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1950-04-10 第7回国会 参議院 水産委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月十日(月曜日)    午後二時十一分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○漁港法案衆議院提出)   —————————————
  2. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 只今から委員会を開会いたします。公報に載せて置きましたように、漁港法案を議題に供します。提案の理由の説明を求めます。
  3. 川村善八郎

    衆議院議員川村善八郎君) 漁港に関する問題は、多年我々が完璧を期すためには日本漁業と睨み合せて、或いは日本経済力とも睨み合せて修築をいたしまして、生産の増強と日本経済に寄與しなければならん、かような考えの下に幾多研究をして参つたのであります。御承知通り日本漁業は、戰爭において、戰爭のために漁船は、或いは施設は全く破壊されて、今後このままに放置するならば、漁業進展を阻害するばかりでなく、日本経済に及ぼす影響日本の食糧問題に及ぼす影響は誠に甚大なのであります。幸いに終戰後漁船限つてはやや戰前に復し、而もその数も船型も相当拡大されましたので、今後資材と資本とによつて幾分戰前に近いまでに進展することができると思うのでありますけれども、これらの操業基地となるところの漁港は全く閑却されて、而も無計画にその地方の要望は全く相容れられず、官僚独善的な考え方や、或いは地方権力者の支配によつて、御都合主義の漁港を作つているというようなものばかりであつて、実際の日本漁業、或いは今後伸びゆく日本漁業にには完全役立つところの漁港というものは不足なのであります。從つて我々水産業委員の責任といたしまして、一日も早くこの問題を解決つけまするには、何といたしましても法を制定して、その法に基いて予算裏付をし、あらゆる技術、あらゆる知識を集中いたしまして、漁港完璧を期して、日本漁業進展と、日本経済発展を図らなければならん、かような次第から、我々が第四回国会から研究をして参つたのであります。そこで衆議院水産常任委員会におきましては、昨年の十二月二十二日に、漁港法案議員提出にしようという委員会に議が高まりまして、いろいろ協議をいたしました結果、満場一致、今期国会議員提出としようということに賛成を得たのであります。そこで私がその議の発端者といたしまして、小委員長に任命されましたので、当参議院水産常任委員会委員長並びに專門員の方にも御相談いたしまして、応援を得ることになつたのであります。そうしたようなことから起草その他関係方面等折衝に至るまで小委員会に委ね、小委員長の私としてその任務を背負うことになりましたので、鋭意この問題の解決のために努力したような次第であります。小委員会といたしましては、同月の二十三日より数度の協議会を開きまして、一応の原案作成し、その原案に基いて関係各省並びに関係方面とも折衝を重ねて、愼重に審議をして参つたのでありますが、何しろこの法案を制定いたしまするには、大蔵省の関係もあり、建設省の関係もあり、運輸省関係もあり、又法案作成については関係方面とのいろいろな折衝がありましたので、非常に時間がかかりましたが、その間多少の修正を加えつつ、関係方面その他各省等折衝をして参りまして、三月一日の小委員会におきまして、第二次案を作成いたしましたので、これを英訳をいたしまして、関係方面に提出しましたところ、三月二十二日付で文書を以て十項目に亘る御意見がありましたから、小委員会では事務当局並びに法制局とも協議をいたしまして、法案内容整備し、第三次案の作成を得たのであります。これを更に修正した分を英訳いたしまして関係方面に提出いたしましたところ、三月二十八日に関係方面から了解がありまして、同日の三十日午後三時頃に本案に対する完全な御承認を得たのであります。十項目に亘る関係方面意見に対しましては、あとが御説明を申上げることにいたします。  本案内容について大要を申上げますと第一に漁港法目的であります。漁業法漁港整備し、その維持管理を適正にして、水産業の発達を図り、国民生活の安定と国民経済発展に寄與することを目的とすることにいたしたのであります。  第二には港湾法との調整を図るために港湾法漁港区域には適用をしないということにすることにいたしました、それから漁港の定義及び漁港区域漁港法で定めることにしたのであります。港湾法漁港区に対する特別の規則については漁港法規定することにいたしたのであります。  第三には漁港指定であります。農林大臣は、漁港審議会の議を経て、且つ都道府県知事意見を徴して、漁港名称種類、及び区域を定めて漁港指定を行うことにいたしました。指定に際しましては、漁港区域については運輸大臣協議し、河川区域と重複する場合には河川管理者協議をすることにいたしました。  第四には、港港の種類漁港種類はその利用範囲から見て、第一種から第四種までの四種類に分けたのであります。  第五には漁港施設漁港施設はその施設種類用途等に従い基本施設機能施設の二種類として、各施設内容を明確にすることにいたしたのであります。  第六には漁港審議会漁港に関する重要事項を調査審議するために漁港審議会を設けることにいたしました。漁港審議会一定事項を調査審議する外、漁港に関する事項につき関係行政庁に対し意見を提出することができることにいたしたのであります。その委員漁港又は漁業に関し学識経驗のある者の中から、両議院の同意を得て内閣総理大臣が任命する者及び水産庁長官とすることにいたしたのであります。その組織は法案に盛られた通り、九人のうち一人は水産庁丁官、八人は内閣総理大臣国会承認、即ち衆議院参議院承認を経て任命することにしたのであります。  第七に、漁港整備計画農林大臣漁港審議会意見を徴し、その意見を採択して漁港整備計画を定め、閣議決定を経、内閣はこれを国会に提出して、その承認をうけなければならないことにしたのであります。若し農林大臣又は内閣漁港審議会意見を採択することができない場合は、漁港審議会意見を添えて、それぞれ閣議又は国会に提出しなければならないことにしたのであります。内閣は、毎年度国財政の許す範囲内において、漁港整備計画を実施するために必要な経費を計上しなければならないことにいたしたのであります。勿論最後の決定権は即ち国会にあるようにし法案内容がなつておるのでございます。  第八には、漁港修築事業施行者及び許可についてであります。漁港整備計画に基く漁港修築事業施行者は、国地方公共団体、即ち都道府県市町村又は水産業協同組合とし、国以外の者施が行する場合には農林大臣許可を受けなければならないことにいたしたのであります。  第九には、漁港修築事業費負担であります。国が漁港修築事業施行する場合には政令で定める基準に従い、その事業に要する費用の一部を漁港管理者負担させることができるようにしたのであります。国以外の者が第三種漁港又は第四種漁港における基本施設修築する場合には、それに要する費用のうち、左の区分により定める割合を国において負担することにいたしたのであります。第三種漁港北海道百分の六十、その他の地方百分の五十、第四種漁港北海道百分の八十、その他の地方百分の七十五又は百分の六十、国以外の者が第一種漁港又は第二種漁港における基本施設修築する場合には、それに必要なる費用のうち、国は左の区分により定める割合修築事業施行者補助することにいたしたのであります。第一種漁港北海道百分の六十、その他の地方百分の四十、第二種漁港北海道百分の六十、その他の地方百分の四十、国以外の者が行う機能施設については政令で定める基準に従い、予算範囲内で、その費用の一部は国が補助することができるようにしたのであります。  