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1950-02-08 第7回国会 参議院 決算委員会第一分科会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年二月八日(水曜日)    午後二時五分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○昭和二十二年度一般会計歳入歳出決  算、昭和二十二年度特別会計歳入歳  出決算農林省に関する事項)   —————————————
  2. 柴田政次

    主査柴田政次君) 只今から決算委員会第一分科会を開会いたします。  本日の議題は、農林省一般会計、三百十三号、補助金返納額回收を遅延したものを議題といたします。これに対しまして会計検査院第二局長小林義男君の御説明を願います。
  3. 小林義男

    説明員小林義男君) 三百十三号について御説明申上げます。本件は、営農住宅及び共同作業場建築費全額補助の問題でありまして、昭和二十年度集団帰農者就農事業費補助ということで五十二万五千円、緊急開拓事業費補助として八十六万四千円、それから二十一年度緊急開拓地入植者事業費補助として二百二万五千円というものを岡山県知事農地開発営団中国四国事務所に交付したものでありまするが、そのうち返納させなければならないものが二百六万一千円ある、という案件でございます。この中国農地開発営団は二十二年の十月に閉鎖機関指定されたのでございまするが、それまでに実際事業を実施したもので百三十五万円余でありまして、その他の部分物価騰貴とか、諸資材の入手困難などで工事が実際できなかつた。使わなかつた金が二百六万一千円あるのでありまして、これを返還させなければならないということでありまするが、二十三年の三月農林省開拓局長からその一部の四十五万円というものについて返納指示がありました。年度末までにはまだ收納に至つておらなかつたのであります。そのあとの分についてまだ当時措置がとつてなかつたという関係にあります。
  4. 柴田政次

    主査柴田政次君) これに対しまして、政府委員農林省官房会計課長伊東正義君に説明を願います。
  5. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) 今の検査院小林局長から御指摘がございました通り本件は、当時農地開発営団事業をしておつたのでありまして、ここに御指摘になつておりますような金額補助が出ているわけでありますが、二十二年の十月ですか、農地開発営団閉鎖機関指定になります当時には、資材入手難とか、或いは物価騰貴とか、そういうような理由によりまして事業が進捗いたしておりませんで、御指摘通り金額残額として残つたのであります。それで農林省といたしましては、この二百六万一千円でありますか、これは八月までには徴收決定をいたしまして、清算中の営団に通知がしてあるのでありますが、御承知のように閉鎖機関清算事務は非常に遅れておりまして、まだ收納にはなつておらんというような状態になつているのであります。農林省としましても、これが督励はいたしているのでありますが、閉鎖機関清算事務関係で、まだ收納になつておりませんで甚だ遺憾であります。
  6. 柴田政次

    主査柴田政次君) お伺いしますが、現在でもやはり百六十一万というものは入つていないという……
  7. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) まだ清算中でありまして入つておりません。
  8. 柴田政次

    主査柴田政次君) これに対しまして如何でございますか、何か
  9. 米倉龍也

    米倉龍也君 この開拓営団閉鎖機関で、まだどのくらいかかるのですか。随分長くなるようですけれども。
  10. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) お答えいたします。これは農地開発営団だけの問題でありませんで、農林省関係全般関係機関で、これは会社も入れまして閉鎖機関指定になりましたのは、これは一般論でありますが、私の記憶では確か二百数十あるのでありますが、そのうち清算終了しましたのがほんの数件ということになつております。今的確に農地開発営団清算がいつ終るということはちよつと申上げかねるのでありますが……
  11. 柴田政次

    主査柴田政次君) 何か御質問ございませんか。
  12. 阿竹齋次郎

    ○阿竹齋次郎君 私ちよつと聞き洩らしたのですが、この会計検査院報告書の末尾を見ますると、残余の部分返還額については、何ら措置をとつていないような状況でございます。これは当局はその後何らか措置をとられましたかどうか。
  13. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) お答えいたします。この検査院の御指摘の二十三年五月の検査の当時には、残額の百六十一万一千円については、何らの措置がとれなかつたという御指摘でありましたが、農林省といたしましては、先程検査院から申されました通り、三月に四十五万円の徴收決定いたしまして、その後八月に残額については徴收決定はいたしております。それでやはり二百六万一千円全部徴收決定はいたしておりますが、まだ納入になつておりませんというような状態であります。
  14. 阿竹齋次郎

    ○阿竹齋次郎君 二十二年の決算ですが、只今二十五年ですが、もう三年経つても御決定になつておらんというのは遺憾と存じますね。余り日がかかり過ぎて遅れておりますが、こういうものは返還されるべき性質のものではないかと思いますが、大変遅れておるのが会計検査院検査において注意を受け、それから又新たに御決定なされて、そして三年かかつておる。四年か五年ぐらいになつておる。そういうことはどうでしようかね。怠慢の口になつて来はしませんでしようかね。御当局はどうしますか。三年経過しております。
  15. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) この点は農林省といたしましても、閉鎖機関の方へ早くこの清算結了いたしまして納入して貰いたいというので督促はいたしておるのでありますが、先程申上げましたように、閉鎖機関清算というものは非常に手間取つておる関係で、申上げました通り納入が遅れておるような次第なんであります。
  16. 阿竹齋次郎

    ○阿竹齋次郎君 物を取るのとは違つて、金が行過ぎているのだと思いますから、もう少し強く言える立場に立つているのだから、こういうことは怠慢になると思いますが、閉鎖機関がとやこういうことは違つておる。とにかく取戻せ、行過ぎた金ですから……。又敢えて答弁をして貰う必要はない。答弁ができないと思いますが、とにかく入つておらんというのだから言うて見たとて仕方がないのですが、こんな形にならないように取扱つて貰いたいと思いますね。
  17. 米倉龍也

    米倉龍也君 今のこの閉鎖機関の整理は、債権者に対しても支拂うのですか。それは全部一度にやることになつているのですか。その資金ができれば漸次拂つて行くというやり方じやないのですか。それならば政府の方が優先的にそれを取上げてもいいのじやないかと思うし、全部一緒にやるような、その閉鎖の最後に一律にみんな配るとこういうことになると……
  18. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) その点は、債権者を虐げまして、国の債権は優先弁済するということにも相成つておりませんので、国だけ先にとつてしまうというようなことには行かんという状態になつているのですが……
  19. 米倉龍也

    米倉龍也君 優先でなくて、国は大きいから遠慮をしておるというものですか。
  20. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) そういう意味ではありませんですが。
  21. 柴田政次

    主査柴田政次君) これは私からお伺いいたしますけれども、ここの行過ぎた金というものは、普通の売買に行われた金と違つて、金は使つてしまつたという意味じやなく、やはりこの金は閉鎖機関に備えてあるように考えられますが、その点はどういうふうになつておりますか。
  22. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) その点は、この事業の時に、補助金に出しましただけの事業はしておらんのでありますからして、この事業に使つてしまつたということには営団としては相成つておらんのでありますが、営団経理全部の問題でありまして、補助金として行つたものはそのまま現金で残つておるというふうに我々としては実は解釈しておりませんので、これはやはり営団経理全部から見て行かなければならんというふうに私は考えるのであります。
  23. 阿竹齋次郎

    ○阿竹齋次郎君 そうすると本件のごときは、そもそも補助金支出が杜撰であつたので、こういう決算の結果、請求をしたのだから、政府に対する、役人立場に対して義理にも優先的に返すというのが人情だと思います。だから請求すれば取戻せる金だと思う。要するにそうしなければ政府立場がない筈なんだから、会計検査院にそういうふうに言われてもしようがない。向うとしては、政府としての、公務員としての立場を立てねばならんし、義理にもこんな金は返すということが人情なんですがね。どうもそういう時には政府の御当局が金の回收に対して誠に不熱心、怠慢であるというように想像しなければならんのですが、どうですかね。請求すれば取戻せる金ですからね。義理にも返さんならん金ですから。無理に補助を貰つたんですから、或る程度無理にお出しになつたことがここに明らかに現われておるのですから、初めから補助金支出に対しては不適当であつたから、それで義理にも済まなんだというので返さなければ向う人情が立たん筈だが、そういう金が取り遅れるというのはおかしいと思うが、どうですかね。
  24. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) その点は営団関係者にもこちらから催促しておるのでありまして、大体この金は返せるということは分つておるのでありますが、やはり先程申しましたように、国家と他の債権者との関係もありまして、清算結了と同時に返すということが、閉鎖機関の方針にもなつておりますので、それでまあ遅れておるような次第であります。
  25. 阿竹齋次郎

