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1950-04-12 第7回国会 参議院 建設委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    公聽会   ————————————— 昭和二十五年四月十二日(水曜日)    午前十時二十二分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○住宅金融公庫法案内閣送付)   —————————————
  2. 中川幸平

    委員長中川幸平君) 只今より住宅金融公庫法案について公聽会開会いたします。先ず委員諸君にお諮りいたします。東京復興協力会理事池田信路君が御都合が惡いので、同協力会主事渡辺正一君に代りに発言を願いたいと思うのでありますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中川幸平

    委員長中川幸平君) それでは御異議ないと認めまして、さよう決定いたします。  開会に当りまして、本日御出席の公述人各位に御挨拶を申上げます。申すまでもなく、住宅問題は戰後最も大きな問題の一つであります。戰災その他によつて失われました住宅戸数は約四百二十万戸と言われ、過去五ヶ年間に約二百三十数万戸が建設されて参りましたが、その後の人口増加や、火災、風水害、既存建物腐朽などによりまして、住宅の不足は、今日尚約三百五十万戸と言われておる次第であります。殊に自己建設の資力がなく、極めて緊急を要する住宅困窮者が全国に約六十万戸あると申されておるのであります。本委員会におきましても、右の事情を最も重視いたしまして、公共事業費による賃貸住宅と並んで対策に努力を重ねて参つたのでありますが、政府におきましても、昨年秋から住宅対策審議会を中心といたしまして、低額所得者資金を融通する対策を立て、漸くその成案を得て、住宅金融公庫法案を提出され、目下本委員会において審議中であるのであります。委員会におきましては、本案国民生活に直接関連する重要案件であるに鑑みまして、広く各界各層の御意見を聞き、本案審議に遺憾なからしめんとするものであります。各位におかれましては、その立場々々によりまして、腹蔵なき御意見の御開陳をお願いいたす次第であります。本日は御多忙中のところ貴重な時間をお割きに相成りまして、御出席頂きましたことに対しまして厚く御礼を申上げる次第であります。  尚、議事の順序を申上げますると、公述人発言時間は凡そ二十分程度にお願いいたしたいと思うのであります。その後におきまして、委員より質疑があることと存じまするが、これに対しても忌憚なきお答をお願いいたしたいと存ずる次第であります。  尚、念のため申上げて置きまするが、参議院規則の定めるところによりまして、発言委員長の許可を受けることになつておるのであります。又発言内容意見を聞こうとする案件範囲を越えてはならぬことになつておるのであります。又御発言賛成、反対とはつきり賛否を明らかにして御発言を願います。例えば賛成ではあるが、これこれの点を修正、という工合にお願いいたしたいと思うのであります。  又委員は、公述人に対しては質疑することはできまするが、公述人委員に対して質疑することはできないことになつておりまするから、さよう御了承をお願いいたします。  尚、発言の劈頭に職業と氏名を御紹介をお願いいたす次第であります。順序といたしましては、午前中凡そ四人の方にお願いいたして、あとは午後になるかと考えるのであります。発言順序委員長にお任せ願いまして、早速ではありまするが、日本勧業銀行理事堀武芳君にお願いいたします。
  4. 堀武芳

    公述人堀武芳君) 御指名頂きました日本勧業銀行理事堀武芳でございます。  公庫法案の趣旨には賛成でございます。一日も早く法案が成立しまして、公庫事業が開始されることを切望いたします。賛成の理由としまして極く簡單に申上げますが、只今委員長からお話ありましたように、住宅難の深刻なことは申すまでもありませんですが、その深刻な住宅難を打開するためには、何と言つて住宅建設資金供給を円滑にするということでございます。併し住宅資金一般事業資金などと違いまして、大体償還までに十年乃至十五年間ぐらいの年限がかかるものと思われますし、又利率につきましても、普通の勤労者負担の能力から行きますと、せいぜい五六分くらいのものでなければならないと思われますが、そうした長期低利資金というものは、現在の金融情勢においては、一般金融機関は到底そういう資金供給をすることができないのでございます。更に最近建設される住宅は、戰前の場合と比べて質が相当低下しておりまして、可なり腐朽度が早いということも考えられまして、担保の上から言つても十分とは申せないのでございます。又借入主の方から見ましても、その收入生活費等の割合から考えまして、償還力というものも余り十分でないものが多いのでございます。更に一度償還ができない場合には、その担保を処分いたしましても、現在そこに入つておる場合には、その住居権というような点がございまして、担保の処分はなかなか容易でございません。そういうような点から行きまして、住宅金融相当危險率の高いものと言わなければなりません。その意味から行きましても、普通の金融機関では扱い兼ねるのでございます。どうしても相当損失を生じても構わないと思われるような、即ち政府機関でありまして、そうして而も長い年限低利貸し得るような政府資金、そういうものを住宅建設資金として廻すのが一番適切な方策だと考えるのでございます。その意味におきまして、公庫が新設されるということは非常に結構なことと存ずるのでございます。ただこの法案を拜見いたしまして、二点ばかり修正意見がございます。第十七條融資対象者範囲を拡げるということでございます。深刻な住宅難を受けております者の多くは無論個人でございますので、自分が住まうための住宅を建てるというその個人を主たる対象としておることは当然であるのでありまするが、併し自分建設するには、やはり融資建設費の七割五分しか融資を受けられませんので、残りの二割五分の自己資金を調逹しなければならない。その他建設の場合にはいろいろな諸費用もかかるので、やはりこれは相当自己資金を用意しておらなければできません。併しそうした用意のできない人が非常に多いことを考えますと、やはり貸家供給ということを、どうしても図る外はないと思うのであります。この第十七條の第一項の第三号に、貸家を賃貸する事業を行う会社、その他の法人融資対象になつておりますので、その意味におきまして非常に結構でありますが、併し貸家業は現在においては非常に採算がとれない事業でありますので、純粹の企業としてはなかなか成り立つて行かないと思われますので、やはりこれは出資者公共団体とか、それに類するようなものの出資でなければできない法人でないかと思われます。その意味におきまして、むしろ公共団体が直接融資を受けて貸家建設する途を開くことが尚よろしいのじやないかと考えるのでございます。更に又会社等において、その会社の社員などに住宅を給與するのではありませんが、余り高くない家賃でそこに住まわせるというために住宅を建てるということがしばしば行われるのでありますが、そういう場合に、その会社に対して住宅建設資金供給するということも望ましいことであると思われます。その点におきまして融資対象公共団体並びにそういう従業員のために住宅供給する会社等貸し得るという途を開かれるということを希望いたします。  次に、第十九條の一・二倍というところでございますが、標準建設費の一・二倍を超えないものでなければならないということでございます。現在の住宅は質的に非常に低下しております。併し長い目で考えますと、成るべく質のいい住宅を作るということが、結局国家的な意味で一番いいことではないかと思われます。その意味におきまして、標準建設費の一・二倍程度建物では、その質の向上という意味から言うて足りないのではないかと思われます。これをそれではどこまででいいかということは無論理論的に割出せるものではございませんが、一・二倍を一・五倍程度まで引上げた方がいいのではないかと思われます。以上は修正意見でございます。  その外に、運用上の意見も述べさして頂きたいと思います。先程も委員長からお話がございましたが、住宅困窮者が大体六十万戸あるというようなお話がございました。この百五十億の国家資金建設される住宅は、大体建設省の案を洩れ聞きますと、大体八万戸程度だということでございますが、そういう意味から非常にこの事業が、ただ一年だけじやなくて、今後数年間継続して行われるということを切に希望いたします。又百五十億の資金がタイムリーに出されるということが、公庫事業を最も円滑にする上において必要なことと思いますので、資金供給が必要に応じて迅速に出されるようにいたすことを希望いたします。  次に、この仕事は大体金融機関が受託するのでありますが、その点におきまして金融機関負担をできるだけ軽減するように考慮して頂きたいのでございます。この貸付は甚だ小口でございまして、而もそれが数回に分けて貸さなければならないわけでございます。建物を建て始めるときと、途中と或いはでき上つてからというように、数回に分けて貸されますので、手続は面倒でございます。又手形一本で普通に貸す場合と違いまして、証書の作成、抵当権の設定、そういうようなことも非常に手がかかるのであります。尚貸しましてから後の回收は、十年、十五年というような長い年限を、而も或いは毎月、或いは年四回とか、三回というようにして取立てなければならない。そういうような意味から言つて、非常に手のかかるものでありまして、率直に申しまして、金融機関としては甚だ有難くないわけでございます。併し事業社会的重要性という点から考えますと、やはりこれは金融機関としてもお手伝いしなければならないものでないかと思うのであります。従いまして金融機関事務負担をできるだけ軽くして頂くというようにお考え願いたいと思います。又経費予算等関係もありましようから、直ぐには実行できないかと思いますが、できれば公庫の職員をもつとずつと多くして頂きまして、公庫自身がやはり直接貸付もやれば、回收事務もやる。そういうようにせられることがよろしいのじやないかと考える次第でございます。  以上甚だ簡單でございますが……
  5. 中川幸平

    委員長中川幸平君) 有難うございました。堀武芳さんに対して御質疑ありましたら、どうぞ。
  6. 北條秀一

    北條秀一君 只今堀さんから極めて有効な御意見を聞いたのでありますが、三、四の点について堀さんの御意見を重ねて承わりたいと思うのであります。  冒頭に申されました住宅金融は五分乃至六分の利子が適切であるというふうな御意見でありましたが、私は今回の住宅金融公庫利子は、現在の住宅難実情及び国民生活の実態から言いまして、五分五厘というのは非常に高い。むしろその半分ぐらいにすべきじやないかという見解を持つのでありますが、この五分五厘というふうな利子では、到底現在の実際に住宅に困つている人逹はその家賃或いは償還金というものを負担できないのじやないか、こういうふうに考えるのでありますが、この点は特に堀さんは金融家権威者であり、同時に又住宅審議会委員として今日までいろいろ御活躍なさつたのでありますが、そういう御経験からしましても、この点について重ねて御意見を承りたいと思います。
  7. 堀武芳

    公述人堀武芳君) 只今の御質問にお答えいたします。私はせいぜい五、六分と申したので、低いに越したことはありません。実際においておつしやる通り負担の点から行きますと、五分五厘がもつと低くできればこれは結構だと思います。ただ戰前にこういう公庫ができないで、普通の不動産金融として融資しておりました前の例を見ますと、まあ六分前後が普通でございましたので、その戰前の一応例をとりまして、せいぜい五、六分と申したので、低いに越したことはございません。
  8. 北條秀一

    北條秀一君 それでは一つ一つ堀さんに質問することをお許し願いたいと思います。
  9. 中川幸平

    委員長中川幸平君) 結構でございます。
  10. 北條秀一

    北條秀一君 次は償還年限でありますが、先程十年乃至十五年というお話でありましたが、この法案は御承知のように、木造の場合は十五年、コンクリートブロックの場合が二十年、鉄筋コンクリートの場合が三十年ということになつておりますが、この期間は、木造の場合は十五年が或いは適切かも知れませんがコンクリートブロック、或いは鉄筋コンクリートの場合は相当年限を長くしなければいけないのではないですか、特にこの金融機関に携わる堀さんの立場からいつて、こういうふうな年限について御意見がありましたら、お述べ願いたいと思います。
  11. 堀武芳

    公述人堀武芳君) お答えいたします。その御意見御尤もでございます。普通の民間金融といたしましては、大体住宅金融として木造の場合は十年乃至十五年ぐらいがせいぜいだと思います。コンクリートの場合は耐久性がありますから、その担保関係から行くと、もつとずつと長くてよろしいわけでありますが、ただ融資対象として見る場合に、法人なればやはり相当年限でもよろしいと思います。個人の場合ですと、やはり幾ら物件耐久性がありましても、融資対象として余り長くは融資できないのではないかと、こういうふうに考えております。
  12. 北條秀一

    北條秀一君 東京都には信用保証協会がありまして、信用保証協会個人住宅金融をやるという建前になつておるのでありますが、実際にこういう金融をやつていましようか、それとも実情はどういうふうか、御承知でありましたらお知らせ願いたいと思います。
  13. 堀武芳

    公述人堀武芳君) 信用保証協会のは大体中小企業対象としておりまして、個人住宅の場合は、私はまだ例は余り聞いておりません。
  14. 北條秀一

    北條秀一君 それでは堀さん余り承知ないかと思いますが、私共この住宅に困つておりますので、各個人、それぞれの給料取でも、その給料の実際を見て個人的に貸し得る建前になつておるのですけれども、実際には信用保証協会というものは、これについて動かないのです。それでは次に一つ意見を聞きたいのですが、先程公庫金融対象を拡大しろというお話がありまして、公共団体とか、会社等貸したらどうかということでありましたが、会社貸付けるというふうなことになりますと、実際に住宅に困つておる引揚者でありますとか、或いは戰災者でありますとか、こういう者はいつまでも住宅に惠まれないということになりまして、結局大きな信用力を持つたところがどんどん優先して行つて、そうして実際に住宅に困つているけれども、信用或いは保証力の少いという人は、いつまでも住宅に惠まれないということになりますので、そういう点が今回の住宅金融公庫に考慮されたと考えるのでありますが、そういうような重要産業でありますとか、或いは一般銀行会社に対しては、他の金融機関から住宅金融をするということは、今日の金融情勢からいつて非常に困難なのでしようか、その点について一つ意見を聞かして頂きたいのです。
  15. 堀武芳

    公述人堀武芳君) 今の御質問でございますが、信用のある方面に流れてしまうということの御懸念は、これは一定の枠を定めまして、純粹の個人の場合或いは会社の場合、金額において枠を定めれば、そういう心配は先ずないのじやないかと思います。それから会社の方に他の一般金融からそういう資金が出せないかと、こういうお話でございましたのですが、やはり住宅の場合は、先程申したように、年限が長くございますので、現在事業会社に対しましての金融を見ますと、一流会社の社債でも五ヶ年しか出せないという状態でございます。到底十年以上の資金が普通の金融からは得られないと申す外ございません。実際に非常に信用のある会社でも、現在では長期資金の獲得はむずかしいのであります。
  16. 北條秀一

    北條秀一君 実際に今の金融情勢から言いまして、各重要産業その他一般産業でありますが、それに対して住宅金融はどのくらい出ておるのでありましようか。その点若し正確な数字でなくてもいいのですが大体の趨勢を改めて一つ申して頂きたいと思うのですが。
  17. 堀武芳

    公述人堀武芳君) ちよつとその点はお答えする資料を持つておりません。前に復興金融公庫重要産業に対して勤労者住宅に出したのが相当金額つております。併し一般金融機関住宅会社住宅資金を出したというのは、私には例はないとは申せませんけれども、事実においてちよつと分りませんのでございます。
  18. 北條秀一

    北條秀一君 今度は宅地の問題について、堀さんに御意見がありましたら、それをお聞きしたいと思うのでありますが、今回の住宅金融公庫の発足によつて、まあ家を建てる資金供給されるということでございますが、宅地の問題に私は必ず近い将来に行詰ると思うのでありますが、若し宅地の問題につきまして、何か御意見がありましたら、お述べ願えれば非常に幸いだと思います。
  19. 堀武芳

    公述人堀武芳君) おつしやる通り宅地の問題は今後相当重要になつて来るのじやないかと思います。これは私の私見と申しましてはあれですが、やはり一定住宅地区というように定めたところでは、何ら利用せずに放つて置くということは、これはやはり許されないのじやないか。自分住宅を建てるか、若しくはやはりそれを分譲するなり、貸すなりというような措置を講ずべきじやないかというように考えます。
  20. 北條秀一

    北條秀一君 最後に一点お聞きしたいと思いますが、金融機関がこの住宅金融公庫融資を受託する際に、私共の非常に従来の経験から言いまして懸念するところは、銀行さんはどうしても銀行という立場から金をお貸しになる。ですから結局相手の担保力信用力というものを問題にされてお貸しなりますので、どうしても銀行がおやりになると、本当に住宅を必要とする個人にはなかなか廻らないということを私共は懸念するのでありますが、今回の場合にも、やはりそういう懸念が濃厚じやないかというように考えますが、その点について御意見を承わりたいと思いますし、若し銀行が真に民生安定の点から言つて、この住宅金融公庫の線に沿つて積極的にどしどし金を貸してやろうというためには、一体どういうような方法をとつたらいいか。先程銀行負担を軽くして呉れというお話でありましたが、その点について更に積極的な御意見がありましたらお知らせ願えればいいと思います。
  21. 堀武芳

    公述人堀武芳君) 今の御質問は一面非常に御尤もなんであります。ただ一面、又政府資金とは申しても、やはり貸付でございますので、それが回收を図るということが当然考えられております。ですから反面には余り政府資金だからといつて放漫な融資をするということはこれは戒めなければならない。そうかと言つて余り担保信用力に拘わり過ぎると困るという点で、そこの点は結局運用の妙に俟つよりしようがないかと思います。併し貸付決定金融機関がやるのでございませんで、公庫決定することになつておりますので、そうした点には十分社会政策的な点を加味されて決定されて行くべきだと考えます。
  22. 中川幸平

    委員長中川幸平君) 委員諸君に申上げますが、ここに只今堀武芳君が公務のために退席したいと言われるので、どうか御質疑があつたら……    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 中川幸平

    委員長中川幸平君) どうも有難うございました。  それでは次に、東京復興協力会主事渡辺正一君にお願いいたします。
  24. 渡辺正一

    公述人渡辺正一君) 只今紹介を受けました社団法人東京復興協力会渡辺であります。  今回のこの金融公庫法案に対しましては私共民間側といたしまして大賛成でありまして、一日も早くその実現実施されんことを期待しているのでございます。若干この法案内容から逸脱しているかも分りませんですが、この内容につきましては非常に結構だと思うのであります。要はその運用如何にあるんじやないかと思うのであります。初めての事業でもありますし、非常に複雑でありますから、その運用の妙を発揮して頂くことによつて、その効果が上るか上らないかが決定されるのじやないかと思うのであります。主としてこの取扱事務審査受付、そういつた仕事銀行窓口で行われるようになつておるのでありますが、実際問題といたしまして、この住宅金融という問題は他の一般庶民金融公庫あたりと違つておりまして、その受付に当つて書類等も非常に煩雑なものがあるんじやないかと思うのであります。例えば設計図を作るとか、或いは見積を添付するとか、そういつた点において非常に複雑な書類が必要になつて参るのであります。その受付けたその書類を受理するところの銀行において、そういつた專門家を置くということは、経費の点から言つて相当むずかしい問題が生れて来るのじやないかと思うのであります。従つてそれが銀行窓口通つて公庫行つた場合、公庫においては、その審査をいたしますけれども、銀行窓口で取扱うところの仕事はどうしても事務的になり勝ちになりまして、本当に欲しい人にそれが貸付けられるような運営ができるかどうかという点を非常に危惧されるのであります。公庫におきましては、最後決定権を持つて申込者が多数ある場合においては公開抽籤によつて決定するということになつておるのでありますが、最後決定権公庫にあつても、取扱事務、一番大切な窓口においてその審査というものが曖昧に行われたならば、実際一般大衆に向う金というものが、相当そこに不合理が生じやしないかという点を我々は心配するのであります。どうしたならばいいかと言えば、先程堀さんからもお話があつたようでありますが、金融機関負担を軽減するという意味合におきましても、或る程度そういつた仕事民間事務を委託するというような方法がとれたらいいのじやないかと思います。例えば各都道府県におきましては、住宅復興建設ということを目標にして、公益法人としてやつているところの民間団体相当あるようでありますが、こういつた機関に或る程度事務の代行を認めるというような方法がとれれば、銀行窓口に出すその以前に、或る程度完全な書類がそこで整備されるのじやないか、この問題につきましては、一部新聞紙上等においても拜見したのでありますが、不良な団体或いは業者がありまして、そういつたことを餌にして金銭を捲上げるというような行動もあつたようでありますが、そういう点を、むしろ当局において進んでで優良なりと認める団体を指定し、或いは公認して、民間側專門機関に或る程度事務を委託するというような方法がとれれば、最後効果至つて相当測り知らんものが生れて来るのじやないかと、こう考えるのであります。それからもう一点、これは実際問題といたしまして、この法案内容としては賛成でありますが、その運用上余程考えて頂かなければならんという問題で、一つ土地の問題なんであります。住宅を希望する方が土地を選定しまして、希望の大体の予定地を決めまして、その購入資金を申請するということになるのでありますが、申請するに当つて予定土地を決めて置きましても、購入しない限り、貸付けたときにはもうすでにその土地は他へ行つておるという虞れが多々あるのじやないかと思うのであります。予め手付金を打つとか、購入して置く以外に、土地なんというものは現在非常に深刻でありますから、容易に資金貸付決定してから土地を入手するということは困難な実情にあるのじやないかと思うのであります。それで建設をするために必要な土地というものは予め購入して置くということが、実際問題として必要ではないかと考えられるのであります。従つて家屋建築費を借入れるために、必要な土地はすでに購入されたものにも貸付けるというような方法が認められてもよいのじやないかと思うのであります。大体以上二点、非常に枝葉末節の問題かも知れませんが、運用上重要な点と認めまして、この点を申述べた次第であります。簡單でありますが、以上であります。
  25. 中川幸平

