運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1950-03-22 第7回国会 参議院 厚生委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年三月二十二日(火曜日)    午前十時五十四分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○小委員長報告社会事業団体及び施設振興に関す  る調査の件 ○小委員追加選任の件   —————————————
  2. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) これより委員会を開会いたします。  日程第一、社会事業団体及び施設振興に関する小委員長報告をこの際求めます。
  3. 山下義信

    山下義信君 社会事業小委員会におきましてかねて共同募金に関しまする調査をいたしておつたのでございますが、本日その結果を本委員会に御報告申上げまして御審議を願い、当委員会報告書として御決定を仰ぎたいのでございます。  共同募金運動は御承知通り本年で第四回目を行うことに相成るのでございますが、第一回は昭和二十二年でございまして、当時の募金実績は五億五千万円でございます。第二回は十一億、昨年は十二億という状況に相成りまして、その配分いたしました受益団体も約八千に及ぶというような状態に相成つておるのでございますが、諸般情勢上今や我が国におきまするこの共同募金運動につきましては、過去の実績検討いたしまして今後に対しまする諸般方策を新たに吟味いたし、改善すべき点は大いに改善をいたさなければならん段階に想成つておると存ずるのでございます。世間一般共同募金に対しましていろいろ批判を加えておりまするし、又受益団体におきましても可なり商分方法等につきましても異論のある次第でございまして、殊に最近各地共同募金にからんだところの不正事件が発生いたすに及びまして、今後の在り方につきまして相当批判の声も強く相成つておる次第でございます。当厚生委員会といたしましては、この運動が開始いたされました当初以来、各議員諸君におかれましてもこの運動の成行きに多大の関心をお持ちに相成りまして、且つ又厚生行政出張調査視察等に察しましては共同募金に対しまする調査がその調査要目の中に加えられることが常でありましたのでございまして、各議員諸君におかれましてもよく実情を御承知でございまするし、且つ又共同募金状況に対しましての御意見も当委員会でしばしば御発言に相成つておりまする次第でございます。且つ又社会事業振興に関する小委員会が設置せられまして以来、毎国会小委員会におきましても共同募金に関しまする調査を取上げて参りまして、次々と検討を加え来つて今日に至りましたのでございます。共同募金の第三回目の即ち昨年の運動に当りましては、国会の休会中でございましたけれども、厚生委員の中の自分並びに黒川君、井上君等の委員は、東京都内運動の実際を調査いたしましたようなこともあつたのでございます。殊に本年の一月初頭におきましては、広島県の発生いたしましたる共同募金、いわゆる赤い羽事件調査に特に院議を以て同僚諸君が派遣せられましたこともありました。それらの結果はすでに当委員会に御報告に相成つておるような次第でございます。因に広島県におきまする共同募金事件を申上げますると、今回起請が全部終了いたしまして発表せられましたところによりますというと、この事件に関連をいたしまして起訴されました者は、広島県の県庁関係におきましては、民生部長商工部長厚生課長厚生課庶務係長、日赤の参事、共同募金事務局の次長並びに土地の有力なる新聞の主筆、編集長等三名即ち合わせまして八名の起訴者を出したのでございます。検察庁におきましては、県庁市役所等家宅搜査をいたしました所が三十六ケ所に及びまして、二千四百余通に上りまする文書の調査、六千余通に上ります証拠書類等々の調査を終りまして、二十二年度、二十三年度の募金の中からいたしまして約二百七万四千円の不正横領をいたしました事実が明確に相なりまして、これらの事件の全貌が公表せられたのでございます。特に広島県知事は一月の二十四日検察庁に召喚せられまして、共同募金の金を借用いたしておりまする点につきまして追及が行われたのでございますが、この事件は明後日、広島地方裁判所におきまして第一回の公判が開始せられるということに相なつておりますので、この機会に併せてこの点も御報告を申上げて置きます。  さような次第でございまして、当委員会びに小委員会といたしては共同募金に関する調査報告は時々、或は随時発表いたして参つておるのでございます。