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1950-03-09 第7回国会 参議院 選挙法改正に関する特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年三月九日(木曜日)    午後一時五十五分開会   —————————————  本日の会議に付した事件公職選挙法案衆議院送付)   —————————————
  2. 小串清一

    委員長小串清一君) 只今より本日の委員会を開会いたします。速記を止めて下さい。    午後一時五十六分速記中止    ——————————    午後三時十二分速記開始
  3. 小串清一

    委員長小串清一君) 速記を始めて下さい。本日の委員会において公職選挙法案選挙基本法案要綱との相違点について皆様の御審議を願いまして、第一章から第五章まで、大体この相違点については衆議院意見と同調しようということになつたわけであります。  次にこの第五章の中の三十三條の第六項と選挙基本法の五十條二項との期限の問題につきましては、これは留保してもう一応研究の上決定ようと、こういうことに相成りました。次に第三十四條の第一項については、衆議院に同調するということに相成りました。  それで引続きまして、これより第四十九條第三号に対する御説明菊井課長よりして貰うことにいたします。
  4. 菊井三郎

    法制局参事菊井三郎君) 公職選挙法の第四十九條第三号には、「選挙人が疾病、負傷、妊娠、不具若しくは産褥にあるため歩行が著しく困難であるべきこと」、お手許に配付してございます対照表にはそう規定されておりまして、参議院案も同様であるのでありますが、その後衆議院案が直りまして、そのあとに「又は監獄・若しくは少年院収容中であるべきこと。」こういうよう字句が入りましたため、その点相違して参つたわけであります。その点が違つておるというだけであります。
  5. 鈴木直人

    鈴木直人君 衆議院三浦法制部長に追加の理由説明して貰います。
  6. 三浦義男

    衆議院法制局参事三浦義男君) 只今の点でございまするが、これは立案の過程におきましては、衆議院におきましても一応問題とされたのでありまするが、その後案といたしましては、特にこれを本法中に取入れるということをいたしていなかつたのであります。ところがたまたま最近福島でいろいろ事件が起りました際に、丁度向うの選挙とからみ合いまして、実際問題といたしまして、未決勾留中の者に対する投票をどうするかというようなことが起りましたので、そういう点も勘案いたしまして、法務府等の意見を容れまして、只今追加されましたよう字句が入りましたようなわけでございます。その要点は、監獄とございまするが、これはまだ現在監獄法というのがありまして、監獄という用語が使つてありますし、これを刑務所、或いは拘置所と、ただ変えるだけでは法律上十分でない点がありますので、用語監獄という用語を用いてあるのでありまするが、要するに未決勾留中の者に不在投票を認めるということであります。それから次には少年院収容中の者でありまして、大体少年院には二十歳以下の者が多いのでありますけれども、少年院にもいろいろ種類がありまして、その中では二十歳以上の者が少年院収容される場合もありますので、そういう場合はやはり同等に取扱うべきであるというような見地から、そういうことにいたしましたわけでございます。
  7. 鈴木直人

    鈴木直人君 衆議院案に同調します。
  8. 小串清一

    委員長小串清一君) 衆議院案に御異議ありませんか。
  9. 大畠農夫雄

    大畠農夫雄君 それは説明を聞くと分るのですが、「監獄若しくは少年院収容中」という場合は、未決の場合もあるし既決の場合もあつて、親切にここに現わすためには、やはり未決勾留中の者と、こういうふうな文面を入れたらどうですか。
  10. 三浦義男

    衆議院法制局参事三浦義男君) さような点も一応考えて見たのでありまするけれども、未決勾留中という用語だけではちよつと狭い場合もありますので、常識的にはそれで結構だと思つておるわけでございます。実際問題といたしまして、もう刑の言渡しを受けた者は初めがら選挙権被選挙権がありませんから、そういう人達は当然除かれることになりますので、監獄収容中であるべきと申しましても、選挙権のない者は初めから不在投票のやり様がないのでありまして、その点はもう当然に除外されて、この監獄収容中であるべきという言葉を読んで行くと、かよう考えております。
  11. 大畠農夫雄

    大畠農夫雄君 それが法文を参照すれば分るが、ただこの一條を見たときは、そういうたものも中に入るという疑惑が起る。従つて法文を親切に書くというならば、やはりその点まで親切に書くべきだと思う。
  12. 鈴木直人

    鈴木直人君 只今の御意見は尤もだと思いますけれども、第十一條によつて選挙権及び被選挙権を有しない者がはつきりしておるのだから、やはりそれは原則として選挙権ある者に対するところの不在投票規定が四十九條にあるのですから、そこへ又十一條の点の者は除くということを書かなくても分るのじやないでしようか。同じ法案の中ですから。
  13. 大畠農夫雄

    大畠農夫雄君 分ることは分る。いいでしよう
  14. 島村軍次

    島村軍次君 これは体裁の問題を私は主体考え、且つ分りいいという点を主体考えますと、未決勾留中という者では不明瞭だということの御説明が、ちよつとはつきり分りかねるのですが、それが大部分であるということであれば、除外される者がどういう者か、むしろ言葉としてはやはりどうも今の新らしい規定監獄という言葉を使うことも不適当であるし、国民一般に分りやすいもので、全部を参照すれば理窟はその通りであるけれども、法律用語として平易にやるという点から言つて、断わる方がいいのじやないかと思うんです。
  15. 三浦義男

