○太田敏兄君 このうちで特にこの羽仁君も問題にしました第二項の
教育上特殊の
地位を利用する
選挙運動の禁止の條項でありますが、これはやはり
参議院の案が正しいと思うのですが、これに対する論議を盡きておりまするから多く申す必要はありませんが、大体併しこの條項が生れましたのは未成年の学徒を動員することが惡いということからそれが動機とな
つておるのでありまするから、
従つてこういう
條文が置かれますのはやはりそこに
立法精神があると思うのです。この禁止條項を成年者まで拡げることになりますると、この
憲法に
決めてありまする
国民の
選挙の自由を奪うことになる。
従つてまあ
憲法の
精神にも
違反することになると思うのであります。それは
憲法の第十
五條にありますが「
公務員を選定し、及びこれを罷免することは、
国民固有の権利である」ということが第一項にあります。第三項に「
公務員の
選挙については、成年者による普通
選挙を保障する」この
憲法第十
五條の
精神から申しましても、成年者は公正する
選挙を行う能力があるということを認めておるわけでありますから、そこでそれが学生であろうと何であろうと、成年者であれば
選挙に対して十分
批判の自由、
批判の能力を持
つておると、こう認むべきであると思う。強く申しますると
憲法違反であると言
つてもいいと思うのでありますが、併し一歩讓りましてこういう
制限が影響力の点から妥当であるといえば、そうすればむしろこの
教育者以外の会社の社長が
立候補した場合に、その会社の社員が
運動することも当然
制限しなければならんということにな
つて来ると思うのであります。そういう
意味から特にこの
教育関係だけを別に
制限するということはこの
憲法の
精神からい
つても面白くないと思うのであります。そういうことで、これはかねがね
参議院の
委員会では大体これに一致しておるのでありまするから、
一つこの点は
参議院の側の一致した
意見として強く
主張したいと思うんです。まあ
衆議院が、この間も
懇談会の時の
空気からしますると、私がさつき申してましたように、大体未丁年の学徒を動員することから、こういうことが起つたのだからというような
意見であつたのです。さつき
委員長の報告によりますと相当難点があるのでありますけれども、私はやはり
衆議院に対する便宜主義から
考えるよりも、やはり
参議院独自の立場からどこまでも正論を以て行くべきだと、かように
考えるんです。そういう
意味で私はやはりこれは
参議院選挙委員会の一致した
意見としてその点は
向うにも強く
委員長の方で
主張して頂きたいと思うのです。