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1950-02-14 第7回国会 参議院 水産委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年二月十四日(火曜日)    午後一時三十八分開会   —————————————   委員の異動 二月十三日委員淺岡信夫君辞任につ き、その補欠として加藤常太郎君を議 長において指名した。   —————————————   本日の会議に付した事件 ○水産物増産対策に関する調査の件  (提出予定法案に関する件)   —————————————
  2. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 只今から委員会を開会いたします。先ず今回提案を予定しております水資源涸渇防止法案について提案者側説明を求めたいと思います。
  3. 大澤融

    説明員大澤融君) この水資源涸渇防止法案につきましては前国会にも、この法案を立案して国会へ提出する必要の起つたいきさつをお話し申上げたのでありますが、例の許可漁船取消した場合の補償の問題が、大蔵省なり、或いは関係方面との話合いが付かないために、今日まで延び延びになつておつたのでありますが、漸くにしてその方面との話合いも付き、目下G・Sへ提出しておるところでありまして、そのオーケーが来れば国会へ正式に提案するという運びになろうと思うのであります。この法案は、御承知のように、直接には例の東海、黄海の漁業整理からその必要を感ぜられ始めたのであります。即ち制限漁区を違反するのを防止する、又涸渇しつつある水産資源を維持して、恒久的に安定した漁業ができるようにということを狙つて、約一千隻あつた東海漁業底曳網漁業等漁船を約六百五十隻までに整理して参るということが、昨年の八月頃から具体的な実行に着手せられて参つたのでありますが、この実効を確保するためには是非とも許可取消法律的な根拠、或いは又許可取消した場合に国が補償するというようなことが法律規定せられる必要があるのでありまして、そのためにこの法案考えられたのであります。併しながら、直接には以西底曳網漁業整理のために考えられたのでありますが、飜つて、例えば内地以東底曳網漁業というようなものを見ますと、大正の初めに始まつた漁業が、昭和十二、三年頃になりますというと約二千隻余りの船に増加しておる。当時これでは船が多過ぎる、沿岸との摩擦も非常に起るということで十ヶ年の整理計画を立てて、戦争中まで着々その実効を挙げて参つてつたのであります。このときに目標とした船の数が七百隻、約一万五千トンにしようという狙いで始めておつたのでありますが、戦争中の食糧増産の必要とかから中央許可権限にありましたものを地方庁に移して参るというような措置も取られまして、戦争終つて農林大臣権限に再び戻つたという船は三千隻以上の数になつておるのであります。即ち今日三千隻もの船を七百隻に減らさなければいかんというような、以東底曳網漁業許可船のみでも三千隻になつておるのみならず、これと同数の無許可船がやはりある。それのみならず、更にいわゆる類似漁船と称して、実態底曳網漁業相達ない漁業をやつておる漁船が四千隻余りあるという状態なのでありまして、自主的に以東底曳網漁業をやるものが一万隻に近いというような状態なのでありまして、この結果は、例えば島根の沖合で取れる魚を見るというと、産卵期前の稚魚が約八〇%も入つておるというようなことで、資源涸渇しつつあるのでありまして、こうした意味合におきまして、以西底曳網漁業に限らず内地についても水産資源涸渇防止する措置を取ることが必要になつて参つておるのであります。  我が国漁業戦前から誠に国際的には不評判な、侵略的な、或いは掠奪的な漁業だというような悪評を蒙つておるのでありまして、漁区拡張問題等を論ずる場合には、日本人が戦前つたような掠奪的な、侵略的な漁業は今後しないというようなことを継続的な履行によつて立証せん限りは、漁区拡張の問題が取上げられんのではないかというような議論もあるのでありまして、この意味合におきましても、こうした単行法を出して我が国水産資源涸渇防止するということをはつきりつて参るということを明らかにする必要があるのであります。この目的の一部は、この前の国会で成立いたしましたところの新らしい漁業法によつてこの目的を達し得るのであります。即ち指定遠洋漁業の章に許可定数を定め、実際に操業する隻数がその定数よりも多い場合には許可取消して行く。更に許可取消した場合には補償するというような規定国会で修正されて加わりました。この規定によつて一部は目的を達し得るのでありますが、先程申上げましたような意味合において、我々の水産資源涸渇防止するというはつきりした態度を国際的に示すという上においても、この単行法を出すことが必要であるばかりでなく、漁業法指定達洋漁業に限らず、外の漁業についてもこうした措置を取り得る準備をして置くことが必要なのでありまして、漁業法で一部の目的は達せられますが、更にそれを拡大してこの法律を作る必要があるのであります。この法律内容は至つて簡単でありまして、そこにお配りいたしました要綱で見て頂くといいのでありますが、目的は今まで申上げた通り、ここに書いてありますように「将来にわたつて最高漁獲率を維持するために水産資源涸渇防止すること。」これが目的であります。このために水産資源涸渇の虞れがあると思われるような許可漁業農林大臣許可漁業のみについて挙げてありますが、で、操業漁船最高隻数を定める。漁業法の五十三条でありましたかにありますように、この場合には資源の量でありますとか、或いはその漁業を営む者の数でありますとか、或いは自然的乃至社会経済的な条件考えながら操業漁船最高隻数を定める。この隻数を定めた場合に、現実に操業する隻数がこの定数以上になつておるという場合には、それを超える隻数漁業許可取消すということをいたすのであります。この取消の場合にも、漁業法の六十四条にありましたような種々の条件考え取消基準作つて、その基準に当てはめて取消して参るということになるのであります。この取消された漁船については国が補償するということになります。前国会で御説明申上げましたときには国が補償するか、或いは取消された、又残つた者相互共助金によつてつて行くというようなどつちにという結論がついておらなかつたのでありますが、この点につきましては前国会で修正を受けました例の補償規定、あの立法府の意思を尊重いたしまして、損失補償を国でやつて行くということに話がついたのであります。この補償の仕方については年賦法でするか、一時にするかというような点については政令で定めて行くということになつております。更にこうした措置を取るのに必要な資源調査を並行的に行なつて行くということが、この規定の主な内容であります。こうしたことを規定いたしますので、先程もちよつと申上げました漁業法のダブる部分、即ち指定遠洋漁業の、五十三条の指定遠洋漁業許可船についての定数を決める規定、それから六十四条の取消をし更に補償するというあの規定、これらを削除する。又五十八条の中で、五十三条なり、六十四条を削除したことによつて必要な字句の整理をするというような手続を踏んでおります。  この法律は今申上げたような経緯と狙いとを持つて、こうした内容であるのであります。簡単でありますが、私の説明を終りまして、御質問があれば承りたいと思います。
  4. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 何か……
  5. 千田正

