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1950-02-03 第7回国会 参議院 厚生委員会 第7号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十五年二月三日(金曜日) 午前十時四十七分 ————————————— 本日の会議に付した
事件
○
派遣議員
の
報告
—————————————
塚本重藏
1
○
委員長
(
塚本重藏
君) それではこれより
委員会
を開会いたします。本日は去る一月八日から十六日まで
院議
を以ちまして
宗教団体
の
経営
する
社会事業
の
実情
及び
地方
における
共同募金処理
の
実情調査
のために
議員姫井伊介
君、
竹中七郎
君、
草葉隆圓
君の三君の実
価調査
をお願いいたした次第であります。観察されました各
委員
よりそれぞれ
調査
の結果の御
報告
を聽取したいと思います。先ず
共同募金
の
調査
につきまして
草葉隆圓
君から御
報告
願います。
草葉隆圓
2
○
草葉隆圓
君
院議
を以ちまして派遣されました
議員
は、只今の
委員長
のお話のように、
竹中七郎
君、
姫井伊介
君と私と三人でございますが、
事務局
から
木村専門員
、
政安調査員
及び
中原法制局
第一課長に同行して頂きまして、特に
地元議員
たる
山下義信
君、又
地元
の
関係者
の
皆さん
がこの
調査
に関しまして大変に熱心に
協力
して下さいました
関係
上、
調査
上多大の便宜を頂きまして、
調査
は一月九日と十日と僅か二日間ではありましたが、本
事件
の重要な
中心点
はこれを明確にいたし得たことを、これらの
関係者
の
皆さん
に
感謝
の意を表します。 第一に
調査
の
方法
といたしましては、先ず出張の前に
予備調査
をしまして、
予備調査
に当りましては厚生省なり、或いは
全国共同募金運動
に関します
企画調整
の
中央機関
である
財団法人中央共同募金委員会
につきまして、数回
調査
を行いまして各種の
資料
を整え、又十分なる一応の知識を得まして
現地
に
参つたの
であります。更に
大阪
、
京都
の
共同募金
の
状態
を
調査
いたしまして、いわゆる問題の
広島事件
に関します諸問題と比較参照する
機会
を得たのでありましてこの
調査
に当りまして
広島事件
の
重要点
を明確にいたしますと同時に、他面におきましては、今後におきます
共同募金運動
の適正な発展に関して、何らかの重要な
資料
になると存じておるのであります。 第二に
現地
におきます
調査
の
概要
は、先ず
広島県庁
の一室に
臨時調査室
を設けまして、この
事件
の
現地調査
に当りますと同時に、或いは
資料
の蒐集なり、又
関係
の方々について、いろいろな
角度
からの
意見
を聽取いたしたのであります。で、先ず
広島県知事
以下、
昭和
二十二年度、並びに二十三年度の
共同募金運動
の
幹部
でありました
人達
、併し現に
起訴
されて
收容
中の
人達
は別でありまするが、即ち
楠瀬広島県知事
、現在の
内田民生部長
、
小谷広島
県
共同幕命委員長
、即ち現在の
県会議長
、並びに
昭和
二十二年、二十三年の
受益団体
でありまする
人達
の中の主だ
つた代表者
といたしまして、六万
学園長
の
田中正雄
君、
同胞援護会
の
河野光治
君、
小林槌夫君
、
民生委員連盟
の
香川亀人君
、
日赤広島
県
支部
の
中本誠一
君、
岩淺憲一
君、
中野丈太郎
君、
社会事業協会
の
藤井五平
君、
広島母子寮長
の早速チヨノ君、
募金委員会事務局
の
藤澤温良
君、こういう
人達
につきまして各方面の
角度
からいろいろと証言を求めたのであります。又
広島地方検察庁
に参りまして、高検の
検事長
なり、
地検
の検事正なりの、いわゆる
幹部
検察官なり、又直接この
事件
を担当しております
地検
の
次席検事等
につきまして、
事件
の現場なり或いは
起訴
の
理由等
につきましての
調査
をいたしたのであります。この
起訴
の
内容
につきましては、すでにお手許に
資料
としてお配りしておりまするので、ここで申上げるのは省略いたします。ただ極く最近に至りまして、更にその外に、本年の一月二十日になりましてから柿島前
商工部長
が、この問題につきまして
起訴
された。更に最近
中国新聞
の
編集局長
の
蔭山稔
君、
日刊広島社長
の加藤可醉君、両人が強制収容されたということが
中央共同募金事務局
の
江川総務部長
のところに、
地元
の
委員会
の方から通報があ
つた
そうでございましてさように発展いたしておるようであります。この
起訴
の問題、いわゆる
刑事事件
、
検察方面
におきましては、これは私共は
調査
の主眼ではありませんので、これはいずれ
裁判確定
の上において明白になることと存じまして、私共はこの問題をいわゆる国政上、或いは
行政的立場
、そういう立場から
十分検討
して行きたいと存じまして、
中心
をそこに置いて
調査
をいたしたのであります。 それで第一に
事件
の発生しました
原因
について要因についてこれを見てみますると、
行政監督者
と
共同募金
の
事務執行者
とが
同一
人であり、これを兼務してお
つた
ということが
一つ
の重大なるポイントであると存じます。次には県の
民生関係
の
予算
の
執行者
、
共同募金
の
募金管理責任者
とがこれ又
同一
であ
つた
ということであります。次には県の
民生関係
の
予算
の施行されておりまするその
処置
の
状態
が、誠に不十分であ
つた
。そして
共同募金
から約三百九十万円そこそこの金を
県費
に流用しておる。被
つて
県費
なり、
共同募金
の
経理
というものが全く
混乱状態
にな
つて
おるという
状態
であります。そういう
状態
でありますので、二十三年度におきまして、その
関係責
かその後も決算ができませず、又専任の
共同募金
の
専務職員
を十分配置せずに、従来
通り
ずるずるべ
つた
りとして延ばしてお
つた状態
であります。
従つて共同募金運動
につきましての
中央委員会
なり、或いは厚生省の
