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1950-01-25 第7回国会 参議院 水産委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年一月二十五日(水曜日)   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件水産物増産対策に関する調査の件 ○漁船拿捕事件に関する決議案の件   ―――――――――――――    午後二時二分開会
  2. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 只今から委員会を開会いたします。先ず最初に今回機船底曳網並びにトロール朝鮮海峡におきまして拿捕された、その問題についての質問議題に供します。水産庁長官並びに海上保安庁警備救難部長松野さんがおいでになつておりますので、何か質問がありましたらお願いいたします。
  3. 江熊哲翁

    江熊哲翁君 今議題となつておりますところの不法拿捕の問題について、今日までの経過水産庁長官並びに係官からお伺いしたいと思います。その上で質問をしたいと思つております。
  4. 飯山太平

    政府委員飯山太平君) 只今江熊委員から、過般済州南方海上において汽船トロール及び以西底曳船拿捕事件についての御質問にお答えいたします。今月の九日、十一日、十二日とこの三回に亘りまして、済州南方海上において操業中の大洋漁業の第三大洋丸、それから福岡市の徳島水産徳弘丸、これが二艘、それから喜久丸、それからもう一艘は大洋漁業の第三十九大漁丸、この五隻が船籍不明、国籍不明と申しますか、とにかく警備船拿捕された、こういう事件が起つたのは御承知通りであります。その報道を私共が手にしましたのは十二日の午後五時頃だつたのであります。これは大洋漁業からその報道を得ましたので、丁度十三日は日曜に当りますので、遺憾ながらそれを処置することができないで、明くる十四日の午前に司令部に参りまして、それらの業者からの報道を資料にして、そうして取敢えず現在の拿捕された船舶及び乗組員の取戻しということと、それから更に今後さような不詳事が続出することは、船舶並びに従業員の不安はもとより、生産上に重大な支障を来すという見地から、これらの従業船が安心して従業できるような対策、と申しますれば、できるならばアメリカ海軍をこれが保護に当てて欲しいということを水産部長に要望しまして、そうしてその後司令部水産部としましては、直ちに韓国政府並びに極東海軍照会を発したようであります。その結果は韓国政府からは十六日と申しますか、司令部のヘリント並びにネビル両氏水産庁に来られまして、そうして親しく保護対策並びにその照会の回答についてお聴きしたのでありますが、韓国政府からは直ちに、マッカーサーライン内であるというような返事が来た。極東海軍からは、これはちよつと御報告を控えさして頂きたいのでありまするが、とにかく報告があつた。併しその報告の問題よりも今後の対策が重要であるので、この際至急内閣総理大臣の名においてマッカーサー最高司令官懇請書を出すのが一番妥当であろう、こういう結論に達しまして、その懇請する理由につきましていろいろ相談して、大体韓国と判断したのでありますが、韓国政府拿捕理由を究明すること、それから第二に、日本政府としましては日本漁船保護するところの能力を現在持つておらん。第三に、従つてこれを連合軍司令部においてこれが保護その他の対策を立てて欲しい。こういうことを理由といたしまして懇請書を作るということに相成つたのであります。一方以西底曳協会からも陳情書を、これが大日本水産会とそれから水産施策審議会以西底曳、三関係者の役員の連名の陳情書を出して貰う。これが出されて、目下その手続が進行中と考えているわけであります。その後実はまだ確報ではありませんが、下関の石川産業明玄丸という以西底曳船の一艘が更に拿捕された。これは場所はつきりいたしませんが、木浦近くであるというようなことでありますので、この地点についてはまだはつきりいたしておりませんが、そういうふうに更に最近における事態が起つたのであります。私共としましてはこの際、できるだけ連合国保護を十分にして頂くということに努力を拂つているようなわけであります。大体の経過は以上であります。尚詳細につきましては係官も参つておりまするので、御質問等に応じてお答えしたいと思います。
  5. 江熊哲翁

    江熊哲翁君 この種の問題は去年も相当……、五月頃にも何らかあつたように聞いておりますし、尚これには大量の不法拿捕があつた。この問題は非常に大きな問題でありますので、いずれ後日更に委員会でも我々としての措置を十分研究いたしたいと思うのでありますが、差当り今日は私は、こういつたような問題が起るにも拘わらず放任しておつた。起り得る可能性が非常にあるにも拘らず、こういう問題が起り得る可能性があるにも拘らず放任しておつた。その責任は一体どこにあるのか、こういうことは非常な問題になりはせんかと思う。一体こういうふうな仕事は、水産庁が心配すべき問題ですか、それとも海上保安庁の方で心配すべき問題なんですか。
  6. 飯山太平

    政府委員飯山太平君) この対策を講ずる当局はどこにあるかという問題でありますが、御承知のように直接にはこれは水産庁取締及び監視というようなことをいたしております。以西底曳に関しましては、海上保安庁の方からもお答えがあろうと思いますが、海上保安庁基地中心として半径五十マイル以内を取締る、或いは監視する。こういうことに相成つておりますので、従つて現在の事態の起つておりまする以西底曳の漁場に関する限りは、これは水産庁がその責任任ずるということになるだろうと思います。
  7. 江熊哲翁

    江熊哲翁君 水産庁責任を持たれるので、そこで水産庁長官差当りお尋ねすることになるのでございますが、一体今のような状態でいいというので継続されておるかどうかという問題ですね。私は非常にこれに疑問を持つ。去年あたり頻々と問題が起つてつた。暮に更にこういうふうに非常に悪い状態が起つて来た。これについて水産庁は従来どういうふうに考えておるか。現在又どういうふうに考えておるのか。こういうような状態の持続するということは、これはもう重大な問題でもあるし、業者から見れば許されない問題なんで、ここのところを今少し水産庁の方としての考え方、又現在採つておる手段、今後探ろうとする措置というようなものについて、もつとはつきりしたものを知らして預かなければ、どうも安心して事業ができない。又企業家労働者従業員達仕事ができない。実は私はこの問題については詳細に、出身地関係上内容を知つておるので、ちよつと飛躍したような質問になるんですが、まあそういうようなことを一つ長官からお答え頂きたい。
  8. 飯山太平

