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1950-04-12 第7回国会 参議院 厚生委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月十二日(水曜日)    午前十時十四分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○委員異動の件 ○医療法の一部を改正する法律案(内  閣提出) ○生活保護法案内閣送付) ○健康保険法等の一部を改正する法律  案(内閣提出)   —————————————
  2. 藤森眞治

    理事藤森眞治君) それでは只今から委員会を開きます。最初に委員長異動がございますので、これを御報告申上げます。竹中七郎君がお辞めになつ谷口弥三郎君が、それから小林勝馬君が辞任されまして紅露みつ君が代りに厚生委員になられました。以上御報告申上げます。  本日の日程に従いまして医療法の一部を改正する法律案、これを議題に共します。前回に引続いて御質問を続けて行きたいと思いますが如何でございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中平常太郎

    中平常太郎君 それじや前回に引続いてやりますか。それでは第四十一條に医療法大がなし得る教育施設、或いは研究施設というものがここに明らかになつております。この医療法人に対する補助金の問題は、こういう延長された再教育、或いは研究所設置などにも同じ率に、施設として同じ率に補助があるものですか。その点は当局はどういうお考えでございますか。
  4. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) 医療関係者養成につきましては、只今ところ補助金はないようであります、が教育につきましては、只今予算建前では各都道府県補助をいたしまして看護婦の再教育をいたしておるのでございます。実際問題といたしましては、適当な病院教育を委託するというようなことで行われると思います。府県を通じまして、府県の方からそれに必要な費用が参るということは考慮せられることと思つております。研究所につきましては只今私共の方には別に補助的の予算はございません。一般的に文部省方面等補助のあり得るものにつきましては、当然このものも入り得ると考えております。
  5. 中平常太郎

    中平常太郎君 只今の説明で県の方から補助があり得るようにまあ見込んでおられるようですが、こういう方面には国といたしまして、法律を以て医療機関の幹部が、日本の現状からいたしますならば、この再教育という問題、或いは研究所設置という問題は、医療法人医療法人組織とて、そうしてそれに補助されるところの分の中にこれも包含して、こういう犠牲的或いは奉仕的にやり、将来その病院以外のいわゆる医療機関以外のところへも必要のある場合に、こういうような施設に対してはやはり補助が当然あつていいと私は思うのでありますが、どうも積極性が欠けておりはせんかと思うのでありますが、そういうことで、こういう医療法人が再教育研究所設置すると思われますか。
  6. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) お話のような点につきましては、医療法人なるが故にということでなしに、医療関係者の再教育或いは養成、更に又医学又は歯学に関する研究というようない一般的な面からこれをやる者に対して、是非この補助を以て助成して行くというような立場から考慮すべきものと考えでおるのであります。只今ところ、そういろ意味合におきましては、看護婦養成につきまして、或いは助産婦の養成につきまして、国の補助考えられております以外には厚生省関係では別段の補助がないと思うのであります。従いましてこれはこのままでは確かにお話のように十分なる成果を挙げ得るものとは存じておらないのでありますが、その面につきましては又その方面から別の問題として考慮する方がよろしいと考えます。と同時に又かようなことを書きました趣旨は、医療法人病院を経営して参りますその附帯事業としてこういう規定を置いておきませんと、この種の仕事ができないことになる慮れがございますので、それで特に掲記して置きましたのでございます。
  7. 中平常太郎

    中平常太郎君 医療法人財団法人としての届けをするときには寄附行為規定が要りますが、その規定の中に解散に関する規定が必ず必要があるのでありますが、第五十六條を見るというと、財団法人財産解散に欄するときの処分が明らかになつておるのでありますが、寄附行為の定めるところにより、としてありまするから、その医療法人の持つておる財産全部を寄附行為規定の中、に前のそれを出資して経営した人に全部返すということに寄附行為の中に規定してあつたなれば、その財産は、その行為を行なつた間にできたところ財産も一切含めて元の医者なり、出資者の方へ帰り得るような寄附行為規定を作つたら、それで許可があるものですかどうか。
  8. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) 御質問程度につきましては当然そういうような規定を置きましても設立認可があり得るものと考えております。ただ前回申上げたと存じますか、この法律では医療法人に対しまして剰余金配当を禁止しております。この剰余金をどんどん積立てて置きまして、その分までも残余財産処分として分け得るんだというふうな建前にいたします。ことは、結局剰余金配当禁止規定を潜ることになりますので、そこまで参りますると認可の場合に相当考慮を要するのではないかとこういうふうに考えております。
  9. 中平常太郎

    中平常太郎君 それでは多分これは積立てられたものに対して全部経営者解散の場合に取つてしまうということは多分いけまいと思つてつたのでありますが、そうするというと医療法人を作るといういわゆる意欲、こういう法人作つて社会公共医療機関公的生命を持つたような医療機関を作るという意欲が私は減殺されはしないかと思います。医者は開業して自分がやれば徹頭徹尾自分の収入になるのに拘わらす医療法人にしたがためにいわゆる利益は全部解散の場合に国庫に帰属するというようなことになる。又他のそういう事業の方に讓らなければならないということになつてしまうと、医者がこういうような医療法人を作るということの意欲というものはどこに出発するのか。又意欲ができるのかどうかということを私心配しておるのでありますが、これが或る一つの私営というふうな小さい医療関係者が、一ケ所の病院をここで経営してやるというのなら別として医者が直接に医療法人を作る、或いは有志と相談して作るということになるとやはりそこに相当の月給、いわゆる報酬以外にどうもないとやうことになつて来ると、私はそういうものを桁える意欲が減殺しはせんかと思いますが、そう思われませんか。
  10. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) その点は非常に根本的な問題になみのでございますが、たびたび申上げておりますように、医業ということは営利の目的を以てなすべきものでないということが実は伝統的な考えでございまして、そういう意味合からその精神で今日まで多数の医師が病院、或いは診療所を開設をしてやつておるわけでございます。従いましてこの場合と雖も金儲けをするがために病院を件る、或いは医療法人設立をするということは同様に望ましくないものと考えておる次第でありまして、このことは御懸念の医療法人設立し、或いは医療法人設立して病院を開設するというような意欲に根本的には大なる支障がないものと考えるのでございます。尚この剰余金につきましては私共の考え方といたしましてはその病院の設備の改善なり、拡充なりというような面に使うことによつてますます公共の福祉のために貢献をして頂くようにして貰うことが正しい行き方ではないかとこう思う次第でございます。
  11. 藤森眞治

    理事藤森眞治君) ちよつと皆さんにお諮りいたしますが、只今大臣がお出でになりましたので、この医療法の改正に対する質問を一時留保しまして、そうして生活保護法に対する質問をこの際いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕   —————————————
  12. 藤森眞治