方針
を実行することを先ず故意に怠
つた状態
でありまして更に
軍政当局
の好意ある指示もこれを無にしてお
つた状態
と見受けたのであります。又
中央
との
連絡
を殆んどと
つて
おらずに、
中央
に対する
報告
もその場その場の思い付きというような
状態
でありましたために、戦後誠に数字的にも
食違い
を生じておる。で先に申上げましたように、
県費
に流用しておりましたために、表面上
共同募金
の
繰越金
の形をとりまして、而もその
繰越金
の
相当額
を計上したことく装いながら段々引延ばしてお
つた
。で
共同募金
の
地区
に三分の一に当ります金を残す
方法
を行な
つて地元
の
協力
を得ることといたしておりましたが、この
方法
が又多くの
弊害
を生んでお
つた
。次には県の
当局者等
が、
共同募金配分委員長
である、先に申上げました
中国新聞
の
編集局
の局長の
蔭山某
などという人違と懇ろになりまして、
配分委員会
の名義でたびたび
会合
を開いてお
つた
ものでありますが、一方にはそれが
新聞社
の
幹部
と通じてお
つた
、
新聞社
の
幹部
であるという
安心感
を強くしてお
つた
ためでありましよう、相当専断的なことを続けられてお
つた
。又民生部長なり、厚生課長なり、部課の
関係者殆
んど一緒にこのような
不正行為
をや
つて
お
つた
。次には
共同募金
の
委員長
なり、
委員
に対しまして、
募金運動
の全体についての
報告
を殆んど全然しておらない。それでこれが督促を受けましても、徒らにこれが言を左右にして遷延せしめてお
つた
。又
広島
県の
共同募金運動
は外の
地方
と異なりまして、
運動
の初めのとき、即ち二十二年度から
日赤
と
合同運動
をしてお
つたの
であります。そのため従来の
日赤
の
資金募集
の慣習でありました手数料なり、或いは
地元
還附金なり、そういう
制度
をそのまま慣用して旧来の悪習のまま
共同募金
を行な
つた
という
状態
であ
つた
。又金を集めまするのに
重点
を置き過ぎましたために、大口の
募金等
の場合におきましては、特にその例を多く見たのでありまするが、
運動費用等
に多くの金を消費したのであります。その他これに関するような正しくない
状態
が多く見られるのであります。又、いろいろな規約なり、或いは準則なりというような、県で取扱うべきその取扱の
方針
というものが、
中央
の基準がありますのに拘わらず、殆んどこれを用いずに、又
県自体
においても、
規定
らしい
規定
すら設けておらん。又
監査
の
方法
なり、この
募金
の全体に対しまする
組織
という点におきまして、誠に重大なる欠陷がある。これら以上の
諸点
を、
調査
によ
つて
大体明確にすることかできたのであります。そこでこれに対する
所見
を申上げますると、この調食の結果、以上のような事実に徴しまして、総合的にこれを結論して見ますれば、本件は先に申上げましたように、すでに
検察当局
の手によ
つて
、鋭意捜査中の
事件
でありまして、
起訴
の事実の
如何
は近く明瞭になることと存しまするが、
起訴状
に公示されておりまする犯罪の
内容
につきましては、これを暫く措くことにいたしまして、私共
調査班
といたしましては、少くとも本
調査
につきまして明らかになりました重要な点は、即ち第一には、
地方行政
と
共同募金運動
との
混同
という点であります。
混同
をしておる。第二は、
地方公務員
の最高の地位にある者が、この
共同募金運動
に関する非難すべき行動をなしておる。而もそれは一方におきましては、かような問題の起
つた
一つ
の
原因
は、
人事行政
の不十分であ
つた
という点も考えられるのではないか。第三には、
共同募金運動
の
組織
が不備であり、更に欠陥があるという点。第四には
日本赤十字社
の
運営
に関しまする諸問題についての不十分、
日本赤十字社
の本社なり、支社に対しまする問題、こういう以上の点につきましては、これは大体、
起訴状
の中に記されておるものでありまして、これは私共も、
起訴
の
内容
と
同一
なる
所見
を持
つたの
であります。こういう
事件
が司直の手によ
つて
摘発されまするまで、殆んど
共同募金委員会自体
は勿論、
行政部局
におきましても、殆んど何らこれに対する
処置
が講ぜられず、又事前の
予防的方法
が講ぜられずに、そのまま放置されて、そうして
事件
が突発をした。こういう
状態
でありますることは、誠にこれは遺憾に堪えないのであります。そして
事件
、いわゆる
共同募金広島事件
は、
共同募金運動
の根本となる
運動組織
、
募金管理
、
会計事務
、そういう点におきまして、甚だしく適正を欠いておりました。ところが先程申上げましたように、重大なる
原因
として指摘することができると存じますこれらの問題に関連いたしまして、今後の
共同募金運動
の進展上必要と考えまして、
大阪
なり、
京都なり
の両
地区
の
募金委員会
につきまして
現地調査
を行な
つたの
でありまするが、彼此れ参照いたしますると、大体次のような
諸点
がこの問題を契機として
十分考究
を要する問題であると存ずるのであります。
共同募金運動
の今後の
助長発展
に関しまするこの
広島事件
を
中心
とした問題からの
一つ
の考察といたしまして、第一に、
共同募金運動
については、今後全般的にこれを再検討して、
募金
の
方法
なり、管理なり、
配分
なり、
監査
なりの
方法
を十分講じて、更に
関係行政庁
において十分なる
監督
をなすべきことが必要でありまして、又この
広島事件
に徴しまして現在行われておりまする
府県
の
共同募金
について、一応十分な
調査
をして、本
事件
のようなことが再び起らないように
方法
を講ずる必要があるように思うのであります。第三は、
関係官庁
の
行政
上の
監督責任者
と、
民間運動
の
担当者
との
責任
の分野を明確にして、この美しい
民間運動
に対しまして、
官公吏
の支配を排除いたしまする
方法
を講じますることが最も必要である。これは多くは、これが講じられておるようでありますけれども、この点今後も十分考えるべきものである。第四は、
