」とあるのですが、それはどういう意味合ですか。
  34. 菊井三郎

    法制局参事菊井三郎君) これは希望に従いまして、例えば東京から大阪までという場合にはそういう切符になりますし、又北海道から九州という場合には北海道から九州までの切符交付を受けることができる、こういうように適用期間、区間が特定されておらない、こういうことであります。
  35. 松井道夫

    松井道夫君 それで途中下車はできるということになつておるのでしようか。その辺はどうですか。
  36. 菊井三郎

    法制局参事菊井三郎君) これは途中下車ができることになつております。
  37. 藤井新一

    藤井新一君 この百四十四条の第二項でありますが、検印を受ける場合と証紙はりつけでありますが、これはどちらを使つてもいいのですか。又この証紙はどういう性質のものをはるのか、それは、はげるような憂えがあるのですが、若しはげた場合にはそのポスターは無効になるという、証紙のはがれたものをはつてあるという場合が起きた場合は、そういう場合にはどちらがいいか、それを承わりたい。
  38. 菊井三郎

    法制局参事菊井三郎君) この修正案によりますれば、検印を受けてもいいし、証紙を貰いましてはりつけてもいいということになるわけであります。証紙が脱落するかどうかという点につきましては、只今質問のようにそれも場合によりますとあり得るかと思うのでありますが、その点につきましては、検印を受けましても雨によつて流れるという場合もあり得るわけでありまして、その点につきましては検印であつて証紙であつても、場合によつてそういう虞れがあり得るということは考えられます。尚証紙が脱落いたしました場合に、そのポスターが果して制限の枠外のものと認められるかどうか、或いは全然証紙をはらないものと見られるかどうかということは、これは解釈の問題として出て参りますが、少くとも証紙がはつてありました痕跡があるならば差支はないのではないかと思われますが、具体的にはどのように認定するか、やや問題はあると思います。
  39. 藤井新一

    藤井新一君 その場合に、選挙妨害といたしまして反対党が証紙をはぎに行く場合があり得る。そういう場合を多少は考慮する必要がある。この際は検印だけにするようなことはどうですか。
  40. 菊井三郎

    法制局参事菊井三郎君) 選挙管理委員会の扱い方といたしましてはできるだけ検印を行いまして、証紙をはるという場合は極めて限定するという方針で参りたいというように承わつております。
  41. 小林勝馬

    ○小林勝馬君 これは新らしく、新らしくと言つては失礼ですけれどもときどき出て来て、この問題をどんどん繰返されたんじや、今島村委員から言われた通りきりがない。我々は毎日々々繰返されているのは困るのでこの際質問打切の動議を提出いたしたい。   (「賛成」と呼ぶ者あり)
  42. 鈴木直人

