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1950-03-16 第7回国会 参議院 在外同胞引揚問題に関する特別委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年三月十六日(木曜日)    午前十一時八分開会   —————————————   委員の異動 三月十五日委員大隈信幸君辞任につ き、その補欠として紅露みつ君を議長 において指名した。   —————————————   本日の会議に付した事件 ○ソ連地区残留同胞実態調査に関する  件  (右件に関し証人証言あり) ○証人喚問に関する件   —————————————
  2. 岡元義人

    委員長岡元義人君) 只今から委員会を開会いたします。委員外議員の方は委員席から退いて頂きます。(細川嘉六君、「岡元君、これは今までの委員会座席の空いている場合は何とも言わないのに、この場合特にそれを言うのは一体どういうわけか」と述ぶ、「委員長の許可を求めろ」「座席を後へ引け」と呼ぶ者あり)尚、委員外発言の際は、後程委員会にお諮りいたします。(「その通り」と呼ぶ者あり)  本日は、今尚酷寒地方ソ連地区及び中共地区に数多くの残留同胞が五年の歳月を迎えつつ、ひたすら帰国を念願している際、今回の高砂丸帰還者の一部より、反動は帰すなと、日本共産党書記長徳田球一民よりの要請があつた旨、本院に提訴され、又本委員会においても証言がなされたのでありますが、又その他の地区よりもこれに類するような口述書も届けられており、未だ帰らざる留守家族は勿論のこと、全国民の危惧は絶頂に達したる感があり、本委員会は、本日日本共産党書記長徳田球一氏の出頭を求め、その真相を国民の前に明らかにすると共に、証言に基き、速かにこれら残留者帰還が実現できるよう、又先の第八回対日理事会においても重要視されている折柄であり、万全の措置を講ぜんとするものであります。  証人におかれましては御多用中御述惑の点多々あつたかと存じますが、本委員会の意のあるところを十分に御理解の上、事実を事実として明らかにされんことを期待するものであります。  宣誓に入ります前に、証人に御注意申上げます。これから宣誓を行つて証言して頂くのでありますが、若し虚偽の証言を陳述したときは、議院における証人宣誓及び証言等に関する法律第六條によりまして、三ヶ月以上十年以下の懲役に処する罰則があり、又正当の理由なく宣誓若しくは証言を拒んだときは、同法第七條によりまして、一年以下の禁錮又は一万円以下の罰金に処せられることになつておりますから、この点御注意申上げておきます。但し民事訴訟法第二百八十條(第三号の場合を除く。)及び二百八十一條(第一項第一号及び第三号の場合を除く。)の規定に該当する場合に限り、宣誓又は証言若しくは書類の提出を拒むことができます。これも併せて御注意申上げて置きます。念のために先ず民事訴訟法第二百八十條の該当部分を朗読いたします。  第二百八十條、証言カ証人ハ左ニ掲クル者ノ刑事上訴追又ハ処罰招ク虞アル事項ニ関スルトキハ証人ハ証言拒ムコトヲ得証言カ此等ノ者ノ恥辱ニ帰スヘキ事項ニ関スルトキ亦同シ   一 証人配偶者、四親等内ノ血族若ハ三親等内ノ姻族又ハ証人ト此等親族関係アリタル者   二 証人ノ後見人又ハ証人ノ後見ヲ受クル者  次に、民事訴訟法二百八十一條該当部分を朗読いたします。  第二百八十一條左ノ場合ニ於テハ証人ハ証言拒ムコトヲ得   二 医師歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教又ハ祷祀ノ職ニル者ハ比等職ニリタル者カ職務知リタル事実ニシテ黙祕スヘキモノニ付訊問受クルトキ前項規定ハ証人カ黙祕ノ業務ヲ免セラレタル場合ニハ之ヲ適用セス 以上であります。
  3. 中野重治

    中野重治君 議事進行に関して……。只今徳田証人調査に関する件、調査事項」という五つ項目を刷つたものが、新らしくここに配られましたが、これは  一、二十四年度帰還者受入れに際し日本共産党の採つた処置及びソ連との連絡事項に関して(四・二日指令内容を主体として)  二、昨年度集団入党したる者から脱党の申出を拒否せる件(入党強要の件として)  三、秋田市における徳田氏の講演内容について  四、二四・五・五日帰還促進要請に関して  五、「反動を帰すな」の要請に関して  と、この五つ項目が刷られております。これは先程の理事会では、こういう項目調査事項として申合せすることは正しくない、どこまでも問題は、委員会要請によつて佐藤参議院議長が公に証人として出頭を求める通知に書き込んだところの証言を求める事項、「ソ連地区残留同胞実態調査に関し日本共産党書記長より「反動は帰すな」との要請問題とこれに関連する諸問題についてこの調査」、この書かれた項目と、ここに調査事項として五つ並べられたものとは全く違う、又甚だしく違つている。そうしてこのことは、打合会ではこういうやり方はよろしくないから、このうちの三、四、五は、成る程通知に書かれたものと関連があるが、一、二は、こういう問題は引出そうと思えば幾らでも引出せて来れる問題だし、それは各委員が自由に引出していい、委員会はこれを拘束するものではないからというので破棄された筈ですが、何故今新らしく事務局において配られたか、このことを明らかにして貰いたいと思います。
  4. 岡元義人

    委員長岡元義人君) 中野委員にお答え申上げます。それは配らないように事務局に注意してあります。
  5. 中野重治

    中野重治君 議事進行に関して……。これは配らないように委員長が注意したにも拘わらず、事務局が誤まつて独断で配つたと、こういうことになつて明らかになつたと思いますから、それで私は了承いたします。  次に、問題の性質に入つて行きたいと思いますが、私はこの議長の名で出されたところの、証言を求められているところの事項証人証言を求められているところの事項は、すでに明らかになつていると思います。それですから、すでに明らかになつていることについて証言を求めるということは、何らか他に目的があるとしか思われない。そうなると、これは参議院特別委員会としての権威にもかかわりますので、私はその点を先ずはつきりさせて、そうしてこの前二十三日に証人喚問ということに多数決で決定しておつたのでありますが、その後確実な新らしい資料が出て参つているのですから、そのことを説明して、我々は確実な新らしい資料が出て来た場合には、それを避けて通ることは当然できない、若し一層確実な新らしい資料が出て来た場合に、そのより確実なものを避けなければ……避けてでなければ、古い決定が活かせないというふうであれば、これはみずから委員会が確実な資料は避けて通らねばならんものであるという自分の弱味を現わしたことになりますから、(「そんなことまはない」と呼ぶ者あり)この具体的な問題について簡單に説明したいと思います。(「議事進行について」と呼ぶ者あり)最初問題が出て来たのは、久保田証人から提訴された問題であつたと思います。
  6. 岡元義人

    委員長岡元義人君) 中野委員に御注意申上げますが、只今議事進行ということで御発言委員長は許しておるのであります。
  7. 中野重治

    中野重治君 議事進行の一番大事な問題は、私は議事進行について語つているのですが、これは少し詳しく述べなければ分らないと思う。何故かというと(「議事進行関係がない」と呼ぶ者あり)この今日の委員会の一番中心反動は帰すなという……。
  8. 岡元義人

    委員長岡元義人君) 中野委員に申上げますが……。(「今まで理事会で打合せたことをここで繰返すことは議事進行じやない」と呼ぶ者あり)
  9. 中野重治

    中野重治君 私の発言するのは、議事進行に関して最も重要な問題であるということを言います。(「違う」と呼ぶ者あり)
  10. 岡元義人

    委員長岡元義人君) 委員長は承わり置きます。
  11. 中野重治

    中野重治君 それで問題は何かというと、委員会に提訴があつて、そうして反動は帰すなという徳田要請があつたということから、そういうことがあつたか、なかつたかということを中心にして証人喚問というところへ行つたわけであります。従つてそういうことが明らかになつたということが明らかであるならば、(「ちつとも明らかじやないじやないかと」呼ぶ者あり)喚問理由は消失する。これは最初決定したときは、それが理由があつたけれども、今となつてはその理由は消失する。こういうことになります。ところが我々は古い決定によつて喚門しておるんですが、事実においてはその喚問理由はなくなつておる。これこそこの委員会中心眼目であるのですから、若し我々が喚問理由なきものを喚門して、そうして証言を求めようとすれば、これは議事運営が根本において破壞されるということになつてしまう。それだから私はそのことを諮つて、そうして若し喚問理由が完全に消失しておるということが委員会によつてはつきり認められれば、それはそういう間違つた喚問という過失を委員会は犯さなくてもいいのですから、これこそ大事なことと思つて、私はその理由を述べるわけであります。それでその第一は、久保田氏等々によつて提出された例の反動は帰すなという要請があつた、こういう問題です。このことに関してはあのとき久保田氏から提出された文書の中にも、菅という通訳を介して聞いた、こういう話がある。ところが当時それではその菅通訳を呼び出して、証人として呼んで聞くことこそ問題を一番はつきりさせるゆえんであるという意見淺岡委員からも出、天田委員からも出ておつたのですけれども、当時事務局菅通訳の居所を明らかにしなかつた。確かに帰つておるけれどもはつきりしない。こういう意見があり、且つ事務局からどういう根拠に基いてだかは分りませんが、菅氏は朝鮮人であるらしい、それならば朝鮮人証人を呼べるかどうかという問題さえも出た。併し菅氏は実在しておつて、そうして事実はこれこれであつたということを共産党にも言つて来ておる。(「委員長しつかりしなければ駄目だ」と呼ぶ者あり)菅氏の文書はこの委員会ちやんと出ておる。委員会に出ておる以上は、(「委員会」の決議を覆えそうとしておる」と呼び者あり)委員会はこれを取上げなければならない。菅氏の発表はこうなつております。
  12. 岡元義人

    委員長岡元義人君) 中野委員に申上げます。只今の問題は資料としてお手許に配つてあるのでありますから、一応今の問題はその程度にして頂きたいと思います。
  13. 中野重治

    中野重治君 それですから私はこれを非常に重大だと思う。明らかになつておるんですから、明らかになつておるものを否定してその先へ進もうということは、私はどうしても……。
  14. 岡元義人

    委員長岡元義人君) 中野委員に申上げます。その問題は委員会として正規にまだ審議いたしてありません。
  15. 中野重治

    中野重治君 だからここで審議しなければならない。
  16. 岡元義人

    委員長岡元義人君) 先ず先程の決定に基きまして進行いたします。
  17. 中野重治

    中野重治君 この問題に関して委員会はどういう見解をするかということをはつきりしなければならない。(「これからやるんだ」と呼ぶ者あり)
  18. 岡元義人

    委員長岡元義人君) 議事を進行いたします。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 岡元義人

    委員長岡元義人君) 徳田証人宣誓を求めます。傍聽の方々も起立を願います。(発言する者多し)
  20. 徳田球一

    証人徳田球一君) まだ宣誓にはならない。宣誓するかしないかは私が述べなければ駄目でしよう。求めておると言つたつて……。委員長が何と言おうと、これから宣誓するかしないかは私の自由である。私は宣誓をする前に委員長に聞かなければならない……。
  21. 岡元義人

    委員長岡元義人君) この際御注意申上げて置きますが、議場を乱すような場合がありました場合には、委員長退場を命じます。
  22. 徳田球一

    証人徳田球一君) 委員長は私に対して証言を求めておる、証言を求める……宣誓を求めるならば、私はこの証人としての出頭通知に関して、委員長に一応質して置かなければ、私が宣誓する内容が分らない。ですからこれを質して置く。ここに問題になつているのは、証言を求める事項というのは、反動を帰すなとの要請と、これに関連する諸問題についてというのでありますが、先程あなたのおつしやつた、お読みになつたものとこれと大体一致しておると思いますが、それでいいですね。然らば私は、この宣誓をする必要は絶対にないと考える。何故ならばこういう要請をしなかつたということに対しては、すでに世上明らかになつているところである。(「明らかになつておらない」と呼ぶ者あり)何らこれらを云々する理由はない。  第一に、私が要請した事項につきましては、ちやんと公表されている。何らこれに反動を帰すなということは全然ない。その全然ないものに関して、諸君のお手許にもちやんとこの写しは出ておる筈です。全然ないのに何故にこれを私に聞くことがある……、これが第一の問題。  第二の問題は、この問題に関してはソヴイエト同盟政府タス通信を通じて、こういうことはないのだ。これは馬鹿々々しい作り話であるということをはつきりタス通信を通じて発表しておるのである。これは政府発表です。権威ある発表である。而もこの政府は、戰争の結果におきまして日本を共同管理している連合国である。諸君連合国政府が明らかにかくのごとき事実はないということを明らかにしておるに拘わらず、更に参議院がここに私を証人として呼んでこれを云々する理由がどこにあるか、どこにある。更に私は言う。(「発言するやつは退場を命じろ」と呼ぶ者あり)私が発言する間はあんた方が余り騒いでは私は発言をやめますよ。私は発言をやめなければならない。そんな混線したのでは話は分らん。そこを私は言う。一体この事項に関して、何とか言つたなあれは……何とかいう男が、向うから帰つて来た男が、何とか証言をしていると言うけれども、それと同じ所から帰つた菅という人、この人がちやんと朝日新聞にも出している。こんな事実はなかつたんだ……。彼らはロシア語を知らない。ロシア語を知つている通訳である菅君がこれを立証している以上、これは何で呼ぶ必要である。朝日新聞が嘘を言うならば、嘘だと思うならば、なぜ菅君を呼んで諸君はこれを調べないか。調べて後にこそ私に対して尚疑いがあるならば求めるべきではないか。諸君タス通信の通信が嘘だと言うならば、諸君ソヴイエト同盟行つてシベリアを調べるなり、モスコー行つてモスコーを調べるなりいろいろしたらいいじやないか。それが我々に何の関係があるか。私の責任に何のあるものか、そんなことは……、そういう余計なことをする必要はどこにある。参議院がこういうことをするならば、参議院自分権限濫用して証人に対してここへ呼び出していろいろなことを聞くことによつて、何らかの利益を君らが得ようという企らみがあると認めてちつとも差支ないじやないか。そうだろう。(「何を言うか」と呼ぶ者あり)権限濫用することはいかんじやないか。(「何を濫用しているか」と呼ぶ者あり)濫用しているじやないか。ここにちやんと明らかになつておる。(「何を濫用しておるか」「非常に民主的にやつているじやないか」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)私は委員長言つているのだ。君に言つているのじやない。(「傍聽発言退場を命ぜよ」よ呼ぶ者あり)そういうことを諸君濫用するならば、「(何が濫用だ」「傍聽発言退場を命じろ」と呼ぶ者あり)これは濫用じやないか。
  23. 岡元義人

    委員長岡元義人君) 退場を命じます。
  24. 徳田球一

    証人徳田球一君) とにかく騒いでは駄目だ。靜粛に、調べるなら靜粛に調べろ。皆わいわい言つて君らは俺の発言を妨げちやいかんじやないか。委員長、妨げないようして呉れ。それで諸君がこういう濫用をするというならば私は敢て宣誓をしてもやります。併し私はそのことに対して委員長から一つ理由を聽きたい。これは濫用じやないか、はつきりしているじやないか。相手方政府が公式に否定している事実に対して私が云々して、それに触れるということは絶対にない……、その点を一つ承わりたいのである。然る上に宣誓をやります。
  25. 岡元義人

    委員長岡元義人君) 委員長からお答えいたします。最初読み上げましたように、本委員会目的は明らかにされております。尚参議院参議院の独自の立場におきましてこの問題を審議いたしておりますので、飽くまで徳田書記長に対しまして宣誓を求めます。
  26. 徳田球一

    証人徳田球一君) 然らば聽くのですが、あなたは私が今聽いたことに対して答えてないじやないですか。発言に答えて呉れと言つたのだ。それが独自の立場か何ら知らんけれども、独自だろうが何だろうが構わない。併し私が要請しているという相手方政府、これがそういう出たらめはないと公式に否定している。私の要請も、これは今に始まつたことではない。ちやんとこの要請文書が出ている、公けになつている。その公けになつていて、そういうことはないということははつきりしているのに、何の独自の見解ですか。
  27. 岡元義人

