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1950-04-28 第7回国会 参議院 水産委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月二十八日(金曜日)    午前十時四十三分開会   —————————————   委員の異動 四月二十六日 委員西山龜七君辞任に つき、その補欠として徳川頼貞君を議 長において、指名した。 四月二十八日 委員徳川頼貞辞任に つき、その補欠として西山龜七君を議 長において指名した。   —————————————   本日の会議に付した事件 ○漁業法の一部を改正する法律案(衆  議院提出)  (右法案に関し証人証言あり)
  2. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 只今から水産委員会を開会いたします。  本日は漁業法の一部改正法律案に対しまして証人証言を求めたいと存じます。只今から証人宣誓をお願いいたします。全部起立を願います……順次お願いいたします。    〔総員起立証人は次のように宣誓を行なつた〕     宣誓書  良心従つて真実を述べ、何事かくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 成川善太郎     宣誓書  良心従つて真実を述べ、何事かくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 宮崎善吉     宣誓書  良心従つて真実を述べ、何事かくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 濱田邦美     宣誓書  良心従つて真実を述べ、何事かくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 三浦清太郎     宣誓書  良心従つて真実を述べ、何事かくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 溝淵 態雄     宣誓書  良心従つて真実を述べ、何事かくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 永井寛次
  3. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 御着席願います。これから順次証人証言を求めます。発言時間は十五分以内にお願いいたしたいと思つております。
  4. 千田正

    千田正君 証人宣誓が終りましたら証人に対して委員長法律的な指示を与えるのが至当だと思いますが……
  5. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 承知いたしました。一応証人に対して御注意をいたします。この証言法律によりまして今宣誓されたように偽らず当り前のことを述べろということを誓いましたが、これは若し違つたことを述べ又は偽つたことを申しました場合には法律によつて処罰を受けることになつておりますからさよう御承知願います。証人発言時間は十五分以内に願います。尚証人証言が一応済みましてから各委員の御質問なり御発言をお願いいたしたいと思います。
  6. 千田正

    千田正君 委員長只今の御注意の中に更に多少補足する点があると思います。というのは、勿論真実を述べるのでありまするが、間違つたことを言うてはならないと同時に、証人みずからは自己不利益になる場合において、及び一等親その他尊属に関して不利益のある場合には敢て証言しなくてもよろしいという明文がある筈であります。その点を一応御注意願いたいと思います。
  7. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 只今千田委員から発言がありましたように、実は規則十分証人は御承知であるという前提の下に私は簡単に申しましたが、法律の第四條を一応私が朗読いたします。「証人民事訴訟法第二百八十條(第三号の場合を除く。)及び第二百八十一條(第一項第一号及び第三号の場合を除く。)の規定に該当する場合に限り、宣誓又は証言若しくは書類の提出を拒むことができる。)とこうありますが、この二百八十條と申しますのは、これは大体自分の親戚に当るものとか、自分が特に今まで使用されておるものとかいうような特殊の関係のあるものに対する証言はこれは拒んでもよろしいという、こういうような條項であります。  それから又この証言の結果が著しく自己不利益の場合は証言を拒むことができるという條項が、今例外として述べました箇條でありますからさよう御承知を願います。  それでは和歌山県箕島町漁業協同組合長成川善太郎君から御証言を願います。
  8. 永井寛次

    証人永井寛次君) ちよつとその前に発言をお許し願いたいと思います。
  9. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) どうぞ。
  10. 永井寛次

    証人永井寛次君) 出頭を求める通知には漁業法の一部を改正する法律案についての証言を求めるということなんですが、漁業法の一部を改正する法律案というのはどういう範囲で私共は証言していいか、まだ具体的にお承わりしてないのでありますが、一応証言を求めるまでの御経過というようなものを聞かして頂ければ仕合せと思います。
  11. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) それでは申上げます。もう法律は十分御承知と思いますが、この法律は今まで瀬戸内海地区であつたものから紀伊水道分離して別な漁業調整委員会を作るというのがこの漁業法の一部改正法律法の骨子であります。それで瀬戸内海から紀伊水道分離することの善し惡し、この法律改正することの善し惡しに対する証言をお願いすることが今日の証言であります。これはこの法律そのものがそういうふうな改正でありますから、その改正することに対する賛成反対かはつきりお願いいたしたいと思います。
  12. 成川善太郎

    証人成川善太郎君) 私は和歌山県の漁業関係者でありまするが、本問題に関しましては過般衆議院におきまして先月の十四日と心得ておりますが、その席上においていろいろと議論を尽されておるのでありますが、私共本日ここで細かく申上げますると大変時間をとりまするし、また無駄も出ると思いますので、この問題は分離すべし、即ち衆議院で可決された内容を以てこれを行うことが今後の漁業振興の上において絶対必要であるという考えを持つておるものであります。それに対する理由といたしましては、今日まで沢山和歌山県及び徳島県から陳情書を出しておりまするし、またしばしば、私共こちらの方に参りましてお話も申上げておるのでありまするから、この際時間の節約上省かして頂きまして、結論といたしましては衆議院において可決された案によつてお進みを願いたい。こういう考え方であります。さよう御承知を願います。
  13. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 次は和歌山加太漁業組合長宮崎善吉君にお願いいたします。
  14. 宮崎善吉

    証人宮崎善吉君) 私は和歌山加太漁業組合長宮崎と申します。私は和歌山県の北端の漁業組合の一員でありますが、和歌山県において瀬戸内海分離問題についていろいろ協議があつて熱心なる運動をやつたということは、我々後日において成川氏により承つたものであります。従つて我々加太漁業組合員代表者としての、私の真実良心に誓つたことを一言ここで申したいと思います。大阪湾咽喉部にあつて、ただ一零細漁民の持つ加太漁業組合では全部挙つて瀬戸内海の方に編入してよいという意向もありましたが、我々零細漁民、一組合がそう考えても県全体が挙つて反対をする立場にある関係上、我々一本的漁業者立場がどこにあるかということにつきましては、私日夜漁民県両方の板挟みとなりまして、自分がどうしてよかろうかということは日々頭を悩ますものであります。ただ私昨晩もいろいろ考えた結果、漁民への申訳け、県への申訳けということに対しては、機船底曳網兵庫県由良町、又は大阪府、この二県によつて我が地先権を侵害されるということについて、今後とも委員各位、又は県当局者のお力によつて嚴重なる取締をして頂きまして、私共一組合員瀬戸内海であろうと、紀伊水道特別海区になろうとただ無関心ということで進みたいと現在では私思つておるのです。ただ機船底曳網を撲滅さすということは私の念願にして止まない次第であります。又尚附加えて委員長殿以下各委員の方にお願いするのは、罰則をもつと重くやつて貰いたい。現在の改善した三ケ月以下というような罰則を、懲役何年というような罰則にして欲しいと私はお願いいたします。
  15. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 次に徳島漁業協同組合連合会長濱田邦美君にお願いします。
  16. 濱田邦美

    証人濱田邦美君) 私は徳島漁業協同組合連合会長濱田邦美でございます。  徳島県といたしましては瀬戸内海のうちより紀伊水道分離いたしまして、紀伊水道兵庫県、和歌山県、徳島県の三県と、主務大臣の選定するものより構成される紀伊水道連合海漁業調整委員会を常置することを切望いたします。瀬戸内海連合海漁業調整委員会紀伊水道連合海漁業調査委員会は共に同様の立場に立ちまして、繁殖保護の相互の調和を図ることをいたしたいと存じます。それにつきましては、理由といたしましては、先般来から陳情再々参つておりますが、水深或いは風浪その他潮流の関係、又入会関係にいたしましても、瀬戸内海のごとく複雑化しておりません関係上、自然に我々漁民の昔からの漁法といたしましても、或いは漁船にいたしましても、相当瀬戸内海とその様式を異にしておるわけであります。この相当違つております状態におきまして、紀伊水道とこの瀬戸内海同一委員会の下にこの調整をされるということは、我々徳島県の関係漁民といたしましては、非常に不満であります。その資源保持上から申しまして、関係の他府県の方々から資源保持についていろいろ臆測をされておるようでございますけれども、徳島県といたしましては、全県下この違反漁業に対しましては反対をしておるのでありまして、約一年程前からこの終戦後のどさくさにおいて発生いたしました違反漁業の問題を取上げまして、いろいろと方法を講じて来たわけでありまして、昨年の十二月の二十二日におきましても私達水産関係者でこれらの違反漁業の撲滅に対しましても、相当議論を尽しておつたわけでありまして、全県下が一本になつてこの海区の問題をしていないというような説もございますけれども、それはこの新らしい漁業法の施行に当りまして、県御当局からのこの類似船に対しての説明を各漁民誤解いたしまして、類似漁船はやれるのだという先入感を持つてつたわけであります。それでこの違反漁業海区が分離すれば違反漁業がやれるというふうに誤解をしております関係上、そういうように判断をされた方もあると思いますけれども、徳島漁民は、この違反漁業に対しては全部が反対でありまして、この漁区問題と違反漁業とを何か同一にして考えておられるように思うのであります。それと徳島県の一つの問題としまして、一番北にあります北灘村でございますが、これが隣県の香川県と相隣り合しておりますこの入会関係につきまして、非常に複雑をしておるわけであります。この北灘は、半年は打瀬漁業紀伊水道に参る関係上、又私達この紀伊水道関係者とも密接な関係があります関係上、この北灘村だけがどつちについてよいか分らん、半分は紀伊水道、半分は香川県の方と密接な関係がある関係上、そういうふうな態度がはつきりされないという状態に立至つておるわけであります。徳島県人としまして、北灘はどのような事態になるとも北灘入会関係は、われわれ紀伊水道関係の者は、今まで通りこれを認めようというところの私達漁業関係者一つ意思をまあ表明しておるわけでございます。それともう一つ、この瀬戸内海漁獲が少なくなり、又紀伊水道漁獲高が非常に減つて参りましたのですけれども、この紀伊水道のみにおいて瀬戸内海漁獲が云々されるという点に対しましては、これは一方に偏しておると考えるわけでありまして、紀伊水道におきましても、非常に漁獲高が減少しておることを、非常に心配しておるわけであります。で、私達はこの漁族保持に対しましては、同一調整事務局において調整されることは、何ら至難でない。私達の意思は決してこの紀伊水道におきまして、無茶苦茶にここで魚を獲るということは、絶対に考えておらないのでありまして、私が上京いたしまする日に、その違反漁業をやつております関係の方と、私と、それと副会長二名を合せまして、これらの問題につきまして相当深く考えたわけでありまして、只今私達が考えておりますもので転向できるもの、転向できざるものにつきましても、今調査を進めておるようなわけでございます。要するに。私はこの問題は、紀伊水道に面するところの漁業者が一本にいたしまして、瀬戸内海一本にいたしまして、取締規則事情によつて変えて貰えるか貰えないかという一つと、それと私達紀伊水道のこの海区に漁業を以て生計を営む者が、この漁業事情によつて変えて貰えるか貰えないかという一つと、それと私達紀伊水道のこの海区に漁業を以て生計を営む者が、この漁業事情によりますところに基いて、私達紀伊水道自主性というか、そういうものを認めて貰えるか、貰えないかというこの二つにかかつておると、私は考えるのであります。これを解釈のしようによりましては、只今漁業調整委員会の運用によつて、これはされるという方もあるとは存じますけれども、私達といたしましては、相当この瀬戸内海紀伊水道とは昔からの漁法、或いは漁船、或いは経済上におきして、相当違つておると断定しておるわけでありまして、最後的になりますと、いろいろと政治的にこれが動くことになりますので、私達といたしましてはこれだけ違つておる海区は、どうしても分けて頂いて、それを同等の立場に立つて漁族保護方法に協力いたしまして、最後の公平なる断案は主務大臣に御決定して頂くように、我々漁民自主性を認めて頂いたならば結構と存じておりますので、何とぞこの衆議院におきまして修正可決になりましたこの修正案を、参議院におきましても御通過下さいますように切にお願い申しあげる次第であります。
  17. 木下辰雄

