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1950-03-25 第7回国会 参議院 建設・地方行政連合委員会 第1号
公式Web版
会議録情報
0
昭和二十五年三月二十五日(土曜日) 午前十時五十八分開会
—————————————
委員氏名
建設委員
委員長
中川
幸平
君
理事
岩崎正三郎
君
理事
仲子 隆君
理事
赤木 正雄君 島田
千壽
君 石坂 豊一君 大隅 憲二君 石川 一衞君 田方 進君 安部 定君 久松 定武君 北條 秀一君 細川 嘉六君
佐々木鹿藏
君
地方行政委員
委員長
岡本
愛祐
君
理事
吉川末次郎
君
理事
岡田喜久治
君
理事
林屋亀次郎
君 三木 治朗君 黒川 武雄君 堀 末治君 岩木 哲夫君
谷口弥三郎
君 柏木 庫治君
西郷吉之助
君 島村 軍次君 鈴木 直人君 太田 敏兄君 濱田
寅藏
君
—————————————
本日の
会議
に付した事件 ○
首都建設法案
(
衆議院提出
) ○
別府国際観光温泉文化都市建設法案
(
衆議院提出
)
—————————————
〔
中川幸平
君
委員長席
に着く〕
中川幸平
1
○
委員長
(
中川幸平
君) 只今から
建設
、
地方行政
両
委員会
の
連合委員会
を開会いたします。慣例によりまして、私が
連合委員会
の
委員長
の職を務めさして頂きます。
首都建設法案
並びに
別府国際観光温泉文化都市建設法案
につきまして、
提案者
の
説明
を聞くことにいたします。先ず
首都建設法案
について
提案者
から御
説明
を願います。
提案者
の
衆議院議員井手光治
さん。
井手光治
2
○
衆議院議員
(
井手光治
君)
首都建設法案
につきまして、
提案理由
を御
説明
申上げたいと存じます。その前に本
法案
の提出に至りまするまでの
関係各位
の御高配に対しまして、この機会に厚く御礼を申上げたいと存じます。 元来
都市
の
機能
というものは、国内の諸
地域
及び
世界各地
との
関連
におきまして考慮されねばならない。 敗戦により
我が国
は将来
永久
に戦争を放棄し、自由と平和を愛する
文化国家
を
建設
することと
なつ
たが、
東京
都が
我が国
の
文化
を象徴する
文化都市
として、新たに
世界各国
と
関連
を持つ上においても将た又
我が国経済
の
中心地
として
世界経済
と密接な
交渉
を持つ上においても、
我が国
の
首都
として十分にその
機能
を発揮し得るよう
整備
されることが絶対に必要である。先に公布せられた
広島平和都市建設法
、
長崎国際文化都市建設法
が広島、長崎をして各
平和都市
、
国際文化都市
として生れ変ることを
世界
に宣言したことが
国際信義
を高揚する上において多大の意義があるように、
我が国経済
、
文化
の
中枢
である
首都
として十分にその
機能
を発揮せしめ得るよう
整備
することが絶対に必要な
事業
であり、これが
国際文化
の
向上
、
世界経済
の
繁栄
に寄与するところ大なるものがあると考えられるのである。
飜つて
過去の
東京
を見るに、
東京
都が明治以来
首都
であつた点においては今改めて言うまでもないのであるが、従来の
東京
都は
政治
、
経済
、
文化等
の
中枢
であり、
世界各国
と
関連
を持つ上の
中心地
であるというよりも、むしろ
徳川時代
において京都が都であつたように宮城を
中心
とした封建的な都、いわゆる
帝都
として存在したと言い得るのである。
従つて
そこに
建設
せられる
国家
の
重要施設
も
首都
としての
機能
を発揮する上に如何なる
影響
を与えるかについては考慮されること少く、個々別々に
建設
せられる
状態
であ
つて
、
都市能率
の
向上等
は全然無視せられていたと
言つて
も差支がないのであります。又
首都
であるために他の
都市
と比較して如何なる特別な取扱いをなしていたかについては、その
行政
におきまして都制を施行する等、或る
程度
の特別な
措置
を講じてはいたのでありますが、その
首都
としての
都市
の
施設
の
整備
については何ら他
都市
と区別を与えられていないのであります。ただ大正十二年の
大震災
の
復興事業
において、国がその一部を直轄し、或いは
補助
を
なす等
、国において相当な
援助
を与えているのを見るのでありますが、これが果して
首都
であるという見地から特別な
措置
を講じたものであるかどうかは、横浜市の
復興
についても同様の
措置
を講じている点から見て疑問とするところであるのであります。
都市計画
は
市区改正
以来引続き施行せられていはいるが、これは他の
都市
と何ら異るところなく、
都市民
の
安寧
を維持し、
福利
を増進するという点に立脚するものでありまして、特に
全国
的或いは国際的な
関連
を考慮して総合的に
計画
され、
実施
せられたとは言い得ないのである。仮にこれを考慮したとしても、
都市計画法
第
一條
には「
都市計画ト称スルハ交通
、
衛生
、
保安
、
経済等ニ関シ永久ニ公共
ノ
安寧
ヲ
維持シ
又
ハ福利
ヲ
増進スル
為ノ
重要施設
ノ
計画ニシテ
」とあり、従来これに含まれるものであれば
文化
的諸
施設
と雖も
都市計画
として決定し得るものと解釈せられ、相当多数に亘
つて
決定せられているけれども、
首都
における
政治
、
経済
、
文化
の
中枢活動
に対しまして、
首都
を
首都
としての
機能
を十分に発揮せしめるためにはこれらの
施設
だけでは尚十分ではないのである。而して我が
東京
都は
罹災面積
におきまして実に四千三百万坪、
全国
の二四%、その
人口
において約三百万、
全国
の三一%、
罹災家屋
において約七十万戸、
全国
の三一%、その
物的損害
においては当時の
物価
においても百二十三億という莫大なる
戦災
を受けて
終戦
を迎えたのでありますが、その
復興
に当りましては、
大震災
の被害は
罹災面積
は
戦災
の約四分の一であり、
罹災人口
は
戦災
の約二分の一でありますが、
復興事業
において
国家
において与えた
助成
、即ち総
事業費
約六億六千万円中、国において施行し、或いは
補助
を与えた額四億四千五百万円、約六八%に相当する国の特別の
措置
の例に徹しましても、当然与えられなければならないものを
戦災復興
においては
事業費
に対する
助成
の比率については一
地方都市
と何ら異ることなく、その
復興事業
の
面積
においては
地方都市
においては
罹災区域
の全
面積
に施行しているにも拘わらず、
東京
都においては
罹災
全
面積
の僅かに約十分の一の
区域
にしか
実施
し得ないような
状態
であるのである。冒頭に述べたように、新らしく
平和日本
の
首都
として
国家
の協力の下に
整備
、
建設
せられなければならない
首都
の
復興
において、かくのごとき
状態
であるのは誠に寒心に堪えないところであります。 併しながら
終戦
後の
復興都市計画
においては、
我が国
の
首都
としてその
機能
を発揮し得るよう鋭意
調査研究
を遂げ、
道路
、
河川等交通施設
において、
公館地区
、
用途地域等
、
土地利用計画
において、或いは
公園
、
緑地等保健施設
において、
都市計画
として決定し得るものについては極力考慮を払い、逐次決定をしたのでありますが、その
計画
は依然として一
地方公共団体
の
計画
であるとの感を与えたのみならず、
都市計画施設
として例えば
鉄道
、
軌道
、
道路
、
河川
、
下水等
を決定しても
道路
には
道路法
があり、
河川
には
河川
法あり、
鉄道
、
軌道
には
鉄道法
、
軌道法
があり、下水には、
下水道法
があるというごとく、殆んど全部が
単独法
によ
つて
処理し得られ、
都市計画法自体
、他の
法律
によることを拒否していない以上、
計画
に従うことを強制する何らの
規定
もない
関係
もあ
つて
、それぞれの
施設計画
が決定せられた
都市計画
に即応せず、これを無視して個々別々に
実施
せられる実情もあ
つて
、
復興計画
の将来の完全な
実施
を困難ならしめる
状態
に立ち至
つたの
である。 人或いは、
東京
は
人口
は大であり、
面積
も大であり、
重要産業
、
交通施設
