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1950-03-31 第7回国会 参議院 建設・地方行政連合委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年三月三十一日(金曜日)    午後三時十七分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○別府国際観光温泉文化都市建設法案  (衆議院提出)   —————————————
  2. 中川幸平

    委員長中川幸平君) それでは只今より建設地方行政連合委員会を開会いたします。  その後地方行政委員長と協議の結果、両案を切離して審議することに決定いたしました。従つて本日は別府国際観光温泉文化都市建設法案の御審議をお願いいたしたいと思います。
  3. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 今日は政府委員が見えておるのはどこの方ですか。
  4. 中川幸平

  5. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 私は今日外にも用事がありますので中座いたしますから、先ず先に発言させて頂きますが、この別府観光温泉文化都市建設法案というものの内容を拝見いたし、又別に配付せられました同法案趣旨弁明というものを拝見いたしますと、要するに別府市という都市は、温泉において世界第三ともいうべき都市であるから、この観光国策の線に沿うて観光十五ケ年計画を立てようとしておる、そこでこの法律出し貰つて、そうした国から事業促進完成にできるだけの援助を與えて貰う、而してその事業の執行に要する費用負担するこの別府市に対して、国から普通財産を讓つて貰う、只で貰う、そういうようなことが骨子であると思うのです。そこでこの趣旨弁明で消してあるところがちよつと見えるのですが、拝見すると、この観光十五ケ年計画予算は凡そ八十二億だ、こういうふうに書いてある、これは非常に厖大数字である、そこで大体八十億なら八十億としまして、市はどのくらい御負担をなさるおつもりなのか、又大分県はどのくらいの負担をなさるつもりか、又国に対してどのくらいの予算補助を要求なさるるつもりなのか、又普通財産を譲與して貰うというのですが、どういう普通財産を譲與して貰うつもりなのか。そういうことについてもう少し詳しくどなたからか御説明願いたいと思います。
  6. 安部定

    安部定君 只今岡本さんの何で、消してあるところが見えたというお話ですが、これは消してあるのですから、それをお取上げにならない方がいいのじやないかと思うのですが、どうですか。
  7. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 だから私言つておるので、八十二億ということに固執はしてないのです。まあ大体八十億くらいの見当であろうかと思うから、その内訳はどのくらいのことを予定していらつしやるのかということを伺つて見たい。それは五十億でもよろしうございます。百億でも千億でも構いません。そのどのくらいのパーセンテージを予定しておられるのかそれを伺いたい。こういう意味であります。
  8. 永田節

    衆議院議員永田節君) 只今岡本先生の御質問御尤もであります。八十二億というものは予算として別府市が計画しておる数字ではございませんので、常識的に考えても更に物価の上下というものは、将来計画中の十五ケ年の中におきまして、相当に変化を生じて参るものであります。その八十二億という数字にはおこだわりなく、一つ審議を願いたいと思います。大体この法案援助趣旨といたしまして、第三條、第四條でございましたか、大体において具体的な内容を余り示してないのでございますが、この法律予算裏付を持たない場合は意味がないではないかという御議論も出られることと考えられますのですが、立法の趣旨といたしまして、單に物質的或いは金銭的な援助のみを期待しておるのではございませんで、例えば県とか別府市において事業を施行する場合、県や市の財政計画が不健全でない限り、積極的に起債の枠を大幅に認めて頂くとか、或いは又特殊の資材、例えば燃料だとか、或いは電気だとかいうようなものの割当等に若干の考慮を加えて行く等、そういう方面に政治的な処置は必要であるというふうに考えておるのでありまして、又国や地方公共団体法律上において援助するとあることにおいて別府市長は勿論、別府市民もこの事業促進完成につきまして相当負担も覚悟いたしております。拂下を主として考えておりまする問題は、別府にありますところの国有財産中旧軍用地として、石垣原の演習地が六十万坪ございます。但しその土地は二十年程前に別府市から僅か九万円で国に売渡したもので、そうして将来国においで軍の用に供しなくなつたときには国から別府市に買受価格で売戻すという契約を取り交しておるものでございます。  次は鉄輪にありますところの国有地約六千坪、この土地は亀川の海軍病院分院用地といたしまして、別府市の某有志寄附をした土地でございます。更に又鮎返りダム及び上水道排水施設、こういつた施設昭和二十一年の連合軍専用上水施設として最初軍において施工いたしまして、後に至つて国有財産なつたものでありまして、目下別府市において国の委託によりましてこれを管理いたしております。これらの点が主として取敢ず拂下を希望しておりますところの條項でございます。さよう御了承願います。
  9. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 今御説明を頂きまして大体分りましたが、この趣旨弁明で見ますと、観光十五ケ年計画を立て、正に実行に着手せんとしておりますが、一温泉都市の独力では実現困難であります。即ち国の積極的援助を仰ぐゆえんでありますが、とこういうふうに書いてあるものですから、その何十億の予算で以てやるときに、又何十億の補助を国からして貰いたいという意味のようにもとれるので、それではこれは非常な由々しい大事だとこういうふうに思つたので、只今取敢ずというような條件が付いておるようでありますけれども、只今説明になりましたような元別府市の土地であつて、僅か九万円で国に売渡した土地、或いは別府市の有志が国に寄附した土地とか、そういうものを無償で讓與して貰うと請うようなことならば、これは甚だ穏当な御意見であります。そういうことには敢て反対するわけではありませんが、若しこの法案の意図しておるところが、先に私が誤解をしておつたように、国から何十億といいますか、十何億といいますか、そういうような補助を要求しようとする意図を包含しておるとすれば、私はこれは反対したいと思います。という意味は、昨日も地方行政委員会におきまして、新地方税法に関する公聴会を開いたのです。そのときに公述人である川崎市長の金刺君が公述をいたしました中に、近頃甚だ心外なことが多い。それは個々の都市がいろいろいろの国家補助を要求する。又国家の特別の措置を要求する。別府とか熱海とか伊東とかはすでにこの文化都市建設法案なるものを出し貰つておるし、又近く京都、奈良なんかでもやはり文化都市建設法案というようなものを作つて国家保護を受けたいと言うし、又横浜とか神戸とかという港は又国家の特別の保護を要求する、こういうことになりつつあるように思うのだが、そうであれば戰災の痛手を起ち上れない程に受けておる都市をどうして呉れるのだ。それを国会としてはよく考えて貰わなければいかんということを、声を大にして公述いたしておりました。そういうような観点から言いましても、大いに考えて貰わなければならないことでありますし、又新財政建前、つまりシヤウプ博士が勧告をいたしまして、今や我が国が行わんとする財政改革におきまして、この地方の市町村の税収入その他の財政は従来よりか余程豊かになるのであります。そこで国からは奨励的の補助金の外は補助はしない建前にする。そうして皆自力でこの平和都市を造つて行くように努力をして貰うというのが今度の新財政制度の大きな目的である。つまり今まで余りに国の力に頼り過ぎておつたものを、国の力に平衡交付金の外は頼らないことにして、残りは自力でやつてつて貰うというのが建前でありまして、而もそれに奨励的なものは多少は出すけれども、その他は自分の力に応じて自力でやつて貰いたいというのでありまするそこでもう別府は確かに世界に誇るべき温泉地であると私も確信いたします。私も世界を早廻りして来ましたが、こんな立派な温泉場はありません。我が国の誇るべき温泉場でありますが、この法律によつて余りに過大なことを国に対して要求されるということでなければ結構なのでありますが、その点をもう一度伺つて見たいと思います。
  10. 永田節

