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1950-03-29 第7回国会 参議院 建設・地方行政連合委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年三月二十九日(水曜日)    午後二時四分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○首都建設法案衆議院提出) ○別府国際観光温泉文化都市建設法案  (衆議院提出)   —————————————
  2. 中川幸平

    委員長中川幸平君) それでは只今から建設地方行政連合委員会開会いたします。  別府国際観光温泉文化都市建設法案首都建設法案の両案を一括して上程いたしまして、質疑を続行いたしたいと思います。
  3. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 私はこの前の連合委員会におきまして、本多国務大臣建設大臣東京都知事大蔵当局出席を要求したのでありますが、建設大臣の外はお見えになつていない。私がこれから質問することについて責任のある大臣又は東京都の首脳者から答弁を得られないのは、甚だ遺憾と存ずるのでありまして、この出席を待つて質問をする筈でありますが、私共の方が連合委員会をお願いしておるのに余り勝手も言えませんから、止むを得ずこれから質問いたします。  先ずこの間提案者提案趣旨を承りますと、今まで東京都の都市計画というものは封建的なものであつた、それでこれを革命的な都市にして、民主的国際的な都市に変更されるのだということでありました。そこで終戦後満五ヶ年に垂んとしておるのでありますが、東京都においてどういう都市計画を立てておられるのか。つまりあくまで封建的な都市の延長としてやつておられる筈はないと思うのでありますが、今までそういう成案があつたのかなかつたのか、それを先ず伺いたいと思います。東京都知事が出ておられませんから、東京都の建設局長石川氏がおられるそうでありますから、参考人として同氏から答弁をして頂きたいと思います。
  4. 中川幸平

    委員長中川幸平君) 東京建設局長石川榮耀氏出席されておりますが、参考人として発言を許可して御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 中川幸平

    委員長中川幸平君) では御異議ないようでありますから、東京建設局長どうぞ。
  6. 石川榮耀

    参考人石川榮耀君) 東京都の復興計画につきまして、封建的なものが民主的に切換えるような計画があるかないかというお話でございましたが、これにつきましては取立ててそういう、明らかにこれといつて取上げて申上げることはございませんが、例えば東京都の一番の、在来都市在り方形態といたしまして、世界都市に比べましても最も封建的であつたと思われますのは、中心部に城郭があるという形態でございますが、それに対しまして、復興計画におきましてはその可なりの部分公園といたしまして、都民一般がこれを活用できる、又それを通じまして交通の……在来江戸時代を通じまして交通支障になつておりました部分に対しましても、極めて微少ではございますが道路を入れまして、交通上の支障を防ぐという形が、先ず現れました封建的な形態を民主的な都市といたまして切換えて参るという一つの最も具体的な例でございます。その他在来都市計画中心部の整備にのみかかつてつたのでありますが、今度の計画によりまして、極力一般民衆の住居に対しまして保健衛生的な、又極めて至便な所を與えたいという考から、中心部を離れまして郊外或いは郊外都市の中間の部分、申せば山の手沿線に沿いまして新しく民衆中心考えまして、そうしてそれを中心住宅区域計画いたしまして、そうして結局その場所が最も人口及び交通が集中し、風教から行きましても、或いは保安の関係からいたしましても、衛生の関係から行きましても、極めて陷り易き枠に陷り易いという考えから申しまして、この首都をできるだけ健全な民衆中心にするように、それぞれ特別区を設定いたしまして、これを中心に又区画整理というような形を取りまして、極力民主化と申しますか、都民一般の利益を均霑するように図つたわけであります。又交通機関に対しましては、これは計画がやや終つた形でありますが、地下鉄道その他あらゆる道路を八方にこれを張りまして、一般大衆交通の便に資するように考えます。  一応以上申上げまして、又何か御質問あればお答えいたします。
  7. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 尚お尋ねしますが、私共も、東京都におきまして終戦相当議を練られて、大復興計画というものができておることを聞いたのであります。それで随分それは衆智を集められて作られたものだと思いますが、この前の委員会での政府提案理由を拜聴しますと、何だかそういう復興計画なんかもできていない。できておるにしても甚だ不完全な、理想的なものでないようなものができておるように聞えるのでありますが、その点は東京都としてどういうふうにお考えになつているか。今まで持つておられる大復興計画なるものが甚だ不完全なものだと考えておられるかどうか、それを伺いたい。
  8. 石川榮耀

    参考人石川榮耀君) 不完全と申しますか、在来やり来りました都市計画手法を駆使するより仕方がないのでありますが、この手法につきましては、相当亘つた計画はいたしたつもりでおります。地域、或いは公園、緑地、或いは交通機関におきましては一通り議論を調えまして、世界の各都市計画とそう遜色ないと自負するようなものをやつたわけでありますが、ただこの前の御説明にあつたと思いますのは、それが結局において、戦後におきまして、先ず構想相当大きく取つたのでありますが、余り飛躍しないということを念頭に置きまして、六大都市並ということが多少あつたかと思うのであります。その点につきまして今回都市建設法案を御設定頂きますれば、可なり各方面との了解も得られまして、又我々だけでは到底実施が困難でありますので、高い、より秀れた機関等の御指導を得まして、更に世界の人に互して恥しくないようないろいろな案が出て参る、それを実行さして頂けると思のうでありまして、そういう点につきましては多少申せば巨大であつたというような点がないとは言えないと思います。それから実施面に対しましては、言わば六大都市並計画、それに多少東京としての、まあ人口その他を加味しましての計画はやつたのでありますが、その実施に当りましては、東京は御承知のごとく国際的な機関もございます。或いは国の機関も錯綜しております。その他いろいろございまして、到底在来の今まで我々の持つておりましたような構想だけでは、全然手も足も出ないという場合が多くございましたが、それらの点につきまして計画がなかつたという筈はございません。これは十二分にいたしたつもりでございますが、ただ首都としてここに改めて世界の、世界というのは何でありますが、首都らしい首都、それは当時の状況では本日只今我々が見ておりまするような形までやれるとは我々は余り期待しておりません。いわゆる敗戦直後でございましたので、非常にこの点低調な考だつたと思うのでありますが、今日只今見ますれば、非常な勢いでいわゆる首都らしい整形をやつております。又説明等によりますれば、恐らくは東京というものは日本における極めて代表的なものになるという形が各方面からもいろいろ助言を受けておるのでありますが、そういうところまでは計画上我々は勇気を出しておりません。我々が勇気を出す、出さないは、我々の微力で到底困難でございますが、更に言わば我々を監督し、我々を指導して頂く高いお智慧、高い力がどうしても必要であるということだけはここで申上げなければならないと思うのです。
  9. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 そういうまあ六大都市並であつたか、多少低調であつたか、そういう嫌いは免れないかも知れんが、計画はあつた。それでそういう計画一定作つて、そのままにしなければならんのではなくて、だんだん改善して、いいものを東京都としてみずから作つて行かれるべきものでありまして、こういう委員会作つて貰つて、そうしてその委員会首都建設計画を作成して貰うというような必要がどうしてあるのか、我々は了解ができないのであります。で、我が国として民主化の第一歩として、地方公共団体に対して強力な財源を與え、又地方自治を確立して地方自治権を強くするという方向に向つている秋に当りまして、東京都ともあろうものが、この計画を外の委員会に作成して貰う、政府に作成して貰うということは地方自治在り方と甚だしく背馳するような感じが私はするのでありますが、その点は東京都としてどう考えておりますか。それを伺いたい。
  10. 石川榮耀

