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1950-04-01 第7回国会 参議院 建設・地方行政連合委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月一日(土曜日)    午前十時四十四分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○首都建設法案衆議院提出)   —————————————
  2. 中川幸平

    委員長中川幸平君) それでは只今より建設地方行政連合委員会を開会いたします。首都建設法案についての御審議をお願いいたしたいと思います。
  3. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 たびたびこの法案につきまして発言いたしまして、甚だ恐縮いたしますが、昨日、都市計画法の附属の法令になつておりますと思いますが、都市計画地方審議会の、東京のこの審議会委員名簿を請求いたしまして、只今手許に頂いておるのでありますが、これをちよつと拝見いたしましても、官公職の欄に、主に東京都の関係の人が書かれておるようでありますが、併し何も職名の書いてない人、並びに東京都の職員及び議員でないところの大蔵事務官とか、建設事務官運輸次官建設技官、その他何も書いてない人を見ますと、いずれも大体において、民間の人も若干ありますが、例えば、今職を退いておるようでありますが、五番の阿部美樹志君という者は次官であつたと思つておりますが、その外十番の建設事務官伊東五郎君も、これは建設省の建設局長でありましたか、その外大蔵事務官なんと書いてある人も大体において、次官であるとか、局長であるとかいうような、関係官庁の大臣ではありませんが、それに次ぐところの、実際上の実務の主管者であつて、殊に東京都の都市計画に最も密接な関係のあり、実際的な首脳者がそれぞれこの審議員にいずれも多数参加しているということが、この名簿を見ましても明白であると考えるのであります。そうして都市計画、即ち都市計画法によるところの各地方都市計画でありますが、都市計画及びこの委員の顔ぶれその他よりいたしまして、この計画及びこの委員会というものは、自治体の機関でなくして、国の機関である。最近の都市計画法規をよく見ておりませんが、大体昔私も東京地方都市計画委員長を勤めたりしておりました記憶から行きますと、その点は変つていないと思うのでありますが、従つて現在の法規によるところの東京地方都市計画というものは、国の機関であつて、これは即ち国の計画である。東京地方都市計画中心東京都においておるのでありますから、従つてこれは取も直さず、この法案に示されておるような内容におきましは、首都計画なのでありまして、私は先般来、これは現行法規の上に屋上屋を重ねるところの法律を作るものであるということをたびたび言つて来たのでありますが、更にそのことを痛感せざるを得ないのでありますが、どうも別個にそういう法律を作らなければならん‥‥国の機関であり、現在も即ち首都建設都市計画なんでありますから、そういう別の法律を作らなければならんという理由がどうも呑込みにくいのであります。もう一度そのことについて、今申上げましたことを中心としての御答弁を、提案者、それから東京都の代表者も来ておられるようでありますから、東京都の代表者からもここに参考人として意見を徴して頂きたいと思います。それからそこらに、大分壁に貼り廻らされたのは、恐らくその言われるところの東京都の都市計画、即ち現行法に基くところの東京地方都市計画であると思うのでありますが、その内容をざつと‥‥御説明のためにお貼りになつたのだと思いますが、東京都の当路者から説明させて頂きたいと思うのであります。
  4. 井手光治

    衆議院議員井手光治君) 吉川先生の御質問にお答え申上げたいと思います。  お話のように現在の都市計画委員、ここに政府機関関係者も参加いたしております都市計画委員というものは、確かに都市計画法に基きまして、運行をされて、少くとも現在までの都市計画立案に当つて頂いておることは、お話通りでございますが、そこでその上に更にこの屋上屋を架する嫌いがあるじやないかという御意見も、一応誠に御尤もと存ぜられるのでありますが、一昨日の委員会において吉川先生、特に高邁な東京都の在り方につきましてお説があつたようでございますが、私共謹んで拝聽いたしたのでございますが、ああいう立派な高度のつまり東京都としては、単に地方都市計画としての面も十分にこれは関係方面の主力を傾倒した立派な考え方の上に立つてやらなければならんことは勿論でありますが、この間からもお話のありまするように、それだけでは十分まだ従来の東京都の地方都市計画としての範囲を出ない。少くとも今日の段階におきましては、もつと高度の、この間お話のような高い面から見た、更に平和国家首都としての、そういうふうなつまり国民的な関心におきまする首都としての考え方を更に強めまして、そうしてまあそれらの専門的な考え方を、いわゆる新しくこの法律によつて制定せられます首都としての機能、それを発揮し得るような高度の勘案をこの際加えて、そうして今申されておりまする地方都市計画の、つまり基準的な計画を、どうしても一つ進める必要があるんじやないか。こういう考え方で実はこの法律立案に当りましたようなわけでありまして、もとより地方都市計画として十分だというお説もありますけれども、やはりそれだけでは、現段階におきましても、将来の東京都の復興建設という面におきましても、十分でないということを実際面からもいろいろ考慮されまするので、この間もお話のような高度の考え方を盛込んで、いわゆる過大的な弊もこの際避けなければならんというお話もありますし、このまま自然発生的に抛つて置きますというと、東京都の人口終戰直後の三百万がすでに六百万を突破している。このままに抛つて置きますというと、人口問題の取上げ方といたしましても、なかなか容易ならない状況下にあります。こういつたふうな過大的な弊も十分避けなければならないという御意見、そういう点につきましても、もつと高度な基本的な考え方をいたしまして、本当の首都としての在り方は一体どうあるべきかというような基本的な問題をお考え願うことが必要である。こういうふうな考え方を以て実はこの法案に当つているわけであります。あと都市計画の‥‥
  5. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 ちよつと東京都の御説明を聽く前に、足らんところがございますから‥‥それは今の御答弁にも関連するのでありますが、過大都市というものを作るということをも避けるということを首都計画観念の中に入れ、計画の中に入れて、そういうふうな方向へ計画を進めて行くためにも必要であるというお話がありましたが、これは私が申上げておりますところの経済力過度集中、それから派生する文化力過度集中、それには明治政府以来の政治力中央集権ということによつて、この経済力過度集中が非常に激成されて来たということと、都市計画上において、このいわゆる過大都市人口分散せしめなければならんということとは別なのでありまして、この法案は明らかに先般申上げましたように、政治力の後援によつて経済力及び文化力東京への過度集中を東に激成するところの、それと変らない国家的保護政策を、従来と変らない保護政策ば東京都の方面から要求しておられるのである。即ち従来のそうした観念の、新憲法下においても何らの変化がないということを私は指摘いたしておるのでありまして、そういう観念が続いておりまする限りは、都市計画課が言うところの人口分散的な結果は来たすことはないのである。ただ計画の上におきまして、大体東京都の中央部の非常に人口を占めるということは計画的には避け得られますけれども、私が言うておる経済力過度集中文化力過度集中分散ということと、その個別的な個々の都市計画内におけるところの人口分散計画とは別なのでありまして、その点は提案者は私の言う意味をミスアンダースタンデングしていられるということを申上げて置きたのであります。それから尚今の話に関連しますが、先般東京都の方からか、提案者の側からか、一九四二年でありましたか、四三年がパリー復興都市計画に関するところの法規をお配りになつたようでありますが、今日私持つて参りませんでしたが、あれは年度から言いますと、戦争が終結しない前だと思いますが、その後パリー憲法も変りまして、いわゆる第四共和国憲法になつておるのでありますが、あの法律は少し憲法が変つたという点から何も変動を受けていないというようなこともお調べがありましたら御答弁願いたいと思います。  それからちよつとこの法案観念は、東京首都であるから、或いは帝都であるから非常に立派にしなければならん、地方都市よりも特別の保護団家がしなければならんという観念でありまして、これも亦先般来申上げましたことと重複いたすのでありますが、今のパリー都市計画でありますが、パリーは実に立派な都市計画の行われた都市であることを、どなたも御承知のことだろうと思うのであります。裏町なんか余り綺麗でありませんけれども、表通りの、例えば中心街であるシヤンゼリ・ゼーというようなあの道路は実に立派な道路でありますが、都市計画が非常によくできておるのでありますが、併しそフランスにおきましては、パリーは実は世界に冠絶する美しい立派な都会である。併しながらフランスにおけるところの地方都市というものは、パリーに比べますともう格段の見劣りがするのでありまして、フランスにおける大都市であるマルセーユのごときも、これをドイツあたり地方都市に比べると、都市計画なども非常に不完全であつて美しくないのであります。そういう結果を来たすということが、私は日本全体の発達の上においてよくないということを申しておるのでありまして、御承知のようになぜフランス地方都市というものがそれ程立派でないのにパリーだけが世界に冠絶するような立派な都市計画が行われたような美しい都市になつているかと申しますと、これは先般も申しましたようないろいろな意味においての政治力経済力社会力文化力過度集中パリーによるような政策フランスがずつと採つて来たからであるのでありまして、殊に現在のパリー都市計画ナポレオン・ボナパルトフランスの帝王の位につきましたときに、丁度日本明治政府が、宮城のある所であるから東京都を立派にしなければならんというので地方を搾取して来たと同じような関係で以て、ナポレオン・ボナパルトの自己の帝王的な威厳をフランス国内及びヨーロツパ全土に示すという、そういう政治的なナポレオン的な権力欲中心になつて、そうして御承知のように時の市長でありましたオースマンをしてあの立派なパリーを造らしたのでありまして、これは我々の方で必ず読まなければならない本になつておりますエンゲルス住宅問題論の中から、エンゲルスオースマンのボナパルテイズムの都市計画としてパリー都市計画を非常に罵倒いたしておるのでありますが、その観念がいけないということを先般来申上げておるのであるということを、これは、重複するようでありますが、重ねて申上げて置きたいと思いますが、今のことにつきまして、先程来私が要求いたしておりますことと共に、東京都の建設局長石川君がお見えになつておるようでありますから、石川君の一つ答弁を聴きたいと思います。
  6. 中川幸平