第十には、漁港管理者漁港維持保全、運営その他漁港維持管理の適正を図るため、農林大臣漁港審議会の議を経て定める基準に従い、且つ関係都道府県知事意見を徴して、地方公共団体又は水産業協同組合漁港管理者指定することにいたしたのであります。漁港管理者漁港管理計画及び漁港管理規程を定め、これに従い漁港維持管理を行う責に任ずることにいたしたのであります。漁港管理者漁港維持管理費用に充てるため、利用の対価を徴收することができることにいたしたのであります。この場合特に申上げて置きますことは、漁港管理会を置かなければならないことになつておりますが、水産業協同組合は、協同組合として一つ水産に関するすべての行政事項等扱つて執行機関となつておるのでありますから、特に管理会を置かなければならないといういわゆる決定的のものでないのでありまして、置くこともできるし、必要に応じては置きますし、必要がなければ協同組合みずから管理者となるようにしたのであります。  第十一には、漁港管理会漁港維持管理に関する重要な事項を調査審議させるため、原則として漁港管理会を設けなければならないことにいたしたのであります。その委員は、漁業者の互選する者及び地方公共団体の長が推薦する者から管理者が任命する者としたのであります。この組合及び内容については法案に詳細に織込んでおります。  第十二には、土地水面等の使用、收用を定めました、漁港修築事業施行及び漁港維持管理のため必要な最小限度において、土地若しくはこれに定着する物件又はこれらに関する権利を使用し、又は收用し得る方法を定めたのであります。  第十三には、漁港施設処分の制限、漁港管理計画又は漁港管理規程によつてする場合を除き漁港施設所有者又は占有者に対して、その施設讓渡、賃貸その他処分について権限を設けたのであります。  第十四には、漁港保全漁港管理計画、又は漁港管理規程によつてする場合を除く、漁港保全のために必要な措置を講じたのであります。  第十五には、運輸大臣に対する協議漁港区域内における施設については、農林大臣許可認可又は命令をする場合、運輸の用に重大な関係があるときは運輸大臣協議することといたしたのであります。詳細の内容につきましては、法案に全部盛られてありまするから、後程審議に当つて十分研究をして頂きたいのであります。  そこでこの方案の内容で一番問題になりましたのは補助率の問題であつたのであります。私らが考えました、あの国の財政の許す範囲というと、ただ漠としておりまして、又確定的でないようでありますることと、更にこの案では北海道内地方面との補助の比率が非常に変つていることでありまして我々衆議院水産常任委員会におきましても、補助率は平等でよろしいというような意見もあつたのでありますし、私は北海道出身者といたしまして北海道に有利な補助率條件となつていることは、誠にそれは北海道人としては好ましいことでありまするけれども、私といたしましても、この法案を取上げる際に、北海道内地とは、これは平等にしろということを主張したのであります。ただ北海道には未開発漁田がありまするので、この未開発漁田に対処するための漁港については、これは一〇〇%の国庫負担で行くべきであるけれども、その他は内地北海道同一な補助率で行くべきであるという意見を主張したのでありますけれども、遺憾ながら私の力の及ばなかつたために、さような法案に盛られたような、つまり補助率の非常な大きな差ができたということが一つと、先程申上げました、この法案について関係方面の十項目に亘るところの意見内容にも、実は北海道のごとき未開発地方においては、大きな国庫負担補助率を與えるように、こういうふうにせいということが言われた点もありましたので、私の主張も通らなかつたようなわけでありまするから、御了承を願いたいのであります。  尚、第二次案に対する関係方面からの意見は、今更ここで詳細に説明するまでもないのでありますけれども、これを総括的にかいつまんで申上げますならば、この法案、第二次案であります。第二次案の場合は余りに農林大臣権限が大き過ぎる、これは漁港地方のものであるから、もう少し地方意見を取入れるようにしなければならないということの前提におきまして、十項目意見参つたのでありますがそのうちで一番大きな問題をここで取上げますというと、第十七條でありますが、第十七條の第二次案には、それぞれ農林大臣権限許可認可は独占的にし得るようになつてつたのでありますが修正案、つまり第三次案では、漁港審議会意見を採択し、そうして保障を與えるようにしろ、次に、農林大臣がその意見を採択しないときは、漁港審議会意見農林大臣意見を付して、それぞれ内閣及び国会に提出しなくてはならないようにはつきり保障しろというふうなことも言われましたし、先程申上げました補助の点においても、内地北海道とは差を付ける。それから第三種及第四種は第二種よりも少し高率にしろというようなことも言われて参つたのであります。  それから第二次案では公聽会のことは触れなかつたのであります。というのは、この漁港に関する限りは地方的のものであるから、余りに公聽会の必要はないのじやないかということを我我も考えましたし、他の法案でも随分公聽会を聞いてすべてのことを決定しておるようでありますが、余り公聽会というというものの効果も大してないというので、大してということは断定できませんけれども、余りにこの法案に対しては効果がない。ただ問題は役員の罷免とか、或いは任命について云云と言つたような僅かな問題を考えたので、公聽会の必要はないと思つたのでありますが、やはり役員の任免とか、その他重要問題の決定については公聽会を開いて決定する方がいいのじやないか、といつたようなことも参つたのであります。  それから漁港管理会は、主として地方的の意味であるから、内閣余り干渉を受けることがないように地方的の選挙として行なつた方がいい。地方自治法及び衆議院議員選挙法を参照するといつたようなことで、この意味は大体地方的のものでから、漁民意思を十分反映するような制度にして選挙を行なつた方がいい、委員を出した方がいいということであります。  それから国会は国権の最高機関であつて国の唯一の立法機関であるから、條項に牴触する問題は、この憲法の規定は解釈上閣僚に対する過度の権限の委任を禁止するようにした方がいいのじやないかといつたような意見もあつたのであります。  それからこの法案は、大体漁港に関する限り農林大臣の殆んど絶対的な権限規定しておるが、余りに農林大臣権限を與えることは好ましくない。地方漁港管理会命令又は規則に違反した場合は、如何なる場合でも大臣該管理者の義務を遂行し、又如何なる人にもその権限を委任することができるようにしろ、こういうふうにしていわゆる地方的なその問題を解決付けられるようにしたのであります。そういう意見があつたのであります。それから第九にはこの罰則はつきりされておらない。いわゆるこれこれはこういうような罪を與えると、つまり刑罰に附するところの條項が確立しておらないというような意見もあつたのでありますが、それの意見がありました関係罰則というものについては余り嚴重なものを我々が付けなかつたのであります。以上のような次第で、この意見内容の大網というものは余りに農林大臣閣僚に支配されることなく、地方漁民意思を十分取上げられるように、而も最終の決定権国会で持つようにした方がいいというような意見であつたのであります。そうしたような意見も十分取入れて、本法案作成し、先程申し上げましたように、各省並びに関係方面等折衝を終えまして去る土曜日の八日に衆議院の本会議に上程したところ、皆さんの御協賛によつて衆議院は通過したような次第であります。以上簡單に御報告申上げて置きます。
  4. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 只今発議者の方から詳しく説明がありましたが、先ず逐條審議の前に総体的な御質問がありましたらお願いします。  御質問がありませんければ、第一章から、逐條に審議いたしたいと思います。第一第第一條二條、三條、四條について、川村さんから御説明願います。
  5. 川村善八郎

