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1950-03-07 第7回国会 参議院 選挙法改正に関する特別委員会 第7号
公式Web版
会議録情報
0
昭和二十五年三月七日(火曜日) 午前十時四十五分開会 ————————————— 本日の会議に付した事件 ○
選挙法改正
に関する
調査
の件 ○
公職選挙法案
(
衆議院送付
) ○
公職選挙法
の
施行
及びこれに伴う関
係法令
の
整理等
に関する
法律案
(衆
議院送付
) —————————————
小串清一
1
○
委員長
(
小串清一
君) これより
選挙法改正
に関する
委員会
を開会いたします。 本日は特に
選挙制度調査会
の
渡邊委員長
がお
見え
になりまして、
選挙制度
の
内容
についての御
説明
を拜聽することに予定されておるのでありまして、丁度お
見え
にな
つて
おります。
公職選挙法
につきましては、すでに
衆議院
は大体成案を得て、本日その
提案
の
理由
を
委員長
がやはり当
委員会
へ来て
説明
せられることにな
つて
おります。我が
参議院
におきましても、大体の
法案
に対しての
結論
はつ
かんとしておるような形でありますが、この際
選挙調査会
の方の御
意見
を参照とすることは非常に必要ではないかという
意味
で、今日御出席を
願つたの
であります。つきましては、本
院あたり
の決めたのと違うような点について、特にその要点の御
説明
を拜聽することができれば誠に結構だと思います。尚又各
委員
から御質問を申上げるようなことにいたしたいと思います。それでは
渡邊委員長
にお願いします。
渡邊銕藏
2
○
説明員
(
渡邊銕藏君
) 本日は
参議院
のこの
委員会
で
公職選挙
の
法案
について、
衆議院
から廻
つて
参りました案について御審議になります
機会
に、丁度我々の
選挙制度調査会
の方でもかねがねこの問題については
三つ
の
委員会
に分れて審議しておりました。
結論
を大体得ております。ただ根本的の問題については尚今後
研究
を続けることにな
つて
おりますが、大体今までに
意見
のまとまりましたものを、昨年の十月の
総理大臣
に、私が
会長
をいたしておりますので、
会長名
で
答申
いたしましたが、その後
研究
をいたしたものもあります。それらについて
衆議院
のお作りにな
つた案
、或いは又
参議院
でもいろいろ御
意見
が出ておりまする点は、大体一致しておると思いますが、多少異な
つた点
もあると思います。今日はかように我々が
参議院
に参りまして、これらの
研究
の結果について発言をいたします
機会
を與えて下さいまして、誠に感謝に堪えません。但しこの
選挙制度調査会
でまとまりました
意見
の大要につきましては、
吉岡幹事
から御
説明
申上げたいと思います。
吉岡惠一
3
○
政府委員
(
吉岡惠
一君) それでは私から
便宜調査会
でまとまりました
内容
で、
公職選挙法
と違
つて
いる点を
お話
を申上げたいと思います。 前に御
説明
申上げて置きますが、恐らくこの
選挙制度資料
第一部として、
選挙制度調査会
で、
参議院議員
の
選挙
についての
意見
をまとめましたのが
刷り物
にしてお渡ししてあると思うのでありますが、その中の九頁から十頁、十一頁に、これは
参議院議員
の
選挙
を
考え
ての
答申案
を
作つたの
でございます。その後、
只今会長
から
お話
がありましたように、
三つ
の
委員会
に分れまして、
一つ
は、
選挙
区或いは
定員等
、根本的な問題についての
委員会
、それからもう
一つ
は、
手続
を
研究
する
委員会
、それからもう
一つ
は、
争訟
、やや
專門的
になりますが、
争訟
についての
委員会
と
三つ
の
委員会
を
作つて研究
を進めてお
つたの
であります。併し総会としての全部の
結論
を出すまでに至らず、
委員会
の
報告
という
程度
に終
つて
おります。根本的な
選挙
区等についての
委員会
では、
はつ
きりした
結論
は出ておりませんので、中間的な
報告
になります。
手続
を
研究
する
委員会
では、大凡その
結論
が出ておりまして、重要な問題は決ま