    衆議院法制局参事三浦義男君) その点は御尤もでございまして、私共の方でもそういう意見が実はありましたわけであります。それでこれは私自身も実はそれがいいよう最初考えましたのですが、法律上調べて見ますと、現在法務府の設置法の中にも監獄という言葉が使つてあります。その中で拘置所刑務所という言葉が実際又更に分類されて使われておるのでありますが、現在監獄法というのが生きておりまして、監獄法規定から申しますと、代用監獄というようなことがありまして、警察署は場合によつて代用監獄になつておる。これを拘置所或いは刑務所というのもいろいろ問題がありますので、そういう点から考えますと、現在監獄法というのがあります以上、法律用語は現存しておりますので、止むを得ずその法に従いましたわけであります。その方が抜けがなくていいと、こういうことからであります。
  16. 島村軍次

    島村軍次君 併し警察勾留されておるものも未決勾留の中に入ることは事実でしよう
  17. 三浦義男

    衆議院法制局参事三浦義男君) 警察勾留されておりますものも……
  18. 島村軍次

    島村軍次君 監獄という言葉を……監獄法があるからというのでなくして、その法律主体未決勾留中のもので、警察であろうが監獄に入つておるものであろうが両方を含むということに、立法の解釈をそうとるという解釈でいいじやないかと思います。
  19. 三浦義男

    衆議院法制局参事三浦義男君) その点につきましては、例えば勾留という、未決勾留と申しますか、ここの勾留という意味はどういう場合を指すかという点に問題があるわけでございまして、この監獄収容中であるべきことという場合におきましては、刑事被告人も入るわけであります。ところが刑事被告人については未決勾留中という言葉が適当かどうかはこれは疑問だと思います。監獄法によりますと、刑事被告人を拘禁する所を拘置監獄というよう法律上は呼んでおるのであります。そういう点もありますので、未決勾留という言葉は常識的には分りますけれども、法律用語として正確ではないから、監獄法が現在ある以上止むを得ずこの用語を使用したと、こういうことであります。
  20. 島村軍次

    島村軍次君 そうすると、除外される慮れのあるものは刑事被告人だけですか。
  21. 三浦義男

    衆議院法制局参事三浦義男君) 刑事被告人、それからまた細かく申しますと、刑事訴訟法規定によりまして勾留されておるものも入るわけであります。例えば刑事訴訟法の六十條にありますが、「被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当理由がある場合にこれを勾留することができる。その一内容としまして被告人が定まつた住居を有しない場合の勾留、又「左の場合には、被告人を勾引することができる」ということが五十八條にありますが、「被告人が定つた住居を有しないとき。」最初に申しました六十條の方では疑うに足りる相当理由があるとき。只今申しました五十八條の場合は「被告人が定まつた住居を有しないとき。」というふうにいろいろ規定がございまして、やはりこの監獄収容中であるペきことという事態に該当する場合がありますので、特にこういうことに規定したのであります。
  22. 鈴木直人

    鈴木直人君 どうでしよう。そこらでいいじやないですか。衆議院案で行きましよう
  23. 三浦義男

    衆議院法制局参事三浦義男君) ちよつと追加いたします。
  24. 鈴木直人

    鈴木直人君 この問題につきましては、はつきりいたしましたから……
  25. 三浦義男

    衆議院法制局参事三浦義男君) もう一つちよつと追加いたして置きたいと思いますが、刑法の規定で御承知の通り罰金を完納することができない場合に、換算いたしまして労役場に留置する、こういうよう規定もあるわけであります。そういう場合等もこの監獄収容中であるべきこと、そういうことにもこれも入つて参りますのでそういう点を考えまして、やはりこの用語を使用した方がよかろうと考えております。
  26. 大畠農夫雄

    大畠農夫雄君 これは監獄少年院と二つになつておるのでありますが、警察に拘置されておる場合は特別な手続を取らないのでありますか。
  27. 三浦義男

    衆議院法制局参事三浦義男君) ここで言つております監獄と申しまする場合は、警察の場合に言えば警察署代用監獄になりました場合が入ると考えております。従いましてただ警察に四十八時間か、一瞬留置するという場合は含まれません。これは又実際問題といたしまして、不在者投票という事柄で実際問題にいたしましてもそういう期間の短いものにありましては行いようがありませんから、そういう点むずかしいと思いますが、ここには長く留置しておるということを前提にして規定しておるのであります。
  28. 大畠農夫雄

    大畠農夫雄君 そうしますと、長く留置されておるものには選挙権を與え、極く簡單な何だか分らずに留置するというものには選挙権を與えないということになるのでありますが、そういう場合はどういうふうに扱いますか。
  29. 三浦義男

    衆議院法制局参事三浦義男君) その点は長いものだけに選挙権を與え、短いものには與えないというふうには考えられないのでありまして、只今ような短い人には事実自分から進んで選挙権を行使できる状態にあるから差支はないというわけであります。それは自分警察におりましても直ぐ出まして投票し得る状況にあるわけですから。
  30. 大畠農夫雄

    大畠農夫雄君 それはその日に出して貰えばいいのですが、その日に出せないものは結局失格するわけですか。
  31. 三浦義男

    衆議院法制局参事三浦義男君) これは非常に稀な場合だと思いますが、たまたまそういうようなことがありました場合におきましては、御説明通りのことが或いは起るかも知れませんが、そこは不在者投票制度から言いましても、不在者投票をいたします場合には前以て投票用紙を渡し、そうしていつ選挙があるというふうなことの事実に応じましていろいろな手続をしなければならんので、殊にそういう短い人達に対して不在者投票手続をやることは容易でないということが実際問題からも出て来ております。従いまして、それともう一つはそういう人は直ぐその勾留を解かれる状態にあるから、いつでも選挙権を行使するから、該当する場合は非常に稀である。たまたま選挙の当日入るとすれば、前以つてつておれば前以つて不在者投票もできましよう、併したまたま引つぱられるとすれば、その結果止むを得ない事態はあり得るかも知れないと思つております。
  32. 大畠農夫雄

