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1950-03-07 第7回国会 参議院 選挙法改正に関する特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年三月七日(火曜日)    午前十時四十五分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○選挙法改正に関する調査の件 ○公職選挙法案衆議院送付) ○公職選挙法施行及びこれに伴う関  係法令整理等に関する法律案(衆  議院送付)   —————————————
  2. 小串清一

    委員長小串清一君) これより選挙法改正に関する委員会を開会いたします。  本日は特に選挙制度調査会渡邊委員長がお見えになりまして、選挙制度内容についての御説明を拜聽することに予定されておるのでありまして、丁度お見えになつております。  公職選挙法につきましては、すでに衆議院は大体成案を得て、本日その提案理由委員長がやはり当委員会へ来て説明せられることになつております。我が参議院におきましても、大体の法案に対しての結論はつかんとしておるような形でありますが、この際選挙調査会の方の御意見を参照とすることは非常に必要ではないかという意味で、今日御出席を願つたのであります。つきましては、本院あたりの決めたのと違うような点について、特にその要点の御説明を拜聽することができれば誠に結構だと思います。尚又各委員から御質問を申上げるようなことにいたしたいと思います。それでは渡邊委員長にお願いします。
  3. 渡邊銕藏

    説明員渡邊銕藏君) 本日は参議院のこの委員会公職選挙法案について、衆議院から廻つて参りました案について御審議になります機会に、丁度我々の選挙制度調査会の方でもかねがねこの問題については三つ委員会に分れて審議しておりました。結論を大体得ております。ただ根本的の問題については尚今後研究を続けることになつておりますが、大体今までに意見のまとまりましたものを、昨年の十月の総理大臣に、私が会長をいたしておりますので、会長名答申いたしましたが、その後研究をいたしたものもあります。それらについて衆議院のお作りになつた案、或いは又参議院でもいろいろ御意見が出ておりまする点は、大体一致しておると思いますが、多少異なつた点もあると思います。今日はかように我々が参議院に参りまして、これらの研究の結果について発言をいたします機会を與えて下さいまして、誠に感謝に堪えません。但しこの選挙制度調査会でまとまりました意見の大要につきましては、吉岡幹事から御説明申上げたいと思います。
  4. 吉岡惠一

