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1950-03-25 第7回国会 参議院 建設・地方行政連合委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年三月二十五日(土曜日)    午前十時五十八分開会   —————————————  委員氏名   建設委員    委員長     中川 幸平君    理事      岩崎正三郎君    理事      仲子  隆君    理事      赤木 正雄君            島田 千壽君            石坂 豊一君            大隅 憲二君            石川 一衞君            田方  進君            安部  定君            久松 定武君            北條 秀一君            細川 嘉六君            佐々木鹿藏君   地方行政委員    委員長     岡本 愛祐君    理事      吉川末次郎君    理事      岡田喜久治君    理事      林屋亀次郎君            三木 治朗君            黒川 武雄君            堀  末治君            岩木 哲夫君            谷口弥三郎君            柏木 庫治君            西郷吉之助君            島村 軍次君            鈴木 直人君            太田 敏兄君            濱田 寅藏君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○首都建設法案衆議院提出) ○別府国際観光温泉文化都市建設法案  (衆議院提出)   —————————————    〔中川幸平委員長席に着く〕
  2. 中川幸平

    委員長中川幸平君) 只今から建設地方行政委員会連合委員会を開会いたします。慣例によりまして、私が連合委員会委員長の職を務めさして頂きます。  首都建設法案並びに別府国際観光温泉文化都市建設法案につきまして、提案者説明を聞くことにいたします。先ず首都建設法案について提案者から御説明を願います。  提案者衆議院議員井手光治さん。
  3. 井手光治

    衆議院議員井手光治君) 首都建設法案につきまして、提案理由を御説明申上げたいと存じます。その前に本法案の提出に至りまするまでの関係各位の御高配に対しまして、この機会に厚く御礼を申上げたいと存じます。  元来都市機能というものは、国内の諸地域及び世界各地との関連におきまして考慮されねばならない。  敗戦により我が国は将来永久に戦争を放棄し、自由と平和を愛する文化国家建設することとなつたが、東京都が我が国文化を象徴する文化都市として、新たに世界各国関連を持つ上においても将た又我が国経済中心地として世界経済と密接な交渉を持つ上においても、我が国首都として十分にその機能を発揮し得るよう整備されることが絶対に必要である。先に公布せられた広島平和都市建設法長崎国際文化都市建設法が広島、長崎をして各平和都市国際文化都市として生れ変ることを世界に宣言したことが国際信義を高揚する上において多大の意義があるように、我が国経済文化中枢である首都として十分にその機能を発揮せしめ得るよう整備することが絶対に必要な事業であり、これが国際文化向上世界経済繁栄に寄与するところ大なるものがあると考えられるのである。飜つて過去の東京を見るに、東京都が明治以来首都であつた点においては今改めて言うまでもないのであるが、従来の東京都は政治経済文化等中枢であり、世界各国関連を持つ上の中心地であるというよりも、むしろ徳川時代において京都が都であつたように宮城を中心とした封建的な都、いわゆる帝都として存在したと言い得るのである。従つてそこに建設せられる国家重要施設首都としての機能を発揮する上に如何なる影響を与えるかについては考慮されること少く、個々別々に建設せられる状態であつて都市能率向上等は全然無視せられていたと言つても差支がないのであります。又首都であるために他の都市と比較して如何なる特別な取扱いをなしていたかについては、その行政におきまして都制を施行する等、或る程度の特別な措置を講じてはいたのでありますが、その首都としての都市施設整備については何ら他都市と区別を与えられていないのであります。ただ大正十二年の大震災復興事業において、国がその一部を直轄し、或いは補助なす等、国において相当な援助を与えているのを見るのでありますが、これが果して首都であるという見地から特別な措置を講じたものであるかどうかは、横浜市の復興についても同様の措置を講じている点から見て疑問とするところであるのであります。  都市計画市区改正以来引続き施行せられていはいるが、これは他の都市と何ら異るところなく、都市民安寧を維持し、福利を増進するという点に立脚するものでありまして、特に全国的或いは国際的な関連を考慮して総合的に計画され、実施せられたとは言い得ないのである。仮にこれを考慮したとしても、都市計画法一條には「都市計画ト称スルハ交通衛生保安経済等ニ関シ永久ニ公共安寧維持シハ福利増進スル為ノ重要施設計画ニシテ」とあり、従来これに含まれるものであれば文化的諸施設と雖も都市計画として決定し得るものと解釈せられ、相当多数に亘つて決定せられているけれども、首都における政治経済文化中枢活動に対しまして、首都首都としての機能を十分に発揮せしめるためにはこれらの施設だけでは尚十分ではないのである。而して我が東京都は罹災面積におきまして実に四千三百万坪、全国の二四%、その人口において約三百万、全国の三一%、罹災家屋において約七十万戸、全国の三一%、その物的損害においては当時の物価においても百二十三億という莫大なる戦災を受けて終戦を迎えたのでありますが、その復興に当りましては、大震災の被害は罹災面積戦災の約四分の一であり、罹災人口戦災の約二分の一でありますが、復興事業において国家において与えた助成、即ち総事業費約六億六千万円中、国において施行し、或いは補助を与えた額四億四千五百万円、約六八%に相当する国の特別の措置の例に徹しましても、当然与えられなければならないものを戦災復興においては事業費に対する助成の比率については一地方都市と何ら異ることなく、その復興事業面積においては地方都市においては罹災区域の全面積に施行しているにも拘わらず、東京都においては罹災面積の僅かに約十分の一の区域にしか実施し得ないような状態であるのである。冒頭に述べたように、新らしく平和日本首都として国家の協力の下に整備建設せられなければならない首都復興において、かくのごとき状態であるのは誠に寒心に堪えないところであります。  併しながら終戦後の復興都市計画においては、我が国首都としてその機能を発揮し得るよう鋭意調査研究を遂げ、道路河川等交通施設において、公館地区用途地域等土地利用計画において、或いは公園緑地等保健施設において、都市計画として決定し得るものについては極力考慮を払い、逐次決定をしたのでありますが、その計画は依然として一地方公共団体計画であるとの感を与えたのみならず、都市計画施設として例えば鉄道軌道道路河川下水等を決定しても道路には道路法があり、河川には河川法あり、鉄道軌道には鉄道法軌道法があり、下水には、下水道法があるというごとく、殆んど全部が単独法によつて処理し得られ、都市計画法自体、他の法律によることを拒否していない以上、計画に従うことを強制する何らの規定もない関係もあつて、それぞれの施設計画が決定せられた都市計画に即応せず、これを無視して個々別々に実施せられる実情もあつて復興計画の将来の完全な実施を困難ならしめる状態に立ち至つたのである。  