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1950-03-27 第7回国会 参議院 水産委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年三月二十七日(月曜日)    午後二時二十三分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○臘虎膃肭獣獵獲取締法の一部を改正  する法律案内閣提出) ○漁業法の一部を改正する法律案(衆  議院提出) ○水産協同組合法の一部を改正する法  律案内閣送付)   —————————————
  2. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) ただいまより委員会開会いたします。最初に臘虎膃肭獣獵獲取締法の一部を改正する法律案議題といたします。速記を止めて下さい。    午後二時二十四分速記中止    ——————————    午後二時三十七分速記開始
  3. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 速記を始めてください。次に漁業法の一部を改正する法律案議題に供します。ちよつとお諮りいたします。この法律案関係いたしまして、兵庫水産試験場の技師である内橋潔氏が瀬戸内海調査研究に従事されまして、いろいろ生物学的立場から相当の資料を持つておられるようでございますから、この席上内橋氏の発言を許可して御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 御異議ないと認めます。内橋君の発言を許可いたします。内橋君。
  5. 内橋潔

    参考人内橋潔君) 私は只今紹介を頂きました内橋でございます。この度私共が二十年間に亘りまして調査しました瀬戸内海資源の様子をお話する機会を得ましたことは、感慨の至りである次第であります。  先ず初に問題となりますのは、私共の調査研究資料の問題であります。これは兵庫水産試験場が大正十三年に設立されましてから、昭和十七年まで殆んど毎月、それ以後は大体一年に三回乃至四回、紀伊水道大阪湾播磨灘というふうな場所海洋調査、有要水族去来集散、これらの孵化生育というふうなことを調査した資料に基いているのであります。私共の調査の対象として、民俗学的の調査を普通取りがちですが、そういう調査は一切含んでおりません。これらの資料に基きまして、内外資源実態を監査しました結果を申上げたいと思います。  第一に海の状況を申上げます。瀬戸内海と、漁業の方で呼んでおります海区は、西から申しますと周防灘、その次が伊豫灘それから安藝灘、備後灘、播磨灘大阪湾、その南に紀伊水道という海区があるわけであります。これらの海区の水温状況を申上げますと、瀬戸内海は御承知通り海洋としましては海が浅くて塩が甘い、温度は夏は非常に高くなりまして冬温度が下がるのが一般の傾向であります。一月、二月頃の一番寒いときの水温状況を、瀬戸内海を概観的に見ますと、周防灘伊豫灘、という深い所は大体水温が十二度前後であります。一番東に面しております紀伊水道の北にある大阪湾になりますと大体七度前後であります。その中間にある播磨灘から周防灘までの間は、西の方が段々高くて東の方が低いのであります。ですから周防灘の東の方、それから伊豫灘南部、そういう所が一番温度が高くて、東へ参りますほど温度が段々と冷えまして、大阪湾へ行きまして一番温度が冷えまして、それから南の紀伊水道に入りますと又温度が高くなりまして、大体十二度、十三度という温度を現すようになつております。これは瀬戸内海に入ります外洋水影響豊後水道から先ず伊豫灘へ入りまして、その影響がずつと東の方へ及んでいる証拠であります。明治四十二年に瀬戸内海漁業取締規則というものが公布されまして、その規則のよつて漁業をやつておるわけでありますが、私共がよく漁業法で決められた瀬戸内海というものが、紀伊水道瀬戸内海の中へ入れるなれば、豊後水道瀬戸内海の中へ入れたらいいじやないかというふうなことをよく聞くのであります。これはこの水温分布状態を見ますと、寒冷な冬に温帯性水族が避寒する場所は、西の方では伊豫灘の南、周防灘東南部になるのでありますし、東の方は紀伊水道にそれがあるわけであります。ですから伊豫灘の南とか周防灘東南部というところは水温状況から見ますと、丁度紀伊水道に該当しているわけであります。紀伊水道は該当しておるのでありまするから、その上更に豊後水道瀬戸内海として入れる必要なないわけであります。それをもつと詳しく申上げますと、内海状況というものは冬の海と夏の海の二つからできている。こう私は考えておるのであります。夏の海と申しますのは、大体水温が十二度以上に上つた夏の時期、冬の海と申しますのは、水温が十二度以下に下つた十二月の下旬から四月の上旬までの時期であります。