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1950-02-08 第7回国会 参議院 厚生委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年二月八日(水曜日)    午前十時三十四分開会   —————————————   本日の会議に付した事件社会保障制度に関する調査の件(厚  生行政に関する件)   —————————————
  2. 塚本重藏

    ○委員長(塚本重藏君) これより委員会を開会いたします。前日に引続き質疑を続行いたします。通告がありますので、通告順従つて発言を願います。井上なつゑ君。
  3. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 厚生大臣の御出席を願いまして、この間の東京大学病院の分院に起りました事件中心に、少の看護婦の問題とお医者さんの問題をお伺い申上げたいと存じます。  先ず私は、これはお医者さんの立傷を論じますことは如何かと存じますが、私の方の立場からお医者さんのことを見せて頂いたことについて少し樹つて見たいと思うのでございます一員今は大変お医者さんの数が日本には多いのでございますし、それからお医者さんの分布と申しましようか、いる所と申しますか非常に偏在しておるのじやないかと存じます。お医者さんそのものの感じも、この頃は大変変つて来たと存じます。お医者さんにとりまして、何と申しますか、病院で治療する上において非常に科学的な研究をなさるということは、病院におられまして大変楽しみのようでございます。お医者さんは何と申しましようか、思想と申しましようか、技術者にありがちな普通の常識を欠きまして、偏見の気持をお持ちになるのは殊に研究の過程において多いように思います。これは止むを得ないと思います。これは一生縣命に人命にかかわることをなさるのでございますから、非常にそういう点をお持ちになるということは止むを得ない点でございますけれども、そうした研究をなさる医育機関を持ちます病院におりますお医者さんが、自分使い易い看護婦を使うということになりますことは、これは人情で仕方がないと存じますが、看護婦がそういう病院では病人を看護するということを忘れまして、お医者さんの気に入ればよいというようなことに向いて行くということは仕方がないことでございます。これはいつも自分がこうであると我を通すということになりますと、しよつちうお医者さんと喧嘩するようなことになるので、それはいけないことでございますけれども、そうしたことが段段と、何と申しましようか、固まつて到頭今度の東大のような雰囲気を作つて来たように存じます。それでの際厚生大臣にお伺い申上げたいのでございますが、どういうようにこれからお医者さんの教育の面をお考えになつておいでになるか。これは技術的というか、科学的な面ばかりでなく、この際病院経営管理という面を目て頂きたいと思うのでございます。これまでは看護婦立場からのみただ看護婦ばかりを責めておつても何なでございましてやはり一緒仕事をするお医者さんの方で看護婦を理解して下さらない、働く病院が非常によくなつていないと実にやりにくいのでございます。で治療と申しましようか、医療と申しましようか、看護と並行すべきであるということを一つ医者さんの教育の中に含めて取入れて頂けるかどうかということを一つ伺いたいと存じます。それからお医者さんの数のことでございますが、日本では戦争前は医者が足りませんでした。又戦争中は海外に非常に沢山出ておりましたが、この頃は日本でも余つて来たように思います。こうした医者立場をどういうようになさるつもりであるかということを伺いたいと思います。  次に、問題を起した看護婦部面について伺いたいと存じます。問題を起しました看護婦の大きな問題は。申上げるまでもなく看護婦自体の悪いところでございまして、看護婦自体の人ができていないということ、これは一つは人の面ばかりでなく、看護婦職業的部面欠陷が多い。これは大きに教育欠陥と言うべきでございましよう。この教育欠陷部面をよく考えて見ますと、看護婦年齢が非常に低いということが大きな欠陥であります。十五や十六の女の子病院で採つておりますが、こうした女の子家庭における家庭教育を十分受けておりません。家庭教育が十分でないところへ、病院養成所とか、看護婦学校は、そうした若い婦人婦人としての教養を與える機会が非常に少ないのでございます。殊に日本のこれまでの病院でございますと、教育は男のお医者さんがなさつておられるので、変な部面だけ男のような女というような、本当に婦人が知らなければならんということが足りない。結局婦人としての教育が欠けておつたということが一つの大きな欠陷でございました。今度は職業部面教育も、只今厚生大臣が非常に一生懸命に改革下すつておりますけれども、職業面教育も非常に欠陷がございます。お医者さんによつて教育されて来たものでございますからお医者さんそのものは、お医者さんとしての使命が重大であることは十分知つているのであります。お医者さんが看護婦教育をなさるということは刺身のつまぐらいのようなことになつてしまつて、お医者さんに絶対期待するということは無理なんでございまして、そのことはよく知つているのでございますが、今までの病院経営管理上から、お医者さんが教育するということは基礎教育において欠けるところあるのみならず、看護婦技術の面が欠けるのでございます。お医者さんも忙しいので、看護婦の面につきましても患者本位のことをするよりも自分の好きな仕事をするのは人情の常で止むを得ないと思います。そういうような看護婦教育が、必要な面の教育も全うせられない、職業面教育も全うせられないで、中途半端な教育でああした看護婦が出て来るのじやないかと思います。長い間の何と申しましようか、伝統的な歴史伝統的と申しましようか、歴史が然らしむると申しましようか、病院生活環境がどこの病院でもちよつと悪いのでございます。劣りますのでございます。国立病院なんかは、一昨年も私は国立病院の或るものを見まして、青色の毛布を敷き放しにして、ここでは戦時状態が続いておると申したのであります。女の寄宿舎と見えないような寄宿舎に住んでいる。そういうところで、とにかく生活ということの訓練もございませんければ、教養を高めるというだけの機会はちつともないという、落着いて自分で身の廻りのことをすることができないというような宿舎に置かれておるということは非常に情けないと思います。私二、三年前に、私の職場の範囲でございませんけれども、友達がおりましたが、富山の大建産業紡績女工さんの宿舎を見せて頂きましたが、紡績工場女工さんの宿舎は完備しておりまして、看護婦だけがこういう悪い環境にいつまでたつても置かれておるということを見て私悲しく思つたのでございます。そうじたような生活環境が非常に悪いと言う、又生活環境が悪いことによつてそうした病院ではございませんが、病院のあるところでは、公私の時間をずるずるべつたりにして勤務時間を多くするとか、給料を安くして患者から何か貰えということを言つている、病院経営の人じやございませんと思いますけれども、そうしたようになりますので、実にそこに不明朗なものがある。看護婦という仕事をする今は非常に若い女性でございますか、保護されないでこれをやかましく言つております。婦人保護とか何とかということは全然ございませんで、看護婦という仕事をする名前を付けられたがために酷使をせられるという、そういうような不明朗な病院があるということを厚生大臣承知でございましようか、私つくづく考えるのでございますが、今度の問題もこういうような不明朗な環境から起つたことも御承知通りでありますので、大臣のお考えを伺いたいと思いますことは心厚生省でいろいろやつて下ざいますが看護婦教育に、看護婦生徒年齢向上なさるおつもりはないかということを一つ年齢向上するということは、只今現行法甲種看護婦だけになさる御意思はございませんかということを承わりたいのでございます。それから若し甲種だげでなくて乙種看護婦をお採りになるか、それには婦人教育ということはどういう方法でなさいますか、婦人年齢の三年違うということは実に違うので、どう、うようにして人としての教育をなさいますかということを一つ伺いたい。それから今度は現在もやつておられますでございましようが、ああしたことの不幸なことを来さないように、教育徹底化を現在どの程度にまでやつておられますかということを一つ。それからこれは教育をなさいますのは、未来看護婦でございますが、未来看護婦ばかりでなく、現在の既得者にも徹底したものを與えなくちやならないと思いますが、もつと自分達の職責を、人に頼つてばかりおつて、お医者さんの悪いことはかり言えない。いつも頼つてばかりおるので、自分達職業をはつきり確立するために、自分達職業研究するために、何かいい機会をお與えになるお考えはないか、それからもう一つは、看護婦個人の家に住んでおりますものは別でございますが、只今日本住宅は非常に不足しております。せめて若い婦人を入れるような寄宿舎を果れということは言われないのでありますが、集団した若い婦人達を入れます環境改善厚生省はしつかりやつて頂くおつもりはないかということ、それにちよつと附加して申上げたいことは、看護婦はどこでも一緒でございますか、日本は気候の関係上、白いユニホームをもつと綺麗にしなくちやならないと思いますが、病院にありましては、金がないからと言つて配給ユニホームを着られない。そうして横流しになつてしまつておるというのですが、目分の身の廻りから少し綺麗にすることは非常に仕事の方にも、何と申しますか、影響いたしますし、心の持ち方も綺麗になりますので、そういう面ももう少し何とかお考え頂けないかということであります。もう一つ附加さして頂くことは、厚生省自体がもつともつと親切に看護婦保護をするように何かこの外に考えて頂けないかということを一つお伺いしたい。厚生省では今度この問題が起りましてこの問題を通して非常にこの看護婦に対する何と申しましようか、病院に対する不安な気持を持つておるのじやないかと思いますが、看護婦に対して厚生省はその積極的な態度で何らか措置をなさつて下さいますかどうか、厚生大臣はそうしたこどをなさるお気持はございませんか、そのことを一つ。それからもう一つお伺い申上げたいのは、こうした看護婦と申しましても、ぴんからきりまでございましく御承知のように甲種看護婦は六三三が済んで三年の教育を受けておるのであります。それから新聞によつては非常に沢山もぐり学校がある。一夜漬の通信教授によつて看護婦養成するということも載つておるのでありますが、もぐり学校通信教授というものはどのくらいあつて、どういうような措置をとつておられましようかということを附加してお伺い申上げたいと思います。
  4. 林讓治