  18. 三浦清太郎

    証人三浦清太郎君) 私の県は修正案には絶対反対であります。紀伊水道瀬戸内海より分離して、瀬戸内海漁業取締規則の覊絆より離脱したいという和歌山及び徳島両県に対しまして、内海側の一府七県は挙つて反対しているものでありますが、本問題の発端並びに経過については詳細承知している者の一人といたしまして、ここに大要を開陳いたしたく存じます。今日まで和歌山徳島両県が紀伊水道内海より分離独立すべきだと主張する理由が、所により、又時によつて変転いたしまして、真の理由とするところが奈辺にあるか判断に苦しむ現況にあることを申上げ、併せて、紀伊水道瀬戸内海より分離することの不当なるゆえんを申上げたい所存であります。  話は少し旧聞に属しますが、終戦後の昭和二十一年の春、瀬戸内海水産連合会理事会兵庫県有馬町で開催いたしたことがあるのであります。そのとき和歌山県の当時の水産業会長であつた千田氏より、紀伊水道瀬戸内海より分離して欲しいという提案があつたのであります。ところが参集の各府県はこの提案に対して全部反対でありましたので、千田氏もこの提案を撤回いたされたのでありますが、提案理由として、私が今日でも明らかに記憶いたしておるところの分離理由は、次のようなものであつたのであります。即ち現在では甚だしい食糧難のために増産こそ最も切実にして、而も緊急を要する問題であるので、漁獲増産を図りたい、このために外海として紀伊水道分離独立を希望するというのであつたのであります。この話を聴きましたとき、私は問題の余りに重大なのにいたく驚きますと共に、和歌山県側における今後の動向を推察いたしまして、紀伊水道内海より分離することは、瀬戸内海全体の資源を枯渇せしめるから絶対反対である旨の陳情書内海府県関係者と共に水産局長宛提出したような次第でありました。ところが一方和歌山県側におきましては、機船底曳漁業一大発展を図る計画の下に、その資金調達面について関係方面起債認可の手続をいたされたところ、内海側より出ておりますところの資源保護底曳網取締などの問題を含んでおる紀伊水道分離反対陳情の次第もあつて起債認可が行き悩みの現状にあるので、内海側よりの陳情書を取下げて欲しいという懇請を和歌山県側より受けたのであります。それは丁度昭和二十一年秋の頃でありましたが、和歌山県庁より廣田技師当方に再三来られまして、いろいろと交渉を受けたのであります。併し私といたしましては、紀伊水道において、和歌山県側繁殖保護について、兵庫県側と完全同調するという知事一札を頂けば、当方よりの陳情書は一応取下げてもよろしいと申上げたのであります。廣田技師は、必ず知事一札を入れるということで帰られたのでありますが、いつまで経つて知事一札というようなものは私の手許には送付されて来なかつたのであります。その後、二十三年の夏のことでありましたが、和歌山県におきまして中水主催漁業権制度懇談会が開催されました。そのとき私も出席いたしたのでありますが、特に私と徳島県の万藤氏の二人に対し、和歌山県の千田氏より紀伊水道分離問題を懇談的に持出されたのでありますが、私も萬藤氏も千田氏に対し言を一つにして紀伊水道分離に対しては反対であることを表明したような次第であります。このように私共が和歌山県側の希望をかくも強硬に排したゆえんのものは、漁業経営根本理念資源維持培養にあることを信じて疑わなかつたからでありますが、特に内海のような特殊の水域においては、最も重視すべき問題であるとしていたからであります。然るところ、昨年に至りまして和歌山県側は、それまで内海と同調していました徳島県側と共同して、紀伊水道分離運動を猛烈に展開されるのに至つたのであります。その結果として二十四年九月十七日、突如として衆議院水産委員一行紀伊水道調査のため和歌山県の和歌浦及び白浜に来られましたので、当方としては事態の重且つ大なるを痛感いたした次第であります。新聞、ラジオ等によつてこのニユースを知りました県内漁民は、期せずして県庁に押し掛け、紀伊水道分離の不当を鳴らし、生活擁護を旗印としてそこに漁民大会が開かれたのであります。この漁民大会の悲壮な決議と陳情書関係方面に急遽提出いたすと共に、内海方面の実状を実地調査願いたく、衆議院水産委員会に対し切に希望したのであります。  このような経過を辿りまして、昭和二十四年十一月十四衆議院水産委員玉置議員が班長として、一行七名が内海調査のため神戸に来られたのであります。この機会に関係府県業者水産当局者が参集いたしましたので、委員会各位関係の切実な意見を聴取されたのみならず、兵庫水産試験場調査研究資料に基く瀬戸内海実態をも聴き取られたのであります。この神戸における会合のみぎり、和歌山及び徳島県側主張は、紀伊水道海洋学的に外海性であつて内海がいわゆる内海性を持つているのと甚だしく異つているのみならず、分布する生物においても外洋性であるので、漁具漁法内海のそれと全く類を異にしている関係上、今までの瀬戸内海より切離してしまうのが適当であるとの主張でありました。私共当初からの経緯を了知している者にとつては、その主張が以前のものと全く異つているのに一驚した次第であります。即ち前回には、糧食増産のため内海より分離するとなし、今回は外洋だから内海より分離すべきだと論ぜられるのであります。併しながら科学的に見て、紀伊水道は、両県側主張するような性格と全く類を異にしていることが水産研究機間その他によつて明らかにされているのでありますから、断乎として反対せざるを得ないのであります。  回顧いたしますと、昭和の初め、紀伊水道海区の直接関係三県なる和歌山兵庫徳島の各県は瀬戸内海としてこの海区の水産資源の重要さを再確認いたしまして、三県連合機船底曳網取締期成同盟会を結成いたし、資源保護培養に協力することを約し、及ばずながら所期の目的を達成するために努力を続けたのであります。それが終戦後におきましては、今回のように紀伊水道を中心にして両者立場を異にし、紛争国会にまでもたらすに至つたことは、私共にとつては誠に痛恨限りない次第であります。併し、事ここに至りました以上、私共は心静かに問題を達観いたしまして、日頃念願としております瀬戸内海水産資源保護と、二十万に及び零細漁民大衆生存権のため、科学的な方途によつて紛争の根元を究め、事態を常に復元いたしたいと切望している次第であります。前に申上げました神戸会合におきまして和歌山徳島県側主張に甚だしい誤謬のあることを指摘いたすことができるのであります。即ち紀伊水道という海は海洋学的に見て、和歌山南方部外洋的傾向を持つた部分があり、徳島側淡路島南部などには広い部分に亙つて内海と同様の海洋学的状況を示す海となつているのでありますから、海洋全体として考察いたしますと、内海性の強い海と断定されるのであります。従いまして生物の分布もこの海洋学的な一般、状況を判然と裏書きするように分布しているのであります。和歌山徳島県側紀伊水道のほんの一部の海況からして、これを外海としていることは、資料取存方誤謬があるのであります。紀伊水道の一部に外洋的傾向を持つた部分が存在するということは、瀬戸内海水産資源の成立という点から見ますと、必要欠くことのできない重大な條件となつておるのであります。即ち紀伊水道水産源と、大阪湾や播磨灘の水産資源が殆ど同じもので、冬季寒冷になると、内海温帯性水族が全部内海より多少温暖な紀伊水道に避寒し、陽春と共に内海に入り生殖を営み、稚魚は成長肥大して又紀伊水道に入る水産資源移動集散実態を没却して、紀伊水道を考えているのであります。紀伊水道における水産資源実態を把握することによつて、初めて可能であるのであります。即ち水族資源のこのような移集散紀伊水道を含めた内海一つの基盤として行われているから、紀伊水道資源立場よりして内海と一体であり、内海に包含されるのでありまして、これは儼然として存する、動かすことのできない事実であります。その後第六国会に置きまして、資源維持涵養根本精神とする新漁業法が制定され、瀬戸内海資源保護方法は旧態に保存されましたので、私共日頃の主義主張を取入れたものとして喜びに堪えなかつた次第であります。然るところ第七国会におきまして、去る十二月制定を見たばかりで未だ実施を見ないという時期において、新漁業法に対する修正案議員提出を以て衆議院提出され、それが早早の裡に衆議院を通過いたしたのであります。それによりますと、紀伊水道瀬戸内海より全く分離されているのであります。即ち紀伊水道瀬戸内海より全く分離独立しているのであります。実に驚くべき無法な措置と言わねばなりません。かくのごとく紀伊水道内海より分離独立せしめられました理由として、去る三月十四日の衆議院会議石原議員水産委員会としての報告演説の中にも、本会議における玉置議員修正案賛成演説の中にも、さらに鈴木議員参議院における説明の中にも、紀伊水道を、外洋にあらず、又内海にあらざるところの中間的特異性格を持つた海区である旨が述べられているのであります。このように紀伊水道なるものを内海と異つた特異な海であるという観点に立脚して、漁業法修正が行われたのであります。若し紀伊水道に見られる局部的な変異を捉え来つて、それを特殊扱といたすならば、内海に含まれている各海洋は特殊でないものは一つもないことになるのであります。又内海水族冬季紀伊水道に避寒するという重大な資源的な実態を没却して、紀伊水道特殊扱にしているのであります。石原玉置鈴木の三氏らが、かかる結論に達せられたことを実に不思議に思い、且つ重大視すると共に、かかる結論は断じて許すことのできない誤解であることをここに検索して、その不当を糺したいと存ずる次第であります。そもそも水産の学会たると業界たるを問わず瀬戸内海特異性なる言葉をよく耳にいたすのでありますが、この瀬戸内海特異性と呼びならされているものは一体何を指しているのか、克明に検索する必要があるのであります。この言葉の含んでいる意味瀬戸内海という海は、瀬戸内海でなければ他に見られない特別な水産資源上の性格を持つているという意味でありまして、こうした特別な水産資源上の性格というものは、そうざらにある性格ではなく、一般的なものと異つていることを示しているのであります。どこが一般的な性格と異つていることを示しているのであります。どこが一般的な性格と異なつているか検討いたしますと、漁村聚落の分布が密であること、漁具、漁法の発達していること、生産力が極めて豊かであること、温帯系水族が冬季になると十二度内外の水温を示す水域に避寒しそこに越冬すること、又冬季生産力が低下すること、夏季には水族の一大繁殖場となること等に要約できるのであります。これらの各要素を持つた海の範囲は水産資源の上から真に瀬戸内海と呼んで特殊付けることができるのであります。即ちこのように瀬戸内海の特殊性というものを把握いたしますと、紀伊水道の所属はおのずから明らかであるのであります。紀伊水道の持つているいろいろの性格一つ一つは明らかに瀬戸内海の特殊性そのものであるのであります。然るにこの紀伊水道性格内海外洋の中間的性格を示すもので、内海と別個の、或いは独立的に内海と対等に取扱うのが妥当であると結論されているのであります。瀬戸内海の魚族が冬季には紀伊水道に避寒し……
  19. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 三浦証人にちよつと申上げますが、時間が大分過ぎましたから成るべく早くお進め願います。
  20. 三浦清太郎

    証人三浦清太郎君) 又他の時期には大阪湾や播磨灘に生殖のため廻遊し、稚魚はこれらの三つの海区を流動してこれらの海洋一つ運動場とし、又一つの棲息場として彼らの生活を営んでいるという儼然たる事実に直面しながら、外洋性にあらず、内海性にあらず、それは両者の中間的性格を示すものだと結論されるのであります。私共はこの稀に見る非科学的な結論を靜かに克服排除して、前進しなければならないのであります。前に申上げました三氏らが紀伊水道を見て外洋内海の中間と見られたものは、果してどこにその誤謬があるのでありましようか。この問題を解明することは三氏らのために、又我々のためにもそうして我が国における水産界のためにも意義ある木鐸であることが考えられますので、ここに論証の時間を与えられたいのであります。紀伊水道内海に所属するか、或いは属しないかの問題を決定する資料として海洋学的な事実、生物分布学上の事実、水族の生態学的な事実と漁業の経営形態上の事実を取上げ、それらを検討しなければならないのであります。海洋学的な事実や生物分布上の事実において、三氏らが内海外洋との中間と見られたものは、中間にあらずして内海性海洋学的現象、又は生物学的現象の象の変異を目して、特殊的な海区と誤認されたのであります。このような変異を捉えますならば、内海一つ一つ海洋は特殊的な海として取扱わなければなりません。生物分布上の事実においても内海性格一つの変異であることは、生物分布の様相について水産研究機関によつて研究報告として論証済のところであります。又有用水族の生態学的事実については、三つの海を一つの基盤として存在するのでありますから、全く一体的なものでありまして、個別的に類を異にすると考えたり、或いは似ているとか似ていないとかの問題でなく、同一そのものであるのであります。その上内海紀伊水道漁業経営の形態においては全く同種類のものであることは申すまでもないのであります。即ち三氏らは海洋学的な現象の一部門の事実を見て、それを総合化して考察せず、その上内海の特殊性を検討することなく、従つて有用水族移動集散という生態的側面の分析的にして且つ総合的な考察を放棄し、顧みられるところがなかつたところにその原因が潜在していることをここに指摘するものであります。即ち海洋学的、生物学的観察において分析し、且つ総合することを忘れ、変異と特殊を混同し、内海の特殊性を確認せず、資源的な有用水族の……
  21. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 三浦証人に申上げます。いろいろ質問の場合に詳しいことをお答えになつた方がいいと思います。もう二十分になります。大変時間を取りますから……
  22. 三浦清太郎

    証人三浦清太郎君) 如何いたしましようか。
  23. 青山正一

    ○青山正一君 結論だけ付て貰おうじやないですか。
  24. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 結論だけはつきり言つて、後は質問の場合にお答え願います。
  25. 三浦清太郎

    証人三浦清太郎君) もう二枚ですから……
  26. 宮崎善吉

    証人宮崎善吉君) 時間を制限して十五分と最初からお話になつたのに、二十分になるというのは、ずつとそれが出たらめになつてしまいやしませんか。十五分以上はいけない……
  27. 青山正一

    ○青山正一君 証人発言は許すのですか。
  28. 宮崎善吉

    証人宮崎善吉君) 発言を許して頂きたい。
  29. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 成るべく簡単にそこで結論をつけて頂きたい。
  30. 宮崎善吉

    証人宮崎善吉君) 我々は……
  31. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 証人発言は許しません。  その辺で結論をつけて後は質問に対してお答え願います。
  32. 三浦清太郎

    証人三浦清太郎君) ずつと続きになつておりますから……
  33. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 後はいいです。反対なら反対……
  34. 三浦清太郎

    証人三浦清太郎君) ではまだ四、五枚残つておりますが、結論に飛ばしますと順を得られませんので却つてと思いましたが、結論だけ申上げます。いろいろ我々が資料その他の考えに立脚しまして、修正案には絶対反対でありますることを意思表示しまして終わりといたします。
  35. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 次は香川漁業共同連合会長溝淵熊雄君にお願いします。
  36. 溝淵熊雄