    ○阿竹齋次郎君 政府公務員立場が立たん筈なんですから御検討を願いたいのです。こういう立場において、こういう金を早く返さんということは、むしろ政府役人が軽蔑されておると思いますが、政府官吏威信からも、こういうことは明らかにされておるべきではないか。こういうものは早く取らるべきだと思う。政府官吏が軽んぜられておる。政府威信を問われておるのです。こんな金を取らんということは認められないというふうに思えませんか。御当局営団会計というものが遅れる。それに対してよう取らぬということで面目が立つと思つていらつしやるでしようか。叱つて下さい、相手を。年を五年もとれなんということは立場が立たない筈です。きついことは言いませんが、まだ取れませんと言われるあなたが横着なのか、恥知らずなのか、そんな言葉は言える筈がないと思うのです。公務員として職務を重んずるならば……職務を軽んぜられるから取れないんだということが言えるのではないかと私は思います。当局はいつ頃取れるお見込でございましようか、改めてお伺いいたします。
  26. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) お答えいたします。先程から申上げます通り、この閉鎖機関清算が非常に遅れておりますので、阿竹委員の御指摘でありますと、途中からでもこれは当然国が勝手なんでございますから取つて来いというお話でありますが、法律的には、国が債権者として優先的にどうしても取るということは、外の債権者に優先して取るということには相成つておりませんから、国としては清算結了を待つてそのときに返納させるというふうに考えております。ただ時期の問題なんでありますが、これも大体二十四年の正年頃に終るだろうと言つていた清算が遅れているのでありますが、今年、二十五年の五—六月頃には終るじやないかというようなことも言つておりますので、今時期的にいつだという返事をせいと言われましても、ちよつとお答えいたしかねるのでありますが、我々といたしましても、成るべく一日も早くこれは清算を終つてつて納入して貰いたいというふうに考えております。
  27. 柴田政次

    主査柴田政次君) 委員の各位にお諮りいたしますが、この問題は取るという決定的な期日を定めるということもできませんが、大体御説明通りで如何でございましようか、保留して又……
  28. 阿竹齋次郎

    ○阿竹齋次郎君 重ねてお伺いいたしますが、法律によつて、優先的に取ることができないから、閉鎖機関清算ができるまでというお話でありますと、補助金を出したということの責任が起る。そういうことが公務員としてはどうなつて来るのでしようか。やりそこないをしたからやり遅れてこんなことになる。そのやりそこないの原因はどうなんですか。初めから嚴密に調査をして適当な補助金を出すということになれば、こういうことはできなかつた筈だ。そもそも補助金というものの交付を誤つた。そういうことに対して取扱当事者責任はどうなるか、御当局は間違えたものはどうするか。取れないものは仕方がないとしても……
  29. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) 御指摘の点は、これは條文に関連して来た問題と思いますが、農林省といたしましては、これは当時の決定者実行者等につきまして、いわゆる国家公務員法懲戒処分でありますところの処置はいたしておりませんのです。お手許に差上げてあると思うのでありますが、これは嚴重な注意をして置くということにしておるのでありまして、いわゆる法文上の懲戒処分はいたしておりませんです。
  30. 阿竹齋次郎

    ○阿竹齋次郎君 こんなことを言いかけたらきりがありませんが、地方においては取扱いの実情というものは、当事者政府にうまいこと言うて、余計取ろうと立廻る。そういうことの裏にはいろいろの面白からざる行為が行われている。事実上酒を飮ませたり土産物を包んだりよくやつていることなんですがね。こんなことが現われて来るには、その以前に面白からざることが潜在していると想像する。地方には盛んにそれが行われている。補助金を余計取ることが腕前なんだから、そういうことはやりましよう。それに余計出してやることがお礼だ。その傾向は明瞭に実例を挙げて申上げることができる。農林省は御存じないかも知れませんがね。そんなことくどく言つたら切りのないことですが、官吏調査なんかに行つても旅費も宿泊料も地元で負担する。そうして饗応する。帰りにはなるだけ土産物を余計持たせることが腕前だから……
  31. 柴田政次

    主査柴田政次君) 大体三百十三号は、説明、御指摘もまだおありでしようが、如何でございましようか、続行いたしますか、この辺で打切つてよろしゆうございますか。
  32. 米倉龍也

    米倉龍也君 これから更に御注意願うということで……
  33. 柴田政次

    主査柴田政次君) それでは次の三百十四号、三百十五号を一括して、一般会計歳出機械開墾用農機具類購入に当り措置当を得ないもの、これに対しまして、会計検査院小林君から御説明願います。
  34. 小林義男

    説明員小林義男君) 三百十四号と十五号について御説明申上げます。十四号の方でありまするが、本件は、終戰直後緊急開拓に関する問題でありまして、その機械開墾用農機具でありますが、昭和二十二年度におきまして三千二百万円余りトラクター百二十五台、その他プラウとかハローというものを購入いたしました。これは貸付の目的でありますが、終戰直後に、元軍用トラクター千百八十八台というものを使つておりまして、前年度、二十一年にはトラクター四百四十五台その他の機械をやはり一億三千万円ばかり購入いたしておりました。それに引続いて先程申上げました本年度に又購入したのであります。本年度トラクターは四百台でありますが、これは前年度は百二十五台でありますが、前年度軍用トラクターなりを使えば本年度には買う必要がなかつたものを、つまり買い方が多かつたと思われるのであります。その理由といたしましては、二十二年度におきましても大体機械開墾予定面積は三万町歩と、前年度の二十一年度においても、やはりそのぐらいの開墾を予定しておりました。でありまするから前年度以前の分の機械で大体間に合つたであろうということと、それからこの機械開墾は、日本燃料事情とか、或いは営農状況から見まして、再検討を要するということが、しばしば言われておりましたし、その結果、二十二年の八月には中止することになつたのでありまして、本件も、無論中止するまでの購入でありますが、中止することになりました。又整備の関係も当時の状態においては十分でありませんでしたので、本年度においてはまあ新らしく購入する必要がなかつたのではないか。で実際におきまして二十二年の六、七月頃買いましたこのトラクターその他の機械は、大部分使わないで製造業者の所に保管させてあつた状況だと、こういうことであります。  三百十五号でありまするが、これは北海道におきまして、やはり同じような目的で五千円余りの、トラクター百七台、その外プラウハローというものを購入いたしました。これは機械開墾面積二万八千町歩という計画に基くものでありまして、最初はもつと沢山購入する計画でありましたが、そのうちに今の機械開墾の問題が中心になるような関係もありまして、機械開墾面積も縮小いたしまして、開墾面積を全部で一応一万八千町歩、一万町歩ばかり減らしたわけであります。でありますから、実際購入したものも、計画から見れば半数なんでありまするが、これも購入する必要がなかつたような結果になつております。それと申しまするのは、二万八千町歩というふうに北海道庁では計算いたしましたのでありまするが、各北海道支庁がありまするが、その支庁現地調査をいたしました結果によりますると、機械開墾面積、それから人馬力開墾も合せまして二万五千町歩でありまして、計画面積に対して実際開墾し得る面積が少いのであります。その一例といたしまして、上川支庁という所で、道庁の方では機械開墾面積が五千二百町歩あるというのに対して、支庁の方では実際可能のものは九百町歩だというようなわけでありまして、機械開墾の見積りが少く多かつた。それから又燃料につきましても、二十二年度においては、若しこれだけの機械買つただけのものを予定通り動かすとするには油が足りなかつた、五千六百キロ・リッターぐらい必要なわけでありまするが、配給の割当量は七百八十キロ・リッター余りというような関係もありまして、こういうようなことを総合いたしますと、この購入計画というものは少し過大であつた、これは北海道庁の方の分におきましても、この機械は二十三年の七月頃まだ未使用のまま倉庫に入つてつたという実情であります。以上であります。
  35. 柴田政次

    主査柴田政次君) これに対しまして農林省大臣官房会計課長伊東君。
  36. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) トラクターの問題でありますが、これは御承知のように終戰後、五ケ年計画で百五十五万町歩という厖大な開拓計画を作りまして、これは到底人力や畜力では達成できんという見地からいたしまして、当時は軍用トラクターであるとか或いは戰車というようなものを改造して事業を始めたのでありますが、なかなか思うに任せず、特に修理工場がない、部分品がないというような事情が現われまして、なかなか思うに任せず、次いで二十一年若干そこに御指摘のような機械を初めて買つて農林省としてずつとその計画で進んで参りまして、二十二年度予算にも計上いたし、これを購入いたしたのでありますが、燃料その他等の関係からいたしまして、関係方面から、ここにありますが、中止命令のようなものが出まして、結局二十一年に買いました機械トラクター等を使わずにしまつたというような事態に立至つたわけでありまして、農林省として、甚だ遺憾に思つております。本年御指摘トラクター等については、二十三、二十四年度等において処分いたしておるというような関係にあります。
  37. 柴田政次

