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1950-04-25 第7回国会 参議院 人事委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月二十五日(火曜日)    午前十一時十五分開会   ―――――――――――――   委員の異動 四月二十二日委員水橋藤作君辞任につ き、その補欠として千葉信君を議長に おいて指名した。   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○請願及び陳情取扱に関する件 ○国家公務員職階制に関する法律案  (内閣提出衆議院送付)   ―――――――――――――
  2. 中井光次

    委員長中井光次君) それでは只今から委員会開会いたします。請願陳情取扱について御協議を願います。速記を止めて下さい。    午前十一時十六分速記中止    ―――――・―――――    午後零時十一分速記開始
  3. 中井光次

    委員長中井光次君) 速記を始めて下さい。  只今協議をいたした請願陳情につきましては、整理をして御報告を申上げます。  午前中はこれて休憩いたしまして、午後一時から再開いたします。    午後零時十二分休憩    ―――――・―――――    午後一時五十分開会
  4. 中井光次

    委員長中井光次君) それでは只今から委員会を再開いたします。国家公務員職階制に関する法律案、この質問を続行いたします。
  5. 千葉信

    千葉信君 その質問に入ります前に、午前中の委員会における政府案に関しての質疑応答の中にありました、これと同様の事項について確認するために、いま一度御質問申上げたいと思います。人事院規則八――七、二十四年五月三十一日附の規則によりますると、非常勤職員任用というこの任用ですか、この任用の中に国会議員秘書諸君一般職に編入されることになつておりまするが、これについて改めて確認したいと思いますが、そうでございますね。
  6. 岡部史郎

    政府委員岡部史郎君) 只今お尋ねの件でございますが、国会議員秘書国会職員の一種といたしまして、一般職に属する職員という取扱人事院でいたしております。
  7. 千葉信

    千葉信君 今まで実はその点か明瞭を欠いておりましたので問題があつたのでございますか、重ねて御質問申上げたいことは、一般職の中に入つておるということになりますと、これらの諸君政治行為の問題が直ちに関連して来るわけですか、昨年九月十九日附の人事院規則によりますると、一般職に属するということになれば、政治的行為の問題が直ちに関連して来ると思いますが、これに対しては人事院ではどういうふうに政治的行為についてお考えになつておりますか、この点についてお伺いしたいと思います。
  8. 岡部史郎

    政府委員岡部史郎君) 一般職職員政治的行為につきましては、規則十四――七の適用があるわけでありまして、十四――七の適用のないものにつきましては、この規則の第一項におきまして、特に例外を定めておるわけでございます。その例外に属します以外のものは、すべてこの規則適用を受けておるわけでありますが、只今お尋ね議員秘書政治的行為に関しましては、議員秘書も一般的にはこの規則適用を受けるものと解すべきものと思つております。但し若しも議員秘書がこの第一項の但書に該当するものといたしまして、即ち顧問、参与、委員、その他人事院指定するこれらと同様な諮問的な非常勤職員であるといたしまして、人事院指定を受けまするならば、その限りにおきまして政治的行為適用を排除するということも考えられるわけでありまするが、現在におきましては人事院といたしましては、議員秘書はこの条項によりまして指定はいたしておりません。従いまして現在のところは全面的にこの規則適用を受けるものと解釈するのが正しいと思います。併しながら議員秘書職務内容特殊性に基きましてこの規則の七項に規定しておりまするところの、即ち本文の職務を遂行するため当然行うべき行為に該当いたします範囲におきましては、議員秘書の表面上政治的行為と見られるものに関しましても、この規則の制限を受けないというように解してよろしいと思います。
  9. 千葉信

    千葉信君 この問題に関連いたしますので、ほんの少しばかり、もう少し御質問申上げたいと思います。御承知のように本年の四月一日から実施されておりまする一般職職員給与に関する法律、この法律に対しては人事院権限として第二条第七項によりますると、「この法律の完全な実施を確保し、その責に任ずること」等、はつきり規定せられておりますが、この法律の第一条によりますると、「この法律は、別に法律で定めるものを除き、国家公務員法第二条に規定する一般職に属する職員に関し、その人事及び給与に関する方針の統一を図る。」こういうことになつて参りますと、只今政治的行為の問題を別にいたしまして、給与の問題が一般職であるかどうかということに関連して来るわけでございますが、この一般職職員給与に関する法律の点からいいますと、当然議員秘書一般職に関するこの法律適用を受ける筋合にあると考えざるを得ないのでございますが、事実は国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律によつて同法第十条の「各議員議長、副議長及び議員秘書は、給料として月額九千円を受ける」こういうことになつておりますと、一般職職員に即する給与法律と抵触する点が出て来るのでございますが、人事院はこの点についてどういうふうにお考えになつておりますか。
  10. 岡部史郎