    大畠農夫雄君 たまたまという言葉ですが、実際において今参議院選挙に出たときに、全国議員という立場から全国を通じて見たときには相当の数にこれはなるのであります。それの手続をやらないということになると、やはり相当に影響があるということを考えなければならん。
  33. 鈴木直人

    鈴木直人君 大畠君のお考えになつておることがよく分りましたが、それはこの不在者投票というときに議論されるものではないと私は思います。いわゆる不在者投票というものは、投票するということはできないわけですから、これは別の問題としていわゆる警察に二十四時間以内において何といいますか、勾留といいますか、検束中といいますか、そういう人に投票を必ずさせなければならないというよう條文を作るとか、或いは実質の運営の上において警察官が投票所まで護衞をして、それから又帰つて来て調べるとか、そういうよう方法は別途の方法として考えられるものだけれども、不在投票方法によつてそれをやるということは観念上違う。いわゆる不在投票はその投票日投票することが自分はできないということが予め分つておるために、その前日あたり一定手続を経てそうして投票をして置くわけでありまするから、恐らく警察から警察に来いと言われる場合には、分つてない場合も非常に多いでしようから、ちよつとその点は不在者投票ということだけによつては今の目的は達しられない。こう思うんですね。
  34. 大畠農夫雄

    大畠農夫雄君 そうなんです。
  35. 島村軍次

    島村軍次君 一応鈴木君の御意見従つて別途の御審議ということで、この問題は一つ進行を願いたい。
  36. 小串清一

    委員長小串清一君) 御異議ありませんか、只今島村さんの御意見に……    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 小串清一

    委員長小串清一君) それではさようにいたしまして次の第七章に移ります。
  38. 菊井三郎

    法制局参事菊井三郎君) 第七章におきましては、公職選挙法案の第六十八條第一項六号に「公職候補者の氏名を自書しないもの」こう規定してございますが、参議院案につきましては、但書が附いておりまして、第六十六の規定による投票についてはこの限りでないとして、この第六十六というのは代理投票規定でありますが、特にこの規定による投票についてはこの限りでない、断り書をしておるという点が違つておるだけであります。
  39. 島村軍次

    島村軍次君 ない場合と、それはどう違うのですか。
  40. 鈴木直人

    鈴木直人君 それについて衆議院の方から説明願います。
  41. 三浦義男

    衆議院法制局参事三浦義男君) 私、今参議院の案の八十六の六項、但書が附いているのを今拝見したのですが、どういう意味但書が附いておるか存じませんので、それをお聞きしてお答えしたいと思います。
  42. 鈴木直人

    鈴木直人君 衆議院は四十八條規定されておるわけですね。従つて四十八條規定されるものはそれを除くというよう但書を書くか書かないかということなんですね。
  43. 三浦義男

    衆議院法制局参事三浦義男君) 只今の点は、衆議院の案では四十八を御覧願いますと分りますが、四十八條代理投票のところでその点を外しておりますので、無効投票衆議院案による六十八條のところでは必要がない、こういうことになります。
  44. 鈴木直人

    鈴木直人君 参議院は非常に丁寧に書いて、念のために六十六條の規定による投票についてはこの限りではないというふうに書いたので、趣旨は全く同じでありまするから、衆議院の案の通りにして置いてもよいのじやないかと思います。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  45. 小串清一

    委員長小串清一君) 第八章、選挙会及び選挙分会に移ります。
  46. 菊井三郎

    法制局参事菊井三郎君) 公職選挙法案の七十五條におきましては、「各選挙ごとに、選挙長を置く。」ということにいたしております。この選挙長都道府県ごとに又選挙分会を置く、参議院の場合には置くということになりますし、選挙長に関する規定を七十五條で一括して置いておりますが、参議院案におきましては、選挙長の職務は選挙管理委員会委員長が行うという建前をとつておりますために、全然この規定を置いておかなかつたわけであります。従いましてその点が著しく違つているわけであります。
  47. 鈴木直人

    鈴木直人君 衆議院三浦君にお尋ねしますが、選挙長はどういう人を置いて、どういうふうな方法で任命をして、どういう権限を持つのか、この規定によつて今はつきりしておりませんが、御説明願います。
  48. 三浦義男

    衆議院法制局参事三浦義男君) 選挙長及び選挙分会長につきましては、これは現行の選挙法と同様の建前衆議院はとつているわけでありまして、選挙長について申上げますと、それは選挙権を持つている者の中から選挙管理委員会が、当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会選挙する、こういうことになつております。選任の範囲におきましては、当該選挙選挙権を有すれば、別に制限はないわけでございます。選挙分会長につきましても同様の原則に立つているわけであります。  尚附加えて申上げますれば、只今問題になつております点は制度上の問題でありまして、選挙長制度というものを置くか置かないか、そういうものに代るに、選挙管理委員会制度を活用して、選挙長が従来やつてつたよう事務をやらせることがいいかどうかという問題に帰すると思つております。私の考えでは、選挙長制度を置いている従来の制度衆議院側においてとつておりますのは、選挙管理委員会は実は選挙事務当局者でありまして、むしろ選挙事務執行についての責任者であります。併しながら当選人決定とかいう重要な仕事は、選挙管理委員会であるむしろ当局選挙事務執行責任者である管理委員会が行うよりも、それで選ばれた第三者である選挙長を選任しまして、その人が当選人決定権限を持つということが、選挙の公正というような点から言つても望ましいのではないかというようなことを考えておるわけでございまして、従いまして、選挙長及び選挙分会長制度は従来通りでいい、かよう考え衆議院案は採用になつておるわけでございます。
  49. 鈴木直人

