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1950-03-24 第7回国会 参議院 人事委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年三月二十四日(金曜日)    午後三時三分開会   —————————————  本日の会議に付した事件 ○政府職員の新給與実施に関する法律  の一部を改正する法律案内閣送  付)   —————————————
  2. 中井光次

    委員長中井光次君) これより人事委員会を開会いたします。本日は政府職員の新給與実施に関する法律の一部を改正する法律案、この予備審査が本委員会に付託されておりまするので、これを議題として御審議を願いたいと思います。最初に提案理由説明政府より伺います。
  3. 千葉信

    千葉信君 この政府職員の新給與実施に関する法律の一部を改正する法律案、これに対して特に増田官房長官から説明を伺わなければならない理由について承りたいと思います。その理由は、御承知のように新給與実施に関する法律の一部を改正する法律案につきましては、これは最早新給與実施本部というものが昨年の十二月に人事院の方に完全に移管になつておりますし、従つてこれらに関する條項の点につきましては、御承知のように総理府設置法の方からも除かれております。又国家公務員法によりましても、給與に関する実際の権限というものが現在のところにおきましては明らかに人事院の所管ということになつておりまするが、そういう状態の下において、この提案せられまし一部を改正する法律案を特に増田官房長官でなければ御説明できないかどうか。私共の見解からすれば、これはその他の法律案における場合と同じように、人事院総裁提案理由説明つて然るべきだと我々は考えておるわけでございます。これに対する官房長官の御説明提案理由説明以前に承わりたいと思います。
  4. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 大分むずかしい御質問で恐縮いたしまするが、要するに法律条の提案権議院両院並びに政府にあるわけでございまして、政府の一部である人事院法案提案権はないのであります。そこで政府提出いたしたこれは法律案でございまするから、政府において答弁する責任がある、こう考えております。そこで政府は御承知通り内閣総理大臣国務大臣とを以て構成しておりまして、どの国務大臣及び内閣総理大臣において答弁してもよろしいのでございまするが、公務員全体のことについて、給與関係からは、大蔵省は給與課もあり実際の資金を支出する、俸給を支出するという関係においてタッチはいたしております。それから公務員全体のやはり給與條件を維持改善するという立場に立つて内閣人事院を所轄しておりますからして、そういう立場からも我々は答弁或いは説明の責を持つておる、こう考えておる次第であります。
  5. 千葉信

    千葉信君 一般的な考え方としては増田官房長官の御説明を了承いたしまするけれども、私の御質問申上げておるのは、特に人事院総裁でなく官房長官でなければならないという法的な根拠がどこにあるかということについて私はこの際明確にされたいと思います。
  6. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 法案を提案した場合には、国務大臣答弁に当ります。国務大臣補任者として政府委員答弁することもございます。説明することも勿論ございます。併しながらあくまで国務大臣補助者として答弁する次第でありまして、人事院総裁が主たる責任者であるという立場法案説明申上げるということはないと思つております。
  7. 千葉信

    千葉信君 私はそういう御答弁ではなく、もつと具体的に法的な根拠というものについてお尋ねしておるわけでございまして、それに関しての御答弁を私は希望するわけでございます。更に又申上げたいことは、私は実は新給與実施に関するこの法律案説明に対しては、成る程国務大臣として増田官房長官は非常に関係の深い責任のあるお立場でございますけれども、私は次のような理由から増田官房長官給與関係法律についての御説明忌避したい。と申しますのは、この間は委員会における増田官房長官との質疑応答に当りましても、増田官房長官給與。という問題について非常に勘違いをしておられる点がある。その第一の点は、例えば給與ベース基準が何と何か、こういう点について勘違いをしておられたということ、それからもう一つの点は、増田官房長官はしばしば実質給與引上げということを言つておられますが、私との質疑応答の中で、実質給與引上げるということについても増田官房長官勘違いをしておられる。増田官房長官は明らかに御答弁の中でおつしやつておりましたけれども来年度は超過勤務手当を増額する等の処置によつて実質給與引上げということをおつしやいました。これは私は少くとも我々の了解する限りでは、実質給與というものの言葉の概念の中ではこういう御答弁は出て来ないのではないか。御承知のように政府の考えておられる本当の意味実質給與引上げということは、現在政府でとつおられるいろいろな経済政策によつて物価水準をできるだけ横這いの状態乃至は引下げの状態に持つて行くことによつて名目賃金つた公務員給與というものを実質的に引上げる、こういう方法でなければならないと思うのでございます。そういう点から行きまして、それから又質疑の中に明らかに出ております内閣審査室の方から出ておりまする給與に関する資料の点につきましては、私は非常に不安である。俄かにこの数字を信用できない。実際に信用できないような結論はつきりと質疑応答の中からも出て参つております。従つて私はこういう点からいささか、先程は忌避という言葉を申上げましたが、むしろ忌避じやなくて、非常に不要を感ずる者でございます、第一の点について官房長官から御答弁を伺いたい。
  8. 中井光次

