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1950-03-24 第7回国会 参議院 決算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年三月二十四日(金曜日)    午後一時四十五分開会   —————————————   委員長補欠 二月十七日奧主一郎委員長辞任につ き、その補欠として谷口弥三郎君を議 長において委員長に指名した。   委員の異動 三月六日委員中村正雄辞任につき、 その補欠として河野正夫君を議長にお いて指名した。 三月十日委員板野勝次辞任につき、 その補欠として兼岩傳一君を議長にお いて指名した。 三月十四日委員岩傳一君辞任につ き、その補欠として板野勝次君を議長 において指名した。   —————————————   本日の会議に付した事件昭和二十二年度一般会計歳入歳出決  算、昭和二十二年度特別会計歳入歳  出決算内閣提出)   —————————————
  2. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) それでは只今から決算委員会を開会いたします。昭和二十二年度一般会計歳入歳出決算及び昭和二十二年度特別会計歳入歳出決算を議題に供します。  先ず、各分科会主査から御報告をお願いします。第一分科会主査柴田君……。
  3. 柴田政次

    柴田政次君 決算委員会の第一分科会といたしまして、審査の御報告を申上げます。審査報告書はお手許に差上げてございますと思いますから、報告を省略いたしまして、決議の分から報告することをお許し願いたいと思いますが、よろしうございますか。
  4. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) どうぞ。
  5. 柴田政次