    参考人石川榮耀君) 東京都としてそういう計画ができないではだらしがないというお話でございますが、申さば東京都飽くまで一地方公共団体でございまして、その意味におきまして如何に衆智衆智と申しますと何でございますが、まあ智慧を絞りましても限界がございます。考えられない限界がございます。その意味におきまして、在来五年の苦難を嘗めたのでございますが、結局におきまして一つ計画決定いたします前に、その関係者それぞれの間に繰返し繰返し協議がございまして、御了解を得なければなりません。そういうような場合に、国会において、首都建設することは国家一つの要務である、こういう御決定を願わない限り、これは單に東京と申します地方公共団体都市改修に過ぎない。そういつた形になりませんと、協議が成立いたしません上、おのずから案の構想もますます萎縮して参るわけであります。その意味におきまして、国会におきまして、国の総力を挙げて、国民意思表示によつて首都建設して行く、こうお決め頂ければ、今日山積いたしておりまするいろいろな計画もおのずから、糸の縺れが解けるように解けると我々僥倖いたしておる次第でありますが、実際に我々過去におきましても、微力不成績国民全体に対して申訳ないと思うのでありますが、この点御了承頂きたいと思うのであります。
  11. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 この提案理由に、首都建設法案は、国家的な要請に基いて取上げた、国家的問題としてこれを取上げておるんだというお話がありました。建設大臣がお見えになつているのですが、建設大臣首都建設ということを国家的要請考えておられますか。この点を伺いたい。
  12. 益谷秀次

    国務大臣益谷秀次君) 只今建設局長から答弁いたしました通り東京都は自己自身の力、能力において東京都のあらゆる方面計画立案はできるのでございますが、東京都の首都としての建前から、国家がこれに関與して行くということ、又強力な委員会作つて計画立案し、又これに対してでき得る限りの助成をいたして参るということは、首都立場から必要であろうと私は存じておるのであります。
  13. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 この首都建設ということは、非常に大事なことであるのでありますが、それが国家的要請であるというようなことになりますと、何故政府自身提案をなさらないか。議院提案になつておりますが、こういう問題が本当に国家的要請であるとすれば、政府が何故提案をされないか、その点を伺いたいと思います。
  14. 益谷秀次

    国務大臣益谷秀次君) 政府がみずから責任を以て法案を作成提出いたすこともございまするし、又今日は御承知通り新憲法に基きまして国会国家最高機関としてみずから立法せられる。これはいずれも政府が……国家要請の場合は政府がやらなければならん、或いはその他の場合は議院が提出しなければならん、さような立場から私共は、法案重要性と申まするか、ということを考えておりません。政府におきましてもみずから立案して提出いたすべきであつたかと存じますが、いずれいろいろ政府の気付かない点、又立案等に、何と申ますか、時期の上から見て遅延をいたすというような考から、衆議院においては首都立場から、かくのごとき法律国家的要請の下に必要であるという考から、みずから作成して提出せられたものと存じております。
  15. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 今建設大臣の御説は、固より国会におきましても政府提案しない重要なことについては、みずから提案するのは当然でありますが、首都建設というようなことは、これは非常に重要なことと思いますので、これまでの政府在り方では、そういう重大なものは政府みずから提案するということが今までの殆んど慣例的のことであります。国会の方でも政府のやらないことは、大事なことはどんどんやつて行きますが、それにしても何故政府提案しなかつたか、不審は残るのであります。併しこれは水掛論になりますから、これまでにいたしておきまして、それでは建設大臣として、首都建設法案には全体的に御賛成というふうに承知していいのでありますか。
  16. 益谷秀次

    国務大臣益谷秀次君) 首都建設法案に対しては、建設省といたしましては賛成をいたしておる次第でございます。
  17. 中川幸平

    委員長中川幸平君) ちよつとお諮りいたしますが、本会議関係で議長の方からちよつと委員会を休んで三十分程入つてくれというようなことですから、三十分担休憩したいと思います。    午後二時二十四分休憩    ——————————    午後四時四十二分開会
  18. 中川幸平

    委員長中川幸平君) 休憩前に引続いて連合委員会開会いたします。
  19. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 東京都の建設局長にお尋ねしますが、東京都は、この首都建設計画をこの法案によつてできる委員会作つて貰うということになつておるのですが。そういうつもりなのかどうか。  それからこの法律の十條、十一條、十二條、十三條におきまして、いろいろ国から東京都が期待しておることが書いてあるのですが、どういうふうに具体的に期待をしておられるか、それを具体的に話して貰いたい、條文は分つておりますので、この條文によつて具体的に東京都はどういうことを期待しておるのか、それを御説明願いたい。
  20. 石川榮耀