    鈴木直人君 参議院案によりますというと、選挙管理委員長がいわゆる選挙長仕事を行うということになつてつて、すべての條文がそういうふうに書かれておる。ところが衆議院案によりますと、選挙長が別に置かれまして、そうして選挙長の報告を受けて選挙管理委員会選挙管理委員会としての事務を行う、こういうふうな建前になつておるので、字句については可なり各條において違つておる点があるでしようね。どうですか。
  50. 菊井三郎

    法制局参事菊井三郎君) 選挙長権限というものは非常に広いのでありまして、従いまして、各般に亘りまして只今のところが違つて参るわけであります。例えば立候補届出の問題にいたしましても、いろいろな選挙会の問題にいたしましても、そういう点が違つて参ります。併しそれは主体の問題でありまして、手続自体につきましては同じ建前をとつておりますから、その点は同じであります。
  51. 鈴木直人

    鈴木直人君 例えば愛知県のごとき、衆議院においては三つの選挙区を持つておるという場合においては、選挙ごと選挙長を置くからして、愛知県においては三人の選挙長衆議院案によると出て来るが、参議院案によりますると、選挙管理委員長選挙長仕事をしますから一人ということになるわけですか。
  52. 菊井三郎

    法制局参事菊井三郎君) そういうことであります。
  53. 鈴木直人

    鈴木直人君 衆議院案によりますと、三人になりますね。
  54. 三浦義男

    衆議院法制局参事三浦義男君) そういうことになります。
  55. 鈴木直人

    鈴木直人君 私は従来の選挙の経験から見ますと、選挙区ごにと選挙長を置いて、責任を以てその投票或いは開票を管理し、そうして投票公正適確を期するということが必要だと思うのです。従つてこれは別に選挙長を置いた方が私はいい、選挙管理委員会はその事務をいろいろやるのでありまして、衆議院案の方が私はいいと思うのですが、参議院はどうしてこれはこうなりましたのですか。
  56. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 今鈴木君の言われた点はこの前も検討されたのであつて両論つて、私共もむしろこの衆議院案ごと選挙長を置き、選挙分会長を置くという方が実際的だと、こう思つてつたのでありますけれども、結局一利一害だというので、いつそのこと廃してしまおうというので廃止されてしまつたわけです。併しこうつて衆議院ではやはり置くことになつて来て見ると、両論殆んど匹敵しておつたのですから、やはり譲つたつて私はちつとも差支ないと思う。この衆議院案ように又決め直しても差支ないと私は思う。
  57. 小串清一

    委員長小串清一君) 衆議院案に同調することで御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 小串清一

    委員長小串清一君) それではさよう決定いたします。そこでお諮りいたしますが、今度第九章公職候補者という項目につきましては、相当の問題があろうと思いますが、本日これを続行しますか。この辺で次回に譲りますか、一応お諮りいたします。    〔「四時までやろう」と呼ぶ者あり〕
  59. 小串清一

    委員長小串清一君) それでは第九章、公職候補者について菊井課長より説明させます。
  60. 菊井三郎

    法制局参事菊井三郎君) 公職選挙法案の第八十六條第一項におきまして衆議院議員参議院地方選出議員地方公共団体の議会の議員及び長並びに教育委員委員候補者にあつてはその選挙期日前十日までに、参議院全国選出議員候補者にあつてはその選挙期日前二十日までに、文書でその旨を選挙長に届けなければならない、」こういうふうに規定いたしておりますが、参議院案におきましては、ての趣旨は大体入つておるのでありますが、その外に教育委員会委員選挙にあつて委員候補者選挙人名簿に登録された選挙人推薦によるものでなければならない、こういうよう規定いたしまして、教育委員会委員は必ず推薦制度によることを必要とする。こういうことになつておりまして、この一項がその点において違つております。又八十六條の二項におきまして、公職選挙法案の第二項では、「選挙人名簿に登録された者が他人を公職候補者としようとするときは、本人承諾を得て、前項の期間内に、文書でその推薦届出をすることができる。」こう規定いたしておるのでありますが、参議院案におきましてもその点は同様であるのでありますが、教育委員会委員選挙につきましては、「その推薦は、選挙人名簿に登録された選挙人本人承諾を得て、六十人以上百人以下の連署をもつて、その代表者から選挙期日前十日までに、その旨を当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会委員長届出なければならない。」こういたしておりまして、その点が違つておるわけであります。
  61. 鈴木直人

    鈴木直人君 教育委員会立候補届出につきましては、現在の教育委員会法においては推薦届出制度になつており、その推薦届出をする人の数については規定しておらないということになつておりまするが、第一回の教育委員会選挙の実際の経過を顧みますると、この推薦制というものを惡用して、或いは五千、一万、一万五千等の推薦署名を予めいたしておつたという例が相当ありまして、これは事前選挙運動であろというようなことに考えられる。そうしてそういうことをやつてつた人は大体高点で当選したというような関係から、その推薦制度というものは止むを得ないとしましても、その人数制限する必要はあろうということからして、六十人以上百人以下の連署をもつてというふうにこれは参議院としては考えたと私は記憶しております。従つて参議院としましては、現在の教育委員会法を或る程度までその推薦制というものは尊重したが、人数において制限をしたという点でありますが、参議院案を見まするというと、根本から推薦制というものを、推薦届はありまするけれども、選挙人名簿に登録されておる選挙人推薦連署による推薦というものは不用だということにしてあります。これについて衆議院側考えなり理由を一応聞いて見たいと思います。
  62. 三浦義男