    衆議院議員永田節君) 戰災地観光事業との比較について御質問があつたように了承いたします。誠に御尤もで、私も全く同感でございます。戰災地復興に要するところの国の援助ということも勿論ゆるがせにできないのでありますが、この観光事業は全く趣きを変えて御実行願いたいと思うのであります。例えば観光事業によりまして外貨を吸収いたしまして、それを戰災地に転換するというふうなことも敢て考えられないことはないのでございまして、すでに観光事業政府の五ケ年計画等に基きまして、明らかに政策上明瞭になつておる政策でございます。私は観光事業を今年のような我が国の振わない経済状態、特に貿易の不振なときにおいては逸早く観光事業によつて外貨を吸収し、いわゆる生きた貿易に変えて見たい、かようにこれは提案者の一人といたしまして考えておる次第であります。運輸省観光部の発表するところによりますというと、二十三年度の外国観光客は約六百三十名、これらが本土に落しましたドルは百六十三万ドル、二十四年度が千八百名、約八百万ドル、邦貨に換算いたしまして二十九億、今年度は更に飛躍いたしまして、漸次飛躍いたしつつあります現状に鑑みまして、本年度は大体において二万五、六千名程度、約一千五百万ドル、邦貨に換算いたしまして、五十四億というふうなことが想像に難くないというふうに発表になつておるのでございます。さような次第でございまして、戰災地復興を決して本事業は妨げるものではないというふうに私は了承いたしております。
  11. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 私の言う点が少し御理解しにくかつたようでありますが、私はこの法律が成立することによつて戦災地復興を妨げられるとか何とかいうことを意味しているのではなくて、この別府市にどういう都市建設法作つて国家から私が憂いておるような特別な、特段な助成をするということになるならば、戰災を手痛く受けた各戦災都市に対しても、国家はこの都市復興に対して同じような助成を與えるべきであるという市長代表の声に対して、国会としても耳を蔽うわけには行かないのでありまして、具体的に言えば、これを通そうとすれば、そういう法律国会で作る責務があると私は考えるわけなんです。それで私が憂いているようなそんな大袈裟な補助を予定していないのだということになれば話は別である。それからもう一つ、こう申しちやなんだけれども、別府温泉地で有名であるが、又日光とか、そういうところはこれは世界でも稀な景勝地であり、人工の美と自然の美とを包含した所でありまして、それに対しても国からも特別の助成金をやることが必要になつて来る。現にもうすでに熱海伊東出していると、こういう状況でありますから、そういう点を我我は余程勘案しなければいかん。先ず私のお尋ねしている主要点は、今取敢ずという條件でおつしやつたそういう土地なんかを国家から只で貰うというぐらいの程度のようなことだけを予定しておられるのか。国からうんとその補助金を貰うことを予定しておられるのか。その点を私は主要点としてお尋ねしているのです。その点をお願いいたします。
  12. 永田節

    衆議院議員永田節君) 大体この事業法文にもございまするように、建設大臣指揮下にありまして、六ケ月ごとに大臣がその進行状況を報告し、更に総理大臣は毎年一回国会に対してこの状況を報告しなければならない。この條文から考えまして、決して別府市がでたらめなことはできないということは、ここに大いなる束縛を生じているわけでございまして、直接国家補助額面といたしましては、今日まだ決定に至つておりませんが、その施設の概略はすでに整つております。併しながら只今岡本委員からのお説のような厖大予算というものは、年次その都度それぞれの大臣、それぞれの機関によつて計画し、予め審議をされつつ進行するものでございまして、特に又別府市が膨大な国のみの負担によつて、国のみの犠牲によつて構成するというふうな考えは毛頭持つておりません。従いまして、額面も必ずしも何十億に上るとかいうことはまだ明瞭でありませんので、さように一つ御了承願いたいと思います。
  13. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 その点はお尋ねしてもお答えが具体的にはできないようでありますから、このくらいの程度にいたして置きますが、この法律の主要な点はそこにあると思うのです。  それからこの法律上の欠陥と申しますか、附則に一條洩れていると思うのです。それは首都建設法案におきましても、又新たに出で来ました熱海伊東文化都市建設法案などによつても、住民投票規定があるのです。それは例えば伊東国際観光温泉文化都市建設法案によりますと、附則の第二項に「この法律は、日本国憲法第九十五條規定により。伊東市の住民投票に付するものとする。」こういう規定がちやんと付いている。熱海のも御同様です。首都建設法案も同様です。これは当然憲法によつて、こういう特別の都市だけに適用する法律については、法律ができる前に住民投票によらなければならんというふうに憲法の命令があるのですから、この附則は当然必要ですが、どうしてこれを書かなかつたのか、これを伺います。
  14. 永田節

    衆議院議員永田節君) 只今御指摘の通りでございまして、この点は全く私が素人でございまして、考えが至らなかつたのでございます。後に至りまして法制局から御注意がございましたけれども、併しながらこの法文には書いてございませんけれども、一地区に限られた特別都市法は必ず憲法第九十五條によりまして、一般住民投票に附するべきであるということは條文があるので、大して差支ないだろうというふうな専門家の御意見でございましたので、私も安心いたしておりましたが、この條文にそのことを明記いたさなかつたのは私の手落でございます。どうぞ悪しからず。
  15. 赤木正雄

    赤木正雄君 少しくお尋ねいたしますが、先程観光客を吸収してそれによつて得る利益が相当あるからという御説明がありました。成る程観光客も吸收しましよう。併し観光客を吸収するということならば。この別府、これを観光都市にした方が観光客を吸収するのにいいか、又日光或いはその他外人のよく知つている所に施設を十分した方が観光客をより多く吸収するか、これは非常に疑問だと思います。これは今政府にお尋ねしてもどちらが沢山観光客を吸収するかということは恐らく御答弁困難と思います。併しそういう観点から申しまして、別府に仮に一億円注ぐ、その金を別府のみじやなしに或いは熱海にも、或いは日光にも、或いは箱根にも分けて道路をよくする、とにかく外人がそこに来ても十分に心楽しく遊び得るようにした方が観光客をより多く吸収するのではないか、私はむしろそういうふうな考えを持ちます。これに対してやはり提案者は仮に一億円の金があれば、一億円の金を別府に投じた方が観光客をより多く吸収する、こういう御意見ですか。
  16. 永田節