    委員長岡元義人君) お答えいたします。まだこの委員会においては明らかにされておりません。飽くまで……(「議事進行について」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
  28. 徳田球一

    証人徳田球一君) それならば社会において明らかになつていることもこの委員会で、一々ここへ来て証言をしなければ明らかにならんわけですか。社会公知の事実をこの委員会だけが眼を閉ざして、この委員会に持つて来てやらなければこれは公然たる事実にはならんといわけですか。(「委員長」と呼ぶ者あり)そういうわけですね、そういう非常識なことがあるのですね、参議院には……。参議院にはそれがあるのでしような。それを確言して置く。あるならあるで私も宣誓して大いに争います。(「答弁する必要はない」と呼ぶ者あり)答弁する必要がなかつたら……。
  29. 岡元義人

    委員長岡元義人君) 飽くまで宣誓を求めます。
  30. 徳田球一

    証人徳田球一君) なぜ答えないのか。私が宣誓する以上、單に宣誓を強いられて宣誓すべきじやない。宣誓すべき理由ちやんとはつきりして、責任を負うて宣誓しなければならない。それなのに法律ちやんと宣誓を拒否する理由も書いてある。これから拒否する理由を言うかも知らない。だからあなたに先ず聽くんですよ。それで私が退席して、委員会で論議してから答えるというならそれでもよろしい。(「委員長々々々」と呼ぶ者あり)ちやんと今私が発言している、委員長発言を私に許しているんですよ。
  31. 小林英三

    小林英三君 徳田証人の今の発言徳田証人自身発言であります。我々委員会は飽くまで所期の通り証人宣誓をさせまして、そうして委員会を進めて行くべきだと思います。
  32. 中野重治

    中野重治君 議事進行に関して……、委員長宣誓を求めることは、事柄自体は形式上領けるのですが、如何なる理由によつて宣誓を求めるかということを宣誓を求められた当人から問われて、そうしてそれを答えることができなくても、或いは答えることを拒否しても、それでも宣誓させようということはこれは全く暴力的になる。そういうことは、委員長がそういう暴力的な反民主的な行動に出るとすれば、委員会としてはかかる委員長委員長として留めて置くことはできない。だから少くとも証人として呼んで、そうしてかかることについて証言をして貰いたい、それについてはちやんと宣誓をして貰いたいというのであるならば、求められた証人から問われたことに対して筋の通つた答えをしなければならん。若しそれをしないで宣誓をさせようということをするならば、我々は委員会として許すことができない。
  33. 門屋盛一

    門屋盛一君 先程から大分ごたごた揉めているようでありますが、徳田証人衆議院におつてよく国会のことは御存じの筈なんですが、それは成る程ソヴイエト政府発表もあつたことはあつたでしようが、この問題は参議院の当委員会として取上げておる問題です。それでこの取上げておる過程において、しばしば中野委員から必要があるとかないとか、先程から言われたようなことが問題になつたのですが、それがそういう事実がないとはつきりすることも引揚促進の上に必要であり、国民の不安を一掃する上においても参議院として何ら出過ぎた処置でもない。こういうことを一応御了解願いたい。(証人徳田球一君「委員長」と呼ぶ)待つた、それであなたも衆議院委員会証人喚問なさつたでしようが、委員会決定して証人として出て頂きます以上、それが一つ規定によつて宣誓を求められたら、いわゆる普通のルール従つて発言なさつて、そうして委員長から証言を求められたことに対して、この委員会の公開の席上を通じて、もう一回ないことはないとおつしやつても、私は何ら大した問題じやないと思います。これを何だかんだと言われることは却つて何だかそこにありそうな気がして却つてよくないのじやないか。殊に中野委員の先程から持出されておることは、先刻の理事会においてみんな決定済みのことをここで蒸し返されておる。これは議事進行じやない、議事を遅らせる方法ではないか、こういう議事進行があつてはいけない。(「委員長議事進行」と呼ぶ者あり)どうか一つ徳田証人の方でも御了解下さつて委員長の方から……参議院を、或いはいろいろ誹謗されたり、何らかの利益のためにやつているというが、無論国民利益のためにやつております。それだけははつきり申上げます。決して個人利益ではやつておらない。委員長は臆することなく堂々と宣誓さして証言を求めて貰いたい。
  34. 岡元義人

    委員長岡元義人君) 宣誓を求めます。
  35. 徳田球一

    証人徳田球一君) 宣誓を求めても……、まだ返事しないじやないか、返事しないでなぜ宣誓を求めるか、今門屋委員からのお話でありますが、私もいわゆる今は考査委員会になつている不当取引委員会、その他隠退蔵物資委員会でたびたび証人は呼んで調べておる。君らよりも先輩かも知れない。大いにやつておる。やつておるけれども、公知の事実を調べたことは絶対にない。明らかになつている事実を再び調べるということは証人に対して極めて侮辱的態度である。どこにそういうことがある。世界中廻つて見ても公然たる事実、堂々たる連合軍の一員である政府が、公式に声明しているものに対して、これが事実であるかどうかを私を呼んで聽くなぞ、とんでもないことだ。聽くならばモスコーに行つて聽きなさい。そういうことを諸君がやるに至つては。私はそれを承諾することはできない。だからしてこれをしも尚且つ呼ばなければならないという点に対しては、ルールからいつてもかかるルール議会にはない。議会は少くとも、これは公けの常識に従つてやるべきだ、そんな非常識なことをやれば、それはもう議会が笑われる一方だ。もう一つ問題は、憲法十三條は、「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」、私の名誉に対して、私も議員としての権利に対する尊重を、こういうことではとてもできないと思う。公の、公知の事実、発表せられた事実、而も堂々たる相手方政府、我々を今管理しておる政府、この連合国軍政府の公式な発表を無視し、尚且つ私に質すというならば、明らかに憲法十三條違反である。諸君権限濫用しておると私は認めざるを得ないのであります。それでも尚且つ諸君がやると言うならばやりましよう。理由を申せ、理由を申して、理由言つて、やりなさい。
  36. 岡元義人

    委員長岡元義人君) 理由は先程申述べた通りであります。尚、証人から宣誓を求めます。
  37. 徳田球一

    証人徳田球一君) 諸君はまだ私に対してちつとも正当な、適切な回答はしない。回答なしに無理やりに宣誓をさせたということをちやんと速記録はつきりさして置いて貰いたい。何ら私の質問に対して回答を與えておらない。これを宣誓をさせる理由は絶対にないと思う。そういうすでに調べる理由すらないにも拘わらず、再び不法なことをして、私に宣誓をさせ、且つ証人にしたということに対して、特別、明確に速記録に書いて頂きたい。然る後に私はやる。    〔中野重治君「議事進行に関して」と述ぶ〕
  38. 岡元義人

    委員長岡元義人君) 只今徳田証人宣誓を求めております。    〔中野重治君「議事進行に関して」と述ぶ〕
  39. 岡元義人

    委員長岡元義人君) 只今宣誓を求めておる最中ですから……。    〔中野重治君「委員長宣誓を求めたについて、如何なる理由宣誓を求めるのかということを聞かれておるじやないか、聞かれて答えないで、どうして宣誓を求めることができるか、そういうことは委員会委員長としてできないよ。そういうことをやるから、あらゆることがこんがらがつて来るのだ、問題が……。もう一遍簡單に言えば……」と述ぶ、「委員長発言を許可していない」と呼ぶ者あり。中野重治君「委員長宣誓を求めたのは如何なる権能に基いて……」と述ぶ〕
  40. 岡元義人

    委員長岡元義人君) 発言を許しておりません。    〔中野重治君「求めたことに対して答えていないじやないか、そういうことは非常に恥かしいことだ」と述ぶ、「恥かしいかどうか知らんが」と呼ぶ者あり〕
  41. 岡元義人

    委員長岡元義人君) 飽くまで宣誓を求めます。傍聽の方も全員起立を願います。    〔総員起立、証人は次のように宣誓を行なつた〕    宣誓書   良心に従つて真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 徳田 球一
  42. 徳田球一

    証人徳田球一君) 判こはありませんから、ここへちやんとサインして置きます。
  43. 岡元義人

    委員長岡元義人君) 着席願います。
  44. 中野重治

    中野重治君 議事進行に関して……。
  45. 岡元義人

    委員長岡元義人君) 簡單に願います。
  46. 中野重治

    中野重治君 この委員会証人宣誓をさせてこれから問題に入ろうとするのですが、私はその冒頭に、委員長から委員会を代表して宣誓を求められた本人から宣誓理由を問われて、答えられないままに委員会に入つて行かなきやならないことについて遺憾の意を表明して貰いたい。(「必要なし、必要なし」と呼ぶ者あり)
  47. 岡元義人

    委員長岡元義人君) 中野委員にお答えいたします。私は必要を認めません。  尚、本日の運営に関しましては、一応委員長から徳田証人に対しまして一応の質問をいたしました後、各委員から質問をして頂く、先程申合せをいたしましたので、この点御異議ございませんか。   (「異議なし」と呼ぶ者あり)
  48. 中野重治

    中野重治君 議事進行に関して……すでにさつきから度々話題に上つている肝腎の菅通訳のその問題を、先ず問題にして貰いたいと、こう思います。(「後の委員会でいいよ」と呼ぶ者あり)
  49. 池田宇右衞門

    ○池田宇右衞門君 議事進行に関して……委員長議事に入る前において、委員長並びに理事において、本日の日程について如何なる方法を以て進行して行くかということについて御協議なさつておることであろうと信じます。その方針によつて議事の進行を願うことにいたしたいことをお願いいたします。
  50. 中野重治

    中野重治君 議事進行に関して……(「もういいじやないか」「やれやれ」と呼ぶ者あり)今池田さんからの発言尤もであります。併しながら打合せの席上では、宣誓を求められた証人から宣誓理由を問われて、委員長から答えることができないというようなことは予測しておらかつた。それですから、池田さんの言葉は誠に尤もでありますけれども、新らしい事態がすでに生じているのですから、改めて打合せをするなりして進行しなければ、本当の議事進行にはならない。つまり私は池田さんのお言葉には賛成ではあるけれども、これを活かすようにして貰わなければならん、こう考えるわけであります。
  51. 北條秀一

    ○北條秀一君 議事進行について……只今中野委員からのお話は、先程徳田証人から、自分の主張を明らかに速記録に残して置け、その上で宣誓するというふうに言われておりまして、証人自身もこの本日の議事に入ることを承認されておると私は思いますが、折角の中野委員議事進行についての要求でありますが、理事会において打合せしました通りに、直ちに議事を進行されることが最も妥当であると私は考えますので、さようお取計らい願いたいのであります。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  52. 淺岡信夫

    ○淺岡信夫君 大体委員長中野委員ばかりを発言さしている。先程から本委員がいろいろと発言を要求しているのに一向許さん。片手落なことをしちや困る。今北條委員が動議を出したように、その動議を取上げて一つ進行を願いたい。
  53. 中野重治

    中野重治君 議事進行について……(「又か」と呼ぶ者あり)諸君がそういうことを言うから私は繰返さなきやならない。私はこういうことは言いたくない。殊に淺岡委員から、本員から度々発言を求めているのだが、委員長中野委員にのみ許しているというようなことを言われたくない。併し問題のあり方として、委員会としてスムーズに事を運ばなければならないから言つている。我々は少し頭を冷やして、問題がどこから出て来たかを考えるならば、例の久保田証人証言から問題が出て来ている。それについては菅通訳ば公然と発表している。それは委員会に届けられておる。一方ソヴエト政府はそういう馬鹿な捏造はなかつたということをちやんと発表しておる。こういう明らかな事実に基いて我々が進めて行くのが大事だ。つまり委員長から、これから質問を総括的に始められるに当つて、その道筋をここから行くべきである。これが私の議事進行に関しての意見であります。
  54. 北條秀一

    ○北條秀一君 議事進行について……先程私がこの議事進行についての意見を述べたのでありますが、成る程中野委員が言われますように、この問題は通訳をした菅君その他の公然たる発表があつたわけでありますが、同様に又この対日理事会におきましても反対の発表がすでに公表されておるわけであります。でありますから今日の委員会におきましては共産党書記長徳田球一氏も、証人としてもうすでに公表したのだから今更言う必要はないじやないかということを言わずに、先程自己の主張を明らかにして宣誓をされた後でありますから、或いはそんなことをもう一度繰返すということはくどいというのであるかも知れませんが、この際はもう少し寛大になつて中野委員も了承して頂きましてすらすらと議事を運んで行けば、極めて簡單に済むのではないかというふうに考えますので、先程私の議事進行についての動議のお諮り願いまして早速集めて頂きたい、こう重ねて申上げます。
  55. 淺岡信夫

    ○淺岡信夫君 先程の北條委員の動議に賛成するものでありまするが、先程中野委員が菅季治の問題を出されましたが、菅通訳を呼べということは私が強調したけれども、今日までそれがなされていない。ところが菅通訳がすでに特別委員会朝日新聞、アカハタに書面を送られた。その書面はアカハタ並びに朝日新聞に載つているが、アカハタはそれに対して歪曲をして載せておる。そういうことは判然としておる。そうした問題を今後この委員会において処理し、或いはアカハタの責任者であるかどうか知らんが、共産党の書記長徳田君にそうした問題を質して見なければならん。これが一連の要請である。
  56. 徳田球一

    証人徳田球一君) 余計なことを言うな。そんなことを言う必要があるか。
  57. 淺岡信夫

    ○淺岡信夫君 默つておれ。
  58. 徳田球一

    証人徳田球一君) 俺はアカハタじやないのだ。
  59. 淺岡信夫

    ○淺岡信夫君 だから関連があるかということを質しておる。
  60. 徳田球一

    証人徳田球一君) そんな余計なことを言う必要はない。
  61. 淺岡信夫

    ○淺岡信夫君 余計なことはない。すでに菅季治がその問題に対して明らかに書面を特別委員会によこしておる。そうした問題をこれから取上げて行くということが本委員会の使命である。然らばだ、今北條委員が動議を出して、その動議に私は賛成をしておる。採決をしてそうして進行して貰いたい。(「その通り」と呼ぶ者あり)
  62. 中野重治

    中野重治君 採決に入る前に一言……。
  63. 岡元義人

    委員長岡元義人君) 北條委員の動議が成立いたしておりますのでお諮りいたしますが、淺岡君の発言通り異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり、中野重治君「反対々々」と呼ぶ〕
  64. 岡元義人

    委員長岡元義人君) では進行いたします。先ず要請問題についてお尋ねいたします前に、一応徳田書記長にお伺いいたしますが、只今手許に差上げました指令第三四七、昨年四月二日、日本共産党中央委員会事務局より出されました文書の中に「新らしく帰還する者は昨年度の帰還者より更に積極化しており、その大部分の者は直ちに党組織に参加して闘うことを決意して帰るのである」傍線が引つ張つてございますが、この点はどのような意味であるか、証人にお伺いいたしたいのであります。尚その次に「吾々は二十数万と予想される。」こういう工合に数字が書いてございますが、これは根拠のある数字でございますか。その点お伺いして置きたいと思います。
  65. 徳田球一

    証人徳田球一君) これは事務局から出したのですから私は知りません。私は書記長でこの事務局のことは知らん。もつと大きいことならば知つておる。
  66. 岡元義人

    委員長岡元義人君) 次にお伺いいたしますが、昨年度の帰還者の中で、共産党に入党した者の中で、最近脱党したいという者の申出がありましたが、地方世話課等に相談に参つておりますけれども、徳田書記長は先にその点に関しましては政党を選ぶのは自由にしてあるのだということを発表されておりますが、脱党に際しましてはそういうようなことに対しての……。    〔傍聽席騒然〕
  67. 草葉隆圓