    柴田政次君 私の報告書を朗読しますについて、專門員の方にやつて頂いた例もございますので、專門員からいたします。御了承を願いたいと思います。    〔森專門員朗読〕    決算委員会第一分科会審査報告書   昭和二十二年度一般会計歳入歳出決算並びに同年度特別会計歳入歳出決算中、国会、会計検査院、外務省、大蔵省農林省及び商工省所管事項並びに第二分科所管に属しない事項につき、審査した結果を左の通り報告する。   昭和二十二年度一般会計歳入歳出決算昭和二十二年度特別会計歳入歳出決算  一、内容    本件は憲法第九十條及び財政法第四十二條の規定により国会に提出されたものであつて、その内容の概要は左の通りである。     一般会計   1.昭和二十二年度一般会計決算総額は     歳入 二千百四十四億六千七百余万円     歳出 二千五十八億四千百余万円    であつて     差引 八十六億二千六百余万円    の剩余を生じたが、この剩余金財政法第四十一條の規定によつて昭和二十三年度歳入に繰入れた。   2.右の剩余金額には、翌年度へ繰越した歳出予算額及び前年度から繰越された剩余金使用残額が含まれているので、これらを差引くと、財政法第六條に言うところの剩余金は、六十億八千百余万円である。從つて同條の規定によつて、その二分の一を下らない金額を公債又は借入金償還財源に充てることになつている。   3.前記決算総額を     歳入予算額 二千百四十二億五千六百余万円     歳出予算額 二千百四十二億五千六百余万円    に比較すると     歳入においては 二億一千百余万円    を増加し     歳出においては 八十四億一千四百余万円    を減少した。   4.歳出予算額については、予算決定後において、前年度歳出予算残額を本年度に繰越したものがあつたため、     歳出予算額 二千百四十二億五千六百余万円     前年度より繰越 十九億六千余万円      合計 二千百六十二億一千六百余万円    となつた。これに対し支出済の     本年度歳出額 二千五十八億四千百余万円    の外、本年度内に支出を終らないで翌年度に繰越したもの、     翌年度へ繰越 十七億一千二百余万円    があるので     差引不用額 八十六億六千三百余万円    となつた。   5.予備費予算額二十億円に対し、本年度において使用した金額は十九億七千七百余万円であつて差引二千二百余万円の不用額を生じた。   6.国庫債務負担行為限度額財政法第十五條第一項の基くもの八億九千三百余万円      財政法第十五條第二項に基くもの 十億円    のところ、実際に負担した債務額は      財政法第十五條第一項に基くもの 八億四千六百余万円      外に、財政法附則第四條に基くもの 六億二千四百余万円      財政法第十五條第二項に基くもの 九億三千万円      外に財政法附則第四條に基くもの 二千八百余万円    であるが、そのうち本年度支出その他の事由によつて債務の消滅したものは      財政法第十五條第一項に基くもの 四千百余万円      財政法第十五條第二項に基くもの 六億六千百余万円    であつて差引年度以降へ繰越した債務額は左の通りである。      財政法第十五條第一項に基くもの 十四億二千八百余万円      財政法第十五條第二項に基くもの 二億九千七百余万円   7.公債は、     本年度発行額 八億九千八百余万円     既往年度よりの繰越額 千八百七十四億三千三百余万円      合計 千八百八十三億三千二百余万円     本年度償還その他 十六億二千三百余万円     差引年度以降へ繰越した債務額は 千八百六十七億八百余万円   8.借入金は、     既往年度よりの繰越額 五百三十九億一千七百余万円     本年度償還その他 百余万円     差引年度以降へ繰越した債務額は 五百三十九億一千六百余万円   9.昭和二十二年法律第四十二号    第九條第三項の規定による元臨時軍事費特別会計借入金繰越債務額は七十億であつて、本年度に償還したものはない。   10.大蔵省証券又は一時借入金は     本年度発行限度額 四百億円     発行した最高額 三百九十億円     発行総額 七百二十三億円    であつて、全額本年度内に償還した。   11.元臨時軍事費特別会計分の    年度整理額     歳入 七十万余円     歳出 百六十五億六千九百余万円      は、一般会計歳入歳出に組入れることなく、單にこの決算に附記されている。     特別会計    昭和二十二年度における特別会計の数は二十六であつて、各持別会計決算額合計額は     歳入決算額 四千百九十一億一千三百余万円     歳出決算額 三千七百二十五億余円    である。  二、議決    本件を審査した結果左の通り議決した。   第一、会計検査院検査報告中に指摘している不当事項については、いずれもその検査報告と見解を同じくする。但し第三一七号の事項については検査院の見解が、聊さか妥当を欠くものと思う。   第二、決算のうち、その他の事項については異議がない。但し復興融金庫の件(検査番号第三八三号乃至第三八六号)については、決算委員会において審議せられたい。   第三、左の十二項目については、内閣に対し将來の注意を促すため、特に意見を付する。    (一) 元臨時軍事費特別会計に属する歳入歳出は、昭和二十一年勅令第百十号の規定により、昭和二十二年度一般会計歳入歳出に繰入れて整理すべきものであるが、政府はこれを一般会計決算に附記して報告している。この方法は勅令違反であり、昭和二十一年度決算審査報告においても警告して置いたのであるから、政府は重ねて勅令違反の行為を繰返さないよう、嚴重に注意すべきである。若し勅令の規定が実施運用に適しないならば、須らく先ず勅令を改正するのが至当であつて、故意に勅令違反行為を繰返すべきでない。      尚この決算に関しては二百億円以上の収入不足がそのままとなつているが、これは速かに整理を要するものである。    (二) 昭和二十二年度一般会計歳入において、収納未済額は五百三十三億円以上に達し、徴収決定済額に対する割合は二〇%に当り、二十一年度の八%、二十年度の四%に比して激増している。その主なものは、租税収入四百三十一億余円、価格差益納付金六十八億余円、特殊物件収入十四億余円である。        特別会計収納未済額は、二百三十四億余円であつて、その主なものは、專売局七十七億余円、食糧管理七十三億余円、財産税等収入金三十二億余円である。        かくのごとく一般会計及び特別会計を合計すれば、収納未済額は、七百六十七億余円に上る。更に未だ徴収決定さえもしていない金額を考慮すれば事実上の収納未済額は尚巨額に上る筈である。        租税に関しては、特に別項に記載するが、その他の歳入についても事務の怠慢がその主たる原因であると認める。すでに前年度決算審査報告中に警告した通り内閣は国の財政困難の現状に鑑み、徴収成績改善につき格段の努力をなすべきである。    (三) 大蔵省所管租税収入において源泉徴収所得税の未拂込に対する徴収当を得ないものとして、会計検査院検査の結果、これを是正されたものは未拂込金額一万円未満のものを除き、給與所得及び、配当所得の合計一億円以上に上つている。(検査報告第一七五号乃至第一九三号)。これは税務署において源泉徴収整理簿整理不十分等のために生じたものであり、事務怠慢が主たる原因である。        又取扱の過誤により租税の徴収不足を來したものとして検査院検査の結果、これを是正されたものは、徴収不足一万円未満のものを除き、各種の租税を合せて合計八百万余円に上つている。(検査報告第一〇二号乃至第一七四号)。これはいずれも課税資料の取扱の過誤、所得調査の不十分、各税相互間の連絡調査の不備、法規適用上の過誤等によるものであり、事務手続の改善、事務能率の増進につき考慮を要するものと認める。        これらの不当事項中には、事務担当者の軽過失に出ずるものもあるであろうと思われるが、その事務怠慢に起因するものと認められる場合にも、何らの行政処分が取られていない。爾後相当の月日を経過せる今日において尚、「訓告する予定で目下調査中」という答弁は、当局の態度として無責任に失するものである。税務官吏の行動につき、世上兎角の風評のある今日、内閣は綱紀の粛正、事務能率の増進につき深甚の注意を拂うべきである。    (四) 国有財産その他の国有物件管理並びに経理については、措置当を得ないものが少くない。        社寺国有境内地立木竹で、関係者により、無許可で伐採されたものも少なからず、或いは附近住民等により盗伐されたものが少くない(検査番号第二〇一号及び第二〇二号)。        官有物貸付料及び拂下代の収納未済額は三億円以上に上り、徴収決定済額に対し、三九%に当るのみならず、徴収決定のものが相当多額に上つている。(検査番号第一九五号)。又久しく使用認可手続も取らずに使用されていたり、或いは無認可のまま元所有者等使用収益に任せていたなど、管理よろしきを得ないものがある。(検査番号第一九六号乃第二〇〇号)        物品経理は、前年度決算審査報告にも指摘した通り、とかく軽視される傾向があり、物品出納簿記帳整理が十分でなく帳簿外に保有したり、拂出済又は供用中のものの管理よろしきを得ない等、出納保管上の措置当を欠くものが少くない。殊に終戰処理関係のものについては、木材であつて、或いは野積のもも放置し、或いは多量の腐朽材を生じている等、整理を促進すべき事項が多い。(検査番号第二一四号、第二一五号、第二一七号、第二二〇号、第二三五号等)。        尚農林省所管食糧管理特別会計において、終戰後三年を経過して、尚帳簿上の数量と在庫数量との差異の原因を適確に究めなかつた件(検査番号第三二三号)、及び薪炭需給調節特別会計において、巨額の欠損金を生ずるに至つて事実など、いずれも物品経理及び管理よろしきを得ない結果である。        国有物件経理並びに管理については、内閣は更に一段の注意を拂うべきである。    (五) 会計検査院検査報告によれば、支出官に対する予算支拂計画示達が遅延し、甚しき年度経過後に示達されたものさえあるため、好ましからず事例が少なからず生じている、即ち、地方在勤職員に対する給與を地方費等で立替支拂したり、年度末に至つて工事施行又は物品購入等の契約を締結して年度区分を乱る結果を生じたり、補助金交付につき、時期を失する等の事態を生じたりしている、ということである。        支拂計画示達は、国庫金の状況に制約されることもあるから、内閣は、一方には国庫収入の促進を図ると共に、他方には示達手続を促進して、予算の執行を円滑ならしめるよう、十分の注意を拂うべきである。    (六) 工事の施行又は物品に購入に当り、事実を作為し、年度内に完成又は、納入されたものとして、経費を支出しているものが、大蔵省所管において四件、商工省所管において二件ある。        かくのごとき経費の年度区分を乱る会計法規違反事件は、毎年その跡を絶たず、却つて増加の傾向にあるのは誠に遺憾である。その原因の主なるものは、予算示達が遅れたり、繰越手続が煩雑に失するがためである。すでに前年度決算審査報告にも指摘した通り予算配賦の促進、並びに予算繰越手続を早期且つ敏速に行なうため、内閣は適当な改善方策を講ずることが肝要であると認める。    (七) 終戰処理費については愼重なる考慮を要することが多い。本費の昭和二十二年度支出額は六百四十一億円余であるが、工事施行及び物件調達等予算を無視して契約した等のため、その代価を同年度中に支拂うことができず、翌年度に支出しなければならないものが約百五十億円の多額に達している。        本費の経理に当つては、毎年このように多額な予算超過の債務を負担し、又、国庫債務負担行為につき国会の議決を経ていないのであることを会計検査院は指摘している。        会計検査院検査確認額は、昭和二十一年度分八十七億余円、二十二年度分百三十五億余円の巨額に達し、その大部分は概算拂清算未了である。        本費の経理については、工事施行又は物件調達に当り、計画のよろしからざるもの、過大の概算拂をしたもの、帳簿書類の不整理なもの、不急の物品を多量に購入してその管理の不備なもの、その他一般に経過の適正を欠くものが多い(検査番号第二〇四号乃至第二三五号)。        要するに本費の経理については、特殊の事情があるとは言え、失当なる措置を生ぜしめないよう、前年度審査報告にも記した通り内閣は特に愼重なる注意を拂わなければならない。    (八) 補助費昭和二十二年度支出額は一般会計特別会計を合せて、七百十六億余円に上つているが、その交付に当り措置よろしきを得ないものが、大蔵省所管に二件、農林省及び商工省所管に各三件ある。これらは、或いは補助金の交付につき注意を欠いたもの、或は補助金交付後の措置適切ならざるものである。此の問題については、前年度決算審査報告にも記した通り、その目的達成のため効果的に支出するよう、内閣は十分の注意を拂うべきである。    (九) 予算目的外に経費を使用し、又は予算を流用して職員官舍等を新築したり、職員厚生施設を行なつたもの等がある。これらのもののうちには、当時の実情に照して、その情状を諒とすべきものがある。併し、その場合には予算上の措置を採つて、合法的にこれを行うべきであり、会計法規を乱ることは絶対に許されないところである。        農林省所管食糧管理特別会計において三二一号は、官舍七十棟の新営工事事業費を流用したものである。同じく国有林野事業特別会計において三二九号及び三三〇号も職員住宅の新営に管理費を流用したものである。   (一〇) 官庁がその外廓団体に対して特殊の関心を示し、特殊の保護を與えることは、その精神において諒とするところはあるが、その保護の程度厚きに失し、ために国に不当の損失を與うるがごときに至つては、不当の措置と言わなければならない。從つて大蔵省印刷局において、公定価格で五百万円以上の廃紙を、十二万余円でその外廓団体たる朝陽会に売拂い朝陽会では之に多少の手入をして九百余万円で他に売却した件(検査番号第二三七号)のごときは不当の措置と言わなければならない。内閣は此の種の問題につき特別の考慮を拂うべきである。   (一一) 会計検査院の指摘せる不当事項中には、事態の可なり重大と認められるものがあるが、それに対する行政処分の意外に軽いと思われるものがあり、中には未だ行政処分を欠いているものもある。        職員の犯罪により国に損害を及ぼした事件も、終戰処理費関係に三件、大蔵省に一件ある。        尚、犯罪とは関係がないが、例えば大阪地方專売局神戸支局樟腦副産物を不当な価格で多量に売り拂つた件(検査番号第二四〇号)及び商工省で不当な価格印刷代支拂つた件(第三三五号)のごときは、單純なる過失として看過すべき性質のものではない。        近時我が国一般に道徳の程度が低下しており、自然その影響が官界にも及んでいることは歎息すべきことであるから、公務員の綱紀粛正に関して、内閣の嚴重なる注意を望む。   (一二) 昭和二十二年度決算に関する会計検査院検査報告中に「法令若しくは、予算に違反し又は不当と認めた事項」として、報告されているものにつき、内閣の採つた善後処分を見ると概むね適切なる処置が採られているが、尚若干の事項につき十分適当なる手続の採られていないものがあることを遺憾とする。特に大蔵省專売局が、自給製塩設備に対して交付した補助金につき不当事項が多く、その善後処置について、飛島塩業日塩興業及び南山製塩の三社に関しては全く何等の処置を採つておらず、日本塩業及び妙高企業の二社に関しては、單にその一部についてのみ処置を採つておるに過ぎないことは、いずれも参議院の決議を軽視するものであるから、その不当を非難したところ、專売局機構改革、その他の混雑にまぎれての失態であつた旨の弁明があり、尚直ちにそれぞれの処置を採る旨の答弁があつた。        内閣は、不当事項に関する善後処分については、迅速且つ適切なる手続を採るよう、将來十分の注意を拂うべきである。   第四、政府当局会計検査院との間に見解の相違を見ている左の二項目については、左にその審査の経過並びに結果の要領を述べる。    (一) 農林省所管農業技術指導農場新設費補助金使用承認当を得ないものとして会計検査院が指摘している事項(第三一七号)については、検査院昭和二十二年十一月に此の農場制度廃止が「決定」していたものであるという前提の下にこれを非難しているのである。併し、当時この制度廃止の内意はあつたが、未だ確定していたわけではなく、当局はその存廃につき関係方面と尚お交渉を重ねていた次第であつたので、農場新設に対する補助金として各府県に交付した金額中の未使用額を、既設農場充実等の補助に充てることにつき各府県からの申請があつたのに対して、農林省がこれを承認したことは、農業の合理的発展農業技術の滲透に資せんとする意図に出でたことであり、必ずしも予算の目的又は、範囲を逸脱するものとは思われない。從つて検査院の指摘するごとく、「当然」これを返還させるべきものとする見解は、いささか妥当を欠くものと認める。併しその使用承認を與えるに当つて、その内容の検討につき愼重なる注意に欠けるところが全然なかつたとは言えないと認める。    (二) 農林省所管食糧管理特別会計において、昭和二十三年三月末日までに買入れた米二千九百余万石に対し、同年八月告示第五号に基く米価値上額を二十三年度予算中から追加拂することとし、農林中央金庫を通じて供出農家に十一億余円を支拂わせた件(第三二二号)について、農林省当局は「商品費に積算してある主要食糧の種類、数量及び單価は一応の見込であるから、価格が適法に変更決定されたならば、それを既定予算から、支拂うことは差支えないと思う。從つて商品費全体が不足しない限り、追加予算措置を要しないものと思う」と説明している。併しこの事案は追加拂の可否に関する実質的問題ではなく、予算技術上の年度区分の問題であるから、年度を超えて追加拂をするためには別に予算措置を講ずべきものであると言うのが検査院の批難である。現に、その後の年度における予算には、米価改訂によるこの種の追加拂、即ち「価格差追拂」を考慮に入れて予算が編成されている点から逆説しても、この事案の解決は明瞭である。   右の通り議決した。よつて報告する。
  6. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) 第一分科会の御報告がありましたが、続いて第二分科会主査來馬君から、第二分科会の模様を御報告願います。
  7. 來馬琢道

