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1950-03-22 第7回国会 参議院 厚生委員会 第19号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十五年三月二十二日(火曜日) 午前十時五十四分開会 ————————————— 本日の
会議
に付した
事件
○小
委員長
の
報告
○
社会事業団体
及び
施設
の
振興
に関す る
調査
の件 ○小
委員
の
追加選任
の件 —————————————
塚本重藏
1
○
委員長
(
塚本重藏
君) これより
委員会
を開会いたします。 日程第一、
社会事業団体
及び
施設
の
振興
に関する小
委員長
の
報告
をこの際求めます。
山下義信
2
○
山下義信
君
社会事業小委員会
におきましてかねて
共同募金
に関しまする
調査
をいたしておつたのでございますが、本日その結果を本
委員会
に御
報告
申上げまして御審議を願い、当
委員会
の
報告書
として御
決定
を仰ぎたいのでございます。
共同募金運動
は御
承知
の
通り
本年で第四回目を行うことに相成るのでございますが、第一回は
昭和
二十二年でございまして、当時の
募金実績
は五億五千万円でございます。第二回は十一億、昨年は十二億という
状況
に相成りまして、その
配分
いたしました
受益団体
も約八千に及ぶというような
状態
に相成
つて
おるのでございますが、
諸般
の
情勢
上今や
我が国
におきまするこの
共同募金運動
につきましては、過去の
実績
を
検討
いたしまして今後に対しまする
諸般
の
方策
を新たに吟味いたし、
改善
すべき点は大いに
改善
をいたさなければならん
段階
に想成
つて
おると存ずるのでございます。
世間一般
も
共同募金
に対しましていろいろ
批判
を加えておりまするし、又
受益団体
におきましても可なり
商分方法等
につきましても異論のある次第でございまして、殊に最近
各地
に
共同募金
にからんだところの
不正事件
が発生いたすに及びまして、今後の
在り方
につきまして相当
批判
の声も強く相成
つて
おる次第でございます。当
厚生委員会
といたしましては、この
運動
が開始いたされました当初以来、各
議員諸君
におかれましてもこの
運動
の成行きに多大の
関心
をお持ちに相成りまして、且つ又
厚生行政
の
出張調査
、
視察等
に察しましては
共同募金
に対しまする
調査
がその
調査要目
の中に加えられることが常でありましたのでございまして、各
議員諸君
におかれましてもよく
実情
を御
承知
でございまするし、且つ又
共同募金
の
状況
に対しましての御
意見
も当
委員会
でしばしば御
発言
に相成
つて
おりまする次第でございます。且つ又
社会事業
の
振興
に関する小
委員会
が設置せられまして以来、毎
国会小委員会
におきましても
共同募金
に関しまする
調査
を取上げて参りまして、次々と
検討
を加え来
つて
今日に至りましたのでございます。
共同募金
の第三回目の即ち昨年の
運動
に当りましては、
国会
の休会中でございましたけれども、
厚生委員
の中の自分並びに黒川君、井上君等の
委員
は、
東京都内
の
運動
の実際を
調査
いたしましたようなこともあつたのでございます。殊に本年の一月初頭におきましては、
広島
県の発生いたしましたる
共同募金
、いわゆる赤い
羽事件
の
調査
に特に院議を以て
同僚諸君
が派遣せられましたこともありました。それらの結果はすでに当
委員会
に御
報告
に相成
つて
おるような次第でございます。因に
広島
県におきまする
共同募金事件
を申上げますると、今回起請が全部終了いたしまして発表せられましたところによりますというと、この
事件
に関連をいたしまして起訴されました者は、
広島
県の
県庁関係
におきましては、
民生部長
、
商工部長
、
厚生課長
、
厚生課
の
庶務係長
、日赤の参事、
共同募金事務局
の次長並びに土地の有力なる新聞の主筆、
編集長等
三名即ち合わせまして八名の
起訴者
を出したのでございます。
検察庁
におきましては、
県庁
、
市役所等家宅搜査
をいたしました所が三十六ケ所に及びまして、二千四百余通に上りまする文書の
調査
、六千余通に上ります
証拠書類
等々の
調査
を終りまして、二十二年度、二十三年度の
募金
の中からいたしまして約二百七万四千円の
不正横領
をいたしました事実が明確に相なりまして、これらの
事件
の全貌が公表せられたのでございます。特に