が集中しているから、これらの
事業
に対する財源を持
つて
いるだろうから、早急に
実施
すればその懸念も解消するのではないかと言うかも知れない。併しながら
戦災
の痛手は
公共施設
の
復旧
に例をと
つて
見るに、
道路
においてその
復旧
に約九十四億を要するにも拘わらず、施行せられたのは約六億であ
つて
、その
進捗率
は
終戦
後五年にして僅かに六%、
公園
においては一億に対して千四百万円に約一四%という
状態
であるから、
復興計画
の
実施
ごときは到底本格的な着手は不可能であ
つて
、その現況は
計画
せられた
道路
、
区画整理
、運河、
河川
、
高潮防禦
、
排水場
、
河川埋立
、
公園緑地
、
塵埃焼却場
、
港湾
、上水道、
下水道等
の総
事業費
、約四千億円に対し、約四十六億、現在の
物価
に換算してでありますが、かようであ
つて
、約一、一%という誠に心細い限りであります。これは
戦災
による
経済力
の
復興
が依然として進まないのに加へ、数次に亘る水害が又その
復旧
に莫大な費用を要したのにもよるのであるが、その
状態
は次第に
首都
であるとの
構想
の下に立てられた
計画
が従来の
復旧
に大差ない
程度
に後退せざるを得ない
状態
に立至
つたの
である。これは
国家
が
首都
の
建設
に余りに無関心であるということが大なる原因であると指摘し得るのであります。
終戦
後
東京
都が
首都
として国際的な
関連
を持
つて
来たことは大なるものがあ
つて
、その結果は
交通施設
において、又は
保健施設
において、或いはその他の
文化施設
において早急に
整備
を要するを感ずるのであるが、近く行はれるであろう
講和会議
後においてはますますその必要を痛感することを予想せられるものであります。 以上述ベましたのが
首都建設法
を必要といたしまする
理由
でありまして、然らば
首都建設法
の意図する点については如何なる点を意図しておるかということにつきまして、簡単に申述べて見たいと存じます。 その第一点といたしましては、
東京
は飽くまで一
地方公共団体
としての
東京
都だけではなくして、新らしく我が
平和国家
の
政治
、
経済
、
文化
の
中心地
として、又
世界各国
と
交渉
を持つ
中心
としての
首都
が新らしく誕生するということを宣言をいたしたのでございます。 その第二点は、
東京
都を
我が国
の
首都
として
計画
し、
建設
するに当りましては、その
政治
、
経済
、
文化
その他あらゆる
部面
におきまして、
首都
としての
有機的機能
に着目をいたし、
首都
において
我が国
及び
世界各国
との
関連
において行われる。あらゆる
国家
の
中枢活動
をより能率的に、より効果的になすことに
計画
し、
建設
することを定めたのでございます。 その第三点といたしましては、以上の諸
施設
を
計画
し、
建設
するに当
つて
は、
国家
的問題として政府がこれを取上げ、
全国
民がこれに参画し、協力し、
援助
し、歓心を持
つて
達成される必要があることであります。これを具体的に申上げて見ますというと、
東京
都の
区域
内において、
首都
としての
機能
を発揮することの必要な
施設
の
計画
及び
事業
の
基準
は、
都市計画
、
都市計画事業
、
特別都市計画
、
特別都市計画事業
のみならず、
運輸
、
交通
、
供給施設等
は勿論、
中央官衙計画等
の
市街地計画
、その他如何なる
計画
であろうと、
首都建設計画
が決定し得るということでありまして、その
計画
は
建設大臣
、
国会
を代表する者、
東京都知事
、
東京都議会
を代表する者、
学識経験者
より構成する
行政機関
する
委員会
がこれを決定いたしまして、その
計画
の
作成
及び
実施
につきましては、国、
東京
都の
区域
内の
関係地方公共団体
及び
関係事業者
、即ち
官公民
を問わず協力し、
援助
を与えなければならないこととするものでありまして、更に
東京
都の
区域
内において行われる
都市計画事業
は、
東京
都が
首都
であることに鑑みまして、
首都建設
上必要あると認めたときは、
東京
都及び
関係
の
地方公共団体
の
同意
を得た場合は、その
内容
である
事業
を主管する
行政官庁
が執行できることにいたしたのであります。これは例えば
道路
につきましては
建設大臣
、
港湾
につきましては
運輸大臣
、或いは
公園
については
厚生大臣
が執行することができることといたしたのでございますが、これは
国家的要請
に基きまして、
首都
としての
機能達成
上必要な
施設
は国の
事業
として執行するのが当然であるから、この場合に処するものであります。又
東京都知事
、或いはその他
行政庁
が
首都建設計画
に基いた
事業
を
実施
する場合は、勿論一
地方公共団体
としての
活動
に必要な以上に規模を大に或いは精密にしなければならない場合があるのであります。例えば丸の内の
交通状態
を例に取
つて
見ましても、
東京
都が
首都
でなかつた場合は、恐らく現在のような
道路
の
駐車状態
を見ないでありましようが、若しこれがために
駐車施設
を
整備
するとすれば、当然
国家
的の要請によるものでありますから、
国家
において相当考慮しなければならないというのであります。又は
東京駅前
の広場の広狭の問題にしましても、
首都
であるために国際的に、或いは国内的に
整備
を要する場合、或いは
国際交歓施設等
を含む国際的な
中央公園
或いは
国際空港等
を
知事
が
実施
するとすれば、これらについても当然特別の
助成
を必要とするものであ
つて
、その方法として、
国有財産
である
普通財産
がその
事業
の用に供しなければならない場合は、必要とする
公共団体
に譲渡することができる途を開いて、その
事業
の容易に完成するように考慮しようとしたのでございます。 次に
建設法
の逐條につきまして極く簡単に御
説明
を申上げたいと存じます。
首都建設法
の第
一條
はこの
法律
の
目的
を定めたものであ
つて
、その
目的
には二つの
重要
な
意味
が含まれている。即ちその
一つ
は、
東京
都を新らしく我が
平和国家
の
首都
として
計画
し、
建設
することを
目的
とすると
規定
したことであ
つて
、
東京
都に
平和国家
の
首都
としての
性格
を与えた点にあるのであります。勿論
東京
都が
我が国
の
首都
である点に関しましては、事新らしく
規定
するまでもないのでありますが、従来の
東京
都は
政治
、
経済
、
文化等
の
中枢
であると言いますよりも、むしろ皇居のある都、即ち
帝都
として存在して来たのであるが、今次
世界大戦
の結果、
我が国
は武力を永遠に放棄いたしまして、新らしく
平和国家
として
国際社会
の一員に加わることとな
つたの
でありますので、
首都
である
東京
都の
性格
も、
軍国主義国家
のいわゆる
帝都
より、
我が国
の
政治
、
経済
、
文化等
の
中心地
として、又
世界各国
と
交渉
を持つ上の
中心
としての
首都
が新らしく誕生することを宣言したのであります。 もう
一つ
の
重要
なる
意味
は、
東京
都を我が
平和国家
の
首都
として
計画
し、
建設
するに当りまして、その
政治
、
経済
、
文化
その他あらゆる
部面
において
首都
としての
機能
を十分に発揮し得るように
計画
し、
建設
することを定めたことであります。従来の
都市計画法
、
特別都市計画法
におきましては、
都市計画法
第
一條
に、先程申しましたように、「
本法ニ於テ都市計画ト称スルハ交通
、
衛生
、
保安
、
経済等ニ関シ永久ニ公共
ノ
安寧
ヲ
維持シ
又
ハ福利
ヲ
増進スル
為ノ
重要施設
ノ
計画ニシテ
」云云とあります。その示すごとく
都市計画
とは、その
都市
を単位とする住民の
安寧
を維持し、又は
福利
を増進するための
計画
であ
つて
、無統制な発展により生ずる
交通
上、
衛生
上、又は
保安
上生ずる障害を未然に除去すると共に、
既成都市
の改造を行おうとするいわば消極的な
性格
を有する嫌いがあ
つたの
でありますが、この
法律
は単に
東京都民
の
安寧
を維持し、
福利
