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1950-03-17 第7回国会 参議院 人事委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年三月十七日(金曜日)    午後二時十二分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○国家公務員給與問題に関する調査  の件 ○林野庁関係労務者国家公務員法一  般職より除外するの請願(第五〇六  号) ○公務員超過勤務手当完全支給の請  願(第三五〇号) ○公務員超過勤務手当率引上げ等に  関する請願(第四〇九号)   —————————————
  2. 中井光次

    委員長中井光次君) 只今から委員会を開会いたします。昨日に引続いて質問を続行いたします。
  3. 千葉信

    千葉信君 大蔵省関係政府委員にお尋ね申上げます。御承知でもございましようが、現在賃金ベースの改訂が問題になつているわけでございますが、今政府の方からいわゆる給與白書という形において、国家公務員給與に関する資料というものが、参考資料として提出せられておりまするが、そのうちの資料第二の分についてお伺いしたいと思います。この資料を拝見いたしますと、人事院の勧告をいかに取扱うかということについての問題に対する参考資料として、現在行われている賃金ベース体系というものと比較することのできないような調査表作つて国会の方に提出しておるようでございますが、このことにつきましては、昨日増田官房長官との質疑におきまして長官賃金ベース要素の点について誤つた考え方を持つておられたということが明らかになつたわけでございまして、この点について私は誠に遺憾に存ずる次第でありますが、尚そのときの長官答弁の中で、この資料作成についての、いろいろな事務的な処理その他の点についての細かい部分は、関係政府委員をして答弁せしめるということでございましたが、そこで私はその点についてお尋ねをするわけでございまするけれども、一体この資料を作成する場合に当つて、昨日増田官房長官答弁では、実在員に対して予算総額を頭割りにしたのである、こういうふうな御答弁でございましたが、果してそういうことをやつたのかどうか。私のこの表に対する見解からすれば、むしろもつとあくどく国家公務員のうちから或る一部を抜調査をやつたのではないかというふうに考えられる筋合が、非常にこの数字検討に当つて窺えるわけでございますが、先ず一番最初にこの調査をするに当つてどういう方法をおとりになつたか、御返事をお願いしたいと思うわけでございます。
  4. 中井光次

    委員長中井光次君) 大蔵省給與課長中西泰男君が説明員として見えておりますが、それでよろしうございますか。
  5. 千葉信

    千葉信君 よろしうございます。
  6. 中西泰男

    説明員中西泰男君) 只今質問の、この数字調査方法についてでありますが、これはすべて現在員全部に対しまして、悉皆調査方法をとつております。約四百数十ヶ所の調査単位官署ごとにまとめまして、調査表をすべて配付いたしまして、その調査表にすべて記入せられたものを、中央の総理府統計局において統計いたした本当実態調査の結果の数字でございます。
  7. 千葉信

    千葉信君 お尋ねしますが、四百ケ所において実態悉皆調査を行なつたということをおつしやいますけれども、四百ケ所程度の実態調査によつて、悉皆調査ということがあなたは自信を持つておつしやれますか。
  8. 中西泰男

    説明員中西泰男君) 只今四百ケ所と申上げましたのはいわゆる調査單位官署でございまして、調査単位官署と申しますのは、その単位官署で、管内の更にその下にありまするところの支副管署と申しますか、そういつたところで集計したものを調査単位官署統計言葉で以ていいますといわゆる地方分査という恰好でございまして、その調査単位官署で一応管轄官署の分を集計するというために地方分査責任官署という意味で、そこを一応の中心にいたしました。こういう意味でございます。
  9. 千葉信

    千葉信君 そうしますると、只今の御答弁で明らかになりましたことは、十月なら十月の給與予算総額を現在員で割つた調査であつて、これは必ずしも支給された調査ではないということが、あなたの御答弁からは出るようでございますが、そうでございますか。
  10. 中西泰男

    説明員中西泰男君) 現実支給せられている……、ここで申しますと三月及び十月におきまして、現実支給せられておりまする俸給扶養手当勤務地手当実額である。但し超過手当及び特殊勤務手当につきましては、時期によつては、おのおの差異がありますし、正確に捕捉することが極めて困難な事情にありますので、予算額基礎にいたしまして頭割に弾き出した、こういう実情であります。
  11. 千葉信

    千葉信君 実は私の方で今入手しておりまする人事院からの相当科学的な実際支給額調査資料、その資料との間に可なり大きな金額開き現実にあるのでございますが、只今の御答弁で、予算額でこれを計算したということが明らかになりましたので、その点らも或いはこういう差というものが出たかとも思われますけれども、更にその次の問題といたしまして、例えばこの項目の中に一般会計という表現をされておりますが、この一般会計特別職を含んだかどうか、特にこの場合に問題となりまするのは、裁判官或いは議員というものを一般会計に含んでおりはしなかつたかという、この点について御答弁願いたいと思います。
  12. 中西泰男

    説明員中西泰男君) 裁判官等特別職は、この調査においては除かれております。更に言葉を若干お返しするようでありますが、私の説明が不十分であれば補足いたしたいと存ずるのでありますが、本俸扶養手当勤務地手当は十月に現実に各官署において支拂つた実額が書いてあるのでありますから、本俸扶養手当勤務地手当につきましては、予算額基礎としたものではないという点を御承知願いたいと思います。
  13. 千葉信

    千葉信君 そういたしますると、只今の御答弁によりまして、この中から出ておりまする資料の中には特別職は全部除かれているということに了解して差支ございませんか。
  14. 中西泰男

    説明員中西泰男君) 全部除かれております。
  15. 千葉信

    千葉信君 ここで私は、ちよつと只今質問に関連する数字を読上げて見たいと思います。只今の御答弁では、例えば一般会計或いは特別会計の場合におきまして、特別職員は完全に除かれていると、こういうふうな御答弁でございましたが、実はそういうことになりますと、私共の今入手しておりまする資料によりますと、かなり大きな開きのある数字が発見せられるのでございます。例えば昨年の十月の調査であるというこの政府資料によりますると六千五百二十九円、人事院資料によりますると六千三百二十二円、これが只今あなたのお話になりました賃金べースの要素とは少し違つておりますが、俸給扶養手当勤務地手当合計額における調査資料相違でございますが、一体これはどういうところから出て来ましたか、私は只今の御答弁の中からいたしますと理由の発見ができないことになるのでありますが、この点についてあなたの御見解を承わりたいと思います。
  16. 中西泰男