    來馬琢道君 第二分科審査経過並びに結果について御報告を申上げます。第二分科裁判所法務庁内閣文部省厚生省労働省運輸省及び通産省の各所管事項について審査いたしたのであります。昭和二十二年度決算は、第五回国会提出になりまして、審議を進めましたが、審議半ばで会期が終了したため、審議未了終つて、第六回国会において引続き審議いたしました。然るに会期が短かかつたため終了するに至らず、漸く今回に至つてその全部を審議するに至つた次第であります。  第二分科は、この間しばしば会議を開きまして、政府当局及び会計検査院当局の説明を聞き、質疑を重ね、愼重審議いたしました。尚、昭和二十二年度決算検査報告に記載されております既往年度並びに昭和二十三年度に関する批難事項、及び昭和二十一年度決算検査報告に記載されてある昭和二十二年度に関する批難事項についても、併せて審議いたしましたことを附言して置きます。而して最後に、本年三月十六日議決をいたし、その審査報告書は、文書を以て委員長提出いたしました。これが只今皆様のお手許に配付されてありますから、朗読いたします。    決算委員会第二分科審査報告書   昭和二十二年度一般会計歳入歳出決算並びに昭和二十二年度特別会計歳入歳出決算中、裁判所所管法務庁所管内閣所管文部省所管厚生省所管労働省所管運輸省所管及び逓信省所管の部を、審査した結果左の通り議決した。  第一、会計検査院検査報告中に、指摘している不当事項については、いずれもその検査報告見解を同じくする。  第二、決算の内、その他の事項については異議がない。  第三、左の十四項目については、内閣に対し将來の注意を促すため、特に意見を付する。   (一) 過大予備費使用決定を受けたり、又予備費使用決定額の大半を大蔵大臣承認を経ないで、他の費目に流用したものなど、予備費支出当を得ないものがある。(検査番号第四四号、第四五号、第二五二号、第三四二号)       予備費使用決定内閣に委かされていることに乘じて、このような非違を犯すことのないよう、内閣はその決定並びに使用に当つては、細心の注意を拂うべきである。   (二) 会計検査院検査報告によれば、支出官に対する予算支拂計画示達が遅延し、甚だしきは年度経過後に示達されたものさえあるため、好ましからざる事例が少からず生じている。即ち、地方在勤職員に対する給與を、地方費等で立替支拂したり、年度末に至つて工事施行又は物品購入等契約を締結して年度区分を紊る結果を生じたり、補助金交付につき時期を失する等の事態を生じたりしているということである。       支拂計画示達は、国庫金状況に制約されることもあるから、内閣は一方にま国庫収入促進を図ると共に、他方には示達手続促進して、予算執行を円滑ならしめるよう、十分の注意を拂うべきである。   (三) 工事施行又は物品購入に当り、事実を作為し、年度内完成又は納入されたものとして経費支出し、経費年度区分を紊つたものがある。(検査番号至第二一号、第八八号、第二五〇号、第二七三号、第三六二号乃至第三六四号、第三七〇号)       かくのごとき経費年度区分を紊る会計法規違反事件は毎年その跡を絶たず、却つて増加傾向にあるのは誠に遺憾である。その原因の主なるものは、予算示達が遅れたり、繰越手続が煩雑に失するがたれである。すでに前年度決算審議報告にも指摘した通り予算配賦促進並びに予算繰越手続を早期且つ敏速に行うため、内閣は適当な改善方策を講ずることが、肝要であると認める。   (四) 会計検査院検査報告によれば、公共事業費使用については、從來認証手続が複雑に過ぎたため、予算の配賦が著しく遅延した事情に鑑み、二十二年度第四・四半期から仮認証の便法を講じて、予算配賦の遅延を防止することになつたが、仮認証後における主務庁の処理が、おそいため、予算実行の促進には大した効果がなく、依然として公共事業費支弁事業については、年度内完成を條件としながら、その不可能であることが明らかな年度末に差し迫つて予算示達を行うような事例が多いと云うことである。       内閣においては、公共事業費予算実行の促進を図るため、更に一段の考慮を拂うべきである。   (五) 補助の指令が遅れたもの、補助の事業及び所要経費の実情を調査することなく多額補助金交付したため、補助超過の結果をきたしているもの、指定通りの事業が実施されていない場合に、補助金の全部又は一部の返納の取扱を怠つたもの、其の他補助費交付等について措置当を得ないものが多い。(検査番号第九〇号乃至第一〇一号、第二五六号乃至第二六七号、第二七四号乃至第三〇三号)  これらは或は補助金交付につき注意を欠いたもの、或は補助金交付後の措置適切ならざるものであつて、前年度決算審査報告にも記した通り内閣は、その目的達成のため効果的に支出するよう十分の注意を拂うべきである。   (六) 予算目的経費使用し、又は予算を流用して職員官舍等を新築し、或は職員厚生施設を行なつたもの等がある。(検査番号第三四三号、第三五一号、第三六五号、第三六六号)  これらのもののうちには実情に照して、その情状を諒とすべきものがあるが、会計法をみだることは絶対に許されない所であるから、内閣は、よろしく予算上の措置を採つて合法的にこれを行うよう、注意を拂うべきである。   (七) 特殊物件は昭和二十二年度までに、その大部分の処分を終つたが、二十二年度迄の徴収決定額四十二億八百余万円中、収納未済額は十一億九千五百余万円の多額であり、又徴収決定すべきものが、十六億五千百余万円ある外、運輸省及び逓信省で処分し徴収決定した、特殊物件は二十二年度までに、それぞれ三億二千余万円及び一億百余万であるのに、その代金として一般会計に納入したものは、尚少額である等、或は徴収決定を怠り、収納を怠り、或は又特殊物件を、ほしいままに処分する等、特殊物件の処分に関し措置当を得ないものが多い。(検査番号第四九号乃至第八四号、第三四一号、第三四六号、第三六〇号)  内閣は特殊物件に関する徴収決定、及びその収納につき、更に一段の努力を拂うべきである。   (八) 物品経理は前年度決算審査報告にも指摘した通り、とかく軽視される傾向があり、その出納保管上の措置当を欠くものがある。内閣物品経理改善につき更に一段の注意を拂うべきである。   (九) 寄附により新営等を行い、又は寄附金で新築させた建物を受けることによつて庁舍の整備を行つたものがある。(検査番号第四号乃至第十一号、第三〇八号乃至第三一二号)  このような国の機関の庁舍は国会議決を経た予算の範囲内で、これを設備すべきものであつて、寄附により設備することは妥当でないのみならず、寄附が形式的には自発に基く場合でも、実は半強制に類するものが多く、国民に対して法規に基かない負担を課することとなり、又歳入歳出に外に経理を行う結果を來すから、内閣は、このような寄附を受けることを嚴に愼むべきであり、又寄附を受ける場合には、これを歳入に受け入れ、所要経費は、予算に計上して支出するの、処置を採ることを励行すべきである。   (十) 登緑税の賦課当を得ないものがある。(検査番号第一二号、第一三号)  不動産及び船舶の登録税については、昭和二十一年度決算検査報告において課税標準価格は適正な時価によるべきであるのに、その決定が著しく低きに過ぎ、登録税の賦課当を得ないものがあるとの指摘を受け、参議院においても、その指摘を認めているにもかかわらず、更にこの非違を犯していることは遺憾である。  内閣は、将來この処理の適正を期するため、課税標準価格を経済事情の変動に即応して遺憾のないようにし、又登記官吏が、その判定を誤らぬよう、最善の措置を講ずべきである。  (十一) 会計検査院検査報告によれば、現金又は物品を亡失、き損した事件は極めて多数に上り、その金額は少くないが、その大部分は盗難及び火災事故によるものであるということである。  内閣は、これら被害に対する防止方法などに関し適確措置を講ずべきである。  (十二) 職員犯罪により、国に損害を與えたもの及び職員の業務上、その他の犯罪が増加の傾向にあることは官吏が業務に忠実、公正であり、範を一般に示すべきであることに鑑み誠に遺憾である。(検査番号第一八号、第三〇五号乃至第三〇七号、第三七六号、第三七七号)  近時我が国一般に道徳の程度が低下しており、自然その影響が官界にも及んでいることは歎息すべきことであるから、公務員の綱紀粛正に関して、内閣嚴重なる注意を望む。  (十三) 運輸省に於て、多額の死退蔵品を売却するに当り、特に財団法人鉄道弘済会を指名し、高率の割引をしている等、鉄道弘済会に対して特別の便宜、保護を與えている。  鉄道弘済会が退職鉄道職員に関する福利施設であり、運輸省が之に対し特別の関心を有することは諒とするが、保護程度厚きに失し、国庫に不当の損失を與えているものがあると認めるから、内閣は、この種の問題について特別の考慮を拂うべきである。  (十四) 不当事項に関する責任者の処分が、時にその内容に照して軽きに失し、或は処分することが妥当であると思われるものに対し、全然処分を行なつていない等、処分の適正を欠くものがある。  終戰後社会秩序急変の影響を受けて公務員の責任感の弛緩に基く不当事項の発生も少くないと思われるから、内閣は是等の不当事項の発生を未然に防止するため、責任者に対する処分の適正を期するよう特別の考慮を拂うべきである。  第四、政府当局会計検査院との間に見解の相違を見ている項目に対する審査経過並びに結果の要領、及び特に審査経過につき一言するを適当と認めた項目に対する審査経過並びに結果の要領を述ぶれば次の通りである。   (一) 検査番号第四号(法務庁所管)は寄附により、庁舍を整備し、予算の制をみだつたものとの指摘を受けているものであるが、当局は、八王子支部庁舍については一部寄附によるものでなく、全部を買収したものであると説明している。       右は当時の関係文書等に照し、会計検査院の指摘の通り予算の不足分を寄附によつて補つたものと認める。   (二) 検査番号第四九号(内閣所管)は、内務省で終戰直後全国農業会に売り拂つた放出物件たる松根原油につき、その処分代金は原則とて、処分当時の公定価格を基準とすべきであるのに、特に低い価格で売り拂つたのは措置当を得ないとの指摘を受けているものであるが、当局本件物件は同一物件である連合国軍から返還を受けた松根油につき各方面と協議の上決済したものの価格を基準としたものであつて、その措置は一応当を得たものであると考える。而して松根油の公定価格は戰時中の特殊用途に充当するため、急速な大量生産の要請に基き不当に高価に決定されていたものであり、松根油の戰後における需給関係の根本的変更に鑑み、別個の観点から適正な価格を定める必要があつたので、本件松根油の価格は漁業用燃料として、これと競合関係にある鉱物油B重油の価格とにらみ合せ、当時の市価をも参照して決定されたものであると説明している。       松根油の戰時中の公定価格は、特殊用途に充当するため価格政策により、決定されたものであり、終戰後これを全然別個の用途に充てる場合、これと競合関係にあるものの価格と睨合せて、本件放出物資の価格決定したことは了解し得るものであつて、その結果、公定価格より低価格となるも止むを得ないと認めるが、全国農業会は松根油を精製して拂下当時の目標であるB重油の代用燃料として漁業用に販売した数量は、極めて少量で、大部分は他の用途に販売し、更に、その精製によつて生じた副産物を売却して、多額の利益を収め、これを全国農業会の赤字補填に使用していること等に鑑み、本件価格の算定に当つて愼重を欠いた点があると認める。   (三) 検査番号第四六号(内閣所管)は、予算に積算のない、内閣所管価格調整費から石炭増産報奨金を支出したことは、予算使用当を得ないものであるとの指摘を受けたものであるが、当局では、二十二年度において石炭増産報奨金につき繰越予算額では不足を生じたので商工省において予算の増額方につき大蔵省と折衝の結果、大蔵省から右不足額は、これを価格調整費の予算から支出するよう指示があつたため、この措置を採つたものであり、又石炭に増産奨励金を交付することは、本來の価格調整の目的に適合するから、本措置価格調整費の運用として妥当であると説明している。       石炭の増産対策として奨励金を支出することは当時の状勢に鑑み妥当であるが、予算制度は嚴守すべきであつて、單に本來の価格調整の目的に適合するの理由で、価格調整費を運用し、この費目から予算に積算のない石炭増産報奨金を支出することは妥当ではない。       なお、右の措置を採つたのは、商工省から石炭増産対策諸費の増額方の折衝を受けた大蔵省の指示に基いたものであるから、予算執行につき監督の地位に立つ大蔵省としては大いに反省の要あるものと認める。   (四) 検査番号第三五五号(運輸省所管)は、労務配米を貯蔵品購入資金で購入したのは当を得ないとの指摘を受けたものであるが、当局では労務加配米は從來国有鉄道共済組合の運用資金を以て購入していたが、終戰後の経済界の変動により、その資金が枯渇したことと、労務加配米の調達は一般に事業主がすることになつているので、その確保を計り、もつて特別会計事業の運営を円滑に遂行するために、これを貯蔵品扱として経理整理をなし、その取扱の嚴正を期することとしたものであると説明している。       労務加配米調達の確保を計る必要のあること、及び之がためには多額の資金を要する等の事情の存在することは了解し得るところであるが、予算制度は嚴守すべきであり、国有鉄道の作業資産である貯蔵品とは認められない労務加配米を、国費で購入することは妥当でないと認める。   (五) 検査番号第三五六号(運輸省所管)は、短革靴の原料、真綿製チヨツキ等を貯蔵品購入資金で購入したのは、当を得ないと指摘を受けたものであるが、当局では是等は需給極度に逼迫し、これがため国鉄從業員の作業能率の低下を招いていたので、鉄道の経営に直接使用する物資と必要度において大差ないものと認めたのみならず、これら物資の調達には相当額の資金を必要とするので、このような処置を採つたと説明している。       これ等の物資が国鉄從業員の作業能率に影響することは了解出來るが、前号と同様の理由により妥当でないと認める。   (六) 検査番号第三五八号(運輸省所管)は大阪鉄道局が大阪府から受取り戰災職員救済用として配給した防寒襦袢及び袴下等に対し、その買取單価が内定單価に比し、著しく高かつたのに、その差額を職員から徴収せず、これを省外売却差損に計上したのは不当であると指摘されたものであるが、当局では本件被服は、旧軍からの放出物資であつて、同一品種である名古屋鉄道局が三重県から引渡を受けたものの單価を基準として職員から代価を徴収したところ、大阪府から引渡を受けたものについては、大阪府の財政状態並びにこの種物価の昂騰甚だしかつた当時、その価格決定の著しい遅延により、右よりも高価に決定されたものであつて、これが差額を省外売却差損として処理することは実情止むを得ないと説明している。       本件物資が製造原価計算に関係のない放出物資であること及び大阪鉄道局が引渡を受けたもののうち、大阪府より、一ケ月前に決定した京都府の分が相当に安価で決定している事実に鑑み、本件物資を他に比較して著しく高価で買入れたことについては、愼重考慮を欠いたものと謂わざるを得ず、その結果多額の省外売却差損を計上するに至つたことは不当であると認める。   (七) 検査番号第三六五号(逓信省所管)は予算上認められた共済組合福祉施設補助金の外に、予算を差し繰つて農場、製塩、漁撈、製炭等の事業を施行しているのに対し、たとえ從業員に対する厚生施設であるとしても予算に認められた以外に更に多額予算示達して支出し、しかも本件施設のうちには、成績のあがらないものの多いのは、予算使用当を得ないとの指摘を受けているが、当局昭和二十三度において成績の挙らないものは整理閉鎖し、採算可能の施設のみについて運営を継続しているが、今後は予算使用は極力これを抑制すると共に一般経済情勢とにらみ合せ善処する。なお、二十二年度に於て、成績のあがらないものについては必ずしも責任者の責に帰するものとは認めないので、責任者の処分は行ていないと説明している。  本件に対する会計検査院批難の主眼点は上述のように予算に認められた以外に、更に多額予算支出している点であつて、この批難は妥当であると認める。然るに当局に於ては、單に施設の成績の良否についてのみ説明し、この主眼点たる予算外の支出についての反省を欠いているのは甚だ遺憾であり、又その責任者に対しての処分を怠つたのは妥当でないと認める。  右の通り議決した。よつて報告する。  昭和二十五年三月十六日     決算委員会第     二分科主査  來馬 琢道   決算委員長   谷口 彌三郎殿   —————————————
  8. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) 次に、会計検査院から三月十七日付を以ちまして、検査院報告第三百十七号について検査報告を追加したいという申出が、第一分科の柴田主査の方に参つております。柴田主査の方から、この委員会でこれに対する審議をして貰いたいというお申出がございます。只今からこの件について審議をすることにいたします。柴田主査
  9. 柴田政次