つて
いない問題があります。
争訟
の
委員会
においては、
結論
は出してありますが、この
争訟
の
委員会
ではやや
專門的
な
事柄
でありますし、今からも相当進行している場合に、
改正法
に取入れるということも如何かと思われますので、第一の根本的な
委員会
での
意向
と、それから第二の
選挙手続
に関する
委員会
での
意向
とについて簡單に申上げたいと思います。 根本的に
事柄
の中では、
選挙権被選挙権
の問題がやや
調査会
での
意見
と違
つて
おるように
考え
られます。
公職選挙法案
では、
被選挙権
を準
禁治産者
或いは
執行猶予
中の者について認めておりますが、これは
被選挙権
をこういう者にまで認めるのはどうか、又
選挙権
を認めることはこれは
差支
ないと思うのでありますが、
被選挙権
を認めて、
議員
或いてその他の
公職
に選ばれて来るのはどうか。勿論これは
選挙
という一般の
選挙民
の判断が加わ
つて
おるわけではありますけれども、
執行猶予
中の者までそういう
公職
に就かせるのはどうかという
考え
があろうと思います。それから又準
禁治産者
全部について
選挙権
、
被選挙権
を認めるのはどうかという
考え
があるのでありますが……どうかということが
考え
られると思うのであります。つまり準
禁治産者
は、大体私権の
保護
、財産の
保護
という
見地
から
裁判所
が宣告するのでありますが、この中で
身心耗弱者等
については、
選挙権
、
被選挙権
を與えてどうかと思われる点があると思うのであります。 それから根本的な問題はそれくらいでありますが、次は
選挙制度
の、まあ
手続
に関する
事柄
でありますが、
手続
の初めから順序を追
つて
行きますと、
選挙制度調査会
では、
選挙人名簿
を
カード式
にするとか、或いは
投票用紙
をプリンテツド・パロツトにする。つまり予め印刷した
投票用紙
を使うというような
考え方
で
研究
を続けてお
つたの
であります。併しながらこの
投票用紙
の点や、
選挙人名簿
の点は、
差当り
の
参議院選挙
に適用する
公職選挙法
としては時間が間に合わない
関係
もありまして、これを間に合わせることは、
研究
することはどうかと思われますので、その点は省いて置きます。
投票
の
手続
の点、或いはこれは
第一線
の
選挙管理委員会
からの
要望
であるのですが、まあ日が短い時に
投票
する場合に、もう殆んど
選挙人
が
投票
をしてしま
つた
という場合に、いつまでも
投票所
を開いて置くのは困るというような
意見
もありました。又サンマー・タイムでまだ陽が高いのに
投票所
を閉めてしまうのも、それから
相当投票
に来る人があるから困るというような、まあいろいろな
意見
がありまして、
投票所
の閉鎖時間を
地方
の
事情
によ
つて
繰上げたり、繰下げたりして貰いたいという
意見
があるのです。これはまあ弊害のない
範囲
においてその
事情
々々を
考え
て、県ぐらいの
選挙管理委員会
がタッチをして決めるならば、
投票
時間の繰下げ、繰上げ、その時間くらいの
範囲
では認めていいのではないかというくらいであります。 それから再
選挙
、或いは
補欠選挙
に関する問題でありますが、これは
参議院
と
衆議院
との御
意見
の違うところでありまして、
調査会
では一応
選挙執行
の
費用
が相当かかる、だから成るべく
選挙
は少くして貰いたいという
要望
がありますので、
参議院
の
地方選挙議員
の
選挙
につきまして二人まで、二人の
欠員
に達するまでは
選挙
をやらない。つまりた
つた
一人の
欠員
の場合は
選挙
をやらないというようにしたいという
意向
が強か
つたの
であります。勿論そうしますと、相当
欠員
が殖える場合が想像されまして、
参議院自体
の
運営
に
差支
が生ずるのではないかということが
考え
られますので、その場合は全体のもう
一つ
の区において、全部の
地方選出議員
の分全体について、四分の一以上欠けた場合は
選挙
をやるのだという
工合
にして、
一つ
の
選挙
区については、一人々々の
欠員
であ
つて
も、全体について四分の一以上に達すればやるというようなことにくくりをつければ、そう