    委員長中井光次君) ちよつと千葉君に申上げまするが、官房長官政府責任者としてお出でになつて説明なさるというのでありますから、官房長官忌避するという、とは如何かと思うのであります。
  9. 千葉信

    千葉信君 訂正いたしました。不安だと……
  10. 中井光次

    委員長中井光次君) 御説明伺つて、然る後、内容についての御質疑をなすつた如何でございましようか。
  11. 千葉信

    千葉信君 それでは第一の点について重ねて御答弁を頂きたいと思います。特に増田官房長官でなければならないという法的な根拠はどこにあるかということ。
  12. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) これは国務大臣であれば、どの国務大臣であつてもいいのです。例えば郵便のことを私が答弁しても構わないのです。ただ関係の深い大臣が来て答弁申上げる、責任ある大臣が御答弁申上げるというわけで、あなたもしばしば私を呼ばれたのですが、それでは今までどういうわけで私をお呼びになつたか反対に御質問申上げたいくらいです。
  13. 千葉信

    千葉信君 私が今まで増田官房長官に対して御質問申上げたのは、増田官房長官の所掌するところから新給與実施法に関して、これはできないという意味資料提出されておりましたので、私はその資料の点に関する疑義を私は質問した。
  14. 中井光次

    委員長中井光次君) 如何ですか。千葉さんに御相談いたします。御説明は、政府責任者だと断言しておられるのですから、官房長官説明を聞いて、然る後にいろいろの御議論を願つた如何かと思います。(大山安君「賛成」と述ぶ)よろしうございますか——どうぞ官房長官
  15. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) それでは政府職員の新給與実施に関する法律の一部を改正する法律案提案理由を御説明申上げます。  現行政府職員の新給與実施に関する法律昭和二十三年十二月二十二日法律第二百六十五号によつて改正されたものでありまして、その第一條第二項の規定によつて、本年三月三十一日限り失効することと相成つております。  その当時の改正の主なる点は、現在政府職員給與月額基準となつている六千三百七円の額を決定するにあつたのでありましたが、政府はその後二十五年度予算作成に当り現行政府職員給與ベースを変更せざることといたしましたので、よつて現行政府職員の新給與実施に関する法律一條第二項を改正いたしまして、この法律存続期限を更に一ケ年延長せんとするものであります。  何とぞ愼重御審議上速かに可決あらんことを希望いたします。
  16. 吉田法晴

    吉田法晴君 先程千葉委員からの御質問にも関連するのでありますが、国家公務員法第六十七條によりますと、「人事院は、給與準則に関し、常時、必要な調査研究を行い、給與額を引き上げ、又は引き下げる必要を認めたときは、遅滞なく改訂案を作成して、これを国会及び内閣提出しなければならない。」こういう條文があります。そこで先程給與実施本部人事院に移されたということとも関連いたしまして、人事院から給與に関します法律は、例えば国会に出て来ます場合に内閣から、政府から提出されるといたしましても、人事院を通して来べきものではないか、こういう工合に考えるのですが、その点について増田官房長官はどういう工合に考えておられますか。
  17. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 給與に関する法律案を出す場合に、人事院でその草案を作つて出してよろしいと言つて政府が出する場合もあります。勿論政府の名において出すのでありますが、又政府自身法律を出す場合もあります。今回は政府法律案を出した次第であります。この前もそうだつたと思いまするが、今回もそうであります。但し我々は人事院がこういう方面に関する主たる役所であることによく承知しておりまして、今回は給與ベースを変更しにくい。そこで一年延長法律案を出すについては、政府があなたの方では勧告を出した立場から法律案草案を作るということは、これはなかなかおやりにくいことでしようか、こちらから出します、こういうことを人事院打合せはいたしておる次第であります。
  18. 吉田法晴

    吉田法晴君 この提出せられました法律案について人事院と今打合せの上出されたということでありますが、その点は間違いございませんか。
  19. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 打合せはいたしております。但し打合せとは内容人事院が肯定したというわけではありません。こちらで出すからということを向うへ連絡をしてある、こういう意味であります。
  20. 吉田法晴

