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1950-02-28 第7回国会 参議院 建設委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年二月二十八日(火曜日)    午後一時三十四分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○証人喚問に関する件 ○南海地震による飲料水被害地区の水  道施設及び下水道改修請願(第一  六九号、第四三一号) ○建設事業一般並びに国土その他諸計  画に関する調査の件(建設省所管予  算に関する件)   —————————————
  2. 中川幸平

    委員長中川幸平君) 只今委員会を開会いたします。証人喚問についてお諮りいたします。南海地震影響による地盤沈下その他に関して、東大地震研究所河角宏君、厚生省水道課田辺弘君、地理調査所長武藤勝彦君、このお三人を承認として招致して、河角君と武藤君に南海地震影響について、田辺君から渇水期における衛生その他に対する影響いついて、この人は大連の方でこれらの経験があつたことと思いますので、これらを中心として証言を求めたいというので、大体この次の金曜の本委員会証人としてお話を聞こうと考えるのでございますが、これを諮りいたします。
  3. 久松定武

    久松定武君 今の証人につきましては、大変結構だと思います。小委員会において事情を聽取するよりも、本委員会においてやつて頂きたいと思います。賛成いたします。
  4. 中川幸平

    委員長中川幸平君) どなたもよろしいですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 中川幸平

    委員長中川幸平君) それではさようなことで手続を取りまして、次の委員会でさような計らいをいたしたいと思います。 ちよつと速記を止めて……    〔速記中止
  6. 中川幸平

    委員長中川幸平君) 速記を始めて。
  7. 八巻淳之助

    説明員八巻淳之助君) ……この九ヶ所につきはして約四千二百七十余万円という工費で大体手をつけておるわけであります。これは対する国庫補助というもので、厚生省上水道のこの予算に計上されまして補助しておる。残りの分につきましては起債で以て面倒を見るという方法を講じておるわけであります。何分この問題は起債の枠が相当つきませんというと、この問題の処理ができませんので、この問題を解決するために起債の枠を殖すということと、それから普通の上水道補助金で行きますというと工費の四分の一というふうな補助率になつておりまして、この問題に対する解決が非常に問題でありますが、この南海地盤の沈下した……水道というものを特に災害として見るか見ないかというふうな問題が、解決のキイ・ポイントになるだろうと思うのであります。大体現在までのところは六十五ヶ所のうち、約一割五分くらいのものが手を付けたという程度になつておりまして、逐次事業として取上げて行くというふうなところでございます。
  8. 中川幸平

    委員長中川幸平君) 請求陳情審議中でありますけれども、建設省予算その他について赤木委員その他から大臣の出席を要求されていまして、今丁度大臣がお見えになりましたからその質疑に移りたいと思います。
  9. 赤木正雄