    ○草葉隆圓君 委員長傍聽発言を禁止せよ。
  68. 岡元義人

    委員長岡元義人君) お靜かに願います。
  69. 北條秀一

    ○北條秀一君 議事進行について……。本日の傍聽諸君委員長は特にこの際注意して貰いたい。それはおかしければ笑うとか、或いは必要ならば野次を飛ばすということはこれは個人の自由かも知れませんが、ここではルールがありますので、そのルームに従う人達がこの中に入り得るのでありますから、従つてそのルールを破る人は当然退場を命ぜられるわけであります。併しながらそういうルールにこだわらずに、本日のこの委員会を最も円滑に進めるために、特に傍聽者の各位は良識を以て靜粛に終始して頂くように、重ねて委員長はこの際嚴重に警告を発して頂きたい。
  70. 岡元義人

    委員長岡元義人君) 北條委員からの御発言もありましたが、先程も委員長から十分に御注意を申上げておりますけれども、議場が混乱に陷るような、或いはそういう委員外の方々から遺憾な発言等がありました場合においては、退場を命ずることがありますから、その点を十分御注意願いたいと思います。  質問を続けます。徳田証人にお伺いいたしたいのは……。    〔傍聽席騒然「退場を命じろ」と呼ぶ者あり、議場騒然〕
  71. 岡元義人

    委員長岡元義人君) 退場を命じます。
  72. 徳田球一

    証人徳田球一君) 人を呼び出しておいて時間を潰すとは何だ。侮辱するな。
  73. 岡元義人

    委員長岡元義人君) 靜粛に願います。退場を命じてあります。
  74. 中野重治

    中野重治君 委員長が命令しないうちに衞視が勝手にやるならば、委員長はどうするのだ。
  75. 岡元義人

    委員長岡元義人君) 靜粛に願います。これ以上混乱に陷る場合には傍聽を禁止します。
  76. 中野重治

    中野重治君 委員長議事進行について……。
  77. 岡元義人

    委員長岡元義人君) 今質問中ですから待つて下さい。靜粛に願います。証人に質問を続けます。(「継続々々」と呼ぶ者あり)昨年度帰還者に、入党した者で脱党を申出た者に対して拒否されたようなことはございませんか。
  78. 徳田球一

    証人徳田球一君) それはあなたは事実を挙げなさい。そんなただ抽象的なことを言つてはいかんです。苟くも証人からものを聞く以上は諸君ちやんと事実をまとめて、その事実に対してどうといつて聞くものです。そんな抽象的なことに答えられますか。(「その通り」と呼ぶ者あり)
  79. 岡元義人

    委員長岡元義人君) 証人に申上げます。我々委員会におきましては、そのような資料を今まで持つておりますので只今お尋ねいたしたものであります。
  80. 徳田球一

    証人徳田球一君) そういうならばその資料を出しなさい。どこの所で誰がどうしてやつたかということを聞かなければどうして訳が分りますか。あなたはそんな高等なもつと我々よりも上の知覚を持つておりますか。(笑声)具体的に言わなければ返事ができません。できるはずがないじやないか。不可能なことです。
  81. 淺岡信夫

    ○淺岡信夫君 できなければできないでいいじやないか。
  82. 徳田球一

    証人徳田球一君) 君は余計なことを言うな。そんなことは不可能じやないか。
  83. 淺岡信夫

    ○淺岡信夫君 できなければできないでいいんだ。
  84. 徳田球一

    証人徳田球一君) 余計なことを言うな、俺は委員長に話しているんだ。そういう不可能なことを強いるということがありますか。具体的に事実を言いなさい。そうしたら言います。
  85. 北條秀一

    ○北條秀一君 私はこういう発言をすることは誠に遺憾でありますが、傍聽席の方に先程委員長から嚴重に警告して貰つたんですが、我々委員の中も余り口を出さないようにしなければ混乱いたしますから、委員各位におかれましても良心的に議事を進めて頂きたい。
  86. 岡元義人

    委員長岡元義人君) 承知いたしました。
  87. 門屋盛一

    門屋盛一君 同様にひとつ証人も余り怒らさずにやつて貰いたいですよ。
  88. 徳田球一

    証人徳田球一君) それは君らが怒らせないようにすればいいんだ。(笑声)無法なことを聞けば俺は怒るよ。ちやんと人間らしい常識を以て聞け。(笑声)人間以上のことを言うからいけない。(「議事進行々々々々」と呼ぶ者あり)
  89. 岡元義人

    委員長岡元義人君) 次にもう一つ証人にお伺いいたしますが、昨年秋田市におきまして徳田書記長の演説の中に、引揚の遅れるのはソ連がよこさんのではなく日本政府が船を送らないからだ。(「その通り」と呼ぶ者あり)日本は国土も狹いし食糧事情も悪いから沢山人ばかり多くなつても困ると思うから、引揚者の受入態勢をもつとよくしなければいけないというような意味のことを述べられている。それからソ連の労働力が不足しているし、日本の食糧事情も悪いから引揚を急がない方がいいと、日本から船をやれば幾らでも帰すといつたような点について講演なさつたことがございますか。
  90. 徳田球一

    証人徳田球一君) あそこへは遊説に行つたことはありますが、今どんなことを言つたかということは言えと言われてもそれは時日は一年以上も経つておりますから言えない。速記録でも調べてから言いましよう。併しだ、これを訴えて来た高橋云々という者、高橋彌太郎とかいうんだね、こういう連中のあなた方の調べと我々の調べとは違つておる。違つておると思いますから、その違つた点はいずれ出しましよう。こういう人間がどういう人間で、こういう人間がどんな策謀をしておるかということは我々も調べて、それからこういうことを言わなかつたということに対する書面を、秋田の県委員会へ行つておりますからそういう書類をいずれあなた方に上げましよう。併し私は速記録もないものに、どう言つた、こう言つたかということは答えられません。
  91. 岡元義人

    委員長岡元義人君) 次にお伺いいたしますが、徳田証人ソ連地区のいわゆる抑留者に対しまして、向うからお手許に葉書が参つて、その往復葉書に返事を書かれて出されたことがございますか。
  92. 徳田球一

    証人徳田球一君) 私自身書いた覚えはありません。祕書が大体書いて出しておる。
  93. 岡元義人

    委員長岡元義人君) その事実は御承知でありますか。
  94. 徳田球一

    証人徳田球一君) 承知しております。それは祕書にちやんと任してありますから、祕書がちやんと書いて出しております。私に一々聞く必要はない。そうものを皆、そんなことをやつていたら仕事はできません。何万と来るのだ。(笑声)
  95. 岡元義人

    委員長岡元義人君) 次にお伺いいたします。日本共産党より昨年度五月五日に引揚促進の要望をばソ連にされたということでございますが、それは電報でありますか、或いは書簡でありますか、航空便でありますか。その点等について御証言を願います。
  96. 徳田球一

    証人徳田球一君) それはすでに発表されております。私も談話を発表しております。その通りです。即ち初め電報を打とうというので、電報で打つことにしましたけれども、どうも電報では打てないということになつたので、そこでその電文のまま封筒に封じて航空便で送つたそうであります。無論私が送つたわけじやない。事務局がやるのです。それは事務局が送つておるのです。
  97. 岡元義人

    委員長岡元義人君) 次に徳田証人にお伺いいたしますが、カラカンダ第九十九地区九分所において、御承知の通り反動は帰してくれるなという要請をされたということでございますが、この点について御証言を求めます。
  98. 徳田球一

    証人徳田球一君) それは私が五月五日に送つた要請ちやんと出ておるのです。それ以外のことは何もしておりません。ちやんと出ておる。何も反動のことも言及しておらんし何も言及しておりません。私の方ではあらゆる人が帰つて来た方がいいのです。反動だとか反動でないとか、そんなことを我々がより分けて云々したことは一つも覚えはない。
  99. 岡元義人

    委員長岡元義人君) 各委員からの質問を願います。
  100. 淺岡信夫

    ○淺岡信夫君 先程徳田証人事務局のやつたことであるから、そうした小さなことは……、自分は大きいことだけをやつている、そこで私は証人にお尋ねしたい。この日本共産党中央委員会事務局から各府県地区委員会宛に出された通牒、これを事務局がやつているから知らんという。で書記長として知るるらんは別問題といたしまして、これに対する責任をおとりになられるかどうかということをお尋ねしたい。
  101. 徳田球一

    証人徳田球一君) それは政治的な責任はあります。政治的な責任はありますけれども、この事実に関して、ああの、こうのと答えることは、私がやつていない以上これを私は答弁することはできません。
  102. 淺岡信夫

    ○淺岡信夫君 然らばその中に我々は二十数万と予想されると、その新帰還者を敵の謀略に……、一体敵という言葉はどういう意味でありましようか。誠にこれは、考えようによつて共産党以上の者は皆敵とも言える。そういう考え方を証人からお尋ねしたい。
  103. 徳田球一

    証人徳田球一君) それは事務局がどういうつもりで書いたかは、事務局に聽きなさい。私は政治的責任を負います。これが政治問題になるならば、私は政治的責任を負う。
  104. 天田勝正

    ○天田勝正君 一点伺いますが、すでに御証言になつておるので、ただ共産党の人方が、今後に……。
  105. 徳田球一

    証人徳田球一君) 委員長、よく聞えません。
  106. 岡元義人

    委員長岡元義人君) 天田委員に申上げます。もう少し大きな声でお願いいたします。
  107. 天田勝正

    ○天田勝正君 今証言済みのことでありますけれども、少々今まで共産党議員或いはアカハタで書かれた点と違いがありますので、念のためお伺いします。それはソ連共産党との通信方法でありますが、過日本委員会におきまする二月二十三日の証人喚問の際に中野議員が、帰還促進に関する要請を、日本共産党で行なつたというので、その全文をここに読み上げました。その際も打電したということを二度仰せになつております。尚五月二十二日付のアカハタ紙によりますと、横田甚太郎氏、代議士でありますが、この方もやはり打電したということを言うております。そこで只今証人は、それは手紙であつたということを最終的に申されたのでありますが、そのことは前の中野議員なり、或いは横田代議士なりが新聞に書かれた方が誤りであると、こう了承してよろしいかどうか。
  108. 徳田球一

    証人徳田球一君) それはあなたの感覚でよろしいです。私はそれ以上のあれは何とか言えません。すでにお分りの通り、そういう電報を打とうというので、電報を持つてつたら受取らなかつたから、だからしてそのあれあ送つてあると、航空便にして送つてある。それ以上あなたはしつこく聞く必要ありますか。
  109. 中野重治

    中野重治君 ちよつとその点に関して……天田君の発言の途中でちよつと貰いますが、私の名前が出ましたから簡單に説明しておきます。私は日本共産党が、この前私が委員会発表したような文面を電報で打つたということは、委員会では述べておりますが、新聞には発表しておりません。それですから速記録にはそういうふうに残つております。但し私は、やはり郵便局へ直接持つてつたのではありませんから、電報と思つてつたところが、手紙であつたこてがすぐ分りましたから速記課から人が、ああいう重要な文書であるから速記を飜訳して来ました、すぐこれを書簡として訂正しておきました。ところが、それから十三日ほど経つて、今、日附は分りますが……、それでは皆さんの時間を無駄にしないために、日は正確でありませんが、今度あの長く時間のかかつた速記録が印刷にかかることになつて、速記の方の責任の人が来て、私から訂正の筆が入つてつたが、併しあれはあのままにして残しておいた、そこでいろいろお話をしましたが、どこまでもあれはあのままとして残すものだから、今日も電報という形でこの速記録には残つております。尚その際私が速記の方の人と話したことは、久保田証人の言葉に関して多くの言葉の中には、この速記録には棒になつているところが大分ある。そういうこととの釣合を速記の方で考えてもいいというようなことを言つておいたのですが、私の名前が出ましたから、その経緯を天田君にも分つておいて頂きたいと思います。
  110. 淺岡信夫

    ○淺岡信夫君 時間も十二時十五分ですから、ここで一つ休憩をして頂きたいと思います。
  111. 徳田球一

    証人徳田球一君) 私は忙しいですからやるなら早くやつて貰わんと困るのです。
  112. 草葉隆圓

    ○草葉隆圓君 徳田証人は最初から、いろいろと今回の証言についての問題について、もうすでに世上明瞭になつたから再び必要ではないじやないかというような御意見等もありました。この委員会は、引続いてこの問題が尚日本国民の心の上にはつきりしなり点があるから、続けてこれを取上げて来た。こういう意味におきまして私二、三の問題を一問一答でお願いを申上げたい。日本共産党或いは共産党書記長として徳田証人が、四九年五月五日に帰還要請をした、この問題につきましては電報であろうとも航空便であろうともこれは大した問題じやない。大体内容は分りましたが、これ以外に日本共産党なり徳田書記長は、今まで帰還促進についてどういう方法をおやりになたつのか。この点を関連しますので且つ又重大と思いますので、伺いたいと存じます。
  113. 徳田球一

    証人徳田球一君) それは期日はよく覚えませんが、一九四七年だと思います。七年の第六回大会をやりましたときにこの帰還促進に対して特別な決議をしております。必要であればあとで送ります。そうして決議を以て遺家族の人々、帰還促進を願つておる人人、それは同胞援護会の人もあつたかと思いますけれども、方々から地方から出て来た人々、そういう人々と一緒にソヴイエト同盟代表部に行きました。行つて帰して呉れという懇請をしております。それは事実がありますからその方は必要であればいつでもその事実を書いた、そのときの事情を書いたものを差上げましよう。併し細かいことは私は覚えておりませんから……。
  114. 草葉隆圓

    ○草葉隆圓君 正式の今のお話の中にソ連代表部へ四七年の第六回大会においでになつて、そうして要請をした関係者と同行しておる。その外に外国通信等でこの問題について新聞記者とお話になつたことがありますかどうかこの点を……。
  115. 徳田球一

    証人徳田球一君) それはありましようね。ありましよう。私は沢山外国通信社や何やいろいろの人と会います。会いますからそういうことはたびたび話に出てやつたことがありましよう。ありましようが、そんなことを一一覚えておりませんね。そんな内容でいつどうしたということを覚えておりません、忙しいものですから……。だけれども内容は大体五月五日に出したものと同様といつていいと私は考えております。
  116. 草葉隆圓

    ○草葉隆圓君 そうするとお会いになつ内容は五月五日の大体線で今まで来ておつた、決して反動を帰すなという内容はなかつたという意味と解してよろしうございますか。
  117. 徳田球一

    証人徳田球一君) そうです。
  118. 草葉隆圓

    ○草葉隆圓君 実は本年の二月に帰りました諸君以外に、昨年の十月に帰りました諸恒からも、最近におきましては或いは数種の新聞の中に上村白書とかいろいろのことにおきまして、ソ連地区へ相当いわゆる徳田要請、俗に申しますと、そういういわゆる反動を帰すなということが強く言われておる。現実に言われておる事実をその証人の幾人かから私共は聞いております。現に知つております。そうしますると、徳田証人自分はそういうことはやつたことはないし、それはもう公然と否定されておる。ところが向うへおつた人は現に従来の問題以外に私は、新らしい問題としてイズベスト・コーバヤ地区の第四百二十七收容所におきまして、はつきりとこれが言われております。ゼーニン少佐からこの收容所全員に対しまして、大体同様の内容を言われておる。これがいわゆる徳田要請と言われておる。そうしますると、この人達は更にその日より二三日いたしましてから、今の毎日新聞にも載つておりましたが、上村宗平その他は、技術者であつて測量をやつておりましたときに更に特に呼ばれまして、そうしてソ連の政治部員からこちらに来いと言われながら、その部屋に入つて参りますと、奥の部屋があつて、その奥の部屋には徳田書記長とデレヴイヤシコ中将と思われる人との握手の写真があり、それから多くの共産党の幹部の写真が並べてあり、それを一々こう聞かれながら、この人は知つておるか、この人は知つておるかということで、そこでいわゆる徳田要請のことを強く言われた。そうしますると、私共は徳田証人はさようなことは徳田今まで一つも触れたことはない、五月五日の線による要請だけをしておる。でありまするなら、徳田書記長は従来そういう線で行かれたが、ソ連の政治部が徳田書記長がこう言うたと言いながら日本抑留者に対して教育指導をしておつたと私共は断定してよろしうございますか。この点を徳田書記長の……。(笑声)
  119. 徳田球一