人或いは、東京人口は大であり、面積も大であり、重要産業交通施設が集中しているから、これらの事業に対する財源を持つているだろうから、早急に実施すればその懸念も解消するのではないかと言うかも知れない。併しながら戦災の痛手は公共施設復旧に例をとつて見るに、道路においてその復旧に約九十四億を要するにも拘わらず、施行せられたのは約六億であつて、その進捗率終戦後五年にして僅かに六%、公園においては一億に対して千四百万円に約一四%という状態であるから、復興計画実施ごときは到底本格的な着手は不可能であつて、その現況は計画せられた道路区画整理、運河、河川高潮防禦排水場河川埋立公園緑地塵埃焼却場港湾、上水道、下水道等の総事業費、約四千億円に対し、約四十六億、現在の物価に換算してでありますが、かようであつて、約一、一%という誠に心細い限りであります。これは戦災による経済力復興が依然として進まないのに加へ、数次に亘る水害が又その復旧に莫大な費用を要したのにもよるのであるが、その状態は次第に首都であるとの構想の下に立てられた計画が従来の復旧に大差ない程度に後退せざるを得ない状態に立至つたのである。これは国家首都建設に余りに無関心であるということが大なる原因であると指摘し得るのであります。終戦東京都が首都として国際的な関連を持つて来たことは大なるものがあつて、その結果は交通施設において、又は保健施設において、或いはその他の文化施設において早急に整備を要するを感ずるのであるが、近く行はれるであろう講和会議後においてはますますその必要を痛感することを予想せられるものであります。  以上述ベましたのが首都建設法を必要といたしまする理由でありまして、然らば首都建設法の意図する点については如何なる点を意図しておるかということにつきまして、簡単に申述べて見たいと存じます。  その第一点といたしましては、東京は飽くまで一地方公共団体としての東京都だけではなくして、新らしく我が平和国家政治経済文化中心地として、又世界各国交渉を持つ中心としての首都が新らしく誕生するということを宣言をいたしたのでございます。  その第二点は、東京都を我が国首都として計画し、建設するに当りましては、その政治経済文化その他あらゆる部面におきまして、首都としての有機的機能に着目をいたし、首都において我が国及び世界各国との関連において行われる。あらゆる国家中枢活動をより能率的に、より効果的になすことに計画し、建設することを定めたのでございます。  その第三点といたしましては、以上の諸施設計画し、建設するに当つては、国家的問題として政府がこれを取上げ、全国民がこれに参画し、協力し、援助し、歓心を持つて達成される必要があることであります。これを具体的に申上げて見ますというと、東京都の区域内において、首都としての機能を発揮することの必要な施設計画及び事業基準は、都市計画都市計画事業特別都市計画特別都市計画事業のみならず、運輸交通供給施設等は勿論、中央官衙計画等市街地計画、その他如何なる計画であろうと、首都建設計画が決定し得るということでありまして、その計画建設大臣国会を代表する者、東京都知事東京都議会を代表する者、学識経験者より構成する行政機関する委員会がこれを決定いたしまして、その計画作成及び実施につきましては、国、東京都の区域内の関係地方公共団体及び関係事業者、即ち官公民を問わず協力し、援助を与えなければならないこととするものでありまして、更に東京都の区域内において行われる都市計画事業は、東京都が首都であることに鑑みまして、首都建設上必要あると認めたときは、東京都及び関係地方公共団体同意を得た場合は、その内容である事業を主管する行政官庁が執行できることにいたしたのであります。これは例えば道路につきましては建設大臣港湾につきましては運輸大臣、或いは公園については厚生大臣が執行することができることといたしたのでございますが、これは国家的要請に基きまして、首都としての機能達成上必要な施設は国の事業として執行するのが当然であるから、この場合に処するものであります。又東京都知事、或いはその他行政庁首都建設計画に基いた事業実施する場合は、勿論一地方公共団体としての活動に必要な以上に規模を大に或いは精密にしなければならない場合があるのであります。例えば丸の内の交通状態を例に取つて見ましても、東京都が首都でなかつた場合は、恐らく現在のような道路駐車状態を見ないでありましようが、若しこれがために駐車施設整備するとすれば、当然国家的の要請によるものでありますから、国家において相当考慮しなければならないというのであります。又は東京駅前の広場の広狭の問題にしましても、首都であるために国際的に、或いは国内的に整備を要する場合、或いは国際交歓施設等を含む国際的な中央公園或いは国際空港等知事実施するとすれば、これらについても当然特別の助成を必要とするものであつて、その方法として、国有財産である普通財産がその事業の用に供しなければならない場合は、必要とする公共団体に譲渡することができる途を開いて、その事業の容易に完成するように考慮しようとしたのでございます。  次に建設法の逐條につきまして極く簡単に御説明を申上げたいと存じます。首都建設法の第一條はこの法律目的を定めたものであつて、その目的には二つの重要意味が含まれている。即ちその一つは、東京都を新らしく我が平和国家首都として計画し、建設することを目的とすると規定したことであつて東京都に平和国家首都としての性格を与えた点にあるのであります。勿論東京都が我が国首都である点に関しましては、事新らしく規定するまでもないのでありますが、従来の東京都は政治経済文化等中枢であると言いますよりも、むしろ皇居のある都、即ち帝都として存在して来たのであるが、今次世界大戦の結果、我が国は武力を永遠に放棄いたしまして、新らしく平和国家として国際社会の一員に加わることとなつたのでありますので、首都である東京都の性格も、軍国主義国家のいわゆる帝都より、我が国政治経済文化等中心地として、又世界各国交渉を持つ上の中心としての首都が新らしく誕生することを宣言したのであります。  もう一つ重要なる意味は、東京都を我が平和国家首都として計画し、建設するに当りまして、その政治経済文化その他あらゆる部面において首都としての機能を十分に発揮し得るように計画し、建設することを定めたことであります。従来の都市計画法特別都市計画法におきましては、都市計画法一條に、先程申しましたように、「本法ニ於テ都市計画ト称スルハ交通衛生保安経済等ニ関シ永久ニ公共安寧維持シハ福利増進スル為ノ重要施設計画ニシテ」云云とあります。その示すごとく都市計画とは、その都市を単位とする住民の安寧を維持し、又は福利を増進するための計画であつて、無統制な発展により生ずる交通上、衛生上、又は保安上生ずる障害を未然に除去すると共に、既成都市の改造を行おうとするいわば消極的な性格を有する嫌いがあつたのでありますが、この法律は単に東京都民安寧を維持し、福利を増進するためばかりではなくて、進んで首都としての有機的機能に着目し、首都において世界及び我が国との関連において行われる政治経済文化、その他あらゆる国家中枢活動をより能率的に、より効果的になし得るよう計画し、建設して、国際文化向上世界経済繁栄に寄与することを目的といたしておるのでございます。これが第一條でございます。  第二條でございますが、本條首都建設計画の定義を示したものでございます。