    吉田法晴君 いわゆる新給與実施法と申しますか、新給與実施に関する法律とへそれから国家公務員法にあります給與準則との関連について正式に承わつて置きたいと思うのでありますが、私共は新給與実施法には給與準則という名前謳つてはありませんが、給與準則実質をなすものだと考えるのでありますが、その点についてはどういうぐ工合政府として考えられておりますか。
  21. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 給與準則というのはまだ出ていないのであります。この次の国会に提案するという運びになつております。そこでこの法律というものは、今御指摘のような、給與準則が出るまで、この法律でお説のような実質的の部分を構成することになる、こう私共は考えております。
  22. 吉田法晴

    吉田法晴君 国家公務員法第六十三條によりますと、「職員給與は、法律により定められる給與準則に基いてなされ、これに基かずにはいかなる金銭又は有価物も支給せられることはできない」ということであります。職員給與法律に定められた給與準則に基いてなされなければならん、そうして新給與実施法職員給與法律によつて定めたものによつて支給しておるものだと考えられるのでありますが、若しこの新給與法給與準則でないということになりましたならば、その新給與が三月三十一日を以て失効します場合にこの法律に基かずして職員給與支拂われ得るという結果も出て参るのでありますが“それの点はどういう工合に考えますか。
  23. 山下興家

    政府委員山下興家君) 只今のは、六十三條は給與準則ができなければあの法律は動かないのであります。今のこの新給與に対する法律は前からある法律でありますから、あれが動くまでの間この法律によつてつて行く、どれくらいになりますか、恐らく来年春か秋頃まではやはり今の法律によつてやるよか外にないのであります。
  24. 吉田法晴

    吉田法晴君 来年になるまで今の法律でやつて行く外なかろうということですが、現在の法律は三月三十一日を以て失効するわけであります。そこでそれを継続するという改正案が出ておるのでありますが、若しも六十三條が動いておらんといたしますならば、新給與実施法が失効して、法律によらずして給與支拂つてもよいという結果になるのだと思う。逆に言いますと、六十三條は、これは人事院規則によつて現在動いておる、実施されておるということになりますので、その点御主張に矛盾が生ずるのでありますが、その点はどういう工合に考えておられるか。
  25. 山下興家

    政府委員山下興家君) 人事院規則では、六十三條は動いておることになつておりますけれども、ぞれは結局、中に給與準則によつてと書いてありましてその給與準則がまだできない間は、事実上動かないわけであります。やはり同じようなことが、人事院規則によると書いてある所は、やはりそれに関する人事院規則ができるまでは動かないわけであります。
  26. 吉田法晴

    吉田法晴君 人事院規則によると、六十三條は動いておると規定してある。今のお話では中身ができなければ動かないという解釈でありますが、その動いておるという人事院規則と、それから事実動いておらんという解釈とは、その解釈自体の中に矛盾があると思うのでありますが、それはどういう工合に考えられるか。
  27. 山下興家

    政府委員山下興家君) 六十條は動いておる。併しその中の書いである事柄によりまして、まだ準則ができ上らないし、するものですから、事実上動かないわけであります。別に矛盾しておるわけでもない。給與準則ができたら、自動的に動いて来るのであります。
  28. 中井光次

    委員長中井光次君) ちよつと申上げますが、官房長官はやはりあとの約束があつて急いでおりますから、官房長官に対する質問を、今のまだ解決しないのですが、吉田さんそのおつもりで一つ質問を願いたいと思います。今日は半までということで出て頂きましたから。
  29. 吉田法晴

    吉田法晴君 人事院解釈には、矛盾があると断定せざるを得ないのでありまするが、官房長官も折角来ておられますから、人事院の非公式な解釈が今のような解釈であると聞いて来ておるのでありますが、政府を代表した官房長官説明を聞きたいのでありますが、職員給與法律によつて定められた給與準則に基かずしては支拂つてはいかん、こういう規定があり、人事書院規則によつてこの六十三條は動いておるというのであるならば、新給與実施に関する法律は、実質的に、給與準則という名前は付けてなくても、ここの法文に言う給與準則ではないか、こういうように私共は解釈するわでありますが、官房長官はどういう工合解釈されますか。
  30. 山下興家

    政府委員山下興家君) 後からお答えしてもよいのですけれども、時間の関係上どうですか。
  31. 中井光次

    委員長中井光次君) よろしい、お答え下さい。
  32. 山下興家

    政府委員山下興家君) それは、この新給與実施に関する法律は前からあるのです。それですから、新しくできた法律如何に動いておるといいましても、実質上動かない。まだものができ上らない間は、今までの法律によるわけです。結局この事柄が、全部新しいものができ上つてしまいましたら、この新給與侍史に関する法律は、そのときに廃止する経過規定の恰好になつておるわけです。
  33. 吉田法晴