先程申上げました当委員会での出張議員調査報告、その他機会あるごとに各議員諸君の御発表に相なりました御意見びに小委員会といたしましては先般社会事業振興方策要綱中にも、この共同募金に関連いたしまして所見を指摘して報告をいたしておる次第でございます。且つ又初期国会以来、我々は共同募金法という法制が必要であるということを考えまして、それらの立法準備をいたしました。それらの要綱が各方面に取入れられまして、殊に今回厚生省当局の一試案の社会事業基本法の中には、多分に我々の審議いたしました共同募金法案の主要なる点が取入れられてあるますようなことになつておるのでございます。今回それらの諸点を取りまとめまして、ここに共同募金改善方策といたしまして、小委員会報告として当委員会に御報告申上げる次第でございます。  殊に本日この機会報告いたしまするゆえんのものは、共同募金、即ち昭和二十五年度の、今年の秋に実施いたしまするところの第四回共同募金に関しまして、全国共同募金委員会の総会を本月の二十九日、三十日と両日に亘りまして共同募金中央委員会においてこれを招集いたしましてゐ本年度の運動方策、或いは共同募金症善方策等を審議いたしまする模様でございまするので、この機会に我が厚生委員会報告を発表いたしますることは、時期頗る当を得たものと考えまして、本日御報告を申上げる次第でございます。詳細は報告書に審らかにいたしてございまするので御覽を願うことにいたしたいのでございまするが、大体の報告要点をここに項目だけ申上げたいと存ずるのでございます。  それは先ず共同募金運動本質につきまして、当委員会といたしましては、この運動がいわゆる助け合い運動隣人愛或いは社会連体責任性等々によりまするところのいわゆる道義的な運動としての性格多分にある運動でございまするので、ただ社会事業を援助する金を集めるだけの單なる唯物的な運動に落ちませんように、十分そこに道義運動性格を発揮いたしますることが必要であるということを主張いたしましたことが第一点でございます。従いまして金さえ、或いは金を集めることならばどんな手段方法を選んでもいいというような募集態度があつてはならないのであります。或いは受益者みずからが寄附勧誘の役目を引受けまして、寄附者に憐れみを求めましたり、或いは要保護の対象者を街頭に立たしめましたり、或いは幼い子女達に僅かな利鞘を與えまして赤い羽を売らせるごとき募集形態は、悉く邪道でありまして、本運動趣旨を反するものであると考えるものでございます。或いは共同募金資金になるからと称しまして如何わしい物品を押売をいたしましたり、卑猥な演芸会入場券などを押付けましたり、或いは抽籤大当りなどと称しまして射倖的な宝くじなどに類するような方法を採りますこと等は、成るべくこれは避けなければならんものであろうと考えるのでございます。同共募金運動は只今申上げましたような我が国一つ道義運動でありまする性格に飽くまで基かなくてはならんのでございまして、そういう高い香りを保ち、聊かなりともこの運動を利用、惡用するというがごとき傾向は飽くまでも排除しなければならんと考えるものでございます。次には純然たる民間運動でなくてはならんということでございます。これは多くの説明を要しませんから省略をいたして置きますが、尚官憲或いは地方当局者等の力を借りる傾向が十分拂拭されていないのでございまして、政府或いは地方庁等が関與いたしますることは、結局寄附強制というがごとき色彩が濃厚になる基となるのでございまして、そういう強制的な傾向を持ちますと、いわゆるこの運動に対しまして民衆に嫌厭の情を抱かせるに至る弊害があるからでございまして、この点はあとで申述べますが、そういう意味から純然たる民間運動であることを飽くまでも確立いたさなければならんという点を指摘いたしたのでございます。次は強制勧誘を排することでございます。これは最初からそういう趣旨でやつておるのでございますが、実際といたしましては各地ごと寄附額を各世帶に割当てまして、そうして目標の何パーセントになつたとか或いは目標を超えたとかいつたような成績を争うような状態に相成りまして、恰も食糧の供出供出額を争うがごとき状態に相成ります状態は、速かにこれは改善をしなければならんと考えるのでございます。  第二には共同募金運動形態についてでございますが、その中第一に、この運動の形というものは、本来の趣旨に基きまして極めて質実なる運動形態でなくてはならん、かように考えるのでございます。もとより初期にはこの運動趣旨を徹底せしめまするために、相当はでな華々しい宣伝或いは運動形態がありましたことも、これを止むをないことでありますが、すでに第四回を重ねようといたしまする今日において、尚当初の未熟時代同様の華々しい傾向に堕するがごときまでの極めて浮ついた運動状態を呈しますることは、これは避けなければならんと考えるのでございます。