    証人(溝淵熊雄君) 香川漁業協同組合連合会長溝淵熊雄であります。  只今兵庫県の三浦証人が誠に適切なる反対意見を開陳されたのでありますが、私は瀬戸内海漁業を聊か知る者として香川漁民を代表しまして意見を述べたいと存じます。漁業法は衆参両院の慎重なる御審議によりまして去る第六国会において極めて適切なる現行法が可決され、関係府県漁民は齊しくその実施を前に感謝いたしておつたのでありました。ところが突如として紀伊水道瀬戸内海より分離するとの法律案衆議院提出せられ可決になつたと聞き、驚き漁民大会を開催いたしたのでありますが、県下漁民はこの法案により実に生命線を断ち切られるものとして絶対に反対を表明し、挙県一致これが反対に邁進することに決定したのであります。  実は二月二十四日の衆議院水産委員会におきます田淵議員の、漁業法の一部を改正する法律案につきその提案理由の内容を拜見する機会を得たのでありますが、理解に苦しむ点があります。その理由の第一にこう言われております。瀬戸内海とは豊予、下関、鳴門、紀淡の四つの海峡に囲まれた海面を言うと断言されておりまするが、苟くも紀伊水道瀬戸内海でないというがごときは、水産人の常識にはないのであります。この点は私が申上げるまでもなく、水産庁の御意見を聞いて見てもよく分り、海底の土質も瀬戸内海と同様泥であつて日の御岬以南は砂であつて外海の土質と承知しておるのであります。一般社会通念におきましても、後に掛つております地図を見ましても、紀伊水道瀬戸内海に包含せられてあるのでありまして、須らく関係漁民の輿論調査をお願いしたいと思うのであります。理由の中に、外洋性紀伊水道内海とは漁業実態海況状況が根本的に相達しておりまして云々とありますが、私は科学ではないが、内海における一塊の孤島に生まれまして、幼にして漁業実態には余りに詳しいのであります。漁業実態漁獲物とが私の県と殆ど同一のものであり、この点は香川県庁におきましての調査によりましてもはつきりとしておるのであります。隣県の徳島県においてもよく承知しておるのでありまして、過般も天皇陛下四国地方御巡幸の際に、徳島県において同県の水産試験場よりの奏上文の中に、紀伊水道は多分に内海性を帯びていると奏上してあることを見ても明瞭な事実でありまして、瀬戸内海と殆ど同一の海区であることが立証されるのであります。  次にこういうことも言つておられます。旧漁業法制定以来四十三年間というものを、この省令一本で内海に包括されておつたのであります。絶えず現地におきましては紛議を釀し、従来業者の苦痛困苦を見るに忍びないものがあるのでありましてと、田淵議員は言われておりますが、困苦を見るに忍びないとは、一部底曳網業者のことを指すのでありましようか。零細漁民は現行法通りを要望して、我々内海漁民同一歩調を取つておるのでありまして、過般和歌山徳島両県の縮小陳情の際も、これが反対内海漁民と共に記名捺印さえしておるのでありまして、これを見ても零細漁民改正反対は絶対的事実であり、惡改正たることが判然するのであります。尚過般四国民事部水産部門担当者においてはこの問題を重要視し、徳島県下の実地調査に行かれたのであります。その際牟岐方面の漁民ですから、最近における機船底曳業者の跳梁のためにほとほと困つておるので、むしろこの際現行法の線よりこれを拡大して、内海に包括して欲しいと陳情があつたとさえ聞いております。県当局改正陳情してはと、その際に担当部員の方が言われたそうでありますが、そのときに、今は徳島県は和歌山県と共同で縮小に動いており、我々零細漁民の希望は容れられないから、民事部の方でよろしくお取計らいを願いますとの答えがあつたそうであります。我が香川漁民がこの改正案を最も恐れるものの一つは、実に徳島県、和歌山県の零細漁民と同じく、この底曳業者の無謀なる掠奪漁業にありと言わなければなりません。底曳網業者が如何に言を左右すると雖も、過般の水産主務課長会議における打瀬網漁船規格を二十トン、四十馬力までに默認せよとの要求並びに陳情が企図されておるということがあつたのであります。かような点から考えまして、一体どこにこの狙いがあるかということは、火を見るよりも明らかなところであります。内海並みに取扱われることを予防せんとしての底意があることは推察するに難くないのであります。我々内海漁民は、この法律案が若し通過成立するならば、現在年間少くとも三百万貫の漁獲高は直ち半減を来し、約三億乃至四億の收入減を招来して、逐年その漁獲は漸減して、内海漁業は早晩死せる海と化して終了するのであります。若し万が一にも通過することがごときがありましたならば、我々水産関係業者は勿論のこと、知事関係部課長は勿論、県職員におきましても漁民に対してお詫びをせねばならんと思い、又詫びるだけでは決して済まないものであることを私は覚悟しております。  瀬戸内海二十万漁民の最低の生活権は、実にこの改正案の不成立にかかつております。どうか私共の意のあるところを御洞察下さいまして、瀬戸内海漁民の生活を擁護下さいますようにお願い申上げます。
  37. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 次に岡山県漁業協同組合連合会長永井寛次君にお願いいたします。
  38. 永井寛次

    証人永井寛次君) 永井でございます。今回衆議院修正可決されました漁業法の一部を改正する法律案、これに私は全く反対いたします。私は学者ではございませんので、自分みずからが調査した資料の持合わせはございませんので、いろいろな水産試験機関が発表しました資料を見まして、又もう一つには本県の冬季におけるの漁業の実情から考えまして、即ち十二月から翌年頃四月まで岡山県には殆ど漁がないのでございます。それは魚が全部死んでしまうわけはないので、それは必ず冷たい水を嫌いまして、暖かい方へ避寒するというように漁師共は考えております。又実際問題としまして五月に入りまして鯛、「さわら」の廻遊を見て、漸次春の盛漁期に入りまして、これが十一月まで続くのでございます。こういうように冬季全く漁がなくなりまして、春から夏秋にかけまして漁があるのでございますが、こういうような点を判断いたしまして、内海といわゆる修正案で謳つておる紀伊水道というものが一体である、従つて紀伊水道の重要な漁業調整については、瀬戸内海の多くの漁民も必ず発言権を持たなくてはならないというように考えるのであります。これは丁度一本の大きな河がありまして、上流にも下流にも漁があるといつた場合に、上流のところの漁業調整のために河口の漁業調整が左右されるというのは当然で、河口が好き勝手にそこで漁業をやつたならば、上流の漁業者というものの生活は脅かされるのは当然で河口が好き勝手にそこで漁業をやつたならば、上流の漁業者というものの生活は脅かされるのは当然でございます。丁度瀬戸内海は細長い一本の帯のような海でございまして、東西の両入口というものは、河川における河口と全く同様ではないかという見解を持つております。で、こういう意味におきまして、私はたとえ紀伊水道香川県、岡山県が沿つていなくても、そこの重要な漁業調整については、必ず発言権を持たなくちやいけないという見解を持つております。然るに今度の修正案は、そういうことを全く無視してしまつた案なのでございます。特に私共が一番心配しておりますのは、今回の修正によりまして、将来底曳業者が跋扈しやしないかという懸念が多分にあるのでございます。その懸念の起きた理由を詳細に申上げますと、私共は県下漁民の代表としまして、数名、三月の二十四日に、郷土の代議士を衆議院へ訪問いたしまして、こういうことをやつてつては甚だ困るのだという陳情をやつたのであります。たまたまその席上、衆議院の川村善八郎代議士と田渕光一代議士が見えたのでございますが、そのときに、郷土の代議士が紹介いたしまして、あれによると、君達が心配しておるような点は少しもないと、一応提案者の話を聴いてやつて呉れというお話で、御両名からいろいろお話を伺いましたのでございます。そのとき川村代議士が、こういうことを途中でお話しなすつたのでございます。永井君、紀伊水道に機船底曳がある、それは正式のものと違反のものとを問わず、あるに違いない。仮に三百乃至四百の闇の底曳業者がいると仮定したら、これは瀬戸内海と言わず、紀伊水道と言わず、漁民は一丸となつて撲滅しなくちやならない。ところが正規の許可を受けた底曳業者が百あるとすると、これを将来どういう漁業整で活かすかということは社会問題だと、こういうことを川村議員がお話しになつたのであります。これは正規の許可を受けた底曳業者が五百あろうと六百あろうと、何も今度の瀬戸内海のこの修正案には関係がないので、当然こんなところで話の出る事柄ではないのであります。然るに、そのことが川村議員の話で出まして、百のものを五十にして活かすか、どういうことにして活かすかということは社会問題だと、今日の陳情団はこの点をどう考えておるのだというお話があつたのです。そこで私は、それだからこそその点を心配するのだ、万一紀伊水道というものが孤立してしまつて、そこで現在許可を受けた正規の底曳業者を活かそうというような魂胆があるならば大問題で、その点で私共が気違いのようになつて紀伊水道を抱きかかえて、内海二十万漁民のために奮闘しなければならないのであります。と言つたのですが、たまたまそのときに、郷土の代議士が止められまして、まあまあということで、その話を止めたのでありますが、そういう点が多々あるのでございます。それから、この修正案が出る前に、全然瀬戸内海というものを、淡路島の内海で切つてしまつて、それから南は本当の公海にしてしまつて、許可を受けた底曳船が自由に日の御岬の線から上つてくる案があつたのであります。これは、その後私がG・H・Qの方へ行きまして、ヨーさんと大儀見さんに会つて、直接聴いた話でございます。そういうようなとんでもない案が出たのだが、G・H・Qとしては、こんな馬鹿なことがあるかと言つて、蹴つてつたと、その後又数日して、今の修正案が我々のところへ来たので、まあやらんよりはましだろう、まあとにかく占領政策に関係のないことなんだからあんた達でやれと言つて帰したのだというお話を聞きましたが、この修正案の前身が、底曳をやれる区域を淡路島の南端まで持つて来ようと、ところがそれに失敗してこの案に変つたのだということを知りますと、ますます底曳業者に対する脅威を感ずるのでございます。又和歌山徳島県下から出ておる陳情書なるものも、いろいろ承わりますと、底曳業者という言葉違反漁業者という言葉の、二つの使い分けをやつておるのでございます。所によると、違反漁業者は徹底的に取り締まらなくちやならないということを言つておりますが、そこでは、底曳業者という言葉でないのでございます。こういう点で私は、紀伊水道関係漁業者の方が、機船底曳漁業というものと違反漁業というものと区別がつかないのではないか。機船底曳はどこでもやつてもよいのだ、正規の許可を受けた底曳は当然紀伊水道で生きなくちやいけないのだというような先入感があるのではないかというような気がするのであります。こういう点で私は、底曳漁業が、紀伊水道が独立したことによつて、将来跋扈する憂いを持つておるわけでございます。丁度一軒の家に、玄関があり、奥があり、離れがあり、台所があるように、瀬戸内海には紀伊水道と言わず、周防灘、播磨灘、或いは豊後水道、いろいろな海区がございます。これはそういうものが集まつて一つ瀬戸内海というのもを構成しておるので、丁度家に例れば、或いは紀伊水道が玄関に当るかも知れない。玄関で、何も台所や奥座敷に用のないところが、玄関だけ独立させろというような考えを持ちましたならば、一軒の家に瀬戸内海というものは、これは当然将来自滅するのではないかという心配を多分に持つております。ところが幸いにして、只今出席しまして、和歌山或いは徳島の方の御発言によりますと、底曳業者というものは全然嫌われておるようなんで、こういうような懸念は、或いはこの席ではなくなるかも知れませんが、それがないとすれば、果して現行法をここで修正しなくちやならないか、どういう理由修正しなくちやならないか、大きな原因を私は発見するのに苦しみます。三月の六日、七日に亘りまして、三浦会長以下私共は、衆議院水産常任委員会陳情に行きました。そのときに、石原委員長曰わく、これは瀬戸内海のためを考えて却つて独立さしてやつたのだというようなお言葉があつたのです。こういうものを、瀬戸内海の奥のことを考えて下すつたならば、そこの漁業調整発言権を持たせないで奥を考えて頂く手があるかというような心配を持つております。丁度冬の寒いときに、可愛いのだ可愛いのだと言つて自分の子どもの羽織をとり、着物をとり、繻絆もとつて、真裸にして風邪を引かして、お前が可愛いのだと言つておるのと、同じような理窟ではないかと、痛感いたします。私は強ち兵庫県の味方でも、或いは香川県の味方でもないのでございます。底曳業者は瀬戸内海から徹底的に駆逐せよという線におきまして、私共は、どこまでも紀伊水道というものを包含して、そうして瀬戸内海資源保護ということを図らなければいけないと感ずる次第でございます。又、現在の法律でやれないことはないと確信を持つております。私共はそれ以外に何も、徳島和歌山がやる磯立だとか、一本立だとか、こういうようなつまらない、つまらないというよりか、小さな、瀬戸内海全般に関係を及ぼさないような漁業調整まで発言権を持ちたいとは思つていないのであります。又明治何年から何十年間瀬戸内海であつたけれども、未だ曾てこのために問題を起こしたことはございません。そういう意味で、将来、今度の漁業法が本当に漁民というものを考えてああいうよい法律ができたとすれば、修正しないで現行法をそのまま適用するのが当然じやないかというふうに考えます。又これは別の意味から今度の修正案を考えますと、二つの委員会がありまして、その上に一つ漁業調整事務局がある。従つて、私共が今まで心配していた点は、衆議院水産委員会では、上に事務局が一つなのだから、そんなことは絶対にさせない、強硬な取締をやればよいじやないかというような御説明も聞いたのでありますが、今度の漁業法は、漁民自主性ということを非常に尊重していらつしやる。ところが、一番肝心な重要な漁業取締とか、或いは繁殖保護とか、或いは底曳をどうしようかというような問題について、衆議院の御説明を解釈しますと、そういうことは漁業者にやらせないで、一本の役所にやらせるのだから心配ないというような解釈になります。そうなりますと、両方の漁業調整委員会というものは全くでくの坊で、やはり官僚調査によつて紀伊水道瀬戸内海調整をやつて行く方針だ、こんな結構なことはないじやないかという案を術議員では私共陳情班に押しつけられたのじやないかという感がするのでございます。こういうような観点から私は今度の修正案には絶対反対である、現行通りの漁業法を実施して頂きたいというように考えます。
  39. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) これで証人証言は一応終りました。主務省から調査研究部長藤永君、漁政部長松任谷君、山中技官、沿岸漁業課長志道君、資材課から塩谷技官がお見えになつております。  各委員から証人に対して御質問がありましたら十分ばかりありますから、お願いしたいと思います。
  40. 千田正

    千田正君 議事進行。証人に対する質問は午後からにして頂きたいと思います。むしろこの十分か、十五分を利用しまして主務官庁の方の意見を聴取したいと思います。
  41. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 今の千田君の御意見の通り進行して差支ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 御異議ないと認めます。それでは証人に対する質問は午後一時から始めることにいたします。主務官庁に対する御質問がありましたらお願いいたします。
  43. 千田正

    千田正君 水産庁の藤永部長でもよろしいんですが、この問題に対するところの水産庁としての意見を簡単に伺つて置きます。行政官庁の考え方を……
  44. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 行政官庁の藤永君からこの紀伊水道分離問題についての御意見御発表願います。
  45. 藤永元作

    説明員(藤永元作君) 鳴門海峡、紀伊水道は本当にまだ徹底的には調べておりません。ただ断片的にやつておるだけであります。その断片的のものを総合しますと外洋性のものも多少ありますが、大体内湾性のものが強いということになつております。現在の調査事項によりますと、従つてこれを本当に解決するにはそう長いことはないと思います。約一年ばかり、春、夏、秋とずつとやつて行けば一年位で分ります。従つてこれは一年くらいここでみつちり調査して、然る後に結論をお出しになるのが最も適当じやないかと私はこう思うのであります。
  46. 青山正一