    政府委員吉岡惠一君) それでは私から便宜調査会でまとまりました内容で、公職選挙法と違つている点をお話を申上げたいと思います。  前に御説明申上げて置きますが、恐らくこの選挙制度資料第一部として、選挙制度調査会で、参議院議員選挙についての意見をまとめましたのが刷り物にしてお渡ししてあると思うのでありますが、その中の九頁から十頁、十一頁に、これは参議院議員選挙考えての答申案作つたのでございます。その後、只今会長からお話がありましたように、三つ委員会に分れまして、一つは、選挙区或いは定員等、根本的な問題についての委員会、それからもう一つは、手続研究する委員会、それからもう一つは、争訟、やや專門的になりますが、争訟についての委員会三つ委員会作つて研究を進めておつたのであります。併し総会としての全部の結論を出すまでに至らず、委員会報告という程度に終つております。根本的な選挙区等についての委員会では、はつきりした結論は出ておりませんので、中間的な報告になります。手続研究する委員会では、大凡その結論が出ておりまして、重要な問題は決まつていない問題があります。争訟委員会においては、結論は出してありますが、この争訟委員会ではやや專門的事柄でありますし、今からも相当進行している場合に、改正法に取入れるということも如何かと思われますので、第一の根本的な委員会での意向と、それから第二の選挙手続に関する委員会での意向とについて簡單に申上げたいと思います。  根本的に事柄の中では、選挙権被選挙権の問題がやや調査会での意見と違つておるように考えられます。公職選挙法案では、被選挙権を準禁治産者或いは執行猶予中の者について認めておりますが、これは被選挙権をこういう者にまで認めるのはどうか、又選挙権を認めることはこれは差支ないと思うのでありますが、被選挙権を認めて、議員或いてその他の公職に選ばれて来るのはどうか。勿論これは選挙という一般の選挙民の判断が加わつておるわけではありますけれども、執行猶予中の者までそういう公職に就かせるのはどうかという考えがあろうと思います。それから又準禁治産者全部について選挙権被選挙権を認めるのはどうかという考えがあるのでありますが……どうかということが考えられると思うのであります。つまり準禁治産者は、大体私権の保護、財産の保護という見地から裁判所が宣告するのでありますが、この中で身心耗弱者等については、選挙権被選挙権を與えてどうかと思われる点があると思うのであります。  それから根本的な問題はそれくらいでありますが、次は選挙制度の、まあ手続に関する事柄でありますが、手続の初めから順序を追つて行きますと、選挙制度調査会では、選挙人名簿カード式にするとか、或いは投票用紙をプリンテツド・パロツトにする。つまり予め印刷した投票用紙を使うというような考え方研究を続けておつたのであります。併しながらこの投票用紙の点や、選挙人名簿の点は、差当り参議院選挙に適用する公職選挙法としては時間が間に合わない関係もありまして、これを間に合わせることは、研究することはどうかと思われますので、その点は省いて置きます。投票手続の点、或いはこれは第一線選挙管理委員会からの要望であるのですが、まあ日が短い時に投票する場合に、もう殆んど選挙人投票をしてしまつたという場合に、いつまでも投票所を開いて置くのは困るというような意見もありました。又サンマー・タイムでまだ陽が高いのに投票所を閉めてしまうのも、それから相当投票に来る人があるから困るというような、まあいろいろな意見がありまして、投票所の閉鎖時間を地方事情によつて繰上げたり、繰下げたりして貰いたいという意見があるのです。これはまあ弊害のない範囲においてその事情々々を考えて、県ぐらいの選挙管理委員会がタッチをして決めるならば、投票時間の繰下げ、繰上げ、その時間くらいの範囲では認めていいのではないかというくらいであります。  それから再選挙、或いは補欠選挙に関する問題でありますが、これは参議院衆議院との御意見の違うところでありまして、調査会では一応選挙執行費用が相当かかる、だから成るべく選挙は少くして貰いたいという要望がありますので、参議院地方選挙議員選挙につきまして二人まで、二人の欠員に達するまでは選挙をやらない。つまりたつた一人の欠員の場合は選挙をやらないというようにしたいという意向が強かつたのであります。勿論そうしますと、相当欠員が殖える場合が想像されまして、参議院自体運営差支が生ずるのではないかということが考えられますので、その場合は全体のもう一つの区において、全部の地方選出議員の分全体について、四分の一以上欠けた場合は選挙をやるのだという工合にして、一つ選挙区については、一人々々の欠員であつても、全体について四分の一以上に達すればやるというようなことにくくりをつければ、そう議会運営差支えることはないではないか、まあこういう考え方がなされたのであります。  それから次は繰上げ補充の問題であります。公職選挙法では繰上げ補充を三ヶ月間にしております。これを調査会では一ヶ年にしたい。これも只今申述べましたと同じ意味によつて選挙を行う機会を成るべく少くしたい。まあそういう趣旨から出た考え方であります。  それから次は選挙運動に関する事柄であります。この選挙運動に関しましては主要な事柄では、戸別訪問などについてははつきりした結論はまだ出ていなかつたのであります。いろいろ議論がありまして、戸別訪問をどうするというまでは、参議院議員選挙でなくて、後の根本的な考え方研究する場合においては、結論は出ておりません。その選挙運動事柄事前運動禁止は、これは廃止をしたらどうか。これはまあ実情から考えまして、なかなか禁止がやりにくい。禁止潜ぐるような合法的な手段が相当取られるような実情から考えまして、事前運動禁止をしても、本当にそれが行われにくいということから、まあ禁止廃止したらどうかという意見が相当有力でありました。  それから言論による選挙運動は自由としたい、こういう意見が相当ありました。  それから選挙運動のために頒布又は掲示する文書図画については、種類、枚数、頒布方法については原則として制限を加えないもの、という意見も相当ありました。それからこれは公職選挙法に出ておることでありますが、新聞については報道評論を自由にするという主張がやはり相当あります。  それから「学生、生徒及び兒童に対する特殊の地位を利用して行う選挙運動制限に関する規定を明確にすること。」、これも参議院衆議院とで御意見がお違いになるようでありますが、これに関しまして選挙管理委員会第一線の方の声では、結局この規定がなぜ困るかというのは現在の規定が明確を欠いておる。甚だ解釈上明確を欠いておるから困るので、これをはつきりするようにして貰いさえすればよい。何も教育者だけに限る必要はない。或いはその利用される相手方を二十歳以上の者まで及ぼす必要はない。まあ現行規定を明確にするということだけで足りるという意見第一線意見のようでありましたので、そういうふうな意見が多数であつたようであります。  それから新聞広告公営の問題ですが、全国区の公営については、これははつきりはしていなかつたのでありますが、二回の必要はないんじやないか。新聞広告利用価値等から考えて一回でいいんじやないかということの主張調査会などの主張のようでありました。それから選挙運動費用の点でありますが、公職選挙法では第三者選挙運動費用は、候補者或いは出納責任者意思を通じていなければ自由になつておるのであります。届出も必要ないようになつておるのであります。現在は自筆推薦状或いは電話による選挙運動に要する費用第三者支出できないようになつておるのですが、ここの制限が除かれておるために第三者運動費用というものが若し意思を通じなければ候補者費用選挙運動費用と加算されない。その結果無制限になるという心配がありますので、まあ「第三者は、自筆推薦状及び電話による選挙運動に要する費用の外、出納責任者文書による承諾を得た場合の外、選挙運動のために経費支出することができないものとすること。」、という工合にして、第三者選挙運動費用支出制限をしたいということのようであります。これによつて選挙運動費用制限をやや合理的なものにしたい、こういう考え方調査会における意見であります。  それから次は主として第一線選挙管理委員会主張でありますが、選挙運動費用届出或いは立候補届出、その他選挙管理委員会等に対する、或いは選挙管理者等に対する届出であるとか、或いは申込或いは申出、こういうものは執務時間中に限つて貰いたい。執務時間中に限らないために夜の十二時まで待つていなければならんというような状態が相当あるのであります。これは成るべく約束のことでありますから、執務時間中ということで限つて貰いたい。こういう第一線の希望がありますので、そういうことに大体の意向がなつてつたようであります。  公職選挙法と違う点、或いは同じな点もあるわけでありますが、大体選挙制度調査会主張された主な事項について申上げました。
  5. 小串清一

