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1950-02-27 第7回国会 参議院 人事委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年二月二十七日(月曜日)    午後二時二十六分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○派遣議員報告国家公務員給與問題に関する調査  の件   —————————————
  2. 中井光次

    委員長中井光次君) それでは只今から委員会を開会いたします。  本日は大蔵大臣出席がありまするが、四時になるそうでありまするので、先ず最初派遣議員の御報告をお願いいたしたいと存じます。
  3. 大山安

    大山安君 本委員会より調査に派遣されまして、岐阜滋賀福井、石川、富山等の各県を一月十六日より一月二十三日まで調査して参りました。  その調査具体的方法といたしましては、日程の都合上、時間の余裕が極めて少かつたので、その県その県の出先機関人事及び給與関係担当者の参集を求めて懇談を行い、実情を聴き、意見の交換を行い、又必要に応じて資料の提出を求めました。それで懇談に当りましては、大体給與問題を中心に、その他公務員関係のあらゆる問題について意見を聴くことにいたし、而して各県共おのおの意見を活溌に述べられました事項を、ここに集約いたしまして御報告することにいたします。  先ず給與問題でありまするが、現在公務員最大の関心事と言うべきだけに、各地において話題の中心と言うべきは勿論、真剣な意見が開陳され、何らかの解決をという要望が激しかつたのであります。  第一、給與ベース改訂の問題でありますが、これらは昨年十二月人事院勧告案内容自体に対する批判という問題を超越しました、専らべース改訂早期実現を望むという極めて真劍な、すべての出席者の異口同音に強い要望でありました。これに対しての意見の一部を申しますれば、人事院という公の機関科学的根拠に基いて勧告なされた案が、そのままに放置されておるということは、どう考えても了解に苦しむという不満各地において述べられ、又人事院勧告生活必需物資価格の変位、その他民間給與とのバランスを取るために行われたものであると聞くが、これが実現されないのは何故か納得ができないという質問もありました。これについて私としての感想を端的に申しますれば、公務員の福祉及び利益を重んずるという立場にある人事院勧告が行われていながら、政府の一方的見解の発表のみで、何ら納得のできる理由もなくして放置されておるということは、公務員の多大の不満を買つておるように思われました。全く生活費を維持するに足りないということ、従つて毎月の赤字補填で頭を悩まして、ひたすら給與ベース改訂のみを期待しているという実情は察するに余りあるところであると思います。  それから政府の言う実質賃金向上という点でありますが、これは今度の施策及び成行き如何ではあるが、現在では期待することができない。具体的施策としては、通勤費支給、又家族医療費など全額の負担等を望む。尚所得税のより大巾な軽減を行わなければ、実質賃金向上はこれ亦期待できないものであるという、極めて悲観的観測が多かつたのであります。それかつ個別的なものといたしまして、地域給の問題に集中いたしまして、これは給與問題において、イクオール・ペイ、イクオール・ウァークの原則に基いて、給與支拂の公平を期することが如何に重要であり、且つ困難な問題であるかを示すものと思われました。この地域給に関しては、個々地域から、それぞれの実情具体的実例を挙りて地域給引上げの陳情がありましたが、これに関する資料は別に文書によつて報告いたしました。その代表的な意見を申上げますれば、先ず地域給を存続するかしないか、又廃止して本俸に繰入れるか繰入れないか等については、廃止論も出ましたが現在の情勢下においては全廃するのは時期尚早ではないかという意見が強かつたのであります。ただ地域差をつける場合、その根拠が十分に納得することができないのであるから不満であるということ、即ち不公平であるからむしろ全廃して、本給に繰入れるべきであるという意見もありまして、その根拠となる資料に面して、万全の調査に基き、公務員納得了解を得るものであることが望ましいという意見でありました。この点について、人事院勧告案において、地域差決定根拠となつている特別CPS調査方法に関してかなりの批判がありました。それはこの調査は或る一定の時期のみに限られて行つたもので、常時的に、長期に亘る物価の変動の趨勢を表していない。一部物価的、又一時期的調査であるからである。即ち調査に当つて時間的余裕を置かず、極めて端的に少く、県統計課において、調査表蒐集の際明らかに誤りがあると認められる事実においても、再検討して訂正する暇がなく、そのまま提出せざるを得なかつたということでありました。尚生活費実態を反映せしむるためには、調査品目の撰び方が適当でない。特別C・P・Sを否定しるわけではないが、現在の生活様式、天候、交通事情、その他複雑な條件を総合して生活費決定するという、合理的とは思われない。各地資料、地元の意見十分参考とし、許す限りにおいては各地を歩いて、物価等を実地に調べる等の調査を精密に行なつた上で、納得の行く決定を期待しているという大部分の意見でありました。これらの意見についても、毎月の赤字補填上の悩みから、これは当然のことと思います。それから地域給を現在の勤務地主義にするか、或いは住居地主義にするか、今尚論議の分るるところでありましようが、現行勤務地主義に対する矛盾として、次のような意見が述べられました。これは福井大学の一例であるということでありまするが、震災によりまして、校舎を分散して講義を行わざるを得なくなり、従来の福井から鯖江の校舎に移つた場合、これは勿論本人の意思による転勤ではなく、生活居住地従前通りでありながら、地域給支給されなくなり、却つて通勤費が増すにも拘らず、これが結果においては減俸の形になるということであり、その他これに類似の不合理の点も多々あるというような意見も述べられておりました。それらも再検討を望むということで、尚僻地在勤者要望でありましたが、僻地においては生活必需品雑貨等都会から運ぶため、運輸費だけ却つて高く、生活費も決して都会に比して低くなく、むしろ僻地手当を望みたいくらいであるというような意見もありました。  更に寒冷地手当に関しては、地域給と同様十分の調査と各種の資料に基いて、納得のできる決定をして貰いたいということで、具体的には寒冷地という温度だけではなく、積雪、濕気その他條件を十分考慮されたいという希望でありました。これについて北海道石炭手当寒冷地手当の二本建になつておるのは、他に比して非常に恵まれておるというような点も申されていたのであります。この寒冷地手当に関して、立法化されながら実際支給いたされていないことに対する不満も強く、早急に実現されるよう国会要望するという声もありました。又超過勤務手当について、実働如何に拘らず、一日三百円前後支給されておるだけで、日直をさせる必要があつても、それに応じた超過勤務手当支給もできないという実情であるということを、これは担当者が申されておりましだが、希望意見としては、我が国の従来の習慣を活かして、公務員の能率の向上を図るために、是非年末手当制度給與体系に織込んで恒久化されるようにして貰いたいというのが、この共通した各地要望でありました。  以上は現行給與制度に関する各地意見でありまするが、共通しております点は、いずれも納得のできる根拠に基いて、いわゆる公平な給與支給望むということにあつて現行給與体系個々の場合、可なり不合理な問題を残しておるのは、これは過渡的なものであるから止むを得ない点も認められるが、給與を受ける側においては、給與支拂が公平を欠き、又不合理であるという感じを與えることは、勤労意欲を阻害する大きな原因になつておるのではないか。種々の特殊事情に基く不満或いは個別的問題等についても、煩雑の労を惜しまず、解決努力すべきであると考えられる。  それから職階制についてでありますが、各地方共未だ理解も十分でないようで、現行試験制度に対しても、試験問題、又採点方法等に対しても、不安と疑問、或いはこの度の高級官吏受験資格を限定し、一般からの応募を制限したのは非民主的ではないか等の意見も述べられましたが、職階制趣旨内容についての批判は殆んど述べられませんでした。この職階制公務員制度に対して大きな影響を與える問題であると思いますから、各地方の出先機関に至るまで、十分の認識理解を與えるよう努力する必要がありはしないかという考を持たれました。それから人事院存在、その内容について、公務員理解に苦しんでおるというように感じられました。これについてもやや判断のつく程度に理解せしめることを図るべきではないかということをも考えられます。これらは尤も人事院に私として意見を出そうかとも考えてはおりますが、報告だけいたして置きます。  それから前後しましたが、出先機関存在という問題でありますが、これについて各県各懇談者意見共通点は、いずれも県に移譲すべきが合理的である、現在のままとしては如何に不合理であるかという点を一例を挙げて申上げます。中央が任免権を持つて、知事がその監督権を與えられておる故に、実際問題として、運営上極めて複雑化するということになり、尚労働省の出先機関でありまするが、現在労働基準局労働基準監督署というものによつて、労政、職業安定所労働基準等存在となつてつて従つてその労働行政上おのおの系統の窓が異つてつて従つて徒行政の不統一と浪費を招きつつあるという意見が、これらにつきましての共通した強い意見でありました。  以上、私の報告はまだ沢山ありますが、それは文書を以て報告することにいたします。
  4. 中井光次