共同募金委員会
を
法人組織
といたしまして、民法なり、その他の法令による
責任
を明確にする
方法
を講じて置く必要があります。第五には、
民間社会事業
は、政治、
教育同様国民
に取りまして強い
支持
を得なければ発展しないものでありまして、これを左右いたしまする
共同募金委員会
の
組織
は、いわゆる
国民
の
代表
を以て本当の
意味
の
国民
の
代表
を以て民主的に
組織
すべきものでありまして、ややともしますと、近来形式的な
民間代表
の弊に陷り易い傾向にある点を、この
機会
に大いに再検討すべきではないかと考えるのであります。第六には、
募金
の、先程申上げましたように管理なり、
配分
なり、
監査
につきましては、
寄附者
であります
国民
が、誰でも直ぐ納得のできる
運営機構
であり、その
内容
については十分了解され得る
方法
を取られておらなければならない。ややともいたしますると、自分の金であるかのごとき錯覚を起し易い
状態
にな
つて
おるのではないか。これはむしろ立派なる
寄附者
のいわゆる信託の
委任行為
、これをや
つて
おるという道徳的な考え方を
事務
をなしておる
委員会
なり、
関係者
が十分持つような
方法
を取らるべきではないか。第七には、
地域社会事業
の
年次計画
を十分確立させまして、
受益団体
の
整理統合
を行な
つて
、適切効果的な
配分
を行い得るような
処置
を講じなければならないと存じます。第八には、
共同募金委員会
は、
社会事業界
の
代表
の
意見
を十分尊重する
処置
を講じなければならない。現在は殆んどこれは取られておらずに、一方的な
処置
であ
つて受益団体
は殆んどこれには嘴を入れると申しまするか、
協力
すると申しまするか、そういう
方法
が取られておらない
弊害
がありはしないか。第九には、
募金委員会
は、ややともいたしますると、
社会事業
に対するボス的な存在となる虞れがあると存じます。即ち
社会事業関係者
は、先にも申上げましたが、
委員会
のこの問題に殆んど
関係
をしておりません。
従つて配分等
の場合には
委員会
の鼻息を
窺つて支援
の濃淡によりまして
事業経営
の難易を来たすという
状態
に陷り易い
弊害
がありまするので、この点を十分除去し得る
方法
を講じなければならないと存じます。第十には
事務局
の
整備充実
を実行する
方法
を講じなければならない。
最後
には
共同募金運動
は
全国運動
でありまするから、その
方針
なり企画、宣伝、
啓発等
は整然と歩調を一にしていたしますることが必要でありまする点に鑑みまして、民主的に
組織
されました
中央共同募金委員会
に、その
責任
を果たさせるために指導、
監督
の
責任
を持たしめる
方法
をもつと強くいたすべきものではないか。ただ現在の
中央委員会
というものは単なる一種の
事務的連絡機関
に陷り易くな
つて
いる嫌いがありますので、もつと各
府県
の
内容
に対しまする
指導監督
というものを、現実的にいたすべき
方法
を取らるべきではないか、かように考えるのであります。 次にこの
赤十字社
の
事業資金募集
と、
共同募金運動
に関しまする
広島事件
を
中心
にした問題からの当面の
調査団
の
所見
を申上げたいと存じます。 第一には
日赤
の
募金
と
共同募金
の
組織
、
運動
につきましては、
募金
の性質が或る
意味
におきまして全然異な
つて
おりまするから、両者は明確に区分をしで、これを
混同
せしめないようにすべきではないか。 第二は私共の
調査
いたしました事実に照らしまして、
日赤
の機構なりその
経理
につきまして、この
機会
に
調査
及び検討が加えられるる必要があると存ずるのであります。それと共に
関係官庁
におきまして、この
日赤
に対しまする
監督
を嚴重になすべきものではないか。 第三に
日赤
の
募金
は、
募金
の
使途内容
の公表なりし周知をなさしめることが不十分であろうと存じます。いわゆる徹底をなされておらない、
従つて
この
機会
に十分これを徹底せしめて
国民
の疑惑を除き、その
支持
を受ける
方法
を取るべきではないか。 第四には
日赤
の
募金
は、
日赤自体
の
事業資金
のみの
募金
でありまするのに鑑みまして政府なり或いは
公共機関
がこれに公的に支援する、援助をするというがごときは、これは嚴に慎むべきではないか。 第五に
社団法人
でありまする
日赤
の
事業資金
の募集は、その
本質
に鑑みまして社員の会費によ
つて
支持
さるべきことが
本質
であります。これを
共同募金
と共に
一般公募
の
方法
を取るということは、
本質
に戻るものではないか。 第六には現在の
日赤
の
募金
の目的は、
重点
をむしろ
災害救助法
による
特定法人
としての
責任
の遂付上、必要なる
資金
を主としておるべきものでありますに拘わらず、今回の
調査
によりますと、事実は
共同募金配分金
の約数十%が
人件費
なり、
本社納付金
に充当され、そうして一般に公表されておりまする公表の事実と相当の相違があるのでありまして、
従つて
この際この点を
十分検討
いたしますると同時に、速かに
日赤
の
再建運営
の
方法
を講ずべき必要がありはしないか。 第七に更に具体的にこれを申上げますと、現
在日赤
の各県の
支部
は、
募金
の五十%を県に、二五%を
地元
に、二五%を本社に
上納金
として
配分
しておりまするが、この
制度
についても具体的に
十分検討
を要するごとと存じます。
最後
に
日赤
は現在尚旧来そのままに
知事
、副
知事
を
支部長
、副
支部長
に委嘱しておりまするが、この
民間社会事業団体
としての
本質
を発揮しますために、外の各
民間団体
と同様にこの
方針
を速かに改めまして、直ちに
民主的組織
に改編される必要がありはしないか。以上が
日赤
に対する
所感
であります。 以上全体といたしまして本
調査報告
の
概要
を申上げたのでありまするが、私共は
民間社会事業唯一
の再建ともいうべきこの
共同募金
の美しい
国民運動
が、適正且つ明朗に進展いたしまするより、その
方法
、
組織
、
監督
、すべての点から