    証人徳田球一君) それは愚問も甚だしいですね。なぜならばだ、タス通信が公式に言つているじやないか、否定しているじやないか、そんなのは作り話だ、そういうことを私に聞くというのはそれは恐らく愚問だ、私は答える必要もなければ答えられませんよ、そういうことはソヴイエト同盟政府ちやんと否定しております。
  120. 草葉隆圓

    ○草葉隆圓君 いや、それは徳田書記長は愚問と言われるが、一般引揚者は徳田書記長が言われたと信じておる。(「信じていないよ」と呼ぶ者あり)
  121. 徳田球一

    証人徳田球一君) それは愚問だ。
  122. 草葉隆圓

    ○草葉隆圓君 従つてそれは今は向うがそういうふうに利用したということであるならば、それは向うの政治部員が日本共産党を利用して、そうして反動分子は還すなということでやつたので、日本共産党自身は敢て関しない……。(「議事進行に関して」と呼ぶ者あり)そういう意味に我々は解していいですか。
  123. 徳田球一

    証人徳田球一君) そういうことは余計なことだ。タス通信政府を代表してちやんと否定している事実、これを諸君は信ずべきである。それ以上のことをいや証拠がどうしたの、ああしたの、こうだの、そういうことをあなたが見たようなことを言つたつて分りますか。そういう話が聞きたければモスクワに行きないさ。(笑声)(「議事進行に関して」と呼ぶ者あり)
  124. 草葉隆圓

    ○草葉隆圓君 それは一言にしてそう言われますと、成る程そうかいなあという気はいたしますけれども、(笑声)併し先に私共はお話にありました三百四十七号の指令、これははつきりと日本共産党が指令を出しておる。その指令は大きな問題でないから、徳田書記長は御存じない。併し責任は持つのだ。この指令には今度還つて来る連中は全部、全部ではありませんが、大いに立派になつて来るのだという指令になつている。そうすると還つて来る連中は今度は大いに立派な民主教育を受けて来ておる。向うにおきましてはその人達はこれは徳田書記長からのこういう要請によつて、お前達、民主化しなんだら還さないぞというのと符合するわけであります。だからただ單にどこどこの通信によつてそう言つたからというのでは理論が成立たんのではないか。この点を私は申上げるのであつて、まだ我々ははつきりしないからお尋ねする。(「議事進行に関して」と呼ぶ者あり)
  125. 徳田球一

    証人徳田球一君) 答える必要がありますか。
  126. 岡元義人

    委員長岡元義人君) 草葉委員から証言を求められております。徳田証人
  127. 徳田球一

    証人徳田球一君) 大体あなたは事務局であれしたと言うけれども、私は事務局であれを出したということは私は見ていません。覚えてもおりませんから……併しこんなことがあつて向うでどうだということがあるから、大体お前やつたろう、そんなことはあなたの推測なんです。事実ではありません。そういう理屈は何とか成り立つと思うなら勝手に成り立たせなさい。あなたの頭の中で成立つのなら……併しここは事実を開くのでしよう。併しなんでしよう、参議院の引揚委員会というものは、事実を聞かずに、何か自分の推定によつて理屈で以て争うわけですか。私はそういう理屈で以て理論の辻褄が合うとか合わんとか、そんなことをここで答える必要はちつともない。(「議事進行に関して」と呼ぶ者あり)
  128. 草葉隆圓

    ○草葉隆圓君 最後にもう一点伺いますが、この問題についてはそれは上村白書において、上村君が事実四百二十七收容所において現実にこれは徳田要請であると聞いた。ところがそのあなたが全然それを知らない、これが問題の中心なんです。
  129. 徳田球一

    証人徳田球一君) 知る筈がないじやないか、(笑声)何でおれが知るか。
  130. 岡元義人

    委員長岡元義人君) お靜かに……。
  131. 草葉隆圓

    ○草葉隆圓君 そうすると本人に現に聞いたことは申上げますが、そうすると虚僞の証言をしておつたのか、いわゆるソヴイエトの政治部及び共産党日本共産党と連絡なく、或いは徳田証人と連絡なく勝手に虚僞の指導をして来たのだ、我々はかように全国に対して(「そういう問がインチキだ」と呼ぶ者あり)はつきりと言い得るのか……。
  132. 徳田球一

    証人徳田球一君) そういう愚劣極まる推定は私は全然成り立たんと思うのです。あなたは上村君が本当かどうか、それを立証するあれがありますか。どうして立証するのです。あなたがシベリアへ行つて、これは確かに行つて、裁判でもして確定判決を持つて来なさい。それならそれは確かかもしれません。我々がソヴイエト同盟とどんな連絡があるか、そんなことはない。そういう要請をしていることははつきりしているのですと、そういう具体的事実に基いて私の証言を求めるならいいけれども、こう言つていいか、ああ言つていいかとか……それはあなたが勝手にやりなさい。
  133. 草葉隆圓

    ○草葉隆圓君 上村君がそういうことを聞いて来た。それは上村君が聞いて来たか聞いて来んかということはソヴイエトへ行つて聞けと言うておりますが、本人が帰つて来ておりますから、これは本人をいつでも出します。又これに対して何百人かの証人を出します。これははつきりと出しますから、それをお前が勝手に聞いてやれ、勝手に推量しておるのだということは、これは答弁にならないと思います。
  134. 徳田球一

    証人徳田球一君) そういうことが答弁に成り立つか成り立たないかということを私はあなたと議論する必要はない。
  135. 淺岡信夫

    ○淺岡信夫君 証言を求めている。
  136. 徳田球一

    証人徳田球一君) 議論じやないか、何をそんなことを君は言うんだ。そういう議論をする必要はないです。併しながらタス通信政府意見ちやんと代表して断言しておることに対してあなたが何を言う、あなたが何を持つて来たつて、そんなことは何にもなりはしないのだ。(「議事進行に関してとさつきから言つているじやないか」と呼ぶ者あり)
  137. 小杉イ子

    ○小杉イ子君 これも徳田書記長に対しては愚劣なお尋ねかもしれませんけれども、先程委員長のお尋ねになりましたところの演説の記録があるとすれば、今日の問題となつておるところの、反動分子は還さんようにするようにと言われたというその言葉と、九分九厘までが同意味に思われませんですか。又普通の人は常識的にこれをさように思うではなかろうかとは思われませんでしようか。
  138. 徳田球一

    証人徳田球一君) 秋田ののは、全然逆ののがちやんとこつちは書面にとつてありますから、向うの側にも何かして六人か七人ですか、こういうものの事実もちやんと私の方に報告が来ております。それも差出しますと申上げておるわけであります。  それから又こういう内容のものではなかつたという署名運動をして署名をしているのもあります。それも差上げると申しておるわけでありますから、御婦人方に対しましては甚だ失礼とは思いますけれども、(笑声)どうか一つその方を御覽下さいまして篤と……(「優しいな」と呼ぶ者あり、笑声)
  139. 淺岡信夫

    ○淺岡信夫君 先程証人は、タス通信はつきりしておるじやないか、この一点であらゆる問題を処理しようと、或いは証言の根本をここに置かれておりまするが、私はタス通信を信ずることができない。その問題については昨年ソ連大使館に行つて十一月の五日コテリニコフ顧問にも強くこの問題を申上げた。今又徳田証人からこの問題を、タス通信がすでに言つておるじやないか。ところがタス通信は二十年の、終戰の年の九月の十二日に日本捕虜は五十九万四千人ということをここに発表されておる。その中には百二十八名の少将以上の将官を含むということも同時に発表されておる。然るに戰争が終つてソ連或いはシベリア、そうした地区に送られたのは十月とか十一月とか、十二月とか、一月とかに及んでおる、その四年後の昨年の五月二十日にタス通信日本人の捕慮総数五十九万四千人ということを同じように発表しておる。そのうちに四十一万八千百六十六名は帰した。それから七万八百八十人は現地解放をした。残りの十万四千九百五十四名は残つておる。このうち九万五千を六月から十一月までの間に帰したということですが、残りの九千九百五十四名、このうち一月の二十二日に二千五百名帰つて来た、更に二月の八日に二千二百三十名帰さて来た。後残つている五千百何名、ところがこの五千百何名は戰犯であり抑留されている。帰つて来るか帰つて来んか分からんけれども、今日までの帰還者の言を総合して見ると、死亡者というものは相当ある。すでに確認した数においても六万何がしというものがある。タス通信をそのまま信じろ、それは証人はそのまま言われておりまするが、こうしたタス通信そのものを信じて行くということになればですね、一人も死んだことがないということになつて来る。或いは今後において発表されるかどうか知らんけれども、今日までの段階においてはその通り。そうした点から如何に、今度の徳田要請問題に対してタス通信はこれはデマであるということを言われているが、少くとも本員はこれを信ずることができない。同時に国民一般の感情もこれを信じない。そうした点についてその数字の問題に対しても徳田証人はその通りということが言えますかどうか、御証言願いたい。
  140. 徳田球一

    証人徳田球一君) 数字は書いて出しなさい。いずれ調べましよう。併しながら我々は数字に対してこれを調べてこれが正しいかどうかということに対して判断を下すべき資料一つもありません。一つもありません。あんたがタス通信に対して不満があるならば、タス通信に怒鳴り込んで行きなさい。それはあなたのお勝手だ。併しながら私の言うのはそれじやない。タス通信ソヴイエト同盟政府がこういうことであるからお前から発表しろという権限を與えられた。私はタス通信を云々するのではない。ソヴイエト同盟政府を私は云々している。この連合軍に加わつている政府がこういう声明をしているのに、諸君は向うの声明がどうだのこうだのということを言つている。それをしも諸君が信ぜずに何とかと言うなら、私に聞くよりモスクワにお聞きなさいと言うのだ。私は何も無理なことを言つておらん。それから私はそのタス通信だけを楯にして云々すると言われますけれども、そうじやない。ちやんと五月五日に要請しておる。ちやんと文書になつておる。ちやんと問題になつてから発表しているのではない。ずつと前に発表しているのだ。だからして私はこれがそういうことはないと言うのだ、その前の、第六回大会のものは諸君が必要であるというならいつでもお目にかけますから、ゆつくりと御覽下さるようにお願いしてある。
  141. 淺岡信夫

    ○淺岡信夫君 只今徳田書記長は、ソ連政府タス通信を通じて発表さした、だからという話でありまするが、先ずこの数字の問題に対しても昨年の十一月六日の全国引揚者大会において、すでにこれは全引揚者の名を以て承認されている。その点ははつきりしておる。けれどもただ今タス通信タス通信ということで一本楯になつておりますと同時に、昨年の五月十八日に要請したまでは一切が明らかであると言いますが、それはただ共産党諸君の明らかなというだけであつて、一般国民はちつとも明らかにされていない。更に先程この問題は草葉委員からの質問であつたと思うのでありますが、電報、初めは三月一日のこの対日理事会の後で共産党議員団の名か、或いは共産党の名を以てやつたか知らんけれども、この電報、書簡を出した。更に又翌日の徳田書記長の新聞会見において、いやそれは電報を書簡にし前書留で送つたのだ。そうして今日は俺は大きいことは分つておるが、そういう小さいことは分らん、全く曖昧模糊としておる。でたらめも甚だしい……。
  142. 徳田球一

    証人徳田球一君) それは君の勝手だ、俺にする質問じやない、君はそう思うならそう思え。
  143. 淺岡信夫

    ○淺岡信夫君 そこで航空便で出した、書留で出した、電報で送つたという。そうした問題に対して一つ一つ調べ上げて見ると、そうした事実がない。一体私共は当然日本の官庁のなし得る範囲内においてなされておる通信は、そうあるべきだと思つておる。外になさるべきルートがあるかどうか、そうした点について御証言を願いたい。
  144. 徳田球一

    証人徳田球一君) そんな馬鹿なことに答える必要はないんだ。大体これはこつちが郵便壁に持つてつてつておるんだ。航空便で送つておるのだ、私はそれ以上答えない、送つておるんだ。送つておるというのが事実なんだ。そのときにそれは発表しておる、特にルートがあるか、ルートがないとかそんなことを聞くのは私は愚問だと思う。ちやんと送つておるのだ、送つておるということを信ずればいいんだ。それ以外にああのこうの、ぐつたつたするなら勝手に言いなさい。私の答える限りでない。
  145. 淺岡信夫

    ○淺岡信夫君 証人証言を拒否するような態度を出る。
  146. 徳田球一

    証人徳田球一君) 何が拒否だ。何が拒否だ。
  147. 淺岡信夫

    ○淺岡信夫君 そう大きな声を出さんでも分りますよ。
  148. 徳田球一

    証人徳田球一君) それなら言いなさい。
  149. 淺岡信夫

    ○淺岡信夫君 証人はその通信を書留で送つた、電報で送つた、誠にその点は曖昧な、そうした面に対して一々処置しなかつたか知らんけれども、言つておることも誠に曖昧だ。アカハタに言つておることが、アカハタにおいては責任がないと言うかも知らんが、電報で……(「議事進行」と呼ぶ者あり)或いは書留で送つた、或いは書面で送つたとか、そうした問題に対して一向はつきりしない。書留なら書留、電報なら電報、だからどういうふうに、例えば郵便局はどこの郵便局か、少くとも一党の責任者であるならば、先程政治責任をとると言われておる。どういうふうな、例えば郵便局はどこの郵便局であつた一つ……。
  150. 徳田球一

    証人徳田球一君) そういう馬鹿げたことを聞くから私はいやになるつて言うんだ。大体それは最初電報で出したというのは、私が言つたんじやない。私は最初電報で出そうというので言つたのを、電報が出せないので、航空便で出したと言つておる。談話はそう言つておる。私が電報で出したとかいやどうだとか、こうした、すべつたころんだと言つた覚えはない。そうしてここへ来てもうそれは済んでおる。何もそれがどこの郵便局へ行つてどう送つたか、こう送つたか、強いて調べたければ、それは調べなさい。私の方はそういうことまで一々……書記長がそういうことまでやる必要はない。私は小使から何から皆やるという職務になつておらぬ。小使は私やりません。私は政治的な指導をやる地位に在るのでありますから、特に御了承を願いたいと思います。(笑声)
  151. 門屋盛一

    門屋盛一君 大分大きいことでないと証人は答えられないので、これは又小さい質問であると言われるかも知れませんが、私はこの問題は、大体カラカンダ地区久保田、山森両証人証言と、それから先程委員長から証人に御証言を求められたら、一々名前を出せということであつさり断わつてつたのでありますが、共産党から脱党したいが、拒否するというような点は、これは国民に一連の疑惑を残しておることは間違いない。この点は共産党書記長としての徳田球一君も、はつきりできる点ははつきりなさつてつた方がいいと思うのであります。そこでお尋ねしたいことは、カラカンダ地区のことは、これは証人は先ず分らぬと言われたこと、これはどうもカラカンダ地区で起きたことで証人にとつては分らぬでしよう。
  152. 徳田球一

    証人徳田球一君) 当り前だ。
  153. 門屋盛一

    門屋盛一君 ところが後段の問題の、脱党者を無理に止めたことがあるかないか。これは事務をおとりになつておらぬから、自分としては分らぬと言われればそれでいいでしよう。併しあなたは書記長としての政治の最高方針をと誠てやられるという建前から、今後も脱党したいという申出のあつた場合には、無理に止めるような共産党の方針ではなかろうと思う。(笑声)それはあなたの方針として証言できると思います。この点ははつきりして頂きたい。
  154. 徳田球一