    委員長小串清一君) ちよつと今の第三者費用候補者意思を通じないでやつた場合には現行の原案は自由になつておりますが、調査会の方ではこれに無制限にすることはひどいから或る制限を加えた、その制限内容をもう一遍言つて下さい。
  6. 吉岡惠一

    政府委員吉岡惠一君) 第三者現行法と大体似たようなものでありますが、「第三者は、自筆推薦状及び電話による選挙運動は要する費用の外、出納責任者文書による承諾を得た場合の外、選挙運動のために経費支出することができないものとすること。」、こういう大体現行法にある規定なんですが……
  7. 小串清一

    委員長小串清一君) 分りました。
  8. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 ちよつと吉岡君に質問したいのですけれども、十一頁の上の段の第七選挙運動費用に関する事項の第三項には今御説明なつた御趣旨と違うようじやないですか。
  9. 吉岡惠一

    政府委員吉岡惠一君) この三は候補者又は出納責任者意思を通じないで第三者支出した費用は、選挙費用に加算しないと申しますのは、第二を見ますと、それはできないことになるわけですね。第二の今言つた自筆推薦状及び電話による選挙運動に要する費用しか第三者は勝手に出せませんから違反になりますが、違反して出した場合の費用をどうするか、こういう問題であります。
  10. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 それに連関して今の御説明によりますと、若し候補者意思を通じないで第三者費用支出した、そうすると、それは候補者選挙運動費用には加算しない。従つて候補者の失格というようなことは起つて来ない、けれども第三者の方が処罰を受ける、こういう意味ですね。
  11. 吉岡惠一