    説明員中西泰男君) その違いのよつて来たることについては、更に精細に検討の必要あろうと私ども存じておりますが、何分九月が前回の行政整理の実は最後の月でございまして、行政整理の月別の実績から申上げますと、三月に約三万数百人の実は整理退職者が出ておるのでございまして、その整理退職者は、果して如何なる級号に属する人間が多かつたかというような点で、全体の平均額にどの程度響いて来るか、そういう面からいたしまして、集計人員人事院の御調査になりました総公務員一般職員の数から申しますと、約九千数百人の違いがございまして、そういつた点から若干の相違が出て来るのではなかろうかと存ずるのでありますが、今のところ私共のところで一応比較検討いたしました結果によりますると、人事院の御調査になりました総平均額との間には、数十円の違いになるのではなかろうかと存じております。
  17. 千葉信

    千葉信君 この問題につきましては、どうも只今の御答弁では納得できませんけれども、私共のお尋ねしたいことについては、昨日の増田官房長官に対する質疑応答の中で一応お考えが判明いたしておりますので、小さい事務的な問題について、これ以上私は今日御答弁を頂きたいとは考えておりませんので、只今のあなたの御答弁によりましても分りまするように、人事院との調査の中には非常に大きな開きがありまするので、どうしてこういう差違ができたのでありますか。それから只今お話にもあります通り、調査対象人員というものが相当尨大に開いておりまするので、この点等につきましては、あなたの方で、もう一度御調査になつて国会に御報告になるようにお取計らいをお願いしておきたいと思うわけでございます。
  18. 中西泰男

    専門員中西泰男君) 了承いたしました。   —————————————
  19. 中井光次

    委員長中井光次君) 官房長官は二時五十分にこつちにくるからそれまでちよつと待つてくれということでありまするから、その間請願を少し審査して頂きましよう。先日に引続きまして請願の御審査を願います。地域給に関する請願まで御審査願つてつたのでありまするが、本日はそれ以下、超過勤務手当以降の問題につきまして、専門員から先ず御説明を申上げます。順次進んで参ります。
  20. 川島孝彦

    専門員川島孝彦君) お手許に差上げてあります第七国会人事委員会付託請願陳情一覧によりまして、御説明を進めていきたいと存じますが、その前に先日議題になりました、営林労務職員に年末手当支給する件と(営林労務者の一部を常勤職員として取扱を要望する件と、これに関連いたしましたものがございますので、それを先に御説明を申上げたいと思いますが、よろしうございますか。
  21. 中井光次

    委員長中井光次君) ええ。
  22. 川島孝彦

    専門員川島孝彦君) それは一覧表の一番しまいにありますその他というものの五項でございます。林野庁関係労務者一般職より除外することに、関する請願、これは一項目といたしましては、この刷物の一番しまいのページの一番終りの方にございますその他の欄であつて請願五百六号でございます。これは林野庁関係職員が、国家公務員一般職取扱を受けておりますために、非常に保護を受けられないのです。ちよつと言直します、国家公務員法一般職として取扱われでおりまして、而も一般職員の場合例外的な取扱を受けておりますために、国家公務員法方面からも又労働三法方面からも受くべき保護を受けていないから、一般職公務員の立場を除外して貰いたいという請願で、ございまして、一例を申し上げますと、国家公務員一般職ではありますけれども非常勤職員といたしております関係上、石炭手当寒冷地手当等からの手当も受けられませんし、又一般俸給表にもよることを除外されておりますために、その給與の基準になるところも決つておりません。そうして、その仕事をいたしまする形態が普通の公務員と違いますために、身分の保障もないというような状況でありますので、むしろ労働三法によつて保護されたいというのであります。これにつきましては、この請願者らもいろいろな説明がございましたので、それを聴取して調べてみますると、いわゆる木樵、杣人という人々仕事形態が普通の公務員と違いまして、実質においては日雇労働者のようであり、且つ又請負的の仕事をやつているというような関係でありまして、公務員として見るのが適当かどうかという点においては、私共が調べたところでも非常に疑問があるように存じます、ただ問題になりますのは、昨日議題に上りました林野庁労務者の一部を常勤職員として取扱つて貰いたいという請願と衝突する嫌いがございます。やはり常勤職員として取扱つて貰いたいという請願もい同じく林野庁職員から出ておりますので、この両方を一括して相当調査をいたしましてから、尚御報告をいたしたいと存じます。  それから元え戻りまして、超過勤務手当に関する件でございますが、これにつきましては請願者紹介議員といたしまして、共産党の議員の方がお出になりますので、この請願説明につきまして連絡をいたしましたところ、請願議題に上るときには説明をいたしたいからもう一度連絡をして貰いたいということで、今連絡行つておりますのでこれを飛ばしたいと思います。
  23. 中井光次

    委員長中井光次君) あなたがやつたらいいでしよう。
  24. 川島孝彦

    専門員川島孝彦君) それではおいでになりますまでに私から御説明いたしますと、……今連絡いたしました結果、やはり紹介議員はお出になりませんそうで、専門員の方で説明して貰いたいという御希望でございますから、専門員の方で説明をいたします。  これは御手許に差上げてあります刷物終りから二枚目の請願三百五十号公務員超過勤務手当完全支給請願と、その次の行の四百九号公務員超過勤務手当引上等に関する請願でございます。請願三五〇号は今までの間に超過勤務相当ありましたけれども、正規の標準に従つて支給をされていないから従来の超過した勤務については完全な支給をして貰いたいということであります。それから四〇九号の方は、公務員超過勤務手当の率を引上げて貰いたい。これは印刷庁からの請願でございますが、従来におきましては、現業員超過勤務手当一般の人の超過勤務手当よりも相当に高額でありましたのですが、公務員法が施行せられ規則が決まりますに従つて一般の非現業と同様になつたので、勤務員の意慾を非常に低下しにいるから、これを元通りにして貰いたいという請願趣旨でございます。
  25. 千葉信

    千葉信君 只今説明を頂きました林野庁関係労務者国家公務員法一般職より除外する請願について、人事院にお尋ねしたいと思うのでございますが、今政府の方では法律第百七十一号の廃止ということを閣議で考えておるようでございましたが、非常に具体的にこの問題が進行中であるということを承わつておるのでございますが、これと全く今度の場合この国有林労働者諸君一般職から除外せられることになりますると、この人々の職務の性質というものが、非常に進駐軍の労務者諸君の場合と同様な点が出て来るということが考えられるのでございますが、一体この人々一般職から除外された場合に、一般職種別賃金以つてこれに対する給與を考えられることができるか、どうかその点について人事院の御見解を承りたいと思います。
  26. 瀧本忠雄