を増進するためばかりではなくて、進んで
首都
としての
有機的機能
に着目し、
首都
において
世界
及び
我が国
との
関連
において行われる
政治
、
経済
、
文化
、その他あらゆる
国家
の
中枢活動
をより能率的に、より効果的になし得るよう
計画
し、
建設
して、
国際文化
の
向上
、
世界経済
の
繁栄
に寄与することを
目的
といたしておるのでございます。これが第
一條
でございます。 第
二條
でございますが、
本條
は
首都建設計画
の定義を示したものでございます。「この
法律
で、
首都建設計画
とは、
東京
都の
区域
内において施行せられる
重要施設
の
基本的計画
」を指すのでありまして、以下「
東京
都における」云々から、「
事業
の
基準
となるもの」までは、前段の
基本的計画
を
補足説明
した
規定
であります。「
東京
都の
区域
内において施行せられる
重要施設
」とは、
首都建設計画
を以て規制せられる土地の範囲に関して
規定
したのであります。即ち
首都建設計画
は、
東京
都の
行政区域
に限られるものでありまして、本
計画
は
都市計画
及び
都市計画事業
の
基準
となるものである以上、
都市計画法
第
一條
において「市若
ハ主務大臣
ノ
指定スル町村
ノ
区域内ニ於テ
又ハ其ノ
区域外ニ亘リ施行スヘキモノ
」と
規定
せられておる
区域外
に亘り施行せられる
計画
及び
事業
は、
首都建設計画
としても取上げる必要があるかという議論があるのでありますが、併し形式上は当然
首都建設計画
に含まれ得ないと解さなければなりません。これは濫りに
首都
と特別に
関係
のない他府県の利害に
影響
を与えるような
計画
及び
事業
を決定されるのを防止するものであると考えられるのであります。併しながら例えば一例を申上げれば、小河内の水道の貯水池の
事業
が
山梨
県に及んでおるのでありますが、このような
事業
を
首都建設計画
として研究する場合は、
山梨
県に亘る
計画そのもの
は決定し得ないといたしましても、
区域
内の
計画
及び
事業
の
内容
によ
つて
も、その
執行者
であるものが、当然
都市計画及同事業
において考慮することにな
つて
、事実上は大なる支障はないものと考えられるのであります。「
重要施設
」とは何を指すかということにつきましては、その
補足説明
において
規定
せられている通りでございまして、
都市計画
及び同
事業
並びにその他の
施設
の中で
重要
なもので、而も第
一條
の
目的
を達成するに必要なものでなければならないものであります。
従つて
地域
的には相当
重要
なものでありましても、その
施設そのもの
が、
首都
の
機能
を発揮する上に何らの
関係
のないものは決定し得ないものであります。又この
規定
に言う
都市計画
及び同
事業
とは、
都市計画法
に言う
都市計画
も
特別都市計画法
に言う
特別都市計画
も勿論包含するのでありまして、この場合は
法律
的に言うものではなく、
社会通念
上の
都市計画
を指すものであり、この
首都建設計画
は、決してこれを排除するものではなく、これらの
施設
の
基準
となるものであり、更にそれよりも
一般高次
の
基本的計画
であ
つて
、
都市計画
、同
事業
、
特別都市計画
、同
事業
のみならず、
運輸
、
交通
、
供給施設等
は勿論
中央官衙
の
計画等
の
市街地計画
、その他如何なる
施設
であろうと、又
都市計画
として決定し得るもの、得ないものに拘わらずその
施設
の
計画
及び
事業
の
基準
となるべき
事柄
を包含し得るものであります。これが第
二條
であります。 次に第三條でありますが、
本條
より第
八條
までは
首都建設委員会
及びその
事務局
について
規定
したのであります。
本條
はこの
法律
を保管し、この
法律
に基く
首都建設計画
の
作成
及びその
実施
の
推進
の衡にあたる国の
行政機関
として、
首都建設委員会
を設けること、及び
委員会
を
総理府
の外局とすることを定めたもので、
国家行政組織法
第三條第二項「
行政組織
のため置かれる国の
行政機関
は、府、省、
委員会
及び庁とし、その設置及び廃止は、別に
法律
の定めるところによる。」の
規定
に基くものである。この種のみずから
行政的権限
を行使する
会議制
の
行政機関
としての
委員会制度
は、新
憲法施行
以来
我が国
の国法上多くその例を見るところで、
国家公安委員会
、
全国選挙管理委員会
、
中央労働委員会
、
証券取引委員会
等々、
我が国行政組織
上の一傾向をさえ有するのであります。特に
本條
において
首都建設計画
の
作成
及びその
実施
の
推進
にあたる
行政機関
として
委員会制度
を
とつ
た
理由
は、以上述べた
行政制度
の例に傚つたものではあるが、より根本的には
首都建設
上
重要
なあらゆる
施設
の
基本的計画
の
作成
というがごとき、慎重にして周密なる調査の下に衆智を集めた
国家
的な
構想
により
作成
することが絶対に必要な
事柄
は、
単独行政官庁
に任せるよりも
会議制
によることがより適当であるという考えに基いているのであります。更にこの
委員会
を国の
行政機関
として設置したことは、一見
地方自治
に逆行するごとき感じを抱かせるのであるが、
首都建設計画
に含まれる
施設
は第
二條
において
説明
したことく、各省の
所管事項
に跨るあらゆる
重要施設
を包含するものであるから、到底一地方庁のよくするところでない。而も
首都建設計画
は
東京
都の
建設
に当
つて我が国
の
首都
としての
機能
を十分に発揮し得るよう、
国家的見地
に立
つて
各種計画
及び
事業
の
基準
を与えようとするものであるから、
地方自治
を損うものでありません。
委員会
を
総理府
の外局としたことも、以上の
理由
に加えまして
各種重要施設
の
基本的計画
が必然的に
各省所管事項
中
首都建設
に
関連
ある部分の
総合調整
を図る役割を持つことによるものであります。これが附則第四に示してあるのであります。 第四條でございますが、
委員会
の任務及び
権限
について
規定
したものでありますが、
委員会
は
首都建設計画作成
だけでなく、その
実施
の
推進
に当るということを
規定
してあるのであります。
実施
の
推進
に当るとは漠然とした言い方でありますが、
首都建設計画
に
則つて各種施設
の
計画
及び
事業
がなされるよう常に監視し、或いは勧告し、その他
実施
の促進を図ることで、第九條の公告、第十
一條
の勧告に関する
規定
はその任務及び
権限
の一部を掲げたものでありまして、これのみに止まるものではありません。 第五條でありますが、
本條
は
委員会
の
組織構成
について
規定
したもので、別の
説明
を加える必要もないのでありますが、国の
執行機関
及び
議決機関
のうちからその指名する者に加えて、
東京
都の
執行機関
及び
議決機関
のうちからその指名する者を
委員
とした
理由
は、
首都建設計画
が
東京
都を日本の
首都
として飽くまで
国家的立場
から
計画
しなければならないものでありますが、
首都建設計画
に基く諸
事業
の
執行面
は
知事
が担当するという場合も多く、又その
施設
の殆んどが
公共団体
たる都の
施設
と
関連
があるから、
公共団体
たる都としての立場も
計画
の
作成
に反映させることが望ましいとの
政策的見地
に出るものであります。尚
建設大臣
を
委員
とせられましたのは、
首都建設
上の諸
計画
及びこれに基く
事業
はその大部分が
建設大臣
の主管する事項に属するものでありますから、又第六号の原
議経験者側
の指名に当
つて
は
国会
の両議院の
同意
を得るということにな
つて
おりますから、
国家公務員法
第
二條
第三項第九号によ
つて
その職は
特別職
であり、
国家公務員法
の適用はございません。又これらの
委員
は非常勤とするように
規定
いたしたのであります。 第六條を省きまして第
七條
に移ります。
本條
は別段述べることもないのでありますが、
委員長
は会務を総理する
権限
を有するものでありまするから、
委員会事務局
の
内部組織
を定めることにいたしました。但し、
国家行政組織法