    政府委員岡部史郎君) 只今千葉さんの御質問にお答え申上げますが、この新給与実施法及びそれを引継ぎましたこの度の一般職職員給与に関する法律は、原則といたしましては一般職に属する職員給与体系を定めたものでありまするが、その体系が必ずしも一本化しておりませんで、或いは非常勤職員につきましては従前の例によるというようなやり方も採つております。又この法律一般職に属するすべての職員俸給を包含したものではないのでありまして、法律の他に別段の定めをしておりまする場合におきましてはそれによることになつております。現に検察官に関する法律というようなものは、別に検察官俸給に関する法律で定めることになつております。それと同じように議員秘書に関しましても、只今お述べのような法律規定して、おるわけでありまして、そのようなことはこの法律第一条、新給与法におきましてもその通りでありましたか、第一条に、「この法律は、別に法律で定めるものを除き、」と謳つてあります通り、そのような法律で以て特別の給与体系を作つておるということを認めておりますので、それがいい惡いは別問題といたしまして、又理想的な形といたしましてはすべてこの法律或いは将来できます給与準則に包含するのが正しい考え方と思いますが、現在のところはそれぞれ法律で別に体系を作ることを認めておるというような建前になつております。御了承頂きたいと思います。
  11. 千葉信

    千葉信君 この問題は更に国会議員秘書に対して、これを非常勤職員と認めるという根拠について、その根拠は私は聊か他の場合の職員勤務時間というものと違つた解釈をする必要があるのではないか。御承知のように議員秘書は常に議員活動に補助的な役割を務めておるのでありまして、議員活動といえば敢て国会の中だけにおける活動とは限らない。そういう点からいいますると、成る程登院する時間については非常勤の形でありますけれども、実際における秘書仕事というものは決して極限された時間でなくして、或いは又国会に登院した時間内だけに限られておるのではないというように考えられるのですが、その議員秘書に対して非常勤というふうにお考えになりました人事院の御見解を伺いたいと思います。
  12. 岡部史郎

    政府委員岡部史郎君) お答え申上げます。或る職が常勤であるか、非常勤であるかということにつきましては、いろいろ定め方があるかと思うのであります。その官職を設置いたしまする根拠法規におきましてこれを常勤とする、非常勤とするとはつきりいたします場合においては一番明瞭でありまして、最近の立法例におきましては、その方向を採つていることは、これは御承知通りであります。その外に法律、その他の根拠法規で明瞭にならない場合におきましては、主として実態についてこれを定めるということになるわけであります。その一番いいもの……定めるわけでありますが、それにつきまして、一つの有力な根拠になりますのは、定員法定員の中に入つている職員、これは常勤と見なければならんわけであります。それから新給与実施法の二十九条の規定適用を受けているような官職、これは又非常勤ということはおのずから明瞭であると思うのであります。それから又第三の判断標準といたしましては、勤務時間に関する規定即ち現在の四十四時間の勤務時間の適用を受けているか、受けていないかというようなことも、一つ判断標準になるわけであります。これらの点を参酌いたしまして、その実態につきましては只今千葉さんがお述べの通り実態であるということは、これはよく異存がないところでありまして、その実態に基きましてこれを非常勤職員と認めている次第であります。
  13. 千葉信

    千葉信君 この問題につきましては、又改めて後にいたしたいと思います。  次に職階法に関する御質問でございますが、職階法が一番問題になりますことは、職階法はつきりと定められた職階そのものに対して、俸給準則がどのような形で作られておるか、そしてその俸給準則がどういう新給与に対して当嵌められて行くかというところに大きな問題があろうと思うのでありますが、現在人事院におきましては、給与準則に対する作業がどの程度に進んでいるかということと、それから現在進んでいる段階給与準則における人事院考え方というものは、こういうところに来ているか、その点についてできるだけ詳しく御報告を承わりたいと思います。
  14. 山下興家