    吉田法晴君 もう一つ念を押しますが、法文は動いておるけれども、実質的には動いておらんと、項言う説明になりますと、実質的に六十三條が動いていないとすれば、新給與実施に関する法律が三月三十一日を以て失効しても、法律によつて定められた給與準則によらなければ如何なる金銭支拂つてはいかんという、これが実質上動いていないとすれば、この新給與法が失効になつても、外の、或いは政令というか、何かで支拂つてもよろしいという結論になるのですか。新給與実施法は三月三十一日失効するのです。それから先は法律でなければ給與支拂つてはいかんという規定は動いておらんとすれば、今言いますように、政令でも何でもよいと、こういうことになると思うのでありますが、その点はどうですか。
  34. 山下興家

    政府委員山下興家君) それはどうも、給與に関する法律がたつたこの一本なのでありますからして、これがなくなりますと、どうも給與に関して外の方法支拂う途はないと思います。ですから、結局三月三十一日までにこれが通りませんと、給與支拂えないという恰好になるのであります。これはどうしても絶体絶命やらなければいけないのであります。
  35. 千葉信

    千葉信君 それでは仕方がないから山下人事官に御質問申上げます。  只今山下人事官の御答弁は、大変奇怪な御答弁たと思つて聞いたわけでございますが、山下人事官は、今新給與実施法を所管する所が人事院であるということをお忘れになつて答弁になつておられるのではないかと私は思うのでございます。今山下人事官に、新しいこの法律延長案が通過しなければ、この新給與実施法によつて支給しておる現在の資金は支給することができないと、従つてこれはどうしても通さなければ困るという御発言でございましたが、私は人事院が昨年十二月勧告されたことを正直に受取つておりますし、更に又、人事院はあの勧告をどこまでも貫徹したいというお気持で以て動いておられるという印象を持つておりましたが、只今の御答弁では、自分の方の勧告はどうなつてもよろしいから、とにかく政府の出したこの新給與実施法延長案を通して貰わなければ困ると、そういうような御答弁のようでありましたが、そういうふうに了解して差支えございませんか。
  36. 山下興家

    政府委員山下興家君) 我々は給與ベース勧告しました以上、どうしても給與ースを変えなければ困るので、それはどこまでもそう思いますが、併し一方これが三月末までに通りませんと大変なことになるのでございまして、それで最小限においてこれだけ通すことは目をつぶつて従うより外に方法がないのでございます。
  37. 千葉信

    千葉信君 誠に以てますます私は奇怪至極な御答弁だと思います。人事院では、大体勧告された当時には、あの勧告案実施されておらなければならないという御見解の下に勧告したものだと、私はかように思います。ところが、あの勧告からもう四ヶ月に近い月日を経ておりまする今日に、まだ人事院がこの勧告に対する実施の熱意をはつきりと示さずに、この間も私は淺井人事院総裁に対してこの点についてははつきりと表明しておきましたが、そういうふうに、人事院勧告し放しでなくて、一切の努力をとの勧告実施させるということに向けなければならん。勧告のしつ放しでよいということは、法律條文に書いてございませんし、法律のあの勧告をすべきだということは、この勧告実施させるだけの責任権限人事院に與えたと言わんばかりの表現でございます。そういう点から言いましても、山下人事官立場といたしましては、もう今は三月の二十四日、大体余すところまだ一週間以上ございますが、そういう段階に来て山下人事官は、自分の方の勧告は後廻しでもよいから、或いは又自分の方の勧告の問題は、これは今考慮の必要がいから、とにかく最低の、現在政府から提出せられておるところの新給與実施法に盛られておるその水準だけを、八千三百七円の給與でもよろしいからこれを通さなければならない、こういう御意見を山下人院官から承わることは誠に私は不審に堪えないが、この際、私は山下人事官立場としては、今こそこういう新給與実施法改正案を通過せしめるのではなく、このときにこそ人事院勧告実施すべきだということをおつしやるのが妥当ではないか。而も山下人事官は、この延長法案が通らなければ、誠に困るというようなことをおつしやられますと、そういう人事院の意向が国会に非常に悪影響を及ぼす恐れがなしとしない。こういう点から言いまして、私は先程の山下人事官言葉をこの際潔く取消して、政府提出したこの延長法案をこの際否決してでも人事院勧告実施するような方向へ国会が向いて来る……人事院としては、政府勧告しただけではなく国会に対しても勧告しております。而もその国会委員会へ来て山下人事官がそういうことを言われることは、私は納得できない。只今言葉についてもう一度山下人事官から真意をこの際表明して頂きたい。
  38. 山下興家

    政府委員山下興家君) 我々の方で議案国会提出できますならば非常に有難い次第でありますが、これは憲法でもどうしても内閣総理大臣権限でありますから、そういうわけに行かない。どうしても一遍内閣へ出して、そうして閣議を経てからでないと議案国会提出できないのでありまして、誠に残念でありますけれども、いたし方ないと思います。
  39. 千葉信