    衆議院議員永田節君) 只今赤木先生の御質問ちよつと私困るのですけれども、若干臆面もなく申述べることを御了承願いたいと思います。広く国内的に考えまして、決して別府に優る名勝の地、或いは景観の地はないとは申上げません。ただ趣旨弁明内容にもございますように、総合的に国家が主力を注いで別府に投資いたしまして、別府を先ず国内におけるところの観光都市として育てることは御異論はなかろう、かように自負いたしておるのであります。お説のように日光とか、その他の景観の地もございますが、別府は後も前も国立公園に囲まれておりまして、而も外国におきまして、今日現に小倉にありますところの進駐軍の放送局アメリカ本国に向けての放送では、第八軍の経済課長夫人ミセスアンフリーが日曜の午前中に本国に向いまして、初めて日本にお出での方は是非お花とお茶のお稽古をすることと、別府の行楽をお忘れなくというふうに宣伝しておられるところから見まして、正に別府こそ世界景勝の地である、かように確信いたしております。日本中各名勝もございまするが、交通の便、或いは空路の便、すべての観光の概念的、総合的観念から推しまして、先ず国内におけるととろの観光地といたしまして別府を推すことが第一ではなかろうか、かように考えている次第であります。
  17. 赤木正雄

    赤木正雄君 次に、別府国立公園国立公園の間にあるということですが、御承知通り日本国立公園国立公園という名前ばかりで十分の施設もない、それがために折角外人が来ても直ぐ帰つてしもう、のみならず再び来ないという情勢なのであります。でありますからして、実際多くの人を日本に誘致するという意味からするならば、現在ある国立公園に成るべく費用を投じて外人が喜んで来るようにした方が向う外貨を吸収し得ると思いますが、これに対する政府考えは如何でしようか。
  18. 小林利男

    説明員小林利男君) 私は厚生省国立公園部監理局小林でございます。実は本日部長並びに課長がおりませんで、私が取敢ず只今の御質問に対してお答えいたします。只今お述べになりました通り、現在の国立公園予算的に見て非常に制限されておりますので、本来の所期の目的を達することができない。従つて予算をこの方面に注いだ方が遥かに効果的ではないかという質問に対しましては全然同感でありまして、何ら別に異議はございません。
  19. 赤木正雄

    赤木正雄君 今の政府説明員の御答弁ではつきりいたしました。国立公園を成るべく外人を誘致し得るように施設を完全にした方が、観光客を沢山呼び、従つて外貨も吸収し得るということがはつきりしました。この点はそれでよろしうございます。  次に政府委員にもう一つ承りたいのは、別府は今度こういうふうに国際観光温泉文化都市ということになりますが、なつた場合、これは先程岡本委員から御質問された通りに、成るべく国の補助費貰つて一日も早く立派な都市にしたいということがこの狙いのように私は思います。そのときに仮に熱海にしましても、箱根、或いは日光にいたしましても、或いは北海道の方の登別にしても、方々やはりこういうふうな形式で将来何々何々特別都市というものが出るかも知れません。或いはこれを認めたときに同じように認めねばならんかも知れんと私は思います。そういう場合に政府は一々そういう都市に対して特に多額補助を出すことができるかどうか、又仰せになるような向う寄附が出るかどうか。然るに一方においては百二十の戰災都市、それには住宅がなくて困つておる人が沢山ありましよう。それを放棄してまでもこういう観光都市多額費用をお出しになるつもりですか、それをお伺いいたしたい。
  20. 鈴木仙八

    政府委員鈴木仙八君) 赤木先生のお尋ねでございまするが、戰災都市を放棄してまでもやるかという御質問でありますが、建設省といたしましては、戰災都市の整備を勿論やらなければなりませんし、又只今答弁されておりまするところの別府国際観光温泉文化都市建設法案というようなものも又いろいろ各方面から出て参ることであろうということは政府としても考えておりますが、予算の許す範囲内におきまして、関係方面でいろいろ予算面に御了承が願えれば、建設省の立場としては勿論これを強力に推進して行きたい、かように考えておることしかお答えをいたすことはできないのであります。
  21. 赤木正雄

    赤木正雄君 更に、例の廣島平和都市を我々は法案化することにしたのです。二十四年度の都市計画費用建設委員会審議した場合に、特に廣島には今までよりも多額費用が割当てられています。そのときに私は質問したのであります。これは元々向う寄附の金でやろうという意向があつて認めたが、併しなぜこういうふうに多額費用を認められたのであるか。それを質問した場合に、政府の方としてはそういうことは知らんというふうな御答弁に実は……、尤もあの法案は私共は審議せずにやつたのであります。そういう関係もありますが、非常に意外の答弁を得たのであります。むしろ向う費用を沢山貰う、今は大分来ておるかも知れないが、私の申しますのは寄附金であります。とにかく政府の金を出しておることも事実であります。これは無理からんことと思うのでありますが、折角平和都市を作るなら、それをお出しになるのは当り前であります。併しこういう別府都市を認めたときには、この別府都市が成るべく金を出して欲しい、結論はそうだと思います。そういうことであります。そういうことがあるときに熱海ができる、日光ができる、方々ができる場合に、いつでもそう財政が許す限りと言いながらそういうことをしておつて日本戦災復興計画ができるのかどうか、それをお伺いしたい。
  22. 八嶋三朗

    政府委員八嶋三朗君) 只今赤木先生の御意見は私共教えられるところが非常に多いのであります。先程廣島、長崎の例のお話もございましたが、御承知通りに昨年廣島、長崎建設法というものが国会を通過いたしたのでございます。廣島、長崎はああした原爆の都市でございまして、これによつて世界の平和がもたらされたという意味においては一つの大きな記念すべき都市であろうと感ずるのであります。実は来年度予算等につきましては、多少ながらの金は実は特別の考慮といたしまして御協賛を願うべく提案をいたしておる次第であります。これはまあ戰災復興の仕事の面につきましては、私共はまああれだけの金はそう外のものよりも多いものにはならないという工合に考えております。ただ先程申上げました通りに、記念的な施設というのも多少やりますので、そういうような点も一つ加味いたしますというと、戰災復興費用だけとしましてはそう大きなものではないのじやないかということを実は考えておるのであります。私共の方といたしましては、できるだけ戰災復興というものを急速に何とか処置したいという気持を持つておるのでございます。一つの記念的な都市でございますれば、できるだけ早くそれをやつてみたいという気持を実は持つておるのでございまするが、予算がなかなか十分でございませんので、外の都市に先駆けてこれが完成してしまうということはなかなかむづかしいのじやないかということを実は憂えておる次第であります。それから別府とかいろいろ外都市もあるじやないか、それについていろいろ予算の問題はどうなるのかというお話がございまするが、これも一応御尤な御意見でございます。お話もございましたように、国家財政の許す限りにおいてやらなければいかんということは当然でございます。又いろいろの都市が出て参りましても、私共といたしましては、その都市のやはりいろいろの重要性というものが、これは私は緩急それぞれ、あると思います。又一つの場所を通りますところの路線を取上げるにいたしましても、それは是非ともやらなければいかない、この路線は後廻しにする方がいいというような、各都市におきましてもそれにはやはり緩急度合というものが存在するだろうと思うのでございます。いろいろ計画相当大きなものを持つておりましても、これは国家財政地方財政の点から考えまして、そう急に私はできるものではなかろうと思いますが、地方財政国家財政の許す限りにおきまして、緩急度合考え、それぞれの都市状況を見まして、私は考えて行かなければならないのじやなかろうかということを感じておる次第であります。
  23. 赤木正雄

