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1950-05-01 第7回国会 参議院 建設委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年五月一日(月曜日)    午後三時四十四分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○建築基準法案内閣提出・衆議院送  付)   —————————————
  2. 中川幸平

    委員長中川幸平君) それでは只今から建設委員会開会いたします。  建築基準法案を議題といたします。先ずこの際御参考までに申上げますが、衆議院でこの法案の通過の際に決議案が通過しておりますから……  都市建築物不燃化の促進に関する決議(案)  我國は年々火災ため莫大な富を喪失しているが、これは我國建築物が殆んど木造であつて火災に対し全く耐抗力を有しないことに起因する。  特に多くの建物によつて構成せられている都市においては、都市計画実施消防力の強化と共に建築物不燃化を図らなければ、火災による損害の防止は期し得られない。  過去三十年間、法令に基いて都市建築物不燃化に努めて來たが、都市建築物不燃化は單なる法令施行のみでは誠に困難である。  幸い我国経済力の回復に伴い不燃建築に要する建築資材も豊富になつたので、今後は急速に都市建築物不燃化に努める必要があるものと信ずる。  そのため政府は、建築法令の整備と共に差当り左の各事項につき速に具体的措置を決定しこれを実施することを強く要望する。       記  一、都市不燃化を促進するため防火地域内に建設する不燃建築物に対し、国庫補助金の交付及び建設資金融通の途をひらくこと。  二、防止地域内における小宅地の利用を合理化するため共同建築物建設を促進するよう適切な法的措置を講ずること。  三、中小都市等火災危險地区において、既存建築物防止改修事業実施し、これに対し国庫補助金を交付すること。  四、新たに建設する官公衙等は、原則として不燃構造とすること。  右決議する。  この決議の理由も載つております。  それから各府県建築行政担当の係の方の連署で相当愼重審議をして貰いたいという陳情書が来ておりますが、朗読を省略して速記に載せることにいたします。  それから五大市長の代表として、横浜市長から是非通過するように御盡力をして下さいという電報が参つております。「ケンチクキジユンホウアンノツウカニタイシカクベツノゴジンリヨクヲタノム、ゴダイトシシチヨウダイヒヨウヨコハマシチヨウイシカワキヨウイチ」というのが参つております。  それからこの法案の第三條第一項は、国宝保存法外二法の適用を受ける建築物については、その建築、修繕、模様替をする場合には適用しないとの規定であります。然るに国宝保存法外二法は、本日両院の議決を得ました文化財保護法の附則によつて廃止されることになつております。従つて第三條第一項は、会期と手続が許しますれば、修正することが正当でございまするが、今日に至つては実際問題としてどうであろう、第三條を原案通りといたして置きますれば、文化財保護法施行によつて国宝等に対しても本法適用があることとなります。併しながら実際問題としては、既存建築物に対しては、本法適用は緩和されておりまするから、大した問題は生じないかとも思われます。第三條を原案通りとして置きます場合には、当然次の国会でこれを改正しなければならんわけなのであります。同様の問題は、地方税法港湾法にも残るわけであります。いろいろな問題があるというようなことが、ありますから、実際問題として差支えはないようであるけれども、文化財保護法ちよつと牴触する点があるから、予めお含みを願つて相談をお願いしたいと思います。
  3. 赤木正雄

    赤木正雄君 それは何ですか、どこから来たのですか。
  4. 中川幸平

    委員長中川幸平君) これは專門調査会で調べたことをちよつと申上げて記録に留めて、そうしてあとで御相談申上げたいと思います。
  5. 赤木正雄

    赤木正雄君 先程各府県から、むしろこれに反対の意向がある、それに対する陳情請願か知りませんが、それを速記に留めて置くということでしたが、それを審議しておりますわけでありますから、どういう要点で反対か、それを聞かないと審議ができないと思います。
  6. 中川幸平