    千葉信君 確か人事院としては今度の七千八百七十七円の勧告は、成る程政府にもなされて参りますけれども、国会の方にも勧告なさつておる筈だと私は了解しておるわけでございます。そういたしますと、只今山下人事官の御答弁では、そうしてもこれは政府しかこういう法律案を提案できない立場にあるんだから止むを得ない。こういうことをこの国会に来て言つておられることは誠に不思議千万ではないか。御自身国会に対して給與ベース改正すべきだという勧告を、政府に対すると同時に国会になされた、山下人事官は我々国会議員法律案国会提出することができるということをお忘れになつておられるのではないか。この点について御答弁を承わりたいと思います。
  40. 山下興家

    政府委員山下興家君) その通りでございます。我々は国会内閣に向つて勧告いたしましたから、内閣議案国会提出いたして頂きますか、或いは国会立法として御審議願うか、どつちかの途以外には開かれておらないのでございます。
  41. 千葉信

    千葉信君 只今の御答弁で了承いたしました。従つて山下人事官国会にお見えになつて給與ース改正すべきだという勧告をなされた。国会においでになつて一方的な政府提案のこの新給與実施法の一部を改正する法律案が通らなければ困るからこれをどうしても通して頂きたい、こういう御発言は誠に私は只今の御答弁からいいましても不思議千万な御答弁で、何故山下人事官はこの際はつきりと、人事院立場としては、六千三百七円では我々の調査では公務員生活はもう成立たないのだ、従つて我々は政府国会に対してこう勧告をしたけれども、政府の方から遺憾ながらこういうふうな一部改正法律案が出て来た。我々はこれの実施に対して反対である。従つてどうかもう残された途はどうしても政府人事院勧告実施しない場合には、この提出せられた法律案審議するのではなくて、国会議員提出法律でも何でもよろしいからこの際どうしても公務員生活権を守るために、罷業権を取止げられた公務員生活権を守るために、国会議員がこの問題に対して臓起して欲しい。正しい立場に立つて公務員生活を守るように、政府提出法律案に代る法律案提出をお願いするという形において、あなたは御発言をなさいませんか。
  42. 山下興家

    政唐委員山下興家君) その点については私も度々委員会でも、又本会議でも訴えたのであります。それは我々が提案いたしましたあれは、決して国民一般生活水準よりも高いようにするというわけではなくて、国民生活水準に合わして計算をして、それから又給與民間給與よりも少し下廻つて勘定しでありますから、これは今までの公務員というものの観念が全部切り替りまして、天皇陛下の官吏ではなくて国民に対するサーヴィスをするための公務員である。そのためにストライキをすることもできないし、いろいろな制限を受けておるのに、若しも国民が、公務員はすべて縛つたからもう大丈夫だ、俺なんかの生活水準より下廻つてもよろしいというような国民は、恐らく一人もないだろう。そうしますと、国民を代表しておられます国会では、その国民の意思を汲んでそうして何とかしてこれを成立さすようにして頂きたいということを、何遍も方々の、ここでは申しませんでしたかも知れませんが、方々でそれは申したわけでございます。併し段々日も追つて来ますし、この今の法律が通らないということになるとこれは大変な大騒ぎでございますから、一応目をつむつて、これに対しては反対を唱えない、そういう立場でございます。
  43. 千葉信

    千葉信君 只今の御答弁で一応了解いたしましたが、ただ一つ只今の御答弁の中に我々は決して公務員給與一般水準以上に上げるつもりばない、こういう御答弁がございましたが、それに間違いございませんか。
  44. 山下興家

    政府委員山下興家君) 只今のところそういう計算をしております。例えば昨年の七月まではカロリー計算で一千八百五十カロリーでありました。これは国民全体の平均カロリーでございます。それを厚生省において随分研究いたしまして、そうして国民全体の生活水準を昨年七月から千八百九十四カロリーにするということでありますから、この七千八百七十七円給盟ベースの計算も、やはり一千八百九十四カロリーにしました。それですから、それは国民生活水準に合わしたと申しましてもよろしいと思います。それから民間給與に対しましては、これは細かく調べまして、今の公務員と同じ性質の民間の従業員を調べて、それの平均の給與に合致させました。尤もその国民企業の給與には超過勤務は取除いてあります。それでありますから、生活水準国民の平均に合わし、給與も民間企業のそれと合致さすものでありまして、決してそれよりも上廻つておらない。大体同じということを目標として計算したものでございます。
  45. 千葉信