「この法律で、首都建設計画とは、東京都の区域内において施行せられる重要施設基本的計画」を指すのでありまして、以下「東京都における」云々から、「事業基準となるもの」までは、前段の基本的計画補足説明した規定であります。「東京都の区域内において施行せられる重要施設」とは、首都建設計画を以て規制せられる土地の範囲に関して規定したのであります。即ち首都建設計画は、東京都の行政区域に限られるものでありまして、本計画都市計画及び都市計画事業基準となるものである以上、都市計画法一條において「市若ハ主務大臣指定スル町村区域内ニ於テ又ハ其ノ区域外ニ亘リ施行スヘキモノ」と規定せられておる区域外に亘り施行せられる計画及び事業は、首都建設計画としても取上げる必要があるかという議論があるのでありますが、併し形式上は当然首都建設計画に含まれ得ないと解さなければなりません。これは濫りに首都と特別に関係のない他府県の利害に影響を与えるような計画及び事業を決定されるのを防止するものであると考えられるのであります。併しながら例えば一例を申上げれば、小河内の水道の貯水池の事業山梨県に及んでおるのでありますが、このような事業首都建設計画として研究する場合は、山梨県に亘る計画そのものは決定し得ないといたしましても、区域内の計画及び事業内容によつても、その執行者であるものが、当然都市計画及同事業において考慮することになつて、事実上は大なる支障はないものと考えられるのであります。「重要施設」とは何を指すかということにつきましては、その補足説明において規定せられている通りでございまして、都市計画及び同事業並びにその他の施設の中で重要なもので、而も第一條目的を達成するに必要なものでなければならないものであります。従つて地域的には相当重要なものでありましても、その施設そのものが、首都機能を発揮する上に何らの関係のないものは決定し得ないものであります。又この規定に言う都市計画及び同事業とは、都市計画法に言う都市計画特別都市計画法に言う特別都市計画も勿論包含するのでありまして、この場合は法律的に言うものではなく、社会通念上の都市計画を指すものであり、この首都建設計画は、決してこれを排除するものではなく、これらの施設基準となるものであり、更にそれよりも一般高次基本的計画であつて都市計画、同事業特別都市計画、同事業のみならず、運輸交通供給施設等は勿論中央官衙計画等市街地計画、その他如何なる施設であろうと、又都市計画として決定し得るもの、得ないものに拘わらずその施設計画及び事業基準となるべき事柄を包含し得るものであります。これが第二條であります。  次に第三條でありますが、本條より第八條までは首都建設委員会及びその事務局について規定したのであります。本條はこの法律を保管し、この法律に基く首都建設計画作成及びその実施推進の衡にあたる国の行政機関として、首都建設委員会を設けること、及び委員会総理府の外局とすることを定めたもので、国家行政組織法第三條第二項「行政組織のため置かれる国の行政機関は、府、省、委員会及び庁とし、その設置及び廃止は、別に法律の定めるところによる。」の規定に基くものである。この種のみずから行政的権限を行使する会議制行政機関としての委員会制度は、新憲法施行以来我が国の国法上多くその例を見るところで、国家公安委員会全国選挙管理委員会中央労働委員会証券取引委員会等々、我が国行政組織上の一傾向をさえ有するのであります。特に本條において首都建設計画作成及びその実施推進にあたる行政機関として委員会制度とつ理由は、以上述べた行政制度の例に傚つたものではあるが、より根本的には首都建設重要なあらゆる施設基本的計画作成というがごとき、慎重にして周密なる調査の下に衆智を集めた国家的な構想により作成することが絶対に必要な事柄は、単独行政官庁に任せるよりも会議制によることがより適当であるという考えに基いているのであります。更にこの委員会を国の行政機関として設置したことは、一見地方自治に逆行するごとき感じを抱かせるのであるが、首都建設計画に含まれる施設は第二條において説明したことく、各省の所管事項に跨るあらゆる重要施設を包含するものであるから、到底一地方庁のよくするところでない。而も首都建設計画東京都の建設に当つて我が国首都としての機能を十分に発揮し得るよう、国家的見地に立つて各種計画及び事業基準を与えようとするものであるから、地方自治を損うものでありません。委員会総理府の外局としたことも、以上の理由に加えまして各種重要施設基本的計画が必然的に各省所管事項首都建設関連ある部分の総合調整を図る役割を持つことによるものであります。これが附則第四に示してあるのであります。  第四條でございますが、委員会の任務及び権限について規定したものでありますが、委員会首都建設計画作成だけでなく、その実施推進に当るということを規定してあるのであります。実施推進に当るとは漠然とした言い方でありますが、首都建設計画則つて各種施設計画及び事業がなされるよう常に監視し、或いは勧告し、その他実施の促進を図ることで、第九條の公告、第十一條の勧告に関する規定はその任務及び権限の一部を掲げたものでありまして、これのみに止まるものではありません。  第五條でありますが、本條委員会組織構成について規定したもので、別の説明を加える必要もないのでありますが、国の執行機関及び議決機関のうちからその指名する者に加えて、東京都の執行機関及び議決機関のうちからその指名する者を委員とした理由は、首都建設計画東京都を日本の首都として飽くまで国家的立場から計画しなければならないものでありますが、首都建設計画に基く諸事業執行面知事が担当するという場合も多く、又その施設の殆んどが公共団体たる都の施設関連があるから、公共団体たる都としての立場も計画作成に反映させることが望ましいとの政策的見地に出るものであります。尚建設大臣委員とせられましたのは、首都建設上の諸計画及びこれに基く事業はその大部分が建設大臣の主管する事項に属するものでありますから、又第六号の原議経験者側の指名に当つて国会の両議院の同意を得るということになつておりますから、国家公務員法二條第三項第九号によつてその職は特別職であり、国家公務員法の適用はございません。又これらの委員は非常勤とするように規定いたしたのであります。  第六條を省きまして第七條に移ります。本條は別段述べることもないのでありますが、委員長は会務を総理する権限を有するものでありまするから、委員会事務局内部組織を定めることにいたしました。但し、国家行政組織法七條の適用があります。及び必要がありまするならば、委員会議議事規則を設けることもできるし、委員長も又委員として一個の議決権を有するというように決めておるのであります。  第八條でありますが、本條事務局に関する規定でございます。委員会事務局を置くことは、国家行政組織法七條第四項にすでに規定せられておるところでございますが、本條の第一項に改めて規定いたしました。事務局内部組織をどうするかは今後の問題でありますが、若し部を設置することになりますれば、法律で以て定めなければなりません。これは国家行政組織法七條第二項、三項及び四項で事務局の職員の職は国家公務員法にいう一般職でありまして、その定員はこの法律の附則第六により行政機関職員定員法を改正して三十人と定めました。  第九條でありますが、本條は公告に関する委員会の義務を規定したものでありまして、公告することによつて国関係地方公共団体及び関係事業者首都建設計画実施にできる限り協力し、援助を与えなければならない義務を負う第十條と共に、委員会は第十一條に定める勧告を行う権限を有することとなるのであります。