    委員長中井光次君) では次に羽仁委員からの御報告をお願いいたします。
  5. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 第七回通常国会重要案件であります国家公務員給與問題の審議に当つて各地実情調査し、以て審議に万全を期するために、この度院議に基いて人事委員会編成の三班が、各地に派遣されることになりました。我々第二班は、特に昭和二十四年法律第二百八十二号国家公務員に対する臨時年末手当支給に関する法律及び国鉄職員に対する裁定による臨時年末賞與給與状態及び勤務地手当寒冷地手当等支給実情調査して、これらに対する今後の方針を明らかにし、公務員給與制度確立を図ることを主要目的として、十二月二十八日より東北各県に派遣せられて調査をいたしました。勿論年末のために各県より正確な数字的資料を得ることはなかなか困難でありましたけれども、時期を失した資料よりも、実際の調査こそその重要性において優れておることに注目して、調査を進めた次第であります。詳細につきましては提出いたしまする調査報告書及びそれに附属として蒐集いたした資料によらせて頂きたいと考えるのであります。  次にその要点だけを本委員会報告させて頂きます。  第一にこの年末手当、いわゆる年末手当の問題でありますが、これについて各地の一致した、大体において多数の一致した意見及びそれに関する我々の調査の結果では、年末手当がその目的とする実質を果していないということ、つまり何ら年末手当になつていなかつたということ、この主たる理由はやはり年末調整とか、或いはその他税金関係とか、場合によつては年末手当が出たために、年末調整などによつて余計な税金を取られて却つて苦しんだというような場合が起つたりしておる。そうして大体において、殊に一月の国家公務員及び地方公務員生活が非常につらいという実情が現れております。平均して昨年度において国家公務員地方公務員が可なりの負債を負つておる事実があります。これはまあ給與が低いために毎月赤字である。それ以外に、例えば家族に病人を生じたとか、或いはお産があつたとか、或いは家族の中に学校教育を必要とするとか、そういうような関係があつていずれも負債を負つておる。これは甚だ我我としては考えなければならないことであつて、例えば東北仙台の駅の構内助役、勤続約三十年、その人が大体まあ月給一万円でこの一月には、その中から先ず税金が二千円、年末調整が約二千円、それから昨年度においてした借金の共済組合に対する返済が凡そ二千円になりますと、大体一月を四千円で暮さなければならない。そういつた実際の実情を訴えておる。従つてその構内助役が、深夜に仙台の駅で鉄道を動かしておる場合に、やはりそういう問題がその人の念頭を去らないということは誠に止むを得ないことである。これは貴重な人命を運搬しておる、国鉄業務の上に、甚だ我々国会議員として責任を痛感した次第であります。でこういう給與の非常な不合理実情において、年末手当というものも年末手当意味をなしていないという点が第一であります。それから年末手当に関して第二の点は、この年末手当が出されたために、国家公務員及び地方公務員及びその家族給與に関する観念が非常に混乱をしたということです。つまり年末手当が何であるかということが分らない。その実態が分らない。で昨年来我々、又人事院の非常な努力によつて給與体系を新たにし、これを合理的なものにするという努力を続けて来たのですが、そういう努力の途中において、昨年末の年末手当というものは何であるか、よく分らないものが支給されたために、折角みんながこの新しい合理的な給與体系というものを考えようとしていたときに、非常にそこに混乱が起つた。これは国家公務員地方公務員がこの正しい給與体系観念を持つているということは、我々人事委員としては非常に重大な問題だと思うのですが、その給與観念が混雑してしまうということは非常に困る。結論としては、どうか、できるだけ早く年末手当というふうなものを支給しないでも、国家公務員及び地方公務員が安んじて年を越すことができるような、そういう合理的な給與体系というものを確立しなければならない、昨年未は先ず新給與体系が行われてから最初の第一回でありましたから、又これが拠りどころだ。許すとしても、本年度末に又こういうことが行われるということになりますと、もはや新しい合理的な給與体系確立するということは不可能になつてしまうと思います。これは人事院でも十分考えて頂きたいことなんですが、非常に混乱した、そのいわゆる封建的な給與体系というものが、どうしても近代的な、合理的な、能率的な、民主的な人事行政というものを建設することができるか、甚だ問題だと思います。なかんずく非常に問題だと思つたのは、国家公務員、或いは地方公務員、或いは公共企業体労働者家族について、その妻について、この年末手当をどういうふうに考えているかということを調査したときに、全くこの年末手当に対する考え方というものが混乱を極めているので、特にこの点を御報告いたす次第であります。年末手当については以上二点が要点であります。  それから第二に勤務地手当の点について、これも詳細な報告書及びそれに付けました資料で見て頂きたいと思いますが、ただその中で一つ特に御報告して置かなければならないことは、先日との委員会人事院に向つて質問をしたのでありますが、昨年度において、この地域給に対して行われた人事院調査というものについて、一般に一致した疑惑が持たれ、それに対して我々の調査の結果もそれが問題であるという結論に到達したのですが、それは地域給調査というものが、一般を信頼させていないということ、殆んど各方面においてこの地域給の再調査人事院がなさることを期待して、希望しております。特にその際この五月、十一月の、昨日の特別のC・P・Sの調査によつて一般生計調査し、公務員生計費中心として調査していなかつたということについて、各方面から疑惑、疑問が提出されておりました。それからいわゆる米を主眼にし過ぎておる。米だけで人間は生きられないことは言うまでもないことでありますが、東北などにおいては、衣服なりそういうふうなものも相当に考慮されなければならないのに、米に過重の重点が置かれておることであります。尚詳しくは報告書によつて見て頂きたいと考えます。  それから第三に寒冷地手当石炭手当の問題でありますが、これについても先日委員会で述べましたように……。ちよつと附加えさせて頂きますが、第二の勤務地手当の問題について、勤務地手当に関する最近の人事院根本方針については、一般に各方面賛成しておられるようです。根本方針については異論がない。非常に賛成をしておる。ただ実際の調査についてさつき申上げましたように公平でないところがある。この根本方針について各方面賛成をしておられたことは、私共としても大変嬉しく思います。  それから第三の寒冷地手当石炭手当ですが、これについても詳細は提出いたします書類によりますが、特に一点だけ申上げて置きたいのは、やはりどうしても各地で出て来た問題は、各地及び各方面ですが、先日も申上げました、例えば各地という場合の草津などがその例でありまして、又各方面というのは山の中の国鉄の駅などの場合、寒冷地手当というふうなものが政県を単位としてやられておるという原則についてはやはりこれはそれで正しいと思うんですが、併しその原則はそれでいいとして、併しその府県の中で特にひどい状態にある所については、その府県原則だけで押し切るということは非常に気の毒であるという感じを、各方面における調査から我々としては受けたのであります。それから石炭手当の問題については、今もちよつとお話がありましたが、北海道における石炭手当の問題について、北海道以外の東北の各県において、その北海道を羨ましいとかなんとかいう意味じやなくて、これは差当り北海道における石炭手当制度というものが採られたのであつて、やがてこれらは東北その他寒冷地に対してなんらかの処置が採られなければならないという結論を得た次第であります。  それから超過勤務手当について、これも詳しくは書類に譲りますが、結論としてこの超過勤務手当というものが、実際において殆んど履行されていない。実際の超過勤務の二割とか、三割とかぐらいしか超過勤務支拂われていない。これは何とかして至急に解決しなければ、国家公務員地方公務員公共企業体労働者公共に向つて勤労を以て奉仕することに、国家が報いていないということになつて、重大な問題あると思います。  それから第五に実質給與の問題について、各方面各地意見を総合いたしますと、やはり最初に年末手当の場合にも申上げましたように、現行給與が少しも合理的でない。その意味から国家公務員地方公務員公共企業体労働者は、過去数ケ年に亘つて非常に不合理給與の中に、最大の労務を提供しておつた従つてできるだけ早い機会においてその給與合理的なものに引上げなければならない。そういう意味からも、給與ベース改訂という人事院勧告が一刻も早く実行せられることを期待されております。これについては労働組合関係においては、人事院勧告給與ベースというふうなものでは不十分である。それよりももつと合理的なベースの要求が提出されておるのでありますが、労働組合関係だけでなく、その使用者側からも、人事院勧告された給與ベースはできるだけ早く実現されることを期待されておる。それから実質賃金の問題について、第二に我々の到達した結論は、厚生施設というものが殆んどなされていないということ。これは先日他の班の小串委員の御報告の中にもありましたが、例えば群馬県などにおいて、郵便局において厚生関係者が、厚生に関する関係者が整理されておるという実情がある。これは厚生関係を担当している人が整理されたということによつて厚生施設がどうなつたかということについては、又別の議論があるとしても、少くとも厚生関係が少しも重視されていないという一つのいい例であると思う。で公務員及び公共企業体労務者厚生施設というものが極めて劣惡である。これに対して国家は一刻も早く改善の責任を持つているものである。詳しくは提出いたしました資料によらせて頂きいた。  それから次に第六に、特に地方公務員の場合に関しては、地方財政確立が一刻も早く望ましいということであります。これは特に新潟県その他各府県において、町村殊僻地町村などにおいては、未だに古い給與ベースによつて給與が行われているという非常に困つた問題がある。従つてそういう古い、そういうような、現行給與ベースではない、理行以前の給與ベースによつて給與が行われているような所には、様々の弊害が起つておる。それから教育公務員の場合にも、教育公務員がその特殊の任務を果すために必要としておる給與なり、厚生設備なり、或いは研究施設なりというものにおいても、地方財政が非常に苦しいために、いろいろと弊害を生じている。この問題は我々人事委員として、特に地方公務員に関して、地方財政の充実ということを強く要求して頂きたいと考える次第であります。  それから第七、職階制の問題でありますが、これについても詳しくは資料によらせて頂きますが、一点だけ御報告して置きたいのは、合理的な職階制確立して欲しいという希望一般的であります。その具体的な事実としましては、いわゆる頭打ちというのですが、或る仕事をしてそうして或るところまで行くと、もうそれ以上待遇が改善されないという問題であります。これは一般に非常に不安を與えていたので、職階制がいよいよ完成する場合に、この点について十分合理的な考慮が必要とされておる。ちよつと速記を止めて……
  6. 中井光次

