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政府委員(宮幡靖君)
民生安定のために御考慮を頂きます
姫井委員の御意見に対し、その
考え方といたしましては同感と申上げるより外適当の言葉がないと思います。御指摘の働きたい者に職場を與えるということの具体的なことはどうだと、これは御尤もなことでありまして、かようなことは形の上だけでは解決いたさないことかと存じます。大体職場というものの
考え方がここ一年間ぐらいの間に非常に変遷しておると私共は
考えておるわけであります。今までは例えば同じ事業の組合なり、工場なりというものが存在いたしますと、いやしくもそれが
統制経済の枠に嵌
つておりますというと、優秀な技術を持ち、工場も非常に勤労意欲旺盛な従業員を有する工場も割当は同様であります。もつと具体的に申せば、働いても働かなくても同じ配給をする観念で
企業をや
つておる。ところがいろいろ御批評もありますけれどもも、
統制経済を解きまして、自由にものを入手するということのできます状況になりますると、これはその
企業家の意欲と努力以外には、経営の力というものは生れて参りません。そこで今までは
計画経済、何でもものが不
経済にでき上りましても、結局は
国民全般の
民生安定のために役立たなくとも、或いは輸出
振興のためにならなくとも、一応事業としての名乗りを上げておりますると、平等の配給を受けたのであります。従
つて職場はその
企業の将来性や或いは
企業の收益性、或いは国家的の利益の
観点、延いては全
国民の
民生安定という問題の解決ということは暫く忘れても、そこに職場というものはでき上
つてお
つたのでありまして、今回はそう参りません。従
つて御指摘のような
失業者ができて参ります。そこで一番能率のよい工場を使いますと、それは人の節約ということが急先鋒に上
つて参りまして、いわゆる合理化ということは首切りじやないかというようなお叱りを受けるのであります。従いまして能率のよい、得だということを以て、いろいろ一時お叱りをも受けました集中
生産ということは、当初として
考えております。あくまでも
自由主義経済の創意工夫を凝し、努力と誠実の積み上げられたところの競争、この中によいものができてそこに職場が開けるであろう。職場におきましても理窟ばかり言
つて少しも働くことを
考えて呉れない者は、その
企業家が見て整理いたしますことに対しまして、私共は干渉しようとは
考えておりませんが、一、二名前を申すことは差控えたいと思うんですが、実際の
労働争議の中でも、私自身飛込みまして解決しましたものが四、五ございますが、なぜそうしなければならんかというと、事業家の方が意欲を失
つておりまして、
勤労者の方が意欲があるというような実に見つともないような実情であります。そこでそれに対しましてはなぜ君達は事業家としてこの働く、よい意欲を持
つておる従業員を以て盛んにし、もつとやらないのかと、これを切実に申しました。そうしたところが例えばかような面において、例えば足らないものが、具体的に言えば石炭が配炭公団に借金がありまして入
つて来ない。その
資金がないので、どうも工場を止めなければならんと、こういうような事実でありまして、これは一例でありますが、それでは何とかして石炭を入れてやろうじやないか。或いは通商
産業省のたとえ暫定でありましても、役人の形に入
つております私共がそとまで行きますのは行き過ぎであろうと思いますけれども、
経済の移り変りのいろいろの矛盾や不都合心を少しでも緩和して参り、
労資の間の摩擦を減らして行こうとするには、又止むを得ない行き過ぎだろうと思いまして、石炭を供給してやる。そうして
仕事を継続させまして、その
産業のコストを調べて見ましたところが、大分採算が取れる。ここに
産業労働課長がおりますが、前任者の課長の時でありましたが、
担当者が調べてみました。そうしましたところが今後やりましすと殊によると損をするかも知れん、今までは少し儲か
つておる、ここらで何とかしてお辞儀をして、お辞儀をしても札で持
つておれば又再生してやれるのじやないか。今は一遍お辞儀をした方が得だというのが真実の経営者の観念であります。名前を申しますれば驚くべき地位の方であります。私はその矛盾を指摘しまして、どうかもつと
雇用量を拡大してこの事業を大きくして貰いたい。苟しくもここに首切や争議の起る理由はないじやないか。これだけ従業員を持ち、これだけよい
條件を持ち、而もこれを活用して貰うことによ
つて日本の
産業の
振興と輸出の
振興のことも必ずその一端を担うことができるのである。こういうことを申しまして、全雇用をや
つて頂きますと同時に、その後
雇用量を活用いたしまして、
只今では非常にうまく
行つておるような状況であります。併しながら我が省といたしましては、これに対しまして物の割当の権利もなければ、或いは指揮命令する権限はありません。けれども御指摘のような観念から行きますと、どうしても職場を與えることに骨を折らなければならん。例えば限に迫る問題といたしまして、石炭配炭公団が昨年廃止になりました。清算事務、この部面に入