この時期におきましては、寒い時期、冬の海の時期におきましては、温帯性水族、もつと別の言葉で申しますと、暖かさを好む水族は、この夏の海で活躍しますが、一旦冬の海になりますと、そういう魚は皆暖かいところへ寒さを避けてそこで冬を越すわけであります。そういう関係にありますこの水族避寒場所として、紀伊水道或いは伊豫灘というふうなところは、魚がそこへ冬の間避寒する場所なつておるのであります。魚のとれる量から申しますと、これは大阪湾播磨灘等について申上げますと、冬の期間にとれます魚の量は夏の期間にとれる魚の量の大体八分の一に当つております。ですから冬の海でとれる魚の漁というものは非常に少いのであります。このために、内海漁村か、冬枯どきと申しまして非常に皆がこの期間困るのであります。それでは夏の海の時代にどんな魚が活躍するかと申しますと、瀬戸内海東部におきましては、いわし、いか、たい、ぼら、あじ、さわ、くろだい、えそ、ぐちというような魚が夏の海で活躍するわけであります。冬になるとこういう魚は寒さを避けて紀伊水道や或いは伊豫灘の深い所へ避けまして、その代りそこで活躍するのは、てながだこ、かれい、ひらめ、えびの類であるとかいうふうな、いわゆる底物の魚が僅かに活躍しておる程度であります。このように有要水族の移動、集散というふうなことから考えて見ますと、瀬戸内海、特に東部瀬戸内海に住んでいる魚は、内海内海と申しますか、紀伊水道瀬戸内海播磨灘大阪湾というようなところを一軒の家のようにして動いているわけであります。その次に比重のことをちよつと申上げますと、比重の大体水温で申しましたと同じように、黒潮の末流が紀伊水道の一部、伊豫灘の一部に顔を出しまして、そのためにそこへ十二度或いは十三度というような温度を出現さしておるのでありますから、そこへ魚が集まつて寒を越すわけであります。  瀬戸内海の魚のとれる量は大体どれぐらいとれるかと調べて見ますと、今までの統計では大体三千五百万貫ぐらいとれるというふうなことになつておりますが、今までの統計では学問上怪しげな点がありますので、私共は大体瀬戸内海で一億万貫近い魚がとれているのじやないかというふうに想像しているのであります。これらの魚は昔は一本釣り、這縄、地曳そういう類でとられましたが、最近では打たせ網、底曳網、いわゆるそういうふうな底を引廻すような網で以つてとられている魚が多いのであります。  最後に申上げたいことは、瀬戸内海では、瀬戸内海漁業取締規則によりまして、機船で以て網を引張ることは禁止してあるのでありますか、ずつと以前からどこの県でも、どこの水域でも大体隠れて行われているというのが常識でありまして、そういうふうな漁具で以て魚をと七始めまして、稚魚乱髪ということになりまして、魚がとれないから馬力を大きくする、そうすると暫くはとれますが、又とれなくなると馬力を大きくし網を改良するというようなことを、つぎつぎと馬力が大きくなりますし今では四十馬力、五十馬力の打たせじやなくて縦曳のそういう網が各所に出現しているような状況であります。  こういう網が沢山出現いたしますと、瀬戸内海の魚の繁殖保護の上には悪い影響を及ぼすことは明らかであります。  それからもう一つ特に私共が調査しまして関心を持ちましたことは、紀伊水道の海の状況がプランクトンから見ますと、魚は播磨灘と大体同じである、紀伊水道豊後水道と比較しますと、豊後水道は全くの外洋性であるのと太いに異なつておる点であります。  要約的に最後に申上げたいことは、紀伊水道播磨難大阪湾という海は一つの海である、その一つの海の中で魚が行つたり来たりしている、殊に冬におきましては紀伊水道というのは魚の避寒場所であり、蓄養場所であるという点でありますから、紀伊水道或いは大阪湾播磨灘というふうなものを生物学的には別個に考えることは不可能ではないかということを痛感しておる次第であります。  概略以上の通りでございますが、何か御質問がございましたらお答え申上げます。
  6. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 衆議院の水産委員会においても兵庫県の試験場調査を元としていろいろ立案されたということを只今鈴木君から説明がありましたが、只今水産試験場内橋氏の調査に対して何か御質問がありましたらお願いいたします……御質問なければよろしうございます。  それでは漁業法の一部を改正する法律案はこのくらいにいたしまして、次の機会に上程いたします。
  7. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 本日は水産業協同組合法の一部を改正する法律案議題に供して、政府提案理由説明を求めたいと思つておりますが、まだ政府当局が見えませんので暫く休憩いたします。    午後二時五十七分休憩    ——————————    午後三時二分開会
  8. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 水産委員会を再開いたします。  水産業協同組合法の一部を改正する法律案、これを議題に供します。政府提案理由説明を求めます。
  9. 坂本實