広島県知事
は一月の二十四日
検察庁
に召喚せられまして、
共同募金
の金を借用いたしておりまする点につきまして追及が行われたのでございますが、この
事件
は明後日、
広島地方裁判所
におきまして第一回の公判が開始せられるということに相
なつ
ておりますので、この
機会
に併せてこの点も御
報告
を申上げて置きます。 さような次第でございまして、当
委員会
並
びに小委員会
といたしては
共同募金
に関する
調査報告
は時々、或は随時発表いたして参
つて
おるのでございます。先程申上げました当
委員会
での
出張議員
の
調査報告
、その他
機会
あるごとに各
議員諸君
の御発表に相なりました御
意見
都
びに小委員会
といたしましては先般
社会事業
の
振興方策要綱
中にも、この
共同募金
に関連いたしまして所見を
指摘
して
報告
をいたしておる次第でございます。且つ又
初期
の
国会
以来、我々は
共同募金法
という法制が必要であるということを考えまして、それらの
立法準備
をいたしました。それらの
要綱
が各
方面
に取入れられまして、殊に今回
厚生省当局
の一試案の
社会事業基本法
の中には、
多分
に我々の審議いたしました
共同募金法案
の主要なる点が取入れられてあるますようなことに
なつ
ておるのでございます。今回それらの
諸点
を取りまとめまして、ここに
共同募金
の
改善方策
といたしまして、小
委員会
の
報告
として当
委員会
に御
報告
申上げる次第でございます。 殊に本日この
機会
に
報告
いたしまするゆえんのものは、
共同募金
、即ち
昭和
二十五年度の、今年の秋に実施いたしまするところの第四回
共同募金
に関しまして、
全国共同募金委員会
の総会を本月の二十九日、三十日と両日に亘りまして
共同募金中央委員会
においてこれを招集いたしましてゐ本年度の
運動方策
、或いは
共同募金
の
症善方策等
を審議いたしまする模様でございまするので、この
機会
に我が
厚生委員会
の
報告
を発表いたしますることは、時期頗る当を得たものと考えまして、本日御
報告
を申上げる次第でございます。詳細は
報告書
に審らかにいたしてございまするので御覽を願うことにいたしたいのでございまするが、大体の
報告
の
要点
をここに項目だけ申上げたいと存ずるのでございます。 それは先ず
共同募金運動
の
本質
につきまして、当
委員会
といたしましては、この
運動
がいわゆる助け合い
運動
、
隣人愛
或いは
社会連体責任性
等々によりまするところのいわゆる道義的な
運動
としての
性格
が
多分
にある
運動
でございまするので、ただ
社会事業
を援助する金を集めるだけの單なる唯物的な
運動
に落ちませんように、十分そこに
道義運動
の
性格
を発揮いたしますることが必要であるということを主張いたしましたことが第一点でございます。従いまして金さえ、或いは金を集めることならばどんな
手段方法
を選んでもいいというような
募集態度
があ
つて
はならないのであります。或いは
受益者
みずからが
寄附勧誘
の役目を引受けまして、
寄附者
に憐れみを求めましたり、或いは要保護の
対象者
を街頭に立たしめましたり、或いは幼い
子女達
に僅かな利鞘を與えまして赤い羽を売らせるごとき
募集形態
は、悉く邪道でありまして、本
運動
の
趣旨
を反するものであると考えるものでございます。或いは
共同募金
の
資金
になるからと称しまして如何わしい物品を押売をいたしましたり、卑猥な
演芸会
の
入場券
などを押付けましたり、或いは
抽籤大当り
などと称しまして射倖的な宝くじなどに類するような
方法
を採りますこと等は、成るべくこれは避けなければならんものであろうと考えるのでございます。同共
募金運動
は只今申上げましたような
我が国
の
一つ
の
道義運動
でありまする
性格
に飽くまで基かなくてはならんのでございまして、そういう高い香りを保ち、聊かなりともこの
運動
を利用、惡用するというがごとき
傾向
は飽くまでも排除しなければならんと考えるものでございます。次には
純然
たる
民間運動
でなくてはならんということでございます。これは多くの
説明
を要しませんから
省略
をいたして置きますが、尚官憲或いは
地方当局者等
の力を借りる
傾向
が十分拂拭されていないのでございまして、
政府
或いは
地方庁等
が関與いたしますることは、結局
寄附
の
強制
というがごとき色彩が濃厚になる基となるのでございまして、そういう
強制
的な
傾向
を持ちますと、いわゆるこの
運動
に対しまして
民衆