    衆議院議員川村善八郎君) 大体法案内容に対する意味のことは私から御説明申上げますが、法的のいろいろなこの作成についての法文内容につきましては、私の説明のできないときには法制局鮫島部長と、部長と常に立案しました林課長説明させたいと思います。  御承知通り、第一章の総則は第一條から第四條までになつておりまして法律目的漁港意義ガ漁港修築意義等が載せられております。そこでこの第一條目的は先程御説明した中に織込んでおります。第二條の問題は「この法律で「漁港」とは、天然又は人工の漁業根拠地となる水域及び陸域並び施設の総合体であつて、第五條第一項の規定により指定されたものをいう。」というふうに、先ず総括的に謳つております。これはあとで第五條のところで御説明申上げたいと思います。  第三條には漁港意義であります。ここに沢山説明してありまして、一、基本施設、イロハと三つに分けて、「外かく施設けい留施設水域施設」、これらは基本施設ということに相成つております。そこで基本施設もまたその他のものを加えたかつたのでありますけれども、いろいろ関係各省との折衝の結果、この三つに対し、下に示されておるような、このものを存設しようという、それから二に機能施設、イに輸送施設、ロは航行補助施設、ハは漁港施設用地ニ漁船漁具保全施設ホ補給施設ヘ漁獲物の処理、保蔵及び加工施設ト漁業用通信施設チ漁船船員厚生施設リ漁港管理施設、こういうものが機能施設として、この二つの施設に分けたような次第であります。先程御説明申上げましたようにこの施設に対して国庫負担或いは補助をするということに大体相成つておるのであります。  第四條は、漁港修築事業意義であります。即ち「この法律で「漁港修築業」とは、第十七條第一項の漁港整備計画に基いて行う漁港施設の新築、増築改築、補修若しくは除却漁港区域内の土地欠壊防止又は漁港区域内への土砂の流入の防止、その他漁港整備を図るための事業をいう。」と、かように定めらようなわけであります。特にこの際申上げて置きますことは、修築ということに相成つておりますけれども、災害の問題等は別のこれを定めて、やはり補助或いは国の負担をして貰うと、かようになつておるのでございます。
  6. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 第一章の四ケ條に対して御質問がありましたらお願いいたします……。御質問がありませんければ、第二章に移ります。
  7. 川村善八郎

    衆議院議員川村善八郎君) 第二章は、漁港指定でありまして、第五條から第六條の二項になつております。漁港指定と、漁港種類、かように規定してあるのであります。  第五條に、「農林大臣は、漁港審議会の議を経、且つ関係都道府県知事意見を徴して、漁港名称種類及び区域を定めて漁港指定を行う。」以下第二項、第三項、第四項、第五項にそれぞれその内容を謳つておるのであります。第六條に、漁港種類規定してありますが、先程も御説明申上げましたように、第一種から第四種となつておりますが、第一種の漁港は、その利用範囲地元漁業を主とするも、こうしたような意味から申しまして水産業協同組合もその管理主体いわゆる事業主体となることができるというような規定はつきり織込んだようなわけであります。第二種漁港はその利用範囲が第一種よりも広く、第三種漁港に属しないもの、もつとこれを細かに、御説明申上げますというと、いわゆる地元漁民利用するただ單なる漁港よりも、もう少し広い地方的な意議を以て利用されるもの、而も第三種漁港、即ち都道府県ばかりでなく、その利用範囲が全国的なものになるものよりも小さいもの、こういうふうな意味で、第三種と第一種の間の漁港と、こうしたようなことに規定したのでございます。第三種漁港は、全国的に利用するもの、第四種は、離島その他辺陬の地にあつて漁場開発又は漁船の避難港に利用するといつたようなものが第四種の漁港になつておる、かように規定したのであります。
  8. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 第二章について御質問がありましたらお願いいたします。
  9. 田中信儀

    田中信儀君 第三種漁港は、その利用範囲が全国的なものですが、これにつきましては、運輸省の方で相当改修事業をやつておるというようなこともあるようですが、この関係はどうなりますか。
  10. 林眞治

    説明員林眞治君) 大体この漁港法を制定いたしまする当初におきまして一般港湾漁港との関係をどうするかという問題につきましては、御承知のように、従前只今までのところ、港湾全体に対して、広い意味港湾に対していわゆる基礎法がないものですから、従つて従前はまあ便宜主義と言いますか、その場合々々によりまして、運輸省所管改良事業を起しましたり、或いは主なる目的漁業の所であるならば、漁港修築によりまして、改良工事を施しておる、こういうような実情であるということは御承知通りだと思います。ただ第三種漁港になりまするものが、必ずしも従前運輸省所管仕事が行われておるものが多いとも限らないのでございます。御承知と思いますが、運輸省の方で主としてやつておりますのは、まあ全般的に港と見まして、比較的大きな港となるわけでありまして、その大きな港のうちにおきまする漁業関係の、つまり漁港に相当しまするものが必ずしも大きいかと、ここで言いますような第三種漁港に将来相当するものが多々あるかと申しますと、必ずしもそうではない。たまにはそういつた一般港湾として見ましても、又漁港として見ましても、全国的な利用が行われておるものがあるのではありますが、これは比較的少数であります。その場合におきましては、従前におきましても、それから一般のいわゆる商港と漁港との区域は画然としている例が多いのであります。それから又漁港指定をいたしまするについては、従来との関係もございますので、運輸大臣農林大臣から協議をいたしまして、そこで区域はつきり決めまして、指定を行なつておる、こういうことになつておりますので、実施上は支障なくやつて行けるものと考えております。
  11. 田中信儀

    田中信儀君 この第三種漁港指定のために、運輸省仕事をしないというような心配はありませんね。
  12. 林眞治

    説明員林眞治君) これはまあ将来の問題になるわけでございますが、一応只今仕事をしておりまする関係とか計画されておりまする仕事につきましては、従前通りつて行く、こういうことに話合いの上で、なろうかと思いますが、或いは併し区域はつきり限定されました場合には、仕事を一応一定限度で打切りまして、あと漁港として引継いでやるという事態が出て来るかも知れません。個々の問題によりまして、これは具体的に処理して行くべき問題だと思います。
  13. 尾形六郎兵衞

    尾形六郎兵衞君 ちよつと具体的に林さんに聞いて見たいんだが、例えば山形県においては殆んど全部船溜で、それで加茂港だけが漁港で、その加茂港は漁業目的に使うのであるが、まあ毎年運輸省事業をしておる。こういうものは今後どういうふうになるだろう。或いは一、二、三、の魚港の指定のうち、どれに当嵌まることになるだろうか。そのことを一つ具体的問題になるが、御答弁を願いたい。
  14. 林眞治

    説明員林眞治君) 加茂港は指定の問題から申上げますと、具体的にはこれはまあ基礎資料はつきりしませんことですが、第二種になるだろうと考えます。そうしてこの前段のお話の運輸省との関係でございますが、これは原則論といたしまして、漁港指定をされました場合には、一応建前といたしましては運輸大臣の手を離れて、すべて農林大臣所管しておりまする漁港として処理して行くということになるわけで、ただその場合に指定に当りましては、審議会意見も聞くわけでございますが、都道府県知事意見も聞くわけでございまして、従つて都道府県知事は、若し必要がありまするならば下級の市町村或いは協同組合といつたようなものにも当然意見を聞かれるものとして、そこで具体的に例えば加茂の港といたしますならば、加茂の港の主なる目的はまあ一応漁業であると考えられる。従つて加茂港自体を漁港として指定すべきか、或いは極く一部には一般港湾として存置すべき区域を残すかという問題は、そこで検討されると思う。そういつた條件に基きまして、運輸大臣に更に協議をいたしまして、漁港指定、つまり区域も決まつて来るわけで、建前といたしまして漁港に決まつたものについては農林大臣所管として処理される、こういうことになつております。
  15. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 外に御質問がなければ、私からちよつとお尋ねいたしますが、船溜は第一種の方に入りますか、入りませんか。
  16. 林眞治