    政府委員坂本實君) 水産業協同組合法の一部を改正する法律案提案理由について御説明申し上げます。  第三回国会において成立いたしました水産業協同組合法は、昨年二月十五日に施行されましてより一年余を経過したのであります。この間水産業協同組合の設立は着々と進み、行政庁により認可された組合の数は約四千に達し、漁村民主化水産経済の振興に多大の寄与をなしつつあることは誠に喜ばしいことであります。  併しながら此の実施一ケ年の経験に鑑み旦つ又全国各地より寄せられました本法改正に関する請願、陳情の趣旨に基きまして本法改正してその一層有効な活用を図る必要が認められましたので、本改正法案を提案いたしたのであります。  以下その内容について簡単に御説明申し上げます。  第一は一定規模以下の法人准組合員として組合加入する途を開いたことであります。その理由は、元来水産業協同組合個人結合による組織でありますが、現下の経済事情においては個人経営と殆んど等しい弱小な法人による経営が極めて多く、これら法人組合加入を認めてその利益を享受せしめるのを妥当と考えるからであります。  第二は主として法人加入に伴いまして、独占禁止法との関係規定しております法第七條を改めまして独占止法組合に対する適用緩和図つたことであります。  第三は組合役員に関する事項でありまして、役員任期を最大限三年まで定められるごとく伸長すると共に、組合事業と実質的に競争関係にある事業関係者組合役員及び主要職員に就任することを禁止したのであります。  その他員外利用制限に関する條項総代会に関する條項専用契約に関する條項総会代理議決に関する條項等改正して実情に即するようにいたしたのであります。  以上が本改正案の大体の内容でありますが、何とぞ慎重御審議の上速かに御可決相成るようお願いいたす次第であります。
  10. 木下辰雄