第
七條
の適用があります。及び必要がありまするならば、
委員会議議事規則
を設けることもできるし、
委員長
も又
委員
として一個の
議決権
を有するというように決めておるのであります。 第
八條
でありますが、
本條
は
事務局
に関する
規定
でございます。
委員会
に
事務局
を置くことは、
国家行政組織法
第
七條
第四項にすでに
規定
せられておるところでございますが、
本條
の第一項に改めて
規定
いたしました。
事務局
の
内部組織
をどうするかは今後の問題でありますが、若し部を設置することになりますれば、
法律
で以て定めなければなりません。これは
国家行政組織法
第
七條
第二項、三項及び四項で
事務局
の職員の職は
国家公務員法
にいう
一般職
でありまして、その定員はこの
法律
の附則第六により
行政機関職員定員法
を改正して三十人と定めました。 第九條でありますが、
本條
は公告に関する
委員会
の義務を
規定
したものでありまして、公告することによ
つて国
、
関係地方公共団体
及び
関係事業者
は
首都建設計画
の
実施
にできる限り協力し、
援助
を与えなければならない義務を負う第十條と共に、
委員会
は第十
一條
に定める勧告を行う
権限
を有することとなるのであります。
本條
において「
首都建設計画
を
作成
したときは」と言い、「決定したときは」と言わなか
つたの
は、第四條に「
委員会
は
首都建設計画
を
作成
し」とあるのと対応したものであ
つて
、
意味
は「
委員会会議
において決定されたときは」というのと異なりません。 第十條でありますが、
本條
は、
広島平和記念都市建設法
においてその第三條に「国及び
地方公共団体
の諸
機関
は、
平和記念都市建設事業
が第
一條
の
目的
にてらし
重要
な意義をもつことを考え、その
事業
の促進と完成とにできる限りの
援助
を与えなければならない。」と
規定
されているのと類似している
規定
で、
首都建設計画
に基く
事業
の
実施
についての
援助
及び協力義務について
規定
したものでありますが、広島の場合と異なる点は単に
事業
の
実施
についてばかりでなく、
首都建設計画
の
作成
そのものについても、
援助
並びに協力の義務を与えたこと、及び義務者として国、
東京
都の
区域
内の
関係地方公共団体
のみならず
関係事業者
をも含めた点にあるのであります。
関係事業者
とは必ずしも
意味
の明瞭な言葉ではありませんが、例えば
運輸
交通
関係事業者
、電気ガス
事業
者等を指し、
関係地方公共団体
とは単に
東京
都及び都の区、市町村を指すものであります。 第十
一條
でございますが、前條におきまして、
首都建設計画
の
重要
性に鑑みまして、
首都建設計画
に基く
事業
の執行については、広く国も
東京
都の
区域
内の
関係地方公共団体
も
関係事業者
もその
実施
について協力し
援助
をなすべき
法律
上の義務を与えたのでありますが、尚これのみを以てしてはその実効性を確保しがたいので、更に
本條
において
委員会
に勧告の
権限
を与えたものであります。
行政
作用としての勧告の制度が
我が国
法上認められた例は戦後の立法例に多く見るところでありますが、勧告を受けたものは勧告の権威を重んじ、
理由
なく勧告に違反することを得ない法上の責任を有するという点において単なる建議とは異なりますが、命令のごとく義務者が是非ともその命令に従うことを要する法の強要性はないものと解せられます。
従つて
勧告は
法律
の権威を以て「かくなすべし」又は「かくなすべからず」ということを要求するものでありますが、万一勧告に違反する者があつた場合には、何らかの制裁を以てその履行を確保する手段を持たないものであるという
意味
であります。 又勧告の相手方は一般私人よりも国又は
地方公共団体
の
機関
である場合が多く、立法例においても内閣に対して勧告するもの
国家公務員法
第三條による人事院の人事給与等に関する勧告、内閣及び
国会
に対して勧告するもの「
地方行政
調査
委員会
議設置法第三條による
委員会
の国及び
地方公共団体
の事務の配分調整に関する勧告」、内閣総理大臣又は特定の
行政官庁
に対して勧告するもの、「社会保障制度審議会設置法第
一條
による審議会の社会保障制度に関する勧告」、「
運輸
省設置法第
七條
による
運輸
審議会の運賃及び料金等に関する勧告」、各
行政機関
及び
地方公共団体
の長に対して勧告をするもの、「統計法第六條の二による統計
委員会
の統計機構に関する勧奨」等ありますが、
本條
の勧告はその範囲におきまして、以上のどの例よりも広く、国、
東京
都の
区域
内の
関係地方公共団体
又は
関係事業者
に対してなし得るということを
規定
したのでございます。
本條
一項は、国、
東京
都の
区域
内の
関係地方公共団体
に対しまして、その所管の
施設
の
計画
の決定、及び
事業
の施行、又は許可、認可等の
行政
処分につきまして、
首都建設計画
を尊重するよう勧告すると共に、
関係事業者
に対してもその
事業
の
計画
及び施行について勧告し得る
意味
でありまして、例えば私鉄が或る路線の新設又は延長をなすがごとき場合、
運輸大臣
に対し、
事業
の認可につきまして、
首都建設計画
に基かしめるよう勧告をなすと共に、認可、申請以前の段階におきましても、私鉄に対し
首都建設計画
に即応した
計画
を立てるよう勧告することができるように
規定
しているのでございます。かくいたしまして、
首都
における
重要施設
が
首都建設計画
に適合し、
総合調整
されて
建設
されることを要請している次第であります。
本條
第二項は、或る
事業
が
首都建設計画
を尊重し、それに基く
事業
ではありますが、その
事業
の
実施
につきまして必要な事項を勧告し得ることを定めましたもので、例えば
事業
の執行の順序、或いはその年度、執行方法等について
首都建設計画
上必要と認めた場合になし得るものと解するのでございます。以上は
委員
がなし得る勧告の範囲を定めておるものでありますが、以上の勧告を受けたが、或る種の事情により勧告に従うことができない場合につきましては、何らこれを強制する途はありませんが、飽くまで
首都建設
の
重要
性を認識し、極力その勧告を尊重するよう期待しておるものでございます。これによりまして、
首都建設計画
との間の調整を図る等の努力をする機会を与えると共に、少くとも不知の間に
首都建設計画
に支障のある
事業
の
実施
が行われる等のことのないのを期しておる次第でございます。 第十
二條
でございまするが、
本條
は
都市計画法
に
行政官庁
が執行し得る
規定
がありますから、その必要を認めないとの意見もあり得るのでございますが、本法に言いますところの
都市計画事業
とは、第
二條
に述べたように、
特別都市計画事業
も包含せられると解釈せられるので、
特別都市計画法
の特例でもあり、更に
行政官庁
が執行する場合は、
東京
都及び
関係地方公共団体
の
同意
を要することといたしましたので、
本條
を置いた次第でございます。
首都建設計画
を実現するために、
都市計画法
による
都市計画事業
、
特別都市計画法
による
特別都市計画事業
の方法によることが多いであろうことが将来予見せられるのでありますが、
特別都市計画事業
の執行につきましては、地方の実情に即し、地方民の熱意と創意を反映せしめる趣意の下に、
行政官庁
は直接その執行に当らない旨を定めているのでございます。
特別都市計画法
第
一條
第四項。併しながら
東京
都の
区域
により行われる
都市計画事業
については、それが
首都建設計画
に即応したものである限り、単に都民の
福利
を増進するための
施設
ばかりでなく、
首都
としての
機能
を発揮する上に必要な
施設
を含むのでありますから、例えば
道路
について
建設大臣
、
港湾
について
運輸大臣
、国営
公園
について
厚生大臣
、その他その
事業
の
内容
である事項を主管する
行政官庁
が直轄
事業
により執行することが適当な場合もあり得るので、
本條
により
行政官庁
が執行し得る旨の
規定
を定めたのであります。併しながらこの場合におきましては、
東京
都及び
関係地方公共団体