    衆議院法制局参事三浦義男君) 只今お話のありました教育委員推薦連署制の問題でありまするが、これにつきましては、衆議院委員会におきましてもいろいろ意見がありましたが、先程鈴木委員からもお触れになりましたように、連署制を認めますと、それが事前運動の弊害を醸し易いというような点が考えられましたことが、それを止めまする一つ理由で、それから仮に連署制を置くといたしまして、現在の教育委員会法は六十人以上で最高の制限を置いてないわけでございますが、この案のように六十人以上百人以下ということに仮にいたしましたといたしますと、連署制の本質から申しまして、連署を許す以上は何人でなければいけないというようなことは性質上ないのであつて、多ければ多い程それが真の推薦連署であれば頭数の人間を抑える必要はないのではないか、弊害の面があるから止むを得ず抑えるのでしようけれども、制度的に申しますると、さようなことも言い得るのではないかということが第二の理由。それから第三の理由といたしましては、特に教育委員立候補につきまして、国会議員その他の立候補者と区別して考える必要が現在においては特にないのではないか。かような見地から一般の選挙の場合と同様に、みずから立候補する立候補制度と、それから推薦による立候補制度の両方をとりまして、推薦連署制度を廃止する、こういうことに相成りましたわけであります。
  63. 鈴木直人

    鈴木直人君 私は衆議院案でいいと思つています。
  64. 小串清一

    委員長小串清一君) これは衆議院案で御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  65. 小串清一

    委員長小串清一君) それではさよう決定いたします。   それから次は八十八條説明して貰います。
  66. 菊井三郎

    法制局参事菊井三郎君) 公職選挙法案の第八十八條には選挙事務関係者の立候補制限規定を置いております。これに投票管理者、開票管理者、選挙長及び選挙分会長についてでありますが、参議院案においてはかよう規定を置いておりません。併しながらそれは百五の規定におきまして、「国又は地方公共団体の公務員は、在職中、候補者となることができない。」という一般原則的な立候補制限規定がありますので、当然これに包括して入ると、かよう解釈して、特に規定を設けなかつた次第であります。
  67. 鈴木直人

    鈴木直人君 それについての衆議院意見を聞きたいと思います。
  68. 三浦義男

    衆議院法制局参事三浦義男君) 投票管理者、開票管理者、選挙長及び選挙分会長につきましては、それが地方公共団体の公務員であるか、或いは文国の公務員であるかどうかということにつきましての明確なる限定……、明確にそれをし得る法律上の根拠が乏しいので、理論的に申しますれば、公務員ということも言い得るのでございますけれども、一時投票管理者を民間人から起用して、一時的にそれに依頼しておるというような場合においては非常に疑わしい場合がありますので、特にその点をここで明瞭に規定して、その弊害を除く、除去する意味におきまして、公職候補者となることができないということを明瞭に規定する方がよかろうというので、これを衆議院案は特に挙げました。
  69. 鈴木直人

    鈴木直人君 それだけでなく、投票管理者、開票管理者、選挙長及び選挙分会長というものは、直接選挙をする当該の責任者である。従つて他の公務員とは趣きを異にするから、この点については特に明文を以て明らかにして置いた方が、選挙の公正を期する上においてもいいという考え方もあるのではないのですか。
  70. 三浦義男

    衆議院法制局参事三浦義男君) それは御尤もでございまして、さよう意味も含まれておると思つております。
  71. 小串清一

    委員長小串清一君) これも御異議ないと認めます……
  72. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 異議ありませんが、ちよつと三浦君に伺うのですが、只今の御説明と八十九條の関係はどうなんですか。それからこの投票管理者、開票管理者、選挙長及び選挙分会長、これは八十九條に言う公務員の中に入れないお考えか。つまりその結果するところは、関係区域内においてだけ当該選挙区の公職候補者となることができないのであつて、外の区域ならば候補者となつていい。こういうお考えか。それを伺つて置きます。
  73. 三浦義男

    衆議院法制局参事三浦義男君) 只今の点は、八十八儀に特にこの投票管理者その他の選挙事務関係者を挙げましたのは、この法律の形式的の意味におきましては、八十九條の公務員の中に入らないから、八十八條に特に規定をいたしたわけでございまして、従いまして八十九條に挙つておる投票管理者その他の選挙事務関係者は、関係区域内においては立候補できないが、外の方では立候補できるということになりまして、八十九條の一般公務員の立候補制限規定の適用を受けないと、かよう考えております。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  74. 小串清一

    委員長小串清一君) 只今八十九條の問題が出ましたが、そうすると八十八條衆議院通り。八十九條についてはまだ只今の関係を説明いたしておりませんが……
  75. 菊井三郎

    法制局参事菊井三郎君) 公職選挙法案の第八十九條第一項第二号におきまして、「技術者、技能者、監督者及び行政事務を担当する者以外の者で、政令で指定するもの」と規定いたしまして、こういうものは立候補制限を免れるということになつておるのでありますが、参議院案におきましてはすべて、「国又は地方公共団体の公務員は、在職中、候補者となることができない。」こう広く規定いたしまして、かような例外を設けないという建前をとつておる点があつておるわけであります。
  76. 鈴木直人

    鈴木直人君 もう一つある。第二号……
  77. 菊井三郎

    法制局参事菊井三郎君) 第二号につきましては、公職選挙法案には全然触れておらないのでありますが、参議院案におきましては、「都道府県知事及び市長は、自発的に離職したときは、離職後六箇月間は、参議院全国選出議員選挙又は当該地方公共団体の区域を含む選挙区においての衆議院議員若しくは参議院地方選出議員選挙公職候補者になることができない。」、かよう規定いたしました。八十九條の点につきましては、二つの点が相違いたしております。
  78. 島村軍次