尚次にはこの共同募金というものは固より一年或る一定の時期に一回乃至二回行われること、これを例とするのでございますが、併しながら平素におきましても尚この趣旨に基きましたる寄附が盛んに行われるようになりますることが極めて望ましいことであると考えるのでございます。次は募集内容を予め周知させることでございます。これも皆様御承知のごとくでございまするから詳しいことは報告書に讓らして頂きます。次はこの運動関係者は、すべて社会事業に対する篤志家であること、という点を指摘いたしました次第でございます。  第三といたしましては、共同募金委員会についてでございまして、共同募金委員会というものが本運動主体なつておりまするが、実は民間運動である建前でありましようが、その成立並びに構成等につきましては、別にこれという法的根拠はないのでございまして、いわゆる民法にいうところの公益法人という建前委員会を組織いたしておりまするような程度でありまするが、そういう状態では今日の実情に副わない点が多々あるのでございます。民衆共同募金委員会共同募金を行うと言いましても、この共同募金委員会は一体誰が発起して作つたものであるか、又誰でも発起していいものであるか、或いは誰が許可したのか、どういう寄附行為になつておるのか、如何なる法規に基いておるのか、又関係者責任はどういうふうになつておるのか、或いは誰が監督するのであるかというような点につきましては、民衆は更に知るところはないのであります。極めて漠然たるものである。従いまして実際におきまして、この共同募金委員会の自体の権威というものも、民衆は実は認めておりません。そこで法的根拠がない委員会でありまするから、これを権停付けるために、中央地方を問わず各委員会のメンバー、いわゆる多数の知名の人名を羅列いたしまして民衆の信用を辛うじて維持しようとしておる程度でございます。併しながらこれに名を連ねました名士も、実際には少しもこの仕事に従つておるのではないのであります。従つて責任も感じてはおりません。こういう状態共同募金の本旨にも反しまするし、諸種弊害を生ずる原因がここにあるのでございまするから、従いまして共秋募金を行いまするその実施主体でありまするこの委員会というようなものは、須らく法的根拠に基きました相当権威ある構成をしなくてはならんということを我々は考えておるのでございます。この点はもうしばしば指摘されておるのでございまして、すでにそういう機運に向つておりまするから詳細は省略をいたします。ただそういう法規に基きまする委員会構成に相成りまするまで、過渡的な現状といたしまして、政府及び地方公共団体監督を十分にしなければならん、この点を我々は指摘いたしておるのでございます。次に中央委員会地方委員会との関係が明確でございません現状におきましては、その点が極めて曖昧でございまするので、これらの中央地方関係を明確にいたさねばならんと考えるのでございます。次はこの各募金委員会にそれぞれ專門の委員を設けておるのを例といたしておりますが、それぞれの委員責任が明確でございませんので、これを明らかにいたす必要があると考えるのでございます。  第四は共同募金委員会運営につきましてでございますが、その中で第一に事務費の支出が多額に失する点を我々は指摘いたしたいと存じます。大体今日まで過去の実績におきましては、一一%乃至一三%事務費を使用いたしておるのでございますが、これらの事務費は、実は共同募金そのものを使つておるのでございます。併しながら募金に応じまする民衆は、事務費に使つて貰いたいといつて募金寄附をいたしておるのではないのでございます。すべて気の毒な人達、社会事業のために使つて貰いたいといつて出した寄附金がその中で一〇%以上が事務費に使われておるという状態は好ましくない状態でございます。本来ならばかかる運動事務費は別の財源、別に資金を捻出いたしまして、真に民衆の純なる尊い金は、これを一〇〇%社会事業施設等配分充当せられるというのが建前でなくてはならないのでございまして、この点今後の我が国共同募金運動の上におきまして、深い検討が加えられなければならんと考えるものでございます。次は募集及び配分合理的計画性がございませんので、この確立を促しますように指摘いたしている次第でございます。その配分合理性がないと申しますることは、いわゆる画一な平均にばら撤くというような状態全国どこにおいても行われていたのでございます。優良な施設とそうでない施設との区分もございません。それぞれの施設事業内容を十分検討いたしまして、実用上に副うような配分が行われていないのでございます。かくては遂にその間に情実が介在するように相成りましたり、或いは配分を受けんがために一時名義的な団体が作られるというようなことが非常に多いのでございまして、そういう点にしつかりした計画が必要であることを我々は指摘いたしているのでございます。例えば、或る施設がみずから百万円の寄附募集し得る力、いわゆる近隣支持者を持つている。