    千葉信君 私は只今山下人事官が、我々は一般の賃金よりも国家公務員の賃金を多くするつもりはないのだと言われましたが、そういうことについでお尋ねしましたのに対して、私の真意が十分に言葉の上に表現されなかつたために勘違いされて御答弁されたようでありますが、私の今お尋ねしたのは、超過勤務手当云々というような問題ではなく、実は国家公務員給與に対するものと根本的な考え方の点についてお伺いしたわけであります。という意味は、御承知のように国家公務員の場合におきましては、当然の権利として自分生活を守るための唯一の力であるところの団結権、特に罷業権というものが国家公務員法改正によつて抹殺されている。このことにつきましては私が意見を申上げるまでもなく、この改正を示唆いたしましたところのマツカーサー書簡の中にもはつきりと、国家公務員のこの罷業権を抹殺することの代償として如何にあるべきかということが出ております。簡單でございますから読み上げたいと思います。「更に国家の公益を擁護するため政府職員に課せられた特別の制限があるという事実は、政府に対上常に政府職員の福祉並に利益のため十分な保護の手段を講じなければならぬ義務を負わしめている。この理念は民主主義社会においては完全に理解せられ実現せられているのであつて、それ故にこそ公職が威厳と権威と永続性とを備えており、公職に就き得る機会が広く一般から好ましい特権として認められかつ求められているのである。この表現のあり方というものは、我々は率直に解釈いたしまして、生活権を守るための手段を奪われた公務員というものは、特にその立場というものが、或いはその地位というようなものが、他から羨望せられるような立場にまで引上げられなければならな。各国の例を見ましても、成る程公務員の場合にはいろいろとその団結権の上に制限がございますけれども、その場合における各国の状況というものは、一般労働者の賃金水準というよりも遥かに公務員の場合には上位である。従つて公務員法の一部改正が問題になりましたときにも、こういう改正を行うならば、その前提條件として、その改正の以前に公務員生活というものがもつと高い水準において確保されなければならない、そういうことについての政府の不用意極まる措置について非常に激しい糾弾がある。ところが遺憾ながら御承知のような形において、カロリー計算においてすらも最低生活を維持できないような賃金水準の中において国家公務員法改正された。従つてこういう場合においての人事院立場として、人事院自分達の権限を可能な限り行使してそうして最後には、私は今直ぐとは言いません、直ぐとは言いませんけれども、少くとも或る時期において、国家公務員生活水準というものは、或いは待遇というものは、一般の労働者よりも遥かに、罷業権を奪われているということだけによつても、もつと上位な、もつといい待遇になければならない。そういう根本の考え方を人事院は持たなければならないにも拘わらず、どうも山下人事官の御答弁では、我々は、一般の労働者の労働賃金よりも公務員の賃金を引上げようという考えはないという御答弁は、根本において山下人事官が迂潤千万な考えを持つておるのじやないか。只今の問題としてだけでなく、将来に亘つての重要な問題でありますから、人事官の御答弁をお願いする次第であります。
  46. 山下興家

    政府委員山下興家君) 千葉さんのおつしやる通りでございます。私共はできるだけ安全な生活をして行く。即ちできるだけ立派な生活をさして行きたいということについでは人後に落ちないつもりでございますが、とにかく現在の状態では、終戰後の状態では、非常に国民全体が生活に苦しんでおりますから、それで、せめて国民生活水準にくつ付いて行くぐらいは誰でもが承認して呉れるだろう、そう実は思つておるのでございます。人によりますと公務員は恩給だとか何かがあるから多少下つてもいいだろうというような説も聽くのでありますが、併し私共は公務員というものは一番規模の大きな企業に相当するものでありますから、大きな企業に、即ち模範的の企業に合うように生活公務員にさして行きたいということについては、我々の考えは人後に落ちないつもりであります。併しそのぎりぎりのところでさえもなかなか賛成して貰えませんので、或る人は公開の席上で、毎月勤労統計の工業工均はあれは三十人以上の企業の労働者の平均であるから、あれは高過ぎるといつたような発言をされたことがある。あれで細かく見て行きます。と、三十人から五十人、五十人から百くと調べて行きますと、大きくなるに従つて給與は著しく増加しているのであります。その意味からいうと、我々は大きな企業の中の最も大きなものに相当するようにすべきだと思うのでございます。それにも拘わらず、まだ小さな三十人以下の工場は遅配、欠配があるからそれも考えろ、そういうところまで比較せられておるのが現状でございますから、余程愼重な態度をとつて遠慮しながらこれだけのものを出しているのであります。将来これで満足するという気持は毛頭ございません。
  47. 千葉信

    千葉信君 只今の御答弁で了解をいたしました。併し重ねて御希望を申上げて置きたいことは、今山下人事官が言われたような現実の情勢のために将來に対して当然あるべき理想的な状態、そういう状態に向つて御努力をお忘れにならないようにお願いして私の質問を終ります。
  48. 吉田法晴