    証人徳田球一君) それは規約にちやんと書いてありますから、規約を御覧下さい。それは規約が必要であれば送ります。規約に除名とか、入党とか、それから脱党とか、いろいろなことが皆書いてありますから、規約通り行なつておりますから、若し御必要があるならば、規約をお送りいたしましよう。(笑声)    〔中野重治君、門屋盛一発言の許可を求む〕
  155. 岡元義人

    委員長岡元義人君) 中野委員に、議事進行発言を許します。
  156. 中野重治

    中野重治君 いろいろ問題がありましようが、証人も他の委員も忙しいということは分つているのですから、一遍明らかになつたことは蒸し返さないようにしたいと私は考えております。それから今の共産党から脱党をさせないとか、させるとかいうようなことは、この規約の問題で明らかになりましたから、これは門屋さんの今の場合は、特に民主党の野党派とか、連合派とかいうような関係で、そういうことが頻りに行われているということは御承知なのですから、そういうのは多少御自分で考えてやつて頂きたいということと、それから質問の仕方が、これはこの前久保田証人自身の問題がすでにあつたのだから、あのとき打合会でありましたが、ソヴエトと日本というものを切離して置いて、徳田球一君が言つたのでなければ、ヒラトフが言つたので、ヒラトフが言つたのでなければ徳田球一言つたのだ、そうしてどこかに犯罪があるのだというふうに問題を立てて行く、そういう問題の立て方は、質問の仕方がやはり犯罪的でありますから、これは本人がそう信じ込んでいるのをやめろというのではありませんが、質問者の方でちやんと考えてやつて貰わなければならん。それからヒラトフ云々ということは、そういう人間がいなかつたことも明らかになつておるのでありますから、そういう点を時間の節約して、頭を働かせて、人を徒らに犯罪に陷れるような結果にならないようにしてやつて頂きたいと思います。
  157. 門屋盛一

    門屋盛一君 規約を見ろ徳いうことでありますが、私のお尋ねしているのは、規約を送つて頂いて見てもいいのですが、ちよつと説明が足りなかつたかも知れませんが、カラカンダ地区で言われたことは、反動分子は帰すな、これを言葉を換えて言いますと、これは非常に平たい言葉で言いますと、共産党にならない者は帰すなと、こういうふうに我々国民の耳に残る。それと今度帰つて来た引揚者の中から、共産党を脱党したいが、なかなか許可して呉れないというようなことを我々聞しておる。これが国民一つの疑惑を與えておるのでありますから、あなたは党の最高責任者として、規約を見ろとか、事務的のお話よりも、決して共産党にはそういう考えはない。脱党したい者はいつでも脱党させるのである、そういう無理に引張り込んでおるものではない。(笑声)こういうようなことをはつきりなさることが疑惑を一掃していいではないかと思つてお尋ねしているわけであります。
  158. 徳田球一

    証人徳田球一君) それは規約にちやんと書いてありましてね、そんなことはできないことがちやんと書いてあります。だから、それは規約を御覽になれば規約通りやるのですよ。併しながらあなたは共産主義ということは大分分らぬようですね。分つてから聞いて下さい。というのは、共産党というものは、無理に引きずり込んで置いて、それで共産党利益になりますか。共産党というものは、みんな自発的の意思で命を捨てても(「そうだ」と呼ぶ者あり)人民のためにやるのが共産党の趣旨なのです。無理に引留めて置いてどうなるか。(笑声)却つて共産党の中を撹乱して何にもならない。だからそれは私が言わなくても常識で考えても、出て行きたいものは出て行くようにできていることは、これは当然でありますから、これを私は申上げるのです。
  159. 門屋盛一

    門屋盛一君 極めて愚問のようだけれども、これ笑う人もあるでしようけれども、大事なことなんだ。そういうことが世間の誤解になつておるから、規約で、出て行きたい人は勝手に出ている。主義主張が異つて、共産主義に肯けぬことがあれば、出てもいいというのがフエアーな政党であるということは、我々としても、今あなたがおつしやつたけれども、おつしやつた方が、この問題の誤解を解くためにいいと思つて質問しておるのです。(笑声)そう笑い給うな。笑いたい人は笑うのもいいが、とにかく委員発言しているのに笑うような傍聽者は委員長退場させて……笑うような傍聽者がいては私は発言できない、その辺笑つておりますから退場して下さい。
  160. 岡元義人

    委員長岡元義人君) 傍聽の方は、議員の方も大分おられますが、十分委員会の運営については御了解を持つておられると思いますから、この際靜粛にお願いしたいと思います。
  161. 門屋盛一

    門屋盛一君 まだ笑いたいような人もあるけれども、余り長くなるといかぬから、そういうわけで私は質問を続けたのですが、大体先程の徳田君の言われる通りに、気に入らぬ者は出てもよろしい、引留めはしないということならば、そういう国民も妙な疑惑を持たないだろうと思うから……まあこのくらいでやめて置きましよう。
  162. 北條秀一

    ○北條秀一君 徳田書記長にお伺いいたしますが、二月の第一週のラジオ放送でありますが、その国会討論会において、その討論会の内容については速記録が残つておりませんから、徳田書記長からその証拠を持つて来いと言われると証拠はないのでありますが、併し私はこの耳で聞いたわけでありますから、恐らく徳田書記長もそれを聞いておられると思うから、お尋ねいたすのであります。それは結論から申上げますと、神山茂夫君が中野四郎君の質問に対して、ソ連に残つている日本人のうち新十七万人は死んでいるのだということを、非常に緊迫した口調で以て言われているのでありますが、ところが衆議院特別委員会及び参議院特別委員会におきまして、共産党委員諸君は、この数の問題になりますと、常に非常な真劍さを以上、而もその数についてはタス通信発表であるとか、その他いろいろのものを持ち出されまして、しつこくこの問題について論争をされるのでありますが、そういう点から言いまして、神山茂夫君の発表をするところの二十七万の死亡者というものは、相当共産党においては具体的な資料を持つておられると、私はそう考えるのでありますが、この点について、徳田書記長見解を聞きたいのであります。  そこでもう一つ、それに附加して聞いて置きたいのは、ラジオの国会放送討論会におけるところの共産党議員諸君発言は、党としてこれは責任を持てる発言であるかどうか、党としての責任ある言葉として我々は今後承つていいのかどうか、この点についても関連して見解をお聞きしたいと思うのです。
  163. 徳田球一

    証人徳田球一君) そんなラジオ聞いた覚えありませんね。恐らく又言わなかつたと思いますね。それはあなたの耳が聞いたというのだから、それを私はどうというわけには行きませんけれども、併し二十七万人死んだなどということは、私は全然聞いたことがない。又何もそんな数字を我々は持つべき理由はちよつともありません。持つておりませんから。死んだ者は向うで死んだのだから、幾ら死んだのだか向うで発表しない限り私は知るわれに行きません。だからして、それは神山君がどこで言つたのか知りませんが、そういうこと、聞いた覚えありません。又私も数字も、全然そういう数字はありません。又ラジオで討論会をやる、咄嗟の間にやるのですから、皆が何かその咄嗟の間にやるものを、皆党が責任を負う、そういうことはできませんな。あなたできますか、どうですか。あなたにお聞きしたいのです。そういう咄嗟の間にぱんぱんぱんぱん言うのに一々全部党が責任を負うというわけに行きますか。それは常識で考えても責任を負うことはできません。咄嗟の間にやるのですから。
  164. 北條秀一

    ○北條秀一君 第六国会におきまして、参議院衆議院が引揚促進について決議をしたことは、徳田書記長も御承知だと思います。その決議を、決議の起案には私が当つたのでありますが、その決議を参議院特別委員会において説明をいたしましたときに、共産党の細川君から直ちに、これはこの決議はソ連を誹謗するのだ、だからよくないということであつたのでありますが、あの決議は御承知の通り、どこにもソ連という言葉は書いてありません。而も決議の内容は、この引揚促進はすべて連合国の共同の責任ではないかという点について、我々が遺憾の意を表しておるのでありますが、その際に、細川議員は、成る程北條君の言う通り自分は偏見であつたと、こういうことであの決議に賛成されたのでありますが、その結果その決議は賛成されたのでありますけれども、発議者には、衆議院参議院も両方とも共産党諸君は発議者にはなられなかつたのであります。この事実から、一つだけで私は言うわけでありませんが、いろいろなものが、共産党諸君にはとかく我々に対して偏見を常に披瀝されるという傾向が濃厚であると私は思うのでありますが、そこで一つこの際聞いて置きたいのでありますが、今回のこの徳田要請の問題が、日の丸梯団の諸君から提出されたというところにそもそもの共産党としての偏見が伏在しておるのではないかということを考えるのであります。と言いますのは、徳田書記長はよく覚えておられると思いますが、一九四八年の一月の末に、共産党が主催をして、芝の日本赤十字社の講堂において、働く人民の要求を聞く会というものを開かれたことは書記長、覚えておられると思います。
  165. 徳田球一

    証人徳田球一君) 覚えております。あなたが来たことも覚えております。
  166. 北條秀一

    ○北條秀一君 その際に、私は日本の国旗の話をいたしたことも、これも書記長、覚えておられる思います。
  167. 徳田球一

    証人徳田球一君) 覚えております。
  168. 北條秀一

    ○北條秀一君 その際、日本共産党としては、日の丸は軍国主義のシンボルであつて、これは日本の国旗としてはふさわしくないということを、当時の司会者が言われたことも、これもよく覚えておられると思います。
  169. 徳田球一

    証人徳田球一君) 覚えております。
  170. 北條秀一

    ○北條秀一君 そこで日の丸梯団は、先程から反動々々という言葉があつたのでありますが、今徳田書記長が確認されました日の丸は、日本の国旗としてはふさわしくない、それは軍国主義のシンボルである。こういうふうな考え方からして、日の丸梯団も、即ちこれは軍国主義であり、又反動であるというお考えでえると考えるのでありますが、従いましてここで私は徳田書記長にお聞きしたいことは、或いはそれは引揚問題と関係ないと言われるかも知れませんが、日の丸は、依然として日本共産党においては軍国主義のシンボルであり、これはよろしくないというふうにお考えになつておるのか、この点についてお聞きしたいのであります。
  171. 徳田球一

    証人徳田球一君) そういうことを聞くのは少し間違いだと思います。あなた方のこの呼び出しは何と書いてあるか。これが要請とどう違いますか……どう関連ありますか……。そういう余計なことを聞かんでいいのです。時は、我々は大事ですから、我々は一分間であつても大事に使わなければならん。そういう余計なことには私は答える必要はないと思います。それはあなたがどう思われようと勝手です。
  172. 淺岡信夫

    ○淺岡信夫君 三月の三日に、この参議院の私の所に、小俣という引揚げて来た人が来ました。そうして私の身辺を守つて頂けましようか、私の身辺を守つて頂ければ、私は一切をお話したいということを言われた。そこで私は、これは日本は法治国である、敗れたりと雖も今日やはり保障占領下にあつても、身辺を守るということは憲法に保障しておるから心配ない。どんどんおつしやい。いやなかなかそういうわけに行かない、非常に恐ろしい、こう怯えておる。けれどもとにかく事務局に行つてお話をなさいということでお話したのですが、そのときに私が聞いたことは……委員長……。
  173. 岡元義人

    委員長岡元義人君) 靜粛に願います。
  174. 淺岡信夫

    ○淺岡信夫君 そのときに小俣君は、十三地区のウラジオストツクの第十四分所のウゴールヤ收容所において、ソ連のチーベル大尉が、政治将校が、日本の丹羽通訳、元満鉄の通訳、この人を通じて直接チーベル大尉から聞いたときに、この徳田要請という、徳田書簡の問題を聞かされたのでありまするが、そうした面に対して、徳田証人はこれは或いは書面をやつたかどうか知らんと言われますが、それに対しての何か一つ……。
  175. 徳田球一

    証人徳田球一君) 何ですか、よく聞えません。一番仕舞……。
  176. 淺岡信夫

    ○淺岡信夫君 十三地区の……。
  177. 徳田球一

    証人徳田球一君) 私がどうしたのですか。
  178. 淺岡信夫

    ○淺岡信夫君 それに対してそういう要請なり、進言をしたことがあるかないかということを……。
  179. 徳田球一

    証人徳田球一君) 何の進言を……。
  180. 淺岡信夫

    ○淺岡信夫君 反動は帰すな。
  181. 徳田球一

    証人徳田球一君) それは何遍も言つておるじやないか。
  182. 淺岡信夫

    ○淺岡信夫君 それは前の関係、この十三地区の……証人は非常に笑つたりして不まじめです。少くとも委員会が……(「無駄をしないでやつて呉れ」と呼ぶ者あり)だから十三地区のこの問題に対して、あなたが反動を帰すなというような要請をしたことがあるか否かということをお尋ねしたい。
  183. 徳田球一

    証人徳田球一君) 十三地区というのは、どこなんだか俺は分らない。そんな人間がどうあなたの所に粉れ込んで来ようが、俺の構つたことじやない。私のはちやんと書類に出ておるんだ。それ以上に何の答える必要がありますか。もういい加減にしてお仕舞にして下さい。
  184. 天田勝正

    ○天田勝正君 進行の動議を出す前に、委員長にお聞きするのですが、すでに一時ですが、幾時まで続行されようとしておるのか、委員長、されておるのか、そのお答えによつて……。
  185. 岡元義人

    委員長岡元義人君) 今お諮りしようと思つてつたのでありますが。
  186. 天田勝正

    ○天田勝正君 それならば、この辺で暫時休憩されんことの動議を出します。
  187. 門屋盛一

    門屋盛一君 天田委員の動議ですが、本日の証人徳田君は衆議院議員なんです。衆議院は午後本会議もあるし、いろいろと党の書記長としてお忙しいだろうと思う。(「その通り」と呼ぶ者あり)それでまあ少し休憩を拔きにして、もう少し証人の方に差支なかつたらやる、それとも休憩後証人がもう一回ここに出られるかどうかそれをお聞きしてから……。
  188. 岡元義人

    委員長岡元義人君) ちよつと速記を止めて。    〔速記中止〕
  189. 岡元義人

    委員長岡元義人君) 速記を始めて。
  190. 天田勝正

    ○天田勝正君 一応私が動議を出している。あなたの御意見を伺つたところが、今諮ろうとしていたのだ、こうおつしやるから……、私の方から動議を出しているのをお諮り願いたい。
  191. 岡元義人

    委員長岡元義人君) 只今門屋委員から天田委員発言に対して……(「修正動議だ」と呼ぶ者あり)
  192. 草葉隆圓

    ○草葉隆圓君 大分時間も、一時になりましたので、ここで三十分程休憩されて天田君の動議のように、そうして続行されたい。その続行の内容は、徳田証人は誠に御多忙のようですから、成るべく質問は簡潔に早く済むようにして続行されたいという動議に賛成いたします。
  193. 北條秀一

    ○北條秀一君 私は門屋委員の動議に賛成いたします。二つの動議を採択いたします。
  194. 岡元義人

    委員長岡元義人君) ちよつと速記を止めて。    〔速記中止〕
  195. 岡元義人

    委員長岡元義人君) 速記を始めて。  それでは只今門屋委員から修正の御発言を撤回されましたので、天田委員の動議に対して御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  196. 岡元義人

    委員長岡元義人君) では只今から三十分間休憩いたします。    午後一時四分休憩    —————・—————    午後二時四十九分開会
  197. 岡元義人