    政府委員山下興家君) 給与準則につきましては、実はまだ調査は多く初歩でありまして、まだ何も決まつておらんと言つてもいいのであります。但し想像することができる範囲はあるのでありますが、それは御承知のように、アメリカ職階法というのは、あれは職階ばかりでなくて、給与準則職階とが絡み合つたものであります。それの中から給与に関するものを取り除けたのが、今度の職階法であるのであります。今度給与準則ができて、そうしてそれが職階法と絡み合つて働く場合には、どんな恰好であるかということは、二十九条の第四項或いは五項のところにあります計画なんでございます。その計画というのは、即ち新給与実施に関する法律第四十六号がその標本となつておるわけでありますから、大体あれに似寄つたもの、ああいう恰好のものということを御了承願えれば結構だと思います。
  15. 千葉信

    千葉信君 給与準則というものが、今施行されておる一般職職員に関する、職員給与に関する法律というものから、更に一歩進んだ具体的なものになるというふうに私共考えておるわけでありますし、又現在の法律というのは、飽くまでもこれは暫定的なものということに国家公務員法の二十九条でも明らかになつておるわけでありますが、そこで私共考えられますことは、先程の午前中における委員会におきましての人事官の御答弁から考えて、給与体系をできるだけ理想的なものに持つて行きたいという御意見のように承わりましたし、更に又、そういう御意見を裏付けておるのは、これは給与の正しい労働に対する反対給付という立場から行けば、能率給という形に進んで行くものと私は了解しておるわけですが、今人事院考えられておる給与準則に対する給与体系としての考え方が、いきなり能率給という形において立案せられる虞れがあるのではないかというふうに考えておりますが、その点については如何なものでありましようか。
  16. 山下興家

    政府委員山下興家君) 給与の目的、将来の在り方ということにつきましては、無論能率給であるべきだと思います。ただ現在のところ、御承知のように、給与が非常に少いのでございまして、食うか、どうかという点にあるのでありますから、普通の能率給で行くわけに行かない。それで地域給とか、扶養手当とかいうものが給与との関係立場から考えますと誠に拙いわけであります。これを取除けるということは今のところ不可能であります。それですから、給与準則ができ上りましても、やはり地域給もあるし、それからして扶養手当もあるわけであります。ただ、物価がえらい将来下つて来まして、そうしてずつと余裕ができて来る、増田官房長官がよく言つておられますように、昭和の、あれは何年頃でしたか、五年から九年ですか、五年から九年ぐらいな程度を目標とされているようでありますが、そこのところは分りませんが、相当な余裕ができましたときには、初めて地域給も止めるし、それからして扶養手当も止める。そこで初めてメリツト・システムということができ上がるわけであろうと思います。
  17. 千葉信

    千葉信君 そういたしますと、人事院で今考えておられる給与準則というのは、一応現在の賃金ベースをそのまま形において取入れながら、給与準則考えて作つて行くというふうに、私共了解して差支ございませんか。
  18. 山下興家

    政府委員山下興家君) 大体のところ、私はそう思つております。但し、地域給は御承知のように、今度はどうしても三割から二割に減ります。減るということは、前に申上げましたように、輸送費や何かが特に減つて来るし、都と田舎との物価の差が少くなつて来ますから、それから言うと二割になるわけですから、その点から言いますと、どうしても給与ベースが変るときに同時に実行しなければ、地域給は実行不可能になつているのであります。併し給与準則は、別にそれとは関係なく行けますから、この次の国会か何かに給与準則が出ますれば、給与準則でそのときは又動かして行ける。但し本当に動かせるようになるのは、給与準則職階法とが絡み合つてうまく動くときでないと行けないから、またずつと先きのことだろうと思います。つまり現在の給与ベースというものを改正して行くには、どうしてもこれは止めることはできない。経済が安定して行くまでは止めることができないように思います。
  19. 千葉信

    千葉信君 今人事院から出されておりまするこの職階制は、職階制全体としてかくあるべきだという、私共の考えている職種明細書であるとか、そういうものを切離した職階に関する計画書職階制として出されておりますが、こういう点について私共が不満に思つておりますることが、更に只今人事官答弁から言いますると、今後提案されることがあるべき給与準則に対しても同様に、人事院としては給与準則なり給与表というものを、俸給表というものを切離して、一応原則的に給与準則を定めてあと、俸給表というものは、又職階法におけるところの職種明細書であるとか、職級明細書と同様に、切離した形において、国会に提案される虞れがあるような御答弁だと思いますが、そうでございますか。
  20. 山下興家