    国務大臣林讓治君) 只今井上委員からの御体験並びに種々御調査になりました御質問を拝聴いたしまして、誠に私共も大いに考えさせられるところがあるわけでありまして従いまして厚生省といたしましては十分注意をいたしたいと考えます。両医者の再教育についてでありますが、この点につきましては非常に又むずかしい問題とは考えますが、幸、この新らしい医師会も、任務がそういう再教育をするということについての非常に注意をしておるところでありますから、その医師会あたりの御活動などにも又期待をいたしておるわけであります。荷、厚生省といたしましては、この点十分注意いたしたと考えます。それから病院管理教育につきましては、国立病院病院管理研修所というものができてお力ます。本年度から講習を行なつて行くという心構えでおるわけであります。それから看護婦教育につきましては、仰せの通りでありまして、厚生省も十分この点については注意をいたしたいと考えております。尚細い点につきましては、私詳細に存じておらん尺が多いのでございますから、後程政府委員の方からもお答えをして頂くここにお願いをいたじますが、只今お話りありましたような教育の問題のみなりず、服装の改善などにつきましては御尤もの点が多いのでございますかり、我々といたしましては、経費或いは資材の関係なども十分研究をいたしまして御期待に副い得られるようにヵ法を進めて行きたいと考えておるわりであります。尚その他甲種看護婦の問題であるとかいう点については、私よく存じておりませんから、外の政府委員からお答えをさせまして、総括的な点について又私からお答えをいたします。
  5. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 只今厚生大臣から大変御親切な御答弁を頂きまして有難うございました。もう一つ厚生大臣に最後にお願いしたいことは、厚生省でもう少し何とか看護婦のことについて輿論を起すような方法をなすつて頂けませんでしようか。どうも私共もこうでこざる、ああでござると皆さんお話を申上げたいと存じますが、私共もこうでござる、ああでこざると言つている一面から、この間の事件が起つたり、いろんなことになりまして申訳ない。何と申しましようか、世間に対しても申訳ございませんし、それに若い人達もこれからの日本婦人の入選は、もう少し勤労意欲を出して頂いて働いて頂かなければならないと思います。いつまでも、いつまでも日本婦人が何と申しましようか、六千三百七円ぺースの御主人の肩にすがつておりましては、日本国そのものが衰えて行きますので働いて頂かなければならないのでございますが、看護婦仕事と申しますものは、非常に体得いたしまして家庭に入りましてもいろんな便宜がございまして、家庭を持ちましても、ちよつと病気しても困りません。そんなとぎには実に都合がいいのでございますがどうも今日のこの日本看護婦の状況でございますど、いい人が看護婦になるというようなことにならないで、何かこうちよつと走り使いのような人が看護婦になつて見たり、或いはあんな人がと思うような人がこの仕事をとつて見たりいたしますので、日本保健上から言つても非常に損だと思いますのでございます。何とかいい人が沢山看護婦になられますような、又家庭へ入りましても一家の保健向上させるように、積極的な看護婦についての輿論厚生省でうんと起して頂くようにして頂きたいと思います。
  6. 林讓治