    主査柴田政次君) これは全部処分して現在では何も関係がなくなつておるというようなわけでありますか。
  38. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) ちよつと補足いたします。この前に買いましたものは全部開墾用等には使いませんで、二十一年度等に買つたものは、勿論処分いたしております。後年買いましたものは、緊急開拓ではなくて、改良事業或いは災害復旧工事用とか、そういうものに現在この分は使用いたしております。
  39. 米倉龍也

    米倉龍也君 これはこの当時とすれば無理のない計画だと思うのでありますが、併し機械開墾というようなことが、日本の実際の開墾事業の上に、いろいろな條件でそう有効的なものでないことは、多くの人が考えておつた事柄であります。それを強行してとにかく緊急開拓をしようという、できれば結構なことであつたのでありますが、やはり案の定、僅かの間にそれが適当でないやり方だというので中止したのですが、実際農林省としても、こういう方法では日本開墾には不適当であるというやはり考えなんですか。そうすると非常に目先のきかん計画で、まあ技術者の方の大きな責任になるような気がするのですけれども、こういう大規模機械開墾はできないにしても、機械開墾ということ自身は、やはり條件によつてはまだ可能な所もあると思いますが、そういうような点で農林省が、これは前の話ですけれども、現在この開墾について、この機械開墾というものをどんなふうに御覧になつているのですか。それによつては現在まだお持ちになつておるものが有効に使われやしないかと思うのです。今お話によれば、処分したものもあるし現在使つておるものもある。これはやはり開墾のようなことにお使いになつておるのですか。その点をもう少し……
  40. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) 米倉委員お話でありますが、その点、確ににその当時としましては、若干強行したというきらいはあるのでございますが、農林省としましても、これは機械開墾は全面的にいかんという見解に立つておるわけではないのでありまして、現在でも、この前に買つた機械は処分しておりますが、これは先程申上げましたように、土地改良とか災害復旧に使つておりますが、現に十五六ケ所の地区でありますが、やはりこの機械使つて開墾をいたしておるというふうなことになつております。要するに新規にトラクターを買い込んで、大規模機械開墾をやるということは止めたのでありますが、地域的には、やはり機械開墾が適当であるという所につきましては、現在の手持ちのものでやつておるというようなことになつております。
  41. 阿竹齋次郎

    ○阿竹齋次郎君 会計検査院報告書の三百十四号、百三十五頁の一番初めの方を見ますと、「機械開墾につき再検討すべきことを従来からしばしば注意されていたのにかかわらず、依然大農機具を大量に発注し、」とこう書いてある。どうですかね。こういうふうに注意受取つて開拓をやつた。その結果がこうなつたのですから、そうすると余りにも故意であるかのごとくに想像される。農機具屋に対して特別の利益を與えんとするために、大量に注文をするというようなことが想像されるような虞れもないとは言えますまいと思いますが、こんな結果から見ると、予算編成が誠に杜撰なことになる。議決は国会責任でございますが、で国会の手には亘りますけれども、それは政府原案を信じなければ仕方がない。信用のない原案ならばそれは無責任で、原案を信ずるから責任が起る。そうすると当局予算編成は誠に杜撰なものだと思います。そうなると当局原案は信用できない。そうすると今後の予算に対しても格別に注意を拂わなければならんということになつて国会は誠に困ることになると思うのです。予算編成も皆さん一人や二人じやないのですから、何人かでお調べになつて御提出になつておるものが、こんな杜撰なものだということになつては、甚だ予算というものが本当に危險なものだということになると思うのです。何だかこう聞いて貰つて耳ざわりの惡いことを申上げるようですけれども、そんなたびたび注意を受けておるに拘わらず、農機具を大量に注文するということは、農機具屋利益を與えるがごとき底意でもあつて、こんな結果になつたように想像されて来るのですがね。
  42. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) その点でありますが、農機具屋利益を與えるためにやつたように誤解されるというのですが、我々としまして、ここに会計検査院から「再検討すべきことを従来からしばしば注意されていた」とありますが、これはいろいろの仕事の折衝上、我々としても、この注意に対しては、この地区に対してはこういうことをやつてもいいのじやないかということで、何度も交渉はいたしたのでありますが、これもここに「大量に」という言葉が出て来るので引つかかるのでありますが、当時の農林省といたしましては、やはり或る程度機械開墾の方が適当である地帶については、これをやろうというようなことで、しばしば折衝をしておつたというような状態なのでありまして、今阿竹委員が言われますような、機械屋とどうということはなく、我々もこの問題については、真險に向う側と交渉したのですが、遂にこういうような結果に相成つたのでありまして、結果的に見まして、甚だ相済まんのでありますが、我々としても遺憾に思つております。
  43. 阿竹齋次郎

    ○阿竹齋次郎君 あなた方の方の御苦労、御苦心なされたことは想像いたしますけれども、向うに交渉したとおつしやつておりますが、こちらは、向うであろうとあちらであろうと、そういうことは分らないので、責任者は大体あなた方ということになるんです。そうすると結局必要があると思つてつたことになりますが、そうすると見込そこないということになつて、御答弁がまずくなつて来る。でいろいろ交渉されたとか十分考慮されたということは、こちらの知らないことであつて、どんなことでも最善の努力を拂つて原案はできて来るんですから……。とにかく結果から言つて、これでは困ると思います。
  44. 柴田政次

    主査柴田政次君) 三百十四号、三百十五号に対しましては如何でございますか。これにて打切つてよろしうございますか……  それでは三百十六号、干拓工事の施行に当り措置当を得ないもの。これを議題に供しまして、御説明を願います。
  45. 小林義男

    説明員小林義男君) 御説明申上げます。本件は、農林省が愛媛県に委託して施行いたしました西條干拓事業の問題でありまして、これは干拓面積二百町歩余りの干拓でありまして、その周りに二千メートル余りの土砂盛の堤防を築きまして、それから樋門を附けまして、それが全部でき上つた頃に潮止の堤防というのを四十七メートルばかりするわけであります。で本年度におきましては、初めの方に書いてありますように、一千万円余り支拂つたのでありますが、二十三年の二月の二十日に潮止工事というのをいたしましたところ、翌朝の満潮時に潮止工事が壞れてしまつた。そのために二百万円ばかり損をした。これは工事の施行がよくなかつたという問題でございます。この潮止の堤防は、潮の高さが三・七メートル、それに〇・三メートルの余裕を見込みまして四メートルとして置いたのですが、今の二十日の翌朝、つまり二十一日の朝に八メートルぐらいの風が吹いて、只今の施行したての潮受堤防と潮止堤のくつついたところから波のためにさらわれてしまつた本件の潮受堤防は、サンドポンプで造つたものでありまするので、少し固定するまで、その泥が固るまで日を置かなければならないのに、まだ固まらないうちに潮止の工事をしたと、そういうような点が一つ。尚、これは当時は早くやれば増産が早くできるというような事情もあつたのでありまするが、そういうような事情があつたにいたしましても、とにかく風速が八メートルぐらいで、そんなに波も高かつたのではないのに崩れてしまつたというのは、工事の施行がうまくないと、こういう点であります。
  46. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) お答えいたします。本件は、これは非常に技術的な問題があるのでありますが、これは農林省が当時愛媛県に委託して行なつ事業なんであります。ここにあります潮止と申しますのは、これは干拓堤塘の一種の仮設工事なんでありますが、これをやりますのに、技術者としては当時十分なる設計と、技術的な良心を持つてつたと思うのでありますが、結果はこれは御指摘通りなことになりまして、決壞いたしまして、二度潮止をやつて、作付は本年度つたのでありますが、二度の潮止をやつた程、結果においてまずかつたということは甚だ遺憾に思つております。ただこの点は、恐らく答弁書にも書いて置きましたが、二十二年の十二月でありますか、南海の大震災によりまして、中国、四国地方に相当地盤の沈下があつたというようなことが、これは後にできました四国地方の地盤の沈下の臨時調査委員会でありますか、そういう委員会の調査では、この方面に可なりの沈下があつたというような報告も出ているのでありまして、恐らくそういうようなことも一つの原因になつておるとは思うのでありますが、御指摘のように決壊いたして、国に損をかけたというようなことにつきましては、これは甚だ遺憾に思つております。
  47. 柴田政次