本條において「首都建設計画作成したときは」と言い、「決定したときは」と言わなかつたのは、第四條に「委員会首都建設計画作成し」とあるのと対応したものであつて意味は「委員会会議において決定されたときは」というのと異なりません。  第十條でありますが、本條は、広島平和記念都市建設法においてその第三條に「国及び地方公共団体の諸機関は、平和記念都市建設事業が第一條目的にてらし重要な意義をもつことを考え、その事業の促進と完成とにできる限りの援助を与えなければならない。」と規定されているのと類似している規定で、首都建設計画に基く事業実施についての援助及び協力義務について規定したものでありますが、広島の場合と異なる点は単に事業実施についてばかりでなく、首都建設計画作成そのものについても、援助並びに協力の義務を与えたこと、及び義務者として国、東京都の区域内の関係地方公共団体のみならず関係事業者をも含めた点にあるのであります。関係事業者とは必ずしも意味の明瞭な言葉ではありませんが、例えば運輸交通関係事業者、電気ガス事業者等を指し、関係地方公共団体とは単に東京都及び都の区、市町村を指すものであります。  第十一條でございますが、前條におきまして、首都建設計画重要性に鑑みまして、首都建設計画に基く事業の執行については、広く国も東京都の区域内の関係地方公共団体関係事業者もその実施について協力し援助をなすべき法律上の義務を与えたのでありますが、尚これのみを以てしてはその実効性を確保しがたいので、更に本條において委員会に勧告の権限を与えたものであります。行政作用としての勧告の制度が我が国法上認められた例は戦後の立法例に多く見るところでありますが、勧告を受けたものは勧告の権威を重んじ、理由なく勧告に違反することを得ない法上の責任を有するという点において単なる建議とは異なりますが、命令のごとく義務者が是非ともその命令に従うことを要する法の強要性はないものと解せられます。従つて勧告は法律の権威を以て「かくなすべし」又は「かくなすべからず」ということを要求するものでありますが、万一勧告に違反する者があつた場合には、何らかの制裁を以てその履行を確保する手段を持たないものであるという意味であります。  又勧告の相手方は一般私人よりも国又は地方公共団体機関である場合が多く、立法例においても内閣に対して勧告するもの国家公務員法第三條による人事院の人事給与等に関する勧告、内閣及び国会に対して勧告するもの「地方行政調査委員会議設置法第三條による委員会の国及び地方公共団体の事務の配分調整に関する勧告」、内閣総理大臣又は特定の行政官庁に対して勧告するもの、「社会保障制度審議会設置法第一條による審議会の社会保障制度に関する勧告」、「運輸省設置法第七條による運輸審議会の運賃及び料金等に関する勧告」、各行政機関及び地方公共団体の長に対して勧告をするもの、「統計法第六條の二による統計委員会の統計機構に関する勧奨」等ありますが、本條の勧告はその範囲におきまして、以上のどの例よりも広く、国、東京都の区域内の関係地方公共団体又は関係事業者に対してなし得るということを規定したのでございます。本條一項は、国、東京都の区域内の関係地方公共団体に対しまして、その所管の施設計画の決定、及び事業の施行、又は許可、認可等の行政処分につきまして、首都建設計画を尊重するよう勧告すると共に、関係事業者に対してもその事業計画及び施行について勧告し得る意味でありまして、例えば私鉄が或る路線の新設又は延長をなすがごとき場合、運輸大臣に対し、事業の認可につきまして、首都建設計画に基かしめるよう勧告をなすと共に、認可、申請以前の段階におきましても、私鉄に対し首都建設計画に即応した計画を立てるよう勧告することができるように規定しているのでございます。かくいたしまして、首都における重要施設首都建設計画に適合し、総合調整されて建設されることを要請している次第であります。  本條第二項は、或る事業首都建設計画を尊重し、それに基く事業ではありますが、その事業実施につきまして必要な事項を勧告し得ることを定めましたもので、例えば事業の執行の順序、或いはその年度、執行方法等について首都建設計画上必要と認めた場合になし得るものと解するのでございます。以上は委員がなし得る勧告の範囲を定めておるものでありますが、以上の勧告を受けたが、或る種の事情により勧告に従うことができない場合につきましては、何らこれを強制する途はありませんが、飽くまで首都建設重要性を認識し、極力その勧告を尊重するよう期待しておるものでございます。これによりまして、首都建設計画との間の調整を図る等の努力をする機会を与えると共に、少くとも不知の間に首都建設計画に支障のある事業実施が行われる等のことのないのを期しておる次第でございます。  第十二條でございまするが、本條都市計画法行政官庁が執行し得る規定がありますから、その必要を認めないとの意見もあり得るのでございますが、本法に言いますところの都市計画事業とは、第二條に述べたように、特別都市計画事業も包含せられると解釈せられるので、特別都市計画法の特例でもあり、更に行政官庁が執行する場合は、東京都及び関係地方公共団体同意を要することといたしましたので、本條を置いた次第でございます。  首都建設計画を実現するために、都市計画法による都市計画事業特別都市計画法による特別都市計画事業の方法によることが多いであろうことが将来予見せられるのでありますが、特別都市計画事業の執行につきましては、地方の実情に即し、地方民の熱意と創意を反映せしめる趣意の下に、行政官庁は直接その執行に当らない旨を定めているのでございます。特別都市計画法一條第四項。併しながら東京都の区域により行われる都市計画事業については、それが首都建設計画に即応したものである限り、単に都民の福利を増進するための施設ばかりでなく、首都としての機能を発揮する上に必要な施設を含むのでありますから、例えば道路について建設大臣港湾について運輸大臣、国営公園について厚生大臣、その他その事業内容である事項を主管する行政官庁が直轄事業により執行することが適当な場合もあり得るので、本條により行政官庁が執行し得る旨の規定を定めたのであります。併しながらこの場合におきましては、東京都及び関係地方公共団体の利害に大きな影響があり、地方自治を阻害する虞れもなしとしないのでありますから、将来これとの間に起ることを予想せられる紛議を避けますため、東京都及び関係地方公共団体同意を要することとした次第でございます。  第十三條でございますが、本條首都建設計画の実現を促進する手段といたしまして、執行する都市計画事業特別都市計画事業を含んでいる——に対しまする特別の助成についての規定でございます。助成の対象となるものは公共団体でありますから、この場合の事業執行者は当然公共団体を統轄する行政庁であることは明らかであります。従つて首都建設計画に基くものであれば、特別都市計画事業又は都市計画事業として八王子市長の執行するものや、立川、武蔵野市長の執行するものも本條に含まれるものであります。国有財産法においては、普通財産の売払いについて、第二十九條に一定の用途に供させる目的を以て売払いをすることができることになつているのに対しまして、本法において都市計画事業の用に供する場合は譲渡することとしたのは、当該財産を所管する各省各庁の長がその買受人に対し用途並びにその用途に供しなければならない期日及び期間を指定しなければならないこととなつておりますのを、首都建設計画に基く都市計画事業におきましては、その用途指定、期日期間の指定をせずとも売払いをなし得ると解すべきであり、又普通財産を他の用途に供する目的を以て売払いの必要が生じても、首都建設計画に基く都市計画事業により譲渡の必要が生じた場合は、必要と認めるときは譲渡することができるとの規定でありましても、これは任意に譲渡するか否かを決定する自由裁量権を大蔵大臣に与えたものではなく、譲渡することができる権限を付与したものと解すべきでありまして、他の法律にこれに優先する規定のない現在、首都建設事業が優先すると解すべきであるのであります。  