    政府委員飯山太平君) 只今取締その他について、現在のような状態に放任しておるというお言葉でありましたが、御承知通り、昨年以西底曳漁業の将来を考えて、渡船の問題も起つたのでありまするが、その際に監視嚴重にするということで、特に国会に補正予算まで上げてこれが取締に当つたのでありますが、その際に監視船には、私共の希望として、要望として、司令部当局アメリカ海軍や各監視船に乗せて欲しいということを要望いたしたのでありまするが、いろいろな事情で実現できなかつたということがあります。それからその後極東海軍においては、マッカーサーライン監視と申しますか、については、相当官憲を出動させておるのでありまするが、現在我々水産当局としては直接にそれ以上、つまり司令部保護によるより外に、直接にこれを防止するという手段を用い得ないのであります。従つてどうしても結論的に連合軍司令部の積極的な保護を要請し、これを実現するという以外に現在としてはいたされておりません、従つてその点について、現在もすでに海軍保護を要請しておる。私共の現在の権限と申しますか、これは日本政府の置かれておる立場と申しますか、日本で積極的なそういう保護策を講ずることのできないことを誠に遺憾としておるわけであります。
  9. 江熊哲翁

    江熊哲翁君 これはどうも痩馬を叩くような格好になつて甚だ申しわけないのだが、一体非常に不安だということは分つてつて、そうして恐らく水産庁は技術的に見て、これはとてもこの程度監視船では駄目だろうというようなこともあつて予算などは相当大きく要求したのであろうが、政府はその予算を恐らく削除して、非常に貧弱な陣容を以てこの重大な任務に当つておるということに私はなると想像するのですが、そうすると、これは政府の大きな私は責任だと思います。それでその筋にお願いしてやる以外には手がないのだということは、日本全体におけるあらゆる問題の場合においてそんなことは言い得るが、併しそれで国民の食糧が確保できる、人権の擁護ができるのか、そこですが、これはもうとても我々としては手が著かないのだというだけで済ますお考えですか。それともここに政府責任においてその筋と急速に折衝してやるように、相当準備が進めておるのかどうかということ、現在これは船も不当に拿捕されておるし、従業員達向うに拉致されておるわけです。こういう人達は、家族も非常に不安だろうと思うが、他の漁船も非常に私は今後の従業に対して不安になると思うのですが、そこのところでもう少し割切つたものがここで発表され、措置が講ぜられぬ限り、結局私は結論的に申しますというと、以西底曳はもう結局潰滅するのだということになるのじやないかと思います。そういうことは、言葉で言えば非常に簡単なんだが、あそこに何百の漁船があり、何百かの従業員がおつて、そういうようなことでは片付かない問題である。殊に又一方日本蛋白質源供給事情から見た以西底曳の持つ使命というような点から見ましても、今目下その筋と折衝中であるとか、いろいろ考究しておるとかいうようなことで、気を許すことは許されないと思うのです。これは一つ早急にやつて貰わなければならんが、何とか形をはつきりして貰わなければやり切れないと思う。そこのあたり一つ多少御説明しにくい点もあるかと思うのですが、許される程度においてもう少しはつきり、私共が関係者達会つて説明ができるような程度のものを一つおつしやつて頂くと大変結構だと思います。
  10. 飯山太平

    政府委員飯山太平君) 御説明は御尤もなんであります。私共も現状において、決してこれが満足すべきじやない。非常な不満な状態にあるということも十分に感じているのでありますが、現在の水産庁立場では、つまり何らかの、そこに保護的な、暴力に対してこれを防止するというところの力を持たない限りは、遺憾ながらこれを安定して頂くということはできないのであります。そうなりますると、結局監視船を、今お話のような十分な立派なものを整備してそれに武装をする。武力を持つてつてこれが防止ができる。こういうことになれば、これは一番手取り早い防止方法だと思うのでありますが、併しこのことは御承知通り非常に困難な問題なんであります。併し私共としてはその前にその問題も勿論要請をいたしておるのであります。それで、ここでお願いしたいのは、私共は決して責任を回避するものでもなければ、責任がないとも申すのではありませんが、一つ具体的に、こういう方法を採られたらどうかというような、若しお気付きでもありますならば、それを一つ協力意味お話を伺い、そうして我々が今要請しておることを一日も早く実現するようにいたしたい、かように考えるものであります。
  11. 江熊哲翁

    江熊哲翁君 非常に重大な問題でありまするが、私共は本日のこの委員会の短時間を以て、この重大問題を一挙に解決しようというような考えではなくて、十分事情を聴取した上、なるべく早い機会において、私共としては対策を立てられたい、そういうふうに思つておるわけであります。ただ私は一応順序としていろいろ現在までの経過現状というようなものをお尋ねいたしたわけなんであります。そこで私は海上保安庁の方の関係についてお尋ねしたいのですが、現在警備船というものがどういう行動を取つておるのか。それから現在の水産庁監視船と言いますか、どういう名前が付いておるか存じませんが、そういうものとの協力方法というようなものはどういうふうになつておるか。又今後どういうふうにされようとしておるのか。一体現在どういうふうに……。近海五十マイルとかいうような言葉だけではどうもはつきりしないのですが、そういう不法拿捕事件が起つた当時において、保安庁監視船というものは一体どういうことをしておつたのか。もう手も足も出なかつたというのか、そこら辺りの状況はちつとも分らないのですが、そこら辺り意味を含めて、少し詳しく海上保安庁関係仕事をお聞かせ頂きたいと思います。
  12. 松野清秀