    赤木正雄君 私が大臣にお伺いしたいことは、人事院ができまして職階制その他いろいろとすべての情勢が変つて来まして、これに関して建設省の人事にも影響することがありますので、私の考えを述べ、又大臣のお考えも承りたいと思います。過日各役所の課長以上の人の試験人事院でしましたが、その分類、或いはすべていおいて決して妥当なものとは私は考えていません。これについて一言私の考えを申上げます。と申しますのは砂防課長のこの職類と言いますか、それに関してです。御承知通り砂防工事土木工事の一部分ではありますが、施行する場所は禿山に樹を植えるとか、或いは山間の渓流に堰堤を作るとか、先ず土木工事の中でも一種特殊な工事であります。そういう観点わが国におきまして河川改修を明治初年にやつて以来、一般技術者土木の人を採用しました。又学士工学士の人が多かつたのであります。ところが大正三年頃、わが国で今まで最も多くの人々からして敬慕されている人は、初代内務技監沖野博士であります。その沖野博士日本のような河川においては、ひとり下流河川改修のみをやつて治水の目的は達し難い。どうしても上流砂防工事をやらない以上は、本当治水はできない、こういう考えをお持ちになつておりました、その当時内務技術師は百三十五人あつたのであります。併し沖野博士は言つた。これらの技術者は立派な工学者であるが、併し遺憾ながら下流ばかりに重点を置いて、真に山の奥まで入つて、或いは樹を植える、或いは小さい堰堤を作る。いわば砂防に專心して呉れる者がない、であるから自分でこういうふうに砂防計画、設計をしてしるのだ。事実技監砂防に関する限り技監でありながら自分計画もしておりました。又沖野さんが淀川、木曽川その他のわが国治水計画をされる場合に、山の奥まで沖野さん自身御踏査されたことは、我々が山の奥に行きまして、こんな所にまさか沖野さんがいらつしやつたと思わないのに、木曽川の如き、岐阜の億まで沖野さんは踏査されました。そのことは、我々が山の奥の茶店の人、或いは農家の人に聞いて、成る程偉い人だと思つたのであります。そういうふうに山の奥まで沖野さんは自分で行かれたのであります。併し先程申しましたとおり、どうも上流砂防に專心する者がないから、砂防に專心する技術者を内務省に要請せねばならない。そういう観点から大正三年以来、砂防專任技術者を養おうという方針になられたのであります。そこでその当時砂防はどこの学校が教えているかというと、これは東大では林学であります。工科には砂防講義が一時間もありません。林学では三カ年砂防講義を教えております。又砂防の実習もやつております。そういう観点から林学士砂防專任技術者にするという意味で採用されて参りました。私は砂防とか、或いは河川とか、そういう区別をつけるのは好みません。併し実際の有様から申しまして、今日におきましてもやはり一般土木の方では、砂防大学におきましても講義を聞いていません。又京都大学大正十五年に初めて農学部を創設した際にやはりドイツフランスオーストリー、その制度に倣いまして、農学部の中に農林工学科というものを作りまして、そうして單に山の奥のみならず、一般土木として必要な講義工学大学に聞きに行く、こういうふうな制度になつております。これはオーストリー、スイス、フランスドイツ、そういう国々においてやはり山の奥の仕事は、心から山の奥に入つて仕事をする人のない以上、本当仕事はできない。こういう観点からして諸外国にもそういう制度学校において行われています。今日の日本もそういう制度になつています。ところでこの人事院が、課長以上の試験を過日行つた場合に、砂防課長試験に対して一般土木試験と同じことをやつています。私はこのことの非常不合理性を認めまして、人事院委員会に予め委員長の許可を得て出席して、今までのあり方をはつきり申したのであります。併しその結果はやはりこの国会公務員法附則第九條による試験広告によつて行われたのであります。ただ一部僅かに改まつただけであります。そこで先程も申した通りに、砂防河川も一体であるべきでありますが、現に私が常願寺川の主任を勤めていまして、山の奥で働いていました。そのときにある工学士が採用されたので、新潟の出張所長がこの常願寺川砂防をやれということになつて私のところへ働きに来ましたけれども、その工学士自分はこういう山奥で仕事をしようと思つて工科を出たのでない、これでは自分の志と余りに反するというので、遂に港湾の方に移りました。又御承知通り高知県の幡多郡は有名に災害地であります。これに対して査定官が行く度ごとに、……、今の査定官と申しますのは、災害復旧に対する査定です。その査定官が行く度ごとに、何と申してもこの高知県の幡多郡を治めるには災害復旧だけでは事足りぬ。だから砂防もやらにやいかんということがいつも復命書に見えていました。併し一向砂防工事計画しなかつたのであります。そこで大正五年頃にその当時の課長が来て、お前の方ではなぜ砂防工事計画しないかと聞いたところが、実は自分学校砂防工事講義を聞いていない、だからして砂防工事の如何なるものか知らない。だから本省から一つ来て指導して欲しいという要請で、こちらから行つて昭和五年以来幡多郡が毎年砂防工事を盛んにやりまして、あの有名な災害県、その中の災害郡が、今日では余程災害減つたのであります。こういう情勢でありますから、若しも一人の人があつて……砂防課長、或いは道路課長河川課長、あらゆる課長が調べに行かれるのは結構であります。私は現在の人をかれこれ言うのではありません。併し人事院のあのやり方が余りに不合理でありますから、やはり建設大臣としてよくお考えを願いたい。今日の学生がそういうふうになつていますから、砂防大学では林学になつています。京都あたりでは農業になつています。私はウィーンで大学に三年いました。そのときには農科と違います、工科大学にいました。が併し日本では主体が今申す通り林学になつていますから、やはり林学砂防を卒業したものを採用する、こういう制度にして貰わない以上は、日本の水源の治水は人的において非常に欠ける点がありはせんかと、こう思います。でありますから、或いは砂防をやつた人が河川に行く、河川をやつた人が砂防に来る。そういうふうにどこでもうまく融通ができるなら結構ですが、先ず人の気持ちから違いますし、或いは学校における組織から違いますからして、この点をよくお考えになりまして、折角初代沖野技監の立てられた案に従いまして、又それが折角今日まで芽生えて来たのでありますから、決して砂防砂防で行けと言いませんが、又今日おる人をかれこれ申しませんが、但し自分の專門の道に向つて進み得るような特別にお考えを願いたい。このことをお願いもし、又大臣の御意見も承りたい、こう思います。
  10. 益谷秀次