    説明員林眞治君) 船溜という言履は従前から相当古くございまして、相当耳に馴れておるわけでございますが、私共といたしましては、これは的確な定義を持つておるわけではないのでございまして、漁業の根拠地であるものはすべて漁港になるわけなんでありますが、ただ予算上古く船溜という言葉が予算に使われましたので残つておる。従つてこの法律を考えます前から、すでに予算面におきましても漁港という言葉で統一しております。従いまして、この法案には全然そういうことは出ておりません。内容的に申上げるならば、いわゆる第一種漁港として指定されるものは「船溜」という言葉に相当するものが殆んど入つて来るという結果になると思います。
  17. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) それでは今後農林省からも、公的に「船溜」という言葉は消えるわけでございますか。
  18. 林眞治

    説明員林眞治君) さようでございます。
  19. 尾形六郎兵衞

    尾形六郎兵衞君 只今委員長からの質問で、私もはつきりしたんだが、さつき私が質問するまでは、まだ「船溜」という言葉を存置するんだ、こう思つて質問しておつたのですが、今までの「船溜」という言葉は、この法律案ができれば第一種に扱つて消えるわけですか。
  20. 林眞治

    説明員林眞治君) そういうわけです。
  21. 尾形六郎兵衞

    尾形六郎兵衞君 「第四種漁港」というのは、例えばどんなことなんですか。
  22. 林眞治

    説明員林眞治君) 第四種は主として漁業の前進根拠地、或いは漁船の避難をかねました辺陬の地、或いは離島におきまする問題であります。例えば長崎県の五島の最南端に当りまする男女群島でございます。或いは鹿兒島県の最南端にありまする口之永良部島、或いは屋久島乃至は壱岐、対馬島或いは沖の島、そういつたつまり辺陬の地におきまするもの、こういうような問題を取上げております。
  23. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) それでは第三章に移ります。
  24. 川村善八郎

    衆議院議員川村善八郎君) 第三章は漁港審議会のすべてを規定しておりまして、第七條から第十六條まで成つております。設置及び権限、組織、委員の任命、委員の任期、委員の退職委員の罷免、決議方法及び調査等、公聽会委員の実費弁償、委任規定、かようになつております。総括的に御説明申上げますというと、大体先程も申上げたように、漁港整備計画を立ててそれを実行に移して行くまでに、中央に漁港審議会を設けようということを大体これに規定いたしまして、国会が最終決定でありますけれども、委員を任命する場合には「内閣総理大臣が、両議院の同意を得て、任命する。」ということになつておりまして、その委員を任命するに当りましては「漁港整備について、充分に知識と経験を有する者、漁港修築に関する技術について、充分な知識と経験を有する者、漁港の運営について、充分な知識と経験を有する者、漁業に関し、充分な知識と経験を有する者」の中から、大体八人を任命するということと相成つております。残る一人は「水産庁長官をもつて充てる。」そうしてその審議会の監督というものは大体「農林大臣の監督に属する。」かようになつておりましてこの漁港審議会は、漁港に関する事項について行政官庁に意見を提出し、漁港審議会は常にそれがために中央漁業調整審議会と密接な連絡を保つように努めなければならないということにして、つまり漁港法漁業法との関連におきまして、漁業全体を目標に考えまして、審議会がすべて漁港に関する事項審議して、そうして必要な事項関係行政官庁に意見を提出するということにしたのであります。任期は大体三年とする。そうしてそのうち二人は一年、三人は二年、三人は三年といたしまして、一回に選出しないで審議会に体験のある者を残して段々にいろいろに委員を補充して行くと言いますか、変えて行こうというような制度にしたのであります。委員の退職の場合には委員は「第九條第二項後段の規定による両議院の同意がなかつたときは当然退職するものとする」これは選ばれても当然の退職である、こういうふうになつておるのであります。委員の罷免の場合には「内閣総理大臣は、委員が心身の故障のため職務を執行することができず、又は委員に職務上の義務違反その他委員たるに適しない非行があると認める場合においては、両議院の同意を得て、これを罷免することができる。」かようになつております。「内閣総理大臣は、前項の規定により委員の罷免について両議院の同意を得ようとするときは、あらかじめ、当該委員の罷免の事由を文書をもつて通知し、当該委員又はその代理人が公開の聽問において弁明し、且つ、有利な証拠を提出する機会を與えなければならない。」というふうにいたしまして、つまりただ罷免をされるのではなくて、やはりそれぞれの相当の公に意見を公開して弁明し、そうしてそれが実際にこの人を罷免をしなければならないという場合でなければ罷免することができない、かように規定したのであります。それから議決及び調査につきましては、第十三條に規定してありまして「漁港審議会は、委員の過半数の出席がなければ、議事を開き、議決することができない。」ということにしたことと、それから第二項といたしまして「漁港審議会の議事は、出席した委員の過半数で決する。可否同数のときは、会長の決するところによる。」というようにいたしたのであります。第三項は、「漁港審議会は、公務所、漁港関係者若しくはその組織する団体その他の関係者に対し、審議のために必要な報告若しくは資料の提出を求め、又は関係人の出頭を求めてその意見を徴することができる。」即ち審議会はいろいろな報告とか、資料の提出を求めてこれによつて審議をいたしまして、そうして適正な方法をとつて議決をして行く。第四には、「漁港審議会は、審議のために必要があると認める場合には公務所、漁港関係者若しくはその組織する団体又は学識経験のある者に必要な調査を嘱託することができる」これは「必要があると認める場合には」と、非常に漠としておりますが、いろいろな場面で漁港審議会と雖も必要を生ずることがあると思いますので、ここへ一項を入れたのであります。第五項といたしまして、「第三項の規定により出頭を求められた者は、政令の定めるところにより、旅費及び手当を請求することができる。」当然そうした要求によつて出頭した者に対して、旅費とか、手当を支給するような制度を設けたわけであります。  第十四條には「漁港審議会は、第十七條第一項の漁港整備計画について意見決定するとき、その他必要があると認めるときは、公聽会を開くことができ、」こうしたような重大な問題、その他いろいろありましようけれども、とにかく漁港審議会としては重大なる問題として取上げておる場合に公聽会を開くことができる、「又は農林大臣の指示若しくは漁港審議会の定める利害関係の請求があつたときは、公聽会を開かなければならない。」こういうふうな規定を定めたのであります。利害関係というようなことは、相当のこれは広い意味になると思いますが、仮りに一例を申上げますと、市町村が今まで漁港管理をしておるとか、或いは修築をしておるという場合において、これを都道府県修築、つまり漁港管理者になつて修築するという場合もありましよう。それから又船溜といつたようなものを、更にこれはもう少し漁業者のみでなく、広い意味において第二種或いは三種漁港にしようといつたような場合もありましよう。こうしたような利害関係ができた場合に、その請求があつたときには公聽会を開いて決定しなければならない、かように規定いたしたわけであります。それから第十五條には、委員に実費弁償を與えるということにしたのであります。それから第十六條は委任規定であります。第十六條「この法律に定めるものの外、漁港審議会の運営に関し必要な事項は、漁港審議会が定める。こういうふうにして委任する場合、いろいろな運営に関してもありましようし、その他いろいろな事項でありましようが、委任の規定を置くことにいたしましたのであります。
  25. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 第六章について御質問がありましたら、お願いいたします。
  26. 尾形六郎兵衞