    島村軍次君 技術者、技能者、監督者等の第一項の第二号に関する規定の「政令で指定するもの」ということの予定はどういうものを予定されておりますか。
  79. 三浦義男

    衆議院法制局参事三浦義男君) 一応私から申上げまして、政令の問題は選挙管理委員会の方から説明して頂いた方がよいと思いますが……
  80. 鈴木直人

    鈴木直人君 要するに「技術者、技能者、監督者及び行政事務を担当する者」というものの内容を御説明して下さい。
  81. 三浦義男

    衆議院法制局参事三浦義男君) これはすべて担当する者以外のものをここに掲げてあるわけで、技術者以外のもの、技能者以外のもの、行政事務を担当する者以外のもので政令で指定するものということでございます。例えて申しますれば、單純労務者ということであります。平らたく申しますと、たとえ国又は地方公共団体の公務員でありましても、單純なる労務に従事しておる者について特に制限する必要はないのではないか。その人の地位、或いはその地位に伴うべき力というようなことを考えました場合に、公務員の立候補制限自体がいろいろ問題の点でもありますので、こういうところまでは制限する必要はないのではないか。かような見地から八十九條の第二号が置かれましたわけであります。政令で指定いたしましたのは、その範囲を明確にいたす必要がありますので、政令でそれを指定して貰いまして、どういう人がそれになるかということの大体の基準を示して貰いたいというのがこの法の立案の趣旨であると、かよう考えておるわけであります。
  82. 鈴木直人

    鈴木直人君 「技術者、技能者、監督者及び行政事務を担当す者」という用語は何に基いたものであるかをお聞きしたい。
  83. 三浦義男

    衆議院法制局参事三浦義男君) 御承知の通り、昨年の国家公務員法の一部改正案でありますが、昭和二十四年の法律第百二十五号でありますが、この改正におきまして国家公務員法の例の特別職の條項がいろいろ挙つておりますその第二條の中に新しく追加いたされまして、こういう根拠がありますわけであります。「失業対策事業のため失業者として国が雇用した職員で、技術者、技能者、監督者及び行政政事務を担当する者以外の者は、」ということがありますわけでありまして、これは特別の理由から置かれた、特別職にするために置かれた規定でありまして、失業対策事業その他公共事業のために雇われておるところの單純労務者の規定でありまするが、用語はそれに拠ることといたしましたわけであります。
  84. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 選挙管理委員会から詳しく御説明を伺いたいと思います。
  85. 吉岡惠一

    ○政府委員(吉岡惠一君) 第二号の立候補できる者の範囲でございますが、大体私共で考えておりますのは、臨時的な雇用者で、主として肉体的、機械的労務に従事する者、或いは地方公共団体の公務員をここで指定したいと考えます。併しながらその中でも国家公務員法の百二條、つまり政治的行為の制限規定の適用を受ける者は除きたいと思います。具体的に申しますと、臨時的に雇われる者で、小使であるとか、給仕であるとか、掃除婦のやるよう仕事をする人をここで指定する考えであります。
  86. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 具体的に伺いますが、例えば国立大学教授なんかが参議院立候補するということは、できるのですか、できないのですか。
  87. 吉岡惠一

    ○政府委員(吉岡惠一君) できません。
  88. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 参議院の性格から言つて参議院に限らないのですけれども、衆議院でもそうですが、そういう識見を持ち学識を持つた人立候補されることが非常に望ましいと思うのですが、公務員法の建前ではそういうものまでひつ括めてあるのですが、併し選挙法の方でそういう方々が立候補され当選せられるならば、その大学教授は辞職するということができることが非常に望ましいのじやないかと考えますが、どうでしようか。
  89. 三浦義男

    衆議院法制局参事三浦義男君) 公務員の立候補の問題につきましては、これはいろいろむずかしい問題が含まれておるわけでありますが、只今ような点につきましては、衆議院におきましては、苟くも国又は地方公共団体の公務員に該当する以上は、如何なる地位にありましても、ここに除外しておる者以外はすべて辞めてからでなければ立候補できない。要するに在職中の立候補はいけないと、こういうことになりましたわけでございます。従いまして、国立大学の教授という者は、辞めなければ立候補できないということになりますけれども、私立大学の教授であれば、これはこの問題以外のことになると思います。
  90. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 今の御説明でよく分るのですが、この国家公務員法の場合の必要と、それから選挙法の場合の必要とは、そこに若干違いがあると思うのです。ですから、国家公務員法が現在国立大学教授を一般公務員として束縛しておるということについても、実は人事委員会においていろいろ討議があり、当時いろいろ問題があつたことは御承知の通りであります。大学教授の政治的活動などについて問題があつたことは御承知の通りですが、同じ問題がやつぱりここにもあり、このままで行くと、やはり相当そういう知識階級からの痛烈な批判が起つて来ると予想されるのです。又国家公務員法の上から言つても、国家公務員制度が確立すれば、真つ先に恐らく自由にされるのは国立大学教授などであろうと思うのです。選挙法の方では、できればそれを自由にするということが、これは也の公務員と性質を異にしていることが可なりありますから、必要じやないかと思うのです。
  91. 鈴木直人

    鈴木直人君 今の御説について質問いたしますが、当選した暁においては兼職はできないから当然辞職することになりますが、従つて立候補する前に辞職しても、当選した後において辞職しても、当選した場合は同じだと思うのですが、今の配慮されるのは、落選された場合にそのまま大学教授として残ることができるから、そういうふうな議論になるわけでありますが……
  92. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 そうですね。
  93. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 羽仁君の議論も非常に御尤もな点も多いのでありますが、これは議論しておると長くなります。から、後に廻そうじやありませんか。そうして大勢揃つたとき検討した方がいいと思います。
  94. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 十分お考え願いたいと思います。
  95. 小串清一