    ○青山正一君 先日現地へ調査したところが、農林省の方でこの紀伊水道に面しておる方面に対して三〇馬力くらい許してもいいだろう、瀬戸内海に対しましては一〇馬力で抑えるとかいうようなことをラジオのニユースに聞いたわけなんですが、その点、何か水産課長会議か、水産主任官会議の席上に農林省が何か関係府県の了解を求めたとかこうだとかいうようなお話なんですが、そういうことを発表したことがあるんですか、どうなんですか。その点ここで一つはつきりお示しを願いたいと思います。
  47. 松任谷健太郎

    説明員(松任谷健太郎君) 水産庁が正式にさようなことを発表したことはないのであります。ただ主任官会議等におきまして、底曳の基本的対策要綱というものを各府県の主任官に答弁いたしましたときに、いろいろと各府県から意見が出たのでございます。恐らく御質問の要点はそういつた意見の中の一部だと考えております。
  48. 青山正一

    ○青山正一君 有難うございました。
  49. 尾形六郎兵衞

    ○尾形六郎兵衞君 只今藤永さんのお話によると、紀伊水道調査はまだできていない。従つて一年くらいかかれば大体分るというお話であるが、現在表向は紀伊水道には底曳が一艘も許可になつていないということを聞いておりますが、従つて紀伊水道に対して機船底曳を許可するとすればどのくらいのトン数、どの程度の馬力ということが、何艘くらいが適当なのかどうかということを、今では不明なのであるか。青山君の質問と関連するわけであるが、それについての御意見をお聞きしたい。
  50. 藤永元作

    説明員(藤永元作君) 資源量を的確に調べるということはなかなか非常に困難なことでありまして、これは一年ではできません。一年くらいで調査がまとまるというのは、この紀伊水道が内湾性のものか、外洋性のものにしなくちやならないか、そういうことははつきり分ります。一年くらいで調査をして何杯の機船底曳を入れたらよいか、何トンくらいの機船底曳をいれたらよいかということは恐らく結論は出ないと思います。これは常識による以外は現在のところはないと思います。
  51. 尾形六郎兵衞

    ○尾形六郎兵衞君 松任谷部長にお聞きしたいのだが、私はどつちがいいか、悪いかという結論を言うわけじやありませんが、大体沿岸の漁民はその前に展開する海の、最も多くその海の恩惠を享受するのは沿岸漁民であるということの根本原則は水産庁としてお認めになるかどうか。
  52. 松任谷健太郎

    説明員(松任谷健太郎君) 御質問の点につきましては、大体論といたしますると、さようなことが言えると思いますが、地先におきましても各種の水産資源の種類、並びに内湾、外洋によりましていろいろとそこに自然的、社会的、経済的な要素がございまして、従来の沿革から申しますというと必ずしもその原則に従つて現在の秩序ができておらないところも多いのでございまして、我々の気持といたしましては、大体地先の海面は沿岸の漁業者によつて資源を維持し、管理して行くような方向になつておるものではないかというふうに考えておるわけであります。
  53. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 午前はもう十二時になりましたから一先ずこれで休憩いたしまして、午後一時から再開いたしたいと思います。    午前十一時五十九分休憩   —————————————    午後一時十四分開会
  54. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 午前に引き続いて会議を開きます。これから委員証人に対する質問をお願いいたします。証人にちよつと申上げます。只今証言の範囲を越さないような御答弁をお願いいたしたいと思います。それから証人からの質問はしませんからさよう御承知願います。御答弁だけをお願いいたします。
  55. 西山龜七

    西山龜七君 政府委員にお尋ねしたいと思うのですが、和歌山県と徳島県において正式に底曳網になつたものがどれくらいあるか、それから打瀬網がどれくらいあるか、それから各関係府県におきまして、その外に正式に底曳網の外に打瀬網になつたものが幾らあるかということと、尚無許可でやつておる底曳又は打瀬の各府県の見込数なんかが分れば、参考のために承りたいと思います。
  56. 藤永元作

    説明員(藤永元作君) 只今の御説明は、一々数字を挙げて御説明申上げなくてはなりませんので、記憶違いがあるといけませんからこれは明日お休みなら今日私これが済んで帰りまして調べて的確な数字を西山さんへ届けます。
  57. 青山正一

    ○青山正一君 ちよつと加太宮崎善吉証人にお聴きしたいと思うのですが、和歌山県内で、つまりあなたの方で、つまりあなたの方の組合を初めとして雑ケ崎の組合、それからこれは印南の組合とか、或いは湯浅の組合、それから磯の浦とか二里浜、西ノ庄の釣とか或いは地曳專門の、つまりこれらの組合員が挙つて内海分離反対しているというようなことをも聞いておるのでありますが、その真偽の程を承わりたいと思います。
  58. 宮崎善吉

    証人宮崎善吉君) 私は他の組合のことは実際の事情に携つておりませんから分りません。併し加太組合としての組合長の責任として一言申します。加太組合員は五百九名であります。その五百九名の中に、機械船は約百十艘程ございます。あとは手押しでございます。それから挙つて反対とは、まあ最前も申しましたが、組合員の自覚性とか、頭の切換えとかいうことにつきまして、我々の説明の足らんところも多々あつたと思いますですけれども、又県当局者も、県一致して反対を唱えれば、一零細漁民加太組合に対しても納得の行くような説明を与えてやつて反対の声を全県が挙つてやるべきであると私は思うのですけれども、まあ私が加太組合長をしておる関係組合員の与論としましたら最前申したように、瀬戸内海におつてもよろしいというような意見もありますし、まあ大勢はそうなつております。併し私組合長の考えといたしましたら、和歌山県全体が挙つて反対を唱えておる立場のときに、一小組合がそれに対して、反感を持つとか、反対をするとかというのも妥当を欠くと心得ますし、又何かにつけて県との連絡の不便も感じる。ただ要は「もぐり」網、機船底曳網県当局者が徹底的に取締をやつて呉れれば、我々としても実際のところを申せば、瀬戸内海であろうと、紀伊水道であろうと、どちらに加入しても結構です。尚又和歌山反対のように私はよく考えますと、小さなものが一本になつて海面を保護するということはこれは結構です。ところが又瀬戸内海全部入つてしまつて、各專門連合調整委員会というものが各県から一名ずつ選んだ場合には、和歌山徳島あと五県なり七県の遠方の委員の方によつて和歌山県の不利になる立場も考え、いろいろ日夜頭を使うて、どちらへ傾いてよいか、未だに決せないのであります。それで私個人としては、今ここではつきりとどちらへ加担するのか、加担せんのかということは、実際のところははつきり申上げられません。
  59. 青山正一

    ○青山正一君 有難うございます。それならば、あなたの方の漁業協同組合は、全部が一本釣であるかどうかという問題と、それからその一本釣には、底曳船とか、或いは「まんがん」とかいうものがありますが、或いは飛行機漁業とかいうものが、事実紀伊水道の中に非常に沢山おりまして、あなたらの一本釣業者を脅やかしておるかどうか、そういう点について一つお聞きしたいと思うのです。
  60. 宮崎善吉

    証人宮崎善吉君) 私共の方の組合員は、底曳網とか、いろいろな違反業者に対して、日夜努力を続けて逮捕に向つております。併し、その経費も夥しいものです。第一兵庫県の由良町の底曳網、もぐり網、これが一番癌でございまして、兵庫県の由良町は、どういうものか知りませんが、兵庫県が認可したか、「もぐり」網の組合ができ、又一本釣の組合ができております。それで兵庫県の一本釣の組合組合長から聞きましたところによりますと、県へ再三再四お願いしても、言うことを聞いて呉れんと、ましてその地方の警察なり地方の重要の地位に立つておる者が仲裁に入つて呉れても、一本釣の方は不利な立場に置かれると、それはやはり全力の左右によることであろうというようなことも聞きました。併し私の方の県においても、漁場を荒らすのは、第一大阪府それに本県で申せば田浦、まあこういう三ケ所から寄つて、我々の全国的に一本釣で名高い加太漁業組合を侵害しておるものでございます。まして京阪神地方から、とにかく全国一の魚の美味な土地でありますので、非常に漁場に惠まれておる関係上、時勢に遅れておる一本釣は、親先祖代々伝わつて未だにやつておるような状態でございます。和歌山県では田浦からよく参ります。
  61. 青山正一

    ○青山正一君 そうなれば、大阪違反漁業、或いは兵庫県の由良組合ばかりでなしに、北部三郡の方においても、田ノ浦の方においても、違反船が多いと、こういうわけでございますね。
  62. 宮崎善吉

    証人宮崎善吉君) その件数について、只今御報告申上げます。二十三年中に違反漁業を検挙した件数は八件であります。県内一件、大阪四件、兵庫三件でございます。二十四年中は十一件であります。県内三件、大阪四件、兵庫四件、それから二十五年現在に、大阪七件、県内一件、兵庫県十件、こうです。
  63. 青山正一

    ○青山正一君 どうも有難うございました。北部三郡で、一本釣業者が約一万集まつて、協同組合を結成したいという気運があつたように思われますが、そういうふうな事実があるのでしようか、どうでしようか。
  64. 宮崎善吉

    証人宮崎善吉君) それは事実でございます。はつきりしたことは忘れましたですが、本月の十二、三日頃であつたと思います。雑ケ崎組合長橋本と私と、それから印南と湯浅において、一本釣り組合の漁場を保護するための、トロールの侵害に報いるために、一本釣の組合をしようじやないかというようなことで、大体やるというようなところが決まつて、定款は作成中でございます。
  65. 青山正一

    ○青山正一君 続いて成川証人に承わりたいと思いますが、紀北共同漁場管理委員会というものが、あなたの方の、いわゆる紀伊水道に面した和歌山の北部三郡の沿岸漁業者全部によつて管理されておるということを承つておりますが、その紀北共同漁場管理委員会というのが、どういう性質のものか、それからどういう地域でやつておるのか、或いはその構成はどういつたものですか、その点について御説明願いたいと思います。
  66. 宮崎善吉

    証人宮崎善吉君) 私余り詳しくはないのでありまするが、紀北三郡協同組合というのが、明治の中頃に、大阪府と和歌山県との入会漁業で非常な紛糾を生じたことがあるそうであります。そこで、その当時農林省が中に入られて、そうしてこの紀北三郡のに共同漁業権というものを持つておるのであります。そこでこの共同漁業権の場所は、田村崎から沼島の直線で、ここに私丁度その図面を預かつておりますから、一遍これを後で御覧に入れることにいたします。紀北は、和歌山県、海草、有田、日高の一部の海面に、丁度沿岸のほんの僅かなところだけを残して、その外全部中央は漁業権を確保しておるのであります。その当時この漁業権を確保されたときの農林省の條件として、適当な数を大阪の入会を許すということになつておりまして、今日尚百五十艘程の入会者があるのであります。その管理の方法は、委員会というものを拵えまして、その分子は、その区域内の漁業会長只今でありますと漁業協同組合長になるわけでありまするが、それらの方が管理いたしまして、その中で委員を設け、委員長を設けてやつておると、今日までずつと続いておるのでありますが、無論今回の漁業法改正によつて、これは二ケ年後において解散されることとなつております。さようなことによつて民主化いたしました一つの組織にいたしております。その団体によつて、この漁場の保護をいたしておるということになつております。
  67. 青山正一

    ○青山正一君 つまり今お話のあつた紀北共同漁場管理委員会というものはですね、慣行の專用漁業権を管理して香川県とか、或いは大阪兵庫県等から漁が侵された場合に、その取締をやるとか、或いは漁場の維持発展を図るということが、つまりその管理委員会の目的ですか、どうなんですか。
  68. 成川善太郎

    証人成川善太郎君) お説の通りに管理いたしておるのであります。この入会は、大阪だけのように聞いております。私は正確なことは知りませんが、只今委員長は橋本鞆之輔氏という者がやつております。
  69. 青山正一

    ○青山正一君 それならば、その慣行專用漁業権はどういうふうな種類の漁業権ですか。つまりどういう種類の漁業権を何種類程持つておるのですか。その種類が分つた一つお伺いしたいと思います。
  70. 成川善太郎

    証人成川善太郎君) 三種類のように聞いておりますが、私はつきり記憶いたしませんので不日書類でお知らせいたします。
  71. 青山正一

    ○青山正一君 打瀬網とか底曳網とか「ばつち」網等が入つておるわけなんですか、どうなんですか。
  72. 成川善太郎

    証人成川善太郎君) 打瀬網というのは入つておるわけです。
  73. 青山正一

    ○青山正一君 兵庫県には、その大体の種類は分つておりますか、どうなんですか。若し分かつたら御説明願いたいと思います。
  74. 成川善太郎

    証人成川善太郎君) 種類は五種類ありまして、打瀬網、五智網、手繰網、鰮網、縛網、こう五種類になつておりますが……
  75. 青山正一

    ○青山正一君 成川証人にもう一度聞きたいと思いますが、これは私現地に行つて調べたところによりますと、これははつきりしたことは分りませんが、明治十九年、いわゆる約六十年の古い歴史のある漁業権であるということを、聞いておるわけなんですが、そうなんですか。
  76. 成川善太郎

    証人成川善太郎君) その通りだと思います。
  77. 青山正一

    ○青山正一君 今度の漁業法改正によつてこれは恐らく日本でも二番か三番と言われる程大きな厖大な專用漁業権だと私は記憶しておるのでありますが、この專用漁業権を御破算にしまして、その代りに一体どれくらいの補助金が入つて来るのですか。私の聞いた範囲内では二億七千万円と聞いておるわけなんですが、そういうことを聞き及んだことがありますか、どうですかお聞きいたします。
  78. 成川善太郎

    証人成川善太郎君) この問題に関しては今月の、ちよつと日を忘れましたが、決算及び予算の会議がありまして、私もその席に出たのであります。無論的確なことは分からんわけであるが、その当時の委員長の話によると、約二億円以上の価値があるというお話だけは耳に挟みました。
  79. 青山正一

    ○青山正一君 こういつた日本で最も大きな專用漁業権が新潟漁業法によつて失うようなことになりますというと、和歌山県の紀北三郡のすべての漁業者が困る。それでこの漁業権を取上げられるとすると、何かそれに代るものが必要だと思う。それでその漁業権に、使用していたところの和歌山県の地先漁区と、それから徳島県の專用漁業権に使用しているところの漁区と合体して、そのまま紀伊水道として特別海区としたいのがあなたの本当の気持ではないかどうか。そして雑ケ崎の橋本さんの本心もそこにあるように思われておるのですが、あなたのお気持の程を一つ御発表願いたいと思います。
  80. 成川善太郎