    委員長岡元義人君) 休憩前に引続き委員会を開きます。  証人の質疑を続ける前に御報告申上げて置きます。  先程久保田善藏外の懇請書を受付けました後に、   只今委員会に今皆さんの最も注目を引いておる徳田球一召喚事件につきまして、この真相を確実にこの耳で聞き、この眼で見た私達はこの問題を更に証明せんとするものです。あのカラカンダ收容所において次の言を我々は確かに聞きました。「日本共産党書記長徳田球一の名において反共思想及び非共産主義者を日本に帰さずに教育を徹底して呉れと徳田球一より依頼された云々」、この暴言、非人道的な日本共産党指導者徳田の召喚は、当然正しい日本人の前に裁き出さねばならんと信ずるものです。然るに日本共産党は「事実無根にして、これは日本共産党に対する謀略なり」と声明したことは余りにも厚顏、暴露された非人道的な自己の罪悪を隠蔽しようとする卑却極まる策謀なることを日本人であるならば誰しもが憤激するところです。これは怒りに燃えた山形県第一回、第二回高砂丸引揚者の中でカラカンダ地区九分所において確実にこの耳で聞い者が正しい証人となり署名捺印して、本題の徹底的事実の究明方を懇請するものであります。    参議院議長佐藤尚武殿  ここに十二名の署名を以て提出されております。尚この外に電報等によつて数通確認の通知委員会に参つております。  尚、証人が見える前にもう一点御報告申上げて置きますが、先程朝日新聞、アカハタ等に書面を寄せられました、カラカンダ九十九地区九分所でその当所の通訳に当つた菅氏より委員会に当てて次の通牒が参つております。   私は一九四九年九月十五日、カラカンダ市第九分所で通訳をしたものです。私はいわゆる徳田要請の存否一般については何も知りません。ただあのときあの場の事実だけについて述べることができます。私個人としては久保田氏達の証言が事実そのままではないと言つたと共に、必ずしも意識的にでつち上げたデマとも断言できないと思つております。従つて九日附アカハタ氏の記事は私の報告及び談話を正確に伝えていません。例えば事実を全く覆した悪質デマなどとは私は報告に書きませず、又話もしません。十日朝、朝日新聞とアカハタ氏とにこの点に関する抗議を出して置きました。現在私はどんな政治的立場にも無関心であります。ただあのときあの場の事実に関する限りいつでも証人として立つ用意があります。  これが参つておりますから御報告申上げて置きます。  この際お諮りいたしたいことがございます。只今手許にお配りしてあります資料は、現在まで委員会においてまた証言として求めてありません。只今のカラカンダ九十九地区第九分所以外よりもお手許に配つてあるような資料が集められておりますので、引続きこの人達の中から証言を求めるために証人出頭をば求めたいと思いますが、先ず上村宗平、小俣忠男、龜澤富男、菅季治、以上四名を十八日午前十時に証人として出頭を求めることに御異議ございませんか。
  198. 中野重治

    中野重治君 私はその人々を証人として出頭を求める際には、シベリアの全体についていろいろなことを知つている土居祐信君、小澤恒君等も併せて証人に呼ばねば全貌が十分明らかにならない。この土居、小澤両人を附加えて今の人々を証人に呼ぶことに賛成します。
  199. 淺岡信夫

    ○淺岡信夫君 先程委員長理事打合会におきまして、これは各党という立場におきましても、共産党から中野、或いはその他の会派からも出ておられましたが、そこでの打合では四名とする、そうして委員会でお諮りをするということになつておりまするから、その証人は四名において御処理頂きたいと思います。従来こうした証人喚問ということで数の多いことは誠に結構でありまするが、非常に証言を求める上において時間等も相当制約もあることでありまするから、以上四名を証人として喚問するということの御決定を頂きたいと思います。
  200. 中野重治

    中野重治君 それについて……、不幸にしてその打合会に私は出ておりませんでしたが、勿論打合せの趣きはこれを然るべく扱わねばならんと思います。只今淺岡君から証人の数について発言がありましたが、今日までの証人の呼び方を振返つて見ますると、二つのことが考えられます。一つは我々が例えば去年の十二月二十三日、二十四日には二十人の証人を呼んだ、ですから今度この種の問題について証人を呼ぶのに四人乃至五人という数は必ずしも多いとは言えない、多きに過ぎるということは言えない。このことが、一つ従つて事柄の性質において問題が明らかになるように必要な限りは二人や三人殖やすことは妥当である、これが一つと、それから従来証人の呼ばれ方を見ますと、今度は日本共産党書記長徳田球一氏が呼ばれましたけれども、大体におきまして、特に引揚問題に関する証人というものは非常に一方的な選ばれ方がなされて来たように思う。それですから、この際私は私の提言した二人の人を加えて、そうして証人喚問ということに決定して頂きたい。
  201. 門屋盛一

    門屋盛一君 中野委員の言われる証人喚問することを嫌うものではないのでありますが、大体その喚問しようとする証人はどういう前歴ということを今咄嗟に出されたのでは分らないわけです。殊にもう一つ考えなければならんことは、一日に四人か五人ぐらいしかやれんと思うのです。ですから、こういう事項でこういうことを証言を求めたいというようなことを何か資料でも出して頂いて、後で又それを検討して追加して別の日に呼んでもいいのじやないかと思います。(「賛成」を呼ぶ者あり)
  202. 岡元義人

    委員長岡元義人君) 尚、先程の中で附け加えて置きますが、上村宗平はイズベストコーバヤ地区資料はお手許にありますが、念のために申上げます。小俣忠男、第十三地区、龜澤富男はウオロシロフ、菅季治はカラカンダ地区、こういうふうになつております。
  203. 池田宇右衞門

    ○池田宇右衞門君 只今中野委員から二名追加の議が出されまして、それぞれ御発言がありましたが、門屋委員の申されたことく、先程委員長理事会において先ず取上げた四人の証人について各委員の協議の上において決定を願い、続いて中野委員のお申出になりました二名の採択についてこれ又委員長理事におきまして打合の上、引続き日を選んで喚問する方法をとるように議事の進行上動議として提出いたします。
  204. 小杉イ子

    ○小杉イ子君 私も同じ意見でございますが、中野委員の御主張通り、その手続方法は別といたしまして、喚問なさることを希望いたします。
  205. 天田勝正

    ○天田勝正君 先に決定いたしました四名については、それぞれの資料に基いて当委員会喚問するが妥当だと決めてそういう措置をとつた筈なんであります。今中野委員の仰せになつておられる二名の追加のその人方に一体如何なる証言を求めるのか、それが明確になつておりません。従いまして、中野委員の方からそれらの事情を、こういう所におり、且つこうした証言が求められるという大凡の見当でありますが、そうした見当がありましたならば、又改めてこの委員会決定すればよろしいのでありまして、従つてこの際は前の四人の証人喚問するという採決とその後の二人の追加をするが否かということは別に一つ御採決を願いたいと思います。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  206. 中野重治

    中野重治君 ちよつとそれについて簡單に説明いたします。天田委員発言は尤もでありまして、その点を簡單に述べます。今上村君がイズベストコーバヤですから、小澤恒氏がその地方のグループの議長をやつておりましたし、そういう資格といいますか、ということになりますので、その点は両方付き合せて明瞭になるだろうと思います。それからもう一方の方は、第四地区というのはコムソモリスクを中心とする地方ですか、その地方の同じ仕事をやつてつた人間であります。
  207. 岡元義人

    委員長岡元義人君) お諮りいたします。上村宗平、小俣忠男、龜澤富男、菅季治以上四名を十八日の午前十時に証人として出頭を求めることに賛成の方の挙手を願います。    〔挙手者多数〕
  208. 岡元義人

    委員長岡元義人君) 過半数と認めます。以上四名の証人を十八日午前十時出頭を求めることに決定いたします。尚御参考までに御報告を申上げて置きます。先程徳田証人より昨年度五月五日引揚促進の書簡を航空便で出されたという御証言がございましたが、委員会におきまして、航空便について調査いたしました結果をここに御報告いたして置きます。
  209. 北條秀一

    ○北條秀一君 その報告は、私が今お聞きしたのですが、その報告は証人がおつた方がより合理的であろうと私は思います。証人がいないときにやつたつて困りますから、証人が来ましてからやつて頂きたい。
  210. 岡元義人

    委員長岡元義人君) それでは只今北條委員から御発言がございましたが、そのように取計らいますることに御異議ございませんか。    〔「暫時休憩」と呼ぶ者あり〕
  211. 天田勝正

    ○天田勝正君 それは勿論暫時休憩もよろしいですが、非公式であつても……。先程委員長から中野委員に伝言があつて徳田氏からの都合を聞いている筈ですが、それを委員長は報告する義務があろうと思います。それを御報告願いたい。
  212. 岡元義人

    委員長岡元義人君) 御報告申上げます。徳田証人は三十分くらいでこちらに出席するという連絡がございます。(「違うんだ、違うんだ」と呼ぶ者あり)
  213. 中野重治

    中野重治君 さつき私が連絡しているうちに打合会が流れて、丁度私が駈けて行つたときは、向うから岡元委員長が来られてときだつたから、私は今直ぐ出られる、併し三十分ぐらいならば出られる。さつき私が打合会で委託されたのは、もう直ぐ再開するのだが、出られるか、出るとすれば向うの都合と睨み合わせてどれくらいで出られるか、こういうのを私が聞いて来る、なかなか他の人間じや埒があかんから直接行つて呉れというので行つて来たわけです。その結果直ぐ出られる。但し時間は三十分ぐらいだ、こういうのであつたのであります。今から三十分ほど経つたら出られるというのではかつたのです。
  214. 小杉イ子

    ○小杉イ子君 中野委員の御申出共産党の方の証人喚問はどうなるのでございますか。
  215. 岡元義人

    委員長岡元義人君) 小杉委員にお答えいたします。先程、取敢えず中野委員の方から委員会資料を提出頂きまして、それを検討した結果これは決めるということになりまして、本日の証人喚問とは一応切離してこれを考慮する。
  216. 小杉イ子

    ○小杉イ子君 了承しました。
  217. 岡元義人

    委員長岡元義人君) 只今連絡しておりますので、暫時このまま休憩してよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  218. 岡元義人

    委員長岡元義人君) 暫時休憩いたします。    午後三時八分休憩    —————・—————
  219. 岡元義人

    委員長岡元義人君) 休憩前に引続いて委員会を再会いたします。  徳田証人に対しまする質疑を続けます。
  220. 草葉隆圓

    ○草葉隆圓君 休憩前に私が証人に対する証言を求めましたのに対しまして、徳田証人は、いわゆる徳田要請は、即ち言葉を換えて申しますると、反動分子は帰すな、民主主義になり切つた者だけを帰せ、向うで労働に協力をしない者は帰すなという、いわゆる徳田要請言われておりますような事実はない。それはソ連政府もないということを正式に発表した。その発表タス通信によつてなされたということを再三申されました。私は最後まで何か他の方法によつて自分発表をし、或いはソ連政府がこうこういう方法で発表したということを御期待しておりましたが、一通信社の発表を以て正式発表と認めて、これによつて諸君は了承せよという証言内容つたと私は思います。併し現在我々がこの問題を真劍に考えまする場合は、一通信社の通信を以てこれを真実とせよということは、現在ではソ連政府日本の場合におきましては信用することができないのではないか、これを正式に発表する場合においては、ソ連政府連合軍に対しましてこれをなし、連合軍から日本政府に対しましてこれをなす態度をとるべきではないか、然るに、むしろこれとは逆行しているような状態がソ連政府においてなされていることは、我々の今までの状態によつてつている点である。従つて一通信社の公表を以てこれを正式公表とし、従つて徳田要請は、かような問題はなかつたという証拠にせよということは、これは証言として、私共の求めておりまする点と食違つていると存じます。即ちタス通信を通信を以て我々はこれを絶対に信用するということは困難である。ソ連政府が正式に徳田要請に対する態度を否定するならば、今申上げましたそれぞれの順序を経て日本政府に通達されべきものではないか、これが順序であり、正当である。これが公式発表であると存じまするが、この点に対する証人証言を伺いたいと存じます。
  221. 徳田球一

    証人徳田球一君) それは見解ですね。それは証言にはなりませんね。見解です。あなたの見解はそうだ。併し公の見解は、かくのごとく曲げられた見解を笑うでありましよう。何故ならば、タス通信にこう書いてある。タス通信社は、この馬鹿々々しい報道が悪意の作り話である旨声明する権限を與えられておる。こうなつておる。即ちそれはソ連同盟政府がかかる声明をすることの権限タス通信に與えておるのである。タス通信諸君が国際的知識を持つならば(笑声)政府の、ソヴエト政府の公式主機関であり、かくのごとき声明は、このタス通信を以てやらせる権限を與えることは、常に行われることでありまして、何らこれが非公式のもの或いは一通信社のものであるとは言えないのである。且つ又日本政府に対して公式なる云々と言いますが、日本政府に対して、今ソヴエト同盟政府は何らの公式な関係を持つておらぬのであります。現在は対日理事会が持つておるのであります。対日理事会に代表部が出ておる。そういう関係です。だから日本政府はソヴエト同盟代表部に対して、この帰還問題に関してちつとも要請しないのはどういうわけだということを、日本政府へ度々申しておりますのに、日本政府は曰く、我々は直接の関係を持つことはできない。我々は対日理事会を通じない限り一切の交渉ができない。こう言う。従いましてソヴエト同盟政府日本政府に直接の通達をする必要がないと私は認める。私のそれは見解です。ですから、私がこのタス通信を以て諸君が認めないというならばよろしい。それは御勝手になさい。併し国際的通念を以てすれば、これは当然ソヴエト同盟政府の声明として認めべきものであると、私は信ずるのであります。
  222. 草葉隆圓

    ○草葉隆圓君 どうも徳田証人只今証言は、私は一方的なお考えであるかも知れませんし、又徳田証人の主観的なお考えかも知れませんが、一般私共の常識から考えますると、勿論タス通信政府の特別機関であり、これを通じて発表した場合においては、政府の正式発表とする只今お話がありました。そういうのであるならば、何故に……ソ連政府は、この問題を、それぞれの現在の管理機関或いは対日理事会等を通じて正々堂々となすべきではないか、それを拒否しながら、單なる一通信社のものを以て、徳田要請はしなんだというようなことを、ここで言われることは妥当ではない。主観的証言であるかも知れませんが、妥当ではない、(笑声)かように考えます。むしろこれは対日理事会等を通じてやるべきものである。従つて單なるタス通信の通信によつてなされたことは、いわゆる徳田要請が、そういうことはなかつたという一つの確乎たる証拠にはならないのではないか、私共は引揚者の多数の諸君が、復員者の多数の諸君が、血を以てこのことを訴えて来る、或いはそういうことがなかつたかも知れないということを念願しております。念願しておりますが、これを、さようなことがなかつたという徳田証人証言を、はつきりと裏付ける材料にはならないと存じます。この点を徳田証人は、どうお考えになりますか。
  223. 徳田球一

    証人徳田球一君) それは、さつきから申します通り、あなたの見解です。ですから、委員会で討論をなさるときにお述べになることはちつとも差支えありません。併し私に対してそんなことを言うのは筋違いじやありませんか。国際的通念に対して、あなたの言われることは何です、それは……堂々たる国際的な、常にタス通信が、このソヴエト同盟から、政府から権限を與えられ、権限を與えられと書いてある。この権限を與えられたものによつてなされたものが、何で不当ですか、そういうことは絶対にあるべきでない。尚且つ問題は、これが対日理事会に云々ということを言いましたけれども、それは私の関係の問題ではない。それはあなたがそう言われるなら、何も……ソヴエト同盟代表部に言つて下さい。私の何ら関するところではない。私は、そういうことに関して何ら答える義務も持たなければ、興味も持たない。
  224. 中野重治

    中野重治君 議事進行について……。これは引揚の委員会では、特に従来しばしばありまして、私はその都度気の付いた限りは発言して、諸君の了承を得て、そういうように運んだ問題でありますが、外国政府のなしたことについて、日本人に責任ある証言をさせようというのは、その外国がいずれの外国であろうとも、これは不備でありますから、午前中もいろいろ問題がありましたが、議事を正しく進めるために、質問者の各委員で注意をするように、委員長から注意して頂きたいと思います。
  225. 岡元義人