    赤木正雄君 広島に特に予算をお考えなつたということは、それは結構だと申しているのです。それは誤解のないように。  それから緩急度合考えるとおつしやいますが、別府都市に対してはどれだけの緩急度をお考えになつているか伺います。
  24. 八嶋三朗

    政府委員八嶋三朗君) これはまあ緩急ということから引つかかつた問題てございますが、別府とされましては一つの実は計画を持つておられます。新たなる一つのまあ現在の別府を盛んにいたしますことは、これはもう問題の余地はございませんが、一面におきまする、あれは西の方になりますかなあ、西側に一つ温泉地帯がございますので、これを将来市街化して行こうというような計画があるようでございます。これを一面から見まするというと、私共としては相当面白い仕事だと実は感じでいる次第でございます。併しそうかといつて、これに対して全部完成するまで補助を認めるということはできません。そのうちの重要な幹線等につきましては、私は或る程度考えてやらなくちやならないのじやないかというふうに考えておる次第であります。
  25. 赤木正雄

    赤木正雄君 私の質問がまずいのかも知れませんが、少し要領を得ないのです。実は都市計画を各都市にお布きになつていることは、もう申すまでもないと存じております。どの都市も経費なしにできません。私は別府都市都市計画を施行される順序において、どの程度緩急ある都市計画か。日本に各都市がありますからして、熱海もありますし、別府もありますし、神戸もありますし、方々あります。それに対して別府は第何位ぐらいにお考えになりますか。
  26. 八嶋三朗

    政府委員八嶋三朗君) 第何位とこうおつしやられましても、その各都市の順位を決めるということは、この場ではちよつと如何かと思いますが、ただ観光都市としては私は別府というものは相当意義を持つものであるという工合に考えております。
  27. 永田節

    衆議院議員永田節君) ちよつと只今都市局長答弁に関連いたしまして赤木先生お答えいたします。この別府観光事業計画は国費を使いつ放しにするというのではございませんで、そこに強力な国の援助を頂きまして、やがて理想的な国際観光都市建設完成に至る前の半ばの時期におきましても、相当別府を中心といたしまして、国民経済に寄與することができ得ると確信いたしておるのであります。今日でもちよちよいアメリカ側の富豪の方が見えておられますが、ここに平和條約でも結ばれるということになりますというと、御承知のようにアメリカには一般の人の年間の休暇の時間というものが約二週間あると承つております。この二週間の休暇を利用いたしまして東洋の見物をされるという場合、今日のパン・アメリカン・エアメールを利用いたしまするならば、先ず四日間をこの旅程に当て、残る十日間を中国で遊ぶか日本で遊ぶかというふうな問題になつて来るのじやないかと想像されるのであります。そのときに、今日のような状態では恐らく日本に永らく滞在することなく、却つて上海、香港方面に長い間、少くとも十日の中の一週間は中国で暮す、残り三日間を日本で送るというふうなことになるのじやないか、かように考えられるのであります。大体に今日の日本に来ておられる方の旅行者の予算というものも、さように我々が考えておるように無茶苦茶に使つておるとも思われません。帝国ホテル等は一日五ドルの宿賃では高いと非難をされておるように承わつております。これは私の想像でございますが、一日約二十ドルの小遣いをアメリカ人が使われるということになりますと、約邦貨に換算しまして一日一万円です。一万円くらいのものはアメリカ人と雖も使うだろうと思います。そうしますというと、約二百八十ドルというものは、中産階級の場合でもこれらの数字が想像されるのであります。況んや富豪、財閥等が本土に参りまして、観光のために吸収し得るところの外貨というものは実に想像に余るものがありまして、別府市内だけでも優に完成の途上においてでも年間四十億や五十億のものを想像されると私は考えるのであります。どうぞ別府観光地帯に限りまして、国家費用を使いつ放しにするのではない、必ずやこれは国民経済の利潤となつてやがて回収されるものであるということを前提に置いて御審議を願いたいと思います。
  28. 赤木正雄

    赤木正雄君 これは厚生省運輸省か存じませんが、大分日本にも観光客は来ておりますから、今直ぐにと言いましても無理です、でありますからして、恐らく今日ではこの審議はできんと思いますからして、日本にどれほどの観光客が来ておるか、その表を一つ出し願いたいと思います。
  29. 吉川末次郎