    委員長中川幸平君) 御質疑ありましたら、どうぞ。
  26. 北條秀一

    北條秀一君 渡辺君にお伺いしますが、住宅供給社団法人立場から今お話なつたと思いますが、あなたの方では住宅供給をされる際に、公庫から金を借りて家を建てる、その後その、建てた家を住宅必要者に公開で以てこれを貸付ける、即ち公開という意味は誰でも彼でも必要な人に後で貸付けるということになるわけでありますが、どうしてもこういう際におきましては、こういうふうな住宅供給法人がやる場合には、よく俗に言います紐付というような関係が生じて来ると考えるのでありますが、こういう点について懸念すべき点はないかどうか、御意見がありましたらお聞かせ願いたいと思います。
  27. 渡辺正一

    公述人渡辺正一君) 只今質問意味は、いよいよ貸付になつてから、建築はどうしても最初その手続をしたところの団体に任さなければいけないのじやないかというような一つの紐付の因縁が付かないかというような御意見のように承つたのでありますが、その点は予め公庫法案のその細目の中にあつたように考えるのでありますが、建築は特に指定しないことになつているようでありますから、都道府県において指示し、監督して、そういつた紐付の行われないようにする方法は、都道府県の責任においてやることはできないかと思うのであります。
  28. 北條秀一

    北條秀一君 次に、先程から堀さんにもお聞きしたのでありますが、あなたの立場から言つて、今回の貸付の利率の問題と、それから資金を借りる方が二五%の頭金を持たなければならんと、この二つの点について、現在こういう二つの條件で果して住宅の本当に欲しい人に金は貸せるかと、私はそれを懸念するのですが、その二つの点について御意見をお述べ願いたいと思います。
  29. 渡辺正一

    公述人渡辺正一君) 私共社団法人といたしまして、終戰後無料相談所を開設いたしまして、住宅の復興、建設、それをモットーにして住宅関係仕事をしているのでありますが、従つてこの住宅金融公庫の案が新聞その他によつて発表せられまして以来というものは、公庫内容、そういつた問題につきまして、その内容を知るためにお尋ねになつておいでになる方が相当ございまして、そのたびごとに常に建設省或いはその他東京都、関係方面を訪れまして、大体の案をその方逹に取次ぎをしている状態なのでありますが、その方逹の状態をお聞きしますと、七割五分、利率五分五厘で十五ヶ年間で償還するということは非常に有難いことであるけれども、実際問題としてここで五万、六万といういわゆる頭金を持つている方は非常に少いのであります。私共現在までに公庫に対するところの質問においでになつた方の記録といたしまして、約千六、七百名の方を相手にしているのでありますが、その方逹の五〇%以上というものは、この頭金のない方が多いのであります。それでこの公庫が発足になりましてから、申込みを受付けまして、いよいよ最後の抽籤によつて決定するというその期間というものがどれだけの期間があるかということはまだはつきりいたしませんが、例えば一ヶ月あるものといたしまして、その一ヶ月の期間に頭金の二割五分というものが果してでき得るかどうかという点を我々は非常に疑問に思つておるのであります。七割五分の貸付が借りられても、あとの頭金ができないがために、建築ができないという方が相当多いということを、我々の今までの実績によつて或る程度危惧されるのであります。大体御質問の点についてお答え申上げました。
  30. 北條秀一

    北條秀一君 その千七百人の相談を受けられたということでありますが、まあ頭金は成る程事情は分りましたが、先程宅地の問題を述べられておるのですが、土地の問題はその千七百の人逹は殆んど解決しておるのでありましようか。
  31. 渡辺正一

    公述人渡辺正一君) 頭金と同樣、この土地を持つておられない方が非常に多いのであります。はつきりした数字は記憶しておりませんですけれども、大体の状態といたしまして、七〇%乃至八〇%、恐らく十人中七、八人以上という者は土地を持つておられない方が多いのであります。従つて土地代も建築費と共に貸受けたいという方が非常に多いのであります。その土地を取得する場合にどういう方法をとつたらいいかという問題になつて来ますと、先程申しましたような点で非常に苦しまなければならんという、こういう状態になつて来るのであります。又中には例えば土地を持つておるにしましても、この法案の中にあるところの三分の二以上、例えば十坪の家を建築する場合、三十坪の土地が要るようになつて来るのでありますが、土地は十五坪しかない、或いは二十坪程度ならあるというような点におきまして、この法案内容に合致しないところの方も相当ありまして、土地の問題で困る方は恐らく八、九割程度あるんじやないかと思われるのであります。
  32. 北條秀一

    北條秀一君 重ねて土地の問題についてお伺いいたしますが、それではその土地の方は、これに金を貸せば土地は実際に入手できましようか。例えば東京都のような場合、余程これは政府或いは都庁その他において土地の斡旋に積極的に乘出して行かなければ、時によれば宅地の調整法というようなものを作つて、強制的に遊休宅地を調整をするというような方向に持つて行かなければ、金があつて土地が入らぬのではないかと思いますし、又土地を手に入れるにも実際に一般の国民が到底負担できないような地価に、今後とも地価が上つて来るのではないかということを懸念するのですが、その辺の事情をお分りになりましたらお知らせ頂きたいと思います。
  33. 渡辺正一

    公述人渡辺正一君) 一般衣食の物価は非常に下つておるようでありますけれども、この土地だけは現在上昇の一途を辿つておると見てもいいのではないかと思つております。尚この住宅金融公庫法案等ができまして、住宅建設が積極的に進められる事情になれば、土地代というものが相当つて来ますし、土地の選定という問題はますます困難になるということが我々として予想されるのであります。何分土地という問題は建築に当つて最も重要な関係を持つておるのではないかと思われるのであります。人間一生家一軒建てるということは非常に重大な問題でありますが、環境、地域、そういつた問題におきまして、土地の選定という点においては、家を建てる方の最も頭を悩ます問題ではないかと思われます。従つて先程も申しましたように、申込の受付期間、それを決定するまでの期間というものが半年乃至一年も置くということはできません。一ヶ月或いは長くて二ヶ月間に決定をしなければならんと思うのでありますが、その間において頭金の問題も勿論でありますが、土地を選定して決定するということは、その短期間にやるということは非常にむずかしいのではないかと思われるのであります。この点先程御質問にありましたように、都道府県において或る程度何らかの方法を設けて、土地の選定の助成法を講じて頂くということは非常に必要なことではないかと考えておるのであります。
  34. 北條秀一

    北條秀一君 私一人質問しまして非常に恐縮でありますが、もう一点だけ渡辺さんにお伺いしたい。これは住宅金融公庫融資事務民間に委託したらどうか。而も民間の公益団体に委託したらどうかというお話でありましたが、その渡辺さんの考えられておる公益団体公益法人とは、一体どういうふうなものが具体的にありましようか。その点を一つ聞かせて頂きたいと思います。
  35. 渡辺正一

    公述人渡辺正一君) 非常に手前味噌になるかも知れませんですが、我々社団法人東京復興協力会というものは、利益を目標にしないのでありまして、事業の目的といたしまして、東京都におけるところの住宅復興建設ということを目的にし、そのためには若干の手数料は頂く。その代りそのために建築の斡旋をいたしましても、特別に利益を得ないということを目標にしておるのでありまして、そのためいわゆる税金も免除されており、常にその事業内容事業の推移或いは計画、結果というものは、監督官庁であるところの東京都の方へ報告をし、指導を受けてやつておるのでありまして、非常にその内容公益法人としての使命を尋常に果しておるというふうに言つていいのじやないかと思うのであります。こういつた種類の団体東京都下においても或る程度まだあるように聞いておりますし、その他各都道府県にあるように聞いておりますから、そういつた機関に或る程度事務を委託をするということは、先程の金融機関負担を軽減する上におきましても、又当局のこの法案の実行に協力する上におきましても、又住宅に困つておるところの一般民間人の手助けをする上におきましても必要なことではないかと思いまして、この点住宅金融公庫法案の中で第十七條の三でありますが、この中に「公庫は、前二項に規定する業務の外、主務大臣の承認を得て、左の業務を行うことができる。一、住宅の設計及び工事に関する指導、二、住宅建設に必要な土地又は借地権の取得に関するあつ旋」、こういつた事業を行うことになつておりますが、こういつた事業の一部を民間団体に委託するということをお認め願えれば非常に結構だと思うのであります。
  36. 中川幸平

    委員長中川幸平君) よろしうございますか。……次は家庭婦人の立場の中林つるさんにお願いいたします。
  37. 中村つる

    公述人(中村つる君) 御指名を頂きました中林でございます。私は公述という公なことではなく、本当にふだん考えておりましたことを皆さんにお聞きして頂きたいと思います。このたび政府において、私逹庶民のために住宅金融公庫法案をお出しになられたことは、本当に私逹嬉しく思います。それを正しく有効に活用をお願いいたしたいと思いまして一言申上げたいと思います。  それには申込者の家庭をよくお調べになりまして、本当に住宅の困つていらつしやる勤労者であつて信用のできる方お願いしたいと思います。それから自分の家を持つていない人、それから同じ困つておりましても、現在私としては、中学校以上の学校に行つていらつしやる子供さんの勉強する部屋がないとかいうようなことで困る方などに、優先的に金融して下さることを希望いたします。それから土地のある者を先に、土地を見付けてから建てるということならば、今のお話のようにいろいろ問題があるようでございますから、先ず第一土地のある人に先にお許しになつたらよいのかと思います。それから私が一番痛切に思うことは、建築費の全部をお借りしたいと思うことなんですけれども、それは折角政府のこういうよい案が、七割五分をお借りいたしましても、あと残りのお金が、現在こういう私逹初め勤労者の方には、外からお借りしますと利子が高いので、折角の政府の親切なこともそれがために躊躇することになります。それからその工事を取扱う者も、信用のある者を政府から任命をいたしまして、良心的に安くてよいものを建てて下さるようにお願いいたしたいと思います。それからお金も業者に皆渡してしまわないで、見積りをいたしまして、その見積りの大体の総工事費を、つまり許された方の名前にして政府から銀行に預けて下さつて、そうして工事のでき上りの都合によりまして、分けて業者にお拂いして下さると、そうすれば借りる人も、それから業者の人も不正なことはできないのではないかと思います。私も現在子供が勉強する部屋がないので困つておるものでございますから、是非こういうことを実行して頂きたいと思いまして、お願いに上つたわけでございます。
  38. 中川幸平

    委員長中川幸平君) 御質疑ございましたらどうぞ……。一緒に参りますか。次は、大和建設株式会社社長宮澤小五郎君にお願いいたします。
  39. 宮澤小五郎

    公述人(宮澤小五郎君) 私宮澤小五郎でございます。大和建設社長となつておりますが、実際その通りでありますが、実は私は住宅営団の理事を約五年程、その前に同潤会で十七八年経営をいたしておつた。それらの経験に基いてちよつと意見を申上げたいと思います。第一今日の住宅事情から申しまして今回住宅金融公庫を設けられることになりました政府の御努力に対しまして、正に全幅の敬意を表するものでありまして、本法が一日も早く議会を通過し住宅難の緩和に資することができるよう、而してそれがためにこの公庫の機能が十分活用せられ所期の目的を逹成し国民感謝の的となることを冀う上からいたしまして、二三できますれば修正を願いたい点をこれから申上げます。大体四つございます。一つ貸付対象となるところのものは法第十七條第一項一号二号三号と三つになつておりますが、一号二号に該当する個人又は組合に対する貸付金額は前にもどなたかおつしやつたのでありますが、建築費の七割五分とありますが、これを何とかいたしまして九割ぐらい、少くも八割五分くらい以内として、且つまた償還期限十五年とありますのを二十年、二十年とありますのを二十五年と修正願えれば大変結構であります。政府の大体構想しておられますこの個人住宅は十二坪で一坪一万七千円平均、東京あたりでは一万八千円という予想額でありますが、土地共にこれを取得いたしましてそうして七割五分の金を借りますときにその負担は七万三千二百円になるのでありまして、これは算盤上の金でありまして、実際はこの外にやはり門を建てるとかその他の雑費もかかりまして、まず大体十万円の金を用意しなければ十二坪の住宅は建てられないということになるのでありますが、現在の勤労者としてなかなか十万円近い金を出すことは容易でなかろう、もう少し程度の低いところに持つて行つてもつと多くの困つている人に均霑させるというためには、やはりこれを八割五分、できれば九割ぐらいまで持つて行きたいものである。八割五分というふうになりますと自己の負担は三万三千六百円でありますが、約五万円持つておれば十二坪の家に住める、こういうことになると思います。なるべく簡單に申します。第二には十五年を二十年にいたしたいというのはこれは昔住宅組合に貸付いたしました場合には皆二十年でありまして、貸家というものは非常に借家人がぞんざいにいたしますからなかなか持ちが惡いが、自分の家になりますとこれは私の長い間の経験によりますと、実に作つたときよりももつとよくなつているのではないかと思います。自分の家になりますと自分のものだという観念が強くなつて非常に大切にいたします。自分の家でしたらこれは金利を二十年を三十年にしたつてその差は非常に少い、これは二十五年に延ばしてもいいじやないか。大体十二坪の家を自分のものといたしますと償還金にどのくらいかかると申しますと、火災保險、これが大体月額百七十円、修繕費が大体百五十円、固定資産税、現在地方税法によりますと、三百四十五円それで合計六百六十五円かかるのであります。その他に今の償還金が若し十五年月賦で約二十万円の金を借りると月額千六百四十五円となりこれに火災保險料、修繕、電気、税金を加えますと二千三百円の負担になる、これを二十ヶ年月賦にしますと月額償還金千三百八十四円となり大体月二千円ぐらいの負担で済みます。今日の勤労者の生活上二千円ぐらいでこの際負担できないことはありますまいが、これを超えないことは容易なことじやないと思いますから、この十五年を二十年に直すことにして頂きたいと思います。これが第一点。  第二点は第十七條第三号の貸家の場合であります。これは大体政府のお考えでは鉄筋コンクリート造のアパートメントの貸付を予定いたしまして一応これに対しては研究をいたしてみたのであります。これは貸家でありますから自己の資金でなくても入れるものであつて、最も大衆的なものであるから成るべくこれを何とかして建つようにするにはどうしたらいいかということで以ていろいろ研究いたしましたが、若しこれが会社でありますと十二坪ですと家賃を三千五百円ぐらいはどうしても取らなければならぬことになる。政府におきましては大体のお考えは二千円程度家賃にしたいのだというお考えを持つておられるようであります。そうすると毎月一戸から千五百円の減損が出る、千戸ならば毎月百五十万円、大変大きな損失が生ずることになる、とても二千円ぐらいでは貸すということはできない、会社で作ることは困難である。もう一点は会社として一千戸のアパートメントを建てるには一億円の金を用意せねばならぬ、一億の資本を持つて住宅の経営をせねばならぬ。三億円を借りてその金を返すとすれば今申しました通りに三千五百円の家賃を取らなければならぬということは、これは実際に行い得ないものであつて、よくし得ないことであろうと思います。ですから結局としてはこの案を実際に行うには東京都とか或いは神奈川県とか、都府県におきまして都府県の費用を以て財団法人のごときものでも作つて、そうしてそれにやらせるとこういうことになるのじやないかと思うのであります。これについてもいろいろ私は計算をいたしてみたのであります。その際にどうなるかということにつきましては成るべくこれを安くしたいという考えから、約十坪平均でありますから八坪のもあり十二坪のものもありますが、十坪の平均にして六疊、四疊半のアパートメントを建てると仮定いたしまして、非常に建設費も安くする、いろいろなことから考慮を拂いまして、結局それでも仮に東京都が二千戸のアパートメントを建てる財団法人を作るといたしますと、敷金として一億七千万円の金を先ず納めなければならぬ。これを無利子にいたしましてただ出しているといたしまして三十年の年賦でこれを拂いますというと、家賃が約二千三百円になる。それでは一億七千万円を出しておいてそうして二千三百億で貸すということになると、現在東京都で貸家を経営いたしておりますアパートメントは政府から半額の補助を受けて千円ちよつとで貸しているので、非常にそこに不公平が起こつて来る。これに近付けるべき何か方法がないかということをいろいろ研究いたしたのであります。先ず第一に欲することは一億七千万円の金があつて二千戸のアパートメントを建てられないという不自由を打開して、営利を目的としない財団法人がやる場合にはこれをやはり全額までは貸すことができるのだということにして、成るべく府県の設立しよい方法で補助してやるのが第一だ。第二には金利の五分五厘ですが、さつき高いという御質問があつたようでありますが、金利の五分五厘というのは銀行金融機関を経て貸すために、金融機関に支拂うところの金が私の想像でありますが、約三分ぐらいかかるのじやないか。私の従来の経験或いは政府の考えておられます收支計算を見ましても、三分ぐらいに当つておるのじやないかと思いますが、仮にそういうものができますというと、これは全国にいたしましても十か十五に過ぎないと私は思うから、直接これは公庫から貸付けることにすれば簡單ですから……。どうせ書類公庫審査するのですから、これは公庫が直接貸す、そうして三分の鞘をここに外してこれを今の二分五厘ぐらいにする。二分五厘にいたしますと今の十坪の場合におきまして私が計算しますと千八百五十円ぐらいの家賃で貸すことができる計算になるのであります。なかなか貸家と申しますのはいろいろ金のかかるものであつて、現在の十二坪の家の償還金が一体どのくらいかかるかといたしますと、火災保險料約一戸当り百円、修繕費百五十円、公課四百円、管理費として二百円、空家その他の損失補償五十円、その他の衛生、掃除とかいろいろな諸雑費というものが百円、千円はどうしても十分かかる。何とかこの償還金を安くするためには今の金利を下げる、これは一体公共団体で無利子でやつたらいいじやないかと思いますが、そこまで行かなくても少くとも二分五厘ぐらいには、これはなし得るのじやないか。これは法律では第二十一條に五分五厘としてありますから、年五分五厘以内として直接貸す場合には二分五厘でもこういうものは貸せる、こういうふうに実際いたしましたら非常にいいのじやないか。そうしましたならば公共団体で先ず奮発して頭金ぐらい持出してあと経営が行くと、こういうことになるのじやないかと、こう思います。この第三号の貸アパートメントは一番私は関心を持つていろいろ研究をいたした結果、どうも何とかそういうふうにして行かなければこれができないのじやないだろうかということを非常に恐れているのであります。  それから第三点、地方公共団体にこの金を貸してやることは政府も非常にいいと認められているのでありますが、ただ地方公共団体には借金の枠がある、この枠を殖やすことは起債能力に限度がありますから、これを殖やすことが困難だから、公共団体には貸さないのだと、こういう御意向を持つているようでありますが、それならばこれは金融公庫でありますからちよつと問題がありますが、できれば何とかこれを特例として、この貸アパートメントだけは公庫がやると、こういうことにして、それを全部建築管理を公共団体に委嘱したらいいのじやないか。現にこの公庫仕事をするにおきまして、いろいろ検査とか、その他の問題は地方公共団体に委託されることになるそうでありますが、何とかこの作業を委託して行わせる、そうすればこれはどんどんできるのじやないか、こう思います。  それから第四点として、民間の分譲住宅專門業者を利用することをお考えになつてはどうか。これにつきまして民間の分譲業者というものに若し貸すことにすれば、貸付或いは会社事務が簡略になり住宅の大量生産による工事費を低下させることができる、そういうことは政府もお認めになつているのであります。ただこれが長期間に亘つて貸して返して貰うについて不安がないだろうかという問題と、それからそういうものを選択をするのが大変困難だと、この二点から專門業者を利用することに対して、躊躇されておるようでありますが、今の不安の問題につきましては、その投資建物はこれを抵当に取るような、然るべき方法をとつたならば、この不安がなかろう。第二の選定に困るんだという話でありますが、これはただ金を貸すのであつたら困りますが、一定土地を示し一定の計画を示したものを以つて三十なり五十なりまとめてやるというような計画が実際にできれば、認めるということはそう私は沢山ないだろうし、そういうことにすればいいのじやないかということを思うのであります。  第四の点は、この法案を多少修正してでもそういうことができるようにやりたい、こう思うのであります。もう一つの点は実はこの法律に直接関係あるようでないような問題でありますが、今もお話にでましたが、都市土地法とでも言うべき法律を一つ政府なり議会でお作りなさることはできないか。都市土地法、そうして住宅敷地の投資化を防止する、これはただ自分土地を持つて値上りを待つているとか、折角の土地を空けて持つておる者がある。これに対しては相当民権を圧迫するのでありますから相当重大な研究を要すると思いますが、都市の住宅のために都市土地法とでもいうべきものをお作りになつて、そうしてこの空いているものは然るべくこれを政府が買上げる、或いは公共団体をして買上げさせる、そうして実際必要なものにそれを取得する便宜を與える。まあ農地法みたいな問題でありますが、これは余程性質は違いますが、そういうようなことは一体前から段々これは問題になつておるのでありますが、何とか、こういうことをやつて頂かなければ果して今年計画する八万戸ができるかということは、一にかかつてこの土地の問題に相当あるだろうということを心配するのでありますから、何か別途にこの法案と一緒に都市土地法というものをお作り下さつたらどうだろうかということを申上げます。時間がありませんから簡單に申上げました。何か御質問がありましたら申上げます。
  40. 中川幸平