    千田正君 この題目についてでありますが、水産資源涸渇防止法案というと非常に何か、もつと少し考えはありませんですか。例えば水産資源保護法案というように、もう少し簡単にして要を得た法案題目考えていいのではないかと私は思いますが、水産庁意見としてはどうですか、お尋ねします。
  6. 大澤融

    説明員大澤融君) 誠に長くて舌を噛みそうな名前なんでありますが、実は我々も最初考えました時に、水産資源維持法というような形で考えておつたんでありますが、日本水産資源状態というものは維持して行くというどころでない、涸渇しつつあつて、それを防止する必要があるというようなところからこうした名前になつたのであります。又こうした名前が是非出て来るということが、先程も申上げたような、いわば国際的な必要もあるところなんであります。
  7. 青山正一

    青山正一君 先程水産資源涸渇防止法案について前国会においていろいろお話もあつた際におきましても、この業者相互共助金ということで大体三百万円を見当として支払うと、こういうようなお話であつたんですが、今度は私共が出しました漁業法法律によりまして、この点が国が補償するというふうに変つたのでありまするが、これはどういうことになつておるんですか。例えばやはり国が全部負担するというようなことになつておるんですか。それともやはり部分的に業者相互共助金というものも多少含まれるわけですか。その点を承りたい。
  8. 大澤融

    説明員大澤融君) それは全部国が負担するという形です。業者相互共助というような形を取ることは事業者団体法に係る問題になると思います。
  9. 千田正

    千田正君 第五の資源調査という項目でありますが、本法の目的を達するために必要な調査をなすということでありますが、この費用は国で勿論持つことだろうと思いますけれども、これを明文化する必要があると同時に、単なる調査で済むかどうか。先程の御説明によるというと、いわゆる涸渇防止というような、涸渇にまで至つておるところの日本水産資源というものを、こうしたような法案で出さなければならないとするならば、相当これに対して強い意向を盛り上げない限りにおいては、法を作つて何ら実態に即さない点が相当ある。今までの慣例から見ると、海という問題に関する限りにおいては相当ルーズな点がある。こういう点から見て調査だけを必要とするのか、それとも監視も必要とするのか、その点もむしろこの際明確に法案として出す以上は作るべきであると思います。水産庁としてはどう考えておられますか。
  10. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 重ねてちよつとお尋ねしますが、初年度においてはどれだけの費用を計上されたかどうか、それを序に……
  11. 大澤融

    説明員大澤融君) 調査については勿論国が経費を負担してやるという建前であります。調査費関係、私はつきり記憶はないんでありますが、例えば以西については二十五年度の予算の中に約二千万円程入つてつたようにと記憶しております。その外に「いわし」の調査であるとか、沿岸内地漁業調査費が相当あり、約十億余の水産庁予算のうち四億程度調査費になつてつたように記憶しております。  それからもう一つ取締の問題でありますが、この点については例の「かつお」、「まぐろ」或いは以西底曳網漁業の、例のマツカーサー・ライン厳守の問題もあつて、特別なポツダム政令が出て約一億程度の金を出して、取締船というのではありませんが、監視船という名前の船が出ております。又沿岸においての取締については、約八隻の船を置きたいということで、非常に強い交渉を大蔵省としたのでありますが、残念ながら予算には計上されなかつたのでありますが、私共の気持としては沿岸においても取締をもつとはつきりした形でやつて行くということが必要だと思つております。ですから取締関係は勢い保安庁に頼らざるを得ないというようなことになると思います。
  12. 千田正

    千田正君 今私が言い足りない点がもう一つあるのです。それは涸渇防止という防止法案だけですから、更に進んでこれを維持し保護するという意味から、孵化場あるいは稚魚の育成というような面までこれにむしろ謳つておいて、そうして日本水産資源を維持する方法を積極的にこの法案に盛る必要があるのではないかと私は考えますが、その点については水産庁はどうお考えになりますか。
  13. 大澤融

    説明員大澤融君) 確かに御説のようにこの法案はむしろ消極的な意味で、積極的な面がないという点は御指摘の通りだと思うのでありますが、ともかくも非常に水産資源涸渇しつつあるという緊迫した事態に対して直ちに手を打つということの必要のために作つた法律でありますので、そこまでの積極面のことが入つていないのでありまして、これと並行して我々積極面のことを考えて行く必要は十分認めておるのでありますが、今申上げたように緊急な措置をして参るというような意味で、お感じになられるような消極的な法律になつておるわけであります。
  14. 千田正

    千田正君 勿論今の説明で分りますが、法律というものはそう簡単にできないのであつて、無論水産の面から言いますれば、こういう法律を作る際に、いわゆる楯の両面としての一面、それを保持して行く方面法律も作るのが必要でありますが、緊急必要上止むを得ないと言いますけれども、この六条、七条にも一緒に謳つて法案として頂いた方が、我々水産の代表としては当然それをなすべきだという積極的な考えを持つております。無論水産庁がこれしかできないという意思であれば、我々委員会としてはもつと積極的に考えるべきであると、かように私は考える次第であります。
  15. 青山正一