    証人成川善太郎君) この問題に関しては、私といたしまして、又橋本氏おいてもそうだと思いますが、決して紀伊水道分離とは混合いたしておりません。従つて漁業権の統轄のときには適当なる政府の方針に基き、或いは調整委員会の方針に基いてやるという考えでありまして、従つて紀伊水道の分区問題とは全然関係を持つておりませんということを私は信じております。
  81. 青山正一

    ○青山正一君 全然関係は持つていないとこうおつしやるのですね。
  82. 成川善太郎

    証人成川善太郎君) ええ。
  83. 青山正一

    ○青山正一君 有難うございます。先般和歌山県に調査に行つた和歌山県の皆さんのお気持は、紀伊水道に入り込んで来るところの大阪香川兵庫の連中が侵犯すると、こういうふうに漁が侵されるということでは自分らの專用漁業権も荒らされる。又資源が枯渇する結果となる、そのために紀伊水道というものを特別海区とするんだというようなことで皆さんがおつしやつてつたのでありますが、あなたもその通りの御意見ですかどうですか。
  84. 成川善太郎

    証人成川善太郎君) 紀伊水道の私共分区せよという問題に関しては、午前中三浦氏の堂々たる調査の御発表がありましたが、大変私共と意見が違うのであります。それと申しますのは、紀伊水道を分区することにおいて、和歌山県における機船底曳網が跳梁跋扈する、或いは又和歌山県の漁業者のみが利するというお話でありましたが、断じて私共はさように考えておりません。紀伊水道を分区することにおいてこの紀伊水道において、兵庫なり、或いは大阪なり又少数和歌山もありまするが、これらの跳梁跋扈するところの違反漁業は、この違反漁業を絶滅さすというところに狙いを持つておるのであります。それで岡山県にある機船底曳網は今大きい型が三十と思うのでありますが、これらはこの紀伊水道は許可された地域でないのであります。宮崎の端であつたと思いますが、それから以南で操業することになつております。従つてそれから以北へ出て参る場合には違反行為であります。そういうふうな海の秩序を、この分区によつてはつきりして参りますということでありまして、和歌山県といたしましても亦私自身といたしましても、兵庫なり、或いは大阪なり、この方面に参つて侵漁する者を徹底的取締をいたしたい、最前の三浦さんのお話によると、私の方では許可せぬと三十艘も三十五艘ももぐりのトロールがあるから、これを嚴重に取締を受けるから兵庫県が成立たない。そのことを極めて円滑に上手に、故人となつ千田氏のごとき、これは逝くなつておるその人のことをかれこれ申されましたが、これは何と言つても偽証にはならんと思いますが、私共和歌山県は主張を二、三にするということは極めて当嵌らんものであります。一貫した主張を持つておるのであります。ただ私共の方にも沢山な人間があるから人ごとに多少は違うか存じませんが、私この問題を委員長といたしまして働いて参りましたが、その趣旨は一貫しております。然るに三浦君の話は一貫しておらない……
  85. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) ちよつと成川証人に申上げますが、委員の質問に対して率直にお答え願います。
  86. 成川善太郎

    証人成川善太郎君) 委員の方に御得心を得て頂くように率直に申上げたいと思うのであります。脱線したらいつでも止めます。九月十五日の会議におきましても兵庫県からも出て参りまして、水産委員長の私案というものに対する御了解を得てあの日は終つておる。ところが兵庫県の方では三浦さんのような偉い人がおるのでいろいろと漁民の方に納得の行くように上手に御指導なされて、非常に理窟あるらしく御運動なさつた結果……青山さんの御質問を正確にする意味においても……そこで更に衆議院では十一月の十四日に兵庫県で公聴会をやつた。その公聴会の議論が尽きて、その晩の懇談会で、ここにおられる三浦君が、今日の衆議院のお話で我々は納得したのである。これ程紛糾した問題がこういうように明快に片がついたことは私も嬉しい。どうか今晩はゆつくり一杯でも飲みましようというご挨拶があつた。これは御本人ここにいるのであるから一切嘘はありません。そこで私も非常に嬉しかつたから、三浦君の手をとつて握手をし、又更にその側にお坐りになつてつた島田さんも寄つて来て、そうして衆議院議員の前ではつきり、この通り和歌山県と兵庫と握手しました。この問題は解決したのであるから、どうか議員諸公の御意見の線に副うてお進め願いたいということを三浦さんもお誓いになり、私もその席上におつて申上げた。非常に和気靄々に進んだのであるが、今日のあれ程の立派な御論説の中にそういうことは一切ないのであります。それで不利になるようなことをお抜きになつて、そうしてその席におられない方が多いからというようなことならば甚だもつて私は遺憾に思うのであります。従つてこの問題もここまで追込んで来るということが、兵庫の巧みなる運動と、これを分区することにおいて機船底曳網跳梁跋扈し、その他違反事項を惹起して、そこで何か食えないというお話は、これはもう誇大な妄説であるということを私は申上げますその点どうぞ御懸念なくおやり頂きたい。私共は陣頭に立つて機船底曳網撲滅のためにやりたいと思つております。殊に私は機船底曳網に対して、過去何十年というものは、兵庫徳島大阪と共に提携して、撲滅運動に参加し、今日尚続いてやつておりますから、どうぞその点よろしく御了解を願いたいと存じます。
  87. 青山正一

    ○青山正一君 成川さんの御意見はいろいろお聞きしまして、ちよつと脱線の気味がありましたのですけれども経過を聞く上において結構だと思います。その点一つこの事実、その通りであるのですかどうなんですか。つまり兵庫和歌山を侵犯しているとか、或いは香川が侵犯しているということは、私は現地においても聞いておるわけなんですが、その点をですね、溝淵証人なり、三浦証人に伺いたいと存じます。先ず溝淵証人からお聞きします。
  88. 溝淵熊雄

    証人(溝淵熊雄君) 青山委員の質問はちよつと……
  89. 青山正一

    ○青山正一君 つまり和歌山県の領海にですね、あなたらの方の船が侵犯しているかどうかという問題なんです。
  90. 溝淵熊雄

    証人(溝淵熊雄君) 香川県においては、紀伊水道、特に和歌山側寄りに侵犯をして、侵漁をやつておるという事実はないと私は見ております。
  91. 青山正一

    ○青山正一君 有難うございました。  ちよつと分り易く三浦証人に伺います。和歌山側のおつしやる通りに、資源を枯渇する程度まであなたの方の船が向うへ漁に入つておるかどうかという問題についてお伺いしたいと思います。
  92. 三浦清太郎

    証人三浦清太郎君) 私の知る範囲でありましたならば、和歌山県の方面に殆どああした方面で働く漁業者はないと信じております。ただありまするのは、沼島島の漁業組合、これは相当広範囲な漁業権を持つております。この漁業権は地図においても分つておりますごとく、和歌山県と徳島とが殆んど一つの線を引いてから、極く結構な漁業権を頂戴いたしておりますが、特にこの沼島の漁業権というものがあるがために、これは出漁することができないと思つております。その関係漁業者のみが入会漁業関係で、これは延繩漁業者が多いのでありまして、殆んど「もぐり」網漁業の者は、沼島にはないのであります。殆どが延繩漁業者であります。延繩漁業者が行つております。次に忌憚なく申し上げますと、由良のもぐり漁業であります。これは確かに行つているでしよう。それで、これは許可があるとかないとかいうお話がありましたが、絶対許可はありません。あつたら不思議であります。その数においては十四統確かにあります。これはもぐりの漁業者であつて、我が県においてもこれの断圧にはきつい輿論が出ておるのであります。極く最近におきましても、一日が五統、一日が二統、計七統の船を検挙しておるのであります。そうして県下多数の組合から海上保安庁に向つて嚴罰に処せと、禍根を絶てというきつい投書も来ておる筈であります。確かにこれは事件は送庁されております。そこで先程ちよつとお話がありましたが、ちよつと御質問外に触れるかも知れませんが、我が兵庫県が……
  93. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 質問外の証言は成るべく避けて頂きたい。
  94. 三浦清太郎

    証人三浦清太郎君) いや、ちよつと関連しますから……
  95. 青山正一

    ○青山正一君 先程成川さんから質問外のことについていろいろ経過を御説明なすつたんですから、それに対する、又いろいろな反駁資料もあろうと思います。一つざつくばらんにお話願います。
  96. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 青山さんの質問があれば……
  97. 青山正一

    ○青山正一君 そういうように一つお願いしたい。
  98. 三浦清太郎

    証人三浦清太郎君) 私の県で重大問題化しておりまする由良漁業、このもぐり漁業も何を苦しんで紀伊水道方面に、これを働かさんがためにどうこうというようなことは微塵もあり得ないのであります。もともと今の由良の組合が二つに分裂いたしましたのが、成る程「もぐり」網漁業が沢山いる東の組合と釣、繩漁業がかたまつているもう一つ組合と、二つに分裂いたしたのでありますが、これは利害関係上分裂いたしたのであります。ところがもぐり網漁業が出てきましたのが、我々今のはやりの言葉で言つておりますが、アプレゲール漁業です。戦後のどさくさにこういうものができて来たのであります。戦前にはなかつたのであります。戦後のこれは副産物として、こういう無秩序な時代にこんなものが出て来たのでありまして、こういうものが出て来るまでには、由良の漁業一つ組合で、余り円満な組合ではありませんが、分裂を起すようなことはなかつたのであります。そうした意味でそういうものができておりますから、我が兵庫県といたしましては、近い将来これを根絶させる方針を進めております。これに対して御懸念は微塵もいらないと断言いたします。ここでちよつと続けたいのでありますが、よろしうございますか。
  99. 青山正一

    ○青山正一君 どうぞ遠慮なしにおつしやつて頂きたい。
  100. 三浦清太郎

    証人三浦清太郎君) 丁度先程成川さんが私の神戸における挨拶を非常に曲解されたが、私は日頃成川さんを敬愛しておるのでありますが、年の御加減上耄碌されたのかと思つております。丁度県会における衆議院の公聴会は随分議論がはずんだのであります。私は第一回は穩やかにやつておりましたが、相当私の意見に対して反駁意見がありましたから、私は手嚴しくこれをこき下したのであります。到頭公聴会は議論のみで終つたのでありまして、その晩にはまあ主義主張上、又公の見地から相違することはやむを得ない。戦うことは戦いましても、やはりそこにまあ人情もあり仁義もあるわけでありますから、遠路お越し下さつた他県の方々に、御慰労の意味で一席設けたのであります。そのときの挨拶に言われたことをえらいはき違いいたしておるらしくありますから、これをきつぱり申上げて置きます。私の当時の挨拶は未だ簡単でありましたから覚えております。その挨拶の要旨は、この以前には、衆議院からは紀伊水道から現地調査に派遣される。更に重ねて而も議会開会中にわざわざ現地調査のために御出張下さつたことは、とりも直さずこの問題が重要な問題であるがためにお考えられてか、この御調査のためにわざわざお出で願つた。そこでいずれ何かの御処置がされるのであると思いまするが、実は和歌山県及び徳島県とは従来現在を通じて隣県であり、非常に親密な関係保持し続けて来ておる。この問題のためにからそうした友好関係が一抹でも阻害される等のことがありましたら、誠に遺憾に堪えん。だからこの政治措置をされまするときに、御無理な注文でありますが、成るべくそうした友好関係にひびが入らないようなことをお含みの上に、御処置が願いたいと思うのであります。ということを私は儀礼で以つて申上げたことを(「詭弁詭弁」と呼ぶ者あり)今取上げられておるのであります。それで公の問題ははつきりいたしております。議場において相当あんなに紛糾を重ねておるものが、これが済んだと思うほど私はぼんやりしておりません。ただもう一言附言いたしましたら、それは去る昨年の十一月の暮に、国会を両院通過する以前であつたのでありますので、万一あつたといたしましたら、それは誠に結構であつたに違いないのであります。以前の時期であります。それが十一月の暮において参議院で通過されて現行の法案が立派になつたのであります。その以前でありますので、この点も一つ釈明いたして置きたいと思います。
  101. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) ちよつと三浦証人に申上げます。今の御答弁中、成川証人に対して耄碌云々と言われましたが、お取消になつたら如何ですか。
  102. 成川善太郎

    証人成川善太郎君) いや、取消して貰わなくて結構です。私又後で何するから……
  103. 青山正一

    ○青山正一君 取消して下さい。
  104. 三浦清太郎

    証人三浦清太郎君) それは率直に取消しましよう。
  105. 青山正一

    ○青山正一君 もうこの委員の質問外のことは一つ止めて頂きたいと思います。これからしますと、又いろいろな問題が起り易いし、却つてこの法案を審議する上において非常に工合が惡いから……  紀伊水道和歌山とか或いは徳島において、いわゆる底曳業者或いはそれに似通つた類似業者が沢山おるとかいうようなことで、先程どなたか証人ですかのお話もあつたように伺つておるわけでありますが、一体底曳業者とかそれに似通つた類似業者、その数は一体和歌山県側の方ではどれだけあるか。それから二十五馬力かで、まあ二十馬力ぐらいで結構だろうと思いますが、二十馬力以上の船、これは底曳ばかりでなく打瀬網でも結構でありますが、この二十馬力以上の船が徳島和歌山側から、一つその数をお示し願いたいと思います。
  106. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 証人はお分りになりますか。
  107. 青山正一