    委員木下辰雄君) 本法案の改正内容につきまして水産当局の御説明を求めます。
  11. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) 水産業協同組合法の一部を改正する法律案につきまして、條文に基きまして内容を御説明申上げたいと存じます。  第一は、法人組合加入の問題であります。それは法文の十八條と九十四條の関係でございます。水産業協同組合は先程次官からの提案理由にもございましたように、元来人と人との人的結合体であるのでありますが、現在の経済事情、特に税制関係等事情に上りまして、企業合理化といつたような意味合から、法人組織をとつて経営を行なつておりまする漁業者加工業者の数が極めて多いのでございまして、これらは規模において個人経営と殆んど変らない小規模のものが大部分であるのでございます。従いましてこれらの方々を、単に法人であるが故に組合から排除して、組合協同事業といつたような利益の均霑を受けさせないとい、ことは実情に即したものではございませんので、一定規模の線を引きまして、それ以下の法人を準組合員として組合加入できるという措置をいたしたいのでございます。従いましてここに準組合員と正組合員といつたような区別をいたしました理事につきましては、先程申述べましたように、水産協同組合はあくまでへとへとの人的結合体であるというような本質を持つておりまして、若し会社組織のものに正組合員資格を認めろということになりますると、会社だけで協同組合を作るということが理論上可能になるわけでございまして、これらは本来の協同組合性格から申しましても逸脱する虞れがありますので、準組合員というような資格において認めて参りたい、かように存ずるのでございます。準組合員と申しましても正組合員と異なりました点は、単に議決権選挙権を持たないといつたような点にあるのでございまして、その他の組合協同施設を利用するといつた部面におきましては正組合員と何ら差別はないのであります。従いまして法人協同組合加入させろというような意味合から申しましても、組合利用の面でこれらの法人利益を享受さえできればよろしいのではなかろうかというように考えた次第でございます。  更にどの程度規模を基準にいたしまして法人加入を決めるかどうかといつたような点が問題になるのでございますが、いろいろの事情から判断いたしまして、漁船につきましては使用漁船合計トン数が三百トン、常時使用雇用者が三百人以下といつたような線を漁業については引きまして、加工の場合につきましては常時使用者数が四十人以下といつたような限定を設けた次第でございます。この点はかつをまぐろでありますとか、以西底曳でありますとかあぐり或いは定置といつたような各種業種別資料に基きまして、大体危険分散をやるために漁業多角経営といつたような点から見まして、この程度の法へ組織でありますれば大体個人と変りのない線であろうというふうな判断から基いたのでございます。  第二点は、独占禁止法適用緩和の点でございます。これは第七條に関連した事項でございますが、水産業協同組合は原則として独禁法適用を除外されているのでございますが、かつをまぐろ漁業、或いは以西底曳網あぐり網漁業定置漁業といつたような各種業種別組合でありますとか、或いは加工業組合でありまして一定規模以上の業者が三分の一以上を占める組合に対しましては、御承知通り独禁法適用があり得るという建前なつておるのでございます。従いましてこの一定規模以上の業者独禁法第二十四條のいわゆる小規模事業者でないものと考えられておるのでございまするが、この点中小企業等協同組織法と少し比較いたしますると多少アンバランスであるというような点もございまするし、又新らしい、先程御説明申上げました法人加入との建前を認めるといつたような関係から申しましても、法律の第七條改正しまして、組合に対する独禁法適用を多少緩和するということが必要だと存ずるのでございます。  第三点は、役員に関する事項改正でございます。この点は第三十五條と三十六條の二つの点に触れて参つておるのでございます。役員任期につきましては、現行法では最大限度二年という建前なつておるのでございまするが、これは責任をもつて事業計画を立てましてこれを完全に遂行して、その結果に汚しまして責任を負うというためには、二年では不十分であるというように考えまして、これを三年まで延長しまして事業遂行の完璧を期したい、かように考えたのでございます。即ち第三十五條によりまして役員任期を三年に改めたいということを提案した理由でございます。その夫に新らしく一ケ條を設けまして、即ち二十六條の二といたしまして、組合事業と実質的に競争関係にありまする事業関係者組合の役割なり或いは主要組員になることを禁止したのでございますが、この意味は要するに組合利益が他の事業関係者の利害によりまして損ぜられるというようなことを防ぐ意味に外ならないのでございます。この点は農業協同組合法にも先例がございまして、組合利益が全体の組合員のために守られるという点を特に強調した規定でございます。  第四点は、員外漁業制限緩和の点でございます。これは條文の第十一條と第八十七條の三項但書に現われて参つておるのでございます。現行法では御承知通り員外漁業組合員の利用する量と同量までといつたような制限がございまするが、漁業実態から考えてみましても、根拠地の漁港といつたような関係につきましては外来船が占める割合が非常に大きい、従いまして組合立場から申しましても、漁業者立場から申しましても、この員外漁業制限緩和しなければいけないのではなかろうかというふうに考えるのでございます。その方法といたしまして、その協同組合組合員でなくても他の漁業協同組合組合員であるならば、その者の利用量員外漁業として計算しないといつたような方法によりまして緩和図つた次第でございます。  第五点といたしましては、河川組合における代理議決権の特例に関する事項でございます。これは條文といたしましては第二十一條関係でございます。現行法では総会出席代理人は組合員の一人しか代理できないといつたような制限がめるのでございますが、河川組合につきましては、その地域が川の流域に跨つて広大な場合が多いのでございまして、そういつた非常に地域の広大なところにおきまして、総会を成立させるということが具体的になかなか困難であるというような実情もございますので、河川組合につきましては組合員千人以上のものにつきましては組合員二人まで代理ができるといつたふうに緩和いたしまして、成るべく河川組合総会が成立できますように考慮をしたのでございます。  それから第六点は、專用契約の期間延長の点でございます。これは條文といたしましては第二十四條の関係であります。組合組合員の間に契約されまするいわゆる專用利用契約というものは、現行法におきましては期間が一年以下と定められているのでございます。併しながらいろいろ統制撤廃でありまするとか、その他の各種影響を考えてみますると、期間一ケ年だけでは翌年度の事業計画或いは予算の樹立に支障があるといつたような場合も多いことが予想されますので、これを二年の期間まで延長できるというようなことにいたしまして、組合事業運営の効果を考えているのでございます。  第七点は総代会に関する改正でございます。條文といたしましては五十二條関係でございます。現行法では、組合員二百人以上の組合総代会を置くことができまして、総代定数は五十人以上になつているのでございますが、これを組合員百人以上の組合であれば総代会を置くことができまして、総代定数組合員の四分の一以上と改めることにいたしたいのでございます。併し組合員が二百人以上の場合は五十人以上といつたような関係になるわけでございます。それで組合員百人でありまするとか、或いは二百人でありまするとか、こういつたような小さい組合も、漁業の実体から申しまして、或いは組合市域の広さから申しまして総代会を設置する要望が強いのでありまして、そういつた各地方の要望に応えて改定をいたしたい、かように存ずるのであります。併しながら無傑作にこれを許しますると尚弊害が生ずる場合もありますので、全段的に総代会独善專行というようなことが起らないように特に三十二條に新たに二項を設けまして、総代会で一度議決いたしましたことでも、それから三ケ月以内に開かれました総会におきましてその議決を修正し得るといつたようなことでありまするとか、或いは総代会を置いた場合も一年に一度必ず通常総会を開くべきであるといつたような規定を設けまして、この弊害を除くことにいたしたのでございます。以上であります。
  12. 木下辰雄