    理事藤森眞治君) それではそういうふうにいたします。それでは生活保護法に対する質問をお願いします。
  13. 山下義信

    山下義信君 前の質疑の残りを若干させて頂きます。大臣に伺いたいと思いますることは、取敢えず時間の関係もありまするので、三点程お伺いしたいと思う。あと事務当局局長から御答弁を頂きますが、攻取えず大臣から御答弁を得たいと思いますことがございます。第一点はこの受給権、つまり不服の申立制度関係してでございますが、この不服の申立をいたしますことは要保護者権利保護いたしまする上に極めて重要な制度でございまするが、運用に当りましては全くその趣旨に適いまする運用がなされなければならんわけでございます。この制度の実際の運用を如何にするがという点につきましてはあと社会局長から承わりたいと思いますが、その中で特に大臣の御意見を伺いだいと思いますのは、この不服申立申請者ば即ち要保護者でございます。或いは又本法で認められました保護開始申請君等が代りましていたします場合もございましようが、要するところこういう対象者でございますので、この不服申立をいたしまするために、或いは場合によりましては若干の費用を要することがあろうかと思いまするので、極く簡単な場合は簡単な費用で済みまようが、ご多少又出て参りまして実情を述べなければならんようなことがあり、或いは適正な審査を仰ぎますために必要な資料を取集めましたり、或いは適当な証人と申しますか、適当な立証者を尋ねましたりというようなこと等からいたしまして若干の費用を要するようなことがあろうかと思います。そういうような費用をこの要保護者に皆かぶせるというのではこれは面白くない。当然不服申立に要しまする、このために要保護者が支弁せなければなりませんような、そういう経費は、これは当然公で負担をしなければこの法の精神は私はかなわんと思う。小さいことであるけれども、或いは知事まで或いは厚生大臣までかように丁寧に副申制度が設けられてありまする上におきまして、それらの費用はこれは須らく市町村の適当な費用か或いは府県費用か然るべき費用で公の負担という程の意味の運営が私はなさなければならんとこう思うのでありますが、その点はどういうふうに考えられますか。この点を伺つて置きたいと思うのであります。
  14. 林讓治

    国務大臣林讓治君) 只今不服申立に対しますどころの費用の問題でございますが、大体は費用なしで行き得られるようなことが望ましいと私は考えますが、若しそれらを申請いたしまのすに、どうしても必要な場合におきましては或いは府県と申しましようか、町村の場合もありましようが、そういうようなよんどころない場合におきましては、これを持つことも余儀ないことになるのではなかろうかと考えるのであります。
  15. 山下義信

    山下義信君 了承いたしました。当然そうなくちやならん筈でありまして、こういうことに要しまする費用扶助の中にはないのでありますから、是非そううような親切なお扱い命令等で御規定運用上願いたいど存じます。次はこの保護施設に関連してでございますが、すべて公益法人に仕立替ることになりまして大変結構に存じますが、この保護施設公益法人にいたしまするのは一施設ごとにいたしまするか、或いは経営主体一つであつて施設は数多或いは数地区に跨がつておりましてもよろしいか、一施設ごとにこの法人組織を要求されますか、その点は如何でございましようか。尚いま一つはこれはお耳にも入つておると思うのでありますが、宗教法人の経営いたしまする施設は、やはり本法によりまして公益法人仕立替えをいたさなければならんことでありましようか。これは宗教団体の経営いたしまする施設相当多いのでありまするので宗教界におきましては、非常にこれを重大親しておりますわけでございますので、この点はどういうふうにお扱いになるお考えでございましようか。承つて置きたいと思います。
  16. 木村忠次郎

    政府委員木村忠次郎君) 設置主体公益法人でありますればいいわけでありますので、一施設ごとに別の法人でなくてはならないというふうには考えておりません。一つ公益法人が数個の施設を持つということは差支なかろうと存じます。それから宗教法人でございますが、現在の宗教法人自由設立なつておりまして、而もその目的が宗教的な目的に限られております。従いまして融合事業をやります。るものとして、必ずしも適当なものばかりというふうには言えないのであります。従いまして我々といたしましてはやはり保護施設になりますためには特別に公益法人といたしまして設立せられたもの以外にはやらせない方がよいのではないか、こう考えのであります。
  17. 山下義信

    山下義信君 これは実際問題として相当重大と思うのでありますが、尚細部は局長質疑をさして頂くことにいたしまして、次は保護内容でございます。内容と申しますか、程度と申しますか、今後のすべての保護のやり方の方針でありますと申しますのは、従来生活保護実施以来、たまたま経済界がああいろふうにインフレ状態でありしたのに直面をいたしまして、そうして保護実施というものは扶助というものがインフレを後々追掛けて行くというような行き方でありまして、基準は十数次改訂をされましたけれども、実際の保護物価の上昇程基準改訂が伴つておりませんために、保護の実際というものが左程改善されてあるわけではないのでありまして、これは当局数次の御努力にも拘わらず不幸にもインフレでありましたために十分に保護徹底が期し得られなかつたわけであります。が併しながらまさしく経済界様相一変をいたしまして、いわゆる物価下落時代に臨んでおるわけであります。これはこの状況は極く短期間のことでなくいたしまして、このデフレ状況と言いますか、物価下落情勢相当長期に続くのではないかと考えられるわけでありますがこういうような経済界様相一変をいたしました今後に対しまする各種の金銭的、特に金銭的扶助実施につきましては、非常に運営上私はここで考えなぐちやならんのではないかと思うのであります。つまり申しますと、例えば賃金におきましてもいわゆる実質貸金充実ということを申しますと同じように、私共は実質保護向上と言いますか、こういう物価下落様相を呈しておりまする時代に臨んでこそ、かねて生活保護徹底を期しようとする当局の意図が、この際に実質的に私は充実と言いますか、向上と言いますかなさなければならんのではないかと考えるのであります。それに対してどういうふうな考えを持つておられますかということを承わりたい。つまり基準額変更というものについてどう考えておられますか。例えば少々物価下落しても今の基準額は維持して行くのだ、そうしていわゆる不十分でありました各種の必要なる内容というものを充実して行くのだ。物価の騰貴にスライドせんとじたと同じようにちよつと物価が丁がれば直くに扶助基準額を引下げようというようなお考えはないと思いますが、今後におきましても扶助基準額変更と言いますか、尚保護内容充実に対しまする政府当局方針を明確に承つて直きたいと思うのでございます。
  18. 林讓治

    国務大臣林讓治君) 只今山下委員お話御尤もでございますが、大体予算面関係いたしますことですから、インフレの場合においては、その結果からこれを扶助いたすようになるので、遅れることもよんどころないこととは考えますが、昨今のように漸次デフレになりましたような場合において、予算面において余剰がおのずからできて来るとと考えます。その場合におきましては私共といたしましては、その内容につきまして成るべく扶助基準率というものを向上せしめたいという心持を持つておりますので、折からデフレのような場合に、予算その他に余剰を生じたという場合におきましては、そのときにはその予算の範囲内におきまして内容充実に努めて行くということに進んで行きたいと考えまして、俄かに下がつたからとしてその基準を下げるというようなことはいたしませんで、その要保護者に対して満足し得られるような方向に進んで行きたいと私共考えております。
  19. 山下義信