    政府委員瀧本忠雄君) 一般職から外れますと、これは特別職ということになりまして、大蔵省の所管になみのでございまするが、まあ一般職から除外するかどうかということが先ず問題になると思います。この件につきましては林野庁ども連絡をいたしまして昨日の常勤非常勤の問題、それからこういつたものを一般職から除外するかどうかというような問題全体につきまして、それから又こういう人々給與体系というものは如何にあるべきかというような問題全体を総合いたしまして目下我々の方で林野庁との間にいろいろ協議をいたしておるのです。従いましてこれは一般職から外れるかどうかということが勿論疑問になりますが、一般職から外れるといたしました場合にも、これは何らかこういう人々給與を規正し、そうして又保護を加えるために特別職になりましても、大蔵省の方で何らか対策を講ぜられる必要があるだろうと思つております。併しながら只今一般職から外すかどうかということがまだ問題でございます。
  27. 千葉信

    千葉信君 只今の御答弁のように、実は私共も昨日当委員会で審議いたしましたように、同じ営林署の労働者諸君の中から一般職のまま常勤職員として取扱うようにして呉れという請願が出ておりまして、全く異なつた形において請願されております問題を解決する場合には、勿論私共もこの根本に伺つていろいろな條件検討しなければならないということを考えておるわけでございますが、承わりますと昭和二十三年の十二月、人事院林野庁——当時は局であつたそうですが——それから労働組合の三者が鼎談いたしましたときには、人事院としては一般職に包含するということは、相当矛盾があるということを結論を出しておつたということを承わつておりますが、実際にそういうことがございましたかどうか、御答弁願いたいと思います。
  28. 瀧本忠雄

    政府委員瀧本忠雄君) 只今お話でございますが、当時そういう林野庁人事院労働組合の御会合がありましていろいろデイスカスされた中に、人事院側の人がそういう意見を述べたということは聞いております。併しそれが人事院の決定的な意見というふうになつておるというふうには考えておりません。
  29. 千葉信

    千葉信君 第二の問題でございますか、只今請願になつているように公務員超過勤務手当が完全に支給されておらないという状態は、人事院の方ではどういうふうに把握なさつておるか、そのことについて御答弁願いたいと思います。
  30. 瀧本忠雄

    政府委員瀧本忠雄君) 超過勤務が行われまして、そうして而も命令されているに拘わらず超過勤務手当支拂われていないということでありますれば、これは明らかに新給與法違反になるわけでございまして、これはどうしても拂つてもらわなければならないというふうに思つております。併しながら実際問題といたしまして上司に命令されて超過勤務をしておるという場合と、それからその辺が非常に不明確であるという場合とあるわけでございまして、我々の方で二、三の官庁について調べて見たこともあるのでありますが、大体命令されて、そうして明らかに命令がありまして超過勤務をしておるものにつきましては、大体超過勤務手当支拂われているように、二三の官庁であるけれども我々は了承いたしております。
  31. 山下興家

    政府委員山下興家君) ちよつとこの際お断わりしておきたいと思いますが、それは給與法というものが本年一月一日から施行されることになりまして、すべての官庁がみな同じような様式で勤務時間を記入することになつております。それは非常に細かな混み入つたものでございまして、遅刻なんかは無論のこと中間でちよつと勤務を外れて行つてもそこへ記入するというようなふうに確実に細かくできておりますから、今までのように給與を與えるのに超過勤務で処理するといつたような呑気な行き方は実行不可能だと思います。それに記入しであるのに給與を拂わなかつたらそれに対して罰がありますし、それから実際ととにかく離れておつたものを後から訂正するというようなことは相当困難になるのであります。ですからこれから先給與を御研究になる時分超過勤務で簡単に操作ができるように思われると困りますから、この際ちよつと断わつておきます。
  32. 吉田法晴

    吉田法晴君 先程給與局長からは認めて超過勤務をさせたものには、完全に支給せられておるはずだというお話でありましたが、昨日の官房長官答弁の中にも超過勤務をしておつても、予算関係その他で完全に支拂われておらなかつたものがあつた旨の答弁があつたように思うのです。ここに出ております公務員超過勤務手当を完全に支給せよという要請は、その実態に即して……これは請願になつております。実際に超過勤務をしてもこれは手続上或いはどの辺まで命令をされたかという点になると、今までの場合には究明困難な場合も実際にはあつたろうと思います。或いは例えば課長なり何なり責任者知つておらんけれども、その下の直属の上長は知つてつた。これは仕事実態からしてそういう場合はしばしば出て来ていると思う、そういうものについて完全に支給しておられなかつたというのが実態だと思うのであります。でその辺私共従来地方でも給與法違反がこの予算のために行われておつたのじやないかと思う。そういう点をこれは直して完全支給せらるべきであるのが当然だと思います。  それから政府から出ておりますこの今後の給與について、七千四百円になる見込だという話の中には、超過勤務手当というものが相当多く見込まれております。これは結局従来の完全支給せられていないのを予算を殖やして完全実施をするのだという建前だと思うのでありますけれども、それについて今山下人事官の言われたような弊害が今後生ずると思う。それらの点については給與法による方法等も今言われたところでありますけれども、超過勤務を命じたならばその勤務時間数に対しては完全に支給せらるべきものである。又それが名目的な方法でなくて、実質従つて公平にやらなければいかんということは当然じやないかと思う。それらの点について官房長官の昨一日言われた点についてはどういう工合に考えておられますか。先程の御答弁違つてつた……。
  33. 山下興家

    政府委員山下興家君) 超過勤務につきましては今おつしやいましたように昨年十二月までは割合に呑気な拂い方をしておつたのであります。殊にその大蔵省から超過勤務に対する予算がありまして、その予算に合せて超過勤務をつけなくちやいけない。ところが超過勤というものは用事があつて勤務するのでございますから、予算がない時分には非常に困ると考えております。それでまあただで働かすということが非常に多い。それから仕事がないときに予算がありましてもこれはどうにもやりようがない。それで今までは随分呑気な行き方でございまして、あとになつてから帳簿なんか拵えてそうしてそれを合わすという行き方で、本当実態があらわれておらなかつたのですが、そういう状態については給與を増そうといえば不法であるが増し得たのであります。併し人事院といたしましてはそういう給與の拂い方で満足することができないのでありまして、くわしく調査をする、その調査あとからこれを改竄することのできないような帳簿にしなくちやいかんというこで、非常に細かな給與法というものを今年一月一日から実行したのでございます。そうするとここにお金が余つてからつけろといわれてもつけることもできませんし、で実際に働いておればおるで記入されておりますから、それについて拂わなかつたというとこれは不法になると思うのでございまして、余りこの超過勤務給與操作には役立たないのだろうと私は思います。
  34. 吉田法晴