    政府委員山下興家君) そこのところをはつきりと御了解頂きたいのでありますが、職階に対する基準というものは、これは職務責任と、それからむずかしさ、そういうものしかないのであります。それによつてでき上つて、ずつと並べて見たので、その段階の或るところで切つていつたものが即ち職級であり、その一つずつを定義付けたものが職級明細書である。職級明細書というものは、でき上つて後に決まるものであつて最初から決まつておるものでないのでありまして、若しもそういうものが最初から決まつて基準が決まつておるなら当然ここに書く筈でありますが、書かないのはそういうわけであります。ところが給与準則の方になりますとそうでないのでありまして、例えば今のような十五級、或いはそれから十八級であるか何か知れませんが、とにかく或る一つ給与段階が、一応或る一つ一つについては定義が付く筈であります。その定義に合はして官職を持つて行くわけでありますから、それで基準というものは初めからはつきりして行く。丁度それは、今の給与に関する、あの法律四十九号の中で、十五級の定義付が、あれがあの法律の中には書いてなくて、通牒で行つているわけでございますけれども、その通牒もそういうものがもう少し細かくなり、はつきりして来る、あれの中には、職階法とは称しながら、職務分析のない職階法でありますから、それで、世の中にあれがぱあつと出て行きますときに、世の中の人が、本当職階法というものはああいうものかと思つて非常に誤解を来しておるのでありますから、それで今度本当職階法を段々作つて行きまして、職階法というものは、本当はこういうものだ、一つ一つがしつかり研究したものでなければならんということをこれから知らすわけであります。ただ、今の新給与に関するあの法律本当標本でありまして、その点からいうと、この二つの法律が将来合わさると、非常にあれより立派なものができ上るというふうに考えております。
  21. 千葉信

    千葉信君 只今の御答辯から考えられますことは、人事院としては職級明細書というようなものはまだ決定しておらないし、なかなか決めにくい。併し給与準則との関連において御答辯がありましたように、一つ職務に対する職務内容であるとか、責任の限界であるとか、そういう職務に対する一つ定義というものは、職階制に当嵌まるべき定義というものは、一応できるという御答辯でありますが、そう確認して差支ありませんか。
  22. 山下興家

    政府委員山下興家君) 給与準則に対する一級、二級というものの定義というものははつきりと出すことができると思います。但しそれによつて今度職級がどこに当嵌まつて行くかということは、一応職級明細書になつてできますが、これは仕事内容が変つたり何かいたしますと、職級明細書というものは次から次へと変つて行つて始終その状態に、現状に合わすように努力をして行くというわけであります。
  23. 千葉信

    千葉信君 これは先のことですが、私共は今の職階制に関して非常に了解し難い事項として考えておる職階制そのものでないというふうに考えられておる、この職階制における人事院の提案の仕方と同様な問題が今後給与準則の問題に関連して出て来る虞れがあるというので、非常に心配しておるわけですが、人事院では一体給与準則を出す場合に、どの程度その給与準則を、国会承認を求める給与準則範囲若しくは法律と請うものを考えられておるかこの点についてお伺いします。
  24. 山下興家

    政府委員山下興家君) まだ全然構想は熟しておりませんから、私がここで明言するわけには行きませんが、私の知つておる範囲内においては、又私の信じておる範囲内においては、それは先刻申上げましたようにアメリカ職階法給与準則と、それから職階が合わさつて丁度アメリカ職階法が成立つということになると思います。そしてただそれの極くサンプルとしますところは、新給与実施に関するあの法律のようなものになる、あれよりも本格的なものではないけれども、大体ああいうものだとお考え下されば結構であります。
  25. 千葉信