    委員長中川幸平君) どうも有難う。質疑は一緒にいたすことにいたしまして、次は産業別労働組合幹事吉田秀夫君にお願いいたします。
  41. 吉田秀夫

    公述人(吉田秀夫君) 全日本産業別労働組合幹事の吉田秀夫であります。産業別組合会議というものは單に労働組合を代表するのみならず、実は加配米とか作業衣、そういつた労働用物資の問題で殆んどあらゆる地方の労働団体が集つて構成し、又地方の労働者代表もこれに参加しております。労務用物資の全国会議を代表しまして、全国の労働者としまして住宅問題につきましては素人じやないですが、そういう点からと、もう一つは私現在内閣の社会保障制度審議会、社会保障審議会の委員も兼ねておりますので、そういう面からもこの問題について意見を申上げたいと思うのであります。  大体この住宅金融公庫法案勤労者や或は引揚者、戰災者等の非常に住宅に困つている者を対象にするという点につきましては、一応社会政策的な意義はあるのでありますが、ただ具体的な内容につきましては、殆んど自己資金を持たない我々労働者階級にとりましては、殆んど無縁の長物である、或は絵に描いた餅に過ぎないと、そういつた印象をはつきり我々は持つております。その点で反対せざるを得ないのであります。例えば二月下旬から三月の初めにかけまして、関西方面におきましては労働者側も或は資本家側もこの法案につきましては非常な期待を持ちまして、大挙上京したり国会その他関係方面にいろいろと陳情したのでありますが、その当時は圧倒的にこの法案については上京なさつた方或は関西方面の方逹は期待を持つていたわけであります。併し在京中に或はその後のいろいろな審議の経過におきまして、この法案自体が大して本当に困つている或は低賃金で苦しんでおります労働者階級にとりまして役に立たないというようなことが、その後の関西のこの問題についてのいろいろな会議の模樣を我々は東京で受取つておりまして、現在におきましては非常に失望しているというのが事実であります。その点前置としまして、現在の労働階級の生活状態はどうか、或は住宅問題にどういうふうないろいろな具体的な調査があるかというような点を簡單に申上げたいと思います。  先ず第一に労働者の住宅の欠乏、非常に著しい欠乏自体が生産を阻害しているという事実であります。この点につきましては、関西の産業復興会議によりまして昨年の六月いろいろな調査がなされました。大体こういう調査自体は、終戰後最も要求する問題としまして、自分逹の住宅が欲しいという要求があつたことは確かであります。それで大体住宅資金になる対象としまして、実は労働者にとりましては厚生年金という年金制度があるわけであります。この厚生年金は現在二百億近い積立保險が労資双方の負担によりまして積立てられ、これが厚生省の保險局から大蔵省の預金部にあるわけであります。この金が司令部のメモランダムによりまして全然凍結になりまして、法律的にはその中の一部を労働者の住宅や、或いは厚生施設に融資してもいいというようになつているに拘わらず、今以て一銭もこの融資がないわけであります。そういつたことにつきましては、今までたびたび労働者側からも或いは資本家側からも要望があり、司令部等にも働きかけがあつたのでありますが、併し具体的にそれにつきましてはデータを出せというようなことで、関西産業復興会議の労使双方ともこの調査にかかつたわけであります。この調査の内容を申上げますと、例えばこの調査の対象なりました関西の栗本鉄工所本社工場、或いは日本橋梁、アルマイト工場の神崎川工場、東洋ゴムの大阪工場、この四社の労働者約千八百七十八人について調べたのでありますが、これは住宅会社関係、特に通勤の所要時間別の関係でありますこの関係からいきますと、大体三十分以内に通勤できるというのが四五・八%になつております、一時間以内というのが三一・四%、一時間半以内というのが一四・九%、二時間以内というのが六・三%、二時間半以内が一%、二時間半以上もかかるというのが〇・五%あるわけであります。そのために普通の成人の男の労働者の平均の欠勤日数が、三〇分以内の場合には三・一二%、一時間以内の場合には四・二八%、一時間半の場合三・〇八%、二時間以内の場合には四%、二時間半以内の場合には一・五%、更に二時間半以上もかかるという労働者は三・三三%も平均欠勤が多いわけであります。更に遅刻の場合を申上げますと、こういう統計がずつとありますが、やはり一番多いのは二時間半以内、或いは二時間半以上もかかるというのが圧倒的に遅刻が多いのでありまして、最後にそういう交通事情のために非常に疲労するというような統計になりますと、二時間半以上もかかる労働者は一〇〇%、非常に疲労するというようなことでその次は順次時間がかかるその範囲内で八三%、或いに六割、或いは五十何%、三九%ということになつておりますが、こういつた事実そのものが、やはり非常に生産を阻害し、或いは労働者の肉体を消耗し、結局生産も或いは生活も破壊していくというような事実だろうと思うのであります。更に住宅難自体が労働者の殊に結核患者を増大せしめておりますが、これは最近の日通、といいましても通運会社でありますが、この関東日通の労働者の実質的な統計によりましても、例えば新橋にあります汐留というような管内の労働者は、疊一疊か或いは二疊に一人というような割合で、非常に密集した地域に住んでおります家族は、圧倒的に結核の罹患率が高いのであります。併し靜岡或いはその他の僻地でありまして十疊に一人、二十疊に一人というような、これは何か戰時中のいろいろな施設を利用しているというような形になつておると思うのでありますが、こういつた割合に楽な余裕のある住宅におきましては殆んど結核の罹患率が少い、或いは殆んど皆無に近いというような統計も出しております。更に昨年の十月の労働組合の調査協議会の生活実態調査によりますと、住宅の不足で非常に狭苦しくて休息もできないというのが六割六分に上ります。それから追い立てられて困つているというのが一二%、別居しているというのが七・七%、共同生活が非常に不便だというのが五%、疊上げもできないで非常に不衛生だというのが五%以下その他になつております。  で具体的にそれでは労働者はどれくらいの住宅を欲しがつているかという統計が、やはり関西産業復興会議の昨年の四月の調査でありますが、例えば工員につきましては十二万五百七十二人のうち住宅が絶対に欲しいというのは、一万三千八百三十五人約一割一分五厘であります。職員につきましては二万二百十四人のうち欲しいというのが三千五百九十三人、これが一割七分になつております。結局十四万近い工員と職員の、労働者側の殆んど一割二分以上がどうしても住宅がないでは困るというような統計になつております。これが大阪府下の八十万の労働者と仮定しますと、その中の約九万二千余戸が直接間接に住宅がなければ困るという対象になるわけであります。又大阪府下の重要産業中、比較的大規模な工場の住宅需要の戸数は約一万戸に上るといわれております。この点で大阪側の労使双方の要望としましては、今回この住宅金融公庫法案の実施によりましては、重点地区を選んで欲しいというような要望すらあるわけであります。これが一昨年でも大体資金難で余り建設がなされておりませんし、昨年はより以上資金難で殆んど絶望状態であつたというようなことになつております。  更に労働者の家賃その他の負担の状態でありますが、これは東京の亀有の日本紙業という割合に古い会社でありますが、ここの昨年の五月の統計によりますと、最低五十円以下の家賃から最高四百円までの家賃の分布状態が一応出ておりますが、これは時間がありませんから割愛しまして、大体一戸あたりの平均家賃は百九十四円四十七銭になつております。更にこれはCPSの統計によります二十三年の十一月の東京都の家賃の階級別の統計でありますが、二十円未満が四%、二十円から五十円が一九%、五十円から百円が二五%、百円から二百円が二四%、二百円から三百円が一一%、三百円から五百円が七%、五百円から千円というのが四%、千円以上というのが僅かに一%であります。更に非常に古い既存の貸家と新らしい戰後の貸家の統制の家賃の比較は、ちよつと古いのでありますがそれを申上げますと、昭和十四年に建てました家賃が、このCPSの東京都の統計によりますと二百一円七十銭であります。二十四年に建てました家賃によりますと二千四百七十九円六十七銭ということになつております。これが生計費のうちに占める住居費の割合は戰前は僅かに一六%二で、そのうち家賃の占める割合が一三%一であつたのであります。これが全然新築というようなことを度外視しましてそのままで現在の労働者低賃金と兼ね合いますと、二十四年五月のCPSの発表では戰前の一六%二というのが七・四%に圧縮されております。このうち家賃の占める割合が二・四%であります、ところが十坪の新築の木造住宅なりますと約二千五百円程度家賃を拂い、それが現在の労働者の賃金からいいますと生計費の二割以上になるというようなことになつております。  それでは現在の労働者の賃金状態はどうかというようなことになりますと、二十四年度の、これは政府が発表しております毎月の勤労統計によりますと、常雇いの労働者特に産業別に見ますと工業でありますが、この労働者の平均賃金は毎月決つて貰える現金の給與が九千四百三十四円である。その他残業やその他で臨時にその月限りに入るものが二百九十六円で合計九千七百三十円になつております。これは一応の政府の統計でありますが、現在におきましては更に金詰りや或いは中小企業の崩壊によりまして、平均以下の労働者の数が恐らく六割、七割を占めるというような状態であります。殊に最近は失業した連中が職業安定所に参りましても二千円や三千円で一応大の男が働く、そういうような形で就職の斡旋をされる、そうして五人十人の非常に小さな工場におきましても四千円で働いている熟練工を首にして、二千円、三千円で新らしい労働者を雇うというような形になつて非常に賃金が切下げになつております。更に厚生省の二十四年度昨年十一月の統計によりますと、約十四万余の政府管掌の健康保險の事業所でありますが、三百人以下の事業所でありますが、ここに約三百三十二万人余りの労働者うち男が二百四十四万人、女が八十七万という数になりますが、その標準報酬月額が六千三百七十五円になつております。男が七千三百三十五円、女が三千七百五円ということになつております。これは大体健康保險が赤字で、大蔵省も実際の賃金に合わして税金と同じように強行に引上げるというようなやり方をやりました結果がこの形なんでありまして、恐らくこれは三百人以下の中小企業の標準月額の一応の水準じやないかと思うのであります。これに対しまして三百人以上千人、二千人、或いは五千人というような大企業の所になりますと、これは七百六十五の統計でありますが、二百八十四万人の労働者のうち二百二十一万人の男、六十三万人の女子労務者というような形で、平均の手取りが八千九百五十円になつております。男は一万円と百十八円でありますが、女は四千八百六十六円というような賃金状態になつております。  こういつた状態から見まして、それではこの住宅金融公庫法案が実施される場合、こういつた賃金或いはこういつた住宅に悩んで、或いは結核に侵され、その他非常に苦労をしている労働階級にどういう利点があるかといいますと、何と申しましても今までの公述人の方の御意見にもありましたように、五万円乃至七万円の自己資金がなければ到底住宅が建たないという形におきましては、我々労働者側からいたしましても金融公庫法案自体、この法律自体が高嶺の花であり、全然労働者階級には縁がないといつてもよいと思うのであります。  次に具体的にこの法案内容につきましての意見を申上げたいと思います。第一番目の融資対象でありますが、この問題につきましては、單に労働組合ばかりでなしに関係のあるいろいろな民主団体の意向も聽いて、その上で共同して今まで陳情なり請願という形もあつたわけでありますが、そういうことも含めて一応意見を申上げたいと思うのであります。第一番目に、大体大企業会社につきましては職域の生活協同組合があるのでありますが、こういつた生活協同組合を融資対象にして貰いたいというような意見。それから住宅組合につきましては今までいろいろな功罪があり、批判があり、失敗があつたのでありますが、それを更にもう一遍戰後の新しい状態に合わせて考え直して、もつとこの住宅組合を活用するような途を講じて貰いたいというような点が第二点。更にこれは関西の労使双方の要望であり、又私のところに日本発送電会社の労使双方の意向としまして、要望が来ておりますが、会社側が給與住宅として出すというそういつた対象につきましても、是非今回の住宅金融公庫法の対象にして貰いたいという意見があるわけであります。この点は例えば会社側が責任を持ちまして、その資金の斡旋なり家賃の設定なり、或いは若し退職する、それを抜けた場合には一応労使双方によりまして割合に円満に行くというような意見があるわけであります。こういう点が融資対象につきましての一応の要望であります。  更に住宅の規格の問題でありますが、これは我々が労働組合側として打合せたときにも大分問題があつたのでありますが、例えば百五十億の約三割がコンクリート建の集団住宅であるというようなことを全然やめて頂きまして、これを全部最小限度の耐火設備を持つた住宅に切替えれば、恐らく一倍半から二倍ぐらいの、十五割から二十割ぐらいの戸数が建つのじやないか、そういうように小規模の住宅融資を受けられるように最小の建坪に引下げて貰いたいというのが要望であります。こういうようになりますとやはり家賃も恐らく下がるだろうと思いますし、それに均霑する人逹の数も非常に多くなるという点が理由であります。  それから融資率につきましても、これは今までの御意見にもありましたように七割五分というようなことでなく、全額を融資するようにして頂きたいというわけであります。この理由につきましてはとやかく申上げる必要はないと思うのであります。  更に融資方法でありますが、これは非常に重要な要望としましては、民主的にこの融資をするための融資住宅管理委員会というようなそういつたもの、これは協議会、管理委員会、名称はどのような形でもいいと思うのでありますが、少くともこの融資を受ける対象によつて構成される、殊に労働者側、引揚者側、或いはその他の民間人の参加を前提にする、そういつた民主的な融資のための住宅協議会、或いは住宅管理委員会、そういつたものを設けて、具体的な仕事をする場合に適正、公平を期して頂きたいというわけであります。更に業務の委託、特に金融機関にこの窓口を委託するという点でありますが、これは先程も話が出ましたようにやはり窓口業務は全部地方庁に任して、地方庁が具体的にやるというような形が望ましいというわけであります。結局最終決定は、いろいろな決定をする場合には、前述の管理委員会なり協議会がやるという建前にしまして、具体的な窓口業務は地方庁にお願いしたい。この理由は、銀行等の金融機関になると勢い担保力收入等を重視することになりまして、一番困つている労働者や引揚者その他の住宅希望者が除外される危險が多分にある、單なる金貸の機関になつてしまうというのが理由であります。  それから貸付の利率の問題でありますが、これが法律によりますと五分五厘になつております。これが先程ちよつと触れました厚生年金の二百億近い積立金のうち約一割を労働者の住宅その他の施設に廻そうという動きが三月からずつとありまして、これが大蔵省、厚生省、預金部の審議会を通りまして司令部に折衝中でありますが、大体この厚生年金というのは労働省、資本家によりまして積立てられました金の融資ですら、大体大蔵省が、五分の利子金融機関にこの金を貸し金融機関従つてそれに二分五厘を加えて、二分五厘の手数料で融資をするという形になつておりますが、この点から見ましてもこの五分五厘というのは非常に高率でありできれば三分以下に下げて貰いたい。殊に先程お話のように、二分五厘ということになりますと非常にこの点では借りる方の有利になると思います。その点の問題につきましては、例えばやはり土地の問題でありますが、土地の問題につきましては、現在相当神社仏閣等の土地で安く拂下げになつております対象が可なりあると思います。それから公有地や官有地でも相当対象になつていると思いますので、こういう土地につきましては優先的に何かの特別な制度を設けられて、土地の取得につきましても特別な法的な措置を講じて頂きたいと、そう思うわけであります。  以上のような我々の要望事項がやはり具体的にこの法律の内容に盛られませんと、結局は相当の金を持つた労働者でなければ実際には借りられないし、又借りたところで現在六千円や一万円にならないような低賃金の労働者にとりましては、月々二千円もの家賃その他のいろいろな負担金はとても拂えないというのが現状でございます。以上でございます。
  42. 中川幸平

    委員長中川幸平君) どうも有難うございました。只今までの御発言なりました吉田秀夫君、宮澤小五郎君、渡辺正一君、及び中林つるさんに対しましての御質問ありましたらどうぞ。
  43. 岩崎正三郎

    ○岩崎正三郎君 吉田さんに御質問したいのですけれども、実は昨日の委員会でもこういう話があつたのです。工場や会社が、これは給與住宅ではないけれども、やはり公庫の金を借りてそうして住宅建設をして労働者に貸したいというような請願ですが、話があつたのです。これは当局では余り賛成でないようでありますが、今のお話で、中にその工場の生活協同組合がそういう方面の貸付対象になればいいというような意見がありまして、私共も生活協同組合を貸付対象にすることは、是非そうして貰いたいとは思つておるのでありますが、特にその工場の生活協同組合が今言つた労働者の直接の住宅のために、又仮に貸付対象なつたとした場合に、会社工場当局の方ではそういう会社内の工場生活協同組合に対して、勿論私共の考えでは喜んでこれを応援し、或いは場合によつて資金の立替ぐらいはやつて呉れるだろうと思うのですけれども、実情はこの場合どういうふうになりましようか、一般の工場あたりでは……
  44. 吉田秀夫

    公述人(吉田秀夫君) 大体生活協同組合自体は最近、都市のものにつきましても農村のものにつきましても、非常に不振でありまして、その点は大会社の生活協同組合自体も最近の非常に資本攻勢によりまして、企業の合理化というような形で実際には今まで相当の金なり、或いは人件費なり、或いは設備等を供與していた会社ですらも、独立採算というような形でこれを切つている事例は若干あります。併しもともと協同組合で扱つているいろいろな品物、或いはいろいろな事業そのものは労働者に実質的な賃金の裏付というような形でこれは当然資本家側も考慮すべきものである筈なんです。従つて若しそういう点で先見の明があれば……職域協同組合で圧倒的に、殊に生産を阻害するというような形で具体的なデータをどんどん労働組合の方は出し始めておりますから、その面で十分労使双方話合えばその途はあると思うのであります。ただ最近非常に企業整備や企業の合理化の線でそういう点でもいろいろな圧力が我々の側からいいましてもはつきり出ておりますので、その点は今後の問題だと思うのであります。
  45. 岩崎正三郎

    ○岩崎正三郎君 それはまあ各工場、会社のないようによつて違うことが多いと思いますが、労働組合は恐らくこれはまあ生協のなんといいますか母体のようなことになりますか知りませんが、そういう方面では特に会社と交渉して、その生協の住宅借入なんかに労働組合としての団体交渉とか、そういう方面から当るというような方法はないものですか。
  46. 吉田秀夫

    公述人(吉田秀夫君) その点は十分あると思います。事実そういうふうに我々はしたいと思つております。
  47. 佐々木鹿藏

    ○佐々木鹿藏君 私は宮澤さんにお尋ねしたいと思いますが、專門家であられるから十分研究をされたと思うのでありまするが、平均八坪ぐらいでよいではないかというような御意見でありますが、これはただ家賃の面にのみ拘泥されているのじやないか。八坪とか十坪という家を建てて本当に日本人として住むに誠に満足な自分の家はできた、これでまあ生活もやや安定をしたというような家庭的の喜びを持つのが、八坪などの家でこのような満足ができますか。折角家を建てるならばやはり十二坪というのは非常な苦心と努力、研究の結果なつたのじやなかろうか。そこまでまああなたのお説の金利は五分五厘が高いではないか、そこで銀行の手数料が三分ぐらい要るだろうからそれを直接貸して二分五厘にしたらどうか、こういうお説これが可能ならば誠に結構だと思いますが、そういう場合でもやはり十坪以内、こういう御意見でありますか。  それからもう一つはあなたの四点、四に該当する專門業者に任したらどうかという、その專門とはどういう人を專門、どういう組合を專門と言われるのか、この二点についてお伺いいたします。
  48. 宮澤小五郎

    公述人(宮澤小五郎君) ちよつと、私耳が遠いので……八坪とおつしやつたのですね。
  49. 佐々木鹿藏

    ○佐々木鹿藏君 平均十坪ぐらい、八坪乃至十二坪としたら……
  50. 宮澤小五郎

    公述人(宮澤小五郎君) これはおつしやる通り同潤会で建てられましたアパートメントは八坪五合でありまして、けれどもそれでは日本人の将来の入る家としては不十分だ、江戸川アパートは三室平均として平均十二坪にいたしたのでありまして、我々の理想としては少しもまあ三室ぐらい、十二坪くらい平均を望むものでありますが、ただこの節それに越したことはないけれども家賃を安くするために十坪ぐらいにしても現在一間で暮している人もあり、又二間さえあれば病気或いは風紀上もどうにか我慢できますから、アパートメントは御承知通り木造とは違いまして非常に面積を小さくしておりますからまあ六疊、四疊半、二つぐらいあつたならば、先ず間に合う階級が相当あるのじやないか。こういうことからまあ十坪という平均を取つて、仮に算盤を置いてみたのでありますが。それから第二点はなんでしたか。
  51. 佐々木鹿藏

    ○佐々木鹿藏君 專門業者に任したらいいじやないか……
  52. 宮澤小五郎

    公述人(宮澤小五郎君) その專門業者と申しますのは、従来住宅のやはり建築業をしておつたもの、そういう経歴を持つておるものは余り地方は知りませんけれども東京には相当あります。そういう業者がありますからそういう経験を持つたものを選んで、そうして三十戸とか或いは五十戸とかいうものを建てますと、住宅は御承知通りたとえ一戸当り五十坪の敷地を取つても、これは八百屋の裏とか魚屋の裏に建てるのは非常に不愉快ですから、まあ三室でも住宅街に住宅を拵える場合は非常に快適なことは申すまでもありませんから、そういう快適な家を安く建てさせるためには、経験を持つておりますものに事業の計画を立てさせまして、そうしてそこに許可して行つたらどうだろうか、こういうことになると思うのであります。
  53. 北條秀一