    ○吉川末次郎君 私は、申すまでもなくこの法案についての議決権を委員会として持つていらつしやる建設委員会の者ではありません。むしろこの連合委員会においてお客さん的な立場で、地方行政委員の建前から意見を申述べるということが、これに加わつて来ている我々の主たる目的かと思いますので、多少意見に傾くかと思いますが、質問をかねて申上げたいと思うのでありますが、第一にこの法案につきましては、一昨日の本会議におきましても若干触れて申上げたのでありますが、全般を通じまして簡単に申上げまするというと、失礼なようでありますが、この提案理由の説明並びに法案を通じて、これを提案している人が如何にも国会議員らしくない、一国の政治家らしくないところの、まあこの別府という小都市地方議員のアイデアであるならばうなずけるのでありますが、苛くも日本国家の、一国の政治を審議すべきところのこの国会議員といたしましては、甚だ知性の欠けた皮相なるところの見解に基いて提案理由が説明され、又法案が提出されているということを先ず私の感想として、失礼ながら最初にそういうように感ずるということを申上げなければならんと思うのであります。  第一に、提案理由の説明によりまするというと、別府というところの一つ温泉都市だけを取上げまして、それが何か世界に冠絶するところの観光地であるかのようにお考えになつているようであります。それは如何にも世界を知らざるところの本当に田舎者的な皮相なるところの見識でありまして、大体我々は子供のときから、日本の誤れる国粹教育によりまして、日本くらい世界で景色のいい所はないというようなことを随分読本で教えられて来たのでありますが、さて、世界を廻つて見ますというと、日本くらいの景色を持つておる所は至るところにある。温帯地帯にありまするところの国家でありますならば、どこの国にでも日本が持つておるような海もあれば、山もあれば、川もあるのでありますからして、立派な優れたところの観光に値する景色のいい所はもつともつと沢山、もつともつと大きなスケールにおいてあるということを我々は海外へ出て初めてそれを痛感したのであります。殊に日本のごときは海国でありまして、非常な湿地帯で気候のごときは我々は子供のときには読本で、気候は世界で一番いい所であるというようなことを教えられて来たのでありますが、これも又まつかな嘘なのであります。だから真実世界における景色のいい観光に値するような所のうちにおいて別府というところを取上げて、それが世界的なスケールからして考えたときに、どれだけの価値を持つておるものであるということを先ず第一に考えて物を考えて行く必要があると思うのであります。  さて、次には、先程来岡本地方行政委員長からもお話がありましたが、又赤木さんからもお話がありましたが、そういう蚤の睾丸のような識見に基いてこの法案が出されておると考えられるのであります。さて、こういうようなものがこの国会を通じて制定されるといたしまするというと、赤木さんもおつしやいましたように、熱海にも同じような法律作つて呉れ、奈良にも作つて呉れ、京都にも作つて呉れというようなことで、至るところの都市がそういうことを要求して来るだろうと私は思うのであります。或いは又長野県の長野市のごときは善光寺があるからというので、これは国際寺院都市建設法案というようなものも出して来るかも知れんと思うのでありますが、そういうことは十分に想像できるのでありまして、今日又すでに熱海その他の都市から同様な法案が提出されておるのでありますが、これは我々地方行政の委員の立場からいたしますというと、日本地方行政組織というものの全体系というものをば、そういう特別法規を個々に作つて行くことによつて破壊してしまうということは、これは地方制度の上において極めて重大なる問題であるということを、どうぞ議決権を持つていらつしやる建設委員の方に十分お考えを願つて、この御決定に当つて頂きたいと思うのであります。それについては私は本多国務大臣或いはその他の自治行政の担任者の政府委員からの見解が是非聞きたいのでありますが、今日は来ておられんようでありますから、この次の機会においてでも是非そのことについての答弁を願いたいと思つておるものであります。  それにつきましては、岡本委員長も先程言われたのでありますが、昨日の地方行政の委員会におきまして、全国市長会の会長代理でありますところの神奈川県の川崎市の市長が、二百幾つの日本の市の代表者として参りまして、こういう特別法規が頻々としてこの頃地方行政委員会でなくして、建設委員会を通じて制定されて行くようであるが、怪しからんことである、そういうことを声を大にして言つて帰つたのでありますが、私は誠に尤もであるということを感ぜざるを得なかつたのでありまして、この問題は是非建設委員会におきまして、委員の方々が重大なる問題として特別の御考慮を願いたいと思うのであります。  それから一昨日の本会議におきまして、私はこの頃の衆議院が、非常に杜撰なところの、地方的な利害にのみ捉われた、国会議員らしくないところの、愚劣なるところの法案を頻りに議定して参議院へ廻して来るから、参議院の諸君は二院制の立前からしつかりして呉れというような意味のことを言つたんでありますが、是非そうした小さな地方的な利害に疑われているところの法案については、これ又その決定について先程申上げたことでありまするが、建設委員の諸君が特にその上院議員としての矜持とその責任において、この法案にも対処せられんことをお願い申上げたいのであります。それで先程申上げたことに関連いたしまして、全国市長会というものが組織されておるのでありまして、これは法規的にも相当重要性を、ウエイトを置いて政府の方においても今日まで対処して来られたのであります。即ち自治委員会というようなものの構成につきましても、その市長の代表者というものを一枚加えて、そうしていろいろな地方行政に関することを決めるようにして行かれるのでありますが、その市長会の意見というようなもの、市長会というようなものも、政府がこういう法案を出されるならば、それに加わつているに違いないのでありますから、その市長会を通じて国会に運動しなさるというようなことが私は必要じやなかつたかと思うのでありますが、少くとも全国市長会との関連性ということも考えて行かなければならん。又御承知のように今日日本地方行政制度というものをば大変革をしなければならないというので、地方行政組織調査会議というものが組織されておるのでおりまする、ということは建設委員の方もよく御承知のことだと思うのであります。これはシヤウプ勧告に基きまして、地方自治体におけるところの事務の配分というようなことを再検討するという意味におきまして、政府が組織いたしておりまするところの重要なるところの地方行政に関する機関でありまして、こういう特別法を特に一つ都市に限つて作るというようなことにつきましても、当然にこの政府がその法案国会を通じて制定いたしまして、その委員もすでに任命されております。即ち鶏澤聰明、或いは高橋誠一郎、或いは杉村章三郎、神戸正雄、渡辺銭藏であるとか、こういう五人のいわゆる大臣級と言つておりますが。その大臣級の委員において重要なるところの地方行政組織に関するそういう調査会議というものを組織されておるのでありますから、当然にその調査会議がこれは審議すべき一つの問題であると思います。そういうことの関連性ということも提案者もお考えになる必要があると私は思うのでありまするが、そういうことについての御答弁も後程頂きたいと思うのであります。  それからもう二つ、一昨日私は本会議においても言つたのでありますが、この項の衆議院の行動について甚だ怪しからんことが極めて多いが、その一つの例として、例えばこの別府国際観光温泉文化都市建設法案という、この私の見たところ極めて知性の欠如したところの愚劣なるところの法案を、衆議院におきましては直接本会議におかけになつてからに、これを付議すべきところの地方行政委員会にも、建設委員会にもかけないで、みんなの人が知らん間にこういうものを本会議にかけ、うやむやのうちに議定して参議院へお廻しになつているということでありまするが、これは甚だ手続の上においても怪しからんことであると思うのでありますが、そういうことについても一つ提案者の方から御答弁を得たいと思うのであります。  それから、これ又赤木さんからもお話なつたことでありまするが、観光施設におきまして、私は何も日本だけがそれ程景色のいいところであるとも思いません。又別府はそれ程国際的に冠絶した立派な温泉都市であるというようには思つていないのであります。外国にも温泉都市は沢山あります。ドイツにしても、ここに熊本のドイツに長くいらつしやつた何がいらつしやいますが或いはカルルスパードとか、ウイースバーデンであるとか、いろいろ温泉都市があります。又ハンガリーの首府のブタペストのごときも非常に立派な都市でありますが、別に温泉で立つている都市ではありませんけれども、これは温泉を持つておりまして、いろいろな温泉施設を持つております綺麗な都市であります。何も別府温泉世界で一番いいところの温泉都市であるというようなことの考え方は、誠に私は、そういう卑小なるところの見解に與することはできないのであります。併し観光施設政府が或る程度援助をいたしまして、そうして観光客を海外から招いて、日本の景色を見せると共に又外貨の獲得をするということは、私は十分必要なことだと思います。又ひとりその国際的に外国観光客を得て外貨を獲得するということのみでなくして、日本国民の観光施設、或いは厚生施設といたしまして、温泉のようなものはできるだけこれは国民大衆の利用するようにしなければならんということは、国策的に必要なことであると思います。でありまするから、そういう自然的な基礎を持つておりまするところの温泉等につきまして、そういう見解の上から政府が適当なるところの施設をするということはいいことであると思うのでありまするが、私は先ず国立公園、或いはその他の観光施設に関するところの政府保護政策というものについて、今詳しい具体的なことを申上げる知識を十分持つておりませんけれども、併し国立公園その他のものにつきましては、そういう見地から政府も今日まで相当する国の予算が許す範囲内においての私は保護をやつて来たと思うのであります。でありまするから、既存のそうしたところの国立公園法、或いはその他の観光施設に対するところの国家保護の法規の一環の中へ、或いはその体系組織の中へ別府というものを利用したならば、別府をその中に入れて、そうしてその国家全般的な観光施設に対するところの国策というもの、或いは国の保護というものをば利用させる。その組織体系の中に別府を入れて行くというように考えることが私は妥当なんじやないかと思う。ひとり別府というものだけを引抜いて、そうして日本の自治行政組織の全体系を破壊するようなこういう法案を、又私の見るところ極めて知性の欠けた卑小なるところの識見に基くところのこんなものをお出しになるということについては、私は賛成することができないのであります。以上申上げましたことにつきまして、政府側、或いは提案者の側からそれぞれ御答弁を願いたいと思います。
  30. 永田節

