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1950-02-11 第7回国会 参議院 選挙法改正に関する特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年二月十一日(土曜日)    午前十時四十三分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○選挙法改正に関する調査の件   —————————————
  2. 小串清一

    委員長小串清一君) それではこれより選挙法改正委員会を開会いたします。初めに先般衆議院の方と打合会をいたしましたその後の交渉の結果を御報告いたしたいと思います。衆議院におきましては先般参議院として申込みました問題の中で、ポスターの数を殖すことについては大体異議はない。それからその他の問題は向う意見もまだ決りませんのです。即ち知事その他特殊の公務員の立候補に対する期間の制限、それから教育上の地位を利用して学童その他を使用する者に対する制限に対して、衆議院の方と食違つております点は、衆議院側においても参議院に共鳴している説が相当にありますが、全会一致であるから直ぐそれを変えたくないという空気であります。併し衆議院もこれはまとまつておりませんので、私の見通しといたしましては、本院において参議院利害関係もあり、又選挙の結果を考えるときに是非ともこれは公正を維持するために必要だということを強く主張すれば、多分多少のその間に字句の修正や或いは制限の緩和はあるかも知れませんが、通過の見込はあると思いまして、皆様の更に御盡力を願いたいと思つております。それからその後事務当局の方で発見されました当選法定得票数が、衆議院においては有効投票候補者人員数で割つた四分の一ということになつておりますので、これは非常な結果を来たすという御注意法制局の方からありまして衆議院へ交渉いたしました。本日お手許に議案を出しておりますが、これに対して衆議院から昨日の会議で、参議院の方を六分の一ということに修正しようということを大体決定したということを今朝聞いたのであります。尚こちらで主張した著書その他に関するその執筆者の名前の問題でありますが、これに対する只今法案中百四十六條でしたか「主として」という文字を加えないと非常に誤り易いということに対して、この主張に対しては向うでもそう異議を申しておりませんが、まだ決定はしていないということを今朝聞いたのであります。以上衆議院との最近における折衝の模様を御報告申上げました。それで今までのこれらの問題並びにその他のもので、これからお気付の点を審議して頂きたいと思います。以上御報告申上げます。
  3. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 委員長の大変な御盡力、それから又先般の衆議院との懇談会で、参議院で十分御討議の結果が衆議院側でも段々了解して進まれていることを大変有難いと思うのですが、只今委員長が御報告になりました問題の中で、知事及び市長の立候補制限、この問題はこの間の懇談会のときの結論から言つても、要するに結論は公権を濫用して選挙運動をやるということを制限するために、現在直接権力上の影響のある地区の投票を無効とするというような案で行けば、衆議院とも或いは一致するかも知れない。それから又関係方面の場合にもそういうような論拠があれば、これは選挙の自由を制限するのではなくて、つまり権力濫用を防ぐという意味ですから、選挙の自由の趣旨は高く持して、併し権力濫用はこれを制限するという意味から行かれるのではないか。そういう方向参議院委員会でも御討議願えれば有難いのではないかと思います。  それから第二にいわゆる教育者選挙運動制限というのは、この間の懇談会の討論の結果、今まで衆議院では大体いわゆる教育上の地位ということ、それから未成年者ということとを二つ並べてお考えになつていたようですけれども、この間の懇談会の結果これは二つ並ぶものじやないので、未成年者が第一の目的であつたということは御了解願えたように考える。で理論的に言いまして、この点最初の立法の精神は必ず未成年者選挙運動から保護するという点にあつたのであろうと思います。それに附随して未成年者に対しては教育上の影響というものが可なり大きいからということで、それが二義的に上つて来た。今度はその二義的の方が一義的のことになつて来ると、先日も申上げましたようにいろいろな疑義が生じますので、何とも議論余地のない、未成年者選挙運動に理用されるということは誰が言つてもよくないということは、現行法が正しいと思いますので、この方向に今後もお進みを願いたいと思います。  それから第三の著述及び演芸等の広告に関する件ですが、これは先日の懇談会において社会党の鈴木義男君も賛成しておられたように、「主として」という字がいわゆる法律上の文字としては不要であつても、親切の意味からやはりこれがあつた方がいい、それで解釈上の曖昧な点が起るというふうな議論もありますが、併し余り解釈上のことを窮屈にしてしまうと、争う余地もないというか、手も足も出ないということになつてしまうというあれもありますし、それから何よりも現行法を改めたことがどういう意味であるかということで世間一般に誤解を生じ、又取締の行過ぎがあると思いますから、どうか「主として」を現行法に加味して頂きたい。それから最後にこれはまだ十分御討議がなされておらないんですが、新聞の自由の問題ですが、つまり新聞の自由をお認めになつた、併し但書を設けられ、その濫用を禁じ、それに対する罰則をお設けになつた。これは一応御尤もとは思うんですが、併し新聞の自由の濫用については御承知のようにプレスコードもあり、又その他法律上これを明らかに制限する規定があるのでありますから、この選挙法の中にこれを設ける必要がないという点は、先日の懇談会でも鈴木義男君その他の方々も賛成しておられましたが、私は特にこの点を、現在各新聞言論機関国会とが互いに友好的な関係で進んで行く上から、選挙法の中で但書を設けて新聞の自由の濫用ということを制限するということが、言論機関が受ける感じの上から甚だ面白くないんじやないか。これは御承知のように特にこの間法務総裁が新たに新聞紙法を設ける意図が政府にあることを言われて、それが新聞言論機関に非常に刺激を與えた。で昔のような新聞紙法が復活するということは到底今日許されない筈ですけれども、併し刺激を與えておることは事実であります。そういう点からも選挙法の中で我々が新聞の自由というものに対して規定をするということは必要がないのじやないか。必要がないと申上げるのはプレスコードなり或いは刑法の規定なりがすでにあるんですから、それで十分ではないか。選挙法でそういうことをやるのは、必要でないことをされる結果却つて惡影響がある。又新聞の自由を濫用したということを誰が認定するかということになると、やはりそこに検閲的な意味も生じて来る。こういう点からもあの前の條項言つていることが、新聞の自由を制限するものではないということで結構で、それ以下の但書、及び但書に伴う罰則というものを除いて頂くように御討議を願えれば大変有難いと思う次第であります。
  4. 藤井新一