    政府委員吉岡惠一君) そういう意味です。違法状態に置くということですね。
  12. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 そうすると、そういうのが犠牲になつてどんどんやつてしまつて候補者はそのお陰によつて当選した、併し第三者は罰せられる、こういうことになるのですね。
  13. 吉岡惠一

    政府委員吉岡惠一君) そういう可能性はございます。
  14. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 この点はどうもそう考えるより仕上がないだろうと思うのです。我々が研究しているところも、やはりそうするより仕方がないと思います。何故ならば、これに惡意で第三者候補者を失格させるために自分も犠牲になつてどんどん費用も構わずに選挙候補者のためにやるとその結果選挙違反になつて候補者が落選になるというようなことは惡意によつてできると困るからあなたが御解釈になるようにするより外にないと思いますけれども、何かもつといい工夫はありませんか。
  15. 吉岡惠一

    政府委員吉岡惠一君) 今のお話の点は三つのやり方があると思います。公職選挙法のように野放しにする、それから現行制度でありますが、これは反対第三者支出したものはこの範囲のもの以外は違法状態になる、更にその費用候補者選挙運動費用に加算するという規正規定ポツダム勅令規定で縛るという考え方、もう一つは中間を行つて只今申しました違法状態におけるまあ電話による選挙運動、或いは自筆推薦状以外に違法状態におけるこの三つ考え方、どれを採るかということだろうと思います。
  16. 小串清一

    委員長小串清一君) 大体その点ですね。何か御質問ありませんか。
  17. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 もう一つお聞きして置きたいのは事前運動、これについては野放しにするということなんですね。それより仕方がないだろう……。選挙制度調査会調査の結果は事前運動取締りの方法がない、だからやりたい放題にやらしてよろしいということだつたのでしようか。備考には「事前運動現行通りこれを禁止すること。」と書いてありますが、先程の御説明ではそうでもなかつたように……
  18. 吉岡惠一

    政府委員吉岡惠一君) これは多少違つておりまして、参議院議員選挙答申を決めるときは禁止という意見が強かつたようであります。更にもう一度研究し直したときは、一、二反対はあつたようですが、大部分委員会では事前運動は現在の状態では取締もなかなか困難だし野放しにした方がいいではないかという意見が多数ありました。
  19. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 戸別訪問はどうでしようか。
  20. 吉岡惠一

    政府委員吉岡惠一君) 戸別訪問はつきり結論が出ませんでした。
  21. 小串清一

    委員長小串清一君) それでは調査会の方の御説明はこの程度にいたしまして、衆議院生田委員長がお見えになつておりますから、提案についてのお話を一応拜聽することにいたします。生田委員長を御紹介いたします。
  22. 生田和平