    国務大臣益谷秀次君) 赤木委員から縷々砂防のことについて蘊蓄を傾けられたお話を賜りまして、誠に感謝に堪えないのでございます。実は私は土木と申しまするか、砂防技術上の方面はさつぱり承知しないのであります。お話只今初めて詳しく承りましたので実際仕事に適合する教育を受け、又技術を習得したる人が、その方面に向うということは最も妥当なことであると考えるおります。十分に研究いたして参りたいと思います。
  11. 久松定武

    久松定武君 大臣にお伺いいたしますが、実は今日ここに請願南海地震による、殊に愛媛方面地盤沈下によりまして昨年の夏以来段々に海水の浸透がひどくなりまして、今日では全県科沿岸地帯、この沿岸海岸線は北海道に次ぎまして、日本第二の海岸線を持つておる県でありまするが、この地帯島嶼部は勿論のこと、各地が全県下に亘つて井戸水が使用に堪えられなくなつて来ておるという状態でありますが、今までの南海地震による地盤沈下建設省として予算処置は二十四年度で終る。殊に今後は新たなる方法でやるより外にない。只今計画課長お話によりますと、都心を中心にした一部には起債を許して、その枠で以て補助しておる、こういうようなお話であります。年はある程度救われるが、今日の状況を見ますれば、その日その日の飲み水にも沿岸地帯は困つておるという状態でありまして、私共本委員会はこれを重要視いたしまして、小委員会を設けて対策を講じておるのでありまするが、ただ予算処置を見ますると、二十四年度はもはやこの三月で終る。二十五年度以降は南海地震による地盤沈下は打切るという御節でありましたし、なお今後この問題につきましては、厚生省も非常に重大な関係を持つておりまするが、大臣といたしましてはこれを地盤沈下の新たなる現象として災害としてお認めになりまするか。又は南海地震の延長と見てこの対策を講じて頂けるものか。その二点を特にお伺いしたいのであります。
  12. 益谷秀次

    国務大臣益谷秀次君) 南海震災地盤沈下につきましては、災害対策といたしまして事業費四十八億のうち二十五年度までに漸く四〇%を助成して参りたいというようなことになつております。従つて震災による地盤沈下、これに対する仕事打切つたというようなことはございません。四十八億の査定をいたしております。それを引続き今後も継続して行きたいというお考えでおります。只今久松委員仰せになりましたのは或いは農林省関係災害問題、或いは又最近問題になりました井戸上水道の問題かとも思うのでありますが、これに対しても今後引続いて上水の問題についてはできる限り仕事を続けて行きたいという考えを持つております。
  13. 久松定武

    久松定武君 只今お話で納得の行くところもありまするけれども現実の問題としてはこの飲料水の問題は、下水道の問題もありますが、飲料水の問題は極く最近、昨年の暮れからこの問題が特に激しくなつたので、今まで予算措置というものは何ら講じておらなかつたということが事実で、新たなる一つ災害でありまするが、この問題を災害として今後お扱いになりますか。特別の災害としてお扱いになりますか。或いは引続いて南海地震地盤沈下による災害としてお扱いになるか。その点も明らかに承りたいのであります。
  14. 益谷秀次