の利害に大きな
影響
があり、
地方自治
を阻害する虞れもなしとしないのでありますから、将来これとの間に起ることを予想せられる紛議を避けますため、
東京
都及び
関係地方公共団体
の
同意
を要することとした次第でございます。 第十三條でございますが、
本條
は
首都建設計画
の実現を促進する手段といたしまして、執行する
都市計画事業
、
特別都市計画事業
を含んでいる——に対しまする特別の
助成
についての
規定
でございます。
助成
の対象となるものは
公共団体
でありますから、この場合の
事業
執行者
は当然
公共団体
を統轄する
行政庁
であることは明らかであります。
従つて
首都建設計画
に基くものであれば、
特別都市計画事業
又は
都市計画事業
として八王子市長の執行するものや、立川、武蔵野市長の執行するものも
本條
に含まれるものであります。
国有財産
法においては、
普通財産
の売払いについて、第二十九條に一定の用途に供させる
目的
を以て売払いをすることができることにな
つて
いるのに対しまして、本法において
都市計画事業
の用に供する場合は譲渡することとしたのは、当該財産を所管する各省各庁の長がその買受人に対し用途並びにその用途に供しなければならない期日及び期間を指定しなければならないこととな
つて
おりますのを、
首都建設計画
に基く
都市計画事業
におきましては、その用途指定、期日期間の指定をせずとも売払いをなし得ると解すべきであり、又
普通財産
を他の用途に供する
目的
を以て売払いの必要が生じても、
首都建設計画
に基く
都市計画事業
により譲渡の必要が生じた場合は、必要と認めるときは譲渡することができるとの
規定
でありましても、これは任意に譲渡するか否かを決定する自由裁量権を大蔵大臣に与えたものではなく、譲渡することができる
権限
を付与したものと解すべきでありまして、他の
法律
にこれに優先する
規定
のない現在、
首都建設
事業
が優先すると解すべきであるのであります。 次は附則でありますが、この
法律
は公布の日から施行するものとせられているのでありますが、
事務局
は当然予算
措置
を伴わなければ設置できないことになりますので、この
法律
の全文を公布の日から施行するとすれば、直ちに政府において予算
措置
を講じなければならない義務を生ずるのでありますが、今その準備もできていないので、一応
法律
には、
事務局
は予算
措置
が講じられたときに初めて設置することとしたのであります。併し予算
措置
を講じないで、いつまでも
事務局
を設置しないということは本法の趣意に反することでありまして、最も早い機会に予算
措置
を講じられなければならないのであります。 二、日本国憲法第九十五條「一の
地方公共団体
のみに適用される特別法は、
法律
の定めるところにより、その
地方公共団体
の住民の投票においてその過半数の
同意
を得なければ、
国会
は、これを制定することができない。」との
規定
がこの
首都建設法
制定につき適用であるかどうかということは、疑問のあるところでありますが、この
法律
と同様に
都市計画法
の特別法として制定せられた
広島平和記念都市建設法
の制定に当
つて
、積極、消極両論が行われ、憲法第九十
二條
から第九十四條までにおきまして、
地方公共団体
の組織、運営、
機関
、事務の範囲、條例制定権等を定めた後を受けまして、第九十五條が
規定
されていることから、第九十五條の趣旨は、
地方自治
の基本的事項に関しての特別法制定の場合にのみ適用になり、
国家
事務の法としての組織立てられている
都市計画法
の特別法たる
広島平和記念都市建設法
の制定には適用されないとなす論もあつた模様でありますが、憲法第九十五條の表現が、単に
一つ
の
地方公共団体
にのみ適用される特別法とありますから、この場合には適用ありとなす論が多く、遂に議院運営
委員会
に諮つた結果、適用あるものとすると決定された経緯もありますので、この
法律
も
都市計画法
、
特別都市計画法
の特別法たる
性格
を有すること、及び
一つ
の
地方公共団体
にのみ適用になる点において広島の立法と同様でありますので、この附則により住民投票をなすものと定めた次第でございます。 第三でありますが、憲法第九十五條に基く住民投票の費用に関しましては、
法律
の制定についての一種の手続でありますから、
国家
事務であり、当然国費を以て支弁すべきであると解せられるのであります。
地方自治
法施行令第百八十五條にも衆議院選挙法施行令を準用して、公の
機関
の負担すべき費用、即ち選挙人名簿、投票の用紙その他の費用につきましては、当然国庫が負担せられるというように
規定
せられているのでありますが、
首都建設法
においてはその特例として、住民投票に要する費用は
東京
都の負担とするとの
規定
を設けたのでございます。このことにつきましては、地方財政法第十
一條
に「主として国の利害に
関係
ある事務を行うために要する経費については、
地方公共団体
は、その経費を負担する義務を負わない」との
関係
が議論のあるところでありますが、住民投票は
地方自治
法の
規定
によ
つて
その行う期日を定められておりまする
関係
上、その期間内に国の予算
措置
を期待することが困難である場合も考えられますので、こういう場合を考えております。而もこの
法律
は、
東京
都の住民に対し、或る種の利益を与えることは事実でありますので、この費用の内、選挙管理
委員会
、投票等、公の
機関
が当然負担しなければならない費用は
東京
都が負担することに決めたような次第でございます。 以上を以ちまして本
法律
案の大体の
説明
を終りたいと思います。
中川幸平
3
○
委員長
(
中川幸平
君) 引続いて
別府国際観光温泉文化都市建設法案
につきまして、
提案者
である
衆議院議員
永田節君から
提案理由
の
説明
を聞きたいと思います。
永田節
4
○
衆議院議員
(永田節君) 本日参議院の両
委員
の本審査を受けますことになりまして、敬意を表します。すでに御案内の通り、国際観光温泉
文化都市
法案
は去る二十三日衆議院を通過いたしまして、即日当院に送付と
なつ
た
法案
であります。時間の
関係
もございますし、元々この
法案
に私は余り明るくございませんので、極めて簡単に御
説明
を申上げます。 大体この
法案
を設けましたところの
目的
というものは、観光の持つ
経済
的の価値というものに著眼いたしまして、昨今
我が国
の
経済
状態
が外国から貿易の材料を輸入いたして、煩わしい労働
基準
法を以て加工して、更にこれが外国の市場において果して貿易の面において
我が国
の製品が外国の製品と競争できるか、こういう疑わしい問題が起
つて
来るのであります。然るに国策といたしまして、幸いに惠まれました
日本
に僅かに人為を施しまして、天惠的の地形を活用するならば、容易に外国人を吸収し、誘致いたしまして、外貨を吸収し、従
つて我が国
の
経済
に大いに寄与することができる、即ち観光国策を促進するのが主たる
目的
でありまして、その促進の方法といたしまして、
国家
が最も主力を注いで別府市に集約的にその観光
施設
を
援助
をする、こういうところが本
法案
を提案いたしました
目的
でございます。何故に別府が取上げられておりますかというと、国際的の温泉
都市
であると言いまするかというと、風光、景観等に必ずしも国内に別府以上の現勝の地がないとは申されませんが、今日別府の駅にありまする進駐軍専用の休憩所には、ウエルカム・ガーデン・スポツト・オヴ・ジヤパン、こう書いております。又現に小倉にありまする放送局で占領軍専用の放送では、第八軍の福岡民事局の産業課長夫人が毎週土曜日の午前中にアメリカ本国へ向
つて
放送いたしております。その中に初めて
日本
においでの方は、是非お花とお茶のお稽古と、更に別府の行楽はお忘れないようにと、こういうふうに宣伝されつつありますることは、正に別府は国内随一、更に
世界
的の景勝の地であるということを示すものであろうと信じて止みません。 次に本
法律
実施
の方法でありますが、かかる景勝の地といたしまして、すでに国際的に著名な別府は
終戦
と同時に国策といたしましての観光
事業
に二十二年度は衆議院並びに参議院に国策として強力に
推進