    尾形六郎兵衞君 この漁港審議会委員任命に当つて、実はここに今配付されました漁港法案中問題の件というのを見ましても、掲げておりますが、どうも余りに大げさではないか。任命に当つて内閣総理大臣が両院の同意を得て任命するということは、ここに掲げてある通りに、例えば国家公安委員会、或いは最近では、私もこの間まで電通政務次官をしておつたが、電波監理委員会委員、こういうものならこれでいいけれども、農林大臣権限内に属する漁港審議会委員を、このような両院の同意を得て内閣総理大臣が任命するということは、非常な大げさな話であるが、これは法律案を作られる衆議院水産委員の方がお考えになつたのか、或いは関係方面からのサゼッションでもあつて作られたのか、その点はつきりしたことを伺いたい。
  27. 川村善八郎

    衆議院議員川村善八郎君) 只今御ろ質問の件は、これは我々委員会にもいいろ意見がありましたし、それから関係方面にお伺いしたときには、これを公選にしたらどうだという意見もあつたのであります。私がその公選にしたらいいという関係方面意見に対しまして、僅か八人の委員選挙するにに、全国でこれを選挙するという場合は、実際上私は不可能だと思う。で例をとりますと、これは私説明をしたのですが、裁判官の任命に十人の人を挙げられて、そうしてこの中から選挙しろと、我々はこう言われましたけれども、実際には上らなかつた。恐らく国民の全体というものは、その選挙は一体分らずに選挙したものだと思う。と同樣に、全国から八人の委員を選ぶということは、実際に人を得るようなことにはなつているけれども、実際問題としては人を得ないのではなかろうか。そこでこの法案全体を我々が眺めた時分に、最終の決定権というものは国会が持つておるのだ、そこで任命する総理大臣は、いわゆる両院の承認を得なければならないことにすればいいのではないか。その理由として、国会議員は。国民多数の、いわゆる選挙によつて出來ているものであつて、言換えれば、国民大衆の要望を担つて來ているものであるから、国民全体の代表である、その代表によつて結成されておるところの両院の承認を得なければならないということになつておるから、総理大臣が両院の承認を得て任命するということにすれば、大体先程言われたように、国民の全体が選んだと同樣になるのじやないかというふうに話をしましたところが、それではこれをそうして認めよう、最初の案というものはいわゆる公選するというような考え方であつたのでありますけれども、我々の考え方も公選だとすると、これは容易でない、又漁民から選ぶと、こうやりましても事実上全国から公選をするというようなことも、これも容易であれませんので、関係方面意見と、それから委員会意見との中間を行つた。そうしてここにたとえて見れば人事院とか或いは、公正取引委員とか、或いは外国為替委員、或いは国家公安委員というようなものは大体執行機関であるけれども、これは單なる諮問機関でなく強力に実行させるところの諮問機関である以上は、やはり最終決定をするところの国会承認を得て任命させた方がいいのじやないか、こういう考えでこうした法律内容にしたようなわけであります。
  28. 尾形六郎兵衞

    尾形六郎兵衞君 非常に詳しく説明して貰つて、まあ分りましたが、それが民主的な選び方だと思うが、何しろ感じとしましては、やはり非常に大げさだという感じがするのです、これくらいなことならば、或いは農林大臣が任命するだけでもよくはないか、併しそういうふうなことは、いわゆる今の民主的でないということになるので、こういう項を加えたのじやないかと思うのですが、まあ一通りの今の川村さんのお話を聞くと、筋は通つておるが、感じとしては何となく大げさだ、何かもう少し外に代る方法がないかという感じがします。
  29. 川村善八郎

    衆議院議員川村善八郎君) 実は初めの案は、農林大臣に任免権があるという案だつたのです。ところが先程御説明申上げた関係方面から来た意向の中に農林大臣権限が過大過ぎるということを言われたのと、それから全國の公選にしろといつたようなこと、これはどちらも貨一方は余り権限が過大過ぎる、片一方は全国的に公選にしろ余りに離れ過ぎている。ですからこの法案内容に盛られたように中間を行くように、私らが相談をして、かようにやはり原案というものを修正して作られたような次第であります。
  30. 尾形六郎兵衞

    尾形六郎兵衞君 この委員会がですね、第十五條には「委員は、政令の定めるところにより、旅費、手当その他職務の遂行に伴う実費を」云々とありますが、つまり年報酬というようなものは、この委員は貰わないことになつておりますか。
  31. 川村善八郎

    衆議院議員川村善八郎君) 実は重要な役割を持たして、年報酬といつたことを考えなければならないのでありますが、これは実は大蔵省との関係予算関係が問題になつたのです。それはこの法案を制定することによつて、いわゆる水産庁の内部の機構の改革によつて、大幅に人員を増加することができないかどうかといつたことと、それから委員会その他いろいろ設置することにおいて、予算関係について実際に厖大な予算が増額されないかどうかという問題で、非常に大蔵当局では神経を尖らしたのであります。そこで先ず目的というものは漁港整備を一日も早くして、修築完璧を期して目的を達成しなければならんということから考えまして、今予算を余りに増額するということによつて、大蔵省の反対があつたために、この法案の制定が遅れたということになりますれば、非常にこれは大きな問題になりますから、そこでまあ一応実費弁償だけ與えるということにして、国家財政が許したならば、追々にやはり重要部にあるだけの報酬も與えなければならないのじやないかといつたことも十分我々考えて見たのです。ただ、予算が厖大に膨脹するということになるというと、まあちよつと大蔵省も反対されると言つた空気も大体ありましたので、実はこれでこのような法案なつたということは、はつきり言えるのであります。
  32. 尾形六郎兵衞

    尾形六郎兵衞君 今川村さんからのお話で段々内容が分つて来たのですがまあ仮に一人三十万円といても、八人とすれば二百四十万、何か会合その他を併せれば直ぐ三百万円というような経費が出るわけです。一応大蔵当局との関係もあつて、現在は実費等を拂うことにしてあるが、将来はやはりこの委員には年報酬というようなものをやるような方針だということは分りますね。
  33. 川村善八郎