に嫌厭の情を抱かせるに至る
弊害
があるからでございまして、この点は
あと
で申述べますが、そういう意味から
純然
たる
民間運動
であることを飽くまでも確立いたさなければならんという点を
指摘
いたしたのでございます。次は
強制勧誘
を排することでございます。これは最初からそういう
趣旨
でや
つて
おるのでございますが、実際といたしましては
各地ごと
に
寄附額
を各
世帶
に割当てまして、そうして
目標
の何パーセントに
なつ
たとか或いは
目標
を超えたとかいつたような
成績
を争うような
状態
に相成りまして、恰も食糧の
供出
の
供出額
を争うがごとき
状態
に相成ります
状態
は、速かにこれは
改善
をしなければならんと考えるのでございます。 第二には
共同募金運動
の
形態
についてでございますが、その中第一に、この
運動
の形というものは、本来の
趣旨
に基きまして極めて質実なる
運動形態
でなくてはならん、かように考えるのでございます。もとより
初期
にはこの
運動
の
趣旨
を徹底せしめまするために、相当はでな華々しい宣伝或いは
運動形態
がありましたことも、これを止むをないことでありますが、すでに第四回を重ねようといたしまする今日において、尚当初の未熟時代同様の華々しい
傾向
に堕するがごときまでの極めて浮ついた
運動状態
を呈しますることは、これは避けなければならんと考えるのでございます。尚次にはこの
共同募金
というものは固より一年或る一定の時期に一回乃至二回行われること、これを例とするのでございますが、併しながら平素におきましても尚この
趣旨
に基きましたる
寄附
が盛んに行われるようになりますることが極めて望ましいことであると考えるのでございます。次は
募集
の
内容
を予め周知させることでございます。これも皆様御
承知
のごとくでございまするから詳しいことは
報告書
に讓らして頂きます。次はこの
運動
の
関係者
は、すべて
社会事業
に対する
篤志家
であること、という点を
指摘
いたしました次第でございます。 第三といたしましては、
共同募金委員会
についてでございまして、
共同募金委員会
というものが本
運動
の
主体
に
なつ
ておりまするが、実は
民間運動
である
建前
でありましようが、その成立並びに
構成等
につきましては、別にこれという
法的根拠
はないのでございまして、いわゆる民法にいうところの
公益法人
という
建前
で
委員会
を組織いたしておりまするような
程度
でありまするが、そういう
状態
では今日の
実情
に副わない点が多々あるのでございます。
民衆
は
共同募金委員会
が
共同募金
を行うと言いましても、この
共同募金委員会
は一体誰が発起して作つたものであるか、又誰でも発起していいものであるか、或いは誰が許可したのか、どういう
寄附
行為に
なつ
ておるのか、如何なる
法規
に基いておるのか、又
関係者
の
責任
はどういうふうに
なつ
ておるのか、或いは誰が
監督
するのであるかというような点につきましては、
民衆
は更に知るところはないのであります。極めて漠然たるものである。従いまして実際におきまして、この
共同募金委員会
の自体の権威というものも、
民衆
は実は認めておりません。そこで
法的根拠
がない
委員会
でありまするから、これを権停付けるために、
中央
、
地方
を問わず各
委員会
のメンバー、いわゆる多数の知名の人名を羅列いたしまして
民衆
の信用を辛うじて維持しようとしておる
程度
でございます。併しながらこれに名を連ねました名士も、実際には少しもこの仕事に従
つて
おるのではないのであります。
従つて責任
も感じてはおりません。こういう
状態
は
共同募金
の本旨にも反しまするし、
諸種
の
弊害
を生ずる原因がここにあるのでございまするから、従いまして共
秋募金
を行いまするその
実施主体
でありまするこの
委員会
というようなものは、須らく
法的根拠
に基きました相当権威ある
構成
をしなくてはならんということを我々は考えておるのでございます。この点はもうしばしば
指摘
されておるのでございまして、すでにそういう機運に向
つて
おりまするから詳細は
省略
をいたします。ただそういう
法規
に基きまする
委員会
の
構成
に相成りまするまで、過渡的な
現状
といたしまして、
政府
及び
地方公共団体
は
監督
を十分にしなければならん、この点を我々は
指摘
いたしておるのでございます。次に
中央委員会
と
地方委員会
との
関係
が明確でございません
現状
におきましては、その点が極めて曖昧でございまするので、これらの