議会
の
運営
に
差支
えることはないではないか、まあこういう
考え方
がなされたのであります。 それから次は繰上げ
補充
の問題であります。
公職選挙法
では繰上げ
補充
を三ヶ月間にしております。これを
調査会
では一ヶ年にしたい。これも只今申述べましたと同じ
意味
によ
つて選挙
を行う
機会
を成るべく少くしたい。まあそういう
趣旨
から出た
考え方
であります。 それから次は
選挙運動
に関する
事柄
であります。この
選挙運動
に関しましては主要な
事柄
では、
戸別訪問
などについては
はつ
きりした
結論
はまだ出ていなか
つたの
であります。いろいろ議論がありまして、
戸別訪問
をどうするというまでは、
参議院議員
の
選挙
でなくて、後の根本的な
考え方
を
研究
する場合においては、
結論
は出ておりません。その
選挙運動
の
事柄
で
事前運動
の
禁止
は、これは
廃止
をしたらどうか。これはまあ
実情
から
考え
まして、なかなか
禁止
がやりにくい。
禁止
を
潜ぐる
ような合法的な手段が相当取られるような
実情
から
考え
まして、
事前運動
の
禁止
をしても、本当にそれが行われにくいということから、まあ
禁止
を
廃止
したらどうかという
意見
が相当有力でありました。 それから
言論
による
選挙運動
は自由としたい、こういう
意見
が相当ありました。 それから
選挙運動
のために
頒布
又は掲示する
文書
、
図画
については、種類、枚数、
頒布
の
方法
については
原則
として
制限
を加えないもの、という
意見
も相当ありました。それからこれは
公職選挙法
に出ておることでありますが、
新聞
については
報道
、
評論
を自由にするという
主張
がやはり相当あります。 それから「学生、生徒及び兒童に対する特殊の地位を利用して行う
選挙運動
の
制限
に関する
規定
を明確にすること。」、これも
参議院
と
衆議院
とで御
意見
がお違いになるようでありますが、これに関しまして
選挙管理委員会
の
第一線
の方の声では、結局この
規定
がなぜ困るかというのは現在の
規定
が明確を欠いておる。甚だ
解釈
上明確を欠いておるから困るので、これを
はつ
きりするようにして貰いさえすればよい。何も
教育者
だけに限る必要はない。或いはその利用される相手方を二十歳以上の者まで及ぼす必要はない。まあ
現行規定
を明確にするということだけで足りるという
意見
が
第一線
の
意見
のようでありましたので、そういうふうな
意見
が多数であ
つたよう
であります。 それから
新聞広告
の
公営
の問題ですが、
全国
区の
公営
については、これは
はつ
きりはしていなか
つたの
でありますが、二回の必要はないんじやないか。
新聞広告
の
利用価値等
から
考え
て一回でいいんじやないかということの
主張
が
調査会
などの
主張
のようでありました。それから
選挙運動
の
費用
の点でありますが、
公職選挙法
では
第三者
の
選挙運動
の
費用
は、
候補者
或いは
出納責任者
と
意思
を通じていなければ自由にな
つて
おるのであります。
届出
も必要ないようにな
つて
おるのであります。現在は
自筆
の
推薦状
或いは
電話
による
選挙運動
に要する
費用
が
第三者
が
支出
できないようにな
つて
おるのですが、ここの
制限
が除かれておるために
第三者
の
運動
の
費用
というものが若し
意思
を通じなければ
候補者
の
費用
と
選挙運動費用
と加算されない。その結果無
制限
になるという心配がありますので、まあ「
第三者
は、
自筆
の
推薦状
及び
電話
による
選挙運動
に要する
費用
の外、
出納責任者
の
文書
による
承諾
を得た場合の外、
選挙運動
のために
経費
を
支出
することができないものとすること。」、という
工合
にして、
第三者
の
選挙運動費用
の
支出
の
制限
をしたいということのようであります。これによ
つて選挙運動
の
費用制限
をやや合理的なものにしたい、こういう
考え方
が
調査会
における
意見
であります。 それから次は主として
第一線
の
選挙管理委員会
の
主張
でありますが、
選挙運動費用
の