    委員長中川幸平君) この際一つお諮りいたします。東京都の建設局長が見えておりますから、説明のために参考人として御説明をして頂きますことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 石川榮耀

    参考人石川榮耀君) 先ず始めに先程お話のございました東京都市計画地方審議会のメンバーの過度集中過度偏見でないかという御指摘でございましたが、明らかに一応さよう考えられるのでありますが、ただ御承知のように、この地方計画審議会立案及びその審議趣旨は、結局におきまして、東京都がその立案者になりまして、大体においてその出費も東京都が持ちまして、これを各省関係に或いは民間団体等にそれぞれ個別的に働きかけをいたしまして、その方面の御理解を頂いて、そうしてできました案を審議会に付議する、審議会におきまする各委員の態度というものは、共同立案者というよりは、むしろ監視者というふうな形になつておりまして、曾てそういう場合に出席する各官庁その他の方々が共同立案というような形が採られた場合は非常に少いのでございます。結局におきましては、我々の微力というところがまあ基調をなすのでありますが、立案及びその進行箇所におきまして、極めて地方的でございまして、低調でございまして、特に東京のように各方面機関が強い中枢を持つておりまする所では、極めて案の立て方、進行のされ方に微弱なものがございますので、今度改めまして、関係官庁地方経済団体等も所要な共同立案者のような形式をお取り願う、そうしてそこでお決め願つたことを我々の方にお示し願う、こういうような形がいいのではないかというようなことが立案趣旨でございます。多年この遂につきまして御指導を頂いております吉川さんの御意見でございまして、お話通りの点は多々あるのでございますが、ただ実際にぶつかつて参りますると、どうも我々の微力だけではそういうふうになり易いので、これはこういう形を取つておりますると、実際上の実践としての都市計画のいわゆる首都というふうな高い目標に向つて計画は柔く動くのではないか、余り紆余曲折することなしに進むのではないかと思います。それからフランス首都計画のガリ版をお届けしまして、これは誠に申訳ございませんが、戦後の計画につきましての資料はまだ手許に入つておりませんので、これは至急又調べまして、お届けいたしたいと思つております。  それから折角の御注文もございましたので、復興都市計画としまして、我我が今まで分りましたものを極めて掻摘みまして、絵で一つ説明申上げたいと思います。それで申し上げたい趣旨は、この細かい復興都市計画の構想ではございませんので、この案におきまして、結局再三御指摘がありまするように、首都集中首都偏重というようなことは決して考えておらない、そうしてむしろ首都性格をよく確認いたしまして、その與えられた性格に対しては責任を持ちたいというふうなことが、大体の趣旨でございますので、それを一つ絵によりまして御説明申上げたいと思います。極めて短時間でございますから御覧願いたいと思います。  御承知のように都市計画根本をなしますのは、世上しばしば交通計画であるというように誤られておりますが、実際の根本をなす計画地域でございまして、工業及び商業その他の業及び配置ということが根本でございますので、地域から御説明いたしますが、ここで申上げたいのは、戦争前の東京都の地域計画でございます。これは戦後の復興計画でございまして、ここではつきりお分けいたしたいのは、この水色が工業地域でございますが、荒川放水路から下町一帯にかけまして大きな厖大なものであります。こちらが今回持つております工業計画でございますが、戰前の収縮いたしまして、これは青色が工業地域、黄色が中小工業地域でございますが、昭和五年の規模をこれは完全に收縮して、能率的に極めて、立地に対しまして神経質にすべての川の周囲というようなところを選びましてこれに集約してしまつたのでございます。これは議論の存するところだろうと思うのでありますが、ただ一応最小限度に止めまして、その目標の中から或いは世界の国際的な一つ許容度等を勘案しまして、更にこれを多少なりでも無駄のないようにしたいと思つておりますが、戰前のようにこういう厖大工業を育成し、誘導したいという意思表示は全然ございません。それから商業地域でございますが、これは薄くてお見になるのに困難でございますが、戰前計画はこういうふうな厖大なものでございました。下町帶商業地域でございまして、この赤色が、この道路の両側が全部商業地域でございまして、そういう点で非常に今回の計画によりましては、この銀座一帶、丸の内一帶は商業地域といたしまして、あとはできるだけ山の手に拡げまして、池袋、新宿、澁谷という所に、サヴウエイに中心を置きまして、在来の東京が大体においてこの全体から扇の要のような、ビジネストにせよ、買物にせよ、全部こちらに偏つておりまして、ラツシユ・アワーの原因になつておりましたのを、今度は山の手に、省私線に沿いまして二つの動きを中から講ずるように、少くも消費関係においては山の手線に膠着したいというものでございまして、あとは各路線毎に商業地域を、できるだけ商業による人口の水増しを防ぎたい、こういうふうに考えます。これによつて御覧頂きたいのは、我々が極めて戰前のような厖大商業消費関係において、東京の人々の殖えることに極めて臆病であるということを申上げておるのであります。それからこちらにはありませんが、こちらを御覧頂きたいと思いますので、戰後三百五十万でございました東京人口はどの日の程度に抑えて行くかということ、これは議論が非常にございますが、議論がございましたのに対しまして、結局計画が非常にやりにくいのでございまして、いろいろ計画を以て四百万くらいのところが出て参りますが、我々といたしましては、とにかくそのときの人口で抑え、三百五十万でございましたのが、これ以上殖えては困るというので、一応抑えまして、議論も何も説明は非常に困難でございますが、とにかくもこれ以上殖えるのは困る、それに対しまして、いろいろ昭和五年の第一統計で計算して見ますると、三百五十万でよろしい、現在でいいのであるというので、現在三百五十万という人口を抑えまして、外側に黄色いものがございますが、これは工業地域であります。これは当時法律はございません。法律はございませんですが、工業地域というところを指定いたしまして、これはその後その附近を併せまして、この区域に対しましては、将来都市計画を立てては困るということで外側に入れたわけでございます。これは御承知通り世界的な言わば大都市としまして、曾てアムステルダムでお互いの間に約束をいたしました実践でございますので、工業地域といたしましてはこれはあとに追つ馳けまして法律となつているのであります。それから内部におきましても、できるだけ、いろいろ人口が殖えることを防止するために、できるだけ緑地を取りまして、この一千五百万坪でございますが、十分に取りまして、できるだけ人口はまあ必要なだけに止める。それはどうかというと、三百五十万というふうなことを考えまして取つたわけであります。この二つによりまして、首都として経済、或いは工業文化、あらゆる点において独占しようというような形はゆめ取つておらないということを御了承頂きたいと思います。むしろ吉川さんのおつしやいましたように、計画によつてこういうことを達成するということは、極めて弱い、実際は政治的に我々が本体であるということは御指示の通りでございます。ただ我々といたしましては、一種社会通念というようなものを取りまして、それに即応しました計画を以て、これを合せたわけでございます。この際同時にこれはあらゆる政治方面に対しましてもそれを通して頂くように、都市計画を、技術面から要請を申上げてはおつたわけでございます。  それから次に特別地区を置くというのがございますが、これは今回の首都建設法をどうしても煩わさなければならない問題でございますが、これは御承知のように、戰後特にそうでございますが、誠に混乱いたしておりまして、大都市としての統制は全くございません。三百五十万の人口がただ自然発生的にそれぞれの場所に住んで渦を巻いているわけであります。これの最も甚しい欠陥といたしましては、次の黄色いのが軽工業地域であります。そういうふうに分けますが、実際においては、例えば文化国家といたしましての首都といたしますれば、ワシントンまではとても参りません。参りませんけれども、併しながら現在の場末形態で膨れ上つて行くということは最も恐ろしいことでございまして、首都としましての両目にかけましても、場末形態を離脱しなければならない。能率の面からいたしましても、いわば形態から行きましても、これは非常に都市特徴性という、或いはアジヤ都市形態と申すべきことでありますから、ヨーロツパ並にするということで、これに対する文化都市形態を與えてやろうというので、特別の地区は、これは法律にはございません、法律にはございませんが、特に我々の方として、都といたしましても制定いたしまして、又整備しておりますが、誠に徴弱でございますが、この中で紫色になつておりますのが公館地区でございまして首都でございますので、外国等公館、或いは政治上の公館、あらゆる公館建築等がございます。それに対しましてできるだけ一つの所に、現在ここにございますが、偏することのないようにできるならば、この半蔵門の裏の方に、都の関係のものはこの竹橋の方から神田に向つてそれぞれ、徒らに分散することは機能の阻害がありますが、この配置して差支ないという性質のものもありますので、その点は徒らに現在の都市中心に集中することなしに、配列いたしたいというので、これをこういうふうに取つたわけであります。こういう公館地域でございます紫の中に、一般の建物はございませんので、この形でやはり参りたい。これはすでにいろいろお取上げ願つて御研究頂いておりますが、強い意思表示になつておりません。  次にここの緑でございますので文教地区と言いまして、いわば学校学園地区ということになつております。これは本郷でございまして、これは豊島一帶、これは早稲田でございます。立教もございます。文理大もございますし、東大もございます。こういう学校周囲に、全然この法律は守られておりません、例えば学校周囲に手工業木工家屋がございまして、大学研究室などに徒らにそこへ騒音を発することがあつても、抑える方法がございません。或いは警備の必要もこういう所に非常に多い。