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1950-04-25 第7回国会 参議院 建設委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月二十五日(火曜日)    午前十時五十六分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○建築士法案衆議院提出) ○住宅金融公庫法案内閣送付)   —————————————
  2. 中川幸平

    委員長中川幸平君) それでは只今より建設委員会開会いたします。建築士法案を議題といたします。御質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 久松定武

    久松定武君 お伺いいたします。一級建築士、又は二級建築士受験資格についての第十四條、又は第十五條のうちの建築に関する実務経験とは、どの範囲を言うのでありますか、その点をお伺いしたいと思います。
  4. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) お答えいたします。実務経験のこれはいろいろな解釈のしようがあると思いますが、大体建設省で今までこの字句に対する内容を規定いたしたものがありますので、それによつてお答え申上げますと、建築に関する実務経験とは、責任ある地位においてした左の各号の一に掲げる経験をいう。一、建築物に関する設計、積算又は工事監理若しくは監督経験、二、建築物構造計算又は建築物における給排水、冷煖房等設備工事設計若しくは施行経験、三、都市計画建築住宅建築材料に関する行政事務経験、以上を言うそうであります。
  5. 久松定武

    久松定武君 そうしますと、この法案によります建築士技術上の資格設計技術にあるものと考えるのでありますが、設計における技術計画技術者設計技術者とを含むものと考えられるのでありまして、施行技術又は施工技術者とは異なるものと思います。その建築に関する学問、又は経験においても、或る者は設計、いわゆるデザイナーとして、或る者はドラフト・マンとして、或る者は構造計算專門として、或る者は建築設備專門に、或る者は建築材料專門に、又或る者は施工專門というふうに非常に分類して来ております。これらの事情から考えまして、又或る者は建築行政として特に官庁等建築申請許可等事務專門にしておるという者がある、そういうような点から考えますときに、或る部門の一部でも体得しておる者であつたならば、技術者実務経験というところで許されるのでありますか。
  6. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) 先程申上げましたように、現在の建築に携つておると言います者は、いろいろな職務に分類されて、行われておるのでありますが、実際この法律案目的といたしますところが、建築設計、それから工事の管理というものでありますので、この目的を達成せしめ得る範囲実務経験であるならば、これを全部認めたいということになりますと、これはもつと現実的に申上げますと、只今申上げたようなものでありますが、ただそれに含まれないもので、全然図面も引けない、現在又引いておらない、工事監理というようなことも行なつたことがない。ただ図面によつて監理者の指示によつて施工だけ行なつて来たという者があると思います。そういう者は鳶職とか、大工職とかいう者は対象にならないわけであります。その他の設計監理監督、それから代理事業ということを行なつております者は、主にそういう方面を相当いたしておりましても、基礎的には殆んで全部に関連して実務経験を持つているのでありまして、そういうふうにみなしたいと思つております。
  7. 久松定武

    久松定武君 そうすると、官庁や何かのいわゆる建築行政ばかりを扱つているというような、そういう官吏や何かはどうなるんですか。
  8. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) 勿論この範囲に含んでおります。
  9. 久松定武

    久松定武君 今建築基準法が準備されているように聞いておりますが、この中には建築主事が各府県市町村に置かれることになつており、而もその建築主事資格は吏員であつて、且つ一級建築士で二ヶ年間の建築行政経験を持つ者というふうに限定されているように聞いておりますが、私はまだ基準法内容を存じませんけれども、そうすると、こういうことが事実であるかどうかを伺います。
  10. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) 私もこの法律案を作成いたしますに際して、姉妹法である建築基準法と表裏一体として研究を進めて参つたのであります。今日明日に提案の予定であるところの建築基準法はその過程において、修正をせられたようでありまして、実際の状態では、市町村長権限までこれを移すということに対しては、現在の日本現状に即さない点があるのじやないかと考えておつたのですが、その過程におきましては、勿論許可権限その他は、特に市町村長権限移讓を要求するものに対しては、與えた方がよろしいということに修正なつたようであります。
  11. 中川幸平

    委員長中川幸平君) 質疑は盡きたものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 中川幸平

    委員長中川幸平君) それでは御異議ないと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のある方は、それぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。
  13. 仲子隆

    仲子隆君 私はこの案がこれからの日本建設、殊に文化、高い文化を狙う建設の問題に対しては非常に必要なものであると思います。併し現状においては、御覧のごとく、多数の建設関係の仕事を永年の経験、十二、三の子供から腕を錬り上げて来た人達によつて多くやられており、又相当学校において力学その他を研究した者と雖も、とにかく日本建築現状からして、杜撰になり、或いは不十分になり、表面を見て立派な現在までの建築士がやるとしても、思わざる故障を来すような状態があります。これは日本の歴史的な情勢、或いは現在の経済的その他の貧困な情勢から来るものではありますが、この間に当分尚本来の建設士その他に対して不十分な実情が現われて来るものと考えるのであります。従つて過渡的なるものが何か考えられなければならないのでありますが、一応この法案が通過いたしましても、然る後において養成するとか、従来のものも尚十分研究させる、或いは特別な方式を以て資格も與えるとかという、各種の過渡的な手段を十分講じて、将来日本が世界に臨む文化的な国となり、文化的な建設事業が行われるようになるために十分の工夫をせられることを期待して、この法案賛成をいたします。
  14. 久松定武

    久松定武君 私も賛成するものでありますが、ただ第四條の第三項の「外国の建築士免許を受けた者」、この点でありまするが、日本は独得の気候もあり、それから同時に建築も独得のものがある。これをただ免許を持つておる者ならば無條件で許すということでなしに、日本は地震国でもあるし、又風水害の非常に大きな災害を受けるところでありまするから、そう言つたものをよく考慮して頂きまして、この免許を許すに当つては嚴格なる資格を以てやつて頂きたいことが希望であります。
  15. 中川幸平

    委員長中川幸平君) 他に御意見もないようでございますから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 中川幸平

    委員長中川幸平君) 御異議ないと認めます。  それでは直ちに採決に入ります。本法案賛成の方の挙手をお願いいたします。    〔総員挙手
  17. 中川幸平

    委員長中川幸平君) それでは本案原案通り全会一致を以て可決されました。  尚、本会議における委員長口頭報告内容は、本院規則第百四條によつて予め多数意見書承認を経なければならないことになつておりますが、これは委員長において本案内容、本委員会における質疑応答要旨討論要旨及び表決の結果を報告することとして御承認を願うことに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 中川幸平

    委員長中川幸平君) 御異議ないと認めます。  それから本院規則第七十二條によりまして、委員長が議院に提出する報告書につき多数意見者署名を付することになつておりますから、本案を可とせられました方は順次御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     仲子  隆  赤木 正雄     石坂 豊一  大隅 憲二     佐々木鹿藏  安部  定     久松 定武
  19. 中川幸平

    委員長中川幸平君) 署名漏れはございませんか……。署名漏れはないと認めます。  それでは午後一時まで休憩いたします。    午前十一時九分休憩    ——————————    午後二時開会
  20. 中川幸平

    委員長中川幸平君) 只今より建設委員会を再開いたします。速記を止めて……    午後二時一分速記中止    ——————————    午後三時五十四分速記開始
  21. 中川幸平

    委員長中川幸平君) 速記を始めて下さい。それでは本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十五分散会  出席者は左の通り。    委員長     中川 幸平君    理事            仲子  隆君            赤木 正雄君    委員            島田 千壽君            石坂 豊一君            大隅 憲二君            佐々木鹿藏君            安部  定君            久松 定武君   衆議院議員            田中 角榮君   政府委員    建設事務官    (住宅局長)  伊東 五郎君