届出
或いは
立候補
の
届出
、その他
選挙管理委員会等
に対する、或いは
選挙管理者等
に対する
届出
であるとか、或いは申込或いは申出、こういうものは
執務
時間中に限
つて
貰いたい。
執務
時間中に限らないために夜の十二時まで待
つて
いなければならんというような
状態
が相当あるのであります。これは成るべく約束のことでありますから、
執務
時間中ということで限
つて
貰いたい。こういう
第一線
の希望がありますので、そういうことに大体の
意向
がな
つて
お
つたよう
であります。
公職選挙法
と違う点、或いは同じな点もあるわけでありますが、大体
選挙制度調査会
で
主張
された主な
事項
について申上げました。
小串清一
4
○
委員長
(
小串清一
君)
ちよ
つと今の
第三者
の
費用
は
候補者
と
意思
を通じないでや
つた
場合には
現行
の原案は自由にな
つて
おりますが、
調査会
の方ではこれに無
制限
にすることはひどいから或る
制限
を加えた、その
制限
の
内容
をもう一遍言
つて
下さい。
吉岡惠一
5
○
政府委員
(
吉岡惠
一君)
第三者
は
現行法
と大体似たようなものでありますが、「
第三者
は、
自筆
の
推薦状
及び
電話
による
選挙運動
は要する
費用
の外、
出納責任者
の
文書
による
承諾
を得た場合の外、
選挙運動
のために
経費
を
支出
することができないものとすること。」、こういう大体
現行法
にある
規定
なんですが……
小串清一
6
○
委員長
(
小串清一
君) 分りました。
羽仁五郎
7
○
羽仁五郎
君
ちよ
つと
吉岡
君に質問したいのですけれども、十一頁の上の段の第七
選挙運動費用
に関する
事項
の第三項には今御
説明
に
なつ
た御
趣旨
と違うようじやないですか。
吉岡惠一
8
○
政府委員
(
吉岡惠
一君) この三は
候補者
又は
出納
の
責任者
と
意思
を通じないで
第三者
の
支出
した
費用
は、
選挙費用
に加算しないと申しますのは、第二を見ますと、それはできないことになるわけですね。第二の今
言つた自筆
の
推薦状
及び
電話
による
選挙運動
に要する
費用
しか
第三者
は勝手に出せませんから
違反
になりますが、
違反
して出した場合の
費用
をどうするか、こういう問題であります。
岡本愛祐
9
○
岡本愛祐
君 それに連関して今の御
説明
によりますと、若し
候補者
と
意思
を通じないで
第三者
が
費用
を
支出
した、そうすると、それは
候補者
の
選挙運動
の
費用
には加算しない。
従つて候補者
の失格というようなことは起
つて
来ない、けれども
第三者
の方が処罰を受ける、こういう
意味
ですね。
吉岡惠一
10
○
政府委員
(
吉岡惠
一君) そういう
意味
です。
違法状態
に置くということですね。
岡本愛祐
11
○
岡本愛祐
君 そうすると、そういうのが
犠牲
にな
つて
どんどんや
つて
しまつて
、
候補者
はそのお陰によ
つて
当選した、併し
第三者
は罰せられる、こういうことになるのですね。
吉岡惠一
12
○
政府委員
(
吉岡惠
一君) そういう
可能性
はございます。
岡本愛祐
13
○
岡本愛祐
君 この点はどうもそう
考え
るより仕上がないだろうと思うのです。我々が
研究
しているところも、やはりそうするより仕方がないと思います。何故ならば、これに惡意で
第三者
が
候補者
を失格させるために自分も
犠牲
にな
つて
どんどん
費用
も構わずに
選挙候補者
のためにやるとその結果
選挙違反
にな
つて候補者
が落選になるというようなことは惡意によ
つて
できると困るからあなたが御
解釈
になるようにするより外にないと思いますけれども、何かもつといい工夫はありませんか。
吉岡惠一
14
○
政府委員
(
吉岡惠
一君) 今の
お話
の点は
三つ
のやり方があると思います。
公職選挙法
のように野放しにする、それから
現行
の
制度
でありますが、これは
反対
に
第三者
が
支出
したものはこの
範囲
のもの以外は
違法状態
になる、更にその
費用
を
候補者
の
選挙運動
の
費用
に加算するという
規正
の
規定
、
ポツダム勅令
の
規定
で縛るという