されんことを請願いたしました結果、翌二十三年に採択されまして、直ちに内閣に観光審議会の設置を見て、更に又観光五ヶ年
計画
の樹立を見ましたことは我々の感謝に堪えないところであります。大分県民並びに別府市民等はそのような容易ならざる
計画
をいたしておりまするが、厖大なこの予算に対しましては一別府市民、一大分県民のみの微力では到底その実現は困難と思われるのでありまして、ここに
国会
の強力なる
援助
を切望する事由があるのでございます。後程御質問にお答えすることにいたしまして、大綱の
説明
を終ります。
中川幸平
5
○
委員長
(
中川幸平
君) ちよつとお諮りいたします。今日質疑をやることにいたしますか。
吉川末次郎
6
○
吉川末次郎
君 極く総括的なことだけ……
中川幸平
7
○
委員長
(
中川幸平
君) 御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
吉川末次郎
8
○
吉川末次郎
君 先ず
首都建設法案
について、細かいことについては後程又質問いたしたいのですが、極く総括的なことについて
提案者
にお尋ねいたしたいのでありますが、
提案者
井手君から縷々長い提案の
理由
の
説明
がありましたが、その
理由
とせられたところは、非常に
内容
の空疎な美辞麗句的な文句が非常に多かつたと思いますが、又それを除いて考えて見ますと、大体この提案を主として
東京
都
関係
の
衆議院議員
の方が主にな
つて
お出しにな
つて
おると思うのでありますが、結局現在の
都市計画
に関するところの
法律
以外にこういう
法律
を別に設けて、できる限り国の費用を
東京
都の
都市計画
に貰おうということが、私をして言うならばこの
法案
の眼目ではないかと思うのでありますが、私も井手君のように
東京
都から選出されておりますところの議員の一人といたしまして、選挙区自治体がそういう国の特別の
援助
を受けるということについては大変結構な感もないではないのでありまするが、併しこれはやはり国
会議
員として国の
政治
の全般の上から考えて行かなければならない
立場
に立たなければならんと思われるのでありますが、大体
東京
都に、今言うように外の
地方都市
と異
つて
その
都市計画
を
推進
して行くということについて、国が
政治
上、特に財政上、
経済
上の
援助
を与えるところの必要がそれ程あるものであろうかどうかということが、我々国
会議
員として吟味して見なければならない問題ではないかと考えられるのでありますが、今
提案者
は、例を
平和都市
として、この爆弾の被害を受けました
長崎
及び
広島
に特殊の
法律
が制定されたことの例を頻りに引用されたのでありますけれども、私はそれは少し同じように取扱うということは余り賛成することができないのでありまして、ああした特殊な爆撃を受けた所が、国際的な
意味
においての
平和都市
としていろいろ再生して行くという
意味
において国としては十分にその建前があると思うのでありますが、
東京
都が
首都
として
都市計画
を行うのに、それと同様な特殊的な
援助
を与えることが果して妥当なりや否やということの問題であります。それは
提案者
も今お話になりましたようでありますが、関東
大震災
を受けましたときに、初めは
帝都
復興
法案
というような名目が考えられたのでありますが、後に
特別都市計画
という名に変つたようでありますが、あの震災のときなどには、そうしたそれを
復旧
するために他の
都市
と違うところの
都市計画
に関する
法律
を作る必要があつた。併し現在の
東京
というものは
提案者
もお話になりましたように、いわゆる
首都
、又新憲法前におきましては專ら言われましたように
帝都
として
中心地
、或いは
帝都
といたしまして直接間接に非常な
政治
的な、又
経済
的な、財政的な
援助
を他の
都市
に比べまするというと、もう受けておることは実に莫大なものであると考えられるのであります。これは端的に言えば、
日本
の大体
人口
の八千万中の五、六百万を占めておるのでありますけれども、今の統計においてはどうな
つて
おるか知りませんが、以前におきましては、大体
日本
の持
つて
いるところの富の力の約三分の一というものは
東京
に集中されてお
つたの
であります。それはどういうことであるかというと、即ち
日本
の中央集権的な
政治
、殊に共産党の諸君が頻りに惡罵いたしまするところの天皇崇拜主義の
政治
感情と結び付けて、何が何でも一切のものを
東京
に集中いたしまして、そうしてその
政治
力を背景として
日本
の資本主義というものが発達したものでありますから、地方の会社のごときもすべて本店は
東京
に持たなければ仕事をや
つて
行けないというようなことで、今言うように
日本
の富の約三分の一というものは
東京
に集中されるような結果を来たしたのであ
つて
、その
関係
は今日においても私は大して相違がないと思われるのであります。でありまするから、
東京
都の都民というものはそういう
関係
において
都市計画
その他のことについても非常な利益を
地方都市
に比べるならば得ておるのでありますが、尚それ以外に関東
大震災
、或いはこのたびの
特別都市計画法
、或いは
広島
、
長崎
等のああいう爆弾によるところの被害の
都市
の
復興
と同様な観念に基いて、どうも
東京
だけ
首都
であるからというので特殊の
都市計画法
規を制定するところの
理由
というものが私には非常に薄弱なように考えられるのであります。殊にそういう観念については先に井手君がお話に
なつ
たように、昔はいわゆる
帝都
中心
主義というような建前で以て、それが封建主義的なものであつたということを非難されたのでありまするが、やはりその観念が連続しておるのじやないかと思うので、
東京
は
政治
の
中心地
として直接、間接に非常な
経済力
の集中を来すところの利益を得ているのにかてて加えて、更にそれに拍車をかけるような、又憲法が変
つて
、井手君が言われた宮城の所在地というようなことについても、国民感情が私は変
つて
行くね又変らして行かなければならんと思うのでありますが、そういう特殊の
法律
を作
つて
やらなくちやらん
理由
はどうも薄弱であるように思われるのでありますが、それについての
一つ
御答弁を得たいと思うのであります、それからこの
法案
の
提案者
でありますが、井手君は、
提案理由
の
説明
をおしにな
つて
、井手組も
東京
都の区長を最近までしておられたのであります。伝えられるところによると、この
法案
は、
衆議院議員
の方の御提案にな
つて
いるけれども、これはまあ失礼な言かも知れませんが、噂でありますが実際の起案者は
東京
都の役人である。殊に
建設
局の局長である石川榮耀君その他の諸君が
中心
にな
つて
この
法案
を作
つたの
であるというようなことが伝えられておりますが、それについても
一つ
真相をお話を願いたいと思うのであります。 それからさつき申しましたことでありますが、現在の新
憲法施行
後におけるところの、それ以前からもありましたが、要するに今度の地方制度でありますが、地方制度即ち
地方自治
法の基本的精神というものは、井手さんも御承知のように中央集権を打破して、地方分権主義でや
つて
行かなければならんという建前にな
つて
いるのでありますが、そういう地方制度の基本精神であるところの地方分権主義という観念と、この
法案
とは背馳すると思われるのであるが、それについての御見解はどうかということを
一つ
併せてお伺いいたしたいと思うのであります。 それからこの
委員
の待遇の問題でありますが、私十分に法文を調べておりませんが、これは
附則
にありまするのは、
首都建設委員会
の
委員
というものは、これは
国家
公安
委員
のようにいわゆる俸給等において大臣待遇を受けるのであるかどうかということの御答弁を得たいと思うのであります。 それからこの一般投票の問題でありますが、一般投票は、新聞の伝えるところによりますというと、
附則
の第二項でありますが、憲法第九十五條の
規定
によるところの、
東京
都の住民によるところの投票、これは六月に行われるところの参議院議員の選挙と同時に行われるということが伝えられておりますが、これ又世間におけるところの一部の都の揣摩するところでありますが、何かこの