    国務大臣林讓治君) 御尤もなことでございますが、その輿論を起させる一つのどういうような方法という事柄につきましては、私共今真ちに案を持つておるわけではございませんが、井上委員のごとく、御体験に基きましたもの、又看護婦諸君の種々なる御希望の点などを露骨に厚生省の方に御要求をして頂きましたならば、我々の方で又それを考慮いたしまして井上委員などの御希望に副うような方向に私共は持つて参りたいと考えておるわけであります。
  7. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 大変に度々恐れ入りますが、厚生大臣が御親切に希望を言えとおつしやられますから、ちつとここで希望を附加えさして頂ぎたいと思います。それは私この委員会でも、皆さんにもかねがね、お願いしておることでございますが、何とかこれは、厚生省での看護婦教育費用が非常に予算上にも少いと存じます。それで先ず厚生省で今年の、二十五年度の予算の説明がございましたときも、看護婦専任教師と申しますか、新らしい看護婦学校には看護婦教師が要るということを規則にお出し頂いたことは非常に有難いど思つております。やはり自分達のことは自分達で開拓して後進者に讓つて行かなければならないという責任と義務があることはよく承知しておりますので、看護婦教師を作つて頂くこと、即ち自分のことを勉強する、研究することになりますので非常に有難いと思つておるのでございますが、この看護婦教師養成所がああした充実した講習ではございましよう。あちら様の御援助もございますし、アメリカベ行つて研究して来た新らしい方のいろんな科学技術の面が培われているでございましようけれども、一向専任教師がどこで養成されているのか、厚生省がどこで学校を持つているのか分りません。而も一つ輿論を起すこととはなりませんで、いつも申しておりますが、あれだけの経費をおかけになつていろいろと個人にも負担が多い。講習生に行きますと、田舎から何万円というお金を持つて来で、講習生が使つておるのでございます。そういうような教育をなされるのでございますので、何と申しましようか、大学の中にでもお設けになつ頂きたいと思うのです。教師養成所を設けて頂くということは、そういうこと自体は非常に小さいことではございますし、人数も少いにいたしましても、そういう輿論が起りますし、看護婦自身も非常に向上と申しましようか、自分達仕事改善する面に非常にいいことになると思いますので、是非共一つそうした学部を設けて頂いて、そうした専任教員養成を完全にやつて頂きたいと思うのでございます。殊に大学病院看護婦の方は、まあ今の事件が起りましたまに、お医者さんの手助けというような考えでございまして、これは何年か前でございますが、もう二十数年前に英国看護婦の方が、大学病院に見えまして、そのときに看護婦に会いたい、今じやございませんので、時代が違いますので、看護婦に会いたいからと言いましたが、そこのお医者さんが出てお出でになつて、この病院にはあなた方に会わせるような看護婦がいないから、私がお会いいたしましようと言つて、そうしてこの大学病院では看護婦養成しておりません。これは医者助手養成しておるのでございます。こういうことをおつレやつて、そこで英国看護婦がそれを聞いて非常に憤慨いたしまして、これをちやんと向うの雑誌に書いて、私のところへ送つて来たことがありました。そうしたように大学病院自身でもそうした長い伝統がございましようが、何とか大学病院の現在の看護婦は非常にこれを改革しようと思つて一生懸命になつておりますけれども、何と申しましても、長い伝統の枠に絡まれておりますし自分達自身ではなかなかできないのでございます。それでございますので、何とかそれとは別個に学校一つ抗えて頂いて、そうして厚生省なり、文部省なりでうんともう少し予算をとつて頂いて、あらゆるととろの教師に、今の学芸大学にいたしましても、いろんな学校全国で設けられて非常に教育がされておるのでございますが、ひとり看護婦のみそうした教師のないことは非常に悲しく思うのでございます。これを一つ特に厚生大臣の御考慮を煩わして、そうした方面一つ予算をとつて頂くなりして頂きますことが、看護婦の何と申しますか、向上に非常に寄與するところが多いと存じますので、一つこれをお願い申上げます。それからもう一つ現在の既得権者全部の再教育をなさるおつもりはないのでございましようか。恐らく外み職業教育もございましようし、こちらだけに予算をとつて教育することはできないと存じますのでございますが、現在おります看護婦は非常に新らしい看護婦、いわゆる日本の国民、即ち患者中心とする看護婦になりたいと思つて一生懸命努力いたしております。それについても再教育のために厚生省がおとり下さいます費用は非常に少いので、いろいろな点に支障を来しますので、厚生省あたりでも問題がございまして、これについては厚生大臣も御存じかと存じます。厚生省の方の予算が非常に少いものでございますから、私共の作つております協会の方で金を出し、そうして半分々々金を出してしようじやないかということで、これは私共異存はないのでございますが、その間非常に妙な感情の摩擦が起りまして、確か憲法第八十九條でございますかによつて団体に傘をやることはできないけれども、団体一緒になつてやればいいじやないかといつような議論が出ましたが又協会側の方も、これは違法だからとか、何とか申しまして、こういうような何でもないことで再教育の進歩に阻害を来すというようなことがございますので、できますことならば、もう少しこの再教育お金も、きつとお金があつちこつちで、いろいろな方面でおとり下さつているのだろうと思うのですが、厚生省内において一貫した看護婦の再教育の事業がないのじやないか、保健局保健局でやつておられます。兒童課兒童課でやつおられます。医務局医務局でやつておられますので、割合にいい教育ができないのじやないかと思います。そういう部面厚生省でもう少し看護婦の再教育に御考慮して頂きますと、非常に看護婦のいい仕事ができるのじやないかと存じますので、希望を附加えさして頂いてお願いを申上げます。
  8. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) 先程の御質問のうち、大臣からお答えいたしませんでした二、三の問題につきまして、私からお答え申上げたいと思います。只今お話にも関連をしておりますことでございますが、看護婦の再教育の点にお触れになつたようであります。この再教育のやり方について、最近の事件等に鑑みて十分注意するようにしたらどうかというふうなお話であつたように思うのであります。御尤もなことでございまして只今指摘のように、予算が必ずしも十分ではありませんけれども、今後看護婦の再教育に際しましては、単に看護の自治的な面のみでなしに、看護婦の倫理的な向上を図るようなことにつきましても、教育上十分留意して参りたいと考えておる次第であります。それから費用が非常に少ないというお話でございまして、私共も決してこれを十分と思つておるものではないのであります。いろいろ国家財政都合上、只今程度予算の実態になつておるのであります。私共はできるだけこれを活用いたしまして、有意義な再教育を行うようにいたしたいと思つております。併し又今後は予算の獲得につきましても、御指摘のように十分努力をいたして参ウたいと思つております。それから看護婦の再教育につきまして、厚生省内部教育課がないかとのお話がございましたが、その点は先般医務局の中に看護課を設置いたしますときに、再教育の問題は全部看護課に統一をいたしておるのであります。それに所要の人員を各局課から看護課に集めまして、そうして看護婦羅養成並びに再教育に関しますことは、看護課が統一して同じ方針でやるというような建前で、予算なども全部修正されておりまする次第でございます。それから甲種乙種看護婦制度はございますが、これを甲種一本にする意思はないかというお話でございましたが、もともと看護婦制度の理想から申しますれば、私共も甲種看護婦制度一本で参るのが適当であると思つておるのでありますが、併上ながら従来の我が国実情、更に現状から鑑みましても、六三三を終つて、更に三年間の教育を受け、而も国家試験に合格しなければなれないような程度の高い看護婦制度一本にいたしますと、我が国看護婦需要供給関係が円満に行ないのではないかということを虞れたのでありまして、今日むその点を懸念いたしておる次第であります。暫くその辺の情勢が見通しの付くまで、只今までの段階におきましては、現在の制度を続けて行くのが妥当ではないかと思つておるのであります。尤もこれにつきましては、非常に根本的な御意見が各方面から出ておりまして、甲種看護婦制度一本にして、看護婦助手制度を作つたらどうかというようなお話も一部にはあるのでありまして、私共もこれらの点につきましては、今愼重に検討をいたしておるのであります。公式な立場といたしましては、只今制度を暫く存続するというようなことに考えておる次第であります。  それから看護婦に対する輿論の喚起ということでございますが、これは非常に御尤もでございまして、私共この点は留意をいたしておるつもりでありますが、ただこれも費用関係などで十分なことが行われておりません実情であります。ただ今回も甲種看護婦制度に関しますパンフレット、又乙種看護婦制度に関するパンフレットを、主として己の春卒業をいたします女生徒に配りますために、数万部のものをそれぞれ印刷をいたしまして、全国新制高等学校或いは新制中学に配付する計画を現在いたしつつあります。これらを通じまして看護婦制度看護婦というものに関する世間の認識を高めて参りたいと思つております。勿論これだけでは先程申しました通り決して十分とは申せませんのであります。全体の厚生省の弘報に関する予算もございますからこれらの面でも交渉をいたしましてできるだけ御趣旨に副うように努力を重ねて参りたいと思つております。大体御質問に対する残りました点は…。
  9. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 それからもぐり学校と申しますか、看護婦が足りないということを口実に短期の通信教育をしたり、ちよつと一月か、二月教育をしたりして検定試験を受ける、又検定試験が来年まで続きますもけでございますから、又ああいうような話が出ておりますが、これは事実でございましようか。そうした学校が幾つぐらいございましようか。これは地方庁の監督かも知れませんが、厚生省はそういうものに対してどういうような態度をおとりになつておりますか、ちよつと承わりたいと思います。
  10. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) 私共といたしましては、さような学校は全然認めない方針でございます。看護婦養成施設につきましては、看護婦助産婦法の中に明確に規定があるわけでございまして、この規定に合致しないものにつきましては、たとえそういうようなもぐりのものが行われましても看護婦と称することができないというようなことになります。又看護婦の業務を行うことができないことになつておりますので、正式に看護婦に関する法律を施行して参ります限り、さような問題は心配をいたしておらない次第であります。
  11. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 それじやもう一つ伺いますが、古い看護婦の令によりますと、現行看護婦の検定試験を受けて看護婦の免状が取れるということになつておりますが、その際に病院かお医者さんの証明書を附ければ、どんなに自分で独学して本を読んでも看護婦の免状が取れるというようになつておりますが、このお医者さんの証明についてもう少しお考えになるつもりはございませんでしようか。ちよつとお伺いいたします。
  12. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) 検定試験の制度は新らしい法律では廃止になる予定になつておりまして、ただ併し過渡的にこの九月に新らしい制度は施行さ、れることに相成りますが、その後若干の期間だけは過渡的に旧制度を認められております。それでなくなつてしまいますが、この際余りむつかしいことを言わなても、従来通りの扱いでよろしいのではないかと思います。ただ事実がない証明書であるというようなものなら、これは勿論意味をなさない、効果のないものでありますが、その点は従来とても厳重にやつておりましたつもりであります。さような点につきましては、この制度が続く限り嚴工重に取締つて行くようにしたいと思います。
  13. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 文部省の方がお出まし下さつておるようでございますが、東大の分院の宿舎の状況をちよつとお伺いしたいと思いますがよろしうございますか。
  14. 塚本重藏