又できますならば、国家、或いは我々の方としまして、こういう所に対して、それぞれ住宅やなんかのあり方に対しまして、いわば一種文化環境というようなものを建設するように指導し、或いは施設等もいたして行きたいという考えを持つているのでございまして、文教地区というものを拵えまして、それに指定したのでありますが、すでにそれぞれの大学中心になつて計画をいたしておりますが、本当に画餅に帰しておりまして、今日は何らの力もございません。これは外国、まあ、私の狭い観察でございますが、外国等におきましては、必ず一つ文教区を区切つております。日本は段々場末から場末へと追込まれて渦を巻いている。文化国家首都といたしまして、然らばどこに文化的な育成の核があるか。人に見せてもこれは大学である、これは早稲田であるというだけでありまして、それを総合したものはございません。  それから赤いのは盛り場でございます。盛り場大都市一つの当然の発生物として、これは都市が非難されます因になつております。特に東京は戦後のいわばアプレゲールと申しますか、一切の悪の温床が盛り場であつたのでございます。それでこれをこのまま放置するということは首都の治安から申しましても衛生の面から言いましても、これはいわば首都の名に価しない。そこでこれに消費観光地区というものを指定しまして、区制整理を行ない、又衛生方面、あらゆる面につきまして、風教、その他警視庁の取締もこの方面に集中して行きたい。そうしてこれを健全な盛り場として、観光的な対象にもし、又民衆娯楽の健全なる誘導にもいたしたいというので指定したものであります。まだ案としましては未熟でございますが、これらのものにただ漠然とこの中で渦を巻かしておりましたのでは、決して首都の形は生まれて参らない。そこでこれを考えたのでございますが、今日の場合まだ誠に微弱でございますので、この首都建設法を通して頂ければ、特にこれを強化して参りたいというのであります。尤もこれも徒らに民衆意思に反してどうこうというのではございませんが、高いところからの御批判がございますれば、それを講じて行きたいと、こう考えます。  以上は大体首都の間取りとも称すべきものでございまして、土地の使い方でございます。今度はこれに多少形を與えて参る、それで御承知のように国家大都市計画、特に首都計画は緑地でございまして、緑の多さがその計画文化度を示すというぐらいに考えられております。それでこの緑地でございますが、これもこう非常に立派な点になつておりますが、みんな皆さん御承知の場所でございまして、これが宮城の西の丸でございます。これは上野公園でございまして、これが代々木でございます。これが新宿御苑から外苑でございます。これが駒沢の競馬場でございまして、これが戸山ケ原、これが後楽園というふうに、御承知の場所でございますが、これを計画として一応こういう形を以ちまして、特にこのどこの国に参りましても、水際は必ず緑で保護してございますが、今隅田川もそんなふうに考えてやつております。これは非常に火災が多い所でありまして、特に最近統計で御承知通り商業家屋は建てた半分が燃えて行くというくらいまでに今日言われております。そういうものに対しましての火災防止にもなりますので、これを十分に取りましたわけであります。  これは汽車の沿線でございまして、沿線の両側を緑に縁とつてこれは観光客ばかりでもございませんが、我々が余り汚いところを見ないで済むように、これを取つたわけであります。  これは更に東京は雑然たる人口の渦でございまして、これがお互いの居住民に対して極めて虚無的な考を持たせるということは、よく御指摘があるわけでございますが、それでこれを区の形に幾らかずつ区割を割りまして、そうしてその中に広場を置きまして、まあそれぞれ郷土的な考を幾らかずつでも持たせようということも考えたわけですが、これは画が誠に綺麗でございますが、最近の変更によりましてただ大きいやつだけ残りまして、あとは消えてしまいました。まあ併しながらこの計画があつたために、宮中におかれましても、我々に対して大きな御苑を全部御下附になつたようなことでありますので、この計画の半分は目的を達成したわけであります。  それから、これは街路図でございまして、誠にこれはもう御覧になりましても何のことやらお分にならないと思いますが、いずれ又、図面等を目下刷つておりますので、刷りましたら一つお届けいたしたいと思います。これは大変な長さでございまして、道路の長さは東京から丁度熊本ぐらいまでの長さでございますが、初め百メートルという太いものを入れて置きましたが、大分非難がありまして、我々としても百メートルの道路が十分にございませんと高速度自動車が走られません。そこでそれを主張しておつたのでありますが、経済上、その他で多少収縮いたしまして、現在は八十メートルが最高でございまして、それが数本あります。あとは大体四十、五十というのが許可になりまして、多少とも高速度の自動車の通れるものを計画いたしております。それを中心として放射線として環状線に結んでありますが、いろいろなことで十分にできておらないのでお分りにくいかと思います。  ただ問題はこの実現でございまして、こういうことを並べていても、誠に迷惑だという方々から御非難がございます。そこで先程来申上げました通り、山手線に沿うて新しい商業中心地を移すという考から区割を整理いたしておりまして、五反田、澁谷、新宿、池袋、高田馬場等を区割整理しております。この区割整理によつて承知のごとく進めてやつております。今日五百万坪からやつておりますが、今年あたりから、皆さんのお目に止つてとかく汚い所、駅の前あたりにも、今年あたりから計画を立てて参りまして、皆さんのお目にかかるような広場として、新橋にできました。澁谷にもできました、池袋にもできました、新宿にもどうやら小さいものができて参ります。ぽつぽつできました。それでも首都の玄関といたしましては誠に貧弱でありまして、今我々が一番苦しんでおるのは駅の形でありますが、東京駅もこれを如何にして封建的な東京駅を切換えて行くかということでありますが、今日の東京駅の玄関がこちらにあるということには多少無理があるということを聞いております。本当はこちらの経済中心地に対しても、大きな玄関をあけるべきであるということが今度の計画でありまして、今八重洲口の方に主力を注いでおりますが、これが今度の首都計画として本当に加えるべきである。いろいろな施設に対しても、これに集中して行きたい、今首都の玄関としての考え方も、これから段々確かまるのじやないかと思います。  それからこれは高速度鉄道でございまするが、この東京の大きさは半径約十五キロでありまして、御承知のように人口百万あれば地下鉄道がなくちやならないと言いますが、丁度皆さんのお宅から東京に御通勤頂くのに、一時間から一時間半ぐらいかかるのでありましよう。それはこれだけの面積からすれば、地下鉄道がなければ活動できません。そこで郊外電車と地下鉄道の場合であります。そこで地下鉄を通つて横浜へ連絡しております、御承知通り澁谷から出て浅草へ行く地下鉄道がありますが、目下考えているのが、ここに赤線がありますが、池袋から出て新宿へ至る線、これに対しては見返資金の御心配を頂いていると思いますが、これらに対しても、首都建設ということが、表にクローズ・アツプして来れば、御心配頂けるのが、非常に楽になると思います。最近では、地下鉄をやめて高架の道路にして、道路の高架のものにして、その上に自動車を走らせようという、いわば高速度道路であります。今日も道路建設に対する業者も出て参りまして、同じくこれに対して計画を立てております。こういうような大きな計画になりますれば、将来の見通し或いは方針或いはあり方等についても、どうしても地方行政庁というようなものであるよりは、もつと高いところでお考えになつて頂かなければならんと思います。又金の御心配等も、より高いところから出て参るようにして頂きたいと思います。  それからこれは下水道の概要地図でありますが、私はとにかく東京首都としてのあり方について、ハイカラなことを申すよりは、先ず以て衛生的な、病気の出ない、又外人等も申しますが、日本都市に入ると、極めて奇妙な匂いがするということを言つております。この匂いに慣れることが日本に対して慣れるゆえんだということをよく言われますが、下水がありましても、まだ下水の処理が不十分でございますが、この処分場につきまして、今二つの所があるわけでありますが、現在ここに計画しておりますのは、これが森ヶ崎であります。これが豊島であります。これが尾久でありますが、ここに特に下水処理場を計画して、今やつておりますが、どうもこれに対する市民の理解の仕方が低調でありまして、むしろ今私の方は市民に隠れて、半年以上もやつておりますが、まだ見通しがつかない。進駐軍からもたびたび矢の催促を受けておりますが、どうも理解度が非常に低いのであります。こんなことも首都建設上どうしても改むべきことだというふうに私共は判断をしております。それからここに現れておりませんが、やはりどぶがございます。小さき下水と言いますか、幅二尺ぐらいのどぶがございます。これの長さがやはり約一千キロございますが、我々はこれを修理しておりますが、大体年に精々五百メートルかそこらであります。それでこれが、こちらの方面に非常に蚊が出て参り、又子供に疫痢が出る原因もそれでありますが、それに対しては、首都としては十分に首都建設上の立場から要請さるべきものだと思います。  最後に、ここにこれらの仕事を行います場合の、ここに今日までの進行状況がございますが、赤がこれらを完全にやる費用及び敷地でございますが、そういたしまして、街路広場はこれだけやるのに対して、この低い線がございます。これだけやりました。公園緑地もこれだけやつた。区割整理もこれだけ実現した。運河、河川、高潮防禦もこれだけやつた。排水場と申しまして、東京じや毎年この辺が全部やられて、十数億の家財がその都度やられるが、首都の一部にこういう所があつてはならんと思いますが、そういうようなことに対して、この排水場その他もこれだけやりました。港湾、街路、橋梁、公園緑地はこれだけというふうに、極めて遅々としている状態にございます。  それで、無論これに対して過剰な御要求等は申すわけではございませんが、最低限度でもやらなければならんと思うのでございます。首都としましての新しい構想で御指導頂ける部面があるだろうと思います。
  8. 柏木庫治