    藤井新一君 先程委員長からのお話がございましたが、この前の衆議院と我が特別委員会との合同懇談会では、教育者のため云々ということについては大体賛成をしておつたのですが、その後において衆議院委員会を開いての結果を今報告されたのですが、その点を私ちよつとお尋ねいたしたいのです。あの懇談会では大体了承というように私は考え帰つたのですが、今委員長報告ではまだ少しうやむやで、何かはつきりしないような話ですが、その点を一つ説明して頂けたらと思います。
  5. 小串清一

    委員長小串清一君) お答えいたします。この間の委員会ではそこまではつきりはしておらなかつたのですが、部分的には賛成者があつたので、追つて協議の上挨拶をする。こういうことになつていたのです。協議の上の挨拶を聽きに行つたはつきりしないで、昨日最後協議をやるということで参りましたが、大した会議がないで散会したのでした。今朝早く向う委員長と私と会見いたしまして、先刻報告申上げましたが、今藤井君のお尋ねはどうも教育者方はちよつとむずかしいかも知れない。併し我々の方でも例の二十歳未満という文字を加えるということはその方がいいが、併しどうかという態度で決まつていない。もう一つはさつき報告した通り、こちらの強い要求があれば或いは衆議院賛成するでしよう。もう一つ大事なことを報告しませんでしたが、昨日專ら問題になりましたことは衆議院のことです、第三者運動に或る程度制限を加えなければならん。ところがこれは少しむずかしいのですが、衆議院では殆んど熱烈に第三者運動に或る制限を設けなければ第三者演説会を開く。選挙管理委員会に届出ればいいから、それで至るところで開く。至るところへ演説ビラを貼る。至るところ提燈或いは大看板を掲げるということになつては、選挙が非常に金の要ることになるから、これに或る程度制限を加えたいということが強く衆議院側の今議論しておるところなんです。然らばどういうふうにそれを制限するかという具体案については、今尚うまいことは考え出されない。それで今日尚有志の懇談会をやつて、この第三者運動をどう扱うかという基本的の協議を遂げようと、これはさつき報告しませんでしたが、第三者運動に対しては今衆議院はそういう形になつております。それで今のあなたのお尋ね教育者運動については、必ずしもこつちの意見を気にしてはいないが、衆議院はまあ一部の人を除いては全会一致決つてつたものが、後からそう一々直されてはそれは決りがつかないというような俗論的のことが多かつたんです。  それから一応皆さんのお手許に差上げました選挙に関する法定得票数計算の、法制局で調べて頂きましたものの御説明を申上げます。
  6. 寺光忠

    法制局参事寺光忠君) 御承知のごとく参議院全国選出議員につきましては、法定得票数全国区は八分の一になつております。それから地方選出議員については四分の一でございます。ところが衆議院におきまして第一次の草案と異なりまして、その後の委員会審議の経過におきまして、これを衆議院と同じように一律の四分の一に直したことを発見いたしたのであります。それで若し万一参議院全国選出議員地方選出議員法定得票数が共に衆議院と同じように四分の一に現行法に改められた場合に、どういう結果が出るかということを調べて見たのですが、お手許にお配りしてあります表のうち、一番上の表はこの前の第一回参議院通常選挙の際における数字基本にいたしまして調べたものでございます。あのときの有効投票総数は二千一百万余でありまして、そのときの法定得票数は八分の一でありますから、二万六千五百八十八票ということであり、その八分の一の法定得票数に達した方が百七十八人あつたのであります。その際の当選人の最底得票数は六万八千百二十八でありまして、念のため附加いたしますと、六年議員最低は十二万三千六百七十九であつたのであります。若し衆議院公職選挙法案のごとくに法定得票数を四分の一といたしますれば、どういうことになつたかと申しますと、その法定得票数が五万三千百七十七票でありますから、従つてそれから申しますと、百二十九人の法定得票者があつたという結果になり、従いまして僅か二十九名しか余裕と申しますか、そういつた方がなかつたという結果になるのであります。それでさような二十九名くらいでは万一投票が荒れた場合等におきましては相当に危い、と申しますのは再び選挙をやり直さなければならんという事態が生れて来る虞れがあるというので、若しこれを五分の一とし、六分の一とした場合にどうなるかということを計算いたしたのがその下の数でございます。  次の頁は第二十四回衆議院議員選挙における有効投票数基本にいたしまして、そのときの有効投票数は三千五十九万余でございましたので、若しこの次の六月選挙においた第二十四回衆議院選挙と同じような投票総数があつたといたしますると、先ず三千万余になる。それを定数が五十人でございますので、それを割りまして、八分の一といたしたいといたしますれば七万六千四百八十一票、四分の一といたしましたならば一番下の十五万二千九百六十二票というものを必要とする。それで現行法のごとく八分の一といたしますれば七万六千四百八十一票で足りる。それから六分の一であれば十万余、五分の一ならば十二万余ということであります。そこでこの次の六月の選挙におきまして、若し衆議院案のごとく四分の一といたしますと、全国区で十五万を超える票を取らなければ当選しないという結果が生まれて来る。これは万々一の場合には相当危ない数字ではないかということも考えられねので、現行法のごとく七万六千というような予定にいたすことが、適当かどうかということについても議論がある。いろいろまあお考えがあろうかと思うのでありますが、先程委員長が仰せられましたように、六分の一ということで衆議院の方に交渉したというお話でございます。以下の地方区選出議員の方は、これは八分の一に下げるということは如何かと思いましたので、四分の一と六分の一の数字しか出しておりませんが、四分の一というのは現行法であり、それから衆議院案通りであり、参議院案もその通りをとつております。六分の一というのは若し下げるとすれば、この程度のものになるという数字でございます。  それから一番後の二枚でございますが、これは比較にならないかと思いますけれども、併し衆議院議員選挙法による数字を第二十四回の総選挙の結果によりまして、出して見たのでございます。これはただ御参考までに並べたに過ぎない。若し衆議院の方で六分の一ということで、同調したということでありますれば、供託金沒收の率につきましても、同じく衆議院案は五分の一にいたしておりますけれども、これを十分の一程度に下げるという申入れをして頂かなければならんかと、かように考えております。
  7. 柏木庫治