    衆議院議員川村善八郎君) 大体我我はそういうふうな考えで進んでおります。
  34. 尾形六郎兵衞

    尾形六郎兵衞君 現在は兼職の問題はどうですか。外の職と兼職することは……
  35. 川村善八郎

    衆議院議員川村善八郎君) そこで兼職の問題でも実は関係方面では強い、つまり反対の意思を表示したのであります。というのは、特に中央に設けるこの漁港審議会には、国会議員が兼任することができないという規定を入れろと、こういうことも折衝の過程において強く我々に要望したのであります。そこで私はそれに対しまして、若しこの国会議員中に漁港に対する技術も十分にあり、知識も経験もあり、又漁業者としても立派な経験と知識もあり、どの角度から見ても立派な議員があるとしたならば、むしろ喜んでそういう人を委員とすべきじやないか。然るに関係方面意見は、国会議員であるが故に、ものを政治的にのみ解決惡用する。こういうお考えであるとするならば、私はこれは改めて貰わなければならんじやない。我々は少くとも国民の大多数の投票を得て来たのでありから、我々はそうしたような政治ボスというようなことばの考えは絶対にないのだ。であるから、そうした條項は入れなくとも、国会承認しなければ兼職ができないと国会法に挙げられてあるから、私はこの法律は謳う必要はないのじやないか、却て謳うことによつてこの法案を作つた趣旨からいつて、マイナスになるのじやないかということを随分激論したわけです。そうしたら向う樣では、国会法にあるならば謳わないで兼職してもよい。やはり国会承認があれば兼職してもいいということに認められて来たわけであります。
  36. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) もう御質問ありませんか。御質問がなければ、第四章に移ります。四章は相当長いのですからして、大綱のみをお願いします。
  37. 川村善八郎

    衆議院議員川村善八郎君) 第四章は御承知通り漁港修築事業に関する規定でありまして、相当長くなつております。第十七條から第二十四條までになつておりまして、漁港整備計画施行者費用負担及び補助漁港修築事業施行許可に係る権利の讓渡及び漁港修築事業施行の委託、漁港修築計画の変更、漁港修築事業の廃止、施行者に対する指示及び命令並びに許可の取消、土地、水面の使用及び收用、これらの点において詳細に規定しておるのであります。そこで大綱を御説明申上げますというと第十七條に「農林大臣は、漁港審議会意見を徴し、その意見を採択して漁港整備計画を定め、閣議決定を経なければならない。もし、農林大臣が、漁港審議会意見を採択することができないときは、その定めた漁港整備計画に当該漁港審議会意見を添えて内閣に提出しなければならない。」、これが重点となつて、第十七條に三項目に亘つて詳しく盛り込んでおるのであります。そこでこの問題につきましても、実は我我農林大臣漁港審議会意見を、その意見を尊重して漁港整備計画を定めるというふうに考えたのでありますが、関係方面の非常に強い意見もありましたので、漁港審議会意見を採択しろ、そうして閣議にこれを提出しろ、閣議が定めたものはいわゆるこれを国会承認を受けて、国会承認したものに対しては三項にありまするように、「国の財政の許す範囲内において、前項の漁港整備計画を実施するために、必要な経費を予算に計上しなければならない。」こういうふうにしたのであります。施行者は先程申上げましたように、地方の公共団体と水産業協同組合施行者になることにしたのであります。施行許可農林大臣許可をするというふうにいたしまして、農林大臣施行許可をするには予め漁港審議会の議を経て定めた基準によらなければならないというふうに、農林大臣が勝手にこれは決める、いわゆる許可をするというようなことのないようにしたのであります。まあ以下ずつと各項に亘つておりますが、内容説明は省略さして頂きます。それから第二十條は費用負担であります。費用負担につきましても、先程説明の中に全部織込みましたから、これも省略させて頂きます。それから二十一條には、「漁港修築事業施行許可に係る権利の讓渡は、農林大臣認可を受けなければ、その効力を生じない。」以下二項、三項として謳つてありますが、つまり許可に係る権利の讓渡というので非常にこれは疑問を生ずると思いますので、一応例をとつて説明申上げますというと、許可はこの地方公共団体水産業協同組合が受けるのでありますが、その場合いわゆる施行者が別の人に、仮に水産業協同組合が権利をとつたけれども、許可を受けたけれども、やはり第二種漁港にさせなければならんというような場合は、市町村とか、都道府県に権利を讓渡しなければならんといつたようなこともありましようし、いろいろ施設等にもそうしたような場合がありまするので、第二十一條にそうした二項、三項と定めて規定したようなわけであります。それから修築計画の変更或いは修築事業の廃止その他については第二十二條規定してあるようなわけであります。二十二條の第一項、第二項、それから第二十三條の第二項、第三項にすべて規定してあるのであります。それから土地、水面等の使用及び收用、これは第二十四條に規定してありますが、この土地收用についても、これはこの法律では收用については明治三十三年の法律第二十九号によつて收用又は使用することができるというふうに謳つてあるので、この法律だけ見ても疑問が非常に出ますけれども、第二十四條の第一項に規定してある問題を研究して見れば、よくお分りになると思つております。詳しいことは林課長、並びに法制局の方から説明することにいたします。
  38. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 第四章について御質問がありましたら……御質問がなければ、私から質問いたしますが、第一種漁港から第四種漁港までの間に、国が補助する額が決まつておりますが、その額の以外のものは、地方公共団体と、それから地元の団体とが分担することになつておると思います。ところが往々にして国が、例えば百分の五十を出す。あと百分の五十を地方の公共団体が非常に少く出して、地元に多大の負担をかけろというような今まで実例もあります。又地方公共団体割合に余分に持つて地元負担を軽くさせるというような実例もあるようであります。少くとも私共は、地方公共団体が残りの半分以上は持つというような何かの方法を講じたいと思いますが、これに対して農林当局のお考を伺いたいと思います。
  39. 林眞治

    説明員林眞治君) 国費で負担なり或いは補助をいたします以外の事業費の負担関係でございますが、これはこの法律には勿論国の負担の或いは補助の率だけが制定されておりまして、その他の部分につきましては何ら触れてないわけで、これを強制いたしますることは、いろいろ関係各省各庁と協議をいたしたのでございますが、すべて地方財政法の建前からいたしましても、強制することは、只今のところ面白くない事態になつておるわけでございます。尚又この法律によりまして、漁港修築ならば漁港修築事業施行者が決まるわけでございます。従つて原則といたしましては、国が負担なり或いは補助なりいたしまする以外は、施行者がこれを賄つて事業の遂行に努むべきものであろうということになると思います。そういたしまして、そこに受益者負担という問題が別に起つて来る。従いまして港の種類にもよつて来ると思いますが、都道府県等の高級地方公共団体が相当実質的に負担して参るように成るべくいたしたいと我々は考えておりまするが、これを強制することは、只今のところいろいろ困難な事情がある、こういう実情でございます。
  40. 川村善八郎