    吉田法晴君 それじやまだ続いて……それではこれは従来のそういう実績については政府みずからが法律を破つて来たということで、非常に大きな国民に対する悪影響を與えております。そこで今後の点については今言われるような方法でやつて行かれることとして、過去の十二月なら十二月までの分について、実際には超過勤務をやつておるけれども完全支給はしていない。これについてまだ年度は済んでおらんのですから、それについて請願趣旨に合いますような、何といいますか、勤務はしているけれども、手当は完全に支給されておらん分について調せられる意向があるのかどうか、その点について……。
  35. 山下興家

    政府委員山下興家君) 先刻申しましたように、これは大蔵省から予算がありましてその予算だけしか支給しておらないのであります。それでその金額に実のところ恐らく合わせて帳簿作つたのだろうと思うのでありますが、我々の方で調査に行きますとちやんと帳簿は合つておるわけであります。命令簿があつてその命令されたものだけ支拂われる。その後どれだけ命令なしで働かされておつたのかということはちよつと調査困難でございますし、又そういうものが仮にございましても、予算がないので工合が悪いのでございす。それでそういうことは全部止めようということで長い間かかりましてこの給與簿というものを作り上げまして、それを実行してこれから先はそういう変なことは一切しないようにしよう、若しも何か間違つたことがあつたら、それを調査いたしまして、そうしてそれを是正しよう、そういうことを考えておるのであります。
  36. 吉田法晴

    吉田法晴君 給與局長がおられますから、大蔵省の方にお尋ねいたしますが、金がないから支拂われないのだというのは過去の問題だけでなくて今後の点についても考慮を要する問題だと思うのですが、過去のこういうものが出て参りましたのは実際に超過勤務をしておるけれども、完全に支拂われておらんのがあるということは人事官も認められたのであります。これはひとり全逓大阪支部だけでなく外にも随分あるということは我々も承知しでおるし、又人事官も認められたわけでありますが、依然としてやはりそういう金がないからこの分についても支拂わないという態度でおいでになりますのかどうか。
  37. 山下興家

    政府委員山下興家君) これは実は大蔵省関係でございまして、実際この操作には困難なのでございます。これで大蔵省として何とか予算措置について実情に合わすような行き方を講じて貰う必要があると実は思つておるのです。今までのような行き方では帳簿の方と合いにくくなつて来るのです。
  38. 中井光次

    委員長中井光次君) よろしうございますか、それでは千葉委員。
  39. 千葉信

    千葉信君 只今山下人事官答弁にありましたように一月以降においては給與簿というものを厳重に配付して、それによつて正当に今後決められることになつておるから超過勤務手当支給については、大体昨年の十二月以降実施本部が人事院に移管せられると同時に、大いに改善せられまして私は感謝する次第でございます。併しこれは大きな問題が一つ出て来ると思うのでありますが、それはこの間人事委員会におきまして私は人事院総裁に対して、今給與ベースの問題がこういうふうに紛糾しつつあるこの大きな原因の一つには、人事院国家公務員法の第二十八條前段によるところの勧告を怠つてそうして一年一回程度—国会若しくは政府に対して報告をする場合に、それを合せて勧告するというような、五%以上給與條件に変動が起つた場合に直ぐ出すという措置だけをやつてきた。従つてその勧告が御承知のように昨年十二月というふうな形に非常に遅延した。前段の方で措置をするとすれば、人事院が前に勧告いたしました昭和二十三年の七月から比較いたしまして、もう昨年の一月で以て二〇%以上の給與條件の変動が起つておる一三月までに更にそれが一〇%程度増大して三〇%近い給與條件の変動が起つておる現在、人事院の勧告をめぐつて政府の方では二十四年の三月の生活水準を基礎とし、或いは消費物価を基礎としてそれ以後変動がないからということを言つて、そのためにこの問題の解決が非常に暗礁に乗上げつつある。そういう状態からいいますと、私はこの間も人事院が怠慢であつたということについては追及したわけでありますが、今この超過勤務手当の問題に対しましては、私は人事院の取られたその措置に関連いたしますけれども、昨日の質問におきましても、増田官房長官も、この超過勤務手当というものは予算が足りないために支拂えなかつた部分もあると同時に、一方においてはこれを給與の一部分として政治的に支給を行なつておるということについての答弁がございましたし、更に又只今山下人事官からは大体それと同じような答弁があつたということは、私は考えますると、この段階に対しまして人事院が今度勧告をいたしました七千八百七十七円のベースに対しても、これをもつと積極的に解決するという責任が当然起つて来なければならない。という意味は、私の承知しておつた限りでは、或る官庁におきましては給與の不足を補おうとして、これはもうこの問題が非常に積極的に究明せられるということになりますると、新給與実施法の第三十一條に該当する官公吏諸君は相当出て来ると思いますので、私はその点をここで詳細に究明する気持はございませんけれども、少くとも給與の不足を補わんがために、或る程度の政治的な措置として取られた昨年末までのこの超過勤務手当支給方法が、今度人事院において給與簿の配付ということによつて正確に行われるということになりますると、そういう従来大蔵省限りで取つて来た措置というようなものは今後不可能だということになるわけでございます。従つてそういう問題に関連いたしましての人事院としては、この給與ベースの改訂の問題ついては、もつともつと積極的にやらなければ、超過勤務手当支給方法についてだけは自己の職能を発揮するけれども、一般公務員の福祉を守るという点、或いは給與水準を正確にするという点については、これは片手落の方法ではないか、こういうふうに考えまするので、私はこの超過勤務手当に関する給與簿の整備ということに  ついては、原則として賛成でございますけれども、そのためにもつともつと人事院としては適正な給與をするという方向に向つて御努力をお願いして置きたい。以上私は人事院に希望する次第でございます。
  40. 山下興家

    政府委員山下興家君) 全般に五%以上給與を変更しなくてはならないという場合には、人事院は勧告をしなくてはならない。それについて怠つてつたというような印象を與えましたのは誠に残念なんでございまするが、実のところ、昨日も申上げましたように、地域給はどうしても改めなくてはならない程無茶苦茶なんであります。それは三割から二割に減らすのでありましてこれは給與のベースを上げると同時に行わなくてはならないということも止むを得ないことなのでございます。ところが地域給を調べますのには非常に骨が折れまして、これは統計局にお願いして確か三千万円くらいな金を掛けまして、ひどく努力をいたしまして、それが昨年の五月に調査をいたしましたのができ上つたのが十二月というような工合でございまして、あの給與べースの改定を勧告いたしましたときに漸くその結果が現われかけておつたというくらいな程度でございまして、これはどうしても切離すことができない状態でありました。そればかりでもありません、いろいろなことでもつて大変遅れましたのですがこれは相済まんことと思います。それで昨日も官房長官から超過勤務手当で何とかするというようなお話もありましたが、私といたしましてはどうしていいのかこれは余程の問題……、どんなにしたら実行ができるかということについては、大変な問題じないかと思います。
  41. 中井光次