国民
全部の
協力
を得ましてますます発展するようにいたすべきであるということを、衷心より期待しておる次第でございます。 以上御
報告
といたします。
塚本重藏
3
○
委員長
(
塚本重藏
君) 次に
竹中七郎
君から
宗教団体
の
経営
する
社会事業
の
実情調査
の結果の御
報告
をお願いいたします。
竹中七郎
4
○
竹中七郎
君 私は
宗教団体関係
の
社会事業
に関する
調査
の
報告
をいたしたいと思います。 我々
調査
一行は
広島
の
日程
を終りましてから、予定の
通り
一月十二日より十四日に至りますまでの間を
大阪
、
京都地方
の
日程
に入りました。この両
地方
の
日程
中には、特に
塚本
、藤森、
山下
三
委員
もそれぞれ参加せられまして、本
調査
に御
協力
願いましたことに対しては厚く
感謝
を申上げる次第であります。
大阪
、
京都
の両市の
調査
の
目標
は、
一つ
は
共同募金
に関する
地方状況
と、
一つ
は
宗教団体
の
社会事案
に関する
状況
の
調査
でありまして、その中の
共同募金
問題につきましては、
只今草葉委員
から一括御
報告
になりましたから、私は専ら
宗教団体
の
社会事業
に関しまする問題につきまして、
概要
御
報告
をいたしたいと思います。
一つ
は本
調査
の
対象
といたしまして、本
調査
の
目標
はすでに明らかであります
通り
、
我が国
の
社会事業
中におきまして、その七割までが
民間社会事業
でありまして、而もその大多数が
宗教関係
の
経営
の
社会事業
であるという事実に基きまして、これが適正な振興を促進する必要から、その
素材観察
のために
現地
の
査察
をするという、極めて広い奥行きを持
つて
おるのであります。ただ何分にも短い期間でありまして、そうして局限された
地方
という
條件
がありますので、本
調査
はなかぐ困難であ
つたの
であります。併し幸いにも
大阪
は
商工業
を
中心
といたしまする比較的
代表的近代経済都市
でありまして而も
戦災
の
復興
と
件つて
、
民間
の
社会事業
におきましても目覚ましい
復興振り
を示しておりますのみならず、各
宗教団体
におきますそれぞれの特色である
社会事業
が、自由活溌にその美しい競争を見せている
地方
でありまして、比較
視察
するためには最も好都合の
地方
であるというので、ここでは主といたしまして各
宗教社会事業
の
施設
につきまして
査察
することといたしました。今回
視察
いたしましたのは次の五ケ所でありまして、更に
施設関係代表者
の
会合
に当りましては
座談会
を催しまして、この間
種々査察
に努めたのでございます。その
視察個所
を申上げますと一、
仏教台宗大本山四天王守経営
の
財団法人四天王寺病院
、これは
医療
ど
助産施設
であります。ニ、
キリスト教聖公会派信徒奉仕財団法人博愛社
、これは
養護施設
であります。三は
仏教浄土宗正念浄住職奉仕財団法人四恩学園
、
養護
、
乳児保護施設
であります。次は四といたしまして
天理教大阪教区経営天理教大阪助産所
、これは
助産施設
であります。五は
キリスト教フランス
・
カトリック派愛徳童貞会経営聖心隣保館
、その中におきましては
養護
、
母子保護
、
乳児医療保護
、
隣保事業
、これだけであります。次に又
京都
では御承知の
通り仏教大本山
が非常に集ま
つて
いるところの
代表的地方
でありまして、且つ
戦災
を免れているので、ここでは主といたしまして
仏教
の各
宗大本山
と
社会事業
の
関係
も
査察
すると共に、この
大本山
の
燈台下
におきまするいわゆる
仏教社会事業
が、
如何
に
運営
されているかという点と、
如何
にしてその
地方
におきまする
公共
の
社会事業施設
については、どんな
状況
にあるかという点を明らかにいたしたいと考えまして、その
施設
を観察しまして、更に
大本山関係代表者
との
座談会
に臨席いたしまして、
仏教社会事業
の促進について
種々意見
の交換を行な
つたの
であります。今回
視察
いたしました
施設
は、イといたしまして
府立賀茂川母子寮
、これは
母子
だけの寮であります。口、
府立洛北寮
、これは
浮浪者
、
養老保護施設
であります。ハ、
府委託東本願詳派住宅紫草園
、これは
婦人保護
であります。二、
府立京都寮
、これは
盲人授職
の寮であります。ホ、
浄土宗住職経営
大
照学園
、
盲聾唖兇養護
でありますペ、
浄土宗総本山知恩院後援財団法人平安養育院
、これは
養護
、ト、
京都仏教和敬会経営財団法人同和園
、
養老保護
であります。チといたしまして
市立指月寮
、これは
乳児院
、
乳児養護
、第三といたしまして
調査
の結果につきましては何分
調査目標
は広汎であり、而も数多い
施設
のうち僅か数ヶ所の
視察
を以てしてはこれを明らかにし得ないことは勿論でありますが、ここでは観察したままの極めて大まかな問題につきまして、若干の
所感
を交えて申上げたいと存じます。先ず第二に、
宗教団体
の
社会事業
として現在現われておる
状態
はどうであろうかという問題についてであります。この点については
大阪
の事例では、
大阪
におきまする
宗教法人
の
経営
する
事業施設会計
四十三ヶ所の内におきまして、
大阪市内
におきましては二十三ケ所、
隣接
十都
市内
におきまして十、
郡部
におきまして十、計四十三となるのであります。
我が国社会事業分布
の
状態
そのまま、即ち
都市集中
の現象を呈し、
郡部
乃至農山村
地方社会福祉
は明らかに等閑視され来
つた沿革
そのままに現われております。そしてその
郡部
十ヶ所は最も
仏教
の
寺院
偉そのまま利用しておるものであ
つて
、六ケ所は
農村保育所
であり、他の、四ヶ所は概ね
大阪市民社会
に胚胎する事象に基く
收容施設
で、即ち
少年教護
又は
養護施設
として
公共
の
委託事業
であります。更に又
宗団別
の特質を見まするというと、
仏教系
が二十五で、内
保育所
のみのものは十四、
キリスト教系
のものが十四でありまして、内
保育所
のみのものが三、
天理教系