    吉田法晴君 千葉委員の指摘されました人事院り今のお話、公務員が大企業と同様の、とにかく相当高い給與を貰わなければいかん、こういう御意見であるに拘わらず、その低いところに満足しう或いは又この土壇場になつて給與実施法を継続することも又止むを得ないという態度については、これは我々としても不満の意をはつきり表明しておきたいと思うのであります。その最少限七千八百七十七円ペースにしろ、これを実施すべしという勧告、或いは意見が厳存するのに、新給與実施法を引続いて、これはこういう法律がなくなつたら困る、継続されるのは最低であるという意見はこれは矛盾でおり、又人事院としていわば不見識或いは不当意のものだと思うのであります。国家公務員法の六十七條によりましても、もう一遍繰返しますけれども、「給與準則に関し、常時、必要な調査研究を行い、給與額を引管上げ、又は引き下げる必要を認めたときは、遅滞なく改訂案を作成して、これを国会及び内閣提出しなければならない」。給與準則については先程議論があり疑問が残つておりますけれども、給與そのものを引き上げる必要が起きたときには遅滞なく改訂案を作成して国会及び内閣提出しなければならないという精神は当然生きておると思う。従いましてここで人事院としては改訂案を作成して国会及び内閣提出しなければならんことは法律上の義務でもあるし、又実際制度士の義務でもあると考えるのでありますが、その点についてはどういう工合に考えておられますか伺います。
  49. 山下興家

    政府委員山下興家君) ちよつと速記を止めて下さい。
  50. 中井光次

    委員長中井光次君) 速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  51. 中井光次

    委員長中井光次君) 速記を始めて下さい。
  52. 吉田法晴

    吉田法晴君 そうすると今の実質上の議論は、六十七條については、給與準則については、人事院と秋の意見と意見が違いますけれども、六十七條の精神と言いますか、給與準則に関する議論を除いてはこの法案は生きておる、こういう工合に…、そういう解釈だと解するのでありますが、その点は如何ですか。
  53. 山下興家

    政府委員山下興家君) 給與準則がまだできておりませんから、給與準則の改訂はとても考えられないと思います。
  54. 吉田法晴

    吉田法晴君 その議論のかかれておる所を除いては生きておりますか、今の御議論では……
  55. 山下興家

    政府委員山下興家君) ちよつと速記を……
  56. 中井光次

    委員長中井光次君) ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  57. 中井光次

    委員長中井光次君) 速記を開始して下さい。
  58. 吉田法晴

    吉田法晴君 もう一通念を押しますが、国家公務員法第六十三條から六十七條は人事院規則によつて生きておる、こういうことになつ七おりますが、給與準則ができておらんから実質的には全部動いておらん、こういう御解釈ですか。
  59. 山下興家

    政府委員山下興家君) そうでございます。その代り今の新給與に関する法律が代用しておる、そういうことになります。
  60. 吉田法晴

    吉田法晴君 私共は先程からの人事院説明を以てしても、実質的に六十三條から六十七條に関する国家公務員法はその精神において生きておる、こういう工合解釈するんでありますが、それらの点は議論のやり取りになつて果てしがありませんから打切ることにいたしまして、それじや六十三條に関連いたしますが、六十三條は給與準則ができておらんと言われるからこれは一応置きましてへ、先程の新給與実施法が三月三十一日を以て失効する場合に困るということを言われましたが、それじや四月一日以後ですか、四月一日以後法律がなければ政府職員給與が更抑えないという法律的な根拠はどこにありますか。
  61. 山下興家

    政府委員山下興家君) 給與に関しましてはどうしても法律がなくては給與は支給できないと思います。
  62. 吉田法晴

    吉田法晴君 どこにあるのですか。
  63. 山下興家

    政府委員山下興家君) それはちよつと私今どうと言えません。結局給與というものは精神的に考えまして国民に対して公務員がサービスをする、そのサービスに対して支拂うサービス料でありますから、それで国民の意思の表示がはつきりありませんと支抑えないと思います。法文がどれにあつてどうということは私今ちよつと申上げにくいのでありますが…
  64. 瀧本忠男

    政府委員(瀧本忠男君) 只今の問題は新給與法ができました後で、この国家公務員法改正がありまして、そうしてこの六十三條というものが入つておるのです。従いまして給與というものは、この国家公務員法改正前におきましては現在の新給與実施法というもので行われておつたわけであります。それからこの法律が仮になくなるといたしますれば、もう支拂根拠がなくなる、それで我々は給與準則を作れば勿論その給與準則に従いまして、国家公務員法に従いまして拂うということになるのでございますが、現在給與準則ができておりませんから、暫定的にある法律によつてやらざるを得ない。従いまして暫定的法律の期限が切れるということになれば、これはやはりその期限を延ばして頂かなければこれはどうも支拂いようがないということになるのです。
  65. 千葉信