    柏木庫治君 今六分の一という何は何票になりますか。
  8. 寺光忠

    法制局参事寺光忠君) 全国区で申上げますと、二枚目の表の一番上の欄の右手の方にございます六分の一というのは、十万一千九百七十五票でございます。但しこれは前提といたしまして、二十四回総選挙有効投票基準にいたしたものでございます。
  9. 柏木庫治

    柏木庫治君 四分の一の十五万云々ということであるならば、これはもう間違いなく全部やり直すようなことになりますから、全国区に関する限りこれはもうない選挙法みたいなもので、十五万、そういう人を除けて又そこで選挙をするというのが、全部やり替えるかということになりますが、六分の一ならば、全部やり直しの問題は起らないでしようけれども、四分の一だつたならば全然見通しとしては問題にならんと思います。それは衆議院の人は全国区のこういう計算を事実やつていないですもの……
  10. 小串清一

    委員長小串清一君) やつていませんね。
  11. 柏木庫治

    柏木庫治君 だからこの前の五十番まで……十五万何ぼとれなかつた人間の数は何人ありますか。この前。
  12. 寺光忠

    法制局参事寺光忠君) 先程申上げましたように、六年議員最低が十二万三千六百でございます。それで御質問の人数は四十二名ございます。但しこの有効投票数は二千万少しでございまして、二十四回総選挙の場合は一千万票近く違うのであります。
  13. 藤井新一

    藤井新一君 若し法定得票数の者が五十人いなかつた場合には早選挙をやるのですか、あと欠だけやるのですか。そこのところを聞きたい。
  14. 寺光忠

    法制局参事寺光忠君) 足らんところだけでございます。
  15. 藤井新一

    藤井新一君 達した分だけはもう……。そういうことになれば選挙を二度やるということになつて不自然だ。その意味において僕は八分の一ぐらいに低くして置い方が非常にいいと思う。
  16. 寺光忠

    法制局参事寺光忠君) この数字は非常に人為的の数字でありまして、これが当選人関係があるということよりも、非常に極端に得票数少い者当選人にしないというのですから、どこで押えるかということは、全く人為的のことだろうと思います。八分の一にせられようと、六分の一にせられようと、そこのところに理論その他において支障があるとか、ないとかというようなことはないと思います。
  17. 藤井新一

    藤井新一君 選挙精神から言うならば、足りない分の選挙を二度するということは不自然で、その意味からこれは低くして、八分の一ぐらいにして置く方が合理的と思う。
  18. 小串清一

    委員長小串清一君) 如何ですか。議事の進行上、先刻羽仁君からいろいろ御意見が出ておりますが、あれを皆さん一つ一つ決めて行きますか、今の藤井君の議論も出ておりますが、お諮りいたします。……それでは今何から御説明申上げた六分の一云々というのはまだ別に衆議院で決まつたというわけではないですから、参議院意見を決めて更に申込む。ですからここで皆さんに御意見を決めて頂きたいと思います。
  19. 大畠農夫雄

    大畠農夫雄君 仮に法定数に達しない者が、そのときの定員数に二人足らなければ二人だけの第二回選挙をやるのですか。
  20. 寺光忠

    法制局参事寺光忠君) 補欠選挙というものは四分の一に達しないとやれないものですから、全国区の場合で言えば十三人足らなかつたときにだけでございます。
  21. 藤井新一

    藤井新一君 寺光部長に聽きますが、この際補欠選挙として全国区の足りない二名も同時に選挙するのですか。
  22. 寺光忠

    法制局参事寺光忠君) さようでございます。
  23. 藤井新一

    藤井新一君 それはどういう……、十三名の欠がなくてもやれるという法があるのですか。
  24. 寺光忠

    法制局参事寺光忠君) あるのでございます。それは規定があるのでございます。
  25. 藤井新一

    藤井新一君 その場合に、例えば欠が五人あつた場合に五十五番目はどうなるのですか、五十番目までは六年議員で後五人が……
  26. 寺光忠

    法制局参事寺光忠君) この前の第一回選挙の場合と同様でございます。下の方から三年議員と申しますか、補欠議員になる。こういうことになるのです。
  27. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 今この法定得票数の問題が出ておりますが、これは今藤井さんからも話がありましたように、今度の全国区の選挙におきまして五十人が全国区であるけれども、そこに欠員がもう十人ぐらい三年議員に出ておりますから、それも同時に選挙をして、六十人ぐらいになることを覚悟して置かなきやならん。そうしますとどうも四分の一は勿論いかん、それから六分の一も或いは危なくないか、成るべく再選挙なんという煩わしいことを全国区に亘つてすることは好ましからんことですから、八分の一にしたところがここにもありますように七万六千票もとるのですから、だから現行法を改める必要がないのじやないかと私は思うのです。
  28. 柏木庫治

    柏木庫治君 全国区に関する限り絶対八分の一で……
  29. 藤井新一

    藤井新一君 賛成ですね。
  30. 小串清一

    委員長小串清一君) そういうふうにするのが皆さんの御意見ならばさよう決定してよろしうございますか。御異議ございませんか。    〔「異議なし」「賛成」と呼ぶ者あり〕
  31. 小串清一

    委員長小串清一君) それじやそのようにいたします。
  32. 島村軍次

    島村軍次君 理由の附加して置きますが、六分の一ということに変えるということは、これは八分の一そのものについても根拠がないかも知れんけれども、この際六分の一に変えるというようなことは、これは何にも根拠がないことですから、従前の八分の一というものはそのままとるべきだ、こういうことを附加して私は八分の一説に賛成いたします。
  33. 小串清一