    ○委員長(塚本重藏君) よろしうございます。
  15. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 それでは、只今まで東京大学の分院に起りました事件中心看護婦教育問題を伺い、厚生省の意見を承つておりましたが、若しできますことなら、東大の分院の看護婦生活環境でざいますね。宿舎はどういうようになつておますか、本当に宿舎があるものかないものか、聞くところによると、宿舎もなくて病室に入れられておるというようなことも聞きますが、いろいろな生活実情が分つていたら一つお話を承わりたいと思います。文部省の方から…
  16. 塚本重藏

    ○委員長(塚本重藏君) 説明員の発言よろしうございますね。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 塚本重藏

    ○委員長(塚本重藏君) どうぞ。
  18. 腰原仁

    ○説明員(腰原仁君) 只今質問ございました東京大学の分院の看護婦の状況でございますが、具体的なことを申上げないと、ちよつと御満足の行くお答はできないと思いますが、実は看護婦教育のことにつきまして御質問があるかと思いまして、本日そのつもりで参つたのでございますが、まあ特に東京大学看護婦宿舎の状況等につきましては、尚追つてよく御説明申上げたいと思いますが、大体申上げますと、看護婦養成につきましては、各大学におきましては、厚生女学部と言いまして、課程は旧制高等女学校程度において従来行なつておりたのであります。これが新制度に移り変るにつきましては、只今厚生省の方から御説明があつた、こういう制度が今度旧制度に移り変ることになりまして新制中学校卒業後二年、又は新制高等学校卒業後三年、こういうように程度が高くなつてつておるのでございます。従来の厚生女学部の関係といたしましては、旧制の高等女学校程度において殆んど高等女学校教育と同じような学問なり、又情操方面なり、それに附加えまして看護の専門のことを教授いたしておるのであります。で只今お話のありました宿舎の状況等は、厚生女学部としましては持つておると思いますが、その者が卒業しまして以後の看護婦宿舎の状況、或いは生活環境ということになりますれば、私今日持つて参りました資料ではちよつと御満足行きかねるかと思いますが、その点調査して御説明いたしたいと思いますが、よろしうございましようか。
  19. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 よろしうございます。   —————————————
  20. 石原幹市郎