    主査柴田政次君) 何かこれに対して御質疑はございませんか。これは別段工事の施行にぬかりがあつたのでなく、大体天災によつてこの損害が起きたというような点でございますから、これはお認めになつて如何でございますか。御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  48. 柴田政次

    主査柴田政次君) 御異議ないようでございますから、それでは次の三百十七号、三百十八号、三百十九号と三件を一括して議題に供します。これに対して会計検査院小林君の御説明を願います。
  49. 小林義男

    説明員小林義男君) 三百十七号について御説明を申上げます。これは農業技術指導農場新設費補助という経費がございまして、その経費を五千一百余万円でありまするが、その次の表にありますように、各県に配付いたしたのであります。然るところ、この指導農場というものは、二十二年の十一月頃廃止ということに決定したものであります。この廃止の方針が決定いたしました後に、これらの府県においては既設の指導農場の拡充費等に使用した、そういう金が一千三百万円余りありまして、その各県別の内訳は、この表にある通りでございます。そういうこの新規の指導農場の設置に対する補助金でありますから、設置されなかつた分に対しましては、これは当然国の方へ県から返還させなければならないのであります。然るところ、県は二十三年の二、三月頃、もう設置しなくなつた不用となつた筈のこの補助金を、既設農場の拡充費等に使いたいという申請をしたのに対して、農林省がこれを承認されたというのは適切でないという案件でございます。  それから次の三百十八号について御説明申上げます。これは漁業用の小型無線陸上局の新設に対する事業費の補助の問題でありまして、宮城県の塩釜の漁船協力会でこういう施設をしたいというのに対して、二十二万五千円を交付いたしました。ところがこれは工事に著手しなかつたばかりでなく、経済安定本部の方の認承も必要とするのでありまするのに、その認承も経ておらない、そういうものに対して補助金を交付したのは適当でない。それからまあこういう陸上無線は、いろんな無線電波の関係からして、これを設置するということには、なかなか面倒なものだそうでございます。  それから三百十九号について御説明申上げます。これは靜岡の種畜牧場で羊小屋の模樣替工事のために三十万円の債務を負担しているけれども、実際予算の配付がなかつたのに、こういう工事を施行したのでありまして、会計法上甚だ遺憾である。こういう問題であります。
  50. 柴田政次

    主査柴田政次君) これに対して会計課長の伊東さん。
  51. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) 今御指摘の三点を一括してお答えいたします。最初の農業技術指導農場の問題でありますが、これは農林省としまして、二十年度から二十四年までの計画を以ちまして、大体全国に二千ケ所の指導農場を作りまして、ここでこの指導農場をセンターにしまして、技術の普及を図ろうという方針を立てて、二十年度からの方針で参つたのでありますが、これもいろいろと関係方面等の意見もありまして、実は大分長いことこの問題があつたのであります。それでここに御指摘になつております二十二年十一月のものも、これに代わる別な施設を農林省として考えたらいいのじやないかという話がありまして、まあ最後の方針として、新らしい方針が決まつたのは遅いのでありますが、これはちよつとここからは外れますが、この指導農場が、今度は今の改良普及員というような形になりまして、指導農場で農作物を作つて、それをいわゆる目で見せて技術の普及をやつておるという方針を変えまして、今の改良普及員を、大体農林省としましては、全国の市町村に一人ずつ置いて、人を中心にして、普及を図つて行こうということに相成つたのでありますが、若干横道に外れますが、今の制度はそういうふうになつております。それでこの当時の予算を、農林省といたしましては、指導農場を、全部これは名前はやめますが、こういうものはやはり食糧増産の関係等からしまして、優良種苗の増産指導でありますとか、或いは共同施設というようなことで考えて行こうという考えで参りました関係上、そういうものに適当なふうにこの予算は使つてはどうだろうかというようなことで、省の承認を與えたようなわけなんであります。  それから次の塩釜の無線の問題でありますが、これは丁度塩釜、そこの金華山沖を中心にしました漁場の近くでありますが、ここに入港します船からも、非常に小型の無線局が欲しいという話がありましたので、農林省といたしましても、これは場所としては適当と思いまして、電気通信の設備計画表というものを作りまして、これは安本にも相談をしまして、実は正式の認承を得ておりませんので甚だ何んだつたのでありますが、大体のところで補助金を出したのでありますが、その後、これは海上保安部関係で電気通信施設をあすこへ作るという話が起きまして、これは余り側へ作るということはできませんので、結局農林省としましては、ここに小型の陸上の無線局が欲しかつたのでありますけれども、海上保安部の方のができるという結果になりましたので、結局認承を得られんという結果になりましたので、補助金は全部返納を命じたのでありますが、その手続が遅かつたということは甚だ遺憾に思つております。  それから第三点の、靜岡の種畜牧場の問題でありますが、これも丁度あすこは緬羊だけの牧場であつたのでありますが、牧場の規則が改正されまして、いろいろな家畜を入れるような関係からいたしまして、羊舎の模樣替を至急せねばならんという必要に迫られたのでありますが、これもそういうような措置をいたしませんで金を使つた、まあ結局二十三年度の官庁営繕費から拂つたのでありますが、そういう設備を作る手続上に落度があつたということは、甚だ遺憾に思つております。
  52. 米倉龍也

    米倉龍也君 この指導農場の跡始末なんですが、これは今いろいろこの委員会で論議しても仕方ないと思うのでありますが、このために非常に不合理な迷惑を受けたことも私知つております。それでそういう意味から言つて、この補助をなさつたということは、これは非常に思いやりのあることだとは思うのですが、今御説明なつたことは、この説明書にも述べておることですが、既定経費の一部を既設農場の拡充費等に充てることを承認した、こういうことなんですが、これはこういうことになれば、十一月廃止した後にそれぞれ施設を加えたというふうになるのですが、実際問題としては、あれではありませんか。一応指導農場は計画を以て、四ケ年計画ですか、毎年の計画によつてこれを完備する計画なんですから、途中十一月頃にやめると言つて見たところで、工事はどんどん進行しておるのです。当然その工事に対して今までの考え方で、大体十一月にそういうことをやめるというのだけれども、それ以前から続いて仕事をしておるのだからして、二月、三月になつて同じ年度予算を使うということなら何でもないことのように思うのですが、それがそうでなく、今のような説明で行くと、新たにその後に施設費を、これらの共同施設として、活用するということのために何か拡充して行くということだとすれば、経費の目的変更の形になりはしないかと思うのです。そういうことをただ勝手に農林省だけで以て承認してやるということは不当ではないか、そこがきつと会計検査院の御批難だろうと思うのですが、その点は一体どういうものなんですか。これは確かにこういうふうに計画的に設置して行くのですからして、施設も漸次行われておるわけであります。きちつと十一月にもうやめさせるといつても、壁を半分塗つてしまつてやめてしまうということはできない。そうするとずつと仕事は続けて行かれると思うのです。そうすれば補助は当然二十二年度補助でやつてもいい。こういう説明は一体どういうわけですか。若しそうなれば予算の款、項、目の款、項の中で、同じ二十二年度の款、項の中でやればそれは差支ないのではないですか。款、項でなく別に勝手に流用したということになればこれは大変おかしな話ですが、その当時、二月三月ですから国会があるのですから、手続をとつてもいい。この説明と実際とが何だか私は喰い違つておるような気がするのですが……
  53. 柴田政次

    主査柴田政次君) そういうことでもう一つ伺いますが、ここは十二県と思いますけれども、これは全国的に指導農場の新設費を出したのではないかと思いますが、外の県はどんなふうになつておりますか。外の十二県はどういう措置をとつたのでありますか。
  54. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) これは委員長の今のお話は、やはりこの指導農場というものは日本全国にあります。これはもう必要のなくなつた県はこういう措置はしておらなかつたのでありますが、この県だけに出しておつたわけではないのであります。  米倉委員の御質問でありますが、これは特に別の項目から出したという意味ではございませんで、勝手に外の方から金を持つて来てここに使つたというのではありませんで、同じ項目の中からやつたのでありますが、当時この制度につきましては、続ける続けないで大分問題がありまして、大分長いことかかつて交渉したのでありますが、結果においてはやめるという形になつたのでございますが、当時農林省としては、まだこれを続けて行きたいという気持は十分にあつたが、又たとえ何にしても、この設備は先程申しましたように共同施設とか何かに使いたいという気持も十分持つておりますので、こういうような結果に相成つたわけなんでありまして、その点今の御答弁で御了承願いたい。
  55. 米倉龍也