    委員長小串清一君) 次に地方区についての御意見はどうですか。
  34. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 地方区は現在四分の一なんですね。だからそれを改める必要はないと思うのです。これは若し万一法定得票数を得なかつた人があつたらば、その県で、範囲が小さいですから再選挙もそれ程困難じやない。それでこの前やつたときにも再選挙なつたところは一つもないのですから、決選投票の場合は別ですけれども、これはだから現行の四分の一でよかろうと私は思います。これも変える根拠はないのではないかと思います。
  35. 藤井新一

    藤井新一君 今の意見賛成であります。
  36. 大畠農夫雄

    大畠農夫雄君 地方区の二人の定員の場合、一人が再選する。その一人の再選に対しての得票数というものは、その基準をどこに置くのですか。そのときもやはり四分の一ですか。
  37. 鈴木直人

    鈴木直人君 如何なる場合においても四分の一ですよ。
  38. 小串清一

    委員長小串清一君) いろいろ御発言がありましたが、それでは全国区のものは八分の一、それから地方区の方は四分の一ということで御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 小串清一

    委員長小串清一君) それじやこれはさように決定いたします。
  40. 藤井新一

    藤井新一君 先程の補欠するという條文は第何條ですか。
  41. 菊井三郎

    法制局参事菊井三郎君) それは現行法参議院議員選挙法の六十八條の第二項であります。
  42. 柏木庫治

    柏木庫治君 甚だ念を押すようでありますけれども、衆議院の人は実際全国区を知らないのでありますから、この前の選挙参考にするならば、四分の一も六分の一も再選挙を直ぐやらなければならないような危險がありますので、この際一つ絶対に讓らないで、押しで御説明願いたいと思います。
  43. 小串清一

    委員長小串清一君) それじやこの問題は済みましたが、次に先刻羽仁君から御提案になつておる問題を御審議願いたいと思います。
  44. 藤井新一

    藤井新一君 委員長が先程言われたように、第三者運動制限ということですが、衆議院の方ではどういうことを一体目標として行つておるのですか、その点をもう少し詳しく言つて頂きたい。
  45. 小串清一

    委員長小串清一君) お答えいたします。衆議院の方は今度のこの法律案によると、臨時特例法大部違つて第三者演説その他が自由になる。例を挙げて言うならば、演説会経費、提灯、立看板演説ビラというようなものを自由に貼ることができる。一方においては文書、図画の制限と、ポスター制限選挙運動は抑えられておるものを、第三者の方でそれを盛んにやることになると、片つ方の抑えた意味がなくなるのみならず、選挙運動に非常な経費が要ることになる。それ故にこれを適当に緩和したい。然らばどうするかということは、今日まで私の聞いたところではまだその成案は出ていないようです。ただ第三者運動をもう少し規制しなければ適当でないという意見が盛んなんです。それがために選挙法の、この公職選挙法案を至急決定をして国会に正式に提出するという相談が延びて、只今のところではまだいつ決定するか、ここ数日間いろいろ問題が衆議院にあると存じます。それ故にこちらでも皆さんの、この際に参議院としてもう一つ衆議院を抑えて行こうという、同意させて貰いたいというお考えのある問題につきましては、今日でもよくお決め下さると大変よいのじやないかと、かように考えております。  ちよつとお話しが戻りますが、寺光君から注意がありました沒收ですね、この沒收の率を変えなければいかんということですが、変えてよろしうございましようか。十分の一にするとか、八分の一にするとか、とにかく現行の五分の一では少し酷だと、こういうわけです。
  46. 寺光忠

    法制局参事寺光忠君) 衆議院案によりますと、四分の一に法得票数を上げました関係上、沒收率を五分の一にしておるのであります。それを現行法と同じように十分の一に下げますか、若しくは地方区については、例えば八分の一という程度にいたしますか、それらのところを衆議院に申入れる数字をお決め願いたいと思います。
  47. 柏木庫治

    柏木庫治君 僕は全国区、地方区共に八分の一を主張いたします。
  48. 寺光忠

    法制局参事寺光忠君) 全国区の法定得票が八分の一でございますので、沒收率はそれより少し下げて頂かないと、ちよつとおかしくはないかと思うのですが、法定得票を得ない者は全部沒收ということでは、今までの考え方ちよつと違つて参るのであります。
  49. 柏木庫治

    柏木庫治君 今までの考え方と違うのが選挙法改正なんです。だから私は全国区においては、落選した者は皆沒收されてよいと思います。そうしなければ、紙が沢山貰えるとか何とかいうことで、非常に濫立がありますから……
  50. 小串清一

    委員長小串清一君) それでは只今のはどういうふうにやりますか。
  51. 鈴木直人

    鈴木直人君 もう一つ、現在全国区は幾らになつて地方区幾らになり、衆議院はそれに対してどういうふうになつておるかということを、もう一度聞かせて頂きたい。現輝の沒收率全国区は幾らになつており、地方区幾らになつておるか、それに対して衆議院の案はどうなつておるか。それからこの前決めた参議院案はどうなつておるか、率を一つ
  52. 寺光忠

    法制局参事寺光忠君) 衆議院は、現行法法定得票が四分の一で、沒收率が五分の一でございます。そうして新らしい案もその通りでございます。それから全国区は、現行法法定得票が八分の一であつて沒收率は十分の一でございます。地方区は、法定得票が四分の一であつて沒收率は十分の一でございます。
  53. 鈴木直人

    鈴木直人君 それから、衆議院案はそれに変更を加えていますか。
  54. 寺光忠

    法制局参事寺光忠君) 衆議院の案は法定得票は三者を通じまして四分の一とし、沒收率は三者を通じまして五分の一としております。
  55. 鈴木直人

    鈴木直人君 それから、この前決定した参議院案はどうなつていましたか。
  56. 寺光忠

    法制局参事寺光忠君) 衆議院法定得票は四分の一、沒收率は五分の一であります。それから全国区は法定得票が八分の一であつて沒收率は十分の一、それから地方区法定得票が四分の一であつて沒收率は十分の一、こういうのでございます。
  57. 鈴木直人