    委員長中井光次君) 官房長官が見えましたから、何の方を一つ……。
  42. 千葉信

    千葉信君 前の人事委員会におきまして、私がこの人事院の勧告が遅れたということについて淺井総裁にお尋ねいたしましたときには、淺井総裁の御答弁が、二十三年の七月を基準とする前の勧告から関連するために、昨年の七月に基準を置いて調査したために、この勧告が遅れた、こういう御答弁でございました。只今山下人事官の御答弁では、五月に始められた地域給の結論の出るのが遅かつたために、その調査が十二月までかかつたために遅れたというような御答弁でございましたが、いずれにも原因があつたかと思いまするけれども、いずれにいたしましても山下人事官が今正直に仰せられたように、実際において私はたとえどんな調査がありましたにしても、事は地域給一割、二割の問題でなくして、国家公務員全体の生活をどうするかという、大きな賃金ベースの問題でございますので、今後はこういう点については十分迅速に調査研究をなさるように、そうしてそのために国家公務員の生活が、今日のような窮迫な状態に陷らないように、一つ頑張つて頂くことをこの際要請する次第であります。
  43. 中井光次

    委員長中井光次君) それでは今の請願に関する超過勤務手当の審議はこの程度で打切りまして、官房長官がお見えになりましたから、官房長官に対する御質疑をやつて頂きたいと存じます。約三十分間くらいの程度の間に成るべくやつて頂きたいということですが、できれば……。速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  44. 中井光次

    委員長中井光次君) 速記始めて下さい。
  45. 千葉信

    千葉信君 増田官房長官にお尋ねいたします。昨日増田官房長官にお尋ねいたしました国家公務員給與に関する資料の中の、資料二の方の問題については先程政府委員の方からの御答弁がありましたので、一応この問題については本日はこれに触れないことにいたしまして、この資料全体について今日はお尋ねをしたいと思うわけでございます。今度の七千八百七十七円の人事院の勧告に対して、政府の方ではどうしてもこれは実施不可能であるからという理由で、新給與法の一部を改正する法律案を出されたようでございました。この出されておる国家公務員給與に関する資料というのは、これが政府人事院勧告を実施できないということの、主張の全部であるというふうに了解して差支ございませんか、その点お伺いしたいと思います。
  46. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) これが人事院の勧告を受諾し得ざる理由の全部、一〇〇%とは申しかねますが大部分であるということは申上げ得る次第でございます。
  47. 千葉信

    千葉信君 それならば増田官房長官にお尋ねいたします。第一の現行給與という項目についてお尋ねいたしますが、この項目の中で政府は右の新給與法昭和二十四年一月一日に施行せられたが、その適用は前年十二月一日よりとなつており、給與額としては昭和二十四年一月及び一月分の一部を昭和二十三年十二月に繰上げ支給した形になつているから、いわゆる六千三百七円ベースが完全に実施されたのは昭和二十四年三月ということになる、こういうふうに政府は言われておりまして、昨年の三月から実施したのであるから、現在の給與の規準となつておるのはどこまでも三月の物価指数その他を規準として計算することが正しいもののような表現をされておりまするけれども、私共の了解する限りは、この六千三百七円べースというものが変更せられました当時に実施せられておりましたのは三千七百円ベースでございますが、そのときに政府人事院の勧告と並行して確か五千三百円ベースの政府提案があつたようでございました。而も政府の方から提案せられました改正案というものは、十一月から実施という案だつたということを私は承知しておる次第でございます。それが国会によりまして、人事院の勧告が正しいという結論の下に、現在の六千三百七円ベースとなつたわけでございまするが、政府の方では予算がないという主張をして、そのために十二月一日からということになりました支給が今度は予算関係上三月に延びたというような結論になつたわけでございますけれども、こういう当時の事情から考えてみましてもたとえ三月から実施されたということではあつても、その以前に当時の賃金ベースは変更されなければならない段階であり、政府自身も賃金ベースの改訂案を国会の方に提案しておつた、こういうふうな状態でございますので、その政府提案の基礎となりました物価の変動とい写りは、決して昨年の三月ではなくて、それ以前だ、むしろ人事院の今主張しておるような二十三年の七月頃にもうすでに賃金ベースを改訂しなければならない段階に来ていたということは、この点からも私は立証されるのではないかと思うのでございますし、更に又七月から二十四年の三月までには約三〇%程度のCPIの変動が起つておる、こういうような時期の変動を無視して、そうして現在の賃金ベースが昨年三月から実施されたから、昨年三月からのCPIを基礎とし、或いはCPSを基礎として計算することが至当であるとい今ふうな政府の強弁は、到底私にとつては納得のできないわけでございますが、政府はどこまでも現在の賃金ベースの問題に対してはこの資料によつて、現物給與項目における一及び二をどこまでも主張されるおつもりであるかどうか、官房長官の御答弁をお願いする次第でございます。
  48. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) お答え申上げます。先ず第一に五千三百円というベースを一応考えたことはお説の通りでございます。併しながらこれは関係方面との折衝の結果、総額において二百六十五億円出す、それ以上は出さないならば六千三百七円ベースを採用した方がよろしいとやつたようなお考えもありまして、政府も喜んで六千三百七円ベースを設定いたした次第であります。併しながら実質においては五千三百三十円ベースが設定されたということに大体三月まではなると、こう考えておる次第でございます。十一月から計算いたしまして額は大体同じでございまするが、そこで本当は四月から名実共に新給與べースが設立されたといつてもよろしいのでございますが、やはり一、二を繰上げて十二月拂いまして約二ケ月分、当時の三千七百円から見ますると二ケ月分を支給し、一月二月は人によつては年末調整その他の関係があつて、殆んど月給を受け取らない方や何かもあつたというようなことで、本当は十一月から、或いは十二月から三月までに、ならして見ると五千三百円になつておるに過ぎないのでございますから、三月に実施されたかどうか疑問でありまするし、併し我々はやはり三月には六千三百七円を公務員全員が平均して受取つております。でございますから実においての六千三百七円は三月に始まつたのである、形においては十二月から始つておることは御指摘の通りでございます。そこで三月を基準に上げる必要があるかどうかということも一応計算いたした次第であります。ただ併しながら公務員全体の実質賃金昭和五—九に比べると低いということは私共も認めております。物価の低落、或いは安定経済政策の効果を現わすという意味から見て上げる必要があるか、ないかという見当といたしましては、現在のところ上げる必要は認めないということになつておりますが、それだけでは将来の問題として足りないと思つております。将来はやはり我々の許されておる国民全体の文化的、経済的生活水準は、国家としてはでき得る限り上げて行くべきものである、向上し改善して行くべきものである、いわゆる生活程度の向上といいますか、この点は是非とも図らなくてはならないと思つております。併し今回は、まだ去年及び今年は経済安定政策の進行中でございまして、賃金べースその他は我々自身評判の悪いことは知つておりまするが、今暫く積極的復興の前提となる安定というものを固める必要があるというわけで、公務員諸君には非常にお気の毒に思つておりまするが、今回はこの程度以外に上げられない、こう考えております。繰返して申上げますが給與ベース自身はCPIその他から見ると三月基準から見ますれば、上げる必要はないという議論になりますが、実際それでは冷たい議論になりまするから、将来の議論としてはどこどこまでも経済事情がよくなれば、又安定政策が完全に奏功するならば、途次実質賃金昭和五—九年には是非とも上げて行くべきものである、こういうふうに我々は考えております。
  49. 千葉信