然るに單独の寄附禁止せられて、配分を受ける、この配分金が二十万円である。そして他に非常にレベルの低い施設がある、それらは地方近隣支持は何もない。然るにその施設にも同じように二十万円の配分というようなことと相成りますると、これらは寄附者の意思にも反し、民衆の当然予測しておりまする配分とも異り、いわゆる委員の独善的な手によりまして、こういうような配分が行われるというようなことに相成りまするというと、これは非常に我が国民間社会事業発達の上におきまして影響するところが多大であると我々は考えているのでございます。次は委員会諸種報告を迅速にし、且これを公表しなければならない。配分金の処分、事務費報告等は迅速にいたしまして、且つこれを公表いたしまして、又配分決定理由等のごときは明確に説明がされなければなりません。諸種会議録会計簿等は、常に公衆の閲覧に供し得るようになつていなければならんと考えるのでございます。  最後に第五といたしまして、社会事業金庫につきまして、当小委員会はその必要をここに提唱いたします次第でございます。これは共同募金委員会社会事業金庫との二本建にいたしまして、社会事業金庫法というものによりまして、政府も出資をいたし、或いは各都道府県も共同募金委員会も出資いたしまして、そうして民間社会事業資金融通のために、この金庫の設置をいたしますることが必要である、かように考えているものでございます。  以上が当委員会報告の概要でございますが、牧せまして今日まで共同募金に関しまして当委員会で論議せられましたもの、或いは派遣議員から報告せられましたもの、或いはすでに小委員会が先程申しましたように、報告いたしましたそれらの要点を取集めまして、共同募金関係資材といたしまして、報告書の一伴に加えまする次第でございます。更に我が国共同募金運動本質、或いは今日までの経過の大要等々の資材調査いたしましたものは、これは調査資料といたしまして、報告書に添付いたしまして御報告申上げる次第でございます。  次に調査資料といたしまして御報告いたしまするが、昭和二十五年度に行わんといたしておりまする共同募金運動大要並びに中央共同募金委員会計画いたしておりまする今後のいろいろな新たなる方策等報告いたさせまして、ここにお手許に関係資料といたしまして提出いたす次第でございます。その中には、我々が只今申述べましたような諸点について指摘いたして置きましたが、それらを取入れまして、すでに本年の共同募金運動から改善を加えんとする意向を示しておる諸点が相当ございますのでございまして、私共といたしましてその点は欣快に存ずる次第でございまするが、併しながらなおなお十分でございません。今年行わんとする昭和二十五年度共同募金運動におきましても、尚各世帶ごと戸別割寄附募集のやり方は尚止むを得ないというがごとき考え方を持つて指示事項の一端に供しております点などは、我々の誠に不満に感ずる点でございまして、そういう点も併せて十分御検討頂きますれば有難いと存ずるのでございます。尚附属の資料といたしましては二十二年度、二十三年度、二十四年度の共同募金栄績調査報告書をここに添付いたして置きました。最後にかねて当厚生委員会におきまして同僚諸君の御協力を得まして、一応成案にいたしました共同募金法の草案を参考資料としてここに添付いたしました次第でございます。  以上が小委員会調査報告並びに調査資料等大要でございますが、最後に結論として附加えて置きたいと存じますることは、この共同募金運用如何は、我が国民間社会事業の死活を制する大きな問題であるということでございます。而して漸次共同募金委員会、なかんずくその配分の実権を握つておりまする委員等々が次第にボス化しつつあるという点でございます。これらはすでに先般の委員会におきまして草葉議員から御指摘があつた点でございますが、非常に憂慮せられる状態にございます。殊に近く一般我が国の国内の、いわゆる地方の各種の寄附金というものが、シヤウプ勧告によりまして、強制寄附禁止、或いは場合によりましてはそういう寄附禁止の法令を出そうかと言つておりますが、そういう状態なつておりまする今日の我が国情勢、或いは又次第にデフレ化しつつありまする経済情勢というようなものを睨み合せますというと、今後の共同募金というものが、どういう成績を挙げ、どういう状態なつて行くかということは、これは我々といたしました多大な関心を寄せざるを得ないのでございます。殊に日本赤十字社の寄附金募集との関係が、或いは合同で行われ或いは分離をせられ或いはそれらの時期が異り、或いは同じ時期になされる等々の利害関係がどういうことになりますかという点も、本運動の重大なる一問題であろうかと考えるのでございます。