    国務大臣益谷秀次君) この飲料水の問題は久松委員仰せのごとく昨年の後半期から問題になつたのでこれまで気付かなかつたのだそうであります。そこでこれは直接の災害というようなことで取上げていないそうであります。災害復旧ということの面でなくて、飲料水処置を何とかいたさなければならんという考えから、上水道計画を立てて六十五ヶ所上水道を作る。それで第一次において九ヶ所いたすということになつておるのであります。飲料水の問題については以上申上げたような次第でありますが、震災の直接の被害じやないという観念から、いわゆる災害と見ていない。新たなる災害ということよりは……災害だと復旧いたさなければなりません。もともと上水道もないものですから、地震自然地盤の変動によつて飲料水が噴出しないようになつたというようなことから起つたことと思いますから、昨年の暮れあたりから初めて発見したと申しまするか、気付いたのでありまして、これまでの災害復旧として取上げておる事項ではないそうであります。従つて新たに上下水道という方面で取上げまして、計画といたしましては六十五ヶ所、第一次の施行区域は九ヶ所ということで取扱つております。
  15. 仲子隆

    仲子隆君 ちよつと大臣に伺いますが、二十一年の十二月の南海地震である、そうしてその地震は昨年になるともうすでに三カ年も経つておるからこれは災害じやない。それで復旧はしない。こういうお話でありますが、風が吹いたり雨が降つたり、一日二日、地震でばたんと落ちたときはそのときだけ、そうするとそこに或る事故が起つて、その終結までに期間があるが、災害として認められるその継続期間というものはどういうふうに決められておるか。そうして今は水の話だけが主でありますが、農林関係港湾関係、いろいろの関係もありますが、建設省自身として、海岸の破壊が到る所出ておる。而もこの今の現れ方は、例えば沖積層あたりの細かい砂の所は沈降の仕方が少ない。荒砂の所は非常に大きく沈降しておる。地盤によつて非常に相違があります。それがそのときは現れない。地震の直ぐそばには現れないが、後になつて非常に高潮が来る、大潮が来るときに、非常に多くここまで海水が上つて来る。これが従つて井戸にも、すべての住宅にも、或いはその他実際影響するものであります。これは建設大臣、或いは建設省あたりにおいて、災害というものはどこからどこまでが期間であり、一ヶ年経過したものは、もう災害の中に認めないというふうになるのかどうか。これ又細かく一つ伺いたいと思います。
  16. 益谷秀次

    国務大臣益谷秀次君) 災害の効果と申しまするか、結果が三年後四年後に発生したのは、災害と見ないか、或いは一年間過ぎればというような、そういう規定は別に私は存じておりません。建設省の受持つておる災害は、大体河川災害であります。そうして公共施設……。従つていつも問題になりまするけれども、山崩れが起つたり、又直接台風のために山崩れになつてそうして河流を侵す。これはやはり砂防施設のないところは、やはり災害復旧として取扱うことができないのであります。即ち先程申しました通り公共施設がない、そういう関係上、今問題になりました井戸水が渇れてしまつた。もとより震災のためでありましよう。ありましようが、井出水が渇れて、それを災害として取扱うかということになりますると、井戸水飲料水井戸と申しますか、これが果たして公共施設であるかどうか。そうして又直接の被害ということができるか。いろいろの関係からこれは南海地震の直後の被害で……政府国庫助成をいたして復旧いたすべきものでないということに相成つたのであります。それで飲料水が涸渇して困るという建前から、上水道として取上げるというふうにしたというので、六十五ヶ所を指定して、そうして九ヶ所を第一次にやるのであります。さらに又最近各地で問題になつております海岸堤防の問題は、これも極く近くこれを取上げたいのでありまして、現在の所は都道府県の管理いたしておるものには助成をいたすということをいたしておるのであります。高潮が来て荒らされるということ、或いは道路がそのために侵されるということになりますれば、無論建設省として取扱うことになります。又道路も何もない所で高潮が来ます、そうして田畑を荒らすという場合は、これは建設省所管でない。かように思つております。それから干拓等のための海岸堤防と申しますか、九州などで問題になつておりますのは、これは都道府県の管理いたしておる部分については、本年度から助成をいたすことにいたしております。
  17. 久松定武