のものが二でありまして、内
保育所
のみのものが
一つ
、
助産所
のみのものが
一つ
、
神道系
のものが一でありまして、
委託少年教護
をしております。
金光教系
のものは
一つ
、これは
診療所
で計四十三となるのでありまして、即ち
施設
の数から見ますると
仏教系統
が第一位にありまするが、併し
施設
の
事業種類
から観察いたしますると、村落における
寺院建設物事
を殆んどそのまま利用できる便利があ
つて
、而も
社会事業特有
の困難な
ケース
・
ワーク
のごときは、殆んど必要としないで済むところの
晝間保育所施設
が全数の半分を占めておるのであります。それで他の半分即ち例えば
収容施設
乃至は
事業対象者
の
ケース
・
ワーク
或いは
地域集団等
のグループ・
ワーク等
のごとく比較的
社会事業
中の
特別技術
を必要とし、これがための
特別施設
を要する
事業
について数えますと、
仏教系
と
キリスト教系
では全く同数の
施設
が
大阪
市又は
隣接都市
に期せずして集中されておるのであります。この
状況
だけによ
つて
見ますると、
仏耶両宗教
の
我が国
における
沿革
並びに
国民生活
べの
浸透状況
に照らし、
社会事業界
における
事業活動
においては、
仏教関係
よりも
キリスト教関係
の方が勝
つて
おると感ぜられました。尤もこれは今回の
調査
によ
つて
のことではありますが、この趨勢は恐らく全国的にも当嵌まるものではあるまいかと思われます。 第二点として、各
宗団
の
大本山
又は総本部と、その
宗団系統
の
社会事業施設
の
関係
はどうな
つて
おるかという点でありますが、この問題につきましては
一般
的には各
宗団
とも、その
宗団
の
大本山
と
社会事業活動
とは何ら
組織
上の
関係
を持
つて
いないことが明らかに判明しました。但し或る
宗団
におきましてはその
宗団
の
教役者
は、努めて
社会事業活動
を伴うべきことを必須の
慣行事項
として今日に至
つて
おるものがあります。そしてこれらの
宗団
におきましてはその
社会事業活動
のための
人件費
は、すべて
宗団
がこれを賄うわけであります。
従つて社会事業活動
とその
教役者
の
宗教生活
とは不可分のものとして精根を傾けて事に当
つて
おる
状態
であります。その例といたしましては
キリスト教
におきましては
カトリック宗
が即ちこれでありまして、又
救世軍
がこの類であります。
仏教
においては
四天王寺
の
経営
する
事業施設
との
関係
にのみこの類を見るのでありまするが、特にカトリック教団の
社会事業活動
は、いわゆるカトリック・チャリティーといたしまして、各国の文化都市にも、又未開発の地に幾多の業績を示しておることは、古来周知の事例でありますが、詳細はここでは省略いたしたいと思います。尚近来天理教及び金光教の各
宗団
が
医療
助産等の
社会事業
に、又或いは神道
宗団
が教護
事業
に着手したことは刮目すべきことでありますが、これは今後の事績を待
つて
改めて観察したいと存じます。 第三点といたしまして、然らば現在の
宗団
社会事業
の実態はどうであるかということと、その振興に関する問題の点であります。前に述べました
諸点
によ
つて
明らかであります
通り
、
カトリック宗
団におきまする宗教的奉仕の国際活動によりまするものを除きましては、いわゆる
宗団
社会事業
は、その
宗団
の
責任
経営
にかかるものは
一つ
もないのが実態でありますけれども、即ち
仏教
におきましては、
大阪
の
四天王寺
の例を除いては、概ね一ケ寺の住職中、特に熱心なる個人がその
事業
に当
つて
おり、又
キリスト教
におきましては、牧師その他の
教役者
は、むしろこの
事業
に遠ざか
つて
おりまして、信徒の中熱心なる者が、同志の
協力
を求めまして、殆んど献身的活動を続け、辛うじて今日に及んでおるというような
状態
に過ぎないのであります。従いましてこの
事業施設
が
如何
に現在の業績を示しておるといたしましても、これは結局
事業
運営
の原動力とな
つて
おるところの、その
施設
の
責任
者でありまする
社会事業
家個人の能力だけに終りまして、或いは
社会事業
に世襲なしという言葉の通力、その本人の在任中だけの
社会事業
に終るという
弊害
があるのではないかと思うのであります。そうしてたとえ、その
経営
主体が、財団
法人組織
でありましても、財団の理事者必ずしも
社会事業
適任者ではないのであります。のみならず財源や維持
組織
等の実態から見まして、その
事業
の永遠性は望めないというような感じがするのであります。この点はもとより
我が国
の
民間社会事業
に共通する問題でありましようが、この際特に
宗教関係
社会事業
におきます著しい問題として鑑みられるのであります。又
地域社会事業
の進展を必要とする今後のわが国の社会に、福祉態勢を期待し得ない結果を招く危険が多分に感ぜられる次第でありまして、これは国政上から見ましても誠に放置できない
條件
と鑑みられるのであります。而してこの危険性は、
キリスト教
宗団
の
社会事業
におきましてよりも、むしろ
仏教
宗団
の
社会事業
においてより強く感じましたのでございます。前者は特に
社会事業活動
におきます強大な国際的背景を持
つて
おるのみでありませず、いわゆる宣教師活動が、その部面において活溌でありますが、
仏教
の
社会事業
におきましては、殆んどこれに比べまするところの力は持
つて
おらないような現状であるのであります。よ
つて
京都
におきましては、特に
仏教
各
大本山
社会部長、並びに
社会事業
、
関係者
諸君との
座談会
におきまして、これらの問題を
中心
といたしまして、
仏教社会事業
振興に関しまする
座談会
をいたしたのであります。
座談会
ば凡そ五時間に亘りまして種々の
意見
が交換されたのでありますが、各宗それぞれ
宗団
の事情を異にする点もありますけれども、我々の一行の積極的な
意見
、即ち
仏教社会事業
振興促進の結論にはもとより異論がありませず、むしろ積極的にこれが促進方の要望が盛んでありまして、遂に別項のような決議がなされまして、その適切なる実現方の熱心な要望を受けたのであります。決議文を朗読いたします。 決議