    青山正一君 只今大沢課長説明によりますと、大体似西底曳は一千隻のうち六百五十隻が整理になるんだ。こういうような御説明があつたわけですが、実際上におきまして下関或いは博多の現地を調べて見ますと、これはいろいろな逃げ道を講じて、例えば現状においては八百二十二隻というふうなことになつておるんじやなかろうか。こういうふうにも考えておるわけなんですが、一体これはどういうふうなことに……例えば、六百五十隻というのはこの次の第二次整理のときにおいてやつて行こうというお気持であるかどうかということを伺つて置きたいのです。  もう一つ以西底曳の一千隻に対して六百五十隻に整理した、つまり残りの三百五十隻は国の負担によつていろいろ補償の途を講じておる。又以東底曳についても大体七百隻、一万五千トンが対象になつていて、その後二千隻増加した。そのために現状においては三千隻許可を与えておる。この分に対してもこれは勿論整理対象になりますが、それと同数目標の船が三千隻ある。或いは類似のものが四千隻ある。つまり一万隻のうち、この許可を受けた三千隻に対していわゆる補償の途を講ずるとか、或いはそれとも又いろいろな段階を設けて、あとの六千隻も国家の方で多少自立の途を講ずるとか、その点について一つ承りたいと思います。
  16. 大澤融

    説明員大澤融君) 最初の問題でありますが、これは私今細かい数字を持合わしておらないのでありますが、六百五十隻になりますのは、今までやつて参りました整理計画に従えば、今年の十二月までに六百五十隻になるわけであります。それから第二の問題、これは今申上げましたように、以東底 曳網漁業については許可船の外に無許可船その他の船があるということで、今直ちに許可船について整理を行つて行くというような方法は取れまいと思うのであります。そこでまず無許可船なり、或いは類似漁船というようなものを適正な枠の中に篏め込んだという適当な処置が取られて後に、三千隻程度の無許可船整理するかどうかという問題が起こつてくると思うのであります。補償の問題は、これはあくまでも、許可を受けておつたもののその許可取消すということのために起る損失補償するのでありますから、無許可のものは、これはいわば取締りの問題でありまして、無許可操業を止めさせたからといつてそれに補償するという問題は起きて来ないと思います。
  17. 千田正

    千田正君 今の問題に附随して、青山委員質問に附随してお尋ねいたしますが、これによつて生ずるところのいわゆる失業者、この問題は相当深刻な問題として考えなければならないと思うのであります。第五条によるというと「告示の日現在において許可取消を受けた漁船に乗り組んでいる者及び当該漁船のために陸上作業をしている者に対し、支払を受けた補償金のうち省令で定める金額を支給しなければならない。」というふうに出ております。水産庁考えから行きますと、今度の同案が出たことによつて行うところの失業者並びに、無許可船と雖もこれは人間が乗つているのでありますから、そのために補償しないならば、これは潜在失業者としてその方の手を打たなければならない。この潜在失業者に対する手の打ち方、そうして果してこの乗組員若しくは陸上労働者が、この法律の出たことによつて非常な苦しみを受けるというようなことであつては、法の目的は必ずしも万全を期したとは言えないのでありますが、これに対して水産庁当局としては関係官庁若しくはその他のこの問題を処理する上において、十分なる打合せを遂げたのかどうか、或いはその処理について、果してどれだけのこの人たちの生活の将来を補償するような転換の方法、若しくは潜在失業者というような問題に対しての処理方法について腹案を持つておるか、その点について御説明願いたいと思います。
  18. 大澤融

    説明員大澤融君) 非常に重要な問題でありまして、私からお答えするのもどうかと思うのでありますが、そうした問題がありますので、今申上げたように以東整理というようなことは今直に手を付けるかということは、むずかしかろうと思うということを先程も申上げたようなわけであります。以西整理はすでに具体的に実行に着手し始めておるのでありますが、これについて許可取消される船に乗組んでおつて、そのままにして置くと仕事がなくなるという人の数は、大体二千人にはまだならんと思います。二千人足らずと思います。これに対しては今の第五条によつて失業の手当という、その転換し得るまでの食いつなぎの金というようなものを、補償金の中に見込んで支払つて行くという手を考えると同時に、私共の考えておりますのは、先ず第一には、日本漁業者労働条件が非常に悪いということが国際的な漁場で活躍する場合には障害になるのでありまして、以西底曳のようなものではもつと予備員の制度を拡充して行くというようなことを考えるとか、勿論他種の漁業に転換させることも勿論でありまするが、更に国際的な、余所の国とのつながりで漁業をやつてそつちの方に乗り換えて行くというようなことも手を打つて参らなければならんと思つております。具体的には未だ以西の僅かな人でありますので、他省と細かい打合せをしたことはございません。
  19. 青山正一

    青山正一君 もう一点お伺いしたいと思いますが、問題はですね、この以西整理のこの三百隻整理されるその対象の中に、韓国にポツダム政令の前に拿捕された船が確か二十九隻、それから中共に拿捕された船が二十九隻、その他四隻で、全部で六十二隻になつておるわけなんですが、確かこの以西底曳申合せによつて、その六十二隻というものが今度の政令対象になつておるように伺つておるわけなんですが、そう言つた整理対象に、或いは中共に拿捕されたがために整理対象になつた船と雖も、これは十分な補償の途を講ずるわけなんですかどうか、その点についてお伺いしたいと思います。
  20. 大澤融

    説明員大澤融君) 漁区違反をするということがあつた場合には、今は勿論でありますが、例のポツダム政令が出る以前におきましても許可取消すという措置が取られねばならんのでありまして、こうした漁区違反の問題で許可取消されたものに対しては、この法律による補償という問題は起つて参りません。
  21. 青山正一

    青山正一君 その問題で、今度は国家的な世論で、而もポヅダム政令のあと起つた問題であるというふうなことで今度の九隻の問題は取上げられ、いろいろこの参議院の委員長を初め皆さんの奮闘によつて全部船も帰つて来ると、必要な船員も帰つて来ると、いろいろな損害の補償の途も講じて呉れるというようなことで、これは非常な恩恵を受けたわけでありますが、ポツダム政令以前において拿捕された船が、果してマ・ラインを越えたものか越えないものかはつきりしなかつたとし、全部が全部越えないというものだという確信の下にいろいろ国会あたりヘも陳情に来ておるのでありますが、そういつたもののみを許可取消すと、この申請料も大変なものだと私は思うのであります。その上に漁区取消す、今度の補償対象にもならんというふうなことになりますと、これは非常に大きな社会問題だろうと思いますが、この点は十分考えなければならんと思いますが、これは政府に諄くお聴きするようでありますが、一つ十分御研究願われんものでしようか、どういうものでしようか。一つお伺いしたいと思います。
  22. 大澤融