    千葉信君 私がお尋ねしているのは一応これは職階法というものと、それから給与準則というものは切離すものである、切離しているものであつてその給与準則をどのように職階制によつて適用するかということが人事院権限内のことであつて給与準則職階法もこれはもう国家公務員法の上に明らかに出ておりますように、法律に定められるか、或いは又その一部は、国会承認を経て初めて実際に適用されるだけの效力を持つようになつて行くように、私共考えておりまするし、特に給与準則の場合にありましては、国家公務員法の第六十三条に「職員給与は、法律により定められる給与準則に基いてなされ、これに基かずには、いかなる金銭又は有価物も支給せられることはできない。」とこうなつておりまするし、更に第六十四条では「給与準則には、俸給表規定されなければならない。」こういう表現から言いますと、第六十三条の第一項にあるところの如何なる金銭又は現物の給与もしてはいけない。そして更にこの給与準則に六十三条に言われているところの給与以外のものを支給した場合には、罰則適用を受ける。こういう点から考えますると、私は給与準則というものの中には、当然これは第六十四条による俸給表も附けられていなければならないし、又六十五条による「前条の俸給表の外、左の事項規定されなければならない。」そしてこの六十五条におけるところの第一号から第五号までの給与というものも、明らかに俸給準則の一部として国会に提出されなければならない。それなくしては第六十三条に違反した場合の罰則適用ということも問題になつて来るだろうと私は思うのです。従つてそういうことになりますると、これらの給与準則ができまして、そうして国会承認の上でこれを適用するという場合になりますると、当然その基本になりまするのは第二十九条におけるところの職階制の問題になつて来るわけですが、この職階制の第二十九条の問題は、御承知のようにその第一項から第三項までの職階制そのものに対しては、たとえこれが法律による場合であろうと、或いは又法律によらない承認案件であろうとも、第四項によれば当然これは国会承認を受けなければならない、こういうことになつているに拘わらず、現在出ているところのものはこの二十九条における第二項、第三項の承認を抜かしたところの承認を受けることの必要がないという法律になつて出て来ている。こういうことになりますると、如何に立派な給与準則ができた場合であつても、その給与準則適用するところの職階制そのものの場合においては、国会承認なしに人事院で常にこれに対して手心を加え、或いは又独断で権限内でこの職階制を、職階制実体そのものを常に人事院の思う通りに変動させることができるというような結論になつて来るのですが、これに対しては人事院はどういうふうにお考えですか。
  26. 山下興家

    政府委員山下興家君) まだできない給与準則について細かい議論をするということは、ちよつと困るのでありますけれどもですね。私が信じておる点を申しますというと、先刻申しましたように給与準則というものが決まつてしまつておる。手続がすつかり決まつておる。それには無論給与表もくつ附いて来るわけです。ただその職階の中の職級でございますね、職級それ官身法律で縛つてしまうということも、それは国会でお決めになればできないことでもないのですが、それをやりますとこれは非常に工合の悪いことができて来る。どう工合が悪いかと申しますと、極端な例を言いますと、今の新給与実施に関するあの法律職階によつて作つた給与であるという触れ込みなんです。ところが実際は一つ職能分析がしてないのです。ですからして職能分析ゼロという標本はそこにあるわけです。それから又立派に職能分析をやるという標本アメリカにありまして、結局五百人に対して一人というのが即ち職階法を作るときの給与職級を作るときの人間の数です。それは三本にしますというと、千五百人必要なのです。ところができ上つてしまつてからはやはり千人について一人要るということになつておりますから、そうすると日本ではそれに準拠しますというと、八百人くらいな人間か始終職能分析をしながらやつて行かなくてはならん。それはなぜそうであるか、それはどつちでもできることであるから、どちらでもできますが、沢山な人がおつて一生懸命に研究をしている。そうして少しでも工合の悪いことは即座に直す。そうして又仕事ちよつとでも変つたら即座に直すというのには、立派な人間がおつて、そうして努力してやらなくてはならんのに、これを国会承認を求めるとか或いは法律に決められますと、これを悪くいたしますと、どんなにでも使えるのです。悪いということをちよつと申上げますと、こういうことができます。極く僅かな人間でやりましてとても手が届かんというときに、ああそうかといつてそれを調べるというと、成る程そう変えるべきものだ、それはどうせ国会承認を得なくてはいかんから、まあこの次まで待つて呉れと言つて待たすわけです。一年一回に待たすということもできるが、そうするとそのときには何百という訂正を国会にぱつと持ち込んで来るというと、それの説明もできないというようなことになつてそれを一回承認を得なかつたら、二年間公務員というものはまずい状態の下で働かなくてはならんということになつて、非常な不利益を公務員に与えるわけであります。それですからそういう法律によつて細かいところは決めないで、それを人事院規則で直ぐ適応するように働かして行く、但しその全体については、国会なりそれからそこに働いておる従業員のいろいろな批判を仰いで、そうしてそのときそのときに順応して行くようにする。これはちよつと日本には余り例がないのでありますから、どうしてもそれだけの人間がなければできないものは却つて楽でありますけれども、人がなければそのまま働かしておいてもいいし、それからいよいよさぼつてももう別に差支はないということで、それの責任、不利益を全部公務員が負わなくてはいけないというときに困るのでありますから、これは人事院規則で自由に働かして頂くことが公務員のためであるということを私は確信しておるわけです。
  27. 千葉信