    北條秀一君 住宅組合のことが先程来皆さんからお話なかつたのでありますが、現在の住宅組合法に基いて住宅組合を融資対象にするというふうに法律案にはなつておりますが、私は飽くまでもこの住宅組合を育成して行くということがいいと考えているのでありますが、今まで政府の説明によりますと、住宅組合を極めて軽視しているのであります。そういう点につきまして、宮澤さんの従来の御経験と、それから吉田さんの労働組合の立場から言いまして、どういうふうな御意見を持つておられますか、その点をお伺いしたいと思います。
  54. 宮澤小五郎

    公述人(宮澤小五郎君) 住宅組合はどういうわけで一体政府が活用しなくなつて来たのであるかという問題につきましては、法律の性質上当然来たるところの欠点と、それから実際それを取扱つた人のやり方が惡かつた、この二つの欠点があるように思えます。第一の法律上の欠点と申しますのは、十五年も二十年も同じ職場におる人が同じ土地におつて、お互いに担保し合うということは非常に困難なことである。従つて住宅組合を組織する場合には余り堅実な人が、皆の責任を全部負うという確実な人が多くの場合少くなつて来る、堅実な人は入らない、それは実際の例があるのであります。それが住宅組合の先ず本質上の欠点です。  第二の扱い者の欠点については、これはどうも余り公の席上では申しにくいのですが、非常な運動が行われて、いろいろな不良な組合があつたように思うのであります。従つてその償還も本当ではなかつた。そこで中止した場合に同潤会がそれを引取つて住宅を拵えて、政府資金で分譲住宅をし始めた。これは共同担保がありません。自分さえちやんと納めれば満足するのでありますから、皆が喜んで入る。そうして少し余計な話でありますけれども、この分譲住宅の場合に大体一割の頭金を取る、そうして三年か五年金を納めてしまえば、あとは十年だろうが二十年だろうが安心だ。段々自分負担が少くなる。そのうち家には愛著ができる。ですから三年、五年で分譲金が入れば安心だが、その金が十五年も二十年も余り長くなるということは困るが、実際は十年も入つておれば黙つてつて銀行に金を持つて来る。十年でも二十年でも心配ない。二十年を三十年にしてもいいが、月賦の差が非常に少いから……だから私は二十年ということを言つておるのであります。
  55. 吉田秀夫

    公述人(吉田秀夫君) 余り詳しくは知らないのですが、今言われた点、若干住宅組合の批判も入つているので、その点は同感する面もあるのですが、今後の住宅組合のあり方につきましての要望点といたしまして、やはり非常に経済界の変動や、或いは天災等によりまして、事故のあつた場合のいろいろな救済方法、そういつたもの、特に長い償還期間に起きたいろいろな事故につきまして、その組合乃至組合員の責任でないというような欠損につきましては、特別な救済方法が当然規定さるべきじやないかと思います。  それから組合員間の連帶保証制度、これにつきましても、今まで長い間この点につきましていろいろ問題があつたと思うので、これは個人保証をもつと明確にするという点が考えられなければならんのじやないかと思います。  それから、これは当然今後の税法の問題にもなるのでありますが、例えば土地とか、資材を獲得する場合のいろいろな特点がないと、どうしても住宅組合が弱いというような面、それから公共的な資金の裏付と、その債務保証というような問題につきましても、若し今後別個に考えられます場合には、当然はつきりしたものがなければならんと思います。それからもう一つ組合がやはり自主的に、民主的に運営されるというようなことがいいのでありまして、これは組合員個人が身分的な変動が起つた場合にそれを乗り切るような、そういつた適切な解決が民主的になされるということが望ましいと思います。大体その程度で、やはりこれは最近の情勢に合せまして、余り古い住宅組合というものは現在の制度をもつと今の情勢に合わしたような形に改めて発足しなければならんかと考えます。
  56. 北條秀一

    北條秀一君 吉田さんに重ねてお伺いするのですが、私は引揚者の一人でありますが、日本に帰つて参りましてから、とかく日本の労働組合の諸君は賃上げの闘争には熱心でありますが、住宅問題については低調であつたという私は印象を常に持つておるのであります。そういう印象からしまして、ここに一つお聞きしたいと思いますことは、政府は先に住宅審議会を作つたのでありますが、この住宅審議会の名簿をずつと見ますと、総同盟の主事が一人と、中央労働委員会委員で電産の中央執行委員長が出ておるだけで、二人しか労働組合側は出ていないのであります。こういう点について私は今までに猛烈な運動が起つて然るべきじやないかと思いますが、住宅審議会について産別の方では今日までどういうふうな働きをされたのか、その点お分りになりましたらお知らせして頂きたいと思います。
  57. 吉田秀夫

    公述人(吉田秀夫君) 非常に痛いところを突かれたわけでありますが、大体御説の通りでありまして、日本の労働組合運動自体が賃上げに非常に終戰後追われたということは事実であります。併しアメリカの労働運動を見ましても、帰つて来た末弘厳太郎氏の話によりますと、やはり賃上げと労働者の厚生福利施設、或いは社会保障、そういつた問題が二本立てで非常に鋭く闘われておるという現状であります。この点につきましては、終戰後のみじめな労働者の窮迫状態、或いはいろいろの工場、産業の破壊状態ということに追われまして、一番肝心のこういつた地味な問題は余り公然と問題になつておらなかつたことは事実であります。従いまして住宅問題は勿論のこと、その他の厚生、社会保障、社会保險、そういつた問題につきましても昨年からようやつと具体的な問題になり、特に住宅問題につきましては、この住宅金融公庫法案ができましてようやつと総同盟も産別も、その他あらゆる労働組合がこれに重大な関心を持つて共同してこれをやつて来たという現状で、問題は今後にかかつて行くと思いますので、頑張つて行きたいと思います。
  58. 北條秀一

    北條秀一君 先程この法案については反対せざるを得ないということでありましたが、お聞きしまして、反対というはつきりした線でなしに、むしろ法案内容を真に住宅困窮者に対して住宅資金供給するようにしろという意味に直して貰いたいという御意見であつたと私は思いますが、その中で、昨年の二月のことで覚えておられるかと思いますが、イタリアにおきましては住宅問題を非常に重要視し、勿論イタリアだけではありません。イギリスでもフランスでもアメリカでもそうでありますが、特にイタリアでは、イタリアの共産党の書記長は政府住宅大臣を作れということまでも主張しておつたのでありますが、本日のあなたの公述の中で、この主務大臣の点についてちつとも触れられていなかつたのでありますが、この公庫法案によると、主務大臣は建設大臣と大蔵大臣と二人になつておるのです。私は当然住宅問題は民生安定の政策の一つでありますので、我々特に引揚者の側から言いますと、厚生大臣がどうしてもこの主務大臣にならなければならんということを主張したいのでありますが、あなたの方では主務大臣のことについては何らの御意見はありませんでしようか。
  59. 吉田秀夫

    公述人(吉田秀夫君) 私は全然考えておりませんでした。
  60. 北條秀一

    北條秀一君 先程賃金の中に含む家賃のパーセンテージのことを大分詳しくお述べになつておるのでありますが、現在の日本の労働者の諸君の賃金中の家賃の比率というのは、古い既得権益者と新らしい人の間には非常に差があると思うのです。古い人は非常に有利な家賃で家を借りておる、或いはその他の條件で家を與えられておるわけでありますが、新らしく就労する人は段々と高い家賃で、ときによるといわゆる権利金等を要求されて、非常に困つておると思うのでありますが、先程のお話ですと、それは全部ひつくるめて言われたのでありますが、労働組合の方では家賃をそういう古い既得権益者と新らしい人との間に均衡を保つというふうなことを今までお考えになつたことがあるかどうか、その点を伺いたいと思います。
  61. 吉田秀夫

    公述人(吉田秀夫君) その点は相当大きい企業におきましては、労使双方の妥協によりまして、住宅手当或いは勤務地手当という形で、大体それに該当する手当金を用意しております。併しそれによつても大体そういう金額を貰うということでは絶対に住宅問題は解決つかないのであります。ただそういう具体的な要望、労働者大衆の困つておる問題は、いろいろな今までの労使双方の紛争の中で、可なり鋭く出ておるということは事実であります。
  62. 北條秀一

    北條秀一君 宮澤さんにお伺いするのですが、先程中林夫人が土地のある人に優先的に住宅融資をして呉れというお話でありました。誠に御尤な話でありますが、これをやりますと、実施に家に困つている人は段々後廻しになつて来ると考える。土地のある人は、宅地五十坪持つておる人はその中の二十坪を売つて三十坪の所に家を建てれば、頭金も何も準備できるということですが、住宅に困つておる人は、勤労者にしても引揚者にしても全く土地のない人が多いのです。従つてどうしても私共は土地特に宅地の調整をやらなくちやならんということを、今日まで三年近く考えて来たのでありますが、土地法といいますか、あなたは土地法と言われたのですが、私は宅地調整法というものを準備すべきであると考えるのでありますが、あなたの言われる土地法に、ただ土地法というだけでなくの何らかの構想を考えられたことがありましようか。ありましたら如何なる土地法を作つたらいいか、その点について……
  63. 宮澤小五郎

    公述人(宮澤小五郎君) いろいろ考えて見たのでありますが、これはなかなかちよつとここで三分や五分で申上げにくいので、ざつと私の構想の根本になるところを簡單に言いますと、自分の家が一軒あつて、その外に土地を持つている。併しその人が若し店舗と住宅の両方を持つておるならば、これは別である。又工場の外に家を持つておるならば別である。ただ自分が今直ぐ使う目的でなくて、或る一定土地を持つている人があつたならば、私はやはり国家が買上げるのが一番よろしい。それを然るべく分割して、これを拂い下げてやる、それを骨子にしたいものだとかように考えております。私もおつしやるように考えておつたのですが、なかなかこれは研究を要する問題であります。
  64. 北條秀一

    北條秀一君 時間も大分経過しましたので、もう一つだけ午前中にお聞きして置きたいと思いますが、住宅組合の問題にもう一度返りますが、特に宮澤さんにお聞きしたいのですが、住宅組合は従来都道府県知事から融資を受けるということと、公有地を随意契約によつて拂下げ又は貸與を受けるという二つの特典がありまして、その外に不動産取得税を免除されるという三つの特典があつたわけでありますが、現在は不動産取得税は本年の三月からなくなりました。従つて今度は住宅融資公庫で受けるわけでありますが、住宅組合法によると、公有地を随意契約で譲渡又は貸付けることができる、こういう規定が法律によつてあるわけでありますが、この点をうんと活用して行つたらどうかというふうに考えるのであります。まだ政府はそういう点について明確な態度を示しておりませんけれども、その点についてあなたの御経験から言いまして、実際この法律によつて公有地或いは市町村有地というものを随意契約によつて拂下げを受けられたことがあるかどうか。この点について一つ意見がありましたら、お知らせ願いたいと思います。
  65. 宮澤小五郎

    公述人(宮澤小五郎君) 住宅組合に対する恩典につきまして、その外に確か印紙税法で免除になつておるかと思います。それから今度政府の考えておりますのは、個人々々が抽籤で、当つた人だけで住宅組合を作れば、一人一人適当な保証人を立てなくても済むのだ。お互いの共同責任の外に、その属する会社工場の誰か一人に保証して貰えばいいのだ、それだけ利点があるのだと考えておりますが、今のお話の公有地の問題につきましては、実はこれは東京では私は聞いたことはございません。田舎の方は存じませんが、東京では聞いたことはございません。又私はそれに多きを望むことは今後ともできないだろう、かように考えております。
  66. 中川幸平

    委員長中川幸平君) これにて一時二十分まで休憩いたします。    午後零時二十七分休憩    —————・—————    午後一時三十三分開会
  67. 中川幸平

    委員長中川幸平君) それでは休憩前に引続いて公聽会開会いたします。  全国市長会代理、川崎市長金刺不二太郎君にお願いいたします。
  68. 金刺不二太郎

    公述人(金刺不二太郎君) 川崎市長でございますが、住宅金融公庫法案がここに審議中でありまして、住宅のない人逹住宅を建て得るようになるということは誠に喜ばしいことであります。申上げるまでもなく我々の生存の三大元素と申しまして、衣、食、住の中の食の問題はやや片付きましたが、衣の問題と住宅の問題が最も今痛切に困難を来しておるわけでありまして、これが対策につきましてはお互いに苦慮しておるわけであります。特に戰災を受けました都市における住宅の問題は非常に深刻でありまして、これが対処というものは特に考えられておる次第であります。大体戰災を受けました方々の住宅の問題は主に資力がなくて、金さえあれば建設できる、併しその資金がないために建設ができないというのが現状であります。このときにおきまして、百五十億の金融を受けまして、全国の住宅に困つておる人逹が建て得るようになることは非常に有難いことでありますが、ただ問題になりますのは、第一が土地の保有、土地を獲得することが非常に至難であろうということと、その次は二割五分は自己負担でありますが、この二割五分に相当する資金が果してあるのかどうかということであります。大体資金を持つておる人逹住宅を今までに戰災後すでに五年になりますので建てておりますが、資金がないために住宅を建てることができないという現状である方々が大部分と思います。そこで私は現在地方公共団体におきまして庶民住宅建設しております。国の補助が半額でありまして、半額は起債によつて賄なつておりますが、いわゆる九原則によりまして起債が認可されないようになつております。たまたまされましても極めて少額でありまして、いわゆる国庫補助の半額と、半額の市負担の能力のない市におきましては、これは建設することができないというのが二十四年度からの傾向であります。こういう場合におきまして、私は現在戰災都市におきまして、地方公共団体が家屋を建てて住民に與えておりますが、今回のこの法律によりますと、地方公共団体には貸付けないことになつておりますが、現在の一般住宅困窮者の状況と睨合せまして、考えますると、地方公共団体にも貸付けて貰いまして、そうしてこの緩和に資することが最も望ましいというふうに考えます。もう一つは大きな会社、工場を持つておりまする工場経営者も、沢山の労務者を擁しましても住宅がないというので、非常に遠隔の土地から通勤をしております。この問題につきましても、いわゆる会社等法人貸付けまするならば、この問題は簡單に片付くと思いますので、法人にも貸付けるようにいたしますれば、勤労者住宅の問題が片付く、くどいようでありますが、勤労者には二割五分に相当する金がないのでありますから、公共団体或いは事業主に貸付けて下されば簡單に家が建つことと思いますので、さように修正が……修正というよりも貸付けるような條項を付け加えて貰いますれば非常によろしいと思います。その次は利率の問題でありますが、利率は五分五厘となつておりますが、折角親心で百五十億の金を貸出しましても、五分五厘の利率を加算して計算いたしますると、非常に返済率が、いわゆる一口に言えば家賃が非常に高く付きます。現在市あたりで庶民住宅を建つておりますのは、半額は国の補助でありますから、無利子でありますので、それだけ非常に安いわけでありますが、住宅金融公庫の場合を五分五厘の計算でこれを算定いたしますると、それだけ非常に家賃が高くなりますので、この五分五厘を少くとも私は無利子というわけには行かんでしようから、預金利子程度、大体預金利子は三分ぐらいと思いますが、銀行預金利子程度に引下げて貰えれば非常に結構だと思います。先程申上げましたように、折角家を建てたい、併し二割五分、二五%の金がないという人と、もう一つ一番大きな問題は、都市生活者は土地がないことであります。土地のないことにつきましては市といたしましても心配いたしますけれども、これは非常に大きく取上げて貰いませんと、折角この法律が通過いたしましても、結局実現する場合におきましてスムースに行かないのじやないか、二割五分の金のない点、土地の獲得のできないために折角建てようとして住宅組合を作り、申込んでも、非常に困る方が建てることが不可能になるじやないかと思います。そこで私はこういうことを考えておるのでありますが、先程の衆議院地方行政委員会で税の問題のときも触れましたが、大体戰災都市におきまする国有財産、国の土地というものがどこの土地にも非常に多くありますが、これを地方自治体なりに無償或いは低価でこれを拂下げて貰うというような方法を講ずることも一方法であろうと思います。住宅の問題とやや外れますけれども、昨年は長崎、広島に特別文化都市、平和記念都市という特別法が通過いたしまして、国有財産は市に移り、市は戰災都市としての建設が非常に進んでおります。これは本年度の建設省における予算も大幅にこの二都市に割愛しております。又しばしば今国会においても議員提出で出ております、昨日衆議院を通過いたしました旧軍港佐世保とか、呉とか四都市の法案も通つておりますし、いろいろの事情を伺いますと、いろんな各都市から特別法が個々に提案されつつあるように聞いておりますが、この問題はこの住宅を建てる土地の問題と共に我々戰災都市に住んでおるものとしましては、特に考えておるわけでありますが、現在この戰災都市に対しましては、特別都市計画法というものがありまして、この法律によつて戰災復興をしておるわけでありますが、たまたまこの特別法が二、三の都市に適用されまして、その二、三の都市のみが復興をするというような傾向にありますことは、これは市民感情の上に非常に大きな惡影響を及ぼしておろうと思います。我々機会あるごとにこの問題を取上げまして、公平にやつて貰いたい、現在の情勢というものは乏しいことはもうお互いに忍んでおりますが、等しくない、等しからざるを憂うという言葉がありますが、実際この全国の戰災都市、二百余の都市中約八十の戰災を受けた都市がありますが、これも最初の予定では特別都市計画法によりまして復興計画を立てまして、区画整理を断行しておりますが、その後昨年のいわゆる九原則によりまして非常にこの復興に対する費用は削減されまして、本年から改めて五ヵ年計画ということで事業を縮小しております。道路の幅も五十メートルは三十メートルにするとか、三十メートルは二十メートルにするとかいうふうにして変更いたしまして、五ヵ年で完成することになつておりますが、結局戰災を受けた都市の復興というものは、そういうふうに国の支出金がいわゆる八〇%であつたのが昨年から五〇%に減つた、而も金額において尚減つたというような非常な変化と窮屈のために復興が遅れておりますが、ここに特別な法律が出まして、特殊な都市だけが復興をするということになりますと、尚沢山の戰災を受けた都市のみが復興が遅れる、こういう経過を辿らざるを得なくなるわけでありまして、この点は私共は非常に憂えるのであります。等しくないことによつて一部の人逹が政治的に運動して、そうして特別法案を通過すれば復興ができるということになりますと、非常に好ましくないと私は考えておる次第であります。それでこのことを皆さんに申上げますと、大体これは別に金を出すのじやない、広島、長崎のときも別に国の費用を出すのじやないということを聞いたのでありますが、結局この法案が通つて見ますと、本年度におきましては他の戰災都市よりも非常に大きい額が出ております。今いろいろと法案審議されておりまする特別都市の問題につきましても、この法案が通過するときには、申込む都市はともかく法案さへ通ればよいのだということで通します。法案通りますと、今度は通つた都市は建設省に折衝をいたしますると、予算が多く獲得できる、特別の法案ということでなるようになつておるのであります。この点は特に御留意願いませんと、非常に等しからざる結果になりますので、特にこの住宅を建てるにおきましても、土地がないというときに国有財産である国の土地が市に無償或いは有償でも定価で拂下げが受けられるようになりますれば、市の復興というものは特に簡易に、そうして合理的にできると思います。こういう観点から見ましても、私は等しく戰災都市においては全部の戰災都市に特別法を作るようにして、そうして戰災の復興を図り、一面には住宅を建てるに土地がないという問題を解決することが望ましい、かように考えております。簡單でありますが、これを以て公述を終ります。
  69. 中川幸平

    委員長中川幸平君) 只今の金刺君の発言に対して御質疑がありましたらどうぞ。
  70. 北條秀一

    北條秀一君 先程のように一括してあとで質問するのじやないですか。但しこれは金刺市長の御都合もありましようが……
  71. 金刺不二太郎

    公述人(金刺不二太郎君) 僕は他に打合せがありまして、誠に恐縮ですが、若し御質問がありましたら、今お願いしたいと思います。
  72. 北條秀一

    北條秀一君 それじや……、午前中もこの住宅についての土地の問題が非常に問題になつておるわけでありますが、只今又全国の市長の代表として金刺さんから土地の入手の問題が大きく提案されておるわけでありますが、戰災都市のみならず、非戰災都市におきましても住宅にいずれも困つておりますので、どうしても今お話のような国有地の無償拂下乃至は低廉な拂下をしなければならんのでありますが、地方公共団体の持つておりまするいわゆる公有地、こういうようなものについては事情が若しお分りでありましたならば、お話して頂きたいと思います。
  73. 金刺不二太郎

    公述人(金刺不二太郎君) 地方公共団体内容によつて非常に差があると思いますが、自分の知つておる範囲におきまして、特に自分の市等におきましては、市有つまり公有、市の所有しておる土地というものは、大体公園或いは学校等に対しましても不足をいたしまして、特に六・三制によりまして学校の増築等がありますが、この建築の敷地には非常に困つております。住宅を建てるのにも困つておりまして、まあ我々の都市におきましては、成るべく立体的にしよう。コンクリートにして、平家建の木造建物であると非常に土が要るので、コンクリートにして四階建くらいのアパートにしようというような計画を立てておるような次第でありまして、いずれもこれは民間土地を買上げ或いは借入れてやつておるような次第でありまして、市有地というものは不足しておるわけであります。
  74. 北條秀一