    米倉龍也君 よくその事情は私分つておりますが、それならば、そういう意味だからこの説明書の所には、外の方はまあ大分農林省で今まで大変遺憾の意を表しておるんですけれども、この項目は遺憾の意を表していない、これは正当にやつたことで、決して遺憾なことじやない。私はそれはそうも思います。それは実際施設をやつておる中途で切られて、補助を出さんということは、全くそれは非常に困る。それは別にえらい遺憾の意を表さないのは無理もないと思うが、それは遺憾の意を表さないというのは、結局正当にやつた。大変正当にやつたんだ。正当にやつて置いて、尚処分というか、嚴重な、嚴重でもないが、これは注意をしております。やつた当事者に対して注意をしておるんですから、その点がちよつと矛盾するのです。そこで私最前から言いますように、ずつと続いているものでなくて、いわゆる既設設備に対する拡充費として、別に計画以外の、今までの指導農場の計画以外のことをやつた。それに対して補助支出したわけで、それは注意を要することになつておる。併しそうなれば、目的以外のことに農林省が勝手に使つたと、こういうことにもなつて来る。その矛盾があるものですから、一応お聞きしておるんです。正当だとしながら注意をしておる点はこれはどういうわけですか。
  56. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) この金の使い方でありますが、いろいろ検査院から御指摘がありますように、これは技術滲透会館を作つたというような、ものも中にはあるのでありまして、これは或いは言い方によつては、ここで技術員の交渉をするとかいうようなことも言い得るかも知れませんが、やはりこれを招聘します場合にも、我々としましては、やはりその使い方については注意して、もう少し注意して使うべきだつたんじやないかという気持を持つておりますので、注意を與えるという措置をとつたのでありますが、答弁注意とこれは矛盾しておるのじやないかというお話でありますが、金の使い方について、若干今申上げましたように使つた点もありますので、責任者に対して注意したというようなことに相成つて参ります。
  57. 阿竹齋次郎

    ○阿竹齋次郎君 この第一点、第二点、第三点、この第三点、予算がないのに工事を施行したこと、これは言うまでもなく、乱暴なことで、国会を無視したことになる。それから第二点の検査報告書の百四十頁です。五行目ですが、「その認証は現在なお決定していない状況であるのに、補助金を交付したものである。」こう書いてある。そうするとそれは経理秩序を乱すということになると思う。第一点は、農業技術指導農場新設費補助金というものと、既設農場の拡充費というものと金を流用したことと。こういうことは予算科目の性質が違つて来るのです。申すまでもなく、目の流用ですらも、一定の制限がなければ許されないのが法の示すところでございます。然るにこういう性質の変つたものまでも流用なさるということは、これ又予算秩序を乱すものであるということになるのですが、余りにも酷くございませんでしようか。であるから当局注意をするということになるけれども、農林省はこれを許可しておる。どうですか。許可できない筈のものです、理論的には。又法文的にもそれを許可なさるということは、余り乱暴じやないでしようか、農林御当局は。
  58. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) 靜岡の問題は御指摘通りでありまして、予算がないのに羊舎の模樣替をやつて、それで二十三年度の官庁営繕費より金を出したということは、これは御指摘通り、甚だ遺憾に思います。関係者にも嚴重な注意をしたという処置をいたしております。  それからその前の宮城県の問題でありますが、これは先程もちよつと御説明いたしましたが、この金を使うには、安本の認証が要る。正式には安本の認証が要るという手続になるのでありますが、先程申しました通り、事務的には相当打合せを進めまして、いわゆる形式的な認証という形までに至らんで出しましたことは、これは手続上やはり我々の方に落度があつたの、甚だとこれは遺憾に思います。  それから最後の指導農場の問題でありますが、これは我々としましても、この指導農場を廃止してあとの施設をどう使うかという問題なんでありますが、やはり我々としましては、この指導農場の延長的なものを、先程申しました優秀な種苗を作つて行くとか、或いは共同施設を作るとか、成るべく同じ目的のようなものにこれは使いたいと思つておりましたので、この費目から出したというような次第なんであります。
  59. 阿竹齋次郎

    ○阿竹齋次郎君 第二点です。事情止むを得なかつた。形式がまずかつたということなんですけれども、そう御説明なされますけれども、要するに会計秩序というものはなくなつてしまうのです。戰争のときならば、経理手続簡素のために、経理手続も乱れましたけれども、今日ではこれを嚴重に引き締めることになつておるのです。今日そんなことをおつしやつていらつしやるというと、新会計法に背いているということになると思います。だから当局はそんな答弁はできない筈のものだと思います。理窟をつけることはできない筈のものだと思うのです。御当局の御答弁があれば尚結構。
  60. 柴田政次

    主査柴田政次君) 御答弁はないようでございますが、どうしますか。
  61. 阿竹齋次郎

    ○阿竹齋次郎君 それでは第一点の三百十七の方ですが、これはこの時分は国会の開会中であつたと思う。であるから予算措置がとれる筈のものだつたと思うのですが、何故予算措置をおとりにならなかつたか。御答弁を求めます。
  62. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) お答えいたします。何故これは予算措置をとらなかつたかというお話なんでありますが、この問題につきましては、農林省としましては、これはまあ廃止となつておるのでありますが、まだこの問題についていろいろ農林省自体として折衝していたというふうなこともありまして、国会予算検討するというような手続をとりませんでしたような次第であります。
  63. 阿竹齋次郎

    ○阿竹齋次郎君 予算措置をとる時間がなかつたということになるのでありますか、もう一遍。
  64. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) お答えします。それは時間的という程でありませんで、まだ農林省としては、方針としましてこういう制度についてまだ検討したいというようなことで、まだ司令部との折衝も、農林省としては諦めたのではないというようなことでやつておりましたような関係でありまして、時間的余裕がなかつたということではないのであります。
  65. 阿竹齋次郎

    ○阿竹齋次郎君 そうすると、時間的に余裕があつたということになつて来るのですか。折衝しておつたということになると時間がなかつたということになるのですか。どうなんですか。その辺分らんのですが、もう一度改めて説明して直して下さい。私は分りません。どつちかはつきり一言でよろしいのですが、時間がなかつたのか、肚がなかつたのか……
  66. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) お答えいたします。農林省の肚がまだありませんで、司令部とこの制度についてまだ折衝するというようなことをいたしておりましたような次第であります。
  67. 阿竹齋次郎

    ○阿竹齋次郎君 時間がなかつた、足らなかつたということになるのですね。時間が足らなかつたのでこういう專横なことをなされたということになるのですか。そう解釈して置きます。時間がなかつたとは言われん筈なんです。一日でも時間ですから、国会の終る十二時までは時間ですから、嚴重なことを言うならば……。時間がなかつたによつてこうやられたというのでは切りがないのです。予算を無視してかかつている。国会も無視してかかつている。時間がなかつてというようなことを聞かして貰つてもこつちは納得できません。国会責任上、見識上の問題です。いつでも時間がなかつたと言えば済むのです。果して時間があつたかなかつたかというその事実はこつちは分らん。それならば翌年度において予算措置をとる途がある筈であります。翌年度に何故に予算措置をとらなかつたか。翌年度において予算措置をとらなかつたの国会を無視した、專横なことをおやりになつたという結果になる。そういうことを言わざるを得ないのですね。
  68. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) 大分理詰めの御質問で甚だ何でございますが、農林省としましては、この問題につきまして、この二十二年度中に国会予算を、いわゆる補正予算でありますが、この予算を組替えてどうという意思は持つておりませんで、農林省としてはやはり飽くまでこの二十二年度中はこの技術滲透にやつて行きたいという方針で関係方面とも折衝していたような次第なんであります。
  69. 阿竹齋次郎

    ○阿竹齋次郎君 そうすると、その方針を遂行すること能わずして、金の使途が変つて来たならば、翌年度予算措置をとつたらいい筈です。最初の御計画を御実行に移すことができなかつたら、翌年度は改めて予算を御提出することが建前でしようが、なぜそれをおとりにならなかつたのか。簡單なことで、必ず通過することの疑うことのできない筈の必要な経費なんですから……
  70. 米倉龍也

