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1950-02-28 第7回国会 参議院 建設委員会 第7号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十五年二月二十八日(火曜日) 午後一時三十四分開会 ————————————— 本日の会議に付した事件 ○
証人喚問
に関する件 ○
南海地震
による
飲料水被害地区
の水
道施設
及び
下水道改修
の
請願
(第一 六九号、第四三一号) ○
建設事業一般
並びに国土その他諸計 画に関する
調査
の件(
建設省所管予
算に関する件) —————————————
中川幸平
1
○
委員長
(
中川幸平
君)
只今委員会
を開会いたします。
証人喚問
についてお諮りいたします。
南海地震
の
影響
による
地盤沈下
その他に関して、
東大
の
地震研究所
の
河角宏
君、
厚生省水道課
の
田辺弘
君、
地理調査所長武藤勝彦
君、このお三人を承認として招致して、
河角
君と
武藤
君に
南海地震
の
影響
について、
田辺
君から
渇水期
における衛生その他に対する
影響
いついて、この人は大連の方でこれらの経験があ
つた
ことと思いますので、これらを
中心
として証言を求めたいというので、大体この次の金曜の本
委員会
で
証人
として
お話
を聞こうと
考え
るのでございますが、これを諮りいたします。
久松定武
2
○
久松定武
君 今の
証人
につきましては、大変結構だと思います。小
委員会
において
事情
を聽取するよりも、本
委員会
においてや
つて
頂きたいと思います。賛成いたします。
中川幸平
3
○
委員長
(
中川幸平
君) どなたもよろしいですか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
中川幸平
4
○
委員長
(
中川幸平
君) それではさようなことで手続を取りまして、次の
委員会
でさような計らいをいたしたいと思います。
ちよ
つと
速記
を止めて…… 〔
速記中止
〕
中川幸平
5
○
委員長
(
中川幸平
君)
速記
を始めて。
八巻淳之助
6
○
説明員
(
八巻淳
之助君) ……この九ヶ所につきはして約四千二百七十余万円という
工費
で大体手をつけておるわけであります。これは対する
国庫補助
というもので、
厚生省
の
上水道
のこの
予算
に計上されまして
補助
しておる。残りの分につきましては
起債
で以て面倒を見るという
方法
を講じておるわけであります。何分この問題は
起債
の枠が相当つきませんというと、この問題の
処理
ができませんので、この問題を
解決
するために
起債
の枠を殖すということと、それから普通の
上水道
の
補助金
で行きますというと
工費
の四分の一というふうな
補助率
にな
つて
おりまして、この問題に対する
解決
が非常に問題でありますが、この
南海地盤
の沈下した……
水道
というものを特に
災害
として見るか見ないかというふうな問題が、
解決
のキイ・ポイントになるだろうと思うのであります。大体現在までのところは六十五ヶ所のうち、約一割五分くらいのものが手を付けたという程度にな
つて
おりまして、逐次
事業
として取上げて行くというふうなところでございます。
中川幸平
7
○
委員長
(
中川幸平
君)
請求陳情
の
審議
中でありますけれども、
建設省
の
予算
その他について
赤木委員
その他から
大臣
の出席を要求されていまして、今丁度
大臣
がお見えになりましたからその質疑に移りたいと思います。
赤木正雄
8
○
赤木正雄
君 私が
大臣
にお伺いしたいことは、
人事院
ができまして
職階制
その他いろいろとすべての
情勢
が変
つて
来まして、これに関して
建設省
の人事にも
影響
することがありますので、私の
考え
を述べ、又
大臣
のお
考え
も承りたいと思います。過日各役所の
課長
以上の人の
試験
を
人事院
でしましたが、その分類、或いはすべていおいて決して妥当なものとは私は
考え
ていません。これについて一言私の
考え
を申上げます。と申しますのは
砂防課長
のこの
職類
と言いますか、それに関してです。御
承知
の
通り
に
砂防工事
は
土木工事
の一
部分
ではありますが、施行する場所は禿山に樹を植えるとか、或いは山間の渓流に
堰堤
を作るとか、先ず