    委員長中井光次君) 速記を止めて下さい。    〔速記中止
  7. 中井光次

    委員長中井光次君) 速記を始めて。
  8. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 最後に第八、人事院についてでありますが、この人事院が古い封建的な、合理官庁人事というものを打破して、近代的にして合理的な、民主主義的にして能率的な公共業務の遂行に当つておられることに対する一般認識が極めてまだ低い。大体人事院というものは悪口の材料にしかなつていないということを御報告せざるを得ないことを、甚だ残念に思う次第であります。これは根本的な点と実際上の問題と二つあると思いますが、根本的にはやはり、最近東京地方裁判所が下した判決の中にもはつきり言われておりますように、公務員から争議権団体交渉権公共企業体労働者からは争議権というものを奪つて、そうして平和的な方法で、その人達が全力を以て公共に奉仕する、労働に喜んで当れるような、まあ最近アメリカの炭鉱労働を代表してルイスが言つておるように、エイブル・アンド・ウィリング、実際それがやれる、そして喜んでやれるように、そういう状況に置くことに人事院が重大な使命を持つておりながら、それが十分果せていないということが第一であります。これは本質的な問題でありまして、この委員員においても人事院はよく、最後決定をするのは国会だと言われておりますが、併し不幸にして国会決定が事実において公務員公共企業体労働者生活の破綻を救い得なかつた場合には、それでもうあとは知らないのだということが言えるかどうか。本来ならばその際に公務員なり公共企業体労働者は、争議権を発動してみずからの生活を救うのでありますが、それをさせない以上は、若し国会の多数がこの問題を了解しなかつた場合に、人事院国会がもう決定したことだからといつてあと涼しい顔しておられるということが、理論的にも現実的にも許されるだろうかという問題であります。  第二は実際上の問題でありますが、人事院は新しい人事制度についての啓蒙宣伝において、十分一般納得させていないと結論された次第であります。これは最近の高級官吏試験の問題についてもそうでありますが、何のためにああいうことを行い、如何なる種類の試験を行う、その結果どういうふうになものかということについて、少しも一般納得させていない。それで人事院がときどき発表される発表は甚だ唐突であつて、又前後の連絡がなくて、却つて世人を混乱させているようであります。例えば、いわゆるマルチプライド・チョイスというものの本質について、人事院は果して本来本質的に啓蒙をなさつたか疑わしいと思うのであります。これは我々人事委員人事院を鞭撻して、人事院が現在行なつているところの新しいいろいろな制度について、その本質を一般理解して貰うために、宣伝活動をもつとやつて貰いたいと思うのです。但しこれは言うまでもなく人事官諸君が甚だ世間に疑惑を招くような形において、そういうことをなさるということを是認してでは勿論ないので、むしろ人事院総裁なり、人事官なりが適時に、新聞或いはラジオを通じて、人事院が現在行なつている新らしい制度の本質をもつと啓蒙して頂きたい。最近の試験制度についても、昔の半ば封建的な時代の試験制度と、現在人事院がやつている新しい民主的な試験制度の違いというものは、一般の人は分つておりません。又マルチプライド・チョイスの本質も少しも分つていない。それで徒に無理解な、そして場合によつては悪意のある非難を浴びて沈黙しておられるということは、我々人事委員会としては黙つて見ておるべき問題でないと思うのでもその点を申上げる次第であります。  以上甚だ簡単でありますが、我々第二班が派遣せられました調査報告の極めて輪郭及び要点だけを申上げましたが、尚いろいろ落ちた点もあるかと思いますが、それは提出いたします調査報告書及びそれに付けての資料によつて詳しく見て頂きたいと思うのであります。  それから一つ落しましたが、それはこの定員法の問題でありますが、定員法施行の結果が甚だ不合理状態を現しているということが一般の事実であります。例えばこの全逓従業員、職員関係において、與えられておる休暇を殆んど取ることができない。二十日間の休暇が與えられておるのに、それを全然、二日ぐらいしか取ることができない。これは與えておる、一方において休暇を與え、他方においてその休暇を活用してその体力、精神力を回復することができないようにしているような定員法というものは再考の必要がある。それからこの郵政及び電通の両省が分れたことによつて、管理職が増大し、現業員が減少している。こういうことは新しい定員法の精神の逆行である。これらの実例、その他一般にこの国鉄関係などにおいても、定員法の結果がさまざまの。非常に困つた問題を起している。例えば新潟の駅の駅長などの意見を聽いて見ますと、定員法によつて非常に人手が足りなくなり、且つ熟練しない駅手を使つているために、拠どころなく、場合によつては人間の命が大切であるから、車を衝突させても止むを得ないというようなことが起つて来る。この場合に車を衝突させてはいかんと言つて、人命を危險に曝すということはできない。何人がその責任者であろうとも、それはできない。そうして車を衝突させると、忽ちそこに何十万円、何百万円という損害が起つて来る。これは定員法によつて国費を節約すると言いながら、実際において不合理な定員法を行なつた結果、国費の損耗を国民に負わしめておるという結果になる。こういう意味で昨年の定員法が非常に不合理であるという事実は、これは私自身、この定員法に反対して、参議院本会議において意見を述べたものでありますが、不幸にして私が予告しておつたような事実が、実際において多々現れておる。これは定員法について我々が至急に再検討を加えなければならないという結論に到達いたした次第であります。  以上私の報告を終ります。尚重要な問題で残つた問題があるかと思いますので、詳細は調査報告書及びその資料によつて御検討を願いたいと思う次第であります。
  9. 中井光次

    委員長中井光次君) 派遣委員の方方からの御報告はこれで全部終りました。先程申上げましたように、大蔵大臣は四時に参られる予定であります。人事官が出席されておりまするが、河か人事院に対する御質問がございますれば、この際やつて頂きたい。その間休みましようか。それでは午後四時まで休憩いたします。    午後三時十六分休憩    —————・—————    午後四時二十三分開会
  10. 中井光次

    委員長中井光次君) それでは只今から委員会を再開いたします。大蔵大臣が御出席になりましたから、かねて御質疑の申出がある木下委員に質問を許します。
  11. 木下源吾

    ○木下源吾君 大臣お疲れのところ恐縮ですが、ベース改訂が非常に重要なので、たびたび大臣のお説は聽いておりますが、尚この委員会において、一つ詳細に承りたいと思うので、あります。つきましては、政府は経済安定ということをたびたび言つておりますが、私はそうは考えておらないのです。そこで政府の考えはですね、経済安定をやる施策、即ち物価を下げるということが政府のお考えなのであるか、この点を一つ伺いたい。
  12. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 経済安定の結果物価がどうなるかということは一つの問題でありまして、予算でやつております通りに、大体個々物価の上り下りはありましようが大体において物価は横這いの状況を迫ると見込んでおるのであります。ただヤミ物価は統制撤廃その他生産増強等によりまして、相当下つてくる。これは消費者物価指数が示すところによりましても、そういう傾向を辿つておると考えております。
  13. 木下源吾

    ○木下源吾君 政府はいろいろ統制を撤廃されておられるのですが、この統制を撤廃しておる部分に対しては、政府は直接そういう関係はないわけですね。そこでこれに対しては政府はどういうような施策を施そうとしておられるか。それは放任して置くという考えですか。
  14. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 統制撤廃に対しまして、後のことにつきまして価格をどうこうということはできませんけれども、ただ生産を増強いたしまして、できるだけ物が安くできるように、そうしていい物ができるように、そういう産業の根本方針従つて処理いたしたいと考えております。
  15. 木下源吾

    ○木下源吾君 そこで私はその給與との関係でありまして、これは労働大臣もそう言つておりますが、公務員給與民間給與との比較を申上げる場合、民間には非常な不景気、金詰り、工場閉鎖、首切り、賃金の遅欠配というようなものがあるようなことを、比較の対象のようにしておられるようなことを言うのですが、そういうものも対象の中に入るということも言つておるのですが、只今のお話では、それの部分は比較の対象には政府は取るべきではないと、私はさように考えるのですが、これはどういう御見解ですか。
  16. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 私はこの問題でたびたび答弁いたしたのでありますが、公務員の賃金ベースを決めるのに、直接に遅欠配となつておるものを対象にするのはどうかと思うのです。ただ将来の見通しとして、間接の対照材料にはなると思います。併し比較いたします場合におきましては、遅欠配とか或いは首切りとか何とかというものを絶対の要素として考えるということは、少し行き過ぎではないかと考えております。
  17. 木下源吾

    ○木下源吾君 そこで大体お話が分りましたが、やはり公務員の賃金というものは、この場合政府といたしまして、補給金をやつておるとか、或いはその他政府一つの権限内におけるところのそういう産業の賃金というものとを比較するということが正しいのだと、私はこういうように考えますが、大蔵大臣の御意見は如何ですか。
  18. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 私はそういう考えは持つておりません。六千三百七円ベースを比較いたしますときには、工業平均、工場の労務者の平均として出しておりますあの数字並びに最近の統計には出ておりませんが、中小商工業者、低い方のものも加味して考えればいいので、補給金を出しておるところの分を採るべきだという考えは持つておりません。
  19. 木下源吾

    ○木下源吾君 先程、政府が統制をしておらんものは、政府施策の範囲外と言われたが、そういうような産業は、現政府の自由主義経済の方向から行けば、当然この合理化の線から外れて没落するものが多数ある。それが又現状であるのです。そういうものを考慮の中に入れて、民間の給與として、公務員給與決定の場合に、それを比較に入れるというのは、ちよつと矛盾しておりませんか。
  20. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) インフレを收束せしめて安定経済へ移る場合に、経営不振になつて没落する階級もありましようが、私はそういう階級のところの賃金ベースを探るべきではないと思います。全体として平均的の考えでやるべきである。こういう考えの下に、賃金ベースを動かすか動かさんかということを私は考慮したわけであります。
  21. 木下源吾