    説明員松野清秀君) お答え申上げます。海上保安庁巡視船行動海域につきましては、先程も水産庁長官からお話があつたのでありますが、基地中心として五十マイル以内ということになつております。従いましてその海域内におきましては、無論その海域を受持つておるところがあるのでありますが、保安庁といたしましても、漁船に対する監視につきましては、積極的に水産庁協力して活動しておる次第であります。無論五十マイルと申しましてもエマージェンシーの場合、即ち遭難船があるとか、或いはその他緊急を要する場合には五マイルを越えて出ることができるのでありまして、その場合には極東海軍司令部に対して事後承認を受けることになつております。それで保安庁としまして、この拿捕された船舶に対して取つておる措置について申上げますと、先ず第一に現地機関並びに通信網を動員しまして、拿捕された日時とか、場所とか、或いは拿捕された当時の模様、それから拿捕したもの、その他できるだけ詳細な情報を集めまして、その返還について外務省を通じて総司令部に依頼するというようなことをやつております。尚水産庁漁業団体関係会社に対しても、この情報を集め、更に極東海軍司令部に依頼しまして、これらの拿捕された海域附近に対して巡洋艦なり、或いは駆逐艦なりできるだけ一つ派遣して頂きまして、保護して頂くというような依頼もしておりますし、この一月の十日頃の事件のあつた当時も、私共の方から遭難海域の方へ連絡しまして、極東海軍司令部の方におかれましても、或る程度措置を取つて下さつたように聞いております。行動半径五十マイルというのは、これは極東海軍司令部の方でこれ以上は今のところ許可できないということでありまして、今現在は五十マイル以内に限られておるわけであります。大体まあ現状はこんなようなところであります。
  13. 江熊哲翁

    江熊哲翁君 船はどのくらいですか。
  14. 松野清秀

    説明員松野清秀君) 巡視船の数ですが、今は五十八隻であります。全部で五十八隻であります。
  15. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 外に質問ありませんか。質問がなければ私からちよつと質問しますが、農林省の監視船は何らの武装もしておりませんか。
  16. 十川正夫

    説明員十川正夫君) 武装につきましてはちよつと……。
  17. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 速記を止めて。    〔速記中止
  18. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 速記を始めて。
  19. 十川正夫

    説明員十川正夫君) 司令部から命ぜられまして水産庁がやれる権限違反の確認であります。位置がどこにいるかということであります。それを確認することを権限付けられておるわけです。これは消極的にこれが出漁船保護にはなるわけでありますが、その位置はつきり確認しますことは、それが十分完全に行われました場合には、この度起りました違反船みたいなものがありました時分に、果してその船がマッカーサーラインの外におつたか、内におつたのかということが確認できるわけであります。その確認できることによりまして、それを基礎にして外務省に交渉を依頼することができるわけであります。併しこの点は非常に遺憾な点がありまして、また位置を確認する点についてこれは官民の努力が要ると思うのであります。業者努力が足らんと申上げた方がいいと思うのでありますが、その点が十分に行つておりませんので、これは十分に強化する必要があると思うのであります。
  20. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 重ねて質問しますが、監視船は今の数で足りるとお思いですかどうですか。
  21. 十川正夫

    説明員十川正夫君) 今あの方面に動かしておりますのは、取締船は七艘を動かしております。当該航海に関する限り七艘を動かしますことは数の上において私は十分だと考えます。ただその装備につきましては、果して今の装備で十分できるかどうか。これは近き将来に改善されて来なければならんと思いますが、これを改善するとしまして一番必要なことはレーダー、併しレーダー使用は現在許されておりません。レーダー使用につきまして若し司令部の方で許可がありますならば、レーダーを付けた方がよろしいとかように考えております。
  22. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 保安庁の方にお伺いしますがね。現在保安庁は五十八隻、それで大体十分ですか、どうですか。
  23. 松野清秀

    説明員松野清秀君) 今五十八隻持つておりますが、而も五十八隻は非常に古い艦艇を使つておるのでありまして、海上保安庁の業務を遂行するためには到底今のような状態では目的の遂行はできないのでありまして、できるだけ早い機会にやはり法律で、少くとも法律で定められておりますが、百二十五隻まで至急に充実する要があると思います。
  24. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) どのくらいの武装を持つておりますか。
  25. 松野清秀

    説明員松野清秀君) 現在はピストルを持つております。
  26. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 六インチ砲を据えるというようなお話があつたのですが、それはないのですか。
  27. 松野清秀

    説明員松野清秀君) 現在はそこまで行つておりません。無論将来は武装装備する必要はあるとは思つておりますが……。
  28. 江熊哲翁

    江熊哲翁君 アメリカでは漁業用レーダーを使つておるが、レーダーくらいを日本監視船というか、そういうものに使うことの了解さえ得られんような私は行き方自体が少しおかしいと思うが、これは又政府自身責任を持つて努力する必要があると思いますし、我々も大いに責任があるので、その方面に向つて努力したいと思います。一体この無電がじやんじやん入つて来た、そこで現場監視船なり、それからアメリカの船なり急行するというような措置ちよつと考えられないのでありましようか。それで今後こうしたらそういうことは取計られるというような見込ほどうなのですか。これはもう力の弱いものが何杯かそこら辺りうろうろしていた程度では、到底その目的は達せられない。それと特別な今みたいな武器の設備とか、或いは特殊機械設備とか、とにかく今よりも一歩進んだ策を講じなければならん。勿論そのアメリカの方の或る力を借るとか、直接の力を借るということができれば、大変結構なのだが、今言つたところのお見込程度はどうなのですか、一体無電が入つて来たら聴き放しで、こつちから出て行くのにも相当かかるというのが実情なのだろうと思いますが、アメリカの方の駆逐艦なりに急速に出て頂くようなお見込が一体つかないものですか、水産庁の方から一つ……。
  29. 十川正夫