    米倉龍也君 それに関連して、どうも最前私お伺いしたときの御説明と、今ちよつと矛盾するように思うのですが、これは農林省としては、予算の組替とか予算措置をとる必要はないのだ。この種目の支出については、二十二年度予算の中から当然この費用は出しても差支えないのだということで、これは措置をしたものだと思うのです。それを予算措置をとるのに時間的の余裕がなかつたというようなことをちよつとお話ですが、その点は司令部と、この施設のことについていろいろ御研究はしておつたかも知らんが、今の予算措置のために時間的余裕がなかつたということをおつしやれば、こういうやり方はよくないものだという前提でなければならないのですが、そこのところが喰い違つて来たのですが。
  71. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) お答えいたします。私の答弁が惡かつたのでありますか、農林省としましては、二十二年度中はこの予算につきましていわゆる補正予算を提出いたしますとか、この技術滲透会館の金を立てまして別な補正予算を組むとか、そういう意思は二十二年度は持つてなかつたのであります。それでまだ当時はこの制度を何とかして続けて行きたいという方針で司令部と二十二年度中は折衝いたして、農林省独自の見解でありますが、そういう方針で折衝したわけであります。予算も三月中に議会に出しまして補正するという意思はなかつたのであります。
  72. 米倉龍也

    米倉龍也君 それは勿論意思はなかつたということは、それでは今のような使い方で正しい予算の使い方だということをお考えの上だと思うのですが、それを今阿竹さんの質問では、そういうことをする時間的余裕がなかつつたという御説明だとちよつと矛盾するのですが、どこまでもそういう必要がないのだ、こういうことなら私はちつとも矛盾はないと思うのです。
  73. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) どうも私の説明がまずかつたのですが、今米倉委員の言われたような方針でやつていたのであります。ただ注意を與えたの、何だのというのは矛盾じやないかということをおつしやつたので、技術滲透会館を作るということはいかんということは考えておりませんで、それぞれ注意するということはしたのでありますが、この予算自体については、農林省としては二十二年度にこれを変更する意思は実はなかつたのであります。
  74. 柴田政次

    主査柴田政次君) これにつきまして、私からこの問題につきまして、農林省の今の御説明から言うと、予算措置は二十二年度とらなくてもいいというはつきりしたような御答弁ですが、これに対して会計検査院の御意見を一つお願いしたい。
  75. 小林義男

    説明員小林義男君) 指導農場は大体廃止するということが二十二年の十一月頃に決定いたしたので、そこで指導農場にはいろいろな経費が要るのでありまして、指導農場には人件費も、專任職員の設置費もありますし、その他技術員を設置する経費とか、或いは活動とか或いは指導農場長などを訓練する訓練費とか、そういう経費もあるわけです。そういうもののうちとにかく大体機構が変つて、指導農場制度というものはとにかく変つた姿になるのだということは、二十二年の十一月頃に決まつてつたのです。でありまするから会計検査院といたしましては、そういう拡張といろいろな経費の中、本件の五千一百万円というのは、これは先程御指摘もありましたように、ここに挙げている県以外にも設置費、補助金は渡つておるのでありますが、委計検査院はその中実地検査をいたしまして、適当でないという府県だけを、群馬県外十一府県を掲げてあるわけですが、これらの府県におきまする実際の使用状況を見ましても、表の主要内容というところにありまするように、新設費であるのに拘わらず、既設農場の充実及び人件費に充当しておる、群馬県でも長野県でも既設農場の拡充に充当している。中には今の長野県のように農業技術滲透会館なるものを建設している。それから待遇改善に使つている所もある。多くは他の所も既設農場の充実ということに使いまして、農業技術滲透という目的のための補助金、それは先程申しましたように、項目はいろいろあるのでありますが、ここに掲げてありまする五千一百万円というものは、農場の新設、設置に対する補助金なんでございまして、それを新らしい設置に使わないで、既設農場の拡充に使うという申請に対して、農林省当局の方でその流用方を承認されるのは、予算目的が違うのでありますから、そういうのは適切でないと、こういうように考えております。
  76. 阿竹齋次郎

    ○阿竹齋次郎君 御当局は最初計画した予算の費目を遂行するという強い信念であつて、その筋にも交渉しておつた。即ち予算を実行しなければならんという御確信は結構ですが、そういうことを言いなさるその前の事件の三百十六号、これは予算支出の考慮を欠いた事項、三百十五号と三百十四号とは、国の予算を使う上において無責任であつた、それから計画が間違つてつた予算は遂行する価値がないというような事件です。三百十三号のごときものは、杜撰なる補助金支出である。であるから費用を遂行することが信念であつたと言われるけれども、この二つの事件は全部この精神に背く結果になつておる。でありますから、そういうことを見ましても、私共としとは見識を認めたくない。費目の変更をしたときは、予算措置をとるべきことが原則で、要するに予算措置をとらなかつたということは会計法に背くものだと思う。
  77. 柴田政次

    主査柴田政次君) この件につきまして非常に説明が、いいか惡いか二様な解釈ができるように今なつておりまして、いずれが本当か、二十二年度にこの予算措置、補正予算をする考えがなかつたと、こうはつきり言つておるのと、当を得なかつた、違法であるという謗りを受けたのだから、この点につきましては、どつちが本当に正しいのだか、あなたのおつしやることは、どつちが本当に正しいのだか、いま一度それをはつきりして頂きたいと思います。……伊東さん、お答えありませんか。  そうしますと、予算措置を取らなくとも、この問題は農林省只今会計課長のおつしやる通り処置ができると、こういうふうにお認めになつておることが正しいと解釈いたしましてよろしうございますか。
  78. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) お答えします。これは私の説明が惡かつたのか、この問題は、違法という御指摘じや実はないと私は考えておるのであります。適当であつたか適当でなかつたかというので、違法という問題じやなくて、これは適当じやなかつたのではないかと、こういう御指摘だと私は思うのでありまして、その点は私の方も、内容は若干、この滲透会館やなんかを立てたということがありますので、適当でなかつたという点はありますので、関係者注意を與えるということもいたしたのでありますが、今おつしやる違法性の問題にはこれは触れておらんのじやないかというふうに私は考えます。
  79. 柴田政次

    主査柴田政次君) 如何でございますか会計検査院小林さん、違法とか当を得ないとかというものは……。当を得ないというのは違法と解釈して、どういうものになりますか。一つその辺をはつきりして下さい。
  80. 小林義男

    説明員小林義男君) お答えいたします。違法というのと、当を得ないというのは、検査報告でも区別して使つておりまして、これはどうしても違法であるというようなものは、違法ということを明示してある個所があると思うのでありますが、我々としても、違法であるか、或いは直接法律には違反しない、違法ではないが、行政上の措置が適当でない、当を得ないというものどは区別いたしております。  それでは本件はどちらに入るかということでありますが、本件はそういう違法であるや否やということを決定するには、具体的の場合には相当むずかしい問題が出て来ると存じます。そうして又その不当性というものと違法性というものは、非常に隣り合つて存する場合も勿論あると思うのでありますが、大体におきまして、補助金の使用承認当を得ないものという本件につきましては、少くとも違法ということはそう問題にしておりませんで、そういう承認をしたのは当を得ない、不当であると、かように考えておりますので、こういう措置をしたことが会計法の第何條に違反するといつた程、そういつた問題の性質ではございません。
  81. 阿竹齋次郎

    ○阿竹齋次郎君 そこで当局にお尋ねしますが、適当でないということは間違つているということに解釈していいのですか。お尋ねいたします。
  82. 小林義男

    説明員小林義男君) お答えいたします。間違つているという言葉と、適当でないというのと同じかという御質問でございまするが、実はこの検査報告には間違つているという言葉余り使つておりません。実はどこにも使つてないのではないかと思いまするが、で、今の適当でないということは、即ち不当だということになりまして、不当ということになりますと、その不当がどの程度不当かということの、程度の判断の問題も勿論出て参ると存じます。で、間違つていると言うのでありますが、間違つているというものの中には、確かに適当でないというものと同じ意味部分は、これは抽象的だから分りませんですが、そういう部分も、やり方が適切でないという……、そういうことの適当でないということを間違つているといつたようなことで、相通ずる部分もあるのではないか、これは余りはつきりいたしませんが、私もそういう言葉で解釈してよろしいかと思つております。
  83. 阿竹齋次郎

    ○阿竹齋次郎君 では、農林当局にお尋ねいたしますが、この三百十七は目的以外のことにこれを使つたことだけだとお認めになりますか、如何ですか、御説明を願いたいと思います。理由はあろうけれども、目的以外に使つたことは止むを得ない。表だけの解釈では止むを得ない、目的以外に使つたと思いなさるかどうか、御解釈は如何。
  84. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) お答えいたします。これはボーダーライン・ケースでありますから、どうも甚だデリケートな問題でありますが、まあ農林省としましては大抵このくらいのところは目的に反しておらんだろうというようなつもりでやつた次第であります。
  85. 阿竹齋次郎