次は附則でありますが、この法律は公布の日から施行するものとせられているのでありますが、事務局は当然予算措置を伴わなければ設置できないことになりますので、この法律の全文を公布の日から施行するとすれば、直ちに政府において予算措置を講じなければならない義務を生ずるのでありますが、今その準備もできていないので、一応法律には、事務局は予算措置が講じられたときに初めて設置することとしたのであります。併し予算措置を講じないで、いつまでも事務局を設置しないということは本法の趣意に反することでありまして、最も早い機会に予算措置を講じられなければならないのであります。  二、日本国憲法第九十五條「一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない。」との規定がこの首都建設法制定につき適用であるかどうかということは、疑問のあるところでありますが、この法律と同様に都市計画法の特別法として制定せられた広島平和記念都市建設法の制定に当つて、積極、消極両論が行われ、憲法第九十二條から第九十四條までにおきまして、地方公共団体の組織、運営、機関、事務の範囲、條例制定権等を定めた後を受けまして、第九十五條が規定されていることから、第九十五條の趣旨は、地方自治の基本的事項に関しての特別法制定の場合にのみ適用になり、国家事務の法としての組織立てられている都市計画法の特別法たる広島平和記念都市建設法の制定には適用されないとなす論もあつた模様でありますが、憲法第九十五條の表現が、単に一つ地方公共団体にのみ適用される特別法とありますから、この場合には適用ありとなす論が多く、遂に議院運営委員会に諮つた結果、適用あるものとすると決定された経緯もありますので、この法律都市計画法特別都市計画法の特別法たる性格を有すること、及び一つ地方公共団体にのみ適用になる点において広島の立法と同様でありますので、この附則により住民投票をなすものと定めた次第でございます。  第三でありますが、憲法第九十五條に基く住民投票の費用に関しましては、法律の制定についての一種の手続でありますから、国家事務であり、当然国費を以て支弁すべきであると解せられるのであります。地方自治法施行令第百八十五條にも衆議院選挙法施行令を準用して、公の機関の負担すべき費用、即ち選挙人名簿、投票の用紙その他の費用につきましては、当然国庫が負担せられるというように規定せられているのでありますが、首都建設法においてはその特例として、住民投票に要する費用は東京都の負担とするとの規定を設けたのでございます。このことにつきましては、地方財政法第十一條に「主として国の利害に関係ある事務を行うために要する経費については、地方公共団体は、その経費を負担する義務を負わない」との関係が議論のあるところでありますが、住民投票は地方自治法の規定によつてその行う期日を定められておりまする関係上、その期間内に国の予算措置を期待することが困難である場合も考えられますので、こういう場合を考えております。而もこの法律は、東京都の住民に対し、或る種の利益を与えることは事実でありますので、この費用の内、選挙管理委員会、投票等、公の機関が当然負担しなければならない費用は東京都が負担することに決めたような次第でございます。  以上を以ちまして本法律案の大体の説明を終りたいと思います。
  4. 中川幸平

    委員長中川幸平君) 引続いて別府国際観光温泉文化都市建設法案につきまして、提案者である衆議院議員永田節君から提案理由説明を聞きたいと思います。
  5. 永田節

    衆議院議員(永田節君) 本日参議院の両委員の本審査を受けますことになりまして、敬意を表します。すでに御案内の通り、国際観光温泉文化都市法案は去る二十三日衆議院を通過いたしまして、即日当院に送付となつ法案であります。時間の関係もございますし、元々この法案に私は余り明るくございませんので、極めて簡単に御説明を申上げます。  大体この法案を設けましたところの目的というものは、観光の持つ経済的の価値というものに著眼いたしまして、昨今我が国経済状態が外国から貿易の材料を輸入いたして、煩わしい労働基準法を以て加工して、更にこれが外国の市場において果して貿易の面において我が国の製品が外国の製品と競争できるか、こういう疑わしい問題が起つて来るのであります。然るに国策といたしまして、幸いに惠まれました日本に僅かに人為を施しまして、天惠的の地形を活用するならば、容易に外国人を吸収し、誘致いたしまして、外貨を吸収し、従つて我が国経済に大いに寄与することができる、即ち観光国策を促進するのが主たる目的でありまして、その促進の方法といたしまして、国家が最も主力を注いで別府市に集約的にその観光施設援助をする、こういうところが本法案を提案いたしました目的でございます。何故に別府が取上げられておりますかというと、国際的の温泉都市であると言いまするかというと、風光、景観等に必ずしも国内に別府以上の現勝の地がないとは申されませんが、今日別府の駅にありまする進駐軍専用の休憩所には、ウエルカム・ガーデン・スポツト・オヴ・ジヤパン、こう書いております。又現に小倉にありまする放送局で占領軍専用の放送では、第八軍の福岡民事局の産業課長夫人が毎週土曜日の午前中にアメリカ本国へ向つて放送いたしております。その中に初めて日本においでの方は、是非お花とお茶のお稽古と、更に別府の行楽はお忘れないようにと、こういうふうに宣伝されつつありますることは、正に別府は国内随一、更に世界的の景勝の地であるということを示すものであろうと信じて止みません。  次に本法律実施の方法でありますが、かかる景勝の地といたしまして、すでに国際的に著名な別府は終戦と同時に国策といたしましての観光事業に二十二年度は衆議院並びに参議院に国策として強力に推進されんことを請願いたしました結果、翌二十三年に採択されまして、直ちに内閣に観光審議会の設置を見て、更に又観光五ヶ年計画の樹立を見ましたことは我々の感謝に堪えないところであります。大分県民並びに別府市民等はそのような容易ならざる計画をいたしておりまするが、厖大なこの予算に対しましては一別府市民、一大分県民のみの微力では到底その実現は困難と思われるのでありまして、ここに国会の強力なる援助を切望する事由があるのでございます。後程御質問にお答えすることにいたしまして、大綱の説明を終ります。
  6. 中川幸平

    委員長中川幸平君) ちよつとお諮りいたします。今日質疑をやることにいたしますか。
  7. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 極く総括的なことだけ……
  8. 中川幸平