考え方
、もう
一つ
は中間を
行つて
只今申しました
違法状態
におけるまあ
電話
による
選挙運動
、或いは
自筆
の
推薦状
以外に
違法状態
におけるこの
三つ
の
考え方
、どれを採るかということだろうと思います。
小串清一
15
○
委員長
(
小串清一
君) 大体その点ですね。何か御質問ありませんか。
岡本愛祐
16
○
岡本愛祐
君 もう
一つ
お聞きして置きたいのは
事前運動
、これについては野放しにするということなんですね。それより仕方がないだろう……。
選挙制度調査会
の
調査
の結果は
事前運動
は
取締
りの
方法
がない、だからやりたい放題にやらしてよろしいということだ
つたの
でしようか。備考には「
事前運動
は
現行通り
これを
禁止
すること。」と書いてありますが、先程の御
説明
ではそうでもなか
つたよう
に……
吉岡惠一
17
○
政府委員
(
吉岡惠
一君) これは多少違
つて
おりまして、
参議院議員
の
選挙
の
答申
を決めるときは
禁止
という
意見
が強か
つたよう
であります。更にもう一度
研究
し直したときは、一、二
反対
はあ
つたよう
ですが、大
部分委員会
では
事前運動
は現在の
状態
では
取締
もなかなか困難だし野放しにした方がいいではないかという
意見
が多数ありました。
岡本愛祐
18
○
岡本愛祐
君
戸別訪問
はどうでしようか。
吉岡惠一
19
○
政府委員
(
吉岡惠
一君)
戸別訪問
は
はつきり結論
が出ませんでした。
小串清一
20
○
委員長
(
小串清一
君) それでは
調査会
の方の御
説明
はこの
程度
にいたしまして、
衆議院
の
生田委員長
がお
見え
にな
つて
おりますから、
提案
についての
お話
を一応拜聽することにいたします。
生田委員長
を御紹介いたします。
生田和平
21
○
衆議院議員
(
生田和平
君)
公職選挙法案
、並びに
公職選挙法
の
施行
及びこれに伴う
関係法令
の
整理等
に関する
法律案
につき、
提案
の
理由
と
要旨
を
説明
いたします。 本
法案
については、第五
国会
に於て
委員
三十一名よりなる、
特別委員会
が設置せられ、更に第六
国会
、第七
国会
に於て同一
委員会
が設けられ、継続審議せられ、
委員会
において議決せられておるのであります。
現行衆議院議員選挙法
は、大正十四年
普通選挙
が
施行
せられると共に制定せられたものであることは、皆様御承知の
通り
であります。爾来
幾多
の修正と、
関係法令
が制定せられました結果、
複雑多岐
に亘り、專門家に非らざれば理解い難きこととなり、ここに総合的、
統一立法
が要請せられることとな
つたの
であります。
日本国憲法
は、主権が
国民
に存することを宣言し、
日本国民
は正当に
選挙
せられたる
国会
における
代表者
を通して行動し、その権力は
国民
の
代表者
がこれを行使し、その福利は
国民
がこれを享受すると
規定
されております。 ここに
提案
せる、
公職選挙法
は、
国会
における
代表者
を
選挙
するに止まらず、
地方公共団体
の
議会
の
議員
及び長並びに
教育委員会
の
委員
の
選挙
にも適用せんとするものでありまして、その影響するところ広
範囲
に亘り、頗る重大なる意義を持つものであります。 我々は、
憲法
の明示せる
国民
の
自由権
を尊重せねばなりません。又
憲法
の明示せる正当なる
選挙
を行わねばなりません。併しながら正当なる
選挙
を行うには、
秩序
を維持し、公正を確保せねばなりません。
秩序
を維持し、公正を確保する
方法
、
程度
については、各人思ひ思ひに
意見
の相違がありまして、ここに
立法
の
困難性
が伴います。 思うに
選挙法
は、一種の
制限法
でありまして、
全章殆
んど
制限規定
を以て埋められておると申しても過言ではありません。例えば年齢の
制限
、
住居期間
の
制限
、
投票
による
制限
、
選挙
区制の
制限
、
名簿調製
の
制限
、任期の
制限
、
立候補
の
制限
、当選についての
制限
、
選挙運動
についての
制限
、
選挙費用
の
制限
等挙げて数うべからざるものがあります。
改正法
は
国民
の
自由権