    ○柏木庫治君 ちよつとお尋ねいたしますが、昨年深川附近が長らく、三十年浸かつたことのないという所が、台風のときですか、水の浸かつた。あれに対しては再び浸水せないような何か施設が行われておるのですか。
  9. 石川榮耀

    参考人石川榮耀君) 在来我々の方の最も経済的な施行方法としましては、三十年、四十年の災害については考えない、考えないというのではありませんが、まあ手が出ないぐらいのものでありまして、ああいう禍災でございましたならば、一遍やつてつて、その結果が余りに惨いのと大きゆうございましたので、只今手配をいたしておるのは、とにかくあの程度ならば一応防げるという程度の手配をいたしております。更に将来のことを考えまして、恒久対策というものも現在立案しております。これは更に将来如何なることが参つても安心であるという、重重の安心をいたすような程度について恒久対策を考えております。これはまあ新しい、若し法律を設定を頂きますれば、そのお力等も非常に必要だと思います。とにかく三十年目に一回というものに対しては、とにかく常に安心というところに行きたいというので、現在そのようにやつております。
  10. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 この前の前の連合委員会で、岡本委員から、それぞれ関係大臣をこの席においで下さるように要求いたしましたが、この前の委員会では二人の大臣が見えました。今日も継続の委員会ですから、当然大臣がお越しになるべきですが、如何でしようか。
  11. 中川幸平

    委員長中川幸平君) 連絡を取つておりますけれども、まだ昨晩おそくなつておられて、まだ出ておらんのじやないかと思います。
  12. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 今日お越しになるのですか。
  13. 中川幸平

    委員長中川幸平君) 本多国務大臣は少しかげんが悪いらしい。注射をして、かげんが悪い。それから建設大臣は今日何か御都合が悪いらしい。それで次官がお見えになつたのです。今日一回でも済みますまい。次回というようなわけになるでしよう。
  14. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 では大臣が見えましたときまでに私の質問を保留しておきます。と申しますのは、私はこの法案が議院提出になつております。そうして無論法案は議院提出も政府提出でもこれは結構と思います。併し、この前建設大臣はこの法案は議院提出で而も非常に大事なもので、政府提出と同様に考えてこれを処理して欲しいというふうな御答弁があつたのです。併しここに仮に二十二年の調査を見ましても、東京都の二十二年の人口は四百十七万七千五百四十八人、それから三万以上の戦災都市は千六百七十二万九千九百八十五人、詰りこれ程沢山の戦災都市、その数は三万以上ですからして、この百二十五の戦災都市には随分困つている人が沢山ある。大臣はそういう多くの戦災都市の人はどういうふうに思つておるかということを国全体としてお考えにならないで、この法案だけを政府提出と同様に考えて欲しい、そこに私は非常に矛盾がないか、やはり国全体をどういうふうにお考えになつておるか、それから聴かないでは、私はどうも非常にはつきりしませんから、その意味で大臣の出席を先ず第一に要求いたします。でありますから、私は今日は質問いたしません。この次の委員会まで保留いたします。
  15. 中川幸平

    委員長中川幸平君) 政府に要求して置きます。
  16. 北條秀一

    ○北條秀一君 只今建設局長から説明があつたわけでありますが、その説明と、我々の手許に配付されました都の復興計画、この二つはどういう関係があるのですか。その点を明らかにして頂きたいと思います。
  17. 石川榮耀

    参考人石川榮耀君) 差上げました説明書は、やはり同じ趣旨の下に書いてございますが、ただ執筆者が非常に時間がございませんので、あわてまして作りましたのでございますので、或いは趣旨に徹底しないところがあるかも存じませんが、まあ同じ趣旨で書かれておると思います。
  18. 北條秀一

    ○北條秀一君 都市計画東京地方審議会と、只今建設局長説明されました首都建設計画と、どういう関係があるのでございましようか。それは今説明ありましたものは、審議会において審議決定された計画であるのか、或いは東京都庁において技術家としての立場からこうすべきであるというお考に基いて、それを説明されたのか、どうなのか、それを一つ
  19. 石川榮耀

    参考人石川榮耀君) 只今説明申上げましたのは、都市計画東京地方審議会で決定しました案につきまして趣旨を申上げたのでありますが、結局におきましてこれらの案はできましたが、一応計画に留つた点が非常に多うございまして、この実現に関しまして、首都建設法等の御助力が非常に要るという点を強調して申上げたのでございます。で、恐らくは新しい首都建設というふうなものは、建設計画というものは、多少の構想は持つておりまするが、新しい機関におきまして御計画、御提示あるものと考えます。ただ何か私の申上げる申上げ方に誤りがあるといけないと思うのでございますが、決してこの計画によりまして、厖大な費用を東京都に集中する、国家全体において多灘なる秋に東京首都建設のみに、いわば美しい立派なものに対して、経費を集中するというところに重点があるのでございません。首都建設というものの重要性を国家においてお認め願うということと、常時的に御計画を願うということと、又これに対しまして、東京都民の心掛けというようなものに対して御指導を頂くこと、それから東京都自体が代表的に働きます線につきまして、東京都自体でもやられることが多々ございまするが、今までのようにただ漠然たる復興の行き方ではその力が出ませんので、そういうような点につきましても、力をお與え頂き御指導頂くというところが可なりな重点でございますので、その点私の申しようは常に何か誤解を生じやすいのでございますが、繰返し私は申上げて置きたいと思います。
  20. 北條秀一