    衆議院議員永田節君) この法案の扱い方につきまして、御指摘があつたのでございますが、決してこの法律案は手続を省略して、不正なる手段によつて衆議院を通過したのではございません。提案者の名前等も出ておりますように、各党挙げて御提案になつて頂いておりまして、それぞれの専門委員会の審査を省略することを願い出ましたところが、議長においては快くこれを御了承下さいまして、一挙に運営委員会から本会議に持つて行つたという順序になつているのでございまして、御了承願いたいのであります。その他は挙げて先生御指摘のように、全く我我知性的に大いに欠けるところもございますが、まげて御審議下さるよう一重にお願い申上げます。
  31. 柏木庫治

    ○柏木庫治君 私は吉川委員と同じく地方行政の一人であります。吉川さんから常々聞かされることでありますが、日本の景色は日本人のひとりよがりであつて世界を廻つた吉川さんの広い知識から申しますと、確かに吉川さんのおつしやる通りだと思うのであります。ところが別府よりも百倍程景色のいいところがフランスに仮にございましても、それはこの法案とは関係がないので、日本国会議員であつて日本観光事業一つ盛んにしよう。観光客日本に引寄せようと、そうして資源の少い日本が減らない資源で外貨を獲得しようといたしますならば、日本の景色が世界的なものでなくても、古本の国会議員としては日本観光客を誘致する意味において、日本にある景色、便利、その他の方法で最善を盡して考えることは私は日本国会議員の勧めとしてかくあらなければならない、こういうふうに考えます。私はアメリカを知らず、欧洲は存じませんが、少くとも台湾、今の中国大陸、今は中共と申しますか、中華と申しますか、それから満洲、朝鮮、樺太へその範囲におきましては相当によく知つておる一人でありますが、そこで日本観光客と申しますのは、八割五分までアメリカ人であります。そのアメリカ人をアジアの地と申しますか、この一角に誘致するという立場から考えまして、そのアジアの中の日本に誘致するという立場から考えて見ますならば、それは赤木先生その他が指摘されたように、日光その他沢山ありましよう。だが先ず第一番に関西に一つ引張りたい、こういうふうに考えまして、大阪から下を考えました場合には、瀬戸内海とも直線し、アメリカ人は自動車で走ることが比較的と申しますか、非常に常習のごとくでありますから、仮に大阪と関連して九州全体を廻る、四国全体を廻る、山陰、山陽を廻るといたしましたならば、蓋し今ある別府湾のごときは確かに適当な地だと思います。そうしてあの港が将来、今でもそうでありますが、二万トンのものが設備を少しいたしますならば、その昔連合艦隊華やかなりし頃の全連合艦隊を抱くだけのあの波静かな別府湾と、こういうふうに考えで見ますと、私はこの別府国際観光温泉文化都市建設法案と銘打つてありますが、この別府という字を除けちやつて、そうして国際観光温泉文化都市を西日本のどこに作るか。別府から出発せずに、西日本かち出発して考えて見ましてどこが一番地勢がいいかと考えたならば、確かに私の見解においてはあの地だと思うのであります。そこに幸いにして温泉場の設備といたしましては、それはイタリアとかその他にいろいろ、沢山のものがあると聞いておりますが、私の貧弱な知識から伝聞するところによりますと、これは世界一と書いてありますが、私は世界二の優良温泉場だと、こういうふうに今日までは聞いておりました。別府よりも一ケ所イタリアにあることを承つておつたのでありますが、これは聞き伝えたことでありまして、私の調査いたしたことではありません。それで私が今申上げました日本名勝旧蹟から、朝鮮、台湾、満洲、中国大陸の画をずつと見ましても、確かに青島は別府より心美しい都市でありますが、後ろがなくて、春二回くらい一週間程霧がかかるのでどうにもならない。いろいろ考えて見ますと、又特に日本外人を誘致するとの意味において関西を中心といたしたときに、あの土地が一番よいというので別府という名前が付いておるのである、こういうふうに私は考えて見たのでありますが、これは確かに、然らば熱海はどうか、伊東はどうか、別府温泉都市とこの温泉を特に強調いたしておりますから、あと温泉場が真似をいたしたのでありましようが、地勢から申しましても周囲の背景から申しましても、瀬戸内海の一画から考えて見まして、日本観光事業を大いに興し、確か今まで日本が八番目くらいか、四番目に……実は甚だ不用意でありまして、外貨を獲得しておる順位になつておつたと思いますが、外貨獲得の大きな役割を演ずる仕事を進めて行くとするならば、先ず非常に恰好な土地だ、後が順繰りというならば、日本全部を挙げてとにかく外貨獲得に持つて行くということにいたしますならば、次から次にできても結構でありますし、今吉川さんが仰せられた日本全体の観光事業にして、別府をその一つにして何してはどうかということも、これは甚だ国会議員らしい甚だ穿つた案だと考えましたが、手始めにと申しますか、とにかくさつき私の申上げました日本国会議員が、日本に外客を誘致する意味におきまして、関西地方一つ選ぶならば、蓋し別府のごときは最も適当な地であると考えますので、私は折角口火が切られたのでありますから、これに向つて私は成立つようこれを審議を進めて行くことに賛成であります。吉川さんからの昨日か一昨日かのお話の中に議員のお土産案だということもありました。近来は又選挙対策だというようなお話もあちらこちらに聞えますが、私の観ずる限りお土産案でもなく、又選挙対策と何らの関係もありません。そうしてさつき、これは提案者に承わりますが、九万円で別府からお国に売つたあの土地を私はちよつと聞き落したのでありますが、坪数は何坪かということと、それから別府の市内にあるのか、市外にあるのか。市外ならば別府市とどれくらい離れておるかということを提案者に承わりたいと存じます。
  32. 中川幸平

    委員長中川幸平君) 吉川委員にちよつと申上げます。あなたの質問地方自治庁の政務次官と連絡行政部長がおいでになりましたけれども、地方自治庁に対する質問の要点をもう一度お願いいたしたいと思います。
  33. 吉川末次郎