    ○石原幹市郎君 私は先ず第一の問題は、この医療団の施設の転換の概況を承わりまして、それからそれに関迎して国民保険の直営診療所の経営状況と言いますか、状況はどういうふうであるか、或いは又診療所を持つている国保組合と言いますか、保険者と、持つていない組合の経済関係等はどういうものであるか、こういう問題について第一に伺い、第二は、健康保険関係の職員の身分、待遇、こういう問題について承わりたいと思います。  先ず第一に、この医療団の施設は大体転換を了したことと思うのでありまするが、それが全国的に県立或いは町村立或いはその他の公営、どういうことになつておりまするか、極く大ざつぱでいいから伺いたいと思います。
  21. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) 日本医療団の解散後の処理状況を概略申上げます。本年の一月末日現在における状況を申上げることにいたします。医療団解散のときにございました医療施設は病院が百八十ケ所、診療所が二百十八ヶ所、結核療養所が九十七ヶ所ございまして、合計五百五の施設を持つておつたのでございますが、本年の一月。末日までに国営に移管をいたしましたものが、病院一ケ所、結核療養所九十二ヶ所、合計九十三ケ所になつております。それから都道府県に移管をいたしましたものは、病院が六十八ヶ所、診療所が百三十ケ所、結核療養所が一ケ所「合計百九十九ケ所に相成つております。市町村に移管をいたしましたものは病院が三十」ケ所、診療所が二十八ケ所、合計五十九ケ所でございます。それから国民健康保険組合に移管をいたしましたものは、病院が四ヶ所、診療所が十九ケ所、合計三十三ケ所に相成つております。個人に移管をいたしましたものは病院が二十四ケ所だけでございます。その他の団体、例えば公益法人、或いはその他の団体でございますが、病院が二五ケ所、診療所が十七ケ所、合計四十二ケ所に相成つております。尚、解散後周囲の実情から廃止をいたしましたものが、病院十二ヶ所、診療所三十四ケ所、結核療養所四ヶ所でございまして、合計五十ヶ所廃止に相成つておりますので、従つて現在、一月末日現在におきまして処理の済んでおりませんものは、病院十五ケ所だけに相成つております次第であ力ます。この病院のうち一部は連合軍に接取せられております施設もございまするし、又他のものは大体の見当は付きながらも、いろいろ相手方との折衝のために行く先が確定しないというようなことでございます。見当の付いだ程度で申上げますれば、殆んど十五ヶ所のうち、もう十二、三は大体の見当は付いておると申上げてよろしいと思います。但しちよつと附加えを申し上げたいのでございますが、これは医療団の施設は経営を移管をしております実情でございまして、例えば国に参ります結核療養所につきましては、今日まだ正式に買収に相成つておりません。国は無償借上の形式でやつております実情であります。その他一応移管をいたしまして、所有権は移つておりますけれども、代金の方の決済が今日殆んど大部分済んでおらない実情であります。従つて医療団の精算の結了は、こういつた施設の移管の実情にも拘わらず、まだ今後若干の日時を要するのではないかと思います。
  22. 石原幹市郎

    ○石原幹市郎君 大体移管の状況はよく分つたのであります。実は私は国民健康保険事業というものは、この直営診療所を持つた方がいいという。まあ昔からそういう考えを持つておつたのでありまするが、この医療団の施設の転換などに当りましても、むしろ希望するとこるには、できるだけこれを国民健康保険の方の診療機関等に移した方がいいのじやないかという気持を持つておつたわけであります。実は私前に関係しておりました県の状況等を申上げまするというと、国民保険の方へ希望しておるところも相当あるのでありますが、現実は一応全部県立ということになつておるのでありまして、只今の結果を承わりましても、都府県の方へ移管されたものが非常な大きな数字になつておる。それでこれはまあ私の邪推かも知れませんが、厚生省の方の指導方針がどうもやはり一応この公立病院と言いますか、そういう方への転換を強力に指導されて、国民保険への移管等を余り快よしとされないような指導方針があるのじやないかと、こういうふうに、まあこれは邪推かも知れませんが、思われるのでありますが、そういうことはあるのかないのか一応この機会にお伺いしたいと思います。
  23. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) 日本医療団の医療施設の処理につきましては、同団の解散に先立ちまして、法律に決定の際の閣議決定及びその閣議決定に基きます日本医療団一般医療施設処理要綱というものが医療制度審議会において決定され、答申をせられまして、この二つを総合して申上げますると、結核施設は只今実際やつておりますように、国に移管をして、国営で経常をして行くというような建前でございます。その他の一般医療施設にきましては、当時医療制度審議会というものを設けまして審議をいたしました結果、その審議会からの答申がございましたので、私共はこの答申に基きまして、医療団の施設の処理をいたしておるのであります。これによりますると、大体原則的には各都道府県及び大都市で日本医療団の医療施設を承継経営する意思があり、且つその能力を有すると認められたものに対し移管する。右により処理し得ない施設は丁国家財政の許す限り国において承継経営するというようなことが大原則に定められたのであります。その意向によつても処理できない場合に、他の経営主体に移管をするということが審議会の答申にはつきり書いてございますので私共といたしましては、この審議会の答申を尊重してやつておりました次第であります。従つてこの答申そのものから申しますれば、国保組合は第三段階というようなことになつてしまいますので、従つて移管をせられたものが比較的数が少くなつて来ますので、さような実情でございまして、別段私共といたしましては、この処理方針に従つておるというだけのものでありまして、国保組合に移すことを忌避するというような気持ではないのであります。
  24. 石原幹市郎

    ○石原幹市郎君 それでは医療制度審議会の答申と言いますか、方針によつて、第一、第二段には国とか、府県、そこらでやれないものがということになつた場合に、初めて国保その他へ行くと、こういうふうに了解していいわけですか。
  25. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) さようでございます。
  26. 石原幹市郎

    ○石原幹市郎君 医療制度審議会には保険局長はずつと出ておられると思うのでありますが、保險局長はそういう方針というか、考え方に対してどういう考えを持つておられますか。
  27. 安田巖

    政府委員(安田巖君) 私共国民保険だけの立場から言いましたならば、国民保険で、具体的に病院がございまして、その病院で国民保険の方にして貰いたいという希望があるならば、そうさしたいのでありますが、厚生省としての全般の医療行政の立場から見て行きたいと考えておる次第であります。
  28. 石原幹市郎

    ○石原幹市郎君 それじやまあその程度にそこの問題は打切りまして、次に、国民健康保険が持つております直営診療所の経営状況と言いますか、非常にそれがうまく行つておるか、或いはうまく行つていないか、そういうことについて極く概況と言いますか、大雑把でよろしうございますから、お願いします。
  29. 安田巖