    ○北條秀一君 只今説明がありました都の建設計画でありますが、別に我々の手許に配付されました提案理由説明を読んで参りますと、この中にこういうことが書かれてあるのであります。即ち今石川建設局長も図表で、東京都の復興計画は極めて遅々たるものであるという御説明がありましたが、「その状態は次第に首都であるとの構想の下に樹てられた計画が、従来の復旧に大差ない程度に後退せざるを得ない状態に立至つたのである。これは国家首都建設に余り無関心であるということが大なる原因であると指摘し得るのである。」こういうように言われておりますが、只今の詳細な御説明を聴きまして、審議会の方で考えておる首都建設と、それから国の考えておる考え方というものが非常に矛盾しておるということが、この提案理由の説明書に指摘されているのでありますが、今の御説明の中には、こういう点について国の考え方が間違つておるという点は一つ指摘していないのでありますが、現実に首都建設計画と、国の考えておる考え方と矛盾しておる点を具体的に例を出して説明して頂ければ非常に分りがいいと思うのです。
  21. 石川榮耀

    参考人石川榮耀君) 東京都の復興計画と国の方針とがお互いに違つておつたということは、私は申上げていないと思うのでありますが、ただ現在のように東京都に国際的なすべての施設が集中し、特にホテル等に対するいろいろな建設計画等もございまするこの形に対しまして、在来のように漠然たる都市復興というような形では、国としても我々の方としても仕事の順序のつけよう、力の出しようが、卑近な例で申しまして起債というような形におきましても、至らないところが非常に多い。国民及び都民の協力を得にくい。それでここで強い国の御指導によりまして、首都建設ということに対して、一つ強い線をここで出して頂きたいというのでございまして、在来国と我々との間に計画上の齟齬はなかつたと私は思うのであります。
  22. 北條秀一

    ○北條秀一君 更に、この提案理由の説明の中にありますが、終戦後鋭意調査研究を遂げて、首都復興計画を立てられたというふうに出ておりますが、この鋭意調査研究を遂げて作つた計画と、今説明されました計画との間には、何らかの差があるのでありましようか。
  23. 石川榮耀

    参考人石川榮耀君) 私の説明が誠に不足でございましたが、その鋭意調査して計画したというのがこの計画でございしまて、更に新しい首都構想というようなものは、在来の計画の中においてさえ、すでに首都計画として取上げておる部分もある。これに対して、今まで我々が何ら手の施しようがなかつた特に残念な点というのは、こういう点であるということを申上げたのでありまして、新しい首都計画というようなことはまあ多少の我々は構想を持つておりますが、新しい機関を御設定願いまして、御審議頂くものと考えております。
  24. 北條秀一

    ○北條秀一君 そこで提案者にお伺いいたしますが、首都建設法の提案理由と、別に配付されました提案理由の説明、この二つ提案者において十分に検討されて作られたものであると思いますが、これはこのまま私共は正直に受取つてよろしうございますか。
  25. 井手光治

    衆議院議員井手光治君) 不勉強な上に説明が不十分な点も多かろうかと思いますが、いろいろな考がありましたので、できるだけ、少し複雑で長くなつて相済まんと思つておるのでありますが、法案が重要でありますので、私共の微才の範囲内におきまして作りました説明でありますので、どうかその意味においてお受取り願いたいと思います。
  26. 北條秀一

    ○北條秀一君 それでは一つ提案者にお伺いいたしますが、この理由及び説明を読んで参りますと、首都としての機能を発揮し得るように特別の措置を構ずる必要があるということになつておりますが、只今石川建設局長の御説明によりますというと、すでに審議会において首都としての十分な機能を発揮し得るような計画はすでに完了しておると私は受取るのでありますが、そういたしますと、ここに本法案によつて新しい委員会を設置いたしましても、新しい計画はするのではなしに、ただ現在策定された計画を、これを実行するために特別の措置を講ずる。即ち特別の措置を講ずるためにこの法案を作り、委員会を作るという結果になつて来るのでありますか、提案者の御意見を重ねてお伺いしたい。
  27. 井手光治

    衆議院議員井手光治君) 御尤もな御意見と考えます。実は現在までの都市計画法に基きます計画と申しますものは、説明も今も申上げましたように、都計画法第一條の地方民の公共の安寧を維持して福利を増進するための重要な施策の計画をするのだという基本的な考の下にいたしたのが、都市計画上の計画であることは、これは申上げるまでもないのであります。それで勿論それのみで実は地方的な計画に止めておるかということになりますが、これはたとえそうあろうとも、東京都が首都であるということはこれは変らない事実でありますので、それらの点も加味いたしまして、現在の都市計画法の第一條の定めまする委員会性格においてこれが進められておることは、今石川局長の御説明なつ通りであります。私共がこの法案を出しまする上から特に考えましたことは、勿論日本首都である東京都の都市計画法に基く都市計画というものが、その立場において進めなければならないのでありますけれども、更に私は法律的に国家首都であるという性格一つここにつけて頂きまして、その観点から高度の立場を入れ、関係方面の十二分の構想を盛込んだ首都としての首都能率中心主義的な計画をそこに加味して行く。同じ都市計画の上に立つ計画でありましても、これは首都としての特別な構想の上に立つて政治経済文化等の中枢的な機能が十二分に発揮し得るように、東京をもつと能率的にすべきではないかというのが、実はこの法案考え方になつておるのであります。こういう意味で書きましたので、もとより現在の計画、構想の上に、更に首都的な高度の構想を加味いたしまして、そうした相並行した面におきまして立派な都市一つ建設したいという考え方でございます。
  28. 北條秀一

    ○北條秀一君 只今の御説明を聴いておりますと、結局この首都建設法案は極めて観念的なものであつて、具体的に何を一体するのであるかというふうな現実面には、積極的なものはないという私は印象を受けるのであります。特にこの法案を見まして首都建設委員会は九人の委員であつて、その全部が非常勤というようなことでありますが、この現在あるところの都市計画東京地方審議会のこの委員と、今度作られるところの九人の委員、そういう九人の委員が非常勤であるということになつて参りますと、果してこういうようなもので実際に狙つておるような首都建設というものが可能であるかということについて、私は非常に疑問を持つのでありますが、従つて提案者が言われますように、真に首都を立派に作り上げなければならんというならば、委員のごときは本当に専門家を常勤にして、而も短期間にこの計画を広く、都民はもとより全国民の要望を容れて計画を立て直すというくらいな狙いがあるならば、私は首都建設法というものを作る大きな意味があると考えるのであります。只今説明だけでありますと、首都としての宣言をする。これは提案理由の説明にも書いてありますが、宣言するのだ、それに応じてできるだけの措置をするのだというようなことでは、今説明されましたような狙いは決して実現しないというふうに考えるのでありますが、その点についてどういうふうにお考えになつておりますか。くどいようですが、もう一つ説明を願いたいと思います。
  29. 井手光治

    衆議院議員井手光治君) 非常に御尤なもな御意見でございまして、私共も実はこの法案を取上げまする前に、只今指摘になりましたような、でき得ればもつと強力な線において国民全体の総意を盛り得るような強力な線の構想において、一つつて行くことが必要ではないかというふうに実は考えたのでございます。そこで根本的な基本的な案は、余程そういう意味におきましての実は原案を作つて見たのでございますが、実際問題といたしまして一面余り強力な線においていたしますることは、先般来委員会等においても御指摘ございましたように、地方自治への一つの圧力的な機関を作ることになるようなことをやつてはいけない、こういう御意見等もございまして、又関係方面との折衝の結果、実は只今指摘のような構想が、どちらかというと、率直に申しますと骨抜きになつているというような案にまとまつたのが、実はこの法案になつているのであります。併しそうだから本来の目的を達成し得られないようなことであつてはいけないということで、最小限度考え方でこの法案をまとめたのでございます。そこでこの法案の大体の一連の構想といたしましては第一義的に首都たるの性格を、国民の総意において、法律の裏付けを以て性格をつけまして、ここに一つの大きな国民的な考え方をこの法案によつて反映させるという政治的な狙いをいたしましたことが第一。それから先般来御指摘がありましたように、地方自治法の関連性を十二分に考えまして、この委員会中心といたしまして、この委員会はもとより只今お話がございましたような、都市計画地方審議会、その他の東京都自体の本来の計画、それらのものを十分に御参考にされることは勿論でありまして、又この委員会の独自の立場における首都計画という構想も亦御尤もと思われますが、あれこれ勘案いたしまして、委員会中心として基本的な計画を更に推進したい。又計画構想についても御決定願いたいというのが第二点であります。そこでこの計画は、第十一條でございますか、それをできるだけ関係方面に勧告する、勧告という線でこの委員会の機構を果して行くというように考えて、この面を以て地方自治法との摩擦、衝突を実は避けているのでございます。そういうことで、それでは力が弱いではないかという御意見も御尤もでありますが、併し少くとも国家法律を以て定める、この道の最高の機関法律の裏付けによりまして決定されました意思というものは、これは相当なやはり力を持つて、この計画の推進に、十分に機能を果し得るのじやないかという考え方でございます。十分これらの点も実は御指摘のような、少し腰の弱い線が出ていることは、もうこの法案を見て頂きますと十二分に受取れるのでありますが、そういう意味なのでございます。それから第十三條等につきましても、今までに制定せられました特別法にあります国有財産法二十八條の財産等につきましても、他の法律案はこれは讓與するということになつておりますが、有償の場合等をここで考慮いたしまして、国家が拂うべき犠牲をこの法律案によつて余り厖大なものにするということは誠に申訳ない。そこで讓與を含めました讓渡、又東京都の経済的能力を果せる面においては十分果すというような考え方で、十三條も讓渡といたしました。余程これは御遠慮申上げているようになつているのでございますが、実は本当のところは御指摘になつている通りであると思います。
  30. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 皆様の御質問によりまして、段々首都建設法案性格が分つて参りました。もう少し確めて置きたい二、三点をこれから御質問したいと思います。簡單に申上げます。  この法案一つのポイントになつている委員会ですが、委員会性格及び任務をはつきりして置きたいと思います。ここには簡單に「首都建設計画を作成し、その実施の推進にあたるものとする。」こういうふうに書いてありますが、その文面で見ますと、首都建設計画の作成ということと、実施の推進、この二大任務を持つておると思うのです。そこで作成ということになりますと、都市計画並びに特別都市計画、それぞれの法律との関係はどうなるのか、又根本的に言いますと、首都建設法と、都市計画法並びに特別都市計画法との関係はどうなるのか、その点を先ずお尋ねいたします。
  31. 石川榮耀