    委員長中川幸平君) 御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 先ず首都建設法案について、細かいことについては後程又質問いたしたいのですが、極く総括的なことについて提案者にお尋ねいたしたいのでありますが、提案者井手君から縷々長い提案の理由説明がありましたが、その理由とせられたところは、非常に内容の空疎な美辞麗句的な文句が非常に多かつたと思いますが、又それを除いて考えて見ますと、大体この提案を主として東京関係衆議院議員の方が主になつてお出しになつておると思うのでありますが、結局現在の都市計画に関するところの法律以外にこういう法律を別に設けて、できる限り国の費用を東京都の都市計画に貰おうということが、私をして言うならばこの法案の眼目ではないかと思うのでありますが、私も井手君のように東京都から選出されておりますところの議員の一人といたしまして、選挙区自治体がそういう国の特別の援助を受けるということについては大変結構な感もないではないのでありまするが、併しこれはやはり国会議員として国の政治の全般の上から考えて行かなければならない立場に立たなければならんと思われるのでありますが、大体東京都に、今言うように外の地方都市と異つてその都市計画推進して行くということについて、国が政治上、特に財政上、経済上の援助を与えるところの必要がそれ程あるものであろうかどうかということが、我々国会議員として吟味して見なければならない問題ではないかと考えられるのでありますが、今提案者は、例を平和都市として、この爆弾の被害を受けました長崎及び広島に特殊の法律が制定されたことの例を頻りに引用されたのでありますけれども、私はそれは少し同じように取扱うということは余り賛成することができないのでありまして、ああした特殊な爆撃を受けた所が、国際的な意味においての平和都市としていろいろ再生して行くという意味において国としては十分にその建前があると思うのでありますが、東京都が首都として都市計画を行うのに、それと同様な特殊的な援助を与えることが果して妥当なりや否やということの問題であります。それは提案者も今お話になりましたようでありますが、関東大震災を受けましたときに、初めは帝都復興法案というような名目が考えられたのでありますが、後に特別都市計画という名に変つたようでありますが、あの震災のときなどには、そうしたそれを復旧するために他の都市と違うところの都市計画に関する法律を作る必要があつた。併し現在の東京というものは提案者もお話になりましたように、いわゆる首都、又新憲法前におきましては專ら言われましたように帝都として中心地、或いは帝都といたしまして直接間接に非常な政治的な、又経済的な、財政的な援助を他の都市に比べまするというと、もう受けておることは実に莫大なものであると考えられるのであります。これは端的に言えば、日本の大体人口の八千万中の五、六百万を占めておるのでありますけれども、今の統計においてはどうなつておるか知りませんが、以前におきましては、大体日本の持つているところの富の力の約三分の一というものは東京に集中されておつたのであります。それはどういうことであるかというと、即ち日本の中央集権的な政治、殊に共産党の諸君が頻りに惡罵いたしまするところの天皇崇拜主義の政治感情と結び付けて、何が何でも一切のものを東京に集中いたしまして、そうしてその政治力を背景として日本の資本主義というものが発達したものでありますから、地方の会社のごときもすべて本店は東京に持たなければ仕事をやつて行けないというようなことで、今言うように日本の富の約三分の一というものは東京に集中されるような結果を来たしたのであつて、その関係は今日においても私は大して相違がないと思われるのであります。でありまするから、東京都の都民というものはそういう関係において都市計画その他のことについても非常な利益を地方都市に比べるならば得ておるのでありますが、尚それ以外に関東大震災、或いはこのたびの特別都市計画法、或いは広島長崎等のああいう爆弾によるところの被害の都市復興と同様な観念に基いて、どうも東京だけ首都であるからというので特殊の都市計画法規を制定するところの理由というものが私には非常に薄弱なように考えられるのであります。殊にそういう観念については先に井手君がお話になつたように、昔はいわゆる帝都中心主義というような建前で以て、それが封建主義的なものであつたということを非難されたのでありまするが、やはりその観念が連続しておるのじやないかと思うので、東京政治中心地として直接、間接に非常な経済力の集中を来すところの利益を得ているのにかてて加えて、更にそれに拍車をかけるような、又憲法が変つて、井手君が言われた宮城の所在地というようなことについても、国民感情が私は変つて行くね又変らして行かなければならんと思うのでありますが、そういう特殊の法律を作つてやらなくちやらん理由はどうも薄弱であるように思われるのでありますが、それについての一つ御答弁を得たいと思うのであります、それからこの法案提案者でありますが、井手君は、提案理由説明をおしになつて、井手組も東京都の区長を最近までしておられたのであります。伝えられるところによると、この法案は、衆議院議員の方の御提案になつているけれども、これはまあ失礼な言かも知れませんが、噂でありますが実際の起案者は東京都の役人である。殊に建設局の局長である石川榮耀君その他の諸君が中心になつてこの法案を作つたのであるというようなことが伝えられておりますが、それについても一つ真相をお話を願いたいと思うのであります。  それからさつき申しましたことでありますが、現在の新憲法施行後におけるところの、それ以前からもありましたが、要するに今度の地方制度でありますが、地方制度即ち地方自治法の基本的精神というものは、井手さんも御承知のように中央集権を打破して、地方分権主義でやつて行かなければならんという建前になつているのでありますが、そういう地方制度の基本精神であるところの地方分権主義という観念と、この法案とは背馳すると思われるのであるが、それについての御見解はどうかということを一つ併せてお伺いいたしたいと思うのであります。  それからこの委員の待遇の問題でありますが、私十分に法文を調べておりませんが、これは附則にありまするのは、首都建設委員会委員というものは、これは国家公安委員のようにいわゆる俸給等において大臣待遇を受けるのであるかどうかということの御答弁を得たいと思うのであります。  それからこの一般投票の問題でありますが、一般投票は、新聞の伝えるところによりますというと、附則の第二項でありますが、憲法第九十五條の規定によるところの、東京都の住民によるところの投票、これは六月に行われるところの参議院議員の選挙と同時に行われるということが伝えられておりますが、これ又世間におけるところの一部の都の揣摩するところでありますが、何かこの法案は自由党の諸君が中心になつて、殊に建設大臣建設次官も関係していらつしやるのでありますが、建設次官は東京都の人でありますが、自由党が参議院議員の選挙を有利に進めて行くというようなことのために、わざと同日にやるんだというようなことを言つている人があるが、そんなことはないかと思われますけれども、そういうことについての一つ御弁解があれば、この機会に承わつて置きたいと思います。それからまだ他に聞きたいとことがありますが、それだけのことを先ず聞きたいと思います。
  10. 井手光治