    柴田政次君 昭和二十五年三月十七日会計検査院事務総長よりの昭和二十二年度決算検査報告掲記事項についての説明追加であります。  昭和二十二年度一般会計歳入歳出決算農林省に関する事項)について会計検査院が、検査報告中に不当事項として、指摘した第三百十七号の「農林省農業技術指導農場に関する補助金使用承認当を得ないもの」の案件に関し、昭和二十五年二月八日参議院決算委員会第一分科会に出席の上、説明にあたらせました会計検査院事務官(第二局長)小林義男の説明の内容を、会議速記録により調査致しましたところ、右案件につき、会計検査院において、不当なりとして指摘いたしました事由の一部分の説明を脱落いたし、又專門委員の御調査の際も、これを御説明申上げなかつたとの趣きを承知いたしましたが、右脱落の事由は、貴分科会における御審査の場合の重要な判定資料で、これを御説明しない場合は御判定の結論に異動を生ずる虞れがあると思われますので、時期を失して甚だ恐縮ながら、ここに右事由の説明を左記の通り書面を以て追加いたしますから、右御了承の上何分のお取計らいをお願いいたします。     記 一 農業技術指導農場制度は、昭和二十二年十一月に廃止のことに方針が決定されている。而して二十三年二月の全国農事試験場長会議においても、このことにつき言及されている。一般には二十三年四月二十五日に、朝日新聞等に指導農場廃止の記事が公表され又県知事には同月二十七日附で農林次官通牒が発せられている。 二 然るに、指導農場廃止の方針を発表しながら、他方別表の通り(奈良県以外のものはいずれも二十三年三月二十四日から三十一日までの日附による申請書に基き)甚だしいものは四月二十八日において、指導農場の拡充経費に新設経費を充当することを承認している。右は本來国費を以て経営すべからざることの決定した施設に国費の使用承認した放漫な措置であるばかりでなく、二十三年度経費年度を超えた四月に至つて使用承認したことは、既設農場予算超過支出を事後において補整するものであるか又は経費年度区分をみだる結果を來す違法な措置でもあり、会計検査院としては行政的及び法律的に妥当でないと断定したものである。   尚、農業省においては、本件については遺憾な事態であるとして責任者に対しそれぞれ注意を與えているものである。以下は十二県でございますが、大体金額、申請月日、承認月日を省略いたします。以上の追加が参つております。  只今この追加書面によりまして、会計検査院検査報告の書面で昭和二十二年十一月これを廃止することに方針が決定していたと注意しておりますが、十一月に決定していたと決定するに十分なる根拠と、又は事実を持つておりますかどうか。又十一月から翌年の三月頃までは指導農場制度の存続につき交渉中であるので、まだこれを決定していたものではないと思いますが、この点を念のために一つ会計検査院の方から伺いたいと思います。
  10. 東谷傳次郎