    参考人石川榮耀君) 只今の質問にお答えするのは、順でございますかどうか知りませんがお答えいたします。私委員会の方に、都市計画地方審議会にいろいろ関係が深うございますので御説明申上げます。都市計画地方審議会の方は、我々の考では一切の実施計画に対しまして審議決定いたしますが、これは直ちに法律上の効力を、制約力を持ちまして、又それに対する財政上の裏付け等も法律の許す範囲において裏付けがあるわけでございます。首都建設委員会の御決定を頂くことは、これに対する基本方針というようなことになりまして、例を取つて申しますと、地下鉄道のごとき、若しこの委員会にかかりますれば全体の網に対する決め方、及びどの点からどの点を通るというような大掴みな点が決められるのであります。それに対しまして、実際上どこの点を通つてどういう形態で行くかというようなことは都市計画地方審議会が詳しく決定いたしまして、私権に制限を加えて参ります。最もその場合に首都建設委員会が決定いたしたものにつきまして、直ちにこれを全面的に地方審議会がそのまま受けなくてもいいという余裕は持つておりまして、そういう場合には、地方審議会から首都建設委員会に対しまして意見の具申等もありまして、非常に新しい考え方でやつて行くことになると思うのであります。  それから作成と推進でございますが、作成は文字のごとく案を作ることであります。推進の方はこの條項の最後の方にあります「勧告」という言葉で表現されておりますが、各方面に対して勧告いたします。或いは又各方面機関をお集め頂くということも、我々の地方公共団体は到底微力で致しがたいのでありますが、そういうことに対しまして、首都建設委員会がお働き頂きますれば、極めて円滑に且つ行き亘つてお集め頂ける、又御相談、御意見等もお集め頂くことができると存じます。いわば勧告ということは推進面において最も具体的な面でありまして、作成の方は案を作成いたしまして、地方審議会が作るような細かい地盤等によつて表示されたものは作りません。
  32. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 そういたしますと、首都建設法によるこの委員会が基本方針を作成しまして、それを地方審議会の方に勧告する、そういうことになるのですか。
  33. 石川榮耀

    参考人石川榮耀君) そういう場合があります。
  34. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 そういう場合があると言いますと‥‥
  35. 石川榮耀

    参考人石川榮耀君) そういう勧告というよりは案を決めまして、これを委員会に下げる、こういう案が決定したからという通告がございます。
  36. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 もう一遍お聽きいたしますが、この委員会が基本方針を作つて都市計画地方審議会の方に下げる。そうするとその審議会は先程の御答弁では必ずしもそのまま受けなくてもよろしい、又再審議を求めることもできるのであるということになりますと、ただ下るのではなくて勧告であるから、そのまま受けなくてもいいということになると私は思うのですが、その点はどうでしようか。
  37. 石川榮耀

    参考人石川榮耀君) これはやはり都市計画審議会といたしましては、案ができるまでこの首都建設委員会によつて縛られる條項も何もございませんから、ただそこで分離しておりますので、自由な態度を取ることになるのでありますが、併しながらおのずから首都建設法の建前及びその中には都会議員及び知事も出ておりますので、その繋がりもございますので、そう非常識な形に出て参ることもないと思うのであります。
  38. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 その点が非常に重要な点なんです。私は只今のような御答弁であれば、それ程この地方の自治というものも損せられないというふうに考えるのであります。この委員会が基本方針を決めて何でもかんでもやらせるのだというふうな建前で、大体今の御答弁が正しければ私は満足する次第であります。これは立案者側において果して立案者側もそういうふうにお考えなつておるか、それをお尋ねしたいと思います。
  39. 井手光治

    衆議院議員井手光治君) 大体におきまして只今局長が御答弁に申上げた通りであります。ただ委員会計画を作成いたしましたときは、その要領の報告をしなければならないということにいたしております。この報告をするということによりまして、大体の基本的な計画地方計画等に反映をいたしまして、日常の何と申しますか、表裏一体の態勢になることになるのではないでしようか、こういうふうに実は考えております。更にそれによつて支障があります場合は、勧告をしてできるだけ自治権の正面の衝突を避ける、それで第二次的な勧告ということに‥‥
  40. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 次の第二の委員会の任務の項の「実施の推進にあたる」、この「推進にあたる」ということは勧告とそれから今の御答弁では、各機関を集めていろいろ協議をするというように推進するのだという御答弁ですが、その勧告が十一條によりまして「委員会は、国、東京都の区域内の関係地方公共団体又は関係事業者に対し」なすと書いてあります。そこで委員会が国に勧告するというのはどういう性格であるか、つまり委員会は総理府の外局でありますから官庁であります。その平凡な外局たる官庁が国に勧告をするということを意味するのか、私にはちよつと分からないのですが、官庁ならば勧告も何もないのであつて、昨日も一昨日も総理大臣との指揮監督関係を聴いておつたのですが、その点少し分りかねるのであります。委員会官庁でないというのならば又別だけれども、それじや外局というのは少しおかしいのじやないか、こう思います。
  41. 井手光治

    衆議院議員井手光治君) これは御指摘のようにその勧告制度というものは最近の戰後の法令には沢山あることは御承知通りでございますが、大体におきまして国家公務員法の第三條には内閣に対して勧告をする、こういうふうに決めております。又地方行政調査委員会議の第三條による委員会は、これは内閣総理大臣又は特定の行政官庁に対して勧告をする、こういうふうに書いてございますし、社会保障制度審議会の第一條によるものは、この社会保障制度に関する勧告、それから運輸省設置法の第七條による運輸審議会が、行政官庁地方公共団体の長において勧告する、こういうふうなことと同じ意味におきまして、総理府の外局であります委員会が勧告し得るように実は規定しておるのであります。その例を実は取つたのでございまして、これは東京都のような複雑な都市におきましては国の機関がそれぞれの立場において、一口に申しますと勝手な力で勝手なことを進めて行く、こういうことが大震災復興以来最も私共は痛切に感じて、どうにもならない、都市計画法の範囲においてはどうにもならないという点が強かつた、それらの機関に対してどしどし勧告する、総合調整の意味において勧告する、そういうふう解釈をしておるわけでございます。
  42. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 この委員会が單なる国の官庁性格ではなくして民主的にものである反官庁的と申しますか、そういうものであるということならば、勧告もよく分るのでありまして、例えば地方行政調査委員会議というものができましたが、これは外局ではないのです。日本学術会議と並んだ機関でありまして、総理府の機関ではありますが、外局というふうな官庁組織を取つていない。その点に私は大いに疑問を持つのでありまして、外局組織でもそうことを段々やつて行くのだという、そういう国家行政組織上のよく練れた案ならばいいのですが、この法律によつてそれが壊されるということであれば、私は大いに疑問を持ちたいと思うのであります。これは尚私共の方でもよく調べることにいたします。  それから「国、東京都の区域内の関係地方公共団体」とこう書いてあるのですが、東京都という地方公共団体には勧告をしないのか。「東京都の区域内の関係地方公共団体」とこう申しますと、各二十三区に勧告をする、又八王子市とか立川市等に勧告する、こういうふうに取れるのであります。東京都自体には勧告しないように見えるのですが、その点を伺つて置きたい。
  43. 井手光治