    山下義信君 ちよつと私のお尋ねと多少食違いがあるのでありますが、私の尋ねておりまするのは、扶助基準額を定められるのに、いろいろな内容によりまして積算されまして、そうして一定の基準というものがそこに定められ、金額というものが出ておる。それが漸次コストが低下するに従いまして、ただ同様の内容でありますというと、勢いその基準金額というものを低めざるを得ないような情勢に追込まれるようなことがありますというと、物価下落に伴うて柳かでも保護内容充実しなうとするに拘わらず、依然として物価下落に相応して扶助額が切下げられるというようなことになりましたのでは、保護内容充実といううことには相成りませんので、只今今日の情勢でお決めになりましたその扶助基準額というものは、それが向上せられます、只今大臣の御答弁で、少しでも予算に余裕があれば基準額を切上げたいという御趣旨は結構看ございますが、反対の場合を予想いたしまして、この基準額は絶対に切下げない、これはいわゆる要保護者に与えられたる権利の実体である。いわば金額で言うならば、五人家族で五千三百有余円基準された、厚生大臣の決定したこの扶助基準額は、これをお前に生活扶助費としてこれだけ保護をしてやるといつたならば、それはいわゆる一つ権利考えてもよいくらいでありますので、法律内容ではいろいろそれを変化させるようになつておりますけれども、こに基準額の引下げということはいわゆる権利の侵害とでも言い得られるものでありまするから、十分権保して頂いて、そして旬下げということのないようにして頂がなければならんということについて、当局はどう考えられるかということも併せて承わりたいと思つたのでございます。
  20. 林讓治

    国務大臣林讓治君) 只今山下委員のお説の通り、基準額につきましては下げないということでどこまでも進んで行きたいと考えております。
  21. 山下義信

    山下義信君 大変結構な御答弁を頂きまして了承いたしました。次に関連いたしましてでございますが、私は本法運用の上におきましては、ただ決定のこの法律の上に現われました各種の抜助の実施をすればそれで事足りるというのではならんのでありまして、当然私は、この法律の上に現われております、いや探して見ますと法律の中にもありますが、例えば役務の提供ということが定義の中にも謳われてあるのでありまするが、又それに具体的なものも、医療、或いは出産扶助等の面にも窺い得る面もありまするが、要するところ私は保護実質充実ということは、ただ単に金銭給付というようなものに止まらないで、各種の要保護者に対するところサービス、或いは各種の副利施設等というものが充実せられなければ、考えられなければ、私は本法徹底は期せられないと考えるのでございます。例えば生活必需品の廉売の方法でありますとか、或いは各種の簡単なる公益質屋に代りまするような簡単な資金の融通でありますとか、或いは各種の斡旋であいますか、等々のサービスが十分になされるようでなくてはならん。即ら本法が期待いたしまする社会福利施設仕事なども、ただ単なる事務的な、官吏的の事務ではなくいたしまして、その事務内容についでは、十二分に従来民生委員等がやつておりました要保護者に対するところの温かいサービスというようようなものが、この社会福利施設の大半というものに性格付けられて行かなければならんと考えておりますので、そういうふうな要保護者に対しまする保護上の必要なる各種サービス、或いは福利施設等につきまして、十二分に御努力下さいまする御用意があるかないかどいうことを承つて置きたいと思うのであります。
  22. 林讓治

    国務大臣林讓治君) 政府といたしましては、只今お説のごとく、十分にサービスのできるような工合に進んで参りたいと考えております。それにつきましては、その民生委員などにつきましても、非常な御好意を持つてつて頂いておることと考えますが、尚一段とそれらにつきましては、要保護者に持してサービスの行届きますように政府としては指導して行きたいと考えております。
  23. 山下義信

    山下義信君 最後に大臣に伺いたいと思いますことは、これは言うまでもなく救助法ではないのでありまして、どこまでも生活保障的な性格を堅持して進んで行かなくちやならんのでありまして、これでなければ生活保護法を改正した意味がなくなるわけであります。従いましてここに御考慮に相成りておるとは思いますが、尚念のために伺つて置きたいと思いますことは、特に現下の情勢と睨み合せまして、失業者に対しまする本法受入用意でございます。これはどういうふうに考えられておりましようか。殊に失業保険、失業問題の当面の担当者たる労働省、労働大臣との間におきましては、どれだけの御連絡をれだけのお話合い、打合せができておりまするか、失業保険満期者に対しまして生活保護法発動について、殊にこの新らしき生活保護法の働きについてどういうふうなお考えを持つておられますか、その点を承つて置きたいのでございます。
  24. 林讓治

    国務大臣林讓治君) 労働大臣などとは絶えず失業問題については憂慮いたしておりまするだけ、今後の問題準ついてはよく連絡を取りまして、若し不幸にしてそういうようなことが起つて来た場合におきましては、万遺漏なきを期して参りたいと考えておるわけであります。只今ところにおきましては、具体的にどういうようにということまでは話は進んでおりませんけれども、いつでもこちらといたしましてはその用意をいたしておるわけであります。
  25. 山下義信

    山下義信君 御用意があるということでございますから、大変心強く思うのでありますが、私の伺いたいと思いますることは、失業者失業保険に一応世話になりまして、そうしてその保険期間が満了いたしまして、そうして生活困難な状態に陥りましたそういうような場合におきましては、本法のいわゆる「必要即応の原則」によりまして、それらの失業者をして、いあゆるルンペン化せしめないだけの用意本法が持つて頂かなければならんのであります、これは前回質疑に伺いまして、あらゆるものの活用ということの條件のときにも伺つてあるのでございますが、尚重大でありまするので、失業者という一つ対象を出しまして本法用意伺つたのであります。或いは場合によつて失業保険を受けておる者であつても、尚且つ生活困難と認定しました者につきましては、本法が積極的な働きかけをなしても私は決して不都合ではない、その辺の関係失業保険金の切れた場合おける本法の速かなる適切な適用なり、失業保険金受領者と雖も諸般の事情により生活困難に陥つた者は速かに本法が働いて行かなければならんというような密接なる連繋のありまする活動ができなければならんと考えるのでございまして、その辺の十二分なる御用意がありますか。尚そういう方針に積極的に運用して頂けるのありますかどうかという点を尚いま一度伺つて置きたいと思ます。
  26. 林讓治

    国務大臣林讓治君) 只今山下委員のおつしやるような場面が不幸にいたしまして起きるようなときにおきましては、政府といたしましては予算面の上におきましても十二分に用意をいたしております。従つてそういう場合が起きましたときにおきましては、決して御不自由をかけるようなことのないように私共は努めて参りたいと考えております。
  27. 藤森眞治