    会計検査院事務総長(東谷傳次郎君) 只今の御質問でありますが、第一分科会決議のありました後、而ももはや審査報告もなされましたときに当りまして、今更のように説明いたすことは甚だ恐縮に存ずる次第でありますが、お許しを願いましたので、御質問にお答えして、そうして簡單に只今報告願つた会計検査院の説明の要旨を一言申上げたいと思います。  会計検査院の三百十七号の批難の要旨でありますが、御理解を願つておりますように、要旨といたしましては、指導農場の新設補助費というものを、その指導農場の制度が廃止されるという方針になりました後に使用承認をされておる。その金額が千三百万円に上つておるという点を批難をいたしておるわけでございますが、然らば只今の御質問のように、十一月の廃止されたということは、廃止の方針が決定したのはどういう証拠があるかということでありますが、これは実は專門員にも、いろいろ委員の方にも御説明を委員会でなしにいたしておつたのでありまするが、書類はこれはないのでございまして、十一月にデイレクテイヴでなしにサゼツシヨンがあつた。これは農林省政府当局の方の御説明によりますと、二月であつたと、こういうことを言つておられるようでありますが、これは証拠がないのであります。私共が立会つたわけでもありませんから、或いは十一月が十二月であつたかも分らぬのでありますが、その点は会計検査院で、十一月に指導農場廃止の方針が決定しておるのに、なぜこういうふうな補助費をその後において申請に從つて承認されたか、事由如何という説明を求めたのでありますが、政府当局は、いや、それは十一月であつたとか、或いは決定していなかつたということにはお触れにならないで、説明を書面で願つておるようなわけでありまして、その書類によりまして、十一月に指導農場廃止のサゼツシヨンが参りまして、その後いろいろ折衝がありましたが、結局それは廃止に運命付けられておる状態にあつた。この状態を称してまあ決定という言葉を使つておるのであります。そのサゼツシヨン通りに結局決定になりまして、国内的には四月二十五日に決定ということになつております。十一月の決定というのは、そういう意味合で使つておるのでありまして、サゼツシヨンによつて動きの付かない廃止の運命に運命付けられておる場合、こういうことの状態を提えまして、そうして照会をしたところが、それにも否定されていないということから、実は出発しておるのでありまして、それで御質問に対する説明といたしたいと存ずるのであります。この批難の要旨は、今申しましたように、方針が廃止に決定されておつたのであるから、その時を限りまして、使わないものは不要額にする。予算を不要額にすべきだ。血税の累積でありまするから、そういつたようなものは不要額にするか、若しくは使用を差控えるべきであるという意図が現われておるのでありまして、返還さるべきものである。而もその後になりまして、而も年を越えまして二月、三月に來た申請に対して、三月三十一日、若しくは四月に入つて承認しておるというようなわけでありまして、それは年度末の、いわば予算の残つたものを使つてしまえという指令を承認されたと同じように見えておるのでありまして、考えて見ますと、二段になつておるような感じでありまするが、第一分科会で説明をさして頂きますときに、主として決定された後に決定されたのであるから、その補助金使用相当額というのは当然返還させなくちやならんのであるということを主として説明をいたしておつたのでありますが、これは検査報告を御覧願いましても、お分りが願えるかと思いますが、会計検査院の説明が非常に不十分でございまして、検査報告百三十八頁、第三百十七号を御覧になりますと、指導農場廃止の方針決定後に、既設農場の拡充等に使用承認したものが千三百万円ある、こういうふうにしたためであるのでありまして、それを受けまして説明の段階に至つての結論としましては、当然これを返還さるべきであるのに、使用承認の請求をして來たから、それに対して既設農場の拡充等に使用承認方をしたのに対し農林省はそのままこれを承認したものであるというので、結局使用承認をしたということが、この批難で言えば実は要点であるのでありますが、それが説明が実は漏れておりましたので、特にお許しを得まして、第一分科会主査の方に書面を以て、実はその知つたことは速記録によつて知つたのでありますから、いたした次第であります。これを少しく敷衍して申上げますると、普通に申しましても、補助費使用承認をなさるのに、二月、三月に申請して來たものを、三月の終り若しくは四月に入つて承認するというようなこと自体はよろしい事態ではない、非常に工合の惡い事態であります。それなのに、これはその外に前の年の十一月頃から、検査院で言えば廃止変更に方針が運命付けられておつた、決定されておつたというような事態がそれに附加されておるのでありまして、普通の年度末の予算使用よりも少し事態は重いではないかというふうに考えておるわけでありまして、これを十二府県をここに挙げておりますが、奈良県だけでございまして、奈良県だけがこの明る年の二月の十日に申請をいたしておるのであります。あとは皆三月の二十四日から三月三十一日、本当のぎりぎりの年度末に使用承認の申請をいたしておりまして、これに対しまして政府当局承認をされましたのは、三月二十六日に一県だけ、あとは三月三十一日附を以て、本当の年度末でありますが、使用承認をなさいましたのは四百三十三万円、それからもはや年度が切れまして、新らしい年度になりました四月中に使用承認をされましたのが、六百六十二万円ということでありまして、これらは結局いわば年度末に残つておる予算の残、若しくは使用残を、その年度内には使用ができないということが分つておるのに、使用承認をされたということでありまして、得てして補助費承認或いは配付について放漫に流れる点が一、二に止まらぬのでありますが、これなともやはり補助費使用承認については放漫な措置であるというふうに考えられるのであります。これは場合によると、すでに各府県におきまして既設農場の拡充に使つておつた、これを使用承認の申請若しくは承認という形で現わしたのかも分らぬのでありますが、それであるならば、承認を得ないで先に使つておるという惡い事態が持上つて來るのであります。普通の見方で言うと、これは年度末にできないということが分つておるのに承認をされたという、いわゆる年度違いの不当な事項になると考えておるのであります。只今の御質問にお答えしまするついでに、只今の点を簡單に説明をさして頂いたわけでございます。
  11. 柴田政次