法案
は自由党の諸君が
中心
にな
つて
、殊に
建設大臣
、
建設
次官も
関係
していらつしやるのでありますが、
建設
次官は
東京
都の人でありますが、自由党が参議院議員の選挙を有利に進めて行くというようなことのために、わざと同日にやるんだというようなことを
言つて
いる人があるが、そんなことはないかと思われますけれども、そういうことについての
一つ
御弁解があれば、この機会に承わ
つて
置きたいと思います。それからまだ他に聞きたいとことがありますが、それだけのことを先ず聞きたいと思います。
井手光治
9
○
衆議院議員
(
井手光治
君) お答えを申上げます。私共この
法律
案の立法に当りまする前に、一体只今お話のように、
地方都市
としての
都市計画法
なり、或いは
特別都市計画法
によ
つて
施行せられております戰災
都市
の
復旧
、そういう点とのかみ合せをいろいろ考えまして、一体立法の基本的な考え方をどこに持
つて
行くべきかということが、今御指摘になりましたような考えと同じ
意味
において、十分考慮を払
つて
見たところであります。そこで
法案
の全体として流れまするですね。
一つ
の筋をお掴み頂けると思うのでありますが、そういう
意味
合から、
都市計画法
なり
特別都市計画法
の施行しておりまする埓外の点を掴みまして、これは
国家
的な
要請
に基きまする具体的な
事項
というのが非常に多い、
東京
都というものは大体現在六百万以上の
人口
を抱えまして、将来といたしましても、今日このままの趨勢で参りますと、
東京
都が極めて
政治
的
中心
になるというような傾向を帯びて来るという議論があ
つて
、そういう点ででき得る限り
一つ
、この機会に
戦災復興
を
中心
として
首都
の具体的な再建を進めておる現段階においてこそ、私共はそういう点を十二分に考慮いたしまして、考えなければならん点があるのではないかという建前から、こういう立法をいたしたのであります。そこでこの立法の主たる
目的
を
中心
といたしまして、いわゆる
国家
的な意図を含め、又
地方自治
的な具体的な考えも入れました総合的な立案の上に立つところの
委員会
を
中心
として、これを
中心
とした
推進
機関
としての考え方で行こうじやないかということで、この
法律
案を立案いたしたのであります。従いまして、この
委員会
はそれを
中心
として考えられました
都市計画法
なり、或いは
都市計画事業
を具体的に拘束するものではない。その上位にある
一つ
の総合的な企画を
推進
し、或いは
公告
し、或いは奉告するという考え方で行ならば、そういうものと何ら抵触するものではない。そういう考え方で実はいたしましたので、お話のような点も十二分にこの
法案
の立法に当りましては考慮をいたしたのであるということを
一つ
御了承願いたいと思います。 又第二点の、それからお話がありましたように、そういう趣旨であるならば、もつと
東京
都が
国家
的な財源を十二分に
一つ
取入れて、そうしてその好條件に恵まれたことを更に上塗りをする
意味
において
国家
的な費用を取上げるというふうな背後の
政治
力を利用した考え方でや
つて
行くのではないかという御質問でございますが、私共はそういうことは毛頭考えていないのでありまして、単に
戦災
都市
の
復興
という面から言いますならば、敢えて只今お説がありましたように、
東京
都にのみ
戦災復興
の線に沿つた費用の負担を
国家
が背負うべしという議論はこれは成立いたさないのであります。その
意味
におきまして、とにかく今日の段階においては、
首都
としての大きな観点から十二分にこれらの方策を講じなければならないということが主眼とな
つて
おりまして特にそのために
国家
的な費用を十二分にここで取上げるというような、そういう考え方は実は持
つて
おらない。併し実際問題といたしましては、心持ちの上では
都市計画法
第六條の
規定
に拘わりませず、その
事業
の執行に要する費用につきましては、国と
東京
都の負担割合等についても若干の考慮をすべきではないかという気持を実は持
つて
おるのであります。併しそういうことは心持ちの上にはありますけれども、法文の上にそれを明示するということは避けまして、単に十三條の
普通財産
の譲渡という
意味
の一本の極めて端的な表現に止めたのであります。今具体的に将来この
法律
案が通りますならば、又国民の総意が、国民の全体の関心の下に
首都建設
というような具体的な
構想
ができ上りますならば、或いはその機会において十二分に財源の
援助
もいたしたいという気持も持
つて
おる次第であります。 それから
東京
都のいろいろな
関係
官僚がこの
法律
案の立案に当
つたの
ではないかという御質問でありますが、実は
首都建設法案
は
広島
、
長崎
の
法案
が出ます前にこの問題は取上げてお
つたの
でございまして、先程申しましたように、四千三百万坪に亘ります厖大な
戦災
都市
を抱えまして、特に戦後行われました建物疎開等の残地等の整理は、この機会に
東京
都の
都市計画事業
と適応せしめまして、それぞれ具体的な方途を講じて置かなければ由々しい問題が生ずるのじやないか。今日一億を要する費用は将来は百億も二百億も要することとな
つて
容易ならないと思う。そういう点を十分に考えまして、恒久的な
措置
を講じなければならんという、そういう考え方がよりより識者の間にもございまして、私共もそれを強く主張した者の一人でありまするが、時が次第に遅れまして、実は今日他の
都市
の後を追いまして、
東京
都がこの
法案
の
提出
をしなければならんということに追込まれて来たのであります。併しこれは今日のように
地方自治
的な問題が多分に含まれております。
東京
都の方面から資料を取寄せ、或いは
建設
省の方面からいろいろなデーターを頂戴しておるのでありますが、立法は私共を
中心
としましてそれぞれ専門的な方の御参加を願い。又院の法制部等の背後的なお力もお借りしまして、実は
法案
をまとめましたようなわけで、又相当今日この本
法律
案になりまするまでには、紆余曲折を経まして実はでき上
つて
おるのでございます。その点は単に官僚任せにいたしてこの
法律
案ができたのでないということを
一つ
御了承願いたいと思います。それから大変大切なところでございますが、これは
地方自治
法の定めたところと牴触する点があるのではないか。これは私もこの
法案
を取上げまするのに非常に重大な関心を持つたところでございます。そこでこの
法案
はそういう点を十分に考慮いたしまして、要するに一地方問題として、地方的な問題を
国家
の意図する
機関
がその制限の範囲を超えまして制約を加えるというふうなことになりまするというと、これは
地方自治
法の精神に反するところであります。そういう点を極力これは避けなければならないという観点から、いわゆる
国家的要請
に基きまするところの諸
施設
につきまして、特に大きな観点から
地方自治
法の定むる精神に反しないような
措置
を講ずるような線に持
つて
行かなければならないというので、極力その線に実は
推進
めたのでございます。そこで
委員会
の
任務
でありまするとか、或いはこの條文の中に流れておりますることは、極力御指摘のような点に触れないように実は考えたつもりでございますが、その点を御了承願いたいと存ずるのであります。 それから
委員
の待遇はこれは非常勤でありますので、勿論大臣待遇で俸給を出すというようなことは考えておりません。非常勤でこれは車馬賃
程度
の待遇というようなことで、その
程度
しか考えておらんのであります。又打合せもそういうことにな
つて
おります。
赤木正雄
10
○赤木正雄君 ちよつとお尋ねいたしますが、戦争のために
日本
の国土の再建をしなければならない。その場合にどういう
性格
の
都市
をどういう所に作るか。その根本の
計画
はまだ
日本
としてできていない。この
首都建設
のこの
法案
をお出しになる前に、まだ
日本
の再編成と申しますか、国土全体を挙げての再建
計画
、そういうものを先ず考えてから
首都
をどうするかということを考えなければならん。それに対してどういうふうなお考えをお持ちでありますか。国土の再編成、それなしには
東京