中央地方
の
関係
を明確にいたさねばならんと考えるのでございます。次はこの各
募金委員会
にそれぞれ專門の
委員
を設けておるのを例といたしておりますが、それぞれの
委員
の
責任
が明確でございませんので、これを明らかにいたす必要があると考えるのでございます。 第四は
共同募金委員会
の
運営
につきましてでございますが、その中で第一に
事務費
の支出が多額に失する点を我々は
指摘
いたしたいと存じます。大体今日まで過去の
実績
におきましては、一一%乃至一三%
事務費
を使用いたしておるのでございますが、これらの
事務費
は、実は
共同募金そのもの
を使
つて
おるのでございます。併しながら
募金
に応じまする
民衆
は、
事務費
に使
つて
貰いたいとい
つて
募金
に
寄附
をいたしておるのではないのでございます。すべて気の毒な人達、
社会事業
のために使
つて
貰いたいとい
つて
出した
寄附金
がその中で一〇%以上が
事務費
に使われておるという
状態
は好ましくない
状態
でございます。本来ならばかかる
運動
の
事務費
は別の財源、別に
資金
を捻出いたしまして、真に
民衆
の純なる尊い金は、これを一〇〇%
社会事業施設等
に
配分
充当せられるというのが
建前
でなくてはならないのでございまして、この点今後の
我が国
の
共同募金運動
の上におきまして、深い
検討
が加えられなければならんと考えるものでございます。次は
募集
及び
配分
に
合理的計画性
がございませんので、この確立を促しますように
指摘
いたしている次第でございます。その
配分
に
合理性
がないと申しますることは、いわゆる画一な平均にばら撤くというような
状態
が
全国
どこにおいても行われていたのでございます。優良な
施設
とそうでない
施設
との区分もございません。それぞれの
施設
の
事業
の
内容
を十分
検討
いたしまして、実用上に副うような
配分
が行われていないのでございます。かくては遂にその間に情実が介在するように相成りましたり、或いは
配分
を受けんがために一時名義的な
団体
が作られるというようなことが非常に多いのでございまして、そういう点にしつかりした
計画
が必要であることを我々は
指摘
いたしているのでございます。例えば、或る
施設
がみずから百万円の
寄附
を
募集
し得る力、いわゆる
近隣
の
支持者
を持
つて
いる。然るに單独の
寄附
は
禁止
せられて、
配分
を受ける、この
配分金
が二十万円である。そして他に非常にレベルの低い
施設
がある、それらは
地方近隣
の
支持
は何もない。然るにその
施設
にも同じように二十万円の
配分
というようなことと相成りますると、これらは
寄附者
の意思にも反し、
民衆
の当然予測しておりまする
配分
とも異り、いわゆる
委員
の独善的な手によりまして、こういうような
配分
が行われるというようなことに相成りまするというと、これは非常に
我が国
の
民間社会事業
の
発達
の上におきまして影響するところが多大であると我々は考えているのでございます。次は
委員会
は
諸種
の
報告
を迅速にし、且これを公表しなければならない。
配分金
の処分、
事務費
の
報告等
は迅速にいたしまして、且つこれを公表いたしまして、又
配分
の
決定
の
理由等
のごときは明確に
説明
がされなければなりません。
諸種
の
会議録
や
会計簿等
は、常に公衆の閲覧に供し得るように
なつ
ていなければならんと考えるのでございます。
最後
に第五といたしまして、
社会事業金庫
につきまして、当小
委員会
はその必要をここに提唱いたします次第でございます。これは
共同募金委員会
と
社会事業金庫
との二本建にいたしまして、
社会事業金庫法
というものによりまして、
政府
も出資をいたし、或いは各都道府県も
共同募金委員会
も出資いたしまして、そうして
民間社会事業
の
資金融通
のために、この
金庫
の設置をいたしますることが必要である、かように考えているものでございます。 以上が当
委員会
の
報告
の概要でございますが、牧せまして今日まで
共同募金
に関しまして当
委員会
で論議せられましたもの、或いは
派遣議員
から
報告
せられましたもの、或いはすでに小
委員会
が先程申しましたように、
報告
いたしましたそれらの
要点
を取集めまして、
共同募金関係資材
といたしまして、
報告書
の一伴に加えまする次第でございます。更に
我が国
の
共同募金運動
の
本質
、或いは今日までの経過の
大要
等々の
資材
を
調査
いたしましたものは、これは