    説明員十川正夫君) この度の事件につきまして、極東海軍が直ちに時を移さずに行つて貰つた事実はあります。それから水産庁取締船は当時そこから少し離れた所におりまして、事件を聞きまして直ちに現場に参りまして、それで直ちに参りましたけれども、その時分には暴行を止めて、水産庁の船が参りました時分には、速力が非常に遅いものですから、その事態は過ぎてしまつてつたのです。  それからレーダーと簡単に申上げましたから、ちよつと誤解を招く虞れがありますから申上げますが、そのレーダー方向と同時に距離が分るレーダー、これは純然たる兵器で、これの使用につきましては簡単には私は許可が得られないと思いますが、併しなおこの点につきましては、極力善処いたすつもりでございます。
  30. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 外に質問はありませんか。ではちよつともう一遍質問しますが、今後の水産庁並び保安庁対策をお聴きしたい。そういう問題に対する対策……。
  31. 十川正夫

    説明員十川正夫君) この問題の根本問題は、海の上における位置認定と申しますか。それが非常に不確定であるということであります。それでこれは机の上ではラインの外であり、或いはラインの内であると申しますが、現在の最も熟練した航海士が天測いたしましても、二マイルくらいの誤差が出て参りまして、それが天測をいたしました直後においてすら二マイルくらいの誤差があるわけであります。それがそれから後更に動きますことになりますと、ラインの外である、ラインの内であるということは往々にして水掛け論に終るわけであります。これが従来海の上での取締の特に領海線ということにつきましては、海の上の問題を困難にしたものであります。これを根本的に整備いたしますためには、先ず第一に我々としても是非しなければなりませんことは、マッカーサーラインの内でやつてつたとか、外でやつてつたとかいうことを科学的に、そうして嚴重に証明することが何よりも一番大きい大切なことであると私は考えます。その方法につきましては、或いはスピーカーを備えることもいいし、或いはレーダーを備えることもいいであろうと思います。ただ日本は御存知の通り武装国でありまして、暴力に対するに暴力を以てするという考え方は、私共といたしましては適当な手段ではないと考える次第であります。
  32. 江熊哲翁

    江熊哲翁君 今十川部長の御説明は非常に私共不満足であります。位置が問題である、それが根本だとそう言つておりますが、私はそんなものではないと思う。根本的にそれは水産庁考え間違つておりますよ。やつているのは完全に内である、相当余裕を持つて内で仕事をしておつても、海賊は船を拿捕することが目的で来るから、これは位置の問題じやないと私は思うのです。やつておる者に責任を転嫁するような言い方では収まりはしない。そんなことはむしろ十川部長の失言であると思う。そういう場合もあることはありましよう、人間の中には不心得な者もありますから、そういうのもあるかも知れません。ないとは言えない。だが、拿捕された船が全部分からない位置にいたから向うの或る一部の人から恐らく出ておつたという認定の下にされたならば、この問題の解決は比較的楽かもしれません。そうではなく、従来の例から見ても、今回の説明を聴いた程度ですが、併し私はその説明が全部そうだとは思わないが、これはとにかく他の目的を以て拿捕するということは私は言い得ると思う。この考え方がこの対策の中に考えられない限りにおいては、今後立てられる如何なる対策も、これは対策とならないということを私は言う。これは重大な問題、非常に重要な問題です。十川部長お帰りになりましたら、長官大臣とも相談されて、私はあなた遠慮されて言つておるのだろう、そのくらいのことは知らないあなたじやない、十分知つておるけれども、役人の方から言いにくいと思つて遠慮されておるのだろうと思うけれども、私ははつきり申上げて置きたい。このことを取上げて対策を立てて貰いたい。これは一時的の事務的の問題ではなく、日本政府責任において、この問題は解決しなければならん。こういう大きな問題をまだいはけしからんと思う。急いでこの問題を政府責任において、今私が申上げたことを取入れて解決する方向に持つて行くということを、あなたの方で御盡力願いたい。私の方もそういう方向に持つて行くよう努力したいと思います。ちよつと十川部長の御説明の中で私の思うことと異にした点があつたので、この点を明らかにしたい。
  33. 木下辰雄

  34. 松野清秀

    説明員松野清秀君) 只今保安庁で持つております五十八隻というような巡視船現状でありましては、到底広い範囲に互つて漁船監視するということを引受けるという態勢にはないから巡視船が充実した将来は別といたしまして、差当つては今五十マイルの行動艇囲をできるだけ一つ拡めて貰うというような点については、極力司令部了解を得るように努めて見ようと思つております。なお現在もそういう折衝は進めております。なおそれと並行しまして、やはりこういうような事件につきましては、できるだけ極東海軍司令部との連絡を緊密にしまして、こういうような事件があつた場合には、速やかに駆逐艦とか或いはその他のアメリカの艦船によつて保護して頂くというような措置を採つて頂くように努力したいと考えております、
  35. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 外にこの問題について質問ございませんか。
  36. 矢野酉雄