都ができる筈はない。これに対してお伺いします。
井手光治
11
○
衆議院議員
(
井手光治
君) 大変御尤もな御質問だと思います。本来言いますと、お説のように国土開発法なり、或いは総括的な
全国
の再建
計画
というものと合せましてそれぞれこれに附帯する特別法として生まれて参りまするならば、これは極めて合理的な線でありまして、私共実はそれを希望しておるのでありますが、実際問題といたしまして、
東京
都の
首都建設
というようなものがもう
終戦
後五年を経過いたしまする現段階におきまして、このまま実は放任できないという事態に立至つたことは御承知の通りでございますので、実はそういうところが一番望ましいのでありますが、現段階におきましては、それらのものと噛み合つた具体的な
法律
の制定ということは実はいたしかねる実情でありますから、止むを得ずこの
法律
案の制定立法をいたしました。そこでお説のように基本的な
国家
再建の国土開発法的なものがまだ生れて参りませんけれども、とにかくこの
法案
はいろいろな議論もありましようけれども、
東京
都は
首都
として一体どういうことであるべきか。
首都
のあり方については如何にあるべきかという基本的な
計画
を先ずなすべきだという実は考え方からこの立法に当
つたの
であります。採光はそういう国土開発法的なものができますれば、尚それらと噛み合せをいたしまして、具体的にはそういう線に沿いたいという考えを持
つて
おる次第であります。
赤木正雄
12
○赤木正雄君 では、この
法案
は
東京
都だけを主としてお考えにな
つて
、国全体としての国土
計画
と申しますか、そういうものは殆んどお考えなしに立案されたというふうに理解して
差支
えありませんか。
井手光治
13
○
衆議院議員
(
井手光治
君) 実は国土
建設
の
計画
或いは国土開発
計画等
につきましては、具体的に考慮を払うべき段階にまだ至
つて
おりませんのは甚だ遺憾でございますが、そういう状況にありますので、全然
全国
的にそういう
構想
を考えないというのはちよつとどうかと思うのであります。やはりこれだけの立派な
中枢
的な
委員会
ができまして、この
首都
のあり方につきまして
計画
をいたします場合は、当然これらの問題も両々相待
つて
考慮の中に入れながら
計画
されるものと私は確信いたしておるのであります。併し具体的にまだ
法律
案の基礎がございませんから、どういうことにすべきかということはちよつと如何かと思うのであります。
吉川末次郎
14
○
吉川末次郎
君 さつきの選挙のことについては御答弁がなか
つたの
でありますか。
井手光治
15
○
衆議院議員
(
井手光治
君) これは甚だ実は私も初めてお伺いをいたしたようなわけで、私は参議院選挙にどうしようということは考えておりません。而も憲法の定めるところによ
つて
期限内に施行をしなければなりませんから、急ぐということは事実です。これは予算
措置
が伴
つて
おりますれば、当然これは
国家
負担においてやらなければならんのでありますけれども、そういう場合も考慮いたしてできるだけ早急にやりたいと思うのでありますが、万一
国家
的な予算
措置
が伴わなければ
東京
都の負担においてやれば……併しその時期は六ケ月以内ということに恐らくな
つて
おると思いますので、適当な機会と思
つて
おりますが、この参議院選挙に噛合せるということはそこまで考えておりません。それは結構でありますけれども、費用を軽くする
意味
におきましては或いはその方がいいかも知れません。
赤木正雄
16
○赤木正雄君
法案
を作
つて
それから
都市
を作る場合もありましようし、併しこういうふうに技術的なものは、先ずこういう
構想
で
都市
を作りたい。それに基いて
法案
を作るべきじやないのですか。今日は時間もありませんので、この次にどういう
構想
の
都市
を作るとか、具体的なものを示して頂きたい。それがないと審議できないと思いますから、お願いいたします。
井手光治
17
○
衆議院議員
(
井手光治
君) 先程もお話を申上げましたように、
都市計画法
及び
特別都市計画法
の定めるところによりまして、一応技術的な
首都建設
或いは
東京
都の再建
計画
というものができておるのでございますが、先程お話いたしましたように、どこまでもそれは
都市計画法
に基きまする一
地方都市
の住民の
安寧
福祉ということを
基準
とした考え方を一歩も出ておらないということを言われても仕方がないというふうに実は申上げたのでありますが、更にお話のような国土
計画
のような大きな
構想
の下に具体的にかくあるべしという案を作
つて
貰いたい、これがこの
法案
の狙いでございます。でありますが、お説のように具体的にこうするのだということを決めるということになりますと、これはなかなか容易ならない問題でありまして、むしろこれはそういう基本的な
計画
を作る機構を
整備
いたしまして、それから現在
東京
都におきまして、
都市計画事業
として考慮せられております案を基礎とし、或いは参考としてより良き立派な
計画
をこの
委員会
において
計画
し、
推進
して貰うというふうに実は考えておる次第であります。
赤木正雄
18
○赤木正雄君 TVAにしても何にしても、大体こういう
構想
でこういう仕事をするのだ。殊に先程申しました通り、こういうふうに
計画
、技術、そういうものに
関係
したものは先ずその具体的な案があ
つて
、然る後にこれを
法案
化して、これをし易くするというふうにやるのが当然だと思うのでありまして、先程お話の通りに今まである
計画
によ
つて
これを補修するとか、或いはどういうふうになさるか知りませんが、とにかく一応の案がなくして、ただこの
法案
というのでは甚だ頼りないと思いますから、少くとも
構想
だけは示して貰いたいというふうに思いますので、この点お願いいたします。(「同感だ」と呼ぶ者あり)
井手光治
19
○
衆議院議員
(
井手光治
君) 実は
首都建設法
の
法案
に基きまする
構想
というものは、今後生れて来ることになるのでありますが、只今申上げましたように、
東京
都の
復興計画
なり
建設
計画
なりにつきましての
特別都市計画法
なり、或いは
都市計画法
を基礎といたしました
構想
は只今できておるのでございます。それはいずれ大体どういう態勢に
東京
都が進んでおるかということにつきましては、技術的御
説明
をする機会を実は頂きたいと思います。
岡本愛祐
20
○岡本
愛祐
君 この
法案
の趣旨
説明
を拝聴いたしまして、第一に考えましたことは、吉川
委員
からも御質問がありましたように、
地方自治
を損なうのではないか。
地方自治
の本旨に反するのじやないかということなんです。つまり
勧告
という名義ではなくて、
勧告
とはつきり第四條に書いてありませんが、
委員会
は「その
実施
の
推進
にあたるものとする。」という
意味
でまあ
勧告
だけであるかどうか曖昧ですが、とにかく
勧告
にしたとしたところが、
建設大臣
が
委員会
の会長にな
つて
おり、それから
東京
都の
知事
も出ている。而も
東京
都側は二人しか出ていない。他の方が七人も出ているというようなことで、ここで作られた
計画
というものが
勧告
という名義にしても、非常に力の強いものである。そこで
地方自治
の本旨に反するようなことが出て来やしないか、これを非常に恐れるのであります。そういうことにつきまして、
東京都知事
、
建設大臣
、本多国務大臣それから大蔵当局、こういう人達に総括的の質問をしたいと思いますから、この次の
委員会
にはそれを呼んで頂きたいと思います。これを要求して置きます。質問はこの次によく今の趣旨
説明
の写を頂きまして、それによ
つて
いたします。
中川幸平
21
○
委員長
(
中川幸平
君) それでは本日はこの
程度
で散会いたします。 午後零時十七分散会 出席者は左の通り。
建設委員
委員長
中川
幸平
君
理事
岩崎正三郎
君 仲子 隆君 赤木 正雄君
委員
島田
千壽
君 大隅 憲二君
佐々木鹿藏
君
地方行政委員
委員長
岡本
愛祐
君
理事
吉川末次郎
君
岡田喜久治
君
委員
黒川 武雄君 堀 末治君 柏木 庫治君
西郷吉之助
君 鈴木 直人君 太田 敏兄君 濱田
寅藏
君
衆議院議員
井手 光治君 永田 節君