調査資料
といたしまして、
報告書
に添付いたしまして御
報告
申上げる次第でございます。 次に
調査
の
資料
といたしまして御
報告
いたしまするが、
昭和
二十五年度に行わんといたしておりまする
共同募金運動
の
大要
並びに
中央共同募金委員会
で
計画
いたしておりまする今後のいろいろな新たなる
方策等
を
報告
いたさせまして、ここにお手許に
関係資料
といたしまして提出いたす次第でございます。その中には、我々が只今申述べましたような
諸点
について
指摘
いたして置きましたが、それらを取入れまして、すでに本年の
共同募金運動
から
改善
を加えんとする
意向
を示しておる
諸点
が相当ございますのでございまして、私共といたしましてその点は欣快に存ずる次第でございまするが、併しながらなおなお十分でございません。今年行わんとする
昭和
二十五年度
共同募金運動
におきましても、尚各
世帶ごと
に
戸別割
の
寄附
の
募集
のやり方は尚止むを得ないというがごとき考え方を持
つて
指示事項
の一端に供しております点などは、我々の誠に不満に感ずる点でございまして、そういう点も併せて十分御
検討
頂きますれば有難いと存ずるのでございます。尚附属の
資料
といたしましては二十二年度、二十三年度、二十四年度の
共同募金
の
栄績
の
調査報告書
をここに添付いたして置きました。
最後
にかねて当
厚生委員会
におきまして
同僚諸君
の御
協力
を得まして、一応成案にいたしました
共同募金法
の草案を
参考資料
としてここに添付いたしました次第でございます。 以上が小
委員会
の
調査報告
並びに
調査資料等
の
大要
でございますが、
最後
に結論として附加えて置きたいと存じますることは、この
共同募金
の
運用如何
は、
我が国
の
民間社会事業
の死活を制する大きな問題であるということでございます。而して漸次
共同募金委員会
、なかんずくその
配分
の実権を握
つて
おりまする
委員
等々が次第にボス化しつつあるという点でございます。これらはすでに先般の
委員会
におきまして
草葉議員
から御
指摘
があつた点でございますが、非常に憂慮せられる
状態
にございます。殊に近く
一般我が国
の国内の、いわゆる
地方
の各種の
寄附金
というものが、
シヤウプ勧告
によりまして、
強制寄附
の
禁止
、或いは場合によりましてはそういう
寄附禁止
の法令を出そうかと言
つて
おりますが、そういう
状態
に
なつ
ておりまする今日の
我が国
の
情勢
、或いは又次第にデフレ化しつつありまする
経済情勢
というようなものを睨み合せますというと、今後の
共同募金
というものが、どういう
成績
を挙げ、どういう
状態
に
なつ
て行くかということは、これは我々といたしました多大な
関心
を寄せざるを得ないのでございます。殊に日本
赤十字
社の
寄附金
の
募集
との
関係
が、或いは合同で行われ或いは分離をせられ或いはそれらの時期が異り、或いは同じ時期になされる等々の
利害関係
がどういうことになりますかという点も、本
運動
の重大なる一問題であろうかと考えるのでございます。いずれにいたしましても、今後の
共同募金
が極めて健全なる
発達
を遂げ、極めて良好なる
成績
を挙げ、而もその
運用
が適正に行われません限りにおきましては、
我が国
の
民間社会事業
の
振興
を期するどころではない、或いは意外な逆
効果
を挙げまして、
民間社会事業
の
発達
を阻害するがごどき逆
効果
を呈しては相成らんと考えるのでございます。又
民間社会事業家
もこの
共同募金
の
配分
に関しましては、
十分自粛自戒
をいたしますると共に、この
共同募金
に対しましては重大な
関心
を持ちまして、これに対処する覚悟が今日から必要であると思うのでございます。要は近く制定せられると思いまする
社会事業基本法
の中に、
共同募金
が法制化せられることによりまして
情勢
は一変いたすと考えるのでございますが、ともかくも現階段におきましては、以上申述べましたような
諸点
に
改善
を加えまして、十分本来の
趣旨
を発揮いたしまして、その目的が適正に達成せられる
状態
にありますることが必要でございます。今日の
段階
におきましては
共同募金運動
は正しく
一つ
の
国民運動
としての重大なる
性格
を
帶びて参
つて
おりまするし、当
委員会
といたしましては、殊に今年の、
昭和
二十五年度の
運動
の
在り方
並びに、その成果、その結果等につきましては十分これを注意いたす必要がありますることを申述べまして、小
委員会
の