    参考人石川榮耀君) この委員会によつて全部完全な案をお作り頂くというのではございません。我々のすでにいたしました計画を吟味して頂きまして、それに対して順位をつけて頂くということもあり得ると思うのです。又委員会独自の立場から東京都に対してかくかくの案が首都建設事業として最も重要であるということについて御助言がございますれば、それに準じまして種々計画を進めて参る、或いは進んで最も基本的な御計画を立てて頂くこともあり得ると思うのでありますが、何かいたしましても我々は下位計画者でありますから、委員会独自の態度をお取りになると思うのですが、併しながらただ只今予想しておりまするのは三様の行き方があると思つております。  それから国から種々のことを期待するわけですが、東京都といたしましては、都議会におきまして何か上位の機関をお作り願うこと、及び国として積極的にお乘り出し頂きたいということを都議会から国会に対して御要請を申上げただけでありまして、内部につきましては国会の方でいろいろお決め頂くわけでありますが、中に盛つてありまする種々の点につきましては極めて結構な御趣旨が盛つてあると喜んでおる次第でございます。取りわけただ誤解をされては困ると思いますのは、この法案によりまして我々が尨大計画を期待しておりまして、その尨大計画に対して国家予算に無理を生じて頂くということは考えておりません。極めて最も軽微な場合におきましても、首都建設という事業は重要であるということを事業性格としてお認め願うというだけでも、いわば仕事順位或いは各国家機関相互の間における仕事の調整というようなことにつきまして、首都建設の大業が遂げられて参ると思つております。更に進んで起債等に関しましても、首都建設事業をやる上からは、起債に対して相当重要性を認めてやるというお考がありますれば、尚これなんかも極めて御期待申上げる問題であると思います。或いは又申上げていいかどうか分りませんが、見返資金というふうなことに対しましても、首都建設事業というふうなことが国家からお認め願えますれば、割当を頂くのに極めて有利であるとも考えております。更に最後といたしまして、国庫補助或いはその他の国家財産を御讓渡願う点につきまして、その場その場御無理のない程度におきましておやり繰り頂ければ非常に幸いと思います。この法案をお定め頂きました御趣旨をその点にあると思いまして喜んでおる次第であります。
  21. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 この十二條によりますと「東京都の区域により行う都市計画事業については、東京都が国の首都であることにかんがみて必要と認めるときは、建設省、運輸省その他その事業内容である事項を主管する行政官庁がこれを執行することができる。」、こういう規定があるのですが、これによつて執行して貰うことが沢山あるだろうと思う。それは全部国の費用でやつて貰う、こういうことになるんだろうと思いますが、その点を確めて置きます。  又十三條によつて国普通財産讓渡することができるとあるのですが、これは具体的にどういう普通財産を国から讓渡して貰う必要が起きて来るのか、それを聽いて置きたいと思います。
  22. 井手光治

    衆議院議員井手光治君) お答え申上げます。御承知のように、先程局長からもいろいろ御説明がありましたように、東京都は自治団体といたしまして非常に複雑なまあ性格を持つておることは御承知通りでございます。特に先程来御説明を申上げましたように、地方自治団体権能においては如何ともし難いという面も多分にある。それは具体的に申上げますというと、国家機関のいろいろな行政上でございまするとか、或いは建物でございまするとか、土地でありますとか、或いは軌道でありますとかいうふうな、本来の自治団体権能においては操作し得ない面が多分にあることは御承知通りであります。そういう意味におきましてはこの東京都の首都建設法委員会の定めまする計画と合致する面において、それぞれ各事業官庁はみずからの費用において若しくは他の国庫費用におきしてこれを行なつて差支ないようにして置いた方が、東京都の複雑性に鑑みましても、又実際の首都建設方面から言いましても、その方が具体的に実際に合致しておるという、そういう考で実はその十二條を考えたような次第でございます。  それからの後段の、これは勉強も不充分でありまして、十分のお答ができるかどうか知りませんけれども、都市計画法の第六條の二の規定にありまするように、この事業執行につきましては一定比率費用負担ということが決められてある。併しこれもつまり事業内容といたしまして国家的目的、又はその首都に供するために首都建設計画範囲において必要とする面におきましては、これは先程建設大臣からも御説明がありましたように、でき得る限りこれに国家も協力いたしまして、その第六條の規定に拘りませずその費用負担につきましても、その割合等の御考慮を煩わすことが適当じやないかと考えております。又十三條の……国有財産法の二十八條規定には、公共の用途が廃止なつ土地につきましては地方公共団体讓與するという規定がございますが、これは單に公共的な使用が停止になつて公用廃止なつたような二十八條財産ばかりでなしに、広く普通の土地建物等或いはその他の財産につきまして首都建設計画の上において必要と認められました場合には有償の讓渡の場合もありましようし、讓與意味を含みます讓渡の場合もあり得る。広い意味国家的にも一つ考えを頂いて東京都の権能範囲で又実力の範囲で解決する面もあるし、更に国のお力をお借りしなければならんという意味で、広い意味でこれはこの規定を設けた次第でございます。
  23. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 この委員会は何年ぐらい続くことを予定しておられるのか。つまり言葉を換えて言えば、首都建設計画策定はどのくらいの期間でおやりになるように考えておられるのか、それが一つ。  それからこの委員会は、第三條によりまして総理府外局として作られるのでありますが、この外局として作られることに、総理大臣がこの委員会指揮監督する。その指揮監督の強さ、これはどういうふうに考えておられるのか、それをお尋ねしておきます。
  24. 井手光治