土木工事
の中でも一種特殊な
工事
であります。そういう
観点
が
わが国
におきまして
河川改修
を明治初年にや
つて
以来、
一般
の
技術者
は
土木
の人を採用しました。又
学士
も
工学士
の人が多か
つたの
であります。ところが
大正
三年頃、
わが国
で今まで最も多くの人々からして敬慕されている人は、
初代
の
内務技監
の
沖野博士
であります。その
沖野博士
が
日本
のような
河川
においては、
ひとり下流
の
河川改修
のみをや
つて
は
治水
の目的は達し難い。どうしても
上流
の
砂防工事
をやらない以上は、
本当
の
治水
はできない、こういう
考え
をお持ちにな
つて
おりました、その当時
内務技術師
は百三十五人あ
つたの
であります。併し
沖野博士
は言
つた
。これらの
技術者
は立派な
工学者
であるが、併し遺憾ながら
下流
ばかりに重点を置いて、真に山の奥まで入
つて
、或いは樹を植える、或いは小さい
堰堤
を作る。いわば
砂防
に專心して呉れる者がない、であるから
自分
でこういうふうに
砂防
の
計画
、設計をしてしるのだ。事実
技監
は
砂防
に関する限り
技監
でありながら
自分
で
計画
もしておりました。又
沖野
さんが淀川、
木曽川
その他の
わが国
の
治水
の
計画
をされる場合に、山の奥まで
沖野
さん
自身
御踏査されたことは、我々が山の奥に行きまして、こんな所にまさか
沖野
さんがいらつしや
つた
と思わないのに、
木曽川
の如き、岐阜の億まで
沖野
さんは踏査されました。そのことは、我々が山の奥の茶店の人、或いは農家の人に聞いて、成る程偉い人だと
思つたの
であります。そういうふうに山の奥まで
沖野
さんは
自分
で行かれたのであります。併し先程申しましたとおり、どうも
上流
の
砂防
に專心する者がないから、
砂防
に專心する
技術者
を内務省に要請せねばならない。そういう
観点
から
大正
三年以来、
砂防專任
の
技術者
を養おうという方針になられたのであります。そこでその当時
砂防
はどこの
学校
が教えているかというと、これは
東大
では
林学
であります。
工科
には
砂防
の
講義
が一時間もありません。
林学
では三カ年
砂防
の
講義
を教えております。又
砂防
の実習もや
つて
おります。そういう
観点
から
林学士
を
砂防
の
專任
の
技術者
にするという意味で採用されて参りました。私は
砂防
とか、或いは
河川
とか、そういう区別をつけるのは好みません。併し実際の有様から申しまして、今日におきましてもやはり
一般
の
土木
の方では、
砂防
は
大学
におきましても
講義
を聞いていません。又
京都大学
は
大正
十五年に初めて
農学部
を創設した際にやはり
ドイツ
、
フランス
、
オーストリー
、その
制度
に倣いまして、
農学部
の中に
農林工学科
というものを作りまして、そうして單に山の奥のみならず、
一般土木
として必要な
講義
は
工学大学
に聞きに行く、こういうふうな
制度
にな
つて
おります。これは
オーストリー
、スイス、
フランス
、
ドイツ
、そういう国々においてやはり山の奥の
仕事
は、心から山の奥に入
つて仕事
をする人のない以上、
本当
の
仕事
はできない。こういう
観点
からして諸外国にもそういう
制度
は
学校
において行われています。今日の
日本
もそういう
制度
にな
つて
います。ところでこの
人事院
が、
課長
以上の
試験
を過日行
つた
場合に、
砂防課長
の
試験
に対して
一般土木
の
試験
と同じことをや
つて
います。私はこのことの
非常不合理性
を認めまして、
人事院
の
委員会
に予め
委員長
の許可を得て出席して、今までのあり方をはつきり申したのであります。併しその結果はやはりこの
国会公務員法附則
第九條による
試験広告
によ
つて
行われたのであります。ただ一部僅かに
改まつ
ただけであります。そこで先程も申した
通り
に、
砂防
も
河川
も一体であるべきでありますが、現に私が
常願寺川
の主任を勤めていまして、山の奥で働いていました。そのときにある
工学士
が採用されたので、新潟の
出張所長
がこの
常願寺川
の
砂防
をやれということにな
つて
私のところへ働きに来ましたけれども、その
工学士
は
自分
はこういう山奥で
仕事
をしようと
思つて工科
を出たのでない、これでは
自分
の志と余りに反するというので、遂に