    衆議院議員生田和平君) 公職選挙法案、並びに公職選挙法施行及びこれに伴う関係法令整理等に関する法律案につき、提案理由要旨説明いたします。  本法案については、第五国会に於て委員三十一名よりなる、特別委員会が設置せられ、更に第六国会、第七国会に於て同一委員会が設けられ、継続審議せられ、委員会において議決せられておるのであります。  現行衆議院議員選挙法は、大正十四年普通選挙施行せられると共に制定せられたものであることは、皆様御承知の通りであります。爾来幾多の修正と、関係法令が制定せられました結果、複雑多岐に亘り、專門家に非らざれば理解い難きこととなり、ここに総合的、統一立法が要請せられることとなつたのであります。  日本国憲法は、主権が国民に存することを宣言し、日本国民は正当に選挙せられたる国会における代表者を通して行動し、その権力は国民代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受すると規定されております。  ここに提案せる、公職選挙法は、国会における代表者選挙するに止まらず、地方公共団体議会議員及び長並びに教育委員会委員選挙にも適用せんとするものでありまして、その影響するところ広範囲に亘り、頗る重大なる意義を持つものであります。  我々は、憲法の明示せる国民自由権を尊重せねばなりません。又憲法の明示せる正当なる選挙を行わねばなりません。併しながら正当なる選挙を行うには、秩序を維持し、公正を確保せねばなりません。秩序を維持し、公正を確保する方法程度については、各人思ひ思ひに意見の相違がありまして、ここに立法困難性が伴います。  思うに選挙法は、一種の制限法でありまして、全章殆んど制限規定を以て埋められておると申しても過言ではありません。例えば年齢の制限住居期間制限投票による制限選挙区制の制限名簿調製制限、任期の制限立候補制限、当選についての制限選挙運動についての制限選挙費用制限等挙げて数うべからざるものがあります。  改正法国民自由権を基礎として、これらの制限を如何に撤廃し又は緩和し、調整するかが重大なる鍵であるとさえ考へるのであります。委員会は以上の見地に立つて独自の立場において従来の欠点を是正し若しくは整備し、時代に即応する最も分り易き国民的選挙法を制定いたしたのであります。  この法律は、十七章二百七十三條より構成せられております。その第一條において選挙目的を明示してあります。即ち、この法律は、日本国憲法精神に則り衆議院議員参議院議員地方公共団体議会議員及び長並びに教育委員会委員を公選する選挙制度を確立し、その選挙選挙人の自由に表明せる意思によつて、公明且つ適正に行われることを確保し、以て民主政治の健全なる発達を期する事を目的とすると明記してあります。而して、本法中最も重要なる点は、選挙権被選挙権の問題、選挙区制の問題、選挙運動の問題でありまして、選挙法中の三大問題でありと言い得るのでありませう。  選挙権被選挙権については、既往においてこれが拡張に努められたのでありますが、今回の改正に当つて、六ケ月の住居要件を三ケ月に短縮し、準禁治産者及び選挙犯罪以外の犯罪に因る刑の執行猶予中の者にも選挙権被選挙権を與えることとし、更に選挙制度創設以来制限し来れる自書主義を緩和し、文盲者には代理投票を認めることとし、不在投票範囲拡張して、監獄又は少年院に收容中の者にも投票の途を拓きました。これらは選挙権被選挙権に関する拡張事項でありまして、多年に亘る宿題を一挙にして解決いたしたのであります。  選挙区制の問題については、衆議院には全県一区が尚九県存在しておりますので、これを二分区に改正すべしとの有力なる意見があり、参議院についてもまちまちの意見がありましたが、今回は両院とも現状のままとし一切触れないことに意見の一致を見ました。  選挙運動については、選挙原則として自由であり、公正でなければなりませぬが、金のかからぬ選挙要望せられる現状にありましては、そこに幾多の矛盾が発生して来るのであります。又法律理論政治的社会的実態との食違いが、至るところに見出されるのであります。従いましてこれらの調整には多くの苦心が拂われたのは当然であります。  委員会としては選挙公営を強化して選挙運動を明朗化すると共に、候補者選挙費用均等化を図ることとし、他方第三者言論による自由の伸張に努めました。  立会演説会については候補者代理演説回数を増加して、五分の一を三分の一に改め、個人演説会回数制限を撤廃しこれを自由とし、街頭演説会にあつては、候補者がいなければならぬという條件を撤廃してこれを解放しました。即ち、言論による選挙運動の自由を大幅に緩和したのであります。  新聞雑誌報道及び評論についてはこれを法文化し、言論の自由を認めたのでありますが、虚僞事項を記載し又は事実を歪曲して記載する等、表現の自由を濫用して選挙の公正を害してはならないとの但書を加えまして、新聞雑誌が本来の使命を謬らざらんことを規定しました。  戸別訪問規定については、数ケ月に亘り論議を重ねました結果、一般的には従来の通り、これを禁止いたしましたが、候補者みずからが親族、平素親交間柄にある知己、其の他密接なる間柄にあるものを訪問することは差支ないと規定したのでありまして、我が国の醇風美俗精神を取入れたものと思うのであります。従つて従来称えられている個々面接とはその性格を異にするものであることを申上げて置きます。言葉を換えて言へば適正なる選挙運動をもなし得ると御了解願いたいのであります。  選挙運動に関する收入及び支出、並びに寄附の規定については、政治資金規正法の一部を取入れ、争訟及び罰則規定については概ね現行法を取入れました。  尚本法は、五月一日から施行せらるることになつていることを附加えて申上げて置きます。  次には公職選挙法施行及びこれに伴う関係法令整理等に関する法律案につき御説明いたします。  本法律案公職選挙法立法により廃止又は改正若しくは施行等整理に伴う経過規定でありまして三章三十二條を以て構成せられております。  廃止せらるべき法令衆議院議員選挙法衆議院議員選挙法施行令衆議院議員選挙法施行規則選挙運動等臨時特例に関する法律選挙運動等臨時特例に関する法律施行令衆議院議員選挙人名簿臨時特例に関する法律衆議院議員選挙法第十二條の特例に関する法律衆議院議員選挙人名簿臨時特例に関する件、衆議院議員選挙法第百一條ノ三及び第百四條ノ規定適用ニ関スル件、衆議院議員選挙運動取締規則参議院議員選挙法参議院議員選挙法施行令参議院議員選挙法施行規則参議院議員選挙運動取締規則選挙運動文書図画等特例に関する法律地方公共団体選挙運動取締規則、等十六件であります。  一部改正せらるべき法令は、政治資金規正法地方自治法教育委員会法刑事訴訟法施行法最高裁判所裁判官国民審査法農地調整法漁業法地方自治法の一部を改正する法律検察審査法全国選挙管理委員会法、等十件であります。  公職選挙法施行に伴う経過規定は十五件であります。関係法律整理等に伴う経過規定は六件であります。  以上を以ちまして、両案提出理由並びに要旨を御説明いたしました。
  23. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 ちよつと衆議院特別委員長に伺つて置きたいのですが、先程選挙制度調査会の方から御報告を頂きました中で我々が問題にしておりました第三者選挙運動ですね、それが候補者意思を通じないでは、幾ら金を出してもよい選挙運動である、そういうことにこれではなるのですか。その点についてどういうふうにお考えになつておるか。候補者費用ばかりを制限して行つても、例えば会社社長、自己の選挙運動費用だけ制限されても、その会社の各支店とか何とかいうものは、社長たる候補者意思を通じないでどんどん金をふんだんに使つてやる、こういうようなことがこの規定では起り得ると思いますが、そういう点に対してどういうふうにお考えになつておりますか。重大問題ですからそれを伺つて置きます。
  24. 生田和平