    政府委員(安田巖君) 私詳しい数字を覚えておりませんで恐縮でございますが、大体直営診療所が二千余りだと思つておりますが、概括的に言いますならば、大体いい成績を挙げておるのではないかと思います。ただ山の中あたりで無医村であるために直営診療所を作つたようなところも相当ございますので、そういうところで医者が得難いというような実情で、事実上建ててあるけれども医者がないというところもございます。概して言え会うまく行つているのではないか。保険経済の上にも非常に役立つておるような実情でございます。
  30. 石原幹市郎

    ○石原幹市郎君 今のお答えで分つたんでありますが、尚この詳しいことが分らなければ、次の機会でもいいのでありますが、直営診療所を持つておる組合と、診療機関の何にもない組合との組合経済の状況と言いますか、保険者の運営状況、診療所がある方がいいのか、よくやつているのか、その県によつていろいろ違いもあると思いますが、概括的に見てどういうふうに見ておられますか。
  31. 安田巖

    政府委員(安田巖君) これは石原委員の御承知のように、各市町村村でいろんな條件が全部違いますので、どれとどれをとつて比較するかというようなことは、いろいろ問題がございまして、はつきり申上げられませんと思います。まあ併し概括的に言えば安く上つて、そうして相当な成績を挙げておるということが言えるのじやないかと思います。併しながら又ところによりましては開業医の方が非常に献身的に御協力下すつて、よい成績を挙げているところもある、まあこういうことだろうと思います。
  32. 石原幹市郎

    ○石原幹市郎君 先程の御答弁で直営診療所のうまく行つているところ、うまく行つていないところ、まあ極めて大雑把なお話があつたのでありますが、うまく行つていないところの事由としは、まあ山の中に診療所があつて医者が得られない。そういうお話であつたのですが、大体そういことでしようか。外にも相当條件がいいところにある診療所などで、どうもうまく行かないところが相当あるようでありますが、現に私が前におりました県などでも、直営診療所が六十くらいありますが、うまく行つているのは二十八くらいで、あとはうまく行つていない。こういうまあ全国的にもそういうところがあるのじやないかと思いますが、そういうことについてのお考えを……
  33. 安田巖

    政府委員(安田巖君) 患者がお医者さんに見て貰いますときは、何と申しましてもお医者さんの人格なり、技術なりというものが、これは主になりますので、折角診療所ができて場所もいいけれども、お医者様が悪いというような場合もございます。私共見て廻りました中でも、お医者様の技術が下手で余り熱心でない、不親切だというようなことで、折角そこにありながら、外の方へどんどん見て貰い行く。そのために却つて保險経済に悪い影響を與えているというようなところも二、三承知いたしておりますけれども、極めて概括的にお話が先程申上げたようなことであります。
  34. 石原幹市郎

    ○石原幹市郎君 つまり私がこういうことを聞いて見たかつたのは、御承知のように国民健康保險事業というようなものが最近非常な苦況に陷つて、まあどうやら景気を取返すというような方向へ漸く向直つて来たというようなふうに問いおるのでありますが、私はこの事業は今後どうしても厚生省として澤身の努力を拂つて頂いてこれを持直す、殊に今後社会保障制度などの一つのやはり中核になつて行くのじやないかという感じを持つておるので、これをこの際運営をし直して行くには、これはいろいろ異論もあると思いまするし、今後も大いに皆様方と御討議もし一検討もして貰わなければならないと思いますが、私の気持としてに直営診療機関を持つと同時に、保健施設、保健婦の施設などを、殊に農村等において大いに充実してやつて貰いたい。こういう気持を持つておるのでありますが、そういうことと関連して、直営診療機関を持つても、最初診療所を設置するときに何か若干の補助が出ているようでありまするが、あとの運営について、これは直営診療所だけに補助するということはこれはできないと思いまするが、まあ医療給付全体についての補助ということを考え併せにやなんと思いますが、少しくこれを助けてやつたならば、非常にその診療機関もうま、行くし、組合の経済という亡とも、組合が非常に仕事が伸びて来るのじやないかという、まあ感じを持つておるのであります。地方の実情、県によつて或いは異なるとこるもあるかも知れませんが、直営診療機関を持ちたいという希望を非常に持つているところが多いので、少しくこれを育成して貰つたならば保險事業を伸ばす上においても非常に好都合じやないか、こういう希望を持つているところが多いのです。今後も私はもう少しこの問題を研究さして貰いたいと思いますが、そういう考え方にいて一応当局の御意見を承わりたいと思います。
  35. 安田巖

    政府委員(安田巖君) 大体において私石原委員のお考えに同感でございまして、今後もいろいろご研究の結果御指導願いたいと思うのでありますが、直営診療所の現在の補助率が大体三分の一でございます。それで予算額が二億五千万円でございますから、大体七億五千万円にそれが使われるわけでございます。併しまあ補助を申請して来たものに比べます乞いうと、大体三分の一くらいのが予算しかない。つまり予算に比して三倍くらいの今のところ申込があるというような状況でございますので、できればそういう点ももう少し殖やして行き、又補助率もせめて二分の一くらいにしたい、こういう気持でおります。併しまあ一旦できましてから、これを又経常費に補助を與えるということは、私はそれでやれないというものは何をやつてもうまく行かぬので、これも自力で一つやらなければいかんというふうに考えております。
  36. 石原幹市郎

    ○石原幹市郎君 私もできたあとの経常費に補助するということは、これは実際問題としてそういうことは非常に困難であり、そういうことをやつて行けば限度がありませんから、それはいいと思うのでありますが、作りたいというものに対しての補助率、最初の補助率をもう少し沢山出してやるということと、それから希望する者に対して三分の一程度の割当しかないということでは、これはこの事業を伸ばして行く上において非常に差障り、大きな支障であると思うのでありまして、こういう点については更に一段の御研究を願いたい。  次に、今度は健康保険職員の身分について一言御意見を承わりたいと思うのであります。御承知のように健康保険の地方の職員は、確か国家公務員になつております。地方庁の事務職員は地方公務員であるのであります。地方公務員と国家公務員が、殊に保健課等においては同じ部屋で心殊に国民健康保險関係の職員はこれは地方公務員になつております。それでこれは俸給にも相当開きがあつて、それから旅費等においても、これは県によつて違いなどあると思うのでありますが、非常な開きがあるのでありまして、これは健康保險の職員は年額これは少し少いと思いますが、八千七百円程度、地方の方の辿中は三万円前後になつ、ておる。それから超過勤務の手当等でも、健康保險の方は千二、三百円、それから国民保険と言いますか、地方公務員の方は三千四、五百円という非常に開きがあるので、健康保險関係の職員もそういうことから快上としない。近く請願もしたいというようなことを言つておりますが、現に庁内においていろいろ人事の交流をやろうというような場合におきましても、地方公務員から健康保險の方へ廻すということになると、俸給を少し下げなければならない、こういうふうな状況にあるのであります。まあこれは少し語呂が悪いかも知れませんが、優秀な人間を健康保險の方へ持つて行きたいと思つても、それに非常な差障りがある。こういうことになる。それからついででありますが、これは健康保險に限らず、厚生省、労働省関係仕事にはどうも地方公務員、国家公務員の関係で、地方庁の中には幹部の方が一向人事に関係することができないという職員が非常に多いのでありまして、これはむしろ私は大臣がおられたら聞いて貰いたいと思うのでありまして、行政の一体化等について非常な支障がある。これは又今後もこういう問題について論議して行きたいと思うのであります。少くとも健康保險の職員について、これを地方公務員に身分を変える意思があるかないか、又変えることができない場合には、どうしてできないのか、そういうことについて伺いたい。
  37. 安田巖