    委員長中川幸平君) 反対というわけではありません。内容を調べて見ると、昨日もいろいろ意見の開陳がありました通りに……それでは一応朗読をいたします。  市街地建築物法施行は大正九年以来約三十年の長きに亘り都道府県が取扱つて来ました。  然るにこのたび同法を廃して新たに建築基準を定めるため法案政府から提出され、参議院建設委員会審議さられていますが、その内容建築監督原則的に市町村事務とする等、建築行政執行機構を根本的に改めるものであるにも拘わらず、大部分の都道府県建築行政担当者は全然其のことを知らず、我々少数の建築行政担当者も昨日上京して初めてその片鱗を伺い知つた次第であります。  本法が突如成立するときは地方行政に非常な混乱を来しますから、決定前に都道府県事務担当者地方の実状に即した意見並びに対策を出し得るに十分な時日を賜わることをお願いいたします。  尚昭和二十五年四月二十八日に建設委員長殿に提出された東京建築局長の「建築基準法に対する意見」に全く同感であると共に、左記の意見をお汲取の上、十分御審議されることを切望します。  一、建築確認事務を行う建築主事資格検定建設大臣のみが行い。これに合格した者だけを都道府県知事及び市町村長が任命することは地方自治の精神に反すると断定せざるを得ない。  二、建築申請確認事務市町村に移すことは、関係吏員相当数市町村に移すことになるが、本法案では道都府県に残る行政事務量は極めて不明瞭である。  従つて法案により都道府県の行う事務範囲を明らかにすると共に、現に都道府県機構の存する以上は、それが中間行政機関として行うべき各種建築行政の分野を新たに想定し、その事務量をも明らかにして初めて市町村への移管と都道府県建築行政責任を果せるのであるから、これらの十分な見通しを付けるためには相当の日時を必要とする。  三、更に建築確認事務市町村に任せるときは、関係吏員の数は最小限現在員の二倍を下らないであろう。  即ち仮に国家地方警察署自治体警察署当り一人置くとしても二二五四名であり、又全国市数二三四に対し、平均一市当り十名と、町数一八二〇の半分に対し、平均一町当り三名の吏員を置くとしても合計五〇七〇名となる。  行政整理の必要を要望されてゐるとき、この増員は決して妥当なものとは思えない。   昭和二十五年五月一日  大阪府建築部長 吉田安三郎  この外数名であります。
  7. 赤木正雄

    赤木正雄君 この請願陳情にあります今のこの人員の問題ですね。これは私昨日質問したと同じことなんですが、結局人が殖えやせんかと、ところがこれには、仮定の説でありますが、この仮定に基いても非常に殖える、現在千人でよかつたものが、五千七十人になるということになりまして、昨日の局長お話大分齟齬しておりますが、これに対して局長はどういうお考えでしようか。
  8. 伊東五郎

    政府委員伊東五郎君) 私共と大分その点につきましては見解を異にしております。今の陳情書にありましたことは、原則として市に移管するとありますが、これはそういうふうには案ができておりませんので、市で希望する場合にやることができる。その他の場合においては県がこれを行わなければならない。義務付けておるのは県の方に義務付けておりますから、どの程度実際希望し、その陣容を整備して、その事務に当るかどうかということは一つの仮定に基いて、この数字を計算して行かなければならんと思いますが、私共の見通しとしましては、小さな市とか町村では、非常な例外は別としまして、大体において担当しないことになるだろうと考えております。例えば保健所では、これは十五万以上の都市と、旧保健所法ではそうなつておりますが、これも或いに十五万以上の都市あたりで希望するものが出て来ると思いますが、全般的に市町村にやるというふうには考えておりません。市で、一部の市がこの事務担当するという場合に、現在府県担当しております場合と比較しまして、どの程度人が殖えるか、こういうことに問題は帰着すると思います。現在も府県でやつておりますが、市には全部適用がございますから、市にその事務員を配置しております。わざわざ県庁まで持つて行つて、これを決めてやるというわけではないのでありまして、市には現在も人を配置しております。ただこれが市である、県から離れて市でやるということになつた場合には、現在県でやつておる場合には多少の人の融通ができる。市が当る場合には県との間に人の融通ができぬという点で、実際は或る市に一人おればできる場合も、二人置かなければならないということが起きて来ようかと思います。その点において若干全体の人数が殖えるということは予想されますが、只今陳情にありましたように、二千二百人とか、五千人ということにはならぬと思つております。現在千人くらいの人でやつておりますから、それが何%にか殖えるということは考えられますが、そう今の計算ではならないというふうに思つております。
  9. 石坂豊一