調査報告
の
大要
にいたしたいと存ずる次第でございます。
塚本重藏
3
○
委員長
(
塚本重藏
君) 只今詳細に御
報告
になりました小
委員長
の
報告
に対して関連する御
発言
は……。
石原幹市郎
4
○
石原幹市郎
君 只今非常に詳細な御
報告
を聞いてよく分つたのでありまするが、
最後
に触れられました
赤十字
の
募金
との
関係
でございまするが、これは
機会
があれば私は
政府
の
意向
も一遍聞いて見た
とい思
つて
おります。本年から、二十五年度から
赤十字募金
は
一般共同募金
と分離して五月に行うというふうに聞いておるのであります。ところが
東北方面
におきましては、まあ大体
募金
の
対象
は、すべてが農村が多いのでありまするが、五月は農繁期に段々入
つて
来ると同時に、五月という月は殆んど農家として余り何も
收入
のない時でありまして、できれば麦の收穫でもあつた
あと
に、どうしても分離しなければなりませんければこの麦の收穫のあつた
あと
にして貰いたい、こういう声も一部にあるのであります。それから更に分離して年二回行うということは非常に困難なようであるから、これはやはり従来
通り
併せて行
なつ
て貰いたい、こういう希望が大分あるようであります。こういう点について小
委員長
の
御所感
がありましたならば併せて伺
つて
置きたいと思います。 それからもう
一つ
の問題は、これはまあ
基本法等
ができましたならば大体方向が示されると思いますが、
共同募金委員会
の
共同募金事業
の今後の
運営
の
在り方
でありまするが、
純然
たる全く
民間運動
といいますか、
民間
の
委員
だけで
役所
と一切手を切
つて
行く
行き方
がいいのか、それともやはり
役所
と不即不離の関少で、例えば
事務局長
には御生
部長
が入るとか
社会課長
が入る、こういう
行き方
で
行つた方
がいいのか、これは
募集面
とそれから
募金
の
配分
と両方の面において或いは問題が異
つて
来るかも知れませんが、そういう点についてどういう御感想を
調査
の結果持
つて
おられますか。
山下義信
5
○
山下義信
君 先ず
官庁
との
関係
でございますが、この点は
官庁
が全然
関係
をしないということは、
我が国
の
実情
に適しないことは、
石原議員
の御
指摘
の
通り
、又我々もよくこの点を存じておるのであります。我々がこの
官庁
と分離して存然たる
民間運動
でなくてはならんということは、そのイニシヤチヴを
官庁
が取
つて
はならん、飽くまでも
民間
が
主体
と
なつ
てやらんければならん、つまり上から天降り的にいろいろ
寄附
が押付けがましく行われ、この
運動
がいわゆる官製的に行われてはならんということを
指摘
いたしておるのでございまして、従いまして
民間
と
関係官庁
とが密接に
協力
いたしますることは当然でございますが、この間に
公私
が混線をいたしますると非常な
弊害
がありますることを
指摘
してあるのでございまして、
官庁則
との
協力
というのはどういう点でするかということになりますと、私は
監督
という点で
協力
すべきではないかと思うのでございます。その
監督
ということが、そこに現に行われるということになりますれば、打合せやいろいろなお手伝いや、又好意ある助言や援助がなされましても、私は
一言差支
ないと思
つて
おります。その
監督
ということがルーズになり、
監督者
という
立場
が忘れられまして、いろいろなこの
募金運動
に
公私
の区別が全くなくなるような、
監督者
と被
監督者
の
立場
が失われるというようなことになりますというと、この
運動
に対しまする
監督権
が非常に曖昧なる現
段階
におきましては、
弊害
が多々ありますることは従来
同僚諸君
からも
指摘
されてあつたのであります。そういう
監督
という面でいろいろな御援助がありまするならば、この
運動
のいろいろ開催やその他の助言が適切に行われますることは、私は一向差支えないと存じます。且つ又その点は
共同募金
の九原則の中にも、
関係
方面
のネフ課長が懇切に
指摘
せられてあります点でございまして、私共もそう考えておるのでございます。 次に日赤との
関係
でございますが、これは御
承知
のごとく従来合同してや
つて
おつたのでございますが、併しこの
募金
額の中から非常に多額な部分が日赤の方に廻るのでございまして、
社会事業
関係者
方面
におきまして非常にその点に不満な点がある、つまり
民間社会事業
の援助のためにと言
つて
行われた
募金
が、
赤十字
の方に
多分