    衆議院議員生田和平君) 御尤ものお説でありますが、実はこれは取締は困難だと思います。又第三者の方が好意的に候補者のために運動するということは、私は差支ないと思います。又第三者の方が無法に巨額の金を費消するということは常識では考えられないのであります。ただその人が惡意を以て脱法行為をするということがあり得ると思います。併し凡そ選挙が公正であり自由であるという建前からいたしまして、この取締は余程困難じやないか、むしろこれを自由にした方が将来政治運動の発展を助けるものであつて、濫りにこれを制限することはよくないのじやないか、こういうふうな考えでいたしましたわけであります。
  25. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 今質疑応答する意味じやないのですけれども、私共完全な基本法を作り上げたい、こう思つておるものですから、第三者が手弁当で働いて呉れるということは非常に結構でありまして、それこそいい選挙でありますが、ただ第三者が脱税行為的に候補者意思を通じないで金をどんどん出して金のかかる選挙をする、これは衆議院なんかはないと思いますが、併し全国区では私はあり得ると思う。候補者たる本人は東京を中心にやつてつて、九州の方では第三者がどんどんやつておるということはあり得ると思う、而もそれは金を非常に沢山使つておる……。どうもその点を何とかして置かなければいかんのじやないか。こういうふうに感じつつあるのですが、御参考までに申上げて置きます。それを憂えておるわけです。
  26. 小串清一