いずれにいたしましても、今後の共同募金が極めて健全なる発達を遂げ、極めて良好なる成績を挙げ、而もその運用が適正に行われません限りにおきましては、我が国民間社会事業振興を期するどころではない、或いは意外な逆効果を挙げまして、民間社会事業発達を阻害するがごどき逆効果を呈しては相成らんと考えるのでございます。又民間社会事業家もこの共同募金配分に関しましては、十分自粛自戒をいたしますると共に、この共同募金に対しましては重大な関心を持ちまして、これに対処する覚悟が今日から必要であると思うのでございます。要は近く制定せられると思いまする社会事業基本法の中に、共同募金が法制化せられることによりまして情勢は一変いたすと考えるのでございますが、ともかくも現階段におきましては、以上申述べましたような諸点改善を加えまして、十分本来の趣旨を発揮いたしまして、その目的が適正に達成せられる状態にありますることが必要でございます。今日の段階におきましては共同募金運動は正しく一つ国民運動としての重大なる性格帶びて参つておりまするし、当委員会といたしましては、殊に今年の、昭和二十五年度の運動在り方並びに、その成果、その結果等につきましては十分これを注意いたす必要がありますることを申述べまして、小委員会調査報告大要にいたしたいと存ずる次第でございます。
  4. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 只今詳細に御報告になりました小委員長報告に対して関連する御発言は……。
  5. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 只今非常に詳細な御報告を聞いてよく分つたのでありまするが、最後に触れられました赤十字募金との関係でございまするが、これは機会があれば私は政府意向も一遍聞いて見たとい思つております。本年から、二十五年度から赤十字募金一般共同募金と分離して五月に行うというふうに聞いておるのであります。ところが東北方面におきましては、まあ大体募金対象は、すべてが農村が多いのでありまするが、五月は農繁期に段々入つて来ると同時に、五月という月は殆んど農家として余り何も收入のない時でありまして、できれば麦の收穫でもあつたあとに、どうしても分離しなければなりませんければこの麦の收穫のあつたあとにして貰いたい、こういう声も一部にあるのであります。それから更に分離して年二回行うということは非常に困難なようであるから、これはやはり従来通り併せて行なつて貰いたい、こういう希望が大分あるようであります。こういう点について小委員長御所感がありましたならば併せて伺つて置きたいと思います。  それからもう一つの問題は、これはまあ基本法等ができましたならば大体方向が示されると思いますが、共同募金委員会共同募金事業の今後の運営在り方でありまするが、純然たる全く民間運動といいますか、民間委員だけで役所と一切手を切つて行く行き方がいいのか、それともやはり役所と不即不離の関少で、例えば事務局長には御生部長が入るとか社会課長が入る、こういう行き方行つた方がいいのか、これは募集面とそれから募金配分と両方の面において或いは問題が異つて来るかも知れませんが、そういう点についてどういう御感想を調査の結果持つておられますか。
  6. 山下義信

    山下義信君 先ず官庁との関係でございますが、この点は官庁が全然関係をしないということは、我が国実情に適しないことは、石原議員の御指摘通り、又我々もよくこの点を存じておるのであります。我々がこの官庁と分離して存然たる民間運動でなくてはならんということは、そのイニシヤチヴを官庁が取つてはならん、飽くまでも民間主体なつてやらんければならん、つまり上から天降り的にいろいろ寄附が押付けがましく行われ、この運動がいわゆる官製的に行われてはならんということを指摘いたしておるのでございまして、従いまして民間関係官庁とが密接に協力いたしますることは当然でございますが、この間に公私が混線をいたしますると非常な弊害がありますることを指摘してあるのでございまして、官庁則との協力というのはどういう点でするかということになりますと、私は監督という点で協力すべきではないかと思うのでございます。その監督ということが、そこに現に行われるということになりますれば、打合せやいろいろなお手伝いや、又好意ある助言や援助がなされましても、私は一言差支ないと思つております。その監督ということがルーズになり、監督者という立場が忘れられまして、いろいろなこの募金運動公私の区別が全くなくなるような、監督者と被監督者立場が失われるというようなことになりますというと、この運動に対しまする監督権が非常に曖昧なる現段階におきましては、弊害が多々ありますることは従来同僚諸君からも指摘されてあつたのであります。そういう監督という面でいろいろな御援助がありまするならば、この運動のいろいろ開催やその他の助言が適切に行われますることは、私は一向差支えないと存じます。