    ○木下源吾君 その点はどうも大蔵大臣の御答弁が非常に曖昧のようでありまして……曖昧であります。私は政府のまあ、大蔵大臣が常に言われる、金廻りが悪いと言えば、つまり政府一つの規制した範囲内における融資の大産業だとか、或いは直接金を廻しているところの銀行や、そういうところへ廻せば下廻るのである。こういうことを考えておられるし、そういうように実行しておられるのでありまして、政府が直接自分で関係のないものを、そういう産業の、そういう企業の、そういうものには今政府は何ら統制と言いますか、関與すべきものではない。ここでつまり公務員の場合においては、直接政府の使用人、政府につまり使われておるものだ。そうしますというと、先ず私はこれを民間給與との比較ということになれば、少くも政府は金融の対象や或いは政府の財政上の政策によつて直接左右されるところの、そういう産業でなければならないのだと、かように私は考えるのです。これはまあ仕方がありません。大蔵大臣は或る面においてはそういうものではない。或る面においてはそれを持ち得るのだというのは止むを得ません。然らば政府は白書をこの前出しましたが、すでに昨年の三月において、民間の給與は八千二百二十五円である。それから十月においては八千六百二十六円であります。こういうように発表しておりまして、公務員の場合は前者は七千二十九円、後者は七千二百四十六円だと、こういうように発表しておられるので、この差額は千四百円ばかりになるのですが、これが非常に僅少だというように軽く片付けておるのですが、そういうように今でもお考えになつておるのですか。
  22. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 先程申しましたように、工業平均賃金等だけで比較するか、或いは工業平均賃金に拠つていない中小企業の方々の分を合せて見るか、こういう問題があるのであります。私は中小企業の方の平均賃金を一緒にして見たいと思つておるのでありますが、遺憾せんそれは統計がございません。昭和二十三年、一昨年はです。大体大企業と中小企業の方との分の賃金の差を調べた数字があつたと記憶しておりますが、そのときにやつぱり中小企業の方が二、三割方低いと見ておるのであります。こういうことを考えますと、給與白書におきましては、一応高い方の分を探つておりますので、それと較べますと、昭和二十五年度予算の実行をいたしますにつきまして、公務員の方々の超過勤務手当が殖えましても、まあ七、八百円の違いと思います。従つてまあ民間給與でも上の方の平均だから、まあこの際甘んじて頂けるのではないかと、こういう考えの下に、実は給與白書の数字も我々大蔵省からも一つ出した次第であるのであります。
  23. 木下源吾

    ○木下源吾君 只今のお話では、それはまあいろいろ思惑はそれでよろしいが世間では、どうも白書として発表しておるのが只今のように千四百円からの差があるのですね。事実そういうように発表しておるのです。そういたしまするというと、調査の基礎は、比較の対象は、まあ大蔵大臣はどう考えておられようと、これはやはり現実のこういうように発表したものを我々が受取るし、又国民の受取るのも止むを得ないと思うのですが、これがやはりこの発表は違うとでもおつしやるのですか。
  24. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 私は違わないと思いますが、あなたの数字の分は調べてから又お答えいたしまするが、私が給與白書を作ります資料を出した大蔵省からの資料は、今申上げたような気持で書いて出したので、安本からも出まして、そうして内閣の方で一緒にして給與白書というものを作つたと思つておるのであります。
  25. 木下源吾

    ○木下源吾君 実はこの人事院のいわゆる調査によりますと、二十四年四月、昨年の四月の現在で、級別に分けておりますが、一級の場合に民間は三千五百十二円であるし、官庁が二千六百円、こういうように九百円からの差があり、十四級の場合は民間が一万九千七百四十四円、官庁が一万四千六百四十八円、こういうように五千円からの差が付いておるのであります。この人事院の方はあなたの方が余り御信用にならないような従来の傾向がございますので、今政府発表の白書から私は取上げたのであります。この数字をお認めになるとするならば、そんなに差がないということで、これは軽く一蹴してしまうというわけのものではないと私は考えるのですが、その辺の根拠はどこにございますか。
  26. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) それは先程申上げましたように、白書のところで中小商工業者の分よりどのくらいまで殖えておりますか、私ちよつと記憶はございませんが、私の気持といたしましては工業平均賃金というものは相当高い方の平均だと、こういう考えを持つておるのであります。だからその点は若し中小企業の方が入つていないとすれば、白書としてはそれをもつと強く言うべきであつたかと思うのでありますが、自分の気持としては、他にこれを拠らない、これよりも低い……二十三年度の調査では二、三割低かつたと思います。そういうのがあるのだということを私は前提として、大蔵省としての調査を内閣に出した。そこに今の給與白書の点を見ますと、三月の開き、十月分開きをこう較べて出しております。上昇率等を言うておるのであつて、まあこの程度なら大したことはないのじやないか、而もこれは高い方の平均ですということに私は読むべきだと思います。
  27. 木下源吾

    ○木下源吾君 高い方の平均と読むべきようにあなたが……それは主観でお話になつておるが、誰もそういうようには考えないので、この点は一つ何らかの機会に明らかにして頂きたいと思います。  次にこの給與ですが、すでに御承知の通り給與国家公務員法の法律によつて規定されておる。二十八條の規定によつて〇・〇五以上の移動の場合においては、平均賃金の勧告をすることになつておるのでありますが、人事院がそういう基礎に立つて勧告を行なつておることに対して法律を守るということの見解はどのようにお考えになつておりますか。
  28. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 人事院が今の実際給與が五%以上変動があつたから出すと言つておりますが、我々は或いはお出しになる気持は十分わかるのでありますが、公務員生活状況を昨年の三月と較べますと、実質賃金公務員一般の労務者同様になつておると我々は認められますので、而も又今後におきまして、実質賃金の上昇は期待し得る情勢にありますので、人事院勧告につきましては、十分誠意を以て検討いたしました上、これはやはり動かさない方が適当であるというので、予算はああいうふうにしておるような次第であります。
  29. 木下源吾

    ○木下源吾君 政府はそういうように適当であると考えておつても、実際の公務員給與による生活状態と、又当然受くべき法律上の保護を受けておるという観点の二つに立つての要求は、当然であろうということをお認めになりますか。
  30. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 私は要求される気持はわかりますが、その要求を政府が当然聽かなければならんとは考えておりません。
  31. 木下源吾

    ○木下源吾君 この二千九百二十円のべースを決定したときから、つまり端的に言うならば、一昨年の五月から昨年の政府が言われるところの十二月、一月、二月、三月まで、との間に据置になつて公務員が非常に苦しい生活を続けておつたが、一方民間の場合には、この間においてもぐんぐんと上昇して行つたという、この事実はお認めになりますか。
  32. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 民間の方の給與が上つて参りましたという事実は認めております。そうして又公務員の方につきましても、二千九百円から三千七百円に上つて来ております。又その後においても六千三百七円に上つて来ておるわけであります。
  33. 木下源吾

    ○木下源吾君 この間の民間との開きを……今これを出してやれというのではありませんが、かくのごとき民間給與の上つたということは、それ自体経済の一切から総合して上げざるを得ないという事実も又認めておられるでしようね。
  34. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) いろいろの状況によりまして、そういうように上げざるを得なかつたと思います。
  35. 木下源吾

    ○木下源吾君 それでは次に、政府はよく物価と賃金の悪循環ということを恐れると言われますが、昨年の三月以来物価は横這いになつておるということは、取も直さず六千三百七円を実施したその後において物価が上らないということをみずから証明しておるものと考えて差支ないでしようか。
  36. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 全体の問題といたしましては、大体物価の横這いと見ております。
  37. 木下源吾

    ○木下源吾君 私のお聴きしたいのは、三千七百円べースから六千九百七円というベースに上つても、物価は上らなかつたということでお聽きしておるのです。それをお認めになるか……
  38. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 昨年の四月頃からデイスインフレ政策を実行いたしましたので、物価は上つておりません。併し三千七百円ベースを六千三百七円ベースとしても……物価が上るとか上らないとかいう問題とは違つて物価は外のことによつて上らないように思うのであります。
  39. 木下源吾

    ○木下源吾君 そうすれば今仮に七千八百円にベースを切替えても、外の政策をおやりになれば、物価は上げないで済むことは確実ですね。
  40. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 私はそう見ておりません。給與を上げますと、それがやはり物価の方に跳ね返つてくることは今までの事実が証明しておるのであります。私は給與を上げれば、而も人事院の言うような上げ方をすれば、物価に影響があると考えております。
  41. 木下源吾

    ○木下源吾君 その点は頭脳明晰な大蔵大臣に似合わないと思うのですが、私の言うのは、三千七百円べースから六千三百円まで六十何%も上げたとき以来物価は上らないじやないか。これも今度の場合は六三から七八で、そのパーセントも以前の半分の額でしよう。これが物価が値上りするのだという要因にはならないということは、誰も常識で考えられると思う。殊に以前の場合は、これ程大巾に上げたときから、政策を外のものを対象としてやつたときから、物価が上らないとするならば、外の値上に対してそれだけインフレ抑制の努力をすれば、私はいいのではないか、こういうように申上げておるわけであります。
  42. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 物価は一昨年の十一月、十二月、或いは一月までくらいは上つて参りました。そうして四月くらいからは非常にデイスインフレ政策によりまして、而も又増産によりまして上げ方を止めたわけであります。そうすれば三千二百円から六千三百円になるときも上らなかつたように、今度もやはりその通りで上らないということは私は言えないと思います。いろいろな状況が加味されておるのでありますから。
  43. 木下源吾

    ○木下源吾君 いろいろな状況ということを先ずお聽しなければなりませんが、そのときの條件よりも、今の條件の方はインフレ抑制には、私は強い影響を持つておると思うのであります。例えば補給金は削減した、或いは融資の面でも非常な規制をしておる、或いは税の徴収の面等々を考えて見ますると……それで逆に私は……それは逆じやない、上るどころではない……僅かに上るということは、購買力を刺戟するのだと言われておるし、他面においては心理的影響はどうだという白書を出しておりまするけれども、そういうことは以前の例から見まして、私は理由にならないと思うのですな。どうしても以前はそういうようにやつたから、今度上げれば上るのだ、こういうようにつまり御答弁になれば、外のいろいろな要件をお聴きしなければならんのですが、これは専門的ないろいろなことを申上げるまでもなく、常識で判断して、私は簡單であると思うのです。やりは七千八百円ベースにすれば物価の悪循環になるのだというそう考え方は依然として飜さないわけですか。
  44. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) それは人事院の言われるような額まで上げますと、これは影響もございますが、少くとも六百億円の予算が要るわけであります。これは公務員、公団、公社等だけでございますが、これ以外にも公務員と似たような賃金ベースを採つてい下るところはございます。例えば農業会とか、いろいろな、政府の直接関係しておりませんが、間接に関係のあるようなものは、ずつとある。そうしてこの六百億円は、所得税を取りますから、四百億円とか四百五十億円になりましようが、これは何で賄うかということになりますと、公共企業体では運賃の値上をしたり、又公団関係におきましても物資の値上をしなければならん。一般会計の方におきましても減税をやめるか、増税をしなければならん。こういうことになつて来ますと、私の考えではどうしてもこれが物価に相当影響があつて、悪循環をする。その悪循環は昔程な悪循環をするかというと、それは安定施策を強力に施行しておりますから、昔のように毎年々々六百円から千二百円、千二百円から千八百円と、ああいうふうなことはないでございましようが、日本の経済安定に支障を来たし、物価高と、悪循環を起すということは必至だと私は考える。
  45. 木下源吾