港湾
の方に移りました。又御
承知
の
通り
に
高知
県の
幡多
郡は有名に
災害地
であります。これに対して
査定官
が行く
度ごと
に、……、今の
査定官
と申しますのは、
災害復旧
に対する
査定
です。その
査定官
が行く
度ごと
に、何と申してもこの
高知
県の
幡多
郡を治めるには
災害復旧
だけでは事足りぬ。だから
砂防
もやらにやいかんということがいつも
復命書
に見えていました。併し一向
砂防工事
を
計画
しなか
つたの
であります。そこで
大正
五年頃にその当時の
課長
が来て、お前の方ではなぜ
砂防工事
を
計画
しないかと聞いたところが、実は
自分
は
学校
で
砂防工事
の
講義
を聞いていない、だからして
砂防工事
の如何なるものか知らない。だから本省から
一つ
来て指導して欲しいという要請で、こちらから
行つて
、
昭和
五年以来
幡多
郡が毎年
砂防工事
を盛んにやりまして、あの有名な
災害
県、その中の
災害郡
が、今日では余程
災害
が
減つたの
であります。こういう
情勢
でありますから、若しも一人の人があ
つて
……
砂防課長
、或いは
道路課長
、
河川課長
、あらゆる
課長
が調べに行かれるのは結構であります。私は現在の人をかれこれ言うのではありません。併し
人事院
のあのやり方が余りに不合理でありますから、やはり
建設大臣
としてよくお
考え
を願いたい。今日の学生がそういうふうにな
つて
いますから、
砂防
は
大学
では
林学
にな
つて
います。
京都あたり
では農業にな
つて
います。私はウィーンで
大学
に三年いました。そのときには
農科
と違います、
工科大学
にいました。が併し
日本
では主体が今申す
通り
に
林学
にな
つて
いますから、やはり
林学
で
砂防
を卒業したものを採用する、こういう
制度
にして貰わない以上は、
日本
の水源の
治水
は人的において非常に欠ける点がありはせんかと、こう思います。でありますから、或いは
砂防
をや
つた
人が
河川
に行く、
河川
をや
つた
人が
砂防
に来る。そういうふうにどこでもうまく融通ができるなら結構ですが、先ず人の気持ちから違いますし、或いは
学校
における組織から違いますからして、この点をよくお
考え
になりまして、折角
初代
の
沖野技監
の立てられた案に従いまして、又それが折角今日まで芽生えて来たのでありますから、決して
砂防
は
砂防
で行けと言いませんが、又今日おる人をかれこれ申しませんが、但し
自分
の專門の道に向
つて
進み得るような特別にお
考え
を願いたい。このことをお願いもし、又
大臣
の御
意見
も承りたい、こう思います。
益谷秀次
9
○
国務大臣
(
益谷秀次
君)
赤木委員
から
縷々砂防
のことについて蘊蓄を傾けられた
お話
を賜りまして、誠に感謝に堪えないのでございます。実は私は
土木
と申しまするか、
砂防
の
技術
上の
方面
はさつぱり
承知
しないのであります。
お話
も
只今
初めて詳しく承りましたので実際
仕事
に適合する教育を受け、又
技術
を習得したる人が、その
方面
に向うということは最も妥当なことであると
考え
るおります。十分に研究いたして参りたいと思います。
久松定武
10
○
久松定武
君
大臣
にお伺いいたしますが、実は今日ここに
請願
で
南海地震
による、殊に
愛媛
県
方面
の
地盤沈下
によりまして昨年の夏以来段々に
海水
の浸透がひどくなりまして、今日では全
県科
の
沿岸地帯
、この
沿岸
の
海岸線
は北海道に次ぎまして、
日本
第二の
海岸線
を持
つて
おる県でありまするが、この
地帯
の
島嶼部
は勿論のこと、
各地
が全県下に
亘つて井戸水
が使用に堪えられなくな
つて
来ておるという
状態
でありますが、今までの
南海地震
による
地盤沈下
に
建設省
として
予算
の
処置
は二十四年度で終る。殊に今後は新たなる
方法
でやるより外にない。
只今計画課長
の
お話
によりますと、都心を
中心
にした一部には
起債
を許して、その枠で以て
補助
しておる、こういうような
お話
であります。年はある程度救われるが、今日の状況を見ますれば、その日その日の飲み水にも
沿岸地帯
は困
つて
おるという
状態
でありまして、私共本
委員会
はこれを重要視いたしまして、小
委員会
を設けて
対策
を講じておるのでありまするが、ただ
予算
の
処置