    柴田政次君 只今会計検査院の東谷事務総長から御説明がありましたが、これは会計検査院の御見解でございましようが、これに対して農林省当局の方によりまして、この前にいろいろお話は伺つておりましたけれども、ただ二十三年の十一月に、会計検査院の方は廃止の命令が出たから効力が生ずる、こういうふうに御解釈になつておるようでありますが、農林省はこの効力というものを、二十三年の三月三十一日までに効力があるものとしての措置、第二段といたしましては、二十三年の年度を越した四月に使用承認しておる点、この二点につきまして詳細に御説明をお願いしたいと思います。
  12. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) お答えいたします。今検査院の東谷事務総長から、新らしい問題について二点御説明がありましたので、私から農林省見解をお答えいたします。  第一点の、指導農場が二十二年の十一月に廃止決定なつたかどうかという点でありますが、農林省といたしましては、廃止決定になつておらぬ。そういう決定はまだないというふうに考えて仕事をやつておつたわけなんであります。これは分科会でも御説明いたしました通り、この技術指導農場の問題につきましては、日本の農業の研究機関の問題、それから普及方法の問題等、大きな問題の一環としまして、これは問題になつたのでありまして、この指導農場につきましては、二十二年度より関係方面の了解を得まして仕事を始めて來たのでありますが、今御説明にありましたように、関係方面から、個人的な意見として、こうやつたらどうかというような意見が、試験研究機関等々と関連いたしまして出たことは事実であります。ただ農林省といたしましては、関係方面の係官の單なるサゼツシヨンでありますとか、アドバイスだけでこれが決定なつたというふうには考えませんで、この仕事はずつとやつておりました。実は検査院からの御説明がさつきちよつとありましたが、正式に廃止の決定をしまして県に通牒いたしましたのは、年度を越えました二十三年の四月二十七日に、農林次官名を以て、確か各県に廃止の通牒をいたしております。それから実は二十三年度の暫定予算におきましても、技術滲透関係予算は、人件費だけですが、二十三年の暫定予算にも計上いたしたような次第なのであります。農林省といたしましては、今検査院からお話がありましたが、まだ廃止の決定にはなつておらぬというつもりで、実は二十二年度中はずつと仕事をやつておつたわけであります。廃止の決定があつたか、なかつたかという問題については、私は今そういうふうにお答えいたします。  それから第二点の、年度を越えて使用承認をしたものというお話が出たのでありますが、これは確かに農林省といたしましては遺憾に存じます。今御指摘がありましたように、これは使用承認の問題だとおつしやいましたように、私共といたしましても、たとえこれは指導農場は存続いたしていると仮定いたしましても、やはり使用承認をいたします場合には、内容についての検討はもつと十分すべきものがあつたと、この点につきましては、さつき議決で御報告がありました通り、私共も愼重を欠いた点がありまして、これは関係者注意を與えるというようなことにいたしましております。それから年度を越えて使用承認をしたという問題でありますが、これは御指摘もありましたように、実は長野県の問題でありますが、これは確か四月になりまして使用承認をいたしております。これは年度末でいろいろ事務も支障いたしておりましたので、こういう施行文書の期日が四月になつたのでありますが、この点は農林省といたしましては甚だ遺憾に考えておる次第であります。
  13. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) 別に御質問ございませんか。
  14. 阿竹齋次郎

    ○阿竹齋次郎君 柴田委員にお尋ねしますが、会計検査院から、こういう説明が附いた向うのものが來たときには、一応これをやることを第一に考えて御討議下さる御意思はなかつたか。それから次に農林省に伺いますが、これは意見になりますけれども、何故それなら、ここの説明書の三百何号かは、十一月に廃止になつたか、ならぬかということが根拠にならぬかどうかということについて、これに対する御説明を加えて頂きたかつたのです。これが急所でなかつたか。会計検査院から十一月に廃止になつたと、こう書いてあるのに、それに対する反駁がなかつたのです。お答えが得られない。分らない。今になつてそんなことを言うと信用がない。不信です。それからあなたの言うには不用となつ年度を越えて使用承認をしたことはまずかつたとか、落度だと言うと、十一月に廃止したことはどうも信用がスムーズにならない。感じが惡いのです。あなたの意見はどうでしようね。それから関係方面から言うて來た言葉はどうですか。その一言というものは絶対的にというくらいにみんなが取扱つておつたように考えるのですが、そうでなかつたのですか。たとえ公式であろうと、非公式であろうと、大きく認めていなかつたのでしようか。そうして結果の決定としては、関係方面の言う通りにしたのですがね。そうすると、余程見通しがまずかつたんじやないか。而も年度末になつて、ぎりぎりになつて、このようなことをしておつたら、折角の御意見がどうもその値打ちがないと思うのですがね。
  15. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) それでは先ず柴田君。
  16. 柴田政次