    ○矢野酉雄君 この問題は大変今、重大な問題でありますが、これは政府機関だけで問題を解決するような簡単な問題じやないと思う、いろいろな国際関係の複雑な現段階において解決しなければならん問題でありますので、むしろこれは国会自体がもつと積極的に活動して、そうしていわゆる我が重大なる水産業の安全のために、如何なる安全保障の組織や制度を作るべきかということについての、国会としての意思を決定して、そうしてGHQ当局に対して要請する、尚国際的にこれを訴えるというような、立法府自体の自主的な一つの意志を決定しなければならんと思う。で、政府を鞭達することは又一つの正義ヘの促進の動機にはなるけれども、とても政府自体一方的の行政府の力でこれを解決することは不可能であると思いますので、委員長は然るべく参議院としても、又衆議院自体にも有機的の連絡を取つて、安心して我が三百万の水産業の大衆が安んじてその生業に従事することのできるような環境の整理に我々は努めなければならんと思います。以上。
  37. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 大体質問は終了しましたが、この問題の取扱いを如何いたしましよう。いろいろこの委員会一つの決議によつて政府に要望することも一方的でありますし、或いは国会の決議案を出すことも一方的と思いますが、その問題についての御意見ありましたらお願いします。  取敢ず別に御意見がなければ、委員会としてはつきりしたことを政府に向つて要望したら如何でしよう。決議を以て保安庁、並びに運輸省並びに農林省に対して、この委員会の決議を以て先す要望する。その上で衆議院と一つ、いろいろ相談しまして、今矢野委員の発言されたような方向に何か考える……。
  38. 江熊哲翁

    江熊哲翁君 この問題は非常に大きいのですから、我々としても効果的に、十分効果の挙がるような方法を採りたいと思うので、国会全体の行き方としても、多少まだ打合せを要する点もありやせんかと思う、と言つてこれはそうゆつくりのびのびしたことではいけないと思いますので、一応本日のこの問題についてはこの程度にして、早急に委員長は衆議院とも打合せまして、次の委員会、成るべく早い機会委員会において、参議院側の意向を決定して、適当の処置を取る。勿論今矢野委員の言われるような問題は、最も必要だと私はそういうふうに思うわけであります。
  39. 矢野酉雄

    ○矢野酉雄君 委員会自体の意思を決定して然る後に、僕はよしんば衆議院が同調しなくても、恐らく百中百同調するに違いないのでありますが、参議院としての総意を結局決定して、そうしてその決議を緊急上程するというような線に向つて委員会が進んで行くようなふうに御処理を願いたい。政府その他外務大臣、或いは総理大臣、或いは農林大臣等に対する折衝は、これはもう直ちに満場一致で今日でも、このことは文書でなくても、委員長みずから委員会を代表して折衝せられることはできるのでありまするから、僕が最前提案したのは、更にそれよりも強力なる措置をしたいというような意思でありますから、この点江熊委員にも御賛成顧いたいし、満場一致御賛同を願えると思いますから、そういうふうに運んで頂きたい。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) それでは一つ提案いたしますが、もとより衆議院と同調いたしたいと思いますけれども、それは打衝の上のことにいたしまして、参議院といたしましては、この委員会の決定によつて、緊急に決譲案を上程するということにいたしたいと思うのでございますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 御異議ないと認めます。ではさように取計らいます。
  42. 矢野酉雄

    ○矢野酉雄君 これは緊急に参譲院としてお考えを願いたいことがあるのですが、政務次官会議の内容を申上げることは公の立場から差控えますが、本日実は水産省昇格の問題について、或る機会にいわゆる衆議院側の意向を大体検討したのでありまするが、かかる意見を述べる有力なる人々のあることを我々は認識しなければならない、それは現在のごとき水産庁が存在するが故に、我が水産物の生産が非常に不十分である。食卓にいわし一尾も上せることがてきない。むしろ水産庁は須らく廃止して、そうして水産局も廃止し、一種の水産課のごとき程度のものを置いていわゆる農林省がこれを運営して行けば、より以上に水産物の生産は多くなり、食卓も賑わつて来るというような、これはそのまま、有力なる議員が言われた事例でありまするが、それが一二に止まらず、相当その声が強い。我が参議院の水産委員会は第一回国会にすでに水産庁でなくて水産省の独立を可決して、そうして水産行政のより以上の統一と水産界の発展のために、国務大臣を置いて大いにこの躍進の方途を講ずるというような意思を決定したことは、皆様すでにその責任者として御了承の通りであります。然るに今申上げたような声が相当有力に、実は本日私は或る席上において聞いて、飽くまでも私は水産省独立官庁の設置を実は強く主張いたしましたが、なかなかこれに同調を得ることができない程、それ程さように強い水産省並びに水産庁現存の必要に対してさえも反対の向きがありますので、これは本二十五年度冒頭の我が参議院水産委員会における一つの、十分に検討すべき重要な問題であると思いますので、この委員会は予め予定せられたる委員会議題がありましようから、敢てここで各位の御意見を聴いて即決を希うわけではありませんが、是非重大問題として当委員会はお取上げになつて、然るべくこれを検討するような議事の進め方を委員長は計られたいことを私は要望して置きます。
  43. 江熊哲翁

    江熊哲翁君 唐人の寝言という言葉がある。今の矢野委員の言われることは矢野委員の御意見では無論ないので、どこからか拾つて来られたのだと私は思うのだが、現実何らの価値のない問題だと私は思うのだが、今少しく詳しく聴かないと、それを今のお話だけで我々がここで委員会として取上げるというのは余りどうも突飛な話で、どうも要領を得ないのですが、この問題はなお一両日中に、更に我々としては懇談する機会でも作つて今少しく話を決める。今のような話の内容を更にここで矢野委員から承ること自体が、殊にそのような内容がここに記録されること自体が私は甚だ遺憾でありますから、本日はこの問題には一つ触れぬように、そういうことをお願いしたい。
  44. 矢野酉雄