にこれが流れて行くという
在り方
につきましては、如何であろうかという議論が毎年ございまして、遂に大勢は分離して行うということに相成つたのでございますが、尚その分離の
一つ
の重大な理由といたしましては、日赤はいわゆる社員組織である。いわゆる会員組織である。従
つて
日赤の必要な
資金
は、会費としてこれを徴收すべきであ
つて
、
寄附金
によ
つて
赤十字
の経費が賄われるべきではないという点等からいたしまして、これが遂に大体分離という
状態
に相成
つて
おるのでございますが、併し
全国
尚且つ合同で行われておるような
地方
も本年若干あつたのでございますが、恐らく
昭和
二十五年度におきましては全然これらが分離せられることになろうと思います。併しながら分離せられましても、日赤の行いまするつまり
募金運動
と申しますか、これは会員の増加
運動
、会員の勧誘
運動
のような
形態
で行われることに
なつ
ておるのでございますが、併しながら只今仰せになりましたような大きな
寄附
が、年二回に亘りまして、而も同一方向を示しておりますような
事業
に重ねて
寄附金
が行われますようなことは、或いは時期的に見まして、殊に地域的な特殊事情からいたしまして適当でないような
地方
もありますることは、
石原議員
の御
指摘
の
通り
であろうと存ずるのでございますが、これらは当
委員会
といたしましては、この日赤の
寄附金
と一緒にやらせるがいいか、或いは別々にやらせるがいいか、或いは別々にやらせるとして、こういう四月、五月といつたような時期が、果して適当であるかというような点は、実は小
委員会
といたしましては、十分触れるところがなかつたのでございます。これはすでに別個のものとして行われるという
建前
に相成
つて
おり、
関係
方面
の御指示もさように相成
つて
おりますので、触れなかつたのでありますが、殊に先般の
派遣議員
の御
報告
には、特に詳細この点が御
指摘
相成
つて
おるのでございまして、
共同募金
関係資料
と申します中に、当時の
調査
団長の
報告
も、
共同募金
と日赤との
関係
につきましての点は、そこに
指摘
しておりますので、私共大体その時の御
報告
の御要旨に同意いたしておるのでございますが、尚今後とも特殊なる東北
地方
等のいろいろな
状態
等と睨み合せまして、日赤自体の会員増加
運動
的の形によりまする
募金運動
の時期等につきましては、十分考察をいたしまして注意をいたすべきであろうと、かように考える次第でございます。
塚本重藏
6
○
委員長
(
塚本重藏
君) 外に御
発言
……。
石原幹市郎
7
○
石原幹市郎
君 只今大体分つたのでございまするが、
共同募金
の
配分
ということについても、やはり
監督
ということだけど、
役所
当局が関與しなくてうまく行きますか、どうでしようか、そういう点。
募金運動
は私はこれは
純然
たる
委員会
が自主的にや
つて
行くのがいいと思う。ところが
募金
を
配分
して行くについては、今の
委員会
だけの組織というか、機能で果して……
役所
の方から
資料
その他をどんどん出せばこれはいいでしようけれども、どういうものでしようか、そういう点について重ねて……。
山下義信
8
○
山下義信
君 只今御
指摘
の点は、実にこれは重大な点でございまして、
共同募金運動
の全く中心は、本当に只今御
指摘
の点が中心だろうと思うので、つまり十一億乃至十二億の金を集めて、それを
配分
する者は、実際の
社会事業
を知らない素人が盲
配分
しておるという点なのでありまして、この点私共も率直に
報告書
の中に
指摘
いたしておつたのでありますが、御
指摘
の
通り
只今
社会事業
の各
施設
の
内容
、どれだけの金をどの
施設
に
配分
したらば一番適切であるかということをよく
承知
いたしておりますあのは、実際は
監督
の
官庁
、
地方
で申しますれば民政
部長
乃向
社会課長
、或いは兒童課長等がよく
承知
いたしておるのでありまして、如何ように公平無私なる
民間
の人格ある名士を
配分
委員
にいたしましても、実際を知らんそれらが視察に参り、帳簿を点検いたし、
施設
内を見て廻りましたからとい
つて
、三日や十日、三回や五回で到底その
施設
の
程度
を熟知いたし、彼此比べ合わせまして、かの
施設
には十五万円、この
施設
には三十万円が適当であるというような
配分
額の
決定
能力、それらの
検討
の素養と申しますか、そういうものは全然ないのでございます。勢い
官庁
の当該
監督
の人達の
資料
とか、或いは援助、助言等を徴せざれば適正を期し難いのが全くの