    ○木下源吾君 今お話になつておるのでありますが、今日民間企業と言いましてもいろいろあります。少くとも政府が直接関係しておるような企業においても、殆んど資金というものでこれを統制しておるわけですな。殊に民間の統制外の企業でも、資金両において自主統制と言いますか、銀行の信用統制の下において、到底この賃金を上げるなどというようなことでは、企業の技術も、計画というものも、金融機関はこれは認容しないのです。殆んど認容しない。それで、このように政府は一方において物価、そういうものの統制を外しながら、同時に他面においては、極度に金融機関において全般的統制をしておるんであります。この現状において、私は地方の中小企業など、或いは又政府企業でもそうです。私はこれは到底賃金を上げるなどというようなことは不可能、不可能どころではない、その逆だと私は考えておるんですが、そういう点についてはどういう総考えを持つておられるか。
  46. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) そう私は簡單に行かんと思います。金融がやりくりがつかんから、給料を上げるというようなことはないだろうというのは、これは少し甘い考で、公務員給與ベースというものが、民間の給與と非常に関係のあるということは、民間給與を決めます場合におきましても、非常な参考になつておる今までの経過から見まして、私は相当民間の給與にも影響があるものと見ておるのであります。
  47. 木下源吾

    ○木下源吾君 これ程私が明瞭にしても、まだそういうお考であるとするならば、私は事実において一つお話をするがよかろうと思うが、例えば先般の日鉄の争議でございます。日鉄の争議の場合などは、補給金を削減した方において公定を上げておる。こういう事情にあるにも拘らず、実質賃金それ自体は切下げられておる。こういう事態なんです。これはもう現実の問題なんです。こういう実際面を見ても、到底賃金を上げるというようなことは思いも及ばんのです。又地方銀行においても、融資準則その他の束縛によつて、可なり嚴格な自立企業の態勢の調査をし、そうして現実に調査をしなければ貸さない。のみならず、お前の企業は人員が多いんだ、給料が高いんだから金を貸さない、こういうようにまで……つまり統制外の自由企業などというものは、そういう状態に置かれておるのであります。民間の実情はそうであるのに、この公務員給與を上げれば、それは心理上上げねばならんと思つても、実際において上げられないということは事実である。こういう点はもう少し一つ御研究をなさつたらどうかと、私はそう思うのですが、恐らく大蔵大臣はそういう…にあるんではなくして、そういうことは一切附けたので、この財政面の先程言いました六百億円の問題を問題としておられるんだろうと思いますが、本心はそこにあるんでございませんか。
  48. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 六百億円の問題が直接に物価にも影響いたします。又今までの民間給與を決める場合におきまして、公務員給與が因となり果となつた場合もあることは、木下委員も御承知と思います。日鉄の争議問題をお出しになりましたが、給與というものはとにかく機会あるごとに上げて行こう、上げて行こうとするのが、今までの通例でございます。私は外の機会で申上げたと思うのですが、とにかく経済の安定をいたしますためにはどうしても今暫く我慢をして頂かなければいかん。安定の見通しがついたときに、私は一番最後の問題として、給與ご米価の問題が起ると思います。
  49. 木下源吾

    ○木下源吾君 凡そ今まで大蔵大臣が、日本経済は安定しているというが、一体経済が安定しているということはどういう意味を言つておられるのか。私は国の経済の安定というものは、個々人の経済安定なくして安定ということは言われないと思うのです。そこで、この個々人の場合を取つて見ますと、先般私は専売の品川工場に参りまして、予算委員会から皆行つたのですが、いろいろ調べて見まするというと、三級から五級、平均化して約四千円という給與なんです。そういう人達は約五〇%以上おります。ですから五級から七級、八級ぐらいまでのものを加えて言うと、恐らく七〇%も八〇%もあろうと思うのであります。こういうような人達の、つまり経済が、家計が、一体安定していると大蔵大臣はお考えになりますか。
  50. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 私の申上げた経済安定というものが、所々で問題になるのでありますが、私が安定と申しているのは、今までのように不安定な状態が安定の軌道に乗つた。国の経財、個々人の経済が本当に安定する場合には、これは外国の援助もなくて済むし、又日本のあらゆる物価が世界の物価と鞘寄せする、こういうことが本の安定だと考えることは議論のないところである。私が、安定に向つている。大体安定の見通しがついたと言うのは、そういう意味のことであるので、只今専売局の職員の給與問題がありましたが、専売公社の職員の平均給與一般公務員よりも低いということは知つております。これは一般職員の構成が外と違うのであります。それから又基本給が非常に低いのでございますが、或る程度労働時間その他によつて調整されることも知つているのであります。  専売公社の人の平均が四千五百とか五千、或いは平均五千七百円ぐらいになつておりますが、これで安定しているかと言われても、これは日本の経済事情が今までああいう過程を取つてつたのであります。ますます今後生活水準の引上げ等を徐々にやつて行かなければならんと思つております。
  51. 木下源吾

    ○木下源吾君 いや私の言つているのは、国の経済の安定は、国民個々の経済の安定が大切でははないか。それなくして国の経済の安定はないのだ。ざつくばらんに言うならば今の安定しているものが、大金融資本と言いますか、金融資本だとか、或いは又一部政府の力によつて経営している事業、そういうものは安定していると見て差支ないと思う。さればこそ銀行員等の給與というものは、一万数千円であることは御承知の通りであります。そこで一方においては六千七百円ベースも與えられないで、五千七百円、ベースぐらいのものが……それは構成が違つていると言いますが、実は専売公社の女工さんで、二十四、五、六、二年ぐらいのものが三級です。これはまあ三千円ぐらい。あなたの言うところの超過勤務と言いますけれども、これは知れたものです。一時間十八円くらい、それで勤務時間も、支給される時間も制限されておる。およそこれは電車に乗つて煙草を喫うものであれば、それだけのものはない。それが一千二百人の中の約六割もで構成されておる人員である。こういう実情であります。こういうようなものが、而も政府の事業である。民間企業においては尚ひどいものが沢山ある。こういうように生計に対して不安定である。誠に不安定であるというような状態にあつて、日本経済が安定しておると私はこれは到底言えない。ただ安定しておるものは、先程ありましたように銀行であるとか、或いは政府のつまりいろいろ面倒を見てやつておる、いわゆる国民の竹馬に乗つておるものがやや安定しておるという以外にはない。これではいくらあなたが考えておることを推し進めて行くことが日本のためになるという自信を持つておられても、現実は足下から崩れて行くのじやないか、こういうように考えておりますが、この点についてはやはり日本経済は安定しておるという意味で、現実に目を各らして行かれようとするのか、どういうふうなお考でありますか。
  52. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 私は一昨年、昨年の頃よりもインフレが止りまして日本の経済安定に一歩踏入れたと考えております。この問題は物価が横這い、賃金も横這い、而も生産は殖えつつある、こういうことから言えると思うのであります。而も又今生活面を申されましたがCPIも、昨年の三月頃から段々実質賃金は上つて来ておるということを証明しておるのでありまして、私はこれらによりまして、日本の経済全体は安定に向つてつておるということを確信いたしております。
  53. 中井光次

    委員長中井光次君) 時間も大分過ぎましたから、又後にも控えておりますので、少し端折つて頂きたいと思います。
  54. 木下源吾

    ○木下源吾君 それでは少し端折りまして、そこで然らば財政の点でありますが、賃金のべース改訂で六百億と言いますが、税の撥ね返りを見たならばそんなに要らないと思うが、如何でしようか。
  55. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 税の撥ね返りを見たならば六百億要りますまい。
  56. 木下源吾

    ○木下源吾君 凡そどのくらい……
  57. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) なかなかこれは階級によつて違うのでありまして、一概にはなかなかなか言えないと思います。同じ千円殖えるものにいたしましても、その人の基本の所得によつて余程違つて来るのでございます。それで今ここでどれだけかという数字を申上げる自信を持つておりません。
  58. 木下源吾

    ○木下源吾君 撥ね返りは二五%くらいという見当を我々は考えておりますが、どうでしようか。
  59. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) そこまでは行かないのじやないかと思います。
  60. 木下源吾

    ○木下源吾君 現在予算面に硝安輸入を考えておるようでありますが、この硝安に対してはやはり必要不可欠のものとして輸入しなければなりませんか。
  61. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 今硝安でどのくらい補給金を出しておるか、記憶ございませんが、できるだけ輸入は少くしたいという気持で予算を組んであります。いずれ数字につきましては、政府委員より答弁さしてよろしいと思います。
  62. 木下源吾

    ○木下源吾君 次に、それならば国際小麦協定に参加した場合においては、相当予算面を節約できると考えますが、その点については……
  63. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 今はつきりした記憶はございませんが、国際小麦協定に参加いたしましたならば、トン八十一、二ドルになりまして、輸入補給金が少くなると思います。併し二十五年度の予算には、一定の時期に多分入ることを予定して組んでおりません。その点はつきりいたしませんが、入つてしまえば、相当の減額ができると考えておる次第でございます。
  64. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 来年度三百四十万トンのうち、小麦として入つておりますのは百九十万トンでありますが、その百九十万トンのうち百二十万トンが国際小麦協定としての、日本最高額になつております。それ以上は駄目なのであります。百二十万トンの分は若し入るとすれば八十一ドル五十セント、七十万トンの方は九十五ドルで、平均いたしますと約八十六ドルということになりますが、これは年当初から入つたときの問題でありますが、その入る時期如何によつて違います。それから入るとしましても、なかなかそう簡單に参らん。むしろ反対の方が多いのでありまして、私共そういうふうに組んでおりません。五十七、八億程度は入る、そういうようになると思います。
  65. 木下源吾