    ○矢野酉雄君 そういう江熊委員のお考えがすでに僕達自身が独善主義であつたということを実は自覚しなければならないのであつて、本当の膝元から実は真剣な意見として、殊に只今行政官庁の簡素化その他の整理問題がすでに具体化して、そういうような実は緊念の問題であるが故に、僕は立場はつきり申上げて、そうしてこれは由々しき問題であるが故にばんやりすべきではないというような意味で、重要な問題としてこの委員会に提案したわけでありますが、最前申上げたように予定せられた議題等があると思いますので、敢て本日これを議して頂くというように御要望を申上げた次第ではないのであります。決してこれは唐人の寝言でなくて、国会における有数なる身分と地位にあり、それぞれの政党においても重要なる地位に立つておられる方々の意向として、而もこれに賛同せられる方が或る会合において相当多かつたということでありまするから、これは決して針を棒にしたり、或いは無を有にして形容調的に申上げたのではないのですから、実は私自身愕然として緊急問題として提出したような次第であります。
  45. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 実はこの問題につきまして私も今度一月の旅行中に前農林大臣であつて、現在水産の団体の長をしておる某代議士が、水産省設置はむずかしいということを再々宣伝をしたと言いますのを聞きまして非常に遺憾に思つた。もとより水産省設置の問題は相当難事ではありましよう。併し幸に政務次官にはこの水産委員会から尾形六郎兵衞君もおられますし、私らから言つたらそういう暴論を、お二人方から是非とも一つ大いに勉強して頂いて、又水産委員会としては相変らずこの水産省設置に邁進したいと思います。
  46. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 次に漁政部長も見えております。それから資材課長も見えております。そういう方面について何か、或いは油の問題、或は外の綿糸の問題、或いは法令問題、そういうような問題について何か御意見なり、御質問がありましたらお願いしたいと思います。
  47. 矢野酉雄

    ○矢野酉雄君 いよいよ補給金が打切られたが故に、すでに年末四十万束の綿糸の割当を見たのでありますが、結局非常に値上りのために、これを切符から現物化から現物化するという点において、非常に困つておる実情を各地において見たのであります。官庁という所はえてしてセクショナリズムに陥る。資材課長は綿糸の割当だけをしてつんとしてすまして置くというべきでなくて、そういうような補給金制度が打切られた以上は、必ず如何にして金融措置をしてやるかということを考えて、そうしてその関係を持つ各行政官庁とそれぞれ非常な密接な連絡を取つて、その切符が最も容易に現物化されるような環境を整えてやるというために、十分の熱意を示さなければならない。この点について、すでに補給金打切りの問題は事前に分つてつた筈であるが、いわゆる農林当局としては如何なる手を以て金融措置をするか、資材課長はどういうような御折衝をなすつておられるか、この点についての現段階の実情を承りたい。
  48. 山本豐

    説明員(山本豐君) 補給金の打切りにつきましては我々も現段階におきましては、非常に漁業の生産の面から見て誠に忍び難いと存じまして、これは衆参両院の方々のおロ添えもあり、又できるだけの努カをいたして、安本とも接衝したのでありますが、併し大体今日の状況に相成つたのであります。で、我々としましてはこの資材購入の面につきまして、まあ全般には漁業手形制度というふうな、極めてこれも或いは机上的なものかも知れませんけれども、とにかく非常に苦労をしてそういう途も開いておるのでありまするが、ただこういう制度にいたしましても、その元をなす金の枠を取ることが先ず大事だと思うのであります。併しこういう制度をできるだけ活用いたしまして、そうしてそういう資材購入の点につきましても、これを活用するという方向に持つて行きたいと考えておるのであります。先程矢野委員さんから資材課長はどういう方策をしたかと端的におつしやられたのでありますが、この点は課長といたしましては資材の問題で手一杯でありまして、そういう点で或いはお叱りを受けるような点があるかとも思うのでありますが、これは一つ水産庁全体の問題といたしまして、そういう面に努力しなければならんと考えておるのであります。目下の状況はそういう事情でありまして、ここに特筆大書するような方策もないのでありますが、漁業金融全体の中でそういう問題を大きく取上げて善処して行きたい。こう考えているのであります。
  49. 矢野酉雄

    ○矢野酉雄君 そういうような御答弁を承るから水産庁を廃止し、或いは局を廃止し水産課ぐらいにして置けというような声が必ず起きるのであつて、それが実に遺憾である。殊に行政府に入つて見るというと、各局各課が、更に各係がセクショナリズムになつて、それぞれの分業に一つの枠内に屈曲してしまつている。で、資材課長にしても、その他漁船課長にしても、各課長が、一つの制度が改められて、そして今までの補給金なら補給金という制度が廃止せられた場合において、必然的に起つて来る問題は、如何にして金融の途を開いてやるか、これは当然考えなければならん問題である故に、資材課長にしても、漁船課長にしても、その他の各課の課長はそれから起る予想せられる隘路というもの、或いは非常な水産業を経営して行くための悪條件というものを、どうしてこれを排除して行くか、これに代るべき何らの保護助成の途はないものかということを、その課、その局においていたくこれを身に滲む問題であるが故に、これらのものを或いは次長に持込み、或いは長官に持込んで、行政的措置ができない場合には、行政組織法の改正によつて、そこに政務次官がおるし、大臣がおりますから、行政的措置でなくて、今度は政治的折衝によつてその途を打開するように、政務次官や大臣を動かすのが、そのポストポストを預かつている人の役目でなければならん。かくのごとく考えて、水産業者の諸君を自分の本当に味方とし、同僚と同じ仕事に立つている人々であるという気持から、それらの人々の金融の面を開いてやるために、具体的の方法を事前から手を打つて、或いは農林中央金庫に対して政務次官或いは農林大臣がもつと見返り資金等の枠を拡げるようなふうに強く要望して、その要望したことがどれだけ現在においては実つているというふうなことが、水産業界の諸君に答えられるような、私は積極的な、行政官吏はもつと働きをせなければならん。でない限りにおいては文化日本の建設、独立というようなことなんかは百年河清を俟つペしである。そういうような点から私はお尋ねしているのであつて、次長はそれらの点においてどういうような事前の手を打ち、或いは事後の手を打ちつつあるかというようなことの、具体的の実情を秘密に亘らない限りにおいてお聴きしたい。お考え願いたい、
  50. 山本豐