実情
でございます。併しながらこの点はこれ又
関係
方面
がネフ原則の中で
指摘
せられてありまして、この
配分
には一切相談に與
つて
はならないという強い指示がありまして、各
地方
共、
関係
民生部課長はこの
配分
にはタツチしないことに
なつ
ておるのでございますが、併しながら只今御
指摘
の
通り
に、この正格なる
資料
等々は、殊に如何なる公的補助がどの
施設
にどの
程度
に流れてお
つて
、そうしてそれが平素どういうふうに使われておるかというがごときことは、盡く
関係
民生部或いは民生部の各課におきましてよく熟知されておるのでありまして、それらの
資料
を参考に提出せられるとか、或いは又場合によりましては
委員会
の諮問等に答えられる等々によりまして、できるだけこの
配分
が実際に即応し得るような適正な
配分
をなさなければならんのでございますが、その点が全く現在の
民間
人が
社会事業
に対しまする認識、殊に個々の
施設
に対する認識が極めて微弱でありまする現
段階
におきましては、その点に非常な悩みがあるわけでございます。で私共は、つまり
監督
官庁
といたしまして若し不適正な
配分
計画
が行われたような場合には、十分
意見
を述べられまして、そうして
委員会
の再考を求められる、或いは又
委員会
の再考を促すがごとき正確なる
資料
を提出せられまして、更に反省を求められるというがごときいろいろな
方法
に出て頂きまして、そうして
民間運動
でありますが、
民間
が自主的に
配分
するのでございますが、
監督
官庁
としての所見等々も遠慮なく私は
委員会
に
発言
せられましてよろしいのではあるまいかと思うのであります。ただこのいわゆる官尊民卑の
我が国
でございますが、何が何でも
県庁
の人が言つたことであるから、それに逆ろうてはならないといつたような卑屈な態度で
民間
人が盡くそれに盲従するごときことになりますと、この
民間運動
の
寄附金
が
官庁
の
監督者
によりまして左右せられるというがごとき
弊害
に陥
つて
はならないという点が、このタツチしてはならないと指示されておる点であろうと思いますが、そういう点で、十分今日の現
段階
におきまする不備な点を
監督
官庁
としてカバーして頂くということになりますれば、非常に結構ではないか、かように考えるのでございます。
塚本重藏
9
○
委員長
(
塚本重藏
君) 外に御
発言
ありませんか。外に御
発言
もないようでありますれば、只今の
社会事業団体
及び
施設
の
振興
に関する小
委員長
の
報告
を本
委員会
の
報告
と
決定
することには御異議ございませんでしようか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
塚本重藏
10
○
委員長
(
塚本重藏
君) 御異議ないものと認めます。つきましては本院規則第七十二條によりまして、この
報告
を認められた方々の署名を頂きたいと思います。 多数
意見
者署名 山下 義信 藤森 眞治
石原幹市郎
草葉 隆圓 井上
なつ
ゑ
塚本重藏
11
○
委員長
(
塚本重藏
君) ちよつと速記を止めて下さい。 〔速記中止〕 —————————————
塚本重藏
12
○
委員長
(
塚本重藏
君) 速記を取
つて
下さい。 医薬と医療に関する小
委員会
に対しまして、更に是非この小
委員会
に加えて貰いたいという御希望があれば、それを追加することに御異議ございませんか。
山下義信
13
○
山下義信
君 これは一名ですね、一名追加することに異議ないかとおつしやるのですね。何名でもですか。
塚本重藏
14
○
委員長
(
塚本重藏
君)
あと
で希望者があれば又そのときお諮りすることにしまして、取敢ず一名追加することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
塚本重藏
15
○
委員長
(
塚本重藏
君) それでは一名の追加につきましては、
委員長
から指名することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
塚本重藏
16
○
委員長
(
塚本重藏
君) それでは非常に熱心でこの
委員会
に是非参加したいという申出があります草葉隆圓君を指名いたします。 それではこれにて散会いたします。 午後零時一分散会 出席者は左の
通り
。
委員長
塚本 重藏君 理事 今泉 政喜君 藤森 眞治君
委員
山下 義信君
石原幹市郎
君 草葉 隆圓君 井上
なつ
ゑ君 小杉 イ子君