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井上なつゑ君
厚生大臣の御出席を願いまして、この間の東京
大学の
病院の分院に起りました
事件を
中心に、少の
看護婦の問題とお
医者さんの問題をお伺い申上げたいと存じます。
先ず私は、これはお
医者さんの
立傷を論じますことは如何かと存じますが、私の方の
立場からお
医者さんのことを見せて頂いたことについて少し樹
つて見たいと思うのでございます一員今は大変お
医者さんの数が
日本には多いのでございますし、それからお
医者さんの分布と申しましようか、いる所と申しますか非常に偏在しておるのじやないかと存じます。お
医者さん
そのものの感じも、この頃は大変変
つて来たと存じます。お
医者さんにとりまして、何と申しますか、
病院で治療する上において非常に科学的な
研究をなさるということは、
病院におられまして
大変楽しみのようでございます。お
医者さんは何と申しましようか、思想と申しましようか、
技術者にありがちな普通の常識を欠きまして、偏見の
気持をお持ちになるのは殊に
研究の過程において多いように思います。これは止むを得ないと思います。これは一生縣命に人命にかかわることをなさるのでございますから、非常にそういう点をお持ちになるということは止むを得ない点でございますけれども、そうした
研究をなさる
医育機関を持ちます
病院におりますお
医者さんが、
自分の
使い易い
看護婦を使うということになりますことは、これは
人情で仕方がないと存じますが、
看護婦がそういう
病院では病人を
看護するということを忘れまして、お
医者さんの気に入ればよいというようなことに向いて行くということは仕方がないことでございます。これはいつも
自分がこうであると我を通すということになりますと、しよつちうお
医者さんと喧嘩するようなことになるので、それはいけないことでございますけれども、そうしたことが段段と、何と申しましようか、固ま
つて到頭今度の東大のような雰囲気を作
つて来たように存じます。それでの際
厚生大臣にお伺い申上げたいのでございますが、どういうようにこれからお
医者さんの
教育の面をお
考えにな
つておいでになるか。これは
技術的というか、科学的な面ばかりでなく、この際
病院の
経営、
管理という面を目て頂きたいと思うのでございます。これまでは
看護婦の
立場からのみただ
看護婦ばかりを責めてお
つても何なでございましてやはり
一緒に
仕事をするお
医者さんの方で
看護婦を理解して下さらない、働く
病院が非常によくな
つていないと実にやりにくいのでございます。で治療と申しましようか、医療と申しましようか、
看護と並行すべきであるということを
一つお
医者さんの
教育の中に含めて取入れて頂けるかどうかということを
一つ伺いたいと存じます。それからお
医者さんの数のことでございますが、
日本では
戦争前は
医者が足りませんでした。又
戦争中は海外に非常に沢山出ておりましたが、この頃は
日本でも余
つて来たように思います。こうした
医者の
立場をどういうようになさるつもりであるかということを伺いたいと思います。
次に、問題を起した
看護婦の
部面について伺いたいと存じます。問題を起しました
看護婦の大きな問題は。申上げるまでもなく
看護婦自体の悪いところでございまして、
看護婦自体の人ができていないということ、これは
一つは人の面ばかりでなく、
看護婦の
職業的部面に
欠陷が多い。これは大きに
教育の
欠陥と言うべきでございましよう。この
教育の
欠陷の
部面をよく
考えて見ますと、
看護婦の
年齢が非常に低いということが大きな
欠陥であります。十五や十六の
女の子を
病院で採
つておりますが、こうした
女の子は
家庭における
家庭教育を十分受けておりません。
家庭教育が十分でないところへ、
病院の
養成所とか、
看護婦学校は、そうした若い
婦人に
婦人としての
教養を與える
機会が非常に少ないのでございます。殊に
日本のこれまでの
病院でございますと、
教育は男のお
医者さんがなさ
つておられるので、変な
部面だけ男のような女というような、本当に
婦人が知らなければならんということが足りない。結局
婦人としての
教育が欠けておつたということが
一つの大きな
欠陷でございました。今度は
職業部面の
教育も、
只今厚生大臣が非常に一生懸命に改革下す
つておりますけれども、
職業面の
教育も非常に
欠陷がございます。お
医者さんによ
つて教育されて来たものでございますからお
医者さん
そのものは、お
医者さんとしての使命が重大であることは
十分知つているのであります。お
医者さんが
看護婦の
教育をなさるということは刺身のつまぐらいのようなことにな
つてしま
つて、お
医者さんに絶対
期待するということは無理なんでございまして、そのことはよく知
つているのでございますが、今までの
病院の
経営上
管理上から、お
医者さんが
教育するということは
基礎教育において欠けるところあるのみならず、
看護婦の
技術の面が欠けるのでございます。お
医者さんも忙しいので、
看護婦の面につきましても
患者本位のことをするよりも
自分の好きな
仕事をするのは
人情の常で止むを得ないと思います。そういうような
看護婦の
教育が、必要な面の
教育も全うせられない、
職業面の
教育も全うせられないで、中途半端な
教育でああした