    理事鈴木直人君) 只今小林君から質問の打切の動議があり、皆さん殆んど全部御賛成の御発言がありましたので、これを以て衆議院との話合がついた部分についての質問を打切ります。次に話合のつかないもので先程菊井課長から説明がありましたが、お手許には実はその分については特に取立てて刷物にしたものが差上げてないわけであります。(「前のものがあります」と呼ぶ者あり)前のものがありますからこれを御参考に御審議を願いたいと思います。
  43. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 委員会及び委員長の非常な御尽力によつて参議院の本委員会が大体御決定なつた分の多くの部分衆議院了解を得たと思いますが、それから残る部分は先程菊井課長から報告されました部分についても、十分に尚委員会及び委員長の御尽力を願いたいと思うのであります。その理由につきましてはたびたび本委員会において申述べましたので余り繰返しますことは恐縮でありますが、詳しくは繰返すことを避けますが、簡単にこの際もう一度慎重にお考えを願いたいと思う点だけの発言を許されたいと考える次第であります。で、私が申上げたいと思いますことは四つございます。  第一は前回参議院委員会において大体多数の皆樣の御賛成を得て、衆議院側に申入れましたうちの第四十八条の修正意見でありますが、即ち選挙人であつて選挙の当日警察に抑留されている人に対してその選挙権の行使をなすことをできるようにするという修正案であります。これは前回にも申上げましたように、第一にはその刑務所におられる人々に対して不在投票を認めておりますので、それとの公平の見地から警察におる人々に対しても投票の自由を行使することができるようにすべきではないか。  第二には、それに対して多少技術的な困難はありますが、併しこと苟しくも基本的人権に関することでありますので、たとえ重大な犯罪の嫌疑を受けた人であつても、その人の基本的人権を尊重することが、やがてその人々がそうした嫌疑が晴れ、又はその嫌疑が裁判その他によつて確定して刑を受けられた場合でも、その後に善良なる市民として更生せられるという意味から国がそれだけの丁重な取扱をすべきではないか。で、その二つの点から前回において多数の方の賛成を得ましたので、現在選挙に関する基本法が制定せられておりますときに、国会の殊に参議院の高邁な識見というものを現わして頂く意味から、重ねてもう一度衆議院交渉をし、或いは修正案というものに入れて頂きたいということをお願いいたします。  第二は、百二十七条に関する点であります。これはいわゆる現行法においては何人も教育上の地位を利用して未成年者を選挙運動に利用してはならないと、こうありますのを、今回衆議院において、教育者が学生を選挙運動に利用してはならないというふうに改められたので、これは極く簡単に申上げますと、第一に現行法がその精神が全く失われたということであります。現行法では未成年者を選挙運動に利用するということはよくない。なぜならば未成年者は政治上自由なる意思というものを必ずしも持つていると判断されておらないのでありますから、未成年者を選挙運動に利用するということはよくない。これは例えば未成年者を政治上に利用した最も悪質な場合は、御承知のようにドイツのナチス、或いはイタリアのフアシズム、或いは日本の過去の侵略戦争時代に行われたことであつて、未成年者を通じて成年者の国民の政治上の判断を牽制するということは実に憎むべきことであります。何人も或いは親或いは教師というものは未成年者によつて動かされるという人情上の弱点があるために、未成年者を政治上に利用するということは現にナチスやフアシズムがこれを行なつた悪例がまだ我々の記憶から決して拭い去られていない。そのときに我が民主々義下の日本の新らしい選挙基本法において、未成年者を選挙運動上に利用するということができるように改めるということは、これは許すべからざることではないか。  それから第二には、若しこの教育者のみをここで制限するということになれば、これは教育者が持つている教育上の地位というものと並んで考えなければならない。他の社会上それぞれ重要な影響力を持つておる人々の、そういう影響力というものを制限しないという点において不公平となる、これも避けなければならない。それから第三には、学生というふうにした結果、すでに成年者であつて政治上の完全な権利を持つておる人の行為をこれによつて束縛するということになる。これはすでに本委員会においては随分前に皆さんの大多数の方々の御賛成を得て衆議院懇談会の席上にもこれを述べ、衆議院の法制部長の説明がありましたが、それらについて私は一々理論上の根拠を挙げて反駁し、その懇談会に出席しておられた衆議院議員の方々も賛成をせられたのでありますので、どうかこの修正案を維持して頂きたいと考えます。  それから第三は、第百四十六条、即ち著述、演芸等の広告が禁止行為を免れる目的を以てなされる場合に、主としてその候補者の氏名を広告することを以てするということを制限すべきである。現行法においては「主として」という字があるのであります。この「主として」という字を削られたのは、たびたび質問の結果明らかになつたのは、全く法律の技術上その「主として」という字を必要としないというので削られたのでありますが、併しこの点については「主として」という字が現行法にあるのを削られたために、一般においてはこの制度が非常に厳しくなつたというふうに感ぜられております。極く最近も実は中央公論その他の出版社から問合せが私の方に参りまして、依然として国会はこの「主として」という字をお取りになるつもりであるか、即ちその質問趣旨選挙期間中における出版、演芸等の合法的な自由な活動というものを御制限になるつもりであるかという質問が参つておりますので、事実一般にそう解釈され易い、又取締上そういうふうに取締られ易い、その意味からやはり「主として」という字を入れて頂きたい。これも衆議院との懇談会の場合には、衆議院議員の多数の方が「主として」という字を存しておいた方が親切であるという御意見が多かつたのでありますから、今一層御尽力を願つてこの修正案を維持して頂きたいと考えるのです。  それから第四は、この二百六十三条において、選挙管理委員会選挙のときだけでなく、選挙のないときにおいても選挙及び政治思想の啓蒙について御尽力をして頂き、その費用を国が負担するということであつて、これはたびたび選挙管理委員会の方から本委員会に対しても御希望があり、その御希望には十分の根拠があることでありますので、大した予算を増額する必要がないことでありますから、我々としては選挙管理委員会に絶えずいろいろお世話になつておるのですから、ただこの要望にだけは是非応えて頂きたい。そういう意味でこの修正案も維持して頂きたい。  最後に第五に、二百七十条に関する点でありますが、療養所における人々の選挙の自由、選挙の権利、基本的人権を尊重せられます意味から、是非この第二項、第三項を削られたい。で、この第二項、第三項は、法律的に見ましても非常に曖昧でありまして、第二項においては或いは選挙制限するごとくであつて、第三項においてはその挙挙の権利を認めるごとくになつております。こういうような、一方においてこれを奪い他方においてこれを認めるような第二項、第三項を置きますと、これは極めて主観的な解釈が行われ易いのであります。ですからこの第二項、第三項は全く法律上、法文としても蛇足である。この二項、三項がない方が却つて今諸君が立法せられようとしておる選挙基本法の精神を誤りなく発揮するのであつて、この二項、三項があるために却つていろいろな誤解を生じ、特にこの点についても全国のそれぞれの療養所からこの本委員会に対しても陳情請願が多数の署名を以て出ておりまして、療養所で療養しておられる諸君が、恰も現在の国会によつてその選挙権を著しく制限され或いは奪われるかのごとき感じを抱いておるというようなことでは誠に面白くないと考えますので、これも多数の方方の御賛成を得て衆議院に申入れられておりますので、どうかこの点についても従来の態度を維持して頂きたいと考えるのであります。  以上各委員の良識に訴えてお願いをする次第でありますが、最後に一言を許されるならば、現在諸君が立法しようとしておられる選挙法は、日本で初めてあらゆる選挙について基本的な規定をせられるのでありますから、その上にどうか現在の国会の理想民主々義的な識見の高さを発揮して頂きたいと考える次第でありまして、又その意味から今申上げました五つの点について、特に皆樣の御賛成を賜わりたいと考える次第であります。
  44. 姫井伊介