    説明員大澤融君) その点については、ポツダム政令施行後と施行前とについて漁区違反をした船の取扱い方は何ら変ることはありません。つまり私共の理窟通り理窟を通しての考え方は先日の九隻の問題でありますが、これも漁区を違反したかどうかということの検討は、ポツダム政令が出た前に拿捕された船についての見当と同じ見当でやつて行くという考えでおります。
  23. 青山正一

    青山正一君 委員長ちよつとお伺いしたいのですが、先般の公聴会の席上におきまして証人を喚問しまして、委員長の前に全部の証人が宣誓した、こういうふうな格好になつている。而もこれに違反した場合におきましては相当罪を背負わなければならん、こういふうなことで皆さんが宣誓なすつておられる。こういう際におきまして、若し船がマツカーサー・ラインから外へ出ておつたというふうなことになりますと、あの船長の証言というものが、つまり間違つてつたというふうなことになりますからして、この点非常にデリケートな問題が起きて来やせんかということを私は非常に心配しておるわけなんであります。この点につきまして委員長も万遺憾のないように一つ御注意願いたいとこういうふうに考えております。
  24. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 御質問がないようでありますから、私からちよつと一点だけお伺いしますが、以西底曳の減船問題は恐らく新たな漁業法によつてやられる、それがこれでは裏付する法律がないのだからして、あれに基いて定数を定められて、そうしてそれから整理するとこう考えられますが、果してそうであれば、この漁業法が実施されるのは三月の中旬頃だろうと思いますが、その後になるだろうと思いますが、その場合においては、漁業法の第十二条において中央漁業調整審議会意見を聴かねばならん、こうなつておるが、この中央漁業資源調整審議会作つて、そうしてその意見を聴いて定数を定めて、後において整理いたしますかどうか。
  25. 大澤融

    説明員大澤融君) この以西底曳の今までやつておりました計画に従えば、第一期の整理、一番初めの整理を今年の六月末までにやろうということにいたしておりますので、漁業法が三月十四日に施行になりますれば、一応中央漁業調整委員会意見を聴いて、この法律を運営して行くという準備が整うと思います。
  26. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 外に御質問がなければ第一回の委員会質問これで打切りまして、水産業協同組合法の一部を改正する法律案、これについて政府提案の要旨を御説明願います。
  27. 曽根徹

    説明員曽根徹君) 只今準備いたしておる協同組合法改正法律案を御説明申上げます。御承知の如く正式に提案されておりません。政府案の草案ございます。N・R・Sの方との折衝は一応終了しております。G・S当局からの正式な承認はまだ得ておりません。従つて只今御参考のためにお配りいたしました改正新旧条文対照表は、或いは政府案として変更される場合もなきにもしあらずと考えられるのであります。併しながら大体天然資源局水産部の御了解は得ておる次第であります。  改正要点を申上げます。第七条の「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律との関係」でございます。これは後程御説明申上げます法人加入との関係を考慮いたしまして、従来の制限よりも、これを拡張いたしました。拡張要点は、業種別組合における経営規模制限につきまして、第七条に表があつたわけでありますが、その表の「下欄の経営規模以上のもの」というのを「経営規模をこえているもの」と拡張いたしました。尚定置漁業は「常時使用する漁業従事者五十人」と規定されておりましたのを百人に拡張いたしました。水産加工業協同組合につきましては、「常時十人以上の従事者を使用する」というふうな規定になつておりましたものを「二十人以上」に拡張いたしました。  次に第十一条でございます。これも後程法人加入の組合資格の問題のときに御説明申上げますが、それと関連いたしまして、従来協同組合の員外利用の分量は、漁業協同組合におきましては、その協同組合が組合員に利用させる分量だけこれを員外漁業として取扱うことができるという規定になつておりましたものを、この度は員外漁業、どこかの協同組合に入つておりさえすれば、その協同組合に入つておる協同組合員の利用分量は、その組合の員外漁業としては扱わないで、その組合の当然利用される部分としと勘定に入れるというふうに改正したのであります。そのどこかの組合というのを組合員、他の組合、その組合は漁業協同組合でありましてもよろしいし、水産加工業協同組合に入つておればそれも亦よろしい、及び農業協同組合の何れかに入つております組合員の、この組合に対する利用分量というものは、それをそこの組合の員外利用としては扱わないといふうに拡張いたしたわけであります。次十八条、「組合員たる資格」の改正でありますが、その第三項を改正いたしまして、従来準組合員として扱つておりましたものに、更に一定の規模に制限を置きまして、法人たるこの準組合員として認めるという規定を加えました。その一定の規模と申しますのが、その四号に規定されております。組合の地区間に住所又は事業場を有する漁業を営む法人漁業協同組合及び漁業生産組合のその他の法人であつて、常時使用する従業者の数が三百人以下で、且使用漁船の合計トン数が三百トン以下、三百人、三百トンという制限で一応線を引いたわけであります。御承知の如く漁業におきましては、この規模の制限につきまして明確にすることは、業種別毎に非常に煩雑な線を作らなければならないかと思います。一応資料を平均いたしましてこういう線にいたしたわけであります。次に第二十一条の「議決権及選挙権」の規定につきまして、河川の組合におきましては代理議決が一般のように一人一名では非常に地理的に不便であるという理由を以ちまして、一人が二人までの組合員を代表することができるように代理議決権の拡張をいたしました。次に第二十四条の「専用契約」であります。従来その組合員が組合の施設を利用するについて、専用の契約をする期間は一年を超えない期間というふうにやはり契約を締結しなければならない規定でございました。これを不便と考えますので、二年を越えない期間というふうに延長いたしました。次に第三十五条の「役員の任期」でありますが、従来定款で、法律に一年と規定されてありますが、定款の定めようによつては二年まで延長することができるように現行法ではなつておりますが、これを三年まで定款で延長し得るように拡張いたしました。次に第三十六条に一項を加えまして、「競業関係にある者の役員等への就任禁止」の条項を一項を加えました。今まで漁業協同組合につきましても、極東委員会の決議に基き、司令部からのサゼッションもございまして、前議会に改正された点であります。その内容は「組合の行う事業と実質的に競争関係にある事業を営み、又はこれに従事する者は、当該組合の理事、監事、参事又は会計主任になることができない。」。組合が現に行なつておる事業と実質的に競争関係にある事業を営み又はこれに従事する者は理事、監事、参事、会計主任への就任を禁止いたしました。次に第五十二条の「総代会」の規定でございますが、従来二百人を越える組合が総代会を設けることができて、二百人以下では設けることができない。又それも五十人以上でなければいけないというような規定になつておりました。それを二百人というのを百人に下げました。尚その総代の定数は、五十人以上と規定されておりますのを百人以下では四分の一以上でなければいけない。つまり丁度百人になつておりますと二十五名以上でなければならん。但し二百人を超える組合は、従来の現行法のように五十人以上であればよろしいというふうに、総代会を設ける規定を緩和いたしました。以上が大体の概略でございまして、これを連合会におきまして員外漁業の分を同様に拡張しました点が八十七条であります。それから加工業協同組合について同様な員外利用の拡張を行いました。尚「組合員たる資格」につきまして準組合員を規定して、水産加工業協同組合につきましても、法人加入の一定の規模以上のものについて設ける。それは常時使用する就業者の数が四十人以下であるという法人、そういうふうな水産加工業協同組合におきましても、漁業協同組合と同様の法人加入の法人を準組合員として加入せしめる規定は設けました。  大体以上でありまして、以上に基く準用規定でございます。尚経過規定といたしまして、三十六条の二の「競業関係にある者の役員等への就任禁止」の規定は、公布の日から起算してニヶ月間は適用しないという経過規定を設けました。以上が大体の改正の概略であります。
  28. 青山正一