    衆議院議員井手光治君) 東京都の区域内においての地方公共団体は、東京都をも含み、東京都自体にも勧告し得るのでございます。
  44. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 それも表現としては非常におかしいと思うのです。非常にお苦しいのですが、東京都の区域内といえば、東京都は含まないのであつて、「国、東京都、それから東京都の区域内」、こう書かなければならないので、私は不完全な表現だと思います。  それから今建設局長が御答弁になりまして段々明らかになつて参りましたが、この委員会が基本方針を決めて、それに基いて又それを本として都市計画審議会という方で案を立て、そうして実行して行くのはやはり東京都自身であろうと思うのです。それで東京都自身であるとすれば、今でも東京都が今御説明なつたような立派な計画を立ててどんどんやれる筈ですが、それがやはりやり得ないということになるのですが、この委員会が如何に力んで見ても、東京都が余程しつかりしなければできないということになりはしないか、そういう点はいろいろ勧告がありまするからできるという気休めでありますか、その点はどうですか。
  45. 石川榮耀

    参考人石川榮耀君) 只今東京都の都民の覚悟というのは、極めて重要なものでございますが、首都建設計画と相成りますれば、これが重要であり徹底いたしますれば、例えば起債その他の関係も極めて円滑に動くのではないかと思うのであります。又この事業に対しましては、東京都だけがやるのではございませんので、この條文にもございますようにそれらは国にやつて貰う。例えば運輸省その他の機関にもやつて頂く例が多かろうと思います。それで諸種の国家機関が総合いたしまして、首都建設を考えて行くというふうに相成ると思います。在来の行き方では到底そこまで各実施面が出て参りません。
  46. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 もう一点お尋ねして置きますが、この第十三條に実質的の規定がありまして、「国は、首都建設計画に基く都市計画事業の用に供するために、必要と認めるときは、その事業の執行に要する費用を負担する公共団体に対し、普通財産を譲渡することができる。」こうあるのです。これは国有財産法の第二十八條と関連するのでしようが、この普通財産というのはどういう範囲であるか、それから譲渡とあつて、二十八條は譲與で、無償譲渡でありましようが、そういうような関係はどういうふうになつておるのか。これは管財局の方が見えておるそうですから、それから御答弁願いたい。
  47. 宮川新一郎

    説明員(宮川新一郎君) 普通財産と申しますれば、公用財産を除きました一切の国有財産が入ることになります。第二点の譲渡の点につきましては、普通譲渡と申す言葉の解釈といたしまして三つの場合が考えられるのでありますが、第一は売拂いの場合、第二は国有財産法で規定されておりまする以外に減額して讓渡する場合、第三に無償で讓與する場合、この三つが考えられるわけでございます。この法案におきましては讓渡とありまして、その辺が明確でないのでありますが、若し讓與を含む意味立案されておるといたしますならば、讓與に関する規定は、御意見がございましたように、第二十八條の特例になりまするので、その点を明らかにする必要があるのではないかと考えます。又この法案におきまして立案の精神が減額の場合も想定いたしておるとするならば、旧軍用財産の貸付及び讓渡の特例等に関する法律の特例といたしまして明記する必要があるのではないか、かように考えるのであります。
  48. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 それで私も了解いたしましたが、若し立案者が十三條があるので無償讓渡も受けられ、又減額も受られると考えておられるとすれば非常に私は間違いが起ると思う。無償讓渡を受けるつもりならば、讓與又は讓渡と書いて置かなければならないのであつて、その点今の答弁で私は分りました。
  49. 鈴木仙八

    ○政府委員(鈴木仙八君) この機会に一言発言をさして頂きたいと思います。先程の赤木先生の御質問でございますけれども、大臣が何か先般この議員提出の法案に対しまして、政府提出法案と同様に考えておるような御答弁がありましたそうですが、大臣は止むを得ないことで本日この席に参つておりませんが、多分遅々として全国の戰災復興の事業が完成をしない、いろいろな問題に対して制約をされている現在であります。併し首都性格といたしまして一日も早く東京都を復興しなければならないという郷土選出議員各位の熱心な御要望によりまして、すでに各党連合共同提案によりまして、衆議院を通過いたしましたこの法案に対しましては、ただこれをやはり政府提出と同じような気持で一日も速かに東京都の建設をしたいというふうな心持ではないかと考えます。もとより御指摘のような全国における各方面における戰災都市復興を蔑ろにするというような考、又偏頗な考え方を大臣は持つておられることとは存じません。同じような気持で全国各都市の戰災都市を一日も早く復興したいというのは建設大臣としての気持であろうと思います。ただ一言申上げて置きたいことは、この戰災後の都市計画ばかりでなく、その前におけるところの都市計画等におきましても、此前の東京市、東京府時分にも、都市計画によりまして立派な道路を作りましても、いろいろな面に制約をされまして、各官庁のために道路が未だ使えないというような、都市計画の実行に当りまして、道路橋梁その地についてなかなかうまく事業が遂行できないというような問題も可なり東京都にはあろうと思います。それらの各省に対するところの折衝その他も、本法案が制定をせられますれば、うまく行くであろうということを、大臣はお考えになつていることと私は解釈しております。どうかその点を一つ御了承願いたいと思います。
  50. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 今政務次官から先の私の質問に対してお話がありましたが、ついでに一つ二つお尋ねして置きますが、戰災都市二億坪を初め計画したところが、今日の日本経済情勢ではできないというのでそれが一億坪になつた。それさえまだ減して八千万坪か何かにした。御承知通り日本経済情勢は非常に困つておる、そのときに当つて、政府は首都、言換えるなら今までの東京と違います首都、名前から言つて首都です。その首都を作ろうという御意向をお持ちなんですが、農民はその日をどうしようか、中小商工業はその日をどうしようかというふうに非常に国民が困つているその際に、この首都を作ろうという、先のお話では、これを計画するために特に沢山な金を要望するようなことはないというふうな提案者お話がありましたが、その前の前のこの委員会では、要するに金は沢山要るということをはつきりおつしやつたのです。そういう情勢でありますから、日本の今日の国情において、この首都法案をお出しになつて一日も早く首都を作らねばならんという情勢になつておるかどうかを、政府はどういうふうにお考えになつておるか。
  51. 鈴木仙八

    ○政府委員(鈴木仙八君) 只今申上げました通り、又先程石川東京建設局長が申上げました通り、決して東京都偏重というふうな考え方建設大臣は持つておるとは思われないのでありまして、先生の御指摘のように、各地における戰災復興等に対して平等な気持を以てこれを遂行して行きたいという考であろうと私は思います。ただこの首都建設法というものがここに制定せられますれば、いろいろな面の各省との折衝、又東京都民の心構えというようなものに大いに役立つであろうということを先程石川建設局長が申しましたが、やはり大臣もそのように考え、又私共さように考えております。
  52. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 簡單に小野政務次官東京都の代表者の方に、質問というよりもお教えを請いたいんですが、質問者が出て行かれましたが、さつきの岡本委員の質問に対する御答弁に関連してでありますが、岡本委員は自活権の侵害ということを非常に言つていられるのでありますが、岡本さんのお考にはこの現行法によるところの東京地方都市計画審議会というものは、地方公共団体としての機関であつて、そうして今度構成されるところの、この御提出になつている法案によるところの委員会は、国の機関であるというようにお考えになつておるから、自治権の侵害という言葉が非常に出るのだろうと思いますが、私先般来言いますように最近の都市計画法規についての十分な知識を持つておりませんが、従来の古い私の記憶からいたしますと、現行法規によるところの都市計画東京地方審議会というものも、これは国の機関であつて地方自治体の機関ではない。ただ取扱いまするところの仕事上の関係上、東京都という地方公共団体に非常に重点を置かれていることは事実でありますけれども、これは国の機関であつて、とにかく内閣の支配下にある機関であつて、同様に国の機関だと私は考えるのでありますが、私の考に間違いがあるかどうかということを、小野政務次官及び東京都の方から一つお教えを願いたいと思うのであります。  それからもう一つお教えを願いたいことは、この御提出になつておりまするところの、法案におけるところの勧告という言葉についてでありますが、総理庁内の委員会であるところの、この首都建設委員会が、国に対して勧告をするということは不穏当であるという御質問があつたのでありますが、これは提案者の方からの御答弁は十分意を盡していなかつたと思いますが、これも私の考は問違いかもしれないからお教え願いたいのですが、この委員会というのは非常に最近になつて利用されておるところの一つの行政組織上の新しいフオームでありますが、国の行政機関であるところの委員会が国に対して勧告するということは、これは非常にあるのでありまして、例えば人事委員会は内閣に対して勧告するのでありますから、いわゆる三権令立以外の第四権力であるというように言われているんでありますが、それと同様なものとして、質問者である岡本君のお考に、そういう考えが十分反映していないように思うんですが、僕の考え間違いかどうかということを一つ小野政務次官並びこ東京都の代表者の方から伺いたいと思います。
  53. 小野哲