    理事藤森眞治君) ちよつとお諮りしたおですが……。
  28. 山下義信

    山下義信君 いま一つで済みます。只今答弁で了承いたしました。尚同じような場合でございますが、中小企業者等が非常に悲惨な状態に陥りつつあり、又陥らんとするものが極めて多数でありまして、政府も憂慮せられておる、地田大蔵大臣が五人十人死んでもいいと言つたが、恐らくこれは失言でありまして、政府の本意でもないと思いまするが、この中小企業等につきまして速かなる本法発動がございますれば恐らく一家七人心中、五人心中というがごとき非参事もこの法によりましてこれを防ぐことができるのではないかと考えられまする、そういうような対象者が必ずしも客観的には、一見いたしました上では、従来の観念のような生活困窮者のような様子を見せておりませんけれども、実際におきましては真に明日をも明後日をも絶望の状態にありまして、そういう対象者も生きた一つの政治としましてこの生活保護法が私は活動する部面ではないかと考えるのでございまするが、こういう点につきましても大やに考慮をお払いになりまする御用意があるかないかということも承つて置きたいと思うのでございます。
  29. 林讓治

    国務大臣林讓治君) 只今中小企業者についてのお話でございましたが、全く山下議員の御説と同様の感を抱いておりまして、そういうような場合が起きましたときにはやはり外の労働者諸君と同じような場合と考えまして、これが救済に当つて参りたいと考えます。街御説のような極めて極端なような沢山亡くなられた実例もございますが、この点につきましてはまだ生活保護法というもののあるということをよく御承知のないような方々も多いためにああいうような誠に御同情申上げるべき事態が生じたのではなかろうかと考えまして、今後は生活保護法なるものの法の制定につきましては、十分徹底せしめますように政府といたしましても努力をいたしますと共に、民生委員各位の御援助もお願いして一般に徹底せしめて、かかる悲惨事を起さしめないように努力いたして参りたいと考えております。
  30. 山下義信

    山下義信君 尚残余の質疑がありますが、それはあとに他の委員各位の質凝がありました後で尚残つておりましたならば細部に亘りまして質疑いたしたいと思いますので、その点を留保いたして一応私の質疑は終わることにします。
  31. 藤森眞治

    理事藤森眞治君) お諮りいたしますか、大臣は二十分から御用事があるそうで二ざいますので、一応大臣質問はここで留保して置きまして、そうして最初の医療法の一部を改正する法律案に関する質問を続行したいと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕   —————————————
  32. 藤森眞治

    理事藤森眞治君) それでは二、三私が伺いたいのですが、四十一條の「施設又はこれに要する資金を有しなければならない。」この資金というのは、これは借入金を資金にする場合も含まれましようが、どうでしようか。
  33. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) 借入金も含むつもりでございます。
  34. 藤森眞治

    理事藤森眞治君) それから五十六條の帰属すべき者に帰属した場合に、これがやはり課税の対象になるのでしようが、どうでしようか。そこも御研究できておりましようか
  35. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) 解散をいたしましたときに残余財産として病院診療所財産が帰属いたします場合に課税の対象になることになつております。
  36. 藤森眞治

    理事藤森眞治君) それから六十三條で、医療法令に基く都道府県知事の処分又は定款云々とあるが、この都道府県知事の処分というのはどういうことでございましようか。
  37. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) 都道府県知事の処分と申しますのは、先ず第一は設立認可ということも処分でございます。それから次の六十四條の「医療法人に対して、業務の全部又は一部の停止を命ずる」という規定もございます。これも処分でございます。それから六十五條の設立認可の取消というようなものも処分に入ります。勿論設立なんか取消してしまえば動くということはないかも知れませんけれども、勿論取消処分をしたに拘わらず依然としてやつておるという場合にこの規定が動いておるということがあり得ると思います。そういうようなものが都道府県知事の処分であります。
  38. 藤森眞治

    理事藤森眞治君) ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  39. 藤森眞治

    理事藤森眞治君) 速記を起して下さい。
  40. 井上なつゑ

    ○井上なつゑ君 過日この医療法の一部改正についての提案理由を御説明頂きましたのでございますが、又初めに返つて申訳ございませんが、まだ篤と呑み込めないのでございます。と申しますのは、この事由の中には診療所病院の建段促進、それから医療事業の発展ということが書いてございますが、この医療事業の発展ということは、結局医療機関内容の整備というようなことを言うのでございましようか、どうでございましようか。この点を一つ承わりたいのでございます。と申しますのは外でもございませんけれども、この頃ここの執行部か何でございましたか、機関誌が出ております中に、一番初めに結核療養所の病人のことが取上げられております。それを引用いたしますと、看護婦にチップをやらんために廊下に御飯を置きつ放しにされた、病人がそのためにますます惡くなつたとかいそれから長期療養所の生死のラインをさまよつている者が、なかなか病院では思うように療養ができないというような、療養所の中の設備の惡いことを書いたものが出ておりましたのでございますが、とうしたことがこの法人組織ができますことによつて、いろいろ改善されますかどうでしようか、そういう御意見がございましようか、承わりたいのでございます。
  41. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) 病院の設備の改善ということは、この法人制度を作ります直接の効果としては余り期待できないかとも思いますが、私の方といたしましても、この法人を作りまする趣旨が今日のような経済情勢の下におきましては、なかなか個人の力で病院を作るということが極めて困難だろうと思います。こういう制度を作りまして資金を集める便宜を作りたい、こういう考えでございます、そうして新らしき制度に基きます、医療法に基きます病院ができて参りますということは、全病院内容もよくなるということを狙つておるのでございます。同時に又先程来申上げておりますように、医療法人の経営上剰余金が出ましたならば、実際の指導といたしましては、これをできるだけ病院の設備の改善の方に注ぎ込んで頂く、これは剰余金配当も禁止しておりまする関係もありますので、そういう方面に金を使つて頂くというようなことも狙つておりますので、そういうことから間接的に病院の設備の改善が期待されるという意味で説明の中に書いたつもりでございます。
  42. 井上なつゑ

    ○井上なつゑ君 それではこの間おつしやいましたように、現行医療法実施されまして病院の設備、それから病院内容の改善をしておられますということでございますが、あと三年間に大体設置しなくちやならないということでございますが、この病院の設備の改善、内容充実にこの医療法人只今御提案になつでおります法律案が非常に拍車をかけることになると解釈してよろしうございますか。
  43. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) 非常に拍車をかるとい程度まで申上げられるかどうか存じませんが、前にも申上げましたように、個人経営でやつております場合よりも多くの場合所得税なども軽減になります。その辺のところが全部剰余金に回つて参ります。剰余金なつたものが施設の改善に使われるというようなことで、プフスになることは相当あり得るのじやないかと考えております。
  44. 藤森眞治