    久松定武君 只今の御説明で大体は分かりましたのですが、私主として上水道の方をお伺いいたしますが、水道條例によりますと、人口一万以上の所でなければできない。簡易水道については何ら国家としては今までは考慮されない。ところが、然からばその水道條例の適用される所はどのくらいあるかという問題になりますると、愛媛県下においてもそれだけの人口稠密の年は僅かしかない。大部分漁村農村だという結論になりますが、結局救われる所は僅かのところで、大部分は免れてしまう。そういうような悲惨な状態に陥るのであります。  それから尚法律的に解釈したときには、国家補助というものは、特に今までの例を見ますと、予算処置において僅かに考慮されておる。ところが上水道でも簡易水道においては、今まで国家補助した例はない。これは起債その他によつて府県がそれを補助するという例なんでありますが、水道條例による場合でも、県が補助したのに対して国家補助するというような建前のようにも考えられるのでありますか、今後簡易水道を作つた場合に、こういう被害地に対して、その関係の県に対して国家としての補助費を出される御意向がありますか。又承るところによりますと、二十五年度の災害は、全額国庫負担だということも言われておるのでありますが、これを仮に災害としましてお扱いのときには、国庫全額負担ということで処理をして頂けるのでありましようか。その点をお伺いいたします。
  18. 益谷秀次

    国務大臣益谷秀次君) 現在の水道條例によりますると、只今久松委員仰せ通りであります。  そこで人口一万以下の場合は、隣接町村が組合を組織いたしまして、或いは又県営といたしまして水道條例に適合するようにいたせば、おのずからその途が開かれるのであります。いわゆる簡易水道については、今日のところは助成方法がございません。今後水道條例水道法と申しますか、これの改正が政府においても問題になつております。どういうように改正せられまするか、水道は現在のところは御承知通り助成計画面とかいろいろのことで建設省と共管になつておるものでございますか、補助の方は、助成の方は厚生省がいたしております。從つて只今のようなお話については十分に承つて、今後の水道法を改正する際に参考にいたしたい。
  19. 久松定武

    久松定武君 もう一点私は特にお願いいたしたいのでありますが、水道予算等は大体私厚生省にあるように記憶しておりますが、その建設に当つて建設省が扱う。こういう点におきましてどうぞ一つ厚生省とも安本とも十分ご連絡を取つて是非ともこの困つておるところの事情を御斟酌の上で特に御配慮頂きたい。なお下水道の問題にしましても、都市計画のあるところは、これは建設省として相当に考慮されておる。ところがやはり漁村農村が多いところにおいては、都市計画より離れてしまう。そういう点におきましてやはり予算措置におきましても、この点は大臣としてどういうようにお考えになりますか。
  20. 益谷秀次

    国務大臣益谷秀次君) 上水道につきましても、下水道につきましても、建設省といたしましては、かねがね申上げております通り建設行政の一元化、従つて強力な機構、総合した機構を持ちたいという考えで案を立てて、行政制度審議会等に提出いたしおります。併しながらこれは各省各官庁と関係をいたしておりますので、なかなか実現が困難でありますので、率直に私個人の意見を申上げますると、やはり下水道上水道にいたしましても、建設部面土木建設部面が、そして又上水道等は下水の方面関係が十分ありまするから、でき上つたものは行政制度審議会なり厚生省なり、或いはその他の諸管署所管せれることには差支えない。建設に至るまではやはる建設行政を一元化して参りたいというふうな考えを持つております。要しまするには只今お話のごとく、上水道の法律も今回の国会に提出することが不可能であります。各省と協調いたしまして一日も速やかに成案を得まして御審議を願いたいと考えております。
  21. 仲子隆

    仲子隆君 ちよつと先程お伺いしましたが、期間については決まりがないということ、それから復旧、とは今あるものが壊れたから復旧である、これはよく分かりました。ところが問題は災害予防に関するということを考えなければ成らない。さつき私が高潮と申上げましたのは、地盤沈下後においてたびたび潮が床板、床、便所を皆洗つてしまつて道路にまで水が溜まる、こういう場合は従来……地盤が沈下したために、特別な高潮というのでなくてもたびたび奥の方までずつと潮が上つて来る。これは災害復旧ではない、災害予防であると思う。そうすると災害予防であれば、従来国家がこれに何ら手を入れなかつたものについては手を加えない。府県が管理しておるものについては助成をするという先程のお話でありますが、今のような場合は府県としても大して問題にしてない所に起つて来る災害である。そうなれば将来の災害国家がこれを助成するということになれば、四国のごとく、先程からのことは主として愛媛県でありますが、香川県、徳島県の一帯、或いは高知県の海岸のごとくすべて地盤沈下のところは今どれだけ動きつつあるか、将来どれたけれそれが大きくなつて行くか分かりませんが、これから起こるものはすべて国家補助する。今まで起つたものはこれを国家補助すべき災害と見ないのであるか。或いは防災と災害復旧との間のところが、いろいろ分からない点があるのであります。そこで私は一番疑問になるのは建設省災害とは何であるか、これを一つ説明願いたい。
  22. 益谷秀次