    ○木下源吾君 大蔵省の資料にはそう書いてありますが、安本はそれと違つた資料になつておりますので、これはできるだけ政府は統一してやつて頂きたいと思います。  次に開らん炭の場合はどうでございますか。
  66. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 開らん炭は御承知の通りにアメリカ炭より非常に安くなつております。又開らん炭と同様に印度の粘結炭も相当安いのでございます。併しアメリカ炭よりは品質がやはり落ちるようでございます。それで予算は当分アメリカの方から来ることで組んであると思います。開らん炭がどれだけ入るかまだ分りません。若しアメリカからのものが開らん炭に代るということになれば、或る程度節約はできるかも分りませんがこれは今から予測することはできません。
  67. 木下源吾

    ○木下源吾君 これの数字は分りませんか。
  68. 河野一之

    政府委員(河野一之君) これは開らん炭の分はちよつと今のところ見当はつきません。一応アメリカから来るものというようにされておりますので、その後の状況によつてどうなるかは、ちよつとこの際数字的に話すことは困難であります。
  69. 木下源吾

    ○木下源吾君 二十四年度の剰余金の見込みですが、この間資料をお願いしたところが、まだ見込額は困難だというふうに言つておられるが、すでに済みました、つまり一月末の源泉課税を取つて見まして、相当額の剰余金があると我々は見込まれるのですが。すでに来ておるのを事実をこれから推定して、又一月までの分ですね。源泉課税の状況について、相当の剰余金が出ると考えられるのですが、その点について如何でしよう。
  70. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 勤労所得の源泉課税につきましては、只今のところ或る程度の自然増收は期待し得る状況でございまして、幾らということははつきり申上げかねますが、大体国税庁なんかの報告を、取りますと、五十億程度はできるのじやないかと思います。又その他の法人税或いは酒税の方におきましても、相当程度出て参りましようが、申告納税に対する徴收がなかなか困難を予想されております。昨年も外の税では相当自然増收が出たのでありますが、申告納税の方で幾分赤字であつたという状況でありまして、今年は申告納税千九百億円を千七百億円にいたしましたが、只今までのところではこの点でまだ千七百億円でも赤字が出るのじやないかというふうな見通しであるのであります。従いまして、全体として只今どれだけの自然増收が出るかというようなことは、やはり四月ぐらいになつて見ないと分りかねます。
  71. 木下源吾

    ○木下源吾君 大体大蔵大臣が財布の紐を持つて懐ろ勘定をやつておると思いますが、大体のところはお分りでしよう。非常に健全に見ておられたが、いよいよになつたら、それより多くなる予定ですか。
  72. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 昨年は三百億程度出たのでございますが、今年はそれの半分も困難だと思います。それじや百億出るかというと、百億もまだ今のところ予定がございません。
  73. 木下源吾

    ○木下源吾君 鉄道の建設勘定でありますが、昨年は百五十億円の見返資金で、今年は損益勘定で二百億出して四十億の見返資金、この損益勘定の二百億というものはですね、一体どういう要素がこういうことになつたのですか。
  74. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 建設勘定の方で、その他のものでは出せん関係上、運賃とかそういうものを加味いたしまして、独立採算制の趣旨に則つて、二百億程度のものを建設費に当てよう。こういう考を持つております。
  75. 木下源吾

    ○木下源吾君 二百億を鉄道自体の賄いから損益勘定に出すのですが、それは運賃とか、その他いろいろの節約、或いはそういうものの。つまり見込みの基礎がございますか。
  76. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 勿論一定の基礎の上に立つて計算をいたしておるのであります。細かいことは政府委員から……
  77. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 鉄道の方の減価償却の対象になるものは大体五千七百億、これを資産再評価いたしました場合には、今政府の考えておりますような資産再評価の推定がございました、その程度でございます。それを減価償却をいたしますと、約二百五十億程度でございます。この二百五十億程度までは、その分は償却した場合に、或いは償却しないでも、そういう処置を講じない限り、食潰しになります。それに代るべきものは二百五十億やるべきですが、現在の收支の状況から一応百九十九億程度でありますが、この二百億程度をして後の四十億程度のものを見返資金からやると、こういうふうなことになつております。
  78. 木下源吾

    ○木下源吾君 今の局長の御説明は使う方の勘定なんだが、私の聽いておるのは、二百億が適当になる元は何かという……。もつとざつくばらんに言うならば、私は石炭の節約、或いは運賃の値上げ等々もあろうが、やはり従業員の相当の熱意と努力が含まれておるのだというふうに考えられます。殊にあの場合でも、国鉄裁定の場合でも、そういうような見解に立つておると私は思うので、その点をお聽きしておるのです。
  79. 河野一之

    政府委員(河野一之君) その財源を見出すにつきましては、今年の一月から八割を上げました。これを平年度化しますと、その程度のものが減価償却の財源として当てられてもしようがない。石炭についても勿論節約をいたしました。その程度のものは減価償却の財源とする必要がないという計算を得たのであります。
  80. 木下源吾

    ○木下源吾君 私は、つまり一口にいえば、民間ならば儲けがある、その儲けにはですね、人間の働きが含まれているのじやないかと、こういうことですよ、ざつくばらんに言えば……
  81. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 御質問の点がはつきりいたしませんが、鉄道の独立採算制から申しますと、あの厖大な資産を持つておるのでありますから、これを運賃收入その他から償却して行かなければなりません。これは普通の経営の原理でありますので、それで先程申上げましたように、二百数十億と言います。ものを二百億程度のものを收入の面から出すことにいたしたのであります。
  82. 木下源吾

    ○木下源吾君 政府の二十五年度予算の物件費の單価はどのところぐらいでおやりになつておりましたか。
  83. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 昨年の九月を基準にして考えております。
  84. 木下源吾

    ○木下源吾君 先程のお話では相当これから物価を安くし得るというような話ですが、その点について比較してどうでございますか。
  85. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 個々物価につきましては、補給金の関係等もございまして、上るのもありましよう。又下るのもございましようが、物価は大体横這いと考えております。
  86. 木下源吾

    ○木下源吾君 物価がこの場合には上りも下りもしない。公務員の場合は楽になるだろう。これはちよつと矛盾しておりはしませんか。
  87. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 消費物資の闇価格等がありまして、CPIの方は下つて行く分があるのではないか。予算の分についてはそういうのは少いのでありまして大体全体として横這いだろうと、こう言つておるのであります。
  88. 木下源吾

    ○木下源吾君 当初政府は国債償還に一般会計からどのくらい見込まれておりますか。
  89. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 大体五百億程度を見込んであつたのであります。
  90. 木下源吾

    ○木下源吾君 国債償還はこの場合五百億という話ですが、二十五年度に一挙にそのように償還しなくても……私はそういうことをすることがインフレの要因だと考えますが、如何です。
  91. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) そうすることがインフレになるというのではなく、そうしなければディスインフレの線が保てないという考え方を持つておるのであります。
  92. 木下源吾

    ○木下源吾君 ドッヂさんがですね。ドッヂ博士がこの前帰られたときに、こういうことを言つておられた。まだ日本にはインフレの要因が残つておる。それは補給金で仕事をしたり、或いは国民の税によつてそういうことをやるということが、いろいろそういうことが物価引上げることであると、こういうふうに言つておるのであります。そこでこれは一つの事業の方でありますが、銀行の場合でも同じことだと思うのであります。やはりこういうような償還をどんどんやつて行くということは、銀行それ自体が間接にこういう事業に対する支配力を持つておるのであるが、これはやはりインフレの要因だと考えるのでありますが、その点はどうです。
  93. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 一般の国民経済から吸収しました。資金を返すのでありますから、その意味においてインフレにはなりません。
  94. 中井光次

    委員長中井光次君) 木下君に御相談ですが……
  95. 木下源吾

    ○木下源吾君 もうすぐ済みます………政府は三分五厘程度の償還をしまして、銀行はそれを一割にして出しております。或る場合においてはそれ以上にもいろいろやつておるわけなんですが、こういう点についてはどういうふうに………
  96. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 私は三分五厘乃至四分の国債を償還いたしまして、そうして銀行が資金を出してやつたのですが、これを高利に貸して、そうしてそこに利益を得るというような場合においては、先ず高利の貸付を止めて低金利に持つて行くべきであると思います。
  97. 木下源吾

    ○木下源吾君 私はそういうようなことをやり易くやつて行くことが、インフレをいまに助長するのではないかと、こう言つておるのであります。一体この公務員給與が殖えると、インフレに問題を投げかけるようにお考えになつておるということは、私はこれは解せない。政府の本年度予算は均衡予算であるし、そうして非常に健全な予算であるということを言つておられるが、これは外面だけで内面は非常に不均衡である。一方においては食えないような程度において人を使つておる、他面において銀行を救済するような政策をやつておる、或いは農民に対する非常な政策をやつておる、この苦しいという現実は何人もこれを蔽うベくもない事実であります。こういうような内容の不均衡の予算が私は決してこの健全財政でも何でもないとこういうように考えておるのであります。政府は一体この点について、本年度予算について現実のこの世相と現実の国民経済の状態から見て、もつと有効需要を本当に殖やすためにはどうすればいいのであるか、或いは又今大蔵大臣が生産は上昇しておると言うが、これは真に復興するような、本当に生産が増加しておるとは考えられない。殆んどこの頃政府がストック品に対するいろいろな金融政策などをやつておられる実情を見ましても、こういうようなところに力を入れないで、ただその給與さえも抑えていればいいんだということには、私はこれは非常に政府としては考えなければいかんじやないか。ただ考えずに打つちやつて置いてもいいわけでありますが、そこには非常な危險性が伴うということを、一面において我々は憂えなければならないのです。政府はこの点についてはやはり政治の力を以て、いわゆる法律をも、何人も、これは押しのけてでも通れるとこういうように考えておられるか。大蔵大臣も亦そう考えておられるかどうか。政治の力を以て、法律でも何でも押しのけて通されるんだとこういうように考えておられるかどうか。
  98. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 政治の力を以て法律を無視するということは絶対にあるべきでないのでございます。お話の要点は非常に国民が苦しい状態に陷つておるじやないか、何とかこれを政府が財政金融上措置すべきじやないか、こういうお話でございますが、これは勿論敗戰によつて苦しい試練を受けつつあるのでございます。受けつつあるのでございまするが徐々に国民の生活水準を上げて行く、そうして又外国の援助もそう長く期待できないのであります。外国の援助がなくなつたときに、生活水準を下げるということはなかなか困難でありますから、できるだけ援助のある間に財政を健全にし、産業も健全にして行こうという考えで、他面やはり生活水準の引上げのために、減税その他もやつておる次第でございます。
  99. 木下源吾

