○
説明員(
野田岩次郎君) それでは先ず
委員会の
業務の概要を御
説明する方がいいと思いますが、その先に
手続について申上げます。
持株会社整理委員会令という
法律がございまして、
持株会社に指定いたされますと、又
財閥家族、指定家族ということになりますと、その所有しておる
有価証劵は
持株会社整理委員会の方へ
讓渡すということにな
つております。それでこちらの方から指示をいたしまして、向うの
有価証劵保有額を
調査いたしまして、直ちに引渡に適当なものは指示をしてこちらへ讓受け、それに対して受領証書を発行いたします。それで例えば未拂込株でございますとか、或いは銀行の担保に入
つておるというようなものは、その未拂込が拂込まれたときに名儀が
委員会へ移るものであります。現物はこちらの方で管理はいたしております。抵当に、担保に入
つておりますものも大体において銀行との話合で都合の付き次第受領証書にすり替えて現物をこちらへ讓受けるということにな
つております。それに対しても受領証書を発行いたします。それが讓受の
手続であります。そうしてそれが累積いたしたものがここに書いてある讓受分
金額でございます。
委員会の
業務の概況を簡單に要点だけ御
説明いたしたいと思います。
当
委員会は、
持株会社整理委員会命令に基いて、初めはいわゆる
財閥の
整理を主要任務として
昭和二十一年八月に設立いたされたのでありまするが、その後
会社の証劵等保有制限令及び
過度経済力集中排除法の
公布、施行によりまして、これら法令の実施に関する
業務を付託されたわけでございます。
それで
財閥の
整理に関する
業務、
会社の証劵等保有制限令に関する
業務、
過度経済力集中排除法に関する
業務の三つになるのでありまするが、この際
財閥の
整理に関する
業務等につきましても一応触れて置いた方がいいのじやないかと思いますので、触れさして頂きたいと思います。
財閥の
整理の方法といたしましては、
只今申上げました
通り持株会社に
内閣総理大臣が指定いたしますと、その
有価証劵を我々の方に讓受け、そうして
財産の
処分について指導、
監督等をいたしておるわけであります。先ず
財閥の指定者は、
財閥十家族、即ち三井、岩崎、住友、安田、野村、大倉、淺野、中島、古河、鮎川等の十家族が覚書によ
つて我々
委員会ができる前に指定されておりまして、そのうちから五十六名の個人を指定しました。それが指定者であります。尚
持株会社に八十三社合計指定いたしております。現在まで、二十四年十二月末現在でありますが、
整理の進捗状況を見ますと、
持株会社八十三社のうち、解散をいたしまして清算中のものが二十一社、第二
会社設立の上解散するものが二十社、存続するものが四十一社、未定一社とな
つておるのが現状でございます。
それから、
有価証劵の
処分方法等につきましては
只今申上げた
通りでございまするが、
勅令五百六十七号、即ち
会社の証劵保有制限令
関係につきまして申上げますと、この
勅令によ
つて制限
会社、従属
会社、
関係会社などは、その所有する
株式を
処分しなければならないことにな
つておりまするが、これらの
会社から資本系統の通知書の提出を受けまして
調査をいたしました結果、
昭和二十一年七月末現在で制限
会社の数は千百三十八社、従属
会社が千六百二十社、
関係会社が九百七社、合計三千六百六十五社の多数に上ることが判明いたしました。又
処分を要する
株式は、株数にいたしまして約三千三百万株、拂込
金額十四億八千万円見込まれておりますが、その
処分方法といたしましては、法令の
規定に従いまして、こちらの
会社から提出された
株式処分計画書を審査の上、これを承認するものでございます。各社はこの承認を受けた計画書に基いてそれぞれ
処分をするという形をと
つております。このようにいたしましてこの法令で
処分された
株式は約一千九百万株であります。拂込
金額にいたしまして八億二千万円ぐらいにな
つております。
それからこれは
委員会の
仕事の
一つでございまするが、これらの
処分を要する
株式につきましては、その議決権の行使を
委員会に委任しなければならない
法律にな
つておりますので、この議決権の行使に
委員会も当
つておるわけであります。
それから
昭和二十三年の八月にこの
勅令の一部
改正がありまして、所定の商号、商標等の使用禁止という
処分をなす任務を又新たに付與されました。この
業務実施が我が国の産業面に與える影響の深刻、且つ重大であることを考慮いたしまして、爾来約一年有余に亘
つて愼重に
検討を続けて参りました。昨年九月、三井、三菱、住友の三
財閥だけに対してこの
法律を発動いたしております。その余につきましては、その影響の大きいところを
考えまして中止をいたすよう目下総
司令部と交渉中であります。
それから
過度経済力集中排除法関係の
業務になりますが、
昭和二十二年十二月
集中排除法の
公布、施行に伴いまして、
委員会では同年末から翌年二月にかけて
手続規則、
過度経済力集中排除の基準等を制定するなど、
基礎的準備工作を整えました上、二十三年二月二回に亘
つて合計三百二十五社を指定いたしました。以後これらの
会社につきまして、それぞれ所定の
資料の提出を求めまして
調査検討を行いました結果、二十三年五月に過度の経済力集中に該当しないものとして五十社の指定を取消しました。それからそれを
最初といたしまして約十六回に亘りまして愼重
調査検討の上、合計二百九十七社を解除いたしました。残るところ二十八社となりました。この二十八社のうち十八社に対しまして、それぞれ分割或いは資産の
処分等を
内容とする決定指令の通達を終
つております。目下これらの
会社は、それぞれ指令の
内容に
従つて再編成を実施中であります。尚このうちの一社、日本火薬はすでに決定指令の実施を完了いたしましたので、
手続終結指令を通達いたしております。又これまで措置の決ま
つていない十社は、日本発送電及び配電
会社九社であります。これらの措置については、目下電気
事業再編成審議会で御
検討にな
つて御答申があつたように承知いたしておる次第であります。
それで以上申上げました
通り、特殊のものを除きますと集中排除の措置は大体分割指令及び決定指令というところまでは完了いたしたわけでございまするが、その分割指令によ
つて、今度は整備計画、再編成計画というものを提出して来ることにな
つております。これの承認審査というものが又
相当の
仕事であります。併しすでにそれが終りましたものは公正取引
委員会の方へ移管することにな
つております。それで昨年の五月に
法律第七十八号で、特株
会社整理委員会の職権等の公正取引
委員会への移管に関する
法律及びこれに基く政令が同年十一月に施行されております。それで
集中排除法に関する当
委員会の職権は、原則といたしまして、この整備計画が承認されておりまするものにつきましては、本年の四月一日に公正取引
委員会の方に引継がれることにな
つております。