    ○姫井伊介君 只今の羽仁さんの御意見には全面的に賛成をいたします。更に若干の蛇足を付け加えさして貰いますと、二百六十三条は一つの予防的措置でありまして、僅かの経費を投ずることによつて弊害が除去せられ、その弊害と犯罪によつて起るために要する多くの費用を節約することができるわけであります。その点これは決して多くの経費を無駄に使うわけではないのであります。返るところが非常に大きいのでありますから、そういう意味におきましても私は特にこの費用を計上されることを希望いたします。  次は二百七十条でありますが、これは不在投票ができるから支障なしとの意見もありますが、併しいま一つ自由な選挙権行使を阻害する理由があるのであります。それは選挙人名簿の登録についてでありますが、結核患者によりましてはもう五年も十年も長くおられる入院加療中のものは、その故郷に対する因縁関係が非常に薄くなつて、中には殆んど前住地にたよりすることさえできない人もあるのであります。それは当然その病院なり療養所が住所と見られなければならない、外に方法はないのであります。又よし何かの手続によつて前住地の方へ名簿登録いたしましても、今度はそれを閲覧するところの機会もないのであります。今一つは癩患者などでありますが、これなどは自分の病気を恥じまして家族にも祕してこつそりと治療しております。これ又そういう関係からいたしまして前住地又は自分の実家において登録しようということは非常に恥かしさを感ずるのでありまして、又家族の人があつたといたしましても非常に困るのであります。そういうふうな点からいいまして、たとえ不在投票ができるにいたしましても、今申しましたような名簿登録の関係などがありまするから、やはりそういうものにつきましては当然現在おりますところの病院若しくは療養所を住所と認めるという手続が取られなければ、今申しましたような自由なる選挙権の行使を阻害するということになるわけであります。その点から申しましても、私はこの二百七十条につきましても更に御交渉を願いたいと思います。
  45. 遠山丙市