を基礎として、これらの
制限
を如何に撤廃し又は緩和し、
調整
するかが重大なる鍵であるとさえ考へるのであります。
委員会
は以上の
見地
に立
つて
独自の立場において従来の欠点を是正し若しくは整備し、時代に即応する最も分り易き
国民的選挙法
を制定いたしたのであります。 この
法律
は、十七章二百七十三條より構成せられております。その第
一條
において
選挙
の
目的
を明示してあります。即ち、この
法律
は、
日本国憲法
の
精神
に則り
衆議院議員
、
参議院議員
、
地方公共団体
の
議会
の
議員
及び長並びに
教育委員会
の
委員
を公選する
選挙制度
を確立し、その
選挙
が
選挙人
の自由に表明せる
意思
によ
つて
、公明且つ適正に行われることを確保し、以て
民主政治
の健全なる発達を期する事を
目的
とすると明記してあります。而して、
本法
中最も重要なる点は、
選挙権
、
被選挙権
の問題、
選挙
区制の問題、
選挙運動
の問題でありまして、
選挙法
中の三大問題でありと言い得るのでありませう。
選挙権
、
被選挙権
については、既往においてこれが
拡張
に努められたのでありますが、今回の
改正
に当
つて
、六ケ月の
住居要件
を三ケ月に短縮し、準
禁治産者
及び
選挙犯罪
以外の
犯罪
に因る刑の
執行猶予
中の者にも
選挙権
、
被選挙権
を與えることとし、更に
選挙制度創設
以来
制限
し来れる
自書主義
を緩和し、
文盲者
には
代理投票
を認めることとし、
不在投票
の
範囲
を
拡張
して、監獄又は少年院に
收容
中の者にも
投票
の途を拓きました。これらは
選挙権
、
被選挙権
に関する
拡張事項
でありまして、多年に亘る宿題を一挙にして解決いたしたのであります。
選挙
区制の問題については、
衆議院
には全県一区が尚九県存在しておりますので、これを二分区に
改正
すべしとの有力なる
意見
があり、
参議院
についてもまちまちの
意見
がありましたが、今回は両院とも
現状
のままとし一切触れないことに
意見
の一致を見ました。
選挙運動
については、
選挙
は
原則
として自由であり、公正でなければなりませぬが、金のかからぬ
選挙
を
要望
せられる
現状
にありましては、そこに
幾多
の矛盾が発生して来るのであります。又
法律理論
と
政治的社会的実態
との
食違い
が、至るところに見出されるのであります。従いましてこれらの
調整
には多くの苦心が拂われたのは当然であります。
委員会
としては
選挙公営
を強化して
選挙運動
を明朗化すると共に、
候補者
の
選挙費用
の
均等化
を図ることとし、
他方第三者
の
言論
による自由の伸張に努めました。
立会演説会
については
候補者
の
代理演説
の
回数
を増加して、五分の一を三分の一に改め、
個人演説会
の
回数制限
を撤廃しこれを自由とし、
街頭演説会
にあ
つて
は、
候補者
がいなければならぬという
條件
を撤廃してこれを解放しました。即ち、
言論
による
選挙運動
の自由を大幅に緩和したのであります。
新聞雑誌
の
報道
及び
評論
についてはこれを法文化し、
言論
の自由を認めたのでありますが、
虚僞
の
事項
を記載し又は事実を歪曲して記載する等、表現の自由を濫用して
選挙
の公正を害してはならないとの但書を加えまして、
新聞雑誌
が本来の使命を
謬らざら
んことを
規定
しました。
戸別訪問
の
規定
については、数ケ月に亘り論議を重ねました結果、一般的には従来の
通り
、これを
禁止
いたしましたが、
候補者
みずからが親族、
平素親交
の
間柄
にある知己、其の他密接なる
間柄
にあるものを訪問することは
差支
ないと
規定
したのでありまして、我が国の
醇風美俗
の
精神
を取入れたものと思うのであります。
従つて
従来称えられている
個々面接
とはその性格を異にするものであることを申上げて置きます。言葉を換えて言へば適正なる
選挙運動
をもなし得ると御了解願いたいのであります。
選挙運動
に関する收入及び
支出
、並びに寄附の
規定
については、
政治資金規正法
の一部を取入れ、
争訟
及び
罰則規定
については概ね
現行法
を取入れました。 尚
本法
は、五月一日から
施行
せらるることにな