仏教社会事業
の振興を期することは平和日本建設の基本と思料せられるから本日会同した我等工同は「日本
仏教社会事業
連盟」(仮称)を結成して積極的に
仏教社会事業
の進展を図り以て文化日本の興隆に資せんことを期する。 尚之が具体的準備は参議院
関係者
によりて進められんことを望む。
昭和
二十五年一月十四日
仏教
社会事業関係者
懇談会 真宗大谷派本願寺藤津黎 真宗本願寺派條周存 浄土宗知恩院大河内貫靜 臨済宗大徳寺派野村円海 臨済宗南禪寺派鈴木以心 融通念仏宗木霊禪仙 真言宗御室派佐藤明義 浄土宗西山深草派板倉修峰 天台寺門派山本光照 日蓮宗毘尼薩台諒 西本願寺
母子
寮井上徹也 仏立宗積慶園古村正樹 知恩院平安養育院前田孝雄 相国寺和敬学園樋口圭一 東本願手紫草苑常盤隆澄 大覚守壽楽園鬼山弘憾 西本願寺社会部林龍雲 東本願書社会部月光恵雲 知恩院社会部泰隆慎 こういう決議文がなされたのであります。この決議文に明らかにしてあります
通り
、この日本
仏教社会事業
連盟の従来、促進の準備につきましては、参議院
関係者
によ
つて
進められたいと記してありまするが、当日の模様から見ましても、この
関係者
とは本
委員会
の諸君を指しておるものと解釈せられるのであります。願わくば厚生
委員会
諸君におかれましてもうこの間の事情を御洞察下さいまして、この決議の趣旨を採択されまして、速かに適切なる方途を講ぜられるようお願いする次第であります。以上は誠に概略でありまするが、これを以て
報告
といたします。 次に要望事項といたしまして、
大阪
の民生局から要請されたものを朗読いたして置きたいと思います。 要望事項、公益質屋について。 当
大阪
府下には二十一店舗の公益質屋が運転
資金
総額四千三百七十八万円をも
つて
運営
されております。一昨年頃よりのインフレもやや安定の域に達したように見えましたが、引続き発生した金詰りは、
国民生活
を窮迫のどん底に追込み、勢い公益質屋の利用者も急激に増加する結果となり、貸付
資金
の極端な不足を告ぐるに至りましたので、昨年度において政府より二百二十万円の貸付金と、更に本年度に八百七十万円の
地方
起債を得て辛ろうじて維持
運営
しておりまするが、尚
相当
な貸付不能者を出しておる
状況
に鑑み、
昭和
二十五年度には運転
資金
として三千百万円と、更に庶民金融の性質上、少数人店舗主義を排し、分散小店舗主義を理想として
地方
の要望に応へ、
大阪
市、豊中市、吹田市、枚方市外ニ町村六店舗の創設費及び運転
資金
総額一千九百万円の
地方
起債を申請準備中であります。由来当府は中小
商工業
を基盤として
発展
せる
地方
事情もあり、生活
資金
の貸出しと共に、生業
資金
の貸出しが中小企業に寄與して来
つた
ところ大なるものがあります。右事情御賢察の上、公益質屋の
資金
増額に格段の御配慮を強く要望する次第であります。 次は、消費生活協同組合について。 消費生活協同組合法は
昭和
二十三年十月一日から実施され、当
大阪
府においては、二十七組合、産業組合法による組合が七十冥計百十二組合の設立を見ており、この外に法人でない任意組合が少くとも百余あり、これらの組合員は十五万に達し家族を合せるときは約六十万の消費者がこの恩恵に浴しており、今後この組合は法の普及と相俊
つて
益々増加の傾向にあるのであります。然しながらこの有意義な組合も
一般
の業者と同様、
資金
の澗渇を来たし、組合存廃の岐路に立
つて
いる
状態
であります。これが打開と振興の方策は
資金
を優先的に注入するより外に途はないのであり、既存の金融機関よりの借入れについては極力努力し援助は続けているのでありますが、この成果は遺憾ながら甚だ微々たるものであります。一方組合内部の充実は
資金
と共に重要なことでありますので、この点にも十分留意の上組合の普及
指導
に努力いたしています。右事情御賢察の上左記事項の実現について何分の御高配を賜りたくお願いする次第であります。 記 一、預金部
資金
を組合へ貸付けること。 二、組合のための親銀行を新設すること。 三、組合普及
指導
費の国庫補助増額について。 以上 次は未復員者……
石原幹市郎
5
○石原幹市郎君 原稿だけで
如何
でございましようか
山下義信
6
○
山下義信
君 省略。
塚本重藏
7
○
委員長
(
塚本重藏
君) 大臣は
予算
委員会
に出られますから。
竹中七郎
8
○
竹中七郎
君 それでは、未復員者給與法改正について……。次に傷病恩給等の一時金を受領した者に対しても災害給與の療養費を支給されたい。及び
国民
健康保険の問題であります。以上。
塚本重藏
9
○
委員長
(
塚本重藏
君) 三君が
実情調査
に参られまして、極めて詳細にその
実情
を把握してお帰りになり、御
報告
を賜
つた
ことを
感謝
いたします。以上の御
報告
に対しまして、先ず厚生大臣の御
意見
を
一つ
拜聽いたしまして、その後に
皆さん
にお願いします。
林讓治
10
○国務大臣(林讓治君)
只今
両
議員
から詳細の御
報告
を拜聽いたしまして、誠に有難うございます。両御
意見
にございましたように、将来私共として大いに考えるべきところがあろうと考えます。殊に
広島
の
事件
につきましては、
監督
の
立場
にあります厚生省といたしましては、この上もなく遺憾に思うわけでありますが、現在の法の上におきましては、ただ一応
報告
を受けますということ、それからこの
共同募金
などの寄附の分配をいたします、処分をいたしますことに対しまして許可制ぐらいに止ま
つて
おりますので、この法の上においても勢い改正を加えるべき点があるのじやなかろうかと考えますので、今後御趣旨を十二分に
検討
いたしまして、そうしてこの
事業
法などの改正すべきところのものは、将来改正をするようにいたしまして万遺漏なきを期したいと考えます。尚この上とも御援助をお願いいたします。
塚本重藏
11
○
委員長
(
塚本重藏
君) それから社会
局長
は
関係
方面
にお出でにな
つて
おりますので、済み次第お見えになるそうであります。それから文部省からは、宗教課の課長補佐荻野勉君が御