    ○青山正一君 徳島では分りませんか。一つお願いいたします。
  108. 濱田邦美

    証人濱田邦美君) 徳島県におきまして正規の機船底曳網は蒲生田岬から以南でありまして、絶対にこの紀伊水道で以東底曳はやつておりません。それと、この紀伊水道内で今の無許可の機船底曳網の、大体まあ本県内のことでありますが、やつておりますところは、小松島であります。それと、いろいろ問題になります「まんがん」は徳島市の津田であります。それと北泊の方であります。この問題に、本県にありますのはこの三ケ所でございまして、瀬戸内海の方々が御心配されるように、この紀伊水道内で、無軌道にそういう操業をするということは絶対にないのでありまして、この蒲生田御岬から以北の全部の組合がこれに反対をいたしまして、相当県庁並びに私達業者といたしまして、数回この協議を重ねまして、これの変更その他禁止につきまして、協議をして来たわけであります。私出発に際しまして、津田と小松島、北泊の船の馬力数を記録して参りました。併しこれは断つて置きますが、これが全部がこの拔けをやつておるということはございません。徳島市に津田と徳島中央の二つの組合がございまして、津田の方が十馬力でございましたか(「二十馬力」と呼ぶ者あり)十馬力からありますのが六十一隻あります。それから徳島の中央の漁業会で六十八隻あります。そのうちはつきりと分つておりますのが、「ばつち」網が十八統ありますから、これは鰮漁業でありますから、三十六隻がそれから拔けることになつております。その残りのものが、全部違反漁業をやつておるものということでは決してございません。それから小松島でありますが、大体申しまして、徳島市の方は、これは「えび」の專門の「まんがん」であります。それから小松島の方は、これがいわゆる今の無許可の手繰であると私は考えております。小松島の方で十馬力以上が三十六隻あります。その中で「ばつち」網が五統ありますから、十隻引きましたら二十六隻がまあ疑いを持つわけであります。併しそれは全部、そのところどころにおきましても相当激論を討わしておりますから、良心的の人はやつておらないということになつております。それから北泊でありますが、十馬力以上が七十五隻あります。併しこれはその附近の一本釣とか、或いはその他の漁業もありますから、ここは鳴門に面しておりますから可なり一本釣その他の盛んなところでございますので、これは「まんがん」の方であります。小松島の方が今の手繰の対象になると考えております。
  109. 青山正一

    ○青山正一君 まともな御返事有難うございます。それで成川さんにお聞きしたいのは、こういうふうに兵庫県も違反漁業が大分多い、それから徳島県も類似業者が多い、そうすれば和歌山県にも多少それに似通つたものがあるのじやなかろうかと思いますが、若し数字が分つておられましたら一つ御発表願いたいと思います。
  110. 成川善太郎

    証人成川善太郎君) 和歌山県にもそうした業者は多少あるのでありますが、正確な数字はこちらに持つてつておりません。やはり県内にもそうしたものがありまして、一般普通漁業者との間に始終相剋が起つております。その点については常に団体で善処しておるわけであります。それからこの際先のお尋ねに対して少し分り難いことを申上げましたが、もう一応この三郡漁業のことについて補足申上げたいと思います。
  111. 青山正一

    ○青山正一君 一つお願いいたします。
  112. 成川善太郎

    証人成川善太郎君) それには紀伊三郡漁場管理委員会というのができております。それから関係者が約四十組合ありまして、その中の各一名ずつが出席していろいろ協議しておるのであります。それからその四十人の中から九名を地区的に推薦して、常任委員会を組織いたしておりまして、これが運営をいたしております。それで丁度これからできる調整委員会のような形のもので県の諮問にも応じて、この漁業権の維持管理をいたして参つておるのであります。それで農林省で許可された漁業権の内容は鰮網、それから縛網、手繰網、打瀬網、五智網この五種類でございます。
  113. 青山正一

    ○青山正一君 有難うございます。  それから徳島証人の方にお伺いしたいと思いますが、昨年の暮れにああいうふうにして漁業法が決まつた、それで漁業法がそのまま履行されることになりますと、一体先程いろいろ数字を示されましたのですが、この漁業法がそのまま履行されまして瀬戸内海規則でもはつきり何か改めるということになりますと、一体何隻の船が使用できんことになるか。而も瀬戸内海規則によつてやるわけですと何隻の船が使用できんことになるか、そういう問題と、もう一つは先般徳島のラジオ発表にあるごとく、農林省の案のごとく二十馬力以上を禁止するということになると、これはあなたの方の県にも非常な打撃だ、そういうふうに考えておりますが、そうなりますと、一体あの線で押えると、どのくらいの船がその対象になるか、その数字を一つお示し願いたいと思います。若し今分らなければ後でも御返答をお願いしたいと思います。
  114. 濱田邦美

    証人濱田邦美君) 参議院の方に書類は提出してあると思いますが、この違反というか、これをちよつと申上げたいのですが、先程来から違反漁業につきまして、紀伊水道のみが違反の船があるというようなふうに私はとれるのですけれども、大体私が上京するに当りまして、いろいろと副会長さんなりその関係の方と協議いたしましたのは、私の県が本当に殆んどの組合が違反漁船に対しましては、慎重にこれを徹底的になくするという真意によりまして、そういう記録も持つて来ましたし、又そういう協議をして来たわけであります。多分農林省の方の水産調査所の方で瀬戸内海あります違反漁業というもの調査は十分できておると思うのです。只今お聞き下さいます件につきまして、紀伊水道のみが違反船がある、それだから瀬戸内海が困るというふうなことではなくして、私共の和歌山徳島以上に、瀬戸内海におきましては違反漁業が跋扈しておるということを私も十分承知しておるのでございまして、その点をお酌み取りを願いたいと思うのであります。  それから今申上げました馬力のうちに、私達は十分調査はいたしておりませんが、それはただ単なる馬力のみでありまして、そのうちにも正当に打瀬網をやつております、許可漁業をいたしておる者もあるわけであります。元来が打瀬網を許可して頂いておる船で以て、良心的に恥じない人がそういうものをやつておるということでございますから、その点は十分お酌み取りを願いたいと思うのでありまして、徳島県と和歌山県で私が馬力数をその大体の対象とされておる町村の協同組合の馬力数を調べて頂きましたのは、それを発表したから決してその全部がやつておるのではないということも十分お酌み取りを願いたいと思うのであります。先般参議院の方へは提出いたしましたが……
  115. 青山正一

    ○青山正一君 分りました。どうも有難うございました。
  116. 濱田邦美

    証人濱田邦美君) それともうちよつと申したいのですが、放送に徳島県の課長さんが申されたということでございますが、この点につきましては大体そういうふうな瀬戸内海の方では、いや徳島県はもつと馬力が小さくていいというふうな御意見もありますが、私達先祖代々紀伊水道において、この海を対象にして、その海に合うように船を造つて操業をして来ておるわけであります。その点に対しまして私達が先般今度の漁業法が通過いたしましたのに対しまして、瀬戸内海のごとく農林十五馬力でありましたならば、この紀伊水道で鳴門から日の御岬へ打瀬を潮流に乗つて打せて行くのには船が小さい。そうしてここから蒲生田御岬へ帰つて来て鳴門の方へ船を回航するにもそれだけでは足らない。そういうふうに事情が違うところを一律に瀬戸内海の方の御意見によつて農林十五馬力というふうに決められることは困りますというので、私達はその打瀬の馬力とトン数に対しまして御陳情申上げたわけであります。それはいろいろと香川県からの御意見がありましたが、それは調査されて、その個人としては大きい馬力、或いはトン数の大きいのがようございましようけれども、私達は一応公平な立場から農林の三十という線を何いたしまして、水産庁の方へ陳情いたしておつたのであります。それを以て直ちにこれは徳島の方がそういうふうに馬力を大きくして違反の漁業をやるのであるというふうに即断されておるようでありますけれども、決して私の徳島紀伊水道に面する漁業組合の殆どがこれに反対であるということは十分御承知願いたいと思うのでありまして、只今私が名前を指しまして、自分のところの県のことを申上げましたのですけれども、本当に一つか二つの組合がそこでやつておるということでありますから、十分この点は御承知願いたいと思うのであります。それで、課長さんの放送の件は、これは放送員か或いは新聞社の方の間違いでありまして、私も新聞を見ました。そうして二日程しまして又新聞に、それが間違いであるということが載つておりました。あとで聞きましたら、水産課長さんは、こういうことを履き間違えて書いてある、それでこれを訂正せいというふうに新聞社に申したのでありますけれども、二日して訂正せずに、例えば紀伊水道事情が合うようにして貰つても底曳は絶対にできないというふうなことを殊更に水産課長さんから、そういう誤解がありましたから新聞に載せております。今度上京するときに水産課長さんが、その資料を持つて来て呉れというふうに言われましたけれども、そういうことは馬鹿らしいというので私は持つて来ませんでしたが、そういうふうな事情でありますからちよつと申上げたいと思います。
  117. 青山正一

    ○青山正一君 いろいろな公正な御意見有難うございます。併しながらこの徳島県の漁業者の大部分の御意見と言いますか、又本当の肚の底の底というものは、結局瀬戸内海規則によつて、あの海区ははつきりと入るというようなことになりますとすると、結局底曳の大型船とか或いは「ばつち」網、ああいうふうなものの大型のものが使用禁止になるとか、或いは極度に制限されると、それこそ徳島県に及ぼす漁業の影響が非常に大きいのだ、だから漁区を設定して欲しい、若しくはそういうふうな許可を是非とも例えば二十トンを四十トンにして欲しいということで陳情しているかのごとく聞いておりますのですが、そのあなたのお気持はそうなんですか、その点について……
  118. 濱田邦美

    証人濱田邦美君) 徳島県の紀伊水道から以南の方は、これは県下漁業者が実は誤解をしているのでありまして、最近それがはつきりいたしまして、四月に入りまして連合会の総会の後分つたわけでありまして、大体今度の漁業法改正になりましたときに、徳島県の水産課が説明いたしましたこの類似船の件につきまして、全部の漁民誤解をしたわけでございます。それで喧々囂々と議論がありまして今日に至つてつたのでありますが、実は類似船もやれるのだ、で、「まんがん」も或いはそういう牟岐のものも一応、社会上それを急速に何もできない、やれるのだというふうな観念を、直ちに漁民、又私達もそういうふうな観念を持つたわけであります。それでは困るというので、殆どがこれは、今までそんなら正直にやつていたものが馬鹿見る、そういうことではどうもならんというような意見でありましたけれども、併し水産庁の方が、類似船は一応社会上相当殖えているから、それを急速に止められないからというふうな説明であつたと思うのであります。それでそういうふうに誤解をしているわけであります。それでこの海区をここまで外すというふうになりますと、すべての人が、紀伊水道では何もかもできるというように誤解をしたわけであります。その誤解只今香川県から申されましたごとく、私も南の方の男でありますから、牟岐の方でこれは反対しておるということは、ここを外してしまえば何でも無許可で「まんがん」でも機船底曳でも何でもできるというふうに誤解をしておるわけであります。そうすると、最初のうちはこの椿泊から以北もそれでは困る、そういこうとでは、類似船がやれるというのでは困るというふうなことでございました。それと、一番これに力を入れましたのは「ばつち」網が機船底曳類似であるという点に刺戟をされまして、私達はまあ大挙上京したようなわけであります。そのときにいろいろと、それはデマとか何とか飛ぶのでしようけれども、大体そういうのは瀬戸内海の方の人々の策略であるというふうに我々は誤解でありましようが、とにかく瀬戸内海の方でも巾著網の大きなものもやれば、揚繰網もやるに拘わらず、我々はこれが咽喉口であるというのを称して最近瀬戸内海でもどこでも違反漁業があつて漁獲は減つておるのに拘わらず、ただその理由瀬戸内海のみに、押進めて、ここにこれだけの船があるからしてこれを達成しようという企みではなかろうかというふうにも我々は推測したように考えておるわけであります。でそれはまあ一応解決をいたしましたのですが、それでこの一応解決をいたしましたのですが、それでこの一応徳島、小松島、北灘の中でも本当にこれを心配しそういう漁業をしておらない人もおりますから、心配しておるわけであります。これは混同されておりますのが、ここを切離せば違反漁業はやれるというふうに今漁民が考えておりますからして、この海区の切離しと違反漁業というものをごつちやにしておりますから、そんな点から見解が一致しておらんようにとられておるわけであります。最近あれが四月十二日でありましようか、何日でありますか総会を二回程したことがありましたが、そのいずれかにそういう議論が出まして、それがはつきりして来たわけであります。  もう一つ関係して……この鳴門の方が一本釣が多いわけであります。この今の問題の北灘の方にも一本釣がありますし、鳴門の方面にもありますが、この方面で反対というふうにとられるかも知れませんけれども、それは反対というのは牟岐の違反漁業反対でありまして、その点はこの切離しの問題と、まんがんの類似船水産庁の処理の問題に対しても非常に混同しておるように私は考えております。それと北灘の問題でありますが、これは一応非常に苦しい立場であると私は推測するわけでありまして、私も徳島県の連合会長としましては、北灘漁業会は相当香川県との入会関係上非常に密接な関係がありましたから、私も非常に身の裂かれる思いがしましたし、又今後友好関係を続ける上におきまして、北灘のこの組合だけは非常に心配しておるわけであります。で、これは巾著網とか揚繰網の共同漁場、或いは打瀬もこのところでやります。打瀬の半年の期間は全部小松島、徳島、殆んど小松島のところへ来まして、この打瀬網をここでやつておるわけでありまして、それで会合の度ごとに北灘組合長さんが、どんな事態になろうとも、我々は同じ徳島県の人間だから、この紀伊水道で今まで通り入会をするようにと、そういうふうな申出がありましたし、私達としてもそれは了承し、暗黙の裡にしておるわけであります。まあ北灘は、特殊な地位にありました関係上、これに対して反対は多分七割以上はあると私は想像いたします。
  119. 青山正一

    ○青山正一君 有難うございました。もう一点だけ……先程溝淵証人からの証言に何だか文章が固苦しくて僕は腑に落ちなかつたのですが、天皇陛下が巡幸の際、水産試験場長から上奏した内容に、つまり紀伊水道瀬戸内海と同様の何とか、内海性とかこうとか言つてつたのですが、それをもう少し詳しく御説明願いたいと思います。  それからいま一点は、何だかこの民政部ですかどこですか、民政部が徳島の牟岐どうとかこうとかと言つておりましたが、その点を少し詳しく分り易く口語体で説明して頂きたい。
  120. 溝淵熊雄