    鈴木直人君 この前通り衆議院案も、参議院案も、沒收率は一致していますね。
  58. 寺光忠

    法制局参業(寺光忠君) 一致しておらないのであります。沒收率は、一律に向うのは五分の一になつております。
  59. 鈴木直人

    鈴木直人君 この前参議院のこの委員会決定した場合には、その沒收率を前提として、別に供託金を上げるというようなことが前提であつたように思いますがね。供託金を五万円でしたか、四万円でしたか、上げると、そういうことを前提として沒收率を決めたように思いますがね。
  60. 寺光忠

    法制局参事寺光忠君) こちらの案は、供託金を五万円にする、そういうことになつております。
  61. 鈴木直人

    鈴木直人君 そうして、納付金の二万円はなくす。衆議院は納付金の二万円を認めておる。こういうことであつて参議院の我々の委員会においては、全部供託金にしておる。五万円供託金にして、そうして供託する。その代り沒收するのを少くしよう、少し下げようと、こういうふうにこの前話したような感じがするのです。
  62. 柏木庫治

    柏木庫治君 それはそうでありましたが、その方は衆議院に同調しまして、供託の方は五万円にして、二万円だけは……
  63. 鈴木直人

    鈴木直人君 二万円だけは納めると、やはり沒收と同じようなことにしてしまうと、二万円というものは当選しても取返しがつかないというのが衆議院の案だから、それに讓つたわけだ。そこで、五万円だけ供託にして、当選したならば五万円全部貰えるという案が参議院の案であつたのが、二万円はとにかく当選しても納めつきりである、従つて三万円は当選した者は沒收されない。そこで沒收率をどうするかということが、この前参議院で決つたのと別な観点から検討する必要が出て来ると、こういうふうに思うのですね。そこで、衆議院沒收率が五分の一になつておる。だから問題は、参議院の方面を……衆議院が五分の一というのを、参議院は十分の一と言う。それをどちらを採るかというところに出て来ておるわけだと思うのですがね。
  64. 寺光忠

    ○法制仕参事(寺光忠君) 先程の決定得票を全国区について八分の一とお決めになりますれば、沒收率が五分の一では、これは明らかにおかしいのでありまして、少くとも八分の一若しくは八分の一以下にせられませんと、これはもうおかしいのであります。
  65. 藤井新一

    藤井新一君 柏木委員から八分の一ということを申されたが、私は現行法のように、全国区は十分の一にして、地方区、小さい県もございましようから、やはり沒收率は五分の一と衆議院並にした方がよいように思うのですが、その点は如何ですかね。例えば、この前の二十四回衆議院選挙においては、衆議院は、十五万二千で当選沒收の方は十二万二千になつておりますが、三万くらいの差があれば私は丁度よいと思うのです。そういう観点から見れば、衆議院沒收率の五分の一と同じように地方区もやつて行けば合理的だと思うのです。    〔「異議なし」「賛成」と呼ぶ者あり〕
  66. 鈴木直人

    鈴木直人君 地方区はそれでよいですが、全国区はどうしますか。
  67. 柏木庫治

    柏木庫治君 全国区は十分の一。
  68. 鈴木直人

    鈴木直人君 衆議院案は五分の一ですね。
  69. 大畠農夫雄

    大畠農夫雄君 地方区は五分の一、全国は十分の一、この沒收についての差別はどういうわけですか。
  70. 寺光忠

    法制局参事寺光忠君) 只今のは、どなたかの御提案に対する大畠さんの御質問なんでございますが、全国区の法定得票を八分の一とし、地方区を四分の一ということにお決めになりますれば、全国区の方の沒收率は八分の一に対して十分の一、地方区の方は四分の一に対して五分の一程度でよいのではないかと、こういうふうに藤井さんが御提案になつたのじやないかと思います。
  71. 大畠農夫雄

    大畠農夫雄君 数字上それがいいというだけで根拠はない……
  72. 小串清一

    委員長小串清一君) それじやどれに決めますか。いろいろのお説が出ておりますが……。こちらの法制局の方で言われてのが何ならそれにお決めになつたらいいじやないのですか。
  73. 大畠農夫雄

    大畠農夫雄君 沒收を両方とも十分の一にして、それで地方区法定得票数を、ま恒をやはり六分の一くらいまで上げて頂く必要がある。地方区は……
  74. 鈴木直人

    鈴木直人君 この選挙改正案は相当進んでおつて衆議院参議院との協議も一回やつたようなわけで、結論に到達するようなことになるから、成るたけ両方の話合がつくようなことも考えて行かないと、いつまでも延びてしまうことになるので、やはりさつきお話したように全国が八分の一、地方区が四分の一、衆議院は四分の一ということに、法定得票数は決めて、それから今の沒收率全国は十分の一、地方区は五分の一、衆議院は五分の一という程度行つたらどうでしよう。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  75. 小串清一

    委員長小串清一君) それじやそういうふうに決定をいたします。
  76. 大畠農夫雄

    大畠農夫雄君 地方区は問題ですよ、衆議院の方で言えば六分の二になつたのですから……    〔「四分の一」と呼ぶ者あり〕
  77. 小串清一

    委員長小串清一君) 六分の一なら追つつくだろどういうことで、まだそう決めたんじやい。
  78. 鈴木直人

    鈴木直人君 さつき法定得票数衆議院は四分の一でしよう。そう決つたんでしよう。
  79. 小串清一

    委員長小串清一君) それは決つておる。
  80. 鈴木直人

    鈴木直人君 そうしますとると、沒收率も五分の一、両方とも五分の一という案がいいじやいか。    〔「鈴木委員に賛成」と呼ぶ者あり〕
  81. 小串清一

    委員長小串清一君) 大畠さん御意見ありませんか。
  82. 大畠農夫雄

    大畠農夫雄君 衆議院と協定の上、六分の一になつた場合には十分の一……
  83. 寺光忠

    法制局参事寺光忠君) 六分の一の申入れはいないで、四分の一というふうに只今お決めになりましたのですが……
  84. 大畠農夫雄

    大畠農夫雄君 それジやいい。
  85. 小串清一

    委員長小串清一君) 六分の一というのは、衆議院の方からそういうことを言つて……
  86. 鈴木直人

    鈴木直人君 衆議院と今後折衝するのは全国だけですね。
  87. 小串清一

    委員長小串清一君) そうなんです。只今の鈴木さんの御意見のようにして、折衝することにいたします。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  88. 小串清一