    ○阿竹齋次郎君 それでは会計検査院にお尋ねいたしますが、三百十七号の農業技術指導農場新設費補助金というものと、既設農場の拡充費というものとは、これは目的は大体一緒なんですが、目的が違うものとして解釈頂いてお取扱い下さるんですか、どうですか。
  86. 小林義男

    説明員小林義男君) 会計検査院は、本件補助金は新設費、つまり技術指導農場設置費の補助金と、こういうことであります。従いまして、この補助金を指導農場を新設いたしませんで、既設農場のいろいろの経費に使用したということは目的違つていると思います。
  87. 阿竹齋次郎

    ○阿竹齋次郎君 会計検査院の御説明では目的違つているとはつきり仰せられる。御当局はよく似たものだという御答弁なんですが、もう一遍改めて会計検査院の御説明に対して、只今どうお考えになりますか、お尋ねいたします。
  88. 柴田政次

    主査柴田政次君) お答えがないようでございます。
  89. 阿竹齋次郎

    ○阿竹齋次郎君 あるべき筈のものです。お答えは前においてなされたが、会計検査院の御説明があつたから、改めて御解釈が変つたかどうか念を入れているわけです。
  90. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) 私は先程ボーダーライン・ケースであるという言葉を使つたのでありますが、それは嚴密に形式論的に使つて行けば新設のものは拡充に使つてはいかんという案で行けば、或いはそうであつたかも知れませんが、農林当局としましては、大体そういうような目的の中に考えていいのじやないかというようなつもりでおります。食糧増産とかそういうような諸般の情勢からいたしまして、その当時の情勢を頭に入れて考えますと、私が今御答弁したようなふうになるのではないかというつもりであります。
  91. 阿竹齋次郎

    ○阿竹齋次郎君 情勢の如何ということを聽いているのではない。これが目的に副うか副わんかということを聽いている。会計検査院の御説明に対してどう思うかと尋ねた。只今の農林当局の御説明は、ああそうであるかも知れませんがと言われた。私はこんな答弁を聽いているのではない。そんな不まじめな御答弁をなさるなら、我々は御質問する必要もなくなつて来る。そういう御説明でございまするならば、御当局の最高の責任者と代つて貰わなければならんことになつて来る。あなたのお述べになつていらつしやることは、農林大臣が来て御説明なさることと同じように私共は感じている。ああそうであるかも知れませんけれども、そんな答弁じやこちらは甚だ頼りない。それだつたら本日のこの質疑か中止して貰いたい。改めて答弁のやり直しを責任のある方にやつて貰いたい。
  92. 柴田政次

    ○全査(柴田政次君) それから今一つ伺いたいのですが、あとでもよろしうございますけれども、先程の問題は非常に軽くお扱いになつているから答弁も極めて簡單に片附くであろう、こういうふうにおつしやつていますが、ここに又処分関係に入りまして、それが違法である、当を得ないという考え方のために、こういう処分決定をなすつているという、こういう点については、今日は保留をいたします、後で、はつきりして頂くことにして保留いたします。
  93. 阿竹齋次郎

    ○阿竹齋次郎君 くどくなりますけれども、ああそうであるかも知れませんが、というようなことを言う人に来て貰つては困ります。そうである、そうでないと言う人でなければいけない。であるから、本日の質疑応答は残念ながらこれをストップさせて頂きたい。この上質問することは無意味である。
  94. 平沼彌太郎

    ○平沼彌太郎君 後から伺つてよく分りませんが、指導農場廃止という方針が決定しておりまするのに、事実指導農場新設費の補助をされるということはおかしい感じがするんですが、廃止されても指導農場の新設は差支ないのでございますか。
  95. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) その点は農林省としましては、まだこの指導農場という施設は継続したいという実は方針でおつたのであります。それでこの新規の指導農場設置費を拡充費に使つたような、結果はそういうふうに相成つたわけなんでございます。
  96. 平沼彌太郎

    ○平沼彌太郎君 そうすると指導農場廃止ということの通知が行つてけれども、予算がもう計上されておる。ですから或る程度まで指導農場は食糧増産の上から必要だというふうに農林当局は解釈して既設農場の拡充費に使つた。そうしますると、新設、即ち指導農場廃止ということになつてから、新設というものを、殊にここで新たにするということは、これは成る程当を得ないと思う。併しながら食糧増産の上からいつて、既設指導農場の一部を、即ちこうすればもつと増産に役立つような施設が、指導的なものができるというふうな意味で既設指導農場の工事、一部を新設したという意味に解釈すればあながち違法ではないように見えるのです。指導農場を廃止してから新設の事業をするということは成る程惡い。併し一部を過渡的にやつた。これは背任的に他に使つたんでなく、やはり食糧増産という熱意から出た面もあるようにも見えますので、あながち、これは検査院当局の言われるような違法とも見えない。食糧増産の大事な時期でありますから、そういう意味から言うと、これだけのやはり新設農場、つまり既設農場の工事というふうなものは、これは似かよつておる面があるのじやないかというふうにも考えられるので、余りにも、如何ですか細かいことを追及しないで、惡い気でないのですから、承認する面も考える方がいいじやないかと思うのですが、そうしませんと進捗しない面もありますから、如何ですか。
  97. 阿竹齋次郎

    ○阿竹齋次郎君 私もそう思うておるのです。そう思うてはいるけれども、会計検査院は違法だとおつしやる。当局はどうか分らんと、こうおつしやるから、そこで決算委員は公正妥当な予算の執行ができておるかということを審議するのが職務なんですから……それが財政法、会計法の重点だ。これに基いて職務の遂行をいたしておるのです。であるから、そういう御答弁をなさるからもう尋ねて見てもだめだと、こう言うたのです。であるから改めてどうぞ提出して頂きたい。この人ではこの審議を進行することは無意義だと思いますから、私は本日はこの審議は御中止願うことを望みます。
  98. 平沼彌太郎

    ○平沼彌太郎君 三百十八号の方と十九号につきましては、只今御意見もありましたが、如何ですかこの辺で……
  99. 米倉龍也

    米倉龍也君 まあこの次にどうです。
  100. 柴田政次

    主査柴田政次君) 全部ですが。
  101. 米倉龍也

    米倉龍也君 全部です。今日はもうこれで散会しよう。
  102. 阿竹齋次郎

    ○阿竹齋次郎君 相手がごまかすから……(笑声)
  103. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) 私はごまかすという意味じやないのですがね。
  104. 阿竹齋次郎

    ○阿竹齋次郎君 はつきり言うたらいい、いいとか惡いとかはつきり言うたらいい。    〔「散会々々」と呼ぶ者あり〕
  105. 柴田政次

    主査柴田政次君) 今日は然らばこれだけを次に移しまして三百二十号、食糧管理特別会計歳入、亡失食糧に対する弁償金の徴收措置緩慢なもの、三百二十一号、三百二十二号、予算の使用当を得ないもの、三百二十二号まで一括して議題に供します。これに対しまする会計検査院第二局長の小林義男君の御説明を願います。
  106. 小林義男

    説明員小林義男君) 三百二十号について御説明、御報告申上げます。  東京食糧事務所で、昭和二十三年一月から六月までの間に、千葉食糧事務所外五ケ所の事務所かで輸入小麦粉の輸送を受けたのであります。それで発送元の方ではその荷渡した数量は三万一千四百七十九トン、然るところ東京事務所の方で実際受入れましたのは三万一千三百三十四トン、この差が百四十四トンありまして、これは輸送中に、運送途中に亡失したものと判定されるのでありますが、会計検査の当時、弁償金の百七十三万四千余円というものを徴收していなかつたというのであります。併しながら実地検査の結果、御注意いたしましたところ、当局におかれてはその金額日本通運株式会社から弁償させることにしたという案件でございます。  三百二十一号は、各食糧事務所で千三百万円余を支出いたしまして、食糧管理費の事業費という項の内には官舎の新営費という経費は積算されておらないのに官舎の新築をされたという案件でございます。  三百二十二号について御説明いたします。昭和二十二会計年度中に二十二年産米三千六十二万五千九十石と、二十三年度に二十二年産米七万三千七百八十五石、計三千六十九万八千八百七十五石というものを購入いたしました。それに対して二十三年の八月になりまして、前年度中に買つた米の値段が安かつたというわけで、物価庁、農林省の告示で一石当り五十六円の割合で値上げをいたしました。遡つて、つまり値上げの効力を及ぼしたわけであります。追加拂を石五十六円することにいたしまして、その総額といたしまして農林中央金庫に十六億円を二十三年の予算から概算拂いをいたしたのであります。会計検査院としても、勿論五十六円の値上げそのものは別に問題はないのでありまして、この二十三年度予算から、只今申上げました農林中央金庫に十六億円を概算拂をいたしました。これは、この金は二十三年度四月以降に買入れいたしまするものの、米の代金の既定経費、つまり商品費の中から出しておるのでありますが、もうすでに、この金は前年度に買入れた、もう受渡しの済んだものに対する値上げのための経費というものは積算していないのでありますからして、そういうふうに若しどうしても追加拂いをしなければならないというのならば別途に予算の要求をしてから、支拂うべきものである。こういう関係でございます。
  107. 柴田政次