を見ますると、二十四年度はもはやこの三月で終る。二十五年度以降は
南海地震
による
地盤沈下
は打切るという御節でありましたし、なお今後この問題につきましては、
厚生省
も非常に重大な
関係
を持
つて
おりまするが、
大臣
といたしましてはこれを
地盤沈下
の新たなる現象として
災害
としてお認めになりまするか。又は
南海地震
の延長と見てこの
対策
を講じて頂けるものか。その二点を特にお伺いしたいのであります。
益谷秀次
11
○
国務大臣
(
益谷秀次
君)
南海震災
の
地盤沈下
につきましては、
災害対策
といたしまして
事業費
四十八億のうち二十五年度までに漸く四〇%を
助成
して参りたいというようなことにな
つて
おります。
従つて震災
による
地盤沈下
、これに対する
仕事
は
打切つた
というようなことはございません。四十八億の
査定
をいたしております。それを引続き今後も継続して行きたいというお
考え
でおります。
只今久松委員
の
仰せ
になりましたのは或いは
農林省関係
の
災害
問題、或いは又最近問題になりました
井戸
、
上水道
の問題かとも思うのでありますが、これに対しても今後引続いて上水の問題についてはできる限り
仕事
を続けて行きたいという
考え
を持
つて
おります。
久松定武
12
○
久松定武
君
只今
の
お話
で納得の行くところもありまするけれども現実の問題としてはこの
飲料水
の問題は、
下水道
の問題もありますが、
飲料水
の問題は極く最近、昨年の暮れからこの問題が特に激しくな
つたの
で、今まで
予算
の
措置
というものは何ら講じておらなか
つた
ということが事実で、新たなる
一つ
の
災害
でありまするが、この問題を
災害
として今後お
扱い
になりますか。特別の
災害
としてお
扱い
になりますか。或いは引続いて
南海地震
の
地盤沈下
による
災害
としてお
扱い
になるか。その点も明らかに承りたいのであります。
益谷秀次
13
○
国務大臣
(
益谷秀次
君) この
飲料水
の問題は
久松委員
の
仰せ
のごとく昨年の後半期から問題にな
つたの
でこれまで気付かなか
つたの
だそうであります。そこでこれは直接の
災害
というようなことで取上げていないそうであります。
災害復旧
ということの面でなくて、
飲料水
の
処置
を何とかいたさなければならんという
考え
から、
上水道
の
計画
を立てて六十五ヶ所
上水道
を作る。それで第一次において九ヶ所いたすということにな
つて
おるのであります。
飲料水
の問題については以上申上げたような次第でありますが、
震災
の直接の
被害
じやないという観念から、いわゆる
災害
と見ていない。新たなる
災害
ということよりは……
災害
だと
復旧
いたさなければなりません。もともと
上水道
もないものですから、
地震
で
自然地盤
の変動によ
つて飲料水
が噴出しないように
なつ
たというようなことから起
つた
ことと思いますから、昨年の暮れ
あたり
から初めて発見したと申しまするか、気付いたのでありまして、これまでの
災害復旧
として取上げておる事項ではないそうであります。
従つて
新たに上
下水道
という
方面
で取上げまして、
計画
といたしましては六十五ヶ所、第一次の
施行区域
は九ヶ所ということで取扱
つて
おります。
仲子隆
14
○
仲子隆
君
ちよ
つと
大臣
に伺いますが、二十一年の十二月の
南海地震
である、そうしてその
地震
は昨年になるともうすでに三カ年も経
つて
おるからこれは
災害
じやない。それで
復旧
はしない。こういう
お話
でありますが、風が吹いたり雨が降
つた
り、一日二日、
地震
でばたんと落ちたときはそのときだけ、そうするとそこに或る事故が起
つて
、その終結までに
期間
があるが、
災害
として認められるその
継続期間
というものはどういうふうに決められておるか。そうして今は水の話だけが主でありますが、
農林関係
、
港湾関係
、いろいろの
関係
もありますが、
建設省自身
として、
海岸
の破壊が到る所出ておる。而もこの今の現れ方は、例えば
沖積層あたり
の細かい砂の所は沈降の仕方が少ない。
荒砂
の所は非常に大きく沈降しておる。
地盤
によ
つて
非常に相違があります。それがそのときは現れない。
地震
の直ぐそばには現れないが、後にな
つて
非常に
高潮
が来る、大潮が来るときに、非常に多くここまで
海水
が上
つて
来る。これが