    委員長小串清一君) それじやこのお話はこれで済みました。
  89. 藤井新一

    藤井新一君 羽仁委員の言われたように、県知事とか市長が権勢を利用するということがあるのであすりま。これは私はここで決めても司令部の方がなかなか「うん」と言わないような気がしますので、そこど県知事と市長はその県以外のところで或いは市長なら在職した市以外のところで立候補する。こういうことにすれば司令部もオーケーと言うだけれども……
  90. 小串清一

    委員長小串清一君) ちよつと藤井さんの発言ですが、今おつしやるようになつている……
  91. 鈴木直人

    鈴木直人君 今藤井さんの発言は内容は同じであるけれども、指定の仕方が立候補してはいけないということではなく、立候補する場合にはこれこれを除いた所で立候補するというような言い廻しをしたら、よかろうじやないかということではないかと思います。
  92. 藤井新一

    藤井新一君 そうです。
  93. 小串清一

    委員長小串清一君) ちよつと申上げて置きますが、衆議院の方でもそういうことを言つて、その投票が何か無効になるようなことを考えられるとよろしい、こういうことを衆議院の方でも言つている。だから藤井さんの御意見と同じようなことを言つておる。ではこれはやはり衆議院へ更に折衝する。そうでなければ修正するという御決意でありますか。
  94. 柏木庫治

    柏木庫治君 今の当選者の……
  95. 小串清一

    委員長小串清一君) いや知事や市長の立候補制限、それならまだ折衝中なんですから……
  96. 鈴木直人

    鈴木直人君 その方針で行きましよう。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  97. 太田敏兄

    ○太田敏兄君 今の知事或いは官吏にしてもですね、その権勢が直接及ぶ範囲、濫用の危險がある範囲を制限するという意味で、衆議院も大体その趣旨に賛成しておるから、その方向で極力委員長手許で折衝せられるというふうにしたら……
  98. 小串清一

    委員長小串清一君) 皆さんの御意見もそのようでありますから、若し衆議院が容れなければ正式に修正案を出すまでのお考えで、更にその條文については法制局の方に頼んで御研究願つたらいいと思いますが。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  99. 小串清一

    委員長小串清一君) それじやそう決めます。
  100. 大畠農夫雄

    大畠農夫雄君 さつき法定数の問題が決つたようですが、ちよつと私の感違いですけれども、もう一遍皆さんの御賛成を得たいと思うことは、全国区が八分の一でありますと七万六千で当選してしまう。ところが地方区を四分の一にすることの全国区の当選率より相当票を沢山取らなければ当選しないという矛盾が出て来る。何のために全国区より地方区が多くの票を取らなければ当選しないということになるのか、その意味が分らないようになつて来るから、やはり六分の一にしなければ……
  101. 小串清一

    委員長小串清一君) ちよつと大畠君に申上げますが、地方区衆議院と同じ選挙区の県が多いのです。それで衆議院と異なつたものをやるということは、ちよつと衆議院の方で了解がむずかしかろうと思う。それでさつき鈴木さんの御注意もありまして、一県一区のところが沢山あつて衆議院はそれでやつているのですから、それをこちらの方だけは特殊の方法でやると言うのは、お話がむずかしくはないかと思います。
  102. 大畠農夫雄

    大畠農夫雄君 私は茨城県ですが、茨城県の選挙を見ましてもですよ、四分の一にしますと、八万四千六百取らなければ当選しない。ところが全国区は七万六千で当選しちまうのです。茨城県の数は余り多い方じやない。にも拘わらず全国区よりも多く取らなければ当選しないというは矛盾が出て来る。
  103. 寺光忠

    法制局参事寺光忠君) 只今までの御審議で、法制局として了解しておりますのは、全国区は選挙のやり直しが大変であるから、法定得票数を下げて置く。地方区においては万々一法定得票数に足らない事態ができても選挙をやり直すことは、全国区程むずかしくないということから、御決定なつたものと了解しておるのです。それで法定得票数全国区と比べて、只今大畠さんの言われたような数になつて来ることは、これはもうその通りです。
  104. 大畠農夫雄

    大畠農夫雄君 それは今の部長の言われることはこれは手数の問題、手数が掛けるからというわけで、投票地方区全国区に比べて沢山取らなければ当選しないという理由はないと思う。
  105. 小串清一

    委員長小串清一君) これは失礼ですけれども、衆議院が同意しても同意しなくてもやろうというのか、或いは衆議院が同意しそいもない場合も強くやるというような鈴木さんの御発言がありましたが、やつぱりちよつと困難じやないかと思うのですが、衆議院の方に同じ一県一選挙区のところが沢山あるのです。それで、衆議院が決めて来たのですが、参議院の方はそれじやないということは、ちよつと交渉は困難だと思うのですが、併しこれは皆さんの御意見でいずれも……
  106. 柏木庫治

    柏木庫治君 私は衆議院案賛成です。その点は……
  107. 太田敏兄

    ○太田敏兄君 それじや委員長の方で、大畠君のおつしやつた意見をですね、御尤もだと思うから、大畠君の意見を含ました上で折衝せられるというふうにして頂いたら……
  108. 小串清一

    委員長小串清一君) 心得ました。それはこういう意見もあるから成るべく緩和して呉れないか。大体において参議院意見は成るべく緩和して貰いたい。こういう御趣意のように拜聽しておりますが、ただ皆さんの方の御決定をしていないと、折衝も困難だろうと思いまして……、では大体は皆さんの御意見も決まりましたし、尚大畠さんの御意見もあるのですから、それを参考にして……
  109. 鈴木直人

    鈴木直人君 大畠さんの御意見は、六分の一ということを主張して、そうしてそれに衆議院が同意したならばよいが、同意しなかつたならば止むを得ず四分の一で衆議院案に同調するということであるか。或いは四分の一ということを衆議院決定した案として、併し六分の一というまあ声もあるということで、主張しようとしておられるのですか。
  110. 大畠農夫雄