    委員長小串清一君) 研究のために第八十九條は保留して後廻しにいたします。
  96. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 この外にこのリストには載つておりませんが、八十九條の第三項、この規定参議院の方にはないではありませんか。
  97. 菊井三郎

    法制局参事菊井三郎君) 八十九條第三項の規定は、正面からは確かにないので、只今これに追加を申上げよう思つてつたわけなんですが、ただこれと趣旨においてやや似ておる、場合によつてはこの趣旨も包含されると解釈されるのではないかと思われるものが参議院案の第三項の場合にはどうかと実は考えておつたのでありますが、その点はやはり挙げて置いた方がよかつたと、かよう考えております。
  98. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 八十九條第三項の中に、先日国会を通過した日本学術会議法の改正に伴なつて、日本学術会議の会員も立候補制限を加えられていないものと考えますが、その通りでしようか。
  99. 三浦義男

    衆議院法制局参事三浦義男君) 衆議院案の八十九條の三号の問題でありますが、専務として委員、顧問、参與その他これらに準ずる職にある者につきましては、政令で指定するものであれば立候補が在職中できるということになるわけでありまして、政令案は政府の方でおやりになりますので、具体的に只今お話のありましたのをどうお考えになつておりまするかは存じませんが、私共といたしましては、日本学術会議の会員は、八十九條の三号の場合に、その人が専務としてやつておる場合においては含まれる、かように一応考えております。専務としてという意味は、例えば国立大学の教授が日本学術会議の会員を兼ねておるという場合におきましては、国立大学の教授は日本学術会議の会員を兼務するしないに拘わらず、一般的に公務員としてその廉で立候補ができないのでありますから、それを止めますと、そうすると日本学術会議会員だけが残りまして、それが事務として日本学術会議の会員という資格が残りますので、その廉であれば立候補できるという、こういうことになるわけでありまして、三号で政令で指定する範囲には、一応私共といたしましては予定しておりましたわけでございます。
  100. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 選挙管理委員会の御意見も承わりたいと思います。
  101. 吉岡惠一

    ○政府委員(吉岡惠一君) 第八十九條の第三号の問題でありますが、これは私共の方では大体「左に掲げる者を除く外非常勤の委員、顧問、参與その他これに準ずる職にある国又は地方公共団体の公務員」という文句で指定をしたいと考えております。従つてそうなりますと、その「左に掲げる者」でありますが、左に掲げる者はいろいろ種類がございまして、執行機関の場合、議決機関、試験の委員等いろいろあるわけであります。執行機関は当然これは指定しなければならんと思います。例えば公安委員であるとか、ああいう者は指定しなければならんと思つておりますが、今お話の学術会議の会員ですか委員ですか、それは当然指定する中には入らんと考えますから、立候補はできると考えます。
  102. 鈴木直人

    鈴木直人君 第二項によりまするというと、衆議院議員は在職のまま衆議院議員候補者になることはできるが、参議院議員候補者となることはできないというように、これは当該公職候補者となることができるが、その他の公職候補者となることは在職中はできないということであろうと思いますが、第三項によりますとその趣旨と違いまして、仮りに県会議員が在職のまま町村会議員候補者となることができるし、市町村会の議員が又府県会議員候補者に在職のまま立候補することができるということになつておるので、これが少し考え方が違つたものが第三項として加つたように感ずるのですが、この第二項はいわゆる他の議院の候補者として立候補することもできろという意味には解されないのですけれども、どういうふうに御解釈になりますか。
  103. 三浦義男

    衆議院法制局参事三浦義男君) 只今の八十九條第二項、第三項の問題でありますが、これを概略申上げますと、こういうよう建前になつております。衆議院議員衆議院選挙立候補すること、参議院議員参議院議員選挙立候補すること、それは任期満了による場合でありますれば、いずれも在職中そのまま立候補できる。それ以外その他の選挙には在職のまま立候補することはできない。地方公共団体の議会の議員、若しくは長又は教育委員会委員につきましても同様でありまして、その人達が任期満了による選挙に在職のまま立候補することは認めるけれども、そうでない場合には認めないということになつております。ただ地方公共団体の議会の議員だけにつきましては八十九條第三項にありますように、在職中他の地方公共団体の議会の議員候補者となることができるという意味でありまして、例を申上げますれば、市町村会議員が任期満了による市町村会議員立候補することは八十九條第二項の問題でありますし、県会議員立候補する場合におきましては第三項の問題になるわけであります。何故第三項のようになつておりますかと申しますれば、これは地方公共団体の議会の範囲内において立候補する場合には地方自治の代表者としてその程度のことは認めてよかろう、それ以外の、例えば県会議員衆議院立候補したり、参議院立候補するということは、他の多少性質の異なるものの代表になるのだから、それは認めないことにしよう、こういうことになつておるわけでございます。尚又八十九條第三項は現在地方自治法においてさようなことが制度的に認められておりまして、特にこの際地方自治法に認められておる地方公共団体の議会の議員立候補制限する意味もなかろうと、かような見地からこういうことにいたしたわけであります。
  104. 小串清一

    委員長小串清一君) ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止
  105. 小串清一

    委員長小串清一君) 速記を始めて下さい。
  106. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 八十九條の問題は、羽仁君から提出された問題、それから今委員長速記を止めておる間に言われた第三項の問題、それからの第四項も第三項と絡んで考えて見ると、もつと考えなければならんようなところが出て来るのではないかと思う節があるのです。そういうような関係がありますから、後廻しにして留保して頂きたい。
  107. 島村軍次