    証人(溝淵熊雄君) 二月二十日の衆議院水産委員会提案になりました田淵外二十名の提案に係る件で、田淵議員が提案理由の中に、これは紀伊水道は絶対に内海性のものではない、外海性ものであると、こういうようなことを言われておつたのであります。それはそうでない。私は塩飽と申しまして香川県と丁度岡山県の中間の小さい孤島に生まれまして、幼少の頃から漁業をやつておりました。尚徳島近く或いは高知方面にも出ておりましたので、土質をよく心得ております。で、瀬戸内海の土質と紀伊水道の土質並びに県当局調査による実情によりましても、魚種、漁法、こういうようなものが期間的にズレはあつても同じなんであります。そこで我々のところから出漁しましても、日の御岬を廻らなければ、外海に出たということには漁師は申しておりません。鳴門と申して出ておりましても、瀬戸内海とこういうような観念しか持つておらないのであります。そこで徳島県側の人も勿論外海並とか、或いは外海性を帯びておる……多少の異りはあつても私は八〇%まで海性を帯びておるということを言えるのではないか。  過般天皇陛下四国行幸のみぎりに、徳島に行幸の際に、徳島県で発行になつております徳島水産時報というのがありますが、これによりますと徳島水産試験場の名前で奏上文をここに掲載してあります。これはその部分だけちよつと読んでみます。「本県は播磨灘、紀伊水道、太平洋の三面海に面し、海岸線六十余里に及び吉野、那賀川の四国二大河川を初め、幾多の諸河川流入し、魚族の棲息繁殖に適し、各種漁業が発達しております。  漁場を性質により大別いたしますと、播磨灘、紀伊水道、太平洋及び内水面とに分れ、播磨灘は純内海性にして紀伊水道内海より流出する内海水により内海性的な性質も帯びております。このため漁業は三月より十二月を主要漁期として」云々とあるのであります。  勿論天皇陛下への奏上文に本当のありのままの気持をお書きになつたと私は解釈しておるのでありますが、あの説明には全然外海性のように御説明になつておるので、この点我々はこの海区から離れたいために外海性と言つておるのではないか、私達の方から解釈いたしますと、紀伊水道を別個にするために外海性と言つた方がいいから言つたので、本当に何の気なしに、こういう奏上文をお作りになつたときには、内海性を帯びておるというふうに言われておるのではないかと、こういうのであります。  それからもう一つ先程の徳島会長も言われましたが、何か誤解があつてとこういうように言われましたが、牟岐の方に四国民事部の水産部門担当の方が、この瀬戸内海海区問題で四国新聞にもちよいちよい掲載されてあるので、非常に心配をしまして、私の方の常務理事を呼びましてどういうようないきさつか、こういうことで民事部の方から調査がありました。で参りましてありのままを申上げたら、直ぐさま徳島県の方の実情調査に民事部の水産部担当の者が行かれた。ところが現在の瀬戸内海の区域である日の御岬の蒲生田線の見通しを越えた牟岐という町があります。この牟岐という町に参りましたときに、牟岐の漁民が、実は最近、この近年は底曳業者に荒らされて困つておる、瀬戸内海取締規則に適用されておる所なれば簡単に取締ができるように解釈をしておるのでないかと思つて私は解釈したのでありますが、漁業者は何とかしてその区域を拡大して、その区域の中に入れて欲しいということをその民事部の方に言われた。で民事部の方は、それは県庁の方に申入れればいいではないか、こういうようなお話があつたそうであります。ところが業者は現在和歌山県と両方を共同で実は海区の分離を申請しておるときで、とても取合つて呉れませんので、民事部の方でよろしくお願いしますとこういうように言われたということを常務が聞いて帰りまして私に申したのであります。
  121. 青山正一

    ○青山正一君 どうもいろいろ有難うございました。私の質問をこれで終ります。
  122. 尾形六郎兵衞

    ○尾形六郎兵衞君 溝淵証人にお聞きしたい。溝淵証人紀伊水道瀬戸内海海区から分離することについて反対のような御意見であつた。それは要するに紀伊水道もつまり瀬戸内海と同じ性質のものであつて、不離一体である、これを分離することによつて、或いは紀伊水道に棲息しておる魚が盛んに盗漁をされて濫獲式になる、その結果瀬戸内海が全面的に魚族が少くなる、こういうような意味なのでしようか。
  123. 溝淵熊雄

    証人(溝淵熊雄君) 紀伊水道違反漁業が跋扈してということは、私は瀬戸内海面におきましても、現在の瀬戸内海開業取締規則に当嵌めた場合は、大部分違反漁業ではないか、かように解釈しております。この点につきまして水産庁の、もう今辞められましたが、飯山長官にも瀬戸内海漁業取締規則改正を一日も早くして欲しい。なぜならば昭和十二年に一度ちよつと筆を入れたと思うのでありますが、その後非常時局と……支那事変が起きて、支那事変が起きたのが十二年七月だつたと思いますが、それから統制が非常に強化いたしまして、特に戦時中一にも増産、二にも増産、こういうような意味から極度に供出を要求されたのであります。そのために何とかしてこれを供出を余計せなければならんというようなことから、従つて従来非常に取締が嚴重であつた違反漁業を、例えば瀬戸内海のえび漕ぎ、或いは小さい五馬力とか七馬力をつけている打瀬でも、これは往復の途中であつたのであります。ところが段々と馬力を大きくして、十馬力にして、小さい船を持つて建曳で以て行けると、こういうような状況で行けば、人が金のないときにもやつて商売をして、そうして供出ができる。供出量が、成績がいいと、時の総理大臣東條英機大将から賞状を貰う、こういうようなことで違反漁業取締らなかつたのであります。そこで終戦後その惰性と申しますか、行きがかりがありまして、瀬戸内海の大部分の打瀬或いはえび漕ぎと称しておるものも大なり小なりに皆違反しておる、本証人はそういうように考えておるので、敢て紀伊水道のみ違反漁業が跋扈するというようには解釈しておりませんが、瀬戸内海における我々香川県には約四千トンに近い、小さい五馬力乃至七馬力、大きいので十馬力がついておる動力船がありますが、これら自体が、底曳網の打瀬網に機械をつけておること自体が、今の瀬戸内海漁業取締規則に抵触するのであります。これは往復の途中といつても、あの瀬戸内海漁業取締規則には螺旋推進機をつけたもの、こういうことになつておるので、もう殆んどそのまま検挙するならば、そのまま港におる船であつても私は違反だと思つておるのであります。この紀伊水道におきましては大きい馬力をつけておると、こういうことを漁民が申しておりますので、四十馬力、五十馬力というようなものであるならば、恐らく往復の途中でなくて、それは一艘漕ぎのいわゆる底曳に類似した打瀬網の底曳漁業だから、当然これは違反漁業である、かような規則は一日も早く改廃して、そうして資源保護のためにも、又我々の生活を擁護するために、今は一日も早く規則を改廃して頂きたい、こういう意味で申上げたのであります。
  124. 尾形六郎兵衞

    ○尾形六郎兵衞君 溝淵君にもう一つお尋ねいたしますが、只今いろいろ御説明がありましたが、私はもつと簡単にお聞きしたいので、分離反対される理由としまして、分離をすれば紀伊水道で濫獲をする、従つて瀬戸内海の魚族は相当程度そのために激減する虞れがあるから、分離反対されるのであるかどうか、それをお聞きしたのであります。只今のお話によりますると、それはお互いにやつておるから、この分離の問題も瀬戸内海の魚の繁殖保護関係ない、こういうように解釈して差支ありませんか。
  125. 溝淵熊雄

    証人(溝淵熊雄君) 全然御質問にお答えした私の気持が通じておらないようでありますから、私はこの紀淡海峡と鳴門海峡で以て区域を分離した場合に、当然海区が変れば調整委員が別個の同資格で以てできる。この場合に漁業制度のいわゆる民主化のためにできたこの法律によつて、従来のような許可の方針がなくして、その調整委員によつて漁業制度を改革される。そうなりますと、この鳴門口において我々は現在のところ桝網を張出しておりましても桝網の張出しが沖へ出たといつてお互いに業者と流し網の食合いがあるというときに、漁期の他の方面においてズレのある、いわゆる同じような方法であつても、この区域において漁法、魚種、こういうことについて許可等の心配をいたしまして、若し入口でそういうことになりますならば、恐らく本県における実害は非常に大きいので、反対いたしたのであります。
  126. 尾形六郎兵衞

    ○尾形六郎兵衞君 そうすると、繁殖保護というよりも、漁業漁獲しまする魚種別が非常に心配だ、こういう意味で、反対なさる、こういう意味ですか。成るべく簡単に話して下さい。
  127. 溝淵熊雄

    証人(溝淵熊雄君) それだけではありません。入口で以て、瀬戸内海の私の方の漁獲物等が殆んどこの鳴門口から入りまして、そうして冬の時期に紀伊水道に下るのであります。春になつたら入つてくると、こういうような意味から養卵地として瀬戸内海に産卵に入るものを入口で獲る。従つて漁獲が減少して、更に子は産まないというようなことで、現在県の調査によりましても漁獲半減と、こういうことになつて陳情しているような状態であります。ですから当然資源保護漁獲減少、あらゆる部面に支障を来すと、こういうのが香川漁民反対する意味であります。
  128. 尾形六郎兵衞

    ○尾形六郎兵衞君 濱田証人にお聞きしたいのですが、今の紀伊水道の機船底曳と、徳島県、或いは和歌山県、あなたは和歌山県だが、正式の機船底曳をやりたいというあなたの県ではそういう希望があり、又そういう実現を期しているのですか、どうですか。その点をお聞きしたい。
  129. 濱田邦美

    証人濱田邦美君) お答えいたします。機船底曳網漁業の正規のものはこの紀伊水道以南の地域であります。紀伊水道の機船底曳に対しましては、只今私その組合の名前まで申上げましたごとく、この紀伊水道に面しております殆んどの組合がそれに反対をしているのであります。その御懸念は絶対にございません。その点この南の方が機船底曳に対しての御意見は、これが開放されましたならばこの紀伊水道まで範囲が拡張されるというふうな誤解を受けているように考えているわけであります。絶対に私達が、協同組合の総会におきましても、その違反漁業があると予想される組合の方々とこれの急速なる転向につきまして協議をいたしているのでありまして、本日この予想される組合の馬力、機械船の頭数まで私控えて来ているような次第であります。これを切離して、機船底曳という資源保護に非常に有害なるものに対しましては全県一致いたしまして禁止するように申合せをいたしている次第であります。
  130. 尾形六郎兵衞

    ○尾形六郎兵衞君 永井証人にお聞きしたいのですが、先程永井証人はこの今の海の状態を河川と、つまり外海と河川、恰かも「さけ」が河川に上つて子を産むと、そのような状態と先にお話がありましたが、これは私も前からこのことを考えておつたのであります。従つて瀬戸内海を河川とすれば紀伊水道はその外であるというような譬えになりますが、大体その河川で例えて見ますと、河口から四キロぐらいのところに定置漁業を免許している。それから三キロから四キロくらいで又定置漁業を免許している、こういうような状態であります。又川の中におきましても川の中の漁業を、或る程度許す。これも魚も獲れ、且つ繁殖保護の政策にも適う、こういうようなことになつております。私思うに、内海でも相当の魚を獲る、それから紀伊水道におきましても、一定のつまり基準によつて、或いは法令によつて、濫獲しないで魚を獲る方法があれば、当然紀伊水道の海面の漁民自分の沖合の恩惠を享受するという最大の権利があるのでありまするから、差支ないように思いまするがあなたは如何にお考えですか。つまり内海の権利を主張するならば、当然川の外のものの権利もやはり保護するという権利の下にこの問題を扱うべきだと思いまするが、その点について、川の外の、例えて見ますると、定置漁業、漁場、その方面の魚の獲り方について誤懸念でもあるのですか、どうですか。
  131. 永井寛次

    証人永井寛次君) 私が紀伊水道瀬戸内海とを包含しなくちやいけないと言うのは、御質問のように、丁度幅の狭い海でありまして、平常恰かも川のようである。而も温度の関係で、河口の方へ冬避寒する魚が相当あるのであります。ところが従来はいわゆる官僚調整でありまして、許可、免許というような場合には、これは役所がやつたのであります。然るに今回は漁業者みずからがそういう調整をやる権利を与えられた。従つて私共が最も依存しなくてはならない紀伊水道に対しまして、発言権がなかつた場合にはどうなるか。ところがこれを衆議院修正案は、上に調整事務局一つあるんだから心配するなということをおつしやる。そうなると、折角できた漁業者自主性を尊重するという精神が、少なくとも瀬戸内海においては全然ないのじやないか。紀伊水道漁業調整委員会も、瀬戸内海漁業調整委員会もでくの坊で、上の官庁である調整事務局のみがひとりこれをやるんだという意味で、私は底曳網とか何とか言わず、そういうもの、或いは繁殖保護を含めた漁業調整全般に対しまして、瀬戸内海のものも紀伊水道に対して発言権を持つていかなくちやならない、そういう意味から私はあの修正案反対しておるのであります。
  132. 尾形六郎兵衞

    ○尾形六郎兵衞君 永井証人にもう一度お聴きしますが、証人の御意見として瀬戸内海漁業調整委員会も、紀伊水道漁業調整委員会も、その上に瀬戸内海調整事務局があるから、あんまり効をなさないというお話でありましたが、それは私はあなたのつまり御心配じやなかろうかと思う。今日ではこういうふうな法律が出ました以上は、事務局はむしろ調整委員会でこれを使う立場にあつて調整委員会が権威を持つてつて差支ない、こう思いますので、この点についてそう御心配にならないように私からお願いしたいと思います。  三浦証人にお聴きしたいのですが、紀伊水道連合漁業調整委員会には、和歌山徳島のみならず、あなたの方の兵庫県もお入りになつて、そこで十分に発言権を持たれるのですが、それでも御心配なのでしようか。
  133. 三浦清太郎

    証人三浦清太郎君) お尋ねは、三県の関係のように思いますが、勿論私の県も発言権があることになるのでありますが、そこで現在のように私らが杞憂いたしておりますることが、反対である問題になつておりますので、そうした杞憂から出発いたしますが、それを事実と解しまして、今後における相互の見解が違つておりましたら、発言権はありましても、或いは和歌山或いは徳島の両県が良く歩調を合されております以上には、二対一という関係になつて、いつも発言は効をなさん、二対一だから、意見が通らないということが心配なのであります。
  134. 尾形六郎兵衞

    ○尾形六郎兵衞君 そうすると、三浦証人にお聴きしたいのですが、要するに兵庫県のつまり権利を主張する場合に、数の上で負ける、こういうことからしてこれに反対なさるわけですね。
  135. 三浦清太郎

    証人三浦清太郎君) ただそれだけではないのですけれども、只今三県関係だけをお尋ねになられたからお答えしたわけです。私の方は根本的な大きな理由を持つております。
  136. 尾形六郎兵衞