    北條秀一君 東京を初め各都市は全部遊休宅地というのが相当あるのでありますが、そういう遊休宅地の私は調整をやるというふうな措置をしなければ、今後の住宅というものは、なかなか解決しないのじやないか。御承知のように戰後引揚者による急激な人口増加ということがありますが、どうしてもそういう措置をしなければならないのじやないか。これは先に決定されました農地調整法に、こういうふうなものに倣つて着々調整をしたらどうか。特に遊休宅地の調整をしたらどうかと思うのですが、私の意見に対して市長さんとしての御意見がありましたら……
  75. 金刺不二太郎

    公述人(金刺不二太郎君) 都市としましては、この問題は非常に大きな問題でありまして、実は農地法が制定されまして、学校、住宅等が非常に難しくなつているのであります。できれば農地法の適用を、都市で住宅にする場合は地主が承諾したら、買い得るようにいたしますれば、非常に土地の獲得は楽と思います。例えば戰災を受けましてもう五年になりますが、大きな邸宅が焼けて、そこに農地になつておる。以前には農地でないところも殆んど五年も引続き作つているところは相当耕作者に権利がありますので、都市の真中でもこういう土地が沢山あります。これは非常に農地法と矛盾いたしますが、都市の区域内にあるいわゆる田畑をですね、これを住宅簡單にできるようにすれば、土地の問題も非常に楽に行くと思います。これは農地委員会等の決議が要りますが、これは地主だけの承諾ではいかんというこれは農地法との関係が生ずるわけでありまして、特別に都市に対して農地法の問題を解決する方法がありますれば、非常に幸いだと思います。
  76. 北條秀一

    北條秀一君 それからもう一つ問題は、今回の住宅融資につきまして、七割五分貸す、後の二割五分が非常な問題であります。この二割五分について、地方公共団体において特にこれについて考えて頂くということはできないものでしようか。
  77. 金刺不二太郎

    公述人(金刺不二太郎君) この問題は我々の方は工業都市でありまして、勤労者が非常に多くて二割五分の資金がないというので、もうすでにこの法案が出ることは半年前から分つているものですから、市長の下へそういう問題について市会からも要請があります。それはどういう内容かと申しますと、二割五分は市で出したらどうか、そして勤労者住宅の問題を解決したらどうかという意見がありまして、我々も研究して見ましたが、この七割五分のために家屋の抵当権というものは殆んど銀行に、金融する方の側にとられてしまいます。そうしますと、市が例えば二割五分を立替えるといたしましても、なかなか償還が至難になります。抵当物がありませんから、財源がありますればいいのですが、御承知のように現在の市町村というものは非常に赤字続きでありまして、そういう余力がない、むしろこれは銀行から市が特別に借りてでも住宅政策の建前からやりたいという希望は持つておりますが、今の現法律では、法律の内容はどうかよく分かりませんが、例えば銀行とか、金融会社が全部建物担保にとらなければ恐らく貸付けないと思います。そうすると例えば市なら市の公共団体が二割五分出すといたしましても、これは殆んどとれないのじやないかというような気持がいたします。理論としては非常にいいのですが、実行面から言えば不可能じやないかと考えております。
  78. 北條秀一

    北條秀一君 現に審議中のこの地方税法でありまするが、今度の建設省で出しております住宅融資を受けた際に、一番問題になりますのは家屋税の問題とか地租の問題でありますが、こういうふうな問題について税法が改正されますと、又相当これが上つて来ると思うのです。でありますと、いよいよ收入の少い勤労者、或いは引揚者というものは、この金を借りましても償還に非常に困ると思うのでありますが、この家屋税、地租というものについて市長さんのお考がありましたら一つ……
  79. 金刺不二太郎

    公述人(金刺不二太郎君) 大体現在におきましては、東京都は別のようでありますが、他の都市におきましては市が住宅を非常に建てております。これは免税であります。家屋税はむろん市は拂つておりませんが、今回の場合は純然たる民間の所有になるのでありますから、当然家屋税或いは土地を持つておれば土地も当然税の対象になると思います。税の対象から除外するということになりますと、全市民に影響しますから不公平になりますので、その点は免税という点はちよつと考えられないと思うのであります。
  80. 北條秀一

    北條秀一君 住宅組合を結成して家屋を建てた場合はどういうふうになりますか。
  81. 金刺不二太郎

    公述人(金刺不二太郎君) 住宅組合の場合も同樣です。個人の所有になりますから、団体で借りるわけでありましても一戸々々は本人の所有になる。
  82. 北條秀一

    北條秀一君 現在の地方税法が通れば、この点については全然考慮する余地はないという御意見なのですか。
  83. 金刺不二太郎

    公述人(金刺不二太郎君) 大体そういうわけです。地方財源がございませんから、土地、家屋から税を取るということになりますと、これは固定資産税でありますから、これは地方の唯一の財源でありますから、地方が成り立たない、こういうことになります。
  84. 久松定武

    ○久松定武君 川崎市長にお伺いしますが、先程第三におつしやつた中に、貸付対象を地方公共団体の方に貸付けたらどうかというお話がありましたが、もう少し具体的にそれを伺いたいと思います。
  85. 金刺不二太郎

    公述人(金刺不二太郎君) 現在、先程申上げましたような地方公共団体は、いわゆる一般貸家を建て、家を建てて貸すという人がなくなつた。それは非常に原価が高価だものですから家賃が取りにくいというので、結局公共団体貸家業をやつておるわけです。これは私共の方ではすでに三千戸も建てておるのであります。そうして勤労者住宅難を救つております。ただ抽籤でございますが、毎度四十倍もあります。そういう工合で四十倍でありまして、非常に不足しておるということが痛感されるわけでありますが、いずれにいたしましても土地の問題、或いは二割五分の資金の問題等を考えますと、今私共が五割の国の補助、五割は市でやつております。起債が認可になりませんので……そういうことを考えますと、二割五分だけ市が出せばよいのでありますから容易で、市でやれば建設できる。市は一銭も利益を見る必要がないのですから、そういうことによつて貸付けるということができれば、市で建設する住宅政策というものは非常に効率化せられる、こういう意味であります。
  86. 石坂豊一

    ○石坂豊一君 川崎市の御意見は、私も誠に頷かれるところであります。大体お話によつて、私共多少憂えるところは、この法律によつて住宅相当普及すると、こういうことになりまして、而して今まで市営住宅のようなものは、依然としてやらせるべきで、そうするとこの法律による個人住宅建設の方に依頼して、今までの市が市営住宅建設する熱意が段々薄らいで行くという御心配がないでしようか。私は市営住宅というものはこれと相伴つてやはりますます普及して行かなければならんと考えておるのである。というのは、市においては沢山の勤労者というものがおる。その沢山の勤め人というものは定着性がないので、転任をさせられたり、或いは又自分の意思によつて動いたりする。先程労働組合において住宅についての熱意がなかつたということですが、実は住宅を持つても今に厄介ものになつてしまうか、しまうことが多いのでありますからして、私共もやはり経験住宅というものは主として市が市営住宅で以てその市民の便利を図つてやるということが重点でなくちやならんとこう考えておる。その点から見ますと、この法案において公共団体に貸出しの途がないということは誠に私共遺憾に思つておるのですが、これについては国会の意識が相当現われるだろうとは考えます。併しこの法案を組む際においてその点は非常に問題になるので、提案の遅れたのもそこにあるということも聞いておるので、なかなか至難な問題であろうと思いますが、今、私のあなたにお尋ねせんとすることは、先程のお言葉の中にも市に貸して貰いたい、折角法案ができても公共団体がこの恩典に浴することができないということを心配せられたようです。そうなつて、これが個人において相当家屋が普及するとすれば、所によつては市営住宅の施設が遅れるようにならんか、その点については御懸念はないでしようか。
  87. 金刺不二太郎

    公述人(金刺不二太郎君) 石坂先生の言う通りであります。これは大体消極的な考えで、安易に事なかれ主義で、市町村長がその衝に当るならば、私は市営住宅、市が住宅政策をやるなんということは非常に面倒なことであります。でありますのでやりたくないのでありますが、我々もこの百五十億の住宅金融公庫ができれば、建設もできるということを、市はまあ建てなくてもいいのだという意味に取るかもしれませんが、消極的になるわけであります。ところがこの法律がこのまま若し通ると仮定いたしますと、先程申上げましたように、恐らくこれは一般庶民階級の期待を裏切つて、二割五分の金がないことと、土地を入手できないことで恐らく一〇〇%の効果は挙げ得ないと思います。そこで我々はこの大きな、先程も申上げましたように、本当にもう生活の三大原素である衣食住の住ですから、これなくしては我々生存できないのですから、この問題はやはり地方公共団体として、どうしても自分としては、手数がかかつても解決してやらなくてはならんというように為政者としては誰しも考えなればならなんことであります。でありますからして、消極的にやるにはやる、あとでそうするようになるであろう、必ずやこのまま当然来年あたりそうなると思います。百五十億の消化はできないと思います。必ずできないと思います。でありますので分つておりますので、私は、地方公共団体に今からこのことを決めて貰えばどんどん行きます。それともう一つは、今言つたように大きな会社の資力のある会社には貸付けて貰う、そうすればみずからの勤労者をその住宅に入れることができるというので申上げたわけであります。
  88. 中川幸平

    委員長中川幸平君) 次に移ります。どうも有難うございました。次は日本建設工業協会事務局長難波元由君にお願いいたします。
  89. 難波元由

    公述人(難波元由君) 御指名を得ました通り建設工業協会の事務局長をしております難波でございます。私らの組合会員といたしまして最もこの法案関係のありまする小住宅建設業者の立場から述べさせて頂きます。本法の施行に関しましては、建設中小企業者としては全面的に賛意を表するものでありますので、速かに通過を頂きまして即時実施をお願いするものであります。でありますので、我々は建設中小企業者の団体といたしましては、昭和二十二年の一月から政府並びに関係行政庁に対しまして、政府並びに公共団体でいわゆる庶民住宅建設しますこれと併行いたしまして、国民のみずから建設……家を建てて行きたいという方が沢山私らの業者の下にあるのでありますが、全面的の建設費がないために非常に困つてつたのであります。それでこの不足分の金に対して、何とかして政府長期資金貸して貰いたい、こういう要求をして参りましたところが、今回この法が建設省において起案されまして、誠に私らとしては感深いものがあるのでございます。殊に個人住宅を中心として貸付ける原則は誠に意義あるものと考えて喜んでおるものであります。併しながらこれが非常に時期がズレておりまして、今日のような行き詰つた経済、殊に思想が非常に混沌としておる時期でございますので、この問題の具体的の解決が非常に問題になるのであります。殊に私らの建設しまする立場から申しまして、非常な重要な問題があるのでございます。法全般につきましては、大体において内容を見れば殆んど常識的なものばかり並べておりまして、殊に一応の原則とか或いは当座のことが多いのでありますが、この規定或いは政令等において相当に縛られるのじやないか、そうすると折角の融資の問題もうまく円滑に行かないのではないか、こういうように考えるものでありまして、たとい法文規定が立派でありましても、この運営がはつきりしなければならんのでございます。殊に先程来たびたびお話がありましたように、この経済上の問題なり土地の問題等考えますときに、現実の今の国民の経済、それからそういう運営方法が非常に大事だと思うのでございます。これで大体貸付機関の人々、それから借りる人、それから建築をやる人、この三者が一体にならざる限り、本法の目的の逹成はできないのではないか、こう考えますときに、私らの業者の立場から若干総対的な意見を申しまして、規定なり、或いは法文の中に入れて頂くことがいいんじやないかと思うのでありまして、規定をまとめて申述べます。  第一におきまして、この公庫におきます役職員は建設大臣が命ずるような規定になつておりまするが、この人の選定でありますが、役員なりその他が非常な問題になるのではないか、而もこの機関がその尖端におきまして、銀行から融資される、かようになつていますると、この点から考えまして、この法文の中には、我々建築業の、建てる人に対しますリミット、或いは権利は何ら考えておらないように見えるのであります。これは相当に考える点があるのじやないか、こう思います時に、少くともこの役員なり総裁なり、或いは理事当局の方には、相当の見識の或る而も経済状態に明るい、国民生活を抱握している人を選択して頂くために、選衡委員審査委員等を設けて広く人材を求められてその中から出して頂きたいのでございます、住宅金融公庫の中に審議会を設置して貰いたいのでございます。これは実は貸せる方の側、借りる方の側をはつきり決めておりますが、この業者、建てる側の方から申しますと、なかなか行詰つた、先程ありましたように土地の問題とか、手許金はなかなか今日はないのでございます。現実におきましても我々業者がやつております大部分のものが、今日におきましては約束しましてもその中の五〇%、十の中で二つや、三つは途中で金が行詰つちやつて建てつけしてしまう、こういうふうな條件にありますので、実際持つておる人でもなかなか困難でありまして、これを借ります時には、なかなか借りてから建てることになりますと、工事請負者としては金のない工事をやるわけには行かないのであります。自分の生活の脅されるのでありまして、殊に御承知のように、私らの中小企業者は、その建設によつて得た利益によつて生活しておるのでありまして、これが一万円、二万円仮り欠損した、いわゆる取れなかつた、貰えなかつた、こういう場合には非常に問題になりますので慎重な態度を持つて行かなくちやならんのでございます。このようなわけでありまして、いろいろ借りた後におきましても借主と建設業者の間に紛争が生ずるのではないか、こういう面におきまして、この機関に官庁或いは公団或いは一般民間の方が入つて、そうしてその事情をはつきりとして解決して頂く事項が相当出て来るのじやないかと考えます時に、少くとも審議会等のようなものを設けられまして、そうして法文の中にはつきりと入れる、或いは規定して頂くかして、少くともこの審議会は相当の権限を持つて裁判をしてやる、そうしていろいろな法律に触れないように、円満に納得づくでこれをやらせるような機関を作つて頂きたい、かようにお願いする次第であります。  それから申込及び借入手続の簡易化でありますが、これは実は一般の民衆、先程も申しましたように、現実に希望する人は、それは世上に数百万おられるでありましようが、なかなかこの手許金というものは殆どないので、今まで建てられる人は全部建てまして、現在は本当に家がなくて困る、かような面が多いのでありますのと、それからもう一つ一般の国民が対象にして借りるのでありまして、この事務的の能力というものはないのであります。かような面から考えますときに、返済方法或いは建築資金の計画とか、或いは建築施行に関することをはつきり嚴格に規定する必要はありましようが、書類の上におきましては成るべく手間を省いて、そうして個人の借りる人、或いは建てる人、かような面におきまして明確にして頂きまして、書類は成るべく簡潔にして頂いて、一枚の書類で貸せられるというようなことにして頂きたいのであります。  それからもう一つ保証制度の問題でありますが、これは私らの業者とは余り関係ないのでありますが、なかなか民間の方の立場で行きますと、私らの業者に相談になりますのは、何か金を貸せると担保物件、或いは何々という点、なかなかその保証をして貰うのが容易でないのであります。かような面からいつて成るべくこれは貸付の保証は建物担保とされまして、若し保証人を必要とする場合であつても、その人の人格なり、その人の信用を保証するというような程度で考えて貰いたいということを一部から要求されているのであります。  それから今度は建築業者の立場から一つ御希望申上げたいのであります。この融資されました建築業者でありまするが、これはなかなか建築業法というものを布かれまして、特に登録して業者に責任を負わせるようになるておりますので、この事業は登録業者によつてさせて頂きたい。いろいろの、先程午前中の御婦人の意見もありましたが、建築業者は如何にも不安のごとく思われるのであります。これは一般の輿論からもそう考えられますのですが、少くとも登録業者は法律によつて制限されまして、そうして制約されて自分が過れば飯を食いはぐれる、その業を取消されるというような面につきまして責任を持つものと考えまして、この貸付事務に関しては、この公共事業は登録業者でなければならん、これと同樣に貸付資金を見ますと、国民の税金であり或いは見返資金、かような公共性の非常に強い建築をするのでありますので、この面はこの仕事をする者は建築登録業者を以て行わしむる、かようなふうにして頂きたいのであります。  それからもう一つ、私らの工事請負業者といたしまして、申込の際に私らの業者と借りる人とが相談して、そうしてこれなら土地もよろしい、それから手許金も持つている。それでは融資があつたなら私らの方で建てて上げましよう、こういう約束の書類でも付けてやらしたならば、公団の仕事なり一般の手続が簡易化されるということが考えられるのであります。でありますから申込の際には少くとも土地を持つている、それから金を持つている、それから又本人に融資があつたならば工事に来てやるという書類を付けさせて頂きたいのであります。そうでありませんと、建ててから、いわゆる融資を受けてから調査をし、土地を探すということは、先程も出ましたがこれはなかなかできないのであります。それよりも先に誰でも家を建てたい、欲しいのでありますから、少くとも借りる人はそれくらいの準備を以て、そうして借入れをする、こういうようなことを考えることが必要じやないか思いますので、私らも又さようにしてお約束してできた以上は、認可になれば直ちにこれを実施いたす。そうしていわゆる融資貸付の規定では、第一回は半ば建てれば貸せる、建てなければ貸せないという、こういう問題がありますが、又さようにしてやりませんと、この事務が折角できても、調査その他によつて長引いて、借りてから一年も半年も経たなければ家が建たんというようなことのないような方向に先ず行つたら一番堅く行くのではないか。これは私らの業者の立場から、何も仕事を呉れという意味じやありませんので、折角やつて頂いて全部の国民の要望が叶つたこの法律を徹底して円滑に行くためには、私らの業者も相当に責任を持つて、そうして調べる。それはなぜかと言えば私らの業者は小さい業者でありまして、金の貰えない工事はできないのであります。それでありますので、最初からさような約束によつてやつたならば、調査の方も公団においてもできるのじやないか。少くとも私らの小さい業者は大工の棟梁でありますから、かような面におきまして、十二坪までは全部引受けてやることになると思いますから、かような面においても、その土地に長く住んでおる、そうして土地の人がよく知つていて、大体どのくらいの経済能力があつて土地を持つている、土地がないということがはつきりするのであります。そうして約束をしてやりましたならば、その中では一部にはあるかも知りれませんが、少くとも大部分のものはそれによつてはつきりするのじやないか。御調査になつても、金融機関或いは公団が調査しましても、一時的になるのじやないか、かような面において無駄が省けるのじやないか、かような意味でそうしたものを添付して出させるということを何かに規定される必要があるのじやないかということを進言するものであります。それからもう一つお願いしたいのであります。かようなわけで貸付があつたならば、その工事請負業者は工事の代金の受領委任をさして頂きたいのであります。それは先程も申上げましたように、現在経済に詰つております人々が建てるのでありますので、なかなかこの金を見れば直ちに何とかしてちよつと使う、そうすると工事請負業者に対する渡金が途中で切れてしもう、こういうことのないようにしますには、何とかしてこの委任受領によつて本人が、いわゆる注文者の方で好意を以て委任受領を出した場合に、融資機関はこの人に金を出す、かようなことにして頂きたいのであります。以上を以ちまして私らの業者の立場から申述べた次第でございます。
  90. 中川幸平