    ○吉川末次郎君 要点は、要するに別府国際観光温泉文化都市建設法案というものが出ておりますが、こういうような特別法規がここに作られて行きますというと、同様に熱海からも出ているようでありますし、伊東からも出ているようでありますし、京都或いは奈良というように、続々とそういう特別法規が作られて行くわけであつて、その目的とするところは、自分の都市が持つているところの特異性というものを挙げて、その特異性に対する国の特別の援助を得ようということが法案趣旨であると考えるのでありますが、こういうような法律の制定というものは、地方自治法の全体系というものをば紊るものである、破つて行くところのものであると考えるが、自治庁の考えはどうであるかということ。それからもう一つは、全国市長会の代表が昨日も地方行政委員会公聴会に来て、こうした特別法規が頻々として作られて、特殊な運動によつて制定されて行く。向うの言葉をそのまま言いますというと、甚だ怪しからんと、非常に憤慨して帰つたのであるが、全く自分は、その全国市長会の代表者の意見とその点においては同意見であるが、自治庁の御見解はどうであるか。  それから、全国市長会というものは、これは地方行政組織の士において法規上も相当重視されている、即ち自治委員会の構成或いは地方行政組織調査会議の構成等においても重視されているが、別府市がこういう法律の制定をば国会に要求し、又衆議院の提案者がこういうつものを提案せられるに際しては、当然所属しておられると思うところの全国市長会どの関連性において、その市長会を通じて或いは市長会とも相談してこういう提案をせられるのが、常識的には正しいのじやないかと思うがどうか。  それから現に発足しているところの地方行政組織調査会議の調査のこうしたことも一対象になると思うが、自治庁の見解はどうであるかということを主として承わりたいのであります。  尚、今柏木委員の御発言に関連して、私の発言に対するお言葉がありましたから、多少誤解があるかと思うので、弁解的に申上げて置きたいと思うのでありますが、私は柏木さんがおつしやるように、日本の持つているところの観光施設を利用いたしまして、そうしてでき得る限り国内の国民の厚生、観光に当てると同時に、広く海外からの観光客をそれに誘致して外貨を獲得するということについては非常に賛成であります。できるだけそういうことに対しては、国家補助するということはいいことであるのですけれども、併し、ひとり別府のみが異常な、世界に卓越するところの観光地に値いするところの温泉都市であるかのように、ここに引抜いて、それと同様に観光的な背景を持つているところの、さつきお話が出たようでありますが、日光であるとか、或いは瀬戸内海であるとか、或いは富士山であるとか、そういうようなものから離れて考えることはどうか、そういう全国的な観光施設の組織の一機構の一部の中へ入れて行くというように考えられるのがいいのじやないか、こう申上げておるのでありまして、国際観光客を誘致して外貨を獲得するという目的のために利用するということについては決して反対いたしておらんのでありますから、その点は十分御了解を願いたいと思います。尚提案者にこの際申上げて置きたいと思うのでありますが、別府観光的な価値、観光地としての価値というものは、私は温泉の湧出量が非常に豊富であるということもあると思いますが、むしろそれよりも私はそれに至るまでの瀬戸内海の風光と、これは国立公園の中に入れられておりますが、瀬戸内海の風光というものの方がむしろ私は観光客に非常に大きな価値を與えているのじやないか、これは私の私見であります。私は実はそう思つておるのであります。尚又外国からの観光客というものが日本へ参りますときには、別府というような小さな温泉都市へ湯浴みに行くというようなことだけでは日本へ来るものではない、柏木さんにこの際御了解願つて置きたいと思いますが、それはジヤパンというもの、日本全体の風光を見に来るのであります。而も日本全体の風光が外貨を獲得するところの対象となつておりますところのアメリカ八等に、どこがアトラクシヨンになつておるかというと、日本と中国とは必らず向う観光旅行会社その地のカタログ等によりましても、大体は一つのものに結び付けられておるのでありまして、そういう東洋的な何といいますか、向うの立場からいたしまするならば、東洋的な異国情緒、異国風景、非常にヨーロッパとも違つて東洋的な古い文化的な背景と歴史を持つたところの中国、又日本の東洋的な異国的な風光というものは非常に珍しいということで、主として日本へやつて参ります。日本全体が彼らの観光の対象なのでありまして、片々たる地方都市であるこの小さい別府温泉に入りに来るというようなことが、何も目的の重要部分を占めるものでは決してないということをどうぞ御了解を願いたい、私はそう思つておるのでありますが、併しそういうアメリカ人その他の海外からの観光客というものをば、できるだけ長く足を留めさせるような施設を持つということが必要であります。併しそれは何も別府に限つておるものではない。京都にも、奈良にも、鎌倉にも、東京にも、日光にも、全面的に足を留めさせるところの古典、その他の施設を持つべきであると思うのでありますが、又柏木さんのお言葉の中に、関西においては別府は第一番であるというよう五感を與える発言があつたかと思いますが、これは私の誤解かも知れませんが、私見を以ていたしまするならば、そういうような異国的な東洋の観光風景に接したいと思つて彼らがやつて来るのでありますから、関西に彼らの目的に副うところの最大の価値を持つておりますところのものは、私の見解では関西におきましては京都と奈良である、それは別府というようなものは観光の対象としての価値においては京都や奈良よりも邊かに比較にならないくらいアメリカ人その他の西洋人に価値の低いものであるということを併せん申上げて置きます。
  34. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 他の委員会に出ておりまして、遅延いたしまして誠に失礼いたしました。只今吉川さんからの御質問の点につきまして、一応所見を申述べて見たいと存じます。先ず地方自治の本旨から鑑みましで、地方団体の強化を図りますと同時に、成るべく国に依存しないで、その自主的な運営を期待するということが今後における地方自治運営のあり方ではなかろうかと存ずるのであります。そのような見地から御承知のごとくシヤウプ勧告にもよりまして、地方団体に対して独立の財源を與えまして、これが運営を強化して行くという方途に出ておりますと共に、更に国及び地方団体相互間の行政事務の再配分をいたしますと同時に、これに伴う国の補助制度に対して再検討を加えるという目的を以て地方行政調査委員会議が目下活動いたしておりますことも、すでに御承知かと思うのであります。従いましで、地方自治体の運営につきましては、現段階におきまして、すでに画期的な改革の方向に進んで参つておりますると共に、新税制或いは財政制度が確立せられ、又事務の再配分等につきまして、調査立案の結果が内閣、又は内閣を通して国会に勧告されるような場合におきましては、地方制度全般に亘つて相当の検討を加えなければならない時期が来るであろうというふうに想像いたすのでございます。従いまして、地方公共団体ができるだけ自主的な運営をいたしますためには、御承知のごとく現行の国の補助制度或いは負担金制度が相当検討が加えられまして、来年度からは新たに地方財政平衡交付金制度をも創設しようというふうな状況に立ち至つておるような次第でございます。これらの観点から、この委員会で只今議題に上つておりまする法律案を考えて見まするのに、果してこれらの考えに副うものであるかどうかということについての御検討が必要ではないかと思うのでございます。この法律案は議員各位が熱心に御研究の上で、而も我が国における国際観光事業の発展のために御成案を得られたものと思うのでございまして、私共といたしましては、この法律案の内容について未だ詳細なる研究を加える機会を得なかつたような次第でございまするために、法律案そのものについでの内容につきまして詳細に申上げることは困難かと思うのでございますが、以上申上げましたような地方自治運営の将来なり、或いは地方制度全体のあり方というふうな点を考えてこの法律案を見ました場合におきましては、尚相当御研究なり、或いはこの法律案につきまして愼重な御審議を煩す部門があるのではなかろうかと、かように考えるのでございます。  それぞれの立場におきましてそれぞれの御意見がおありになることと思うのでありますが、地方自治を担当いたしております者としての所見といたしましては、只今申上げましたような見地から十分なる御審議を煩すことが望ましいと、かように考えておる次第でございます。
  35. 柏木庫治