    衆議院議員川村善八郎君) 実はこの国の負担について、非常な我々も議論がありましたことは、先程私大綱を説明する際にも申上げましたが、只今委員長の御質疑になつた点について、衆議院水産委員会でも実は問題になつたのであります。というのは仮に今四割が国の負担になるというと、六割け地方の受益者並びに地方都道府県負担しなければならんのだが、実際にそういう場合においては、漁民の今日の経済状態から言つて、三割の負担をするということは今までも容易でないのだ。従つて国庫負担はもう少し殖さなければならんが、地方のいわゆる公共団体も相当に負担の増額をして貰わなければできないから、この問題を何とかできないかということでありましたので、これらについても実は関係方面との折衝の場合にお話したのであります。で、私らはどこまでも国庫負担を八割で、地方公共団体、若しくは地方負担というものは二割というふうに主張したので、第二次案というものは、かようになつて出たのであります。それに対して関係方面意見として、誠にこれは結構な負担である。併し国家財政はそれまで許せばいいのであるけれども、恐らく容易でないと思うから、それは日本の国内のことであるから、よく政府当局と折衝をして、是非この負担率を獲得するようにしろというふうに、非常な激励をされたのでありますが、実はそれに向つて私は大蔵当局と折衝いたしましたけれども、如何ともいたし方なく、第一種、第二種漁港については、これは従来通りにしたのであります。それから第三種漁港につきましては、北海道は従来通りであります。内地方面は現在自分の四十であるものを百分の五十にする。それから第四種の漁港につきましては北海道は従来の百分の八十で、その他の内地附近では百分の六十であつたものを百分の七十五又は百分の六十というふうに、これは決定したような、つまり最後に決定したわけでありまして、今委員長の申されることは、地方の公共団体もはつきりこの法案で、この国庫負担をした残額には何%は地方の公共団体が持て、何%は受益者が持て、こういうように規定されれば却つて明確になるが、そこまで我々国会としてはこの法律に明示して、そうして地方財政も考えずに押付けるような方法がいいかどうかというようなことも考えましたので、こうしたような案にしたようなわけでありますから、御了承願います。
  41. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 本体林課長の御意見によりまして水産庁の方針も分りましたので、私の質問はこの程度で打切ります。
  42. 尾形六郎兵衞

    尾形六郎兵衞君 今の地元負担の件であるが、第一種、第二種の漁港は百分の四十というと、今までと先ず同じなんです。それで実は漁港法ができるということは漁港を作る上において非常に有難いものであるけれども、実際の修築費の負担ということになると、従来と変つたところがない。この議案を作られました川村さんのお話を聞きますと、非常に努力したというお話を聞きまして感謝しておりますが、何とか百分の四十の率を上げないことにはこの法案ができたところの有難味が私は余り感ぜられないのじやないか。殊に私は自分が海岸に住んでおる関係上実は一昨日も自分の町の当局から負担金のことでいろいろ困つておる話を聞いて来たのであります。何とかこの率を衆議院参議院の力で上るように今後我々は努力したいと思うし、川村委員も努力して貰いたい。尚この際申上げて置くが、運輸省でやる港湾仕事の方は、国庫負担がもつと多いのです。それでさつき申上げた山形県加茂港のごときも、やはり水産庁でやるよりは運輸省でやる方が国庫負担が多いということもあるし、何とか国庫負担の率を第一種、第二種漁港においてはもつと上げるように今後努力して頂きたい。是非川村さんにもお願いしたい。尚この際お聞きして置きたいのは、北海道は今次の場合においても尚且つ特別扱いをする理由をちよつとお聞きして置きたいと思います。
  43. 川村善八郎

    衆議院議員川村善八郎君) 只今尾形さんから申されましたことは、誠に私も同感であります。先程大蔵当局との折衝についても申上げましたから、重ねて申上げませんが、今運輸省水産庁の方の漁港とは率が違う今までは実は違つてつたのでありますが。今度は同一にするということになつて、私らは港湾法と睨合わして見ましたら、やはり五十になつている。そこで第一種、第二種の問題につきましては、これは四十になつているということは、これは差がありますので、今後出されると予定しておりますものについては、私がこれを大蔵主計局長と話合つた時分に、必らず同一の率にするという約束がありますので、私も十分努力しますが、皆さんの御後援を願いたい、かように考えております。それから次に北海道の特殊扱いということについては、先程御説明の中にも入れましたが私らはどこまでも北海道内地も同格にするという主張をしたのでありましたけれども、北海道のごとき特殊なつまり漁田開発をするという所には、補助の増額をしろというふうに関係方面からの意見を強く附加えられましたので、こういうふうにして北海道内地とは差額を付けたのでありますが、今後北海道内地は差別待遇を付けるべきじやないというふうにすべきである。相対的に言いますと、もう少し国家の負担を大きくするということ、更に受益者並びに地元都道府県或いは市町村負担等についても、この法律はつきり謳つてやる、漁業者負担を軽くして、一日も早く完全な漁港を造つて漁民に與える方がよかろうということを考えておりますので、是非努力したいと思つております。
  44. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 御質問がありませんければ、第五章に移ります。
  45. 川村善八郎

    衆議院議員川村善八郎君) 第五章は漁港維持管理につきまして、第二十五條から第三十九條まで非常に長くなつております。これに織込まれております事項は、漁港管理者指定漁港管理者の職責、それから漁港管理会の設置及び権限漁港管理会の組織、委員の任期、委員の改選の請求と罷免都に関する特例、決議の方法、委員の実費、弁償漁港管理計画及び漁港管理規程の制定及び変更、利用の対価の徴收土地、水面等の使用及び收用漁港施設処分の制限、漁港施設利用漁港保全、こうした相当な事項を盛つてあるのでありますが、これを総括的に、簡單に御説明申上げたいと思います。  第二十五條に「漁港の維持、保全及び運営その他漁港維持管理の適正を図るために、農林大臣は、漁港審議会の議を経て定める基準に従い、且つ関係都道府県知事意見を徴し、当該漁港の所在地の地方公共団体又は当該漁港を地区内に有する水産協同組合漁港管理者指定する。」こうしたような原則の下にこの漁港管理者指定することになつております。そこで指定されましたところの管理者管理会を設置しなければならないことになつております。但し第一種漁港管理者はいわゆる水産協同組合管理会というものを特別に置かなくても、その漁業協同組合事業内容に織込めば、必らずしも置くということが必要でない場合は置かなくてもいいということにいたしたのであります。そこで管理会の組織でありますが、これは委員制度を以ちまして、委員は大体漁民から七人、それから漁港管理者が任命した者が二人、それから漁港に関して十分知識と経験のある者を所在地の都道府県知事が推薦した者について漁港管理者が任命した者が二人、大体合計十一人で結成をすることになつております。従つて十一人の中に七人の漁民から互選したところの委員漁港管理委員に任命されるのでありまするから、漁民意思が十分にこの管理委員会に取上げられるということを考えておるのであります。そこで委員の任期は大体二年として、そうして補欠の場合においては前任者の任期を継承するということになつております。委員の改選と罷免につきましては、漁港関係区域におけるその総数の二件の一以上の連署を以て、その代表者から、当該区域に属するものの中から選挙された委員の改選を請求することができるようにし、又罷免をすることができるようにしたのであります。この場合においては、ただそれを請求されたからと言つて、それを改選をしたり或いは罷免をするということなく、どこまでも該当委員意見も十分徴しなければならないし更に、漁港管理委員会といたしましては、公聽会も開いてやる方がいいということに織込んだようなわけであります。決議の方法その他いろいろなことにつきましては、第三十二條に織込んでおります。  それから委員の実費弁償につきましては、やはり旅費、手当その他職務上の執行について実費を差上げる。それから第三十四條には、漁港管理計画及び漁港管理規程の制定及び変更をするという制度を設けて、四項に亘つてこれを規定してあるのであります。それから三十五條には、利用の対価の徴收ということを規定してありますが、この点で漁港利用者から利用料、使用料、手数料、占用料その他の利用の対価を徴收することができると、こういうふうにしてありますが、誠にこれは利用料というものと使用料というものと手数料というものが、一体どういうふうな区別をするかというところに疑問を持つのでありますが、これまでの大体観念として利用という点を申上げますというと、普通荷揚場の利用とか、或いはそこに施設した市場の利用といつたようなことで、利用するというふうになつております。それから使用ということは、敷設した水道だとか、或いは漁船にいろいろな修繕をするとき、船を揚げるときの物の使用料とか、そうしたようなものを使用料と、大体観念的にそういうふうにして分けてやつておるのでありまして、これは字句がまずいというような場合においては整理してもよろしいと思いますが、大体今までの観念から、かように取上げて、やはり相当の利用料なり、使用料なり、手数料なり、或いは一人でそこを占用する場合には占用料等も取ることができるというふうにしたのであります。それから三十六條には、土地、水面の使用及び收用、これも今後漁港修築して行きますには、必ず水面等は漁業権等もあることも考えたり、或いは協同組合が專用漁業権として水面を持つておる場合もありましよう。こうしたようなものを使用しなければならん場合もありましようし、他人の土地にかかるというような場合は收用もしなければならないということもありましようし、或いは施設をした場合にも、それらもやはり使用もしたり、或いは收用もしたりしなければならんというようなこともありましよう。それで三十六條に第一項、第二項、第三項として規定したようなわけであります。それから漁港施設処分の制限等につきましては、第三十七條規定いたしたようなわけであります。それから漁港施設利用その他いろいろ施設利用については第三十八條、それから漁港保全については第三十九條の第一項から第六項までに詳細に規定してあるようなわけであります。
  46. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 御質問がありましたら、お願いします。
  47. 尾形六郎兵衞