    衆議院議員井手光治君) 大変むずかしい御質問でございます。実はこの法案の狙いといたしましては、先程しばしば御説明を申上げましたように、都市計画法若しくは特別都市計画法によりまして、東京自体がみずから実施して参りまする都市計画事業というものは、この立場と大体同じ線において実は進行いたすことに相成るのでございます。その外に首都建設計画委員会策定になります計画というものができまするならば、これと相並行しまして、その順位決定なり或いは施行の順序、方法というものが決められて参ると思いますから、一面におきまして東京自体都知事が進めます都市計画特別都市計画に基く事業とを相並行いたしまして進行いたしますので、具体的に申しますというと、その方の仕事が仮に八割だといたしますならば、委員会策定による事業は、或いは場合によつて二割、若しくは一割ということに実際はならんとも限らない、又逆の場合もあり得ると思います。しかし本来の計画事業というものは都市計画法の定めるところによりまして進行いたしておるのでございますから、それらの問題が具体的に完成をする、と言うことはどうかと思いますが、まあ大体の大勢の見透しがついたという時におきましては、委員会もこれは、もうなくてもその目的が達せられるという時期ではなかろうかと思うのであります。これもなかなか期限問題等につきましても、なかなか容易ならない事業でございますので、或いは大震災等の例によりますと五ヶ年間の東京復興計画というふうなものもございましようし、それぞれこれは委員会のみずからお考え方もございましようし、又計画の実態に即応いたしまして、どの限度が必要であるかということはおのずから決まつて来るのではないかと思います。確定した期限につきましては、十分お腹に入る程度の御答弁ちよつといたしかねるかと思いますが、そういう気持でおるわけでございます。それから委員会指揮権能は、これは一般つまり行政官庁指揮という限度を一歩も越えておりません。その点一つ御了承頂きたいと思います。
  25. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 総理府外局とするというお言葉で、非常に曖昧なのでございますが、いわゆる指揮監督はやはり総理大臣ができるということであると思うのであります。そういたしますと、委員会が第四條によりまして首都建設計画策定して、総理大臣指揮監督の下に首都建設計画策定して行く、而もその実施の推進に当る、こういうのでその下案というものは東京都から出るかも知れませんが、東京都という日本で一番大きな地方公共団体自治自主性ということが、極めて首都建設については制限をせられて来るわけであります。これに対して本多国務大臣出席になりましたが、首都建設法案と、東京都の自主性自治ということとの関連について、どういう本多国務大臣は意見を持つておいでになるか。それを承つておきたいと思います。
  26. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 本法案国会提出衆議院を通過しておるのでございますが、その趣旨とするところは首都たるの特質に鑑みまして、国におきましてもこの首都建設事業については特段の考慮を加え、適当な時に充実する施設をやるべきであるという国家的見地から、こういう委員会作つて特に力を注ぐべきではないかという趣旨であると思うのでございますが、それが東京都の自治性の過度の援助と申しましようか、そういうことになるといたしますと、これは行き過ぎと思うのでありまして、どこまでも適当なる委員を挙げてその委員会の研究の経論を政府にも勧告し、それから東京都にも勧告いたしまして、それを実行する段階におきましては、その前において東京都の賛成、同意を得て実行して行くという建前で進む、こういうふうになつておるようでありますから、善意の東京都に対する援助勧告はありましても、東京都の自治権を侵害するようなことはないのではないかと考えております。
  27. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 最後にもう一点東京都の方に伺つておきますが、この委員会の構成ですが、第五條で委員長建設大臣がなられた、九人の委員の中で、東京都を代表して出ておる者は東京都知事東京都議会の指名した東京会議員一名、こういうことになつておりますが、これで十分東京都の意思が反映し得るとお考えになつておるか。それをお尋ねしておきます。
  28. 石川榮耀