    島村軍次君 只今岡本さんのお話は私賛成なんですが、特に例の知事及び市長の選挙立候補の間組は、こちらの強い意見でありますから、この八十九條に関することは一つ後廻しにして、四時を大分過ぎましたから、この辺で今日は打ち切つて貰いたいと思います。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  108. 大畠農夫雄

    大畠農夫雄君 ちよつと打ち切る前に……第四十九條の末尾ですな、「政令で特別の規定を設けることができる。」と、こうあるのですが、政令で特別の規定を設けることができるということは、政令を作らないでもいいということですか。作らなかつたらどうなるということですか。
  109. 三浦義男

    衆議院法制局参事三浦義男君) その点は規定の表現形式の問題でありますが、これは政令で定めるとか、というような書き方もございまするし、政令で特別の規定を設けることができるという書き方もございますが、特にこういうふうにここに書いてあることは、これの細部の取扱方の手続がいろいろ複雑でありますし、相当詳細に規定いたさなければならないので、特別の規定を設けるということの建前にいたしておるのでございますが、できると申しますのは、ここではむしろ義務的の意味になつておるわけでございます。現在の地方自治法においてやはり同じよう規定を設けておりまして、作らなければならんことにして作つておりますから、政令は取敢ず当局はさようにするだろうと予定しておるわけであります。
  110. 大畠農夫雄

    大畠農夫雄君 日本語として、大体規定を設けることができるということと、規定を設けなければならんということは同じ意味だと、こう解釈できるのですか、現在……
  111. 三浦義男

    衆議院法制局参事三浦義男君) それは設けなければならないと申しますれば、それは非常に義務付けることになりまして、強い表現でありまするから、当然やらなければならんということがはつきりいたしまするし、できると書いておりまする場合におきましては、或いはやらなくてもいいというような嫌いがあるかも知れませんけれども、ここでは特別の委任を與えた、特別の規定を設けるということの委任の権限を與えたという意味において、強い表現をいたしておりますから、できるとやつてあるのでありまして、結果は御趣意の通りだと思います。
  112. 大畠農夫雄

    大畠農夫雄君 もう一応聞きますが、そうすると制度を設けることができるということは、規定を設けなけれぱならんという意味と同じよう解釈して差出ないのですか。
  113. 三浦義男

    衆議院法制局参事三浦義男君) それは先程申しましたように、これは特別の……、普通ですと施行令でありますれば、当然施行に伴いますものを作るわけでありますが、この場合は特別に委任権限を與えたということを特に強くやつておりますので、政令で特別に規定を設けることの権限を與えたということで、こういう意味で、従いまして結果は同じになると思いますが……
  114. 大畠農夫雄

    大畠農夫雄君 その点ですが、若しもそういう同一の結果に見てもよろしいということになれば、若しもこの規定を設けなかつたならば、いわゆる選挙無効の訴えを出せることになるわけです。ここが大きな問題で、ここをはつきりしないと、後で問題になつた場合困るのでありますから、その点からはつきりと、設けることができるということよりも、設けなければならんと、こういうふうに規定すべきものだと思いますが。
  115. 三浦義男

    衆議院法制局参事三浦義男君) その点につきましては、現在すでに政令案が管理委員会の方でもできておりまして、設けなければならんということでやつておられまして、案もあるようでございますから、御心配の点はないものと思つております。
  116. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 さつき大畠委員から御発言のありました件ですが、あれも保留して研究して頂きたいと思うんですが、留置場にいる人の投票は必ず出さなければならんというのは現在の法律ではそうなつていないんですか。ちよつと伺いたい。
  117. 三浦義男

    衆議院法制局参事三浦義男君) 現在はその点につきましては、何ら触れておるものはございません。
  118. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 事実上はどうなつていますか。
  119. 三浦義男

    衆議院法制局参事三浦義男君) 事実上規定もございませんので、衆議院案の四十九條によりますと、これの第二号でございますね、第二号で、「前号に掲げるものを除く外、選挙人がやむを得ない用務又は事故のためその属する投票区のある郡市の区域外に旅行中又は滞在中であるべきこと。」、こういうことの解釈でやつておるわけです。これは投票区の郡市の区域外に滞在中であつて投票区のある区域に滞在中である場合は含まれないことになつておりまして、その点そこにギャップができますので、ここではつきりいたしたわけであります。
  120. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 もう一点伺いたいのですが、これが妥当に解決されるにはどういう方法が取られればいいのですか。
  121. 三浦義男

    衆議院法制局参事三浦義男君) 警察のことですか。
  122. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 ええ。
  123. 三浦義男

    衆議院法制局参事三浦義男君) 警察の問題はいろいろむずかしい問題があるわけでございまして、警察に一時留置します場合は、御承知の通り時間的な制限がありますので、それで不在者投票制度考えまして……
  124. 小串清一

    委員長小串清一君) この問題はさつき特別詳しくやりましたが、若し荷やられるなら今日はこの程度にしたいのですが……
  125. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 それではそれを後に研究して頂くことをお願いいたします。
  126. 小串清一

    委員長小串清一君) 本日はこれを以て散会いたします。    午後四時二十二分散会  出席者は左の通り。    委員長     小串 清一君    理事            城  義臣君            木内 四郎君            鈴木 直人君            羽仁 五郎君    委員            大畠農夫雄君            北村 一男君            藤井 新一君            岡本 愛祐君            柏木 庫治君            來馬 琢道君            島村 軍次君            宿谷 榮一君            兼岩 傳一君   政府委員    全国選挙管理委    員会事務局長  吉岡 惠一君   法制局側    参     事    (第二部第一課    長)      菊井 三郎君   衆議院法制局側    参     事    (第一部長)  三浦 義男君