    委員長中川幸平君) どうも有難うございました。次は住宅復興同盟八子音次郎君にお願いいたします。
  91. 八子音次郎

    公述人(八子音次郎君) 只今紹介を受けました八子でありますが、私は今日ここの公述人として住宅対策審議会から三名出ておるのであります。阿部さんと一番最初に話されました堀さんと三名であります。住宅審議会でこの法案を一応要綱から再三再四審議いたしまして、漸くにして或る程度の結論に逹したのでありますが、審議会の構成委員それぞれの立場もありますし、又私も審議会に最初から出ておりまして、この法案の意向或いは改正すべき点、主張する点、それらについては逐次申述べて来たのであります。残念ながら私は住宅団体としての民間の代表として意見を申上げたのでありますが、我々の意見が殆んど全面的に消されてこの法案ができたという結論を持つておるのであります。でそういう立場からはつきり申上げますと修正すべき点が余りにも多いので、この法案においては金を出した、百五十億の融資については賛成でありますけれども、その金の使い方については、かかる法案によつて使われることに対しては反対せざるを得ないのであります。以下その理由を申上げます。  もともと住宅政策につきましては最近の経済的な事情から考えて赤字を背負わなければ住宅政策ができないということは、これは誰しもが承知しておるところであります。然るに政府その他において考えられる住宅政策が損失を出さないような政策を考えておられる点がありはしないか。根本的に赤字を背負わなければ解決できない政策を赤字を背負わせずして解決しようとするところは根本的な矛盾があると私は思うのであります。そういう立場から考えて見ますと、国庫補助半額の賃貸住宅にいたしましても、或いはこの融資宅宅にいたしましても、特にこの融資住宅につきましては、何ら国が損失をすることなく完全に回收されるものと予想する場合には、国がちつとも犠牲負担をしないで現在住宅に困窮しておる者に賞讃される政策が遂行できるという点に非常に世の喝采を受けておるようでありますが、この深刻な現在の経済状態の下におきましては、それは高嶺の花であるという点で、新聞その他の報道機関で指摘されておる通りだと思うのであります。日本の住宅政策がそもそも中心を失つておつた。社会局から厚生省の生活局へ移り、厚生省の住宅局へ移り、戰災復興院ができ、建設院ができて来ておる。このいわゆるジグザグ的な住宅政策の根本を忘れて、その時々の、戰争のときは戰争で家が焼かれたらば焼かれたものの処理だけにしか眼を見張つていないような政策に出て来ておるのじやないかと思うのであります。而も尚現在の政策でさえも、公務員の宿舎に対しては大蔵省が主管する、引揚者の住宅に対しては厚生省が主管しておる、そうして開拓者住宅に対しては農林省、半額国庫補助の庶民住宅建設省というふうにばらばらにされた住宅政策が現在実施されて、それぞれの権限官庁によつて引離されておるのが現状ではないかと思います。而もこの融資住宅でさえも、審議会で相当議論され、大蔵省は何らこれにタッチすべき筋合ではないにも拘わらず、所管官庁が大蔵省と建設省になつておる。審議会の計画に従つて最後に大蔵省と建設省との所管が逆になつた。前に大蔵省が上に書かれてあつたのが下に下つたということだけでも相当意味があると私は思うのでございます。下に下げたのであるならばいつそのこと消してしまうべきであると私は思うのであります。結局我々が主張したい住宅政策は、半額国庫補助或いは金額国庫補助の住宅政策である。而もこの政策が百五十億という厖大な予算を、厖大ではありませんが、いわゆる公営賃貸住宅から比べて見ますと厖大である予算の使われる途が、一般のまじめな勤労者には全然相手にならない、引揚者には全然相手にならない、住宅に真に困つておるような人には全然相手にならないということでは余りにも不公平な結果が招来するのではないか、こういうふうに考えるのであります。昭和二十四年度の公営賃貸住宅の予算が二十五億でありました。本年度は二十一億に殖えておるそうでありますけれども、百五十億の融資住宅が出るために三十一億に削られてしまつた。若しこれが出なかつたならば少くとも四十億以上公営賃貸住宅の費用として出たのであろうという予想さえも行われておるのでありますが、第一次的な住宅政策に圧縮してまでも、このいわゆる融資住宅を重点的に取上げなければならんところに、私は問題の本質があるのではないか、こういうふうに考えております。こういう点から考えて見ますと、若しもこの融資住宅も或る程度我々が主張する線に引下げて、真に住宅に困る人逹が借りられるような條件の法案になつておりますれば、これは全面的に賛成し、それが速かに実現することを期待するのであります。併しながらあとで検討いたしますと、個々の点を申上げますが、全くまじめな人逹には全然及びも付かない條件になつておるのであります。最近の発表の例を数字で申上げて見ます。十坪の今度の融資住宅の場合を考えて見ますと、先程から、二五%という話が出ておるのでありますが、手持資金はこれは三〇%になつておるのであります。恐らく七五%を貸付限度とするとこういう法案になつておるのですから、必ずしも七五%を融資する必要はないことであります。七〇%にも下げられることを意味しておるわけであります。政府で現在立案いたしましておるものは、七〇%の融資を考慮いたしておるようであります。こういう点から計算いたして見ますと、十坪の住宅にして十五年間償却にいたしまして、大体月当りの元利償還金が、外の負担も混ぜまして約千五百円、純然たる元利償還金だけで千円近くになります。千円ちよつとかかるのであります。約千円になるわけであります。外の負担、地租、火災保險その他の負担を合せて見ますと、十坪の住宅でさえも千五百円、手持資金の五万数千円の償却を十年として考えても、二千円の償却を考えなければならないのが今度の融資住宅の実態であります。現在の給與ベースの下において毎月二千円ずつのいわゆる償却ができる人が一体何人おるかということをまじめに各自々々が考えて見た場合には、確かに新聞が指摘する通り高嶺の花ではないかと思うのであります。CPSの計算によりましても、先程指摘されました通り、現在のいわゆる住居費七%と出ておるのでありますが、この七%というものは家具、什器一切を含んだものであります。純然たる家賃費はたかだか四%に過ぎない現状ではないかと思うのであります。現状がたかだか四%にしか過ぎないような現状の下において約一五%乃至二〇%、飲食費が全生計費の七%前後を占める現在の世相の下において、二〇%近くの支出を一体誰ができるのであろうかということを甚だ疑問とせざるを得ないのであります。こういう点から考えて見ますと、今度の融資住宅は昨年来、いわゆる金詰りのために家が建たなくなつた。手持資金は持つておるのだけれども、建てたい人がある、そういう人のために今度のいわゆる融資住宅ができたんである、こういうふうにも一部報道されておるのであります。若しそうだとするならば、まじめな人逹が、勤労者が、普通のサラリーマン階級がこの住宅について望みを持つこと自体が無理である。引揚者はこの住宅について希望を繋ぐこと自体が私は無理である。それならばそのように政府ではつきりと、この法案はまじめな働く人逹には相手にならないものであるとはつきり指摘すべきであるとこう思うのであります。そうでなくて、一般のいわゆる公共機関が、これを誰もが希望を繋げるごとく見せかけているところに問題の本質が伏在しているのではないかというふうに考えるのであります。  それでこういういわゆる一方的な高嶺の花であるこの住宅金融公庫法案を如何にして修正したら我々が主張する線に大体合うようになるかという点を以下申上げます。  第一が、真の住宅困窮者対象とするために、全額を融資すべきである。 これが第一であります。全額融資すべきである。過去の住宅組合、預金部資金融資したときにも全額融資をしているであります。必ずしも全額融資するのは無理でなかろうと思う。これは審議会においても全般的な意見であります。  第二の点は、この政策の実施によつて、国庫補助賃貸住宅の政策が圧縮されることを絶対に防止しなければならない。このことが第二点であります。副次的な、第二次的なこの政策によつて、第一次的な国庫補助賃貸住宅の枠が狭ばめられるようなことの絶対にないようにすべきである。これが第二の点である。  それから第三の点は、住宅組合を貸付対象者としておりながら、申込の対象者としておらない。この余りにも不合理な法案に対しては徹底的に究明しなければならない。飽くまでも住宅組合を対象として貸付すべきように決めるべきだと、こう主張するのであります。この住宅組合は勤労者の職場組合或いは引揚者の組合或いは或いは生活協同組合の組合、それに特定すべきじやないけれども、そういうものを重点的に、いわゆる枠をはつきり指定して個人貸付はこれだけ、組合に対する貸付はこれだけ、はつきりと区分けいたしまして、これを対象として、はつきり貸付対象を厳定すべきである、こう思うのです。これが第三点。  それから第四番目が、建坪数の最低限度を引下げるべきである。これは反撃の意見を言われるかもしれませんが、我々は真に住宅に困る人逹と接しておりますと、九坪という最低限度は、現在の三百六十万戸の住宅不足の現状から考えて見ますと、まだ十二坪、十坪ということを理想として言うのは一向構いませんけれども、現実は十坪、十二坪以下に引下げても決して恥しくない。スラムができて将来困るじやないかと言われるが、スラムさえもできない、三百六十万戸の住宅不足の現実を私は見て頂きたいと思うのであります。そういう意味におきましても、余り小さくしても無理と思うのでありますが、少くとも七坪半程度に引下げて然るべきだと思うのであります。これでも二間は十分取れます。  それから第五番目には標準建設費の一・二倍は取止めるべきである、これは審議会の意向は一・五倍まで引上げるべきであるという主張も出ているのでありますが、これは住宅の質をよくする、防火、衛生施設をよくするという点から考えて、一・五倍まで引上げるべきであるという主張が出ているのでありますが、たかだか百五十億の枠で、八万一千戸という総体の枠が決まつているうちの、一・五倍の建設費、約二万五千円、三万円の建設費のものまでも含めることになると、それでなくてさえも、枠が狹ばめられているのに、一・五倍、一・二倍という標準建設費以上のものは、私は融資住宅対象として借りて頂きたくない。むしろそういう人は自己で建てて頂きたい。実際困つている人は標準建設費にも私は届かないのではないか、こう考えるのであります。従いまして標準建設費の一・二倍という法案は、標準建設費の限度にはつきりと止むべきである、こう思うのであります。従いまして延坪数の場合もそうであります。最高限度三十坪、貸付の最高限度十八坪、最低限度九坪というものを、最高限度十八坪でも私はまだ高いと思うのでありますが、現在の日本の住宅が狭く建てられている現状から考えて、この法案が規定いたしておりますところの十八坪に止めて然るべきである。三十坪なんという家は農家の家なら別として、この実施区域が都市に限られている建前から考えるならば、私は十八坪に止めるべきである。これが第五の主張点であります。  それから第六、最後は抽籤による、而も手数料が少いために殆んどいわゆる書面審査で終つてしまう現状である。こう言われておるのでありますが、そういう点から考えて見ましても、この余りにも非科学的な抽籤方式というものはやめて頂きたい。飽くまでも責任ある機関で最終決定のいわゆる貸付対象決定を決めて欲しい。決定して欲しい。こう主張するのであります。審査で以てはねたり、入れたりいたしますと、非難攻撃を食うものですから、初めは殆んど通してしまつて、手数料も十分貰えないから、調べるわけにもいかない、結局最後まで流していつて、そこで抽籤ということは余りにも官僚的な逃げ口上に過ぎないのではないか。この思うのであります。  それから第七は、この最後決定をいたす時の機関として、民主的ないわゆる管理委員会勤労者、引揚者、市民団体或いは公庫の職員、地方公共団体、そういう人逹を入れたいわゆる管理委員会によつて、十分責任ある決定をして、真に住宅の必要の度合を追求して決めて頂きたい。これは非難されるかも知れませんが、むしろこの方が私は公平だと思うのであります。今までの官庁のやり方が、できるだけ追求されない、何となく、責任逃れの傾向があるから、少くとも融資住宅の場合に限つては、責任ある機関において決定して頂くようにして欲しい、こう思うのであります。  それから第八番目に銀行を委託機関とすることは、これは絶対にやめて欲しい。銀行を委託機関にいたしますと、銀行で大体審査すると、その人の信用状態その他から考えて見ますと、殆んど住宅困窮者という者は除かれてしまう危險性が多分にある。いわゆる委託機関銀行に持つて行くことは、これは反対である。銀行に持つて行くくらいなら、むしろ地方公共団体実情を知つておるそれらの機関に任して協議会でも作つて、そこで受付けて、受理して金を貸すという方法をとられた方が正しいと思うのであります。それから第九番目、五分五厘の利子が高いということについては、先程来から指摘せられまして、私は五分五厘が高いとか低いとか、一割の利子の中から五分五厘を取るのは、地方公共団体審査の手数料或いは銀行貸付手数料或いは住宅金融公庫の諸経費、それらを見積つて五分五厘になるかも知れません。併しながらこの五分五厘がやはり償還金の高くなる一つの條件であることには間違いないのであります。このいわゆる五分五厘税率は徹底的に引下げなければならないと、こう思うのであります。  次は公有土地の低廉なる拂下の方法をとること、公有土地といつても地方公共団体或いは税務関係相当土地を持つておると聞いておるのであります。そういう土地を低廉な価格でこの融資住宅のために拂下すべきである、こういうふうに考えるのであります。  十一番目は、融資住宅の敷地、これが一番問題であります。昨年の春の住宅政策に要する土地を獲得するために、或る程度公收の、公に取つてしまう……借地権と所有権を取つてしまう法案を予定したのでありますが、一部の反対に会つて立消えになつたそうであります。私は公営賃借住宅或いは公共的な住宅のための敷地に限つては、又その敷地が或る程度団地計画を持つておる場合に限つては、所有権と言わないまでも、使用権、使用権だけでもいいから少くとも公收するという方法を法制化すべきである。これを第十一番目として指摘いたすのであります。  それから、第十二番目として鉄筋アパート、これはもともと地方公共団体が建てることになつてつたのですが、起債の枠が取除かれてしまつて、現在では誰が建てるのか分らないような法案になつておるのであります。全く分らない法案になつておるのであります。この鉄筋アパートを建てる賃貸住宅は、現在の住宅不足事情の実情から考えて、建築費がそれだけ高くなるのでありますから、戸数を殖やすためにこれをその他の住宅に転換すべきである。それからブロック構造或いは木造住宅に転換して戸数を余計建てるように図るべきである、そうして賃貸住宅として原価計算で高く付いて赤字が出ると言つても、前に申上げました通り赤字を背負わない限りは経営できないのであります。それを覚悟の上でこれをいわゆるブロック及び木造住宅に転換して、賃貸住宅の鉄筋構造を取止めるべきである。  それから第十三番目はこの法案の中に余りはつきり分らないのでありますが、購入住宅というものがありますが、この購入住宅についてははつきりした規定が未だないのであります。これはいろいろな点で欠陥があるので、私はこういうものはむしろはつきりと削除すべきである、こう思うのであります。  それから第十四番目はこういう融資住宅住宅を建てる者の補助でありますが、こういう政策によつて現在殆んど荒廃に帰しておる沢山の住宅があります。耐用年限がもう到逹して地震か大風があつたら正にひつくり返りそうな住宅が多数存在しておるのであります。そういう住宅に対する顧慮を何らいたしておらない、高嶺の花である。こういう住宅政策のために、百五十億という予算を盛つたという点から考えて見まして、今正に荒廃しようとしておるところのいわゆる不良住宅に対する修繕費、営繕関係の費用を考えるべきである。  それから次に事情変更の場合における規定でありますが、若し経済事情が変動があつた場合には公庫が主務大臣の認可を受けて、元利金の支拂方法の変更、その他貸付の條件の変更ができると規定されておるのであります。こういう規定がある点から考えて見ますと、昔の融資住宅から考えると進歩であります。併しながら公庫が主務大臣の認可を受けなければ経済事情が変動してもそのまま居坐りにしてしまう、建設費相当下落して現在一万八千円もするものが五、六千円に下つても尚且つ千五百円、二千円の償還をしなければならない期間が、官庁の、公庫の怠慢によつて一年、二年続くとしたならば一般の被害は甚大であります。そういう状態が来た場合には自動的に切替える、そういう規定をむしろ法制化すべきであると思うのであります。公庫信用すれば公庫が主務大臣の認可を受けて変更をするのだから、早速やるというように運用すればそういう顧慮は要らないのであります。今までの種々の行政措置が間々時間的に遅れることを顧慮いたしますと、自動的にこういうことは切替えられる、こういうふうに直すべきである、こう考えるのであります。  それから最後に、今度の融資住宅担保力においては非常に強化されております。これはまだ試案の程度でありますが、法案には盛つてありませんけれども相当強化される。手持資金でやつた住宅担保に入れる、借りた分の住宅担保に入れる、火災保險を掛けてそれを質入する。そうしてその上に保証人を付けて全く完璧なところのいわゆる担保力を有しておる。而も公正証書を作つて強制執行の認諾書まで付けるという担保力を持つておるのであります。債務の確保としては正に完璧と言わざるを得ないと思うのでありますが、この前の審議会でも指摘いたしました通り担保の強化は逆に担保の弱化を来すことがあり得る。過去の住宅組合法が失敗したのは連帶保証責任であつたために一人の債務遅滯があつたら、あの人のために皆が債務を背負うのでは馬鹿々々しいという考えから、結局皆が足並揃えて滯納してしまつたという実例があるのであります。担保の強化必ずしも債務の強化ではないということを、世の中の実態を考えて今後のいわゆる運用者については担保力の極端なる強化を、これは防止しなければならない。  以上簡單でありますが、こういう点について改正されて百五十億の金が使用されるならば結構であります。現在のままの法案では、残念ながら反対せざるを得ないということを以ちまして、私の公述を終ります。
  92. 中川幸平

    委員長中川幸平君) どうも有難うございました。次は東京工業大学厚生課長吉田和夫君にお願いいたします。
  93. 吉田和夫

    公述人(吉田和夫君) 私の勤めておる工業大学の狭い範囲意見を申述べさせて頂きます。  百五十億の金が使われて、住宅問題が解決するという点においては賛成いたします。併しながら先程から皆さんがおつしやる通りに、二五%乃至三〇%の自己資金を要するということであるならば、最も住宅問題に困つておる我々勤労者階級は、殆んど高嶺の花となるのじやないかと思います。私逹の勤めておる工業大学の中堅とも言わゆる助教授、或いは若手の教授の平均俸給が僅かに九千五百円程度というところで、自己資金の数万円を負担し得るか否かということは明らかであります。その意味におきまして、国民大衆はこの法案にありまするように、国民大衆は健康で文化的な生活を営める最低の住居、少くとも十坪乃至は十二坪までは全額融資をして頂きたい思います。そうして大きなものについては、その五〇%或いは六〇%で結構でありますが、最低の住居については全額の融資をお願いしたい思います。それから全額の融資をする関係で、関連いたしまして十七條の一項第三号、いわゆる貸家をする法人或いは会社に対する融資、これは極力圧縮して個人の者の第一号の方へお廻し願つたらよいと思います。それから償還年限につきましては、木造住宅十五年以内でありますが、これは二十ヶ年として頂きたいと思います。それから利率につきましても、五分五厘という利率を成るべく安く、公庫の経営を最低限度に維持できる程度に圧縮して頂きたいと思います。それからもう一つは、戰災都市における新制大学の教官用の住宅として或る程度の枠をとつて頂いたらどうかということをお願いしたいと思います。以上簡單でありますが、我々の狭い範囲の希望を申述べました。
  94. 中川幸平