    政府委員(安田巖君) 府県の保險行政に携わつておりまする職員は、国民保険を除きましては大体国費の官吏になつてお力ますが、国の官吏が地方庁の組織のうちに入つて、而も地方長官の指揮監督を受ける、これは全く変態の状況だろうと思います。これは何とか直さなければいかんと思いますが、御承知のようにやはり現在の保險の組織でありますとか、運営とかの問題に、これは面接触れて来る問題でありますので、まあ私の方といたしましては、できれば社会保障制度審議会におきまして、そういう問題も根本的に論議を重ねられておるようでありますから、その結果を俟つてつて見たい、こういう気持でおります。今お説のよ汚に、地方庁の職員として一番府県吏員に変りたいということの大きな原因は、石原委員のおつしやつたように、地方行政の一体化というようなこともございますけれども、待遇が非常に違うという点がこれが一番大きな原因だと思います。これは逆に言いますと、国費の待遇が多ければ国費にいたして呉れという議論じやないかというような気がいたすのでありますが、今のやり方で行きますと、仮にこれを地方庁に移すといたしますと、地方庁でこの職員の費用を出すというわけにいかんと思います。そういたしますと、結局全額国費で持つたところの地方庁の職員ということでありまして、最近の地方、中央の仕事の分野及びそれの財政負担の限界をはつきりさせるという方向から行きますと、逆行するようなことになり、又これを地方庁で持つということは、これは誠に妙な話であります。国でやつておる仕事、健康保險なら健康保險の仕事で、その保險料からそういつた費用を出しておるのに、それを府県がお持ちになることも、これ又筋の通らぬ話で、そういうような理窟もございますし、それから保險の仕事でございますから、これは本店と支店のような関係になつておる。そういうような実際上の理由、それからまた先程お話がありましたように、労働省その他における問題も依然として残つておる。最近においては出先機関の整理の問題がまだ片付いていない。一応地方公務員の行政問題としても、まだそこまで行つていない実情なのであります。もう少し待つて貰いたいという考えでおるわけであります。
  38. 石原幹市郎

    ○石原幹市郎君 まあ研究すればする程いろいろ困難な問題、困難な事情があるのではないかと、それは想像できるのでありますが、殊にその保險関係については、健康保險或いは国民保險職員は同じ部屋におつて、そこに非常なまあ待遇の相違がある。局長は逆に国の方がよければ国費になりたいのじやないかとおつしやつたのですが、或いはそういうことを希望するかも知れませんが、同じ屋根の下におつてどうも待遇がいろいろ違う。殊に先程申上げたこの数字、これは一応お調べ願いたいと思うのでありますが、旅費であるとか、或いは超過勤務手当等においても非常に大きな、少し極端に大き過ぎるじやないかと思うような相違があるのでありまして、こういうことがあるというと、結局人情として、これは力を入れてその仕事に専念するということがやはりできないのじやないか。社会保障制度であるとか、社会保障であるとか、いろいろ政府はこういう事業に対して非常に熱心に本腰を入れる態勢を示されておるのでありますが、末端の職員が気持よく働かぬといことでありましたならば、如何に制度の形ができましても、結局実が挙らぬだろうと、こういうことになると思うのでありまして、これは一つ社会保障制度審議会等において徹底的にこの問題を、やはり社会保險の統合とかいろいろな問題がありまするが、関連してこういう問題についても御研究を願いたいということを要望いたして置きます。
  39. 中平常太郎

    ○中平常太郎君 いま一つ関連問題ですが、ちよつと局長にお伺いしたい。お済みになりましたら……
  40. 石原幹市郎

    ○石原幹市郎君 もう一つ。社会局関係の人がお見えになつておりますか。お見えになつていなければ、関連のときに来て貰いまして、以上で……
  41. 中平常太郎

    ○中平常太郎君 只今石原委員の御質問なつたことに対して関連的に局長に一つお伺いしたいのですが、私共地方へ参りましても、今の問題は保險事務に携わつておる者からいつも聞かされる灘問題でありまして、国が全部負担しておるものを府県庁に何しておるという大変デリケートな問題があるのでありますが、実際的に非常に不利益なことがあるのは旅費関係であります。健康保險などの事業者側の保險料徴収の遅延をする、又滞納をするという今日の場合におきまして、殊に中小企業が大変難儀をしておる時代でありますから、それらの特質並びに標準報酬の調査、督促は、決して一回では現状は治まらない場合が多いのであります。さればといつて度々行けば、とても旅費が足りない。それで文書を以てやるぐらいでは相手が応じない。こういうことがいつもあつて、健康保險の滞納に拍車をかけるという点がある。それで旅費をもつと殖やして貰つて頻繁なる行動ができるようにして貰いたいという要求がどの府県の県担任者からもあるのであります。それと待遇問題は今石原委員からおつしやつた通りであります。大変不満があるのでありますが、これは非常に重大な問題であつて、容易に解決が付きにくいのであります。旅費問題は、これは保險局の保險運営の法律的な考え方から見ても、必要な程度の旅費の補給はなさる必要があると私は考えておりますが、これに対するお考えを局長にお伺いいたします。
  42. 安田巖