従つて井戸
にも、すべての住宅にも、或いはその他実際
影響
するものであります。これは
建設大臣
、或いは
建設省あたり
において、
災害
というものはどこからどこまでが
期間
であり、一ヶ年経過したものは、もう
災害
の中に認めないというふうになるのかどうか。これ又細かく
一つ
伺いたいと思います。
益谷秀次
15
○
国務大臣
(
益谷秀次
君)
災害
の効果と申しまするか、結果が三年後四年後に発生したのは、
災害
と見ないか、或いは一年間過ぎればというような、そういう規定は別に私は存じておりません。
建設省
の受持
つて
おる
災害
は、大体
河川災害
であります。そうして
公共施設
……。
従つて
いつも問題になりまするけれども、
山崩れ
が起
つた
り、又直接台風のために
山崩れ
にな
つて
そうして
河流
を侵す。これはやはり
砂防
の
施設
のないところは、やはり
災害復旧
として取扱うことができないのであります。即ち先程申しました
通り公共施設
がない、そういう
関係
上、今問題になりました
井戸水
が渇れてしま
つた
。もとより
震災
のためでありましよう。ありましようが、
井出水
が渇れて、それを
災害
として取扱うかということになりますると、
井戸水
、
飲料水
の
井戸
と申しますか、これが果たして
公共施設
であるかどうか。そうして又直接の
被害
ということができるか。いろいろの
関係
からこれは
南海
の
地震
の直後の
被害
で……
政府
が
国庫助成
をいたして
復旧
いたすべきものでないということに相成
つたの
であります。それで
飲料水
が涸渇して困るという
建前
から、
上水道
として取上げるというふうにしたというので、六十五ヶ所を指定して、そうして九ヶ所を第一次にやるのであります。さらに又最近
各地
で問題にな
つて
おります
海岸堤防
の問題は、これも極く近くこれを取上げたいのでありまして、現在の所は
都道府県
の管理いたしておるものには
助成
をいたすということをいたしておるのであります。
高潮
が来て荒らされるということ、或いは
道路
がそのために侵されるということになりますれば、無論
建設省
として取扱うことになります。又
道路
も何もない所で
高潮
が来ます、そうして田畑を荒らすという場合は、これは
建設省
の
所管
でない。かように思
つて
おります。それから
干拓等
のための
海岸堤防
と申しますか、九州などで問題にな
つて
おりますのは、これは
都道府県
の管理いたしておる
部分
については、本年度から
助成
をいたすことにいたしております。
久松定武
16
○
久松定武
君
只今
の御
説明
で大体は分かりましたのですが、私主として
上水道
の方をお伺いいたしますが、
水道條例
によりますと、
人口
一万以上の所でなければできない。
簡易水道
については何ら
国家
としては今までは考慮されない。ところが、然からばその
水道條例
の適用される所はどのくらいあるかという問題になりますると、
愛媛
県下においてもそれだけの
人口稠密
の年は僅かしかない。大
部分
は
漁村農村
だという結論になりますが、結局救われる所は僅かのところで、大
部分
は免れてしまう。そういうような悲惨な
状態
に陥るのであります。 それから尚法律的に解釈したときには、
国家
の
補助
というものは、特に今までの例を見ますと、
予算
の
処置
において僅かに考慮されておる。ところが
上水道
でも
簡易水道
においては、今まで
国家
が
補助
した例はない。これは
起債
その他によ
つて
、
府県
がそれを
補助
するという例なんでありますが、
水道條例
による場合でも、県が
補助
したのに対して
国家
が
補助
するというような
建前
のようにも
考え
られるのでありますか、今後
簡易水道
を作
つた
場合に、こういう
被害地
に対して、その
関係
の県に対して
国家
としての
補助費
を出される御意向がありますか。又承るところによりますと、二十五年度の
災害
は、
全額国庫負担
だということも言われておるのでありますが、これを仮に
災害
としましてお
扱い
のときには、
国庫
の
全額負担
ということで
処理
をして頂けるのでありましようか。その点をお伺いいたします。
益谷秀次
17
○
国務大臣
(
益谷秀次
君) 現在の
水道條例
によりますると、
只今久松委員
の
仰せ
の
通り
であります。 そこで
人口
一万以下の場合は、
隣接町村