    千葉信君 官房長官は、公務員の実際の給與というものが、公務員が最低の生活のできないという状態をお認めになつてお話でありまして、これはどうしても何とかしなければならないという官房長官お話は了解いたしますけれども、少くとも政府の方で主張しておる主張の根拠、或いは又この資料として出されておる根拠から見ますると、そういう公務員の生活の状態が窮迫しておるとか、或いは何とかしなければならないという結論が出て来ない。逆に、この資料を見ますと、実施が昨年の三月であり、それ以後の物価指数の変動を見て、これはもう上げる必要もなければ、窮迫した状態というものも考えられない、こういう結論しか出て来ないのであります。どうしてそういう結論が出て来るかと言いますと、昨年の三月から実施したものであるから、三月の物価指数を基礎とすればよろしい、こういうふうな政府の考え方に実は大きな矛盾があるわけであります。只今官房長官もお認めになりましたように、現在の賃金ベースの変更という問題は、決して昨年三月のCPIを基礎としたものでも、消費者価格を基礎としたものでもない。政府自身が前年の十一月に、二十三年の十一月からもう変更しなければならない、こういう消費者価格指数の変動をはつきりと把握しながら、ああいう法律案を提出せられたのである。従つてそういう政府の当時の認識からすれば、現在に至りまして現在の賃金べースは昨年の三月から実施したものであるから、昨年の三月以後の変動だけ抑えればいいという、こういう考え方しか出て来ないのじやないか。つまり昨年の三月から実施したものであるけれども、これは予算上止むを得ずこういうふうにとつたものである、少くとも公務員の生活状態を或る程度の水準に持ち上げるためには、これはどうしてもそれ以前に、人事院基礎としたところの昭和二十三年の七月の消費者価格を基礎として考える、或いは又政府が当時の賃金ベースの変更について提案した昭和二十三年の十一月のCPIを基礎として考えるならば、これは理論的にも正しい考え方である。然るに今日増田官房長官は口では今おつしやつたようですけれども、公務員の最低の生活を考えるためにも、或いは又文化的な生活を進めるためにも、この給與ベースでは到底間に合わないから何とかしなければならないということを言つておりながら、どうしてこういうように謀略的に昨年の三月から実施したものであるから、昨年の三月を基礎としたCPI、或いは消費者価格を基礎として考えればよろしいというような資料をお作りになつたかどうか、この点について増田官房長官の御答弁を承わりたいと思います。
  50. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) 私共は決して謀略的な数字操作をしたわけではありませんが、六千三百七円が設定されたのが三月であり、若し三月が悪ければ更にそのときに七千八百七十七円、或いは八千円にすべきだと思いまするが、三月に一応設定されておる。それで三月から見て、その前の基礎数字というよりも私は三月を捉えるのが本当だと思つております。三月から見てCPIがよつておるならば上げるべきであるし、下がつておるならば下げるべきという議論を取るのでありますが、昭和五—九に比べて、公務員俸給は安いのでありますから下がつておるならば放つて置き、上がつておるならば考える、こういうふうに政府は政策を考慮すべきだと、こう考えております。もとより人事院が一昨年の三月を基礎として一応勧告されたのであるが、今度は昨年の七月を基準として考えられた。これは人事院の勧告であり、それは至当でありましようが、政府は必ずしも人事院の勧告を百パーセントに受諾すべきかどうかということは、財政経済の現況と睨合わせ、国民負担の現況と睨合わせなければなりませんし、結局又国民に直ぐ負担がかかつて来る。今政治の中心問題は一面給與の問題もございますが、一面税金の問題でございます。税金でどんどん倒れておるのですから、その税がふえるということになりますと……、公務員のことも大事でございまするが、他の八千万の国民のことも又大切である。両者のパーセントということが一番大事なものであり、又そういう点も考慮に入れて政策を建てるべきである、建て得るとこう思つております。人事院公務員の生活を預かつておりますから、ああいう立場で勧告するのは至当と思つております。決して不当とも何とも思つておりませんでございます。至当と思つておりますから、でございますから百パーセント尊重いたしたいのでございますが、一面国民負担の現況とも睨合せ、そうして調和の取れる点に給與水準は置くべきものである、こう考えでおる次第であります。
  51. 千葉信