    青山正一君 一つメモにでも書き留めて頂いて置いて下さい。幾つか質問がありますから、第十一条の事業の種類ですが、これは八十七条にも、或いは九十七条にも書いてありまするが、この外に、例えば組合員並びに他の組合員、或いは水産加工業協同組合及び農業協同組合の組合員、こういうふうに限られますが、他の組合とか、或いは水産加工業協同組合員、これは分つておりますが、農業協同組合の組合員、こういうふうなことであちらこちらにも載つておるのでありますが、私の考えといたしましては、これは各地方地方の実状を見まするに、この農業協同組合を入れていいものか悪いものか、これはもう土地によつては非常に摩擦の多い所もあるのじやないか。例えばこの設備があるがために、又農業協同組合にそれを利用させるというふうな意味合からして、例えば気仙沼の農業水産倉庫とかいうようなものが、農業の部面がいろいろ加工をやつたり、或いは罐詰をやつたりというふうなことになつて行きがちだと、私はそういうふうに考えておりますが、その点。  それから五十二条に、組合員の総数が二百人を越える組合はどうのこうの、これはまあそういうふうに書いてありまするが、これはどうなんですか。この規定を定めずに、この総代会とか、そういつた関係のものは、各地の実情によつていいろ違うわけですからして、一つ定款に決めるというふうなことで、これを削つたらどうかと思いますが、これを載せなければならんということで、G・H・Qから御指示を受けたわけかどうかという点ですね。  それから第三十五条の「役員の任期は、一年とする。」そうして二年を三年にするというふうなことで、いろいろ御説明があつたのですが、この役員の任期は一年としなければならないというふうな関係、これはもうG・H・Qとの折衝で一年としたわけですか。これは普通二年というふうに考えて行つていいわけなんですが、どうなんですか。その点一年としなければならん根拠。これを二年にして、そうして定款で三年以内ということで決めてしまつたら、何でも別に文句はなかろうというふうに考えておるわけであります。  それからこの改正点以外に、殊に問題にしなければならんということは、例の全国団体の問題です。この前の水産長官あたりの説明を聴いてみますと、つまり教育とか、文化、或いは指導調査的な経済行為に亙らざる全国団体ならばできる可能性があるやに、これは僕の聞き違いかも知れませんが、そういうふうにも僕は聴いておつたわけなんですが、全然これは見込みはないものですか、どうなんですか、その点について一つお聴きしたいと思います。これは部長からお答え願います。
  29. 松任谷健太郎