    石坂豊一君 只今委員長から披露せられました陳情趣旨は、今まで実務に当つてはおつた人の目から見ると尤もの趣旨と私は考えます。併し今日我が国の法政は制度、文物すべて根本から引つくり返つて来ているのでありまして、それで各種制度に対して大なる変革が来ることは止むを得ない。而してこの法案につきましても、我々は一面において、事務的に見ると今のような摩擦が来ることがあるかも知れませんけれども、大体において建築基準法というものを定めまして、今日世界の文化に劣らざる国家再建をして行く準備としては最も必要なことと考えますが、これを実施するに当りましては、やはりもつとその実施が円滑にできるように図らなければならんから、政府においてこれを実施することをよく皆に納得させるような方法をとられることは勿論と考えます。次いで今赤木さんから質問がありました通り建築主事を置くというのはどの程度に置くのであるか。それから又この入れ替りについてはどういう方法を以てするのであるかということについては、どれ程の準備期間を以てせられるつもりであるか、又どういう方法でそれを展開して行かれるつもりであるか、一切が法を実施するにおいては極めて円滑に、国民に迷惑をかけないように、又今まであるところの行政各部に対して非常な手違を冒さないようにすることは最も必要と考えます。その点に対する政府の所信を伺つて置きたいと思います。
  10. 伊東五郎

    政府委員伊東五郎君) 只今石坂委員から、この法律施行につきまして、実際の人の問題なども考えなければならんが、国民に対して十分納得させ、その間に摩擦が起きないようにやる必要があるという点につきましての御質問でありましたが、私共も実はこの行政が県から一部市に移したということにつきましては、長年都道府県にこの事務担当して頂きまして、非常に努力をして今日の成果を挙げて参つたのでございますので、市に移す場合には、余程この間の移り変りにおいての摩擦を起し、実際に国民に迷惑をかけるということがないように、愼重にこの法案自体も作成したつもりでありますし、又この法案が通過いたしました後におきましては、その点を十分に考慮の上で施行当りたい、指導をいたしたいと考えておるわけでございます。国民利害関係、便不便ということから申しますと、成るべく市民に近いところ、直結したところでやるということが理想でございます。市民に呉れるは、直接に市に担当者がおつてつてことが、成るべく接近したところでやつて貰うということが、事務簡素化その他の点から言いましても適当だろうと考えます。ただその場合に、この都市に委譲しましたために不慣れな者が取扱うということのため却つて事務を遅らすようなことになるとかいうようなことがあつては相済まぬと思います。これがため建築主事については、大臣資格検定をいたすということに先ずいたしたわけでございます。本来地方人事権を侵すというような懸念があつたのでございますが、これは別に任命についてかれこれ言うわけじやありませんので、この義務を相当するに適当な者であるかどうかという点を検定するわけでございます。そうして、委譲いたします場合には従来やつておりました府県とその市との間に十分協議を整えた上でやる、こういうことになつております。この際に市がこの事務を扱う場合に適当な人数担当することができるかどうか、こういうような点を十分協議いたしまして、その上で決定するようにいたしたいと考えております。この法律が公布になりましてから三ヶ月乃至六ヶ月の間に施行するということになつております。その施行になりました後に十分協議をいたしまして、我々も十分御相談に乗つてしようと思つておりますので、実際にこの事務が市に移されるという時期は急速には行かないと思います。或いは多くの市では今年中にはこれができないのじやないか、来年くらになるのじやないかというふうに予想いたしております。これはまあ五大都市くらいのことでございまして、その他の市におきましては、実際はまだ先になるのじやないかというふうに考えてますが、この原則だけはこの法律で決めて置きたい、こう考えておるわけであります。
  11. 赤木正雄

    赤木正雄君 この間は建築士法案をこの委員会で通過さしたのでございますが、建築士法案によつて建築士になつた人は、無論相当責任を持ち得る人と思いますが、そういう建築士になつた人だけでは、まだ建築主事になる資格がないのですか。
  12. 伊東五郎

    政府委員伊東五郎君) 建築士建物を設計したり、その現場を監督したりするに十分な資格があればいいと思うのでありますが、この建築主事は多少自分自身ができるといることの外に、行政的の経験能力を必要とするものでありますので、建築士であつて而行政経験のある者が検定を受ける資格がある。その中から決定して行くということになるわけであります。建築士に対してプラス建築行政能力ということであります。
  13. 赤木正雄

    赤木正雄君 今度職階制が通過しましたが、職階法の方ではそういうことが言われておりましようか、或いは技術技術者方面行政行政方面に段々進むようなことになつておりますが、今局長の言われるように、技術を磨いていて而も行政手腕がある、これは誠に結構でありますが、職階制との関係はどうなつていますか。
  14. 伊東五郎