    参考人石川榮耀君) これで十分反映し得ると考えまするし、又反映し得るように努めたいと考えております。
  29. 吉川末次郎

    ○吉川末次郎君 私はこの前厚生委員会でも私見を加えて質問いたしたのでありますが、本日は政府側から二大臣その他の方がお出でになつておりますから、私はこの法案の議決権を持つております建設委員でありません、地方行政委員でありますが、意見を交えて多少質問をこの機会にいたしたいと思うのであります。午前の本会議におきましても、この法案に関連いたしまして本多国務大臣質問いたしたのでありますが、私が期待いたしておりますところの十分な御答弁を得ることができなかつたのであります。本多国務大臣の御答弁では、本法案国会提出案であるから、政府は余りそのことについては……今も私的にもお答えがあつたのでありますが、よく知らんというようなお考であつたようでありますが、只今この委員会におきましては、国務大臣である益谷さんも法案には建設大臣として賛成であるというところの、政府意思を表明しておられるのであります。それで今岡本さんは、東京都の自治を害さないかということの意味の御質問があつたのでありますが、私が午前の本会議におきまして本多国務大臣質問いたしましたのは、ただ單なる東京都の自治を害するというようなことだけではないのでありまして、新地方制度の基礎観念になつておりますところの、もつと広い意味においての地方分権主義、換言するならば反中央集権主義というものに反しはしないかということの質問をいたしたのでありますが、本多さんの御答弁は要領を得なかつたのであります。この機会にそれについての御答弁を益谷さんからでも、本多さんからでも、どちらからでも結構でありますからして頂きたいと思いますが、少しく詳しく申上げますと、中央集権或いは地方分権と申しまするというと、主として法律的な立場からの権力関係のことのみに限定されておるようでありますが、それも承りたいことの重要点の一つであります。  即ち権力的な関係において、地方自治法の基本観念であるところの地方分権主義に反対するところの法案である。明らかにその法律案の内容を見ますと、これは東京都の都市計画につきましては、国の権力を中心といたしまして建設大臣がその計画を樹立するところの委員会の長となつて、これを実行して行こうというのであつて、又東京都側かのら期待は私共の聞くところによると、この法案はもつぱら前東京都長官であり、又元神祇院の総裁であつた飯沼一省君の起草にかかるものであるということでありますが、東京都の方面からは、できるだけ国の援助を特別に獲得しようということが……露骨な表現で申しますならば、その本体をなしておるものではないかと考えるのであります。先ずその権力的な、行政組織の面においての権力的な関係においての中央集権主義は、地方分権主義の地方自治法の基礎観念に反しておるものであるということについての政府答弁を得たい。  併しながらこれは單にそうした権利関係の中央集権或いは地方分権ということではなくして、東京都が日本における経済力及び文化力の、非常な一国としての過度集中の中央都市になつておる。即ち分り易い言葉で言うならば、日本の経済力及び文化力というものが、非常な頭でつかちになつておるということは、これは非常にアブノーマルな日本国民生活の実態であつて、これを直して行くということは、日本の国内政策におけるところの基礎観念として、極めて重要なことでなければならんということを私は理論的に考えておるのであります。そういう考えから、この法案というものがこれに相反する、私の考えておるまするその頭でつかちの不健全なる文化力及び経済力の中央集中を地方的に分散して行かなければならん、即ち文化力及び経済力を地域的に東京にばかり集めるのでなくして、普遍化して行かなければならんという観念に背反するものであるということを考えるのであります。それは経済的に考えまするならば……先般も言つた事でありまするが、資本主義の経済組織というものが、必然的に都市が農村を搾取して行くという関係に立つておるのであります。換言するならば、都市の産業の中心をなしているところの商工業というものが、資本主義経済の下においては、必然的に農村の経済の中心をなしているところの農業よりもプロフイタブルなものである、即ち利潤の高いものなのでありまするから、当然に都市は農村よりも富裕な経済生活を営むことになつて行くという面を資本主義経済組織そのものが持つておる。同時に資本主義経済組織は、地方の中小都市が更に大都市にその富力、経済力を集中して行くところの必然的な一つの傾向を持つておるのでありまするから、地方の中小都市よりも東京にいろいろな富が集中して来る必然性があるのであります。尚そういう明治政府以来の日本の資本主義的な発達というものが、東京にそういう関係から非常な富力をば集中して来たのでありますが、もう一つ東京をして今日人口を非常な類例のない、六百万、七百万というような大都市を作らしめ、又財力も、ざつとした統計におきまして……人口は一割にも満たないのであるけれども、その富というものは日本の全体の国民の富の約三分の一東京が持つておるというような、そういうアブノーマルな富力の地域的集中というものは、今言うところの資本主義が、都市が農村を搾取し、又大都市が中小都市をば搾取して行くということの関係の上に、もう一つ、明治政府以来の政府が執つて来たところの非常なアブノーマルな、先程申しました中央集権政治のためなのであります。それは即ち日本の資本主義というものが世界の資本主義より非常に遅れて発達いたしましたがために、日本政府は、それに追いつくがために、日本の資本主義の発達を助成するために、非常な政治力をそこに加えなければならなかつたのであります。でいわゆるそれは殖産工業政策というような、官僚を中心とするところの中央集権的な政府の庇護の下において、日本の資本主義は短期の間に今日の発達をして来たのであります。でありますから、資本主義的な経済経営を基本といたしましておりますところの企業、殊に大企業におきましては、すべて政治と関連性においてそれが発達して来た。端的に言うならば即ち御用商人が日本の資本主義経済の発達の中心をなして今日まで日本の経済が発達して来たのであります。従つて必ずそれらの大会社のようなもの或いは大銀行のようなものは東京に本店を置く、営業の中心をば東京に置かなければならん。そういうようなことにそれが現れておるのであります。そういうような資本主義の必然性と、そうして又特殊的な日本の資本主義経済発達のための政治力の非常な拡充というものが、今日の東京をしてこうした頭でつかちの大都市をば作り上げて来たのであると思うのであります。  で今文化力の過度流中ということについても申上げましたが、文化力というものは結局これは経済的に考えますならば即ち富の余剩であります。即ちウエルスの……サープラス・オブ・ウエルスなんでありますから、富が集中するところに文化力が又集中されるということは必然なのでありまして、例えば東京においてどれだけ文化力が集中されておる、ざつとした私のこれは考でありまするが、日本の大学や專門学校の卒業生というものは、数でどれだけ東京に集つておるかということは、地方及び中央の大学、専門学校の卒業生は半分以上、恐らくは七、八割が又皆東京へ来て生活いたしておるのじやないかと思うのであります。これは非常にアブノーマルな一国の発達状態であるということを我々は考えなければならんと思うのであります。大学、專門学校というものは、どれだけ地方の都市に比べて東京に過度集中されて来たか、今日新制大学等を合せまするならば、私は恐らく百以上の大学が東京に集中せられていると思うのでありますが、これまで全然そういうものが地方の各府県にはなかつたのでありまするから、今度の新制度によりまして、少くとも各府県に一つの国立大学を持たなければならんというので、師範学校ぐらいを基礎にいたしまして、今日各府県共その国立大学を建てるために四苦八苦いたしておるのでありますけれども、東京には何百というような大学が集中されておる。又劇場なんかを見ましても、これは本多さんも西洋をお廻りになつてよく御承知であろうと思うのでありますが、或いは歌舞伎座であるとか、東京劇場であるとか、或いは帝劇であるとか国際劇場であるというような劇場は、これは世界の大都市におけるところの一流の劇場と比べましても、それ程見劣りは私はしないと考えるのであります。ところが、そういうような大劇場、立派な劇場が、地方の都市一つとしてあるかというと、殆んどこれは類例がないと言うてもいいくらいであります。それほど文化力や、或いはその基礎であるところの経済力というものが、非常にアブノーマルな過度流中を東京にせられておる。これは、我々地方行政法律を立案いたしますところのものからいたしまして、日本の地方行政というものは、私たびたび言うことでありまするが、行政学の一部門として法律学的な面からのみ地方行政考えられて来たのでありますが、こんなことは末の末であります。重大なことは経済的、社会的見地から地方行政考えて行かなければならないということでありまして、そういう観点から日本の地方行政を観察いたしまするときに、このアブノーマルな、頭でつかちの東京に集中しているところの富と、そうしてこの文化の力と、そうして今日までのこの不当なるところの政治力というものをば、国内の全般を普遍化するように分散さして行く、デイストリビユーシヨンされて行く、ローカリゼーシヨンされて行くということが、私達地方行政の担当の任にありますところのものからいたしまして、地方行政の最大重要な観念でなければならんと考えております。  この法案は私共が見まするところ、関東大震災のときに特別に、一般都市計画法と別個に作られましたところの、その最初の名は、これは途中で変つたのでありますけれども、その初めの案といたしましては、帝都復興計画法案というものが提起されたのであります。本多さんもその当時復興局にお出でになつたそうでありますからよく御承知のことだと思いますが、それが後には、特別都市計画法というふうに変つたのでありますが、ともかくも日本国民を支配して参りましたところの皇室に対するところの宗教的な感情と、そうして今の特別の中央集権政治的な概念とをうまく結び付けまして、そうしてこの関東大震災を機といたしまして、何が何でも玉の官房のあるところのこの皇都というものの再建のために、地方の富を集中しなれけばならん、地方の経済力というものをぼ東京に非常に、あのときうまく集中いたしまして、そうしていわゆる帝都の復興というものができ上つたのであります。固よりそれは、こういう地震を受けて特殊的に被害を受けたのでありますからこれを、国家事業といたしまして、被害を受けなかつたところの地方民が援助いたしますることは当然でありますけれども、それも今言うように、中央集権政治と天皇崇拜、或いは皇室に対するところの特殊観念とを非常の利用して、そうして地方民の立場からいたしますと、非常な搾取を一面において地方民が受けて来たということは私は言い得ると思うのであります。それと同じような観念で、今日新憲法によつて民主主義の政治が行われ、又地方分権の地方行政が行われなければならないときにおいて、玉の官房の宮城のあるところの東京をば、何が何でもそこへ地方の富を集めて来て立派にしなければならんというのと同一の観念にこれが立つて計画されておるということが、私の観点からいたしますると、私は吉田内閣の閣僚諸君、殊に地方行政のことを分担するところの本多国務大臣並びに益谷建設大臣がもつと広い高邁なる、博大なるところの政治家的識見において、ステーツマンシツプにおいて、私は日本国民の地方民を網羅したる全体の発達のために、十分にこの法案について私は考慮して貰いたいと要求することの主眼点なのであります。今日実際上この法案を作製いたしましたところの東京都の代表者である知事が参つておりませんが、その代理として私の多年の親友であるところの石川榮耀君見えて、先程来いろいろと御説明がありましたが、東京都の立場からいたしまするならば、できるだけ国費で以てこの復興をして貰うというようなことは、これはもとより賛成するところでありまして、望むところであります。地域的には東京都の人ができるだけ国費を東京都の復興のために使つて貰いたいということを希望される気持は十分分るのであります。併しながら一国の大臣である人は、ただそんな地域に偏したところの東京だけを地方の富をここに集中して、立派にして行くというような、そうした偏した観念に立つてその態度を決定いたしますならば、これは東京都の地方的な役人か、地方議会の議員の観念と同一なものになつて来ると思うのでありまして、その点について私は国務大臣である諸君が、そうした普遍的なステーツマンシツプの上に立つて考えて頂きたいと思わざるを得ないのであります。成る程その言われるところを聞きますと、東京都は大都市であり、又キヤピタル・シテイであるという関係から、特殊的な関係の施設を持つたところのものが多数あるから、現在の都市計画に関するところの法律である都市計画法及び特別都市計画法だけでは、不便なところが多々あると言われるのでありますが、私は細かいことは昨今都市計画法規のことは特に勉強いたしておりませんから、詳しいことは申上げることはできませんが、一応はそういうこともあるかとも思うのであります。若しそこにそういうことがありましたならば、それはただひとり東京都のみに考えないで、同じように、これは東京都に、そういうようなこの罹災の復興に対して国との特殊的関係を作らなければならん、或いは隣接するところの都市東京でありますならば、横浜であるとか、そういうような地方との特殊的な関係考慮して行かなければならんというようなところがございましたならば、それは例えば、大阪なら大阪を復興するにつきましても、隣接するところの京都であるとか、或いは神戸と同様にやはり連関性を持つて計画を樹立して行かなければならんということもあり得ると思うのであります。又中部地方でございますところの中心都市である名古屋についても同様なことが起つて来るのであります。又北九州の中心都市でありますところの福岡においてもその関係は異なるところのものではないのじやないかと思われるのであります。でありますから、私は大体におきまして、現に行われておるところの都市計画法規だけで十分私は、その東京都が所期されておられるところのこの計画をやつて行くということについてはさしたる不便はないものであると私は思うのであります。でありますから、午前の本会議におけるところの質問におきましても、この法規は実に屋上屋を架せるところの無用なるところの法案ではないかということについては御見解を質問したのでありますが、十分なる御答弁を得られることができなかつたのであります。併しその必要がありといたしますならば、若し現行法規以上に別個の都市計画に関するところの法規を制定するところの必要がありといたしまするならば、これは長年の間日本都市計画の研究者の間によく言われておりますような、この地方計画法、レージヨナル・プランニングに関するそういう法律をお作りになるということによつてそれを満たし得るのじやないか、全国的にその必要に応じたところの別の法律をお作りになるべきであつて、ひとり首都であるからというので、昔と少しも変らないというところの経済力と政治力とそうして文化力とをこの上更に又東京に集中して行くことに役立つような、東京都のこういう法律をお作りになることは、私はいけないのじやないかとそういうように実は考えておるのでありますが、以上私の述べましたことに対するところの益谷建設大臣並びに地方行政の担任大臣であるところの本多国務大臣の明快なる御答弁を承りたいと思うのであります。
  30. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 吉川さんの最初の御質問は、これは中央集積的であり、権力的にこの首都建設事業委員会が働くのではないかという御趣旨でありましたが、これは首都であるという特質からいたしまして、国といたしましても、国の施設或いは国家的施設の特に多い首都であり、又首都たるの品格ということ、その他首都としての條件については特段の希望があるわけであります。そうしたことを監督官庁と東京都という立場でやつて行くよりも、こうした委員会を設け両方へ関連する人達が集まりまして相談し合つて進めて行くことは、これは権力的でもありませんし、又その方が理解も早く、国の立場から要請するところの適正規模というような希望も了解の下に入れられるというふうになりまして、これは国という立場からも首都という立場からも都合がよく行くのではなかろうかと、こういう見地から有意義な立法でないかと考えている次第でございます。更に次の問題の富の集中というところについてでありますが、この法律自体は経済力集中、富の集中、又国家的富の偏在というようなこと、そういうことを考えて帝都が建設されることに盡力する委員会ではないと思つております。帝都としては品格を備え、更に又どういう適正な規模でやるべきかということの観点から研究されることと思うのでありまして、むしろ不自然に、無制限に膨脹する。そうして経済力や人口が集中するというような場合には、国家立場からこの委員会を通して国家的要請を以てそういうことの調整も行なつて行けるようになるのではないかと思われるのでございます。そうした点からこの法律は、これは首都たる特質を考えました場合に、理解し合つて、そうしてそこに案が得られて、それに基いて勧告がなれさる、国の方でも建設大臣が代表として出ておられますということになりますと理解が早い、都の方でも早いということで、国の希望する規模、東京都の計画する規模というものがそこに調整されて都合よく行くのではなかろうかと思いますので、この法律が直ちに権力的になり、中央集権になるとか、或いは経済力の不必要なる程度までの帝都集中を考えているとかというふうに実は解釈いたしておらないのであります。むしろ国家的に不当である場合には、あまりに大規模な建設に対してこれを国家的見地から抑制するというような場合の働きにも役立つものではないかと、かように考えておりますので、御了承願いたいと存じます。
  31. 吉川末次郎

