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説明員(井上嘉端君) 先程から各
委員からいろいろの御
意見が出ております。それを総合いたしまして、我々の方として御答弁いたすべき点を申上げたいと思います。
配船のいろいろの
状況などどうかと申されておりましたが、その点を一応御
説明申上げて置きます。
御承知の通り現在帰還輸送船として我々が
ナホトカ用に大体持
つております船は十二隻であります。観測船を入れまして……。その船の中
高砂丸が最も優秀な戰前にできた本格的な船でございます。もう
一つは信濃丸と申しまして、これは
日本海の海戰で、敵艦見ゆで知られたあの殊勳の船でございますから
程度のほどはお察し願います。後の十隻は戰時中にできました戰時標準型という船でございます。これは誠に大変な代物でございます。これでなんとかや
つて参
つたわけであります。それで先程
北條委員から
お話がございましたように、事実我々の方は各船を待機させておる上におきましてどの船も同じような
状態において待機させて置きますときには、乘組員は国へ帰ることはおろか、一歩も船から出ることもできない。これは建前としては差支ないわけでございますが、船員というものは過去においては半年位外国をうろついて来たものでありますから、そんなことはなんでもないわけでありますが、近頃の船員ではそれは堪えられません。それでございますから、船を順繰りに十日づつ待機
状態に置きますが、そのときの
要請、その他の
状況を勘案いたしまして、一隻づつを十日づつ待機させております。これは
配船があるなしということに拘わらず、当局から当分休みだという指示がない限りはこれでや
つておるわけであります。
それから御承知の通り
ナホトカという港はこれは建前は不凍港でございます。最近あの港が凍りましたという
情報を持
つておりますのは、一九四四年から一九四五年にかけての冬に凍
つたことがあるだけであります。そういうわけでございますから、普通の
状態ではどの船でも行き得る
状態でございます。それでございますから、今度十二月に入りましてからでも、
引揚げ打切りの指示がございませんので、船は今申上げましたように十日ずつの交替で待機を続けておるわけでございます。今度
高砂丸の
配船の指示がありましたので……、実は
高砂丸をやれということではございませんでしたが、いろいろの
状況から見まして
高砂丸が一番よいと思いまして出しましたのでございます。それで行
つて見ましたところが氷が張
つておりました。それを聞きまして我々の方はこれは勿論
船長が帰
つて来て詳しく聞いてから判断したようなわけでありますが、氷が張
つておるようでは
高砂丸以外には船は行かれないということは一応見当が着きます。そこで私達は
高砂丸が還
つて参りましてから、その
報告を聞きまして約四十センチの氷というものは、
相当の厚さの氷でございますが、港が凍
つた場合には四十センチではそうひどい氷ではありません。樺太の方がもつとひどい例があるのでございます。大体不凍港を建前の港でございますから大したことはございません。それでございますから、船としては普通の船ならば大抵堪えられるわけでありますが、今言
つたように戰時中にできた船であるとか、又明治三十四、五年頃にできた船では無理でありますから、
従つて高砂丸以外行けそうな船はないわけであります。それでございますから、
船長と話し合
つて、全部の船を常時待機させるのは気の毒でございますから、当分氷がなくなるという確信がつくときまでは、
高砂丸だけがいつでも出られるという
状態にな
つております。あとの船は一隻づつ待機
状態を継続させておりますが、これは
ナホトカ以外の港に行くことの
要請があ
つた場合の用心でございます。
それでは
高砂丸一隻でどれだけのことができるかということでありますか、普通に緩やかにやれば月に三回往復できます。
舞鶴、
ナホトカ間を……。少し馬力をかければ月に四往復できます。現在の
情報を総合いたして見ますと、
ナホトカにはそれだけ頻繁に集結されるかどうか分りません。大体その
程度ならば氷の張
つておる場合でも十分やれるわけでございます。それと大体あすこの港の氷はこれから二月、三月となるに従いましてだんだん薄くなる。一月よりも二月の方が薄いのであります。これからは惡くなることはありません。十二月から一月が最惡であります。一九四四年から四十五年に氷
つたときも、やはり十二月から一月にかけて氷
つたのでありまして、二月にな
つたら薄くなりました。そういうわけでありますから、
高砂丸一隻で月四往復まではや
つて行ける確信を持
つております。
ただ我々が一番
心配といたしますことは、同時に船を二隻やれというときにどうするかということであります。今のところそういう船の
状態でございますから、できません。それで先日スキヤツプを通じG・H・Qの
関係の者に対して、船が同時に二隻
要請のチヤンスがあ
つたなら、これは別の用意をしなければならん。今外に使
つておる貨物船で優秀なものがありますが、ところがこれは石炭を焚く戰前にできた古い貨物船でございまして、それに対応するような船は今のところありません。石炭を焚くということが條件であるのは不思議ではありませんが、油を焚く船はアメリカから貰う油を使うことになりますので、従来燃料はソヴイエト側が提供するという建前にな
つておるそうでありまして、今
日本船でや
つておる場合に石属を焚いておりますが、これはどうしても向う側が油を提供することを拒絶するものですから、あと
日本の石炭でや
つて行こう、何もアメリカから輸組して來た油を焚かせることはないというわけで、油船を使うことをソヴイエテトで許しません
関係上、使う船は高砂回以外にはないという
結論になるわけであります。それですから二隻同時ということはお受けできませんということをはつきり申上げて、
高砂丸一隻で行こうということで、今我々は常時待機させておるというような
状態でございます。
それから先程
淺岡議員から御指摘を受れました総
司令部から出ております委任状の日附の点でございます。あれは総
司令部の建前としては、日附は無
関係であるということにな
つておりまして、今度もそのまま出したわけでありますが、先程
お話のように向うで問題になりまして船を遅延させることになりましたので、早速総
司令部にその実情を
説明させて、全然新らしい委任状を出して頂きました。それであすこで待機
状態にある各船全恵を新しく一九五〇年度に訂正して頂きました。先ず今後はそういう問題は起りません。