    国務大臣益谷秀次君) 私は災害復旧の問題は先程申上げました通り建設省としては大体道路河川災害であります。その他の都市計画方面にもいろいろありますが、主として河川災害を申しております。その中に道路は含まれております。地方の助成政府助成金によつて賄われておるものは、これをも含んでおるのであります。これが災害のために破壊されて、それの原状回復が現在の災害復旧であります。従つて海岸堤防等が壊れました際には、例えば恒久施設であるとか、或いは道路が壊れたというような場合には、無論災害として復旧いたさなければなりません。そうして今回の南海地震災四国或いは和歌山県等であります。これは先程申しました四十八億の事業費で大体防ぎ止め得るというので、地盤沈下等の特殊の南海震災による災害は特殊の災害として取扱つておるのであります。四十八億で大体今後さして不安がないという程度の事業費を見積つておるわけであります。これが今日までその半ばも仕事ができないということは遺憾であります。先程申しました通り努めて早く全部の事業を完結いたしたいと思います。これが南海震災に対する政府としての態度であります。更に堤防も何もない所が壊され、そうして家が壊れるというようなことに対しては、これは個別に考えて参らなければなりなせん。即ちこれは災害復旧というものでなくして、今後起こるべき災害に対する防災と申しますか、そういう方面から個別に考えなければならんかと、考えております。  もう一つ申上げて置きますのは、これは香川県などがそうだろうと思いますが、開墾をいたされて、それが或いは塩田になりますとか、或いは産業会社になりますとか、そういうために埋立をいたし、干拓をいたして、堤防などを作つておるのが各地にあるのであります。これは従来、今日も堤防が高潮のために壊れる、地震のために壊れるとかいうような場合には、その埋立をいたした企業家と申しますか、その人が負担になります。現在問題となつておりますのは、九州方面等にあります有明湾なら有明湾にありますような、昔企業がありまして干拓をしたし、埋立をいたして田畑を作り、それが一つの大地主となり、最近土地改革のために田畑を皆整理せられたために、いわゆる地主が殆んどなくなる。従いまして堤防が壊れましてもその回復をいたす資力がない。そこで政府といたしましては今回その堤防を府県管理に移して、そうして府県の管理になつ部分に対しては、普通の災害の取扱をいたすということになつております。従つて香川県のごとく瀬戸内海に面した方面には処置したところがありますが、個人が埋立をする、或いは干拓いたして個人がそれを工場にいたす、或いは塩田にいたすという部分には、堤防がありましてもこれは助成することができない。そうして一般海岸の砂原等が、道路に面した方面が沈下をいたして、そのために高潮の際に人家を壊すとか、或いは田畑を壊すというような危險に瀕した府県もあります。自然に土地が下つて、そうして堤防の囲りが高潮が来ると壊されるということは、適当に災害防止の面で考えなければならないというようなことになると思います。こう考えております。
  23. 仲子隆

    仲子隆君 先程の四十八億というのは、災害復旧費として向けられたもので若干は工事が進んでおる。これは南海地震災害復旧費が四十八億であると了解してよろしいのですか。それから防災の予算は一体どれくらいになつておるか、これをお伺いいたします。
  24. 益谷秀次

    国務大臣益谷秀次君) 四十八億は建設省河川局の所管でありまする南海震災事業費です。これはもとより防災対策も含んでおります。潮を防ぐ対策も含んでおります。これだけの事業をやつて参りますと、大体防ぎ得るという対策であります。これはまだ半ばにも達していないので、少し高潮が来れば壊されるということで全く憂慮に堪えない次第であります。
  25. 仲子隆