    柴田政次君 私からその件についてお答えいたします。三月十七日の日附になつておる書面ではございますが、受取りましたのは、私都合で留守しておりました関係上、一昨日だと思います。一昨日お預りいたしました。それで私は只今御指摘の通り、御相談を申上げてと思いましたのでございますが、いろいろやはり他に要件がございまして、お諮りする機会もなしに今日に至りましたのでございます。この点につきましては、阿竹議員にも專門員の方を通じてお話しを願つた筈と私は覚えておりますが、その点ありましたかどうか。その点御了承願いたいと思います。
  17. 阿竹齋次郎

    ○阿竹齋次郎君 專門員から聞かされたのは、私は昨日の午後のことであつた。それから三月十一日の日附でありますが、主査が受取られたのはいつか知りませんが、三月十一日と書いてあります。三月十一日からの日附を根拠としてお尋ねしております。それから委員長にお尋ねいたしますが、会計検査院報告は大変なものになつて來るのですね。これを見ますと……。どうでしような、会計検査院報告書の権威のためにも大きな問題だと思うのですが。
  18. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) 只今の件につきましては、最後に結論を出そうと思つておりますから、そのときに御相談いたしたいと思つております。尚、農林省の大臣官房会計課長伊藤政府委員から、何か只今の問題に対して御説明があれば……。
  19. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) 今阿竹委員からおつしやいました私の方から出しました説明書に、十一月の廃止が決定しなかつたというのが反駁書に載つておらぬというお話でありましたが、これは確か説明書には、十二月になつて関係方面から助言があつたというような書き方で……、こう書いたのでありますが、はつきり文面に書きません点は私共の手落ちで、お詫び申上げます。
  20. 阿竹齋次郎

    ○阿竹齋次郎君 簡單ですが。そういうことをおつしやいますが、三百十七号でちつとも書いてない。全然書いてないのです。
  21. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) それでは如何でしようか。只今の結論は先刻申上げました通り、御相談は後ですることに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) 御異議ないものと認めます。それでは次に、第一分科会主査報告にもありましたように、復興金融金庫の件が未解決になつておりますから、この件を議題に供したいと思います。  この際私から一言申上げて置きたいと思いますのは、実はこの件につきまして、以前に証人を呼び出してはどうかというようなお話もありましたのを、委員長に一任されておつたという話でございましたから、実は理事会を開きまして、如何にこれを運営すべきかについて御協力をいたしたのであります。ところが理事会におきましては、証人を呼び出しましても、なかなかその事件の解決は困難であるからして、却つて書類を出して貰つて、その書類によつて委員長において審議した方がよくはなかろうかという話合いになりました結果、本日は先刻そこに書類を差上げておるのでございます。これについて早速説明をして貰おうと思いますが、よろしうございましようか……。それではこの資料につきまして、何か御質疑がございますならば、どうぞ願いたいと存じます。お知らせいたします。復興金融金庫の方から工藤理事長もお見えになつております。或いは鹿喰理事、西澤総務部長などが見えられております。
  23. 柴田政次

    柴田政次君 この回收調だけは分つておりますが、これに対しまして現在の残額というようなものはちよつと見当りませんが、これを一応どれくらい今残つておるか、これは三月六日の調でございましようか。これに対して一つ。
  24. 鹿喰清一

    ○説明員(鹿喰清一君) それでは復金の回收状況の先ず一般につきまして御説明申上げます。そうしますと、お手許に差上げてございます表がお分りになるのがお早かろうと思います。復金の回收につきましては、昨年の四月から今年の二月までにおきまして、これは私共では公団と一般産業に分けておりますが、一般産業におきまして七十四億五千万円、公団におきまして六十四億七百万円、合計いたしまして百三十八億五千七百万円回收いたしております。つまり四月から二月までの十ケ月間の実績でございます。それで今年の二十四年度予算はどうなつておるかと申しますと、一般産業におきましては六十億、公団におきましては五十六億四千万、合計いたしまして百十六億四千万ということになつております。それが二月までの実績におきましては、先程申しましたように、百三十八億五千七百万でございますから、約二十二億程すでに今日においても予算以上の回收超過をしておるというような成績でございます。それでお手許に差上げてございますが、これは業種別の回收額の調でございまして、これは只今申しましたのは二月までのものでございまして、業種別のものは統計がまだ二月の分が纏まりませんものですから、お手許には一月までの分につきまして、業種別の回收額の調として差上げたような次第でございます。これで申上げますと、一月までには一般、公団併せまして百三十億三千九百万円、それから公団が六千三億三千二百万円、一般が小計というところがございますが、六十七億六百万、公団が六十三億三千二百万、合せて百三十億三千九百万円、こういうような状況になつておるわけでございます。それで二月末の数字はさつき申しました通り百三十八億でございますが、三月におきましては、大体これはまだ予想でございますが、一般、公団を併せまして十億円程回收になる見込でございますから、それを合せますと、予算の百十六億四千万円を超過いたしますこと、約三十二億五千万くらい超過して回收されると、こういうような状況でございます。まあ我々といたしましては、四月以來回收の方面におきまして努力いたして参つたようなわけでございます。それから回收のどういう資金と申しますか、これは主に営業収益が大半でございまして、それから次いで増資、社債、或いは資産処分、こういうもの等も挙げられております。金庫といたしましては、企業の合理化を慫慂いたしまして、できるだけその営業収益を増大して、そこから回收を図ると共に、企業経営の健全化のためには自己資本を充実させまして、返済を円滑ならしめることに努力いたしておる次第でございます。併しながらこれは今後の回收の見通しといたしましては、合理化が進展する一面、弱小な企業につきましては脱落する者もございましようし、或いは御承知の通り証券市場の不振ということ等によりまして、こういうような好調がいつまで持続されるかということは、多少疑があると思う次第であります。大体回收の数字といたしましては、こういうような状況でございます。  何か外に御質問がございましたら、お答えいたします。
  25. 柴田政次

    柴田政次君 只今の御説明で大体分りますけれども、この中で繊維関係が非常に支拂いが遅滯が多くなつておるということがありますが、現在の繊維関係といたしましては、今日の工業者として、一番困つておるような状態でございますが、これらが将來に相当の困難を來そうと、こういうふうに考えておりますが、この方面はどういうふうな成績が挙つておりますか。一つその点……。
  26. 鹿喰清一

    ○説明員(鹿喰清一君) 今の御説明でございますが、これは融資の残高から、私の方の何といたしましては、ここに出ております額が割合に少いと申しますのは、繊維関係といたしましては、比較的の問題ですが、全体から言うと繊維関係の融資は割合少いのであります。国の産業の構造としては非常に重要な地位を占めておりますけれども、復金の関係というと、やはり石炭、鉄、肥料、そういう方面に非常に沢山出ております。殊に繊維産業の中には、優秀企業は殆んど全部市中銀行から出しております関係で、残高において少いのであります。從つてこの回收額においても、普通の常識から御覧になりましても、少いように見えるわけでございます。
  27. 柴田政次

    柴田政次君 いや、私のお尋ねすることは、金額の少い割合に回收が鈍いじやないか、こういうようなことを考えておるのでありまして、この表から見まして、金額が少ない割合以上に、やはり支拂いが遅れていはしないか、大分遅滯が多いのじやないかということを考えまして、尚更現在の繊維というものについて、非常に業者が困つて、おるということを考えますためにお尋ねした次第でございます。
  28. 工藤昭四郎

    ○説明員(工藤昭四郎君) 今の御質問に対してお答え申上げます。今鹿喰理事からお話しましたように、繊維産業の大手筋は、大体において復興を自力でやる、或いは他の金融機関を利用する力を備えておつたのであります。復金が融資いたしましたのは大部分機業、「はた」の復旧その他でありまして、金額は全体的に見て非常に少ないわけです。從つて回收を行なつておりましても、回收の実績として現われて参ります。絶対金額は非常に少ないのでありますが、貸出金に対する回收比率といたしましては、他の産業に比べてそう惡くないと考えております。ただ産業界の現状が今後どう推移するかが問題点になつておりますが、これ以上非常に惡化するということでありますれば、回收も若干損害を受けると思うのですが、現状で若し推移するといたしますと、この程度の比率の維持はできると考えております。
  29. 中川幸平