且つ又その点は共同募金の九原則の中にも、関係方面のネフ課長が懇切に指摘せられてあります点でございまして、私共もそう考えておるのでございます。  次に日赤との関係でございますが、これは御承知のごとく従来合同してやつておつたのでございますが、併しこの募金額の中から非常に多額な部分が日赤の方に廻るのでございまして、社会事業関係者方面におきまして非常にその点に不満な点がある、つまり民間社会事業の援助のためにと言つて行われた募金が、赤十字の方に多分にこれが流れて行くという在り方につきましては、如何であろうかという議論が毎年ございまして、遂に大勢は分離して行うということに相成つたのでございますが、尚その分離の一つの重大な理由といたしましては、日赤はいわゆる社員組織である。いわゆる会員組織である。従つて日赤の必要な資金は、会費としてこれを徴收すべきであつて寄附金によつて赤十字の経費が賄われるべきではないという点等からいたしまして、これが遂に大体分離という状態に相成つておるのでございますが、併し全国尚且つ合同で行われておるような地方も本年若干あつたのでございますが、恐らく昭和二十五年度におきましては全然これらが分離せられることになろうと思います。併しながら分離せられましても、日赤の行いまするつまり募金運動と申しますか、これは会員の増加運動、会員の勧誘運動のような形態で行われることになつておるのでございますが、併しながら只今仰せになりましたような大きな寄附が、年二回に亘りまして、而も同一方向を示しておりますような事業に重ねて寄附金が行われますようなことは、或いは時期的に見まして、殊に地域的な特殊事情からいたしまして適当でないような地方もありますることは、石原議員の御指摘通りであろうと存ずるのでございますが、これらは当委員会といたしましては、この日赤の寄附金と一緒にやらせるがいいか、或いは別々にやらせるがいいか、或いは別々にやらせるとして、こういう四月、五月といつたような時期が、果して適当であるかというような点は、実は小委員会といたしましては、十分触れるところがなかつたのでございます。これはすでに別個のものとして行われるという建前に相成つており、関係方面の御指示もさように相成つておりますので、触れなかつたのでありますが、殊に先般の派遣議員の御報告には、特に詳細この点が御指摘相成つておるのでございまして、共同募金関係資料と申します中に、当時の調査団長の報告も、共同募金と日赤との関係につきましての点は、そこに指摘しておりますので、私共大体その時の御報告の御要旨に同意いたしておるのでございますが、尚今後とも特殊なる東北地方等のいろいろな状態等と睨み合せまして、日赤自体の会員増加運動的の形によりまする募金運動の時期等につきましては、十分考察をいたしまして注意をいたすべきであろうと、かように考える次第でございます。
  7. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 外に御発言……。
  8. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 只今大体分つたのでございまするが、共同募金配分ということについても、やはり監督ということだけど、役所当局が関與しなくてうまく行きますか、どうでしようか、そういう点。募金運動は私はこれは純然たる委員会が自主的にやつて行くのがいいと思う。ところが募金配分して行くについては、今の委員会だけの組織というか、機能で果して……役所の方から資料その他をどんどん出せばこれはいいでしようけれども、どういうものでしようか、そういう点について重ねて……。
  9. 山下義信

    山下義信君 只今御指摘の点は、実にこれは重大な点でございまして、共同募金運動の全く中心は、本当に只今御指摘の点が中心だろうと思うので、つまり十一億乃至十二億の金を集めて、それを配分する者は、実際の社会事業を知らない素人が盲配分しておるという点なのでありまして、この点私共も率直に報告書の中に指摘いたしておつたのでありますが、御指摘通り只今社会事業の各施設内容、どれだけの金をどの施設配分したらば一番適切であるかということをよく承知いたしておりますあのは、実際は監督官庁地方で申しますれば民政部長乃向社会課長、或いは兒童課長等がよく承知いたしておるのでありまして、如何ように公平無私なる民間の人格ある名士を配分委員にいたしましても、実際を知らんそれらが視察に参り、帳簿を点検いたし、施設内を見て廻りましたからといつて、三日や十日、三回や五回で到底その施設程度を熟知いたし、彼此比べ合わせまして、かの施設には十五万円、この施設には三十万円が適当であるというような配分額の決定能力、それらの検討の素養と申しますか、そういうものは全然ないのでございます。