    ○吉川末次郎君 益谷さんからも御答弁を頂きたいと思いますが、只今本多国務大臣の御答弁でありますが、東京首都として国との関係においていろいろ相談し合つて行くことがいいのじやないかというところのお話でありますが、それはこの法案について本多さんまだ十分の御研究をしておいでにならないという御自白でありましたが、現在の都市計画の法規によりましてもあなたがおつしやるだけのことは十分できるのであります。又今までそれをして来たのであります。それにも拘らずこういう別個の地方都市と違うところの法律を作るところの理由がどこにあるかということを私は問題にいたしておるのでありまして、あなたがおつしやるだけならば、何もこういう特別法を東京に作る必要はないのでありまして、現行法規で十分その目的は達成できるのであります。又直接的に都市計画というものが、何も富の中央集中ということを直接的な対象にいたしているところのものではないのであります。併しながら先程来申しましたように、東京首都であるからということで以て国が特別の法律を作つたり、又この法律内容をなしておりますところの眼目はいろいろな国の施設をば東京都が便宜に利用することができる、いろいろな譲渡を受けるとか、それを利用することができるというようなことがこの中枢観念をなしておるであろうと思うのでありますが、普通の都市とは違つて、特別の保護を国家から受けるような法律を作るということが、即ち私がさつき言いましたところの東京都に、首都であるからというので経済力の集中を来たして来ることは、即ち政治力をそこに加えて、更にそれを激化するところの原因になるということを言つておるのでありまして、全く私が言うておることに該当するところの一つの現れなのであるということについての、十分の私の申上げることについての御理解がなかつたように思われるのであります。首都であるからといつて、これがアメリカの首府でありますところのワシントンのような、極めて経済力というものから離れておりますところの純然たる政治都市であるというような場合におきましては、国といたしまして何らかの保護を特別に考慮するというようなことは非常に必要であると考えるのでありますけれども、さなきだに先程申しましたような理由で以て、明治政府以来東京はいろいろな点におきまして地方都市に比べて便益と利益を得て来たのであります。でありまするから、その結果が先程申しましたように、日本の富の三分の一をここに集中してしまうというような結果を来たしておるのでありまするから、自然に抛つたらかして置きましても、東京の持つておりますところの経済力で十分に地方の都市に比べても優越して復興して行くところの基礎的な力を持つておるのであります。それにも拘らずこういう法律作つて、更にこれをエンカレツジして行く必要はないのじやないかということが私の申上げておる点なのであります。もう一度御答弁願いたいと思いますが、合せて益谷建設大臣からも私がお伺いしたことについての御答弁を願いたいと思います。
  32. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) これは、たびたび申し上げますように国会提案でございますので、これを拝見いたしまして考慮いたしたのでございますが、国が、首都という持殊性から、特に国家的な要請で施設をして貰いたいという点も、他の都市とは違つた関係にあると思うのでございまして、そうした点に鑑みましてこの法律はこれが成立いたしましたならば、そうした意味において有意義に働くものである、こういうふうに解釈いたしておる次第でございます。
  33. 益谷秀次