    大畠農夫雄君 それは六分の一を最初に主張いたしまして、できなければ四分の一でも仕方がないというふうに考えます。
  111. 小串清一

    委員長小串清一君) それでよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  112. 小串清一

    委員長小串清一君) ではさよう了承いたします。
  113. 太田敏兄

    ○太田敏兄君 次の羽仁君がおつしやつた話ですが、教育者の問題ですが、これはこの間衆議院との合同委員会のときにも大体衆議院側考えも、未成年の学生若しくは生徒を選挙に動員するということは弊害があるということに重点があつたようなのです。従つて若しもそういう年齢に拘わらずただ教育者ということに重点を置くと、そういう最初の立法の趣旨にも全然遠ざかつて来るような感があるのですが、やはりこれは未成年者ということに重点を置き、そうして少くとも法文においてもそういうふうに主張する。そういう主張になれば衆議院の方でも大体この間の空気では同調すると思いますが、そういう案で進めて頂きたいと思います。
  114. 藤井新一

    藤井新一君 あの中に兒童、生徒、学生と、こう三つの言葉を使つておりますが、一体兒童は子供で、生徒は二十歳未満、学生というのは二十歳以上のように私は見るのですが、大学生が政治に関與してはいけないということになると、憲法上の自由を束縛するのだから、学生というのを取つてしまつたらと思うのですが、その点は如何ですか。
  115. 太田敏兄

    ○太田敏兄君 藤井君の言われたことも御尤もですが、大体兒童というものは御承知のように小学校で、中学校、高等学校は生徒、大体生徒というのは未成年者ということになれば……、例えば新制大学になると未成年者でも学生になることがあるのだから、何かやはり未成年ということでお区切りになつたらいいだろうと思う。殊に教育程度が下ということで制限するということになると、教育程度の高い者は未成年でもいいということになるから、やはり満二十歳というふうに、成年か未成年かで区切りをつけた方がいいと思うのです。
  116. 藤井新一

    藤井新一君 そういうことを言うけれども、衆議院賛成しそうもないから……
  117. 小串清一

    委員長小串清一君) 今のお話を又私から申上げるのは何ですが、第百五十五條に、何人も、教育上特殊の関係ある地位を利用して、学校の兒童、生徒及び学生で年齢二十年未満の者に対して選挙運動をし又はさせることができない。これが参議院意見なんですが、それで衆議院の方と折衝するのですが、衆議院はこれを教育者に限つて置き、そうして片方は年齢二十年ではないのです。つまり、衆議院の方は「教育者(学校教育法——昭和二十二年法律第二十六号——に規定する学校の長及び教員をいう)は、学校の兒童、生徒及び学生に対する教育上の地位を利用して選挙運動をすることがでない。」こうあるのですが、これはこちらの方が進歩をしているということを言つたのですが、この間皆さんお聞きのように、何人を問わずということはひどいということを向うでは非常に言つておりました。そうしてPTAのようなものまで抑えつけてしまうからと言つているのです。とにかく皆さんの御意見を、参議院案を以てもう一応言えば、これは年齢二十年未満ということはこつちの方が本当に正しいのですし、学生はどうしても未成年の学生がありますから、未成年の者は無論いけないが、年齢二十年以上の者に対しては選挙運動をし、又はさせても差支ないというこつちの意見がいいと思うのです。これは衆議院の方に是非その意味で交渉して……(「異議なし」と呼ぶ者あり)それではさよう御了承願います。  それから第三の羽仁さんの方の、主としてという問題、あれも御異議ないと思いますが……    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  118. 小串清一

    委員長小串清一君) もう一つ羽仁さんから言われたのは新聞の問題ですが、あれを又改めて向うへ申込みますか。
  119. 太田敏兄

    ○太田敏兄君 あれはこの前やはり合同委員会のときに話が出まして、羽仁君説明しましたね。あのときに問題となつたのですから、できればああいうふうに……
  120. 小串清一

    委員長小串清一君) ところがあれは、こちらの委員の意見をまだ確かめてないのですが、皆さんの御意見を問うてないので、あれはあの場の羽仁さんの御意見ですから、一応皆さんで御検討願う必要があると思うのです。
  121. 柏木庫治

    柏木庫治君 慮僞の宣伝をする云々罰則羽仁君の意見としては、そういうことをせない朝日新聞とか、大きな新聞では不快に思う。こういうことでありますが、これは慮僞の宣伝をせない新聞であるならば、どんな大きい罰則があつてもむしろ権威づけるものであると思うのです。だからこれは非常に大きい問題ですから、一つ正式にもつと意見を闘わして申入けることにいたされたいと思いますね。
  122. 藤井新一

    藤井新一君 柏木委員の意見賛成だ。
  123. 小串清一

    委員長小串清一君) ちよつと私から申上げます。この問題は皆さんにもうすでに何しましたが、もう兵遍これを読んで見ます。つまり例の選挙法には、新聞紙の報道及び評論の自由というようにあつたのを、今度は「新聞紙、雑誌の報道及び評論等の自由」という見出しにしまして、衆議院の方は「第百四十八條、この法律に定めるところの選挙運動制限に関する規定は、新聞紙又は雑誌が、選挙に関し、報道及び評論を掲載するの自由を妨げるものではない。但し、虚僞の事項を記載し又は報道記事について事実を歪曲する等表現の自由を濫用して選挙の公正を害してはならない。2、新聞紙又は雑誌の販売を業とするものは、前項に規定する新聞紙又は雑誌を、通常の方法で頒布し又は選挙管理委員会において指定する場所に掲示することができる。」こういうふうに第百四十八條を衆議院の原案は改めたわけであります。それで改めたことにつきまして、一月二十三日のGHQのホイツトニー民政局長の談にこういうことを言つているのです。委員会新聞の代表者と会合して、新聞の自由の保障のために談合されたことを知つている。そういう処置をされたことは称讃に値する。提案されている法案の欠点について、関係者の意見を聽く機会を作つたことは法律家として称讃に値することである。こういう意味のことを言つたいる。これは新聞協会と衆議院選挙委員長との談合でできた案である。それをこういうふうにホイツトニー氏が言つておられますから、これは刑法の規定によつてやるから、こんなものは全部取つてしまえというあれではないと思うのでございます。それでやはり衆議院の方に又一つ面倒な問題を持込まないで、これはどうだろうか、これは皆さん討議に干渉はしませんが、もう一応経過の御報告を申上げて御参考にいたします。
  124. 鈴木直人