    尾形六郎兵衞君 漁港管理委員会というものは、その港々ごとに置くのでしようか。
  48. 川村善八郎

    衆議院議員川村善八郎君) そうです。各港であります。
  49. 尾形六郎兵衞

    尾形六郎兵衞君 どんな小さいものでも、つまり船溜場でも委員会というものは作るわけですか。
  50. 川村善八郎

    衆議院議員川村善八郎君) そこで船溜といつたようなものは、第一種漁港に大体指定されることになると思いますので、漁業協同組合もいわゆる管理者になることができる。その場合においては、そういう小さい漁業協同組合だけ利用するものに管理委員会というものを特別に置く必要があるかどうか、漁業協同組合管理して行くのに又漁業協同組合にはそれぞれの機関或いは機構がありまするので、それらに織込んで行つたらいいんじやないかというので、第一種漁港についてはやることができる、置かなくてもいいんだというふうに、規定したわけであります。
  51. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) それでは第六章に移ります。
  52. 川村善八郎

    衆議院議員川村善八郎君) 第六章は雑則でありまして、四十條から四十四條までに織込んであります。漁港施設とみなされる施設、それから農林大臣の調査、測量及び検査、運輸大臣に対する協議、それから訴願、農林大臣の職権の委任、かようになつておりますが実は、一番ここで疑義を持たれますのは、漁港施設とみなされる施設、こういうふうなものは、これは何であるかといつたようなことも疑義が生じましよう。それでその例を簡單にとりますといふと、先きに漁港を大体目標にして重油タンクを造つておつたとか、或いは荷揚げするために棧橋を造つておつたというような場合もありましよう。その時分に、そこに漁港施設される場合、或いはその附近に漁港施設される場合には、やはり漁港施設としてみなした方がいいんじやないかというふうに考えましたので、それをこう第四十條に「農林大臣は、第三條に掲げる施設であつて漁港区域内にないものについても、漁港審議会の議を経て、これを漁港施設とみなすことができる。この場合には、遅滯なくその旨を当該施設所有者又は占有者に通知するというふうなことにいたしたのであります。要は、みなされる施設が広汎にあつた場合に、この規則がないというと、それは漁港施設とみなされないというときに、漁民が非常に不自由を感ずるという場合があると思いますので、やはり雑則の四十條にこのことを織込んだわけであります。第四十一條には、農林大臣の調査、測量及び検査、これは当然漁港修築しますのに問題が起るのでありまして、第四項までに織込んだようなわけであります。それから第四十二條でありますが、実は第二次案の四十二條というのは漁港区に関する規定を設けたのでありますが、これが港湾法ができると一緒に上程されるという仮定の下に、第二次案に四十二條も織込んで、港湾法というものに漁港区というものに関する規定を設けたのであります。ところが不幸にして港湾法今期国会に出なかつたので第四十二條港湾法の中にあるところの漁港区に関するところの規定を全部削除しまして、四十三條がいわゆる四十二條に繰上つて、以下各條項が繰上つたようなわけであります。そこでかような第二次案の四十二條のような問題もありましようし、その他運輸上の関係運輸大臣協議する場合もありましよう。そうしたようなことを第四十二條に「農林大臣は、主として運輸の用に供する施設について、第三十八條第一項の認可をし、又は第三十九條第一項の許可をしようとするときは、運輸大臣協議しなければならない。」と、かように言替えたようなわけでありまして、今後港湾法が設置されることになりますというと、この漁港法も一部改正をして、港湾の中にある漁港に関するこの規定もしなければならないと思つておるような次第であります。あとは訴願の問題や何かはこれは説明の省略をいたします。四十四條の農林大臣のこの権限の委任でありますが、「この法律に定める農林大臣の職権の一部は、政令の定めるところにより、都道府縣知事又は市町村長(都の区のある区域においては区長)に行わせることができる。この場合には、第四十一條第二項中「当該官吏」とあるのは「当該吏員」と読み替えるものとする。」というふうに、つまり農林大臣権限の委任をすることを規定いたしたのであります。
  53. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 御質問ありませんか。御質問ありませんければ、第七章に移ります。
  54. 川村善八郎

    衆議院議員川村善八郎君) 第七章は罰則で、第四十五條から第四十七條になつております。実はこれについてまだまだ相当な細部に亘つてこの罰則についてはいろいろ我々も考えたのでありまして、各箇條を挙げて規定したのでありましたが、関係方面から、これではまだ却つてはつきりしておらないじやないかというようなことを指摘されたのであります。関係方面の考え方では、かようなことをした者には、こういう罰則を設けろ。こういうことを違反した者には、こういう罰則を設けろといつて、具体的にこれを謳えと、規定しろと、こうしたような強い意見があつたのでありますが、かくしますと、却つて動きがとれない場合ができるのじやないかというふうなことを考えましたので、第四十五條、六條、七條に漠として、こうして挙げたのでありますが、これらにつきましては、皆さんにも必ず異論があると思いますが、大体、まあ却つて向うの御意見のあつたように詳細に規定することがやはり地方に属したものだけに、却つてそれが隘路となつて動きがとれない場合があると思いましたので、かように漠然したものにしたのであります。  以上は大体本法案の全文の解釈の説明であります。その他法文の法的内容については、私よりも法制局の方々や、水産庁の方々がよく研究しておられますから、どうか詳細に御質問を願つて十分にこの案を究めて頂きたいと思います。
  55. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) これで一応この法案逐條審議をいたしまして、第一回の質問を終りまして、次回において更に分括的な質問をやりたいと思います。本日はこれにて散会いたします。    午後四時六分散会  出席者は左の通り    委員長     木下 辰雄君    理事           尾形六郎兵衞君            千田  正君    委員            田中 信儀君            矢野 酉雄君   衆議院議員            川村善八郎君   説明員    農 林 技 官    (水産庁漁政部    漁港課長)   林  眞治君