    国務大臣益谷秀次君) この法律を、従来の都市計画法で十分じやないかと言われるようでありますが、従来の都市計画法では、御承知通り首都であります東京などの建設計画を作成いたして、又実行いたしまするためには非常に十分ではないのであります。即ち本法によりまして、勧告でありまするが、他の交通関係とか、その他いろいろの関係都市計画ではできない方面をこれで処理いたして行きたいという点が狙いであります。即ち本法によりますると、第十二條が大体従来の都市計画で、その上を行く都市計画の基準を定めたいというのが大体第十條、第十一條であります。そういう関係でありまして、この法律が施行せられましても、地方自治の権限を束縛する、或いは中央集権的になるというような憂えはないと存じております。更に先程本多国務大臣からも答弁をいたしました通りでありまするが、東京都において経済力の集中、或いは文化の集中、いろいろ人口の集中ということがあるということでありまするが、それは私共も過度な経済力の集中というものは何処までも排除いたして参りたいと存じておるのであります。而もこれまでは只今御指摘の通り皇居があります、これを中心といたしましても中央の官庁が全部東京に集められている、又学校、文化施設等も集つておるというような関係上、経済力の集中その他文化等の施設の集中があつたのでありまするが、これはこれまでとても弊害を認めておる点でありまするから、今後この委員会におきましてはそれを是正いたして首都にふさわしい計画を作成いたして、推進いたして参りたいと考えておるのであります。
  34. 吉川末次郎