    説明員(松任谷健太郎君) 御質問の四点につきましてお答え申上げます。  十一条の農業協同組合が員外利用の関係において、法律の解釈といたしましては組合員並に取扱われるという点につきましては、地域によりまして却つて漁業協同組合の事業支障を及ぼすことがありはしないかという御質問だと思うのでございますが、この規定改正をいたします理由といたしましては、協同組合というものの本質から申しまして、協同組合の事業というものであれば、他の協同組合の組合員であつても、その組合員並に同じ陣営の中で取扱おうということが一つと、更に農業と水産関係につきましていろいろと密接な関係がある。農業を主体とし、漁業を従として行う所もございましようし、又漁業を主体とし、農業を従として行うところもございまして、同じ協同組合でありながら、その事業の利用がお互に相互の組合員のために利用できないという点になりますと、特に購買事業その他につきまして不便であるというような意味合から、この農業協同組合というものの組合員が員外利用を組合員並にできるというふうにしました理由でございます。そこで罐詰工場その他の加工事業等につきまして、御質問の御趣旨がはつきり私了解できませんのですが、例えば漁業協同組合が罐缶詰の加工事業をやるという場合につきまして、それを員外である農業協同組合の者が、加工工場の、例えば購買関係を利用するというようなことになりましても、余り差支がないのではなかろうかというふうに考えておるのでございます。  それから第二番目の、総代会の総代は定款に譲れないものかどうかという点でございまするが、この点は御質問通り協同組合の決議機関といたしましては総会が建前でございますので、総代会というものは成るべく規定された範囲において認めて行くというふうな関係方面の趣旨になつておりますので、いろいろとこの総代の制度の法律を作りました当時におきまして、総代会につきましていろいろと指示があつた次第でございます。従いまして今度の改正につきましても、この程度でいいかどうかというような点について、尚関係方面の一部におきましては問題にしているような状態でございまして、これを法律から外ずしまして定款なりに譲るということは、なかなか困難であるというふうに考えておるのでございます。  それから第三番目の役員の任期の問題でございまするが、この点も、役員の任期は普通の組合でございますると、お話のように二年が建前のものが多うございまするが、水産業協同組合につきましては、法律制定当時いろいろと問題がありまして、まあ建前を一年といたして、定款で実情に応じで判定できるように二年にするというようなことになつておりましたのを、まあこの一年を二年にするということを初めから考えずに、実は定款の関係で二年を三年にするという点に重点を置いて考えましたことと、まあ実質上同じであれば、やかましくいろいろと問題を提起するよりも、例の但書の改正で済まして行つたらというふうな気持もございまして、但書の定款の点で二年を三年にするというふうなことになつたわけでございます。  それから第四番目の連合会の問題でございまするが、これはお話がございました通り協同組合法改正につきましては、各地の漁村方面の御要望によりまして、改正に着手したのでございまするが、連合会の問題は、その大きな問題であつたわけでございます。法人加入も員外利用の問題と並んで、その連合会の問題を我々といたしましては改正したい、規模の制限緩和に努めたいということで案を作りまして努力をいたしたのでございまするが、何分現在の協同組合はまだ法律実施になりましてからやつと一年になつたというような状態でございまするし、各地のいろいろの組合設立の経過に鑑みましても、下から順々に段階を逐つて、盛り上つて育成されておる状態でございまして、県の段階から更に数県ブロツクの段階に至る。これは事業の具体的な必要性に基いて連合会を作るべきであるというような建前もございまして、上から下へといつたよう関係が、少しでも出るような実態になると、協同組合の自主性なり或いは民主性というものが害されるというような意味合で、これが認められなかつたものでございます。お話にございました文化その他の指導的な全国連合会といつたようなものにつきましては、我々としては非常に必要であるということを痛感しておるのでございまするが、只今申上げましたような理由によりまして、なかなか認められないというような段階でございます。
  30. 青山正一

    青山正一君 重ねてお聴きしますが、これは小さいことかも知れませんが、常識的に役員の任期は二年ということは、これは日本一般の常識だろうと私は考えます。それで私は、この一項を二年というふうに改めたらどうかと、こういうふうに申上げたわけなんです。それからどうもこの最後のお話が、あなたのお話か或いはG・H・Qあたりのお話か、これがちよつと分らんように聴いておつたのですが、最後になつてG・H・Qあたりのお話だということがよく分つたわけですが、これは一つ水産庁の方でも、この点は責任を持つて進めて行つて頂きたいと思いますし、それから又委員長にも特にお願いしたい点は、参議院の、前に漁業法の修正を持つてつたあの熱意を以て一つつて頂きたいと、こういうふうに考えております。
  31. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) これは提案されましたら十分各委員意見を求めまして、そうして最善を尽したいと思います。
  32. 西山龜七

    ○西山龜七君 農業協同組合におきましても、この十一条にありますように、水産業協同組合等の加入或いは利用を認めておるんですか、その点をお伺いしたい。
  33. 松任谷健太郎

    説明員(松任谷健太郎君) 現在のところ農業協同組合につきましては、水産業協同組合に利用させるというような規定はございません。これは追々若しこの水産業協同組合法が農業協同組合を組合員並に取扱つて参るということになりますれば、あちらの方の法規も改正を見て参るのではなかろうかというふうに考えておるわけであります。
  34. 西山龜七

    ○西山龜七君 農業協同組合の方にそういうことがないに拘わらず、水産業協同組合にそれを特に入れねばいけないという何か根拠があつたのでしようか。
  35. 松任谷健太郎

    説明員(松任谷健太郎君) この員外利用の規定緩和の趣旨といたしまして、現在でございますると、組合員と組合員外の利用分量とが同程度でないと、員外利用なり組合事業が遂行できんというようなことになりますので、漁業協同組合の本来の仕事から申しまして甚だ不便であるというようなことが出発点になりまして、この規定緩和が設けられたのでございまして、従いまして経営自体に参加するということではなく、事業を利用するというだけの意味合において、協同組合の組合員が規定を見ているという関係になつているのでございまして、先程申上げましたように、実質的には現在或いは員外利用でやつているようなこともございまするが、協同購入事業といつたような事業を通じまして、地下足袋でありまするとか、その他の資材の配給を受けるといいうような、その地方におきまして取扱いに便利になるような場合におきましては、員外利用というような部面としては取扱わずに、組合員並の、組合員が利用したと同じ意味合において、その事業分量を取扱いまして、他の員外者がその事業を利用するのとは区別して考えまして、そこで組合の事業が遂行しやすいようにしたというような意味合でございます。
  36. 青山正一

    青山正一君 ちよつとその点について……先程から西山さんと私がこの件についてしつこく申上げているのは、例えば佐渡の両津のときにもその現象が現れた。農業協同組合の方にちよつとした施設を使わしたところが、それが段々力が強くなつてしまつて現状においては出荷組合もやつておれば、かまぼこの工場もやつているといふうなことで、結局漁業家が全部負けていると、そういふうなことに又今後なるということを……又その間において非常に摩擦が起きて来る。そういうところがあちらこちらと出ているのじやないか、そういうことがあると困るんじやないかしらと、こういうふうな杞憂のためなんですが、その点御注意願えればそれで結構なんです。
  37. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) こういう法案についてのいろいろの御意見は多々あると思いますが、今日は先ず第一読会という意味においてこのくらいに止めまして、次は漁船法案の問題につきまして、その大綱を漁船課長から説明をお願いいたしたいと思います。
  38. 高木淳