    ○木下源吾君 どうも、私は大蔵大臣とその政策その他において全く考えが違つておるし、現実は亦それを裏付けておるのでありますが、大蔵大臣はこれ以上お聽きしてもしようがないとは考えますが、もう一、二点、私が今申上げた政治の力を以て法律を押しのけるということは、先程申上げた公務員法第二十八條を、先ずそういうものを押しのけて置くということを、先程本会議で大蔵大臣が答弁せられておつた中にもあるのですが、国鉄の裁定は御案内の通り衆議院では與党が絶対多数を以て、そうしてあの通りに決まつた。参議院はいわゆる明晰なる、この愼重な態度で決めたあの決定、その決定が今度の法廷において裏付けされたのです。法廷において……そこで私は、絶対多数というその力を以て参議院の決定、そうして裁判の決定、これすらも認めないということは、押し切つて行けるんだ、これを押し切ることがいわゆる民主国家のためになるのだ、国民経済のためになるのだという考えでおられるかどうか。その点が私はいわゆる政治の力を以て法律を押しのけて通るという、この態度が我が国の民主化の達成のためにいいことであるかどうか。希わくは現政府並びに財政を担当しておられる大蔵大臣は、その堅持しておられる自由経済、それは私は差支えないと思うのだが、現実がここまで行つておるのに、そういうようなお考えで尚押しのけて通つて行こうということが、この国のためになるかどうか。私は今大蔵大臣のいろいろの説明を聽いておる中には、レートも三百三十円、三百円にする。低コスト下で低賃金で、低米価で、そうして貿易を振興しようというこの意図はよく酌み取れるのでありますけれども、最早日本のこの実情においてはそういう強引な政策では、私は到底この国は救われないのじやないかと、こういうように考えておるので、大蔵大臣、私が言つた政治の力で法律を押しのけて通るということに対しては、愼重な一つ反省を願いたいと、こういうように思うのでございます。  最後にたつた一つでありますが、石炭代、この手当の問題であります。昨年は二千七百円、本来は二千五百円、昨年統制を撤廃すれば安くなるだろう、という見通しで安くしたと、こういうわけでありますが、現実においては買えなかつた事実、更に又あの法律は御案内の通り、三トンと一トンです。世帯主は三トン、然らざるものは一トンです。この三トン、一トンということが基準になつておるので、この石炭を三トン焚けるようになんとかしてやるということが、これは大切じやないか。人事院勧告においても、その意味で昨年は一トンの値三千三百二十一円九十銭に換算しておるわけであります。この程度ならば買えるであろうという大蔵当局の考と、現実には買えないというものと、これをいくら押問答してもしようがないので、これを焚ける炭を一つ現品で三トン支給するということのお考えはどうか。このことについては先般水田次官がここで現品をやつてもよろしいという明瞭な答弁をしておられるのです。速記にも載つております。それから三トンをなるべく買えるようにいたしますという答弁をしておるのでありますが、この機会に一つ大蔵大臣からこの点について御所見を承りたいし、その二千五百円の予算はこのままでやつても、その場合になれば予算措置をして何とかしようという答弁は、次官の答弁にあつたのでありますが、やはりその通りに考えておつでよろしいかどうか。この点もつ合せてお聽きしたいのであります。
  100. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 木下議員のお話は、多分二十五年度の石炭手当の問題だと思うのでありますが、そう了承してよろしうございますか。
  101. 木下源吾

    ○木下源吾君 ええ。
  102. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 二十五年度の石炭手当につきましては、一応予算上組んでおると思います。而して現物を給與するかどうかという問題は、これは大きい問題でございまして、そのときに至つて考慮すべき問題であつて、今私から何とも申上げかねるのでございます。
  103. 木下源吾

    ○木下源吾君 私のお尋ねしておるのは、法律は石炭三トン、そうして人事院がそういうものについて勧告された、その勧告が三千三百二十円九十銭であつたのですが、これは小売公定価格であつたのです。そこで私の言うのは三トン焚けるようにしてやるということのお考えがあるのかどうか。それが私は当然だと思うのです。で予算が二千五百円しか本年組んでおらないので現実にはそれで買えない。これは押問答して、折角金をやる、一方は不満だというのでは政府としても甚だ不愉快だと思うのでありますが、そこでそういうような事実の問題が起きた場合においては、法律に明記してあるように、暖房用炭を三トン現物でやることが一番問題がなくなつていいんではないか、こういう私の考えを今言つておるわけでありますが、それでただ三トンという、法律にあるのだから三トンを購入できるようにしてやると、こういうならばそれでもよろしいのであります。
  104. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 石炭手当でありますが、これはまあ現物でやるということは二つの価があるのでありまして、政務次官もその辺を十分御考慮の上申上げておつたと思うのでありますが、法律案は手当ということになつておりますので、石炭そのものをやるということになつていないわけであります。  それから鉄道とか、通信とかこういう大世帶の場合でありますと、おつしやる通りだと思いますが、北海道各地には職員がばらばらにちらばつておりまして、そういう所で現物をまとめてやるということは、実際問題としてなかなか困難な向きがあるようでございます。従つて現物をやるにいたしましても、鉄道弘済会のような所は金でやるのでありますが、実際はそういうことは全面的にこれを現物にするということは、なかなか法律の建前もございますし、今言つたようなふうに困難だと思います。それから明年度の予算は木下さん御承知の通り一トン二千五百円となつております。これは私共の当時の見方としましては二千五百円程度、プールが外ずれるということで下つて来ておりますが、最近はおつしやる通り余り下つて来ておらないのでありますが、これはまあいろいろな原因があるのでございまして、もう少し下るのが本当だとも思います。それから問題はどういう質のものを買うか、六千カロリーのもので今鉄道で三千四、五百円程度のものでございますので、まあ何カロリー程度にするかということも考え併せましてこの炭価というもの検討して見たい。実行に当つては検討して参る必要があると考えております。
  105. 木下源吾

    ○木下源吾君 今大事なところです。昨年は、この前の予算委員会で局長から六千二百カロリーとこう言つておられる。そして今鉄道で六は千カロリーが三千五百円と言つておられる。この点については二千五百円というものはれは無茶だと思うのです。それで最後に局長は値段の点について考慮するとこういうように言われておるが、そういうふうに受取つていいのですか。
  106. 河野一之

    政府委員(河野一之君) これは人事院が三千三百二十一円云々と申しますのは、塊炭、粉炭、微粉炭いろいろまあ石炭にあるのでありますが、これを平均的に御覧になりますと、これが五千八百カロリーとなつたというふうに思うのでありますが、これは従来の配給の割合等から検討いたさなければなりません。だから五千八百カロリーというようなものは、燃料炭として使うのは非常に勿体ないというような点もあります。昨年における現実の配給を見ましても、そういうような炭を必ずしも買つておらない。それは北海道だからといつて皆石炭ばかり焚くわけではない。薪を使つておるところも田舎ではございます。そういつた面を考えまして、まあ経済の事情も変化いたしますので、その実行に当つて、いろいろ考えなければならないが、おつしやる通りそれがその当時の価額が仮に二千八百円なら千八百円にすると現在只今お約束するわけにはいかんと思いますが、御趣旨の点はよく考慮して行きたいと思います。
  107. 木下源吾

    ○木下源吾君 そうするとその当時になれば、考慮を改めてすると了解して差支えないのですか。
  108. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 大体さようであります。
  109. 中井光次