    仲子隆君 防災費というのはどのくらいですか。
  26. 益谷秀次

    国務大臣益谷秀次君) 今回の防災費ですか、二十五年度ですか。
  27. 仲子隆

    仲子隆君 そうです。
  28. 益谷秀次

    国務大臣益谷秀次君) これはちよつと分かりません。
  29. 仲子隆

    仲子隆君 若干あることはあるのですか。
  30. 益谷秀次

    国務大臣益谷秀次君) 防災費はあるのです。後程調べまして申上げます。
  31. 久松定武

    久松定武君 私共といたしましては、この飲料水の問題はとにかく非常に急を要する、救済をしなければならない重要な問題だと私は考えるのです。その日その日水に困つておる人々というものは四国だけでも十数万に上つており、恐らくそれ以上の人々がその日その日の水に困つておるという実情でありまして、何らかの処置を講じなければ、場合によつては移転しなければならないという問題も起こるのではないか、こう考えまして、どうぞ一つこれは安本と建設省それから厚生省、この三者が中心になつて是非ともやつて頂きたいのでございます。簡易水道には何ら補助はないし、それに対して補助を與えてはいかんという規定はないと思います。ただ前例がないというだけの問題であります。私は前例がなければなくても結構でありますから、強力に一つこの点を御考慮頂きたい。国家補助ということも非常に重大なる問題でありますが、その地帯の罹災者達はその日の水に困つておるような状態でありますから、是非これは御考慮頂きたいと思いましてお願いしたようなわけであります。私の質問はこれで終わりますが、続けてもう一点お伺いしたいのは、最近承わると北海道方面の開発には開発の審議会を特に作るとか、特例を作るとかいうような例もありまするので、こういう問題につきまして地盤沈下による特例を作られる御意志がありや否やと言うことを一つお伺いしたいのであります。同時に総合開発の問題で、これは北海道だけでなく全国でやつて呉れという問題が起つておると思います。参議院に対しましては、本日陳情書が委員長の手許にも参つたように聞いておりますが、今まで参議院は関知しなかつた問題でありますが、この総合開発法規というものは、むしろ大臣としては本国会にそれを提出されるか、或いは又議院の立法としてそれを議院から提出するようなになりますか、そこは存じませんが、これをどう御解釈になるか、それも序でにお伺いしたいと思います。
  32. 益谷秀次

    国務大臣益谷秀次君) 総合国土開発につきましては、只今仰せのごとく、総合国土開発審議会を総理大臣の諮問機関として昨年の夏以来設けまして、熱心に各委員の御審議があつたのであります。その結果、いわゆる総合国土開発法という法案を作成して、答申案を総理大臣に提出せられたのであります。各関係者へこれが配布せられましたのは約一週間以前と思つております。私共の方で検討いたしました結果、趣旨においては双手を挙げて賛成をする。ただ法律の軽微な点についておのおの意見が一致せず、その意見建設省として出ております。その他関係各省いおいても二、三の各関係官庁から意見が提出済みだそうであります。それが出ましてまとまりますと国会の御審議を願うということになりますが、未だその提出の程度に達しておりません。或いは議院提出にいたしますか、政府提出といたしますか、その点も今日はまだ決定しておりません。ただ私といたしましては一日も速かに成案を得手、政府なり議院なりの提出によつて速かに成案を得て法律として、真劍に国土開発に協力して邁進いたしたい、さように考えておる次第であります。
  33. 中川幸平

    委員長中川幸平君) 大臣に対する質疑はまだおありでありましようけれども、次の機会に譲ることにします。速記を止めて。    午後二時三十八分速記中止    —————・—————    午後三時十三分速記開始
  34. 中川幸平

    委員長中川幸平君) それでは速記を始めて下さい。本日はこれにて散会いたします。    午後三時十四分散会  出席者は左の通り。    委員長     中川 幸平君    理事            岩崎正三郎君            仲子  隆君            赤木 正雄君    委員            大隅 憲二君            石川 一衞君            久松 定武君   国務大臣    建 設 大 臣 益谷 秀次君   政府委員    建設事務官    (住宅局長)  伊東 五郎君   説明員    建設事務官    (管理局建設業    課長)     水野  岑君    建設事務官    (都市局計画課    長)      八巻淳之助君    建 設 技 官    (管理局企画    課)      木村 三郎君