    主査柴田政次君) これに対し食糧庁の監査課長の高橋清君の御説明を願います。
  108. 高橋清

    説明員(高橋清君) お答え申上げます。説明書の九十二頁のところに記載されておりますが、これを御覧願いましてその上でお聞き願いたいと思います。  東京食糧事務所の会計検査をされました際に、二十三年度の百四十四トンの弁償金の問題でございまするが、これは検査を受けました当時食糧事務所では、この事件が実は問題になつてつたのであります。ただ戰争末のときの状況等の関係がございましたために、どこの発送地のものが亡失しているかということがはつきりと掴めなかつたために、いろいろと手を盡しても弁償の段階に至つておらなかつたのであります。併し幸いにしましていろいろ研究をいたしました結果、この亡失をいたしましたことは、日本通運が乱袋を正袋に直したことによりまして生じたものであるということがはつきりいたしましたものでございますし、且つ検査院からの御注意がありましたので、直ちに日本通運に対しまして弁償金を追徴いたすように手段を取りまして、二月の十日に納入をいたした次第であります。併し御指摘のように検査を受けるまで納入の手筈をいたしませんことは、事務の不行届きでございますので、係の者に十分に注意をいたしますと共に、その後におきまして人事移動等の際に、現在は係が代りましてやつておる状況でございます。  それから三百二十一号でございますが、この問題は甚だ申訳がないのでありますが、食糧管理局の従来の関係では庁舎と一緒に事務官舎を作る、或いは倉庫等がございますために事務官舎を作りまして、そこに住つていたのでございますので、庁舎と一連の関係で官舎を建てました。誠に申訳がないと考えておりますが、考え方といたしましては、当時は官舎ではなくて、庁舎の附属という考えで進んでおつた。この問題は幸いにいたしまして二十四年度から予算説明書の中に細目を出すようにいたしましたので、今年もございますが、予算措置がとれております。  それから三百二十二号の問題でございますが、この追加拂の問題はすでに皆さん御審議で御承知通り会計検査院関係から御覧になりますと年度区分の問題等がございましようが、食糧管理庁の商品費の考え方からいたしますというと、年度区分等はございませんし、議会における審議事項でもございますし、実は商品費が不足しない間はこの商品費で支拂うことが違法であろうとは考えないので、そのまま商品費の中から出したのでございます。ただここにも書いてありますが、当時の責任者に対して極力注意をいたしたということ、この処置をいたしますについてもう少しはつきりとした態度で御説明会計検査院にすれば、こういう問題は起きなかつたのではなかつたかと、さよう思いますので、扱い上の注意をしたということになつております。
  109. 米倉龍也

    米倉龍也君 今御説明なつた初めの二つは、これはまあ大変遺憾であるということで処分をしております。最後の三百二十二でありますが、この問題は先程の問題と同じになつてしまうのですね。会計検査院の方では御覧の通り別途に予算措置を講ずべきものであるということに結論をつけております。それから農林省の方では予算のあるうちは追加予算措置を要しない……、全く反対なんです。この点も他の委員から御指摘があると思うが、会計検査院農林省との考え方が別なんですが、この点を明らかにしておいた方がよいと思います。それから今のお話では、それでもやるときにもつと愼重な態度で説明をもう少しよくやればよかつた、つまり会計検査院に対する説明がよくなかつたということくらいで、嚴重に注意するというようなものじやない。同じ注意にもただ注意と嚴重な注意と……。この点も先程問題になつたことと関連するのですが、これを明瞭に会計検査院農林省との間に解釈を一致させなければ又むずかしくなる。どうですか。
  110. 高橋清

    説明員(高橋清君) これは御承知のように食糧管理局の商品費は米穀年度でやつておりますから、会計年度関係がこの問題ばかりでなくして非常にむずかしい面が出て参るわけであります。この商品費には三年の区別が書いてございませんから、いつのものでも供出されたものを買うことは適当であろうという考え方を一応事務当局としてしておつたのであります。但し予算の区分から参りますと、どうも二十二年度前年のものを新予算で買うということも一応の議論になると思うのでありますが、その方は事務局としては範囲が書いてないから適当であろうということで進んでおつたのでありますが、御注意もありましたから、よく会計検査院の係の方と打合せをいたしまして、御注意の点を無駄にしないようにいたしたいと思います。
  111. 米倉龍也

    米倉龍也君 会計検査院の方はどうですか、こういう違つた結論と並行して行つてそれでそのまま何ともないのですか。このままにして置くのですか。誰がそれを裁判するのですか。
  112. 小林義男

    説明員小林義男君) 確かに今の米倉委員の方から御指摘になりましたように、これは全く対立した意見になつておりますのでありまするが、農林省当局のような考え方に対しまして、会計検査院といたしましてはこの僅か三行ばかりのところに、その意味を十分盛つてあるつもりでありまして、つまり本件は二十三年度予算から出すのはいけないのだ、商品費から出すのはいけないのだという理由といたしましては、これ以上に出でないわけであります。ところが農林当局の方では又少し違つた方面から論ぜられておるのでありまして、そこに食い違いがあるわけでありまするが、それじや一体どつちが本当かということになりまするが、我々としてはそれは部内にはいろいろな議論も勿論ございますが、最後の結論といたしましては、ここに書いてありまするような極く簡單な理由でありまするが、これは別途に予算措置を講じて追加拂をすべきものであつた。こういう決定をいたしたので、この考えを今から変るというわけには参りません。まあさような次第でございまするので、これは一体どつちがいいのかということは、公平なる第三者と申しますか、むしろ国会あたりで最後に決めて頂くのがまあ現在のいろいろな国の事務の組織上、どうしてもさようなことになるんではないかと存ずるのでありまするが、くどいようでございまするが、会計検査院といたしましては結論として、この検査報告に載つておるような結論を出しておるような次第であります。
  113. 米倉龍也

    米倉龍也君 このときの追加拂の問題はここに指摘されてあるんですが、その後には米の価格が早く決定しないために、毎年こういうことが繰返されるのです。現にその後きつと毎年やつてつたと思うのですが、依然として管理局の方ではこの解釈でおやりになつているんですし、又今度それを検査した場合に、会計検査院は又それを指摘するだろうと思うんです。これはおかしいことだろうと思うんですがね。
  114. 高橋清

    説明員(高橋清君) 御指摘通りでありまして困りますから、去年から産米年度を書いて予算を作るようにいたしまして、ああいうようになつております。二十二年度産、二十三年度産幾らということで予算の内訳をいたしまして、私の方でも自信を以てやりまして、これは会計検査院から叱られても困りますが、検査院におきましても頭から不適当だとも言われないでしようし、こうやられますとそのまま行きませんから、予算の内訳を詳しく書きまして、この問題がなくなるように措置が取れましたから御了承を願います。
  115. 柴田政次

    主査柴田政次君) この問題はよく会計ごとに、米穀年度を書いて行つた方がよいですね……、大分遅くなりましたが、本日はこれで打切りまして……ちよつとお諮りいたしますが、前回阿竹委員より要望された復金に対する証人喚問につきましては、委員会の方で審議して頂いておりまして、委員会において審議する、こういう御趣旨でございまして、これに対しては御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  116. 柴田政次

    主査柴田政次君) 御異議がないようでございますから、さように決定いたしたいと思います。  本日は以上を以ちまして散会いたしたいと思います。    午後四時十六分散会  出席者は左の通り。    主査      柴田 政次君    副主査     阿竹齋次郎君    委員            吉川末次郎君            平沼彌太郎君            淺井 一郎君            千田  正君            米倉 龍也君   政府委員    農林事務官    (大臣官房会計    課長)     伊東 正義君   説明員    会計検査院事務    官    (第二局長)  小林 義男君    農林事務官    (監査課長)  高橋  清君