    ○遠山丙市君 今羽仁君と姫井さんのお話がありましたが、大体私余り勉強しておらんで恐縮でありますが、殊に学校関係のことで、私は全面的に賛成をいたしておるのであります。ただ今姫井さんも言われました点ですが、癩患者というものは外部との往来は禁止なつておりはせんかと思うのですが、病院自体において行うということになれば別でありますが、これが何かの規則がありまして禁止して投票場に行かないような立場になつておりはせんかと思います。こういうような点はどういう工合になつておりますか。併せて菊井君から承わりたいと思います。
  46. 鈴木直人

    理事鈴木直人君) 先程私が申上げましたのは、一応の修正案というものが出揃つて、そうして参議院としては修正案が決つておりまするから、それ以外のことについては又今ここで発言するということはもうやらないということで、その修正案参議院として一応決つた修正の中で、先程満場一致を以て一応質問を打切りました以外の部分、そうして衆議院と折衝したけれどもなかなか思うようには行かないという現在の段階なつておる部分についてのみの範囲内において御審議を頂くことになるわけでありますが、それについて更にございましたらそういう点について御質問をお願いしたいと思います。
  47. 來馬琢道

    ○來馬琢道君 只今委員長の宣言もあつたわけですから、ここで委員長が又新らしいことを持ち出して、とにかくこれは参議院の方で希望するものであるからという歴史を残すために交渉する方向に進むのか、もう大体これだけ骨を折つたものであるのだから、これ以上のことは意見はもう述べないで、ここでできるだけ早くこの法案をまとめるようにするという精神をお決めになる方がよいかと思います。私先程小林委員から質問終了ということを言われましたから沈黙してしまいましたけれども、先程どなたか——藤井君の質問のありました百四十四条の第二項の問題のごとき、よく考えて見ればやはり証紙をはるような法律をこしらえまして、泡沫候補者をこしらえまして、その泡沫候補者ポスターを殆んど使用しない。その証紙候補者に売りつけるというようなことをやれば何万枚、何十万枚でも使うことができるということが起るのです。そういうところは相当警戒しなければならんと思うのでありますので、もつと範囲を小さくして、その小さい範囲の中で我々がこれまで審議したけれども、もつと従来我々も何十年という間選挙運動に携つて来たものである、その経験から得た知識をもつと深く掘り下げて、この法案に利用して正しい選挙を行うようにしようということについて、たとえ一時間でも二時間でも使用することが最も使命に忠実なりと考えまするので、只今委員長においては、これ以上の新らしいことはもう言わないことにして進むのか、通つても通らないでももつと主張することを歴史に残すのかという問題について御意見をお決めになりまして御決定あらんことを希望いたします。
  48. 島村軍次

    島村軍次君 来馬さんの御意見は御尤もの点もありますが、そういう問題は相当長い間研究して来た問題でありますから、先程小林さんの御意見も出たと思うのでありまして、これから歴史に残すということになれば、何年かかつても相当論議が尽きないと思うので、選挙を控えている際でありますからこの辺で質疑は終了するということに計らつて頂きたいということを重ねて申上げます。
  49. 遠山丙市

    ○遠山丙市君 大体打切ということについて私は別に異議をさしはさむものではないのでありますが、ただ定員増若しくは減という問題が前から出ておりまして、そのことも実はちよつとお尋ねするのですが、併せて今渉外課長さんが何か向うに折衝に行つておられるというのでありますが、それは一体そのことに触れているのか、それを全然外しているのでございますか。実は先般来私と深川さんと帆足君でGSに参りましていろいろ意向も聽いて来たのでありますが、どうも全然問題が向うが衆議院側に呑まないからというので、殆んどこれには深く触れないでこのまま片付けられるようなおつもりのようですが、一体それは向うの方と相当打合せした結果、もうとても言つても駄目だからというのでこれを採用しないのであるかどうか。その経過だけを承わつて置きたい。
  50. 島村軍次

    島村軍次君 今の問題は一々採上げられないで、問題があれやこれやこんがらがつてなかなか進行しないと思いますので、問題をどう取扱うかということは、各項について一々を採上げて頂きたいと思います。そこで衆議院との交渉の済んだ問題はこれで一応質疑を打切つたのだからそれでいいとして、羽仁さんからお話の問題のうち、残つておるのは数項でありますからこの点はどうする、この点はどうするということを懇談にして貰つてから片付けて行つて頂きたい。   (「異議なし」と呼ぶ者あり)
  51. 鈴木直人