    説明員(山本豐君) お答えいたします。漁村の全体の漁業金融の問題につきましては、企業面とそれからもうつは沿岸漁業面と両面を考えなければならんと思うのであります。そういたしまして大体沿岸漁業の面におきましては、昨年皆様の御協力を得まして出来ました漁業手形制度、これはまだ完全ではないのでありますが、こういう制度をできるだけ一つ下の方に滲透させまして、又同時にこれは農林中央金庫なり、或いはその他の関係金融機関に我々の方からもお願いいたし、そうしてこれは漁民等におきましては、そういう制度のものは理解がなかなか困難でありますので、よく手を差伸べてあるわけであります。そのために各方面でもいろいろと会議を開いたり、各県中心でそういう金融業者のお集りを願つて、今日いろいろやつてつたのであります、それからもう一つ昨年の末頃になりまして、今の補給金の問題ばかりではありませんが、いわゆる漁村金融の打開、この一助になるものとか、方法はなかろうかというような問題で、実は見返資金の活用方を庁といたしましても取上げたのであります。併しこれは御承知のように昨年の冒頭頃に起きた話でありますが、その後の見返資金の出方を見ますと、独り水産のみではないのであります。余り出てないのであります。この手続の点。或いは又金利の点等も相当に影響しているかと思うのでありますが、昨年の末頃から急遽関係方面、安本その他等とも折衝いたしまして、現在企業関係、沿岸関係両面に亘りまして、一定の計画を提出いたしまして鋭意折衝しているわけであります。まだその結論を申上げるまでにはなつておりませんけれども、大体係りのところ辺りにおきましては、水産関係におきましても沿岸関係と企業関係両面につきましてある程度の実現が可能でないか、勿論これはこちらの要求通りには参らないと思うのでありますが、大体そういうような状況であります。これは近く決定を見ると思うのであります。こういう両面の方向でできるだけの努カをいたしまして、この解決に当つて行きたいとますが……。
  51. 矢野酉雄

    ○矢野酉雄君 どうも抽象論で、漁業手形を作るために皆さんに御協力つて、それだけではどうも非常に金融は足らない、足らないばかりでなく、足らないながらも農林中央金庫等がやはり水産金融としての機関にちやんと嚴存しておる、そこの中に沢山のお金を流し込むようなふうに、長官或いは政務次官や大臣の、もつともつとその局部を預つておられる方がお尻を叩くと共に、流し込んでも、さていよいよ具体的に金融の途を開く場合には、農林中央金庫の各県の支所が、結局その窓ロを開いてやらなければならん。然らば農林中央金庫の各県の支所が水産金融として果して熱意を持つてつておるかどうか、どの県は大変熱心で非常に助成する態度でやつておる、どの県は冷淡であると、そういう研究のデーターを果してお持ちであるか。鹿兒島県のごときは、全く中央においてもよく連絡を取り、農林省の資材調達事務所長の確実なる副申や或いはその県の水産課長の確実な副申を添えたものまでも、全く見向きもしないという冷淡極まる不届至極な態度を取つておる農林中央金庫の支所さへもあるのであつて、これらはその係りの人物の特殊的性格によるというような場合もあり得るのでありまするが、もつと農林省は、殊に水産庁は農林中央金庫の本部並に各県支所に対して働きかけて、殊に各支所が水産金融の実権を握つておるのでありまするから、それらの支所長会議等の場合には、進んで農林水産庁当局はそこに出席して、そして水産金融の便を懇切に開いてくれるように懇請をしたり、或いは必要な資材等を提供して参考に供するというような、私は懇切な方法をもつと積極的にお取り願いたいと思つております。大きい政治的問題と、その政治的問題によつて解決せられたる金融をいよいよ開く場合に、できなければできなくて納得のできるように、水産業界の人によく分つて頂くように、できたらなお感謝して引下るように、そういうようなのが末端においては実にお粗末に取扱われておる実情がありますので、この点一段の私は御努力を希つておる次第であります。
  52. 千田正

    ○千田正君 前に御質問があつたかも知れませんが、漁業法の改正に従つて補債金をベースとする漁業金融対策というものにつきましては、水産庁におきましては具体的案を練つておりますかどうも、参考にお話し願いたいと思います。
  53. 松任谷健太郎