つて
いることを附加えて申上げて置きます。 次には
公職選挙法
の
施行
及びこれに伴う
関係法令
の
整理等
に関する
法律案
につき御
説明
いたします。 本
法律案
は
公職選挙法
の
立法
により
廃止
又は
改正
若しくは
施行等
の
整理
に伴う
経過規定
でありまして三章三十二條を以て構成せられております。
廃止
せらるべき
法令
は
衆議院議員選挙法
、
衆議院議員選挙法施行令
、
衆議院議員選挙法施行規則
、
選挙運動等
の
臨時特例
に関する
法律
、
選挙運動等
の
臨時特例
に関する
法律施行令
、
衆議院議員選挙人名簿
の
臨時特例
に関する
法律
、
衆議院議員選挙法
第十二條の
特例
に関する
法律
、
衆議院議員選挙人名簿
の
臨時特例
に関する件、
衆議院議員選挙法
第百
一條
ノ三及び第百四條ノ
規定
ノ
適用ニ関スル
件、
衆議院議員選挙運動取締規則
、
参議院議員選挙法
、
参議院議員選挙法施行令
、
参議院議員選挙法施行規則
、
参議院議員選挙運動取締規則
、
選挙運動
の
文書図画等
の
特例
に関する
法律
、
地方公共団体
の
選挙運動取締規則
、等十六件であります。 一部
改正
せらるべき
法令
は、
政治資金規正法
、
地方自治法
、
教育委員会法
、
刑事訴訟法施行法
、
最高裁判所裁判官国民審査法
、
農地調整法
、
漁業法
、
地方自治法
の一部を
改正
する
法律
、
検察審査法
、
全国選挙管理委員会法
、等十件であります。
公職選挙法
の
施行
に伴う
経過規定
は十五件であります。
関係法律
の
整理等
に伴う
経過規定
は六件であります。 以上を以ちまして、両
案提出
の
理由
並びに
要旨
を御
説明
いたしました。
岡本愛祐
22
○
岡本愛祐
君
ちよ
つと
衆議院
の
特別委員長
に伺
つて
置きたいのですが、先程
選挙制度調査会
の方から御
報告
を頂きました中で我々が問題にしておりました
第三者
の
選挙運動
ですね、それが
候補者
と
意思
を通じないでは、
幾ら金
を出してもよい
選挙運動
である、そういうことにこれではなるのですか。その点についてどういうふうにお
考え
にな
つて
おるか。
候補者
の
費用
ばかりを
制限
して
行つて
も、例えば
会社
の
社長
、自己の
選挙運動費用
だけ
制限
されても、その
会社
の各支店とか何とかいうものは、
社長
たる
候補者
に
意思
を通じないでどんどん金をふんだんに使
つて
やる、こういうようなことがこの
規定
では起り得ると思いますが、そういう点に対してどういうふうにお
考え
にな
つて
おりますか。重大問題ですからそれを伺
つて
置きます。
生田和平
23
○
衆議院議員
(
生田和平
君) 御尤ものお説でありますが、実はこれは
取締
は困難だと思います。又
第三者
の方が好意的に
候補者
のために
運動
するということは、私は
差支
ないと思います。又
第三者
の方が無法に巨額の金を費消するということは常識では
考え
られないのであります。ただその人が惡意を以て脱法行為をするということがあり得ると思います。併し凡そ
選挙
が公正であり自由であるという建前からいたしまして、この
取締
は余程困難じやないか、むしろこれを自由にした方が将来政治
運動
の発展を助けるものであ
つて
、濫りにこれを
制限
することはよくないのじやないか、こういうふうな
考え
でいたしましたわけであります。
岡本愛祐
24
○
岡本愛祐
君 今質疑応答する
意味
じやないのですけれども、私共完全な基
本法
を作り上げたい、こう思
つて
おるものですから、
第三者
が手弁当で働いて呉れるということは非常に結構でありまして、それこそいい
選挙
でありますが、ただ
第三者
が脱税行為的に
候補者
の
意思
を通じないで金をどんどん出して金のかかる
選挙
をする、これは
衆議院
なんかはないと思いますが、併し
全国
区では私はあり得ると思う。
候補者
たる本人は東京を中心にや
つて
お
つて
、九州の方では
第三者
がどんどんや
つて
おるということはあり得ると思う、而もそれは金を非常に沢山使
つて
おる……。どうもその点を何とかして置かなければいかんのじやないか。こういうふうに感じつつあるのですが、御参考までに申上げて置きます。それを憂えておるわけです。