    理事鈴木直人君) 只今島村君の御発言に御異議がないようでありますから……速記を止めて下さい。    午後四時二十四分速記中止    ——————————   午後五時十四分 速記開始    〔理事鈴木直人君退席、委員長着席〕
  52. 小串清一

    委員長小串清一君) それでは速記を始めて下さい。これより定員の増加若くは変更に関する御意見に対しまして、その法理上の意見を法制局長から説明を聽取したいと思います。
  53. 奧野健一

    ○法制局長(奧野健一君) 前回にも一応申上げましたのでありますが、参議院の定数の増加につきまして、憲法上の問題といたしまして、憲法第四十六条では「参議院議員の任期は、六年とし、三年ごとに議員の半数を改選する。」とありまして、更に又百二条では「この憲法による第一期の参議院議員のうち、その半数の者の任期は、これを三年とする。」ということになつております関係上、両方を考えてみますと、原則としては参議院議員の任期は六年、それで三年ごとに半数改選、ただ憲法施行の第一回目の参議院議員については、三年の半数改選の必要上、その半分だけは例外として三年の任期とするということになつておりまして、この百二条を受けまして参議院議員選挙法附則の第十条ができておるものと考えられるのであります。そこで第一回目でない今後の場合におきましては、任期二年の議員を制度的にこしらえるということは、憲法第四十六条の許さないところではないかというふうに考えるのであります。そうなると定数は法律で決めることになつておりながら、その定数を増加するということはできなくなるのではないかという疑いがあるわけであります。何となれば三年ごとに改選されるような構想で参りますと、偶数において増加してその半数のものは三年というふうにしないと、半数の三年改選ということができないから、そうなると三年の議員を認めなくして定員の増加というものは憲法上許されないのかということになりまして、非常にそこには我々も苦心をいたしたのでありますが、どうしてもこの定数を増加するという前提の下に何とか方法はないだろうかと考えたのでありますが、御参考までに、二つ考えられるのであります。  それも実は大して自信はないのでありまして、ただ一つの試案として申上げたいと考えるのでありますが、その第一は、仮に二人殖やすという場合に、とにかくこの次の選挙の場合を考えると、新らしく出て来る議員は六年の任期を持ち、従来の議員の三年ということになるわけでありますから、今度殖す二人のうち一人はいわゆる三年議員の補欠とみなして、他の一人は今度新らしい増員とみなすというふうなことで、二人を選挙して、その一人だけは従来の三年議員の補欠というふうに若し仮にみなすことができれば、その人は三年で任期が終るということになるのではないかというふうな方法が一つ考えられますのと、もう一つは二人定員を増加しておいて、そのうちの一人だけの選挙は今度の通常選挙に行うが、他の一人は三年後の半数改選のときの通常選挙選挙するというふうに分けて選挙を行うというふうなことにして、任期は両方とも六年、そうなりますと、二人増加しようという場合には一人ずつ増加ということになつて三年一人については先に実現するということになるのであろうと思いますが、まあそういう二つの途を考えておるのでありますが、これが果して憲法上六年議員以外に三年議員を認めないという趣旨に合致するかどうか、やや疑いを持つておるのでありますが、これ以上ちよつと今いい方法はないように考えておるわけであります。
  54. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 法制局長にお尋ねしますが、東京で二人を殖やして、例えば栃木で二人減らすというときに、東京に殖やした三年議員の方ですね、それは栃木で減らした、元の県で三年議員だつた人はその補欠というふうに考えますか。
  55. 奧野健一

    ○法制局長(奧野健一君) 今のは私はただ東京だけの二人増加ということだけ考えまして、他の方の減すことは全然考えてなかつたのでございます。
  56. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 そうすると二人東京で殖やすということは、その一人を三年議員の補欠とみなすとおつしやつたんですか。それはみなし得ないじやないですか。
  57. 奧野健一