    ○中川幸平君 先程の御説明によつて予算より二十億も回收の成績がよくなつたことは大変結構でありますが、この金融機関の際に、これだけの成績を挙げたということは、非常に回收を辛辣にやつておるような感じがいたしまするが、その点について御説明を願いたいと思います。
  30. 工藤昭四郎

    ○説明員(工藤昭四郎君) 実は回收状況が非常に良好でありますから、一部ではそういうお言葉を頂くのでありますが、復興金融金庫は、申上げるまでもなく産業設備の復興、産業の育成を目的として生まれたものでありますから、我々としては管理回收を主とする状況になりましても、そういう点につきましては十分頭に置いてやつております。從つて最近の実情に鑑みまして、回收を順調にやれるような計画をもう一応出して直し貰つたのであります。その出し直して貰いました回收計画について、更に金庫の中で査定委員会を設けまして、その会社の業況、内容、資産状態等を仔細に一件々々査定いたしまして、この程度なら、そう無理がなく回收できるという査定をいたしまして、それに從つて回收を行なつておるわけであります。又状況の変化その他によりまして、償還が困難になりましたものにつきましては、その理由を申出て貰いまして、それらに対しては躊躇なく、猶予いたしておりますので、今御心配になつたような点は、復金に関する限り万々ございませんから、この点を申上げて置きます。
  31. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) 外にございませんか。
  32. 柴田政次

    柴田政次君 復金融資には、まあいろいろ世間から非難もあるのでございますが、これは特に大蔵省の方で嚴重な監督を要望いたします。で今回はこれを打切りまして、尚二十三年度におきましても、同じ問題が数件あるから、この辺でこの審議を打切られたいと思います。動議を提出いたします。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  33. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) 只今の御動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) それでは只今の動議によりまして、この辺で打切ることにいたします。   —————————————
  35. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) 次にこの委員会におきまして、たびたび大蔵大臣の出席を求めて説明を開きたいというようなことがありましたそうでございますが、併し只今いろいろと外の方え出ておられまして、又本日ここでも二十二年度の何が済んだのでございまして、これが後刻決定せられますというと、続いて二十三年度審議を始めることになりますので、そのときに、初めに大蔵大臣の出席を求めるということにいたしまして、今回のこの二十二年度決算の場合には、それを延ばしたいと思いますが、よろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) それでは各分科主査から御報告がありましたのでございますが、何か御発言がございますなら、この際御発言をして頂きたいと思います。別に御発言もありませんならば、この際討論に入りたいと思いますが如何でございましようか。それから尚この際に、先刻の会計検査院から説明の追加がありましたのに対する決議も一緒にして頂きたいと思います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 柴田政次

    柴田政次君 第一分科会審査報告書の一部を修正する案を提案いたします。   決算委員会第一分科審査報告書の一部を左の通り修正すること。   一、第十四頁第十一行目に「此の農場制度廃止が」とあるを、「此の農場制度廃止の方針が」と改める。   二、第十五頁第二行目「いささか妥当を欠く」とあるを「この点から見て妥当を欠く」と改める。   三、十五頁二行目の「然し、その使用承認を與えるに当つて」とあるを、「然し、農林省年度を超えて使用承認を與えたことは妥当を欠いた措置であり、又」と改める。  以上修正いたしたいと思います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) 只今の修正に御異議ありませんか。
  39. 阿竹齋次郎

    ○阿竹齋次郎君 もう一遍聞かして頂けませんですか。決議してしまうと動きませんから……。その修正に対して、まあこちらの自由な立場でやることなんですけれども、それで農林省も結構なんでしようか、会計検査院もいいのですか、こつちか勝手にやつていいのですか、どうでしよう。そんなことをすると惡例になる。
  40. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) それでは速記を止めて……。    〔速記中止〕
  41. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) それでは速記を始めて下さい。外に……。
  42. 來馬琢道

    來馬琢道君 農林省においては、只今の修正によつて一つだけ妥当を欠いたことを認めることになるのでありますが、もつと外のものも妥当を欠いたものと認められておるのでありましようか。只今の修正に対する農林省見解を伺つて置きたいと思います。
  43. 柴田政次

    柴田政次君 私から只今申上げましたことは、修正は主査意見として申上げる。御了承願いたい、かように考えておりすま。
  44. 來馬琢道

    來馬琢道君 只今の修正によりまして、農林省はそれで一つだけ妥当を欠くが、外のものは欠いておらぬということになると、承知されておりましようか。
  45. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) 只今の來馬委員の御質問でございますが、これは第一分科会主査があの部分を変えまして、そうして今回変えたものを本会に出すということになるのであります。そうしますると、やはり農林省の何をお聞きになりますか。
  46. 來馬琢道

    來馬琢道君 この決算委員会決議した。農林省はそれでは意見が違うということになりますと、私共の審議の上に一沫の暗黒面を生ずるような気がする。暗さを感ずるようになりますから。むそろここで農林省の御意見を伺つて、その上で賛否を決したら如何ですか。
  47. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) 只今來馬委員の御動議は如何ですか。……速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  48. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) それでは速記を始めて下さい。  外に御発言ございませんか……。別に御発言がありませんければ、討論に入りたいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  49. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) 別に御異議はないものと存じます。  それではこれから討論に入りますから、御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。(「進行」と呼ぶ者あり)別に御発言もなければ、採決に入りたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) それではこれから採決に移ります。  昭和二十二年度一般会計歳入歳出決算及び昭和二十二年度特別会計歳入歳出決算を各分科主査報告通り議決することに賛成の諸君の御挙手をお願いいたします。    〔総員挙手〕
  51. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) 全会一致でございます。よつて本案は全会一致を以て議決することに決定いたしました。尚、本会議における委員長の口頭報告内容は、本院規則第百四條によつて、予め多数意見者の承諾を経なければならないことになつておりますが、これは委員長において本案の内容、本委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することとして御承認を願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) 御異議ないと認めます。  それから本院規則第七十二條によりまして、委員長が議院に提出する報告書につき、多数意見者の署名を付することになつておりますから、本案を可とされた方は順次御署名をお願いいたします。  多数意見者署名    柴田 政次    柏木 庫治    來馬 琢道    米倉 龍也    カニエ邦彦    吉川末次郎    中川 幸平    平沼彌太郎    横尾  龍    石川 準吉    奧 主一郎    阿竹齋次郎    伊藤 保平    千田  正
  53. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) 御署名洩れはございませんか。……それでは御署名洩れないものと認めます。  これで本日は散会いたします。    午後三時四十五分散会  出席者は左の通り。    委員長     谷口弥三郎君    理事            柴田 政次君            柏木 庫治君            來馬 琢道君            米倉 龍也君            カニエ邦彦君            吉川末次郎君            中川 幸平君            平沼彌太郎君            横尾  龍君            石川 準吉君            奧 主一郎君            阿竹齋次郎君            伊藤 保平君            千田  正君   政府委員    法務政務次官  牧野 寛索君    電気通信政務次    官       圖司 安正君    労働政務次官  新谷寅三郎君    総理府事務官    (大臣官房会計    課長)     齋藤 常勝君    造幣庁長官   松崎 健吉君    検     事    (総裁官房経理    部長)     岡原 昌男君    大蔵事務官    (大臣官房会計    課長)     小川 潤一君    大蔵事務官    (銀行局長)  舟山 正吉君    文部事務官    (大臣官房会計    課長)     寺中 作雄君    厚生事務官    (大臣官房会計    課長)     太宰 博邦君    農林事務官    (大臣官房会計    課長)     伊東 正義君    通商産業事務官    (大臣官房会計    課長)     大堀  弘君    運輸事務官    (大臣官房会計    課長)     粟澤 一男君    郵政事務官    (経理局長)  中村 俊一君    電気通信事務官    (経理局長)  肥爪 龜三君   事務局側    常任委員会專門    員       森 莊三郎君   説明員    会計検査院事務    総長      東谷傳次郎君    復興金融金庫理    事長      工藤昭四郎君    復興金融金庫理    事       鹿喰 清一君