    ○柏木庫治君 吉川委員から京都、奈良が関西において第一だ、恐らく日本においてこれは第一だと私は今のところ考えております。これは私の甚だ言葉の足らなかつたことでありますが、関西と申しましたのは、私はあの別府湾の、別府を起点といたしまして、府の言葉は一番の東の端が京都、奈良であり、西の方が鹿児島、熊本、霧島、いうようなことでありまして、あの観光地帶を関西の全部にして、そして幸いにアメリカ人は足が自由でありますから、自動車に乗つて霧島や熊本に行つても一日の往復で楽々できる。だから別府都市というのでなくして、あすこを観光地帶の中心といたしますならば、東に奈良及び京都、瀬戸内海あり西に霧島、耶馬渓その他があり、そういうものを一括した意味において四通発達、水に陸に一番都合のいい位置があすこである。幸いにして世界有数の温泉地帶であるし、又温泉地帶と申しましても、処女地でありますれば設備費が非常に沢山かかりますけれども、幸いに大分、別府あすこの道路は今度アメリカ人が参りまして、あすこの道路だけは褒められたぐらいすでに相当の設備があるのでありますから、その上にホテルなんかをあの温泉地別府の市街でなく山の上にうまく持つて行つたならば、確かに別府そのものも相当にいい所であるし、あすこを中心とするならば四通発達していい。こういう意味において私は関西で一番よかろうと申上げたのでありますから、私の心持だけを一つお知り願いたいと思うのであります。
  36. 鈴木仙八

    政府委員鈴木仙八君) 吉川先生にお答え申上げます。  建設省の立場といたしましては、いろいろ只今吉川先生の御指摘にありましたように、各方面でこういうふうな同じような法案出して来るのではないか、そういうことも考えられるのであります。すでにこの温泉地帶の問題は熱海或いは伊東と、いろいろ建設法案を出すというふうな意向もあるようでありまして、成る程何と申しますか、御指摘のようにお国自慢的に勝なる所を取上げてやるのではないかと先生言われておりますが、御承知のごとく戰災復興予算関係やいろいろな問題でなかなかはかばかしく参りませんし、観光事業等もこれが速かに実施できないというような刻下の現状でありますので、考えまするのに、地元の人人は愛郷の念のほとばしるままに地区の代表者を頼りといたしまして、かような法案が出たものと考えられるのであります。成る程何か熱海であるとか、或いは伊東であるとか、別府であるとか、又は京都であるとか、奈良であるとかいうことを一括いたしまして、基本法のようなものが制定されるならば、或いは関係省といたしましては仕事がやりいいかも知れませんけれども、又こういうふうに各方面からいろいろな法案が出れば複雑な微妙なものが生じて来るかも知れませんけれども、只今申上げました通り愛郷の念から一日も早くゆるがせにできない、その地方々々の持つておる持ち味を活して早く復興をしたいというふうな考えで、すでに衆議院の方もこれは通過を見たようなわけであります。現在におきましては関係省といたしましては、予算の許す限り、又若し御審議によつて通過いたしますならば協力したい、協力したいということを申上げるより仕方がないと思います。又赤木先生が先程申しました順位の点につきましてそれぞれの特徴を活してそれぞれのお考えの下にこういうふうな法案が出たことと思いますから、又ここで立ちどころに別府に対する順位ということを申上げることはどうかと思いまして、いろいろな資料、数字的なものを持参いたしまして、そうして関係方面と折衝をして決めらるることであろうと考えております。どうかこの程度でお願いいたします。
  37. 佐々木鹿藏

    ○佐々木鹿藏君 吉川委員により、この法案建設の方でやるべきであるから、慎重審議をせよという嚴命がありましたので、非常に責任を痛感いたします。その意味において私は先ず提案者にお尋ねしたいのは、第一條を根本的の目的にするのか、或いは第三條を目的とするのか。先程岡本委員からこの点について触れられたのでありますが、三條については触れられたのでありますが、一條は根本的の目的にするのかどうかということをはつきり示されておらん。質問がないのでありますから。それで私はこれを明瞭にするために一條が根本的の目的であるか、或いは三條を目的とするのか、こういう二点について説明者の答弁を求めます。
  38. 永田節

    衆議院議員永田節君) 勿論この計画といたしましては、第一條が主でございます。決して第三條にこだわるものでもございませんし、従いまして厖大予算国家に直接要求するというような計画はございませんことを申上げます。
  39. 中川幸平

    委員長中川幸平君) この際政府にお願いいたします。先程赤木委員から要求されました観光客観光地別の資料を三日までに一つお願いいたします。
  40. 佐々木鹿藏

    ○佐々木鹿藏君 委員長より地方行政委員会の方にお諮り願いたいと思いますが、この審査を先ず継続をすべきかどうか、この辺で一応建設の方へお委せ願うかどうかということをお諮り願います。
  41. 中川幸平

    委員長中川幸平君) 別府のこの法案について連合委員会はこの辺でよろしいですか。
  42. 吉川末次郎

    ○吉川末次郎君 地方委員長がいらつしやいませんが、どうですか、もういいんじやないですかね。別府法案に限つては、私としてはいいんじやないかと思います。
  43. 中川幸平

    委員長中川幸平君) ちよつと速記を止めて……    〔速記中止〕
  44. 中川幸平

    委員長中川幸平君) 速記を始めて、それでは本日はこの程度で散会いたします。    午後七時五十三分散会  出席者は左の通り。   建設委員    委員長     中川 幸平君    理事            岩崎正三郎君            赤木 正雄君    委員            島田 千壽君            石坂 豊一君            佐々木鹿藏君            安部  定君   地方行政委員    委員長     岡本 愛祐君    理事            吉川末次郎君            岡田喜久治君    委員            三木 治朗君            谷口弥三郎君            柏木 庫治君            島村 軍次君            鈴木 直人君   衆議院議員            永田  節君   政府委員    地方自治政務次    官       小野  哲君    総理府事務官兼    法務府事務官    (地方自治庁連    絡行政部長法制    意見総務室主    幹)      高辻 正巳君    建設政務次官  鈴木 仙八君    建設事務官    (都市局長)  八嶋 三朗君   説明員    厚生事務官    (国立公園部管    理局)     小林 利男君