が組合を組織いたしまして、或いは又県営といたしまして
水道條例
に適合するようにいたせば、おのずからその途が開かれるのであります。いわゆる
簡易水道
については、今日のところは
助成
の
方法
がございません。今後
水道條例
を
水道法
と申しますか、これの改正が
政府
においても問題にな
つて
おります。どういうように改正せられまするか、
水道
は現在のところは御
承知
の
通り
、
助成
は
計画面
とかいろいろのことで
建設省
と共管にな
つて
おるものでございますか、
補助
の方は、
助成
の方は
厚生省
がいたしております。
從つて只今
のような
お話
については十分に承
つて
、今後の
水道法
を改正する際に参考にいたしたい。
久松定武
18
○
久松定武
君 もう一点私は特にお願いいたしたいのでありますが、
水道
の
予算等
は大体私
厚生省
にあるように記憶しておりますが、その
建設
に当
つて
は
建設省
が扱う。こういう点におきましてどうぞ
一つ厚生省
とも安本とも十分ご連絡を取
つて是非
ともこの困
つて
おるところの
事情
を御斟酌の上で特に御配慮頂きたい。なお
下水道
の問題にしましても、
都市計画
のあるところは、これは
建設省
として相当に考慮されておる。ところがやはり
漁村農村
が多いところにおいては、
都市計画
より離れてしまう。そういう点におきましてやはり
予算
の
措置
におきましても、この点は
大臣
としてどういうようにお
考え
になりますか。
益谷秀次
19
○
国務大臣
(
益谷秀次
君)
上水道
につきましても、
下水道
につきましても、
建設省
といたしましては、かねがね申上げております
通り
、
建設行政
の一元化、
従つて
強力な
機構
、総合した
機構
を持ちたいという
考え
で案を立てて、
行政制度
の
審議会等
に提出いたしおります。併しながらこれは
各省
各官庁と
関係
をいたしておりますので、なかなか実現が困難でありますので、率直に私個人の
意見
を申上げますると、やはり
下水道
、
上水道
にいたしましても、
建設
の
部面
、
土木建設
の
部面
が、そして又
上水道等
は下水の
方面
の
関係
が十分ありまするから、でき上
つた
ものは
行政制度審議会
なり
厚生省
なり、或いはその他の諸
管署
が
所管
せれることには差支えない。
建設
に至るまではやはる
建設行政
を一元化して参りたいというふうな
考え
を持
つて
おります。要しまするには
只今
の
お話
のごとく、
上水道
の法律も今回の
国会
に提出することが不可能であります。
各省
と協調いたしまして一日も速やかに成案を得まして御
審議
を願いたいと
考え
ております。
仲子隆
20
○
仲子隆
君
ちよ
つと先程お伺いしましたが、
期間
については決まりがないということ、それから
復旧
、とは今あるものが壊れたから
復旧
である、これはよく分かりました。ところが問題は
災害予防
に関するということを
考え
なければ成らない。さつき私が
高潮
と申上げましたのは、
地盤沈下
後においてたびたび潮が床板、床、便所を皆
洗つてしまつて道路
にまで水が溜まる、こういう場合は従来……
地盤
が沈下したために、特別な
高潮
というのでなくてもたびたび奥の方までずつと潮が上
つて
来る。これは
災害
の
復旧
ではない、
災害予防
であると思う。そうすると
災害予防
であれば、従来
国家
がこれに何ら手を入れなか
つた
ものについては手を加えない。
府県
が管理しておるものについては
助成
をするという先程の
お話
でありますが、今のような場合は
府県
としても大して問題にしてない所に起
つて
来る
災害
である。そうなれば将来の
災害
は
国家
がこれを
助成
するということになれば、
四国
のごとく、先程からのことは主として
愛媛
県でありますが、香川県、徳島県の一帯、或いは
高知
県の
海岸
のごとくすべて
地盤沈下
のところは今どれだけ動きつつあるか、将来どれたけれそれが大きくな
つて
行くか分かりませんが、これから起こるものはすべて
国家
が
補助
する。今まで起
つた
ものはこれを
国家
が
補助
すべき
災害
と見ないのであるか。或いは防災と
災害復旧
との間のところが、いろいろ分からない点があるのであります。そこで私は一番疑問になるのは
建設省
の
災害
とは何であるか、これを
一つ
御
説明
願いたい。
益谷秀次
21
○
国務大臣
(