    千葉信君 どうも大臣は私の申上げておることを了解しないようで、三月の消費者価格を基礎として計算することが正しいという大臣の御答弁では到底私は納得できませんけれども、これ以上御質問申上げても所詮大臣から承わる御答弁は、今以上立場上一歩も出ないであろうと考えられますので、私は次の質問に移りたいと考えます。  その次も同じく、(三)前段につきましては、これは昨日附録の資料の問題に関連して御質問申上げたのでありましたので、その次の後段の問題について御質問申上げたいと思いますが、政府の方では今度の官公吏の賃金ベース引上問題に関連いたしまして、毎月勤労統計における工業平均賃金というものを比較対象としてとつておられるようでございますが、而もその中でこの調査対象は大工場におかれたものであるから、小規模の企業従業者を含む労働者全体の賃金水準を示すものではない。三従つて若しそういう中小企業の従業員の賃金と比較するということになれば、これはもつと工業平均賃金というものは下廻るであろうと、従つてそういう基礎を入れて計算すれば、民間給與との差というものはもつと少いものになると、こういうふうな理由を並べておりまするけれども、少くとも政府というのは最大の従業員の雇用者だとこういう立場から強いて中小企業者の従業員の平均賃金と比較しなければならない理由というものの発見に私は苦しむ者であるばかりでなく、国家公務員の場合におきましては、憲法二十八條における権利を抑制されておる。私が申上げるまでもなく、昭和二十三年の七月二十二日発せられましたマツカーサー司令官の書簡にはこういう表現がなされておる。簡單ですから読上げます。「しかしながらこの理念は公務員たるものが、みずからもしくは選ばれた代表を通じ雇用條件の改善を求めんがために、自由にその意見見解もしくは不満を表明する個人的もしくは団体的の妨げらるることなき権利を有しない意味ではないことを明確に了解せられねばならぬ。この権利は民主主義社会に個有のものであり奪うべからざるものである。しかして余はこの権利は現に提案せられている国家公務員法の修正案の中に十分に規定せられていると信ずる。更に国家の公益を擁護するため政府職員に課せられた特別の制限があるという事実は、政府に対し常に政府職員の福祉並びに利益のため十分な保護の手段を講じなければならぬ義務を負わしめている。この理念は民主主義社会においては完全に理解せられ実現せられているのであつて、それ故にこそ公職が威厳と権威と永続性とを備えており、公職に就き得る機会が広く一般から好ましい特権として認められ、かつ求められているのである」  こういうマツカーサー書簡の言葉増田官房長官といえどもお忘れでないと思うのでございますが、憲法によるところの第二十五條の、文化生活を営む権利、最低の生活をする権利というものが国家公務員の場合にありましては罷業権を押えられ、団結権にも抑制を與えられておる状態から考えますると、この最大の雇用者である政府が、特に選んで中小企業の従業員の低い水準の賃金と比較をしなければならんという理由の発見に私は苦しむわけであります。これに対しまして増田官房長官の御答弁を承わりたいと思ひます。
  52. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) 千葉さんにお答え申上げます。御趣旨は原則的に私は賛成でございます。私共もでき得る限り公務員の生活の安定を計りまして、公務員というものが一面において、労働権において制約を受けている、つまり勤務の対象が全体であつて、全体の奉仕者であるというわけで、経営半と労務者といつたような対等関係ではない、そういう関係で各種の労働法上の行動においても制約を受けております。でございますからでき得る限り給與の点は特に心配をいたしまして、又公務員自体が公正なる仕事をするという立場かちも、生活について配慮することを必要としない程度に生活の保障をいたすということは、最も政府として注意しなくてはならん点である、こう考えております。ゆくゆくは公務員の地位というものが全体から見まして、その地位に就くことを皆が欲するようになる、好ましい地位とするというようなことはこれから後に我々が特に気をつけて行かなければならんことででる、こう考えております。人事院等の目標も恐らくそこに置かれ、又人事院の設置されたゆえんのものもそこにあると我々も推測をいたしておる次第でございます。でございまするが、今のところ、今のところと私は申上げます、日本の全体の所得なり経済力なり生産力なり、この敗戦直後の崩壊に瀕しておつたようなこの現下の情勢に鑑みまして、日本は国家全体が苦しんでおります。国家が苦しむというのは何も政府が苦しむわけではないので、八千万の国民が苦しんでおる次第であります。そこで行政整理をする前は千葉さんも御経験上よく御承知の通りでありますが、七人で一人の公務員を養つておる。公務員は生産的の仕事はいたしません。他の七人が生産的活動をする、これに対して行政的の活動をして、もとより国家公共事業は別でございます。その他の行政事務等に従事しておる者は生産事務については間接の働きをする、直接の働きはしないわけで、生産力の発展に直接寄與しておる人から公務員が養われておる、こういうような状況であります。敗戦後は特に他の七人の者が非常に苦しんでおるというわけでありますから、我々は公務員の生活安定はできるだけ図りたいと、こう思つておりますが、本意でないにも拘わらず、甚だ不本意ながらできかねる、こういう状態であります。殊にこの一、二年間におきましては我々は最も憎まれ仕事をしておるということは承知いたしております。憎まれ仕事とは何ぞやというと、いわゆるドツジプランの遂行でありまして、このためには副作用もあるといつたようなことが、いわゆる池田君の言葉の使い方の間違いといつたようなことになつて現われておりますが、副作用をできるだけなからしめるのみならず、あらしめない、又あつたならばできるだけの配慮をするということをいたさなくてはならないのであります。ともかくもああいう一つの手術ともいわるべき安定政策を遂行しなければならん、こういうようなことも搦み合いまして各種の日本の復興のための諸條件の成就のために暫く我慢を願う、こういう意味合でございまして、ゆくゆくは千葉さんと我々は同意見であります。公務員の地位を安定し向上し、公務員は生産力の発展に間接に寄與するといいますが、間接の寄與でも直接の寄與でも国民生活の安定なり都民の所得の向上という方面には、非常に寄與するわけですから、安定した生活の下に事務能力をどしどし発揮して、日本の発展、日本の民主化のために働いて貰いたいと、こう思つておる次第でございます。
  53. 千葉信

    千葉信君 只今増田官房長官の御答弁を承わつておりますと、国家公務員給與を満足するためには、どうしても国民からもつともつと税金をとらなければならない。ところが今国民は、公務員ばかりでない、全体が苦しんでおるからそういうことはできないという御意見の点もありましたが、この点については、私は又後段で御質問申上げるわけでございますが、只今増田官房長官お話の中に、はしなくも昔長官あたりがおつしやつておられた言葉と同一の、国民七人が一人の公務員を養つているという、こういう言葉がございましたが、私共はこの数字を、どこの根拠から持つていらして、こういうふうにおつしやつておられるのか、恐らく長官は、国鉄であるとか或いは電気通信、郵政というような、独立採算制の形において企業官庁としての立場から、その企業によつてつてつた公務員の数まで全部引括めて、七人で一人の公務員を養つているというふうに計算なされているように思われますが、この点はどうでございましよう。
  54. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) 私は、いわゆると言つておるのでありまして、自分自身も実は役人生活の方が長いくらいでそういう言葉をあまり聞くのは愉快でないのであります。ただそう言われている、こういうのでありまして、その中でも直接千葉さんの御指摘の通り、今日公共企業体の中に或いは郵便、電信といつたようなものは直接の生産力に寄與しますし、それから事務官吏でございましても、私は間接に生産力に非常に寄與していると、こう思つております。でありますから、ただ無駄飯を食わしておくというようなやり方で攻撃されるのは、私自身不愉快に思つている次第でございまして、そこは誤解をして頂かないように、千葉さんも御経験がおありですから、お互いのことですからご理解を願いたいと思います。
  55. 千葉信