    鈴木直人君 それに対して羽仁君はどういう意見を言われたのですか。
  125. 小串清一

    委員長小串清一君) それはこの法案全部、こういう條文は要らんという……。だがあの言葉の中には但書がよくないということを言われているので、報道の自由を妨げるものではないだけにしてしまえば羽仁君と同じでしよう。
  126. 鈴木直人

    鈴木直人君 私はこの案がいいと思います。そうして但書は他の方でやろうとすればやることができるのですが、併しながら選挙期間中に、すべての選挙法に対するところの違反事件その他のものは適当に行うべきものであつて選挙が終つて後に、違反を摘発しても余り効果がないということもありますし、選挙期間中においてなすべきことを明らかにして置く必要があるから、これは但書を作つて置くことの方が公正の原則には合うのであるし、殊にこういう公聽選挙法というような特別立法を立法する限りにおいては、非常に公正を害しそうな行為に対しては、実は他の一般法令にあることでも、重複する嫌いがあつても必要があるならば、やつてもいいと思うくらいでありますから、私はこの案がいいと思つております。
  127. 小串清一

    委員長小串清一君) 大体鈴木さんの案でよろしうございますか。これは実は余り問題を多くしないためから言うと殆んど動かす余地がないのです。只今参考に申上げましたようにホイットニー民政局長の方から、ああいう発言があるからこれは問題にしない方がいいと思います。
  128. 鈴木直人

    鈴木直人君 私はそういう客観的な事実もそうであるけれども、これは選挙の公正ということを確保する上において、この規定があつた方がいいとこう思います。
  129. 小串清一

    委員長小串清一君) それではさように決定いたします。  今日はこの程度で、皆さんがお決めになりました問題は、改めて尚衆議院の方と折衝いたします。その結果は次の委員会に御報告申上げます。
  130. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 この前に衆議院公職選挙法案と、こちらで作つた選挙法改正に関する意見と違つた主な点の表を貰つたのですが、その後こういうふうに又こういうことがはつきりしたとか、何とかいうことがあればできれば大事なところで違つている点をもう一遍表にして皆さんに再認識願つた方がいいのではないか。この前貰つたのは極く僅かだつたが、気が付いて見ると大分外にもあると思う。我々の考えていることで取上げられてないで、これはもう一遍検討したらいいのではないかというようなことがあるのです。この公職選挙法案の中にあなた方法制局の方でも、それ程にお感じになつていないかも知れませんが、我々の方の案の方がいいじやないかと思つておるところもあるので、もう少し細かく異同を表にして貰いたいと思います。
  131. 寺光忠

    法制局参事寺光忠君) そうしますと、全文について上欄に衆議院案を挙げて、その下に参議院案を列べるという程度にいたしませんと御期待のようなものができ上りねるかと思います。ただその後衆議院委員会を開くごとに私達の気が付かないうちに改正を加えております。そういう点の見落しができるのです。今大体お手許にあるようなその案が、大体確定案に近いものでありますから、それによつて参衆両法案の対照表と申しますか、條文番号を列べただけではお分りにくいだろうと思いますので、條文ごとに分けてやるといたしますれば、そこで比較願うということであれば、その通りにいたしてもよろしゆうございます。
  132. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 これは大変な手数ですから、全條文を挙げて比較する必要はないと思います。だから余程違つたところのものを挙げて貰えばよかろうと思います。全條文を挙げた方が簡單ならば尚結構です。
  133. 鈴木直人

    鈴木直人君 それに関連して実はこれは参議院にも衆議院にも特別委員会ができまして、そうして衆議院衆議院参議院参議院、こういう案ができて條文も皆違つておるけれども内容は同じようなことであろうと思います。併しながらこれは今後正式に、今調査の段階にあるけれども、これが今後審議の段階になつた場合に衆議院から廻されて来たものがいわゆる原案となり、或いは予備審査というような形で行く場合には、衆議院から衆議院に提出されたようなものが予備審査として廻つて来ると思います。そうしますと衆議院の立案された原案が審査の対象になつてしまうと、参議院において調査したものがいわゆる参考案のようなことになつて来ます。その際にこの参考案というものを参考として参議院において審議するということになる。その際にも今岡本君が言われたようにどこが一体合つておるか、いないかということを対照して置く必要があると思います。
  134. 小串清一

    委員長小串清一君) 只今の岡本、鈴木委員のお話はその通りでありまして、どうせ本当に予備審査になりましてやるときになれば、どうしても向うでもぽつりぽつり実際これをいじる。ですから本当に細かに條文を比較して仮名遣いでも穏当でないものを直すということもあるし、どうしてもそういう部分的な折衝は、それで完璧で、正式の委員会付託になつた原案はそのまま異議なく決定という段取りには行かないのじやないかと思います。而して今御注意になりました点は、はつきりしておるような先刻のお話の、法定得票数の四分の一とか八分の一とかいうようなものは、分るだけのことは事務当局で調べて貰いまして、参考に出して貰うことは必要だろうと思います。その意味事務当局でお気付きのはつきりしたものを書き出して、條を挙げれば文章を挙げなくてもこの点は違つておる、第何條はここが違つておる、ここが違つておるということを事務当局でお調べできたらやつて貰う、この程度でどうです。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  135. 小串清一

    委員長小串清一君) それではさように決定いたします。  それでは今日はこれで閉会いたします。    午後零時一分散会  出席者は左の通り。    委員長     小串 清一君    理事            鈴木 直人君            羽仁 五郎君    委員            大畠農夫雄君            姫井 伊介君            中川 幸平君            藤井 新一君            飯田精太郎君            岡本 愛祐君            柏木 庫治君            西郷吉之助君            島村 軍次君            宿谷 榮一君            太田 敏兄君   法務局側    参     事    (第二部長)  寺光  忠君    参     事    (第二部第一課    長)      菊井 三郎君