益谷秀次
君) 私は
災害復旧
の問題は先程申上げました
通り
、
建設省
としては大体
道路
、
河川災害
であります。その他の
都市計画
の
方面
にもいろいろありますが、主として
河川災害
を申しております。その中に
道路
は含まれております。地方の
助成
、
政府
の
助成金
によ
つて
賄われておるものは、これをも含んでおるのであります。これが
災害
のために破壊されて、それの
原状回復
が現在の
災害復旧
であります。
従つて海岸堤防等
が壊れました際には、例えば
恒久施設
であるとか、或いは
道路
が壊れたというような場合には、無論
災害
として
復旧
いたさなければなりません。そうして今回の
南海地震災
、
四国
或いは和歌山県等であります。これは先程申しました四十八億の
事業費
で大体防ぎ止め得るというので、
地盤沈下等
の特殊の
南海震災
による
災害
は特殊の
災害
として取扱
つて
おるのであります。四十八億で大体今後さして不安がないという程度の
事業費
を見積
つて
おるわけであります。これが今日までその半ばも
仕事
ができないということは遺憾であります。先程申しました
通り
努めて早く全部の
事業
を完結いたしたいと思います。これが
南海震災
に対する
政府
としての態度であります。更に堤防も何もない所が壊され、そうして家が壊れるというようなことに対しては、これは個別に
考え
て参らなければなりなせん。即ちこれは
災害復旧
というものでなくして、今後起こるべき
災害
に対する防災と申しますか、そういう
方面
から個別に
考え
なければならんかと、
考え
ております。 もう
一つ
申上げて置きますのは、これは香川県などがそうだろうと思いますが、開墾をいたされて、それが或いは塩田になりますとか、或いは産業会社になりますとか、そういうために埋立をいたし、干拓をいたして、堤防などを作
つて
おるのが
各地
にあるのであります。これは従来、今日も堤防が
高潮
のために壊れる、
地震
のために壊れるとかいうような場合には、その埋立をいたした企業家と申しますか、その人が負担になります。現在問題とな
つて
おりますのは、九州
方面
等にあります有明湾なら有明湾にありますような、昔企業がありまして干拓をしたし、埋立をいたして田畑を作り、それが
一つ
の大地主となり、最近土地改革のために田畑を皆整理せられたために、いわゆる地主が殆んどなくなる。従いまして堤防が壊れましてもその回復をいたす資力がない。そこで
政府
といたしましては今回その堤防を
府県
管理に移して、そうして
府県
の管理に
なつ
た
部分
に対しては、普通の
災害
の取扱をいたすということにな
つて
おります。
従つて
香川県のごとく瀬戸内海に面した
方面
には
処置
したところがありますが、個人が埋立をする、或いは干拓いたして個人がそれを工場にいたす、或いは塩田にいたすという
部分
には、堤防がありましてもこれは
助成
することができない。そうして
一般
の
海岸
の砂原等が、
道路
に面した
方面
が沈下をいたして、そのために
高潮
の際に人家を壊すとか、或いは田畑を壊すというような危險に瀕した
府県
もあります。自然に土地が下
つて
、そうして堤防の囲りが
高潮
が来ると壊されるということは、適当に
災害
防止の面で
考え
なければならないというようなことになると思います。こう
考え
ております。
仲子隆
22
○
仲子隆
君 先程の四十八億というのは、
災害復旧
費として向けられたもので若干は
工事
が進んでおる。これは
南海地震
の
災害復旧
費が四十八億であると了解してよろしいのですか。それから防災の
予算
は一体どれくらいにな
つて
おるか、これをお伺いいたします。
益谷秀次
23
○
国務大臣
(
益谷秀次
君) 四十八億は
建設省
の
河川
局の
所管
でありまする
南海震災
の
事業費
です。これはもとより防災
対策
も含んでおります。潮を防ぐ
対策
も含んでおります。これだけの
事業
をや
つて
参りますと、大体防ぎ得るという
対策
であります。これはまだ半ばにも達していないので、少し
高潮
が来れば壊されるということで全く憂慮に堪えない次第であります。
仲子隆
24
○
仲子隆
君 防災費というのはどのくらいですか。
益谷秀次
25
○
国務大臣
(
益谷秀次
君) 今回の防災費ですか、二十五年度ですか。
仲子隆
26
○
仲子隆
君 そうです。
益谷秀次
27
○