    千葉信君 只今人事官の御答辯からいいますと、所要の人員が整つていればできるけれども、そういう千五百八とか或いは二千人とかそういう人員が揃つていないために、実際においては仕事の取運び方が困難であるからこれはどうにもならない、こういう根拠から実際の問題を考慮して答辯されておるのであつて、法的な根拠に基いて、国会承認をとるとかとらないとかいうこととは離れての御答辯のように、私承つたわけですが、そう了解して差支ございませんか。
  28. 山下興家

    政府委員山下興家君) それとは大変違うのであります。私の思つておることは、アメリカで一遍職階法が綺麗にでき上つてから後でも、いつでもそれだけの、千人に対して一人の人間を以てやつておるということは、公務員のそのときそのときの情勢に合うようにやるために必要なのである。若しもこれがですね、呑気に公務員のことを余り心配なしにやるのだつたら、それを千人の代りに百人でも沢山だと思うのです。そうしておいてですね、まあ法律で決まつたのだから仕方がない、我慢しろと昔からの日本のやり方で行けばですね、もう一遍さつとやつておいたら、もうそのままとにかく何年か先の今度の法律改正のときまで我慢しろということもできるのです。それだけれどもそうしたくないのです。それは始終動いておるということが必要条件でありますから、それで人間も沢山要るだろう、それからして、それは法律によつて決めないで、そのときそのときに動かすように人事院としてもしなくちやならんだろう、そう申したわけでありまして口実を与える虞れがあるのです。僅かな人間でやるからして、まあ年に一遍国会で出せばいいのだから、これでこんなところでよかろうということになる虞れがあるから、我々は非常に自粛して行かなければいけないと、こういうふうに考えております。
  29. 千葉信

    千葉信君 私が一番心配しておりますることは、勿論今山下人事官が言われましたように、現在の人事院の体制そのものを以ては、相当この職階制を隅から隅まで決定したり、或いは又その変更に対して常に適切な処置を講ずるということについては、これは、一応人事院における全体の構成から言つても、或いは又人員から言つても相当至難な点があるんだということは、私共十分考えられる点ではございますが、併し私が問題にしたいことは、たとえそういう事情があるにいたしましても、或いは又実際上どのような困難な見通しにあるといたしましても、私は問題にしなければならないのはそういう点ではなく、今申上げましたように職階制そのもの、それからその職階制の基礎に基いて給与給与準則として決定されて、それが実際上運用されて行くということになりますと、職階制を作るということの根本的な目的というのは、この職階制の第一条にもありますように、「官職の分類の原則及び職階制実施について規定し、もつて公務の民主的且つ能率的な運営を促進することを目的とする。」この分類の原則云々は抜きにいたしましても、能率的な、或いは又民主的な運営をすることを目的とするという、この目的を達するものはやはり公務員給与が根本においては如何にあるべきかということが、これが非常な重大な問題になつて来る。従つて給与というものが適切に支給されるということが、常に適切に行われるということが、これが公務の民主的な且つ能率的な運営を促進するゆえんであると、こういうことを考えますというと、私はこの職階制その公務員局その関連するところは、この給与準則給与を如何にするかというものが結に関連して来る問題だと、こういうふうに考えますると、先程から申上げているような給与準則の方面においては今人事官から答辯がありましたが、これに俸給表なり、或いは六十五条における一切の給与というものが給与準則の一部として当然これは国会法律として出され、或いは又国会承認を求めることになつておる筈でございまして、従つてそういうものを適用する場合に、その基礎となるところの、職階制そのものは、それではどうなつているかと言いますと、第二十九条にありましても、その第三項の後段においても、「同一の幅の俸給が支給されるように、官職の分類整理がなされなければならない。」更に第四項において「前三項に関する計画は、この法律実施前に国会に提出して、その承認を得なければならない。」、この場合に計画という言葉が原則的なものであつたり、或いは又基本的なものであつたりすると仮にいたした場合でありましても、第三項にありまするように、同一の幅の俸給というものが支給されるように分類、整理がなされなければならない。分類、整理をなされたところの計画でなければならないということが、明らかにこの条文からも出て来る筈だと私は考えるのですが、これに対しては山下人事官は二十九条の第二項、第三項をどういうふうにお考えになつておられるか。私は第二十九条の三項は明らかに職級明細書であるというふうな私は確信しておるのですが、これに対しては如何でございましようか。
  30. 山下興家