    委員長中井光次君) どうですか。大変時間が経ちましたのですが、……。
  110. 木下源吾

    ○木下源吾君 大蔵大臣にはまだ聽きたいことがあるのですが、又の機会に……
  111. 中井光次

    委員長中井光次君) 折角ですからまとめて時間のかからないように簡單に願いたいと思います。羽仁委員
  112. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 大変遅くなつているのですが、問題が重大なので簡單に大蔵大臣質問いたします。第一に現在の国家公務員生活の状況が非常に悪いということを、こういう点も併せてお考えになつているかどうかということを伺いたいのですが、それはやはり端に見て国家公務員というものは、若し国家公務員というものがなければ、非常に大きな組織力を以て、その主張をすることができる立場におりますね。大企業に匹敵する地位にいる。その大企業の民間の勤労者に対して全然比較にならない程悪い状態におるのではないかという点、これは人事院でもそういう主張を掲げておられますが、そういう点は全然御了解がないのかどうか。今一つ国家公務員給與が非常に劣悪である結果は、国家公務員に優秀な人が段々少くなつて来て、無能な人が段々多くなつて来る。これは実際の実例としてそういう結果、国の財産というものに及ぼす損害は非常に大きい。これは例えば駅において駅員が非常に未熟であるために、貨物を一つぶつつければ、それだけで何十万何百万という損害が起つて来るので、そういう意味から国家公務員生活の状況が余りにも悪いので、そういうような結果が出て来る。こういう点も十分お考えになつているかどうか、それを伺いたい。
  113. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 国家公務員の組織が厖大なものであるから、民間の大産業と比較を取るべきだという考えに対しましては、私は賛成することはできないのであります。これはやはりいろいろな事情を勘案して、それは結果的にはずつと昔は、公務員の方がよくて民間の方が惡い時代のあつたことも御承知の通りだと思います。やはり全般的な問題で考えなければ、ならんと思います。第二の、公務員につきましてはできるだけ立派な人を採るべきだというお話はこれは同感でございます。私は今でも相当立派な人が採られつつあると考えております。やはり役人になるのは俸給だけの点で決まるべきものでないというのが私の考であります。
  114. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 それらの点について大蔵大臣のお考えがどういうものかはつきり分りましたが、第二に伺いたいのは、政府はしばしば給與を比較される場合に、昨年の三月から比較されておりますが、それの考え方に対して、実際は一昨年の七月からの問題であつたということは、まさかお忘れになつていないと思いますが、現在問題になつている給與ベース改訂には、この過去において公務員実質的に受けた損害、それを国家としては考えなければならんのじやないか。現に一昨年の七月から給與ベース改訂問題が起つて、一昨年の七月に連合軍の司令官の書簡が出て、そして普通の形で給與の問題が解決されるという形が取れなくなつたわけですから、その後にずつと物価が上つている。その間に受けた損害というものは、事実上公務員の中には非常に負債を負つている人が多い。この事実は多分御承知だと思います。そういう借金を背負つて公務員としての勤めを果すことは非常に困難じやないか。だから今後物価が上るか下るかということよりも、今まで上つて来た間に受けた損害というものに対して、この際適当な給與ベースを改正するということは全然お考えになつていないのかどうか。
  115. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 私は公務員の災害とか負債とか考えておりません。人事院勧告によりまして六千三百七円べースを実行された。それが昨年の三月からいよいよ実行されることになつた。そうして現実の問題としてC・P・Iは下つておる。こういう現実の問題を見て、給與ベースは暫く変えずに行きたいとう考えで行つているのであります。
  116. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 第三に伺いたいのは、大蔵大臣は、この現在の給與べースを改訂することは若しやできはしないかというような、そういう御努力をどの程度までなさつたことがありますか。全然なさつておりませんか。
  117. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 私は人事院勧告が出ます前に、予算の編成につきまして、大きい問題としてこの問題を取上げたのであります。併し先程来申上げましたように、これを上げますと非常に影響するところが多いとして、先ず自分といたしましては減税その他の政府施策実質賃金を上げて行くようにしたい。こういう考の下にいろいろな施策をやりましたし、又今後もやつて行く考でおるのであります。
  118. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 今の点は実質上の減税にならないということから、具体的に努力をされる必要があると思うのです。  第四に伺いたいのは、いわゆる経済安定という面において、大蔵大臣は購売力の増大ということが重要であるというふうにお考えになつているのか、そういうことは全然お考えになつていないのか、どうなんですか。
  119. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 適当な購売力の増大ということは、やつぱり日本の生産を殖やし、経済を明るくする上において必要であると考えております。併し力以上の購売力の増大ということは、インフレを刺戟することになる、こう考えまして、先程も申上げましたように、徐々に生活水準を引上げて行こう、こういうことを考えております。
  120. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 第五に伺いたいのは、大蔵大臣人事院というものを、一つの権威ある組織というふうにお考えになつているか、そうでないか。そのことと関連して、一体国家公務員の雇主は誰か、まさか大蔵大臣だとはお考えになつていないと思うのでありますが、そうだとするならば、結論として、大蔵大臣なり政府なりが、国会に対して負うところの責任は、給與べースの問題について、若し給與ベース引上げればこういう予算になる……さつき例えば増税になるとか、或いはいろいろなことを言われましたが、その給與ベース引上げて、できるだけ増税などにならないような、そういう措置が採られるか、採られないか、その二つですね。つまり給與ベース改訂すればこういう予算になる、改訂しないで行けば、こういう予算になるという。そういう努力国会に対して全然今までなさつていないで、ただ一方的にその給與べースを改訂上ない予算だけを組んでおられるが、併し理論的に言えば、国家公務員の雇主というものは大蔵省でもないのだから、従つて人事院というものを政府一つの権威ある機関であるとするならば、人事院勧告を実現せられるような予算というものをも国会に出して、そういういずれを国会が取るかというような考え方、そういうような考え方で御努力になる。そういう意味で私は、今どの程度までの努力をなさつているのか伺つたのですが、そういう努力が全然なされないのか、人事院というものを一つの権威ある機関とお考えになつていないのか。
  121. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 人事院は御承知の通り、ああいうふうに出来たもので、我々はその意見は十分権威あるものとして考えます。併し人事院勧告がありましたからと言つて、予算を人事院勧告従つてつたときにはこうなるという、別の予算を出す考はございません。
  122. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 最後にお伺いしたいのですが、国家公務員給與というものは、国家公務員法が決定するのではないのですか、どうですか。若し政府が、国家公務員法によつて国家公務員給與決定されるのではないという考え方に立つならば、国家公務員もその自分の生活を守るために、国家公務員法というものによることができないということになつて来るのは当然だと思います。その点どうです。
  123. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 国家公務員給與はやはり規定によつて決められるものと考えます。
  124. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 それじや結局最後大蔵大臣に対して期待したいことは、大蔵大臣は勿論大蔵大臣ですが、併し單に大蔵大臣ではなく、現に現在国家公務員数百万の人の期待が、或いは失望が、或いは怨みがあなたに向つて集中されんとしておるから、そういう意味で、あなたはまだお若いことでもあり、将来の政治的な御希望というものもおありと思うから、この問題が民自党の独裁によつて、さつきも繰返されて言われましたように、民自党の独裁で、どういうことがあつても上げることができても上げないという印象をお與えになることは、非常に残念なことではないかと思うので、何とか努力せられて、そうしてこの国家公務員数百万の人達の窮状と、そのために国家公務が荒廃して行く、或いは国家がいろいろ損害を受けるということも深く考慮し、その点の御努力をお願いして、私の質問を終ります。
  125. 木下源吾

    ○木下源吾君 先程河野局長から言われたことを、大蔵大臣はこれは承認されますね。
  126. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) この問題は重要な問題でございますので、只今のあなたの御質問なり河野局長の答弁を速記録を見まして検討いたして見たいと思いますが、大体何と申しましても将来の問題でございまして、炭価がどうなるかという問題もありましようし、一応この点につきましても、これは北海道石炭手当でありましようが、内地の石炭の価格、薪等いろいろな点を考慮してから、お答えするということが適当と考えます。
  127. 木下源吾

    ○木下源吾君 実は水田政務次官の答弁もこう言つておる。局長のお話もお聞きの通りなんですから、大蔵大臣お聞きの通力のやつを承認せられるかどうかということを言つておるのです。
  128. 池田勇人

    大蔵大臣(池田勇人君) 主計局長の答弁もあなたの質問も聽いておりましたが、まだ私腑に落ちない点がありますので、大蔵大臣としての答弁は速記録を調べ、事情を調査した後において結論を出すのが適当と考えます。
  129. 木下源吾

    ○木下源吾君 私は今、局長と私との間の話をあなたに裁判して貰おうというのではない。あなたにお聽きをすることを局長が代理で御答弁をなすつたと、私はそう考えておる。それですから、まだ腑に落ちんければ、落ちるまでお話をしたいのですが、先程はそのときになれば考慮するというこういう局長の話に対して、私はあなたに……これらは水田次官もそう言つておるのです。
  130. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 水田政務次官の答弁はまだ聽いておりません。主計局長の答弁は聽きました。併しこの問題はいわゆる主計局長が言つておるように、予算の範囲内において、その実情に副つたようにするのが一番いいので、今から、そうします、ああしますと言うことは、まだ早いのじやないが。若しはつきりした考を言えとおつしやるならば、永田君並びに主計局長は政府委員でございますから……。私の考え方はやはり石炭手当と申しましても、いろいろな事情がありますから、石炭につきましても何トンということ、どの石炭を配給するということによつてでも違います。地区によつて事情も違いますから、石炭のことを北海道を例に取りましてこうだと言うことも困難でございますから、政府におきましても、予算の範囲内におきまして、実際一番いい方法をやるのが務めでありますから、今、炭を配給するとか、石炭を配給するとか、薪を配給するとかということは、或いは炭価の点はどうだということは、そのときどきの事情によつて善処いたしたいということを考えております。
  131. 木下源吾

    ○木下源吾君 いろいろお話がありましたが、予算は二千五百円に組んでおるけれども、その当時の状況によつて判断するのだ、こういうお話はその通りに受取つてよろしゆうございますか。
  132. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) その通りであります。石炭がどれだけになるかも分りませんし……
  133. 木下源吾

    ○木下源吾君 石炭がどのくらいになるかということではないのです。私は少くとも法律上においては三トン、一トンというものを明示しておる。予算の範囲内ということも書いてあるのです。一トンの価格二千五百円と政府が予算を組んでおるから、一トンの価格を組む以上は、私は、三トンというものを基準にしてというふうになつておるのだと、こう解釈しておるのです。石炭はなんぼかやる。その金はあれだけしかやれないというお考ではなかろうかと思うのです。要するに一トンの価格二千五百円と組んでおるけれどもその価格はこれはその当時の状況から善処すると、こういう今のお話を私はその通りに承つて置きたいと思うのです。
  134. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 予算に組んでおるのは飽くまで予算でございます。実際問題にぶつかりますならば、これはいろいろな点を考慮して実行しなければならないと考えております。
  135. 中井光次

    委員長中井光次君) それでは大変遅くまで御苦労様でございました。本日はこれで散会いたします。    午後五時五十一分散会  出席者は左の通り。    委員長            中井 光次君    理事            木下 源吾君            小串 清一君            宇都宮 登君    委員            大山  安君            寺尾  博君            羽仁 五郎君            岩男 仁藏君   国務大臣    大 蔵 大 臣 池田 勇人君   政府委員    人  事  官 山下 興家君    大蔵事務官    (主計局長)  河野 一之君