    理事藤森眞治君) 外に御質問ございませんか。ちよつと申上げますが、この十二頁も第二項のところの「医療財団法人」これは「財団たる医療法人」のミスプリントです。これは前の第二項に書いてあるのと同じようで、これは印刷違いでございますから御訂正をお願します。それでは質問はこの程度で終了したものとして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  45. 藤森眞治

    理事藤森眞治君) それでは質問はこの程度で打切ります。この医療法の一部改正はこの程度に置いておきまして引続いて健康保険法等の一部を改正する法律案、これを議題したいと存じますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者り〕
  46. 山下義信

    山下義信君 ちよつと速記を止めて頂きたい。
  47. 藤森眞治

    理事藤森眞治君) ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  48. 藤森眞治

    理事藤森眞治君) それじや速記を始めて、健康保険法等の一部を改正する法律案、これについて御質疑があれば……
  49. 中平常太郎

    中平常太郎君 本案は単純でありますから、従つて質問も複雑なものではないのでありまするが、二十銭を八銭に、延滞金の日歩の徴収金額を改正されるのが目的でありますが、これは私は本当を言うたらまだ下げるべきじやと思うのですが、まあこうなつておりますが、御質問申上げるのはこの滞納した場合の徴収代金というようなものは、被保険者から集めて、そして納付するという形式なものであつて政府の代行機関の一部になつておるように思われるのでありますから、大体被保険者から政府が直接取るべきものであるのを、経営者に取らせておるのでありますので、経営者に直ちに罰則を科するということは、余りの過重な延滞日歩を取るのはだうかと思うのでありまして、二十銭等ということは、もとよりこれはいかんと思つて、前から私反対しておつたのでありますが、今度は一般に二十銭という税務署のやり方が、八銭にお変えになつたのですが、これは当人が納付するということとよりも、一部政府仕事の、政府官掌の仕事の代行をやつておるという意味から、もつと下げるという意思はなかつたのですか。その点お伺いしたい。四銭ぐらいに下げるという意思はなかつたのですか。
  50. 葛西嘉資

    ○説明員(葛西嘉資君) お説一応御もに拝聴いたすのでありますが、金融等から被保険者が納めるべきものを、一応取つて、そして納めて貰うのでありまして、若しこれを柔らかくいたしますると、又出してそれを流用してまつて、なかなか納まんということもありますので、国税徴収法の一部を改正して、それと同じような方法を採る、こういうことが適当であろうというふうに考えます。
  51. 草葉隆圓

    ○草葉隆圓君 この問題直接じやないのですけれども、ちよつとこの機会に、関連があるので承つて置きたいと思いますが、併し質問外のようでありますからただ一言お伝え願つて置けば結構です。最近実は各地において、健康保険の医療の範囲において鐵灸等を契約しおてところ最近政府はこれを余り好まずに、それはその医師の監督の下にやるというので、直接契約しておるのも随分それを解除しつつあるような傾向にある。これは折角やつてつて、医師会とも了解してやつておるのですから、むしろ或る意味において善導する、助長していいじやないか。この点を一つよろしくお取計らいを願いたいと思う。この点だけ。
  52. 藤森眞治

    理事藤森眞治君) 外に御質問ありませんか。御質問ないと認めます。
  53. 草葉隆圓

    ○草葉隆圓君 大体本法案は御質疑が絡了いたしたようでございますから、この際討論を省略して直ちに採決にお入り願いたいという動議を提出いたします。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  54. 藤森眞治

    理事藤森眞治君) 草葉さんの御動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 藤森眞治

    理事藤森眞治君) それでは本案に御賛成の方の挙手を願います。    〔総員挙手〕
  56. 藤森眞治

    理事藤森眞治君) 全員挙手、よつて本案は可決されました。尚本会における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四條により予め多数意見者の承認を経なければならないことになつておりますが、これは委員長において本案の内容、本委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨及び表決り結果を報告することとして御承認を願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 藤森眞治

    理事藤森眞治君) 御異議ないと認めます。それから本院規則第七十二條によりまして委員長が議院に提出する報告書には多数意見者の御署名を附することになつておりますから、本案を可とする方は順次御署名を願います。多数意見者署名     中平常太郎  山下義信     石原幹市郎  草葉隆圓     井上なつゑ  小杉イ子
  58. 藤森眞治

    理事藤森眞治君) 御署名漏れはございませんか。署名漏れはないと認めます。   —————————————
  59. 藤森眞治

    理事藤森眞治君) それじやこれから生活保護法質問を続行いたします。
  60. 山下義信

    山下義信君 不服の申立の審査制度でございますが、これは以前資料のとやにも伺つて政令等にも規定もないようでございましたので、その点が不明瞭になつておるわけでございますが、元来ならば私共は不服の申立の審査方法というようなものは法律に明記しなければならん程重大なものであると考えるものでございますが、これが政令によりましてその大綱が規定せられ、更に省令等によりまして細則が定めちれる等丁寧なるこの運営の方法の御規定があるものと期待するのでありますが、大体はどういうふうな構想でこの不服の申立の審査方法等をなされるお考えでありましようか、大体当局のお考えを聞いて置きたいのであります。これを單にいわゆる都道府県知事の場合で申しまするというと、県庁の民生部の吏員等を以ちましていたしますという程度でぼ私は不十分ではないか、相当いろいろいわゆる先進国の実例等もあるわけでございますから、十分にお取入れに相成りまして、例えば審査会を作りますか、或いはまあ例えて申しますれば審査官でございますが、誰が審査に当るかへ審査に当る者の資格等をどういうふうにするか、御承知のごとくヒヤリングの方法はどういうふうにするかということに関じましては、どういうふうにこの審査の方法をなさるお考えでございましようか、この点を承わりたいのでございます。
  61. 木村忠次郎

    政府委員木村忠次郎君) この不服の申立の手続並びに審査、決定、裁決ということにつきましては、今山下議員から御指摘になりましたように、極めて慎重を期するこうを要するという考えであります。而も尚これにつきましては、手続は非常に早急に行わなければならないといつたような点もありまして、これをやりますについて一体どういうふうな形になつて出て来るかということについての事柄につきまして、当局ではまだ十分な自信を持つた方法どいうものは考えられないわけです。又これにつきまして、慎重なる各種の手続をいたしますにつきましては、これに必要な各種の経費というものも必要になるだろうと思うのでございます。でこれらの点につきましても、いろいろ用意が現在におきましては十分でございません、といつたような実情もございまして、これらの手続につきましては、今後の実際の不服の申立の出ましたものに応じまして、慎重に検討いたしまして、手続は決め、そうしてこれに必要なる経費を予算的に措置いたして参りたい、かように考えるののでありす。従いまして、この事前お答え申上げましたように、現在のところでは、この手続に関する政令等につきましても、一応形式的なものを予定いたしておるだけでございまして、細かいものについては十分な準備」ができていないというふうに申上げる跡はないのを誠工遺憾に存ずる次第であります。
  62. 山下義信