    説明員(高木淳君) 漁船法案の今日までの経緯を申上げたいと思います。  この前の国会で造船法案提案されましたが、この中に漁船の建造許可を一般海運船舶と同様に運輸大臣の許可にする条項がありました。これに対しまして国会並びに水産方面の要望で漁船については農林大臣許可に修正することが妥当であろうという修正の意見が出ました。結局造船法は先の国会で審議未了、それに関連しまして漁船については単独に漁船法を必要とするというお話がございましたが、その後事務当局といたしまして説明申上げます法案を作成いたしたのであります。これの内容につきましては一応予め水産関係の御当局の了解も得ておるのであります。傍ら運輸省との折衝の、事務調整との問題か大きな部分を占めますので、昨年暮からいろいろ折衝いたしました。一月の終りに至りまして、先方から修正意見が参りまして、之れと一緒にこの前の国会で審議未了になりました造船法、これも向うから参つた。それらを組み合せていろいろ両省で折衝いたしましたのでありますが、これまでのいろいろの歴史というものもその問題に加味いたしまして、なかなか一致点を認められません。一月末の次官会議に両省間で努カして祈れ合うようにするからということで一応法案を提出しよう。続いての閣議でも一応両省努力してという、保留ということで閣議が決まつてつたのであります。その提案いたしました中身を、事務当局の案でございますが、一つ考え方として、先般お配りしました印刷に基いて概要を申上げたいと思います。  これは二つの部分を考えまして、ただ漁船戦争後量的に足りないということから、急速に建造しようとする戦後の動きがありました。いろいろのお魚の資源、資材、その外いろいろの面から睨み合せて合理的に運営して行こうという面から見て、漁船の管理の必要がある。第二の問題は、漁船の質の改善。できた船が優秀な、十分漁業に役立つ船であるように、この二つの面からこの法案を作りましたのでございます。  第一の管理の面から申しますと、これは現在の運輸省の法律にございます臨時船舶管理法、これは造船許可を取扱つておるのでございますが、これに漁船関係いたします部門は、現在は、水産庁でその下働きといたしまして、いろいろ種類の扱いをいたしておりますが、これらの面を下働きじやなしに、立派な、表に立つて法律的な裏付けを以て漁船の建造許可をいたして行こうという考え方であります。これは動力船、無動力船の中で、動力漁船について取扱おう。その動力漁船も大きいのから小さいのまでございまして、仕事の関係から一元的と申すと、小さな船になりますとなかなか距離的に日のかかることも生じて、漁業者に不便をお掛けしてはということで現在扱つておりますと同じように、船の長さ十五メートル、これは漁船で申しますと大体十五トン前後になりますが、これ以上の船は農林大臣、十五メートル未満の船は地方長官の下で建造許可を扱つて貰う。これは新造だけでありません。改造の場合も、又他の船舶が漁船に移つて参ります分も、この中に含まれております。  次は漁船の登録の問題でございます。登録は現在ポツダム政令によりまして全国各地の漁船、動力無動力を問はず扱つておりますが、この政令を基にいたしまして、この初めの動力漁船の調整、建造許可と結び合せた書き方でこの登録の部門を書いております。  第二の漁船の質の改善という面におきましては、先ず一隻々々の改善という面におきましては、先ず一隻々々の漁船の質の改善ということを念願いたしまして、二十三年から始めました漁船の依頼検査、これは現在もいたしておりますが、一隻々々の船を立派な漁船であるように、水産庁の方が船主と一緒に監督しておる制度であります。これを活かしまして法律的に背景を作ろう。折角依頼検査をして細かな所まで見て上げるのでありますから、国としては現在船舶安全法によります検査がございますが、これを兼ねるものとして向うの検査を省略する。それから先般運輸省の中で船のトン数を測ります積量測度と船の検査とが担当が変りまして、前者は船舶局関係、後者は海上保安庁と、窓口が変つておりますので、漁業者に大変御不便をかけております。丁度依頼検査によりまして検査をいたしておりますのでありますが、その積量測度も併せて向うの代りするということも考えております。もう一つは、これは、これまで申上げましたのは、船主の自由で、以来検査を願うことになる。船主の依頼によるのでありますが、農林大臣漁業許可をする船につきましては、できるなら優秀な船であると、農林省がいろいろ考えるということからこれを依頼検査と言わずに、強制的にこの依頼検査の制度を及ぼしたらどうかという要望も出ておりましたので、それも織込んでおります。これは一隻々々の漁船をいい船にしようという考え方であります。  それから漁船全体につきまして申しますと、いろいろ改良すべき点が多々ございますが、小さな船であるということから、船舶の隅にあるということから、余り積極的な改善が行われておりません。そのためにいつまでも、経済的に見ると、例えて申しますと、もつと燃油の消費量が少くて済むやり方があるのに、そのままになつている。これを全体的にそれらの損失を少くしようということの研究をやろう、これは漁業者からの御依頼によりまして、又この研究機関自身の力によりまして漁船の船型の改善なり、機関の改善なりして行こうという面でございます。これが質的改善でございます。  それで第一と第二の部門につきまして、一般漁業関係のいろいろ御意見を伺うために漁船審議会というものを考えております。  それからもう一つ漁船では二十トン以上の船は登記、登録をいたしまして、不動産の抵当権、これが設定できますが、その未満になりますと、設定できません。それで財団というものもありますが、それ以外では、これまで抵当権の設定ができないために、金融の対象にならないという御不便の声をよく伺つております。漁船に保険をかけてもこれが対象にならない。で、この際漁業者でそう御希望される向きには抵当権の設定ができるように登記関係の手続を変えたらどうかということでこれに謳つているのであります。大体概略は以上申上げたところでございます。  で、こういう案で運輸省と折衝いたしましたのでありますが、先方からは、第一は漁船の建造許可について、漁船はこの漁船法では船主の側から建造許可を出しておられるのだから、自分達の方は、造船所の、造船工業の面から許可をしよう、これは譲れない。それから漁船の検査の面でございまするが、これは漁船に限らず、海上における人名の安全のための国際条約から一元的に海上保安庁がやつているんだから、これを二つに分けるということは、その条約の関係もあるからできない。積量測度につきましても同じような言分を申して参りました。一番大きなポイントがいずれも妥協する点に参りません。ただ先方が受けて参りました点は、漁船の研究の面でございまして、現在船舶試験所でやつておるいろいろのことにひびが入らないところで文章をお書き願うならば自分の方としては差支ないということ、それから私の方は、先程の説明で申上げませんでした点といたしましては、二十トン未満の漁船であつてもこれは皆県庁へ登録いたします。そうすると船鑑札は大抵七割、全国の七割の県では水産課がいたしております。同じ漁船に対して船鑑札とそれから漁船の登録が二重になるではないか。この点につきましては、向うの船鑑札規則を改正して、漁船に関する分は登録を以てこれを兼ねるというふうに折れたい、こう申して来ております。それでなかなか妥結いたしませんので、政府提案といたしまして、最後の閣議までに割り切れませんでした。それでこの前の国会の衆議院に出ました関係もありまして、この前の衆議院の委員会の方では、若し割切れない、又政府提案とすると次の国会まで延びるということでは漁業者に不便をかけるから、国会提案として出すべきじやないか、というお話も出て、今その方に移りつつあるところでございます。大体以上でございます。
  39. 青山正一