報告
申上げます。
山下義信
12
○
山下義信
君 当
委員会
の
調査報告
に大臣が御出席下さ
つた
ことは従来稀でありますが、本日
委員会
に御出席下唇
つて
、
調査団
の
報告
を聽取下さ
つた
ことは、我々極めて満足に感ずる次第でございます。
調査
の
報告
をお聽き下さ
つたの
で、十分その要点はお汲み取り下さ
つた
と思うのであります。殊に
只今
の御発言中には
共同募金
の
制度
については、要すれば法制の上にも考慮を加える考えであるということの御説明がありましたので、御期待をいたしておるのでありますが、特に私はこの席で厚生当局の御留意を願いたいと思いますことは、この
共同募金
が今年で三回目に相成るのであります。これは非常に大きな問題であると思うのであります。詳細のことは、我々又小
委員会
で、この
共同募金
関係
の問題を詳細に
調査
研究いたしまして、
報告
書に出したいと考えておりますので、詳細は省きまするけれども、要するところ嚴重に
監督
をしなければならんということは、裏から申しますると、こういう早り方が果して日本の現状に適しておるかどうかということの根本的
検討
を加える余地があることを物語るものであります。
民間団体
として美しくできなければならんことを、十分に政府或いは法律の上でこれが
監督
をいたさなければならんということは、かかる
運動
が
我が国
の
国民
の基盤の上に、展開する上にまだ基盤が熟していないということを一面物語
つて
おるとも言えるのでありますが、その間にこういう
運動
をや
つて
行ごうというのでありまするから、非常にこれはむずかしいのであります。余程根本的にこれは再
検討
して見なければならんのではないかと考えるのであります。今までのやり方をただそのままや
つて
行くために必要な、
監督
的な点の立法化を企てるというような程度では、私は物足らんと考えまするので、
監督
の地位にありまする厚生省はあらん限りの智慧をお絞り下さ
つて
、根本的に
一つ
この
運動
の在り方について、御研究を本当に力を入れてや
つて
頂きたいと思うのであります。それは言うまでもなく
我が国
の
民間社会事業
の、これは生死浮沈の境であります。総額約十一億前後のこの
共同募金
というものの、これが
我が国
の
民間社会事業
の運命に密接な
関係
のありますことは言うまでもございません。でございますから
我が国
の
民間社会事業
を生かすか殺すかということに
関係
を及ぼしまするから、十分根本的に政府としても御研究を願いたいと思うのであります。言葉を換えて申上げますれば非常に
弊害
のあるやり方をやらなくても、十数億の金があれば
民間社会事業
が若し発達振興し得るならば、それだけの
予算
を国が使いますればこんな全国を挙げての大騒ぎをいたし、非常に沢山の経費を使
つて
鳴物入りの強制的な寄附のようなことをいたしませんでもできるわけでございます。考えなければなりません、本当に心からの篤志寄附というものが行われて、そうして
社会事業
の善悪の区別ができて優良な
社会事業
を発達せしめるために、
民間
人がそれに喜んで金を投ずるということの趣旨が没却せられ、半ば税金のごとく割当
制度
になり、
只今
の詳細なる
調査報告
にありまするようにうこれが
運営
に当る者がボス化いたしまして、そうして
民間
の
社会事業
がこれによ
つて
運命が左右せられる、玉石混蒲のみではございません。殆んど今日の
状態
においては、この
民間社会事業
家にもグレシャムの法則が行われまして、悪い
施設
がはびこり、優良な
施設
は顧みられないという
状態
が段々と年を重ねて推移いたして参りますると、
民間社会事業
家の熱意というものが悉く消滅いたします。
共同募金
のみに依頼感を起し、安易感を覚えます。おのおの磨きまして社会の信用を博し、己が
施設
を発達せしめてこの理解の下に支援を仰ごうという、いわゆる
民間社会事業
独特の特徴であるところが段々滅却いたして参りますということになりますと、余程考えなければならんと私は思うのでございます。而もこの
民間社会事業
の
施設
の大部分は、厚生省の公的扶助の福祉
関係
の委託
施設
にな
つて
おるのであります。この
民間社会事業
が発達するということは、それだけいわゆる国家財政が軽くなり、政府の手が省けるということになるのでございます。これは密接な
関係
があるのでございますから特に根本的にこの在り方につきましては、ただ單にこれが
民間運動
であ
つて
政府は関與することはないとい
つた
ような、傍観的にそういうような表面的な
立場
に立たないで、心からこれは政府におきましても御研究を願いたい、かように考えるのでございます。そういうふうに御研究が願えるかどうか、大臣に伺
つて
置きたいのであります。 今
一つ
は
只今
宗教団体
の
経営
上ます
社会事業
につきまして、竹中
委員
から詳細な御
報告
があ
つたの
であります。この際私は大臣に伺
つて
置きたいのは将来
我が国
の
民間社会事業
に関しまするいろいろの法規について当局も御研究中であろうと思う。その間には
社会事業
の従事者に対しまする資格の問題も恐らく問題になろうかと思うのであります。ところで
宗教団体
のいわゆる宗教家の
経営
いたします
社会事業
、即ち宗教家として宗教信念に基き、これがためによさのある
宗教団体
のこの
社会事業
、これを大いに振興させまするためには、この
施設
に従事いたします職員の資格、例えば保姆でありますとか、養老院の院長でありますとかいうような、そういうふうな者が、それは宗教家なるが故に信仰に厚い宗教心によるが故に独特のよさがあるのであります。これを一律にいわゆる
社会事業
の従事者という一定の資格の基準に当嵌めるというようなことに相成りまして、それがために、その資格に合致しないために
宗教団体
が
経営
上その人を得るに困難を感ずる、
如何
に
宗教団体
の
施設
であ
つて
も一定の資格がなければならん。その資格は或いは何々学校卒業、何々というような杓子定規に照らして、資格選考ということになりますと、
宗教団体
の
社会事業施設