    委員長中川幸平君) どうも有難うございました。最後に引揚者団体全国連合会事務局長阿部勇君にお願いいたします。
  95. 阿部勇

    公述人(阿部勇君) 私は公述人の申請理由に、原則として賛成ではあるが、いろいろな修正意見があるということを書きまして、相当沢山の修正が行われ、又運営の問題についてはつきりしたことが確立されなければ、結局反対ということになりますが、まあ八子さんと同じような結果になるかも知れません。この法案が考えられましたときは勤労者、引揚者、戰災者その他住宅に困難しておる者に対する総合対策を立てよう、その総合的な対策の一環として先ず今回の法案が考えられた筈なんであります。こういう関連から見ますというと、まず法案の第一條の目的が極めて漠然としておつて、最初住宅対策審議会で考えられたその動機が記されていないのであります。即ち健康的にして文化的な住宅を建てたい、併しながら金を持つておらんし、又他の金融機関から融資ができない。そういうものに融資をするのだということになつてつて、成る程住宅に困窮しておる者は沢山あります。いろいろな階級がありますが、その中のどの層を狙つているかという第一の目的がはつきりしていない。その結果先程八子さんからも説明がありました通り、三十坪の家を建てたいという人までも融資対象に入り得るということが出て来るのであります。三十坪建てたい人は勿論三十坪分を借りられるのじやありません。十八坪分借りることができるのでありますが、併しながら後十二坪の分は全部自己資金でやらなければならんのであります。そういたしますというと、相当なこの人は生活に余裕があるということを考えられるのであります。こういう人がたとえ住宅に困つておりましても、私は引揚者だとか、或いは一般勤労者とかいう者が困つておる程度に比べれば極めて軽微なものである。こういう人にまで貸すということを法案に盛るということは、最初の出発の観念を目的の條項において、はつきりしていないからだと、こういうふうに思うのであります。又自己資金の問題においても縷々午前中からお話がありました通り、十坪の家を建てるについても土地まで合わせますというと、五万円以上もお金がかかる、十二坪ぐらいで十万円ぐらいの自己資金を持つていなければこの金を借りることができない。こういうような状態でありまして、果して今一万円内外の給料を取つておる相当に立派な人間であつて、そうして支拂能力も十分あると思われるような人逹が、直ちに五万円或いは十万円というような自己資金を用意することができるかどうかということは、誰が考えても直ぐ分るのであります。そういうことが法案に盛られておるというのは、この第一條に明確に誰を相手とするかということを盛つていないからだと思うのであります。  次に融資対象としまして、個人組合、それから賃貸住宅を建てる業者というふうに分れておりますが、その中で住宅組合のことが非常に問題になつております。と申しますのは、法案では別に住宅組合をどうするということはないのでありますが、政府当局者の考えでは、従来の組合が不成績なために余りこれには重きを置かぬ、従つて申込の際も住宅組合として申込をするのではなくて、個人として申込をするのだというようなことを言つておられます。これが各方面に伝わりまして、非常に混乱を起しておる、成る程住宅組合は惡いかも知れませんが、成績は惡いかもしれませんが、中には相当立派な住宅組合もありましよう。又国家としては住宅組合によつて住宅政策を行うということを決定して、その法律を存在させておる以上、はつきりとこれは住宅組合そのものを対象としてやるべきだと思うのであります。で若しもそうでなければこの法案よりそれを削除いたすべきではないかと考えます。業務の中に土地の斡旋ということがあります。これは非常に我々の意を得たものでありますが、やはりこれも午前中からの説明によりまして、なかなか土地が手に入らない、私は物納の土地だとか、或いは国家、或いは地方公共団体が持つている土地、これを全部公庫に集中いたしまして、公庫においてこの斡旋業務を実質的に行い得るというふうにすべきだと考えております。勿論遊休住宅を收用しまして、土地宅地の調整をやるということは大賛成でありまして、これは申上げるまでもありません。  次に第十八條に、貸付は公正にすべきであるということが書いております。併しながらその具体的なことについてはすべて運用に委せられてあるのでありましよう。少しも規定がないのであります。私は少くも運営においては公正にするために何らかの具体策がなければならん。私は只今二つ案を持つております。それはいろいろな融資の枠を決めて見たらどうか、少くとも各府県別には割当がありましよう。その割当の中から個人に対して、或いは組合に対して、或いは賃貸する人逹に対してどういう枠を作るかというような、枠を作り、更に個人の中でも、組合の中でも、引揚者とか、戰災者、或いは勤労者の小さな枠を、一応作り、勿論この枠は運用でありますから標準的なものであり、絶対に動かせないというものではありません。こういう議論をしますというと、枠を作つたために不公平じやないかということを言う人逹が沢山あるのであります。併し私は譬えて申しますというと、コップに水を入れて砂糖を入れる、砂糖は下に溜つて行く、下から順々に濃い砂糖水、薄い砂糖水というふうな状態になるので、そういうふうにこの住宅に困窮する度合がいろいろあると思うのであります。このコップの水の中からアトランダムにしやくり上げる。そういう人逹が申込んで来ている、アトランダムに掬い上げるということは、最も住宅に困窮する、底に沈んだ人逹はなかなか浮び上れないというような結果になるのじやないかと思うのであります。  次に、先程八子さんからも、その他の公述人からも御意見がありましたが、中央に公庫の運営の根本方針を決定する、又運営の仕事を監視する、そういう機能を持つた審議会、そういうものを作り、各地方には融資決定をする、これに準じたような地方の審議会、管理委員会と申しますか、そういうものを作るべきである。これには地方自治団体の責任者、民間の有識者、各団体の代表者というような者を集めて、ここで審議をし、決定をすべきだ、こう考えるのであります。この二つがあることによつて、十八條の公正な貸付ということが実現されるのではないかと思うのであります。従いまして、床面積三十坪ということは、少くとも削除しなければならない。  次に、この自己資金でありまするが、これも、先程から皆さんが、全額融資にしろという御説明がありました。私も全然同感であります。最小限度、これが全然できないならば、少くとも九割までは貸すというようなことぐらいに是非して貰わなければならんと思います。尚運営におきまして、一応融資決定されても、自己資金によつて、或る程度の基礎工事をやり、それを見てから貸すんだということがあります。自己資金が、非常に小さいものであれば結構でありますが、併しながら今のように二割五分とか、或いは三割を持たなければならないという場合においては、なかなかこれはできないのでありまして、殆んど勤労者とか、引揚者等には無用である、こう考えられます。  次に金利でありますが、これも皆さんから引下げろというお話がありました。現在、国民金融公庫事業は違いますけれども、同じく庶民金融をやつております。非常に細かい事務をとつておるのであります。これが約二億くらいの事務費を以てやつておる。八万戸やそこらの融資をするという事務であれば、恐らくやはり同じような程度ではないかと思うのであります。ところが百五十億の金は、五分五厘で廻しますというと、八億何千万円かになる。最初の初年度は、その二分の一といたしましても、四億以上になる筈であります。事務費と金利の総額と非常に差がある。もつとこの金利を下げる余裕があるわけであります。金利を下げることによつて、むしろ償還成績をよくするという方が、ずつと手取り早いんであつて、私は絶対に金利を大幅に引下げる必要があると思います。  次に、公庫の監督は主務大臣ということになつておりまして、予想されておるのは建設大臣及び大蔵大臣のようであります。併しながら民生の安定中現在最も大きな問題は住宅の問題でありまして、これについては厚生省が相当に苦慮しておるわけであります。民生行政に練逹をしている、庶民の気持もよく分つておるというようなところの主管大臣を、この中に加えないということは非常に将来に禍根を残す、こう考えられますので、是非主務大臣の中に厚生大臣を加えて頂きたいと思うのであります。  大体私の意見はそういうものであります。
  96. 中川幸平

    委員長中川幸平君) どうも有難うございました。
  97. 岩崎正三郎

    ○岩崎正三郎君 大体公述人の話は済んだのでありますが、幸いにここに全東京都生活協同組合住宅事業協会の坂野武夫君が来ておりますが、この生活協同組合関係のことに関連して何か話したいというのでありますが、何か参考人としてでもお話を承わりたいと思いますが、一つ委員諸君にお諮りを願いたいと思います。
  98. 中川幸平

    委員長中川幸平君) 只今の岩崎さんのお話に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  99. 中川幸平

    委員長中川幸平君) それでは御異議がないようでありますから、参考人として全東京都生活協同組合住宅事業協会坂野武夫君にお願いいたします。
  100. 坂野武夫

    ○参考人(坂野武夫君) 私只今紹介にあずかりました坂野武夫でございます。貴重な時間を割かれまして菲才な私の意見を御聽取下さいます途を講ぜられて下さいましたことに対しまして厚くお礼を申上げます。  私の立場から申上げますならば、これはおのずと生活協同組合という線から限られての面でございますので、先程来の公述人の皆様と全く意見を同じくする点があり、又半面これに反する点もあることと思います。同時に資料といたしまして実は私持つておりませんので、有合せのものをお借りしたりなんかしてやつておりますので十分ではないと思われますが、大体我々の協同組合としての立場を一応御了解が願えれば、これに越した仕合せはございません。  先ず最初に私は住宅組合という面から一応私の意見を述べさして頂きたいと思うのであります。御承知通り住宅組合は大正十年に発足し、四年にして終止符を打つたのであります。爾来今日まで住宅組合法は全く埃にまみれて棚に上げられてしまつたのであります。が併し今日住宅金融公庫の発足を見まして、測らずもこれが世に出たということに対しましては、私は最もこれを喜ぶものであります。ただこの住宅組合法の過去における実績が禍いをして、結局は回收の面にのみ力をいたされたがために、今日の住宅金融公庫法案に取上げられた住宅組合というものは、全くその趣旨が違つて来ておるのであります。この点は私共非常に悲むのであります。勿論住宅組合の本旨といたしましては、庶民階級の住宅を建てるということが目的でありまして、回收ということは先ずさて措いて庶民の住宅を少しでも余計建てよう、これが本旨なのでございます。従つて回收ということに最重点を置かれたのではなかつたのであります。従つてこの住宅組合法を取上げた場合におきましては、少くともこの住宅組合の過去の実績、芳ばしからざるところの実績を参考にいたされて、十二分にその趣旨を生かすようにこれを取上げて頂いたならば、これは庶民全体に対しましては誠に仕合せなものになるのであります。  さてこの住宅組合法の面から、今度は一応私は住宅組合の性格を申上げますならば、大体旧産業組合法によりまして、これを親とし、その親の下に生れたのが住宅組合法であります。一昨年の十月一日に消費生活協同組合法案が誕生いたしますと同時に、産業組合法はここに終止符を打ち、そうしてその産業組合法の趣旨は、消費生活協同組合法によつて引継がれたのであります。ところでこの住宅組合法が何故今日まで存続しておつたかと申しますならば、不幸にして六〇%の資金回收不能、これの整理をせんがために残されたのが住宅組合法であります。こういうことが言えるのであります。然らばこの親であるところの産業組合法に基くところの住宅組合法、住宅建設事業というものは、どういう状態になつているかと申しますならば、資金一つの例といたしましては、東京都において大正十二年の震災当時坪当り二十八円、この建設価額九百万円に逹するところの東京都だけでの融資が国庫補助によつて出されたのであります。この融資というものに対しまして現在ではどの程度回收が行われておるかと申しますならば、九六%、これは元利金とも回收されておるのであります。尚残された四%は如何なる状態になつておるかと申しますならば、これは戰災によるところの組合の壊滅、東京建設局の書類の焼失によつて、この四%のうち、尚若干は回收されておると思うのでありますが、併しそれが明らかにできないような現在の状態になつておりますが、少くとも明らかになつております点は、九六%の回收を遂げておるのであります。一方この生活協同組合によりますところの住宅事業面は、現在尚活溌に遂行しつつあるのであります。戰災治まるや直ちにその機能を発揮いたしまして、微少なる組合においては四十戸、若しくは百戸というような建設を遂げております。過去におきましては淀橋の例を一つ取りましても、すでに三千戸余住宅建設されておるのであります。これは勿論ひとしく各組合員の醵出金と、政府の貸出金その他によつてこの実績を收めたのでありまするが、今次の住宅金融公庫法案の設けられるに当りまして、この生活協同組合の線が全く除外視されたということに対しては、私共は誠に寝耳に水のような驚きを感じたのであります。何が故にこの融資対策というものがこれらに除外されているかということに対して、私共全体に亘りましてこれは遺憾に考えます。先刻来衆参両議院に対しまして請願書を提出したような状態であります。  そこで生活協同組合の御説明を申上げますならば、一応皆様におかれましても生活協同組合というものの過去の実績、これを見まして非常に危惧の念を抱かれるのではなかろうかと思うのであります。これは全く現在の消費生活協同組合というものの理解が徹底しておらん。法律の面によつて保護された、国家によつて保護されておるところの消費経済団体は、一つ消費生活協同組合というものがあるだけなのであります。この消費生活協同組合が如何にして過去において堕落したかというならば、これは私共が喋々とするまでもなく、その不備、欠点をはらんで消費生活協同組合法が生まれたのであります。即ちこの消費生活協同組合の育成は挙つて国家の責任にあるのであります。法によつて少くともこれは保護されておるのであります。又一方におきましては、先生方のお力によつて誕生いたしました消費生活協同組合法は、政府は挙つてこれを忠実に履行するのが当然ではなかろうかと思われるのであります。その中におきまして、この企画、立案された面におきましては、この消費生活協同組合法というものが、全く無視されておるような形になつております。而もその中に空文に等しきものが生まれたのであります。これが生まれるからには、当然私共として考えなくちやならんのは、消費生活協同組合法というものによつて生じたこの組合を、最大限に取上げるということが当然考えられなくちやならないのであります。それで常に私共は、第一條にありますところの「国民大衆が健康で文化的な生活を営む」という項目であります、消費生活協同組合は何を以て目的とするかと言いまするならば、即ち文化の水準を高めると同時に、国民を健全なるところの経済状態に置く、それの基礎を作るのが消費生活協同組合の本旨なのであります。従つて我々の扱う面は衣食住の盡くを賄うものであります。この業務を完全に遂行しようとするならば、先ず生活の基礎はどこにあるかと申しますならば、言わずと知れた住宅でございます。この住宅なくして衣食が定まる筈はないのであります。而もこの住宅組合法は、消費生活協同組合は、偏重することなく門戸を開放せられるのであり、如何なる者でもこれに対して拒む性質がないのであります。如何なる者でもこれは受入れる。而して又不満もあり、そうしてこれが妥当でないという場合におきましては、即日これを解体するということは、すでに法案によつて定められておるのであります。従つて一部分の人間によつて利用されるものではなく、広く全般的な、一般社会を対象としてのものでございまするので、当然これはどなたでも利用できる、特殊な性格を付けられたのが今度の消費生活協同組合法案なのであります。この設立に当りましては、過去におきましては七人の人間によつてこの組合は設立できたのであります。併しながら産業組合はそうでありまするが、消費生活協同組合は少くとも三百世帶の賛意を得、そうしてこの三百世帶の盡くが任意の出資金をして運営をするのが原則になつております。又これの運営その他すべてはその組合員全体が管理し、すべて民意によつてこれが運営されということが、やはり法によつて定められておるのであります。一面そう申上げますると、いろいろの観点からいつて、それは住宅資金でありながら他の方にこれを流用される虞れなきや、これは誠に深く皆さんがお考えになつておる点だろうと思うのでありますが、それはその法の精神を御研究下さいますとよく分るのでありますが、この消費生活協同組合の監督という面から行きまして、これはなし得ないのであります。一部の人間によつてこれをなすことはできるでありましようが、この目的によつて定められた出納というものはそれ以外には使い得ないのであります。如何なる紐が付き、如何なる面からこれを要求された事項がありましても、これはそれ以外には当然流用はできないのであります。釘付けされているのは事実でございます。従つて我々生活協同組合が挙つて住宅問題を採り上げ、そうして日々これに鋭意努力し、多少でも現下の苦しみの中にあつても尚貢献しているということは事実なのであります。これにつきましては建設省側といたしましては、全く生活協同組合法案というのもを無視しております。又知らなかつたのであります。我々といたしましては、建設企画課長その他種々の方々に、その実態を調査して頂くために東京都内の組合の実地調査を願つたのであります。御案内申上げたのでありまするが、私共の生活協同組合におきましては、過去十六ヶ年の記録が嚴然として未だ組合の中には残つておるのであります。收支その他すべてがそこにつまびらかにされた完全なる記録が残つておるのであります。この面におきましては、乏しい資料の中からも、一応衆参両院建設委員会の方々、又厚生委員の方々、この諸先生のお手許に一応私逹は資料として提出してあるのであります。これを御披見下さいますならば、十二分に我々の意図がお分りになるのではないかと思うのであります。従つて私共はこの生活協同組合は住宅組合以上に重要視し法律の上に明文化して頂きたい、こう切にお願いするものなのであります。  それから一部專門員の方々に申上げたいのであります。又議員の皆さんにも是非御参考になるかと思いますが、我々文化と申上げまするが、日本の文化はどこから生れるか、そういう点につきまして協同組合といたしまして一応卑見を述べさして頂きます。これは住宅であります。日本の便所、尾籠な話でありますが、便所と勝手の改革なくして文化は訪れないと私逹全組合がこぞつてこれを提唱しておるものであります。即ち勝手と便所の改革、これなくして日本人は文化を口にすることはでき得ない、同時にこれは国辱的な設備の惡さではないか、これを最大限に考慮しておるのであります。従つて我我生活協同組合の住宅面におきましては、現在個人対象に仮に貸付られたといたしまするならば、これは大工の棟梁が請負うでありましよう。結局といたしましては、これは取りも直さず歯科技工が治療不十分な歯に金冠を嵌めることであります。私共は即ち少くともその愚を敢えてしない考えであるのであります。即ち完全なる医師の治療の下にそこに金冠は技工の手によつて嵌められるべきである。計画なくしてこの建物というものは保存年限が保てる筈もなく、又そこに文化的な水準を高める何物の要素も生れて来ないと私は考えるものでありまして、従つてあらゆる観点からこの住宅の改革ということを最大限に採上げて参りました。又日夜これの研究を続けておりまする我々生活協同組合というものを十二分にお採上げ下さることが、少くとも法を生かす道ではなかろうか、こう考えるのであります。そこで私は今次の貸付という面に対して一応意見を述べさして頂きたいのであります。住宅金融公庫法案というものが最初新聞に採上げられましたときには、我々組合員初め一般大衆におきましては、これに対して大きな嘱望を持つたのであります。望みを持つたのであります。ところが一度この法案が世に出まするや、大衆は深く又絶望をするに至つたのであります。極言して言うならば、全く絶望のどん底に突落された形になつたのであります。これは前々から公述人の先生方からいろいろと開陳がありましたので、この点は敢えて深く私は申上げません。盡くこの点に対しては同感でございます。ただ私は一つの例を申上げたいと思います。個人というものが全く対象である。これが最大限度に取上げられる。而も公平を期するが故に一応これを抽籤にするということが企画課の方で立案されております。又法の中にも殆んどそれが活かされるのではないかと考えるのであります。この場合は最も公平なる貸付をするがためにということが建設省から出ております。果してこれが公平であるや否やということになりますると、これは惡平等も甚だしいものになるのであります。以下この点を実例で以てお話申上げます。  東京住宅復興協議会、この例をひとつ取上げて見たいと思います。ここに集まる者は、法案というものが海のものか山のものか分らない事態において、東京住宅復興協議会におきましては、受付けると同時に、申込と同時に千円の金を徴收しておるのであります。而もこれは各地に支部を置き、外務員を擁し、戸別的勧誘を続けておるのであります。同時にこれは千円が先ず第一番に徴收されるのであります。申込先着順に家を建てると、これは公表しておるのであります。そこでここに集まる者を、私逹協同組合員全員挙つて関係する者がこの調査に当つたのであります。取分けて申上げますると、如何なる分類にこれが分類されるかと申しますと、先ず一つの例といたしましては、港区に居住する某でありまするが、私資料を持つておりませんのでその住所、氏名がはつきりいたしませんが、大体こういう例が行われているということは皆さんも御想像が付くであろうと思いまするが、二十五万円の金は持つておる、が併しこれは預金はしない、なぜなれば、すると同時にこれは税金の対象になるが故に、というので箪笥預金をしておる。これが逸早く申込んだのであります。三十何番目だそうであります。そこでなぜ申込んだか、それはその金で家を建てたいとは思つておるんだが、どうせ公庫から金が出るんだから、五分五厘という金であるならば先ずこれによつて家を建てようと思う、又はずれればそれで建てればいいのであつて、一応申込もう。勤めは某会社に勤めておりまして一万二千円程の收入があるのであります。この金で、先ず自分の金で家を建てるのでなくして、一応借入金によつて家を建てる、まあ借りた金で……
  101. 中川幸平

    委員長中川幸平君) 坂野君にちよつと申上げますが、時間を二十分と制限しておりますが、相当超過しておりますので、要約してひとつお願いいたします。
  102. 坂野武夫

    ○参考人(坂野武夫君) 以上そういつたような例から、その金を他の方に転用しておつた場合には、年五分五厘はおろか十割位の利子が付くであろう、こういうことを言つておられる方があるのであります。又尚私は三鷹の町に参りましてやはり住宅のそういつた関係の方々と懇談いたしました。いろいろの事情をお聞きいたしましたときに、殆んどこれが失望しておつた。金は借りられない、銀行その他の対象に我々はなり得ないという形から、どうしてもこれはでき得ないと諦める者が殆んどであり、同時に金がある者だけがこれに魅力を感じ、建てようとして鋭意努力しておるという結果であります。  結論的に申上げまして、以上時間がございませんから残念ながらここで打切りますが、最後にたつた一つ申上げたいのは、今次の公庫資金は少くとも大巾の権限を各行政長官に御委託なさるということが最も経費節減その他において賢明な策ではないかと考えられるのであります。これはおのずとお考え下されば分るのではなかろうかと私は考えるのであります。それから昨日私は衆議院でやはり参考人といたしましてお話申上げたのでありますが、日銀理事の言では、調査はできないが貸付事務は現在の銀行員で沢山だ、併しながらこれを審かに調査することになると、これは到底できない、従つて公庫自体でやるべきだ、こういうことになるのでありますが、恐らく申込人は相当多いのではないかと思います。これを公庫自体がおやりになるとすれば、到底杜撰になることは免れない事実ではないかと思われます。  もう一つ最後に附加えますのは、これは評論家の……名前はちよつと忘れましたが、昨日やはりおいでになつた方でありますが、ただ公述人のこういつた意見の面その他がいつでも反映されることが薄いようなことがあつてはならないのじやないか、私はそういう点で非常に不満な点があつたということを昨日申されました。私といたしましても、この幾多の資料を持ち、又実際に携わつておる皆さんの御意見もございますので、これを十二分に活用されて法の下に活かして頂ければこれに越した仕合せはございません。大変お耳を汚しまして申訳けございませんでした。有難うございました。
  103. 中川幸平

    委員長中川幸平君) どうも有難うございました。先刻から御発言のありました難波元由君、八子音次郎君、吉田秀夫君、阿部勇君及び只今発言なつた参考人、坂野武夫君に対して御質疑がありましたらどうぞ。
  104. 北條秀一

    北條秀一君 私は最初に、坂野さんが参考人として来られたことについて怪訝の感を持つのであります。先程お話通りあれだけ生活協同組合を代表して住宅問題に熱心な要請を持つておられ、同時に又衆参両院に請願書まで出しておられるというならば、当然に参議院に対しても公述人としてやられるだけの熱意を持つて頂きたいということを、大変苦言でありますが、申上げたいと思うのです。  そこで私は質問をいたしたいと思いますが、最初に難波さんにお聽きします。先程建設業法によつて登録建設業者に全部これをやらして貰いたいということでありましたが、すでに御承知のように、建設業法は、軽微なる事業についてはこれは登録業者でなくてもよろしい、特に、軽微なる程度とは何だということは、法案審議の過程におきまして、三十万円以下であるというふうに我々は了解して来たのであります。で三十万円以下であるということは、日本古来の大工さんの仕事を奪わないということでありまして、これはどうしても今度の住宅政策においても必要であると私は考えるのでありますが、難波さんの御意見通りに行きますと、いわゆる巷間に沢山おります大工さんはその仕事を殆んど奪われてしまうということになりますが、この点についての難波さんのお考えをお聽きしたいと思います。
  105. 難波元由