看護婦が出て来るのじやないかと思います。長い間の何と申しましようか、
伝統的な
歴史、
伝統的と申しましようか、
歴史が然らしむると申しましようか、
病院の
生活環境がどこの
病院でも
ちよつと悪いのでございます。劣りますのでございます。
国立病院なんかは、一昨年も私は
国立病院の或るものを見まして、青色の毛布を敷き放しにして、ここでは
戦時状態が続いておると申したのであります。女の
寄宿舎と見えないような
寄宿舎に住んでいる。そういうところで、とにかく
生活ということの訓練もございませんければ、
教養を高めるというだけの
機会はちつともないという、落着いて
自分で身の
廻りのことをすることができないというような
宿舎に置かれておるということは非常に情けないと思います。私二、三年前に、私の職場の範囲でございませんけれども、友達がおりましたが、富山の大
建産業の
紡績女工さんの
宿舎を見せて頂きましたが、
紡績工場の
女工さんの
宿舎は完備しておりまして、
看護婦だけがこういう悪い
環境にいつまでた
つても置かれておるということを見て私悲しく
思つたのでございます。そうじたような
生活環境が非常に悪いと言う、又
生活環境が悪いことによ
つてそうした
病院ではございませんが、
病院のあるところでは、公私の時間をずるずるべつたりにして勤務時間を多くするとか、給料を安くして
患者から何か貰えということを
言つている、
病院経営の人じやございませんと思いますけれども、そうしたようになりますので、実にそこに不明朗なものがある。
看護婦という
仕事をする今は非常に若い女性でございますか、
保護されないでこれをやかましく
言つております。
婦人の
保護とか何とかということは全然ございませんで、
看護婦という
仕事をする名前を付けられたがために酷使をせられるという、そういうような不明朗な
病院があるということを
厚生大臣御
承知でございましようか、私つくづく
考えるのでございますが、今度の問題もこういうような不明朗な
環境から起つたことも御
承知の
通りでありますので、
大臣のお
考えを伺いたいと思いますことは
心厚生省でいろいろや
つて下ざいますが、
看護婦の
教育に、
看護婦の
生徒の
年齢を
向上なさる
おつもりはないかということを
一つ。
年齢を
向上するということは、
只今の
現行法の
甲種看護婦だけになさる御
意思はございませんかということを承わりたいのでございます。それから若し
甲種だげでなくて
乙種の
看護婦をお採りになるか、それには
婦人の
教育ということはどういう
方法でなさいますか、
婦人の
年齢の三年違うということは実に違うので、どう、うようにして人としての
教育をなさいますかということを
一つ伺いたい。それから今度は現在もや
つておられますでございましようが、ああしたことの不幸なことを来さないように、
教育の
徹底化を現在どの
程度にまでや
つておられますかということを
一つ。それからこれは
教育をなさいますのは、
未来の
看護婦でございますが、
未来の
看護婦ばかりでなく、現在の
既得者にも徹底したものを與えなくちやならないと思いますが、もつと
自分達の職責を、人に
頼つてばかりお
つて、お
医者さんの悪いことはかり言えない。いつも
頼つてばかりおるので、
自分達の
職業をはつきり確立するために、
自分達の
職業を
研究するために、何かいい
機会をお與えになるお
考えはないか、それからもう
一つは、
看護婦の
個人の家に住んでおりますものは別でございますが、
只今日本住宅は非常に不足しております。せめて若い
婦人を入れるような
寄宿舎を果れということは言われないのでありますが、集団した若い
婦人達を入れます
環境の
改善を
厚生省はしつかりや
つて頂く
おつもりはないかということ、それに
ちよつと附加して申上げたいことは、
看護婦はどこでも
一緒でございますか、
日本は気候の
関係上、白い
ユニホームをもつと綺麗にしなくちやならないと思いますが、
病院にありましては、金がないからと
言つて配給の
ユニホームを着られない。そうして横流しにな
つてしま
つておるというのですが、
目分の身の
廻りから少し綺麗にすることは非常に
仕事の方にも、何と申しますか、影響いたしますし、心の持ち方も綺麗になりますので、そういう面ももう少し何とかお
考え頂けないかということであります。もう
一つ附加さして頂くことは、
厚生省自体がもつともつと親切に
看護婦の
保護をするように何かこの外に
考えて頂けないかということを
一つお伺いしたい。
厚生省では今度この問題が起りましてこの問題を通して非常にこの
看護婦に対する何と申しましようか、
病院に対する不安な
気持を持
つておるのじやないかと思いますが、
看護婦に対して
厚生省はその積極的な態度で何らか
措置をなさ
つて下さいますかどうか、
厚生大臣はそうしたこどをなさるお
気持はございませんか、そのことを
一つ。それからもう
一つお伺い申上げたいのは、こうした
看護婦と申しましても、ぴんからきりまでございましく御
承知のように
甲種の
看護婦は六三三が済んで三年の
教育を受けておるのであります。それから新聞によ
つては非常に沢山
もぐり学校がある。一夜漬の
通信教授によ
つて看護婦を
養成するということも載
つておるのでありますが、
もぐり学校、
通信教授というものはどのくらいあ
つて、どういうような
措置をと
つておられましようかということを附加してお伺い申上げたいと思います。