というものは人の面において宗教家なるが故に特長があり、よさがあるのですが、その人を失う結果に相成るという慮れが多分にありますので、この点におきましても将来、小ざい問題のようでございますが、
只今
お聞きのように
我が国
民間社会事業
の六割、七割を占める、殆ど六七千に当る
施設
に
関係
あるわけでございます。その点御考慮を加えて頂けますかどうか、この席で承わ
つて
置きたいと思うのであります。
林讓治
13
○国務大臣(林讓治君)
只今
お話のございましたように、
社会事業
の浮沈に関しましては、非常に重大なる問題になることと考えますので、この点
山下
議員
のおつしやいました
通り
篤と私共は留意をいたして、他日法規を変えるというようなことにつきましても十分考慮をいたして行きたいと考えております。両
民間
の
社会事業
に対します人物の資格の問題でありますが、私共が凄いながらもあつちこつち
視察
をいたしましたその結果といたしまして考えまするのに、よく行
つて
おります所はその人の人物の
如何
によることと深く私共葬祭いたしております。ただ形の上におきまして資格を持
つた
ような者が、月給取りにな
つて
しま
つて
いるよりな所は、甚だ成績も上
つて
おらんばかりでなく、往々にしてそれが食いものにな
つて
いるような感を抱いて、私共帰
つた
場所もあるわけであります。つきまして今宗教に
関係
いたしますところの資格について、現在までの
規定
を遺憾ながら私よく存じておりませんが、十分人物にによ
つて
その成績が上げ得られるという点につきまして、これは特に我々がいろいろな
規定
を拵えます上におおきまして、十二分に考慮いたしまして、そうして成績が上り得ますような方向に持
つて
行きたいと考えております。ただ私今までの資格についての
規定
をよく存じませんから、何とも申上げ兼ねますのでここでは
只今
申上げましたように人物の
如何
によるということ、又
従つて
宗教的の問題につきましては、篤と私共考えて行きたいと考えております。
石原幹市郎
14
○石原幹市郎君 先程の草葉
委員
の御
報告
で、
商工部長
が最近
起訴
されたというのは、
商工部長
として
起訴
されたのですか、民生部長か何かしてお
つて
ですか。
草葉隆圓
15
○
草葉隆圓
君 これは私も詳しく存じませんが、当時は商工
関係
の何か仕事らしか
つたの
です。そうしてその繋がりの一端があるようですが。
石原幹市郎
16
○石原幹市郎君
募金
関係
ですか。
草葉隆圓
17
○
草葉隆圓
君 何か材料とか何とかの……
石原幹市郎
18
○石原幹市郎君 それからもう
一つ
、
広島
募金委員会
には、県の民生部長とか、今後のいろいろの
関係者
は
募金委員会
の
事務局
の役員、そういうようなことにな
つて
いたのですか。
草葉隆圓
19
○
草葉隆圓
君 これは実はその
起訴状
の
内容
を申上げますとはつきりしましたけれども、時間がかかりますので止めましたが、結局実際上は
知事
が会長でありましたけれども、実際の仕事は最初から民生部長が
責任
者としてや
つて
お
つた
。それから幹事長としていわゆる当時の厚生課長。
石原幹市郎
20
○石原幹市郎君 そこでちよつとお伺いしたいのですが、私も実は最近まで県にお
つたの
ですが、段々県の
関係者
というものが
募金委員会
から外されて、その筋の政府の
指導
方針
が純然たる
民間
人ばかりでやらなければならぬということにな
つて
、我々の
共同募金
のときには、趣旨の宣伝ぐらいに出されたが、後の
運営
その他につきましては、これは私が余り
関係
しなか
つたの
が悪か
つた
かも知れませんが、殆んど知らないような
立場
に置かれてしま
つて
お
つたの
でありますが、この
広島
の
事件
は特に県庁の者が入
つて
お
つて
、そういう
事件
が起きたというのでありますが、私の気持としてはそういう例外もありますけれども、
募金委員会
のボス化であるとか、そうい
つた
ものを防ぐ
意味
で県庁の
関係者
、例えば民生部長が
募金委員会
の
委員
になるとか、県の職員と
委員
というものが関連を持
つて
おるのがいいのじやないかという考を持
つて
おりますが、段々方向としては県の
関係者
を
委員会
から排除してしまうという方向に向
つて
いるようでありますが、その点についてどういうお考えを持
つて
おられますか、大臣よりもむしろ
局長
さんあたりでいい問題でありまするが。
林讓治
21
○国務大臣(林讓治君) 大体
民間
側のみにやらせるようにということは、その筋からの御意向であ
つたの
じやないか知らんと思います。成るべくそういうことを役所の方は
監督
する
立場
にだけあ
つて
、
関係
しない方がよいというような示唆があ
つた
もののように私考えております。今後どういうふうにして行くかということにつきまして、こういうようなことが方々に起きるということは、役所の
関係
したことでも起きる問題ですし、又
民間
側の方にのみ委して置いてどうかという懸念もあるわけでありますが、それで先程申上げました
通り
に、
制度
の上においてただ
報告
を受けるということと、処分をするということに対する許可だけが
規定
をせられておるようなものですから、これを
如何
に取扱うべきかということを、役所といたしましても十二分に考慮いたしまして、又厚生
委員
などの御
意見
も十分に考慮いたしました上で、将来成文でもできるような工合にしたらどうか知らんと、こう考えております。
塚本重藏
22
○
委員長
(
塚本重藏
君) 他に御
意見
ございませんか。大臣は
予算
委員会
の方から出席を求められておりますから、大臣に対する質疑をこの程度で打切ることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
塚本重藏
23
○
委員長
(
塚本重藏
君) 御異議ないものと認めます。尚他に御発言は……。では本日は
委員会
はこれを以て閉会いたします。 午後零時二分散会 出席者は左の
通り
。
委員長
塚本
重藏君
委員
中平常太郎君
山下
義信君 石原幹市郎君 草葉 隆圓君 竹中 七郎君 藤森 眞治暦 井上なつゑ君 小杉 イ子君 国務大臣 厚 生 大 臣 林 讓治君