    委員木下辰雄君) 御質問がありましたらお願いいたします。
  13. 西山龜七

    西山龜七君 先程政府提案理由説明に、協同組合がどうも弱体であつて、やはり法人組織組合としてその組合の発達を図る、こういうお説のように聞きましたが、この法人議決権を与えない、選挙権を与えない、こういうことになりますと、その法人というのはその協同組合加入して選挙権もないということになりまして、これはただこういうような形式で、実際においてこれを法人個人組合員との結合がうまく行くかどうか、かように思いますが、これに対してどういうような御見解を持つておりますか。
  14. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) 先程御説明申上げましたのは、いわゆる法人でございましても企業合理化等関係からいたしまして、個人経営で本来やつてつたのを法人組織に直してやつているというような状態が大分多いのでございますので、そういつた個人に類する法人協同組合協同事業利用といつたような利益に均霑せしめたいというのが改正趣旨でございまして、組合が弱体であるからそれを強化するために法人加入を認めろといつたような趣旨ではないのでございます。従いまして飽くまで組合本質といつたような点を堅持いたしまして、その上で法人加入を認めて参りたいというような建前をとらざるを得ないと思いますので、個人個人といつたような協同組合組織をできるだけ尊重いたしまして、法人加入の途を開きますと、法人の中にはいろいろの種類がございまして、或いは資本の性格から申しましても、或いは組織の連繋から申しましても、無制限にこれを個人同一に取扱うということになりますと、そこに勢い弊害が生ずるのではなかろうかというような意味合も併せまして、準組合員というような資格を与えたのでございまして、これは現在漁業生産組合漁業協同組合の準組合員であるという建前同一建前をとつているのでございます。
  15. 西山龜七

    西山龜七君 今の御説明でよく分りましたが、この法人に対しまして、或いは法人の希望によつてやはり個人と同じような意味でなしに、この程度法人であれば選挙権なり議決権を何票認めるというような制限を認めて、すべて法人にも、選挙権にも議決権にも浴するようなことにした方がいいのではなかろうかというような感じがしますが、その点についてもう一度御説明願いたい。
  16. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) お話の点尤もであると思いますが、御承知のように法人の中には、たとえ規模が小さくても、相当資本的な関係からいたしまして力の強い面もございまするし、又法人組織といつたような組合からいたしまして、いろいろの面に関連を持つているというような点も出て参るわけでございまして、一度門戸を、加入の途を開きまして議決権なり選挙権というものを無制限に与えて参りますと、認めたくないような、好ましくないような法人までが、何と申しますか逆に利用するというような弊害があることを恐れまして、建前といたしましては飽くまで個人を中心にした協同組合を尊重して参りたい、かように思つているわけです。
  17. 西山龜七

    西山龜七君 そういたしますと自分が、法人そのもの自分が希望をすれば協同組合加入はできるが、別にその協同組合加入を希望しなければちつとも差支ないということになるのですか。
  18. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) お話通りでございまして、加入なり脱退はその法人の自由になるわけでございます。加入しております間は一般の正組合員と同じように組合事業を平等に享受し得るという建前になるわけでございます。
  19. 尾形六郎兵衞