    政府委員(安田巖君) 府県の例よりか俸給や旅費その他の手当が少ないということで、これは全くその通りなんで、まあ逆に言いますというと、どうも国の官吏の方がいろいろな点で府県より安過ぎるので、もう少し上げて貰わないといけないのでありますが、そういうわけで、旅費なんかも私共の方の特別会計で自由になるようでございまして、やはり一々大蔵省の方と折衝しなければならないというような状況であります。そこで滞納のために旅費が要るということは私共も重々承知いたしておりますので、先般追加予算お願いいたしましたので、大体二千四百万円以上のものを旅費の追加予算といたしまして、これを府県に分けましたので、大体従前の額の二倍ぐらいになつたのじやないか……
  43. 中平常太郎

    ○中平常太郎君 二倍ぐらいにね。
  44. 安田巖

    政府委員(安田巖君) それでも或いは不足じやないかと思いますけれども、一応取敢えずの措置としてこれだけお答えして置きます。
  45. 中平常太郎

    ○中平常太郎君 今のお話で、二倍ですか、以前の旅費などからの二倍では、これは誠に少ないものでありまして、今日は交通費が高くなつておるのですから、殊に旅館に一度泊つたら千円ぐらいの金ではいられないというような今日の状態でありまして、前にお決めになつた時分の旅費というものは、二百、三百も四百程度の一日の旅館の費用しか見ていなかつたので、とても今日ニ倍では、前に旅行しておつた程の旋行もできないと思われるのであります。これはもう一つ保險行政の面から能率を上げるという考えから特に考慮を願つて、旅費の問題にはもつと自由活動ができるように、今二倍になさつたのでありますが、私はそれはその二倍になつたものの又その二倍がよいと思われる。つまり従前から見るならば五倍程度に上げて貰わなければいけないと思つておつたのでありますが、未だそういう保險行政の上に能率を上げるという上におきまして、もつとお上げになる意思はないか。
  46. 安田巖

    政府委員(安田巖君) 今のところ各府県中少し足りない程度か、或いはとんとんぐらいでやつておるようでございまして、もう少し又様子を見まして、お話の点は十分研究したいと思います。
  47. 石原幹市郎

    ○石原幹市郎君 私先程ちよつと数字を申上げたのですが、これはちよつと調べて貰いたいと思うのでありますが、福島県の状況から言うと、健康保險の職員は旅費一人当り年額八千七百円、国民健康保險関係の連中は、これは四万二千円と出ておるのですが、実費は三万円前後ではないかと思うのです。開きが非常に大きいのであります。八千七百円では、これは二、三回出れば一年間のものを使つてしまうことになるのであります。事実八手七百円でしまうか、どうなんでしようか。
  48. 安田巖

    政府委員(安田巖君) 今数字を持つておりませんので、あとで調べてお答えいたします。
  49. 塚本重藏

    ○委員長(塚本重藏君) この機会に私も伺つて置きますが、国民健康保險の財政問題ですが、昨日ちよつと聞いた話でも、長崎県下だけでも、国民健康保險の未拂金が六千万円あるということですが、全国的に見て国民健康保險の支拂状況はどういうふうになつておりますか。
  50. 安田巖

    政府委員(安田巖君) 国民健康保險の財政状況と言いますものは、これは先程もちよつと石原委員の御質問に対しでお答えしたのでありますが、各市町村いろいろ條件が違いまして、うまく行つておる所もあるし、悪い所もあるというような状況であります。ただ我々の方で数字を集めまして極めて総括的な、平面的な統計で申しますと、現在滞納が相当多うございまして、滞納がやはり一番大きな赤字の原因になつておるように承知いたしております。又受診率の多い工場もありますが、滞納を全部一〇〇%に取るならば、大体現在の予算額で申しますと一割程度の赤字になる。従いまして現在の保險料を一割程増額いたしまして、滞納を零とすれば丁度とんとんになる。そこで現在の保險料がどれくらいの割になつておるかと申しますと、大体一世帶当り千二百五十円か八十円でありまして、これは健康保險の方では一人当り大体四千三百円ぐらいの予算でありますので、それから比べますと、本人は全額であり、片方は五割負担でありますが、それにしても少し安過ぎるということになります。事業主の負担半分があるにしましても、健康保險の方は二千二百円ばかりで、家族数も大体三人から三人、国民健康保險の方は家族数五人で千二百円、ですからもう少し上げなければ、今のような医療を受けるまでの態勢にならない、こういう考えであります。そこで差当つて措置といたしまして、私共はただ取る方だけ一生懸命やつてもしようがない。取敢えず国民健康保險を税にしたらどうか、これは今までの市町村長の要望でもありますし、各国民健康保險組合の連合会における年来の主張なんであります。そこで国民健康保險税という新らしい税を起すという案を作つて、折角今までうまく行つておつたのでありますが、今日の新聞に出ておりましたが、引かかつて落ちておるような恰好でありまして、善後策を講じております。
  51. 塚本重藏

    ○委員長(塚本重藏君) そのことを実は併せて伺いたかつたのです。国民健康保險税が、厚生省としては大体国民健康保險の一部改正などいたして改正しようという交渉があつた。それから地方財政の方でも勿論問題が起つておるのであるが、どういうふうに進んでおりますか、伺いたいのであります。  それからもう一つは、差詰め一割ぐらいの赤字を補填するために保險料の値上という問題ですが、これはなかなか早急に行かない問題だと思つておりますが、もう年度末がすでに眼前に追つております。そこで国民健康保險は、この年度末をどう乗切るかということが各地方でも大きな問題だううと思うのですが、一部には何か政府の方で特別な金融の措置を講じて貰いたい、こういう要望があるようでありますが、何かお考えなり、対策を練つておられるのですか。
  52. 安田巖

    政府委員(安田巖君) 東北六県の方でそういう御要望があつたので、私共のいろいろ関係しております筋と折衝いたしておりまして、或いは短期債として、一時借入としてうまく行くのではないかというような程度の状況でございまして、ただ短期に借入れましても、これは市町村が返すことになりますと、結局保險料の値上というようなことになつて来るわけで、普通の市町村債に切替えられるというような場合が大部分じやないかという点をちよつと心配いたしております。
  53. 塚本重藏

    ○委員長(塚本重藏君) 他に御質問ありませんか……。それでは本日はこの程度で散会いたします。    午前十一時五十二分散会  出席者は左の通り。    委員長     塚本 重藏君    委員            中平常太郎君            姫井 伊介君            山下 義信君            石原幹市郎君            草葉 隆圓君            藤森 眞治君            井上なつゑ君   国務大臣    厚 生 大 臣 林  讓治君   政府委員    厚生事務官    (保險局長)  安田  巖君    厚生事務官   (医務局次長)  久下 勝次君    厚 生 抜 官    (公衆衛生局    長)      三木 行治君   説明員    文部事務官    (大学学術局抜    術教育課長)  腰原  仁君