    千葉信君 只今給與局長の御答弁を聞いておりますと、新給與実施法が先にできたという御答弁でございましたが、間違いございませんか。
  66. 瀧本忠男

    政府委員(瀧本忠男君) それは聞違いございません。国家公務員法改正になりました後で六十三條ができたのであります。
  67. 吉田法晴

    吉田法晴君 新給與法が先にできた、国家公務員法が後にできたという問題はこれは沿革論であると思うのです。後からできたとしても、国家公務員法は国家公務員に関するいろいろな基本的な規定をしたという意味において、給與に関する国家公務員法規定は新給與法に優先すちと申しますか、或いはそれを包括するものだと思うのです。そういう意味国家公務員法六十三條は、給與準則がでぎておるとかできてないという問題を抜きにして、なければ如何なる金銭又は有価物も支給することができないというこの六十三條が生き、そうしてそれによつて給與実施法により給與支拂つている、こういう実態だと私は判断するのですが、若し人事院の方で言われましたように、これはあとから出来たのだ、そうして給與準則がまだ出来ておらんから、給與準則或いは給與に関する六十三條なり或いは六十七條というものは実際に生きておらんということになりますと、この新船與実施法がなくなりた場合に、何らかの法律がなければ給與支拂われないという議論は、これは一般的に民主主義の法則上そうなるといふ差けの話応あつて法律的な根拠というものはないと思うのです。ごつぢが生きておらない、国家公務員法が全きていない、こういうことになりますと、それは法理論であつて実際の実体法上の根拠というものがなくなる。そうしますと、三月三十一日で以て新船與法が失効する。それから先、法律がなくつても支抑える、こういうことは実体法上は言えるのではないか。こういう工合に考えるのでありますが、そこの点について……
  68. 山下興家

    政府委員山下興家君) どうも私ははつきり了解できませんが、結局こういうものが何もないと仮定いたしまして、そうして給與に関する法律があつたと仮定いたします。その法律がもう期限が切れだといたしますと、それは給與支拂えないと思います。その法律によつて支拂つてつた、のでありますから、その法律が効力を失つた支拂根拠がなくなると私は思います。
  69. 中井光次

    委員長中井光次君) 如何ですか。この問題は可なり論議がまあ白熱いたしているのですが、尚盡きないようでありまするから、政府、殊に人事院において、今までの質疑応答の状況によつて質疑の要点はよく分つておると思うのです。答弁はまだはつきりして来ないので、以上の御質問の要旨をお汲みとり下さいまして、答弁を整えてこの次の機会に御答弁を願うと、即ち政府職員の新給與実施に関する法律国家公務員法給與準則という各條の問題との関連ですね、これをもう少し明確に法律的な御説明を準備してお願いをしますということにいたして、この問題はこの程度にいたしたいと思いますが……
  70. 吉田法晴

    吉田法晴君 そこで私一つ希望を附け加えておきますが、これは私そのとき詳細に聞いておりませんのですが、人事委員会の席上で、本下委員と淺井人事院総裁との間の論争の中に、現在のやり方は違憲じやないか、憲法違反じやないかという質問に対して、確か人事院総裁は違憲であるということを言われたと記憶するのですが、それらの点はこれは今の問題に関連して参ると思うのであ力ます。或いはくの條文に直接関係しなくても、政府の今のや五万に関連するし、実質的には條文にも関連して参るところがあるのではないかと思います。それらの点を人事院の中において意見の食違いがあるように感じられますので、その辺を十分御研究の上後答弁を願いたいと思います。
  71. 山下興家

    政府委員山下興家君) 伺つておきたいのですが、人事院総裁が違憲であるというてとを言つたということは実は私今初耳なんでございます。どういう点でございましようか。もうちよつとはつきり言つて頂きたいと思います。
  72. 中井光次

    委員長中井光次君) その点は如何ですか。直ぐお分りにならなければ後程調べて申すことにして頂いたら如何かと存じます。それでは本日はこの程度で散会いたしましてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 中井光次

    委員長中井光次君) それでは本日はこれを以て散会いたします。    午後四時十一分散会  出席者は左の通り。    委員長     中井 光次君    理事            木下 源吾君            宇都宮 登君    委員            吉田 法晴君            大山  安君            千葉  信君            岩男 仁藏君   国務大臣    国 務 大 臣 増田甲子七君   政府委員    人  事  官 山下 興家君    人事院事務官    (給與局長)  瀧本 忠男君