    尾形六郎兵衞君 只今西山委員お話で大体盡きておりますが、実情は例えば私の方の山形県の加茂港の主な漁業機船底曳網漁業であります。その機船底曳網の免許を持つている船は全部三社で持つておりまして、個人の営業というものはないのです。今度の水産業協同組合法のために全部会員でなくなつてしまつた。従つて現在の模様では加茂港の協同組合というものは誠に出資にも困つている、事実、払込にも非常に困つている。こんなわけでありますので組合法を推進したために却つて弱くなつた、こういうような状態です。幸い只今改正漁業法案が出たのですが、この問題をもう一歩前進して正組合員たらしめる方法はないか。殊に我々の方は持つてつた船で協同してこういうものを作つたのであつて、普通の資本家が資本を持つて来て船を買收してやつたようなものでないので、個人の船を回收したものである。いわゆる資本の力を以て外の業者を圧迫するというような弊害を認めないのであります。従つてもう少し前進して正組合員にされることを当局は考えていないかどうか。
  20. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) お話のようにこの改正理由個人と実体が同じような法人を前提といたしまして改正をしたい、加入の途を開きたいということでございまするが、先程御説明申上げました通り全国的に見ますると、法人組織と申上げましてもその中で小さな組織でございましてもいろいろと質の変つた種類があるように見受けられるのでございまして、それらが一体に全部組合に正組合員として入り、選挙権議決権を持ちまして組合運営に参加するというようなことになりますると、多少弊害があるのではなかろうかというような心配がございましたので、制限して準組合員としての取扱いをいたしておるのでございます。全部が全部こういう実体でありますならばお話通りになると思うのでございますが、全国的に見ますると聊か心配の点がございますので、この程度改正をいたしだい、かように存じた次第でございます。
  21. 尾形六郎兵衞

    尾形六郎兵衞君 そうするとつまり正組合員でないところの法人が、こういう途を開いたときに相当多数組合加入する見込がありと当局は思われますか、どうですか。
  22. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) 従来の協同組合が実施されましてから一年以上もたつているのでございまするが、その間各地からお話のような点につきまして要望がございまして、是非そういつた個人企業と変りないような小さな法人加入については認めて貰いたいという声が強かつたのでございまして、従いまして我々といたしましては、この改正が実施になりますれば相当数の法人加入するのではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
  23. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 外にありませんか。この水産業協同組合法の一部改正法律案は、提案されない事前に水産当局から大体の方針をこの委員会は承わつて、そうして事前審査をいたしまして、小委員会にこれを付議して、小委員会では慎重審議といたされまして大体小委員会としての改正の案が本委員会に移つております。それで次の委員会におきましては、この法案質問と同時に小委員会の案も検討いたしたいと、かように存じます。別に本日御質問がありませんければこの程度で閉会いたしたいと思いますが、如何でしようか。
  24. 尾形六郎兵衞

    尾形六郎兵衞君 先程兵庫県の試験場内橋技師からお話を一応お聞きして、ちよつと私座を外したのですが、漁業法の一部を改正する法律案のほうは今日は内橋技師の報告を聴くのに留めて一応打切つたわけですね。まだ法案自身というものは継続するのですね。
  25. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) そうです。漁業法の一部改正法律案は非常に面倒な問題でありますから、いろいろ資料その他、ついて十分検討いたしたいと思います。衆議院が兵庫県の水産試験場資料を基として立案したという情報を聞きましたので、今日来られましたので幸い説明を求めました次第です。尚この法案の取扱につきましては後日又協議をいたします。
  26. 尾形六郎兵衞

    尾形六郎兵衞君 もう少し私聴きたいと思うのです。   —————————————
  27. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) それでは水産業協同組合法の一部改正法律案はこれで以て一時質問を中止いたしまして、再び漁業法の一部改正法律案を上程いたします。内橋技師に御質問ありましたらお願いいたします。
  28. 尾形六郎兵衞

    尾形六郎兵衞君 さつきのお話によると瀬戸内海の潮流は西から東の方に流れるのが常態だという話でありましたが、それに間違いありませんか。
  29. 内橋潔

    参考人内橋潔君) 私海流と言うたように思うのですけれども、潮流と海流とひよつとそのときに混同したかもしれませんけれども、海流が西の方から入つて来まして東のほうへずつと行くわけです。
  30. 尾形六郎兵衞