    ○吉川末次郎君 最後に……私もう質問を止めますが、二大臣の御答弁を承りまして、私の申上げておることを十分御理解をせられておらんようでありますが、これ以上問答を繰返したところで無駄でございますから、甚だ不満足な感を持つておるということを申上げて、質問をこれで私は止めます。
  35. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 実は吉川さんの御質問意味は御了解申上げておるつもりでございますが、答弁でございますから、その半面の又見方も申述べざるを得ないのでございまして、御趣旨はよく了承して、その上で半面をお答えいたしたと、一つ御了承願いたいと思います。
  36. 北條秀一

    ○北條秀一君 議事進行について……私は緑風会に属しておりまして、本首都建設法案についての、緑風会の態度は決定しておりませんので、私は一委員としての立場から、質問、或いは乃至討論するつもりでありますが、先程来、岡本委員及び吉川委員からそれぞれ詳細な御質問があり、更に又それに附加して御意見も若干あつたのでありまするが、私、全く両委員の見解と一致したものを持つておるのでありますが、従つてそういう立場から、私はこれについての質問をするために、相当の時間を頂きたいと思うのでありますが、そうなりますと、とても今明日ではこの問題を片付けることができないと思いますので、そこで私はこの際議事進行の動議を出したいと考えたのであります。それはむしろ首都建設法案は、国家的に見ましても非常に重要な法案であり、相当にこれに対して、愼重な審議を続けなければならんのでありますが、さればといつて別に提出されましたる別府国際観光温泉文化都市建設法案は愼重な審議を欠いていいということは言わないのでありますけれども、むしろ先程両委員からの諄々と説明されました点から鑑みましても、この別府観光温泉都市建設法案を先に審議した方が能率的であるとも私は考えますので、この際首都建設法案を後廻しにして、別府都市建設法案を先に審議されることの動議を出したいのであります。御諮り願います。
  37. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 今北條委員の動議がありましたが、実はこの前の委員会で、現在の法案を、一応提案理由を承つて……これに対しても、大分要望なんかもしてあるようです。でありますからして、今これを後にして、別府の都市法案を先にされるということは不賛成です。
  38. 中川幸平

    委員長中川幸平君) ちよつとお諮りいたします。北條さん今明日ということをおつしやるけれども、そういうような相談は一つもないので、連合委員会はもう暫く継続いたすことに相談ができておるのです。そういう関係上、本日はこの程度にして、そうして連合委員会を継続するということにお願いしたいと思います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 最後に、もうこれで止めていいですが、この前の委員会に、この法案を審議する前に、どういう性格首都をお造りなさるか、先ずこの案をお持ち下さい。これは固より形のある法文ですが、これに対しては、第一決定なさる首都の適性とか、そういうことをよく審議したい。であるからどういうふうの性格をお持ちになつておるか、或は図面でもいい。お持ちになつた筈だ。それを又提案者も出すということをこの前おつしやつたんです。そこにお持ちなら図面を貼つて欲しい。若しお持ちでなかつたらこの次の委員会に、どういう性格首都をお造りになるか、その立派な計画を持つておるか、それを見ない以上審議できない。
  40. 佐々木鹿藏

    ○佐々木鹿藏君 私は北條委員の動議に賛成いたします。この首都法案は非常に重要でありますので愼重を要すると思います。又別府法案も簡単とは申しませんが、これらの法案は先におやりになつた方が片づきが早いという見解から、この動議に賛成いたします。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 北條秀一

    ○北條秀一君 動議は成立しておるんですから……。
  42. 岩崎正三郎

    ○岩崎正三郎君 議事進行について……大分いろいろ拜聴しておりましたが、成程首都法案もこれは重要な法案であります。別府の問題も同様でありまするが、私はどつちにしても、そう慌てないでゆつくり審議する必要があると思うんです。で、本日はこの程度で打切つて貰いたいと、かように存ずる次第であります。
  43. 中川幸平

    委員長中川幸平君) 北條さん、そういうようなことにどうでございますか、ずつと継続するんですか……。
  44. 北條秀一

    ○北條秀一君 私の申上げることは今日止めることはいいのです。でありますが、首都建設法案を後廻しにしてはどうかということが私の動議で、それに佐々木委員から賛成があつたんですから、動議が成立したんですから、委員長はそれを決めておいて頂きたい。はつきり決めておいて頂きたい。
  45. 岩崎正三郎

    ○岩崎正三郎君 その動議は両委員長で相談して、これを先にやるかやらんかは、両委員長に一任するということに願いたいと思います。
  46. 中川幸平

    委員長中川幸平君) どうも動議としてお諮りするのもちよつとまだ早いから……。
  47. 佐々木鹿藏

    ○佐々木鹿藏君 それは話合い結構です。
  48. 中川幸平

    委員長中川幸平君) それではこの程度にして本日は散会いたします。    午後五時三十九分散会  出席者は左の通り。   建設委員    委員長     中川 幸平君    理事            岩崎正三郎君            仲子  隆君            赤木 正雄君    委員            島田 千壽君            石坂 豊一君            大隅 憲二君            佐々木鹿藏君            安部  定君            北條 秀一君   地方行政委員    委員長     岡本 愛祐君    理事            吉川末次郎君            岡田喜久治君    委員            三木 治朗君            堀  末治君            谷口弥三郎君            柏木 庫治君            太田 敏兄君   衆議院議員            永田  節君            井手 光治君   国務大臣    建 設 大 臣 益谷 秀次君    国 務 大 臣 本多 市郎君   政府委員    地方自治政務次    官       小野  哲君    大蔵事務官    (主計局長)  河野 一之君    建設事務官    (都市局長)  八嶋 三郎君   参考人    東京建設局長 石川 榮耀君