    ○政府委員(小野哲君) 吉川さんの御指名がございますので、先ず私からお答えいたしたいと思いますが、この法律案が考えられております建設委員会と、又現在あります東京都の地方都市計画審議会、この性格については大体吉川さんの御指摘通りであろうと存じます。ただこの点につきましては、東京都の建設局長も見えております、又建設省の都市局長も出席いたしておりますので、更に御説明があろうかと期待いたしております。  尚次の点といたしまして国の行政機関が国に対して勧告する、この考え方でありますが、吉川さんが御指摘になりましたように、現行の人事院の性格から申しまして、国に勧告するという道は開かれておりまするし、先程岡本さんからお話がありました地方行政調査委員会、これは日本学術会議と大体似たような多分に独立性を持つた総理府の機関でありますが、これ又内閣に勧告をし、内閣を経由して国会にも勧告し得る道が開かれておりますので、一概に国の行政機関たる委員会が国に勧告することができないということにはならないであろう、かように解釈しておる次第でございます。
  54. 石川榮耀

    参考人石川榮耀君) 私から申上げますより、幸いここに建設省の都市局長が見えておりますので、正確な御返事を頂く方がよろしいと思いますが、折角御指名ございましたので、ただ私としての解釈、及び建設法が出て欲しい理由を申上げますれば、確かにこの現在の都市計画審議会は、いわば都市計画審議会法によりまして、官制によつてできているものでありまして、国の機関であるに違いございませんが、ただ地方庁に設置してございまして、知事がこの会長をやつております。そうして運営に関しましての事務局は地方庁の職員がやつておりますので、おのずからその性格が極めて地方庁的なものに流れて参りまして、現在その点が非常に色濃くなつて参りまして、特にその点はみずからがそう考えます、考えませんよりは、他の官庁と対立いたしまして、対立と言いますか、共働‥‥共に働き出しまするときに判然と現れて参りまして、飽くまでこの形式はやはり国の機関ではございまするが、首都建設法案にございますような働きは用い得ないというのが在来の例でございまして、この度それが除却して頂きたいと考えるものでございます。尚詳しい正確なところは建設省の都市局長からお聽き願います。
  55. 八嶋三郎

    ○政府委員(八嶋三郎君) 只今吉川さんからお話がございましたように、現行法といたしましては都市計画審議会は国の機関でございます。これが運営に当りましては只今石川局長からもお話がございましたように、私共としてはできるだけ都市計画というものにつきましては、地方の自治というものを尊重いたしまして、いろいろな法律案等につきましても最初の原案というものは地方庁においてするよりは、こちらの方において指導を加え、形式的には建設大臣が諮問をするという形式を採つているものでございます。今もお話がございましたように、併しこれだけでは、やはり国の機関とは申しながら都市計画法というものの、多少そこに欠点もございまするが、すべてのものを拘束いたしまして、一方的に他の法律を排除して参る、又他の官庁を排除して参るということまでには参りかねる点がございまするので、この点東京都のごとき非常に複雑多岐性を持つておりますようなところにおきましては、私はやはりこの別個の一つ委員会というものの設置というものが必要になつて来るのじやなかろうかと存ずる次第でございます。
  56. 中川幸平

    委員長中川幸平君) どうでしよう。この辺で‥‥
  57. 岩崎正三郎

    ○岩崎正三郎君 大体話を聽いて見ると、問題の要点は私だけ分つているような気がするのですが、提案者に伺いたいのは、今の都市局長の話を聽くというと、都市計画審議会国家機関である。併しそれは他の官庁意見を排除してまで言えないのだというわけなのだとあるのですが、然らばここにわざわざこういう総理庁の外郭としてある今の都市計画審議会をもつと強力なものに直して行くことはできないのですか。
  58. 八嶋三郎

    ○政府委員(八嶋三郎君) 現在の立場といたしまして、都市計画審議会というものは各地方に設けておりまして、又それを‥‥
  59. 岩崎正三郎

    ○岩崎正三郎君 これを直すことはできないのですか、そういう弱いものを強力なものに直すことはできないかどうか。
  60. 八嶋三郎

    ○政府委員(八嶋三郎君) ちよつと今の形では無理だろうと存じております。
  61. 岩崎正三郎

    ○岩崎正三郎君 直すことができるかできないか、直す意思があるかないかというのです。
  62. 八嶋三郎

    ○政府委員(八嶋三郎君) 現在のところそこまで考えておりません。
  63. 岩崎正三郎

    ○岩崎正三郎君 あなたの方はね。
  64. 八嶋三郎

    ○政府委員(八嶋三郎君) はい。
  65. 北條秀一

    ○北條秀一君 法律によると東京都の住民の投票によつてこれを決めなければならないわけですが、住民の投票をするというと、それに対して一体どれくらいの経費がかかるか。これを東京都の責任者から予想を聽いて置きたいと思います。
  66. 井手光治

    衆議院議員井手光治君) 実はこれは従来の広島、長崎、最近御審議願つております別府、そういう都市の住民投票を見れば、都市負担によつてやります。これは地方都市的な小さなものでありますと、大した費用はかかりません。そのやり方によりまして、何か公の選挙のような宣伝啓蒙のものと絡み合せましていたしますというと、これは投票用紙の印刷の費用程度に止まりますが、改めてこれをこれだけ專門に投票の経費を使つてやるということになると、大体一億と考えております。併し今のところでは、できるだけ東京都がみずから負担するということにこの法律では決められておるのでありまして、私共の考え方といたしましては、できるだけ経費を節約いたしまして、三千万円乃至五千万円程度の費用負担に止めたいとかように思つております。
  67. 北條秀一

    ○北條秀一君 私何故そんなことを聽いたかと言いますと、提案理由の説明の中に、政府、国民の協力によらなくちやならんと書いてありますので、この東京都の首都建設法を住民の投票によるということになりますと、他の国民がおのずから無関心でおるわけに行かない。そうなりますと相当この選挙というものは深刻な問題になつて来る可能性があると思います。ですから今三千万円という予想でありますが、三千万円や四千万円では済まないと思います。ところがこの法案性格から言いまして、先程岡本委員と私が提案者にお聽きしたのでありますが、実際にまあ極端な言葉で言いますと、気休め程度の法案じやないかと、その気休め程度の法案をするのに大騒ぎをして、非常な莫大な金を使うということは甚だ以て心外であるという考があつたものですから、ちよつとお聽きしたのであります。まあ幸いにしてそういうことが極めて低廉に行われるという見通しがつけば誠に結構だと思います。
  68. 大隅憲二

    ○大隅憲二君 今北條委員の質問と関連して、住民投票の問題ですが、これは、この費用は国が負担しますか、それとも東京都で負担しますか、そのことを一つ伺いたいと思います。
  69. 井手光治

    衆議院議員井手光治君) 東京都の負担になると思います。
  70. 大隅憲二

    ○大隅憲二君 大体東京都の今の一億という費用の数字を聽いたのでありますが、東京都の有権者は何名くらいあつて、一人当り凡そ幾らくらいになりますか。
  71. 井手光治

    衆議院議員井手光治君) 今までの前例によりますと、一人当り大体二十円乃至二十五円かかります。それが大体三百万の予定でございます。
  72. 中川幸平

    委員長中川幸平君) 本日はこの程度で散会いたします。    午後零時三十六分散会  出席者は左の通り。   建設委員    委員長     中川 幸平君    理事            岩崎正三郎君            赤木 正雄君    委員            島田 千壽君            石坂 豊一君            佐々木鹿藏君            大隅 憲二君            安部  定君            北條 秀一君   地方行政委員    委員長     岡本 愛祐君    理事            吉川末次郎君            岡田喜久治君    委員            三木 治朗君            黒川 武雄君            谷口弥三郎君            柏木 庫治君            島村 軍次君   衆議院議員            井手 光治君   政府委員    地方自治政務次    官       小野  哲君    建設政務次官  鈴木 仙八君    建設事務官    (都市局長)  八嶋 三郎君   説明員    大蔵事務官    (管財局総務課    長)      宮川新一郎君   参考人    東京建設局長 石川 榮耀君