小串清一
25
○
委員長
(
小串清一
君) その
程度
で
衆議院
の
委員長
さんの御
説明
はこれで止めることにいたします。どうも有難うございました。 それから
ちよ
つと諸君にお諮りいたしますが、それはすでに
衆議院
を本日通過すると思いますので、当
参議院
の
選挙法改正
特別委員会
においての審議の
方法
でございますが、今後これをとても逐條にやるということはどうかと思いまするが、これから先これを部分的に皆様の御
意見
をそれぞれ出して頂いて、討議をして、そうしてこの案に対する
参議院
の態度を決めてはと思いますが、その審議の
方法
について何か適当な御
意見
があれば皆さんの御
意見
を拜聽してそのように進めたいと
考え
ます。
羽仁五郎
26
○
羽仁五郎
君 只今の
委員長
の御
提案
に大体異議がないのですが、その際すでに
参議院
のこの本
委員会
において幾つか決定した問題があり、そうしてそれに関して
衆議院
側にしばしば
委員長
を煩わして交渉を継続して来たのがありますが、それらは別に特に討論を用いる必要のないものは討論を用いないで、今まで続けられて来た態度を続けて頂きたいと思います。それ以外の問題についてそれぞれまだ討議をすべきものがあると思うので、引続いてそれらの個々の点についての討議を行われますように希望します。
小串清一
27
○
委員長
(
小串清一
君) つまり、今まで決定した問題はすでに議論を用いなくても
参議院
の
意見
として決ま
つて
いますが、併し決定したものの中にも多少まだ皆さんの
意見
でその文章なり、
内容
を直す必要があるかも知れませんが、そういうものを部分的にやることにして、逐條的にやることは止めることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
小串清一
28
○
委員長
(
小串清一
君) 分りました。
小川久義
29
○小川久義君 この
委員会
の開会の時間ですね。どうもいつも議運と重なるのですね。
小串清一
30
○
委員長
(
小串清一
君) 今日だけです。いつも午後なんですが、今日午前にしたのは、例のお出でを願う都合もいろいろあ
つて
、今日初めて午前にしたのです。
小川久義
31
○小川久義君 何か、何曜日と何曜日にやるというわけに行きませんか。電力は水曜と金曜にやると、まあやる日を決めているのですが、そうすればお互いに都合を繰合せて置いて……
小串清一
32
○
委員長
(
小串清一
君) それは皆さんの御
意見
でできますが、もう
衆議院
がそうなれば
結論
を急がなければならんと思います。
柏木庫治
33
○柏木庫治君 もう時間的に急がなければならないので、
参議院
が
衆議院
と違うところを折衝をなす
つて
、これは
衆議院
で讓れないというものと、これは少し讓れるというような
委員長
の見通しをつけられて、そうしてここで一応懇談会をや
つて
、変
つた案
を決めて折衝をいたすとして、その折衝の数が余り多いことはこれは賢明な行き方でないと思いますので、成るべくならば、もう理想的に言えば同じになればいいのですが、どうしても違うという分がありましても、それを非常に狹めて
結論
を急ぐように進めることが非常に賢明であると、こう思
つて
いるのですが……
小串清一
34
○
委員長
(
小串清一
君) 御尤もです。どなたも柏木さんの御
意見
に御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
小串清一
35
○
委員長
(
小串清一
君) それでは本日はこれから懇談に移ろうと思いますから、一応
委員会
はこれで散会といたします。 午前十一時三十六分散会 出席者は左の
通り
。
委員長
小串 清一君 理事 城 義臣君 鈴木 直人君 羽仁 五郎君
委員
佐々木鹿藏君 中川 幸平君 藤井 新一君 岡本 愛祐君 柏木 庫治君 來馬 琢道君 西郷吉之助君 松井 道夫君 小川 久義君 小川 友三君
衆議院議員
選挙法改正
に関 する
調査
特別委 員長 生田 和平君
政府委員
全国
選挙
管理委 員会事務局長
吉岡
惠一君
説明員
選挙制度調査会
会長
渡邊 銕藏君