    政府委員山下興家君) この計画は私共はこう思つております。この新給与実施に関するあの法律それ自身が計画である。それでそれは国会に提出して承認を得ておるものであるということであるのでありまして、ただそれが誤り伝えられまして、政府の職階による給与というものはあの法律でもう済んだのだという感じを与えられておりますから、それで民間ではその職階担当官というものが非常に少くてそうして好加減にさつと分類する虞れが多分にある。そう簡單にやつてもできる、非常に細かくやつてもできることであり、簡單にやるときにはどうなるかというと、非常に上の人の主観が混るのでありますから、決して適合したものができ上つて来ない。それで日本で職階制というものが非常に不評判なのは、実はそれが非常に影響をしていないか知らんと思つて心配しておるのでありますが、これは相当沢山な人が職階職務の分析に当りまして、将来ともすつかり一つそれを研究して、專門に研究して行きますから、その心配はなく、又世の中にも本当職階法というものはこういうものだということを理解して頂くときがあるだろうと、そう思つております。
  31. 千葉信

    千葉信君 今の山下人事官の御答弁は、私のお尋ねしておることと少し違うように思うのですが、私の質問しておる結論から言いますと、主要な点というのは、この公務員法の二十九条の第三項並びに第四項の解釈から言いますと、第三項の点については、これは法律による、よらないは抜きにしても、この点ははつきりとこれは職級に対する分類なりということが明瞭でございますし、そうして又更にその次の条項では、これは国会承認を求める云々ということになつておるが、これに対してはどういうふうにお考えになつておるのかというのが、私の質問の要点なんです。
  32. 山下興家

    政府委員山下興家君) この第三項は職階制の目的を現わしておるのでありまして、職階制というものはかくかくしなくちやならんものだという、これは職階制それ自身の定義であろうと思うのであります。併しそれはでき上つた職階制であるのか、又はそれを職階制はこういうふうにするというその基礎的の、抽象的のものと、両方ともが職階制と呼ばれておりますから、少し混雑するわけでありますが、この第五項においてそれははつきりしておるのであります。これは法律第四十六号というものは、こういうような計画であるのだということがはつきりしておるわけであります。そうして若しもこれが全部の法律をここに出さなくちやならんということになりますと、それは国会でそうお決めになればいたし方はありませんが、これは職階法は殆んど本当に働かない、それが非常な不利益を公務員に与えるものということを恐れるわけです。そうして又外国でもそういうことをやつておるところはない。若しも日本でやるのであつたら、これはもう非常に職階担当官の数というものはうんと少くするとか、或いはもうそういうようなものがなくて、今度は国会で改正しなくちやならんというときに、ぱつと人を集めて研究して、ぱつとそれを出してしまえば、あとはもう知らん顔しているといつてもそれでもできるわけです。併しそれでは不親切です。沢山な人間が毎日それを專門として一生をそれに捧げてやらなくちやいかん。片手間では決してこの職階職務の分析というものはできないものである。そう思つております。
  33. 中井光次

    委員長中井光次君) それではこの程度で散会いたします。    午後二時四十一分散会  出席者は左の通り。    委員長     中井 光次君    理事            小串 清一君            宇都宮 登君    委員            川村 松助君            松嶋 喜作君            千葉  信君            岩男 仁藏君   政府委員    人  事  官 山下 興家君    人事院事務官    (給与局長)  瀧本 忠男君    人事院事務官    (法制局長)  岡部 史郎君