つております
方々の職場を求めなければならない。曾て通商
産業省としてはそうしたことはないが、
大臣のお許しを受けまして、各
民間産業に対しまして一々書面を持たせまして、そうして就職斡旋
委員会を組織いたしまして、そうしてそれを
関係方面に御無理にならない点で是非お雇い願いたいということで骨を折
つて参りました一政務次官である宮幡が書面を書いて、
大臣の稻垣平太郎が書いたということは非常に行過ぎだというお叱りを我々と思想を同じくする人間にお叱りを受けましたが、敢然といたしまして就職斡旋をいたしまして、例えば三月三十一日に終るベきところのこの人員の整理というものが、九州地区で五十三人を残すのみで全部職場を差出げることができております。尚その外の点におきましても努力しておりますと同時に、この正月に九州に
産業視察に参りましたとき、鉱害の調査に参りましたときにも、それぞれの職場において有望なるところで、とかく事業家が採算一点、利益一点という、いわゆる曾ての独占資本主義の
考えを持
つておる
方々には、切々にその職場の拡大雇用をお願いいたしまして、現実に数人の方なり何人かを採用して貰う、こういうことに努力をして参
つております。これもやはり
委員会を設けてありますので、
計画的に、これこそ
計画的にこれはこういうふうに人を雇用するという具体案も
つて現実にや
つております。先般、昨年でございましたか、こちらの通商
産業委員会で自動車会社の日産、トヨタ、いすずの三
労働組合と、現在の常務さんがおいでになりまして、自動車の月賦販売を許して貰わなければ、その
資金を供給して呉れなければ、とても会社はやりきれない。今首切り整理しようとしておるということでお揃いでおいでになりました。私呼び出されまして御意見を承わりました。その場合にやはり先程申上げましたように、その
労働組合の
方々は曾てはどういう行動をとられたか存じませんけれども、現在の状況においては
仕事をしたいということであります。ところが常務さんにな
つておる
方々は残念ながら
経済的その他の
関係で、本当の
企業者じやないので、一応事業をしま
つた方がよいというようなことで、月賦販売
制度で積極的に
資金を流して呉れ、それじや幾ら欲しいから貸して欲しい、その斡旋をして呉れということを言
つて来ない。それで私は参議院の議員の
方々のおられる席で申上げました。日産でも、トヨタでも、いすずでも、これだけやらなければならん、これだけの金が要るのだ、これを何とかして呉れ、或いは貸して呉れろということを言
つて来たか、一遍もないじやないか、そうして
資金の調達ができないということによ
つて、とれだけ働きたいという
労働者を犠牲にする必要はない。而も司令部と交渉して、自動車の
生産は今までは僅か年間三百台か六百台に抑えられたものを、数を申上げるとどうか分りませんが、その十倍にも、二十倍にも製造を許されておるのではないか。こういう事実があるのではないか。こういうことから押しますと、最後はその常務三人揃
つて、誠に申しわけがございません。
計画を立てまして直ちにお願いに参ります。かようなことでありましたが、今に至るもまだその金を貸して呉れという申込みがないのであります。
かような問題を一々取上げることは長くなりますが、通商
産業省として従来の官庁の観念とは矛盾するかも知れませんが、苟くも事が
経済の移り変りでありまして、税制依存の
日本の
経済、それを本当の
産業資金一方、かような、而もそこに今までのインフレ傾向、物さえ作れば名目的でも利益が得られるどいう時代と、少くとも現在の
政府の言
つておりますデイス・インフレの線に抑えようという、この間の摩擦というものは避けられない。これを何とかして少くして行くには、これをやるべきことであらうと思いまして、実は一々の
産業につきまして
産業労働課長もおりますが、毎月のように雇用
関係その他のものを会社別に調査させまして、そうして
産業の報告をとりまして、気のついたことはこちらから指図いたしまして一生懸命でや
つております。併しながらそれがなかなか表に現われてよくや
つたというようなお言葉を頂くまでには程遠いと思うのでありますが、熱意だけは
大臣も私も
事務当局も一生懸命や
つておることを御了解願いたいのでありまして、又この点に対する御意見は
労働者のいわゆる弁当を持
つて行けない。再
生産労働力を涵養しろ、かような御指摘に対しても一々これは御尤もであります。是非そうしなければならんということで努力いたしておりますが、こういう問題につきましては、余り派手でないものでありますから、二股に差し迫
つて争議でも起きますと
労働問題を取り上げますが、平常は
労働問題とか、或いは職場問題というようなものには、どうも忘れ勝ちでありまして関心も薄いようであります。是非かような機会におきまして国会の皆さんから強力に鞭撻して頂くことを、甚だ勝手でございますが、お願いいたしまして、誠にくだらないことで恐縮でありますが、お答えをいたしたいと思います。