国務大臣
(
益谷秀次
君) これは
ちよ
つと分かりません。
仲子隆
28
○
仲子隆
君 若干あることはあるのですか。
益谷秀次
29
○
国務大臣
(
益谷秀次
君) 防災費はあるのです。後程調べまして申上げます。
久松定武
30
○
久松定武
君 私共といたしましては、この
飲料水
の問題はとにかく非常に急を要する、救済をしなければならない重要な問題だと私は
考え
るのです。その日その日水に困
つて
おる人々というものは
四国
だけでも十数万に上
つて
おり、恐らくそれ以上の人々がその日その日の水に困
つて
おるという実情でありまして、何らかの
処置
を講じなければ、場合によ
つて
は移転しなければならないという問題も起こるのではないか、こう
考え
まして、どうぞ
一つ
これは安本と
建設省
それから
厚生省
、この三者が
中心
にな
つて是非
ともや
つて
頂きたいのでございます。
簡易水道
には何ら
補助
はないし、それに対して
補助
を與えてはいかんという規定はないと思います。ただ前例がないというだけの問題であります。私は前例がなければなくても結構でありますから、強力に
一つ
この点を御考慮頂きたい。
国家
の
補助
ということも非常に重大なる問題でありますが、その
地帯
の罹災者達はその日の水に困
つて
おるような
状態
でありますから、是非これは御考慮頂きたいと思いましてお願いしたようなわけであります。私の質問はこれで終わりますが、続けてもう一点お伺いしたいのは、最近承わると北海道
方面
の開発には開発の
審議
会を特に作るとか、特例を作るとかいうような例もありまするので、こういう問題につきまして
地盤沈下
による特例を作られる御意志がありや否やと言うことを
一つ
お伺いしたいのであります。同時に総合開発の問題で、これは北海道だけでなく全国でや
つて
呉れという問題が起
つて
おると思います。参議院に対しましては、本日陳情書が
委員長
の手許にも参
つた
ように聞いておりますが、今まで参議院は関知しなか
つた
問題でありますが、この総合開発法規というものは、むしろ
大臣
としては本
国会
にそれを提出されるか、或いは又議院の立法としてそれを議院から提出するようなになりますか、そこは存じませんが、これをどう御解釈になるか、それも序でにお伺いしたいと思います。
益谷秀次
31
○
国務大臣
(
益谷秀次
君) 総合国土開発につきましては、
只今
仰せ
のごとく、総合国土開発
審議
会を総理
大臣
の諮問機関として昨年の夏以来設けまして、熱心に各委員の御
審議
があ
つたの
であります。その結果、いわゆる総合国土開発法という法案を作成して、答申案を総理
大臣
に提出せられたのであります。各
関係
者へこれが配布せられましたのは約一週間以前と思
つて
おります。私共の方で検討いたしました結果、趣旨においては双手を挙げて賛成をする。ただ法律の軽微な点についておのおの
意見
が一致せず、その
意見
も
建設省
として出ております。その他
関係
各省
いおいても二、三の各
関係
官庁から
意見
が提出済みだそうであります。それが出ましてまとまりますと
国会
の御
審議
を願うということになりますが、未だその提出の程度に達しておりません。或いは議院提出にいたしますか、
政府
提出といたしますか、その点も今日はまだ決定しておりません。ただ私といたしましては一日も速かに成案を得手、
政府
なり議院なりの提出によ
つて
速かに成案を得て法律として、真劍に国土開発に協力して邁進いたしたい、さように
考え
ておる次第であります。
中川幸平
32
○
委員長
(
中川幸平
君)
大臣
に対する質疑はまだおありでありましようけれども、次の機会に譲ることにします。
速記
を止めて。 午後二時三十八分
速記中止
—————・————— 午後三時十三分
速記
開始
中川幸平
33
○
委員長
(
中川幸平
君) それでは
速記
を始めて下さい。本日はこれにて散会いたします。 午後三時十四分散会 出席者は左の
通り
。
委員長
中川 幸平君 理事 岩崎正三郎君 仲子 隆君 赤木 正雄君 委員 大隅 憲二君 石川 一衞君 久松 定武君
国務大臣
建 設 大 臣 益谷 秀次君
政府
委員
建設
事務官 (住宅局長) 伊東 五郎君
説明員
建設
事務官 (管理局
建設
業
課長
) 水野 岑君
建設
事務官 (都市局
計画
課 長)
八巻淳
之助君 建 設 技 官 (管理局企画 課) 木村 三郎君