    公述人(難波元由君) 大体登録業者が予定よりは非常に少いのでありまするが、最近東京都の方から申しますると、だんだんと殖えては来ておるのでありますが、大工でありましても、実際において責任を持つてやるということになりますと相当の、先程参考人もお話しましたように、今の要求されているところの計画の住宅というものは、相当な時日が必要になつているように伺つておるのでありまして、相当の責任を持たなくちやならない。それからもう一つは私らの、奪われるというような点もあると思いますが、今のところでは潜つてやる方が多いのであります。例えて見ますというと、この間の神田区の調査で行きますと八十七件ですが、東京建築で調べましたことによりますと、その中の登録業者が三十万円以上の工事をやつている者が八十七件、その中の三十五件が無登録業者だつた、こういうような状態であつて、潜つてやるような業者にこれを若しやらしたならば、その責任が危ぶまれて、却つて我々の真面目な登録を受けた者に傷をつけるのではないか、こういうようなことを考えまするときに、そういうような潜つてやるような方にやつて、その工事がいろいろの問題を起すということになりますと、折角の税金なり、見返資金の重要な資金を流用しますのに、少くとも建てる以上は完全な建築をしなくちやならん、こういう責任を業者みずからも考えてやるべきだと、こういう面から申しまして、若し奪われても止むを得んじやないかと、こう考えるのであります。
  106. 北條秀一

    北條秀一君 ここで建てようとする住宅は、大体十五坪以下の建物がその大部分であります。先程公述人のお言葉にもありましたように、十八坪以下に限定して貰いたいという意見でありますが、大半は十五坪でございます。十五坪が大体三十万円、従つて今回百五十億で建てようとする家の大半は、この十五坪以下の三十万限度ということになるわけでありますが、その点は私は特に懸念するために今のようなことを申上げたのでありまして、難波さんの今言われましたのとちよつと喰い違うのでありますが、あなたの言われることは、今申しましたように、三十万円以下軽微なるものについては登録業者でなくてよろしいといつたような趣旨のものは、古来の大工さんの仕事を奪わないということなんでありますから、その点はやはり建設関係から言いましても、相当寛大に見なくちやいけないのじやないかと思うのでありますが、これらの一本立ちの大工さんが家を建てたのではいけないというふうなお考えなのか、その点についてもう一度一つ……
  107. 難波元由

    公述人(難波元由君) それはいけないとは申さないのでありまするが、少くとも今の公共事業仕事は大体登録業者でなければならんという、こういう観点から見まして、今の先程申しました資金の面その他の面から見ましても、重要性のあるものであつて、これと同一に取扱うべきではないかと、こういうふうに考えるのであります。それらは私らの今の登録業者という一つの社会人であるこの方面から考えるときには、そうした方がいいのじやないか。併しながら今の方から申しますならば、それ以下の十坪、二十坪の家でも建てられないことはないのでありますが、努めてさようにした方がいいのじやないか、こういうのが私らの希望であります。でありますので絶対できないということは申されませんが、さような方向に行くことがこの法を運営して行く……堅実なものを建てるにはいいのじやないか、こういうのが私らの意見なのであります。
  108. 北條秀一

    北條秀一君 先程来、教職員の、特に戰災地にある教職員の住宅のために枠を作れとか、或いは勤労者、引揚者、生活協同組合に枠を作れとかいう強い御要求があつたのでありますが、尚これは関連しておりますので、ここで一括して、八子さんと、阿部さんと、吉田さんと、坂野参考人にお伺いしたいのでありますが、ただ漠然と枠を作れといつただけでは甚だやりにくいと思うのであります。この法案によりますと、業者に貸す枠は百分の三十以下というはつきりとした法案を用意しておるのでありますが、皆樣のお考えでは、もう少し具体的に、勤労者のためにどれだけ、引揚者のためにどれだけ、生活協同組合にどれだけ、戰災地における教職員のためにどれだけ、金額で言えなければ大体何分の一というふうな枠をここでお示しになることが非常に将来参考になると思いますが、以上申しました四人の方からその点について御意見を承りたいと思います。
  109. 八子音次郎

    公述人(八子音次郎君) 先程申上げました住宅組合を貸付対象及び申込の対象にして、はつきりと枠を作つたらよいだろう、こういう意見を申上げたいのであります。その内訳はどういうふうにしたらいいか、具体的に一応試案があつたら示せ、こういうあれであります。  今のところ、私としては別に引揚者或いは生活協同組合、勤労者、その個々の枠をどれぐらいにしたらいいかということについての具体的腹案は持つておりません。但し個人の場合と、そういう組合に貸す場合とについては、少くとも個人の場合には三分の一、その他の場合には少くとも三分の二くらい廻しても一向差支えないのじやないか。生活協同組合にいたしましても、勤労者の職域組合にいたしましても、或いは引揚者の団体にいたしましても、そういうもので住宅組合を作りますれば、これはやはり個人なのであります。そういうものを推奨する意味から考えれば、そういうものこそ重点的にして、その他の個人……個人じやなしにその他の個人になるわけです。そういうものも個人であります。その他の個人は枠を狹めても一向差支えない、こういうふうに考えます。
  110. 阿部勇

    公述人(阿部勇君) この資金は大体各府県別に恐らく割当られて行くと思うのでありますが、各府県において適当に勤労者とか或いは引揚者の困窮状態を調査して、その実態に基いて各府県別に枠を作るということをやるべきである。従つて私はそれをどういうふうにどの程度にするんだということは申上げられませんが、少くとも引揚者の立場だけから申しますと、大体私達の方の調査によりますと、自宅を持つている者は引揚者で一〇%以内であります。それから借家に入つておる者が一五%ぐらいであります。これは昭和二十三年、四年頃の状態でありますから、多少進歩しておるかも知れません。後七、八〇%というのは共同住宅或いは雑居、同居というような生活状態をしておる。一般引揚者は百二十万世帶、三百何十万人と言われております。この七、八〇%は非常に住宅の困難な者、従いまして我々としては国会、政府に対しまして過去数年来住宅問題の解決を迫つて、幸い二十三年の五月に引揚同胞対策に関する決議案が参衆両院を満場一致で通りまして、その中に少くとも引揚者のために二十万戸の住宅を至急建設しろという具体的な一項があるのであります。尚内閣の諮問機関である引揚同胞対策審議会におきましては、若しも将来こういう金融機関ができる場合においては、最も国民中困つている引揚者に対してできるだけ考慮をして融資さすべきであるというような決議もあります。そこで少くとも私逹は、全国的に見まして至急二十万戸を建てるということを、十ヶ年なら十ヶ年を目標にいたしまして、最低限度二万戸ぐらい今年中に引揚者のために家が建つ、即ちそれだけの融資額は少くとも與えて貰いたい。こう枠の点から申しますれば考えるのであります。
  111. 坂野武夫

    ○参考人(坂野武夫君) 只今阿部さんからお話がありまして、全く引揚者という者の立場も、私逹実は組合員の中に入つておりますので、十二分にその窮状はお察しできるのであります。従つてでき得る限りこれらの方々にも優先的な若し枠ができ得るならば、誠に結構だと私は考えるのであります。  御参考までに申上げたいと思うのでありますが、東京都の戰災被害数は全国の三三%に上つております。この法案の出発当時におきましては、東京都の大体割当てられた面は、これは前副知事の住田さんにその当時お伺いいたしました当時は、二八%の割当があつたのでございます。今次に至りましては、建設省の案で行きますると、二二%に引下げられておるのであります。これは誠に実情にそぐわないものではないかと思われます。従つてその戰災の度の深いところを先ず重点的にパーセンテージに現わしても結構なんでありますが、これを一応先程申上げました通り、都道府県知事というものに権限をもたせ、そうしてその中で戰災の軽重によつてこれは配分さるべきである。行政面においてこれは多少不備な点があつたためにこれは削られたのであります。それで二十三年度において国庫に五千万円の返済を東京都はいたしております。二十四年度におきましては未だにその建設の面は澁滯しております。二十四度も恐らくこれは完遂されるのが本年度の九月頃でなければできない、従つてそういう幾多の点が参酌されまして二二%に削られておるということを仄聞するのであります。従つて私といたしましては、でき得る限りその地区の実情、ただ行政面によつてのみこれを査定することなく、実情においてこれが査定されるのが最も庶民階級に喜ばれる途ではないか、又妥当性があるのではないかと考えるのであります。  試みに私共の生活協同組合に加盟いたしておりますところの総人口数は百五十万人であります。組合は五百十二協同組合が設立されております。その中、不健全なものその他というものがこの消費生活協同組合から削られまして、現在は百二十健全なる歩みを続けております。その全面的な面から見ますならば、二万八千戸が必要とされておるのであります。これは東京都の分だけでございますが、これを推して全国にどの程度あるか、こういうことが自然考えられるのであります。然らば日本全国の協同組合員数はどのくらいかと申しますと、全日本人口の四分の一強が組合員でございます。同時に生活協同組合に加盟するからには殆んどこの方々が庶民階級であり、生活も幾分かでもこれによつて補いを付けたいとして協同組合に加盟しておるのが実情でございますので、併せてこういう点からも御検討を願えれば結構だと思います。
  112. 中川幸平

    委員長中川幸平君) この際御紹介申上げます。  本日の公聽会の機会に東京都引揚同胞対策審議会会長岡安彦三郎君から住宅資金貸付に対して要請書が本委員会に提出されております。御披露いたします。   住宅金融公庫法による住宅資金貸付についての要請書   今般政府は、建設省をして現下緊急の問題である庶民住宅建設について、百五十億円の予算を以てこれが充足を企図している。   今日一般庶民大衆生活の中において、住宅問題の解決は、人間的、社会的、産業的の諸問題を含んでいることは今更贅言を要しない。従つてこれが実情に即した適切公正なる運営措置こそ多大の成果を期し得るものと考える。かかる時、一般住宅困窮者の中にあつて引揚者は言語に絶する環境に置かれている。即ち長年月に亘る海外生活のため故国に帰還しても過去の生活基盤は抹消されており、自身は無一文の現状において住宅を求めるとしても、所謂「社会的な顔」も狹く、権利金の高額なる負担能力の欠除、建設資金の皆無等、その辛苦は想像に余るものがある。又たとえ住居を得たとしても、間借、同居、雑居程度のものであつて、これとても知己、親戚等の同情によるものである。その住居も家族構成と居住面積の過密性から推論すれば、人間生活要素の最小限度を割る悲惨なものである。これに加えて、かかる生活樣式は種々なるトラブルの発生、在外当時の空白を埋めるための子弟教育も十分でなく、殊に職業を求め働くとしても、勤労意欲の減少、住居の不安定による就業機会の不遇等、その影響する処は多く、生活再起更生の最大障害となつている。更に延いてはこれが社会惡の温床を釀し出さんとしている現況である。  仄聞する法案内容は、自己資金を有している者、償還可能な者等が貸付審査主眼となつているが、凡そ引揚者の生活境遇とは懸隔なものがある。国家再建のために真摯なる意欲に燃える引揚者の生活基礎である住宅困窮の実相を認識せられ、その貸付資金の申込、決定には、都の特殊事情を考慮の上、貸付資金全額国庫負担又は自己資金負担の減額、建設戸数の拡大、地方自治体長の意見の反映等の措置を講ぜられん事を要請する次第である。   昭和二十五年四月十日    東京都引揚同胞対策審議会会長           岡安 彦三郎  参議院建設委員会   委員長 中川 幸平殿
  113. 北條秀一

    北條秀一君 大変時間が過ぎまして恐縮でありますが、各委員の皆さんのお許しを得まして、あと少し質問をさせて頂きたいと思います。お許しを願います。  八子さんにお伺いいたしますが、先程融資の返還について、経済事情の変化に基いて返還條件を自動的に変更しろということは、誠に合理的であり、且つ御尤もなお話でありますが、この際に何を基準とするかということが非常に問題になると思うのです。労働賃金の問題にいたしましても、御承知の公務員給與法にこういうような基準があるのであります。それが尚且つ今日のように澁滯しておるのでありますが、この住宅の場合に返還條件の自動的変更ということは相当問題だと思いますが、そういうような問題について、專門家としてのあなたの御意見がありましたら、簡單に要点だけをお述べを願いたいと思います。
  114. 八子音次郎

    公述人(八子音次郎君) 私が申上げたのは、條件の問題じやなしに、條件の問題は一応法案で規定されておるのでありますが、そういう條件でも差支えないと思うのでありますけれども、その規定の仕方が発動権が公庫にあり、認可権が主務大臣にあるという点においていけないのじやないかと、こういう点を指摘したのであります。そういう事情変動の條件については、これも検討しなければならない余地もあろうと思いますが、それはさて措きましても、その発動権が單に公庫の認定権にあるということにおいて問題がある。何故かと申しますと、今までの行政官庁のこういう融資その他においてとつておる態度が結局なかなか認定しない、時日を要するわけです。遅くなればなるほど害がいわゆる借受者に来てしまう、そうすると結局借受者はもう官庁がそういう態度をとるのでは返さないというので、償還不能になつて、感情的な対立関係から融資関係が将来に対して大きな亀裂を生ずるということを考えなければならない。そういう意味において、もつと民主的に、一方的な認定権によつてやるのではなしに、自動的にそういつた場合には発動できるという規定でも置いた方がよいのじやないか、こういう意味で申上げたのであります。
  115. 北條秀一

    北條秀一君 関連いたしましてお聽きいたしますが、公庫運営についての業務方法書を別途に政府は作ると言つておりますが、その業務方法書と、もう一つ融資のための協議会を民主的な組織によつて作ろうといつておるわけでありますが、そういつた業務方法書の内容なり融資協議会、こういうような所で、或る一定の事情変更が生じた場合には直ちにそこでやるべきだ、こういうふうな御意見と解釈してよろしいですか。
  116. 八子音次郎

    公述人(八子音次郎君) 大体そういうあれですけれども、事業方法なり、そういうもので、今発言がありましたような機関ができるならばよいのですけれども、それは今現在の事業方法書として予定されておりません。貸付の具体的な決定のための協議会を作る、その点はこれは大体予定されております。それから全般的な審議機関として、これは政府が逃げておるのでありますが、住宅審議会で答申して、はつきりそういう機関を作るべきであると決議をしたにも拘わらず、それをそのままにして、住宅対策審議会がやはりその権限を持つようにしたいという程度で逃げております。ですから、結局将来においてそういう重要な問題が生じた場合に、果してどこが審議権及び諮問協議の決議権を持つか、今のところとしてそういうものは成るべく逃げて行くような態度をとつておりますから、ここで少くともそういう事態が起きた場合の決定的な発議は政府に進言するなり、或いは政府がそれに対して必らず協議しなければならないというようなことをはつきり法案内容に盛らない限りは、私は大きな欠陥が生ずるのではないか、こういうふうに考えております。
  117. 北條秀一

    北條秀一君 次は阿部さんにお伺いしますが、先程コップの水の例は実にうまい例だと思うのですが、先に住宅審議会において建設大臣が出した諮問第一号は、勤労者及びその他一般国民というのを、阿部さんの発議によつて勤労者、引揚者、戰災者及びその他一般国民というふうに諮問の第一号は変更されたというふうに私は聞いておりますが、そういう諮問第一号の精神並びに衆参両院におけるところの決議というものが、本法案ではなかなか逹成されないというのが、阿部さんの御意見であろうと思います。従つて我々はその点を十分考えなければならんと考えます。そこでお聞きしたいのは、先程阿部さんのお話の中に、住宅組合は惡いかも知らん、若し惡ければこれは削除してもいいんじやないかというようなお話があつたのでありますが、私は先程来自分立場をはつきり述べておるのでありますが、住宅組合は、どうしても育成しなければならん、削除するということは絶対にいけないというふうに考えておるのでありますが、この点改めて阿部さんの御意見を聽きたいと思います。
  118. 阿部勇

    公述人(阿部勇君) 只今の御質問同感であります。ただ法案にはつきりと住宅組合というものを挙げておきながら、やり方において住宅組合を相手にしないというようなことでは、国民を欺くものだ、だからそういうことならば、いつそのこと法案から除いた方がいいんじやないか。こう申上げたので、国家としては飽くまでも私は住宅組合を育成する義務があるし、現在の組合法が惡ければそれを改正するということもありましようし、また住宅組合の中には相当立派な組合も沢山ある。だから私はそういう一般的に今までの住宅組合がうまく行かなかつたからという事由によつて法案に挙げながら、やり方において相手にしないようなことをするのでは困る。この点を委員におかれた政府にはつきりした態度を示させるようにしなければいかん。こういうふうに思うのであります。
  119. 北條秀一

    北條秀一君 もう一点だけお許しを願いたいと思います。八子さんにお伺いしますが、先程来、最後担保の問題を言われておつたのでありますが、それに関連いたしまして、政府の説明によりますと、住宅組合の場合には住宅組合そのものに連帶保証の責任を持たせる、その上に各個人にも保証をとらせる、こういう問題で組合を非常に冷酷に扱つておるという点を、我々は指摘しておるのでありますが、先程あなたはその点について、述べられなかつたと思うのですが、住宅の場合の保証の問題については、どういう御見解を持つておられますのか……
  120. 八子音次郎

    公述人(八子音次郎君) 先程申上げました最後の方に、その点触れたと思うのですが、これは先般の審議会におきまして、原案では住宅組合に対しては、保証は全部連帶保証になつておつた。審議会に提出されましたところの政府試案には全部連帶保証になつておりました。これは過去の実績から考えてみまして、連帶保証なるが故に、結局償還不能者が多くなる、延滯者が多くなるということから考えて、政府は何でも担保力を強化すればいいという考え方からこういうふうに立案されたか、或いは担保の真の価値というものを十分検討されておらないか、いずれかである。この点は少くとも個人責任にして有限責任的な住宅組合にすべきである。これを強調したのであります。一昨々日頃の全国の課長会議が招集されました席上、配付された資料を見ますと、その点が連帶保証の場合とそれから有限責任の場合と両方に書かれ「又は」という言葉で両方に訂正されておるのであります。これはやはり私は連帶保証の住宅組合は除くべきであるという考えを持つておるわけであります。必しも今言つた住宅組合だけじやなしに担保の外に公正証書による執行力の認託まで附けるという点において、前半で申上げまして、後半では私はこの住宅基金の担保力余り強化することは逆効果を及ぼすという点で申上げた。
  121. 北條秀一

    北條秀一君 関連いたしましてこれだけ簡單にお聞きしたいと思いますが、現に東京都庁においては住宅組合を申請しても許可しないということを頻々として聞いておるのでありますが、その点について八子さんは事情を知つておられれば、その点を若し……
  122. 八子音次郎

    公述人(八子音次郎君) この融資住宅の点で一番問題になりますのは、本法案でははつきり住宅組合を対象といたしておる関係上、許可いたしますと、貸付の場合に具体的な審査をして漸く七人の住宅組合が地方公共団体によつて認可されてでき上つたものが、融資住宅貸付をめぐりましてぶち壊わされてしまう結果が出て来るという点が指摘されたので、従つて自然に住宅組合を、今ここで住宅金融公庫から借り受けいたしますところの金を目当にする住宅組合を認可しても、後でそれをぶち壊わされて又作り直さなければならん結果が招来するものですから、その点について危惧の感を持つて現在停止しておるのではないか、こういうふうに考えます。併し住宅組合法が現在適用されておらないかというと決してそうではありません。簡單に申上げますと、住宅営団の閉鎖された後に、処分住宅の場合に、税金を或る程度免除して、個人の所有に肩替りする場合、東京都で余り多数の数でありませんが認可されました。そのとき出資金額やその他二、三ヶ所訂正いたしまして認可いたしました。昨年は長野県で六百万円融資住宅ができないために、県が全額債務保証いたしまして、いわゆる地方銀行から借りてそれを県が債務保証して住宅組合を作らせまして、たしか六千万円と記憶しております。それで三年間の償却で、市中銀行利子はこれの約倍でありますが、それで現在実績を示しております。住宅組合法は必ずしも死んでおらない。部分的ではありますけれども技術的に適用されておるということを併せて申上げて置きます。
  123. 佐々木鹿藏

    ○佐々木鹿藏君 本日の速記を各委員に交付されたいと思います。
  124. 中川幸平

    委員長中川幸平君) 承知いたしました。
  125. 北條秀一

    北條秀一君 今佐々木委員発言に関連してですが、十八、十九の本法案審議に、この速記を是非間に合せて頂きたいと思います。
  126. 中川幸平

    委員長中川幸平君) 承知いたしました。それではこの程度公聽会を終りたいと存じます。  閉会に当りまして、一言御挨拶申上げます。  公述人各位におかれましては、御多用中にも拘わらず、お繰合せ御出席頂きまして、いろいろの点から有意義な御意見を拜聽させて頂きまして、誠に有難う存じます。今後法案審議の上に非常に参考になりましたことと確信いたすのであります。  これで公聽会を終ることにいたします。どうも有難うございます。  これにて閉会いたします。    午後三時五十八分散会  出席者は左の通り。    委員長     中川 幸平君    理事            岩崎正三郎君            仲子  隆君            赤木 正雄君    委員            石坂 豊一君            大隅 憲二君            佐々木鹿藏君            久松 定武君            北條 秀一君    公述人日本勧業    銀行理事    堀  武芳君    東京都復興協力    会主事     渡辺 正一君    家 庭 婦 人 中村 つる君    大和建設株式会    社社長     宮澤小五郎君    産業別労働組合    幹事      吉田 秀夫君    全国市長会長代    理川崎市長  金刺不二太郎君    日本建設工業協    会事務局長   難波 元由君    住宅復興同盟  八子音次郎君    東京工業大学厚    生課長     吉田 和夫君    引揚者団体全国   連合会事務局長  阿部  勇君   参考人    全東京都生活協    同組合住宅事業    協会      坂野 武夫君