    委員長岡元義人君) 先ず証人に一応御注意申上げて置きたいことがございます。この我々委員会は、タス通信を以て公式のものではないと考えております。総司令部の発表以外のものは、我々委員会は、これを公式に認めておらないということをば証人に申上げますと同時に、各委員からの質疑に対しましては、その質疑の範囲において証言して頂くようにお願いいたして置きます。
  226. 中野重治

    中野重治君 議事進行について……。今、委員長から大きな説明がありましたが、その場合公式というのはどういう意味になりますか。外国政府の国際的に認められた声明は、これはプライベートなものとしか扱わないと、こういうことですか。公式ということの定義ですね。
  227. 岡元義人

    委員長岡元義人君) 今中野委員の言われた通りであります。    〔証業徳田球一君「私は委員長に抗議があります。抗議があります。今言われたことに対して攻撃しなければならない。」と述ぶ。〕
  228. 原虎一

    ○原虎一君 今委員長から、証人に対して注意がありましたが、同時に質問者にもやはり注意を與えるのが当然じやないですか。少くとも一党の代表者であります。その人に対して、私共冷静に聞いておりましても、憤慨せざるを得ないようなふうに聞かれる質問をされるということは、やはり証人が余計なことを言わざるを得ないようになつて来る。やはり我々の今日の証言の要点は、言うまでもなくソ連地区におけるところの我が同胞に対して、反動は帰すなということを、徳田書記長がそういうことを、日本共産党ソ連共産党を通してやつたのか、或いはソ連政府を通じてやつたのか、こういう点について引揚者の諸君が信じておる点と、そういう事実があるかないかということを聞くのが証人喚問の本旨であります。私が言うまでもなく、我々委員がこういうことになりますれば、これは議論に亘つて来る。こういう点につきましては、私が申上げるまでもなく、委員長が然るべく議事を捌いておやりになるのが当然だと思う、従つて徳田書記長から又委員長に対して発言を求められるようなことになるのです。どうか各委員もお互いに考えて、そうして進行をスムーズにされんことを希望します。
  229. 岡元義人

    委員長岡元義人君) 原委員の御設、御発言御尤もでございますので、各委員におかれましても、その旨をよく御了承願つて置きたいと思います。    〔証人徳田球一君「証人はあなたに抗議をしなければならん」と述ぶ〕
  230. 中野重治

    中野重治君 委員長が、タス通信はプライベートのものであると、この委員会は認めるという御発言でしたが、そういう発言をしたら、今日まだタス通信というものは多くの人々によつてこの委員会で扱われておる、そうして、例えば意見が正反対の証人が現われた場合にも、両方ともタス通信にはこうあつたじやないか、日本新聞にこうあつたじやないか、タスを通じてソヴイエト政府はこう発表しておるじやないか、ここは食違うじやないか、或いは食違わない、こういうふうに話が進められて来ておる。若し今ここで今日の特別委員会で、委員長によつてタス通信は公の発表とは認めない。あれは單なるプライベートのものだということになるならば、これは今までの委員会のやつて来た機能が相当覆えされなければならない、否定されなければならない。又現在タス通信がどういうものとして国際的に扱われておるかという現実から見たならば、若し我々が問題を実際に即して、証人を召喚した目的に副うて仕事を運んで行くためには、それではできなくなつてしまう、私はこの点では、委員長が今の発言をここではつきり取消されることを要求します。
  231. 淺岡信夫

    ○淺岡信夫君 今中野委員からタス通信の問題に対して話がありました。証人からも証言が出ておる。私共は今国民の大半、殆んど過半のものは総司令部の発表を信ずる、或いはこれを通じて来る日本政府発表を信ずるという以外に今日は途がない、成る程一国がその一切を挙げてタス通信に任せておる、勿論これは公表でありましよう。公のものでありましよう。だが併し今日の日本のあり方においては、どうしても総司令部を通じて来たもの以外のものを信ずるということはでき得ない。国民感情としても或いは世界の多くの人民はこれを認めることはできない。若しもソ連政府がこれが発表であるというならば、司令部を通じて、司令部から日本政府に対してかくかくであるという公表がない限り、なかなか国民としては納得できない。この点についてはすでにもう明らかになつておる問題であります。この問題を今日証人から聞き質して見ても、証人は先程の証言を繰返すのみでありますから、他の質問に、他の証言を求めることに議事の進行を図つて頂きたいと思います。
  232. 岡元義人

    委員長岡元義人君) 徳田証人に申上げますが、一応証人発言をする場合は、成規でありましたならば、各委員にお諮りしてからお許しするのが当り前です。各委員から発言を求められており場合は、当然委員長委員発言を先に許します。
  233. 中野重治

    中野重治君 議事進行に関して……。まだ委員長は私の要求を受入れて、先の発言を取消されないようであります。そうして淺岡委員は取消さないことに賛成するかのごときを発言をしておる。何を信ずるかは、これは日本の今の憲法でさえ各人の自由に任しておるのですから、私は問わないけれども、日本政府発表云々ということを言つておるけれども、日本政府発表が、数字等の問題について如何にあやふやのものであるかということは、吉田総理大臣が本会議の席上明言しておる。外務省が出した、今日まだ改めていないあの表によれば、この間すでに私が問題にしたように、壱岐、對馬を外国に勘定しておる。最近空五七七部隊、八百五十名というようなものも、こういう数字も出て来ている。こういう日本政府発表等をここにおいて、そうしてタスの発表を信じるか、信じないかは、淺岡君の自由であるけれども、タスの発表が公の性質を持つものであるという、このことを否定するかしないかということになれば、これは私は重大な問題だ。だからその点に関して委員長はさつきの発言を取消すべきである。これは私の考えです。このことを皆さんに正つて頂きたい。そういうことをしなければ議事がうまく進まない。
  234. 岡元義人

    委員長岡元義人君) 中野委員にお答えしますが、委員長は先程の発言に対しまして取消しません。お答えします。
  235. 天田勝正

    ○天田勝正君 先程原委員が適切な言葉で表現しておるのですが、勿論徳田証人にも御注意あるのは結構でありますが、我々委員も相当これはその表現においても考えなければならん。そこで議事進行でありますが、そうした見解をここで議論しておりましても埓が明きませんから、そこで先程来これに関連いたしまして、四人の証人喚問する。こういうことの決定がなされました。私はその四人の証人に関する、徳田さんのこれに関連する問題について伺つてつた方が、むしろ議事の進行が図れる。こう考えますので、若しさようにお許しを願えれば、これから直ちに質問いたしたいと存じます。
  236. 中野重治

    中野重治君 度々発言して……私も度々発言しなければならないことを遺憾に思います。今委員長は、これを取消さないと言うのは、それは参議院のこの特別委員会決定に基いて取消さないと言うのですか。それとも委員長個人見解としてそういう考えを持つておるというのですか。
  237. 岡元義人

    委員長岡元義人君) 委員長個人見解としてであります。
  238. 中野重治

    中野重治君 そうすると伺いますが、この委員会としては、タス通信は單なるプライベートの一通信社であつて、これを公のものとして認めないということは、この委員会における決定とはなつておりませんね。そういう決定委員会においてなされたことはありませんね。    〔証人徳田球一君「先程あんたのあれは、本委員会としてお前に言うと、こういう話だつた」と述ぶ〕
  239. 岡元義人

    委員長岡元義人君) ちよつと待つて……。今諮りますから……。今徳田証人から発言を求められておりますが、よろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  240. 徳田球一

    証人徳田球一君) あなたの先程のお話では、本委員会としては、タス通信は公式に認めないということで、今聞けば委員会でないと言う。あなたの個人だと言う。個人ならばあなた言う必要がありますか。証人は、私証人でもあり衆議院議員でもあるけれども、自分個人意見をあなた証人に押付けるということはどういうことですか。そんな権限はありますか。
  241. 岡元義人

    委員長岡元義人君) 証人にお答えいたします。先程中野委員から見解について、個人の北見の見解であるかということでありますから、タス通信のこれをば委員会が認めるか認めないかというその問題ではなくして、個人見解であるかというので、只今個人としてそれを考えておる。こう答えてあるのであります。
  242. 徳田球一

    証人徳田球一君) そうすると、委員会ではないのですか。
  243. 岡元義人

    委員長岡元義人君) 我々委員会におきましては、成規のいわゆる公報というものは、総司令部の発表以外には今のところ信用することはできない。こういう意味を申上げておるのであります。
  244. 徳田球一

    証人徳田球一君) それはあなた方の勝手であります。併しながら総司令部は、四つの国の対日理事会でありまして、各国はそれぞれ、ノルウエーはノルウエーの機関を通じて、みずから国家の、ノルウエー政府意見発表するのです。それぞれ皆発表する。それを総司令部から発表されないからと言つて諸君はそれを政府発表と認めないのですか。どういうわけですか。それはソヴエト同盟は、ソヴエト同盟みずからの慣例によつて国際的に政府発表するのに、その政府を認めないとか、いや公報であるとかないとか言つたつて、そんなことは国際的に通用しますか。公報とは何事です。自分で考えておる公報が国際的な公報にならなくたつて当り前のことだと思う。ソヴエト同盟政府は、みずからの公報でみずからやるんだと、それをどういて私が言うのが、私がそれを証人として言うのが不当ですか。私はそういう不当なことはないと思う。むしろあなた方の方が不当ですよ。明らかに不当だ。国際的の大体の観念から言えば、かかる慣習というものは私は曾て聞いたことはない。恐らく今後とても聞かないだろうと思う。百年後と雖も恐らく聞かないだろうと思いますが、併しながら本日あなたはまだもう一つ言われました。とにかくお前は余り口が過ぎるだろうというくらいのことだつたろうと思いますけれども、それも原委員のお言葉の通りです。売り言葉に買い言葉というものもありますですが、併しながら実際上私に聞かれておることは、実際聞くべからざることを沢山聞いておるのではありませんか。見解々々と言つて、そんな見解まで私は述べる必要はないです。本当は事実上のことさえ明らかになればいいのでしよう。あなたが私に討論を求めて、私に演説をさして、ここで論難をするということは、私はどうも参議院委員会としましても、衆議院委員会としてもなすべきことじやないと思う。それが諸君が討議するならば、私はちつとも差支ない。そういうところからふつかけて来れば……ふつかけて来るものを、ああそうですかと、こつちは黙つてお辞儀しますか。ふつかけて来るものには、どんなやるのが当り前です。(笑声)そういうことに対してあなたの今言われた二つの証言は、私は承諾することはできない。承認することは極めて困難であると思うのであります。
  245. 岡元義人

    委員長岡元義人君) お諮りいたします。天田委員発言の趣旨に対してお諮りいたします……。
  246. 淺岡信夫

    ○淺岡信夫君 今私はこの問題に対して、証人と論議をする問題ではありません。併しタス通信がソヴエト連邦の公式の発表であるということに対しては、これは大いに認めておる。私は個人に思う。又委員としても……。けれども、今日の日本の占領下にあつて、少くとも対日理事会議長が言われておる。我々は先程四ヶ国を以て構成しておる対日理事会、その対日理事会にこの問題は三ヶ国が出られて、その結果、その声明に対してタス通信がこれを否定しておる。そこで対日理事会のウイリアム・シーボルド議長は、五日、日本共産党が、反動的な日本俘虜の送還を遅らせるようにソ連当局に要請したという証言を否定した四日のタス通信に対して次のように言うた。ソ連当局が今度の証言を否定するということは、我々が当然予期していたところである。併し彼らが幾ら否定して見ても、最近ソ連から引揚げて来た四十四名の口述書を抹殺することはできないということを言われておる。こうした点から考えてみて我々は保障占領下にある今日、対日理事会なり司令部なりから発表されるもの或いはそれを通じて政府発表するもの、これ以外のものを信ずることはできない。でも先程中野委員が言われたが、タス通信は公式のものじやないか、これは確かに公式のもの、これはソ連と或いはそれに繋がるところの共産党諸君が公式のものであると信ずるものであり、一般の国民大衆が或いは世界の多くの人民というものは信ずることができない。だからこれを信じさせたいということであれば、対日理事会、司令部を通じて公表して頂きたいと思います。
  247. 岡元義人

    委員長岡元義人君) 尚委員長からの……。
  248. 淺岡信夫

    ○淺岡信夫君 更に先程証人から言われたが、この問題に対しては昨年の十一月五日ソ連代表部へ行つてこのことを、これはこの徳田要請の問題ではありませんが、タス通信の数字の問題に対してコテニリコフ顧問に会い、それは違つておるから私はそれを信ずることはできないということをはつきりと申出ております。モスクワには行つて話しておりませんが。
  249. 徳田球一

    証人徳田球一君) それは勝手だ。
  250. 岡元義人

    委員長岡元義人君) 天田委員より質問順序について只今発言があつたわけでありますが、さように取計らつて異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  251. 岡元義人

    委員長岡元義人君) じや天田委員
  252. 天田勝正

    ○天田勝正君 今具体的に念を押して置きますが、そのことは龜澤富男氏から本院に来ております文書並びに……。
  253. 岡元義人

    委員長岡元義人君) 天田委員、もう少し大きな声で御発言願います。
  254. 天田勝正

    ○天田勝正君 本院に龜澤富男氏から参つております文書、並びに当時カラカンダ地区通訳をしておりましたといわれる菅季治君が当院に出しました文書、これに関連して徳田要請と言われるものの質問をしてよろしいかどうか、こういうことです。
  255. 岡元義人

    委員長岡元義人君) どうぞ。
  256. 天田勝正

    ○天田勝正君 では先ず菅季治君が当院に送りました文書に基いてお聽きしますが、それによりますと問題になりましたカラカンダ地区におけるソ連側の政治部将校が言われたという言葉はこういうことである、というので菅君は露語を附けまして提出されております。極めて簡單ですから読みますが「いつ諸君が帰れるか?それは諸君自身にかかつている。諸君がここで良心的に労働し、真正の民主主義者となる時、諸君は帰れるのである。日本共産党書記長徳田は、諸君反動分子としてではなく、よく準備された民主主義者として帰国する様に期待している。」こういう文章であります。そこで徳田証人は先程いろいろ議論されましたように、反動分子を帰すなという言葉では手紙はやつておらないといたしましても、こうした期待をするという手紙をやられたかどうか。
  257. 徳田球一

    証人徳田球一君) そんなことはありません。
  258. 天田勝正

    ○天田勝正君 よろしい。次は龜澤富男君の文書でありますが、これはやがて当院において証人として喚問いたしますけれども、この文書によりますと万国赤十字社のスタンプの押されました往復葉書でソ連日本人收容所からあなたのところへ手紙が来た。それに対してあなたが片仮名で返事を出しておるということで、その片仮名の手紙がここに報告されております。それで見ますと「オゲンキニテソドウメイキヨウカノタメ、マイシンサレリツパナトウシトシテキコクサレ、ハンドウニタイシトモニタタカウヒノ、クルノヲオマチイタシテオリマスニホンキヨウサントウ。トクダシヨキチヨウ」こういう文書は出された御記憶がありますかどうか。
  259. 徳田球一

    証人徳田球一君) 私自身にはありませんが、恐らく祕書が出したでしよう。祕書がそう希望し、私もそう希望するのは、希望ですから何も希望はあんた要請と違いますよ。同じですか。それは祕書がそう出したつて私は政治的責任を持ちます。待ちますが要請なんかは何もしておらんです。一緒に帰つて来れば反動と闘うのは当り前じやないか、あらゆる人間が反動と闘うことは……。私はどこの人々でも要請しますよ。
  260. 天田勝正

    ○天田勝正君 委員長注意をして下さい。事実がありますかと聞いているので、あると言えばそれでおしまいなんです。もう一つあります。これは亀澤氏のおられましたウオロシイロフ地区レエチホフカ、この所長のキイシイローフという大尉が自分の官舎にこの亀澤氏を呼ばれまして、手紙様の数葉の紙片を取つてその中の一通をよこした。これによりますと「貴国の好意によつて優先的に送還された身体の虚弱者素行不良者の言動著しく反民主的にして党活動に大なる支障を来たすものである。故に願わくば貴国の好意によつて、思想的、身体的に健全なる者を送還されんことを希望する。」こういう文書を送つた事実がありますかどうか。
  261. 徳田球一