    山下義信君 この新法を施行いたしまして、不服の申立制度を周知徹底されることは言うまでもないことでございますが、先刻の大臣の説明にもありました、この生活保護法そのものの趣旨の周知徹底に努力いたすということでございましたが、特にこの申請制度、不服の申立ての制度のあるぞということを十分に当局は周知徹底方に御努力に相成ると思いまするが一体資料の中で用現在若干その途をお開きになり先後の実績は資料として頂いておりますが、当局のお見込はどういうお見込でございましようか。相当この制度が善用、活用せられまして、或いは又従来鬱積しておりました、いろいろな要保護者の希望等も不服の申立というこの制度の線に沿いまして、相当件数があるというお見込でございましようか。どういうふうなお見込でしようか。その辺を承わりたいと思います。
  63. 木村忠次郎

    政府委員木村忠次郎君) 我々といたしましては、最初の保護の決定ということにございまして、遺憾のないように必要な保護が十分に直ちに行われるというふうにいたして参りたいと、かように考えたのでございまして社会福祉主事の充実民生委員の必要な活動、これらが相俟ちまして保護を必要といたしまするものにつきまして、できれば保護が迅速に行くというふうに指導して参りたい。従いまして、先程申上げました不服の申立が必要なくて済むというようなつもりでおります。併しながら実際の実情からいたしますと、尚問現在の我々のとつておりますところ各種の措置を以ちましては、十分に隅から隅まで行届くということにつきましては尚遺憾の点が多々あろうかと思います。従いましてこれにつきましては不服の申立制度がありますことを十分に周知徹底いたさねばなりません。特に我々といたしましては、一応保護の決定をいたしまして、これが本人に通達いたします場合におきましても、こちらにその方の決定につきましての実情というものを十分に本人に徹底するように申しまして、尚これに不服のあります場合にはその不服の申立制度、訴訟の訴えもできるというような点につきまして本人によく知らせまして、その手続について知らないためにこの手続をしなかつたということになることのないようにいたして参りたいと、これは通知書は、必ずその点をはつきり書面にも書くようにたして置きます。尚口頭におきましても、そういうふうによく話をする、そうして要保護者が納得して保護を受けるというようにいたしたいという考えでおります。従いまして、只今お尋ねになりましたこの不服の申立が沢山出るかどうかということにつきましては、その趣旨徹底いたしますれば相当出て来るんじやなかろうかと思いますけれども、我々としましては、実際の仕事をするものにつきましてはそういうことがなくて済むように適正な運営をやるようにいたしたいと思つておる次第であります。
  64. 山下義信

    山下義信君 これはまあ運用上につきましてのいろいろお考えがあろうと思いますが、要すれば不服の申立の件数等に対しましては成るべく速かにそれが立派に運営できますように事務機構の考えも必要じやないかということを思うのであります。次に保護施搬につきまして、先程伺つた以外にこの施設の維持の十分な資力の基準でありますが、公益法人認可の條項、四十一條でございます。第三項の一号、「この経済的基礎が確実」というような基準は大体どういうふうな見当を考てておられましようか。この辺御説明願いたい。
  65. 木村忠次郎

    政府委員木村忠次郎君) 現在では要援護者の中で保護を受けておる被保護者の入つておりますものにつきましては、一応事務費は所定のものがございまして、その所定のものは全部こちらから渡すわけでございまして保護者が、被保護者のみを入れておりますような施設につきましては、その施設そのものが何と申しますか、相当程度のものである。つまりそれに対しますところの負債といつたものがないといううなことで以て、経済的に問題が起るというにとがないということが考えられるわけでございます。尚被保護者のみでなく、被保護者以外の者もこれに収容いたしておりますところ施設につきましては、その被保護者に対して給与せられますものが、被保護者以外の者の経費に廻るということのないようにするために、被保護者以外の者の収容というものに必要なところの経費というものが十分賄い得るだけの経済的な信用というものが持ち得るだけの内容を持つておるということを必要とするというふうに一応考えております。
  66. 山下義信

    山下義信君 大体この私立の施設に対しましては、法は公の支配化を理想としておるのでありますから、その施設自体の財力で以て他に依存するということの必要を考えることはそこに矛盾があると思うのでありますが、一応経済的基礎の確実であるということは局長の御説明のように必要があると思う。大体事務関係で申しますれば、私共勘ですけれども、一ケ年分の事務費くらい、それから又実際の事業費で申しますれば、少くとも六ヶ月分くらいの事業費くらいが、事務費ならば一ケ年と、事業費の半ヶ年ららいが、一つのそういう財団の基本金くらいのものが最低の限度ではないかと、これは一つの私見に亘りますが、思うので或る程度やはり基準というものを、ここにもありますようにお示しにならねぱならんのでありますが、これが余りに、酷になり過ぎましても如何かと思いますが、大体そのような程度のものじやないかと思いますが、局長はどう考えられますか。
  67. 木村忠次郎

    政府委員木村忠次郎君) お説の通りでございまして、この経済的基礎が確実であるというものにつきまして、非常に融通のきかない固い制限をつけますると、実際に非常に信用のおけるような施設でありましても、そのために基準的に不適格であるということが出て来るかと思われます。従いまして我々といたしましてはその経済的基礎というものの中に成る程度の封入信用というものも考慮におかなければならないというふうに考えでおるのであります。対人信用の非常における場合におきましては、例えばその施設設置者、その施設経営者というものにつきまして十分な信用がおけるという場合におきましては、これについての基準というものは割合に緩く見て差支ないのではないか。併しその点につきまして余り十分でないというような場合におきましては、これに対しまして相当なものを考えて置かなければならんというふうに考えておりまして、これらにつきましては十分に検討いたしまして、適正なる基準を作るまうにいたしたいと、かように考えております。
  68. 山下義信

    山下義信君 次は保護施設の管理規程ですが、これは相当いろいろ問題がありまして、殊に被保護者はこれを非常に問題にしておりまして、心配しておるわけでありますが、大体まあ條文で申しますれば第四十六條の一項の四号が問題と思うのです。管理規程の内容の中に、四号には「その施設を利用する者が守るべき規律」とこうあるのでありますが、局長はどう考えられますか。この保護施施の方と被敗容者、つまり入所者との関係は、監督する者と監督される者との立場ではないと思う。この管理規程のすべての内容が、ただ事業目的とか、方針とか、職員の定数とかいうようなものはよいとして、真にこの入所者に直接関係のありまするような施設の中においての規律等の定め方というものは、取締的な規律、規程を要求しては私は相成らんと思う。保護をする者と保護をされる者とでありますから、監督する者とされる者といつたような規程の作り方をいたしまして、それに従わなければそれに反するというような行き方というものは、すべてこの法律精神に反すると思う。如何に管理に対するところの義務規程とは申しましても、その辺に温い、対立的な規則でなくいたしまして、全くこの法の精神に副うような、保護する者とされる者との保護徹底を期するというようなふうにすべての管理の規程の内容等につきましては、そういうことが要望せられるように御指導が頂けるものでありましようかどうかという点を伺いたい。
  69. 木村忠次郎