    衆議院議員井手光治君) お答えを申上げます。私共この法律案の立法に当りまする前に、一体只今お話のように、地方都市としての都市計画法なり、或いは特別都市計画法によつて施行せられております戰災都市復旧、そういう点とのかみ合せをいろいろ考えまして、一体立法の基本的な考え方をどこに持つて行くべきかということが、今御指摘になりましたような考えと同じ意味において、十分考慮を払つて見たところであります。そこで法案の全体として流れまするですね。一つの筋をお掴み頂けると思うのでありますが、そういう意味合から、都市計画法なり特別都市計画法の施行しておりまする埓外の点を掴みまして、これは国家的な要請に基きまする具体的な事項というのが非常に多い、東京都というものは大体現在六百万以上の人口を抱えまして、将来といたしましても、今日このままの趨勢で参りますと、東京都が極めて政治中心になるというような傾向を帯びて来るという議論があつて、そういう点ででき得る限り一つ、この機会に戦災復興中心として首都の具体的な再建を進めておる現段階においてこそ、私共はそういう点を十二分に考慮いたしまして、考えなければならん点があるのではないかという建前から、こういう立法をいたしたのであります。そこでこの立法の主たる目的中心といたしまして、いわゆる国家的な意図を含め、又地方自治的な具体的な考えも入れました総合的な立案の上に立つところの委員会中心として、これを中心とした推進機関としての考え方で行こうじやないかということで、この法律案を立案いたしたのであります。従いまして、この委員会はそれを中心として考えられました都市計画法なり、或いは都市計画事業を具体的に拘束するものではない。その上位にある一つの総合的な企画を推進し、或いは公告し、或いは奉告するという考え方で行ならば、そういうものと何ら抵触するものではない。そういう考え方で実はいたしましたので、お話のような点も十二分にこの法案の立法に当りましては考慮をいたしたのであるということを一つ御了承願いたいと思います。  又第二点の、それからお話がありましたように、そういう趣旨であるならば、もつと東京都が国家的な財源を十二分に一つ取入れて、そうしてその好條件に恵まれたことを更に上塗りをする意味において国家的な費用を取上げるというふうな背後の政治力を利用した考え方でやつて行くのではないかという御質問でございますが、私共はそういうことは毛頭考えていないのでありまして、単に戦災都市復興という面から言いますならば、敢えて只今お説がありましたように、東京都にのみ戦災復興の線に沿つた費用の負担を国家が背負うべしという議論はこれは成立いたさないのであります。その意味におきまして、とにかく今日の段階においては、首都としての大きな観点から十二分にこれらの方策を講じなければならないということが主眼となつておりまして特にそのために国家的な費用を十二分にここで取上げるというような、そういう考え方は実は持つておらない。併し実際問題といたしましては、心持ちの上では都市計画法第六條の規定に拘わりませず、その事業の執行に要する費用につきましては、国と東京都の負担割合等についても若干の考慮をすべきではないかという気持を実は持つておるのであります。併しそういうことは心持ちの上にはありますけれども、法文の上にそれを明示するということは避けまして、単に十三條の普通財産の譲渡という意味の一本の極めて端的な表現に止めたのであります。今具体的に将来この法律案が通りますならば、又国民の総意が、国民の全体の関心の下に首都建設というような具体的な構想ができ上りますならば、或いはその機会において十二分に財源の援助もいたしたいという気持も持つておる次第であります。  それから東京都のいろいろな関係官僚がこの法律案の立案に当つたのではないかという御質問でありますが、実は首都建設法案広島長崎法案が出ます前にこの問題は取上げておつたのでございまして、先程申しましたように、四千三百万坪に亘ります厖大な戦災都市を抱えまして、特に戦後行われました建物疎開等の残地等の整理は、この機会に東京都の都市計画事業と適応せしめまして、それぞれ具体的な方途を講じて置かなければ由々しい問題が生ずるのじやないか。今日一億を要する費用は将来は百億も二百億も要することとなつて容易ならないと思う。そういう点を十分に考えまして、恒久的な措置を講じなければならんという、そういう考え方がよりより識者の間にもございまして、私共もそれを強く主張した者の一人でありまするが、時が次第に遅れまして、実は今日他の都市の後を追いまして、東京都がこの法案提出をしなければならんということに追込まれて来たのであります。併しこれは今日のように地方自治的な問題が多分に含まれております。東京都の方面から資料を取寄せ、或いは建設省の方面からいろいろなデーターを頂戴しておるのでありますが、立法は私共を中心としましてそれぞれ専門的な方の御参加を願い。又院の法制部等の背後的なお力もお借りしまして、実は法案をまとめましたようなわけで、又相当今日この本法律案になりまするまでには、紆余曲折を経まして実はでき上つておるのでございます。その点は単に官僚任せにいたしてこの法律案ができたのでないということを一つ御了承願いたいと思います。それから大変大切なところでございますが、これは地方自治法の定めたところと牴触する点があるのではないか。これは私もこの法案を取上げまするのに非常に重大な関心を持つたところでございます。そこでこの法案はそういう点を十分に考慮いたしまして、要するに一地方問題として、地方的な問題を国家の意図する機関がその制限の範囲を超えまして制約を加えるというふうなことになりまするというと、これは地方自治法の精神に反するところであります。そういう点を極力これは避けなければならないという観点から、いわゆる国家的要請に基きまするところの諸施設につきまして、特に大きな観点から地方自治法の定むる精神に反しないような措置を講ずるような線に持つて行かなければならないというので、極力その線に実は推進めたのでございます。そこで委員会任務でありまするとか、或いはこの條文の中に流れておりますることは、極力御指摘のような点に触れないように実は考えたつもりでございますが、その点を御了承願いたいと存ずるのであります。  それから委員の待遇はこれは非常勤でありますので、勿論大臣待遇で俸給を出すというようなことは考えておりません。非常勤でこれは車馬賃程度の待遇というようなことで、その程度しか考えておらんのであります。又打合せもそういうことになつております。
  11. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 ちよつとお尋ねいたしますが、戦争のために日本の国土の再建をしなければならない。その場合にどういう性格都市をどういう所に作るか。その根本の計画はまだ日本としてできていない。この首都建設のこの法案をお出しになる前に、まだ日本の再編成と申しますか、国土全体を挙げての再建計画、そういうものを先ず考えてから首都をどうするかということを考えなければならん。それに対してどういうふうなお考えをお持ちでありますか。国土の再編成、それなしには東京都ができる筈はない。これに対してお伺いします。
  12. 井手光治

    衆議院議員井手光治君) 大変御尤もな御質問だと思います。本来言いますと、お説のように国土開発法なり、或いは総括的な全国の再建計画というものと合せましてそれぞれこれに附帯する特別法として生まれて参りまするならば、これは極めて合理的な線でありまして、私共実はそれを希望しておるのでありますが、実際問題といたしまして、東京都の首都建設というようなものがもう終戦後五年を経過いたしまする現段階におきまして、このまま実は放任できないという事態に立至つたことは御承知の通りでございますので、実はそういうところが一番望ましいのでありますが、現段階におきましては、それらのものと噛み合つた具体的な法律の制定ということは実はいたしかねる実情でありますから、止むを得ずこの法律案の制定立法をいたしました。そこでお説のように基本的な国家再建の国土開発法的なものがまだ生れて参りませんけれども、とにかくこの法案はいろいろな議論もありましようけれども、東京都は首都として一体どういうことであるべきか。首都のあり方については如何にあるべきかという基本的な計画を先ずなすべきだという実は考え方からこの立法に当つたのであります。採光はそういう国土開発法的なものができますれば、尚それらと噛み合せをいたしまして、具体的にはそういう線に沿いたいという考えを持つておる次第であります。