    千葉信君 この問題はそのままといたしましてその次に移りたいと思いますが、その次の第二、給與引上の困難性という條項に入りたいと思いますが、この場合の第二の(1)につきましては、これはあとでこの問題に触れたいと思いますので、その次の(2)の方に入りたいと思います。  この(2)の方では、「たとえば前述六〇〇億円の一部を地方の負担とする場合を考えても、これを賄うためには、結局平衡交付金の増額、地方税の引上げを行うほかなく、又特別会計における所要財源を一般会計からの繰入に求めず、専らその会計の負担によるものとすれば、恐らく運賃、料金等の引上げを考慮せざるを得ないのである。たとえば鉄道貨物運賃は十八%、郵便料金は一〇%、電報、電話等の料金は、四%程度」こういう形で財源をお求めになる、これが私は問題ではないかと思うのでございますが、こういう財源の求め方をする表現をすれば、多くの国民がベース引上げに反対するという狙いがここにあるのではないか。従つてこういうふうなところに財源を求めるというようなことについては、非常に私は政府理由としておるところが悪辣であつて、而もあまり利巧でない連中の結論だというふうに私は考えたいのでございます。頭脳明晰な長官がみずから顧みて、こういうところにしか財源がないとお考えになつておらないと、私は思うのでございますが、如何でございましようか。
  56. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) 千葉君のご質問に御答え申上げまするが、一応こういう計算になるということを申しただけです。そういう際にどういうやり繰りをするか、それは別の問題になりますが、ただあなたも非常に御承知のごとく、債務償還が恐らく御指摘になりたいところであろうと思います。本院においても木村禧八郎君から随分大蔵委員会で私半日御質問を受けまして、木村さんの御意見にも非常に傾聴すべきものがあるとこう思つた次第でございますが、あの債務償還というのがいわゆる安定施策のヴアイタル・ポイントであるというふうに解釈される向もあるのでありまして、あれに向ければ割合に安易な方法で捻出し得るかも知れません。併しあれはあれでもう動し難いということになりますから我々は謀略でも詐術でもなしに、結局千葉さんの御指摘の通り、鉄道のごとき、郵便のごときは独立採算で行つたらよかろう、一般会計繰入ということは特別会計から通信会計え繰入も困難だし、それから況んや公社になつた国鉄も一般会計繰入は今年三十億しておるときでも相当議論の分れたところでございまして、鉄道だけで仮に七千八百七十七円に上げるということになりますと、一八%鉄道職員五十万人の給與に対してやらなければならん。郵便は四十二万人くらいですか、はつきりした数字は覚えませんが、四十万乃至四十二方だと思いますが、その方々の給與を七千八百七十七円に上げますと、一〇%、電信、電話の方はこれは電気通信でございますが、電気通信の関係は四%、こういうふうに要するであろう。それは他の関係が例えば税の自然増収を大いにやるというようなことだとか、債務償還を減らすとかいうよふな関係がない限りこうなるのでございます。これは数字には偽りがないということを申上げたいと存ずる次第でございます。
  57. 千葉信

    千葉信君 この問題の解決は今増田官房長官が言われたように、債務償還の問題だけであとには全然方法がないというふうに私は実は考えておらないのでございます。併しこの問題についてはどうすればいいかということについては、私は又あとで御意見を申上げることにいたします。その次の(3)の條項ではこれは政府の方では、昨年の七月に味を占めた公務員の首切りによつてこれの財源を賄う以外に途がないという理由もここに一つ並べられておるようであります。これは政府の方でこういう表現をすれば恐らく労働組合の方では或いは又国家公務員は自分達の待遇を引上げて貰おうとすれば首を切られる外ないのだ、自分達の仲間が首を切られるしか我々の賃金ベースを修正することができない状態なのだ、こういうふうに考えれば、これは従業員諸君がそのために賃金べースの変更の要求を後退させ、或いはいわゆる労働攻勢というものが鈍くなるというように政府は考えて、こういうふうな理由をここに並べたのではないか、こう考えられますが、これに対してはどうお考えになつておられましようか。
  58. 中井光次

    委員長中井光次君) 千葉君に申上げますが、もう立ちたいとおつしやつておりますから……これのあとにまだ大分ありますか、何か適当なところでちよつと御質問をお切り願いたいと思います。
  59. 千葉信

    千葉信君 まだあと二、三時間あるのですから……。
  60. 中井光次

    委員長中井光次君) それではこれくらいに一応切つて月曜になりますが、月曜か先かそのいずれかなんですが、ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  61. 中井光次

    委員長中井光次君) それじや速記を始めて下さい。官房長官
  62. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) 今千葉さんの削減しなければならない云々というのは、これは一種の威迫ではないかといつたような御質問でございまするか、あれは数字的にこうならざるを得ないということの説明として申上げたたけでございます。ただ将来におきまして、行政合理化というようなことはこの問題と離れて引続いてやつて参りたいと、こう思つております。今回の予算においてはそういうことをいたしておりませんが、将来は行政合理化はすべきものである、その役所、その企業体の担当しておる事務なり、事業なりの性質及び分量に照して調和のとれるような人員なり機構なりを検討して、それぞれ具体的妥当性のある産業合理化を行いたいと、こう思つております。千葉さんもよく御存知の通り、この前の行政整理はどちらかというと、天引でして機械的に失したきらいがないでもございませんが、今度はいわゆる行政整理ではございませんが、その庁、その省、その企業体の担当する事務、事業の性質及び分量に応じて調和のとれる人員なり、機構は、これを打立てなくてはならんこういうふうに考えておる次第でございます。
  63. 千葉信

    千葉信君 たつた一言。只今増田官房長官お話では行政整理そのものが縮小の方にばかり向つておるように私は印象を與えられたわけでございますが、実は電気通信省であるとか、或は郵政省であるとか大蔵省特に公共企業体においては、国鉄等におきましては、実際の仕事の所要人員からいいますと非常に人員が不足で、従つてそういう点からも無理をして超過勤務手当を捻出しなければならないという事実もございますので、こういう点については、やはり反対に減らすというばかりでなく実際の事務量に応じての増員ということもこれ又政府としてはとるべき方針であると思いますので、その点只今お話について私から官房長官にお願い申上げておきます。
  64. 中井光次

    委員長中井光次君) それでは本日はこれで閉会いたします。    午後三時四十五分散会  出席者は左の通り。    委員長     中井 光次君    委員            吉田 法晴君            川村 松助君            小畑 哲夫君            寺尾  博君            千葉  信君            岩男 仁藏君   国務大臣    国 務 大 臣 増田甲子七君   政府委員    人  事  官 山下 興家君    人事院事務官    (給與局長)  瀧本 忠雄君   事務局側    常任委員会專門    員       川島 孝彦君   説明員    大蔵事務官    (主計局給與課    長)      中西 泰男君