    政府委員木村忠次郎君) 只今山下委員の仰せられました通り、この管理規程は保護目的を十分に達成するに必要なる規程というふうに考えるのであかまして、それで以て被保護者を拘束するという考えはないのであります。飽くまでも、この施設におきまして保護を受けまする者が適当なる保護が受けられる。団体生活、集団生活をいたしておりますことになりますれば、その集団生活が平和に維持されるというために必要なる限度というものは越えてはならない。何か特別な意図を以ちましてそれに何らかの強制を加えるといつたようなことは全然ここでは不適当であると考えております。その点につきましては、只今山下委員の仰せられました通りの考えで以て指導いたじて参りたいと考えております。
  70. 山下義信

    山下義信君 扶助規定につきましては、私はこれは一番最後に同僚議員め質問の後廻しをさして頂くのでありますが、この際ちよつと伺つて置きますのは、新たにできました教育扶助と住宅扶助であります。この教育扶助につきまして一応の差当つて当局の御心配がありまして、御事情御尤もに思いますが、実際に必要な教育費ですね。家庭において支弁すべき実際必要な教育費というもりの御調査ができておりましようか、如何でしようか。
  71. 木村忠次郎

    政府委員木村忠次郎君) 義務教育につきましては必要なる経費というものを最低どの線で引くべきかという点でございますが、これにつきましては現在まだ十分なる自信を持つておりません。差当り現在考えておりまするものは、義務教育に直接必要な経費のみを一応考えておるようなわけであります。これに伴いまして実際に各種の必要な経費が出て来るであろうかと考えておりますが、これらにつきましての十分な検討はまだできておらない。従いまして今後この点につきましては十分検討をいたしまして、教育費につきましては最低の義務教育費というものがどのくらいかかるという点につきまして、問検討しなければならんというふうに出考えております。
  72. 山下義信

    山下義信君 この点は当局で今後の御努力を願いたいと思うのであります。最近に東京主婦連合会その他で御調査にたりました一、二の資料を見ますというと、大体年收の二〇%ぐらいが家庭において絶対必要な、今局長の言われまじた義務教育教育費というものが年收で申しますと二〇%ぐらいというようなことのいろいろ調査等もやつておりますようでございまして、十分今後も一つ御努力を願いたいと思います。  それから住宅扶助でございますが、これは全国の平均一人当りの坪数といいますか、畳数といいますか、又畳一枚当りの家賃額というようなものの調査があつたように思いますが、これはどういうふうになつておりましようか。
  73. 木村忠次郎

    政府委員木村忠次郎君) 世帯の一人当りの畳数及びそれの金額の実際の調べというものはございます。現在我我の方で持つておりますのばそれだけであります。
  74. 山下義信

    山下義信君 これは一般家庭の、と言うと余り広過ぎるかも知れませんが、少くとも勤労生活者の一人当りの畳数、或いは家賃等できますればそういう基準一つ御調査を願いまして、将来確たる住宅扶助の基礎調査を一つお願いしたいと思うのです。  関連しましてこの住宅扶助制度ができまして、何を扶助するかということは資料によりまして、御説明によりまして承知いたしておりまするけれども、一般に受けます印象といたしましては直ぐに家屋が提供されるのだ、住宅が提供して貰えるのだ、或いは家賃とか、補修費が直ぐに貰えるのだということは直ぐに簡單には考えますまいけれども、例えば浮浪者等に対しましては、これは住宅扶助という制度がある以上、家のない者には直ぐにこの扶助の適用があるのだろう。丁度病人に医療扶助があるだろうと、これは常識的に考えられますが、浮浪者に対するものと住宅扶助に対する関係はこれはどういうふろに心得たらよろしいか御説明を願いたいと思います。
  75. 木村忠次郎

    政府委員木村忠次郎君) 浮浪者につきましては、一応特別の住居というものを与えるというよりは、むしろ適当な浮浪者の收容施設を作りましてこ九に收容するという考えで参りたいと思います。実際の住居の現物の提供ということにいたしたいと思います。これにつきましては、やはり我々といたしましては十分な措置を講じたいと考えております。浮浪者の收容施設というものにつきましては、特に重点を置きまして、これについての施設を拡充して行きたいと思つております。  両浮浪者の問題につきましては、冬季になるとこれに入ることを希望する者が殖えまするし、夏季になりまするとその希望が減つて来るということもありまするし、又收容いたしましてもその環境等によりまして新たに浮浪者が集まつて来るという関係もございまするので、浮浪者の根本対策というものを早急に立てるようにいたさなければならんというふうに考えております。一般の生活保護ということの外に、特に浮浪者対策というものについては早急に根本的なものを立てたいというふうに考えております。
  76. 山下義信

    山下義信君 この保護施設の中に宿所提供施設というのがありまして、従来御当局も御心配して下すつておるのでありますが、この事業の中に極めて低廉な料金であなたの方で御監督なられて、全く無料でなくても極めで低廉な料金でそういう対象者の便宜を図つておる施設を御奨励になつておるとか御援助になつておるとかという施設がありますか。どの程度でございましようか、若しありますれば。
  77. 木村忠次郎

    政府委員木村忠次郎君) 宿所提供施設におきましては、保護施設として設置されましたのが、中に入つております者が逐次被保護者以外の者になつてしまつて保護施設から外れて来るといつたようなものが相当現在あるわけであります。これにつきましては保護施設ではないのでありますけれども社会事業施設といたしまして、これが運営については適正にやるように指導いたしております。これについては地方庁を指導いたしまして遺憾のないように措置いたして行きだいと考えております。
  78. 山下義信

    山下義信君 この住宅案内と言いますか、何と言いますか貸家借間の周旋斡旋というものの公のサービス施設というものが現在ありましようか。それはあなた。方の係ではありませんか、若しありとしますれば。
  79. 木村忠次郎

    政府委員木村忠次郎君) 現在住宅問題の所管につきまして極心て不明確な状況に相成つております。建設省ではもう住宅問題一切所管いたしておるというような形になつておりまするので、我々としましては要保護者の收容施設と言いまするか、要保護者に対する住宅というもののみが厚生省によつて一応所管するということに相成つておるだけなんでございまして、従いまして、そういう住宅の斡旋といつたようなものにつきまして、どのくらいあるかということについて、現在でははつきりいたしておらない。併しながら我々といたしましてはそういうような庶民の住宅、特にボーダーラインの程度にありまする者に対しまするところの收容所というものにつきましては相当考えなければならんのじやないかというふうに考えておるのでありまして、これらにつきましてはできる限り努力牽いたして参りたいと思つて為ります。併し現状はそういう実情でございますので、その方面に十分な手が伸びてないというような状況でございます。
  80. 山下義信