  13. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 では、この法案東京都だけを主としてお考えになつて、国全体としての国土計画と申しますか、そういうものは殆んどお考えなしに立案されたというふうに理解して差支えありませんか。
  14. 井手光治

    衆議院議員井手光治君) 実は国土建設計画或いは国土開発計画等につきましては、具体的に考慮を払うべき段階にまだ至つておりませんのは甚だ遺憾でございますが、そういう状況にありますので、全然全国的にそういう構想を考えないというのはちよつとどうかと思うのであります。やはりこれだけの立派な中枢的な委員会ができまして、この首都のあり方につきまして計画をいたします場合は、当然これらの問題も両々相待つて考慮の中に入れながら計画されるものと私は確信いたしておるのであります。併し具体的にまだ法律案の基礎がございませんから、どういうことにすべきかということはちよつと如何かと思うのであります。
  15. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 さつきの選挙のことについては御答弁がなかつたのでありますか。
  16. 井手光治

    衆議院議員井手光治君) これは甚だ実は私も初めてお伺いをいたしたようなわけで、私は参議院選挙にどうしようということは考えておりません。而も憲法の定めるところによつて期限内に施行をしなければなりませんから、急ぐということは事実です。これは予算措置が伴つておりますれば、当然これは国家負担においてやらなければならんのでありますけれども、そういう場合も考慮いたしてできるだけ早急にやりたいと思うのでありますが、万一国家的な予算措置が伴わなければ東京都の負担においてやれば……併しその時期は六ケ月以内ということに恐らくなつておると思いますので、適当な機会と思つておりますが、この参議院選挙に噛合せるということはそこまで考えておりません。それは結構でありますけれども、費用を軽くする意味におきましては或いはその方がいいかも知れません。
  17. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 法案を作つてそれから都市を作る場合もありましようし、併しこういうふうに技術的なものは、先ずこういう構想都市を作りたい。それに基いて法案を作るべきじやないのですか。今日は時間もありませんので、この次にどういう構想都市を作るとか、具体的なものを示して頂きたい。それがないと審議できないと思いますから、お願いいたします。
  18. 井手光治

    衆議院議員井手光治君) 先程もお話を申上げましたように、都市計画法及び特別都市計画法の定めるところによりまして、一応技術的な首都建設或いは東京都の再建計画というものができておるのでございますが、先程お話いたしましたように、どこまでもそれは都市計画法に基きまする一地方都市の住民の安寧福祉ということを基準とした考え方を一歩も出ておらないということを言われても仕方がないというふうに実は申上げたのでありますが、更にお話のような国土計画のような大きな構想の下に具体的にかくあるべしという案を作つて貰いたい、これがこの法案の狙いでございます。でありますが、お説のように具体的にこうするのだということを決めるということになりますと、これはなかなか容易ならない問題でありまして、むしろこれはそういう基本的な計画を作る機構を整備いたしまして、それから現在東京都におきまして、都市計画事業として考慮せられております案を基礎とし、或いは参考としてより良き立派な計画をこの委員会において計画し、推進して貰うというふうに実は考えておる次第であります。
  19. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 TVAにしても何にしても、大体こういう構想でこういう仕事をするのだ。殊に先程申しました通り、こういうふうに計画、技術、そういうものに関係したものは先ずその具体的な案があつて、然る後にこれを法案化して、これをし易くするというふうにやるのが当然だと思うのでありまして、先程お話の通りに今まである計画によつてこれを補修するとか、或いはどういうふうになさるか知りませんが、とにかく一応の案がなくして、ただこの法案というのでは甚だ頼りないと思いますから、少くとも構想だけは示して貰いたいというふうに思いますので、この点お願いいたします。(「同感だ」と呼ぶ者あり)
  20. 井手光治

    衆議院議員井手光治君) 実は首都建設法法案に基きまする構想というものは、今後生れて来ることになるのでありますが、只今申上げましたように、東京都の復興計画なり建設計画なりにつきましての特別都市計画法なり、或いは都市計画法を基礎といたしました構想は只今できておるのでございます。それはいずれ大体どういう態勢に東京都が進んでおるかということにつきましては、技術的御説明をする機会を実は頂きたいと思います。
  21. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 この法案の趣旨説明を拝聴いたしまして、第一に考えましたことは、吉川委員からも御質問がありましたように、地方自治を損なうのではないか。地方自治の本旨に反するのじやないかということなんです。つまり勧告という名義ではなくて、勧告とはつきり第四條に書いてありませんが、委員会は「その実施推進にあたるものとする。」という意味でまあ勧告だけであるかどうか曖昧ですが、とにかく勧告にしたとしたところが、建設大臣委員会の会長になつており、それから東京都の知事も出ている。而も東京都側は二人しか出ていない。他の方が七人も出ているというようなことで、ここで作られた計画というものが勧告という名義にしても、非常に力の強いものである。そこで地方自治の本旨に反するようなことが出て来やしないか、これを非常に恐れるのであります。そういうことにつきまして、東京都知事建設大臣、本多国務大臣それから大蔵当局、こういう人達に総括的の質問をしたいと思いますから、この次の委員会にはそれを呼んで頂きたいと思います。これを要求して置きます。質問はこの次によく今の趣旨説明の写を頂きまして、それによつていたします。
  22. 中川幸平

    委員長中川幸平君) それでは本日はこの程度で散会いたします。    午後零時十七分散会  出席者は左の通り。   建設委員    委員長     中川 幸平君    理事            岩崎正三郎君            仲子  隆君            赤木 正雄君    委員            島田 千壽君            大隅 憲二君            佐々木鹿藏君   地方行政委員    委員長     岡本 愛祐君    理事            吉川末次郎君            岡田喜久治君    委員            黒川 武雄君            堀  末治君            柏木 庫治君            西郷吉之助君            鈴木 直人君            太田 敏兄君            濱田 寅藏君   衆議院議員            井手 光治君            永田  節君