    青山正一君 この問題は前国会におきましても、千田委員あたりも非常に強力に主張しておるわけでありまして、ただ問題は、最近起つたあの船の拿捕の問題にしましても、あの問題に関連しまして殆んど海上保安庁あたりの船は何ら活躍していない。全部が全部農林省の監視船によつて恐らくやつておるというような状態で、こういつた問題を運輸省に委ねる。ましてこの登録などの関係も殆んど全国の七割は水産課で扱つておるというふうな関係からして、又いろいろな取締の面、或いは管理の面、その他船の改善、或いは質の改善、管理の問題、そういつたような問題につきましては、これは当然水産当局として責任を持たなければならん筋合だと思つておるのであります。委員長として、これを議員提出というふうな形式でこの法案を出す気持があるかないか、一つお聴きしたいと思います。
  40. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) お答えいたします。この漁船法は衆議院におきまして議員提出の方針を決定しまして、私の方といろいろ内容の点について協議をして来ております。衆議院と参議院と水産庁で十分これを研究して、そうしてできれば今国会に議員提出で進みたい、かように思つております。
  41. 千田正

    千田正君 この際特に我々として希望して置くことは、先般のいわゆる拿捕船舶に関する証人喚問の際、海上保安庁の長官並にその方の関係人たちを喚問したのでありますが、あのときの事実につきましては、海上保安庁は十分なる手配ができなかつたはつきり証言しておるのであります。ましてやこうした許可やその他に関する問題の細部に亙つて検査をやる、日本の原始産業に関する点で、海上保安庁が監督しなければならんという理由は成立たない。すでに過去においてさえもそれであり、尚今日においても手配ができない状況のそうした官庁が、単なる官庁のセクシよナリズムだけを以て、そうして従来のままの権力をどこまでも保持しようというような考えは、つまり民主国家の官庁の在り方ではない、我々はかように考えますので、特に産業を主体とするところの水産庁におきましてはこの点を十分考えられて、どこまでもこれは日本の漁民のために漁船法は当然水産庁において今後監督すべきものであるということを我々考えますので、当局は勿論のこと、委員長からも衆議院側と十分お打合せ願いまして、是非日本水産の将来の発達のために万全の策を講ぜられんことを特に要望して置きます。
  42. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 申すまでもなく、漁船漁業の殆んど全部といつてもよいくらい大事な要素であります。水産業に何ら関係ない運輸省がこの漁船許可するということは、甚だおかしな、不当な措置でありまするので、この点は万全を期して千田君の御意見通り進みたいと考えます。
  43. 西山龜七

    ○西山龜七君 この今の説明を聴きますと、この法律漁船の適切な管理を行うというようなことでありますが、そうしますと、先程漁船整理というような問題があつた場合に、その整理せられた漁船を何かこの法案に入れて適当なる対策を取る必要はないでしようか。その辺はどういうふうになるのでしようか、御意見を承りたい。
  44. 松任谷健太郎

    説明員(松任谷健太郎君) お尋ねでございました資源涸渇防止法等に規定しております整理船の取扱の問題につきましては、この漁船法の内容には関係ございません。従いまして整理船を如何に取扱うべきかというような問題は、法律の問題として水産庁は今考えておりませんので、行政的に、例えて申上げますると、官庁の指導船の拡充の場合にそれを充当しますとか、或いは他の許可漁業というものにつきまして、船舶の定数というものが不十分であるような部面が若しありとしますれば、その方面に転換を指導するとか何とかいうような、具体的な行政措置によりましていろいろとお世話を申上げるというふうなことにいたしたいと、かように存じておる次第でございます。
  45. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 本日はこの程度で終りたいと思いますが、如何でございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕。
  46. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) それでは明後日は税制のことについて特に民間の関係者が陳情に参りますので、その方面の発言も一つ許して、地方自治庁並びに政務次官を喚んでありますので、民間の意見を十分拝承さして、それから各委員側からの適切な御意見の発表を願いたいと思います。これは地方自治庁の政務次官はむしろ希望しておりまして、実際において第一線の事業家の意見を聴きたい。その意味で、例えば漁船不動産所得税或いは附加価値税とかいう問題について更に研究したい、こう申しておりましたので、これは大きな問題でありますから、是非一つ明後日午後一時からの委員会には御出席を願います。本日はこれにて散会いたします。    午後三時十七分散会  出席者は左の通り。    委員長     木下 辰雄君    理事           尾形六郎兵衞君            千田  正君    委員            青山 正一君            西山 龜七君            田中 信儀君   説明員    農林事務官    (水産庁漁政部    長)     松任谷健太郎君    農林事務官    (水産庁漁政部    漁業権課長)  大澤  融君    農 林 技 官    (水産庁漁政部    協同組合課長) 曽根  徹君    農 林 技 官    (水産庁漁政部    漁業権課長)  高木  淳君