    山下義信君 もう私のは大体済むのですが、六十九條の法文でございますが、六十九條によりますというと、この法律に基く行政庁の決定に不服のある岩は訴の提起ができるように規定されてあるのですがこれは厚生大臣の裁決に対しましてはどういうことになるのでございましようか。厚生大臣の裁決に対してもできるわけでありまするから、ただ決定というだけでは不十分ではないかといふ意見もあるのですが、この起案者のお考えはどうだつたのでしようか。
  81. 木村忠次郎

    政府委員木村忠次郎君) 主務大臣の、厚生大臣裁決、これは裁決で直に絶対的なものが出て來ないわけです。この採決に基きましていろいろな処置がなされるわけでございまするから、これによりまして訴の提起ができる。尚問題としましてはこの不服の申立というものを全然しないで訴を提起するということもできるわけでございまして、との行政庁の決定に不服のあります者が訴を提起するというのは、広く全面的にできるというふうに解釈していいのじやないかと思つております。
  82. 山下義信

    山下義信君 そうしますと、この厚生大臣の裁決というものは関係のないという御解釈ですね、六十九條の。
  83. 木村忠次郎

    政府委員木村忠次郎君) 一応厚生大臣の裁決もこの決定と行政庁の決定の中に入るというふうに法文では考えられます。ただ実際問題としまして、大して意味がないのじやないかというふうに考えます。
  84. 山下義信

    山下義信君 一応あなたの方の解釈を聽いて置きます。  それから第八十一條ですが、この法文の解釈を聽くのですが、後見人選任の請求の條文ですが、これは「被保護者に、親権者及び後見人の職務を行う者がないときは、」ということになり、被保護者全部についていうのじやないでしようね。これは被保護者中り未成年春でありますとか、或いは禁治産者とかいう岩に対していうと思うのでありますが、この候文を見ますというと、親権煮及び後見人のない捜保護者はすべてこうせねばならんというふうに、この條文の読み方ができるようになりますが、起案者はどういうお考えでこの條文を作られたのですか。
  85. 木村忠次郎

    政府委員木村忠次郎君) 親権者及び後見人というものはすべての者にあるわけではないのでありまして、お説の通りに親権矛及び後見人というものが必要な者について、親権者及び後見人の職務を行う溝がないという場合だけになるのであります。つまり法律上こう言えば一応分る。ただこの字句だけを見まするとお読の通りでございますけれども、一応法律上それで分るというところで、そういう書方をいたしたということで御了承願いたいと思います。
  86. 山下義信

    山下義信君 それから最後に予算の強化につきまして法律の中に講うように昨日の公聽会で園教授が言つてつたりですが、一部にそういう希望があつたわけでありまして、何が最初の起案者もそういうふうにお考えなつておられたのでしようが、それがこの法律の中に規定されておりませんようですが、何か誤謬がありましたのでしようか。これは私の不勉強で、ここで聞くのは済まんわけですが聽かして頂きたい。
  87. 木村忠次郎

    政府委員木村忠次郎君) この点につきましては、念のためにごの規定を入れて置くという考えを一応持つたのでございますけれども、国が義務といたしまして、国民が権利として要求できるものにつきましては、経費かないからこれは払えないということもあり得ないし、そういうふうな権利義務の関係を明らかにしますれば、国といたしましてもどうしても予算を組まなけれげならんし、市町村といたしましても予算を組まなければならん義務が法律上発生して來る。從つてもう一つ念を押した規定ということに相成りますると、この規定は体裁上ない方がいいのではないかというようなところから省いたような次第でございます。從いまして趣旨といたしましては、この法律全体が権利義務の関係を明らかにしたというようなところから、そういう趣旨を盛られたというふうに解釈していいと思います。
  88. 山下義信

    山下義信君 それではこの補助基準医療関係とを除きまして私の質疑は終了いたしました。
  89. 井上なつゑ

    ○井上なつゑ君 ごの民法による扶養義務の件でございますが、昨日も問題になつておりますが、若しこの扶養義機構が金を支払いましたときには、これは所得税の方はどういうよ、になつて來るでございましようか。大蔵省の方で何とか、その療養費が十万円垣下でございますど勤労所得税が減免されるということになつておりますが、若し自分の家族じやございませんで、こうしたもの以外に療養費を十万円なり十五万円なり出して貰いましたら、勤労所得税が減免されるように、何とか大蔵省の方でなつておりますか、ちよつと伺いたい。
  90. 木村忠次郎

    政府委員木村忠次郎君) この点につきましては私頗る不勉強でありまして、どういうふうになつているかはつきり分りません。併し我々といたしましては、この扶養義務について考えますことは、秘を引かれた残りで扶養する能力があるかどうかとい引ことを考えるわけでございまして、從つて税を負担いたしましたあと扶養能力がないということになりますれぼ、この問題につきましては必ずしも扶養しなければならんというふうに扶養義務が決まるものではない。その者の財力というものが扶養義務内容を決定するわけでございます。その財力を見まする場合は、税を引いた残かで見るというふうに考えるというふうにお答ていたします。尚扶養義務者が扶養する者に対しまして出しまする金品といろものにつきましては、贈う税はかからないということに考えております。
  91. 井上なつゑ

    ○井上なつゑ君 大変結構な御答弁を頂きましたが、面この問題につきましては、これは勤労所得税は、十万以上治療費を使つたら所得税の減税ということでございますのか、もう一度恐れ入りますが御研究頂きますれば、扶養者も療養者も大変安心できるのではないか。患者の方から大変それがやかましくなつておりますし、医療費を長期の患者を抱えていると……例えて申しますと、例を私の身辺にとると、私の兄弟に結核患者があるということになると、生活保護法のほうではかかられいから、私に毎月一万円出して興れということになる。そうなると出さなければならん。そうするとそれに対して所得税は減免して貰いませんと非常に困ることになります。恐れ入りますが大蔵省で御研究願いたいと思います。
  92. 藤森眞治

    理事藤森眞治君) それじや本日はこの程度にいたしまして散会いたします。    午後零時二十五分散会  出席者は左の通り。    理事      藤森 眞治君    委員            中平常太郎君            山下 義信君            石原幹市郎君            草葉 隆圓君            井上なつゑ君            小杉 イ子君            穗積眞六郎君   国務大臣    厚 生 大 臣 林  讓治君   政府委員    厚生事務官    (社会局長)  木村忠次郎君    厚生事務官    (医務局次長) 久下 勝次君    厚生事務官    (社会局保護課    長)      小山進次郎君   説明員    厚生事務次官  葛西 嘉資君