    ○尾形六郎兵衞君 濱田証人にお聴きしたいのですが、そういう数の問題になりますと、和歌山とか徳島瀬戸内海漁業調整委員会に入ると数で負けるから、これから別れたいという気持をあなたの方では持つておられるのですか。
  137. 濱田邦美

    証人濱田邦美君) もう一度ちよつと。
  138. 尾形六郎兵衞

    ○尾形六郎兵衞君 瀬戸内海調整委員会にあなたの方も入つておると、徳島和歌山に数の上で負けるから、これと別れたいという意味であるか、又は本質的に別個の意味合からして別れたいというのであるか、どちらなんですか。
  139. 濱田邦美

    証人濱田邦美君) お答えいたします。その一つは、取締規則の方から申しまして、在来紀伊水道の風浪或いは海深或いは潮流その他の関係で、瀬戸内海とは、我々先祖から漁法或いは漁船の様式を異にいたしております関係上、この事情に合つた取締規則を以てして頂きたいことと、もう一つは、私達が昔から徳島、淡路、和歌山の三県の漁民によつてこの紀伊水道は、今度制定されました漁業調整委員会のごときものは構成して、協議の上で操業して来ておると私は考えております。そういう意味におきまして、相当事情が違い、又瀬戸内海のごとく島又島というふうな非常に複雑した入会関係でございませんから、瀬戸内海と同様の委員会におきましては、そういう先入感によつて植えつけられた調整委員の方によつて、この紀伊水道のいろいろな調整に対しましての御意見は、我々の紀伊水道漁民調整に妥当でないと考えております関係上、紀伊水道漁民自主性を認めて頂いて、ここに別個な特別な調整委員会の海区を設けて頂きたいとお願いしておる次第でございます。
  140. 尾形六郎兵衞

    ○尾形六郎兵衞君 溝淵証人にお聴きしたいのですが、先程繁殖保護の話から、いろいろ無許可船のお話がいろいろ証人からありましたが、実はこれは瀬戸内海紀伊水道を通じましての問題だと思いまするが、我が国の今の以東底曳の許可は四千足らず、無許可船が約三万、最近水産庁のその係官から聴いた話ですが、そのうちの半分はいわゆるあなたの方の海なのです。小規模なものもあるでしようが非常に夥しい一万何千という、つまり正式に許可を受けない船が、無許可船が操業しておる、こういうことなのです。それで私共思いまするのに、いろいろ繁殖保護の問題がありましたが、こういう機会に漁区のこともそうであるが、現状をそのまま認めて行つて魚族が段々減少しやしないか、するとすればこの機会に何かの方法でこれを調整することの必要はないかということについてあなたのお考えを、要点なりを、お聴かせ願いたいと思います。
  141. 溝淵熊雄

    証人(溝淵熊雄君) 只今の御質問で私ちよつと腑に落ちませんのは、以東の底曳網のところで無許可の底曳が三万とおつしやいましたが、これは瀬戸内海におけるいわゆる取締規則に反しておるということですが、五馬力のようなものを包含しておるのでございます。
  142. 尾形六郎兵衞

    ○尾形六郎兵衞君 包含してです。
  143. 溝淵熊雄

    証人(溝淵熊雄君) これにつきましては早急に水産庁に要望いたしまして、当局として、政府において瀬戸内海漁業取締規則改正して頂きたい。そうして従来県令で以て取締らしておる場合に、例えば岡山県と香川県の場合、岡山県の違反船が香川県に入つた場合は、香川県の取締船は自分のところの違反船に対しては、早くそちらへ行け、或いは岡山県のものに対しては、それを取締るというようなところからして、どうしても取締部面がうまく行かないのであります。そこでこの瀬戸内海漁業調整事務局の一本の下に嚴重な取締をして、定めたところの規則によつて十分励行して行くならば、瀬戸内海違反漁業取締は十分立行くものと解釈しております。
  144. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 外に御質問ありませんか。
  145. 青山正一

    ○青山正一君 委員長にお願いがあるのですが、発言を許して下さい。委員長に最後にお願いがあるのであります。この紀伊水道の問題は御承知のように非常に重要な問題で、可否如何に決定するにしましても、その及ぼす影響が非常に大きいのであります。で、関係府県の参衆両院の者が非常に大騒ぎしてあちらにもこちらにも毆り合いをしておるというような状態を見ましても、その一端が窺われるのであります。或いは先程香川県の溝淵証人証言にあるごとく、若し自分らの主張が通らなければ、知事とか、或いは県会議員、経済部長、水産課長、県漁連会長なり、或いは役員諸公、或いは沿岸の各漁業組合長などがはつきり責任をとるとおつしやつておるのであります。こういつたことは兵庫県でも或いは和歌山県においても同様だろうと思うのであります。ここに来られておりまする徳島県の会長なり或いは課長も同様の気持だろうと私は察するのであります。これ程政治的に動いた大きな問題はないだろうと思うのであります。それで私のお願いというのは、委員長個人名でもいいと思うのでありますが、一つ各県漁連の会長宛に、この法案が可否如何に決まろうとも、絶対にその部内において責任上辞めるとかいうようなことにならんよう、予め十分に申入れ願いたい。これは私が現地を視察して、考えに考えあぐんだ結果委員長にお願いするわけですから、私の言外の意味一つ御了察願つてどうかよろしくお願いしたいと思います。
  146. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 承知しました。
  147. 濱田邦美

    証人濱田邦美君) ちよつと先程の数字の訂正をしたいのですが……
  148. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 訂正ですか。どうぞ。
  149. 濱田邦美

    証人濱田邦美君) 徳島県で違反漁業のある組合と想像いたしました組合の馬力数の間違いを訂正いたしたいと思います。小松島が新小松島と二つになつております関係上、新小松島の方を飛ばしておりました。小松島の方へ十七隻十トン以上に追加願いたいと思います。併しこの数字は各組合の十トン以上の船の総数でございまして、決してそれが違反船でないことをご了承願いたいと思います。参考までに、徳島県といたしましてはこれの取締に対しまして相当熱心にやつております関係上、それをやつていると思われる組合の馬力数を記録して来ましたものですからちよつと訂正いたします。
  150. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 外に御質問ありませんか。千田さん、ありませんか。
  151. 千田正

    千田正君 いろいろ証人の方々の御意見を伺つておりますというと、結局新らしい日本の今度の漁業の制度に関する点について、非常に過去の問題や何かを考えた結果が、お互いに疑心暗鬼を生じているように私は考える。むしろこの際関係各県は協力して新らしい漁業法の施行によるところの問題を解決しなければならないにも拘わらず、お互いの県のことを考え、或いは船の問題、或いは委員会における委員数の問題、いろいろのことを考えて、相手はこうするのじやないか、こうなつた場合はこういうふうに行くのじやないかというふうに非常にその点において杞憂を持ちながら、この問題を重点に逆に突入して来ているような感がありますのでこの点につきましては、私から各証人の人達が、恐らく今後調整委員会や何かにおいて、皆さん自体が今度はこの調整委員会を運営していかなければならん。同時に関係漁民のあなた方は代表者として今後これを運営して行く上において、今までのような考え方であつたならば、恐らく闘争に次ぐ闘争であつて、むしろこれが漁民のためにも不幸がますます増加するのじやないかということを私は恐れるのであります。そこで今後この問題を解決する点におきまして、どうしたならばいいか、お互いに反対の意見ばかり申されつつあつたのではいかんのであつて、むしろ今後与えられた漁民の権利を代表して、あなた方がどうしたならばこの瀬戸内海並びにこれに関係するところの各県の漁民が、より以上安寧秩序を守りながら自分の業に励んで行かれるかということを考えられるが一番至当じやないかというふうに考えられるのでありますが、この私の考えに対しまして、何か御意見があるならば、私は各証人の方々からどなたか手を挙げて頂いて……私の意見が間違つている、そうじやないのだ、やつぱりこうしなければならないのだというような、飽くまでそういう考えがあるとするならば、その点において私は他県の人間でもありますが、勿論漁業には関係しておりません。併し正しい意味においてこの新しい民主国家におけるところの漁民の在り方、それを代表してあなた方が与えられた権利をみずから行使しなければならない。そうして関係漁民のために我々が結束して日本の水産業の発達のために尽くさなければならないという信念を持つているならば、恐らくこの問題は解決できるのじやないか、こう思うのでありますので、私が今こう申上げた点につきまして、何か、そうじやないのだ、是非ともこの問題はこうしなければならないという別個の御意見があるならば伺つて置きたいと思います。
  152. 宮崎善吉

    証人宮崎善吉君) 只今のお説を拜聴させて頂きましたが、結局あなたの説はどうかというと、はつきりとした御返答のないように思いますが、我々無学な者として、又私共の立つておる今の立場から考えても、千田さんの本当の御意見をしかと我々の脳裡にしみ込むように一つ説明を願いたいと思います。
  153. 千田正

    千田正君 私は今までのあなたの方のおつしやるお言葉を聞いておりますというと、お互いにおつしやるところは現在の立場においてはどうしても反対だ。お互いに反対を固執しておられる。これでは結局不幸じやないか。その県においても、どの漁民も不幸じやないか。私共は尚衆議院から通過して来たところのこの法案を検討するに不幸な案であつてはならない。若し正しいならば賛成しますけれども、これによつてどつかに不幸なものがあつたとするならばそれを是正するなり、或いはその不幸を排除しなければならない、そういうことを考えるときに、もう少し我々はもつと先々のことを考えて上げなければならないのじやないか、こう思うので、私は今日の皆さんの方々の証言だけでは甚だ残念ながら私はここに結論を見出すことができないのであります。殊に外の方々はこれはこうする、或いはこうしたらよいだろうというはつきりした結論があるかも知れませんが、私自身の申上げた点は、先程申上げました通り、本当に新しい意味におけるところの漁業がいわゆる協同組合になつて、そうして働く漁民のために新しい行き方をするというところに、今後の漁業の発達があると思うのだが、それを十分にお呑み込みにならないのじやないか。むしろ今までのことを中心にして考えられて、将来はこうなるのじやないか、或いはこういくのじやないか、和歌山県ではこうなるのじやないか、兵庫県ではこうなるのじやないかというふうな、非常に皆さんが御心配になつておられる点が相当あるので、反対しておるのじやないか、お互いに……そこに何か知らん反対にならないような、手を握つて行けるような解決点を見出したいと私は焦つておるのであります。で、私はまだ結論をあなた方にお伝えするところの……今までのあなた方の御証言では私は確保でき得ない、残念ながら……それで尚又将来水産庁の人達が或いは現地について、更に派遣された議員の方々の明快なる御報告によつて、私共は委員会としての結論を見出したいと、こう思つておるのでありまして、甚だ私共としては残念ながらこうだという結論を申上げるわけにはいかない、こういうふうに思います。
  154. 宮崎善吉

    証人宮崎善吉君) 御意見有難うございます。
  155. 成川善太郎

    証人成川善太郎君) 只今千田先生から御親切なお話があつたのでありますが、私はこの問題は先生の御心配下さるようなものではないと、こういうふうに考えておるのであります。それは何となれば今貧弱な証人ばかりでお気に召さんかも存じませんが、申上げることがそれぞれ県内の事情を申上げたのであり、又それには相当いろいろな意見があつたように思います。併し事ここに至つた以上はこのまま推し進めることが、むしろその間に雑音が入つてますます紛糾を重ねることに相成るのであります。今日の私共の拙なる証言ではありますが、それによつて大体のヒントを得られたと思うのであります。この問題は聞きますと、従来私共の雑音が入りまして神聖なる議会の、何という言葉を使つたらよろしいのでしようか、信用という面にまで傷つけるような雑音まで入つております。或いは国会の権威の上におきましても、あなた方でこの際成案をお作り頂きまして、断乎として御処置頂いて結構でありますから、そういうふうに御斟酌されて断行して頂くことをお願いいたします。
  156. 永井寛次

    証人永井寛次君) 千田委員の御高説を拜聴いたしまして誠に感謝に堪えない次第でございます。私共が懸念しておりました機船底曳の問題も今日関係証人言葉通りならば更に心配することはないのでありますが、それ以外にそういうことがないとすれば、徳島和歌山の進み方も私共の進み方も全然一致なんであります。而も瀬戸内海紀伊水道に依存するところが多い。瀬戸内海であるところの紀伊水道瀬戸内海でなくしたところに今度の紛争が起きておるのであります。私は昼飯のときに濱田証人といろいろ懇談したのでありますが、私は少なくとも現在の法律の部面において適当な運営次第で十分和歌山徳島の御意見を入れて行かれるというふうに考えております。私共は決して瀬戸内海全般に関係のない地方的な漁業調整まで口を入れようというのではないのであります。瀬戸内海全般に関係する漁業調整については私共の方を全然忘れては困る。然るに今度の修正案が通過しましたら最後、千田先生のおつしやる通り私共は和歌山徳島と手を握ろうと思つても握れない、そこに隔たりが起きてしまう。これが恐ろしいのであります。私共は機船底曳を徹底的に瀬戸内海から駆逐せよという制限の意見を聴いて極めて心強く思つております。瀬戸内海零細漁民が一体になつて瀬戸内海から機船底曳を駆逐して、そうして生産を増強して漁業者生活というものをもつと安定したいというふうに考えております。この場合におきまして私はどこまでも現行法を御施行下さいまして、十分二十何万の内海漁業者立場を御理解して下さるようにひとえにお願いしたいと思います。
  157. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 質問も終了したので、これで閉会いたします。閉会に当たりまして一言御挨拶申上げます。  証人各位には遠路御上京願いまして、長時間に亙つて証言、或いは質問に対する応答を、而も詳細に亙つてお願いいたしまして、委員会といたしましては非常に得るところがありました。厚く御礼を申上げます。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時八分散会  出席者は左の通り    委員長     木下 辰雄君    理事           尾形六郎兵衞君            千田  正君    委員            青山 正一君            松下松治郎君            西山 龜七君            田中 信儀君   説明員    農林事務官    (水産庁漁政部    長)     松任谷健太郎君    農 林 技 官    (水産調査研    究部長)    藤永 元作君   証人    和歌山県箕島町   漁業協同組合長  成川善太郎君    和歌山加太町   漁業協同組合長  宮崎 善吉君    徳島漁業協同    組合連合会長  濱田 邦美君    兵庫漁業協同    組合連合会長  三浦清太郎君    香川漁業協同    組合連合会長  溝淵 熊雄君    岡山県漁業協同    組合連合会長  永井 寛次君