    ○法制局長(奧野健一君) 定員を増加して二人増加するのですが、その一人は現在の今残る人の定員に充てて、それがまあ補欠になるわけですな。他の一人は新らしく増加すると、これも果して憲法上許されるかどうか、非常に疑問を持つておるのでありますけれども……
  58. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 後の二人の定員を増加して、そのうち一人を次の選挙のとき選出する、これは非常に面白い案じやないかと私は思うのです。第一の一人殖やすとき、その一人を三年議員の補欠とみなすということは非常に疑いが多いのではないか、若し栃木県で減らすならばそういうことが言えるかも知れませんけれども……
  59. 藤井新一

    藤井新一君 そうすると岡本さんの、こういう法律で三年議員というのは、憲法百二条におきましては第一回限り三年とする、そうあるのを今度も三年を作るということは、どういう法規で作り得るかということは疑問が起つて来るでしよう。若しそれができた場合は我々六年議員、それが三年になつたのだと決められたらば、歳費をよこせという行政訴訟ができると思いますが、一つその点はどうですか。
  60. 奧野健一

    ○法制局長(奧野健一君) 若し……今藤井さんの言われるのは三年議員を仮に認めたという場合、これは憲法に違反する。従つて憲法上は六年議員しかない筈だ、従つと自分が三年で任期が終つたから、その後はまあ歳費をよこさないと言つても、自分はまだ三年あるのだというようなことを主張して、訴訟を起せるのじやないかという趣旨だろうと思いますが……(「それはあり得るのだ」「言えないのだ、憲法にないのだから……」「ただそこのところアメリカあたりはどうしているのでしようか」と呼ぶ者あり。その他発言する者多し)
  61. 鈴木直人

    鈴木直人君 この問題も先ず衆議院とかそういう面とそれは一つ検討するということで明後日まで留保して、今日はこれくらいで打切りにして……
  62. 小串清一

    委員長小串清一君) 皆さん、今の鈴木さんの御意見でよろしうございますか、あちらからも……
  63. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 交渉するものを向うで、羽仁君や姫井さんや、それから又今来馬さんからの御意見があつて、もう一応交渉しようというので検討していたのですね。それじや後のものは交渉しなくてもいいのか、再交渉する必要がないのかどうかという問題を決めておいて頂きたい。そして私共の主張しておつた知事市長の問題ですね、これはこういう情勢になりましたから、撤回をしていいと私は思います。再三張しなくてよろしいと私は思います。それを決めておいて……
  64. 小串清一

    委員長小串清一君) ちよつとお断わりいたしますが、衆議院では選挙法の改正委員会は解散しちやつたのです。それで表面、表門から先方の委員長交渉するということが実はできないのでございます。それがために私も非常に困りまして、衆議院の元の委員であつた方や、まあ委員長は丁度留守だつたのですが、昨日帰つて来たのですが、御相談をして、そうして各派に呼びかけて各派の意見を集めて返事をしてもらいたい、その返事が今日皆さんで御承認になりましたあの初めの案なんでありますから、それで今度改めて交渉するといつても、今言う通り交渉の主体が議長とか副議長にやればとにかく、公式に交渉するには今までのやつた人々に、参議院はこういう希望を持つている、尚諸君の方でお認めにならなかつた分も尚もう一度考えてもらいたい、こういうことを申そうと思うのでございます。そこで今日私留守をしましたが、大体鈴木理事から拝承しましたが、皆さんの問題をもう一度それではおさらいしますが、つまり私の……今まではこの教育者の問題、それから今の定員を増加若くは変更することについて、これは参議院だけの利害の問題だから一つ是非相談に乗つて呉れ、それから証紙の問題は前に私があつたときに協定した方がいいと思う、どうも脱法行為やいろいろなことをやられて困る……この三点を交渉いたしますから、御承解願います。  それでは日本はこれで散会いたします。    午後五時二十七分散会  出席者は左の通り。    委員長     小串 清一君    理事            城  義臣君            鈴木 直人君            羽仁 五郎君    委員            大畠農夫雄君            姫井 伊介君            北村 一男君            佐々木鹿藏君            遠山 丙市君            中川 幸平君            藤井 新一君            小林 勝馬君            岡本 愛祐君            柏木 庫治君            來馬 琢道君            島村 軍次君            松井 道夫君            兼岩 傳一君            小川 久義君   法制局側    法 制 局 長 奧野 健一君    参     事    (第二部第一課    長)      菊井 三郎君