    尾形六郎兵衞君 そうすると魚類は西の方から大体東の方に遊泳する、こう解して差支ないですか。
  31. 内橋潔

    参考人内橋潔君) 海流が西から東へ入つているのが相当濃厚に見られるということで以て、魚がそれに従つて西から東に行くということは申上げることはできません。
  32. 尾形六郎兵衞

    尾形六郎兵衞君 大体の傾向は海流と共に魚は行きませんか。
  33. 内橋潔

    参考人内橋潔君) そういうこともございますけれども、一般論と特殊論との場合を考えて申しますと、一般論としてはそういうことがいえるのでありますが、特殊の場合がありまして瀬戸内海は御承知通り海流もございますし、潮流が極めて複雑でありますので、それに影響されて、ただ海流だけによつて魚のヴアイブレーシヨンが支配されるということはちよつと科学的に申上げにくいのであります。
  34. 尾形六郎兵衞

    尾形六郎兵衞君 内橋技師の観察では大体瀬戸内海から紀伊水道に流れて来る魚と、紀伊水道から瀬戸内海に入る魚とどちらが多いでしようか。
  35. 内橋潔

    参考人内橋潔君) 今の御質問の御要旨は、紀伊水道から中へ入る魚と、大阪湾播磨灘から外へ出る魚とどちらが多いという御質問ですか。
  36. 尾形六郎兵衞

    尾形六郎兵衞君 そうです。
  37. 内橋潔

    参考人内橋潔君) 今の御質問に対してお答え申上げますが、紀伊水道播磨灘大阪湾というものは、生物学的に不可分一体のものでありますので、紀伊水道から入るものが多いか、或いは播磨灘から出るものが多いかというふうなことは申上げにくいような状態でございます。
  38. 尾形六郎兵衞

    尾形六郎兵衞君 その不可分一体という話はさつきもちよつとありましたが、簡単に箇條書にどういうふうなことを不可分一体というか、要領を話して貰いたい。
  39. 内橋潔

    参考人内橋潔君) 私共が不可分一体と生物学的に申しますのは、大阪湾播磨灘でできました雑魚は、成長いたしまして瀬戸内海を通つて紀伊水道に入るわけです。そこで冬を越して又再び内海へ入つて来るわけでありますから、これらの海区でそれらの魚が三年とか五年或いは一年というふうな一生の間を、一軒の家として一家をなしてそこで魚の生態を営んでおるわけであります。そういうふうな一つ海洋学的環境の上に生物が棲息しておるのでありますから、そのベースを称して不可分一体と言つたわけであります。もう少し説明的に申上げますと、大阪湾播磨灘でできた魚がそこでできてもう外洋に去つてしまうというなら外洋と大阪湾は不可分一体ではございませんが、その間を行つたり来たりするわけでありますから。
  40. 尾形六郎兵衞

    尾形六郎兵衞君 次に豊後水道というものは同じような地位にあるのですが、豊後水道瀬戸内海の海区に入れない理由はどうですか。
  41. 内橋潔

    参考人内橋潔君) 豊後水道瀬戸内海の区域に入れない理由を申上げます。十二月の下旬から三月の上旬にかけまして内海温度はずつと低下します。具体的に申上げますと大阪湾が七、八度、播磨灘が八、九度その次の備後灘が九度か十度、それから周防灘伊豫灘周防灘の東南方に行くと十一、二度という温度になるわけであります。そうすると東の紀伊水道もここでも十一度、十二度という温度ができるわけであります。ですから等温線を画いて見ますと、紀伊水道の十二、三度の等温線とここにできる等温線とは同じであります。ここにできる豊後水道と南にできる等温線と同じ等温線を画くわけになります。であるから寒くなつて出る魚が伊豫灘におりますと避寒することができるのであります。ところが東の大阪湾播磨灘では紀伊水道まで出なければ避寒することができんような状態であります。
  42. 尾形六郎兵衞