    政府委員伊東五郎君) 職階法国家公務員だけが必要でありますので、この場合は地方公務員でありまして、直接の関係はございません。
  15. 赤木正雄

    赤木正雄君 今は地方公務員に対しては、国家公務員と同じような規定はありませんが、これは御承知の通りに、恐らく地方公務員に対しても、国家公務員と同じような試験とか、そういうものの設けられるものと我々は予想していい段階なんです。それに対してどういうお考えをお持ちになつておりますか。
  16. 小林與三次

    説明員小林與三次君) 只今お尋ねは御尤もですが、恐らく地方の問題は地方公務員法の制定によつて問題が決するのでございますが、大体地方公務員法の構想では、條例職階の具体的な問題が規定せられることだろうと考えております。その際は恐らく国の公務員職階制度を非常にまあ参酌することに事実上相成るだろうと想像し得るのであります。その場合にこの建築主事との関係はどうなるかと、こういうことになるのでございますが、建築主事として法律最小限度要求資格規定いたしますと、條例はその範囲内でこの法律規定に従うと、こういう格好で規定になるものと考えております。
  17. 赤木正雄

    赤木正雄君 それは地方公務員であるから職階制度関係はない。地方公務員はそれ程重きを置かれてないようです。そういう御意見ならば、なぜこの建築士資格建設大臣が行うという、その点だけを建設大臣として、地方自治というものを重く考えておらないのですか。
  18. 小林與三次

    説明員小林與三次君) 只今お尋ねは御尤もでございますが、これは問題は建築基準法責任を以て施行し得る資格をどう決めるかという、こういう問題でありまして、法律並びに政令で制定されております基準国家的に確保して行くということは、これはまあ当然国としても重大な責任と関心を持たなければならないのでありまして、それがためにそれに必要な資格制度というものを国家が決めるということは、特に必要なことであります。殊にいろいろの試験制度を国がやつておるのと同巧異曲、同じような性質の事柄であると考えております。国家検定試験通つた資格を有する者の中から自由に任命する。こういう建前考えておるのでございます。これを若し市町村府県に任せる。こういうことにすれば、それこそいわゆる建築主事資格ばらばらになる。それこそ建築行政市町村ごとばらばらになり、各府県などから陳情が出ておるような弊害が起り得るものでございますが、こういう点を本当にきちんとした資格に基く専門的な本当の行政能力のある人に任せる。そういう建前を以て一応なつておるのでございます。
  19. 赤木正雄

    赤木正雄君 道路問題でございますが、道路問題について大分これは無理なことがありますが、これに対して都市計画局長は見えておりますか……都市計画としては、もうすでに予めこの法案に対しては御協議があつたことなんですか。
  20. 八嶋三郎

    政府委員八嶋三郎君) 大体お話は承つております。
  21. 赤木正雄

    赤木正雄君 では東京都の場合はどういうお考えでこれを承認なさつたのです。実際非常に困るような事態があるのです。
  22. 八嶋三郎

    政府委員八嶋三郎君) 大体四メーターの問題でございますか。
  23. 赤木正雄

    赤木正雄君 さようでございます。
  24. 八嶋三郎

    政府委員八嶋三郎君) 実は私として、都市計画として現実にやつております都市計画区画道路あたりは、四メーターということで指導いたして、新らしくやつておりますものについては大体四メーターを下らないようにしてやつております。ですから別に現在のところはそう支障はなかろうと思つております。
  25. 中川幸平

    委員長中川幸平君) ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止
  26. 中川幸平

    委員長中川幸平君) 速記を始めて下さい。  それでは本会議の都合によつて委員会を暫時休憩いたします。    午後四時十七分休憩    ——————————    午後四時三十分開会
  27. 中川幸平

    委員長中川幸平君) 本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十一分散会  出席者は左の通り。    委員長     中川 幸平君    理事            岩崎正三郎君            赤木 正雄君            仲子  隆君    委員            大隅 憲二君            島田 千壽君            石坂 豊一君            久松 定武君   政府委員    建設事務官    (住宅局長)  伊東 五郎君    建設事務官    (都市局長)  八嶋 三郎君   説明員    建設事務官    (文書課長)  小林與三次