    説明員(松任谷健太郎君) 前国会におきまして、漁業法審議の際にいろいろとこの裏附けとなるべき金融制度の確立ということにつきまして、種々御指導御審議をお煩わせした次第でありますが、その際一応水産庁考えております案といたしまして、沿岸漁村百七十億の漁業権の補償金を、何等かの形において漁業金融打開の基本的なフアンドに使つてつたらどうかというような御意見が出まして、それを本にして水産庁といたしましては、こういう水産金融逼迫の際でもございまするし、かたがたそれが廻転して漁業生産なり漁業経営なりに役立つことができますならば、非常に将来の水産行政上幸いであるというような意味合で、長官も御説明申上げた次第でございますが、その後におきまして先ず農林中央金庫の方々とも御相談を申上げまして、どうしたならばこの資金百七十億の補償金というものが一般的に資金化できるかどうか、或いは生産に役立つように使われるかどうかということについて御相談をしたわけであります。その際問題になりましたことは、先ず百七十億の補償金というものは二年後において漁業権消滅の際に支拂われるものでございまするが、それ以前において証券を担保化する方法といたしましては、これは現在の金融情勢から見ますると、金融機関というものはむしろ積極的にこの証券を引受けて行くのではなかろうかというようなお話もありまするし、非常にこの使い途如何によつては漁村に益するところが大きいから、しつかりともう少し具体的に掘下げて水産庁で案を立てて、そうしてもう一遍相談しようというような話合になつておるのでございます。そこで水産庁といたしましてはそういつたふうなお話もございましたので、現在漁業権の補償計画というものが今具体的に準備をしておるのでございまするが、そういつためどをつけますと同様に、漁村全体がそういつたふうな意向になりまして、各漁業者が自分で自分の補償金をそのまま現金で貰つて、個別に使つてしまうというようなことのないような態勢が先ず第一に確立されるというような方向考えるならば、どうやつたらいいかといつたような問題でありますとか、或いは現金拂いといつたようなことにつきまして、果してどういう方法でその協同組合なりその他の関係を活用いたしましてやつたならば効果的であるかというような、具体的な問題を取上げて研究をしておる程度でございまして、只今案が出来ておるのではございませんので、甚だ不満足なお答えになるのでございますが、そういつた方向で一生懸命研究しておるということでございます。
  54. 千田正

    ○千田正君 漁業法の施行と同時に、当然補償金の交付の問題が予算化しなければならないと同時に、今のような水産庁のお考えであるならば、一日も早くその具体的な方法考えられてこれをやり、漁業生産に役立つような方法考えなければならない。凡そ現在の漁村において金が足りる、資金が足りるという漁村も漁業家もないと思います。そこで一日も早くこの方法を考究されて、そうしてこれを具体化される。単に農林中央金庫ばかりでなく、興業銀行その他の金融団体との折衝においてこの補償金を裏附けするような引受団体を結成させるとか、とにもかくにも漁業金融というものが現在において漁業生産に一番大きな根本政策として軌道に乗つて来ない限りにおいて、日本の漁業生産というものは効果的でないことは皆さんが御承知だと思います。現実は待つておられないという現況でありますから、一日も早く考究されると同時に、我々委員会としてもこの金融問題につきましては、水産庁と共に一日も具体化するような方向に向つて行きたいと思います。どうか一日も早くお互いに協力した案を示されんことをお願いいたします。
  55. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) ちよつと私から山本次長にお尋ねしたいと思いますが、この暮の新聞に、見返資金十六億三千余万円を水産の資材会社に出して、そうしてそれを北海道その他で高度利用化の方法を講ずるということが新聞に載つてつた。それに関しまして、昨日の漁連の会長会議でいろいろ問題が出たのでありますが、この問題の経過並びに進行状態を御説明願いたいと思います。
  56. 山本豐

    説明員(山本豐君) 先程申しましたように、援助資金の問題につきまして、年末急遽計画を建て直しまして、これを安本に持込みましていろいろやつておるのであります。この計画の中に水産物の高度利用化という一つの項目がありまして、この計画は数字で申しますと借入金が約十九億ばかりになつておるのであります。この点につきまして当初は二十四年度の、つまり二十四年度の見返資金の計画の変更と二十五年度一年間の漁業計画、この二つが関連しておつたのでありまして、二十四年度の問題としましては、もうあと三ヶ月ほどしかないのでありまするので、当初事務当局におきましても、例えば日水或いは日魯というふうな大きい会社のみにこれをやらせるということは、後に続く者の道を塞ぐのじやないかというふうな点も、水産庁といたしましてもいろいろ議論が出たのであります。そこで我々としましては、沿岸の面の援助資金も相当に計画を持ち直そうじやないかということで、その方のことも別途研究いたしまして、また当初考えました点も実は滑り出し等におきまして、そういう広い面の議論も大切であるけれども、とにかく道をつける意味におきましては、実際は実力の有る所に一応その道を開いて貰うということも方法じやないかというふうに考えておつたのでありまするが、いろいろと御意見もあるようでありますし、この計画は北海道といたしても、道漁連等が一枚加わつて推進して頂くというふうな考え方にいたしまして、そうしてやはり先程申しましたような、一応借入金額を今安本に出しておるのであります。その他捕鯨の関係でありますとか、又沿岸組合関係におきましても、代船の建造の問題でありますとか、魚田関発の問題でありますとか、こういうふうなものも出しておるのであります。或いは又水産関係の公共施設等につきましても計画は出しておるのであります。しこれは全部が全部安本の全体の計画としてはなかなか困離であるかと思うのでありますが、そのうちいろいろと安本の方におきましても、どれを第一順位にするというようなことを今検討中であります。恐らくそういうことで近く決定をすると思いますが、北海道の高度利用化の問題につきましては、先程ちよつと触れましたように、単に大資本家のみにこれを任すという考では毛頭ないのでありましてて道連その他とも全体を一つにして綜合計画を立てまして、それで推進をさせたい、こういうふうな意図の下に現在安本に交渉しておる のであります。
  57. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 他に御質問ありませんか。それでは、まだいろいろ御質問もあると思いますけれども、後日の委員会に譲りまして、本日はこの程度で散会いたしたいと思います。    午後三時二十一分散会  出席者は左の通り。    委員長     木下 辰雄君    理事           尾形六郎兵衞君            千田  正君    委員            青山 正一君            松下松治郎君            西山 龜七君            田中 信儀君            江熊 哲翁君            矢野 酉雄君   政府委員    水産庁長官   飯山 太平君   説明員    海上保安監    (海上保安庁警    備救難部長不在    中部長代理)  松野 清秀君    水産庁次長   山本  豐君    農林事務官    (水産庁漁政部    長)     松任谷健太郎君    農 林 技 官    (水産庁生産部    長)      十川 正夫君