勢い官庁の当該監督の人達の資料とか、或いは援助、助言等を徴せざれば適正を期し難いのが全くの実情でございます。併しながらこの点はこれ又関係方面がネフ原則の中で指摘せられてありまして、この配分には一切相談に與つてはならないという強い指示がありまして、各地方共、関係民生部課長はこの配分にはタツチしないことになつておるのでございますが、併しながら只今御指摘通りに、この正格なる資料等々は、殊に如何なる公的補助がどの施設にどの程度に流れておつて、そうしてそれが平素どういうふうに使われておるかというがごときことは、盡く関係民生部或いは民生部の各課におきましてよく熟知されておるのでありまして、それらの資料を参考に提出せられるとか、或いは又場合によりましては委員会の諮問等に答えられる等々によりまして、できるだけこの配分が実際に即応し得るような適正な配分をなさなければならんのでございますが、その点が全く現在の民間人が社会事業に対しまする認識、殊に個々の施設に対する認識が極めて微弱でありまする現段階におきましては、その点に非常な悩みがあるわけでございます。で私共は、つまり監督官庁といたしまして若し不適正な配分計画が行われたような場合には、十分意見を述べられまして、そうして委員会の再考を求められる、或いは又委員会の再考を促すがごとき正確なる資料を提出せられまして、更に反省を求められるというがごときいろいろな方法に出て頂きまして、そうして民間運動でありますが、民間が自主的に配分するのでございますが、監督官庁としての所見等々も遠慮なく私は委員会発言せられましてよろしいのではあるまいかと思うのであります。ただこのいわゆる官尊民卑の我が国でございますが、何が何でも県庁の人が言つたことであるから、それに逆ろうてはならないといつたような卑屈な態度で民間人が盡くそれに盲従するごときことになりますと、この民間運動寄附金官庁監督者によりまして左右せられるというがごとき弊害に陥つてはならないという点が、このタツチしてはならないと指示されておる点であろうと思いますが、そういう点で、十分今日の現段階におきまする不備な点を監督官庁としてカバーして頂くということになりますれば、非常に結構ではないか、かように考えるのでございます。
  10. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 外に御発言ありませんか。外に御発言もないようでありますれば、只今の社会事業団体及び施設振興に関する小委員長報告を本委員会報告決定することには御異議ございませんでしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 御異議ないものと認めます。つきましては本院規則第七十二條によりまして、この報告を認められた方々の署名を頂きたいと思います。   多数意見者署名    山下 義信  藤森 眞治    石原幹市郎  草葉 隆圓    井上なつ
  12. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止〕   —————————————
  13. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 速記を取つて下さい。  医薬と医療に関する小委員会に対しまして、更に是非この小委員会に加えて貰いたいという御希望があれば、それを追加することに御異議ございませんか。
  14. 山下義信

    山下義信君 これは一名ですね、一名追加することに異議ないかとおつしやるのですね。何名でもですか。
  15. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) あとで希望者があれば又そのときお諮りすることにしまして、取敢ず一名追加することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) それでは一名の追加につきましては、委員長から指名することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) それでは非常に熱心でこの委員会に是非参加したいという申出があります草葉隆圓君を指名いたします。  それではこれにて散会いたします。    午後零時一分散会  出席者は左の通り。    委員長     塚本 重藏君    理事            今泉 政喜君            藤森 眞治君    委員            山下 義信君            石原幹市郎君            草葉 隆圓君            井上なつゑ君            小杉 イ子君