    尾形六郎兵衞君 次にお尋ねしたいのは瀬戸内海で一年増殖する魚の数量は三千五百万貫と統計にはあるのですけれども……
  43. 内橋潔

    参考人内橋潔君) 大体三千五百万貫程度のものがあると出ているのです。
  44. 尾形六郎兵衞

    尾形六郎兵衞君 先刻内橋技師の話では、統計は三千五百万貫とあるが実際は一億万貫ぐらいとれるのであろうというのは内橋技師の見込数量ですか。
  45. 内橋潔

    参考人内橋潔君) さようでございます。大正十四年頃から昭和十四、五年三での統計を見ますと三千四、五百万貫ということに上つておりますけれども、その当時農林統計に出ております数字に大体二・五或いは三という係数をかけましてそれが実際にとれている数量であると、これが私共水産技師が考えておつた通念でありますので、大体瀬戸西海の生産量というものはここに仮に三千五百万貫としますと、或る係数をかけたものが瀬戸内海の実感の主産量じやないかというのが私共が想像しているところであります。勿論私のこれは一人の考え方であります。
  46. 尾形六郎兵衞

    尾形六郎兵衞君 ちよつと話が水産庁当局に移るのでありますが、農林統計に二・五或いは三をかけるということが、実際の漁獲量であるということが定説のようであるのですが、それに対する御感想はどうですか。
  47. 内橋潔

    参考人内橋潔君) ちよつと私から申上げますが、今の農林統計に成る係数をかけるということをいつているのじやなくて、戦前の農林統計は二・五とか三をかけたものがその当時の漁獲高ということを今申上げているのであります。
  48. 尾形六郎兵衞

    尾形六郎兵衞君 灘戸内海漁業取締規則は私はよく分りませんが、機船底曳網は禁止になつている筈ですが、打瀬網は許可されておりますか。
  49. 内橋潔

    参考人内橋潔君) 打瀬網は許可されております。
  50. 尾形六郎兵衞

    尾形六郎兵衞君 紀伊水道では相当に密漁船がありますか。
  51. 内橋潔

    参考人内橋潔君) あります。
  52. 尾形六郎兵衞

    尾形六郎兵衞君 この密漁船を取締ることはできない状態であるかどうか。そうしてその密漁船のトン数や馬力についてちよつと聞いておきたいと思います。
  53. 内橋潔

    参考人内橋潔君) 私機船底曳の方の取締をやつたことはございませんので、具体的のことは承知しませんので責任のあるお答えはできませんが、とにかく相当大きな馬力の船が而も数多いということは事実であります。
  54. 尾形六郎兵衞

    尾形六郎兵衞君 私の聞かんと欲するところは、実は我々の北方の海であるとたらとかさけとか余り高級でない魚が沢山にあるが、瀬戸内海にはたいとかえびとか非常に高級魚が多いのであります。従つて高級魚というものは繁殖率が非常に少いし、又この魚は非常につまり資源を保護しなければならないという性質のものであると思うので、今紀伊水道の問題を瀬戸内海から離すか離さないかということは、つまり稚魚の繁殖に大きな影響があると言われているのですが、瀬戸内海に密漁が横行しているようなことであるならば、先ず瀬戸内海自身から粛正しなければならぬのではなかろうかと、こう思われるので、普通の海の密漁船とは同じ意味に考えたくないという意味から聞いているのです。そうしますと、はつきり分らんのですか。
  55. 内橋潔

    参考人内橋潔君) 数ですか。
  56. 尾形六郎兵衞

    尾形六郎兵衞君 数とかトン数とか、或いは馬力ですね。
  57. 内橋潔

    参考人内橋潔君) これは恐らく県の方におきましても、水産庁の方におきましても、何トンのものが幾らあるかというふうなことは、はつきり具体的のことは分らぬだろうと思います。それは隠れて皆闇の漁をしておるわけですから、調べるとしましても相当時間を要することで、今急に実体を把握することは困難ではないかと思います。併し相当あることは事実であります。これはもう断言して憚らぬことであります。何度も私共紀伊水道大阪湾を船に乗つて通りましても闇の船がそこらあたりに散見しているわけです。
  58. 尾形六郎兵衞

    尾形六郎兵衞君 大体この程度でよろしうございます。あとは懇談をいたしたいと思います。
  59. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) では本日はこれを以て散会いたします。    午後三時四十八分散会  出席者は左の通り。    委員長      木下 辰雄君    理事             千田  正君            尾形六郎兵衞君    委員             青山 正一君             加藤常太郎君             西山 龜七君   政府委員    農林政務次官   坂本  實君    農林事務官    (水産庁次長)  山本  豐君   説明員    農林事務官    (水産庁漁政部    長)      松任谷健太郎君   参考人    兵庫県水産試験所    技師       内橋  潔君