○国務大臣(増田甲子七君) 千葉さんにお答え申上げます。御
趣旨は原則的に私は賛成でございます。私共もでき得る限り
公務員の生活の安定を計りまして、
公務員というものが一面において、労働権において制約を受けている、つまり
勤務の対象が全体であ
つて、全体の奉仕者であるというわけで、経営半と
労務者とい
つたような対等
関係ではない、そういう
関係で各種の労働法上の行動においても制約を受けております。でございますからでき得る限り
給與の点は特に心配をいたしまして、又
公務員自体が公正なる
仕事をするという立場かちも、生活について配慮することを必要としない程度に生活の保障をいたすということは、最も
政府として注意しなくてはならん点である、こう考えております。ゆくゆくは
公務員の地位というものが全体から見まして、その地位に就くことを皆が欲するようになる、好ましい地位とするというようなことはこれから後に我々が特に気をつけて行かなければならんことででる、こう考えております。
人事院等の目標も恐らくそこに置かれ、又
人事院の設置されたゆえんのものもそこにあると我々も推測をいたしておる次第でございます。でございまするが、今のところ、今のところと私は申上げます、日本の全体の所得なり経済力なり生産力なり、この敗戦直後の崩壊に瀕してお
つたようなこの現下の情勢に鑑みまして、日本は国家全体が苦しんでおります。国家が苦しむというのは何も
政府が苦しむわけではないので、八千万の国民が苦しんでおる次第であります。そこで
行政整理をする前は千葉さんも御経験上よく御承知の通りでありますが、七人で一人の
公務員を養
つておる。
公務員は生産的の
仕事はいたしません。他の七人が生産的活動をする、これに対して行政的の活動をして、もとより国家公共事業は別でございます。その他の行政事務等に従事しておる者は生産事務については間接の働きをする、直接の働きはしないわけで、生産力の発展に直接寄與しておる人から
公務員が養われておる、こういうような状況であります。敗戦後は特に他の七人の者が非常に苦しんでおるというわけでありますから、我々は
公務員の生活安定はできるだけ図りたいと、こう思
つておりますが、本意でないにも拘わらず、甚だ不本意ながらできかねる、こういう
状態であります。殊にこの一、二年間におきましては我々は最も憎まれ
仕事をしておるということは承知いたしております。憎まれ
仕事とは何ぞやというと、いわゆるドツジプランの遂行でありまして、このためには副作用もあるとい
つたようなことが、いわゆる池田君の
言葉の使い方の
間違いとい
つたようなことにな
つて現われておりますが、副作用をできるだけなからしめるのみならず、あらしめない、又あ
つたならばできるだけの配慮をするということをいたさなくてはならないのであります。ともかくもああいう一つの手術ともいわるべき安定政策を遂行しなければならん、こういうようなことも搦み合いまして各種の日本の復興のための諸
條件の成就のために暫く我慢を願う、こういう
意味合でございまして、ゆくゆくは千葉さんと我々は同
意見であります。
公務員の地位を安定し向上し、
公務員は生産力の発展に間接に寄與するといいますが、間接の寄與でも直接の寄與でも国民生活の安定なり都民の所得の向上という
方面には、非常に寄與するわけですから、安定した生活の下に事務能力をどしどし発揮して、日本の発展、日本の民主化のために働いて貰いたいと、こう思
つておる次第でございます。