    委員長小串清一君) その程度衆議院委員長さんの御説明はこれで止めることにいたします。どうも有難うございました。  それからちよつと諸君にお諮りいたしますが、それはすでに衆議院を本日通過すると思いますので、当参議院選挙法改正特別委員会においての審議の方法でございますが、今後これをとても逐條にやるということはどうかと思いまするが、これから先これを部分的に皆様の御意見をそれぞれ出して頂いて、討議をして、そうしてこの案に対する参議院の態度を決めてはと思いますが、その審議の方法について何か適当な御意見があれば皆さんの御意見を拜聽してそのように進めたいと考えます。
  27. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 只今の委員長の御提案に大体異議がないのですが、その際すでに参議院のこの本委員会において幾つか決定した問題があり、そうしてそれに関して衆議院側にしばしば委員長を煩わして交渉を継続して来たのがありますが、それらは別に特に討論を用いる必要のないものは討論を用いないで、今まで続けられて来た態度を続けて頂きたいと思います。それ以外の問題についてそれぞれまだ討議をすべきものがあると思うので、引続いてそれらの個々の点についての討議を行われますように希望します。
  28. 小串清一

    委員長小串清一君) つまり、今まで決定した問題はすでに議論を用いなくても参議院意見として決まつていますが、併し決定したものの中にも多少まだ皆さんの意見でその文章なり、内容を直す必要があるかも知れませんが、そういうものを部分的にやることにして、逐條的にやることは止めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 小串清一

    委員長小串清一君) 分りました。
  30. 小川久義

    ○小川久義君 この委員会の開会の時間ですね。どうもいつも議運と重なるのですね。
  31. 小串清一

    委員長小串清一君) 今日だけです。いつも午後なんですが、今日午前にしたのは、例のお出でを願う都合もいろいろあつて、今日初めて午前にしたのです。
  32. 小川久義

    ○小川久義君 何か、何曜日と何曜日にやるというわけに行きませんか。電力は水曜と金曜にやると、まあやる日を決めているのですが、そうすればお互いに都合を繰合せて置いて……
  33. 小串清一

    委員長小串清一君) それは皆さんの御意見でできますが、もう衆議院がそうなれば結論を急がなければならんと思います。
  34. 柏木庫治

    ○柏木庫治君 もう時間的に急がなければならないので、参議院衆議院と違うところを折衝をなすつて、これは衆議院で讓れないというものと、これは少し讓れるというような委員長の見通しをつけられて、そうしてここで一応懇談会をやつて、変つた案を決めて折衝をいたすとして、その折衝の数が余り多いことはこれは賢明な行き方でないと思いますので、成るべくならば、もう理想的に言えば同じになればいいのですが、どうしても違うという分がありましても、それを非常に狹めて結論を急ぐように進めることが非常に賢明であると、こう思つているのですが……
  35. 小串清一

    委員長小串清一君) 御尤もです。どなたも柏木さんの御意見に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 小串清一

    委員長小串清一君) それでは本日はこれから懇談に移ろうと思いますから、一応委員会はこれで散会といたします。    午前十一時三十六分散会  出席者は左の通り。    委員長     小串 清一君    理事            城  義臣君            鈴木 直人君            羽仁 五郎君    委員            佐々木鹿藏君            中川 幸平君            藤井 新一君            岡本 愛祐君            柏木 庫治君            來馬 琢道君            西郷吉之助君            松井 道夫君            小川 久義君            小川 友三君   衆議院議員    選挙法改正に関    する調査特別委    員長      生田 和平君   政府委員    全国選挙管理委    員会事務局長  吉岡 惠一君   説明員    選挙制度調査会    会長      渡邊 銕藏君