    証人徳田球一君) 誰がですか。
  262. 天田勝正

    ○天田勝正君 それはあなたです。
  263. 徳田球一

    証人徳田球一君) 私が、そんな事実は絶対にありません。
  264. 小杉イ子

    ○小杉イ子君 いろいろと話しが国際問題、外国問題になりまして、むずかしくなりましたが、枠から……枠外だと叱られてもおりまするようですが、今日の会議に付する件という事件は、ただ徳田共産党書記長という共産党の権威者が反共分子を帰すなと申したという件だけではないかと私は思つております。それについては私共は、いろいろと材料を持つておりますけれども、又聽き過ぎても脱線かと思つて遠慮いたしております。それにつきまして権威者なる徳田氏が、徳田氏に資材を提供してこうではないか、これでも言わないのか、あれでもないか、あれでも言わないのかということを確かに聽くことです。そうしてそれによつて徳田氏が断然言わない、或いは言つたということが聽かれればこの会は閉会してもよいのではないかと思います。
  265. 徳田球一

    証人徳田球一君) 賛成ですね。(笑声)
  266. 岡元義人

    委員長岡元義人君) 靜粛にお願いします。外に御質問はございませんか。
  267. 淺岡信夫

    ○淺岡信夫君 これは証人から、あるとかないとかそれだけを伺えばよいのですが、ハバロフスクの第十六地区千八百九十三病院でありまするが、そこでリトワク軍医大尉は思想が革新できていない者に注射しても無駄だと、その永長馨という人が相澤幾三という人のことを見て、そうして書簡をよこしておるのでありまするが、そのときにリトワク軍医大尉は、徳田氏は共産主義者しか持つていない、その他の者は帰国の必要がないと言つておるからだと、歴史は教えておる、資本主義は滅亡云々と言われたと書いてあるのでありまするが、こうした文書徳田証人なり、或いは秘書が出されたことがあるかないか、それをお尋ねします。
  268. 徳田球一

    証人徳田球一君) 絶対にありませんね。ありません、ある筈がないじやないか。向うの将校などに出すようなことは絶対にありません。知つてもいませんから。
  269. 小林英三

    小林英三君 徳田証人に対しまするいわゆる徳田要請といいますか、その問題については、徳田証人から今朝程来自分は言つたこともない、又ソ連政府タス通信を通じて公表しておるじやないか、こういう言葉が、あらゆる委員からの質問で、あつたのでありますが、私はこの徳田要請の問題につきまして、朝、証人がおいでになつて、我々が質問する場合におきましては、必ず進んでそういう要請をしたということを言われることを予期しておつた。それはどういう意味かと申しまするというと、現在のソ連政府は世界に資本主義を全部なくすること、即ち資本主義国家を次から次になくしてしまうことが恐らく私はソ連並びに日本共産党の……
  270. 岡元義人

    委員長岡元義人君) 小林委員、質問ですね。
  271. 小林英三

    小林英三君 質問です、……言われる、いわゆる世界の平和だ、我々の考えておる平和とは違いますけれども、少くともそういうような行動を、ソ連並びに日本共産党は今日まで取つておる。いわゆる一国でも多く赤化することがよろしい。こういうつもりで、そういう立場でやつて来ておる。その意味におきまして私は日本共産党は、少くとも一日も早く日本を赤化するということが日本共産党の理想であろうし、又ソ連の理想であろうと思う。従いまして、私はこの日本共産党の代表者である書記長である徳田証人が、当然反動分子は帰すなということを、当時、ソ連政府に要求されたということは、多分これは事実だろう、こういうつもりでおつたのでありまするが、併しこれはいろいろな立場から考えられまして、(「誘導訊問だ」と呼ぶ者あり)いろいろな立場も考えられまして、タス通信を通してソ連はこういう声明をしておる、自分はそうじやないかと言つておられますが、私はこの際重大な問題でありまするから、最後にもう一遍徳田書記長証言を聞きたいのであります。即ちむしろ私はこの間の英連邦のシーボルト議長の……(証人徳田球一君「英連邦にシーボルト議長というものはいません」と述ぶ。「ホジソンだ」と呼ぶ者あり)
  272. 岡元義人

    委員長岡元義人君) 御注意申上げます。靜かに……。
  273. 小林英三

    小林英三君 この間の対日理事会の席上におきまして、英連邦の代表でありますホジソン大使は、徳田氏が若しそういうことを要請したとするならば、これは徳田氏は日本の祖国を裏切る者だというようなことを言つておりますが、私はむしろ共産党の書記長として、而もソ連が、或いは日本共産党が、そういう目的のために行動しておられる以上は、そういう要請をされるのが当然じやないかと思つてつたのでありまするが、もう一回その点についてお伺いしたいと思います。(「議事進行」と呼ぶ者あり)
  274. 徳田球一

    証人徳田球一君) どうもあなたには悲しいことですけれども、そういうことはありません。併しそういう誘導訊問をするということは有害だと思います。(「同感」と呼ぶ者あり)苟くも日本共産党を代表する私に対しまして、そういうね、誘導訊問をするということに対しては、私は非常に悲しいと思いますね。
  275. 北條秀一

    ○北條秀一君 先程天田委員の質問に対して、徳田証人が答えられましたことは、反動と戰うということについて、希望を秘書が返事をした。同時に又徳田書記長もそれを希望を持つておられるということを明らかにされたのでありますが、併し反動を帰すなという要請をしないということについては、午前中以来徳田書記長が繰返し申されておるところであります。又、事実は先程私の質問いたしたのでありますが、反動と銘打たれる日の丸梯団も現実に日本に帰つて来ておるわけであります。でありますので、今日の徳田書記長に対するこの証人喚問の要点は、すでに十分に証言を求める点は盡されておると思いますので、先程小杉委員から発言があつたのでありますが、この際質問を打切つて最後に委員長から取まとめを願いまして、本委員会を終了するように取計らいを願いたいと、こういう希望を持つのであります。従いまして、以上委員会の運営についての動議を提出いたします。
  276. 天田勝正

    ○天田勝正君 それに関連して、先程委員長は休憩前に、この通信方法等についての取調と報告をするということを申されまして、北條委員の注意によつて証人が御出頭になつてからというので留保されておる。従つて一番最初にそれを先ず再開のときにやらなければならなかつたのが、今まで延ばされておりますから、それをお忘れにならずに一つつて貰いたいと思います。(「異議なし」「それも含んでおるだろう」と呼ぶ者あり)
  277. 岡元義人

    委員長岡元義人君) 北條委員発言に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  278. 岡元義人

    委員長岡元義人君) 証人委員長から午前午後に亘りましての各委員からの質問に対し、補足的な或いは細かいことになるかも知れませんが、一、二点お尋ね申上げておきたいと思います。
  279. 徳田球一

    証人徳田球一君) どうぞ。
  280. 岡元義人

    委員長岡元義人君) 午前中の証言中に、五月五日に引揚促進の要請は、航空便で書簡として送つたという御証言がございましたが、この航空郵便につきましては、はつきりこういう方法で送られたということがお分りでございますか。
  281. 徳田球一

    証人徳田球一君) 分つております。それは山田という飜訳係が党におります。彼が送つたということを私は事務局から通知を受けております。お調べになりたければこの飜訳係に勤めております山田君をお調べになつてちよつとも差支ありません。
  282. 岡元義人

    委員長岡元義人君) 尚この点につきまして、これは書留でお送りになつておられますのですか、その点お伺いします。
  283. 徳田球一

    証人徳田球一君) そういうことの細かいことは存じません。書記長というのはそういう細かいことは知らないのが普通ですから。
  284. 岡元義人

    委員長岡元義人君) この際先程天田委員から御注意がございましたソ連宛航空郵便につきまして、委員会調査いたしました内容を申上げて置きます。昭和二十四年五月におけるソ連宛航空郵便物の本邦からの送簡は、昨年五月中一日、十五日、二十九日に英国経由で発送されておる記録がございます。そのうち一日に発送したものは書留郵便物で神戸の第三三〇五と記録されております。この点報告申上げて置きます。尚普通便の郵便物は今のところ不明であります。  尚この際通信に関しまして一応御参考までに申上げて置きます。これは先程委員会におきまして、中野委員から電報というお話がございましたので、その点調査いたしましたのでありますが、昨年五月中には電報としてソ連宛に取扱われたものは、一通もない旨が調査されております。
  285. 徳田球一

    証人徳田球一君) 帰つていいですかね。
  286. 岡元義人

    委員長岡元義人君) ちよつと、ちよつと……。
  287. 淺岡信夫

    ○淺岡信夫君 徳田証人にお尋ねいたしますが、これは……。
  288. 岡元義人

    委員長岡元義人君) ちよつと淺岡委員に申上げますが、一応質問は打切りまして委員長の方で最後に補足的な質問だけをまとめて行きたいと思います。
  289. 門屋盛一

    門屋盛一君 私は証人に直接は申上げませんが、委員長から証人に質しておいて頂きたいと思います。本日は一波乱あつて宣誓があつて宣誓後の一問一答についてはいろいろと問題になり、考えさせられる点もあつたのでありますが、徳田証人宣誓前後の行動なり発言中、甚だしく当参議院を誹謗若しくは侮辱したるがごとき点があつたように本委員は記憶するのであります。速記を調べた上で参議院の権威のために適当の措置をとらなければならんかと考えておるのでありますが、証人はその点について今最終に御訂正でもなさるところがあれば訂正しておいて貰つたらいいと思います。
  290. 岡元義人

    委員長岡元義人君) 了承いたしました。尚委員長の質問が後一二点ありますので終りました後にお諮りいたします。  尚証人にもう一点お伺いいたしておきたいと思います。本日の各委員からの質問に対しまして、いわゆる徳田要請というものは要請した覚えはないという証言がございました、この際他の各証人等からそういうものを見せられた、見た、聞かされたという証言があつたことは証人におかれては御承知のことと思います。本日の要請した覚えはないという御証言は、そういう通牒や何かも向うで出したというようなことはないという意味ではなくて、單に徳田書記長として反動は帰すなと要請をしたことはない、こういう意味で御証言なさつたと解釈してよろしうございますか。
  291. 徳田球一

    証人徳田球一君) あなたの言つておることはちつとも分らんですよ。(笑声)
  292. 岡元義人

    委員長岡元義人君) もう一回申上げます。
  293. 徳田球一

    証人徳田球一君) もう二回でもいいですよ。(笑声)
  294. 岡元義人

    委員長岡元義人君) 委員長がお伺いいたしておきたいのは念のためにただお聞きしておるのでありまして、本日の証言中に、反動は帰すなという要請徳田書記長としてはした覚えはないという御証言があつたわけであります。但し当委員会には他の証人からそういう書簡を見た、或いは聞いたという証言がございますので、そういうことまでも絶対になかつた、向うの方でそういう通牒でそういうものを出したとか何とかということは自分は知らない、ただ自分としはそういう要請をした覚えはないという意味で御証言なさつたと解釈してよろしうございますか。
  295. 徳田球一

    証人徳田球一君) まだ分りません。私の言うのは私はこれだけのことを言うたというだけです。即ち皆帰しなさい、徐々に帰して下さいと言つただけでそれ以外のことはありません。ここで何の証言があつたか、そんなことは私には関係ありません。あなた方に関係があるので、何の証言があろうと私は一々それに関心を持つ程どうも暇がありませんのでね。(笑声)
  296. 岡元義人

    委員長岡元義人君) よく分りました。尚(「進行々々」、「委員長が動議を無視しているじやないか」と呼ぶ者あり)この問題は他のお手許に配つてございます資料等に基いても相当愼重に審議をされなければならないと思いますが、本日は大体質問をこの程度で打切りまして只今門屋委員からの御発言がございましたが、本日の宣誓前後におきます徳田証人証言中に、参議院に対する誹謗の言辞があつたと思いますけれども、後刻速記の調査の上かかる事実が判明いたしました場合には、参議院として何らかの措置をとるかも分りませんので御訂正されるところはございませんか。
  297. 中野重治

    中野重治君 それは門屋委員の言うのとちよつと違うよ。
  298. 徳田球一

    証人徳田球一君) どつちでもいい。私は返事します。今門屋さんの言われることも聞いておる。こつちの言うことも聞いておる。第一あなた方の実際の態度はどうです。この参議院特別委員会がこの証人に対しての態度はどうですか。これを諸君は検討して頂きたい。私はここに来て全く弄ばされているという感じをしている。あなた方は私が侮辱したと感ぜられるでしよう。実際私は諸君が職権を濫用し、私を侮辱し日本共産党を侮辱していると感じておるのであります。
  299. 岡元義人

    委員長岡元義人君) 証人に申上げますが……。
  300. 徳田球一

    証人徳田球一君) だから私はもういいです。そういう侮辱を最初からぶつかけられてそれで以て默つていられますか。一つはね、人間というものを見て頂きたい。併しながら私は万歩を讓つて記録を見た上で、私が不穏当と思い且つ通常の常識で以て不穏当と思われるのがあれば、これは喧嘩の際のこともありますから、又通例そういうものの取消も世間の例になつておりますから、諸君権利を大いに尊重いたしまして、特別の取計らいをしこれを取消す意思はあります。(笑声)
  301. 小杉イ子

    ○小杉イ子君 私は最後に御挨拶かたがた申上げたいと思います。(笑声)私は徳田書記長に申上げたいのでありますが(「委員長委員長」と呼ぶ者あり)私は徳田先生一人だけに聞いて頂きたい。(「委員長動議は成立した」と呼ぶ者あり)
  302. 門屋盛一

    門屋盛一君 只今徳田証人が前の例もあるから不穏当の点があれば取消すと言うが、普通の衆議院における記録と違うのです。今日は証人として出られておるのでありますから、それで私は御注意申上げておることは、宣誓前後の発言中にあなたも興奮なされたと言うから興奮したかも分らんが、多少不穏当の発言があつたと思う。私も速記を見なければ分らんが、それを訂正される点があれば、今日の委員会を閉じない前に訂正しておいて貰わないと、後であなたが来られてここをこう消せあれを消せと言われても、それは参議院では訂正しないことになつておりますから……。
  303. 徳田球一

    証人徳田球一君) それは沢山の言葉でありますから、私もどこの点がどうだとか、ここの点がどうだとかは、私自身もこれは調べなければ分らん。だからしてそれはお互いの雅量で以て……、(笑声)世の中というものはそう固苦しくとるべきものではありません。
  304. 門屋盛一

    門屋盛一君 だからして注意をしている。
  305. 徳田球一

    証人徳田球一君) だから私も特別の取扱いをして取消すものは取消しましよう。だからして諸君が不穏当と思うものは今ここで取消しておきましよう。それならいいでしよう。あなた方が見て天穏当と思うものは今私はここで取消しておきます。
  306. 小杉イ子

    ○小杉イ子君 徳田先生が聞いてやろうとおつしやれば申上げることにして、若し聞く必要がないと言えば止めます。
  307. 岡元義人

    委員長岡元義人君) お諮り申上げますが、中間報告として本日の速記録は対日理事会へ送ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  308. 岡元義人

    委員長岡元義人君) 異議なしと認めます。本日の委員会はこれに閉会いたします。    午後四時九分散会  出席者は左の通り。    委員長     岡元 義人君    理事            天田 勝正君            淺岡 信夫君            門屋 盛一君            千田  正君    委員            原  虎一君           池田宇右衞門君            草葉 隆圓君            小林 英三君            伊東 隆治君            木内キヤウ君            紅露 みつ君            阿竹齋次郎君            小杉 イ子君            北條 秀一君            穗積眞六郎君            中野 重治君   証人    日本共産党書記    長       徳田 球一君